JP2004527206A - Rykタンパク質を使用する新脈管形成の調節方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(分野)
本発明は、新たに同定されたポリペプチドもしくはこうしたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用する新脈管形成の調節方法に関する。より具体的には、該方法はヒトもしくは動物組織中の新脈管形成を調節するのにRykタンパク質もしくはそれ由来のフラグメントを使用することを含んで成る。
【0002】
(背景)
Rykは、損なわれた触媒活性を有しかつそのリガンド(1種もしくは複数)が未だ同定されていないレセプターチロシンキナーゼ(RTK)ファミリーの1メンバーである。RykはStackerらによりWIPO公開第WO 93/23429号明細書(出願番号第PCT/AU93/00210号)に記述されている。ヒトRykの読取り枠は607アミノ酸(aa)をコードし、2個の潜在的な膜貫通ドメインを有し、そして、met(HGF/SF−R)およびIGF−1RのようなRTKに対する、その触媒(すなわち活性化およびヌクレオチド結合)ドメインの最も近い相同性を表す(Tamagnoneら、Oncogene 1993;8:2009)。Rykの触媒領域はv−seaと最も近い相同性(39%)を示す(Wangら、Mol.Med.1996;2:189)。Rykは、その触媒ドメイン中の多くの保存された残基で他のRTKファミリーメンバーと異なる(Katsoら、Mol.Cell.Biol.1999;19:6427)。このドメイン中のアミノ酸置換が、自己リン酸化を受けるもしくは基質をリン酸化するRykの無能力の原因である。しかしながら、Rykキメラレセプターのリガンド刺激は、***促進剤に活性化されるタンパク質キナーゼ経路の活性化をもたらす(Katsoら、Mol.Cell.Biol.1999;19:6427)。
【0003】
Rykは他のRTKファミリーに対しその細胞外ドメインにおいて有意の相同性を表さない。Rykは比較的小さな細胞外ドメインを有する。Rykのアミノ酸/ヌクレオチド配列の変異が数人の著者により記述されている(例えば、Tamagnoneら、Oncogene 1993;8:2009(細胞外ドメインは191アミノ酸よりなるアミノ酸配列を有するとして記述される)、およびHalfordら、J.Biol.Chem.1999;247:7379(細胞外ドメインはTamagnoneにより記述されたと同一のアミノ酸配列を有するとして記述されるが;しかしながらC末端の10アミノ酸が欠けていて細胞外ドメインを181アミノ酸にしている)を参照されたい)。しかしながら、文献中に記述されたRykの細胞外ドメインの全部は、5個の潜在的なN−連結されたグリコシル化部位を含有する(Stackerら、PNAS 1992;89:11818)。ヒトおよびマウスのryk配列は、ヌクレオチドレベルで92%同一、およびアミノ酸レベルで97%同一である(Stackerら、PNAS 1992;89:11818)。
【0004】
正常組織の免疫化学的研究は、Rykが上皮、間質および血管で発現されることを示した(Katsoら、Cancer Res.1999;59:2265)。ノーザンブロット分析は、心、脳、肺、胎盤、肝、筋、腎および膵を包含する多くの組織中でのRyk mRNAの存在を示す(Wangら、Mol.Med.1996;2:189)。インシトゥハイブリダイゼーション分析は、Ryk遺伝子が脳、肺、結腸、腎および***の上皮および間質区画中でほぼ独占的に発現されることを示した(Wangら、Mol.Med.1996;2:189)。Ryk RNAは、皮膚の基底層および舌上皮、ならびに腸の絨毛間層および若干の陰窩基底部に、大きく増大されたレベルで存在する(Serfasら、Oncogene 1998;17:3435)。Rykは上皮細胞中で誘導され、分化した組織中でもしくは子宮内膜のリモデリングの間に最終的な場所を探し、また、それは細胞認識に関与することが仮定されている(Serfasら、Oncogene 1998;17:3435)。
【0005】
ヒトRykは境界および悪性の卵巣腫瘍で過剰発現される(Katsoら、Cancer Res.1999;59:2265)。漿液性および明細胞腫瘍のサブタイプにおいて、増大された発現が上皮、間質および血管で観察される。悪性腫瘍において、増大された発現は主として上皮に限られる(Wangら、Mol.Med.1996;2:189)。ヒトRyk cDNAは、PCRを使用してSKOV−3(上皮卵巣癌細胞系)の相補DNAライブラリーから単離された(Wangら、Mol.Med.1996;2:189)。正常な卵巣の表面上皮上でヒトRykの最小限ないし非存在の発現が存在する。マウス線維芽細胞系NIH3T3におけるヒトRykの過剰発現は、ヌードマウスで足場非依存性の成長および腫瘍形成性を誘導する(Katsoら、Cancer Res.1999;59:2265)。これらの観察結果は、Rykが腫瘍の進行に関与するかもしれないことを示唆する。
【0006】
RYKは、胚および成体において学習および記憶ならびに軸索誘導(経路選択)に関与することが決定されているドロソフィラ属(Drosophila)のLioタンパク質の哺乳動物の相同物である(Moreau−Fauvarqueら、Mech.Dev.1998;78:47)。Lionetteは、derailedと呼ばれる胚の神経系の軸索誘導欠損についてのスクリーニングで同定された。Lionette突然変異体(derailed)は、生存可能であるが、しかし、成体の中枢複合体(central complex)中の構造的な脳の欠陥を提示し、そこでは中枢の脳軸索が中脳領域により異常に誘引されるかのように挙動する。derailed突然変異体の胚において、遺伝子を発現した少数の一組の介在ニューロンは、正確な経路の選択を行うことに失敗した(Callahanら、Nature 1995;376:171)。
【0007】
Rykは、CD3−、CD4−およびCD8−T細胞、前T細胞、胸腺上皮細胞ならびに成熟骨髄性細胞中で発現されるが、しかし骨髄前駆細胞もしくはB細胞前駆体では発現されない(Simoneauxら、J.Immunol.1995;154:1157)。Ryk発現は分化した細胞(Lin+)で観察されるがしかし前駆細動(Lin−)ではされず、そして、Ryk発現は系統分化の決定および成熟の段階により造血発生の間に調節されるかもしれないと仮定された。
【0008】
Rykはまた、発生中の胚の筋および隣接する表皮細胞の小さな一サブセットにより、筋接着部位の選択の間にも発現される(Callahanら、Development 1996;122:2761)。derailed突然変異体において、筋はしばしば適切な場所で接着することに失敗するが、とは言えそれらの表皮接着細胞は影響を及ぼされないようである。
【0009】
新脈管形成(前から存在する血管からの新たな毛細管の形成)は、血管の発芽、内皮細胞の移動、増殖、管分化および生存を必要とする多段階の高度に組織化された過程である。いくつかの系統の直接の証拠が、今や、新脈管形成が充実性腫瘍の生存および持続、ならびにそれらの転移に不可欠であることを示唆している(Folkmanら(1989)Nature 339:58−61;Horiら(1991)Cancer Research 51:6180−84;Kimら(1993)Nature 362:841−844;Millauerら(1996)Cancer Research 56:1615−20)。新脈管形成を刺激するために、腫瘍は、線維芽細胞増殖因子(FGFおよびBFGF)(Kandelら(1991)Cell.66:1095−104)および血管内皮細胞増殖因子/血管透過性因子(VEGF/VPF)を包含する多様な血管由来因子のそれらの産生をアップレギュレートする。しかしながら、多くの悪性腫瘍は、アンジオスタチンおよびトロンボスポンジンを包含する新脈管形成の阻害剤もまた生成させる(Chenら(1195)Cancer Research 55:4230−33;Goodら(1990)Proc Natl Acad Sci U S A.87:6624−28;O’Reillyら(1994)Cell 79:315−28)。血管形成の表現型は、新生血管形成のこれらの正と負の調節物質の間の正味の均衡の結果であることが前提とされている(Goodら(1990)、上記;O’Reillyら(1994)、上記;Parangiら(1996)Proc Natl Acad Sci U S A.93:2002−07;Rastinejadら(1989)Cell 56:345−55)。
【0010】
新脈管形成のいくつかの他の内在性の阻害剤が同定されているが、とは言え、全部が腫瘍の存在に関連するわけでない。これらは、血小板因子4(Guptaら(2000)Blood 95:147−55)、インターフェロン−α、インターロイキン−12および/もしくはインターフェロン−γ、gro−βにより誘導される(Caoら(1995)J.Exp.Med.182:2069−77)インターフェロンで誘導可能なタンパク質10(interferon−inducible protein 10)(Angiolilloら(1996)Ann.N.Y.Acad.Sci.795:158−67;Strieterら(1995)J.Biol.Chem.270:27348−57)、ならびにプロラクチンの16kDaのN末端フラグメント(Clappら(1999)Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.40:2498−505)を包含する。内皮細胞増殖を特異的に阻害する唯一の既知の新脈管形成阻害剤はアンジオスタチンである(O’Reillyら(1994)、上記)。アンジオスタチンは内皮細胞増殖のおよそ38キロダルトン(kDa)の特異的阻害剤である。アンジオスタチンは、プラスミノーゲンの5個のクリングルの最低3個を含有するプラスミノーゲンの内部フラグメントである。アンジオスタチンは、ある種の腫瘍モデルで腫瘍重量を減少させかつ転移を阻害することが示されている。(O’Reillyら(1994)、上記)。新脈管形成活性に対する影響を測定するのに使用されるアッセイは、角膜嚢アッセイ(Invest.Ophtalmol.Vis.Sci.1999、40:2498−505)、漿尿膜新脈管形成アッセイ(CAM)(Am.J.Pathol.1983、111(3):282−7)、ならびに内皮細胞の増殖および移動アッセイ(Biochem.Biophys.Res.Comm.2000、271:499−508)を包含する。
【0011】
(発明の要約)
われわれは、今や、Rykタンパク質が新脈管形成の調節(regulating)において新規の生物学的活性を所有することを発見した。この活性は、新脈管形成の調節(modulating)において活性を有する分子を検出するためのインビトロおよびインビボアッセイを介して立証された。該活性は変異種Rykタンパク質を使用して測定した。本明細書で使用されるところの「変異種Rykタンパク質」は、下にさらに記述されるとおり、該タンパク質の膜貫通部分を欠くRykタンパク質(例えばRykタンパク質の細胞外ドメイン)もしくはそれ由来のフラグメントを包含することを意図しており、ここで、変異種Rykタンパク質は新脈管形成の調節において活性を表す。
【0012】
本発明は、新脈管形成を調節(regulating)もしくは調節(modulating)するための変異種Rykタンパク質の使用を包含する。本発明はさらに、限定されるものでないが癌、創傷治癒、糖尿病性網膜症、黄斑変性および心血管系疾患を挙げることができる疾患もしくは臨床的病状の原因もしくは治療に新脈管形成が関係している疾患もしくは臨床的病状の治療のための変異種Rykタンパク質の使用を包含する。該タンパク質のさらなる用途は、胎盤の血管新生の調節を包含する生殖系における新脈管形成を伴う臨床的病状の治療、もしくは人工流産促進剤としての使用を包含する。本発明はまた、変異種Rykタンパク質を含有する製薬学的組成物、および前述の疾患もしくは臨床的病状の治療のための該製薬学的組成物の使用も包含する。
【0013】
本発明の一局面により、図1(配列番号1)に示されるアミノ酸配列を含んで成る新規成熟ポリペプチド、ならびにそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療上有用なフラグメント、類似物および誘導体が提供される。本発明の第二の局面により、図2(配列番号2)に示されるアミノ酸配列を含んで成る新規成熟ポリペプチド、ならびにそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療上有用なフラグメント、類似物および誘導体が提供される。本発明の第三の局面により、図3(配列番号3)に示されるアミノ酸配列を含んで成る新規成熟ポリペプチド、ならびにそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療上有用なフラグメント、類似物および誘導体が提供される。本発明の付加的な一局面として、本発明のポリペプチドに対する抗体、とりわけ、図1−3(配列番号1−3)に示される配列、または図1−3(配列番号1−3)に示される配列に対し最低20、好ましくは最低30、より好ましくは最低40、なおより好ましくは最低50、もしくは最も好ましくは最低100残基にわたって最低60%、好ましくは最低70%、より好ましくは最低80%、なおより好ましくは90%、もしくは最も好ましくは最低95%の配列の同一性を共有する配列から構成されるエピトープに特異的に結合する抗体が提供される。
【0014】
