JP2004529893A - 改善されたバイオアベイラビリティーを有する組成物 - Google Patents
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Abstract
エレトリプタンのバイオアベイラビリティーは、エレトリプタンをp−糖タンパク質(p−gp)阻害剤と同時投与することによって増加させることができる。該エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、組成物中で一緒にまたは別個の成分として投与することができる。別個に投与される場合、それらはキットとしての態様に具体化することができる。
Description
【0001】
本発明は、エレトリプタン(eletriptan)の経口バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、エレトリプタンをp−糖タンパク質(p−gp)阻害剤と同時投与することを含む方法に関する。本発明は、更に、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を含む組成物およびキットに関する。
【0002】
エレトリプタンは、血管5−HT1B受容体および神経5−HT1D受容体の強力且つ選択的なアゴニストである。エレトリプタンは、動物の頸動脈分布中の頭蓋内血管の選択的収縮を引き起こし、冠状動脈よりも頸動脈分布に選択的である。片頭痛の正確な原因および機構は理解されていないが、頭蓋血管(片頭痛の場合に拡張し且つ炎症を起こした状態になる)と周囲の感覚神経との関係がおそらく関与している。結果として生じた痛みは、拡張した血管と、三叉神経節に由来する神経線維との間の相互作用であると考えられる。したがって、経口投与される選択的血管収縮薬であるエレトリプタンは、片頭痛に好都合な療法である。
【0003】
20mg、40mgおよび80mgの用量を用いた臨床試験は、用量レベルの増加につれて、その効力が増加し且つ片頭痛発作を軽癒する時間が短縮することを示している。有効な血漿濃度に達する時間は、より高い用量で短縮するが、個々の患者による変動および環境因子のような他の因子も、エレトリプタンへの暴露の速度および程度に影響を与えることが知られている。
【0004】
in vitro 代謝データは、エレトリプタンが、シトクロムP450−3A4アイソザイム(CYP3A4)によって主に代謝されることを示している。したがって、この酵素系のケトコナゾールおよびエリスロマイシンによる強力な阻害は、エレトリプタンの全身性暴露を増加させ且つクリアランスを減少させる。本発明は、特に、ベラパミルのようなp−gp阻害剤の存在下における単回用量のエレトリプタンの安全性、耐容性および薬物動態を評価する研究の結果に基づいている。ベラパミルは、全身および冠状動脈両方の動脈拡張活性を有するカルシウムイオン流入阻害剤(「カルシウムチャンネル遮断薬」)であり、主に、狭心症および高血圧症の制御に用いられている。
【0005】
ベラパミルは、CYP3A4代謝性酵素の中程度の阻害剤であることが知られているが(Ki=10μM)、該酵素による代謝は、エレトリプタンについての全身性クリアランスの主要経路である。しかしながら、in vitro ヒト肝ミクロソーム研究では、エレトリプタン代謝へのベラパミルの作用が示されなかった(IC50>300μM)。ベラパミルは、肝血流を変化させることが知られているが、これは、エレトリプタンの薬物動態にも影響を与えうるので、この研究では、肝血流も評価した。この研究は、エレトリプタンの薬物動態への中程度のCYP3A4阻害剤の影響について追加の臨床的情報を与えるように且つ in vitro/in vivo 薬物相互作用の相関を調べるのに役立つように設計された。この研究は、エレトリプタンと他のCYP3A4阻害剤との間の薬物動態学的相互作用の可能性についての情報を与えるのに用いられた。
【0006】
したがって、薬物の経口バイオアベイラビリティーを増加させることによって、一層低用量で投与でき、そしてなお、一層高用量の効力の利点をより一貫して与えうるエレトリプタン製剤を得ることは好都合であると考えられる。特に有用な製剤は、より一貫した供給ゆえに、一層低用量を用い且つ薬物の相互作用および副作用を減少させて、迅速な開始および一貫した作用を与えうると考えられる。例えば、50%を超えて生体内で利用可能であるような製剤は、40mgで投与しても、60mgで投与された場合に現在利用可能な製剤と同様の全身性暴露を与えうると考えられる。
【0007】
若干の賦形剤および薬物は、別の薬物と同時投与された場合、その薬物の経口吸収を増加させる。このような賦形剤および薬物は、少なくとも一部分は、腸壁および肝での代謝の阻害によっておよび/または腸管壁および他の組織中で見出されるp−gp/MDR流出ポンプを阻害することによって、全身性暴露を増加させると考えられる。更なる説明として、多剤耐性(MDR)タンパク質と称される一連の膜タンパク質は、腫瘍細胞中で多量に発現されるが、若干の抗発癌薬を腫瘍細胞から排出する(または「ポンプ送出する」)ことができるということが周知である。化学療法に対して腫瘍が発する耐性の一部分は、薬物が細胞に影響を及ぼす機会を得る前に腫瘍細胞から薬物をポンプ送出するこれらタンパク質の作用のためであると考えられる。概して、薬物は、細胞原形質膜を通過して受動的に分配して細胞中に入り、そしてMDRタンパク質によって細胞外へ能動的に輸送されると考えられる。MDRタンパク質は、P−糖タンパク質(p−gp)としても知られている。
【0008】
p−gpは、示されるように、腸管上皮のものを含めた多数のタイプの正常細胞中にも存在している。腸管上皮細胞(IEC)は、腸管壁内表面となる分極した細胞であり、胃腸管と血液との間に障壁を与える。IECの先端側は腸管内腔に面し、基底外側は門脈血液に面している。大部分の薬物は、受動的に吸収され、最初に、IEC先端細胞膜を越え、IEC内に入った後、基底外側細胞膜を越え、このようにして基底外側の細胞から出て、細胞外空間に入り、そして最終的に、門脈血流中に分配する。p−gpは、IECの先端細胞膜上に位置し、ある種の薬物をIECから腸管内腔に戻すようにポンプ送出する能力を有する。したがって、IECのp−gpは、多数の薬物の吸収を妨害する。IEC中のp−gpは、薬物代謝性酵素に薬物を提示する役割を有することもありうるが、それらの目的は、毒素の経口吸収を遅らせるまたは妨げることであると考えられている。p−gp流出ポンプは、ATP結合カセット(ABC:ATP-bindingcassette)膜輸送タンパク質のスーパーファミリーに属する。
【0009】
p−gpは、低い基質特異性を示し、多数の種類の分子を輸送する。この特異性は、十分には理解されておらず、現在のところ、ある特定の薬物が腸管p−gpの基質であるかどうかについて薬物分子構造から予測する方法はない。したがって、概して、ある特定の薬物または化合物が、上で論じられた流出ポンプ作用を受けるかどうかについて予測するのは不可能である。更に、特定の薬物が低い経口バイオアベイラビリティーを有する場合、概して、(1)その低いバイオアベイラビリティーが、全体的にまたは部分的に、上で論じられた流出ポンプによって引き起こされるのかどうかについて、または(2)その低いバイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の同時投与によって増加させることができるのかどうかについて予測することは不可能である。当該技術分野において、エレトリプタンのバイオアベイラビリティー(logeP 0.5)の速度および程度を、全身性クリアランスにも影響を及ぼすことなく、別の試剤とエレトリプタンを同時投与することによって改善することができるかどうかについては知られていない。
【0010】
欧州特許出願第0742722号は、特に、経口投与される疎水性医薬化合物、例えば、シクロスポリンのバイオアベイラビリティー(logeP 3.0)を増加させる方法であって、該化合物をシトクロムP450−3A酵素の阻害剤またはp−gpに媒介される膜輸送の阻害剤を含むバイオエンハンサーと同時に経口投与することを含む方法を広く特許請求している。
【0011】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、p−gp阻害剤と一緒にエレトリプタンを投与することが、全身性薬物クリアランスを変化させることなく、片頭痛軽癒の開始速度を増加させるということを発見した。より高い且つより一貫したエレトリプタンのバイオアベイラビリティーは、いかなる薬物相互作用により生じる可能性のある影響も軽減すると考えられる。
【0012】
したがって、本発明は、エレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーの速度および程度を有意に改善する薬剤として用いるための、p−gp阻害剤と組み合わせたエレトリプタンを提供する。
【0013】
本発明は、更に、片頭痛の処置のための、p−gp阻害剤と組み合わせた薬剤の製造におけるエレトリプタンの使用、およびp−gp阻害剤を同時に受容する患者に投与するための片頭痛の処置用薬剤の製造におけるエレトリプタンの使用を提供する。
【0014】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を含む医薬組成物、および各々の別個の組成物を含むキットも提供する。
エレトリプタンは、本発明において、その水和物を含めたその薬学的に許容しうる塩の形で用いることができる。このような形は全て、本発明の範囲内である。用いられるエレトリプタンは、好ましくは、例えば、欧州特許第0776323号に開示された臭化水素酸塩である。治療的量の用語での「エレトリプタン」の意味は、遊離塩基、すなわち、非塩、非水和分子のことである。
【0015】
「p−gp阻害剤」という用語の使用は、当該技術分野においてMDRタンパク質またはp−gp阻害剤として知られるタイプの化合物を包含すると理解されるであろう。これらには、薬学的に活性な化合物と、p−gp阻害活性の他には治療的に不活性であるという意味で非医薬用と考えられる化合物の両方が含まれてよい。「p−gp阻害剤」という用語は、2種類以上のp−gp阻害剤を、別個にまたは組成物中で一緒に、エレトリプタンと同時投与することができることをも意味すると理解されるであろう。本明細書の目的について、「MDRタンパク質」および「p−gp阻害剤」という用語は互換性の意味を有し、IECおよび脳内皮細胞から薬物を駆逐するこれら細胞膜ポンプタンパク質全体を包含する。
