JP2004533497A - ポリマー材料を含む研磨物品 - Google Patents
ポリマー材料を含む研磨物品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004533497A JP2004533497A JP2002573191A JP2002573191A JP2004533497A JP 2004533497 A JP2004533497 A JP 2004533497A JP 2002573191 A JP2002573191 A JP 2002573191A JP 2002573191 A JP2002573191 A JP 2002573191A JP 2004533497 A JP2004533497 A JP 2004533497A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- article
- epoxy
- abrasive
- composition
- derived therefrom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B24—GRINDING; POLISHING
- B24D—TOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
- B24D11/00—Constructional features of flexible abrasive materials; Special features in the manufacture of such materials
- B24D11/001—Manufacture of flexible abrasive materials
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B24—GRINDING; POLISHING
- B24D—TOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
- B24D3/00—Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents
- B24D3/02—Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent
- B24D3/20—Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent and being essentially organic
- B24D3/28—Resins or natural or synthetic macromolecular compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K3/00—Materials not provided for elsewhere
- C09K3/14—Anti-slip materials; Abrasives
- C09K3/1436—Composite particles, e.g. coated particles
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Composite Materials (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Abstract
本発明は、離散粒子およびその離散粒子を調製する方法、ならびにその主表面に付着した突起を有する研磨物品およびそのような物品を作製する方法を提供する。この離散粒子および研磨物品には、複数の研磨グリットならびに、(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレートを含む成分の反応生成物を含むポリマー材料が含まれる。本発明はさらに、前記離散粒子から作製される物品およびそのような物品を作製する方法も提供する。前記物品は研磨物品であるのが好ましい。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料を含む研磨物品、およびそのような物品を製造するための方法に関する。そのような物品に含まれるのは、(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種を含む成分の反応生成物、および/または(2)少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせて調製できるポリマー材料、を含むポリマー材料である。
【背景技術】
【0002】
従来のコーテッド研磨物品では、複数の研磨粒子を含むバッキングを有し、それらの粒子はバッキングの少なくとも1つの主表面に、1種または複数のバインダー(たとえば、メイクコート、サイズコートおよびスーパーサイズコートなど)によって接合されている。研磨物品(たとえば構造化研磨物品)はスラリーから形成するのが好ましく、バインダー中に分散させた複数の研磨粒子を含む研磨材層を、その少なくとも1つの主表面に担持するバッキングが含まれる。
【0003】
一般には、コーテッド研磨物品の使用寿命の間には、バッキングに接着させたこの研磨グリットのほんの一部分だけが実際に使用されるに過ぎない。この層の中にある研磨グリットの大部分は無駄になっている。さらに、このバッキングはコーテッド研磨物品の材料の中でも高価な方の部類に入るが、すり減る前に廃棄しなければならない。
【0004】
研磨グリットのより多くの部分を実際に使用し、それによってコーテッド研磨物品の使用寿命を延ばすことを目的として、バッキング上に研磨材を分布させる多くの試みがくり返されてきた。コーテッド研磨物品の寿命が延びれば、ベルトやディスクを交換する必要性が減り、時間も手間も節約できる。単にバッキング上に研磨グリットの厚い層を付着させるだけでは、表面のグリットよりも下にあるグリットはやはり使用されないので、この問題の解決にはならない。
【0005】
コーテッド研磨物品の寿命を延ばすために、そのような物品中に研磨グリット分散させる方法は、いくつか知られている。そのような方法の1つとして、研磨物品中に研磨凝集物を組み込む方法がある。研磨凝集物は、バインダーを用いて研磨グリットを接合させて、固めたものである。丁寧に形を整えた研磨凝集物もあれば、形やサイズがバラバラな研磨凝集物もある。研磨グリットを加えない、丁寧に形を整えたバインダーの粒子もある。研磨材業界においては、改良された性能を有する研磨凝集物を得るためのバインダーとして有用な、熱硬化性ポリマー材料が、依然として求められている。
【0006】
構造化された研磨物品では、研磨材層は、複数の成形された研磨材複合材料がバッキングに結合された形をとる。有用なバッキングとしては、たとえば、紙、ポリマーフィルム、バルカンファイバー、不織布基材および布などが挙げられる。布のバッキングは一般に、ステッチボンドまたは織布である。これらのバッキングでは、1層または複数の処理コーティングを適用することが多く、それによって布を覆って個々の繊維を保護する。構造化された研磨物品は特許文献1(ピーパー(Pieper)ら)、特許文献2(フープマン(Hoopman)ら)、特許文献3(ステゼル(Stoetzel)ら)に開示されている。
【特許文献1】
米国特許第5,152,917号公報
【特許文献2】
米国特許第5,681,217号公報
【特許文献3】
米国特許第5,855,652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある種の公知の構造化された研磨物品は、多くの仕上げ作業や研削作業で有効に使用されている。しかしながら、さらに性能の優れたものへの要求は常に存在する。性能を改善すれば特に有用な分野としては、湿式研削および仕上げ作業や、研削除去率(stock removal rates)が高く研磨材寿命が長いことが望まれる目の粗いグレードの製品などがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において本発明は、ポリマー材料および複数の研磨グリットを含む離散粒子(discrete particle)を提供し、ここでそのポリマー材料は、(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含む。この成分は(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいるのが好ましい。
【0009】
また別の態様において本発明は、複数の研磨グリット、および少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できるポリマー材料を含む離散粒子を提供する。このポリマー材料を、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。
【0010】
別の態様において本発明は、(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含むポリマー材料を含む複数の離散粒子を含む研磨物品を提供する。この成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいるのが好ましい。この粒子の少なくとも一部には複数の研磨グリットを含んでいるのが好ましい。この物品には、その粒子の少なくとも一部に付着したバッキングおよび/または不織ウェブが含まれているのが好ましい。
【0011】
また別の態様において本発明は、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できるポリマー材料を含む複数の粒子を含む研磨物品を提供する。このポリマー材料を、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。この粒子の少なくとも一部には複数の研磨グリットを含んでいるのが好ましい。この物品には、その粒子の少なくとも一部に付着したバッキングが含まれているのが好ましい。
【0012】
また別の態様において本発明は、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)複数の研磨グリット、および任意成分としての(d)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて組成物を提供する工程と、その組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化して離散粒子を提供する工程と、を含む、離散粒子を調製する方法を提供する。好ましくはこの方法には、組成物の少なくとも一部を照射する工程を含む。好ましくはこの方法には、組成物の少なくとも一部を熱的に硬化する工程を含む。
【0013】
一実施態様において、離散粒子を調製するこの方法は、三次元ボデー中に1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程と、組成物をその1つ以上のキャビティの少なくとも一部に導入する工程と、を含む。好ましくはこの方法には、製造用具の1つ以上のキャビティの少なくとも一部において、組成物の少なくとも一部を部分的に硬化することを含む。好ましくはこの方法には、キャビティから離散粒子を除去する工程を含む。
【0014】
したがって本発明により、粒子の形状および組成を変化させることによって、特定の用途に適合した粒子を設計することが可能となる。
【0015】
また別の態様においては本発明は、主表面を有するバッキング;主表面に付着された複数の突起(projection);および(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物をふくむバインダー、を含む研磨物品を提供する。この成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいるのが好ましい。任意に、このバインダーにはさらに複数の研磨グリットを含む。この突起は研磨グリットを含む複合物突起であるのが好ましい。このバインダーは、バッキング中、バッキング上または突起中に存在するのが好ましい。
【0016】
また別の態様においては本発明は、主表面を有するバッキング;主表面に付着された複数の突起;および少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることにより調製したバインダー、を含む研磨物品を提供する。このバインダーを、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。任意に、このバインダーには複数の研磨グリットをさらに含む。この突起は研磨グリットを含む複合物突起であるのが好ましい。このバインダーは、バッキング中、バッキング上または突起中に存在するのが好ましい。
【0017】
また別の態様においては本発明は、研磨物品を作製する方法を提供するが、その方法は、1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程であって、その1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中には、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製される組成物を含ませ、その製造用具には1つ以上のキャビティに近接する主表面を有するバッキングを有する工程と;組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化することによって、研磨物品を形成する工程と、を含む。この組成物を、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。製造用具を提供する際に、任意に、バッキングの主表面と1つ以上のキャビティの少なくとも一部との間に中間体層をさらに提供することもできる。好ましくはこの方法は、組成物の少なくとも一部を照射する工程を含む。好ましくはこの方法は、研磨物品の少なくとも一部を熱的に硬化する工程を含む。
【0018】
一実施態様においては、研磨物品を作製する方法は、1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程であって、その1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中には、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製される組成物を含ませる工程と;バッキングの主表面を1つ以上のキャビティの少なくとも一部に適用する公知と、を含む。この組成物はバッキングの主表面を濡らすようにしておくのが好ましい。
【0019】
また別の実施態様においては、研磨物品を作製する方法は、1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程と;1つ以上のキャビティの少なくとも一部にバッキングの主表面を適用して、その上に、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製された組成物を有するようにする工程と、を含む。
【0020】
本発明は、研磨物品を作製する方法を提供する。この方法の実施態様では、以下の性質、すなわち、優れた湿式研削性能、優れた研削除去率および優れた研磨材寿命、の1つ以上を備えた研磨物品を作製するのが好ましい。
【0021】
定義
本明細書で使用する場合、「バインダー前駆体」という用語は、流動性がある(conformable)かまたは、熱もしくは圧力またはその両方を加えることによって流動性が得られ、かつ、照射エネルギーもしくは熱エネルギーまたはその両方の手段を用いると流動性が無い状態にすることができる、すべての材料を意味する。バインダー前駆体には、本発明によるポリマー材料および研磨グリット、充填材および研削助剤も含めて任意の材料を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「バインダー」という用語は、固化させて取り扱いが可能となった材料を指す。このバインダーは、バインダー前駆体を反応させることで、実質的に流動せず、実質的な形状変化を起こさない材料(たとえば粒子)とすることによって形成するのが好ましい。「バインダー」と表現する場合、バインダー前駆体が(たとえば、重合または架橋により)完全に反応している必要はなく、ただ、製造用具が動き続けている間にも、バインダーの形状に実質的な変化を起こさせることなく、その製造用具からバインダーを取り外すことが可能な程度に反応していればよい。
【0023】
構成成分の使用を決める場合には任意に、単一の成分を用いてもよいし、材料の組合せまたは混合物として用いてもよいことは、理解しておくべきである。同様に、「a」、「an」および「the」を付けたものの意味は、単数同様に複数をも示すと解釈されるべきである。また、「約」という用語を含む数値が意味するのは、その特定の数値にほどほどに近い少し大きい数値および少し小さい数値の両方が含まれるということである。たとえば、「約」という用語を使用することで、ある特定の数値よりも10%多い、または10%少ない性能値も含まれると考えるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明による研磨物品を作製するために有用な離散粒子およびバインダーを作製するために有用なポリマー材料には、(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を含む成分の反応生成物;および/または(2)少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を組み合わせて調製したポリマー材料、が含まれる。本発明による研磨物品を作製するのに有用な離散粒子またはバインダーを作製するには、1種または複数のポリマー材料を使用することができる。その内部にポリマー材料を含む研磨物品は、同時係属出願中の米国特許出願第09/812,174号(出願2001年3月20日、名称「ポリマー材料を有する研磨物品(ABRASIVE ARTICLES HAVING A POLYMERIC MATERIAL)にも記載されている。
【0025】
この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約1重量%のエポキシ官能性材料、より好ましくは少なくとも約20重量%のエポキシ官能性材料、そして最も好ましくは少なくとも約30重量%のエポキシ官能性材料が含まれる。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約90重量%のエポキシ官能性材料、より好ましくは多くても約80重量%のエポキシ官能性材料、そして最も好ましくは多くても約60重量%のエポキシ官能性材料が含まれる。
【0026】
この成分には、エポキシ官能性材料のエポキシ官能基の1当量あたり、好ましくは少なくとも約0.1モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、より好ましくは少なくとも約0.2モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、そして最も好ましくは少なくとも約0.3モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸が含まれる。この成分には、エポキシ官能性材料のエポキシ官能基の1当量あたり、好ましくは多くても約1.3モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、より好ましくは多くても約1.0モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、そして最も好ましくは多くても約0.8モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸が含まれる。
【0027】
ポリマー材料を作製するために使用する成分に多官能(メタ)アクリレートが含まれる場合には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%の多官能(メタ)アクリレート、より好ましくは少なくとも約10重量%の多官能(メタ)アクリレート、そして最も好ましくは少なくとも約20重量%の多官能(メタ)アクリレートが含まれる。ポリマー材料を作製するために使用する成分に多官能(メタ)アクリレートが含まれる場合には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約80重量%の多官能(メタ)アクリレート、より好ましくは多くても約70重量%の多官能(メタ)アクリレート、そして最も好ましくは多くても約60重量%の多官能(メタ)アクリレートが含まれる。
【0028】
エポキシ官能性材料
本発明による研磨物品を作製するのに有用な離散粒子およびバインダーを作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用なエポキシ官能性材料の例を挙げれば、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4206)、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4221)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4234)、ビス(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)アジペート(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4299)、ジペンテンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(たとえば、FMC社(FMC Corp.、テキサス州パサデナ(Pasanda、TX)からの商品名オキシロン(OXIRON)2001)、エポキシ官能基を有するシリコーン樹脂、エポキシシラン(たとえば、ベータ−3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ユニオン・カーバイド(Union Carbide、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))から入手可能)、グリシドール、グリシジル−メタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(たとえば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX)から商品名エポン(EPON)825、エポン(EPON)828、エポン(EPON)1004、およびエポン(EPON)1001Fとして入手可能なもの)、および、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.、ミシガン州ミッドランド(Midland、MI))からのDER−332およびDER−334)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(たとえば、バニチコ社(Vanitico Inc.、ニューヨーク州ブルースター(Brewster、NY))からの商品名アラルダイト(ARALDITE)GY281)、難燃性エポキシ官能性材料(たとえば、臭素化ビスフェノールタイプのエポキシ官能性材料で、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.、ミシガン州ミッドランド(Midland、MI))から入手可能な商品名DER−542)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(たとえば、バニチコ社(Vanitico Inc.、ニューヨーク州ブルースター(Brewster、NY))からの商品名アラルダイト(ARALDITE)RD−2)、水素化ビスフェノールA−エピクロロヒドリンからのエポキシ官能性材料(たとえば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX))からの商品名エポネックス(EPONEX)1510)、およびフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(たとえば、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.、ミシガン州ミッドランド(Midland、MI))からの商品名DEN−431およびDEN−438)、およびトリフェノールメタン−エピクロロヒドリン系のエポキシ官能性材料(たとえば、バニチコ社(Vanitico Inc.、ニューヨーク州ブルースター(Brewster、NY))からの商品名タクティクス(TACTIX)742)などが挙げられる。
【0029】
本発明によるある種の実施態様においては、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4221)および、ビスフェノールAのジグリシジルであるエポキシ官能性材料(たとえば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX))からの商品名エポン(EPON)825、エポン(EPON)828、エポン(EPON)1001Fおよびエポン(EPON)1004)が特に有用である。
【0030】
環状無水物および/またはそれらから誘導される二酸
本発明による研磨物品を作製するのに有用な離散粒子およびバインダーを作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用な環状無水物の例を挙げれば、無水マレイン酸、無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、無水フタル酸、ナド酸無水物、ピロメリット酸無水物、およびそれらの混合物などを挙げることができる。本発明によるある種の実施態様において特に有用な環状無水物はヘキサヒドロフタル酸無水物であって、これはたとえば、バッファロー・ケミカル・カラー社(Buffalo Chemical Color Corporation、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo、NY))から入手することができる。
【0031】
環状無水物を加水分解させて、それからの二酸を作ることもできる。この二酸は、本発明による研磨物品を作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用である。
【0032】
任意成分の多官能(メタ)アクリレート類
本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレート」という用語にはアクリレート類およびメタクリレート類が包含される。「多官能(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリレート部分が平均して、1分子あたりの(メタ)アクリレート官能性の約1.0当量よりも多いことを意味している。
【0033】
本発明による離散粒子を作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用な多官能(メタ)アクリレート類としては、たとえば、脂肪族または芳香族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエステル化合物がある。(メタ)アクリル酸は不飽和カルボン酸であって、たとえば次式で表されるが、CH2=C(R)C(O)OH、ここでRは水素原子またはメチル基である。
【0034】
多官能(メタ)アクリレート類は、モノマー、オリゴマー、またはポリマーであってよい。本発明の目的においては、「モノマー」という用語は、分子量が約400ダルトン未満の分子で、同一または他のモノマーと化学結合して長い鎖(重合鎖または巨大分子)を形成するような固有の能力を有しているものを意味する。本明細書においては、「オリゴマー」という用語は、2〜20の反復単位(たとえば、2量体、3量体、4量体、など)を有する分子で、同一または他のオリゴマーと化学結合してそれからより長い重合鎖を形成できるような固有の能力を有しているものを意味する。本明細書においては、「ポリマー」という用語は、20より大きい反復単位を有する分子で、同一または他のポリマーと化学結合してそれからより長い重合鎖を形成できるような固有の能力を有しているものを意味する。本発明において使用される多官能(メタ)アクリレートには、たとえば、多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、および多官能(メタ)アクリレートポリマーがある。いくつかの実施態様においては、モノマーおよび/またはオリゴマーが特に有利であるが、その理由は、それらがバッキング処理組成物に与える粘度がポリマーの場合よりも低い傾向があり、これが実施態様によってはコーティングの際に有利となるからである。
【0035】
有用な多官能(メタ)アクリレートモノマーとしてはたとえば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、およびネオペンチルグリコールジアクリレートなどを挙げることができる。いくつかの実施態様では、多官能(メタ)アクリレートモノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に有用に使用することができる。
【0036】
有用な多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、たとえば商品名SR351として入手可能;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、たとえば商品名SR454として入手可能;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、たとえば、商品名SR295として入手可能;および、ネオペンチルグリコールジアクリレート、商品名SR247として入手可能;などを挙げることができ、これらの商品はすべて、サルトマー社(Sartomer Co.、ペンシルバニア州エクストン(Exton、PA)から入手できる。
【0037】
有用な多官能(メタ)アクリレートオリゴマーには、(メタ)アクリレート化ポリエーテルおよびポリエステルオリゴマーがある。有用な(メタ)アクリレート化ポリエーテルオリゴマーの例としてはポリエチレングリコールジアクリレート類があり、サルトマー社(Sartomer Co.、ペンシルバニア州エクストン(Exton、PA)から商品名SR259およびSR344として入手可能である。(メタ)アクリレート化ポリエステルオリゴマーも、たとえば、UCB・スペシャルティ・ケミカルズ(UCB Specialty Chemicals、ジョージア州、スマーナ(Smyrna、GA))から商品名エベクリル(EBECRYL)657およびエベクリル(EBECRYL)830として入手可能である。
【0038】
その他の有用な多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、(メタ)アクリレート化エポキシがあり、これに含まれるのは、エポキシ官能性材料のジアクリレート化エステル(たとえば、ビスフェノールAエポキシ官能性材料のジアクリレート化エステル)および(メタ)アクリレート化ウレタンである。有用な(メタ)アクリレート化エポキシとしてはたとえば、UCB・スペシャルティ・ケミカルズ(UCB Specialty Chemicals、ジョージア州、スマーナ(Smyrna、GA))から商品名エベクリル(EBECRYL)3500、エベクリル(EBECRYL)3600、エベクリル(EBECRYL)3700、およびエベクリル(EBECRYL)3720として入手可能なアクリレート化エポキシがある。有用な(メタ)アクリレート化ウレタンとしてはたとえば、UCB・スペシャルティ・ケミカルズ(UCB Specialty Chemicals、ジョージア州、スマーナ(Smyrna、GA))から商品名エベクリル(EBECRYL)270、エベクリル(EBECRYL)1290、エベクリル(EBECRYL)8301およびエベクリル(EBECRYL)8804として入手可能なアクリレート化ウレタンがある。
【0039】
多官能(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマーおよびポリマーはそれぞれ一般的に、反応により網目構造をとるが、それは、それぞれモノマー、オリゴマーおよびポリマーの中で複数の官能基を有しているからである。
【0040】
任意の添加剤
フリーラジカル重合開始剤。本明細書で使用する場合、「フリーラジカル重合開始剤」という用語は、多官能(メタ)アクリレートに少なくとも部分的な反応を起こさせる、フリーラジカル種を発生させることが可能な原料を指す。有用なフリーラジカル重合開始剤の例としては、フリーラジカル光重合開始剤およびフリーラジカル熱重合開始剤を挙げることができる。
【0041】
フリーラジカル重合開始剤は、多官能(メタ)アクリレート(存在した場合には)の反応を促す成分として加えることができるが、電子ビーム源もまたフリーラジカルを発生させるために使用することができることは、理解されたい。フリーラジカル重合開始剤は、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応より前に、多官能(メタ)アクリレートを反応させたい時に加えるのが好ましい。
【0042】
化学線(たとえば、紫外線および可視光線)は、放射性および非放射性の熱エネルギー源とは異なって、一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を開始させることはない。加えて、化学線を使用すると一般に、熱エネルギー源の場合よりも、多官能(メタ)アクリレートに急激な反応を起こさせる。放射性の熱源としては、赤外やマイクロ波源がある。非放射性の熱源としては、空気流通炉(air impingement oven)がある。多官能(メタ)アクリレートの反応と、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応とが共に起きる温度は、状況によって変化しうるが、いくつかの実施態様においては、たとえば温度が50℃を超えたり、あるいは60℃を超えたりするとそれら両方の反応を起こすことができる。
【0043】
フリーラジカル重合開始剤の量を増やすと一般的には、多官能(メタ)アクリレート(存在する場合には)の反応速度が大きくなる。フリーラジカル重合開始剤の量を増やすとまた、いくつかの実施態様では、多官能(メタ)アクリレートの反応を起こさせるのに必要なエネルギー供給量を減少させることもできる。フリーラジカル重合開始剤の量は一般に、多官能(メタ)アクリレートを反応させるときの希望の反応速度、エネルギー源の強さ、および組成物の厚みによって決められる。
【0044】
この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%のフリーラジカル重合開始剤、より好ましくは少なくとも約0.4重量%のフリーラジカル重合開始剤を含む。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約5重量%のフリーラジカル重合開始剤、より好ましくは多くても約4重量%のフリーラジカル重合開始剤、そして最も好ましくは多くても約2重量%のフリーラジカル重合開始剤を含む。
【0045】
フリーラジカル光重合開始剤。紫外線に暴露したときにフリーラジカルを発生する有用な光重合開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、アシルハライド、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアシルイミダゾール、アシルホスフィンオキシド、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、アセトフェノン誘導体およびこれらの混合物などを挙げることができる。紫外線で使用する有用なフリーラジカル発生開始剤の例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン開始剤があり、たとえばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Cpecialty Chemicals、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown、NY))から商品名イルガキュア(IRGACURE)651として入手可能である。可視光線に暴露したときにフリーラジカルを発生する光重合開始剤の例は、米国特許第4,735,632号(オクスマン(Oxman)ら)に記載がある。
【0046】
フリーラジカル熱重合開始剤。本発明において使用可能なフリーラジカル熱重合開始剤には、アゾ、過酸化物、過硫酸塩、およびレドックス開始剤などがある。
【0047】
好適なアゾ重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名バゾ(VAZO)33として入手可能);2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名バゾ(VAZO)50として入手可能);2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名バゾ(VAZO)52として入手可能);2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(商品名バゾ(VAZO)64として入手可能);2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(商品名バゾ(VAZO)67として入手可能);1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(商品名バゾ(VAZO)88として入手可能)以上はすべてE.I.デュポン・ド・ヌムール社(E.I. Dupont de Nemours and Comapny、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington、DE))から入手可能であり、また、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)(和光純薬工業(株)(Wako Pure Chemical Industries、Ltd.、日本国大阪)から商品名V−601として入手可能)などが挙げられる。
【0048】