本発明の別の局面により、mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、ならびにそれらのアンチセンス類似物、およびそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療上有用なフラグメントを包含する本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。
【0015】
本発明のなお別の局面により、組換えベクターの使用による組換え技術によるこうしたポリペプチドの製造方法が提供される。本発明のさらなる一局面として、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る組換え原核生物および/もしくは真核生物宿主細胞が提供される。
【0016】
本発明のさらなる一局面により、新脈管形成の調節を必要とする治療目的(例えば癌、創傷治癒、糖尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患、および胎盤の血管新生の調節を包含する生殖系における新脈管形成を伴う臨床的病状の治療)、もしくは人工流産促進剤としての使用のための、こうしたポリペプチドもしくはこうしたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの利用方法が提供される。
【0017】
本発明の別の局面により、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするのに十分な長さの核酸分子を含んで成る核酸プローブが提供される。
【0018】
本発明のなお別の局面により、本発明の核酸配列中の突然変異に関係する疾患もしくは疾患に対する感受性を検出するための、および、こうした配列によりコードされるポリペプチドの過剰発現もしくは過小発現を検出するための診断アッセイが提供される。
【0019】
本発明の別の局面により、遺伝子治療の目的上のこうしたポリペプチドもしくはこうしたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を必要とする方法が提供される。本明細書で使用されるところの遺伝子治療は、ある個体内の疾患状態の治療のためのその個体中での外因性起源の核酸配列の発現の提供方法と定義する。
【0020】
(詳細な記述)
本発明の変異種Rykタンパク質は、膜貫通部分を欠き、それにより該タンパク質を可溶性にする完全長の野性型Rykタンパク質を含んで成る。好ましくは、本発明の変異種Rykタンパク質は、完全長の野性型Rykタンパク質の細胞外ドメイン(「ECD」)、もしくは新脈管形成を調節する能力を維持するECDのフラグメントを含んで成る。Rykタンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列のわずかな変異は、少なくとも2つの異なるグループにより文献に記述されており(例えば、Tamagnoneら、Oncogene 1993;8:2009(細胞外ドメインは191アミノ酸よりなるアミノ酸配列(配列番号1)を有するとして記述される)およびHalfordら、J.Biol.Chem.1999;274:7379(細胞外ドメインは、Tamagnoneにより記述されたと同一のアミノ酸配列を有するとして記述されるが;しかしながらC末端の10アミノ酸が欠けていて細胞外ドメインを181アミノ酸にしている(配列番号2))を参照されたい;これらの参考文献はそっくりそのまま本明細書に組み込まれる)。しかしながら、本発明の目的上、新脈管形成を調節する能力を維持するRykタンパク質の細胞外ドメインのいかなるかつ全部の変異体も包含される。なおより好ましい、本発明の変異種Rykタンパク質は、完全長の野性型Rykタンパク質の細胞外ドメインのWnt阻害因子(WIF)ドメイン(配列番号3)、もしくは新脈管形成を調節する能力を維持するそのフラグメントを含んで成る。
【0021】
前述に照らして、本発明のポリペプチドは配列番号1−3により示される推定アミノ酸配列を有するそれらのポリペプチドを包含する。本発明のポリペプチドは、配列番号1−3により示される推定アミノ酸配列を有するペプチドのNもしくはC末端に付属された付加的なアミノ酸配列を包含してよい。本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然のポリペプチド、もしくは合成ポリペプチド、好ましくは組換えポリペプチドであってよい。本明細書で使用されるところの「タンパク質」は「ポリペプチド」と同義である。
【0022】
本発明はさらに、配列番号1−3と、最低20、好ましくは最低30、より好ましくは最低40、なおより好ましくは最低50、さらになおより好ましくは最低100、もしくは最も好ましくは最低150残基にわたって、最低60%、好ましくは最低70%、より好ましくは最低80%、なおより好ましくは90%、さらになおより好ましくは95%、もしくは最も好ましくは最低98%の配列の同一性を共有するポリペプチドに関する。(こうしたポリペプチドは「本発明のポリペプチド」と本明細書で称されるかもしれない)。本明細書で使用されるところの「変異種Rykタンパク質」は、この段落で称されるところの本発明のポリペプチドもまた包含することを意図している。本発明の好ましい一態様において、本発明のポリペプチドは、最低20、好ましくは最低30、より好ましくは最低40、なおより好ましくは最低50、もしくは最も好ましくは最低100残基長である。好ましい一態様において、本発明のペプチドは、600未満、好ましくは550未満、より好ましくは500未満、なおより好ましくは480残基長未満である。別の好ましい態様において、本発明のペプチドは、250未満、好ましくは185未満、より好ましくは150未満、なおより好ましくは100残基長未満、もしくは最も好ましくは60残基長未満である。本発明はまた、配列番号1−3の最低20、好ましくは最低30、より好ましくは最低40、なおより好ましくは最低50、もしくは最も好ましくは最低100残基にわたって最低60%、好ましくは最低70%、より好ましくは最低80%、なおより好ましくは90%、もしくは最も好ましくは最低95%の配列の同一性を共有するポリペプチドも企図する。上述されたところの配列に対するこうした同一性パーセントを表す本発明のポリペプチドは、当該技術分野で既知であるとおり、本明細書に記述されるところのマトリゲル(MATRIGEL)マトリックスアッセイを使用することにより、もしくは、新脈管形成の調節における活性を測定することに向けられた他のアッセイを使用することにより、本明細書に記述されるところの生物学的活性についてアッセイしてよい。生物学的活性の測定方法は、本明細書の開示を与えられた当業者の範囲内である。新脈管形成の調節は、血管形成過程のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーションのいずれかをもたらす過程を包含する。
【0023】
上述されたところのポリペプチドは、(i)アミノ酸残基の1個もしくはそれ以上が、保存されたもしくは保存されないアミノ酸残基(好ましくは保存されたアミノ酸残基)で置換され(配列番号1−3に比較して)、そしてこうした置換されたアミノ酸残基が遺伝暗号によりコードされるものであってももしくはなくてもよいもの、あるいは(ii)アミノ酸残基の1個もしくはそれ以上が置換基を包含するもの、あるいは(iii)成熟ポリペプチドが該ポリペプチドの半減期を増大させるために化合物(例えばポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合されるもの、あるいは(iv)Rykの細胞外ドメインの範囲を越える、リーダーもしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドもしくはプロタンパク質配列もしくは成熟タンパク質配列の精製に使用される配列のような付加的なアミノ酸が成熟ポリペプチドに融合されるもの、あるいは(v)1個もしくはそれ以上のアミノ酸がポリペプチドの配列から欠失されるかもしくはその中に挿入されるものであってよい。ペプチド配列中の上述された型の変異の組合せは本発明の範囲内にある。こうしたポリペプチドは、本明細書の教示から当業者の範囲内にあると思われる。
【0024】
本発明のポリペプチドは20種の遺伝子でコードされるアミノ酸以外のアミノ酸を含有してよい。該ポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然の過程もしくは当該技術分野で公知である化学的改変技術のいずれかにより改変してよい。こうした改変は基礎的な教科書中に、また、より詳述された単行本ならびに多数の研究論文中に十分に記述されている。改変は、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖、およびアミノもしくはカルボキシル末端を包含するポリペプチド中のどの場所にも存在することができる。同一の型の改変が所定のポリペプチド中のいくつかの部位で同一もしくは変動する程度で存在してよいことが認識されるであろう。また、所定のポリペプチドは多くの型の改変を含有してよい。ポリペプチドは、例えばユビキチン化の結果として分枝してよく、また、それらは分枝を伴うもしくは伴わない環状であってよい。環状、分枝状および分枝環状のポリペプチドは翻訳後の天然の過程から生じてよいか、もしくは合成法により作成してよい。改変は、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の供給結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペギル化、タンパク質分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファー−RNAに媒介される付加、およびユビキチン化を包含する。
【0025】
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離された形態で提供され、また、好ましくは均一まで精製される。「単離された」という用語は、物質がその元の環境(例えばそれが天然に存在する場合は天然の環境)から取り出されることを意味する。例えば、生存する動物中に存在する天然に存在するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは単離されていないが、しかし、天然の系中の共存する物質のいくつかもしくは全部から分離された同一のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは単離されている。こうしたポリヌクレオチドはベクターの一部であることができ、かつ/またはこうしたポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは組成物の一部であることができ、そして、こうしたベクターもしくは組成物はその天然の環境の一部でないためになお単離されることができる。
【0026】
当該技術分野で既知であるとおり、2種のポリペプチド間の「類似性」は、アミノ酸配列および1種のポリペプチドのその保存されたアミノ酸置換物を第二のポリペプチドの配列と比較することにより決定する。こうした保存的置換は、Dayhoff、The Atlas of Protein Sequence and Structure 5(1978)およびArgos、EMBO J.8:779−785(1989)により記述されたものを包含する。例えば、以下の群の1つに属するアミノ酸は保存的変化を表す:
−ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr;
−cys、ser、tyr、thr;
−val、ile、leu、met、ala、phe;
−lys、arg、his;
−phe、tyr、trp、his;および
−asp、glu。
(これらのグループ分けは例であることに注意されたい;他のグループ分けがより適切な選択を表すかもしれない。)
「類似性」もしくは「同一性」は、通常はパーセンテージによって表される2種もしくはそれ以上のペプチドまたは2種もしくはそれ以上の核酸分子の間の配列の保存もしくは「相同性」を指す。比較される配列中のある位置が同一の塩基もしくはアミノ酸(「残基」)により占有される場合には、該分子はその位置で同一である。2種の比較されるペプチド配列中のある位置が類似の物理的特性をもつアミノ酸により占有される場合(所定のスコアリングマトリックス(scoring matrix)により決定されるところの保存的置換;類似性は従って、選ばれたスコアリングマトリックスに依存する)には、該分子はその位置で類似である。同一性もしくは類似性のパーセントは、相互と並んで比較される配列を整列すること、それらを前後に滑らせること、および必要な場合は配列中にギャップを保存的に導入することにより最大にすることができる。同一性パーセントは、同一の整列する残基の数を計数すること、整列された領域の全長により割ること、双方の配列中にギャップを包含すること、および100を掛けることにより計算する。従って、同一性は、例えば「200アミノ酸にわたる60%の同一性」もしくは「250アミノ酸にわたる57%の同一性」として表現することができる。あるいは、こうした配列は、それぞれ、「200アミノ酸にわたって60%同一」もしくは「250アミノ酸にわたって57%同一」であるとして記述することができる。類似性は、上の計算において同一性および類似性双方を計数することにより計算する。例えば、下の整列は56アミノ酸にわたって37.5%の配列の同一性を有し((21の同一性/56残基)×100%)、ここで、56は整列された領域の全長である。本明細書で使用されるところの「同一性パーセント」および「配列の同一性パーセント」は互換性である。
【0027】
【表1】
【0028】