【0016】
更に、腸管壁中の流出ポンプタンパク質(複数のタンパク質でありうる)へのエレトリプタンの親和性は知られていないということ、およびそのような親和性は、概して、阻害剤であるおよび/またはそれら自体流出される他の薬物についても知られていないということは注目される。
【0017】
エレトリプタンバイオアベイラビリティーを増大させるp−gp阻害剤/MDRタンパク質相互作用は、1種類以上の様々な機構によって作動しうる。すなわち、当該技術分野において周知のように、それは、競合阻害剤、非競合阻害剤、不競合阻害剤であってよいし、または混合機構によって作動してよい。このような阻害剤がエレトリプタン流出に影響を及ぼすことがありうるかどうかについては、特に、(1)エレトリプタンのおよびこの阻害剤の、p−gp/MDRへの相対的親和性、(2)エレトリプタンおよびこの阻害剤が競合している場合、in vivo ポンプにおけるこれら二つの濃度に影響を及ぼすであろうという理由で、これらのものの相対的な水溶性、(3)in vivo ポンプにおいて、そのポンプを有効に阻害する充分な濃度に達すべきであるという理由で、この阻害剤の絶対的水溶性、および(4)この阻害剤の用量に依存する。本発明の目的について、「p−gp/MDR阻害剤」は、エレトリプタンが口腔内または経口経路によって投与される場合、エレトリプタンの全身性暴露を改善する任意の化合物であり、これは、腸管上皮細胞の薬物流出タンパク質(複数のタンパク質でありうる)によって流出されるおよび/またはこれを阻害する。流出および/または阻害の証拠は、腸管上皮細胞についての細胞培養モデルにおけるエレトリプタン流出との競合試験、またはその阻害試験のような in vitro 試験で得ることができる。Caco−2細胞モデルは、このようなモデルの一つである。本発明により、この「p−gp/MDR阻害剤」の定義は、このp−gp/MDR阻害剤が薬物である、すなわち、p−gp阻害剤としての他にも薬学的に活性であるか否かにかかわらず、いずれのp−gp/MDR阻害剤にも当てはまる。
【0018】
「投与」、「投与すること」、「投薬」および「投薬すること」の意味は、経口投与を意味する。
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤の組合せの「同時投与」は、これら二つの成分を、組成物としてまたは同じ単位剤形の一部分として一緒に投与することができるということを意味する。同時投与には、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を、別々にではあるが同じ治療計画の一部分として投与することも含まれる。これら二つの成分は、別々に投与される場合、必ずしも実質的に同時に投与される必要はないが、所望ならば、そのようにすることもできる。したがって、同時投与には、例えば、p−gp阻害剤とエレトリプタンとを、別個の投薬または剤形としてであるが同時に投与することも含まれる。同時投与には、異なった時点および任意の順番での別個の投与も含まれる。
【0019】
本発明により、エレトリプタンは、(1)エレトリプタンの細胞内レベルを増加させることが目的である場合、特定のp−gp阻害剤の不存在下でそれが投与されるのと同じレベルで;または(2)p−gp阻害剤の不存在下でそれが投与される標準レベルよりも低いレベルで投与されてよい。2番目の場合のエレトリプタンの用量は、通常は、増加したバイオアベイラビリティーにしたがって比例して減少した標準用量であろう。例えば、増大していないエレトリプタン経口バイオアベイラビリティーが50%であり且つp−gp阻害剤の存在下におけるバイオアベイラビリティーが75%である場合、80mg用量は、80mgx50/75=53.3mgまで減少してよい。エレトリプタンは、これら二つの投薬量値の間の中間のレベルで投与されてもよい。
【0020】
エレトリプタンは、現在、救急処置として20mg、40mgまたは80mgの単回用量で経口投与されている。p−gp阻害剤とは別個に投与される場合、例えば、最新版の Physicians' Desk Reference に記載のように、懸濁剤、錠剤、カプセル剤および単位用量パケット(packets)(当該技術分野において「サシェ剤(sachets)」と称される)を含めた、エレトリプタンのいずれの経口剤形を用いてもよい。
【0021】
本発明により、エレトリプタンは、例えば、片頭痛発作を軽癒するようにベラパミルと一緒に単回用量として投与することができるが、片頭痛が24時間以内に再発する場合、2回目の用量を必要とすることがありうる。当業者は、他のエレトリプタン/p−gp阻害剤投与計画が可能であるということを理解するであろう。有用な投与計画は、エレトリプタンのバイオアベイラビリティーまたは脳内浸透または他の組織レベルを増加させるものである。
【0022】
特に好ましい態様において、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、同時に、すなわち、互いに15分以内に投与される。
経口バイオアベイラビリティーは、当該技術分野においてどちらも周知のパラメーターであるAUCまたはCmaxを測定することによって評価することができる。AUCは、横座標(X軸)に沿った時間に対して縦座標(Y軸)に沿った薬物の血清濃度または血漿濃度をプロットした曲線下面積(the Area Under the Curve)の測定値である。一般に、AUCの値は、患者試験集団の対象全てから得られる多数の値を代表し、したがって、試験集団全体を平均した平均値である。Cmaxは、試験対象の血清または血漿中で達せられる最大薬物濃度の略語である。
【0023】
本発明の好ましい態様において、p−gp阻害剤は、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも25%だけ、すなわち、少なくとも62.5%の絶対バイオアベイラビリティーまで増加させるような量で、エレトリプタンと同時投与される。
【0024】
より好ましい態様において、p−gp阻害剤は、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも50%だけ、すなわち、少なくとも75%の絶対バイオアベイラビリティーまで増加させるような量で同時投与される。
【0025】
なお一層好ましい態様において、p−gp阻害剤は、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも100%だけ、すなわち、少なくとも100%の絶対バイオアベイラビリティーまで増加させるような量で同時投与される。
【0026】
本発明の別の好ましい態様において、p−gp阻害剤は、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも50%増加させるような量で、エレトリプタンと同時投与される。
【0027】
より好ましい態様において、p−gp阻害剤は、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも100%増加させるような量で同時投与される。
【0028】
なお一層好ましい態様において、p−gp阻害剤は、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも200%増加させるような量で同時投与される。
【0029】
示されるように、p−gp阻害剤は、一つの側面において、いずれの治療的作用も示さないことが知られているという意味で非医薬用である化合物および/またはp−gp阻害活性の他には治療的に不活性であると考えられる化合物を含めた多数の化合物より広く選択されてよい。別の側面において、p−gp阻害剤は、それら自体薬物であって、1種類またはそれを超える既知の治療的機能に加えて、p−gpも阻害する化合物より選択されてよい。
【0030】
一般に、非医薬用および/または治療的に不活性であると考えられるp−gp阻害剤の例には、表Iに挙げられるものが含まれる。これら阻害剤は、25mg〜3g、好ましくは、50mg〜2g、より好ましくは、50mg〜1gの用量で投与されてよい。
【0031】
【表1】
本発明の好ましい態様において、非医薬用p−gp阻害剤は、ポリ(プロピレンオキシド)およびポリ(エチレンオキシド)のブロックコポリマーであるポリマーのクラスより選択される。これらブロックコポリマーの例は、PluronicTMという登録商標でBASFより入手可能である。好ましいポリマーには、いずれもBASF Corp., Parsippany, NJ より入手可能な、PluronicTML43、L61、L62、L64、L81、L92、L101、P85、P103、P104およびP123が含まれる。これらの内、PluronicTML61、L62、L64、L81、L92、P85、P103およびP104が、特に好適である。これらポリマーの組成は、BASF Corp. より容易に入手することができる。
【0032】
別の好ましい態様において、非医薬用p−gp阻害剤は、非イオン界面活性剤のクラスより選択される界面活性剤である。例は、オレイン酸のPEOエステル類、好ましくは、PEO含量が20〜30PEO単位/分子の範囲内であるものである。例には、ステアリン酸のPEOエステル類、好ましくは、10〜35PEO単位/分子を含有するものも含まれる。有用な界面活性剤p−gp阻害剤には、ポリオキシエチレンエーテル類(例えば、Brij 系列)、パラ−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン類(例えば、Triton X−100)、ノニルフェノキシポリオキシエチレン類(例えば、Igepal CO系列)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類(例えば、Tween 系列)、エトキシル化脂肪酸類(例えば、Myrj 系列)、ポリオキシエチレングリセリド類(例えば、Gelucire 44/14のような Gelucire 系列)およびスクロース脂肪酸エステル類(例えば、Ryoto 糖エステル系列)が含まれる。
【0033】
特に好ましい非イオン界面活性剤p−gp阻害剤は、約13より大の親水親油バランス(HLB)数値を有する。