好適な過酸化物重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジアセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート((アクゾ・ケミカルズ社(Akzo Chemicals、Inc.、イリノイ州シカゴ(Chicago、IL))から商品名ペルカドクス(PERKADOX)16として入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート(アトケム・ノース・アメリカ・ルシドール・ディビジョン(Lucidol Division、Atochem North America、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo、NY))から商品名ルパゾール(LUPERSOL)11として入手可能)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(アクゾ・ケミカルズ社(Akzo Chemicals、Inc.、イリノイ州シカゴ(Chicago、IL))商品名トリゴノクス(TRIGONOX)21−C50として入手可能、)および過酸化ジクミルなどが挙げられる。
【0049】
好適な過硫酸塩重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0050】
好適なレドックス(酸化−還元)重合開始剤としては、過硫酸塩重合開始剤と、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組合せ;有機過酸化物と第三級アミンとを組み合せたシステム(たとえば、ベンゾイルペルオキシドとジメチルアニリン);および有機ヒドロペルオキシドと遷移金属とを組み合わせたシステム(たとえば、クメンヒドロペルオキシドとナフテン酸コバルト)などが挙げられる。
【0051】
硬化剤。本発明で使用される成分にはさらに、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を促進する硬化剤を加えてもよい。本明細書で使用する場合、「硬化剤(curing agent)」という用語は、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とエポキシ官能性材料の間の反応速度を上昇させる物質を指す。環状無水物および/またはそれから誘導される二酸は、「硬化剤」の定義には含めない。好適な硬化剤の例としては、たとえば触媒および加硫剤が含まれる。「触媒(catalyst)」は、そのような反応の速度を上げるが、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との間の反応生成物には含まれない硬化剤を言う。「加硫剤(curative)」は、そのような反応の速度を上げ、そしてエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との間の反応生成物に組み込まれる硬化剤を言う。
【0052】
環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とエポキシ官能性材料とが反応すると一般にはエステル結合が生じる。硬化剤は、たとえば、紫外線または可視光線の照射や、加速粒子(たとえば、電子ビーム照射)、または熱的(たとえば、放射性および非放射性熱源)に暴露することによって、活性化される。
【0053】
所望により、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、多官能(メタ)アクリレート(存在すれば)を反応させてもよい。その際に使用するエネルギー源および硬化剤のタイプは、多官能(メタ)アクリレートの反応と同時には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を起こさせないようなものを選ぶのが好ましい。いくつかの実施態様においては、紫外線または可視光線の照射およびフリーラジカル光重合開始剤を用いて多官能(メタ)アクリレートを反応させ、それに続けて熱硬化剤を使用した熱エネルギー源でエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸を反応させるのが有利である。エポキシ官能性材料、環状無水物、および/またはそれから誘導される二酸はフリーラジカル的な架橋性はないので、一般的には紫外線照射による多官能(メタ)アクリレートの反応による影響は、その光によって大量の熱が発生しない限り、受けることはないが、ただし、この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%の硬化剤、より好ましくは少なくとも約0.4重量%の硬化剤を含む。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約20重量%の硬化剤、より好ましくは多くても約4重量%の硬化剤、そして最も好ましくは多くても約3重量%の硬化剤が含まれる。いくつかの実施態様においては、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、多官能(メタ)アクリレートを反応させるのは望ましくない場合もある。そのような実施態様では、たとえば加熱硬化剤、加熱フリーラジカル重合開始剤および熱エネルギー源を使用することができる。
【0054】
硬化剤の量を増やすと一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応速度が加速される。硬化剤の量を増やすことで一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を起こすのに必要なエネルギー暴露量が減少し、使用温度でのポットライフが短くなる。硬化剤の量は一般に、組成物を硬化するときの希望の反応速度、エネルギー源の強さ、および組成物の厚みによって決められる。
【0055】
有用な硬化剤触媒の例としては、加熱触媒および光触媒が挙げられる。
【0056】
加熱触媒硬化剤。有用な加熱触媒硬化剤の例を挙げれば、ルイス酸およびルイス酸錯体からなる群より選択されるもので、たとえば、三塩化アルミニウム;三臭化アルミニウム;三フッ化ホウ素;三塩化ホウ素;五フッ化アンチモン;四フッ化チタン;および、三フッ化ホウ素と三塩化ホウ素との錯体で、たとえばBF3・ジエチルアミンとBCl3・アミン錯体で、CVC・スペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals、ニュージャージー州メイプルシェード(Maple Shade、NJ))から入手可能な商品名オミキュア(OMICURE)BC−120などを挙げることができる。
【0057】
有用な加熱触媒硬化剤をさらに挙げれば、脂肪族および芳香族第3級アミンの、たとえば、ジメチルプロピルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、およびジメチルベンジルアミン;イミダゾールのたとえば、2−エチルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミダゾール(エア・プロダクツ(Air Products、ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown、PA))から商品名イミキュア(IMICURE)EMI−2,4として入手可能);ヒドラジドのたとえば、アミノジヒドラジド;グアニジンのたとえば、テトラメチルグアニジン;およびジシアンジアミドなどが挙げられる。
【0058】
光触媒硬化剤。この硬化剤はたとえば、化学線(たとえば紫外線および可視光線)によって活性化されるカチオン性光触媒でよい。
【0059】
有用なカチオン性光触媒は一般に、プロトン性酸またはルイス酸のいずれかである。有用なカチオン性光触媒としては、オニウムカチオンおよび金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを有する塩がある(たとえば、アリールスルホニウム塩で、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))から入手可能な商品名サイラキュア(CYRACURE)UVI−6974およびサイラキュア(CYRACURE)UVI−6976)。他の有用なカチオン性光触媒としては、有機金属錯体カチオンおよび金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩があり、これについては、さらに詳しくは米国特許第4,751,138号((テュメィ(Tumey)ら)に記載がある。また別の有用なカチオン性触媒は、有機金属塩とオニウム塩とを組み合わせたもので、米国特許第4,985,340号(パラゾット(Palazotto)ら)および欧州特許公開第306,161号(パラゾット(Palazotto)ら、1989年3月8日発行)および同第306,162号(パラゾット(Palazotto)ら、1989年3月8日発行)に記載されている。さらに他の有用なカチオン性光触媒としては、有機金属錯体のイオン性塩があって、そこでの金属は周期律表の第IVB、VB、VIB、VIIBおよびVIII族元素から選択されるが、これについては欧州特許公開第109,851号(パラゾット(Palazotto)ら、1984年5月30日発行)に記載がある。
【0060】
硬化剤。いくつかの実施態様では、他の有用な硬化剤として脂肪族および芳香族アミン硬化剤がある。脂肪族アミン硬化剤の例としては、エタノールアミン;1,2−ジアミノ−2−メチル−プロパン;2,3−ジアミノ−2−メチル−ブタン;2,3−ジアミノ−2−メチル−ペンタン;2,4−ジアミノ−2,6−ジメチルオクタン;およびジブチルアミンジオクチルアミンなどが挙げられる。芳香族アミン硬化剤の例としては、o−フェニレンジアミン;4,4−ジアミノジフェニルスルホン;3,3’−ジアミノジフェニルスルホン;4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド;4,4’−ジアミノジフェニルケトン;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ジアミノジフェニルメタン;および1,3−プロパンジオール−ビス(4−アミノベンゾエート)などが挙げられる。いくつかの実施態様においては、芳香族アミン硬化剤の方が有利なことがあるが、それは、脂肪族アミン硬化剤の場合よりも得られるポリマー材料での性質が一般に向上するからである。
【0061】
硬化剤の量を増やすと一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応速度が加速される。硬化剤の量を増やすことで一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を起こすのに必要なエネルギー暴露量が減少し、使用温度でのポットライフが短くなる。硬化剤の量は一般に、組成物を硬化するときの希望の反応速度、エネルギー源の強さ、および組成物の厚みによって決められる。
【0062】
前述のように、硬化剤は任意成分である。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%の硬化剤、より好ましくは少なくとも約0.4重量%の硬化剤を含む。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約20重量%の硬化剤、より好ましくは多くても約10重量%の硬化剤を含む。
【0063】
他の官能性添加剤。本発明によるポリマー材料には、以下の(1)および/または(2)に加えて1種または複数の添加剤を任意に加えることができる:(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意の(c)多官能(メタ)アクリレートを含む成分の反応生成物;(2)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意の(c)多官能(メタ)アクリレートを組合せて調製できるポリマー材料。有用な添加剤としては、充填材(たとえば研削助剤も含む)、繊維、潤滑剤、濡れ剤、界面活性剤、顔料、染料、カップリング剤、可塑剤、帯電防止剤、および沈殿防止剤などがある。本発明による組成物には、水または有機溶媒を任意に含んでいてもよい。
【0064】
充填剤をもし添加するならば、ポリマー材料の結合特性に悪影響をおよぼさないものにすべきである。本発明に好適な充填材の例としては、金属炭酸塩たとえば、炭酸カルシウム(たとえば、白亜、方解石、マール、トラバーチン、大理石および石灰岩)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウム、および炭酸マグネシウム;シリカたとえば、無定形シリカ、石英、ガラスビーズ、発泡ガラスおよびガラス繊維;ケイ酸塩たとえば、タルク、クレー(たとえば、モンモリロナイト)、長石、雲母、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム;金属硫酸塩たとえば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウム;セッコウ;バーミキュライト;木材パルプ;アルミニウム三水和物;金属酸化物たとえば、酸化カルシウム(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン;および、金属亜硫酸塩たとえば亜硫酸カルシウムなどが挙げられる。充填剤を加える場合、ポリマー材料には、ポリマー材料の全重量を基準にして、少なくとも約20重量%の充填剤が含まれる。充填剤を加える場合、ポリマー材料には、ポリマー材料の全重量を基準にして、多くても約80重量%の充填剤が含まれる。
【0065】
研削助剤は一般に粒子状物質であって、研磨プロセスに化学的、物理的に大きな影響を与え、それによって性能の向上がもたらされるものである。具体的には、理論にとらわれることなく言えば、研削助剤は、(1)研磨グリットと研磨対象の加工品との間の摩擦を減少させる、(2)研磨グリットを「キャッピング」から護る、すなわち、その研磨物品を金属の加工品に使用している時に研磨グリットの上に金属粒子が溶着するのを防ぐ、(3)研磨グリットと加工品の間の界面温度を下げる、または(4)研削に必要な力を小さくする、といった役割を果たしていると考えられる。一般に、研削助剤を加えると、研磨物品の有効寿命が延びる。研削助剤には、広い範囲の有機、無機の各種材料が含まれる。有用な研削助剤の例としては、ワックス、有機ハライド化合物、ハライド塩、ならびに金属およびその合金などが挙げられる。有機ハライド化合物は通常、研磨の間に分解してハロゲン酸またはガス状のハライド化合物を放出する。そのような材料の例としては、塩素化ワックス、たとえばテトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレンおよびポリ塩化ビニルなどが挙げられる。ハライド塩の例としては、塩化ナトリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムなどが挙げられる。金属の例としては、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、鉄およびチタンなどが挙げられる。その他の研削助剤としては、硫黄、有機硫黄化合物、黒鉛および金属スルフィドなどがある。異なった研削助剤を組み合わせて使用するのも本発明の範囲に入り、場合によっては、相乗効果が現れることもある。上で挙げた研削助剤の例は、研削助剤の代表的なものを示すのが目的であって、これですべての研削助剤が含まれていることを意味しているものではない。
【0066】
有用な帯電防止剤の例としては、黒鉛、カーボンブラック、酸化バナジウム、湿潤剤、導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの帯電防止剤については、米国特許第5,061,294号(ハーマー(Harmer)ら);同第5,137,542号(ブキャナン(Buchanan)ら);および同第5,203,884号(ブキャナン(Buchanan)ら)に開示されている。
【0067】
有用なカップリング剤の例としては、シラン、チタネートおよびジルコアルミネートなどが挙げられる。有用なシランカップリング剤は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで、これはOSI・スペシャルティズ社(OSI Specialties、ウェストバージニア州フレンドリ(Friendly、WV))から商品名A−174として入手できる。米国特許第4,871,376号(デワルド(DeWald)には、シランカップリング剤を使用することによって樹脂/充填剤分散体の粘度を下げることが記載されている。
【0068】
粒子に研磨グリットが含まれているのなら、その粒子は研磨中に破壊できるのが好ましい。バインダー前駆体、研磨グリットおよび任意成分の添加剤の選択と量によって、その粒子の破壊特性が影響される。
【0069】
組合せ成分
本発明により突起を有する離散粒子および研磨物品を作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用な組成物は、エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意に多官能(メタ)アクリレートを少なくとも組み合わせることによって調製することができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施態様においては、任意成分の多官能(メタ)アクリレートは、その多官能(メタ)アクリレートが少なくとも部分的に反応した後では、組成物の粘度調節剤として機能し、その結果組成物の流れの制御を容易にする。たとえば、いくつかの実施態様においては、少なくとも部分的にエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、任意成分の多官能(メタ)アクリレート成分を少なくとも部分的に反応させておくのが好ましい。こうして少なくとも部分的に反応させることによって、通常はその組成物の粘度が大幅に上昇する。通常はそれによって、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを少なくとも部分的に反応させる前の、組成物の動きが制限される。いくつかの実施態様においては、少なくとも部分的にエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、組成物をエネルギー源に暴露させて、任意成分の多官能(メタ)アクリレートを少なくとも部分的に反応させることにより実施する。ある種の実施態様において、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを少なくとも部分的に反応させるより前に、任意成分の多官能(メタ)アクリレート少なくとも部分的に反応させるために、各種のエネルギー源と開始剤との組合せを選択することが可能であるが、その方法については後に詳しく説明するが、たとえば紫外線や電子ビームの照射などがある。いくつかの実施態様においては、本発明による方法によれば、従来法に比較して、少ない配合で使用でき、架橋のためのエネルギーが少なく、原料コストを下げることができる。
【0071】
本発明で使用する組成物での固形分含量は各種変更することが可能である。組成物の固形分含量は好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、そしてさらにより好ましくは少なくとも約95%である。組成物の固形分含量は最も好ましくは約100%である。固形分含量が高いほど、組成物の架橋も一般的には早くなる。「固形分含量」は当業者には容易に理解し、決定することが可能な用語である。
【0072】
バッキング
本発明の方法におけるバッキングに適した材料としては、ポリマーフィルム、紙、布、金属フィルム、バルカンファイバー、不織布基材、それらの組合せおよびそれらを処理したものなどが挙げられる。いくつかの実施態様においては、バッキングにポリマーフィルム(たとえば、ポリエステルフィルム)を用いるのが有利なことがある。いくつかの実施態様においては、紫外線照射に対して実質的に透過性のバッキングが有利であることもある。いくつかの実施態様においては、フィルムをたとえばポリエチレンアクリル酸のような材料でプライマー処理して、内部に突起を有する組成物の付着を促進させるのが有利であることもある。
【0073】
研磨物品がバッキングに付着した複数の突起を有するような、本発明の実施態様においては、研磨物品を形成させた後にそのバッキングを任意に他の基材に積層させることができる。たとえば、フレキシブルなバッキングをより硬く剛性の高い基材(たとえば、金属板)に積層することができる。
【0074】
研磨突起があるのとは反対側のバッキング(または、バッキングに接着させた基材)の表面に、たとえば、感圧接着剤を塗布したり、マジックテープのタイプの貼付システムの一方を固定して、その研磨物品がバックアップパッドに固定されるようにしてもよい。この目的で使用するのに好適な感圧接着剤としては、ゴム系感圧接着剤、(メタ)アクリレート系感圧接着剤、およびシリコーン系感圧接着剤などが挙げられる。
【0075】
研磨グリット
本明細書で使用する場合、「研磨グリット(abrasive grit)」という用語には、たとえば個々の研磨グリットはもちろん、複数の個々の研磨グリットを接着させて研磨凝集物としたものも含まれる。研磨凝集物については、たとえば、米国特許第4,311,489号(クレスナー(Kressner));同第4,652,275号(ブレッハー(Bloecher)ら);および同第4,799,939号(ブレッハー(Bloecher)ら)に記載されている。
【0076】
1つの具体的で有用な実施態様においては、その組成物に研磨グリットを含んでいてもよい。ポリマー材料には、研磨グリットを併せて結合させて研磨粒子にする機能を持たせることができる。研磨グリットの平均粒径は、好ましくは少なくとも約0.1マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約1マイクロメートルである。研磨グリットの平均粒径は、好ましくは多くても約1500マイクロメートル、より好ましくは多くても約1300マイクロメートル、最も好ましくは多くても約500マイクロメートルである。研磨グリットのモース硬度は、各種のものとすることができる。研磨グリットのモース硬度は、好ましくは少なくとも約5、より好ましくは少なくとも約6、さらにより好ましくは少なくとも約7、さらにより好ましくは少なくとも約8、そして最も好ましくは少なくとも約9である。そのような研磨グリット材料の例としては、酸化アルミニウム(たとえば、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、白色溶融酸化アルミニウム、および熱処理酸化アルミニウム)、シリカ、炭化ケイ素(たとえば、緑色炭化ケイ素)、アルミナジルコニア、酸化ジルコニウム、ダイヤモンド、セリア、立方晶窒化ホウ素、ガーネット、およびトリポリなどが挙げられる。セラミック酸化アルミニウムは、たとえばゾルゲル法によって製造することができ、たとえば、米国特許第4,314,827号(ライテイザー(Leitheiser)ら);同第4,744,802号(シュワーベル(Schwabel));同第4,623,364号(コットリンガー(Cottringer)ら);同第4,770,671号(モンロー(Monroe)ら);同第4,881,951号(モンロー(Monroe)ら);同第5,011,508号(ワルド(Wald)ら);および同第5,213,591号(セリッカヤ(Celikkaya)ら)などに記載されている。セラミック酸化アルミニウムにはたとえば、アルファアルミナおよび、任意に金属酸化物調節剤、たとえば、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化ニッケル、ハフニア、イットリア、シリカ、酸化鉄、チタニア、酸化ランタン、セリア、および酸化ネオジムなどがある。セラミック酸化アルミニウムにはさらに任意に造核剤を含んでいてもよく、そのようなものとしてはたとえば、アルファアルミナ、酸化鉄、酸化鉄前駆物質、チタニア、クロミアおよびそれらの組合せがある。セラミック酸化アルミニウムの形状は、たとえば、米国特許第5,201,916号(ベルク(Berg)ら)および同第5,090,968号(ペロー(Pellow))に記載されている。
【0077】
研磨グリットには表面コーティングがしてあってもよい。表面コーティングによって、研磨グリットとポリマー材料の間の接着性を改良し、および/または研磨グリットの研磨特性を高めることができる。そのような表面コーティングは、米国特許第5,011,508号(ワルド(Wald)ら);同第1,910,444号(ニコルソン(Nicholson));同第3,041,156号(ラウズ(Rowse)ら);同第5,009,675号(クンツ(Kunz)ら);同第4,997,461号(マルコフ=マテニイ(Markhoff−Matheny)ら);同第5,213,591号(セリッカヤ(Celikkaya)ら);および同第5,042,991号(クンツ(Kunz)ら)などに記載されている。研磨グリットはまた、その表面にたとえばシランカップリング剤のようなカップリング剤が含まれていてもよい。
【0078】
この組成物には、たとえば、単一のタイプの研磨グリット、2種以上のタイプの異なった研磨グリット、または少なくとも1種のタイプの研磨グリットと少なくとも1種のタイプの希釈剤材料が含まれていてもよい。希釈剤材料の例としては、炭酸カルシウム、発泡ガラス、ガラスビーズ、灰色火山岩、大理石、セッコウ、クレー、SiO2、KBF4、Na2SiF6、氷晶石、有機発泡体、有機ビーズなどが挙げられる。
【0079】
本発明による粒子中の研磨グリットおよびポリマー材料の重量パーセントは、いくつかの要因によって決められるが、それらの要因としては、その研磨物品が目的とする用途、研磨グリットの粒径およびその分布などがある。研磨グリットは(もし含まれるなら)、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%含まれる。研磨グリットは(もし含まれるなら)、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは多くても約95重量%、より好ましくは多くても約75重量%含まれる。ポリマー材料は、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%含まれる。ポリマー材料は、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは多くても約95重量%、より好ましくは多くても約80重量%含まれる。
【0080】
不織布研磨物品
繊維をそれぞれの接触点で互いに接着させ、通気性があって嵩高い3次元構造を有する不織ウェブは、各種の表面を対象にした、清浄化、研磨、仕上げおよび磨き用途のための研磨物品の製造では、広く使用されている。そのような不織布物品の例は、米国特許第2,958,593号(フーバー(Hoover)ら)に記載されている。そのような不織ウェブには、適当な繊維たとえばナイロン、ポリエステル、それらのブレンド物などが含まれていて、含浸させた樹脂および接着剤バインダーを通常硬化する温度には耐えることができる。不織ウェブの繊維は、張力をかけて捲縮させてあることが多いが、たとえば米国特許第4,227,350号(フィッツァ(Fitzer))に記載されているように、押出しプロセスによって得られる連続フィラメントであってもよい。不織ウェブは通常の設備、たとえばランド・ウェッバー(Rando Webber)機械で容易に製造することができる。
【0081】
微細研磨粒子(本明細書においては、分布における中央粒径が約60マイクロメートル以下であるような粒径分布を有する粒子と定義する)を不織ウェブの繊維に接着させて、各種の研磨材用途に使用するのに適した研磨物品を得るが、そのような物品は、エンドレスベルト、ディスク、ハンドパッド、高密度化または圧縮砥輪、床磨きパッドなどの形状で提供することができる。前述の微細粒子を含む物品に好適な具体的な用途には、自動車のアフターマーケット業界があり、そこでは、研磨粒子を使用して自動車のボディパネルに「擦り傷」をつけたり軽く研磨して、塗装の前処理をする。これらの用途では、研磨物品を元の塗装表面に対して使用する。使用している間に、物品中の研磨粒子が表面を擦って、その表面光沢を低下させて「ヘーズ」にする。市販されている研磨物品が商業的に成功しているのは立派ではあるが、たとえば、特に自動車のアフターマーケットで使用するにはそれ用の研磨物品の性能をさらに改善するのが望ましい。
【0082】
このような物品を製造する場合には、先に述べたように不織ウェブを調製する。たとえば、繊維をそれらの接触点で接着させるための予備接着(prebond)樹脂を使用することにより、不織ウェブを強化する。次いで、追加の樹脂層をその予備接着した不織ウェブに塗布してもよい。メイクコート前駆物質をその予備接着した不織ウェブの繊維の上に塗布し、そしてメイクコート前駆物質を少なくとも部分的に硬化する。サイズコート前駆物質をこのメイクコート前駆物質の上に塗布し、そしてメイクコート前駆物質とサイズコート前駆物質の両方を公知の方法(たとえば、熱硬化)によって充分に硬化させる。微細研磨粒子をこの物品の構造中に存在させる場合には、通常それをメイクコート前駆物質と共にスラリーにして繊維に塗布する。
【0083】
離散粒子(discrete particles)
本発明における粒子はその粒径が、好ましくは少なくとも約1マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約250マイクロメートル、そして最も好ましくは少なくとも約500マイクロメートルである。本発明における粒子はその粒径が、好ましくは多くても約5000マイクロメートル、より好ましくは多くても約2500マイクロメートル、最も好ましくは多くても約1500マイクロメートルである。
【0084】
本発明における粒子はあらかじめ定めた形状を有しているのが好ましく、これについてはたとえば、米国特許第6,076,248号(フープマン(Hoopman)ら)、同第5,152,917号(ピーパー(Pieper)ら)、および同第5,489,235号(ガグリアルディ(Gagliardi)ら)に開示されている。それとは逆に、粒子がランダムな形状をしていてもよく、そのようなものについては、たとえば、同時係属出願中の、米国特許出願第09/688,444号(2000年10月16日出願、名称「研磨凝集物粒子を作製する方法(Method of Making an Abrasive Agglomerate Particle)」);米国特許出願第09/688,484号(2000年10月16日出願、名称「研磨物品(An Abrasive Article)」);および米国特許出願第09/688,486号(2000年10月16日出願、名称「凝集物粒子を作製する方法(Method of Making an Agglomerate Particle)」)に開示されている。しかしながら、本発明による粒子には、(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を含む成分の反応生成物;および/または(2)少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を組み合わせて調製したポリマー材料、が含まれる。成形された研磨凝集物と作製方法の例は、たとえば、米国特許第5,500,273号(ホルムズ(Holmes)ら)および、PCT Pat Publication No.WO98/10896(発行1998年3月19日)の中に見出すことができる。研磨凝集物の例は、米国特許第4,393,021号(アイゼンベルク(Eisenberg)ら);同第4,799,939号(ブレッハー(Bloecher)ら);および同第5,093,311号(ブレッハー(Bloecher)ら)の中に見ることができる。
【0085】
本発明の粒子の外部表面上にコーティングを適用するのも、本発明の範囲に含まれる。このコーティングは連続であっても、不連続であってもよい。この粒子に適したコーティングの例としては、金属コーティング、金属酸化物コーティング、炭化物コーティング、窒化物コーティング、ホウ化物コーティング、無機炭素コーティング、ダイヤモンドコーティング、ダイヤモンド状炭素コーティングなどが挙げられる。それに代えて、有機コーティングを粒子の表面に存在させてもよい。この有機コーティングにはさらに、充填材、カップリング剤、帯電防止剤、研削助剤などが含まれていてもよい。
【0086】
このコーティングの選択と量は、粒子に期待する性質によって決まる。たとえば、コーティングによっては、逆反射粒子を得ることもできる。それとは別に、コーティングによっては、粒子の他の材料または基材への接着性が向上する。
【0087】
製造用具(production tool)
本発明による離散粒子と突起を有する研磨物品は、たとえば、製造用具を用いて作製することができる。この製造用具は、少なくとも1つの連続表面を有する三次元ボデーであるのが好ましい。この連続表面には、少なくとも1つ、より好ましくは複数の開口部が存在するのが好ましい。それぞれの開口部は三次元ボデー中に形成されたキャビティにつながっているのが好ましい。本明細書で使用するとき、この「連続」という用語は、空間中で広がりが中断されないという特色を表すもので、開口部とキャビティが連続表面の大きな特徴であるが、ただしそれらによって表面を複数の個々の表面に分断してはいない。この製造用具は、不織ウェブ、ベルト、たとえばエンドレスベルト、シート、コーティングロール、またはコーティングロールに取り付けたスリーブなどの形態であるのが好ましい。この製造用具は連続操作が可能なものであれば好ましく、たとえば、エンドレスベルトや軸の周りに回転する円筒状のコーティングロールなどである。円筒状のコーティングロールの直径が約25cm〜約45cmで、硬質な材料でできているのが好ましい。製造用具に使用するのに有用な材料としては、たとえば、ポリオレフィンポリマー(たとえば、ポリプロピレン)や金属類(たとえば、ニッケル)などが挙げられる。製造用具をたとえば、セラミック材料から作ることもできる。
【0088】
金属性の製造用具は、たとえば、型彫、写真平版、ホビング、エッチング、ローレット切り、所望の形状に加工した複数の金属の組立、打抜き、または電鋳などによって加工されているのが好ましい。金属製の製造用具またはマスター工具を作製するための方法としては、ダイヤモンドターニングが使用されることが多い。これらの技術については、エンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー、第8巻、651〜65頁(1968年、ジョン・ワイリー・アンド・ソンズ社(John Wiley & Sons、Inc.)および米国特許第3,689,346号(ローランド(Rowland))明細書第7列第30〜55行に詳しく記載されている。この製造用具にはさらに剥離コーティングをしておいてもよく、それによって、キャビティからの粒子の脱離が容易になり、製造用具の摩耗を抑えることができる。そのような剥離コーティングの例としては、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物、ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素などが挙げられる。一般には、金属から作った製造用具を加熱して使用するのも、本発明の範囲に含まれる。工具を加熱することによって、加工が容易になり、架橋が促進され、工具から粒子または突起を容易に外すことが可能となる。
【0089】
いくつかの例では、ポリマー製の製造用具を元のマスター工具から複製することもできる。これは、製造用具がベルトまたは不織ウェブの形状の場合に、最もよく行われる方法である。一般的にポリマー製の工具が金属性の工具よりも優れているのは、コストの面である。それ以外で、ポリマー製の製造用具が一般的に有利な点は、照射源から製造用具を通過させて組成物に照射が可能であることである。ポリマー製の製造用具を作製するには、たとえば、熱可塑性樹脂たとえばポリプロピレンを溶融させて、マスター工具の上にコーティングさせる。この溶融樹脂を冷却させれば、マスター工具からの熱可塑性プラスチックのレプリカが得られる。このポリマー製のレプリカは、次いで製造用具として使用できる。これらに加えて、製造用具の表面に、たとえば、シリコーン系材料またはフルオロケミカル系材料の剥離コーティングを含有して、製造用具からの粒子の剥離性を向上させることもできる。製造用具を形成するためのポリマーの中に剥離剤を組み込んでおくことも、本発明の範囲に入る。好適な剥離剤には、シリコーン系材料とフルオロケミカル系材料とがある。良好な剥離特性を有するポリマーから製造用具を作製するのも、本発明の範囲に入る。そのようなポリマーは、米国特許第5,314,959号(ローランド(Rolando)ら)に記載されている。その特許文献には、グラフトさせたフルオロ脂肪族基を含む部分を有する末端オレフィン性二重結合を有するモノマーから重合させた単位を含むベースポリマーを含むフルオロケミカルグラフト共重合体が記載されている。グラフトさせるフルオロ脂肪族基は一般に、フルオロ脂肪族基と重合可能な二重結合を含むフルオロケミカルオレフィンから誘導される。
【0090】
フルオロケミカルオレフィンのフルオロ脂肪族基と重合可能な二重結合とは、通常、結合基を介して結合されている。そのようなフルオロケミカルオレフィンは、たとえば次式で表すことができる。
(Rf)aQ(CR=CH2)b
ここで、Rは水素、トリフルオロメチル、または炭素原子数が1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、
aは1〜10の整数を表し;
bは1〜6の整数を表し;
Qは、(a+b)価の結合基で、実質的にフリーラジカル重合を妨害しないものを表し;そして
Rfは、少なくとも7つのフッ素原子を有する完全にフッ素化された末端基を含むフルオロ脂肪族基を表す。
【0091】
金属製のマスター工具は、金属製の製造用具を作製するのに用いるのと同じ方法で作製することができる。製造用具を作製するためのその他の方法については、たとえば米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)に記載されている。
【0092】
ポリマー製の製造用具については、米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)に記載がある。製造用具を熱可塑性材料で作製するならば一般に、架橋ゾーンで発生する熱によってその製造用具に悪影響が出ないように、その方法の条件を設定しておかねばならない。
【0093】
上述のように、製造用具の少なくとも1つの連続表面には、少なくとも1つのキャビティ、より好ましくは複数のキャビティがあるのが好ましい。バインダー前駆体は一般に、キャビティの形状に合わせた形状になる。キャビティはどのような形状であってもよく、たとえば、幾何学的形状(たとえば、ピラミッド状、プリズム状、円筒状または円錐状)の不規則な形状でよい。ピラミッド状とは一般に、3または4の辺を有する底面を持っている。幾何学的形状では、前述のものの頂部を切断したものであってもよい。1つの製造用具の中に、各種の異なった形状、または各種の異なった大きさ、またはその両方が存在するものも、本発明の範囲に入る。不織ウェブまたはベルトの場合には、キャビティを製造用具全体に配することができる。キャビティは隣接させてもよいし、それらの間に空間をとってもよい。キャビティの側面はそれに合わせて勾配を付けておいて、製造用具からバインダーを容易に除去されるようにしてもよい。