さらなる一例として、下の同一の整列は56アミノ酸にわたって55.4%の配列の類似性を有し((31の類似性/56残基)×100%)、ここで、56は整列された領域の全長である。この例において、保存的置換は+印により示され、また、全類似性は同一性および保存的置換の総計により与えられる。(上に示されたとおり、保存的置換の決定は選ばれたスコアリングマトリックスに依存する。下の同一の整列は、異なるスコアリングマトリックスを使用すれば類似性パーセントについて異なる値を生じるかもしれない。)
【0029】
【表2】
【0030】
整列された領域中の配列の双方は、より長い、おそらくより少なく相同な配列内に含有されるかもしれない。「無関係の」もしくは「非相同」配列は、典型的に、ペプチドレベルで40%未満の同一性、好ましくは25%未満の同一性を共有する。
【0031】
本発明はさらに、本発明の上述されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。これらのポリヌクレオチドは、RNAの形態もしくはDNAの形態にあってよく、このDNAはcDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを包含する。DNAは二本鎖もしくは一本鎖であってよい。ポリヌクレオチドは:成熟ポリペプチドのコーディング配列のみ;成熟ポリペプチドのコーディング配列およびリーダーもしくは分泌配列のような付加的なコーディング配列、またはプロタンパク質配列;成熟ポリペプチドのコーディング配列(および場合によっては付加的なコーディング配列)ならびにイントロンまたは成熟ポリペプチドのコーディング配列の5’および/もしくは3’の非コーディング配列のような非コーディング配列を包含してよい。従って、「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのコーディング配列のみを包含するポリヌクレオチド、ならびに付加的なコーディングおよび/もしくは非コーディング配列を包含するポリヌクレオチドを包含する。
【0032】
本発明はさらに、本明細書に上述されたポリヌクレオチドの変異体に関する。ポリヌクレオチドの変異体は、該ポリヌクレオチドの天然に存在する対立遺伝子変異体もしくは該ポリヌクレオチドの天然に存在しない変異体であってよい。当該技術分野で既知のとおり、対立遺伝子変異体は、コードされるポリペプチドの機能を実質的に変えない1個もしくはそれ以上のヌクレオチドの置換、欠失もしくは付加を有してよい代替の一形態のポリヌクレオチド配列である。従って、本発明は、下の実施例1に記述されると同一の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドならびにこうしたポリヌクレオチドの変異体を包含し、それらの変異体は欠失変異体、置換変異体および付加もしくは挿入変異体を包含する。
【0033】
本発明はまた、成熟ポリペプチドのコーディング配列がポリペプチドの発現および宿主細胞からの分泌を補助するポリヌクレオチド配列、例えば細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列に融合されてよいポリヌクレオチドも包含する。リーダー配列を有するポリペプチドはプレタンパク質であり、そしてリーダー配列を宿主細胞により切断させて成熟形態のポリペプチドを形成させてよい。ポリヌクレオチドはまた、成熟タンパク質および付加的なアミノ酸残基であるプロタンパク質をコードしてもよい。プロ配列を有する成熟タンパク質はプロタンパク質であり、かつ、不活性の形態のタンパク質である。プロ配列が切断されると活性の成熟タンパク質が残る。例えば、本発明のポリヌクレオチドは成熟タンパク質、もしくはプロ配列を有するタンパク質、もしくはプロ配列およびプレ配列(リーダー配列)双方を有するタンパク質をコードしてよい。
【0034】
本発明のポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドの機能を見込むマーカー配列に同じ読み枠で融合されたコーディング配列も有してよい。マーカー配列は、例えば、細菌宿主の場合に該マーカーに融合された成熟ポリペプチドの精製を提供するための、pQE−9ベクターにより供給されるヘキサヒスチジン標識であってよいか、もしくは、例えば、マーカー配列は、哺乳動物宿主、例えばCOS−7細胞が使用される場合にヘマグルチニン(HA)標識であってよい。HA標識はインフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに対応する。Wilsonら、1984、Cell 37:767。FLAG標識を包含する他の標識系は当該技術分野で公知である。FLAG標識はFLAGマーカーオクタペプチド(N−AspTyrLysAspAspAspAspLys−C)(配列番号13)に基づく。FLAG配列は親水性であり、また、最後の5アミノ酸(AspAspAspAspLys)(配列番号13の下位配列)はプロテアーゼ、エンテロキナーゼの標的配列を表す。
【0035】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し;それはコーディング領域に先行するおよび後に続く(リーダーおよびトレーラー)領域、ならびに個々のコーディングセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を包含する。遺伝子のフラグメントは完全長の該遺伝子を単離するため、および該遺伝子に対する高い配列の類似性もしくは類似の生物学的活性を有する他の遺伝子を単離するためのcDNAライブラリーのハイブリダイゼーションプローブとして使用してよい。この型のプローブは、典型的には最低20塩基を有し、また、好ましくは最低30塩基を有し、そして例えば50もしくはそれ以上の残基を含有してよい。プローブはまた、完全長の転写物に対応するcDNAクローン、ならびに調節およびプロモーター領域、エキソンならびにイントロンを包含する完全な遺伝子を含有するゲノムクローン(1種もしくは複数)を同定するのにも使用してよい。スクリーニングの一例は、オリゴヌクレオチドプローブを合成するために既知のDNA配列を使用することにより遺伝子のコーディング領域を単離することを含んで成る。遺伝子のものに相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドを使用して、ヒトcDNA、ゲノムDNAもしくはmRNAのライブラリーをスクリーニングして、該プローブがライブラリーのどのメンバーにハイブリダイズするかを決定する。
【0036】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し最低70%の同一性、好ましくは最低80%の同一性、より好ましくは最低90%の同一性、なおより好ましくは最低95%の同一性、および最も好ましくは最低98%の同一性を有するポリヌクレオチド、ならびにそのフラグメント[それらのフラグメントは最低20塩基を有し、そして好ましくは最低30塩基を有し、また、より好ましくは最低50塩基を有し]、ならびにこうしたポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに向けられる。好ましい一態様は、配列番号1−3により示される配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し最低70%の同一性、好ましくは最低80%の同一性、より好ましくは最低90%の同一性、なおより好ましくは最低95%の同一性、および最も好ましくは最低98%の同一性を有するポリヌクレオチドにより与えられる。こうしたポリヌクレオチドは、配列番号17−20により示される本発明の態様におけるとおり、より大きなヌクレオチド配列内に含有されてよい。好ましい態様において、本発明は、1500未満、好ましくは1000未満、より好ましくは600未満、なおより好ましくは200未満、さらになおより好ましくは100未満、最も好ましくは35塩基長未満であるポリヌクレオチドに向けられる。
【0037】
本発明はまた、上述されたところの本発明のポリヌクレオチドを包含するベクター、本発明のベクターで遺伝子的に工作されている宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの製造にも関する。宿主細胞は、本発明のベクター(例えばクローニングベクターもしくは発現ベクターであってよい)で遺伝子的に工作(形質導入もしくは形質転換もしくはトランスフェクト)されてよい。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態にあってよい。工作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、もしくは本発明のポリペプチドの遺伝子の増幅に適切なように改変された慣習的栄養培地中で培養することができる。温度、pHなどのような培養条件は、発現に選択された宿主細胞とともに以前に使用されたものであり、そして当業者に明らかであろう。本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によりポリペプチドを産生させるために使用してよい。
【0038】
従って、例えば、ポリヌクレオチド配列は、多様な発現ベヒクル、とりわけポリペプチドを発現させるためのベクターもしくはプラスミドのいずれか1つ中に包含されてよい。こうしたベクターは、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えばSV40の誘導体;細菌プラスミド:ファージDNA;酵母プラスミド;プラスミドとファージDNAの組合せ由来のベクター、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルスおよび仮性狂犬病のようなウイルスDNAを包含する。しかしながら、いずれかの他のベクターもしくはプラスミドを、それらが宿主中で複製可能かつ生存可能である限りは使用してよい。
【0039】
適切なDNA配列を、多様な手順によりベクターに挿入してよい。こうした手順および他者は当業者の範囲内にあると思われる。発現ベクター中のDNA配列は、mRNA合成を指図するための適切な発現制御配列(1種もしくは複数)(プロモーター)に動作可能なように連結される。こうしたプロモーターの代表的な例として:LTRもしくはSV40プロモーター、大腸菌(E.coli.)のlacもしくはtrp、ファージλPLプロモーター、および原核生物もしくは真核生物細胞またはそれらのウイルス中で遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーターを挙げてよい。発現ベクターはまた、翻訳開始および転写終止のためのリボソーム結合部位も含有してよい。ベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列も包含してよい。加えて、発現ベクターは、好ましくは、真核生物細胞培養物についてジヒドロ葉酸還元酵素もしくはネオマイシン耐性のような、または大腸菌(E.coli)中のテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性のような、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型の特質を提供するための遺伝子を含有する。本明細書で上述されたところの適切なDNA配列、ならびに適切なプロモーターもしくは制御配列を含有するベクターを、適切な宿主にタンパク質を発現させるために該宿主を形質転換するのに使用してよい。適切な宿主の代表的な例として:大腸菌(E.coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ストレプトミセス属(Streptomyces)のような細菌細胞;酵母のような真菌細胞;ドロソフィラ(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9のような昆虫細胞;CHO、COSもしくはボーズ(Bowes)黒色腫のような動物細胞;植物細胞などを挙げてよい。適切な宿主の選択は、本明細書の教示から当業者の範囲内にあると思われる。
【0040】
本発明はまた、広範に上述されたところの配列の1種もしくはそれ以上を含んで成る組換え構築物も包含する。該構築物は、その中に本発明の配列が順もしくは逆向きで挿入されているプラスミドもしくはウイルスベクターのようなベクターを含んで成る。本態様の好ましい一局面において、構築物は、例えば、該配列に操作可能に連結されたプロモーターを包含する調節配列をさらに含んで成る。多数の適するベクターおよびプロモーターが当業者に既知でありかつ商業的に入手可能である。以下のベクターが例として提供される。細菌:pQE70、pQE60、pQE−9(キアゲン(Qiagen))、pBS、phagescript、psiX174、pBluescript SK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(ストラタジーン(Stratagene))、pTRC99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、PRIT5(ファルマシア(Pharmacia))。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、pXT1、pSG(ストラタジーン(Stratagene))pSVK3、pBPV、pMSG、PSVL(ファルマシア(Pharmacia))。しかしながら、いずれかの他のプラスミドもしくはベクターを、それらが宿主中で生存可能であるかもしくは生存可能にすることができる限りは、使用してよい。プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)ベクターもしくは選択可能なマーカーをもつ他のベクターを使用して、いずれかの所望の遺伝子から選択することができる。2種の適切なベクターはpKK232−8およびpCM7である。とりわけ挙げられる細菌プロモーターは、laci、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PLおよびtrpを包含する。真核生物プロモーターは、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、前期および後期SV40、レトロウイルスからのLTRおよびマウスメタロチオネイン−Iを包含する。適切なベクターおよびプロモーターの選択は当業者のレベル内に十分にある。