p−gp阻害の他に治療的機能を有する薬物であるp−gp阻害剤の例には、表IIに挙げられるものが含まれる。
【0034】
【表2】
表IIに挙げた薬物は、例えば、最新版の Physicians' Desk Reference に与えられるように、それらの慣用的な投薬量で投与されてよい。
【0035】
本発明の好ましい態様において、薬学的に活性なp−gp阻害剤は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニジンまたはキニーネのような抗マラリア薬;ネルフィナビル(nelfinavir)、サキナビル、リトナビル(ritonavir)またはインジナビルのような抗AIDS薬;セフォペラゾンまたはセフトリアクソンのような抗生物質;イトラコナゾールのような抗真菌薬;シクロスポリンのような免疫抑制薬;またはベラパミルのようなカルシウムチャンネル遮断薬である。ベラパミルが、特に好適である。
【0036】
示されるように、本発明は、更に、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を含む医薬組成物を提供する。これら成分は、一緒に投与することができるが、概して、予定の投与経路および標準的な医薬慣例に関して選択される適当な医薬賦形剤、希釈剤または担体との混合物で投与されるであろう。
【0037】
例えば、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、即時、遅延、修飾、持続、間断または制御放出の使用のために、経口で、口腔内または舌下に、着香剤または着色剤を含有してよい錠剤、カプセル剤、多粒状剤、ゲル剤、フィルム剤、小卵剤、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形で投与することができる。エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、急速分散性または急速溶解性の剤形として、または高エネルギー分散の形でまたはコーティング粒子として投与されてもよい。エレトリプタンおよびp−gp阻害剤の適当な製剤は、コーティングされていてよいしまたはされていなくてよい。
【0038】
このような固形医薬組成物、例えば、錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、グリシンおよびデンプン(好ましくは、トウモロコシ、バレイショまたはタピオカデンプン)のような賦形剤;ナトリウムデンプングリコラート、クロスカルメロースナトリウムおよび若干の錯ケイ酸塩のような崩壊剤;およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような造粒結合剤を含有してよい。更に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクのような滑沢剤が含まれていてよい。
【0039】
一般例
錠剤の製剤は、典型的には、約0.1mg〜200mgのエレトリプタンおよび20mg〜1000mgのp−gp阻害剤を含有しうるが、錠剤充填重量は、50mg〜1000mgであってよい。20mg錠剤についての製剤の一例を、下に詳しく説明する。
【0040】
【表3】
錠剤は、標準的な方法、例えば、直接打錠法または湿式または乾式造粒法によって製造される。錠剤コアは、適当なオーバーコートでコーティングされていてよい。
【0041】
類似のタイプの固形組成物は、ゼラチンカプセル剤またはHPMCカプセル中に充填して用いることもできる。好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤について、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、種々の甘味剤または着香剤、着色剤または色素と、乳化剤および/または懸濁化剤と、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン、またはそれらの組合せのような希釈剤と混合されてよい。
【0042】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、非経口で、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、脳脊髄内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下に投与してもよいし、または注入または無針注射技術によって投与してよい。このような非経口投与について、それらは、他の物質、例えば、その溶液を血液と等張にさせる充分な塩類またはグルコースを含有してよい滅菌水溶液の形で最もよく用いられる。必要ならば、これら水溶液は、好ましくは、3〜9のpHに適当に緩衝化されてよい。無菌条件下での適当な非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準的な製薬技術によって容易に行われる。
【0043】
したがって、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤の錠剤またはカプセル剤は、適宜、単回投与または一度に2回またはそれを超える投与用に、0.1mg〜200mgのエレトリプタンを含有してよい。医師は、いずれの個々の患者に最も適当である実際の投薬量も決定できるであろうし、そしてそれは、具体的な患者の年齢、体重および応答で異なるであろう。上の投薬量は、平均的な場合を代表するものである。当然ながら、より高いまたはより低い投薬量範囲に価値がある個々の場合がありうるし、このような場合は本発明の範囲内である。当業者は、片頭痛発作のような若干の状態の処置において、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を、必要とされるようにおよび必要な場合、単回用量として摂取してよいということを理解するであろう。
【0044】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもでき、好都合には、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーからの乾燥粉末吸入器またはエアゾルスプレー提示の形で、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134ATM)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EATM)のようなヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、または他の適当なガスの使用を伴ってまたは伴うことなく供給される。加圧エアゾルの場合、その投薬量単位は、一定の計測量を供給するバルブを与えることによって決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えば、エタノールおよび噴射剤の混合物を溶媒として用いた活性化合物の溶液または懸濁液を含有してよく、これは、更に、滑沢剤、例えば、ソルビタントリオレアートを含有してよい。吸入器または吹入器で用いるためのカプセル剤およびカートリッジ(例えば、ゼラチンから製造される)は、エレトリプタン、p−gp阻害剤、およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤の粉末配合物を含有するように製剤化することができる。
【0045】
或いは、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、坐剤またはペッサリーの形で投与することができるし、またはそれらは、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤または散布剤の形で局所使用されてよい。エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、例えば、皮膚貼付剤の使用によって皮膚に投与されてよいしまたは経皮投与されてもよい。それらは、肺または直腸の経路によって投与されてもよい。
【0046】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、眼経路によって投与されてもよい。眼科使用について、それらは、等張のPH調整された滅菌食塩水中の超微粉懸濁液として、または好ましくは、等張のPH調整された滅菌食塩水中の溶液として、場合により、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤と組み合わせて製剤化されてよい。或いは、それらは、ワセリンのような軟膏剤中で製剤化されてよい。
【0047】
皮膚への局所使用について、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、例えば、1種類またはそれを超える次のもの、すなわち、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化性ワックスおよび水との混合物中に懸濁したまたは溶解したエレトリプタンを含有する適当な軟膏剤として製剤化されてよい。或いは、それらは、例えば、1種類またはそれを超える次のもの、すなわち、鉱油、ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の混合物中に懸濁したまたは溶解した適当なローション剤またはクリーム剤として製剤化されてよい。
【0048】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、シクロデキストリンと組み合わせて用いてもよい。シクロデキストリンは、薬物分子と一緒に包接錯体および非包接錯体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン錯体の形成は、薬物分子の溶解性、溶解速度、バイオアベイラビリティーおよび/または安定性を変更しうる。薬物−シクロデキストリン錯体は、概して、大部分の剤形および投与経路に有用である。薬物との直接錯体形成に代わるものとして、シクロデキストリンは、補助添加剤として、例えば、担体、希釈剤または可溶化剤として用いることができる。α−、β−およびγ−シクロデキストリンは、最も一般的に用いられ、適当な例は、国際特許出願WO−A−91/11172号、WO−A−94/02518号およびWO−A−98/55148号に記載されている。