【0094】
しかしながら、粒子や突起をキャビティから除去した時に粒子や突起中に多少の不具合が生じることも起こり得る。組成物がキャビティの中で充分に架橋されていないと、その組成物は一般に流動性を有し、得られる形状が一般にキャビティの形状とは違ってくる。このような不一致が起きると、粒子や突起が望ましくない不規則な形状になる。
【0095】
混合およびコーティング
バインダー前駆体とその他の材料(たとえば、研磨グリット)とを含む混合物を形成させるために、たとえば高剪断混合、空気撹拌、または転動のような各種の従来の方法を用いて、成分を混合することができる。混合の際には混合物を真空状態にして、空気の取り込みを最小限に抑えることもできる。
【0096】
組成物を製造用具のキャビティへ導入するための供給手段としては、従来からの各種の方法を用いることができるが、たとえば、重力供給、ポンプ供給、ダイコーティング、およびバキュームドロップ(vacuum drop)ダイコーティングなどがある。キャリアウェブを介して転写させることによって、組成物を製造用具のキャビティに導入することも可能である。組成物の粘度を低下させるために、混合工程、またはコーティング工程の直前に組成物に超音波エネルギーを加えることもできる。
【0097】
製造用具を用いて本発明による粒子または突起を作製するときに一般に、組成物はキャビティの部分だけに充填する必要があるが、組成物が製造用具の表面にあるキャビティを完全に充満して、得られる粒子に、空隙や不具合がほとんど無いようにするのが好ましい。これらの不具合があると、粒子の形状が一般に望ましい形状から外れてしまう原因となる。さらに、バインダー材料を製造用具から外すときに、縁の部分が欠けて、それによって不具合が生じ形状が損なわれることもある。そのような不具合を最小にとどめるよう、プロセス全体にわたって注意を払うのが好ましい。しかしながら、場合によっては空隙や不具合が好ましい場合もあるが、それは、そのために得られる粒子の多孔度が上がり、その粒子の侵食性(erodibility)が大きくなるからである。いくつかの実施態様においては、組成物が製造用具のキャビティの開口部よりも実質的に拡がらないのが好ましい。
【0098】
いくつかの実施態様においては、製造用具に導入する前に組成物を、好ましくは温度約30℃〜約90℃、より好ましくは約30℃〜約50℃に加熱するのが望ましい。組成物を加熱すると、一般にはその粘度が低下し、その結果製造用具のキャビティの中に流れ込み易くなる。
【0099】
製造用具のキャビティの中に組成物を導入した後の工程としては、組成物が製造用具のキャビティの中にある間に組成物を照射エネルギーおよび/または熱エネルギーに暴露して少なくとも部分的に硬化するのが好ましい。別の方法として、組成物が製造用具のキャビティの中にある間に少なくとも部分的に硬化して、そのバインダーを製造用具のキャビティから除去してから後硬化することもできる。この後架橋工程は、省略することもできる。その架橋の程度は、得られる固化されて取り扱いが可能となったバインダーを製造用具から取り出してもその形状を保つのに充分であるのが好ましい。
【0100】
組成物を少なくとも部分的に硬化するのが好ましいが、製造用具から取り出した後に組成物を硬化するのも本発明の範囲に含まれる。たとえば、組成物を米国特許第5,833,724号(ウェイ(Wei)ら)および同第5,863,306号(ウェイ(Wei)ら)の記載にならって処理して、組成物の粘度を上げ、それに塑性を与えるが、流れはしないようにする。そのような手順については例示的に後に述べる。
【0101】
製造用具に接触させる前に、組成物の粘度を調節して、組成物を通常付着させる場合の粘度で生じやすい流動に調節してもよい。しかしながら、組成物全体の粘度を上げる必要はない。外側の露出した部分の粘度が速やかに上がって、その部分がスキンとして働いて製造用具の形状を保持するのに充分な程度が好ましく、そのような場合でもその内部は長い間比較的低い粘度に留まっていてもよい。
【0102】
少なくとも表面層の粘度を調節するのは、たとえば、組成物の中に揮発性の溶媒を加えておくことで可能となる。この溶媒は、組成物がキャリアウェブ上に付着させた時に速やかに蒸発することが可能である。溶媒の除去は、環境温度を上げたり、部分的に加熱ガスを吹き付けたりすることで促進することができる。
【0103】
温度もまた粘度に影響する。しかしながら温度を上げると、加熱架橋性システムの場合には、架橋が促進される可能性がある。別の方法としては、構造の温度を下げて粘度を上げる方法がある。たとえば、組成物をのせた基材を冷却ロールに通すか、および/または冷風下におくことで、温度を下げることができる。
【0104】
温度を変化させたり、液を除去して粘度を調節するのに加えて、固形分の担持量を増やすことで粘度を変化させることも可能である。一般的に言って、表面層の粘度が以降に付与される形状を保つに充分になればよい。したがって、構造の表面上に細かく粉砕した粉体を塗布することで、構造上に局部的に粘度の上昇したスキンを形成させることができ、それによって架橋で恒久的な形状が得られるまでの間、構造が付与された形状を保つ。
【0105】
装置と方法
以下で説明する装置と方法は、本発明による、一般には規則的な形状を有する粒子および突起を調製することを主目的としている。規則的な形状の粒子を作製するその他の公知の方法を採用し、他の公知の成形粒子のバインダーを、本明細書に記載されたポリマー材料または組成物に置き換えて、本発明による粒子を作製することも可能である。公知のバインダーの代わりに本発明によるポリマー材料を用いて、不規則的な形状の粒子を作ってもよい。
【0106】
図1は、本発明による粒子の例示的な実施態様を作製するための方法を実施することが可能な装置を示している。装置10において、組成物12を重力によってホッパー14から、エンドレスベルトの形状をした製造用具16の上に供給する。ベルト16は2つのロール18と20の間で移動するが、それらのロールの内の少なくとも1つは、動力駆動されている。図9は、製造用具16のセグメントの透視図である。図9に見られるように、製造用具16は開口部22を含む連続表面21を有する三次元ボデーで、その開口部が三次元ボデーのキャビティ23につながっている。キャビティ23の少なくとも一部は図1に示した組成物12によって充填される。図1に戻って、次いで組成物12は架橋ゾーン24を通過するが、そこで、エネルギー源25に暴露されて、組成物12が少なくとも部分的に架橋され、固化されて取扱いが可能となったバインダー26が形成される。バインダー材料の粒子26が製造用具16から除去されて容器28に集められる。外部手段29、たとえば超音波エネルギーを使用して、製造用具16からバインダー材料の粒子26を外すのに役立ててもよい。製造用具16に残る屑は通常、新しく組成物12を製造用具16に供給するより前に掃除して取り除いておく。
【0107】
図2は、本発明による粒子の例示的な実施態様を作製することが可能な、別のタイプの装置を示している。装置30には、巻出し機構34から供給されるキャリアウェブ32が含まれる。巻出し機構34はロールの形状をしている。キャリアウェブ32は、たとえば紙、布、ポリマーフィルム(たとえば、ポリエステルフィルム)、不織ウェブ、バルカンファイバー、およびそれらを処理したものなどからの材料でできている。図2において、キャリアウェブ32は所望の波長の化学線を実質的に通過させるものである。組成物36を重力によってホッパー38からキャリアウェブ32の主表面の上に供給する。この組成物36を載せたキャリアウェブ32の主表面を、ニップロール42を用いて製造用具40の表面に押しつける。キャリアウェブと接触する製造用具の表面40は曲面になってはいるが、その他の点では、図9に示した製造用具のセグメント同じである。このニップロール42は、組成物36を製造用具のキャビティ40に押し込む働きもしている。次いで組成物36が架橋ゾーン43を通過するが、そこで、エネルギー源44に暴露されて、組成物36が少なくとも部分的に架橋され、固化されて取扱いが可能となったバインダー48が形成される。次に、固化されて取扱いが可能となったバインダー48を含むキャリアウェブ32がニップロール46の間を通過する。キャリアウェブ32と固化されて取扱いが可能となったバインダー48との間の接着性は、次にバインダー粒子48が製造用具のキャビティ40から外れるに充分な程度でなければならない。バインダー材料の粒子48はキャリアウェブ32から除去されて、容器50に集められる。外部手段51、たとえば超音波エネルギーを用いて、キャリアウェブ32から粒子48を外すのに役立ててもよい。次いでキャリアウェブ32は巻取り機構52に回収され、再使用することができる。巻取り機構52はロールの形状をしている。
【0108】
キャリアウェブ32からバインダー材料の粒子48を除去するには、代わりの方法で効果的に実施することもできる。その代わりの方法では、ホッパー38から組成物36を受けるキャリアウェブ32の主表面の上に、薄い水溶性の層(図2に示さず)を含有することができる。この水溶性の層が組成物36と接触することになる。組成物36を少なくとも部分的に架橋させた後に、キャリアウェブ32と固化されて取扱いが可能となったバインダー48とを組み合わせたものを水の供給源(図2に示さず)と接触させると、水がキャリアウェブ32上の水溶性の層を溶解させ、それによってキャリアウェブ32からバインダー材料の粒子48を分離させる。この変形例に有用な水溶性の層の例は、水溶性ポリマーの層で、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびセルロース誘導体などが挙げられる。
【0109】
図3は、本発明による粒子の例示的な実施態様を作製することが可能な、別のタイプの装置70を示している。装置70では、組成物72をホッパー74から製造用具76の上にナイフコーティングする。製造用具76は円筒状のドラムの形態で軸78を有している。製造用具の連続表面76は曲面になってはいるが、その他の点では、図9に示した製造用具のセグメント同じである。製造用具76が軸78を中心にして回転するにつれて、組成物72が架橋ゾーン79を通過し、そこでエネルギー源80に暴露されて、組成物72が少なくとも部分的に架橋され、固化されて取扱いが可能となったバインダー82が形成される。次いで、このプロセスの架橋工程で得られた固化されて取扱いが可能となったバインダー82の粒子を、製造用具76から除去してホッパー84に集める。この除去は通常、機械的な手段たとえば水ジェットにより実施する。通常は、製造用具76に残る屑はすべて、新しく組成物72を導入する前に取り除いておく。屑を除去するには、ブラシ、空気ジェットその他従来の各種方法を用いることができる。図3には示していないが、この製造用具76からバインダー82の粒子を容易に除去されるようにするために、追加の手段を使用してもよい。
【0110】
この組成物は、照射エネルギーおよび/または熱エネルギーによって架橋可能なものであるのが好ましい。照射エネルギー源としてはたとえば、電子ビームエネルギー、紫外線、可視光線およびレーザー光線などを挙げることができる。
【0111】
電子ビーム照射は、イオン化照射とも呼ばれるが、好ましくは約0.1Mrad〜約20Mrad、より好ましくは約1Mrad〜約10Mradのエネルギーレベルで使用することができる。紫外線照射は、約200ナノメートル〜約400ナノメートルの波長、より好ましくは約250ナノメートル〜約400ナノメートルの波長の非粒子照射(non−particualte radiation)であるのが好ましい。照射線量は好ましくは約50mJ/cm2〜約1000mJ/cm2、より好ましくは約100mJ/cm2〜約400mJ/cm2である。この線量を与えるのに適した光源は、約100ワット/2.54cm〜約600ワット/2.54cm、より好ましくは約300ワット/2.54cm〜約600ワット/2.54cmのものである。可視光線は、約400ナノメートル〜約800ナノメートルの波長、より好ましくは約400ナノメートル〜約550ナノメートルの波長の非粒子照射であるのが好ましい。組成物に充分な架橋を起こさせるのに必要な照射エネルギーの量は、いくつかの因子、たとえば、作製する粒子または突起のサイズや組成物の化学的な素性によって決まてくる。熱架橋のための条件は、温度が約50℃〜約200℃で、時間は1分の数分の1から、数千分の間であるのが好ましい。実際に必要な熱量は、そのバインダー前駆体の化学性によって決まる。
【0112】
紫外線または可視光線を使用する場合には、混合物中に光重合開始剤が添加されることが多い。紫外線または可視光線に暴露されると、この光重合開始剤がフリーラジカル源またはカチオン源を発生させる。次いで、このフリーラジカル源またはカチオン源がバインダー前駆体の重合を開始させる。フリーラジカルによる加工で電子ビームエネルギーを使用するときは、光重合開始剤の添加は任意である。
【0113】
少なくとも部分的に架橋させた後では、得られる固化されて取扱いが可能となったバインダーは、製造用具の表面に強く付着していないのが好ましい。いずれにしてもこの時点で、その固化されたバインダー前駆体が製造用具から除去可能な粒子を形成している。
【0114】
製造用具からバインダー粒子を除去するためには、別の方法がいくつかある。1つの方法では、バインダー粒子を製造用具から収集容器たとえばホッパーに直接移すものである。この方法の場合、製造用具がポリマー材料でできているのなら、バインダーをキャビティから除去する方法としては、たとえば、超音波エネルギー、真空、エアナイフおよびその他の従来からの機械的な手段などが挙げられる。製造用具が金属でできているのなら、バインダーをキャビティから除去する方法としては、たとえば、水ジェットまたはエアジェットのような手段がある。製造用具のキャビティが完全に製造用具全体に拡がっていて、たとえば、製造用具が完全にその全体に穴が開けてあるようなベルトのような場合には、バインダーを除去する方法としてはたとえば、製造用具の構造材料には関係なく、超音波エネルギー、機械的な力、水ジェット、エアジェット、およびその他の機械的手段などがある。
【0115】
別の方法としては、バインダー粒子を製造用具から収集容器へ間接的に移す方法がある。一実施態様としては、バインダー粒子を製造用具から平滑なロールに移すことができる。このバインダー粒子は一般に、製造用具に対するよりは平滑なロールに対する付着性の方が強い。そのようにして移したバインダー粒子を次いで、平滑ロールから、スカイビング、真空、水ジェット、エアジェット、またはその他の機械的手段によって除去することができる。1つの特別な実施態様では、バインダー粒子を製造用具からキャリアウェブの主表面へ移すこともできる。このバインダー粒子は一般に、製造用具に対するよりはキャリアウェブの主表面に対する付着性の方が強い。その上にバインダーを移したキャリアウェブの主表面には、たとえば水または有機溶媒に可溶な材料の層を担持することができる。そのバインダーは一般に、その可溶性層を形成している材料を溶解させるだけで、キャリアウェブから容易に除去することができる。さらに機械的手段、たとえばスカイビング、真空または超音波などを使用してバインダーを除去することも可能である。超音波エネルギーをたとえば、ウェブの主表面に直接かけることもできるし、あるいは、ウェブの主表面の側面にかけることもできる。また別の実施態様においては、キャリアウェブの主表面の上にプライマーを有することができる。キャリアウェブに好適なプライマーの例としては、エチレン・アクリル酸コポリマー、ポリ(塩化ビニリデン)、架橋ヘキサンジオールジアクリレート、アジリジン材料などが挙げられる。バインダーは、プライマー処理したキャリアウェブに付着させるのが好ましい。ついでそのバインダーはプライマー処理したキャリアウェブから、機械的手段たとえばスカイビング、真空または超音波などによって除去することができる。
【0116】
バインダーを、直接的または間接的手段によって製造用具から除去してから、次いでそれを粒子に転換させる。1つの転換方法では、バインダーを製造用具から粒子の形状で分離する。得られる粒子は、その中で粒子が少なくとも部分的に架橋された製造用具のキャビティの部分の形状と本質的に同じ形状を有している。この方法が有利なのは、ここでの粒子は次の用途、たとえば研磨物品への組み込みにとって、すでに適当な品質または適当な粒度分布になっているというところにある。
【0117】
第2の転換方法では、バインダーをバインダー材料の薄い層で互いにつながったバインダー材料粒子を含む材料のシートとして、製造用具から分離する。このバインダーを次いで、相互につながっている薄い部分に沿って破壊または押し潰すことによって、離散粒子を形成させる。
【0118】
変形例としては、製造用具を、軸の周りに回転するドラムまたはベルトとすることもできる。製造用具を軸の周りで回転させることによって、そのプロセスを連続で実施することが可能となる。製造用具が固定式の場合には、このプロセスはバッチ方式で実施する。連続プロセスにすれば通常は、従来技術のバッチ法に比較してより効率的で、コストダウンができる。
【0119】
研磨物品の特性
本発明はさらに、本発明による粒子を含む研磨物品も提供する。これらの研磨物品としては、たとえば、固結させた(bonded)研磨物品、コーテッド研磨物品または不織布研磨物品などがあり得る。
【0120】
固結させた研磨物品では、本発明による粒子を結合媒質によって相互に結合させ、成形物体、たとえばホイールやカットオフホイールを製造する。固結させた研磨物品は一般にモールド法によって製造する。図7は本発明の固結させた研磨物品150の概略図である。バインダーおよび研磨グリットを含む本発明による粒子151を結合媒質154を用いて結合させている。芯部153を物品150の内部に貫通させている。
【0121】
不織布研磨物品は一般に、広げた多孔性繊維質の不織布基材で、その基材の中に複数の研磨粒子を結合させたものである。このタイプの不織布研磨物品は、たとえば、米国特許第2,958,593号(フーバー(Hoover)ら)に記載されている。不織布研磨物品の場合、本発明による粒子は不織布の繊維質基材に付着させることができる。図8は本発明の固結させた不織布研磨物品230の概略図である。ポリマー材料および研磨グリットを含む本発明による粒子231が、結合媒質235を介して不織ウェブの繊維234に付着されている。
【0122】
コーテッド研磨物品の場合、本発明による粒子は結合媒質によってバッキングに付着されている。コーテッド研磨物品を調製するのに適したバッキングとしては、たとえば、ポリマーフィルム、下地処理をした(primed)ポリマーフィルム、布、紙、バルカンファイバー、ポリマーフォーム、不織布およびそれらの処理したものなどが挙げられる。
【0123】
図4に示されているように、本発明による研磨物品100では、研磨粒子106をバッキング104に結合させるためのコーティングを2層用いている。コーティング102は通常メイクコートと呼ばれていて、バッキング104の上に塗布して、規則的な形状を有する本発明による粒子106をバッキング104に結合している。コーティング108は通常サイズコートと呼ばれていて、粒子106の上に塗布して、粒子106を補強している。さらに第3のコーティング110で、通常スーパーサイズコートと呼ばれるものをサイズコート108の上に適用してもよい。この粒子106には、複数の研磨グリット112とバインダー114が含まれる。この研磨粒子は、通常の方法、たとえばドロップコーティングや静電コーティングなどによって塗布することができる。粒子106は、図4では整然と配置されている。
【0124】
図5に示されているように、本発明による研磨物品200では、研磨粒子206をバッキング204に結合させるためのコーティングを2層用いている。メイクコート202をバッキング204の上に塗布して、規則的な形状をした本発明による粒子206をバッキング204に結合させる。サイズコート208を粒子206の上に塗布して、粒子206を補強する。スーパーサイズコート210をそのサイズコート208の上に塗布する。この粒子206には、複数の研磨グリット212とバインダー214が含まれる。この粒子206は、図にも見られるように、ランダムに配置されている。
【0125】
図6に示されているように、本発明による研磨物品300では、研磨粒子306をバッキング304に結合させるためのコーティングを2層用いている。メイクコート302をバッキング304の上に塗布して、不規則な形状をした本発明による粒子306をバッキング304に結合させる。サイズコート308を粒子306の上に塗布して、粒子306を補強する。スーパーサイズコート310をそのサイズコート308の上に塗布する。この粒子306には、複数の研磨グリット312とバインダー314が含まれる。この粒子306は、図にも見られるように、ランダムに配置されている。
【0126】
本発明における粒子は、バッキングの上にランダムに塗布または配置することもできる。それとは別に、たとえばそれらの粒子をバッキング上に特定の方向に配置することもできる。ピラミッド状、円錐状、プリズム状(たとえば三角柱)の形状の離散粒子の場合、その粒子を図4のように、それらの底部がバッキングに向き、頂点がバッキングの反対側に向くように配置することもできるし、あるいは、図5の中の4つの粒子のように、それらの頂点がバッキングの方を向き、底面がバッキングの反対側に向くように配置することもできる。
【0127】
研磨物品は、たとえば、以下のような方法によって、製造することができる。おもて面とうら面を有するバッキングを提供する。バッキングのおもて面に樹脂系接着剤を含む第1の架橋性結合媒質をコーティングし、次いで、本発明における粒子および任意に個々の研磨グリットを第1の架橋性結合媒質の中にコーティングまたは塗布する。この離散研磨粒子と任意成分の研磨グリットとを、ドロップコーティングまたは静電コーティングすることができる。次いでこの第1の架橋性の結合媒質を固化または硬化して、架橋させた樹脂系接着剤を形成させる。樹脂系接着剤を含む第2の架橋性の結合媒質を場合によっては、粒子の上に塗布することもでき、次いで固化または硬化して、架橋させた樹脂系接着剤を形成させる。この第2の架橋性の結合媒質を塗布するのは、第1の架橋性の結合媒質の凝固または架橋の前であっても、後であってもよい。
【0128】
前述のように、本発明のまた別の態様においては、本発明における粒子には研磨グリットをまったく含まなくてもよい。研磨グリットを含まないこれらの粒子は、たとえば、研磨グリットを全く含まない研磨物品(たとえば、コーテッド研磨物品、固結させた研磨物品および不織布研磨物品)に使用することができる。そのような物品は一般に、研削というよりは、磨きを目的としたものである。別の用途では、グリットを含まない本発明による粒子は、本発明による研磨物品において、グリットを含む本発明による粒子と組み合わせて使用することもできる。また別の用途では、グリットを含まない本発明による粒子は、本発明による研磨物品中のよりゆるい研磨グリットと組み合わせて使用することもできる。他の任意の材料と本発明による粒子とを組み合わせる他の方法も可能である。特別な例としては、研磨物品に、バッキングと、そのバッキングにメイクコートを介して結合させた研磨グリットと、研磨グリットが含まれない本発明による粒子とが含まれていてもよい。
【0129】
図4に示したように、架橋させた樹脂系接着剤(サイズコート)の第2のコーティング108が研磨グリットと粒子の上にある(サイズコート)。
【0130】
本発明による粒子を基材に結合させるかまたは互いに結合させるための材料としては通常、架橋させた樹脂系接着剤および任意の添加剤がある。本発明において好適なものの例としては、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ官能性材料、(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート化イソシアヌレート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、イソシアヌレート樹脂、(メタ)アクリレート化ウレタン樹脂、ビニルエーテル、および(メタ)アクリレート化エポキシ官能性材料などが挙げられる。任意成分の添加剤としては、充填材(研削助剤を含む)、繊維、潤滑剤、濡れ剤、界面活性剤、顔料、染料、カップリング剤、可塑剤および沈殿防止剤などを挙げることができる。充填材の例を挙げれば、タルク、炭酸カルシウム、カルシウムメタケイ酸塩およびシリカなどである。これらの材料の使用量は、目的とする性能が得られるように選択する。
【0131】
本発明による研磨物品は場合によっては、たとえば従来の研磨凝集物および個々の研磨グリットをさらに含んでいてもよい。これらの従来の研磨凝集物および/または研磨グリットは、その形状が規則的であっても不規則的であってもよい。従来の研磨凝集物については、たとえば、米国特許第4,311,489号(クレスナー(Kressner));同第4,652,275号(ブレッハー(Bloecher)ら);および同第4,799,939号(ブレッハー(Bloecher)ら)にもさらに記載されている。個々の研磨グリットも、所望の形状のものを選択することが可能である。個々の研磨グリットの例としては、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ−ジルコニア、ダイヤモンド、セリア、立方晶窒化ホウ素、およびガーネットなどが挙げられる。本発明の粒子では、研磨粒子の全量を基準にして、好ましくは約10重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、そして最も好ましくは少なくとも約70重量%の研磨材材料とするべきである。研磨物品の実施態様においては、個々の研磨グリットは、粒子の上に配することもできる。また別の実施態様においては、個々の研磨グリットは、本発明に従って粒子の下に配することもできる。また別の実施態様においては、個々の研磨グリットはたとえば、本発明に従って、2つの粒子の間に配することもできる。
【0132】
研磨物品の使用
本発明による粒子は、たとえば、湿式研削、乾式研削、および/または研磨用途において有用である。本発明による研磨粒子を用いて研磨する方法は、スナッギング(すなわち、高圧力粗削り(high stock removal)から磨き(たとえば、研磨ベルトを使用した医学用埋込品の磨き)まで広い範囲にわたっており、後者ではより細かいグレード(たとえば、ANSI220より細かいもの)の研磨粒子が通常使用される。この研磨粒子はまた、たとえば、ビトリファイド砥石車を用いてカムシャフトの研削など、精密研削用途にも使用できる。特定の研磨用途で使用される研磨粒子のサイズは、当業者には周知である。
【0133】
本発明による研磨粒子を用いた研磨は、乾式、湿式いずれでも可能である。湿式研磨では、液体を導入するのに薄いミストの形態で供給し、完全に濡らすようにする。通常使用される液体の例としては、水、水溶性油、有機潤滑剤およびエマルションなどが挙げられる。この液体は、研磨に伴って発生する熱を下げるとともに、潤滑剤としても機能する。この液体中には、少量の添加剤、たとえば殺菌剤、消泡剤などを加えてもよい。
【0134】
本発明による研磨粒子は、たとえば、アルミニウム金属、炭素鋼、軟鋼、工具鋼、ステンレス鋼、焼入れ鋼、チタン、ガラス、セラミックス、木材、木材様材料、ペイント、塗装面、有機塗装表面などの加工品を研磨するのに使用できる。研磨の際に加える力は通常、約1〜約100kgの範囲である。
【0135】
本発明を以下の実施例により説明する。具体的な例、材料、量および方法については、本明細書において説明する本発明の範囲と精神に従って広く解釈すべきであることを理解されたい。
【0136】
本発明による研磨物品の実施態様を図11に示す。研磨物品401にはバッキング402があり、その1つの主表面の上に研磨突起404を担持している。研磨突起404には、バインダー408に分散させた複数の研磨グリット406が含まれる。この具体的な実施態様においては、バインダー408が研磨突起404をバッキング402に結合している。この実施態様においては、それぞれの研磨突起404は目で見てそれと判るような所望の形状を有している。本発明のいくつかの実施態様では、研磨物品401の使用前には研磨グリット406(存在するならば)が、この形態の面405よりも表に出ていないのが有利である。研磨物品401を用いて表面研磨をしていくにつれて一般に、研磨突起404が崩れて、未使用の研磨グリットが表面に出る。研磨グリット406は、本発明の方法では任意成分である。研磨グリット406が含まれないとしても、突起404は依然として研磨突起であると考えるべきである。
【0137】
突起(projection)
これらの研磨突起は、少なくとも1種のあらかじめ定めた形状を有し、あらかじめ定めた並べ方で配するのが好ましい。研磨突起のあらかじめ定めた形状は、ある周期性をもってくり返されているのが好ましい。この場合の形状のくり返しは、1つの方向に向けてくり返されているのが好ましく、2つの方向に向けてくり返されていればより好ましい。好ましくは不規則なパターンではなく、非常に明確でしっかりしたくり返しが存在するのが好ましい。突起が不規則ではない並べ方に従っているのが好ましい。この研磨突起は、少なくともエポキシ官能性材料と環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組合せ、場合によってはその中に複数の研磨グリットを分散させて得られる組成物で形成できれば好ましい。少なくとも部分的に硬化することによって、研磨突起を配置し、それをあらかじめ定めた形状とあらかじめ定めた並べ方に固定させるのが好ましい。
【0138】
研磨突起は、組成物がバッキング上に形成されるのと、製造用具の表面上のキャビティに充填されるのとの両方の間に、組成物を硬化することによって得られる形状を有しているのが好ましい。研磨突起がキャビティの形状と同一、または実質的に同一の形状であれば好ましい。複数のそのような突起は、3次元の形状を有し、バッキングの表面から外へ好ましくは不規則ではないパターンで付き出ていて、好ましくは例えば製造用具のパターンを反転させた形状になっていれば好ましい。それぞれの突起が境界によって画成されているのが好ましく、その境界の底部が、突起が付着しているバッキングとの界面となる。境界の残りの部分は、その突起を架橋させた製造用具の上のキャビティによって画成されているのが好ましい。突起の外部表面はすべて、それが形成されるときのバッキングまたはキャビティのいずれかによって、決められているのが好ましい。
【0139】
突起の間の空間は、研磨物品からの磨きかすの逃げ場となっているのが好ましく、それによって目詰まりと使用時の熱の蓄積を効果的に減少させることができる。さらに、いくつかの実施態様においては、研磨物品が均一な摩耗を示し、その表面にかかる研削力が均一になるのが好ましい。いくつかの実施態様においては、研磨物品を使用するにつれて、研磨グリットが脱落し、新しい研磨グリットが露出されて、その結果好適にも、研磨材製品の寿命が延び、研削率が高く維持され、製品の寿命の間表面仕上げ状態が一定に保てるようになる。
【0140】
この突起は、所望に応じて各種の形状(たとえば、ピラミッド状)を任意にとることができる。使用前には、突起の中の個々の研磨グリットはそのような突起の形状を画成している境界から突出していないのが好ましい。所定の形状の大きさは、目的に応じて実質的に決めるのが好ましい。さらに、この複合物突起は、不規則ではない並べ方でバッキング上に配されるのが好ましい。この不規則ではない並べ方は、好ましくはある程度のくり返しを示すのが好ましい。並べ方のくり返しパターンは、1次元的であってもよいし、たとえばマトリックスの形状であってもよい。
【0141】
あらかじめ定めた並べ方に配置した研磨突起は、各種の形状と周期を有していてよく、たとえば、直線状でなだらかな突起、直線状で鋭角の突起、ピラミッド状、円筒状、プリズム状などが挙げられる。図11での突起404は、同様のサイズと形状を有していて、三面体プリズム要素で作られている構造化表面を表している。図13には、一連の直線状の突起431と平坦部432が示されている。
【0142】
それぞれの突起には境界があるのが好ましく、その境界は1つ以上の平面状の表面によって画成される。たとえば、図11では平面状の境界は参照番号405で表されている。いくつかの実施態様においては、研磨グリット(存在するならば)は、その平面状の境界よりは突き出ない。これまた理論にとらわれることなく言えば、このような構造にすることで、研磨物品における研削での磨きかすによる目詰まりの量を減らすことが可能となると考えられる。
【0143】
突起の最適な形状は、特定の研磨目的に応じて決めるのが好ましい。突起の面積密度、すなわち単位面積あたりの突起の数を変更することにより、特性を変化させることができれば好ましい。たとえば面積密度を高くすると、好ましいことには、研削の際の突起あたりの単位圧力が低くなり、そのために表面の仕上がりがより細かくできる。連続するピークの並べ方を好適に配置することで、各種の製品が得られる。オフハンド研削の用途では、実施態様によっては、研磨突起のアスペクト比(すなわち、高さと底辺の比)が約0.3〜約1であるのが好都合である。本発明によるいくつかの実施態様では、隣接する突起の頂点の間の距離が、1mm未満、さらには0.5mm未満であるのが好ましい。
【0144】
方法
研磨物品を、本発明の方法の数々の実施態様に従って調製することができる。その方法の実施態様を以下に示すが、これらに限定されれ訳ではない。エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および研磨グリットを少なくとも組み合わせて得られる組成物を製造用具のキャビティに導入する。おもて側とうら側のあるバッキングを、組成物を充填した製造用具の外部表面に適用する。その組成物がバッキングのおもて側と濡らして、中間体物品を形成する。組成物を、少なくとも部分的に架橋またはゲル化させてから、その中間体物品を外部製造用具の表面から取り出すのが好ましい。次いで研磨物品を、製造用具から取り出す。ある種の実施態様においては、上記の工程を連続法で実施するのが有利である。
【0145】
図12に研磨物品を作製するための装置410を示す。製造用具411は、2つの主表面と2つの末端を有するロールの形状をしている。バッキング412にはおもて面413とうら面414があり、巻出し機構415から出てくる。同時に、製造用具411も巻出し機構416から出る。製造用具411の接触表面417を、エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意の複数の研磨グリットを少なくとも組み合わせて得られる組成物419により、コーティング機構418のところでコーティングする。コーティング工程に先だって、この組成物を加熱しておいてその粘度を下げることも可能である。このコーティング機構418には、従来のどのようなコーティング手段を用いてもよいが、たとえば、ナイフコーター、ドロップダイコーター、カーテンコーター、真空ダイコーター、または押出ダイコーターなどが挙げられる。製造用具411の接触表面417をコーティングした後で、バッキング412と製造用具411を合わせて、組成物がバッキング412のおもて面413を濡らすようにする。図12では、接触ニップロール420を用いて、組成物をバッキング412に押しつけているが、このロールはさらに製造用具/組成物/バッキングの構成物を支持ドラム422に押さえつける役目も果たしている。次に、照射エネルギー源424から充分な量の照射線量エネルギーを製造用具411のうら面425を通過させて組成物に与え、少なくとも部分的にバインダー前駆体を架橋させ、それによって成形されて取扱いが可能となった構造426を形成させる。次いで、製造用具411を、成形されて取扱いが可能となった構造426から分離する。製造用具411は、ローラー427のところで、成形されて取扱いが可能となった構造426から分離する。ローラー427を過ぎた直後ににできる、成形されて取扱いが可能となった構造426と製造用具411との間の角度αは急角度とするのが好ましく、たとえば、30度以上として、成形されて取扱いが可能となった構造426と製造用具411がきれいに分離されるようにする。製造用具411はマンドレル428に巻き取れば、再使用することが可能である。成形されて取扱いが可能となった構造426は、マンドレル430に巻き取る。バインダー前駆体が完全架橋に達していない場合には、追加のエネルギー源(たとえば、熱エネルギー源または追加の照射エネルギー源)に暴露することにより完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることができる。別の方法で、追加のエネルギー源を用いなくても最終的に完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることもできる。本明細書で使用する場合、「完全架橋(full cure)」という用語は、バインダー前駆体が充分に架橋されていて、得られた製品が研磨物品、たとえばコーテッド研磨物品として使用できることを意味する。
【0146】
組成物419を製造用具411に入れる前に加熱して、温度を約20℃〜約50℃にするのが好ましく、約30℃〜約40℃とすればより好ましい。組成物419を加熱しておけば、一般的には製造用具411のキャビティ中により容易に流れ込み、不具合を最小限にすることができる。組成物419の粘度は一般に、いくつかの理由から、厳密に調節する。たとえば、粘度が高すぎると、組成物419を製造用具411に塗布するのが困難になる。
【0147】
少なくとも部分的に架橋させた後では、得られるバインダー突起は一般に、製造用具の表面に強く付着してはいない。いずれにしても、この時点で、バインダー突起を製造用具から取り外す。
【0148】
変形例としては、製造用具を軸の周りに回転するドラムまたはベルトとすることもできる。製造用具を軸の周りで回転させることによって、そのプロセスを連続で実施することが可能となる。製造用具が固定式の場合には、そのプロセスはバッチ方式で実施する。連続プロセスにすれば通常は、従来技術のバッチ法に比較してより効率的で、コストダウンができる。
【0149】
いくつかの例では、使用する前に研磨物品を曲げておくと有利ではあるが、それは、得られた突起の具体的なパターンとその研磨物品の目的とする研磨用途に依存する。
【0150】
研磨物品は、たとえば、以下の第2の方法でも作ることができるが、これに限定されるものではない。エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意に複数の研磨グリットを少なくとも組み合わせて得られる組成物を、うら側も有するバッキングのおもて側に適用する。その組成物がバッキングのおもて側を濡らして、中間体物品を形成する。その中間体物品を、その外部表面に複数のキャビティを有する製造用具の外部表面に適用して、そのキャビティを少なくとも部分的に充満させる。好ましくは、その組成物を少なくとも部分的に硬化してから、その中間体物品を製造用具の外部表面から分離して、研磨物品を形成させる。次いで研磨物品を、製造用具から取り出す。上記の作業は連続法で実施するのが好ましく、それによって、研磨物品を製造する方法の効率化が図れる。