【0041】
本発明はまた、上述された構築物を含有する宿主細胞にも関する。宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高等真核生物細胞、もしくは酵母細胞のような低級真核生物細胞であることができるか、または、宿主細胞は、細菌細胞のような原核生物細胞であることができる。宿主細胞中への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストランに媒介されるトランスフェクションもしくは電気穿孔法により遂げることができる。宿主細胞中の構築物は、該組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生させるために慣習的様式で使用することができる。あるいは、本発明のポリペプチドは慣習的ペプチド合成機により合成で製造することができる。
【0042】
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌もしくは他の細胞中で適切なプロモーターの制御下に発現させることができる。細胞を含まない翻訳系もまた、本発明のDNA構築物由来のRNAを使用して、こうしたタンパク質を産生させるのに使用することができる。原核生物および真核生物宿主での使用のための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989;その開示はこれにより引用することにより組み込まれる)により記述される。
【0043】
高等真核生物による本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより増大される。エンハンサーは、その転写を増大させるようにプロモーターに作用する、通常は約10から300bpまでのDNAのcisに作用する要素である。例は、複製起点の後期側(late side)のSV40エンハンサー(bp 100ないし270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを包含する。一般に、組換え発現ベクターは、複製起点、ならびに宿主細胞の形質転換を可能にする選択可能なマーカー、例えば大腸菌(E.coli)のアンピシリン耐性遺伝子およびビール酵母菌(S.cerevisiae)TRP1遺伝子、ならびに下流の構造配列の転写を指図するための高度に発現される遺伝子由来のプロモーターを包含することができる。こうしたプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PKG)のような解糖酵素、α因子、酸ホスファターゼもしくはとりわけ熱ショックタンパク質をコードするオペロンに由来することができる。異種構造配列は、適切な相に、翻訳、開始および終止配列、ならびに好ましくはペリプラズム空隙もしくは細胞外媒体中への翻訳されたタンパク質の分泌を指図することが可能なリーダー配列と集成される。場合によっては、異種配列は、発現された組換え産物の所望の特徴、例えば安定化もしくは単純化された精製を与えるN末端同定ペプチドを包含する融合タンパク質をコードすることができる。
【0044】
細菌の使用に有用な発現ベクターは、所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を、適する翻訳、開始および終止シグナルと一緒に、機能的プロモーターと操作可能な読取り相(reading phase)に挿入することにより構築する。ベクターは、ベクターの維持を確実にしかつ所望の場合は宿主内での増幅を提供するための1個もしくはそれ以上の表現型の選択可能なマーカーおよび複製起点を含むことができる。形質転換のための適する原核生物宿主は、大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ならびにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)およびブドウ球菌属(Staphylococcus)内の多様な種を包含するが、とは言え他者もまた選択の問題として使用してよい。細菌の使用のための有用な発現ベクターは、選択可能なマーカー、および公知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝子要素を含んで成る商業的に入手可能なプラスミド由来の細菌の複製起点を含むことができる。こうした商業的ベクターは、例えば、pKK223−3(ファルマシア ファイン ケミカルズ(Pharmacia Fine Chemicals)、スウェーデン・ウプサラ)およびGEM1(プロメガ バイオテック(Promega Biotec)、ウィスコンシン州マディソン)を包含する。これらのpBR322の「バックボーン」区分を、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配列と組み合わせる。
【0045】
適する宿主株の形質転換および適切な細胞密度までの宿主株の成長の後に、選択されたプロモーターを、必要な場合は適切な手段(例えば温度変化もしくは化学的誘導)により抑制解除してよく、そして、細胞を付加的な期間の間培養してよい。細胞は、典型的に遠心分離により収穫し、物理的もしくは化学的手段により破壊し、そして生じる粗抽出物をさらなる精製のため保持する。タンパク質の発現で使用される微生物細胞は、凍結融解循環、超音波処理、機械的破壊もしくは細胞溶解剤の使用を包含するいずれかの慣習的方法により破壊することができる。
【0046】
多様な哺乳動物細胞培養系もまた、組換えタンパク質を発現させるのに使用することができる。哺乳動物発現系の例は、サル腎線維芽細胞(82)のCOS−7細胞系、ならびに、適合性のベクターからタンパク質を発現させることが可能な他の細胞系、例えばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞系を包含する。哺乳動物発現ベクターは、一般に、複製起点、適するプロモーターおよびエンハンサー、ならびにまたいずれかの必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル酸化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終止配列、ならびに5’の隣接する転写されない配列を含むことができる。SV40ウイルスゲノム由来のDNA配列、例えばSV40起点、初期プロモーター、エンハンサー、スプライス、およびポリアデニル酸化部位を、必要とされる転写されない遺伝子要素を提供するのに使用してよい。
【0047】
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウムもしくはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを包含する今までに使用された方法により、組換え細胞培養物から回収かつ精製してよい。タンパク質のリフォールディング段階を、成熟タンパク質の構造の完成において、必要とされるとおり使用してよい。最後に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、最終精製段階に使用することができる。
【0048】
本発明のポリペプチドは、天然に精製された産物、あるいは化学的合成手順のまたは原核生物もしくは真核生物宿主(例えば、培養物中の細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞による)から組換え技術により産生された産物であってよい。組換え産生手順に使用された宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、哺乳動物もしくは他の真核生物の炭水化物でグリコシル化されてよいか、またはグリコシル化されなくてよい。本発明のポリペプチドはまた、先頭のメチオニンアミノ酸残基を包含してもよい。
【0049】
本発明のポリペプチド、もしくは本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、遺伝子治療の過程で使用してよい。こうした遺伝子治療は、限定されるものでないが癌、創傷治癒、糖尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患、および胎盤の血管新生の調節を包含する生殖系における新脈管形成を伴う臨床的病状を挙げることができる疾患もしくは臨床的病状の治療、または人工流産促進剤としての使用に関与してよい。例えば、細胞を、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAもしくはRNA)を用いてエクスビボで工作してよく、工作された細胞をその後、該ポリペプチドで治療されるべき患者に提供する。こうした方法は当該技術分野で公知である。例えば、細胞は、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルス粒子の使用による当該技術分野で既知の手段により工作してよい。
【0050】
インビトロおよびインビボ双方の遺伝子治療の方法論が企図される。規定された細胞集団への潜在的に治療的な遺伝子のいくつかの移入方法が既知である。例えば、Mulligan(1993)Science 260:926−31を参照されたい。これらの方法は:
1)直接遺伝子移入。例えば、Wolffら(1990)Science 247:1465−68を参照されたい。
2)リポソームに媒介されるDNA移入。例えば、Caplenら(1995)Nature Med.3:39−46;Crystal(1995)Nature Med.1:15−17;GaoとHuang(1991)Biocehm.Biophys.Res.Comm.179:280−85を参照されたい。
3)レトロウイルスに媒介されるRNA移入。例えば、Kayら(1993)Science、262:117−19;Anderson(1992)Science 256:808−13を参照されたい。上に挙げられるレトロウイルスプラスミドベクターがそれに由来してよいレトロウイルスは、限定されるものでないが、モロニーマウス白血病ウイルス、脾壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスのようなレトロウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルスおよび乳腺癌ウイルスを挙げることができる。一態様において、レトロウイルスプラスミドベクターはモロニーマウス白血病ウイルス由来である。
4)DNAウイルスに媒介されるDNA移入。こうしたDNAウイルスは、アデノウイルス(好ましくはAd−2もしくはAd−5に基づくベクター)、ヘルペスウイルス(好ましくは単純疱疹ウイルスに基づくベクター)、およびパルボウイルス(好ましくは「欠損」もしくは非自律性パルボウイルスに基づくベクター、より好ましくはアデノ随伴ウイルスに基づくベクター、最も好ましくはAAV−2に基づくベクター)を包含する。例えば、Aliら(1994)Gene Therapy、1:367−84;米国特許第4,797,368号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)、および米国特許第5,139,941号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい。アデノウイルスは、それらが広範な宿主範囲を有し、ニューロンもしくは肝細胞のような静止状態のもしくは終末的に分化した細胞を感染させることができ、そして本質的に非腫瘍形成性のようであるという利点を有する。アデノウイルスは宿主ゲノム中に組込むようでない。それらは染色体外に存在するため、挿入突然変異誘発の危険は大きく低下される。アデノ随伴ウイルスはアデノウイルスに基づくベクターに類似の利点を表す。しかしながら、AAVはヒト第19染色体への部位特異的組込みを表す。
を包含する。
【0051】
目的の遺伝子を移入するための特定のベクター系の選択は多様な因子に依存することができる。重要な一因子は標的細胞集団の性質である。レトロウイルスベクターは広範囲に研究されかつ多数の遺伝子治療の応用で使用されているとは言え、これらのベクターは一般に、非分割細胞を感染させるのに適しない。加えて、レトロウイルスは腫瘍形成性の潜在性を有する。しかしながら、レンチウイルスベクターの分野における最近の発展は、これらの制限のいくつかを回避するかもしれない。Naldiniら(1996)Science 272:263−7を参照されたい。
【0052】
本態様により、本発明のポリペプチドをコードするDNAを用いる遺伝子治療が、それの必要な、診断を伴うもしくは診断直後の患者に提供される。当業者は、本発明のポリペプチドをコードするDNAの含有するいずれかの適する遺伝子治療ベクターを本態様に従って使用してよいことを認識するであろう。こうしたベクターを構築するための技術は既知である。例えば、Anderson(1998)Nature、392 25−30;Verma(1998)Nature、389 239−42を参照されたい。標的部位へのベクターの導入は既知の技術を使用して達成してよい。