【0049】
示されるように、本発明は、更に、別々に同時投与されてよいエレトリプタンおよびp−gp阻害剤の組合せでの処置に関し、したがって、本発明は、各々の別個の医薬組成物を含むキットも提供する。
【0050】
本発明によるキットは、
(1)第一剤形中に、エレトリプタンおよび薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含む治療的有効量の組成物;
(2)第二剤形中に、p−gp阻害剤である化合物と、薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤とを含む治療的有効量の組成物;および
(3)この第一剤形および第二剤形を含有するための容器
を含む。
【0051】
(1)および(2)の相対量は、別々に同時投与される場合、エレトリプタンのバイオアベイラビリティーを増加させるようにする。このキットは、分割ビンまたは分割ホイルパケットのような、別個の組成物を含有するための容器を含み、ここにおいて、各々の区画は、(1)または(2)を含む複数の剤形(例えば、錠剤)を含有する。或いは、活性成分含有剤形を別個にするよりもむしろ、キットは、各々の区画が別個の剤形をそれ自体含む投薬量全体を有する別個の区画を含有してよい。キットの典型的な例は、個々のブリスター各々が、医薬組成物(1)の1個(またはそれを超える)の錠剤またはカプセル剤および医薬組成物(2)の1個(またはそれを超える)の錠剤またはカプセル剤を含む2個(またはそれを超える)の錠剤またはカプセル剤を含有するブリスターパックである。
【0052】
キットの形は、別個の成分を、好ましくは、異なった剤形(例えば、経口および非経口)で投与する場合、異なった投薬間隔で投与する場合、またはその組合せの個々の成分の力価検定が望まれる場合、特に好都合である。
【0053】
実施例
p−gp阻害剤としての化合物(薬物、非薬物またはその他)の効力は、例えば、Kim et al, J.Clin.Invest. 101,289-294(1988) および実施例1に記載のタイプの Caco−2細胞検定によって示し且つ概算することができる。Caco−2細胞は、当該技術分野において腸管上皮の妥当なモデルであると考えられる結腸癌細胞である。
【0054】
p−gp/MDRに媒介されるエレトリプタン流出を阻害する化合物の能力は、Caco−2細胞検定によって決定することができるが、改善されたエレトリプタンのバイオアベイラビリティーは、実施例2に記載されるタイプのヒト臨床研究によって最もよく示される。
【0055】
実施例1
ヒト腸管(Caco−2)細胞単層を越えるエレトリプタン輸送
Caco−2細胞単層を、透過性24ウェルフィルター支持体(1μmの細孔度)上で成長させ、15〜28日目に用いた。エレトリプタンの透過性は、異なった濃度およびp−gp阻害剤の存在下において、先端〜基底外側方向(吸収性)および基底外側〜先端(分泌性)方向の両方で調べた。
【0056】
濃度の作用を調べる研究において、HBSS中の1μM、10μM、25μMおよび100μMエレトリプタン溶液を、ドナー室に加え、そしてハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)をアクセプター室に加えた。先端室および基底外側室の容量は、それぞれ、0.25mlおよび1mlであった。これらウェルを、環状振とうしながら37℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション時間後、試料を両室から取り出し、LC−MSによって分析した。透過性(Papp)値は、文献(Arturrson et al, 1990)に記載の標準式を用いて決定した。
【0057】
p−gp阻害剤として、ベラパミル、ケトコナゾールおよびエリスロマイシンが含まれた場合、それらは、ドナーおよびアクセプター両方の室に、それぞれ、100μM、50μMおよび100μMの濃度で加えた。これらについての研究では、10μM濃度のエレトリプタンを用いた。阻害剤不含の適当な対照も含めた。
【0058】
不透過性マーカー14Cマンニトールを全研究に含めて、単層が確実に無傷であるようにした。>1x10−6cm/秒Pappのマンニトール流を示した単層は、この研究から無視した。
【0059】
結果を次の表に与える。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
これらデータは、エレトリプタンがp−gp流出輸送体の基質であるということを示している。エレトリプタンは、低濃度において吸収流(先端〜基底外側;A→B)より高い分泌流(基底外側〜先端;B→A)を示し、これは、p−gpに媒介される流出と一致する。一層高い濃度では、p−gpの飽和によりより大きい吸収性Papp値が見出される。
【0062】
結論:p−gp阻害剤の存在下におけるエレトリプタンの輸送は、吸収方向で有意に増加し且つ分泌方向で減少する。
実施例2
エレトリプタンの薬物動態へのベラパミルの作用
これは、80mg単回経口用量のエレトリプタンの薬物動態、安全性および耐容性への持続放出ベラパミルの作用を研究するための、オープンランダムの、プラシーボをコントロールとして用いた二期交差研究であった。
【0063】
18歳〜45歳までの健康な男女で、男性は60〜100kg、女性は50〜80kgの体重の被験者に、120mgのベラパミルを1日目と2日目に1日2回、240mgに増加して3〜6日目に1日2回、続いて、240mg用量を7日目の朝に与えた。80mg単回用量のエレトリプタンを、6日目の朝に投与した。プラシーボは、1日目と6日目に1日2回、7日目の朝に1回与えた。1日2回の用量は、12時間間隔で摂取させた。
【0064】
血漿エレトリプタン濃度は、6日目のエレトリプタン投与後48時間までに検定した。濃度は、特殊逆相高速液体クロマトグラフィー(hplc)により、0.5〜250ng/mlの検量線範囲での紫外線検出で決定した。
【0065】
ベラパミル後のエレトリプタンについてのloge変換されたAUCおよびCmaxおよび未変換のTmaxおよびkelを、プラシーボ後のエレトリプタンに対して比較した。真数処理平均と、AUCおよびCmaxについて該当する真数のCIsとの比率も測定した。
【0066】
結論:図1に示されるように、ベラパミルの存在下において、エレトリプタン平均AUCは2.7倍増加し、平均Cmaxは2.2倍増加した。ベラパミルの存在下においてTmaxが減少したという証拠があった。平均終端排出速度定数(kel)は、ベラパミルの存在下においてごく僅か減少した。AUCおよびCmax両方の全変動係数は、ベラパミルの存在下または不存在下どちらにおいても、エレトリプタンの場合と類似していた。
【0067】
増加したAUCおよびCmaxに関して類似の結果が、ケトコナゾールおよびエリスロマイシンについて得られたが、どちらの場合も、kelは有意に減少した。
実施例3
エレトリプタンの薬物動態へのビタミンE−TPGSの作用
これは、エレトリプタンの吸収速度へのビタミンE−TGPSの作用を評価する交差研究であった。
【0068】
4匹の雄ビーグル犬に、絶食状態において、次を含む20ml水性製剤を経口投与した。
(a)0.2mg/kgのエレトリプタン;
(b)6.67mg/kgのビタミンE−TGPSと共に製剤化された0.2mg/kgのエレトリプタン;
(c)1.0mg/kgのエレトリプタン;および
(d)6.67mg/kgのビタミンE−TGPSと共に製剤化された1.0mg/kgのエレトリプタン。
【0069】
血液試料(2.5ml)を、投薬後0時間、0.17時間、0.33時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間に採取し、遠心分離した。得られた血漿試料は、エレトリプタンについてhplcによって電気化学検出で分析するまで深く冷凍した。エレトリプタンのピーク濃度は急速に達成されおよび高濃度であることが観察され、Tmax値は1.0〜1.7時間の範囲およびCmax値は7〜15ng/mlの範囲に認められた。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ベラパミル処置によるエレトリプタンの平均血症濃度への影響を示すグラフである。
本発明は、エレトリプタン(eletriptan)の経口バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、エレトリプタンをp−糖タンパク質(p−gp)阻害剤と同時投与することを含む方法に関する。本発明は、更に、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を含む組成物およびキットに関する。
【0002】
エレトリプタンは、血管5−HT1B受容体および神経5−HT1D受容体の強力且つ選択的なアゴニストである。エレトリプタンは、動物の頸動脈分布中の頭蓋内血管の選択的収縮を引き起こし、冠状動脈よりも頸動脈分布に選択的である。片頭痛の正確な原因および機構は理解されていないが、頭蓋血管(片頭痛の場合に拡張し且つ炎症を起こした状態になる)と周囲の感覚神経との関係がおそらく関与している。結果として生じた痛みは、拡張した血管と、三叉神経節に由来する神経線維との間の相互作用であると考えられる。したがって、経口投与される選択的血管収縮薬であるエレトリプタンは、片頭痛に好都合な療法である。
【0003】
20mg、40mgおよび80mgの用量を用いた臨床試験は、用量レベルの増加につれて、その効力が増加し且つ片頭痛発作を軽癒する時間が短縮することを示している。有効な血漿濃度に達する時間は、より高い用量で短縮するが、個々の患者による変動および環境因子のような他の因子も、エレトリプタンへの暴露の速度および程度に影響を与えることが知られている。
【0004】
in vitro 代謝データは、エレトリプタンが、シトクロムP450−3A4アイソザイム(CYP3A4)によって主に代謝されることを示している。したがって、この酵素系のケトコナゾールおよびエリスロマイシンによる強力な阻害は、エレトリプタンの全身性暴露を増加させ且つクリアランスを減少させる。本発明は、特に、ベラパミルのようなp−gp阻害剤の存在下における単回用量のエレトリプタンの安全性、耐容性および薬物動態を評価する研究の結果に基づいている。ベラパミルは、全身および冠状動脈両方の動脈拡張活性を有するカルシウムイオン流入阻害剤(「カルシウムチャンネル遮断薬」)であり、主に、狭心症および高血圧症の制御に用いられている。