【0151】
この第2の方法は第1の方法とほとんど同じではあるが、ただし、第2の方法では、組成物をまず、製造用具ではなくバッキングに塗布する。たとえば図14に、研磨物品を調製するための別の方法の装置440を示す。この装置では組成物を、製造用具ではなくバッキングの上にコーティングする。この装置では、製造用具441はおもて面とうら面とを有するエンドレスベルトである。うら面443とおもて面444を有するバッキング442を巻出し機構445から引き出す。バッキングのおもて面444には、エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意の複数の研磨グリットを少なくとも組み合わせることにより得られる組成物を、コーティング機構446を用いてコーティングする。この組成物を接触ニップロール448を利用して製造用具441の接触表面447に押しつけるが、このロールはさらに製造用具/組成物/バッキング構成もまた支持ドラム450に押しつけていて、それによって組成物が製造用具441の接触表面447を濡らす。この製造用具441は、3つの回転マンドレル452、454および456で駆動されている。次いで照射エネルギーを製造用具441のうら面457から組成物に照射して、そのバインダー前駆体を少なくとも部分的に硬化する。1つの照射エネルギー源458があればよい。あるいは、第2の照射エネルギー源460があってもよい。これらのエネルギー源は同一のタイプのものであってもよいし、異なったタイプのものであってもよい。バインダー前駆体が少なくとも部分的に架橋されたら、成形されて取扱いが可能となった構造462を製造用具441から分離して、マンドレル464に巻き取る。製造用具441はローラー465で、成形されて取扱いが可能となった構造462から分離する。ローラー465を過ぎた直後ににできる、成形されて取扱いが可能となった構造462と製造用具441との間の角度αは急角度とするのが好ましく、たとえば、30度以上として、成形されて取扱いが可能となった構造462と製造用具441がきれいに分離されるようにする。バインダー前駆体が完全架橋に達していない場合には、追加のエネルギー源(たとえば、熱エネルギー源または追加の照射エネルギー源)に暴露することにより完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることができる。別の方法で、追加のエネルギー源を用いなくても最終的に完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることもできる。
【0152】
上記の2つの方法のいずれにおいても、組成物を製造用具に導入した後では、組成物が架橋される前でもあまり大きな流動性を有していない方が有利である。本発明の方法における上記2つの実施態様は、説明のためのものと考えるべきであって、限定的な意味はない。たとえば米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)ら);同第5,681,217号(フープマン(Hoopman)ら);および同第5,855,652号(ステッツエル(Stoetzel)ら)などに開示されている構造化研磨物品を作製するための方法を修正して、前記の特許に開示されているバインダー前駆体に代えて、エポキシ官能性材料および環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種を少なくとも組み合わせて得られる組成物を使用することができる。
【0153】
本発明による利点と実施態様を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例において用いた具体的な材料およびその量、さらにはその他の条件や詳細は、本発明を限定するものと不当に受け取ってはならない。以下の非限定的な実施例で、本発明をさらに説明する。実施例における部、%、比などはすべて、特に記さない限り、重量基準である。
【0154】
具体的な例、材料、量および方法については、本明細書において説明する本発明の範囲と精神に従って広く解釈すべきであることを理解されたい。
【実施例】
【0155】
各種の実施例を作るために用いた材料は、表1において特定する。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【表4】
【0160】
実施例1〜3および比較例A
実施例1〜3および比較例Aでは、充填剤として長石を含む有用な研磨粒子を作製して、本発明の有効性を説明する。
【0161】
実施例1
図10に示すように、実施例1のバインダー粒子180を装置120で調製する。装置120には、エンドレスベルトの形態の製造用具122を備えている。製造用具122は、所望の化学線の波長を実質的に透過するポリマー材料で作られている。製造用具122および用具122を作製するためのプロセスは、米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)および同第5,975,987号(フープマン(Hoopman)ら)に記載されている。調製されるバインダー粒子180は、高さが533マイクロメートル(21ミル)の4面ピラミッド状で底辺が1371マイクロメートル(54ミル)であって、米国特許第5,975,987号におけるローレット切り法を使用して形成した製造用具122の中で作製した。キャリアウェブ126は厚み75マイクロメートル(3ミル)のポリエステルフィルムにエチレン−アクリル酸プライマーをコーティングしたものである。キャリアウェブ126を巻出し機構128から送り出しながら、そのキャリアウェブ126の上にコーター130の手段を使用して、バインダー前駆体132を塗布した。バインダー前駆体132には、プレミックス2(表2に示したもの)に、2625gの研磨粒子1と875グラムの研磨粒子2との混合物を加えたものが含まれる。バインダー前駆体132を含むキャリアウェブ126の部分を、ニップロール164の手段によって製造用具と接触させた。製造用具122とバインダー前駆体132を含むキャリアウェブ126との部分が、温度調節したマンドレル142に押しつけられた。マンドレル142は軸146の周りに回転していた。次いで、照射源141からの照射エネルギー140を、製造用具122を通過させてバインダー前駆体132に加えた。照射源141は、400ワット/インチ(160ワット/cm)の中圧水銀蒸気紫外線ランプであった。照射源141からの照射140に暴露されて、バインダー前駆体132は、固化されて取扱いが可能となったバインダー粒子180となった。製造用具122と、固化されて取扱いが可能となったバインダー粒子180を含むキャリアウェブ126の両方が、マンドレル142の手段によって連続的に照射源141のところを通過していった。バインダー粒子180を含むキャリアウェブ126は、ニップロール143の直後に製造用具122から分離された。キャリアウェブ126のうら側127(すなわち、ピラミッド状に成形された粒子を含まない側)を超音波ホーン170(6−4チタン構造で、900ワット、184ボルトのブランソン電源(Branson power source)(ブランソン・ウルトラソニックス社アプライド・テクノロジーズ・グループ(Branson Ultrasonics Corp.,Applied Technologies Group、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))に2:1ブースター(Booster)802圧電コンバータを組み合わせて駆動)を、91,100Hz、振幅約130マイクロメートルで振動させると、バインダー粒子180をキャリアウェブ126から除去して、ホッパー190に集めることができた。キャリアウェブ126は、巻上げ機構144に巻き取られた。
【0162】
この操作は連続法で、ウェブの運転速度は30.5メートル/分であった。コーター130のコーターギャップ135は0.020インチ(0.51mm)で、マンドレル142の温度は60゜F(15.6℃)に保ち、バインダー前駆体132の温度は90゜F(32℃)に保った。
【0163】
実施例2および3ならびに比較例A
実施例2および3ならびに比較例Aのバインダー粒子を、表3に示したそれぞれの組成物を用い、実施例1の手順により調製した。プロセス条件は、表4に示す。
【0164】
実施例4〜6および比較例B
実施例4〜6および比較例Bを、表3に示したそれぞれの組成物を用い、実施例1の手順により調製した。プロセス条件は、表4に示す。
【0165】
実施例4〜6および比較例Bでは、充填剤としてケイ灰石を含む研磨粒子を製造したときの、本発明の有効性を示す。実施例1〜3および比較例Aで使用した光触媒に代えて、加熱触媒を使用した。キャリアウェブから分離した後で、これらの実施例での粒子は、120℃で30分間加熱して、さらに架橋を進めた。
【0166】
研磨物品の調製
実施例1〜6および比較例A〜Bの粒子を用いて、試験のための研磨物品を調製した。幅10cm(4インチ)、長さ111.76cm(44インチ)の寸法の研磨物品の帯状物を、以下に記載する一般的な手順に従って調製した。一般的な炭酸カルシウム充填フェノール樹脂のメイクコートを、ダイコーターを使用して、350g/m2のフェノール/ラテックスで処理したポリエステル布バッキングの上に、約0.0266g/cm2の量で塗布した。次いで、このメイクコートの上に粒子を約0.0774g/cm2の量でドロップコートして、クローズドコート(closed coat)を作製した。ペイントブラシを用いてその粒子の上にフェノール樹脂を塗布して、サイズコートを作った。サイズコートのおおよその量は、それぞれの例毎に記載する。この研磨ベルトを、対流式加熱器中で93℃(200゜F)で90分、次いで110℃(230゜F)で10時間加熱した。架橋させた後で、このベルトを96cm×2.5cmの大きさに切断し、通常の突合わせ接続により、接続させた。
【0167】
試験手順
研磨ベルトはそれぞれ個別に、ELBグラインダーズ社(ELB Grinders Corp.、ニュージャージー州マウンテンサイド(Mountainside、NJ))から商品名ELBタイプSPA2030NDとして販売されているELB往復床研削機を使用した試験にかけた。研磨ベルトの有効切削面積は、2.5cm×96cmであった。このベルトで研磨した被工作物は、1018鋼材で、そのサイズは幅1.3cm×長さ35cm×高さ10cmであった。研磨は、1.3cm×35cmの辺に対して実施した。被工作物は、往復テーブル上に取り付けた。研磨ベルトの速度は、1676メートル/分(5500表面フィート/分)であった。被工作物を移動させるテーブルの速度は、6.1メートル/分(20フィート/分)であった。用いた方法は、通常の表面研削法で、回転している研磨ベルトの下て、被工作物を往復動させ、そのときの漸増させる下向きの送り(downfeeding)は、実施例1〜3および比較例Aに対しては、被工作物1パスあたり12.7マイクロメートル(0.5ミル)とした。実施例4〜6および比較例Bの場合には、被工作物1パスあたり17.8マイクロメートル(0.7ミル)に増加させた。この研削では、22.8リットル/分(6gpm)の水を供給しながら実施した。試験の終点は、実質的に全部の研磨コーティングがバッキングからすり減ってしまったところとした。被工作物の重量を、試験の前後に測定した。被工作物におけるこの重量の差を、「切削量(cut)」として記録した。
【0168】
実施例1〜6および比較例A〜Bの粒子を含む研磨物品についての試験結果を表5に示す。これらのデータから、湿式表面研削において、本発明による粒子から作製した研磨ベルトは、従来技術による粒子で作製した研磨ベルトより優れた性能を有していることが判る。
【0169】
【表5】
【0170】
実施例7〜10
実施例7〜10は、本発明の複合粒子の破壊靱性が、公知のもののそれと比較して改良されていることを示すために調製した。成形物品を以下の手順により調製した。
【0171】
実施例7〜10の組成物を表6に示す。破壊靱性を測定するための試験片は、組成物を真空下で個別に脱気し、0.25×1.5×3インチ(6.35×38.1×76.2mm)の大きさで上部と下部に石英ガラス板を有する型の中に、各種の組成物を注入して、調製した。次いでそれぞれの組成物をUV照射(D管、フュージョン・UV・システムズ社(Fusion UV Systems Incorporated、メリーランド州ーサーズバーグ(Gaithersburg、MD)))に暴露して架橋させたが、上部、下部の両方から、順次以下の出力レベルとコンベア速度で実施した。実施例7〜10はすべて、下記の4つの工程手順に従って暴露させた:(1)70フィート/分(21.3m/分)、両側ともランプ出力レベル400ワット/インチ;(2)70フィート/分(21.3m/分)、両側ともランプ出力レベル600ワット/インチ;(3)50フィート/分(15.2m/分)、両側ともランプ出力レベル600ワット/インチ;および(4)25フィート/分(7.6m/分)、両側ともランプ出力レベル600ワット/インチ。このようにゆっくりと架橋させたのは、薄い試験片の中に架橋による欠陥が生じるのを防ぐためである。UV暴露をしてから、すべての成形片を100℃、120℃そして140℃で各1時間ずつ加熱して、架橋させた。架橋させた試験片を次いで脱型し、試験片の形態をコンパクト試験片C(T)として、KIC(モードI臨界応力強度因子)破壊靱性試験(ASTM E399−90(1997))を行った。それぞれの組成物の平均の試験値を表6に示すが、ここで、KIC値が高いほど靱性が高くなっていることを表している。
【0172】
【表6】
【0173】
90度剥離接着試験
試験対象の研磨物品を、幅約3cm×長さ25cmの試料の形にした。木製ボード(17.8cm×7.6cm×0.6cm厚み)の長さの半分に、商品名スリーエム・ジェット・メルト・アドヘーシブ(3M JET MELT ADHESIVE)#3779を、商品名ポリガン(POLYGUN)IIと呼ばれる接着剤アプリケーターを使用してコーティングした(上記はいずれも、スリーエム社(3M Company、ミネソタ州セントポール(St. Paul、MN)))から入手可能)。次いで、研磨材料の試料を担持している方の側を、板の接着剤がコーティングしてある側に付着させて、接着剤を担持していない研磨試料の10cmがボードからはみ出るようにした。圧力をかけて、ボードと試料がしっかりと接着するようにし、充分な時間を与えて接着剤を冷却、固化させた。
【0174】
次いでこの試験用の試料を直線に沿って切断して、飛び出している研磨材試験片の幅を減らして5.1cmにした。こうして得られた研磨試料/ボードの複合物を、引張試験機(商品名シンテック(SINTECH)6W、エムティエス・システムズ社(MTS Systems Corp.、ミネソタ州エデンプレーリィ(Eden Prairie、MN))製)の上のチャックに垂直にとりつけ、研磨試料の飛び出し部分の約1cmを試験機の下側チャックに取り付けて、チャック間の距離を10.2cmとした。試験機でこれらのチャックの間隔を0.5cm/秒の速度で広げていき、研磨試料が木製ボードから90度の角度で引っ張られるようにして、試料をボードから剥離していった。試験機は、処理コーティングから布を剥離させるのに必要な、試験片の横幅1cmあたりの力を記録した。一般に、これに必要な力が大きいほど、研磨材コーティングが布のバッキングによく接着している。
【0175】
ロッカードラム(Rocker Drum、RD)試験
ロッカードラム試験によって、0.48cm平方の軟鋼被工作物を研磨する能力を評価した。より詳しくは、比較例Cおよび実施例1〜5の研磨物品を幅10.2cm×長さ15.2cmのシートの形状にし、これをロッカードラム試験機(試験機のタイプ)の円筒状のドラムに取り付け、これを1分間に約60ストロークの速度で前後に往復運動(ロック)させた(前後に完全に1往復させるのを、1ストロークと数える)。往復運動の間に、研磨物品が軟鋼の被工作物と接触した。被工作物に対する往復運動によって、研磨物品の上に約幅0.48cm×長さ14.0cmの範囲で摩耗がおきた。被工作物に加える圧力は、26.5Nまたは17.6Nのいずれかであった(記載のとおり)。被工作物における重量損失を測定して、表3の「炭素鋼切削量」に記録した。得られた結果は、表3に2回の試験の平均値として示した。研磨物品の試料の厚みをマイクロメータを使用して測定し、厚みの減少を「摩耗」として示した。
【0176】
比較例Cおよび実施例11〜15の研磨物品を作製する手順
比較例Cおよび実施例11〜15は、多官能(メタ)アクリレートモノマーのエポキシ官能性材料/環状無水物の組合せに対する比を変化させたときの効果を示すものである。
【0177】
比較例C
プレミックスを、以下の成分を組み合わせ、高剪断ミキサーを用いて混合することにより調製した:
【0178】
1892gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(商品名SR351として、サルトマー社(Sartomer Company、ペンシルバニア州ウェストチェスター(West Chester、PA))から入手);1076gのケイ灰石であるメタケイ酸カルシウム(NYCOミネラルズ社(NYCO Minerals Inc.,ニューヨーク州ウィルスボロ(Wilsboro、NY))から入手);18.9gの光重合開始剤(商品名イルガキュア(IRGACURE)819として、チバ・スペシャルティ・ケミカル社(Ciba Specialty Chemical Corporation、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown、NY))から入手);57.5gの二酸化ケイ素(商品名アエロジル(AEROSIL)OX−50として、デグッサ−ヒュールス社(Degussa−Huls Ltd.、ニュージャージー州リッジフィールド・パーク(Ridgefield Park、NJ))から入手);5gの濡れ剤(97重量%のリン酸化ポリエステルおよび3重量%のリン酸を含むもので、商品名ディスパーBYK(DISPERBYK)111として、BYK−ヘミー(BYK−Chemie、ドイツ国ヴェーゼル(Wesel、Germany))から入手);および10gのエポキシシラン接着促進剤(商品名シルケスト(Silquest)A−187として、OSI・スペシャルティ社(OSI Specialities、ウェストバージニア州、フレンドリ(Friendly、WV))から入手)。
【0179】
プレミックスの全量は3059.4gとなった。褐色酸化アルミニウム研磨グリット(2400g)(商品名デュラルム(DURALUM)GWとして、ワシントン・ミルズ・エレクトロミネラルズ(Washington Mills Electrominerals、ニューヨーク州ナイアガラフォールズ(Niagra Falls、NY))から入手)をこのプレミックスに添加、高剪断ミキサーで混合して、研磨材スラリーを形成させた。
【0180】
この研磨材スラリーを、通常のラテックス−フェノール処理ポリエステル布の上にコーティングした。このスラリーを布のおもて面(すなわち、バックサイズとは反対の面)の上に、ナイフコーターを用いてコーティングしたが、ナイフコーターは実施例17を除いた他のすべての実施例では、ギャップが305マイクロメートル(12ミル)で塗布速度を約15.24メートル/分とし、実施例17では塗布速度を約5.79メートル/分とし、それによって研磨材スラリーが布のおもて面を濡らすようにした。次いで、ポリプロピレン製の製造用具ローラーのキャビティを、スラリーをコーティングしたバッキングの上に押さえつけて、その研磨材スラリーに製造用具のパターンの模様をつけた。
【0181】
比較例Cおよび実施例1〜5を作製するための製造用具およびそれを作製するプロセスは、米国特許第5,946,991号(フープマン(Hoopman))の実施例1に記載されているのと同様である。それらの製造用具では、ピラミッド状のキャビティが疑似乱数的配列(pseudo−random array)となっている。キャビティの高さはすべて、約20ミル(508μm)であった。ピラミッド状キャビティの底辺の幅は、39.9、33.7、28.4または23.7ミル(1.0、0.86、0.72または0.60mm)であった。ピラミッド状キャビティの疑似乱数的配列の例が、図11に示されている。
【0182】
比較例Cおよび実施例11〜15で使用される製造用具によって形成される特定の研磨突起は、高さが507マイクロメートル(20ミル)の4辺を有するピラミッドであった。この製造用具で形成されるピラミッドのパターンは、2つの隣接するピラミッドが同じ形状にならない、すなわち、隣接するピラミッドの間の角度が、ピラミッドの辺の長さと同様に、ランダムになっていた。2つの隣接するピラミッドの間の角度の最大と最小は、それぞれ60度および90度であった。
【0183】
2つのD球(フュージョン・UV・システムズ(Fusion UV Systems、メリーランド州ーサーズバーグ(Gaithersburg、MD))製造)から放射される線量約236ワット/cm(600ワット/インチ)の紫外/可視光線を、製造用具を通過させて研磨材スラリーに当てた。この紫外/可視光線によって組成物の架橋が開始され、研磨材スラリーから研磨突起が形成されて、それが布バッキングに付着または固定された。
【0184】
最終的に、この研磨物品を製造用具から分離した。
【0185】
実施例11
比較例Cの手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が1419g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が14.2gであり、そしてプレミックスを製造する際に下記の成分がふくまれる:328gのビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料(商品名エポン(EPON)825として、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX))から入手);140gのヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)(バッファロー・カラー社(Buffalo Color Corporation、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo、NY)))から入手);および、10gのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)(商品名SAR−CAT CD1010として、サルトマー社(Sartomer Company、ペンシルバニア州ウェストチェスター(West Chester、PA))から入手)。プレミックスの全量は3059.7gとなった。比較例Cの量を基準にすると、存在している多官能(メタ)アクリレートの量は75重量%であった。
【0186】
実施例12
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が1136g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が11.4g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が524g、HHPAの量が225g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が15gであった。プレミックスの全量は3059.9gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は60重量%であった。
【0187】
実施例13
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が942g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が9.4g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が659g、HHPAの量が282g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が19gであった。プレミックスの全量は3059.9gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は50重量%であった。
【0188】
実施例14
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が756g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が7.6g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が787g、HHPAの量が337g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が23gであった。プレミックスの全量は3059.1gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は40重量%であった。
【0189】
実施例15
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が473g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が4.7g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が983g、HHPAの量が421g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が29gであった。プレミックスの全量は3059.2gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は25重量%であった。
【0190】
比較例Dならびに実施例16および17
表7に列記した成分を組み合わせ、高剪断ミキサーを用いて混合することによって、プレミックスを調製した。
【0191】
【表7】
【0192】
比較例CおよびDならびに実施例11〜17は、(メタ)アクリレートモノマーのエポキシ/環状無水物組合せに対する比を変更して場合の効果を示している。研磨物品は、上記の研磨物品を作製するための手順に従って作製した。比較例CおよびDならびに実施例11〜17は、表7に示した組成物である。比較例CおよびDならびに実施例11〜17の研磨物品は、90度剥離試験によって接着性の試験をし、また、比較例Cおよび実施例1〜5については、ロッカードラム試験によって切削性を試験した。表8に示した結果から、エポキシ官能性材料および環状無水物を少なくとも全量の25重量%含む研磨材複合材料では、優れた接着性、大きな切削量、および長寿命が得られることが判る。
【0193】
【表8】
【0194】
上記の詳細な説明および実施例は、理解を明らかにする目的だけのために記載したものである。それらが、不必要な限定をしていると受け取ってはならない。本発明は、記載をし説明をしてきた詳細そのものに限定される訳ではなく、当業者には明らかな各種の変更もまた、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内に含まれるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本発明による例示的な粒子を作製するためのプロセスを実施する方法を示した概略的な側面図である。
【図2】本発明による例示的な粒子を作製するためのプロセスを実施する別の方法を示した概略的な側面図である。
【図3】本発明による例示的な粒子を作製するためのプロセスを実施するさらに別の方法を示した概略的な側面図である。
【図4】本発明による例示的な粒子を使用した研磨物品を高さ方向で見た、概略的な側面図である。
【図5】本発明による例示的な粒子を使用した別の研磨物品を高さ方向で見た、概略的な側面図である。
【図6】本発明による例示的な粒子を使用したさらに別の研磨物品を高さ方向で見た、概略的な側面図である。
【図7】本発明による例示的な粒子を含む本発明による研磨物品を固結させた実施態様を示す概略図である。
【図8】本発明による例示的な粒子を含む本発明による研磨物品を不織布に付けた実施態様を示す概略図である。
【図9】図1に示した製造用具のセグメントの透視図である。図9に示したセグメントは実質的には、図1、2および3の製造用具のセグメントと同じである。
【図10】本発明による例示的な粒子を作製するまた別の方法の概略的な側面図である。
【図11】本発明による研磨物品の実施態様を切断した側面図である。
【図12】本発明による研磨物品の実施態様を作製するための装置の概略図である。
【図13】本発明による研磨物品の実施態様の斜視図である。
【図14】本発明による研磨物品の実施態様を作製するための装置の概略図である。
【0001】
本発明は、ポリマー材料を含む研磨物品、およびそのような物品を製造するための方法に関する。そのような物品に含まれるのは、(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種を含む成分の反応生成物、および/または(2)少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせて調製できるポリマー材料、を含むポリマー材料である。
【背景技術】
【0002】
従来のコーテッド研磨物品では、複数の研磨粒子を含むバッキングを有し、それらの粒子はバッキングの少なくとも1つの主表面に、1種または複数のバインダー(たとえば、メイクコート、サイズコートおよびスーパーサイズコートなど)によって接合されている。研磨物品(たとえば構造化研磨物品)はスラリーから形成するのが好ましく、バインダー中に分散させた複数の研磨粒子を含む研磨材層を、その少なくとも1つの主表面に担持するバッキングが含まれる。
【0003】
一般には、コーテッド研磨物品の使用寿命の間には、バッキングに接着させたこの研磨グリットのほんの一部分だけが実際に使用されるに過ぎない。この層の中にある研磨グリットの大部分は無駄になっている。さらに、このバッキングはコーテッド研磨物品の材料の中でも高価な方の部類に入るが、すり減る前に廃棄しなければならない。
【0004】
研磨グリットのより多くの部分を実際に使用し、それによってコーテッド研磨物品の使用寿命を延ばすことを目的として、バッキング上に研磨材を分布させる多くの試みがくり返されてきた。コーテッド研磨物品の寿命が延びれば、ベルトやディスクを交換する必要性が減り、時間も手間も節約できる。単にバッキング上に研磨グリットの厚い層を付着させるだけでは、表面のグリットよりも下にあるグリットはやはり使用されないので、この問題の解決にはならない。
【0005】
コーテッド研磨物品の寿命を延ばすために、そのような物品中に研磨グリット分散させる方法は、いくつか知られている。そのような方法の1つとして、研磨物品中に研磨凝集物を組み込む方法がある。研磨凝集物は、バインダーを用いて研磨グリットを接合させて、固めたものである。丁寧に形を整えた研磨凝集物もあれば、形やサイズがバラバラな研磨凝集物もある。研磨グリットを加えない、丁寧に形を整えたバインダーの粒子もある。研磨材業界においては、改良された性能を有する研磨凝集物を得るためのバインダーとして有用な、熱硬化性ポリマー材料が、依然として求められている。
【0006】
構造化された研磨物品では、研磨材層は、複数の成形された研磨材複合材料がバッキングに結合された形をとる。有用なバッキングとしては、たとえば、紙、ポリマーフィルム、バルカンファイバー、不織布基材および布などが挙げられる。布のバッキングは一般に、ステッチボンドまたは織布である。これらのバッキングでは、1層または複数の処理コーティングを適用することが多く、それによって布を覆って個々の繊維を保護する。構造化された研磨物品は特許文献1(ピーパー(Pieper)ら)、特許文献2(フープマン(Hoopman)ら)、特許文献3(ステゼル(Stoetzel)ら)に開示されている。
【特許文献1】
米国特許第5,152,917号公報
【特許文献2】
米国特許第5,681,217号公報
【特許文献3】
米国特許第5,855,652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある種の公知の構造化された研磨物品は、多くの仕上げ作業や研削作業で有効に使用されている。しかしながら、さらに性能の優れたものへの要求は常に存在する。性能を改善すれば特に有用な分野としては、湿式研削および仕上げ作業や、研削除去率(stock removal rates)が高く研磨材寿命が長いことが望まれる目の粗いグレードの製品などがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において本発明は、ポリマー材料および複数の研磨グリットを含む離散粒子(discrete particle)を提供し、ここでそのポリマー材料は、(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含む。この成分は(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいるのが好ましい。
【0009】
また別の態様において本発明は、複数の研磨グリット、および少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できるポリマー材料を含む離散粒子を提供する。このポリマー材料を、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。
【0010】
別の態様において本発明は、(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含むポリマー材料を含む複数の離散粒子を含む研磨物品を提供する。この成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいるのが好ましい。この粒子の少なくとも一部には複数の研磨グリットを含んでいるのが好ましい。この物品には、その粒子の少なくとも一部に付着したバッキングおよび/または不織ウェブが含まれているのが好ましい。
【0011】
また別の態様において本発明は、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できるポリマー材料を含む複数の粒子を含む研磨物品を提供する。このポリマー材料を、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。この粒子の少なくとも一部には複数の研磨グリットを含んでいるのが好ましい。この物品には、その粒子の少なくとも一部に付着したバッキングが含まれているのが好ましい。
【0012】
また別の態様において本発明は、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)複数の研磨グリット、および任意成分としての(d)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて組成物を提供する工程と、その組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化して離散粒子を提供する工程と、を含む、離散粒子を調製する方法を提供する。好ましくはこの方法には、組成物の少なくとも一部を照射する工程を含む。好ましくはこの方法には、組成物の少なくとも一部を熱的に硬化する工程を含む。
【0013】
一実施態様において、離散粒子を調製するこの方法は、三次元ボデー中に1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程と、組成物をその1つ以上のキャビティの少なくとも一部に導入する工程と、を含む。好ましくはこの方法には、製造用具の1つ以上のキャビティの少なくとも一部において、組成物の少なくとも一部を部分的に硬化することを含む。好ましくはこの方法には、キャビティから離散粒子を除去する工程を含む。
【0014】
したがって本発明により、粒子の形状および組成を変化させることによって、特定の用途に適合した粒子を設計することが可能となる。
【0015】
また別の態様においては本発明は、主表面を有するバッキング;主表面に付着された複数の突起(projection);および(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物をふくむバインダー、を含む研磨物品を提供する。この成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいるのが好ましい。任意に、このバインダーにはさらに複数の研磨グリットを含む。この突起は研磨グリットを含む複合物突起であるのが好ましい。このバインダーは、バッキング中、バッキング上または突起中に存在するのが好ましい。
【0016】
また別の態様においては本発明は、主表面を有するバッキング;主表面に付着された複数の突起;および少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることにより調製したバインダー、を含む研磨物品を提供する。このバインダーを、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。任意に、このバインダーには複数の研磨グリットをさらに含む。この突起は研磨グリットを含む複合物突起であるのが好ましい。このバインダーは、バッキング中、バッキング上または突起中に存在するのが好ましい。
【0017】
また別の態様においては本発明は、研磨物品を作製する方法を提供するが、その方法は、1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程であって、その1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中には、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製される組成物を含ませ、その製造用具には1つ以上のキャビティに近接する主表面を有するバッキングを有する工程と;組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化することによって、研磨物品を形成する工程と、を含む。この組成物を、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて調製するのが好ましい。製造用具を提供する際に、任意に、バッキングの主表面と1つ以上のキャビティの少なくとも一部との間に中間体層をさらに提供することもできる。好ましくはこの方法は、組成物の少なくとも一部を照射する工程を含む。好ましくはこの方法は、研磨物品の少なくとも一部を熱的に硬化する工程を含む。
【0018】