【0053】
本発明はまた、例えば多様な組織中の本発明のポリペプチドのレベルを検出するための診断アッセイにも関する。正常の対照組織サンプルに比較された該タンパク質の過剰発現は異常な細胞増殖、例えば腫瘍の存在を検出するかもしれないからである。宿主由来のサンプル中のタンパク質のレベルを検出するのに使用されるアッセイは当業者に公知であり、そしてラジオイムノアッセイ、競争結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、ELISAアッセイおよび「サンドイッチ」型アッセイを包含する。診断アッセイはまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの検出も包含してよい。
【0054】
本発明のポリペプチドは、それに対する抗体を産生させるための免疫原として使用することができる。これらの抗体は、例えばポリクローナルもしくはモノクローナル抗体であることができる。本発明はまた、キメラ、一本鎖および人化抗体、ならびにFabフラグメント、もしくはFab発現ライブラリーの産物も包含する。当該技術分野で既知の多様な手順を、こうした抗体およびフラグメントの産生に使用してよい。
【0055】
本発明のポリペプチドに対し生成される抗体は本発明に包含される。本明細書で使用されるところの「抗体」は、無傷の免疫グロブリン分子(例えばIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgD、IgE、IgA)、ならびに、変異種Rykタンパク質のエピトープへの特異的結合が可能であるFab、F(ab’)2、scFvおよびFvのようなそれらのフラグメントを包含する。好ましくは、変異種Rykに特異的に結合する抗体は免疫化学的アッセイにおいて他のタンパク質を検出しない。加えて、本発明の好ましい抗体はヒト抗体である。
【0056】
より具体的には、本発明のヒト抗体は、約0.1nMないし約10μM、約2nMないし約1μM、約2nMないし約200nM、約2nMないし約150nM、もしくは約50nMないし約100nMのKdを伴いヒト変異種Rykタンパク質に特異的に結合する。より好ましいヒト抗体は、約2nM、約7nM、約10nMおよび約11nMよりなる群から選択されるKdを伴いヒト変異種Rykに特異的に結合する。好ましいKdは約1nM、約3nM、約9nM、約13nM、約14nMから約15nMまでの範囲にわたる。変異種Rykへのヒト抗体結合のKdは、実時間生体分子相互作用分析(Biomolecular Interaction Analysis)(BIA)(SjolanderとUrbaniczky、Anal.Chem.63、2338−2345、1991、およびSzaboら、Curr.Opin.Struct.Biol.5、699−705、1995)のような技術を包含する当該技術分野で既知のいずれかの方法を使用してアッセイすることができる。BIAは、反応体のいずれかを標識することなく生物特異的相互作用を実時間で研究するための技術である(例えばビアコア[BIAcore](商標))。光学的現象、表面プラズモン共鳴(SPR)の変化を、生物学的分子間の実時間反応の表示として使用することができる。
【0057】
本発明のポリペプチドに対し生成される抗体は多様な様式で得ることができる。例えば、動物への該ポリペプチドの直接注入による、もしくは動物、好ましくは非ヒトへの該ポリペプチドの投与による抗体。そのように得られた抗体は、その場合、該ポリペプチドそれ自身を結合することができる。この様式で、該ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列さえ、天然のポリペプチド全体を結合する抗体を生成させるのに使用することができる。こうした抗体は、その後、そのポリペプチドを発現する組織から該ポリペプチドを単離するために、もしくは診断試薬として使用することができる。
【0058】
モノクローナル抗体の製造のためには、継代性細胞系培養物により産生される抗体を提供するいかなる技術も使用することができる。一般に、Antibodies:A Laboratory Manual、HarlowとLane編(1988)コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)を参照されたい。例は、ハイブリドーマ技術(KohlerとMilstein(1975)Nature 256:495−97)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunology Today、4:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、アラン R.リス インク(Alan R.Liss,Inc.)中、Coleら(1985)、pp.77−96)を包含する。
【0059】
一本鎖抗体の産生について記述された技術(米国特許第4,946,778号明細書)を、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する一本鎖抗体を産生させるために適合させることができる。また、トランスジェニックマウスを使用して、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する人化抗体を発現させてよい。人化抗体はまた、米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;および同第5,693,762号明細書(引用することにより本明細書に組込まれる)に記述される方法により産生させてもよい。
【0060】
上述される変異種Ryk結合の特徴をもつヒト抗体は、以下のとおりMorphoSys HuCALライブラリーから同定することができる。ヒト変異種Rykタンパク質をマイクロタイタープレート上に被覆し、そしてMorphoSys HuCAL−Fabファージライブラリーとともにインキュベートする(下の実施例9を参照されたい)。変異種Rykに結合しないそれらのファージに連結されたFabはプレートから洗い流されることができ、変異種Rykにしっかりと結合するファージのみ残す。結合されたファージはpHの変化により溶出することができ、そして大腸菌(E.coli)宿主の感染により増幅することができる。この拡張過程を1もしくは2回反復して、変異種Rykにしっかりと結合する抗体の集団について濃縮することができる。その後、濃縮されたプールからのFabを発現させ、精製し、そしてELISAアッセイでスクリーニングする。その後、同定されたヒットを、Bickettら、1993およびBoddenら、1994に記述された酵素アッセイでスクリーニングする。
【0061】
スクリーニング方法の詳細は下の特定の実施例に記述する。高度に活性の特異的抗体もしくは抗体フラグメントの他の選択方法は、当業者により予見されることができ、そしてヒトTIMP−1抗体を同定するのに使用することができる。
【0062】
上述された特徴をもつヒト抗体はまた、当業者に既知のかつタンパク質の精製に関して上述される方法を使用して、該抗体を発現するいかなる細胞からも精製することもできる。さらに、ヒト抗体は、再度、当業者に公知かつタンパク質の精製に関して上述された技術を使用する、そのアミノ酸配列の化学的合成方法を使用して製造することができる。
特定の態様
実施例1
Ryk−Fc融合タンパク質の発現:Halfordにより記述されたところのRykの細胞外ドメインに対応するcDNA(配列番号2)を、その3’端でFc標識をコードするcDNA(配列番号4)に、また、その5’端でシグナルペプチド配列をコードするcDNA(配列番号5)に融合した。生じる融合遺伝子(配列番号16に示されるポリヌクレオチド配列)を、遺伝子発現を駆動するためのhCMVプロモーターおよび選択のためのアンピシリン耐性遺伝子を含有するベクターにクローン化し、そしてタンパク質をhEK293E細胞(インヴィトロジェン(Invitrogen)、カリフォルニア州カールスバード)中で発現させた。配列番号8により示される配列(分泌の間の細胞によるプロセシングの間に除去されるシグナルペプチド配列を欠く)を有するRyk−Fc融合タンパク質を、プロテイン−A−セファロースアフィニティー樹脂を使用する一段階精製により馴化培地から精製した。アフィニティー樹脂からのRyk−Fc融合タンパク質の溶出は0.2Mグリシン、pH2.8で実施した。溶出液を飽和重炭酸ナトリウムでpH7.5〜8.0に直ちに中和し、そして透析膜(6,000ダルトンのカットオフ)を用いて5℃で一夜リン酸緩衝生理的食塩水中に透析した。SDS−PAGEおよび抗Fc抗体を用いるウェスタンブロット分析による精製されたRyk−Fc融合タンパク質の分析的分析は、2成分(単量体の期待される分子量(約60kDa)の一方および二量体について予測される質量(約120kDa)の他方)の存在を示した。
Ryk−myc−His融合タンパク質の発現:配列番号9により記述されるこの変異種Rykタンパク質は、アデノウイルス発現系で調製した。Tamagnoneにより記述されたところのRyk細胞外ドメインに対応するcDNA(配列番号1)を、シグナル配列ペプチド(配列番号5)およびmyc−(6X)His配列(配列番号21)に対応するcDNAに融合した。配列番号17により記述される、生じるcDNAを、CMVシャトルのBglII−HindIII部位にクローン化した。(Heら(1998)Proc Natl Acad Sci USA.95:2509−14。)このプラスミドはPYK−myc−his6 pShuttleCMVとして既知である。293A細胞(クォンタム バイオテクノロジーズ(Quantum Biotechnologies))を、DMEM+10%FBS中6穴プレート上で成長させた。細胞がコンフルエンスに達すれば、それらをOPTI−MEM 1減血清培地(reduced serum medium)(ライフ テクノロジーズ(Life Technologies)、メリーランド州ゲイタースバーグ)で2回すすぎ、そしてリポフェクタミン(LIPOFECTAMINE)トランスフェクション溶液とともにインキュベートした。トランスフェクション溶液は供給元の情報(ギブコ BRL(Gibco BRL)、メリーランド州ゲイタースバーグ)に従って調製した。簡潔には、3μgのRYK−myc−his6−pShuttleCMV DNAを0.25mlのOPTIMEM 1減血清培地で希釈し、そして、0.25mlのOPTI−MEM 1減血清培地で希釈された30μlのリポフェクタミン(LIPOFECTAMINE)トランスフェクション溶液と混合した。混合物を細胞に添加しかつ4.5時間インキュベートした。DMEM+10%FBSを添加しかつ一夜インキュベートした。翌日、培地をDMEM 10%FBSに変更した。別の24時間後に、培地をOPTI−MEM 1減血清培地に変更した。トランスフェクトされていなかった293A細胞もまた、その後アッセイでの対照としての役目をはたすために、OPTI−MEM 1減血清培地中でインキュベートした。上清を48時間のインキュベーション後に収集した。
実施例2
血管形成の機構の一評価方法は、HUVECマトリゲル(MATRIGEL)マトリックスアッセイとして同定されるインビトロアッセイの使用を必要とする。このアッセイは内皮細胞の毛細管の組織化を模倣し、かつ、血管形成の機構を評価するために使用される標準的インビトロアッセイである。
【0063】
一般に、ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC、ATCC、バージニア州マナサスから)を、HUVEC完全培地中、ウェルあたり3×104個の細胞で植え付けた。HUVEC完全培地は、2mM L−グルタミン、100μg/mlヘパリン、50μg/ml内皮細胞成長サプリメント(ECGS)および10%ウシ胎児血清(FBS)を含むF12K培地を含有した。マウス肺内皮細胞(MLuEC)は、2mM L−グルタミン、1%Pen/Strepおよび10%FBSを含むDMEMを含有する完全培地中、ウェルあたり5×104個の細胞で植え付けた。マトリゲル(MATRIGEL)基底膜マトリックス(ベクトン ディッキンソン(Becton Dickinson)、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を、マトリックスの取扱いの間は予冷されたピペット、チップ、プレートおよびチューブを使用して調製した。マトリックスを氷上にて4℃で一夜融解し、0.3ml/ウェルで24穴プレート(コスター(Costar)、VWR、フィラデルフィア州ウェストチェスター)を被覆するのに使用し、そしてその後37℃で2時間重合させた。試験サンプルをウェルあたり0.5mlの完全培地中で添加し、そしてHUVECもしくはMluECいずれかの細胞をウェルあたり0.5mlの培地中で添加し、従ってウェルあたりの培地の総容量は1.0mlであった。実験は、変動するタンパク質濃度(対数増加を伴う2.5fMから250nMまで、もしくは変異種Rykタンパク質を含有する上清の4から4000倍までの希釈物)を用いて三重で実施した。細胞を37℃、5%CO2で一夜インキュベートし、その後固定しかつジフクイック(DIFF−QUIK)染色セット(VWR、フィラデルフィア州ウェストチェスター)を使用して染色した。プレートを固定溶液に5秒間、溶液1に5秒間、および溶液2に5秒間浸積し、その後脱イオン水ですすぎかつ乾燥させた。その後、プレートを倒立顕微鏡下で検査しかつ毛細管様構造の量的分析を実施した。本明細書で使用されるところの「毛細管様構造」という用語は、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス上でのインビトロでの内皮細胞の挙動から生じる組織的構造を指す。「毛細管様構造」という用語はまた、相互と関連しかつ毛細管を形成する細胞をもたらす新脈管形成につながりかつそれに寄与するインビボもしくはインビトロの組織化された細胞も包含することができる。