【0005】
ベラパミルは、CYP3A4代謝性酵素の中程度の阻害剤であることが知られているが(Ki=10μM)、該酵素による代謝は、エレトリプタンについての全身性クリアランスの主要経路である。しかしながら、in vitro ヒト肝ミクロソーム研究では、エレトリプタン代謝へのベラパミルの作用が示されなかった(IC50>300μM)。ベラパミルは、肝血流を変化させることが知られているが、これは、エレトリプタンの薬物動態にも影響を与えうるので、この研究では、肝血流も評価した。この研究は、エレトリプタンの薬物動態への中程度のCYP3A4阻害剤の影響について追加の臨床的情報を与えるように且つ in vitro/in vivo 薬物相互作用の相関を調べるのに役立つように設計された。この研究は、エレトリプタンと他のCYP3A4阻害剤との間の薬物動態学的相互作用の可能性についての情報を与えるのに用いられた。
【0006】
したがって、薬物の経口バイオアベイラビリティーを増加させることによって、一層低用量で投与でき、そしてなお、一層高用量の効力の利点をより一貫して与えうるエレトリプタン製剤を得ることは好都合であると考えられる。特に有用な製剤は、より一貫した供給ゆえに、一層低用量を用い且つ薬物の相互作用および副作用を減少させて、迅速な開始および一貫した作用を与えうると考えられる。例えば、50%を超えて生体内で利用可能であるような製剤は、40mgで投与しても、60mgで投与された場合に現在利用可能な製剤と同様の全身性暴露を与えうると考えられる。
【0007】
若干の賦形剤および薬物は、別の薬物と同時投与された場合、その薬物の経口吸収を増加させる。このような賦形剤および薬物は、少なくとも一部分は、腸壁および肝での代謝の阻害によっておよび/または腸管壁および他の組織中で見出されるp−gp/MDR流出ポンプを阻害することによって、全身性暴露を増加させると考えられる。更なる説明として、多剤耐性(MDR)タンパク質と称される一連の膜タンパク質は、腫瘍細胞中で多量に発現されるが、若干の抗発癌薬を腫瘍細胞から排出する(または「ポンプ送出する」)ことができるということが周知である。化学療法に対して腫瘍が発する耐性の一部分は、薬物が細胞に影響を及ぼす機会を得る前に腫瘍細胞から薬物をポンプ送出するこれらタンパク質の作用のためであると考えられる。概して、薬物は、細胞原形質膜を通過して受動的に分配して細胞中に入り、そしてMDRタンパク質によって細胞外へ能動的に輸送されると考えられる。MDRタンパク質は、P−糖タンパク質(p−gp)としても知られている。
【0008】
p−gpは、示されるように、腸管上皮のものを含めた多数のタイプの正常細胞中にも存在している。腸管上皮細胞(IEC)は、腸管壁内表面となる分極した細胞であり、胃腸管と血液との間に障壁を与える。IECの先端側は腸管内腔に面し、基底外側は門脈血液に面している。大部分の薬物は、受動的に吸収され、最初に、IEC先端細胞膜を越え、IEC内に入った後、基底外側細胞膜を越え、このようにして基底外側の細胞から出て、細胞外空間に入り、そして最終的に、門脈血流中に分配する。p−gpは、IECの先端細胞膜上に位置し、ある種の薬物をIECから腸管内腔に戻すようにポンプ送出する能力を有する。したがって、IECのp−gpは、多数の薬物の吸収を妨害する。IEC中のp−gpは、薬物代謝性酵素に薬物を提示する役割を有することもありうるが、それらの目的は、毒素の経口吸収を遅らせるまたは妨げることであると考えられている。p−gp流出ポンプは、ATP結合カセット(ABC:ATP-bindingcassette)膜輸送タンパク質のスーパーファミリーに属する。
【0009】
p−gpは、低い基質特異性を示し、多数の種類の分子を輸送する。この特異性は、十分には理解されておらず、現在のところ、ある特定の薬物が腸管p−gpの基質であるかどうかについて薬物分子構造から予測する方法はない。したがって、概して、ある特定の薬物または化合物が、上で論じられた流出ポンプ作用を受けるかどうかについて予測するのは不可能である。更に、特定の薬物が低い経口バイオアベイラビリティーを有する場合、概して、(1)その低いバイオアベイラビリティーが、全体的にまたは部分的に、上で論じられた流出ポンプによって引き起こされるのかどうかについて、または(2)その低いバイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の同時投与によって増加させることができるのかどうかについて予測することは不可能である。当該技術分野において、エレトリプタンのバイオアベイラビリティー(logeP 0.5)の速度および程度を、全身性クリアランスにも影響を及ぼすことなく、別の試剤とエレトリプタンを同時投与することによって改善することができるかどうかについては知られていない。
【0010】
欧州特許出願第0742722号は、特に、経口投与される疎水性医薬化合物、例えば、シクロスポリンのバイオアベイラビリティー(logeP 3.0)を増加させる方法であって、該化合物をシトクロムP450−3A酵素の阻害剤またはp−gpに媒介される膜輸送の阻害剤を含むバイオエンハンサーと同時に経口投与することを含む方法を広く特許請求している。
【0011】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、p−gp阻害剤と一緒にエレトリプタンを投与することが、全身性薬物クリアランスを変化させることなく、片頭痛軽癒の開始速度を増加させるということを発見した。より高い且つより一貫したエレトリプタンのバイオアベイラビリティーは、いかなる薬物相互作用により生じる可能性のある影響も軽減すると考えられる。
【0012】
したがって、本発明は、エレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーの速度および程度を有意に改善する薬剤として用いるための、p−gp阻害剤と組み合わせたエレトリプタンを提供する。
【0013】
本発明は、更に、片頭痛の処置のための、p−gp阻害剤と組み合わせた薬剤の製造におけるエレトリプタンの使用、およびp−gp阻害剤を同時に受容する患者に投与するための片頭痛の処置用薬剤の製造におけるエレトリプタンの使用を提供する。
【0014】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を含む医薬組成物、および各々の別個の組成物を含むキットも提供する。
エレトリプタンは、本発明において、その水和物を含めたその薬学的に許容しうる塩の形で用いることができる。このような形は全て、本発明の範囲内である。用いられるエレトリプタンは、好ましくは、例えば、欧州特許第0776323号に開示された臭化水素酸塩である。治療的量の用語での「エレトリプタン」の意味は、遊離塩基、すなわち、非塩、非水和分子のことである。
【0015】
「p−gp阻害剤」という用語の使用は、当該技術分野においてMDRタンパク質またはp−gp阻害剤として知られるタイプの化合物を包含すると理解されるであろう。これらには、薬学的に活性な化合物と、p−gp阻害活性の他には治療的に不活性であるという意味で非医薬用と考えられる化合物の両方が含まれてよい。「p−gp阻害剤」という用語は、2種類以上のp−gp阻害剤を、別個にまたは組成物中で一緒に、エレトリプタンと同時投与することができることをも意味すると理解されるであろう。本明細書の目的について、「MDRタンパク質」および「p−gp阻害剤」という用語は互換性の意味を有し、IECおよび脳内皮細胞から薬物を駆逐するこれら細胞膜ポンプタンパク質全体を包含する。
【0016】
更に、腸管壁中の流出ポンプタンパク質(複数のタンパク質でありうる)へのエレトリプタンの親和性は知られていないということ、およびそのような親和性は、概して、阻害剤であるおよび/またはそれら自体流出される他の薬物についても知られていないということは注目される。
【0017】
エレトリプタンバイオアベイラビリティーを増大させるp−gp阻害剤/MDRタンパク質相互作用は、1種類以上の様々な機構によって作動しうる。すなわち、当該技術分野において周知のように、それは、競合阻害剤、非競合阻害剤、不競合阻害剤であってよいし、または混合機構によって作動してよい。このような阻害剤がエレトリプタン流出に影響を及ぼすことがありうるかどうかについては、特に、(1)エレトリプタンのおよびこの阻害剤の、p−gp/MDRへの相対的親和性、(2)エレトリプタンおよびこの阻害剤が競合している場合、in vivo ポンプにおけるこれら二つの濃度に影響を及ぼすであろうという理由で、これらのものの相対的な水溶性、(3)in vivo ポンプにおいて、そのポンプを有効に阻害する充分な濃度に達すべきであるという理由で、この阻害剤の絶対的水溶性、および(4)この阻害剤の用量に依存する。本発明の目的について、「p−gp/MDR阻害剤」は、エレトリプタンが口腔内または経口経路によって投与される場合、エレトリプタンの全身性暴露を改善する任意の化合物であり、これは、腸管上皮細胞の薬物流出タンパク質(複数のタンパク質でありうる)によって流出されるおよび/またはこれを阻害する。流出および/または阻害の証拠は、腸管上皮細胞についての細胞培養モデルにおけるエレトリプタン流出との競合試験、またはその阻害試験のような in vitro 試験で得ることができる。Caco−2細胞モデルは、このようなモデルの一つである。本発明により、この「p−gp/MDR阻害剤」の定義は、このp−gp/MDR阻害剤が薬物である、すなわち、p−gp阻害剤としての他にも薬学的に活性であるか否かにかかわらず、いずれのp−gp/MDR阻害剤にも当てはまる。
【0018】
「投与」、「投与すること」、「投薬」および「投薬すること」の意味は、経口投与を意味する。
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤の組合せの「同時投与」は、これら二つの成分を、組成物としてまたは同じ単位剤形の一部分として一緒に投与することができるということを意味する。同時投与には、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を、別々にではあるが同じ治療計画の一部分として投与することも含まれる。これら二つの成分は、別々に投与される場合、必ずしも実質的に同時に投与される必要はないが、所望ならば、そのようにすることもできる。したがって、同時投与には、例えば、p−gp阻害剤とエレトリプタンとを、別個の投薬または剤形としてであるが同時に投与することも含まれる。同時投与には、異なった時点および任意の順番での別個の投与も含まれる。