一実施態様においては、研磨物品を作製する方法は、1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程であって、その1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中には、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製される組成物を含ませる工程と;バッキングの主表面を1つ以上のキャビティの少なくとも一部に適用する公知と、を含む。この組成物はバッキングの主表面を濡らすようにしておくのが好ましい。
【0019】
また別の実施態様においては、研磨物品を作製する方法は、1つ以上のキャビティを有する三次元ボデーを含む製造用具を提供する工程と;1つ以上のキャビティの少なくとも一部にバッキングの主表面を適用して、その上に、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製された組成物を有するようにする工程と、を含む。
【0020】
本発明は、研磨物品を作製する方法を提供する。この方法の実施態様では、以下の性質、すなわち、優れた湿式研削性能、優れた研削除去率および優れた研磨材寿命、の1つ以上を備えた研磨物品を作製するのが好ましい。
【0021】
定義
本明細書で使用する場合、「バインダー前駆体」という用語は、流動性がある(conformable)かまたは、熱もしくは圧力またはその両方を加えることによって流動性が得られ、かつ、照射エネルギーもしくは熱エネルギーまたはその両方の手段を用いると流動性が無い状態にすることができる、すべての材料を意味する。バインダー前駆体には、本発明によるポリマー材料および研磨グリット、充填材および研削助剤も含めて任意の材料を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「バインダー」という用語は、固化させて取り扱いが可能となった材料を指す。このバインダーは、バインダー前駆体を反応させることで、実質的に流動せず、実質的な形状変化を起こさない材料(たとえば粒子)とすることによって形成するのが好ましい。「バインダー」と表現する場合、バインダー前駆体が(たとえば、重合または架橋により)完全に反応している必要はなく、ただ、製造用具が動き続けている間にも、バインダーの形状に実質的な変化を起こさせることなく、その製造用具からバインダーを取り外すことが可能な程度に反応していればよい。
【0023】
構成成分の使用を決める場合には任意に、単一の成分を用いてもよいし、材料の組合せまたは混合物として用いてもよいことは、理解しておくべきである。同様に、「a」、「an」および「the」を付けたものの意味は、単数同様に複数をも示すと解釈されるべきである。また、「約」という用語を含む数値が意味するのは、その特定の数値にほどほどに近い少し大きい数値および少し小さい数値の両方が含まれるということである。たとえば、「約」という用語を使用することで、ある特定の数値よりも10%多い、または10%少ない性能値も含まれると考えるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明による研磨物品を作製するために有用な離散粒子およびバインダーを作製するために有用なポリマー材料には、(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を含む成分の反応生成物;および/または(2)少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を組み合わせて調製したポリマー材料、が含まれる。本発明による研磨物品を作製するのに有用な離散粒子またはバインダーを作製するには、1種または複数のポリマー材料を使用することができる。その内部にポリマー材料を含む研磨物品は、同時係属出願中の米国特許出願第09/812,174号(出願2001年3月20日、名称「ポリマー材料を有する研磨物品(ABRASIVE ARTICLES HAVING A POLYMERIC MATERIAL)にも記載されている。
【0025】
この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約1重量%のエポキシ官能性材料、より好ましくは少なくとも約20重量%のエポキシ官能性材料、そして最も好ましくは少なくとも約30重量%のエポキシ官能性材料が含まれる。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約90重量%のエポキシ官能性材料、より好ましくは多くても約80重量%のエポキシ官能性材料、そして最も好ましくは多くても約60重量%のエポキシ官能性材料が含まれる。
【0026】
この成分には、エポキシ官能性材料のエポキシ官能基の1当量あたり、好ましくは少なくとも約0.1モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、より好ましくは少なくとも約0.2モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、そして最も好ましくは少なくとも約0.3モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸が含まれる。この成分には、エポキシ官能性材料のエポキシ官能基の1当量あたり、好ましくは多くても約1.3モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、より好ましくは多くても約1.0モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、そして最も好ましくは多くても約0.8モルの環状無水物および/またはそれから誘導される二酸が含まれる。
【0027】
ポリマー材料を作製するために使用する成分に多官能(メタ)アクリレートが含まれる場合には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%の多官能(メタ)アクリレート、より好ましくは少なくとも約10重量%の多官能(メタ)アクリレート、そして最も好ましくは少なくとも約20重量%の多官能(メタ)アクリレートが含まれる。ポリマー材料を作製するために使用する成分に多官能(メタ)アクリレートが含まれる場合には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約80重量%の多官能(メタ)アクリレート、より好ましくは多くても約70重量%の多官能(メタ)アクリレート、そして最も好ましくは多くても約60重量%の多官能(メタ)アクリレートが含まれる。
【0028】
エポキシ官能性材料
本発明による研磨物品を作製するのに有用な離散粒子およびバインダーを作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用なエポキシ官能性材料の例を挙げれば、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4206)、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4221)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4234)、ビス(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)アジペート(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4299)、ジペンテンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(たとえば、FMC社(FMC Corp.、テキサス州パサデナ(Pasanda、TX)からの商品名オキシロン(OXIRON)2001)、エポキシ官能基を有するシリコーン樹脂、エポキシシラン(たとえば、ベータ−3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ユニオン・カーバイド(Union Carbide、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))から入手可能)、グリシドール、グリシジル−メタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(たとえば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX)から商品名エポン(EPON)825、エポン(EPON)828、エポン(EPON)1004、およびエポン(EPON)1001Fとして入手可能なもの)、および、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.、ミシガン州ミッドランド(Midland、MI))からのDER−332およびDER−334)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(たとえば、バニチコ社(Vanitico Inc.、ニューヨーク州ブルースター(Brewster、NY))からの商品名アラルダイト(ARALDITE)GY281)、難燃性エポキシ官能性材料(たとえば、臭素化ビスフェノールタイプのエポキシ官能性材料で、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.、ミシガン州ミッドランド(Midland、MI))から入手可能な商品名DER−542)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(たとえば、バニチコ社(Vanitico Inc.、ニューヨーク州ブルースター(Brewster、NY))からの商品名アラルダイト(ARALDITE)RD−2)、水素化ビスフェノールA−エピクロロヒドリンからのエポキシ官能性材料(たとえば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX))からの商品名エポネックス(EPONEX)1510)、およびフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(たとえば、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.、ミシガン州ミッドランド(Midland、MI))からの商品名DEN−431およびDEN−438)、およびトリフェノールメタン−エピクロロヒドリン系のエポキシ官能性材料(たとえば、バニチコ社(Vanitico Inc.、ニューヨーク州ブルースター(Brewster、NY))からの商品名タクティクス(TACTIX)742)などが挙げられる。
【0029】
本発明によるある種の実施態様においては、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))からの商品名ERL−4221)および、ビスフェノールAのジグリシジルであるエポキシ官能性材料(たとえば、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX))からの商品名エポン(EPON)825、エポン(EPON)828、エポン(EPON)1001Fおよびエポン(EPON)1004)が特に有用である。
【0030】
環状無水物および/またはそれらから誘導される二酸
本発明による研磨物品を作製するのに有用な離散粒子およびバインダーを作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用な環状無水物の例を挙げれば、無水マレイン酸、無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、無水フタル酸、ナド酸無水物、ピロメリット酸無水物、およびそれらの混合物などを挙げることができる。本発明によるある種の実施態様において特に有用な環状無水物はヘキサヒドロフタル酸無水物であって、これはたとえば、バッファロー・ケミカル・カラー社(Buffalo Chemical Color Corporation、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo、NY))から入手することができる。
【0031】
環状無水物を加水分解させて、それからの二酸を作ることもできる。この二酸は、本発明による研磨物品を作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用である。
【0032】
任意成分の多官能(メタ)アクリレート類
本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレート」という用語にはアクリレート類およびメタクリレート類が包含される。「多官能(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリレート部分が平均して、1分子あたりの(メタ)アクリレート官能性の約1.0当量よりも多いことを意味している。
【0033】
本発明による離散粒子を作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用な多官能(メタ)アクリレート類としては、たとえば、脂肪族または芳香族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエステル化合物がある。(メタ)アクリル酸は不飽和カルボン酸であって、たとえば次式で表されるが、CH2=C(R)C(O)OH、ここでRは水素原子またはメチル基である。
【0034】
多官能(メタ)アクリレート類は、モノマー、オリゴマー、またはポリマーであってよい。本発明の目的においては、「モノマー」という用語は、分子量が約400ダルトン未満の分子で、同一または他のモノマーと化学結合して長い鎖(重合鎖または巨大分子)を形成するような固有の能力を有しているものを意味する。本明細書においては、「オリゴマー」という用語は、2〜20の反復単位(たとえば、2量体、3量体、4量体、など)を有する分子で、同一または他のオリゴマーと化学結合してそれからより長い重合鎖を形成できるような固有の能力を有しているものを意味する。本明細書においては、「ポリマー」という用語は、20より大きい反復単位を有する分子で、同一または他のポリマーと化学結合してそれからより長い重合鎖を形成できるような固有の能力を有しているものを意味する。本発明において使用される多官能(メタ)アクリレートには、たとえば、多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、および多官能(メタ)アクリレートポリマーがある。いくつかの実施態様においては、モノマーおよび/またはオリゴマーが特に有利であるが、その理由は、それらがバッキング処理組成物に与える粘度がポリマーの場合よりも低い傾向があり、これが実施態様によってはコーティングの際に有利となるからである。
【0035】
有用な多官能(メタ)アクリレートモノマーとしてはたとえば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、およびネオペンチルグリコールジアクリレートなどを挙げることができる。いくつかの実施態様では、多官能(メタ)アクリレートモノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に有用に使用することができる。
【0036】
有用な多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、たとえば商品名SR351として入手可能;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、たとえば商品名SR454として入手可能;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、たとえば、商品名SR295として入手可能;および、ネオペンチルグリコールジアクリレート、商品名SR247として入手可能;などを挙げることができ、これらの商品はすべて、サルトマー社(Sartomer Co.、ペンシルバニア州エクストン(Exton、PA)から入手できる。
【0037】
有用な多官能(メタ)アクリレートオリゴマーには、(メタ)アクリレート化ポリエーテルおよびポリエステルオリゴマーがある。有用な(メタ)アクリレート化ポリエーテルオリゴマーの例としてはポリエチレングリコールジアクリレート類があり、サルトマー社(Sartomer Co.、ペンシルバニア州エクストン(Exton、PA)から商品名SR259およびSR344として入手可能である。(メタ)アクリレート化ポリエステルオリゴマーも、たとえば、UCB・スペシャルティ・ケミカルズ(UCB Specialty Chemicals、ジョージア州、スマーナ(Smyrna、GA))から商品名エベクリル(EBECRYL)657およびエベクリル(EBECRYL)830として入手可能である。
【0038】
その他の有用な多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、(メタ)アクリレート化エポキシがあり、これに含まれるのは、エポキシ官能性材料のジアクリレート化エステル(たとえば、ビスフェノールAエポキシ官能性材料のジアクリレート化エステル)および(メタ)アクリレート化ウレタンである。有用な(メタ)アクリレート化エポキシとしてはたとえば、UCB・スペシャルティ・ケミカルズ(UCB Specialty Chemicals、ジョージア州、スマーナ(Smyrna、GA))から商品名エベクリル(EBECRYL)3500、エベクリル(EBECRYL)3600、エベクリル(EBECRYL)3700、およびエベクリル(EBECRYL)3720として入手可能なアクリレート化エポキシがある。有用な(メタ)アクリレート化ウレタンとしてはたとえば、UCB・スペシャルティ・ケミカルズ(UCB Specialty Chemicals、ジョージア州、スマーナ(Smyrna、GA))から商品名エベクリル(EBECRYL)270、エベクリル(EBECRYL)1290、エベクリル(EBECRYL)8301およびエベクリル(EBECRYL)8804として入手可能なアクリレート化ウレタンがある。
【0039】
多官能(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマーおよびポリマーはそれぞれ一般的に、反応により網目構造をとるが、それは、それぞれモノマー、オリゴマーおよびポリマーの中で複数の官能基を有しているからである。
【0040】
任意の添加剤
フリーラジカル重合開始剤。本明細書で使用する場合、「フリーラジカル重合開始剤」という用語は、多官能(メタ)アクリレートに少なくとも部分的な反応を起こさせる、フリーラジカル種を発生させることが可能な原料を指す。有用なフリーラジカル重合開始剤の例としては、フリーラジカル光重合開始剤およびフリーラジカル熱重合開始剤を挙げることができる。
【0041】
フリーラジカル重合開始剤は、多官能(メタ)アクリレート(存在した場合には)の反応を促す成分として加えることができるが、電子ビーム源もまたフリーラジカルを発生させるために使用することができることは、理解されたい。フリーラジカル重合開始剤は、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応より前に、多官能(メタ)アクリレートを反応させたい時に加えるのが好ましい。
【0042】
化学線(たとえば、紫外線および可視光線)は、放射性および非放射性の熱エネルギー源とは異なって、一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を開始させることはない。加えて、化学線を使用すると一般に、熱エネルギー源の場合よりも、多官能(メタ)アクリレートに急激な反応を起こさせる。放射性の熱源としては、赤外やマイクロ波源がある。非放射性の熱源としては、空気流通炉(air impingement oven)がある。多官能(メタ)アクリレートの反応と、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応とが共に起きる温度は、状況によって変化しうるが、いくつかの実施態様においては、たとえば温度が50℃を超えたり、あるいは60℃を超えたりするとそれら両方の反応を起こすことができる。
【0043】
フリーラジカル重合開始剤の量を増やすと一般的には、多官能(メタ)アクリレート(存在する場合には)の反応速度が大きくなる。フリーラジカル重合開始剤の量を増やすとまた、いくつかの実施態様では、多官能(メタ)アクリレートの反応を起こさせるのに必要なエネルギー供給量を減少させることもできる。フリーラジカル重合開始剤の量は一般に、多官能(メタ)アクリレートを反応させるときの希望の反応速度、エネルギー源の強さ、および組成物の厚みによって決められる。
【0044】
この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%のフリーラジカル重合開始剤、より好ましくは少なくとも約0.4重量%のフリーラジカル重合開始剤を含む。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約5重量%のフリーラジカル重合開始剤、より好ましくは多くても約4重量%のフリーラジカル重合開始剤、そして最も好ましくは多くても約2重量%のフリーラジカル重合開始剤を含む。
【0045】
フリーラジカル光重合開始剤。紫外線に暴露したときにフリーラジカルを発生する有用な光重合開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、アシルハライド、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアシルイミダゾール、アシルホスフィンオキシド、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、アセトフェノン誘導体およびこれらの混合物などを挙げることができる。紫外線で使用する有用なフリーラジカル発生開始剤の例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン開始剤があり、たとえばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Cpecialty Chemicals、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown、NY))から商品名イルガキュア(IRGACURE)651として入手可能である。可視光線に暴露したときにフリーラジカルを発生する光重合開始剤の例は、米国特許第4,735,632号(オクスマン(Oxman)ら)に記載がある。
【0046】
フリーラジカル熱重合開始剤。本発明において使用可能なフリーラジカル熱重合開始剤には、アゾ、過酸化物、過硫酸塩、およびレドックス開始剤などがある。
【0047】
好適なアゾ重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名バゾ(VAZO)33として入手可能);2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名バゾ(VAZO)50として入手可能);2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名バゾ(VAZO)52として入手可能);2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(商品名バゾ(VAZO)64として入手可能);2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(商品名バゾ(VAZO)67として入手可能);1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(商品名バゾ(VAZO)88として入手可能)以上はすべてE.I.デュポン・ド・ヌムール社(E.I. Dupont de Nemours and Comapny、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington、DE))から入手可能であり、また、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)(和光純薬工業(株)(Wako Pure Chemical Industries、Ltd.、日本国大阪)から商品名V−601として入手可能)などが挙げられる。
【0048】
好適な過酸化物重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジアセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート((アクゾ・ケミカルズ社(Akzo Chemicals、Inc.、イリノイ州シカゴ(Chicago、IL))から商品名ペルカドクス(PERKADOX)16として入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート(アトケム・ノース・アメリカ・ルシドール・ディビジョン(Lucidol Division、Atochem North America、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo、NY))から商品名ルパゾール(LUPERSOL)11として入手可能)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(アクゾ・ケミカルズ社(Akzo Chemicals、Inc.、イリノイ州シカゴ(Chicago、IL))商品名トリゴノクス(TRIGONOX)21−C50として入手可能、)および過酸化ジクミルなどが挙げられる。
【0049】
好適な過硫酸塩重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0050】
好適なレドックス(酸化−還元)重合開始剤としては、過硫酸塩重合開始剤と、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組合せ;有機過酸化物と第三級アミンとを組み合せたシステム(たとえば、ベンゾイルペルオキシドとジメチルアニリン);および有機ヒドロペルオキシドと遷移金属とを組み合わせたシステム(たとえば、クメンヒドロペルオキシドとナフテン酸コバルト)などが挙げられる。
【0051】
硬化剤。本発明で使用される成分にはさらに、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を促進する硬化剤を加えてもよい。本明細書で使用する場合、「硬化剤(curing agent)」という用語は、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とエポキシ官能性材料の間の反応速度を上昇させる物質を指す。環状無水物および/またはそれから誘導される二酸は、「硬化剤」の定義には含めない。好適な硬化剤の例としては、たとえば触媒および加硫剤が含まれる。「触媒(catalyst)」は、そのような反応の速度を上げるが、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との間の反応生成物には含まれない硬化剤を言う。「加硫剤(curative)」は、そのような反応の速度を上げ、そしてエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との間の反応生成物に組み込まれる硬化剤を言う。
【0052】
環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とエポキシ官能性材料とが反応すると一般にはエステル結合が生じる。硬化剤は、たとえば、紫外線または可視光線の照射や、加速粒子(たとえば、電子ビーム照射)、または熱的(たとえば、放射性および非放射性熱源)に暴露することによって、活性化される。
【0053】
所望により、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、多官能(メタ)アクリレート(存在すれば)を反応させてもよい。その際に使用するエネルギー源および硬化剤のタイプは、多官能(メタ)アクリレートの反応と同時には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を起こさせないようなものを選ぶのが好ましい。いくつかの実施態様においては、紫外線または可視光線の照射およびフリーラジカル光重合開始剤を用いて多官能(メタ)アクリレートを反応させ、それに続けて熱硬化剤を使用した熱エネルギー源でエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸を反応させるのが有利である。エポキシ官能性材料、環状無水物、および/またはそれから誘導される二酸はフリーラジカル的な架橋性はないので、一般的には紫外線照射による多官能(メタ)アクリレートの反応による影響は、その光によって大量の熱が発生しない限り、受けることはないが、ただし、この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%の硬化剤、より好ましくは少なくとも約0.4重量%の硬化剤を含む。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約20重量%の硬化剤、より好ましくは多くても約4重量%の硬化剤、そして最も好ましくは多くても約3重量%の硬化剤が含まれる。いくつかの実施態様においては、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、多官能(メタ)アクリレートを反応させるのは望ましくない場合もある。そのような実施態様では、たとえば加熱硬化剤、加熱フリーラジカル重合開始剤および熱エネルギー源を使用することができる。
【0054】
硬化剤の量を増やすと一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応速度が加速される。硬化剤の量を増やすことで一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を起こすのに必要なエネルギー暴露量が減少し、使用温度でのポットライフが短くなる。硬化剤の量は一般に、組成物を硬化するときの希望の反応速度、エネルギー源の強さ、および組成物の厚みによって決められる。
【0055】
有用な硬化剤触媒の例としては、加熱触媒および光触媒が挙げられる。
【0056】
加熱触媒硬化剤。有用な加熱触媒硬化剤の例を挙げれば、ルイス酸およびルイス酸錯体からなる群より選択されるもので、たとえば、三塩化アルミニウム;三臭化アルミニウム;三フッ化ホウ素;三塩化ホウ素;五フッ化アンチモン;四フッ化チタン;および、三フッ化ホウ素と三塩化ホウ素との錯体で、たとえばBF3・ジエチルアミンとBCl3・アミン錯体で、CVC・スペシャルティ・ケミカルズ(CVC Specialty Chemicals、ニュージャージー州メイプルシェード(Maple Shade、NJ))から入手可能な商品名オミキュア(OMICURE)BC−120などを挙げることができる。
【0057】
有用な加熱触媒硬化剤をさらに挙げれば、脂肪族および芳香族第3級アミンの、たとえば、ジメチルプロピルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、およびジメチルベンジルアミン;イミダゾールのたとえば、2−エチルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミダゾール(エア・プロダクツ(Air Products、ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown、PA))から商品名イミキュア(IMICURE)EMI−2,4として入手可能);ヒドラジドのたとえば、アミノジヒドラジド;グアニジンのたとえば、テトラメチルグアニジン;およびジシアンジアミドなどが挙げられる。
【0058】
光触媒硬化剤。この硬化剤はたとえば、化学線(たとえば紫外線および可視光線)によって活性化されるカチオン性光触媒でよい。
【0059】
有用なカチオン性光触媒は一般に、プロトン性酸またはルイス酸のいずれかである。有用なカチオン性光触媒としては、オニウムカチオンおよび金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを有する塩がある(たとえば、アリールスルホニウム塩で、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))から入手可能な商品名サイラキュア(CYRACURE)UVI−6974およびサイラキュア(CYRACURE)UVI−6976)。他の有用なカチオン性光触媒としては、有機金属錯体カチオンおよび金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩があり、これについては、さらに詳しくは米国特許第4,751,138号((テュメィ(Tumey)ら)に記載がある。また別の有用なカチオン性触媒は、有機金属塩とオニウム塩とを組み合わせたもので、米国特許第4,985,340号(パラゾット(Palazotto)ら)および欧州特許公開第306,161号(パラゾット(Palazotto)ら、1989年3月8日発行)および同第306,162号(パラゾット(Palazotto)ら、1989年3月8日発行)に記載されている。さらに他の有用なカチオン性光触媒としては、有機金属錯体のイオン性塩があって、そこでの金属は周期律表の第IVB、VB、VIB、VIIBおよびVIII族元素から選択されるが、これについては欧州特許公開第109,851号(パラゾット(Palazotto)ら、1984年5月30日発行)に記載がある。
【0060】
硬化剤。いくつかの実施態様では、他の有用な硬化剤として脂肪族および芳香族アミン硬化剤がある。脂肪族アミン硬化剤の例としては、エタノールアミン;1,2−ジアミノ−2−メチル−プロパン;2,3−ジアミノ−2−メチル−ブタン;2,3−ジアミノ−2−メチル−ペンタン;2,4−ジアミノ−2,6−ジメチルオクタン;およびジブチルアミンジオクチルアミンなどが挙げられる。芳香族アミン硬化剤の例としては、o−フェニレンジアミン;4,4−ジアミノジフェニルスルホン;3,3’−ジアミノジフェニルスルホン;4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド;4,4’−ジアミノジフェニルケトン;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ジアミノジフェニルメタン;および1,3−プロパンジオール−ビス(4−アミノベンゾエート)などが挙げられる。いくつかの実施態様においては、芳香族アミン硬化剤の方が有利なことがあるが、それは、脂肪族アミン硬化剤の場合よりも得られるポリマー材料での性質が一般に向上するからである。
【0061】
硬化剤の量を増やすと一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応速度が加速される。硬化剤の量を増やすことで一般的には、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸との反応を起こすのに必要なエネルギー暴露量が減少し、使用温度でのポットライフが短くなる。硬化剤の量は一般に、組成物を硬化するときの希望の反応速度、エネルギー源の強さ、および組成物の厚みによって決められる。
【0062】
前述のように、硬化剤は任意成分である。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.1重量%の硬化剤、より好ましくは少なくとも約0.4重量%の硬化剤を含む。この成分には、エポキシ官能性材料、環状無水物および/またはそれから誘導される二酸、および任意成分の多官能(メタ)アクリレートの組合せの全重量を基準にして、好ましくは多くても約20重量%の硬化剤、より好ましくは多くても約10重量%の硬化剤を含む。
【0063】
他の官能性添加剤。本発明によるポリマー材料には、以下の(1)および/または(2)に加えて1種または複数の添加剤を任意に加えることができる:(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意の(c)多官能(メタ)アクリレートを含む成分の反応生成物;(2)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意の(c)多官能(メタ)アクリレートを組合せて調製できるポリマー材料。有用な添加剤としては、充填材(たとえば研削助剤も含む)、繊維、潤滑剤、濡れ剤、界面活性剤、顔料、染料、カップリング剤、可塑剤、帯電防止剤、および沈殿防止剤などがある。本発明による組成物には、水または有機溶媒を任意に含んでいてもよい。
【0064】
充填剤をもし添加するならば、ポリマー材料の結合特性に悪影響をおよぼさないものにすべきである。本発明に好適な充填材の例としては、金属炭酸塩たとえば、炭酸カルシウム(たとえば、白亜、方解石、マール、トラバーチン、大理石および石灰岩)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウム、および炭酸マグネシウム;シリカたとえば、無定形シリカ、石英、ガラスビーズ、発泡ガラスおよびガラス繊維;ケイ酸塩たとえば、タルク、クレー(たとえば、モンモリロナイト)、長石、雲母、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム;金属硫酸塩たとえば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウム;セッコウ;バーミキュライト;木材パルプ;アルミニウム三水和物;金属酸化物たとえば、酸化カルシウム(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン;および、金属亜硫酸塩たとえば亜硫酸カルシウムなどが挙げられる。充填剤を加える場合、ポリマー材料には、ポリマー材料の全重量を基準にして、少なくとも約20重量%の充填剤が含まれる。充填剤を加える場合、ポリマー材料には、ポリマー材料の全重量を基準にして、多くても約80重量%の充填剤が含まれる。
【0065】