【0064】
変異種Rykタンパク質の影響を、インビトロHUVECマトリゲル(Matrigel)アッセイを使用して評価した。具体的には、Ryk−Fcを、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス上の培養物中で成長されるHUVECに多様な濃度で添加した。24時間後、細胞を固定し、そして毛細管様組織について評価した。各ウェル中の毛細管様組織の測定は、試験された化合物の生物学的影響の量的分析を可能にする。
【0065】
4回の別個の実験において、Ryk−FcはHUVEC(図4A)もしくはMLuEC(図4B)のいずれかで毛細管様の組織化を有意に阻害することが示されている。代表的実験からの結果を図4に提示する。これらの実験において、Ryk−Fcは実施例1に記述されるとおり調製し、そしてその後、対数増加を伴い2.5fMから250nMまでの多様な濃度で細胞に添加した。図4Aおよび4Bに表される結果は、Ryk−Fcが毛細管様の組織化を用量依存性の様式で阻害したことを示す。これらの実験において、IL−8−TVR(このアッセイで阻害効果を有することが示されているIL−8ムテイン)を250nMの濃度で添加した。IL−8−TVRは、野性型IL−8タンパク質のアミノ酸配列の位置3および4に見出される、それぞれ2アミノ酸Glu−Leuの代わりに用いられる2アミノ酸Thr−Valを有する。陰性対照として、緩衝液(単独)を、Ryk−Fcとともに添加された最大容量に同等な容量で細胞に添加し、有意の効果はなかった。加えて、0.1Eu/mLおよび1Eu/mlの濃度のエンドトキシンを、エンドトキシンが阻害効果の原因である可能性があるかどうかを決定するために試験した。Ryk−Fc処理されたウェル中のエンドトキシンの濃度は、2.5fMおよび250nMのRyk−Fc濃度について、それぞれ0.7×10−8Eu/mlから0.7Eu/mlまで変動した。結果は、エンドトキシン単独では阻害効果の原因であり得ないことを示す(データは示されない)。
実施例3
別の変異種Rykタンパク質の影響を、HUVECマトリゲル(MATRIGEL)マトリックスアッセイを使用してインビトロで評価した。Ryk−myc−Hisを、実施例1に上述されたところのRyk−myc−His遺伝子を含有するプラスミド構築物でトランスフェクトされた293細胞中で作成した。実施例2のものに類似の実験条件において、Ryk−myc−His融合タンパク質を含有する上清を、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス上の培養物中で成長されたHUVECに多様な希釈で添加した。24時間後、細胞を固定しかつ毛細管様組織について評価した。
【0066】
Ryk−myc−HisはHUVECの毛細管様の組織化を有意に阻害することが示されている。代表的な実験からの結果を図5に提示する。この実験において、Ryk−myc−His融合物を発現する細胞培養物から得られた上清を、対数増加を伴い1:4000から1:4までの多様な希釈係数で細胞に添加した。図5に表される結果は、Ryk−myc−Hisを含有する上清が、毛細管様の組織化を用量依存性の様式で阻害したことを示す。この実験において、いかなる変異種Rykタンパク質も発現しなかった細胞から得られた上清(293細胞培地)を、陰性対照として1:4の希釈係数で添加し、そしてHUVECの毛細管様の組織化に対する影響を有しないことが示された。
実施例4
bFGF、VEGFおよびIL−8を包含する既知の血管形成因子と共同してのRyk−Fc融合タンパク質の影響を、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス上の培養物中で成長されたHUVEC中で、多様な濃度で試験した。24時間後、細胞を固定しかつ毛細管様組織について評価した。
【0067】
3回の別個の実験において、Ryk−Fcは、bFGF、VEGFもしくはIL−8の存在に関係なく毛細管様の組織化を有意に阻害することが示された。代表的な実験からの結果を図6に提示する。この実験において、Ryk−Fcは、bFGF(5nMで)、VEGF(10nM)もしくはIL−8(10nM)のいずれかとともに2.5pM、2.5nMおよび25nMで細胞に添加した。図6に表される結果は、Ryk−Fcが、用量依存性の様式で単独でまたはbFGF、VEGFもしくはIL−8と共同して毛細管様の組織化を阻害したことを示す。この実験において、IL−8−TVRを陽性対照として250nMの濃度で添加した。加えて、bFGF、VEGFおよびIL−8を単独で試験し、そしてHUVECの毛細管様の組織化に対する影響を有しないことが示された。この結果は、HUVECの毛細管様の組織化に必要な血管形成性の刺激が、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックスもしくは培地のいずれか中に既に存在していることを示唆する。
実施例5
なお他の変異種Rykタンパク質の影響を、HUVECマトリゲル(MATRIGEL)マトリックスアッセイを使用してインビトロで評価した。Ryk−his、WIF、WIF−Fc、N−WIF−Fc、WIF−hisおよびN−WIF−hisを、実施例2のものに類似の実験条件で試験した。変異種Rykタンパク質を含有する上清を、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス上の培養物中で成長されたHUVECに多様な希釈で添加した。24時間後、細胞を固定しかつ毛細管様組織について評価した。代表的実験からの結果を図7Aおよび7Bに提示する。この実験において、いかなる変異種Rykタンパク質も発現しなかった細胞から得られた上清(293細胞培地)、ならびにIL8を対照として試験した。
実施例6
Ryk−Fc融合タンパク質の特異性もまた、HUVECマトリゲル(MATRIGEL)マトリックスアッセイを使用してインビトロで評価した。簡潔には、一本鎖抗体をRyk−Fc融合タンパク質に対し生成させた(scFv1b4)。この抗体の生成に関する詳細は下の実施例に記述する。しかしながら、この実験において、HUVECは、2.5nM Ryk−Fc融合タンパク質および増大する濃度のscFv1b4とともに培養した。24時間後、細胞を固定しかつ毛細管様の組織化について評価した。代表的実験からの結果を図8に提示する。この実験において、scFvBBが陰性対照としての役目をはたした。scFvBBは、下の実施例に記述される方法を使用してヒト胎盤ビクニンに対し生成された一本鎖抗体である。
実施例7
Ryk−Fc発現の影響を、B16黒色腫腫瘍モデルにてインビボで評価した。一般的に言って、このモデルにおいては、マウスB16.F10黒色腫細胞(CRL−6475、アメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection)、バージニア州マナサス)を、RYK−Fc(Ad−RYK−Fc)、インターロイキン−2(Ad−IL2)もしくはVEGF(Ad−VEGF)をコードする遺伝子を含有する非複製性アデノウイルス粒子に感染させた。感染の24時間後、細胞をトリプシン処理し、PBSで洗浄しかつ再懸濁した。その後、細胞のアリコート(200μlの容量中2×105個の細胞)を、C57BL/6雌性マウス(チャールズ リバー ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)、マサチューセッツ州ウィルミントン)の尾静脈に静脈内に注入した。動物を注入後14日に殺し、そして肺を収集し、固定しかつ重量および転移数について分析した。
【0068】
具体的には、本実施例において、B16−F10細胞を、Ryk−Fc遺伝子を含有する非複製性アデノウイルス粒子(ad−Ryk−Fc)に24時間エクスビボで感染させ、そしてその後、C57BL/6マウス(チャールズ リバー ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)、マサチューセッツ州ウィルミントン)に尾静脈を通して静脈内に埋植した。われわれは、B16細胞のエクスビボ感染が最低6日間、目的のタンパク質のインビボ発現につながったことを、多様なアデノウイルス構築物を用いて既に示した。B16−F10細胞はまた、静脈内に注入される場合に肺にコロニーを形成しかつ転移を形成することも以前に示されている。細胞埋植後14日にマウスを殺しかつ肺を収集した。このモデルでは、肺転移を計数することにより腫瘍負荷を評価する。この実験において、対照は、処理されないB16−F10細胞、またはIL−2遺伝子(ad−IL−2)もしくはVEGF遺伝子(ad−VEGF)を含有する非複製性アデノウイルス粒子にエクスビボで感染されていたB16−F10細胞を受領するマウスを包含した。以前の実験で、IL−2の発現は肺転移に対する阻害効果を有することが示された一方、VEGFの発現は刺激効果を有することが示された。図9に提示される結果は、ad−Ryk−Fcに感染したB16−F10細胞が、感染していないB16−F10細胞より少ない転移数を生じたことを示す。この実験において、IL−2の発現は腫瘍の成長もまた阻害した一方、VEGFの発現は腫瘍の成長を刺激した。
実施例8
変異種Rykタンパク質の影響をラット角膜モデルにてインビボで試験した。このモデルでは、組換えbFGFを、bFGFの持続性放出を見込むハイドロンペレットに溶解する。ハイドロンペレットは、95%アルコール中1%ショ糖オクタサルフェートアルミニウム錯体、12%ハイドロンポリマータイプNCCより構成される。全成分を室温で一夜混合する。その後、bFGFを滅菌条件下で懸濁物に添加する。Ryk−Fc融合タンパク質のような可能な抗血管形成活性をもつ試験物質を、bFGFを含むハイドロンペレット中に包含させる。
【0069】
ペレットを生成させるために、5マイクロリットルの懸濁物を滅菌プラスチック表面上に分散させる。各ペレットは通常、400ngのbFGFおよび変動する量の試験物質を含有することができる。本実施例において、各ペレットは400ngのbFGFを含有し、そして、Ryk−Fc融合タンパク質は80ngから400ngまでの範囲にわたる用量で包含した。ペレットは室温で2時間以内に生じることができる。
【0070】
ペレットの埋植を麻酔下にあるラットで実施する。無菌条件下で、柔軟性の虹彩スパーテルを用いて角膜の中心近くに微少ポケット(2mm×2mm)を外科的に生じさせる。ハイドロンペレットは生理的食塩水で予め湿らせ、ラット角膜に埋植かつ溶解させる。ラットを7日後に殺す。角膜の新脈管形成の可視化を、インディアンインクを用いる心灌流により高める。ラット角膜を単離し、ホルマリン中で一夜固定し、そしてスライドガラス上に固定する。新脈管形成のレベルを顕微鏡的に検査する。新脈管形成の程度を二重盲検的に評価する。すなわち、新脈管形成なしについて0;穏やかな新脈管形成について1;有意の新脈管形成について2、および広範囲の新脈管形成について3。
【0071】
結果は、Ryk−Fcが、240ngのRyk−Fcでもしくはそれより上で明らかな新脈管形成の明瞭な低下を伴い、このモデルでbFGFに誘発される新脈管形成の用量依存性の阻害を表す(図10)ことを示唆する。
実施例9
変異種Rykタンパク質に対するヒト抗体を以下のとおり生成させた:
Fully Synthetic Human Combinatorial Antibody Libraries(HuCAL)Based on Modular Consensus Frameworks and CDRs Randomized with Trinucleotides(Achim Knappik、Liming Ge、Annemarie Honegger、Peter Pack、Melanie Fischer、Guenter Wellnhofer、Adolf Hoess、Joachim Woelle、Andreas Plueckthun、Bernhard Virnekaes Journal of Molecular Biology、Vol.296、No.1、2000年2月、pp.57−86)が、HuCALライブラリーを詳述する参考文献であり、かつ、そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる。
HuCALファージの選択:
マキシソープ(Maxisorp)マイクロタイタープレート(F96 マキシソープ ヌンク−イムノプレート(Maxisorp Nunc−Immuno Plate))の3ウェルを、64で4℃でインキュベートされたPBS中50μg/の濃度の200μlのRyk−Fcで被覆した。抗原溶液を除去し、そしてウェルを400μlのPBSで2回洗浄し、その後400μlの5%MPBS(5%脱脂乳、低脂肪、<1%を含有するPBS)で、マイクロタイタープレート振とう機上RTで2時間ブロッキングした。この時間の間に、100μLのファージ調製物(1011−1012tu)を、ブロッキングタンパク質として312.5μg/mlのIL4R−Fcを含有する100μlの5%MPBS−0.1%トゥイーン(Tween)20と混合し、そしてRTで2時間穏やかに振とうしてインキュベートした。ブロッキング後、被覆されたウェルを400μlのPBSで2回洗浄した。前ブロッキングされたファージ混合物(200μL)を各被覆されたウェルに移し、プレートを封止し、そしてマイクロタイタープレート振とう機上RTで30分間、次いでRTで静置して別の30分インキュベートした。ファージ溶液を除去し、そしてウェルを以下のとおり洗浄した:
1回目の選択:3×400μl PBST(0.05%トゥイーン(Tween)20を含有するPBS)迅速に−2×400μl PBST、RTで振とう機上5分間;3×400μl PBS 迅速に−2×400μl PBS、RTで振とう機上5分間
2回目の選択:1×400μl PBST 迅速に−4×400μl PBST、RTで振とう機上5分間;1×400μl PBS 迅速に−4×400μl PBS、RTで振とう機上5分間。
【0072】
結合されたファージを、200μlの100mMトリエチルアミンとの10分間のインキュベーションにより溶出した。溶出液を、100μl 1Mトリス−HCl pH7.0を含有するチューブに移すことにより迅速に中和した。選択ウェル中の残存するファージを、0.8のOD600nmの200μlの大腸菌(E.coli)TG1細胞の添加によりレスキューした。同時に、0.8のOD600nmをもつ4.5mlの大腸菌(E.coli)TG1培養物を、中和されたファージ溶出物に添加し、そしてこのチューブおよびマイクロタイタープレート双方を、振とうを伴わずに37℃で45分間インキュベートした。感染した大腸菌(E.coli)TG1の2サンプルを合わせ、そして5000gで2分間遠心分離した。上清を除去し、そしてペレットを再懸濁しかつ150mmのLB/Cm/Glu(2×TY培地、34μg/mlクロラムフェニコール、1%ブドウ糖)アガープレート上でプレーティングし、これを30℃で一夜インキュベートした。
選択されたファージのレスキュー:
細菌を、15%グリセロールを含有する2mlの2×TY/Cm/Gluを含むアガープレートから掻き取った。10mlの2×TY/Cm/Glu培地(50mlプラスチックチューブ中)に86μlの細菌を接種し、そして250rpmの振とう中37℃で45分間インキュベートした。5mLを培養チューブに移し、50μlのヘルパーファージを添加し、そして、振とうを伴わずに水浴中37℃で30分間、次いで250rpmの振とう機中37℃で30分、チューブをインキュベートした。4℃で5分間の4500gでの遠心分離により細菌を収穫した。ペレットを、ブドウ糖を含まない25mlの2×TY/Cm/50mg/mL Kan/0.1mM IPTGに再懸濁し、その後250rpmで振とうし30℃で一夜インキュベートした。
選択されたファージの調製およびサブクローニング:
細菌を遠心分離によりペレットにし、そして5mlのPEG/NaClでの沈殿によりファージを上清から回収した。ファージペレットを1mlの滅菌PBSに再懸濁し、遠心分離により澄明にし、0.8μmシリンジフィルターを通して濾過しかつ4℃で保存した。第2回の選択を上述されたとおり実施し、このファージ調製物をHuCALライブラリーの一次ファージ調製物の代わりに使用した。
【0073】
第2回の選択後、15%グリセロールを含有する2mLの2×TY/Cm/Gluを含む2枚のアガープレートから細菌を掻き取った。各プレートからの500マイクロリットルの掻き取り物をミニプレップに直接使用した。DNAは標準的ミニプレップ法により調製し、そしてEcoRIおよびXbaIで消化した。HuCAL TAG−CALクローンの選択されたもののプールから得られたscFvのバンドを、標準的方法により発現ベクターpMx7_FHに連結した。ライゲーション反応を大腸菌(E.coli)JM83に形質転換し、そしてLB/Cm/Gluアガープレート上でプレーティングした。
scFvの微少発現:
形質転換からの単一コロニーを拾い、そして150mmのLB/Cm/1%Gluアガープレート上の1格子パターンおよび100μlの2×TY/Cm/1%Glu培地を含有する96穴マイクロタイタープレートの双方に接種した。プレートを気体透過性テープで封止し、そして振とうしながら37℃で一夜インキュベートした。微少発現のために、ウェルあたりおよそ5μlのマスタープレートを、100μlの2×TY/Cm/0.1%Gluを含有する新たな培養プレートの対応するウェルに移した。培養プレートを振とうしながら37℃で4時間インキュベートし、その後、1mM IPTGを含有する100μl/ウェルの2×TY/Cmの添加により誘導した。プレートを、振とうしながら30℃で追加の4時間インキュベートした。プレートを遠心分離して細菌をペレットにし、上清を除去し、そして125/ウェルμlの氷冷BBS(100mMホウ酸、150mM NaCl、2mM EDTA、pH8.0)を添加した。プレートを封止しかつ振とうしながら4℃で一夜インキュベートした。細菌を遠心分離によりペレットにし、そして50μLの上清を以下のscFv ELISAで使用した。
scFV ELISA:
マキシソープ(Maxisorp)マイクロタイタープレートを、ウェルあたり100μlのPBS中Ryk−Fc(5μg/ml)を用い4℃で一夜被覆した。抗原溶液を除去し、そして、400μl/ウェルの5%MPBSを用い、RTでマイクロタイタープレート振とう機上で振とうしてプレートを2時間ブロッキングした。プレートを、ウェルあたり400μlのTBST(50mMトリスHCl、pH7.4、15mM NaCl、0.5%トゥイーン(Tween)−20)で1回すすぎ、そして50μlの5%MTBST(5%脱脂乳を含有するTBST)を各ウェルに分配した。上の微少発現プレートからの上清(50μl/ウェル)を、抗原被覆されたELISAプレートにの対応するウェルに移し、これをマイクロタイタープレート振とう機上RTで1.5時間インキュベートした。プレートをTBST+1mM CaCl2で5回迅速に洗浄した。それぞれTBST+1mM CaCl2で10000倍希釈されたモノクローナルマウス抗FLAG標識抗体M1(シグマ(Sigma)F−3040)およびM2(シグマ(Sigma)F−3165)の混合物をプレートに添加し(100μL/ウェル)、これをその後マイクロタイタープレート振とう機上RTで1時間インキュベートした。プレートをTBST+1mM CaCl2で5回迅速に洗浄し、そして、TBST+1mM CaCl2で10 000倍希釈された100μlの抗マウスIgG−HRP複合物(シグマ(Sigma)A−6782)を各ウェルに添加し、次いでマイクロタイタープレート振とう機上RTで1時間インキュベートした。プレートをTBST+1mM CaCl2で5回迅速に洗浄し、そして、100μl/ウェルのペルオキシダーゼ基質BMブルーソルブル(BM blue soluble)(ロシュ(Roche))を添加し、次いでRTで30分間インキュベートした。ELISAシグナルを370nmで読取った。
特異性ELISA:
マキシソープ(Maxisorp)マイクロタイタープレートを、以下の抗原で上述されたとおり被覆した。IL4R−Fc(5μg/mL)ELISAは上述されたとおり実施した。
ELISA陽性のscFvの配列決定:
ELISA陽性クローンを、格子アガープレートからディープウェルマイクロタイタープレート中の1.2mLの2×YT/Cm/1%Gluに接種し、そして振とうしながら37℃で24時間インキュベートした。キアロボット(QiaRobot)を使用してDNAを調製し、そしてプライマーHuCAL for(TACCGTTGCTCTTCACCCC)およびHuCAL rev(TTTTTCACTTCACAGGTC)を使用して配列決定した。DNA配列を標準的整列法により比較して独特なscFv配列を同定しかつ各独特のクローンの枠組み配列を決定した。
大スケール発現およびNiアフィニティークロマトグラフィーを用いるscFvの精製:
HuCAL scFvを含有する大腸菌(E.coli)JM83をLB/Cm/Gluアガープレート上にプレーティングしかつ37℃で一夜インキュベートした。2×TY/Cm/1%Glu培地中の10mlの培養物を、単一コロニーから接種し、そして振とう機中30℃で一夜インキュベートした。500mLの2×TY/Cm/0.1%Glu培地を含有するバッフル付フラスコに2.5mLの新鮮な一夜培養物を接種し、そして180 OD600nm=0.5における振とう機中30℃で6時間インキュベートした。細菌培養物を氷上で冷却してRTに達せさせ、そして0.5mMの最終濃度までIPTGを添加した。scFvを、180rpmで振とうして22℃で一夜、0.5のOD600nmまで発現させた。細菌を4℃で5000gで20分間の遠心分離により収穫した。ペレットを100mlの予冷された運転緩衝液(running buffer)(100mMトリス、1mM EDTA pH8.0)に再懸濁し、そしてマイクロフルイディックス(MicroFluidics)細胞破壊装置を使用して破壊した。細菌の破片を4℃で20 000gで30分間の遠心分離により除去した。上清を0.2μmフィルター(低タンパク質結合)を通して濾過し、そしてパースペクティブ バイオシステムズ(Perspective Biosystems)からのポロス(Poros)金属キレート剤カラムに適用した。10カラム容量の運転緩衝液で洗浄した後、scFvを10カラム容量の溶出緩衝液(運転緩衝液+250mMイミダゾール)で溶出した。溶出された画分を標準的方法によりPBS中に透析し、アリコートにしかつ−20℃で保存した。
実施例10
1B4(抗Ryk一本鎖scFv抗体(配列番号20および21))の発現
モルホシス(Morphosys)抗体チーム(Marina Roell)からのクローン1B4の一夜培養物を、1%ブドウ糖および34μg/mlクロラムフェニコールを含む2−YT培地中30℃で成長させた。10mlの一夜培養物を使用して、0.1%ブドウ糖および34μg/mlクロラムフェニコールを含む2−YT培地中の1L培養物に接種した。培養物は、0.5の600nmでの吸光度が得られるまで30℃で成長させた。温度を25℃に低下させ、そして500μlの1M IPTGの添加により1B4抗体の発現を誘導した。細胞を一夜誘導後に収穫した。
1B4(抗Ryk一本鎖scFv抗体)の精製
細胞を遠心分離(2660×g)によりペレットにし、そして、1mlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ(Sigma))を含有する20mMリン酸ナトリウム、pH7.4、0.5M NaCl、10mMイミダゾール(緩衝液A)にペレットを再懸濁し、そして15,000psiの圧でマイクロフリューダイザー(microfluidizer)(マイクロフルイディックス インク(Microfluidics,Inc))を使用して溶解した。上清を10,640×gで遠心分離し、濾過しかつNi+で荷電されていた1mlのポロス(Poros)MC(パースペクティブ バイオシステムズ(Perspective Biosystems))金属キレート剤カラムに、製造元の説明書に従って適用した。負荷した後、カラムを緩衝液Aで洗浄し、そして緩衝液A中30、60、90および250mMイミダゾールの段階勾配を用いてタンパク質を溶出した。1B4抗体のピークを、10mM Hepes、pH7.5および10mM NaClを含有する緩衝液(緩衝液B)中4℃で4時間透析し、濾過し、そして1ml/分の流速を使用して、緩衝液B中で平衡化されたモノQ(Mono Q)5/5イオン交換カラムに注入した。緩衝液Bで洗浄して結合されない物質を除去した後、緩衝液B中0ないし0.5M NaClの勾配を使用してタンパク質を溶出した。抗Ryk 1B4抗体を含有するピークを収集し、製造元の示唆(バイオウィッテイカー(Biowhittaker)、メリーランド州ウォーカーズビル)の下にQCL−1000試験キットを使用してエンドトキシンについて試験した。このピーク中のエンドトキシンレベルが有意であった(1600EU/ml)ため、モノQ(Mono Q)カラムをエンドトキシン汚染から浄化し、そして、最初にピークを緩衝液Bで5倍に希釈することにより抗体を再適用しかつ再注入した。生じるピークをエンドトキシンについて再アッセイした。
ビアコア(BIACORE)の方法論−ヒト変異種Rykタンパク質に結合するヒト変異種Ryk抗体のKd値
実験はビアコア(BIACORE)2000(ファルマシア(Pharmacia))を使用して25℃で実施した。運転緩衝液はビアコア(BIACORE)HBS−EP(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20、pH7.4)であった。抗Ryk scFv 1B4抗体は、最初に表面を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(1M)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(.25M)の1:1混合物を用いて5μl/分で活性化することにより、CM5センサーチップにアミンカップリングした。抗体を10mM酢酸ナトリウム、pH4.5で1.8μg/mlに希釈し、そして250応答単位(RU)が得られるまで注入した。結合後、センサー表面上の残存する活性部位を、35μlの1Mエタノールアミン、pH8.5を用いて5μl/分で封鎖した。運転緩衝液中の多様な濃度のRyk−Fc(30ないし242nM)を表面上に注入(60μl注入/30μl/分流速)してRyk−Fc−抗体の会合を追跡した。Ryk−Fc−抗体を、ラニング緩衝液の2分注入による各会合反応直後に追跡した。ビアコア(BIAcore)チップ表面の再生は、50μlの10mMグリシン pH2.5を100μl/分の流速で注入することにより達成した。会合(kon)および解離(koff)速度定数は、モデルA+B=ABを用いるBIAevalバージョン3.1を使用してデータの全体的適合(global fit)により決定した。konに対するkoffの比からKD値を計算した。
【0074】