【0019】
本発明により、エレトリプタンは、(1)エレトリプタンの細胞内レベルを増加させることが目的である場合、特定のp−gp阻害剤の不存在下でそれが投与されるのと同じレベルで;または(2)p−gp阻害剤の不存在下でそれが投与される標準レベルよりも低いレベルで投与されてよい。2番目の場合のエレトリプタンの用量は、通常は、増加したバイオアベイラビリティーにしたがって比例して減少した標準用量であろう。例えば、増大していないエレトリプタン経口バイオアベイラビリティーが50%であり且つp−gp阻害剤の存在下におけるバイオアベイラビリティーが75%である場合、80mg用量は、80mgx50/75=53.3mgまで減少してよい。エレトリプタンは、これら二つの投薬量値の間の中間のレベルで投与されてもよい。
【0020】
エレトリプタンは、現在、救急処置として20mg、40mgまたは80mgの単回用量で経口投与されている。p−gp阻害剤とは別個に投与される場合、例えば、最新版の Physicians' Desk Reference に記載のように、懸濁剤、錠剤、カプセル剤および単位用量パケット(packets)(当該技術分野において「サシェ剤(sachets)」と称される)を含めた、エレトリプタンのいずれの経口剤形を用いてもよい。
【0021】
本発明により、エレトリプタンは、例えば、片頭痛発作を軽癒するようにベラパミルと一緒に単回用量として投与することができるが、片頭痛が24時間以内に再発する場合、2回目の用量を必要とすることがありうる。当業者は、他のエレトリプタン/p−gp阻害剤投与計画が可能であるということを理解するであろう。有用な投与計画は、エレトリプタンのバイオアベイラビリティーまたは脳内浸透または他の組織レベルを増加させるものである。
【0022】
特に好ましい態様において、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、同時に、すなわち、互いに15分以内に投与される。
経口バイオアベイラビリティーは、当該技術分野においてどちらも周知のパラメーターであるAUCまたはCmaxを測定することによって評価することができる。AUCは、横座標(X軸)に沿った時間に対して縦座標(Y軸)に沿った薬物の血清濃度または血漿濃度をプロットした曲線下面積(the Area Under the Curve)の測定値である。一般に、AUCの値は、患者試験集団の対象全てから得られる多数の値を代表し、したがって、試験集団全体を平均した平均値である。Cmaxは、試験対象の血清または血漿中で達せられる最大薬物濃度の略語である。
【0023】
本発明の好ましい態様において、p−gp阻害剤は、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも25%だけ、すなわち、少なくとも62.5%の絶対バイオアベイラビリティーまで増加させるような量で、エレトリプタンと同時投与される。
【0024】
より好ましい態様において、p−gp阻害剤は、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも50%だけ、すなわち、少なくとも75%の絶対バイオアベイラビリティーまで増加させるような量で同時投与される。
【0025】
なお一層好ましい態様において、p−gp阻害剤は、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも100%だけ、すなわち、少なくとも100%の絶対バイオアベイラビリティーまで増加させるような量で同時投与される。
【0026】
本発明の別の好ましい態様において、p−gp阻害剤は、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも50%増加させるような量で、エレトリプタンと同時投与される。
【0027】
より好ましい態様において、p−gp阻害剤は、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも100%増加させるような量で同時投与される。
【0028】
なお一層好ましい態様において、p−gp阻害剤は、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを少なくとも200%増加させるような量で同時投与される。
【0029】
示されるように、p−gp阻害剤は、一つの側面において、いずれの治療的作用も示さないことが知られているという意味で非医薬用である化合物および/またはp−gp阻害活性の他には治療的に不活性であると考えられる化合物を含めた多数の化合物より広く選択されてよい。別の側面において、p−gp阻害剤は、それら自体薬物であって、1種類またはそれを超える既知の治療的機能に加えて、p−gpも阻害する化合物より選択されてよい。
【0030】
一般に、非医薬用および/または治療的に不活性であると考えられるp−gp阻害剤の例には、表Iに挙げられるものが含まれる。これら阻害剤は、25mg〜3g、好ましくは、50mg〜2g、より好ましくは、50mg〜1gの用量で投与されてよい。
【0031】
【表1】
本発明の好ましい態様において、非医薬用p−gp阻害剤は、ポリ(プロピレンオキシド)およびポリ(エチレンオキシド)のブロックコポリマーであるポリマーのクラスより選択される。これらブロックコポリマーの例は、PluronicTMという登録商標でBASFより入手可能である。好ましいポリマーには、いずれもBASF Corp., Parsippany, NJ より入手可能な、PluronicTML43、L61、L62、L64、L81、L92、L101、P85、P103、P104およびP123が含まれる。これらの内、PluronicTML61、L62、L64、L81、L92、P85、P103およびP104が、特に好適である。これらポリマーの組成は、BASF Corp. より容易に入手することができる。
【0032】
別の好ましい態様において、非医薬用p−gp阻害剤は、非イオン界面活性剤のクラスより選択される界面活性剤である。例は、オレイン酸のPEOエステル類、好ましくは、PEO含量が20〜30PEO単位/分子の範囲内であるものである。例には、ステアリン酸のPEOエステル類、好ましくは、10〜35PEO単位/分子を含有するものも含まれる。有用な界面活性剤p−gp阻害剤には、ポリオキシエチレンエーテル類(例えば、Brij 系列)、パラ−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン類(例えば、Triton X−100)、ノニルフェノキシポリオキシエチレン類(例えば、Igepal CO系列)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類(例えば、Tween 系列)、エトキシル化脂肪酸類(例えば、Myrj 系列)、ポリオキシエチレングリセリド類(例えば、Gelucire 44/14のような Gelucire 系列)およびスクロース脂肪酸エステル類(例えば、Ryoto 糖エステル系列)が含まれる。
【0033】
特に好ましい非イオン界面活性剤p−gp阻害剤は、約13より大の親水親油バランス(HLB)数値を有する。
p−gp阻害の他に治療的機能を有する薬物であるp−gp阻害剤の例には、表IIに挙げられるものが含まれる。
【0034】
【表2】
表IIに挙げた薬物は、例えば、最新版の Physicians' Desk Reference に与えられるように、それらの慣用的な投薬量で投与されてよい。
【0035】
本発明の好ましい態様において、薬学的に活性なp−gp阻害剤は、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニジンまたはキニーネのような抗マラリア薬;ネルフィナビル(nelfinavir)、サキナビル、リトナビル(ritonavir)またはインジナビルのような抗AIDS薬;セフォペラゾンまたはセフトリアクソンのような抗生物質;イトラコナゾールのような抗真菌薬;シクロスポリンのような免疫抑制薬;またはベラパミルのようなカルシウムチャンネル遮断薬である。ベラパミルが、特に好適である。
【0036】
示されるように、本発明は、更に、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を含む医薬組成物を提供する。これら成分は、一緒に投与することができるが、概して、予定の投与経路および標準的な医薬慣例に関して選択される適当な医薬賦形剤、希釈剤または担体との混合物で投与されるであろう。
【0037】
例えば、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、即時、遅延、修飾、持続、間断または制御放出の使用のために、経口で、口腔内または舌下に、着香剤または着色剤を含有してよい錠剤、カプセル剤、多粒状剤、ゲル剤、フィルム剤、小卵剤、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形で投与することができる。エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、急速分散性または急速溶解性の剤形として、または高エネルギー分散の形でまたはコーティング粒子として投与されてもよい。エレトリプタンおよびp−gp阻害剤の適当な製剤は、コーティングされていてよいしまたはされていなくてよい。
【0038】
このような固形医薬組成物、例えば、錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、グリシンおよびデンプン(好ましくは、トウモロコシ、バレイショまたはタピオカデンプン)のような賦形剤;ナトリウムデンプングリコラート、クロスカルメロースナトリウムおよび若干の錯ケイ酸塩のような崩壊剤;およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような造粒結合剤を含有してよい。更に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクのような滑沢剤が含まれていてよい。