研削助剤は一般に粒子状物質であって、研磨プロセスに化学的、物理的に大きな影響を与え、それによって性能の向上がもたらされるものである。具体的には、理論にとらわれることなく言えば、研削助剤は、(1)研磨グリットと研磨対象の加工品との間の摩擦を減少させる、(2)研磨グリットを「キャッピング」から護る、すなわち、その研磨物品を金属の加工品に使用している時に研磨グリットの上に金属粒子が溶着するのを防ぐ、(3)研磨グリットと加工品の間の界面温度を下げる、または(4)研削に必要な力を小さくする、といった役割を果たしていると考えられる。一般に、研削助剤を加えると、研磨物品の有効寿命が延びる。研削助剤には、広い範囲の有機、無機の各種材料が含まれる。有用な研削助剤の例としては、ワックス、有機ハライド化合物、ハライド塩、ならびに金属およびその合金などが挙げられる。有機ハライド化合物は通常、研磨の間に分解してハロゲン酸またはガス状のハライド化合物を放出する。そのような材料の例としては、塩素化ワックス、たとえばテトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレンおよびポリ塩化ビニルなどが挙げられる。ハライド塩の例としては、塩化ナトリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムなどが挙げられる。金属の例としては、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、鉄およびチタンなどが挙げられる。その他の研削助剤としては、硫黄、有機硫黄化合物、黒鉛および金属スルフィドなどがある。異なった研削助剤を組み合わせて使用するのも本発明の範囲に入り、場合によっては、相乗効果が現れることもある。上で挙げた研削助剤の例は、研削助剤の代表的なものを示すのが目的であって、これですべての研削助剤が含まれていることを意味しているものではない。
【0066】
有用な帯電防止剤の例としては、黒鉛、カーボンブラック、酸化バナジウム、湿潤剤、導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの帯電防止剤については、米国特許第5,061,294号(ハーマー(Harmer)ら);同第5,137,542号(ブキャナン(Buchanan)ら);および同第5,203,884号(ブキャナン(Buchanan)ら)に開示されている。
【0067】
有用なカップリング剤の例としては、シラン、チタネートおよびジルコアルミネートなどが挙げられる。有用なシランカップリング剤は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで、これはOSI・スペシャルティズ社(OSI Specialties、ウェストバージニア州フレンドリ(Friendly、WV))から商品名A−174として入手できる。米国特許第4,871,376号(デワルド(DeWald)には、シランカップリング剤を使用することによって樹脂/充填剤分散体の粘度を下げることが記載されている。
【0068】
粒子に研磨グリットが含まれているのなら、その粒子は研磨中に破壊できるのが好ましい。バインダー前駆体、研磨グリットおよび任意成分の添加剤の選択と量によって、その粒子の破壊特性が影響される。
【0069】
組合せ成分
本発明により突起を有する離散粒子および研磨物品を作製するのに有用なポリマー材料を作製するのに有用な組成物は、エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意に多官能(メタ)アクリレートを少なくとも組み合わせることによって調製することができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施態様においては、任意成分の多官能(メタ)アクリレートは、その多官能(メタ)アクリレートが少なくとも部分的に反応した後では、組成物の粘度調節剤として機能し、その結果組成物の流れの制御を容易にする。たとえば、いくつかの実施態様においては、少なくとも部分的にエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、任意成分の多官能(メタ)アクリレート成分を少なくとも部分的に反応させておくのが好ましい。こうして少なくとも部分的に反応させることによって、通常はその組成物の粘度が大幅に上昇する。通常はそれによって、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを少なくとも部分的に反応させる前の、組成物の動きが制限される。いくつかの実施態様においては、少なくとも部分的にエポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを反応させるより前に、組成物をエネルギー源に暴露させて、任意成分の多官能(メタ)アクリレートを少なくとも部分的に反応させることにより実施する。ある種の実施態様において、エポキシ官能性材料と環状無水物および/またはそれから誘導される二酸とを少なくとも部分的に反応させるより前に、任意成分の多官能(メタ)アクリレート少なくとも部分的に反応させるために、各種のエネルギー源と開始剤との組合せを選択することが可能であるが、その方法については後に詳しく説明するが、たとえば紫外線や電子ビームの照射などがある。いくつかの実施態様においては、本発明による方法によれば、従来法に比較して、少ない配合で使用でき、架橋のためのエネルギーが少なく、原料コストを下げることができる。
【0071】
本発明で使用する組成物での固形分含量は各種変更することが可能である。組成物の固形分含量は好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、そしてさらにより好ましくは少なくとも約95%である。組成物の固形分含量は最も好ましくは約100%である。固形分含量が高いほど、組成物の架橋も一般的には早くなる。「固形分含量」は当業者には容易に理解し、決定することが可能な用語である。
【0072】
バッキング
本発明の方法におけるバッキングに適した材料としては、ポリマーフィルム、紙、布、金属フィルム、バルカンファイバー、不織布基材、それらの組合せおよびそれらを処理したものなどが挙げられる。いくつかの実施態様においては、バッキングにポリマーフィルム(たとえば、ポリエステルフィルム)を用いるのが有利なことがある。いくつかの実施態様においては、紫外線照射に対して実質的に透過性のバッキングが有利であることもある。いくつかの実施態様においては、フィルムをたとえばポリエチレンアクリル酸のような材料でプライマー処理して、内部に突起を有する組成物の付着を促進させるのが有利であることもある。
【0073】
研磨物品がバッキングに付着した複数の突起を有するような、本発明の実施態様においては、研磨物品を形成させた後にそのバッキングを任意に他の基材に積層させることができる。たとえば、フレキシブルなバッキングをより硬く剛性の高い基材(たとえば、金属板)に積層することができる。
【0074】
研磨突起があるのとは反対側のバッキング(または、バッキングに接着させた基材)の表面に、たとえば、感圧接着剤を塗布したり、マジックテープのタイプの貼付システムの一方を固定して、その研磨物品がバックアップパッドに固定されるようにしてもよい。この目的で使用するのに好適な感圧接着剤としては、ゴム系感圧接着剤、(メタ)アクリレート系感圧接着剤、およびシリコーン系感圧接着剤などが挙げられる。
【0075】
研磨グリット
本明細書で使用する場合、「研磨グリット(abrasive grit)」という用語には、たとえば個々の研磨グリットはもちろん、複数の個々の研磨グリットを接着させて研磨凝集物としたものも含まれる。研磨凝集物については、たとえば、米国特許第4,311,489号(クレスナー(Kressner));同第4,652,275号(ブレッハー(Bloecher)ら);および同第4,799,939号(ブレッハー(Bloecher)ら)に記載されている。
【0076】
1つの具体的で有用な実施態様においては、その組成物に研磨グリットを含んでいてもよい。ポリマー材料には、研磨グリットを併せて結合させて研磨粒子にする機能を持たせることができる。研磨グリットの平均粒径は、好ましくは少なくとも約0.1マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約1マイクロメートルである。研磨グリットの平均粒径は、好ましくは多くても約1500マイクロメートル、より好ましくは多くても約1300マイクロメートル、最も好ましくは多くても約500マイクロメートルである。研磨グリットのモース硬度は、各種のものとすることができる。研磨グリットのモース硬度は、好ましくは少なくとも約5、より好ましくは少なくとも約6、さらにより好ましくは少なくとも約7、さらにより好ましくは少なくとも約8、そして最も好ましくは少なくとも約9である。そのような研磨グリット材料の例としては、酸化アルミニウム(たとえば、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、白色溶融酸化アルミニウム、および熱処理酸化アルミニウム)、シリカ、炭化ケイ素(たとえば、緑色炭化ケイ素)、アルミナジルコニア、酸化ジルコニウム、ダイヤモンド、セリア、立方晶窒化ホウ素、ガーネット、およびトリポリなどが挙げられる。セラミック酸化アルミニウムは、たとえばゾルゲル法によって製造することができ、たとえば、米国特許第4,314,827号(ライテイザー(Leitheiser)ら);同第4,744,802号(シュワーベル(Schwabel));同第4,623,364号(コットリンガー(Cottringer)ら);同第4,770,671号(モンロー(Monroe)ら);同第4,881,951号(モンロー(Monroe)ら);同第5,011,508号(ワルド(Wald)ら);および同第5,213,591号(セリッカヤ(Celikkaya)ら)などに記載されている。セラミック酸化アルミニウムにはたとえば、アルファアルミナおよび、任意に金属酸化物調節剤、たとえば、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化ニッケル、ハフニア、イットリア、シリカ、酸化鉄、チタニア、酸化ランタン、セリア、および酸化ネオジムなどがある。セラミック酸化アルミニウムにはさらに任意に造核剤を含んでいてもよく、そのようなものとしてはたとえば、アルファアルミナ、酸化鉄、酸化鉄前駆物質、チタニア、クロミアおよびそれらの組合せがある。セラミック酸化アルミニウムの形状は、たとえば、米国特許第5,201,916号(ベルク(Berg)ら)および同第5,090,968号(ペロー(Pellow))に記載されている。
【0077】
研磨グリットには表面コーティングがしてあってもよい。表面コーティングによって、研磨グリットとポリマー材料の間の接着性を改良し、および/または研磨グリットの研磨特性を高めることができる。そのような表面コーティングは、米国特許第5,011,508号(ワルド(Wald)ら);同第1,910,444号(ニコルソン(Nicholson));同第3,041,156号(ラウズ(Rowse)ら);同第5,009,675号(クンツ(Kunz)ら);同第4,997,461号(マルコフ=マテニイ(Markhoff−Matheny)ら);同第5,213,591号(セリッカヤ(Celikkaya)ら);および同第5,042,991号(クンツ(Kunz)ら)などに記載されている。研磨グリットはまた、その表面にたとえばシランカップリング剤のようなカップリング剤が含まれていてもよい。
【0078】
この組成物には、たとえば、単一のタイプの研磨グリット、2種以上のタイプの異なった研磨グリット、または少なくとも1種のタイプの研磨グリットと少なくとも1種のタイプの希釈剤材料が含まれていてもよい。希釈剤材料の例としては、炭酸カルシウム、発泡ガラス、ガラスビーズ、灰色火山岩、大理石、セッコウ、クレー、SiO2、KBF4、Na2SiF6、氷晶石、有機発泡体、有機ビーズなどが挙げられる。
【0079】
本発明による粒子中の研磨グリットおよびポリマー材料の重量パーセントは、いくつかの要因によって決められるが、それらの要因としては、その研磨物品が目的とする用途、研磨グリットの粒径およびその分布などがある。研磨グリットは(もし含まれるなら)、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%含まれる。研磨グリットは(もし含まれるなら)、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは多くても約95重量%、より好ましくは多くても約75重量%含まれる。ポリマー材料は、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%含まれる。ポリマー材料は、研磨材層の全重量を基準にして、好ましくは多くても約95重量%、より好ましくは多くても約80重量%含まれる。
【0080】
不織布研磨物品
繊維をそれぞれの接触点で互いに接着させ、通気性があって嵩高い3次元構造を有する不織ウェブは、各種の表面を対象にした、清浄化、研磨、仕上げおよび磨き用途のための研磨物品の製造では、広く使用されている。そのような不織布物品の例は、米国特許第2,958,593号(フーバー(Hoover)ら)に記載されている。そのような不織ウェブには、適当な繊維たとえばナイロン、ポリエステル、それらのブレンド物などが含まれていて、含浸させた樹脂および接着剤バインダーを通常硬化する温度には耐えることができる。不織ウェブの繊維は、張力をかけて捲縮させてあることが多いが、たとえば米国特許第4,227,350号(フィッツァ(Fitzer))に記載されているように、押出しプロセスによって得られる連続フィラメントであってもよい。不織ウェブは通常の設備、たとえばランド・ウェッバー(Rando Webber)機械で容易に製造することができる。
【0081】
微細研磨粒子(本明細書においては、分布における中央粒径が約60マイクロメートル以下であるような粒径分布を有する粒子と定義する)を不織ウェブの繊維に接着させて、各種の研磨材用途に使用するのに適した研磨物品を得るが、そのような物品は、エンドレスベルト、ディスク、ハンドパッド、高密度化または圧縮砥輪、床磨きパッドなどの形状で提供することができる。前述の微細粒子を含む物品に好適な具体的な用途には、自動車のアフターマーケット業界があり、そこでは、研磨粒子を使用して自動車のボディパネルに「擦り傷」をつけたり軽く研磨して、塗装の前処理をする。これらの用途では、研磨物品を元の塗装表面に対して使用する。使用している間に、物品中の研磨粒子が表面を擦って、その表面光沢を低下させて「ヘーズ」にする。市販されている研磨物品が商業的に成功しているのは立派ではあるが、たとえば、特に自動車のアフターマーケットで使用するにはそれ用の研磨物品の性能をさらに改善するのが望ましい。
【0082】
このような物品を製造する場合には、先に述べたように不織ウェブを調製する。たとえば、繊維をそれらの接触点で接着させるための予備接着(prebond)樹脂を使用することにより、不織ウェブを強化する。次いで、追加の樹脂層をその予備接着した不織ウェブに塗布してもよい。メイクコート前駆物質をその予備接着した不織ウェブの繊維の上に塗布し、そしてメイクコート前駆物質を少なくとも部分的に硬化する。サイズコート前駆物質をこのメイクコート前駆物質の上に塗布し、そしてメイクコート前駆物質とサイズコート前駆物質の両方を公知の方法(たとえば、熱硬化)によって充分に硬化させる。微細研磨粒子をこの物品の構造中に存在させる場合には、通常それをメイクコート前駆物質と共にスラリーにして繊維に塗布する。
【0083】
離散粒子(discrete particles)
本発明における粒子はその粒径が、好ましくは少なくとも約1マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約250マイクロメートル、そして最も好ましくは少なくとも約500マイクロメートルである。本発明における粒子はその粒径が、好ましくは多くても約5000マイクロメートル、より好ましくは多くても約2500マイクロメートル、最も好ましくは多くても約1500マイクロメートルである。
【0084】
本発明における粒子はあらかじめ定めた形状を有しているのが好ましく、これについてはたとえば、米国特許第6,076,248号(フープマン(Hoopman)ら)、同第5,152,917号(ピーパー(Pieper)ら)、および同第5,489,235号(ガグリアルディ(Gagliardi)ら)に開示されている。それとは逆に、粒子がランダムな形状をしていてもよく、そのようなものについては、たとえば、同時係属出願中の、米国特許出願第09/688,444号(2000年10月16日出願、名称「研磨凝集物粒子を作製する方法(Method of Making an Abrasive Agglomerate Particle)」);米国特許出願第09/688,484号(2000年10月16日出願、名称「研磨物品(An Abrasive Article)」);および米国特許出願第09/688,486号(2000年10月16日出願、名称「凝集物粒子を作製する方法(Method of Making an Agglomerate Particle)」)に開示されている。しかしながら、本発明による粒子には、(1)(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を含む成分の反応生成物;および/または(2)少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および任意に(c)多官能(メタ)アクリレート、を組み合わせて調製したポリマー材料、が含まれる。成形された研磨凝集物と作製方法の例は、たとえば、米国特許第5,500,273号(ホルムズ(Holmes)ら)および、PCT Pat Publication No.WO98/10896(発行1998年3月19日)の中に見出すことができる。研磨凝集物の例は、米国特許第4,393,021号(アイゼンベルク(Eisenberg)ら);同第4,799,939号(ブレッハー(Bloecher)ら);および同第5,093,311号(ブレッハー(Bloecher)ら)の中に見ることができる。
【0085】
本発明の粒子の外部表面上にコーティングを適用するのも、本発明の範囲に含まれる。このコーティングは連続であっても、不連続であってもよい。この粒子に適したコーティングの例としては、金属コーティング、金属酸化物コーティング、炭化物コーティング、窒化物コーティング、ホウ化物コーティング、無機炭素コーティング、ダイヤモンドコーティング、ダイヤモンド状炭素コーティングなどが挙げられる。それに代えて、有機コーティングを粒子の表面に存在させてもよい。この有機コーティングにはさらに、充填材、カップリング剤、帯電防止剤、研削助剤などが含まれていてもよい。
【0086】
このコーティングの選択と量は、粒子に期待する性質によって決まる。たとえば、コーティングによっては、逆反射粒子を得ることもできる。それとは別に、コーティングによっては、粒子の他の材料または基材への接着性が向上する。
【0087】
製造用具(production tool)
本発明による離散粒子と突起を有する研磨物品は、たとえば、製造用具を用いて作製することができる。この製造用具は、少なくとも1つの連続表面を有する三次元ボデーであるのが好ましい。この連続表面には、少なくとも1つ、より好ましくは複数の開口部が存在するのが好ましい。それぞれの開口部は三次元ボデー中に形成されたキャビティにつながっているのが好ましい。本明細書で使用するとき、この「連続」という用語は、空間中で広がりが中断されないという特色を表すもので、開口部とキャビティが連続表面の大きな特徴であるが、ただしそれらによって表面を複数の個々の表面に分断してはいない。この製造用具は、不織ウェブ、ベルト、たとえばエンドレスベルト、シート、コーティングロール、またはコーティングロールに取り付けたスリーブなどの形態であるのが好ましい。この製造用具は連続操作が可能なものであれば好ましく、たとえば、エンドレスベルトや軸の周りに回転する円筒状のコーティングロールなどである。円筒状のコーティングロールの直径が約25cm〜約45cmで、硬質な材料でできているのが好ましい。製造用具に使用するのに有用な材料としては、たとえば、ポリオレフィンポリマー(たとえば、ポリプロピレン)や金属類(たとえば、ニッケル)などが挙げられる。製造用具をたとえば、セラミック材料から作ることもできる。
【0088】
金属性の製造用具は、たとえば、型彫、写真平版、ホビング、エッチング、ローレット切り、所望の形状に加工した複数の金属の組立、打抜き、または電鋳などによって加工されているのが好ましい。金属製の製造用具またはマスター工具を作製するための方法としては、ダイヤモンドターニングが使用されることが多い。これらの技術については、エンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー、第8巻、651〜65頁(1968年、ジョン・ワイリー・アンド・ソンズ社(John Wiley & Sons、Inc.)および米国特許第3,689,346号(ローランド(Rowland))明細書第7列第30〜55行に詳しく記載されている。この製造用具にはさらに剥離コーティングをしておいてもよく、それによって、キャビティからの粒子の脱離が容易になり、製造用具の摩耗を抑えることができる。そのような剥離コーティングの例としては、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物、ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素などが挙げられる。一般には、金属から作った製造用具を加熱して使用するのも、本発明の範囲に含まれる。工具を加熱することによって、加工が容易になり、架橋が促進され、工具から粒子または突起を容易に外すことが可能となる。
【0089】
いくつかの例では、ポリマー製の製造用具を元のマスター工具から複製することもできる。これは、製造用具がベルトまたは不織ウェブの形状の場合に、最もよく行われる方法である。一般的にポリマー製の工具が金属性の工具よりも優れているのは、コストの面である。それ以外で、ポリマー製の製造用具が一般的に有利な点は、照射源から製造用具を通過させて組成物に照射が可能であることである。ポリマー製の製造用具を作製するには、たとえば、熱可塑性樹脂たとえばポリプロピレンを溶融させて、マスター工具の上にコーティングさせる。この溶融樹脂を冷却させれば、マスター工具からの熱可塑性プラスチックのレプリカが得られる。このポリマー製のレプリカは、次いで製造用具として使用できる。これらに加えて、製造用具の表面に、たとえば、シリコーン系材料またはフルオロケミカル系材料の剥離コーティングを含有して、製造用具からの粒子の剥離性を向上させることもできる。製造用具を形成するためのポリマーの中に剥離剤を組み込んでおくことも、本発明の範囲に入る。好適な剥離剤には、シリコーン系材料とフルオロケミカル系材料とがある。良好な剥離特性を有するポリマーから製造用具を作製するのも、本発明の範囲に入る。そのようなポリマーは、米国特許第5,314,959号(ローランド(Rolando)ら)に記載されている。その特許文献には、グラフトさせたフルオロ脂肪族基を含む部分を有する末端オレフィン性二重結合を有するモノマーから重合させた単位を含むベースポリマーを含むフルオロケミカルグラフト共重合体が記載されている。グラフトさせるフルオロ脂肪族基は一般に、フルオロ脂肪族基と重合可能な二重結合を含むフルオロケミカルオレフィンから誘導される。
【0090】
フルオロケミカルオレフィンのフルオロ脂肪族基と重合可能な二重結合とは、通常、結合基を介して結合されている。そのようなフルオロケミカルオレフィンは、たとえば次式で表すことができる。
(Rf)aQ(CR=CH2)b
ここで、Rは水素、トリフルオロメチル、または炭素原子数が1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、
aは1〜10の整数を表し;
bは1〜6の整数を表し;
Qは、(a+b)価の結合基で、実質的にフリーラジカル重合を妨害しないものを表し;そして
Rfは、少なくとも7つのフッ素原子を有する完全にフッ素化された末端基を含むフルオロ脂肪族基を表す。
【0091】
金属製のマスター工具は、金属製の製造用具を作製するのに用いるのと同じ方法で作製することができる。製造用具を作製するためのその他の方法については、たとえば米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)に記載されている。
【0092】
ポリマー製の製造用具については、米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)に記載がある。製造用具を熱可塑性材料で作製するならば一般に、架橋ゾーンで発生する熱によってその製造用具に悪影響が出ないように、その方法の条件を設定しておかねばならない。
【0093】
上述のように、製造用具の少なくとも1つの連続表面には、少なくとも1つのキャビティ、より好ましくは複数のキャビティがあるのが好ましい。バインダー前駆体は一般に、キャビティの形状に合わせた形状になる。キャビティはどのような形状であってもよく、たとえば、幾何学的形状(たとえば、ピラミッド状、プリズム状、円筒状または円錐状)の不規則な形状でよい。ピラミッド状とは一般に、3または4の辺を有する底面を持っている。幾何学的形状では、前述のものの頂部を切断したものであってもよい。1つの製造用具の中に、各種の異なった形状、または各種の異なった大きさ、またはその両方が存在するものも、本発明の範囲に入る。不織ウェブまたはベルトの場合には、キャビティを製造用具全体に配することができる。キャビティは隣接させてもよいし、それらの間に空間をとってもよい。キャビティの側面はそれに合わせて勾配を付けておいて、製造用具からバインダーを容易に除去されるようにしてもよい。
【0094】
しかしながら、粒子や突起をキャビティから除去した時に粒子や突起中に多少の不具合が生じることも起こり得る。組成物がキャビティの中で充分に架橋されていないと、その組成物は一般に流動性を有し、得られる形状が一般にキャビティの形状とは違ってくる。このような不一致が起きると、粒子や突起が望ましくない不規則な形状になる。
【0095】
混合およびコーティング
バインダー前駆体とその他の材料(たとえば、研磨グリット)とを含む混合物を形成させるために、たとえば高剪断混合、空気撹拌、または転動のような各種の従来の方法を用いて、成分を混合することができる。混合の際には混合物を真空状態にして、空気の取り込みを最小限に抑えることもできる。
【0096】
組成物を製造用具のキャビティへ導入するための供給手段としては、従来からの各種の方法を用いることができるが、たとえば、重力供給、ポンプ供給、ダイコーティング、およびバキュームドロップ(vacuum drop)ダイコーティングなどがある。キャリアウェブを介して転写させることによって、組成物を製造用具のキャビティに導入することも可能である。組成物の粘度を低下させるために、混合工程、またはコーティング工程の直前に組成物に超音波エネルギーを加えることもできる。
【0097】
製造用具を用いて本発明による粒子または突起を作製するときに一般に、組成物はキャビティの部分だけに充填する必要があるが、組成物が製造用具の表面にあるキャビティを完全に充満して、得られる粒子に、空隙や不具合がほとんど無いようにするのが好ましい。これらの不具合があると、粒子の形状が一般に望ましい形状から外れてしまう原因となる。さらに、バインダー材料を製造用具から外すときに、縁の部分が欠けて、それによって不具合が生じ形状が損なわれることもある。そのような不具合を最小にとどめるよう、プロセス全体にわたって注意を払うのが好ましい。しかしながら、場合によっては空隙や不具合が好ましい場合もあるが、それは、そのために得られる粒子の多孔度が上がり、その粒子の侵食性(erodibility)が大きくなるからである。いくつかの実施態様においては、組成物が製造用具のキャビティの開口部よりも実質的に拡がらないのが好ましい。
【0098】
いくつかの実施態様においては、製造用具に導入する前に組成物を、好ましくは温度約30℃〜約90℃、より好ましくは約30℃〜約50℃に加熱するのが望ましい。組成物を加熱すると、一般にはその粘度が低下し、その結果製造用具のキャビティの中に流れ込み易くなる。
【0099】
製造用具のキャビティの中に組成物を導入した後の工程としては、組成物が製造用具のキャビティの中にある間に組成物を照射エネルギーおよび/または熱エネルギーに暴露して少なくとも部分的に硬化するのが好ましい。別の方法として、組成物が製造用具のキャビティの中にある間に少なくとも部分的に硬化して、そのバインダーを製造用具のキャビティから除去してから後硬化することもできる。この後架橋工程は、省略することもできる。その架橋の程度は、得られる固化されて取り扱いが可能となったバインダーを製造用具から取り出してもその形状を保つのに充分であるのが好ましい。
【0100】
組成物を少なくとも部分的に硬化するのが好ましいが、製造用具から取り出した後に組成物を硬化するのも本発明の範囲に含まれる。たとえば、組成物を米国特許第5,833,724号(ウェイ(Wei)ら)および同第5,863,306号(ウェイ(Wei)ら)の記載にならって処理して、組成物の粘度を上げ、それに塑性を与えるが、流れはしないようにする。そのような手順については例示的に後に述べる。
【0101】
製造用具に接触させる前に、組成物の粘度を調節して、組成物を通常付着させる場合の粘度で生じやすい流動に調節してもよい。しかしながら、組成物全体の粘度を上げる必要はない。外側の露出した部分の粘度が速やかに上がって、その部分がスキンとして働いて製造用具の形状を保持するのに充分な程度が好ましく、そのような場合でもその内部は長い間比較的低い粘度に留まっていてもよい。
【0102】
少なくとも表面層の粘度を調節するのは、たとえば、組成物の中に揮発性の溶媒を加えておくことで可能となる。この溶媒は、組成物がキャリアウェブ上に付着させた時に速やかに蒸発することが可能である。溶媒の除去は、環境温度を上げたり、部分的に加熱ガスを吹き付けたりすることで促進することができる。
【0103】
温度もまた粘度に影響する。しかしながら温度を上げると、加熱架橋性システムの場合には、架橋が促進される可能性がある。別の方法としては、構造の温度を下げて粘度を上げる方法がある。たとえば、組成物をのせた基材を冷却ロールに通すか、および/または冷風下におくことで、温度を下げることができる。
【0104】
温度を変化させたり、液を除去して粘度を調節するのに加えて、固形分の担持量を増やすことで粘度を変化させることも可能である。一般的に言って、表面層の粘度が以降に付与される形状を保つに充分になればよい。したがって、構造の表面上に細かく粉砕した粉体を塗布することで、構造上に局部的に粘度の上昇したスキンを形成させることができ、それによって架橋で恒久的な形状が得られるまでの間、構造が付与された形状を保つ。
【0105】
装置と方法
以下で説明する装置と方法は、本発明による、一般には規則的な形状を有する粒子および突起を調製することを主目的としている。規則的な形状の粒子を作製するその他の公知の方法を採用し、他の公知の成形粒子のバインダーを、本明細書に記載されたポリマー材料または組成物に置き換えて、本発明による粒子を作製することも可能である。公知のバインダーの代わりに本発明によるポリマー材料を用いて、不規則的な形状の粒子を作ってもよい。
【0106】
図1は、本発明による粒子の例示的な実施態様を作製するための方法を実施することが可能な装置を示している。装置10において、組成物12を重力によってホッパー14から、エンドレスベルトの形状をした製造用具16の上に供給する。ベルト16は2つのロール18と20の間で移動するが、それらのロールの内の少なくとも1つは、動力駆動されている。図9は、製造用具16のセグメントの透視図である。図9に見られるように、製造用具16は開口部22を含む連続表面21を有する三次元ボデーで、その開口部が三次元ボデーのキャビティ23につながっている。キャビティ23の少なくとも一部は図1に示した組成物12によって充填される。図1に戻って、次いで組成物12は架橋ゾーン24を通過するが、そこで、エネルギー源25に暴露されて、組成物12が少なくとも部分的に架橋され、固化されて取扱いが可能となったバインダー26が形成される。バインダー材料の粒子26が製造用具16から除去されて容器28に集められる。外部手段29、たとえば超音波エネルギーを使用して、製造用具16からバインダー材料の粒子26を外すのに役立ててもよい。製造用具16に残る屑は通常、新しく組成物12を製造用具16に供給するより前に掃除して取り除いておく。
【0107】
図2は、本発明による粒子の例示的な実施態様を作製することが可能な、別のタイプの装置を示している。装置30には、巻出し機構34から供給されるキャリアウェブ32が含まれる。巻出し機構34はロールの形状をしている。キャリアウェブ32は、たとえば紙、布、ポリマーフィルム(たとえば、ポリエステルフィルム)、不織ウェブ、バルカンファイバー、およびそれらを処理したものなどからの材料でできている。図2において、キャリアウェブ32は所望の波長の化学線を実質的に通過させるものである。組成物36を重力によってホッパー38からキャリアウェブ32の主表面の上に供給する。この組成物36を載せたキャリアウェブ32の主表面を、ニップロール42を用いて製造用具40の表面に押しつける。キャリアウェブと接触する製造用具の表面40は曲面になってはいるが、その他の点では、図9に示した製造用具のセグメント同じである。このニップロール42は、組成物36を製造用具のキャビティ40に押し込む働きもしている。次いで組成物36が架橋ゾーン43を通過するが、そこで、エネルギー源44に暴露されて、組成物36が少なくとも部分的に架橋され、固化されて取扱いが可能となったバインダー48が形成される。次に、固化されて取扱いが可能となったバインダー48を含むキャリアウェブ32がニップロール46の間を通過する。キャリアウェブ32と固化されて取扱いが可能となったバインダー48との間の接着性は、次にバインダー粒子48が製造用具のキャビティ40から外れるに充分な程度でなければならない。バインダー材料の粒子48はキャリアウェブ32から除去されて、容器50に集められる。外部手段51、たとえば超音波エネルギーを用いて、キャリアウェブ32から粒子48を外すのに役立ててもよい。次いでキャリアウェブ32は巻取り機構52に回収され、再使用することができる。巻取り機構52はロールの形状をしている。
【0108】
キャリアウェブ32からバインダー材料の粒子48を除去するには、代わりの方法で効果的に実施することもできる。その代わりの方法では、ホッパー38から組成物36を受けるキャリアウェブ32の主表面の上に、薄い水溶性の層(図2に示さず)を含有することができる。この水溶性の層が組成物36と接触することになる。組成物36を少なくとも部分的に架橋させた後に、キャリアウェブ32と固化されて取扱いが可能となったバインダー48とを組み合わせたものを水の供給源(図2に示さず)と接触させると、水がキャリアウェブ32上の水溶性の層を溶解させ、それによってキャリアウェブ32からバインダー材料の粒子48を分離させる。この変形例に有用な水溶性の層の例は、水溶性ポリマーの層で、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびセルロース誘導体などが挙げられる。
【0109】
図3は、本発明による粒子の例示的な実施態様を作製することが可能な、別のタイプの装置70を示している。装置70では、組成物72をホッパー74から製造用具76の上にナイフコーティングする。製造用具76は円筒状のドラムの形態で軸78を有している。製造用具の連続表面76は曲面になってはいるが、その他の点では、図9に示した製造用具のセグメント同じである。製造用具76が軸78を中心にして回転するにつれて、組成物72が架橋ゾーン79を通過し、そこでエネルギー源80に暴露されて、組成物72が少なくとも部分的に架橋され、固化されて取扱いが可能となったバインダー82が形成される。次いで、このプロセスの架橋工程で得られた固化されて取扱いが可能となったバインダー82の粒子を、製造用具76から除去してホッパー84に集める。この除去は通常、機械的な手段たとえば水ジェットにより実施する。通常は、製造用具76に残る屑はすべて、新しく組成物72を導入する前に取り除いておく。屑を除去するには、ブラシ、空気ジェットその他従来の各種方法を用いることができる。図3には示していないが、この製造用具76からバインダー82の粒子を容易に除去されるようにするために、追加の手段を使用してもよい。
【0110】
この組成物は、照射エネルギーおよび/または熱エネルギーによって架橋可能なものであるのが好ましい。照射エネルギー源としてはたとえば、電子ビームエネルギー、紫外線、可視光線およびレーザー光線などを挙げることができる。
【0111】
電子ビーム照射は、イオン化照射とも呼ばれるが、好ましくは約0.1Mrad〜約20Mrad、より好ましくは約1Mrad〜約10Mradのエネルギーレベルで使用することができる。紫外線照射は、約200ナノメートル〜約400ナノメートルの波長、より好ましくは約250ナノメートル〜約400ナノメートルの波長の非粒子照射(non−particualte radiation)であるのが好ましい。照射線量は好ましくは約50mJ/cm2〜約1000mJ/cm2、より好ましくは約100mJ/cm2〜約400mJ/cm2である。この線量を与えるのに適した光源は、約100ワット/2.54cm〜約600ワット/2.54cm、より好ましくは約300ワット/2.54cm〜約600ワット/2.54cmのものである。可視光線は、約400ナノメートル〜約800ナノメートルの波長、より好ましくは約400ナノメートル〜約550ナノメートルの波長の非粒子照射であるのが好ましい。組成物に充分な架橋を起こさせるのに必要な照射エネルギーの量は、いくつかの因子、たとえば、作製する粒子または突起のサイズや組成物の化学的な素性によって決まてくる。熱架橋のための条件は、温度が約50℃〜約200℃で、時間は1分の数分の1から、数千分の間であるのが好ましい。実際に必要な熱量は、そのバインダー前駆体の化学性によって決まる。
【0112】
紫外線または可視光線を使用する場合には、混合物中に光重合開始剤が添加されることが多い。紫外線または可視光線に暴露されると、この光重合開始剤がフリーラジカル源またはカチオン源を発生させる。次いで、このフリーラジカル源またはカチオン源がバインダー前駆体の重合を開始させる。フリーラジカルによる加工で電子ビームエネルギーを使用するときは、光重合開始剤の添加は任意である。
【0113】
少なくとも部分的に架橋させた後では、得られる固化されて取扱いが可能となったバインダーは、製造用具の表面に強く付着していないのが好ましい。いずれにしてもこの時点で、その固化されたバインダー前駆体が製造用具から除去可能な粒子を形成している。
【0114】
製造用具からバインダー粒子を除去するためには、別の方法がいくつかある。1つの方法では、バインダー粒子を製造用具から収集容器たとえばホッパーに直接移すものである。この方法の場合、製造用具がポリマー材料でできているのなら、バインダーをキャビティから除去する方法としては、たとえば、超音波エネルギー、真空、エアナイフおよびその他の従来からの機械的な手段などが挙げられる。製造用具が金属でできているのなら、バインダーをキャビティから除去する方法としては、たとえば、水ジェットまたはエアジェットのような手段がある。製造用具のキャビティが完全に製造用具全体に拡がっていて、たとえば、製造用具が完全にその全体に穴が開けてあるようなベルトのような場合には、バインダーを除去する方法としてはたとえば、製造用具の構造材料には関係なく、超音波エネルギー、機械的な力、水ジェット、エアジェット、およびその他の機械的手段などがある。