【0039】
一般例
錠剤の製剤は、典型的には、約0.1mg〜200mgのエレトリプタンおよび20mg〜1000mgのp−gp阻害剤を含有しうるが、錠剤充填重量は、50mg〜1000mgであってよい。20mg錠剤についての製剤の一例を、下に詳しく説明する。
【0040】
【表3】
錠剤は、標準的な方法、例えば、直接打錠法または湿式または乾式造粒法によって製造される。錠剤コアは、適当なオーバーコートでコーティングされていてよい。
【0041】
類似のタイプの固形組成物は、ゼラチンカプセル剤またはHPMCカプセル中に充填して用いることもできる。好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤について、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、種々の甘味剤または着香剤、着色剤または色素と、乳化剤および/または懸濁化剤と、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン、またはそれらの組合せのような希釈剤と混合されてよい。
【0042】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、非経口で、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、脳脊髄内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下に投与してもよいし、または注入または無針注射技術によって投与してよい。このような非経口投与について、それらは、他の物質、例えば、その溶液を血液と等張にさせる充分な塩類またはグルコースを含有してよい滅菌水溶液の形で最もよく用いられる。必要ならば、これら水溶液は、好ましくは、3〜9のpHに適当に緩衝化されてよい。無菌条件下での適当な非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準的な製薬技術によって容易に行われる。
【0043】
したがって、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤の錠剤またはカプセル剤は、適宜、単回投与または一度に2回またはそれを超える投与用に、0.1mg〜200mgのエレトリプタンを含有してよい。医師は、いずれの個々の患者に最も適当である実際の投薬量も決定できるであろうし、そしてそれは、具体的な患者の年齢、体重および応答で異なるであろう。上の投薬量は、平均的な場合を代表するものである。当然ながら、より高いまたはより低い投薬量範囲に価値がある個々の場合がありうるし、このような場合は本発明の範囲内である。当業者は、片頭痛発作のような若干の状態の処置において、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤を、必要とされるようにおよび必要な場合、単回用量として摂取してよいということを理解するであろう。
【0044】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもでき、好都合には、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーからの乾燥粉末吸入器またはエアゾルスプレー提示の形で、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134ATM)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EATM)のようなヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、または他の適当なガスの使用を伴ってまたは伴うことなく供給される。加圧エアゾルの場合、その投薬量単位は、一定の計測量を供給するバルブを与えることによって決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えば、エタノールおよび噴射剤の混合物を溶媒として用いた活性化合物の溶液または懸濁液を含有してよく、これは、更に、滑沢剤、例えば、ソルビタントリオレアートを含有してよい。吸入器または吹入器で用いるためのカプセル剤およびカートリッジ(例えば、ゼラチンから製造される)は、エレトリプタン、p−gp阻害剤、およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤の粉末配合物を含有するように製剤化することができる。
【0045】
或いは、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、坐剤またはペッサリーの形で投与することができるし、またはそれらは、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤または散布剤の形で局所使用されてよい。エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、例えば、皮膚貼付剤の使用によって皮膚に投与されてよいしまたは経皮投与されてもよい。それらは、肺または直腸の経路によって投与されてもよい。
【0046】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、眼経路によって投与されてもよい。眼科使用について、それらは、等張のPH調整された滅菌食塩水中の超微粉懸濁液として、または好ましくは、等張のPH調整された滅菌食塩水中の溶液として、場合により、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤と組み合わせて製剤化されてよい。或いは、それらは、ワセリンのような軟膏剤中で製剤化されてよい。
【0047】
皮膚への局所使用について、エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、例えば、1種類またはそれを超える次のもの、すなわち、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化性ワックスおよび水との混合物中に懸濁したまたは溶解したエレトリプタンを含有する適当な軟膏剤として製剤化されてよい。或いは、それらは、例えば、1種類またはそれを超える次のもの、すなわち、鉱油、ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の混合物中に懸濁したまたは溶解した適当なローション剤またはクリーム剤として製剤化されてよい。
【0048】
エレトリプタンおよびp−gp阻害剤は、シクロデキストリンと組み合わせて用いてもよい。シクロデキストリンは、薬物分子と一緒に包接錯体および非包接錯体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン錯体の形成は、薬物分子の溶解性、溶解速度、バイオアベイラビリティーおよび/または安定性を変更しうる。薬物−シクロデキストリン錯体は、概して、大部分の剤形および投与経路に有用である。薬物との直接錯体形成に代わるものとして、シクロデキストリンは、補助添加剤として、例えば、担体、希釈剤または可溶化剤として用いることができる。α−、β−およびγ−シクロデキストリンは、最も一般的に用いられ、適当な例は、国際特許出願WO−A−91/11172号、WO−A−94/02518号およびWO−A−98/55148号に記載されている。
【0049】
示されるように、本発明は、更に、別々に同時投与されてよいエレトリプタンおよびp−gp阻害剤の組合せでの処置に関し、したがって、本発明は、各々の別個の医薬組成物を含むキットも提供する。
【0050】
本発明によるキットは、
(1)第一剤形中に、エレトリプタンおよび薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含む治療的有効量の組成物;
(2)第二剤形中に、p−gp阻害剤である化合物と、薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤とを含む治療的有効量の組成物;および
(3)この第一剤形および第二剤形を含有するための容器
を含む。
【0051】
(1)および(2)の相対量は、別々に同時投与される場合、エレトリプタンのバイオアベイラビリティーを増加させるようにする。このキットは、分割ビンまたは分割ホイルパケットのような、別個の組成物を含有するための容器を含み、ここにおいて、各々の区画は、(1)または(2)を含む複数の剤形(例えば、錠剤)を含有する。或いは、活性成分含有剤形を別個にするよりもむしろ、キットは、各々の区画が別個の剤形をそれ自体含む投薬量全体を有する別個の区画を含有してよい。キットの典型的な例は、個々のブリスター各々が、医薬組成物(1)の1個(またはそれを超える)の錠剤またはカプセル剤および医薬組成物(2)の1個(またはそれを超える)の錠剤またはカプセル剤を含む2個(またはそれを超える)の錠剤またはカプセル剤を含有するブリスターパックである。
【0052】
キットの形は、別個の成分を、好ましくは、異なった剤形(例えば、経口および非経口)で投与する場合、異なった投薬間隔で投与する場合、またはその組合せの個々の成分の力価検定が望まれる場合、特に好都合である。
【0053】
実施例
p−gp阻害剤としての化合物(薬物、非薬物またはその他)の効力は、例えば、Kim et al, J.Clin.Invest. 101,289-294(1988) および実施例1に記載のタイプの Caco−2細胞検定によって示し且つ概算することができる。Caco−2細胞は、当該技術分野において腸管上皮の妥当なモデルであると考えられる結腸癌細胞である。
【0054】
p−gp/MDRに媒介されるエレトリプタン流出を阻害する化合物の能力は、Caco−2細胞検定によって決定することができるが、改善されたエレトリプタンのバイオアベイラビリティーは、実施例2に記載されるタイプのヒト臨床研究によって最もよく示される。
【0055】
実施例1
ヒト腸管(Caco−2)細胞単層を越えるエレトリプタン輸送