【0115】
別の方法としては、バインダー粒子を製造用具から収集容器へ間接的に移す方法がある。一実施態様としては、バインダー粒子を製造用具から平滑なロールに移すことができる。このバインダー粒子は一般に、製造用具に対するよりは平滑なロールに対する付着性の方が強い。そのようにして移したバインダー粒子を次いで、平滑ロールから、スカイビング、真空、水ジェット、エアジェット、またはその他の機械的手段によって除去することができる。1つの特別な実施態様では、バインダー粒子を製造用具からキャリアウェブの主表面へ移すこともできる。このバインダー粒子は一般に、製造用具に対するよりはキャリアウェブの主表面に対する付着性の方が強い。その上にバインダーを移したキャリアウェブの主表面には、たとえば水または有機溶媒に可溶な材料の層を担持することができる。そのバインダーは一般に、その可溶性層を形成している材料を溶解させるだけで、キャリアウェブから容易に除去することができる。さらに機械的手段、たとえばスカイビング、真空または超音波などを使用してバインダーを除去することも可能である。超音波エネルギーをたとえば、ウェブの主表面に直接かけることもできるし、あるいは、ウェブの主表面の側面にかけることもできる。また別の実施態様においては、キャリアウェブの主表面の上にプライマーを有することができる。キャリアウェブに好適なプライマーの例としては、エチレン・アクリル酸コポリマー、ポリ(塩化ビニリデン)、架橋ヘキサンジオールジアクリレート、アジリジン材料などが挙げられる。バインダーは、プライマー処理したキャリアウェブに付着させるのが好ましい。ついでそのバインダーはプライマー処理したキャリアウェブから、機械的手段たとえばスカイビング、真空または超音波などによって除去することができる。
【0116】
バインダーを、直接的または間接的手段によって製造用具から除去してから、次いでそれを粒子に転換させる。1つの転換方法では、バインダーを製造用具から粒子の形状で分離する。得られる粒子は、その中で粒子が少なくとも部分的に架橋された製造用具のキャビティの部分の形状と本質的に同じ形状を有している。この方法が有利なのは、ここでの粒子は次の用途、たとえば研磨物品への組み込みにとって、すでに適当な品質または適当な粒度分布になっているというところにある。
【0117】
第2の転換方法では、バインダーをバインダー材料の薄い層で互いにつながったバインダー材料粒子を含む材料のシートとして、製造用具から分離する。このバインダーを次いで、相互につながっている薄い部分に沿って破壊または押し潰すことによって、離散粒子を形成させる。
【0118】
変形例としては、製造用具を、軸の周りに回転するドラムまたはベルトとすることもできる。製造用具を軸の周りで回転させることによって、そのプロセスを連続で実施することが可能となる。製造用具が固定式の場合には、このプロセスはバッチ方式で実施する。連続プロセスにすれば通常は、従来技術のバッチ法に比較してより効率的で、コストダウンができる。
【0119】
研磨物品の特性
本発明はさらに、本発明による粒子を含む研磨物品も提供する。これらの研磨物品としては、たとえば、固結させた(bonded)研磨物品、コーテッド研磨物品または不織布研磨物品などがあり得る。
【0120】
固結させた研磨物品では、本発明による粒子を結合媒質によって相互に結合させ、成形物体、たとえばホイールやカットオフホイールを製造する。固結させた研磨物品は一般にモールド法によって製造する。図7は本発明の固結させた研磨物品150の概略図である。バインダーおよび研磨グリットを含む本発明による粒子151を結合媒質154を用いて結合させている。芯部153を物品150の内部に貫通させている。
【0121】
不織布研磨物品は一般に、広げた多孔性繊維質の不織布基材で、その基材の中に複数の研磨粒子を結合させたものである。このタイプの不織布研磨物品は、たとえば、米国特許第2,958,593号(フーバー(Hoover)ら)に記載されている。不織布研磨物品の場合、本発明による粒子は不織布の繊維質基材に付着させることができる。図8は本発明の固結させた不織布研磨物品230の概略図である。ポリマー材料および研磨グリットを含む本発明による粒子231が、結合媒質235を介して不織ウェブの繊維234に付着されている。
【0122】
コーテッド研磨物品の場合、本発明による粒子は結合媒質によってバッキングに付着されている。コーテッド研磨物品を調製するのに適したバッキングとしては、たとえば、ポリマーフィルム、下地処理をした(primed)ポリマーフィルム、布、紙、バルカンファイバー、ポリマーフォーム、不織布およびそれらの処理したものなどが挙げられる。
【0123】
図4に示されているように、本発明による研磨物品100では、研磨粒子106をバッキング104に結合させるためのコーティングを2層用いている。コーティング102は通常メイクコートと呼ばれていて、バッキング104の上に塗布して、規則的な形状を有する本発明による粒子106をバッキング104に結合している。コーティング108は通常サイズコートと呼ばれていて、粒子106の上に塗布して、粒子106を補強している。さらに第3のコーティング110で、通常スーパーサイズコートと呼ばれるものをサイズコート108の上に適用してもよい。この粒子106には、複数の研磨グリット112とバインダー114が含まれる。この研磨粒子は、通常の方法、たとえばドロップコーティングや静電コーティングなどによって塗布することができる。粒子106は、図4では整然と配置されている。
【0124】
図5に示されているように、本発明による研磨物品200では、研磨粒子206をバッキング204に結合させるためのコーティングを2層用いている。メイクコート202をバッキング204の上に塗布して、規則的な形状をした本発明による粒子206をバッキング204に結合させる。サイズコート208を粒子206の上に塗布して、粒子206を補強する。スーパーサイズコート210をそのサイズコート208の上に塗布する。この粒子206には、複数の研磨グリット212とバインダー214が含まれる。この粒子206は、図にも見られるように、ランダムに配置されている。
【0125】
図6に示されているように、本発明による研磨物品300では、研磨粒子306をバッキング304に結合させるためのコーティングを2層用いている。メイクコート302をバッキング304の上に塗布して、不規則な形状をした本発明による粒子306をバッキング304に結合させる。サイズコート308を粒子306の上に塗布して、粒子306を補強する。スーパーサイズコート310をそのサイズコート308の上に塗布する。この粒子306には、複数の研磨グリット312とバインダー314が含まれる。この粒子306は、図にも見られるように、ランダムに配置されている。
【0126】
本発明における粒子は、バッキングの上にランダムに塗布または配置することもできる。それとは別に、たとえばそれらの粒子をバッキング上に特定の方向に配置することもできる。ピラミッド状、円錐状、プリズム状(たとえば三角柱)の形状の離散粒子の場合、その粒子を図4のように、それらの底部がバッキングに向き、頂点がバッキングの反対側に向くように配置することもできるし、あるいは、図5の中の4つの粒子のように、それらの頂点がバッキングの方を向き、底面がバッキングの反対側に向くように配置することもできる。
【0127】
研磨物品は、たとえば、以下のような方法によって、製造することができる。おもて面とうら面を有するバッキングを提供する。バッキングのおもて面に樹脂系接着剤を含む第1の架橋性結合媒質をコーティングし、次いで、本発明における粒子および任意に個々の研磨グリットを第1の架橋性結合媒質の中にコーティングまたは塗布する。この離散研磨粒子と任意成分の研磨グリットとを、ドロップコーティングまたは静電コーティングすることができる。次いでこの第1の架橋性の結合媒質を固化または硬化して、架橋させた樹脂系接着剤を形成させる。樹脂系接着剤を含む第2の架橋性の結合媒質を場合によっては、粒子の上に塗布することもでき、次いで固化または硬化して、架橋させた樹脂系接着剤を形成させる。この第2の架橋性の結合媒質を塗布するのは、第1の架橋性の結合媒質の凝固または架橋の前であっても、後であってもよい。
【0128】
前述のように、本発明のまた別の態様においては、本発明における粒子には研磨グリットをまったく含まなくてもよい。研磨グリットを含まないこれらの粒子は、たとえば、研磨グリットを全く含まない研磨物品(たとえば、コーテッド研磨物品、固結させた研磨物品および不織布研磨物品)に使用することができる。そのような物品は一般に、研削というよりは、磨きを目的としたものである。別の用途では、グリットを含まない本発明による粒子は、本発明による研磨物品において、グリットを含む本発明による粒子と組み合わせて使用することもできる。また別の用途では、グリットを含まない本発明による粒子は、本発明による研磨物品中のよりゆるい研磨グリットと組み合わせて使用することもできる。他の任意の材料と本発明による粒子とを組み合わせる他の方法も可能である。特別な例としては、研磨物品に、バッキングと、そのバッキングにメイクコートを介して結合させた研磨グリットと、研磨グリットが含まれない本発明による粒子とが含まれていてもよい。
【0129】
図4に示したように、架橋させた樹脂系接着剤(サイズコート)の第2のコーティング108が研磨グリットと粒子の上にある(サイズコート)。
【0130】
本発明による粒子を基材に結合させるかまたは互いに結合させるための材料としては通常、架橋させた樹脂系接着剤および任意の添加剤がある。本発明において好適なものの例としては、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ官能性材料、(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート化イソシアヌレート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、イソシアヌレート樹脂、(メタ)アクリレート化ウレタン樹脂、ビニルエーテル、および(メタ)アクリレート化エポキシ官能性材料などが挙げられる。任意成分の添加剤としては、充填材(研削助剤を含む)、繊維、潤滑剤、濡れ剤、界面活性剤、顔料、染料、カップリング剤、可塑剤および沈殿防止剤などを挙げることができる。充填材の例を挙げれば、タルク、炭酸カルシウム、カルシウムメタケイ酸塩およびシリカなどである。これらの材料の使用量は、目的とする性能が得られるように選択する。
【0131】
本発明による研磨物品は場合によっては、たとえば従来の研磨凝集物および個々の研磨グリットをさらに含んでいてもよい。これらの従来の研磨凝集物および/または研磨グリットは、その形状が規則的であっても不規則的であってもよい。従来の研磨凝集物については、たとえば、米国特許第4,311,489号(クレスナー(Kressner));同第4,652,275号(ブレッハー(Bloecher)ら);および同第4,799,939号(ブレッハー(Bloecher)ら)にもさらに記載されている。個々の研磨グリットも、所望の形状のものを選択することが可能である。個々の研磨グリットの例としては、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ−ジルコニア、ダイヤモンド、セリア、立方晶窒化ホウ素、およびガーネットなどが挙げられる。本発明の粒子では、研磨粒子の全量を基準にして、好ましくは約10重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、そして最も好ましくは少なくとも約70重量%の研磨材材料とするべきである。研磨物品の実施態様においては、個々の研磨グリットは、粒子の上に配することもできる。また別の実施態様においては、個々の研磨グリットは、本発明に従って粒子の下に配することもできる。また別の実施態様においては、個々の研磨グリットはたとえば、本発明に従って、2つの粒子の間に配することもできる。
【0132】
研磨物品の使用
本発明による粒子は、たとえば、湿式研削、乾式研削、および/または研磨用途において有用である。本発明による研磨粒子を用いて研磨する方法は、スナッギング(すなわち、高圧力粗削り(high stock removal)から磨き(たとえば、研磨ベルトを使用した医学用埋込品の磨き)まで広い範囲にわたっており、後者ではより細かいグレード(たとえば、ANSI220より細かいもの)の研磨粒子が通常使用される。この研磨粒子はまた、たとえば、ビトリファイド砥石車を用いてカムシャフトの研削など、精密研削用途にも使用できる。特定の研磨用途で使用される研磨粒子のサイズは、当業者には周知である。
【0133】
本発明による研磨粒子を用いた研磨は、乾式、湿式いずれでも可能である。湿式研磨では、液体を導入するのに薄いミストの形態で供給し、完全に濡らすようにする。通常使用される液体の例としては、水、水溶性油、有機潤滑剤およびエマルションなどが挙げられる。この液体は、研磨に伴って発生する熱を下げるとともに、潤滑剤としても機能する。この液体中には、少量の添加剤、たとえば殺菌剤、消泡剤などを加えてもよい。
【0134】
本発明による研磨粒子は、たとえば、アルミニウム金属、炭素鋼、軟鋼、工具鋼、ステンレス鋼、焼入れ鋼、チタン、ガラス、セラミックス、木材、木材様材料、ペイント、塗装面、有機塗装表面などの加工品を研磨するのに使用できる。研磨の際に加える力は通常、約1〜約100kgの範囲である。
【0135】
本発明を以下の実施例により説明する。具体的な例、材料、量および方法については、本明細書において説明する本発明の範囲と精神に従って広く解釈すべきであることを理解されたい。
【0136】
本発明による研磨物品の実施態様を図11に示す。研磨物品401にはバッキング402があり、その1つの主表面の上に研磨突起404を担持している。研磨突起404には、バインダー408に分散させた複数の研磨グリット406が含まれる。この具体的な実施態様においては、バインダー408が研磨突起404をバッキング402に結合している。この実施態様においては、それぞれの研磨突起404は目で見てそれと判るような所望の形状を有している。本発明のいくつかの実施態様では、研磨物品401の使用前には研磨グリット406(存在するならば)が、この形態の面405よりも表に出ていないのが有利である。研磨物品401を用いて表面研磨をしていくにつれて一般に、研磨突起404が崩れて、未使用の研磨グリットが表面に出る。研磨グリット406は、本発明の方法では任意成分である。研磨グリット406が含まれないとしても、突起404は依然として研磨突起であると考えるべきである。
【0137】
突起(projection)
これらの研磨突起は、少なくとも1種のあらかじめ定めた形状を有し、あらかじめ定めた並べ方で配するのが好ましい。研磨突起のあらかじめ定めた形状は、ある周期性をもってくり返されているのが好ましい。この場合の形状のくり返しは、1つの方向に向けてくり返されているのが好ましく、2つの方向に向けてくり返されていればより好ましい。好ましくは不規則なパターンではなく、非常に明確でしっかりしたくり返しが存在するのが好ましい。突起が不規則ではない並べ方に従っているのが好ましい。この研磨突起は、少なくともエポキシ官能性材料と環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組合せ、場合によってはその中に複数の研磨グリットを分散させて得られる組成物で形成できれば好ましい。少なくとも部分的に硬化することによって、研磨突起を配置し、それをあらかじめ定めた形状とあらかじめ定めた並べ方に固定させるのが好ましい。
【0138】
研磨突起は、組成物がバッキング上に形成されるのと、製造用具の表面上のキャビティに充填されるのとの両方の間に、組成物を硬化することによって得られる形状を有しているのが好ましい。研磨突起がキャビティの形状と同一、または実質的に同一の形状であれば好ましい。複数のそのような突起は、3次元の形状を有し、バッキングの表面から外へ好ましくは不規則ではないパターンで付き出ていて、好ましくは例えば製造用具のパターンを反転させた形状になっていれば好ましい。それぞれの突起が境界によって画成されているのが好ましく、その境界の底部が、突起が付着しているバッキングとの界面となる。境界の残りの部分は、その突起を架橋させた製造用具の上のキャビティによって画成されているのが好ましい。突起の外部表面はすべて、それが形成されるときのバッキングまたはキャビティのいずれかによって、決められているのが好ましい。
【0139】
突起の間の空間は、研磨物品からの磨きかすの逃げ場となっているのが好ましく、それによって目詰まりと使用時の熱の蓄積を効果的に減少させることができる。さらに、いくつかの実施態様においては、研磨物品が均一な摩耗を示し、その表面にかかる研削力が均一になるのが好ましい。いくつかの実施態様においては、研磨物品を使用するにつれて、研磨グリットが脱落し、新しい研磨グリットが露出されて、その結果好適にも、研磨材製品の寿命が延び、研削率が高く維持され、製品の寿命の間表面仕上げ状態が一定に保てるようになる。
【0140】
この突起は、所望に応じて各種の形状(たとえば、ピラミッド状)を任意にとることができる。使用前には、突起の中の個々の研磨グリットはそのような突起の形状を画成している境界から突出していないのが好ましい。所定の形状の大きさは、目的に応じて実質的に決めるのが好ましい。さらに、この複合物突起は、不規則ではない並べ方でバッキング上に配されるのが好ましい。この不規則ではない並べ方は、好ましくはある程度のくり返しを示すのが好ましい。並べ方のくり返しパターンは、1次元的であってもよいし、たとえばマトリックスの形状であってもよい。
【0141】
あらかじめ定めた並べ方に配置した研磨突起は、各種の形状と周期を有していてよく、たとえば、直線状でなだらかな突起、直線状で鋭角の突起、ピラミッド状、円筒状、プリズム状などが挙げられる。図11での突起404は、同様のサイズと形状を有していて、三面体プリズム要素で作られている構造化表面を表している。図13には、一連の直線状の突起431と平坦部432が示されている。
【0142】
それぞれの突起には境界があるのが好ましく、その境界は1つ以上の平面状の表面によって画成される。たとえば、図11では平面状の境界は参照番号405で表されている。いくつかの実施態様においては、研磨グリット(存在するならば)は、その平面状の境界よりは突き出ない。これまた理論にとらわれることなく言えば、このような構造にすることで、研磨物品における研削での磨きかすによる目詰まりの量を減らすことが可能となると考えられる。
【0143】
突起の最適な形状は、特定の研磨目的に応じて決めるのが好ましい。突起の面積密度、すなわち単位面積あたりの突起の数を変更することにより、特性を変化させることができれば好ましい。たとえば面積密度を高くすると、好ましいことには、研削の際の突起あたりの単位圧力が低くなり、そのために表面の仕上がりがより細かくできる。連続するピークの並べ方を好適に配置することで、各種の製品が得られる。オフハンド研削の用途では、実施態様によっては、研磨突起のアスペクト比(すなわち、高さと底辺の比)が約0.3〜約1であるのが好都合である。本発明によるいくつかの実施態様では、隣接する突起の頂点の間の距離が、1mm未満、さらには0.5mm未満であるのが好ましい。
【0144】
方法
研磨物品を、本発明の方法の数々の実施態様に従って調製することができる。その方法の実施態様を以下に示すが、これらに限定されれ訳ではない。エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および研磨グリットを少なくとも組み合わせて得られる組成物を製造用具のキャビティに導入する。おもて側とうら側のあるバッキングを、組成物を充填した製造用具の外部表面に適用する。その組成物がバッキングのおもて側と濡らして、中間体物品を形成する。組成物を、少なくとも部分的に架橋またはゲル化させてから、その中間体物品を外部製造用具の表面から取り出すのが好ましい。次いで研磨物品を、製造用具から取り出す。ある種の実施態様においては、上記の工程を連続法で実施するのが有利である。
【0145】
図12に研磨物品を作製するための装置410を示す。製造用具411は、2つの主表面と2つの末端を有するロールの形状をしている。バッキング412にはおもて面413とうら面414があり、巻出し機構415から出てくる。同時に、製造用具411も巻出し機構416から出る。製造用具411の接触表面417を、エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意の複数の研磨グリットを少なくとも組み合わせて得られる組成物419により、コーティング機構418のところでコーティングする。コーティング工程に先だって、この組成物を加熱しておいてその粘度を下げることも可能である。このコーティング機構418には、従来のどのようなコーティング手段を用いてもよいが、たとえば、ナイフコーター、ドロップダイコーター、カーテンコーター、真空ダイコーター、または押出ダイコーターなどが挙げられる。製造用具411の接触表面417をコーティングした後で、バッキング412と製造用具411を合わせて、組成物がバッキング412のおもて面413を濡らすようにする。図12では、接触ニップロール420を用いて、組成物をバッキング412に押しつけているが、このロールはさらに製造用具/組成物/バッキングの構成物を支持ドラム422に押さえつける役目も果たしている。次に、照射エネルギー源424から充分な量の照射線量エネルギーを製造用具411のうら面425を通過させて組成物に与え、少なくとも部分的にバインダー前駆体を架橋させ、それによって成形されて取扱いが可能となった構造426を形成させる。次いで、製造用具411を、成形されて取扱いが可能となった構造426から分離する。製造用具411は、ローラー427のところで、成形されて取扱いが可能となった構造426から分離する。ローラー427を過ぎた直後ににできる、成形されて取扱いが可能となった構造426と製造用具411との間の角度αは急角度とするのが好ましく、たとえば、30度以上として、成形されて取扱いが可能となった構造426と製造用具411がきれいに分離されるようにする。製造用具411はマンドレル428に巻き取れば、再使用することが可能である。成形されて取扱いが可能となった構造426は、マンドレル430に巻き取る。バインダー前駆体が完全架橋に達していない場合には、追加のエネルギー源(たとえば、熱エネルギー源または追加の照射エネルギー源)に暴露することにより完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることができる。別の方法で、追加のエネルギー源を用いなくても最終的に完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることもできる。本明細書で使用する場合、「完全架橋(full cure)」という用語は、バインダー前駆体が充分に架橋されていて、得られた製品が研磨物品、たとえばコーテッド研磨物品として使用できることを意味する。
【0146】
組成物419を製造用具411に入れる前に加熱して、温度を約20℃〜約50℃にするのが好ましく、約30℃〜約40℃とすればより好ましい。組成物419を加熱しておけば、一般的には製造用具411のキャビティ中により容易に流れ込み、不具合を最小限にすることができる。組成物419の粘度は一般に、いくつかの理由から、厳密に調節する。たとえば、粘度が高すぎると、組成物419を製造用具411に塗布するのが困難になる。
【0147】
少なくとも部分的に架橋させた後では、得られるバインダー突起は一般に、製造用具の表面に強く付着してはいない。いずれにしても、この時点で、バインダー突起を製造用具から取り外す。
【0148】
変形例としては、製造用具を軸の周りに回転するドラムまたはベルトとすることもできる。製造用具を軸の周りで回転させることによって、そのプロセスを連続で実施することが可能となる。製造用具が固定式の場合には、そのプロセスはバッチ方式で実施する。連続プロセスにすれば通常は、従来技術のバッチ法に比較してより効率的で、コストダウンができる。
【0149】
いくつかの例では、使用する前に研磨物品を曲げておくと有利ではあるが、それは、得られた突起の具体的なパターンとその研磨物品の目的とする研磨用途に依存する。
【0150】
研磨物品は、たとえば、以下の第2の方法でも作ることができるが、これに限定されるものではない。エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意に複数の研磨グリットを少なくとも組み合わせて得られる組成物を、うら側も有するバッキングのおもて側に適用する。その組成物がバッキングのおもて側を濡らして、中間体物品を形成する。その中間体物品を、その外部表面に複数のキャビティを有する製造用具の外部表面に適用して、そのキャビティを少なくとも部分的に充満させる。好ましくは、その組成物を少なくとも部分的に硬化してから、その中間体物品を製造用具の外部表面から分離して、研磨物品を形成させる。次いで研磨物品を、製造用具から取り出す。上記の作業は連続法で実施するのが好ましく、それによって、研磨物品を製造する方法の効率化が図れる。
【0151】
この第2の方法は第1の方法とほとんど同じではあるが、ただし、第2の方法では、組成物をまず、製造用具ではなくバッキングに塗布する。たとえば図14に、研磨物品を調製するための別の方法の装置440を示す。この装置では組成物を、製造用具ではなくバッキングの上にコーティングする。この装置では、製造用具441はおもて面とうら面とを有するエンドレスベルトである。うら面443とおもて面444を有するバッキング442を巻出し機構445から引き出す。バッキングのおもて面444には、エポキシ官能性材料;環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種;および任意の複数の研磨グリットを少なくとも組み合わせることにより得られる組成物を、コーティング機構446を用いてコーティングする。この組成物を接触ニップロール448を利用して製造用具441の接触表面447に押しつけるが、このロールはさらに製造用具/組成物/バッキング構成もまた支持ドラム450に押しつけていて、それによって組成物が製造用具441の接触表面447を濡らす。この製造用具441は、3つの回転マンドレル452、454および456で駆動されている。次いで照射エネルギーを製造用具441のうら面457から組成物に照射して、そのバインダー前駆体を少なくとも部分的に硬化する。1つの照射エネルギー源458があればよい。あるいは、第2の照射エネルギー源460があってもよい。これらのエネルギー源は同一のタイプのものであってもよいし、異なったタイプのものであってもよい。バインダー前駆体が少なくとも部分的に架橋されたら、成形されて取扱いが可能となった構造462を製造用具441から分離して、マンドレル464に巻き取る。製造用具441はローラー465で、成形されて取扱いが可能となった構造462から分離する。ローラー465を過ぎた直後ににできる、成形されて取扱いが可能となった構造462と製造用具441との間の角度αは急角度とするのが好ましく、たとえば、30度以上として、成形されて取扱いが可能となった構造462と製造用具441がきれいに分離されるようにする。バインダー前駆体が完全架橋に達していない場合には、追加のエネルギー源(たとえば、熱エネルギー源または追加の照射エネルギー源)に暴露することにより完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることができる。別の方法で、追加のエネルギー源を用いなくても最終的に完全硬化して、コーテッド研磨物品とすることもできる。
【0152】
上記の2つの方法のいずれにおいても、組成物を製造用具に導入した後では、組成物が架橋される前でもあまり大きな流動性を有していない方が有利である。本発明の方法における上記2つの実施態様は、説明のためのものと考えるべきであって、限定的な意味はない。たとえば米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)ら);同第5,681,217号(フープマン(Hoopman)ら);および同第5,855,652号(ステッツエル(Stoetzel)ら)などに開示されている構造化研磨物品を作製するための方法を修正して、前記の特許に開示されているバインダー前駆体に代えて、エポキシ官能性材料および環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種を少なくとも組み合わせて得られる組成物を使用することができる。
【0153】
本発明による利点と実施態様を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例において用いた具体的な材料およびその量、さらにはその他の条件や詳細は、本発明を限定するものと不当に受け取ってはならない。以下の非限定的な実施例で、本発明をさらに説明する。実施例における部、%、比などはすべて、特に記さない限り、重量基準である。
【0154】
具体的な例、材料、量および方法については、本明細書において説明する本発明の範囲と精神に従って広く解釈すべきであることを理解されたい。
【実施例】
【0155】
各種の実施例を作るために用いた材料は、表1において特定する。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【表4】
【0160】
実施例1〜3および比較例A
実施例1〜3および比較例Aでは、充填剤として長石を含む有用な研磨粒子を作製して、本発明の有効性を説明する。
【0161】
実施例1
図10に示すように、実施例1のバインダー粒子180を装置120で調製する。装置120には、エンドレスベルトの形態の製造用具122を備えている。製造用具122は、所望の化学線の波長を実質的に透過するポリマー材料で作られている。製造用具122および用具122を作製するためのプロセスは、米国特許第5,435,816号(スパージョン(Spurgeon)ら)および同第5,975,987号(フープマン(Hoopman)ら)に記載されている。調製されるバインダー粒子180は、高さが533マイクロメートル(21ミル)の4面ピラミッド状で底辺が1371マイクロメートル(54ミル)であって、米国特許第5,975,987号におけるローレット切り法を使用して形成した製造用具122の中で作製した。キャリアウェブ126は厚み75マイクロメートル(3ミル)のポリエステルフィルムにエチレン−アクリル酸プライマーをコーティングしたものである。キャリアウェブ126を巻出し機構128から送り出しながら、そのキャリアウェブ126の上にコーター130の手段を使用して、バインダー前駆体132を塗布した。バインダー前駆体132には、プレミックス2(表2に示したもの)に、2625gの研磨粒子1と875グラムの研磨粒子2との混合物を加えたものが含まれる。バインダー前駆体132を含むキャリアウェブ126の部分を、ニップロール164の手段によって製造用具と接触させた。製造用具122とバインダー前駆体132を含むキャリアウェブ126との部分が、温度調節したマンドレル142に押しつけられた。マンドレル142は軸146の周りに回転していた。次いで、照射源141からの照射エネルギー140を、製造用具122を通過させてバインダー前駆体132に加えた。照射源141は、400ワット/インチ(160ワット/cm)の中圧水銀蒸気紫外線ランプであった。照射源141からの照射140に暴露されて、バインダー前駆体132は、固化されて取扱いが可能となったバインダー粒子180となった。製造用具122と、固化されて取扱いが可能となったバインダー粒子180を含むキャリアウェブ126の両方が、マンドレル142の手段によって連続的に照射源141のところを通過していった。バインダー粒子180を含むキャリアウェブ126は、ニップロール143の直後に製造用具122から分離された。キャリアウェブ126のうら側127(すなわち、ピラミッド状に成形された粒子を含まない側)を超音波ホーン170(6−4チタン構造で、900ワット、184ボルトのブランソン電源(Branson power source)(ブランソン・ウルトラソニックス社アプライド・テクノロジーズ・グループ(Branson Ultrasonics Corp.,Applied Technologies Group、コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT))に2:1ブースター(Booster)802圧電コンバータを組み合わせて駆動)を、91,100Hz、振幅約130マイクロメートルで振動させると、バインダー粒子180をキャリアウェブ126から除去して、ホッパー190に集めることができた。キャリアウェブ126は、巻上げ機構144に巻き取られた。
【0162】
この操作は連続法で、ウェブの運転速度は30.5メートル/分であった。コーター130のコーターギャップ135は0.020インチ(0.51mm)で、マンドレル142の温度は60゜F(15.6℃)に保ち、バインダー前駆体132の温度は90゜F(32℃)に保った。
【0163】
実施例2および3ならびに比較例A
実施例2および3ならびに比較例Aのバインダー粒子を、表3に示したそれぞれの組成物を用い、実施例1の手順により調製した。プロセス条件は、表4に示す。
【0164】
実施例4〜6および比較例B
実施例4〜6および比較例Bを、表3に示したそれぞれの組成物を用い、実施例1の手順により調製した。プロセス条件は、表4に示す。
【0165】
実施例4〜6および比較例Bでは、充填剤としてケイ灰石を含む研磨粒子を製造したときの、本発明の有効性を示す。実施例1〜3および比較例Aで使用した光触媒に代えて、加熱触媒を使用した。キャリアウェブから分離した後で、これらの実施例での粒子は、120℃で30分間加熱して、さらに架橋を進めた。
【0166】
研磨物品の調製
実施例1〜6および比較例A〜Bの粒子を用いて、試験のための研磨物品を調製した。幅10cm(4インチ)、長さ111.76cm(44インチ)の寸法の研磨物品の帯状物を、以下に記載する一般的な手順に従って調製した。一般的な炭酸カルシウム充填フェノール樹脂のメイクコートを、ダイコーターを使用して、350g/m2のフェノール/ラテックスで処理したポリエステル布バッキングの上に、約0.0266g/cm2の量で塗布した。次いで、このメイクコートの上に粒子を約0.0774g/cm2の量でドロップコートして、クローズドコート(closed coat)を作製した。ペイントブラシを用いてその粒子の上にフェノール樹脂を塗布して、サイズコートを作った。サイズコートのおおよその量は、それぞれの例毎に記載する。この研磨ベルトを、対流式加熱器中で93℃(200゜F)で90分、次いで110℃(230゜F)で10時間加熱した。架橋させた後で、このベルトを96cm×2.5cmの大きさに切断し、通常の突合わせ接続により、接続させた。
【0167】
試験手順
研磨ベルトはそれぞれ個別に、ELBグラインダーズ社(ELB Grinders Corp.、ニュージャージー州マウンテンサイド(Mountainside、NJ))から商品名ELBタイプSPA2030NDとして販売されているELB往復床研削機を使用した試験にかけた。研磨ベルトの有効切削面積は、2.5cm×96cmであった。このベルトで研磨した被工作物は、1018鋼材で、そのサイズは幅1.3cm×長さ35cm×高さ10cmであった。研磨は、1.3cm×35cmの辺に対して実施した。被工作物は、往復テーブル上に取り付けた。研磨ベルトの速度は、1676メートル/分(5500表面フィート/分)であった。被工作物を移動させるテーブルの速度は、6.1メートル/分(20フィート/分)であった。用いた方法は、通常の表面研削法で、回転している研磨ベルトの下て、被工作物を往復動させ、そのときの漸増させる下向きの送り(downfeeding)は、実施例1〜3および比較例Aに対しては、被工作物1パスあたり12.7マイクロメートル(0.5ミル)とした。実施例4〜6および比較例Bの場合には、被工作物1パスあたり17.8マイクロメートル(0.7ミル)に増加させた。この研削では、22.8リットル/分(6gpm)の水を供給しながら実施した。試験の終点は、実質的に全部の研磨コーティングがバッキングからすり減ってしまったところとした。被工作物の重量を、試験の前後に測定した。被工作物におけるこの重量の差を、「切削量(cut)」として記録した。
【0168】
実施例1〜6および比較例A〜Bの粒子を含む研磨物品についての試験結果を表5に示す。これらのデータから、湿式表面研削において、本発明による粒子から作製した研磨ベルトは、従来技術による粒子で作製した研磨ベルトより優れた性能を有していることが判る。
【0169】
【表5】
【0170】
実施例7〜10
実施例7〜10は、本発明の複合粒子の破壊靱性が、公知のもののそれと比較して改良されていることを示すために調製した。成形物品を以下の手順により調製した。
【0171】
実施例7〜10の組成物を表6に示す。破壊靱性を測定するための試験片は、組成物を真空下で個別に脱気し、0.25×1.5×3インチ(6.35×38.1×76.2mm)の大きさで上部と下部に石英ガラス板を有する型の中に、各種の組成物を注入して、調製した。次いでそれぞれの組成物をUV照射(D管、フュージョン・UV・システムズ社(Fusion UV Systems Incorporated、メリーランド州ーサーズバーグ(Gaithersburg、MD)))に暴露して架橋させたが、上部、下部の両方から、順次以下の出力レベルとコンベア速度で実施した。実施例7〜10はすべて、下記の4つの工程手順に従って暴露させた:(1)70フィート/分(21.3m/分)、両側ともランプ出力レベル400ワット/インチ;(2)70フィート/分(21.3m/分)、両側ともランプ出力レベル600ワット/インチ;(3)50フィート/分(15.2m/分)、両側ともランプ出力レベル600ワット/インチ;および(4)25フィート/分(7.6m/分)、両側ともランプ出力レベル600ワット/インチ。このようにゆっくりと架橋させたのは、薄い試験片の中に架橋による欠陥が生じるのを防ぐためである。UV暴露をしてから、すべての成形片を100℃、120℃そして140℃で各1時間ずつ加熱して、架橋させた。架橋させた試験片を次いで脱型し、試験片の形態をコンパクト試験片C(T)として、KIC(モードI臨界応力強度因子)破壊靱性試験(ASTM E399−90(1997))を行った。それぞれの組成物の平均の試験値を表6に示すが、ここで、KIC値が高いほど靱性が高くなっていることを表している。
【0172】
【表6】
【0173】
90度剥離接着試験
試験対象の研磨物品を、幅約3cm×長さ25cmの試料の形にした。木製ボード(17.8cm×7.6cm×0.6cm厚み)の長さの半分に、商品名スリーエム・ジェット・メルト・アドヘーシブ(3M JET MELT ADHESIVE)#3779を、商品名ポリガン(POLYGUN)IIと呼ばれる接着剤アプリケーターを使用してコーティングした(上記はいずれも、スリーエム社(3M Company、ミネソタ州セントポール(St. Paul、MN)))から入手可能)。次いで、研磨材料の試料を担持している方の側を、板の接着剤がコーティングしてある側に付着させて、接着剤を担持していない研磨試料の10cmがボードからはみ出るようにした。圧力をかけて、ボードと試料がしっかりと接着するようにし、充分な時間を与えて接着剤を冷却、固化させた。
【0174】
次いでこの試験用の試料を直線に沿って切断して、飛び出している研磨材試験片の幅を減らして5.1cmにした。こうして得られた研磨試料/ボードの複合物を、引張試験機(商品名シンテック(SINTECH)6W、エムティエス・システムズ社(MTS Systems Corp.、ミネソタ州エデンプレーリィ(Eden Prairie、MN))製)の上のチャックに垂直にとりつけ、研磨試料の飛び出し部分の約1cmを試験機の下側チャックに取り付けて、チャック間の距離を10.2cmとした。試験機でこれらのチャックの間隔を0.5cm/秒の速度で広げていき、研磨試料が木製ボードから90度の角度で引っ張られるようにして、試料をボードから剥離していった。試験機は、処理コーティングから布を剥離させるのに必要な、試験片の横幅1cmあたりの力を記録した。一般に、これに必要な力が大きいほど、研磨材コーティングが布のバッキングによく接着している。
【0175】
ロッカードラム(Rocker Drum、RD)試験
ロッカードラム試験によって、0.48cm平方の軟鋼被工作物を研磨する能力を評価した。より詳しくは、比較例Cおよび実施例1〜5の研磨物品を幅10.2cm×長さ15.2cmのシートの形状にし、これをロッカードラム試験機(試験機のタイプ)の円筒状のドラムに取り付け、これを1分間に約60ストロークの速度で前後に往復運動(ロック)させた(前後に完全に1往復させるのを、1ストロークと数える)。往復運動の間に、研磨物品が軟鋼の被工作物と接触した。被工作物に対する往復運動によって、研磨物品の上に約幅0.48cm×長さ14.0cmの範囲で摩耗がおきた。被工作物に加える圧力は、26.5Nまたは17.6Nのいずれかであった(記載のとおり)。被工作物における重量損失を測定して、表3の「炭素鋼切削量」に記録した。得られた結果は、表3に2回の試験の平均値として示した。研磨物品の試料の厚みをマイクロメータを使用して測定し、厚みの減少を「摩耗」として示した。
【0176】
比較例Cおよび実施例11〜15の研磨物品を作製する手順
比較例Cおよび実施例11〜15は、多官能(メタ)アクリレートモノマーのエポキシ官能性材料/環状無水物の組合せに対する比を変化させたときの効果を示すものである。
【0177】
比較例C
プレミックスを、以下の成分を組み合わせ、高剪断ミキサーを用いて混合することにより調製した:
【0178】
1892gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(商品名SR351として、サルトマー社(Sartomer Company、ペンシルバニア州ウェストチェスター(West Chester、PA))から入手);1076gのケイ灰石であるメタケイ酸カルシウム(NYCOミネラルズ社(NYCO Minerals Inc.,ニューヨーク州ウィルスボロ(Wilsboro、NY))から入手);18.9gの光重合開始剤(商品名イルガキュア(IRGACURE)819として、チバ・スペシャルティ・ケミカル社(Ciba Specialty Chemical Corporation、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown、NY))から入手);57.5gの二酸化ケイ素(商品名アエロジル(AEROSIL)OX−50として、デグッサ−ヒュールス社(Degussa−Huls Ltd.、ニュージャージー州リッジフィールド・パーク(Ridgefield Park、NJ))から入手);5gの濡れ剤(97重量%のリン酸化ポリエステルおよび3重量%のリン酸を含むもので、商品名ディスパーBYK(DISPERBYK)111として、BYK−ヘミー(BYK−Chemie、ドイツ国ヴェーゼル(Wesel、Germany))から入手);および10gのエポキシシラン接着促進剤(商品名シルケスト(Silquest)A−187として、OSI・スペシャルティ社(OSI Specialities、ウェストバージニア州、フレンドリ(Friendly、WV))から入手)。
【0179】
プレミックスの全量は3059.4gとなった。褐色酸化アルミニウム研磨グリット(2400g)(商品名デュラルム(DURALUM)GWとして、ワシントン・ミルズ・エレクトロミネラルズ(Washington Mills Electrominerals、ニューヨーク州ナイアガラフォールズ(Niagra Falls、NY))から入手)をこのプレミックスに添加、高剪断ミキサーで混合して、研磨材スラリーを形成させた。
【0180】
この研磨材スラリーを、通常のラテックス−フェノール処理ポリエステル布の上にコーティングした。このスラリーを布のおもて面(すなわち、バックサイズとは反対の面)の上に、ナイフコーターを用いてコーティングしたが、ナイフコーターは実施例17を除いた他のすべての実施例では、ギャップが305マイクロメートル(12ミル)で塗布速度を約15.24メートル/分とし、実施例17では塗布速度を約5.79メートル/分とし、それによって研磨材スラリーが布のおもて面を濡らすようにした。次いで、ポリプロピレン製の製造用具ローラーのキャビティを、スラリーをコーティングしたバッキングの上に押さえつけて、その研磨材スラリーに製造用具のパターンの模様をつけた。
【0181】
比較例Cおよび実施例1〜5を作製するための製造用具およびそれを作製するプロセスは、米国特許第5,946,991号(フープマン(Hoopman))の実施例1に記載されているのと同様である。それらの製造用具では、ピラミッド状のキャビティが疑似乱数的配列(pseudo−random array)となっている。キャビティの高さはすべて、約20ミル(508μm)であった。ピラミッド状キャビティの底辺の幅は、39.9、33.7、28.4または23.7ミル(1.0、0.86、0.72または0.60mm)であった。ピラミッド状キャビティの疑似乱数的配列の例が、図11に示されている。
【0182】
比較例Cおよび実施例11〜15で使用される製造用具によって形成される特定の研磨突起は、高さが507マイクロメートル(20ミル)の4辺を有するピラミッドであった。この製造用具で形成されるピラミッドのパターンは、2つの隣接するピラミッドが同じ形状にならない、すなわち、隣接するピラミッドの間の角度が、ピラミッドの辺の長さと同様に、ランダムになっていた。2つの隣接するピラミッドの間の角度の最大と最小は、それぞれ60度および90度であった。
【0183】
2つのD球(フュージョン・UV・システムズ(Fusion UV Systems、メリーランド州ーサーズバーグ(Gaithersburg、MD))製造)から放射される線量約236ワット/cm(600ワット/インチ)の紫外/可視光線を、製造用具を通過させて研磨材スラリーに当てた。この紫外/可視光線によって組成物の架橋が開始され、研磨材スラリーから研磨突起が形成されて、それが布バッキングに付着または固定された。
【0184】
最終的に、この研磨物品を製造用具から分離した。
【0185】
実施例11
比較例Cの手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が1419g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が14.2gであり、そしてプレミックスを製造する際に下記の成分がふくまれる:328gのビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料(商品名エポン(EPON)825として、レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products、テキサス州ヒューストン(Houston、TX))から入手);140gのヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)(バッファロー・カラー社(Buffalo Color Corporation、ニューヨーク州バッファロー(Buffalo、NY)))から入手);および、10gのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)(商品名SAR−CAT CD1010として、サルトマー社(Sartomer Company、ペンシルバニア州ウェストチェスター(West Chester、PA))から入手)。プレミックスの全量は3059.7gとなった。比較例Cの量を基準にすると、存在している多官能(メタ)アクリレートの量は75重量%であった。
【0186】
実施例12
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が1136g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が11.4g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が524g、HHPAの量が225g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が15gであった。プレミックスの全量は3059.9gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は60重量%であった。
【0187】
実施例13
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が942g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が9.4g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が659g、HHPAの量が282g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が19gであった。プレミックスの全量は3059.9gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は50重量%であった。
【0188】
実施例14
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が756g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が7.6g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が787g、HHPAの量が337g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が23gであった。プレミックスの全量は3059.1gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は40重量%であった。
【0189】
実施例15
実施例11の手順に倣ったが、プレミックスに関して下記の点で異なる、すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351)の量が473g、光重合開始剤(イルガキュア(IRGACURE)819)の量が4.7g、ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ官能性材料の量が983g、HHPAの量が421g、そしてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中50%)の量が29gであった。プレミックスの全量は3059.2gとなった。比較例Cで使用した量を基準にすると、使用した多官能(メタ)アクリレートの量は25重量%であった。
【0190】
比較例Dならびに実施例16および17
表7に列記した成分を組み合わせ、高剪断ミキサーを用いて混合することによって、プレミックスを調製した。
【0191】
【表7】
【0192】
比較例CおよびDならびに実施例11〜17は、(メタ)アクリレートモノマーのエポキシ/環状無水物組合せに対する比を変更して場合の効果を示している。研磨物品は、上記の研磨物品を作製するための手順に従って作製した。比較例CおよびDならびに実施例11〜17は、表7に示した組成物である。比較例CおよびDならびに実施例11〜17の研磨物品は、90度剥離試験によって接着性の試験をし、また、比較例Cおよび実施例1〜5については、ロッカードラム試験によって切削性を試験した。表8に示した結果から、エポキシ官能性材料および環状無水物を少なくとも全量の25重量%含む研磨材複合材料では、優れた接着性、大きな切削量、および長寿命が得られることが判る。
【0193】
【表8】
【0194】
上記の詳細な説明および実施例は、理解を明らかにする目的だけのために記載したものである。それらが、不必要な限定をしていると受け取ってはならない。本発明は、記載をし説明をしてきた詳細そのものに限定される訳ではなく、当業者には明らかな各種の変更もまた、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内に含まれるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本発明による例示的な粒子を作製するためのプロセスを実施する方法を示した概略的な側面図である。
【図2】本発明による例示的な粒子を作製するためのプロセスを実施する別の方法を示した概略的な側面図である。
【図3】本発明による例示的な粒子を作製するためのプロセスを実施するさらに別の方法を示した概略的な側面図である。
【図4】本発明による例示的な粒子を使用した研磨物品を高さ方向で見た、概略的な側面図である。
【図5】本発明による例示的な粒子を使用した別の研磨物品を高さ方向で見た、概略的な側面図である。
【図6】本発明による例示的な粒子を使用したさらに別の研磨物品を高さ方向で見た、概略的な側面図である。
【図7】本発明による例示的な粒子を含む本発明による研磨物品を固結させた実施態様を示す概略図である。
【図8】本発明による例示的な粒子を含む本発明による研磨物品を不織布に付けた実施態様を示す概略図である。
【図9】図1に示した製造用具のセグメントの透視図である。図9に示したセグメントは実質的には、図1、2および3の製造用具のセグメントと同じである。
【図10】本発明による例示的な粒子を作製するまた別の方法の概略的な側面図である。
【図11】本発明による研磨物品の実施態様を切断した側面図である。
【図12】本発明による研磨物品の実施態様を作製するための装置の概略図である。
【図13】本発明による研磨物品の実施態様の斜視図である。
【図14】本発明による研磨物品の実施態様を作製するための装置の概略図である。
Claims (69)
- ポリマー材料および複数の研磨グリットを含む離散粒子であって、前記ポリマー材料が、(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含む離散粒子。
- 前記成分が(c)硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の粒子。
- 前記成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項1に記載の粒子。
- 前記多官能(メタ)アクリレートが、モノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項3に記載の粒子。
- 前記成分が(d)フリーラジカル重合開始剤をさらに含む、請求項3に記載の粒子。
- 複数の研磨グリット、ならびに少なくとも(a)エポキシ官能性材料および(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種を組み合わせることによって調製できるポリマー材料を含む離散粒子。
- 前記ポリマー材料が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)硬化剤を組み合わせることにより調製できる、請求項6に記載の粒子。
- 前記ポリマー材料が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせることにより調製できる、請求項6に記載の粒子。
- 前記多官能(メタ)アクリレートが、モノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項8に記載の粒子。
- 前記ポリマー材料が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)多官能(メタ)アクリレート、および(d)フリーラジカル重合開始剤を組み合わせることにより調製できる、請求項8に記載の粒子。
- (a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含むポリマー材料を含む複数の離散粒子を含む研磨物品。
- 前記粒子の少なくとも一部が、複数の研磨グリットをさらに含む、請求項11に記載の物品。
- 前記成分が(c)硬化剤をさらに含む、請求項11に記載の物品。
- 少なくとも前記粒子の一部に付着したバッキングをさらに含む、請求項11に記載の物品。
- 少なくとも前記粒子の一部が付着した不織ウェブをさらに含む、請求項11に記載の物品。
- 前記成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項11に記載の物品。
- 前記多官能(メタ)アクリレートが、モノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項16に記載の物品。
- 前記成分が(d)フリーラジカル重合開始剤をさらに含む、請求項16に記載の物品。
- 少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できるポリマー材料を含む複数の粒子を含む研磨物品。
- 前記粒子の少なくとも一部が、複数の研磨グリットをさらに含む、請求項19に記載の物品。
- 前記ポリマー材料が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)硬化剤を組み合わせることにより調製できる、請求項19に記載の物品。
- 少なくとも前記粒子の一部に付着したバッキングをさらに含む、請求項19に記載の物品。
- 前記ポリマー材料が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせることにより調製できる、請求項19に記載の物品。
- 前記多官能(メタ)アクリレートが、モノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項23に記載の物品。
- 前記ポリマー材料が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)多官能(メタ)アクリレート、および(d)フリーラジカル重合開始剤を組み合わせることにより調製できる、請求項23に記載の物品。
- 離散粒子を調製する方法であって、
少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)複数の研磨グリットを組み合わせて組成物を提供する工程と;
前記組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化することによって離散粒子を提供する工程と、を含む方法。 - 組合せる工程が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)複数の研磨グリット、および(d)硬化剤を組み合わせる工程を含む、請求項26に記載の方法。
- 組合せる工程が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)複数の研磨グリット、および(d)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせる工程を含む、請求項26に記載の方法。
- 組合せる工程が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)複数の研磨グリット、(d)多官能(メタ)アクリレート、および(e)フリーラジカル重合開始剤を組み合わせる工程を含む、請求項28に記載の方法。
- 組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化する工程が、組成物の少なくとも一部を照射する工程を含む、請求項26に記載の方法。
- 組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化する工程が、組成物の少なくとも一部を熱的に硬化する工程を含む、請求項26に記載の方法。
- 三次元ボデー中に1つ以上のキャビティを持つ三次元ボデーを有する製造用具を提供する工程と;
前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部に組成物を導入する工程と、をさらに含む、請求項26に記載の方法。 - 組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化する工程が、前記製造用具の1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中で組成物の少なくとも一部を部分的に硬化する工程を含む、請求項32の方法。
- 前記離散粒子をキャビティから除去する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
- 主表面を有するバッキング;
主表面に付着された複数の突起;および
(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを含む成分の反応生成物を含むバインダー、を含む研磨物品。 - 前記成分が(c)硬化剤をさらに含む、請求項35に記載の物品。
- 前記成分が(c)多官能(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項35に記載の物品。
- 前記多官能(メタ)アクリレートが、モノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項37に記載の物品。
- 前記成分が(d)フリーラジカル重合開始剤をさらに含む、請求項37に記載の物品。
- 前記バインダーに複数の研磨グリットをさらに含む、請求項35に記載の物品。
- 前記突起が研磨グリットを含む複合物突起である、請求項35に記載の物品。
- 前記バインダーが前記バッキング中に存在する、請求項35に記載の物品。
- 前記バインダーが前記バッキング上に存在する、請求項35に記載の物品。
- 前記バインダーが前記突起中に存在する、請求項35に記載の物品。
- 主表面を有するバッキング;
主表面に付着された複数の突起;および
少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できるバインダー、を含む研磨物品。 - 前記バインダーが、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)硬化剤を組み合わせることにより調製できる、請求項45に記載の物品。
- 前記バインダーが、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせることによって調製できる、請求項45に記載の物品。
- 前記多官能(メタ)アクリレートが、モノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項47に記載の物品。
- 前記バインダーが、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)多官能(メタ)アクリレート、および(d)フリーラジカル重合開始剤を組み合わせることにより調製できる、請求項47に記載の物品。
- 前記バインダーが複数の研磨グリットをさらに含む、請求項45に記載の物品。
- 前記突起が研磨グリットを含む複合物突起である、請求項45に記載の物品。
- 前記バインダーが前記バッキング中に存在する、請求項45に記載の物品。
- 前記バインダーが前記バッキング上に存在する、請求項45に記載の物品。
- 前記バインダーが前記突起中に存在する、請求項45に記載の物品。
- 研磨物品を作製する方法であって、
1つ以上のキャビティを持つ三次元ボデーを有する製造用具を提供する工程であって、前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部はその中に少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できる組成物を有し、前記製造用具は、1つ以上のキャビティに近接した主表面を有するバッキングを有する工程と;
前記組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化することによって研磨物品を形成する工程と、を含む方法。 - 前記組成物が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)多官能(メタ)アクリレートを組み合わせることによって調製できる、請求項55に記載の方法。
- 組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化する工程が、前記製造用具の1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中で組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化する工程を含む、請求項55に記載の方法。
- 前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部から前記バッキングを除去し、前記バッキングの主表面に付着した突起を有する研磨剤物品を提供する工程を含む、請求項55に記載の方法。
- 前記製造用具を提供する工程が、前記バッキングの主表面と前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部との間に中間体層を提供する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
- 前記製造用具を提供する工程が、
1つ以上のキャビティを持つ三次元ボデーを有する製造用具を提供する工程であって、前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部はその中に少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できる組成物を有する工程と;
バッキングの主表面を前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部に適用する工程と、を含む、請求項55に記載の方法。 - 前記組成物が前記バッキングの主表面を濡らすようにする工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
- 前記製造用具を提供する工程が、
1つ以上のキャビティを持つ三次元ボデーを有する製造用具を提供する工程と;
前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部の中に、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できる組成物を導入する工程と、を含む、請求項50に記載の方法。 - 前記製造用具を提供する工程が、
1つ以上のキャビティを持つ三次元ボデーを有する製造用具を提供する工程と;
前記1つ以上のキャビティの少なくとも一部に、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できる組成物をその上に有するバッキングの主表面を適用する工程と、を含む、請求項55に記載の方法。 - 前記バッキングを提供する工程が、
主表面を有するバッキングを提供する工程と;
前記バッキングの主表面に、少なくとも(a)エポキシ官能性材料と(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種とを組み合わせることによって調製できる組成物を適用する工程と、を含む、請求項63に記載の方法。 - 前記組成物が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、および(c)硬化剤を組み合わせることにより調製できる、請求項55に記載の方法。
- 前記組成物が、少なくとも(a)エポキシ官能性材料、(b)環状無水物またはそれから誘導される二酸の少なくとも1種、(c)多官能(メタ)アクリレート、および(d)フリーラジカル重合開始剤を組み合わせることにより調製できる、請求項56に記載の方法。
- 前記組成物が複数の研磨グリットをさらに含む、請求項55に記載の方法。
- 組成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に硬化する工程が、組成物の少なくとも一部を照射する工程を含む、請求項55に記載の方法。
- 前記研磨物品の少なくとも一部を熱的に硬化する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/813,368 US6605128B2 (en) | 2001-03-20 | 2001-03-20 | Abrasive article having projections attached to a major surface thereof |
US09/813,286 US6582487B2 (en) | 2001-03-20 | 2001-03-20 | Discrete particles that include a polymeric material and articles formed therefrom |
PCT/US2002/000472 WO2002074492A2 (en) | 2001-03-20 | 2002-01-09 | Abrasive particles that include a polymeric material and abrasive articles made from them |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004533497A true JP2004533497A (ja) | 2004-11-04 |
Family
ID=27123717
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002573191A Withdrawn JP2004533497A (ja) | 2001-03-20 | 2002-01-09 | ポリマー材料を含む研磨物品 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP1372911A2 (ja) |
JP (1) | JP2004533497A (ja) |
AU (1) | AU2002241826A1 (ja) |
BR (1) | BR0208035A (ja) |
WO (1) | WO2002074492A2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008544073A (ja) * | 2005-06-27 | 2008-12-04 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 組成物、処理済み裏材、及びそれを含有する研磨物品 |
JP2009508290A (ja) * | 2005-08-19 | 2009-02-26 | チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド | 異方性導電フィルムおよびこれを用いた電子回路およびデバイス |
JP2015503462A (ja) * | 2011-12-30 | 2015-02-02 | サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド | 成形研磨粒子の形成 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6843815B1 (en) | 2003-09-04 | 2005-01-18 | 3M Innovative Properties Company | Coated abrasive articles and method of abrading |
EP2692818A1 (de) * | 2012-08-02 | 2014-02-05 | Robert Bosch Gmbh | Schleifkorn mit Hauptoberflächen und Nebenoberflächen |
FR3041650B1 (fr) * | 2015-09-30 | 2017-10-20 | Commissariat Energie Atomique | Substrat luminescent contenant des particules abrasives, et son procede de preparation |
US10836016B2 (en) | 2016-12-23 | 2020-11-17 | Saint-Gobain Abrasives, Inc. | Abrasive articles including aggregates of silicon carbide in a vitrified bond |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB994484A (en) * | 1960-10-10 | 1965-06-10 | Carborundum Co | Coated abrasive products |
US3226214A (en) * | 1960-11-03 | 1965-12-28 | Union Carbide Corp | Epoxy resin abrasive structures and method therefor |
US6077601A (en) * | 1998-05-01 | 2000-06-20 | 3M Innovative Properties Company | Coated abrasive article |
-
2002
- 2002-01-09 EP EP02707415A patent/EP1372911A2/en not_active Withdrawn
- 2002-01-09 AU AU2002241826A patent/AU2002241826A1/en not_active Abandoned
- 2002-01-09 JP JP2002573191A patent/JP2004533497A/ja not_active Withdrawn
- 2002-01-09 WO PCT/US2002/000472 patent/WO2002074492A2/en not_active Application Discontinuation
- 2002-01-09 BR BR0208035-4A patent/BR0208035A/pt not_active IP Right Cessation
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008544073A (ja) * | 2005-06-27 | 2008-12-04 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 組成物、処理済み裏材、及びそれを含有する研磨物品 |
JP2009508290A (ja) * | 2005-08-19 | 2009-02-26 | チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド | 異方性導電フィルムおよびこれを用いた電子回路およびデバイス |
JP2015503462A (ja) * | 2011-12-30 | 2015-02-02 | サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド | 成形研磨粒子の形成 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
AU2002241826A1 (en) | 2002-10-03 |
WO2002074492A2 (en) | 2002-09-26 |
BR0208035A (pt) | 2004-03-02 |
EP1372911A2 (en) | 2004-01-02 |
WO2002074492A3 (en) | 2003-09-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6605128B2 (en) | Abrasive article having projections attached to a major surface thereof | |
US5851247A (en) | Structured abrasive article adapted to abrade a mild steel workpiece | |
EP0605008B1 (en) | Abrasive composites having a controlled rate of erosion, articles incorporating same, and methods of making and using same | |
JP3579053B2 (ja) | 正確に造形された粒子およびその製造法 | |
EP0719200B1 (en) | Abrasive articles and methods of making and using same | |
US6056794A (en) | Abrasive articles having bonding systems containing abrasive particles | |
JP2004526582A (ja) | ポリマー材料を含む研磨物品 | |
US6582487B2 (en) | Discrete particles that include a polymeric material and articles formed therefrom | |
JP2004533497A (ja) | ポリマー材料を含む研磨物品 | |
EP1140428B1 (en) | Abrasive article having an abrasive coating containing a siloxane polymer | |
JP2007505757A (ja) | 構造化された研磨物品 | |
JP2007505756A (ja) | 被覆研磨材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050405 |