Caco−2細胞単層を、透過性24ウェルフィルター支持体(1μmの細孔度)上で成長させ、15〜28日目に用いた。エレトリプタンの透過性は、異なった濃度およびp−gp阻害剤の存在下において、先端〜基底外側方向(吸収性)および基底外側〜先端(分泌性)方向の両方で調べた。
【0056】
濃度の作用を調べる研究において、HBSS中の1μM、10μM、25μMおよび100μMエレトリプタン溶液を、ドナー室に加え、そしてハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)をアクセプター室に加えた。先端室および基底外側室の容量は、それぞれ、0.25mlおよび1mlであった。これらウェルを、環状振とうしながら37℃で2時間インキュベートした。このインキュベーション時間後、試料を両室から取り出し、LC−MSによって分析した。透過性(Papp)値は、文献(Arturrson et al, 1990)に記載の標準式を用いて決定した。
【0057】
p−gp阻害剤として、ベラパミル、ケトコナゾールおよびエリスロマイシンが含まれた場合、それらは、ドナーおよびアクセプター両方の室に、それぞれ、100μM、50μMおよび100μMの濃度で加えた。これらについての研究では、10μM濃度のエレトリプタンを用いた。阻害剤不含の適当な対照も含めた。
【0058】
不透過性マーカー14Cマンニトールを全研究に含めて、単層が確実に無傷であるようにした。>1x10−6cm/秒Pappのマンニトール流を示した単層は、この研究から無視した。
【0059】
結果を次の表に与える。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
これらデータは、エレトリプタンがp−gp流出輸送体の基質であるということを示している。エレトリプタンは、低濃度において吸収流(先端〜基底外側;A→B)より高い分泌流(基底外側〜先端;B→A)を示し、これは、p−gpに媒介される流出と一致する。一層高い濃度では、p−gpの飽和によりより大きい吸収性Papp値が見出される。
【0062】
結論:p−gp阻害剤の存在下におけるエレトリプタンの輸送は、吸収方向で有意に増加し且つ分泌方向で減少する。
実施例2
エレトリプタンの薬物動態へのベラパミルの作用
これは、80mg単回経口用量のエレトリプタンの薬物動態、安全性および耐容性への持続放出ベラパミルの作用を研究するための、オープンランダムの、プラシーボをコントロールとして用いた二期交差研究であった。
【0063】
18歳〜45歳までの健康な男女で、男性は60〜100kg、女性は50〜80kgの体重の被験者に、120mgのベラパミルを1日目と2日目に1日2回、240mgに増加して3〜6日目に1日2回、続いて、240mg用量を7日目の朝に与えた。80mg単回用量のエレトリプタンを、6日目の朝に投与した。プラシーボは、1日目と6日目に1日2回、7日目の朝に1回与えた。1日2回の用量は、12時間間隔で摂取させた。
【0064】
血漿エレトリプタン濃度は、6日目のエレトリプタン投与後48時間までに検定した。濃度は、特殊逆相高速液体クロマトグラフィー(hplc)により、0.5〜250ng/mlの検量線範囲での紫外線検出で決定した。
【0065】
ベラパミル後のエレトリプタンについてのloge変換されたAUCおよびCmaxおよび未変換のTmaxおよびkelを、プラシーボ後のエレトリプタンに対して比較した。真数処理平均と、AUCおよびCmaxについて該当する真数のCIsとの比率も測定した。
【0066】
結論:図1に示されるように、ベラパミルの存在下において、エレトリプタン平均AUCは2.7倍増加し、平均Cmaxは2.2倍増加した。ベラパミルの存在下においてTmaxが減少したという証拠があった。平均終端排出速度定数(kel)は、ベラパミルの存在下においてごく僅か減少した。AUCおよびCmax両方の全変動係数は、ベラパミルの存在下または不存在下どちらにおいても、エレトリプタンの場合と類似していた。
【0067】
増加したAUCおよびCmaxに関して類似の結果が、ケトコナゾールおよびエリスロマイシンについて得られたが、どちらの場合も、kelは有意に減少した。
実施例3
エレトリプタンの薬物動態へのビタミンE−TPGSの作用
これは、エレトリプタンの吸収速度へのビタミンE−TGPSの作用を評価する交差研究であった。
【0068】
4匹の雄ビーグル犬に、絶食状態において、次を含む20ml水性製剤を経口投与した。
(a)0.2mg/kgのエレトリプタン;
(b)6.67mg/kgのビタミンE−TGPSと共に製剤化された0.2mg/kgのエレトリプタン;
(c)1.0mg/kgのエレトリプタン;および
(d)6.67mg/kgのビタミンE−TGPSと共に製剤化された1.0mg/kgのエレトリプタン。
【0069】
血液試料(2.5ml)を、投薬後0時間、0.17時間、0.33時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間に採取し、遠心分離した。得られた血漿試料は、エレトリプタンについてhplcによって電気化学検出で分析するまで深く冷凍した。エレトリプタンのピーク濃度は急速に達成されおよび高濃度であることが観察され、Tmax値は1.0〜1.7時間の範囲およびCmax値は7〜15ng/mlの範囲に認められた。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ベラパミル処置によるエレトリプタンの平均血症濃度への影響を示すグラフである。
Claims (27)
- 薬剤として用いるための、p−gp阻害剤と組み合わせたエレトリプタン。
- 片頭痛の処置のための、p−gp阻害剤と組み合わせた薬剤の製造におけるエレトリプタンの使用。
- p−gp阻害剤を同時に受容する患者に投与するための、片頭痛の処置用薬剤の製造におけるエレトリプタンの使用。
- 前記p−gp阻害剤が、p−gp阻害剤としての他には薬学的に活性でない請求項2および請求項3に記載の使用。
- 前記p−gp阻害剤が、p−gp阻害剤としての他に薬学的にも活性である請求項2および請求項3に記載の使用。
- 前記薬剤が、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも25%増加させる請求項2〜5のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも50%増加させる請求項2〜5のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して100%増加させる請求項2〜5のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも50%増加させる請求項2〜5のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも100%増加させる請求項2〜5のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも200%増加させる請求項2〜5のいずれかに記載の使用。
- 前記増加が血清中で測定される請求項6〜11のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、50%を超える、AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを与える請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
- 前記薬剤が、片頭痛軽癒開始速度を、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも25%改善する請求項1または12に記載の使用。
- エレトリプタン、p−gp阻害剤および薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
- 前記p−gp阻害剤が、p−gp阻害剤としての他には薬学的に活性でない請求項15に記載の組成物。
- 前記p−gp阻害剤が薬学的にも活性である請求項15のいずれかに記載の組成物。
- AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも25%増加させる請求項15〜17のいずれかに記載の組成物。
- AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも50%増加させる請求項15〜17のいずれかに記載の組成物。
- AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して100%増加させる請求項15〜17のいずれかに記載の組成物。
- Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも50%増加させる請求項15〜17のいずれかに記載の組成物。
- Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも100%増加させる請求項15〜17のいずれかに記載の組成物。
- Cmaxによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーを、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも200%増加させる請求項15〜17のいずれかに記載の組成物。
- 前記増加が血清中で測定される請求項18〜23のいずれかに記載の組成物。
- AUCによって測定されるエレトリプタンの経口バイオアベイラビリティーが50%を超える、請求項15〜24のいずれかに記載の組成物。
- 片頭痛軽癒開始速度を、p−gp阻害剤の不存在下の投薬に対して少なくとも25%改善する請求項15〜23に記載の組成物。
- (1)第一剤形中に、エレトリプタンおよび薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含む治療的有効量の組成物;
(2)第二剤形中に、p−gp阻害剤である化合物と、薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤とを含む治療的有効量の組成物;および
(3)該第一剤形および第二剤形を含有するための容器
を含むキット。
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