抗Ryk scFv 1B4抗体は、連続するキレートおよびイオン交換クロマトグラフィーにより大腸菌(E.coli)ライセートから精製した。抗体の大部分は、250mMイミダゾールでポロス(Poros)MCキレートカラムから溶出した。抗Ryk scFv 1B4抗体はより早期の洗浄でもまた溶出したが、しかしこれらのピークは高イミダゾール溶出物と合わせなかった。合計11.7のA280nm単位を最終的なプール中で検出した。最初のモノQ(Mono Q)カラム溶出物は複数のピークを含有し、その最初の2個がscFv 1B4抗体であると判断された(図11)。ピーク中のエンドトキシンレベルが有意であった(1600EU/ml)ため、その後のモノ−Q(Mono−Q)カラムは、AKTA FPLC系およびイオン交換カラムからエンドトキシンを除去するための徹底的な洗浄後に実施した。ピーク2をモノ−Q(Mono−Q)カラムに再適用し(図12)、そして最終エンドトキシン収量は4.0EU/mlであると測定された。最終の抗Ryk scFv 1B4調製物は、SDS−PAGEにより判断されるとおり、高度に純粋であると判断された(図13)。
【0075】
ビアコア(BIAcore)2000装置は、タンパク質−タンパク質相互作用の分析における強力なツールである。適切なカップリング条件を使用すれば、抗原に対する抗体の結合の正確な会合および解離定数を決定することができる。図14は、固定された濃度の固定された抗Ryk scFv 1B4抗体への多様な濃度のRyk−Fcの結合について生成されたセンサー図(sensorgram)を示す。これらのプロットから計算される力学的定数を下の表1に列挙する。13.3nMというKD値がこの相互作用について計算され、2種の結合パートナー間の高親和性を立証した。
【0076】
【表3】
【0077】
結論
新脈管形成におけるRykの関与の報告は存在していない。Rykの過剰発現が卵巣癌において立証されているとは言え、癌におけるその役割は決定されていない。われわれは、今や、新規変異種Rykタンパク質が、極めて驚くべきことに新脈管形成の調節において活性を表すことを見出した。
【0078】
われわれは、今や、野性型Rykタンパク質もしくは本明細書に記述されるところの他の変異種Rykタンパク質が、限定されるものでないが、癌、創傷治癒、糖尿病性網膜症、黄斑変性および心血管系疾患を挙げることができる新脈管形成が関与するいかなる疾患に対する治療薬としても適切であるかもしれないことを発見した。本明細書に記述される変異種Rykタンパク質はさらに、胎盤の血管新生の調節、妊娠の調節を包含する生殖系における新脈管形成を伴う臨床的病状の治療、もしくは人工流産促進剤としての使用において使用してよい。それらの潜在的な治療的使用に加え、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがそうであるかもしれないように、また、本発明のポリペプチドに対する抗体がそうであるかもしれないように、診断の応用での使用を見出すかもしれない。
【0079】
上の実施例は本発明を具体的に説明することを意図しており、そして変動が当業者に思い浮かぶであろうと思われる。従って、本発明の範囲は下の請求の範囲によってのみ制限されるべきであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
発明にかかる、Tamagononeらにより記述されたところのRykタンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列、ならびに対応するヌクレオチド配列を示す。
【図2】
発明にかかる、Halfordら、J.Biol.Chem.1999;274:7379により記述されたところのRykタンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列、ならびに対応するヌクレオチド配列を示す。
【図3】
発明にかかる、Wnt阻害因子(WIF)ドメインよりなるRykタンパク質の細胞外ドメインの一部分のアミノ酸配列、ならびに対応するヌクレオチド配列を示す。
【図4Aおよび4B】
発明にかかる、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中のHUVECの毛細管様の組織化に対するRyk−Fcの用量依存性の阻害効果を示す。結果は、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中の処理されないHUVECの毛細管様の組織化を表す対照のパーセントとして表す。
【図5】
発明にかかる、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中のHUVECの毛細管様の組織化に対するRyk−myc−Hisを含有する上清の用量依存性の阻害効果を示す。結果は、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中の処理されないHUVECの毛細管様の組織化を表す対照のパーセントとして表す。
【図6】
発明にかかる、外因性に添加されたbFGF、VEGFもしくはIL−8の存在下でのマトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中のHUVECの毛細管様の組織化に対するRyk−Fcの用量依存性の阻害効果を示す。結果は、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中の処理されないHUVECの毛細管様の組織化を表す対照のパーセントとして表す。
【図7Aおよび7B】
発明にかかる、外因性に添加されたIL−8の存在下でのマトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中のHUVECの毛細管様の組織化に対するWIF、WIF−Fc、NWIF−his、WIF−hisおよびRyk−hisの用量依存性の阻害効果を示す。結果は、マトリゲル(MATRIGEL)マトリックス中の処理されないHUVECの毛細管様の組織化を表す対照のパーセントとして表す。
【図8】
発明にかかる、Ryk−Fc融合タンパク質に対し生成された一本鎖抗体(scFv 1b4)を使用するRyk−Fc融合タンパク質の特異性を示す。
【図9】
発明にかかる、同系マウスにおけるインビボのB16黒色腫の肺転移の成長に対するRyk−Fcの発現の影響を示す。B16細胞はRyk−Fc遺伝子を含有するアデノウイルスにエクスビボで感染させ、そして尾静脈注入によりマウスに埋植した。結果は肺転移の数として表す。
【図10】
発明にかかる、ラット角膜におけるインビボの新脈管形成に対するRyk−Fcの発現の影響を示す。血管形成剤、組換えbFGFおよび変動する濃度のRyk−Fcを含有するハイドロンペレットをラット角膜に埋植し、そして新脈管形成を7日後に顕微鏡的に検査した。新脈管形成の等級は、参照点を使用して2個人により盲検的に評価した。
【図11】
発明にかかる、モノQ(Mono Q)5/5イオン交換クロマトグラフィーを使用する抗Ryk scFv抗体の精製を示す。10mM Hepes緩衝液中0ないし0.5M NaClの直線勾配を使用して、抗体をイオン交換カラムから溶出した。画分をA280nmおよび伝導度値によりモニターした。ピーク1および2が、SDS−PAGEによりscFvであることが見出された。
【図12】
発明にかかる、モノQ(Mono Q)5/5イオン交換クロマトグラフィーを使用しての抗Ryk scFv 1B4の精製およびエンドトキシン除去を示す。10mM Hepes緩衝液中0ないし0.5M NaClの直線勾配を使用して、抗体をイオン交換カラムから溶出した。エンドトキシンは4.0EU/mlまで見積もられた。
【図13】
発明にかかる、大腸菌(E.Coli)から高度に精製された、抗Ryk scFv モノQ(Mono Q)5/5で精製された抗体のSDS−PAGEを示す。モノQ(Mono Q)5/5溶出物のアリコート(レーン1)およびkDaの示された大きさの分子サイズマーカー(レーン2)を、4−12%ビストリスゲル(ノヴェックス(Novex)、カリフォルニア州カールスバード)上で分離し、そしてクマシー染色で発色させた。
【図14】
発明にかかる、Ryk−Fcとの抗Ryk−scFv抗体の相互作用を示す。ビアコア(BIAcore)2000装置を使用して、Ryk−FcとのscFv抗体の相互作用を特徴づけした。データは、二重で注入された最低6種の異なる濃度のRyk−Fcを使用して収集した。全部の実験は、本明細書で論考されるパラメータを使用して25℃で実施した。
Claims (27)
- 変異種Rykタンパク質を含んで成る有効量の組成物をある部位に供給させることを含んで成る、該部位での新脈管形成の調節方法。
- 変異種Rykタンパク質が配列番号2に同一のアミノ酸配列を有する、請求項1記載の方法。
- 変異種Rykタンパク質が、配列番号2に対し最低40残基にわたって最低60%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載の方法。
- 変異種Rykタンパク質が、配列番号2に対し最低30残基にわたって最低70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1記載の方法。
- 変異種Rykタンパク質を含んで成る有効量の組成物をある部位に供給させることを含んで成り、ここで該変異種Rykタンパク質が配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有する、該部位での新脈管形成の調節方法。
- 変異種Rykタンパク質を含んで成る生物学的に有効な量の組成物と細胞を接触させることを含んで成り、ここで該変異種Rykタンパク質が配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有する、細胞の毛細管様構造への形成の調節方法。
- 細胞がヒト起源の内皮細胞である、請求項6記載の方法。
- 配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列に対して40残基にわたって最低60%同一である推定アミノ酸配列を有することを特徴とするタンパク質。
- 推定アミノ酸配列が、配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列に対し50残基にわたって最低80%同一である、請求項8記載のタンパク質。
- 変異種Rykタンパク質[ここで該変異種Rykタンパク質が配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有する]、ならびに製薬学的に許容できる担体を含んで成る、新脈管形成を調節するための製薬学的組成物。
- 変異種Rykタンパク質であって、配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列に対し40残基にわたって最低60%同一である推定アミノ酸配列を有することを特徴とする該変異種Rykタンパク質、ならびに製薬学的に許容できる担体を含んで成る、新脈管形成を調節するための製薬学的組成物。
- 該部位がヒト患者内にあり、また、該タンパク質が請求項10記載の製薬学的組成物を介して該部位に供給される、請求項6記載の方法。
- 該部位がヒト患者内にあり、また、該タンパク質が遺伝子治療の方法を介して該部位に供給される、請求項12記載の方法。
- 有効量の変異種Rykタンパク質の供給源を個体に提供することを含んで成り、ここで該変異種Rykタンパク質が配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有する、個体における医学的病状の予防、治療もしくは改善方法。
- タンパク質が、該タンパク質をコードしかつ該タンパク質をインビボで発現するポリヌクレオチドの供給源を個体に提供することにより該個体に供給される、請求項14記載の方法。
- 医学的病状が、癌、転移、糖尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患、創傷、妊娠、および胎盤の血管新生の調節を包含する生殖系の新脈管形成を伴う臨床的病状よりなる群から選択される、請求項14記載の方法。
- (a)変異種Rykタンパク質であって、配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有する該変異種Rykタンパク質をコードするポリヌクレオチド;ならびに(b)(a)に相補的なポリヌクレオチドよりなる群から選択されるポリヌクレオチド。
- ポリヌクレオチドが、発現ベクター内でプロモーターに操作可能に連結される、請求項17記載のポリヌクレオチド。
- ポリヌクレオチドが35と1500塩基長との間である、請求項17記載のポリヌクレオチド。
- (a)変異種Rykタンパク質を発現することが可能な発現ベクターを、変異種Rykタンパク質を発現することが可能な細胞に導入すること、
(b)該細胞に変異種Rykタンパク質を発現させるのに十分な条件下で、段階(a)から生じる細胞を成長させること、および
(c)段階(b)の結果から変異種Rykタンパク質を回収すること
の段階を含んで成る、変異種Rykタンパク質が配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有する、変異種Rykタンパク質の製造方法。 - 請求項8記載のタンパク質に対する抗体。
- 請求項27記載のタンパク質に対する抗体。
- 配列番号22に同定されるアミノ酸配列を有する抗体。
- 請求項27の抗体を含んで成る有効量の組成物をある部位に供給させることを含んで成る、該部位での新脈管形成の調節方法。
- 変異種Rykタンパク質が配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択されるアミノ酸配列を有し、段階:
(a)哺乳動物から得られたサンプル中の前記タンパク質の発現のレベルを測定すること;および
(b)前記タンパク質の発現のレベルを標準に対して比較して診断を行うこと
を含んで成る、哺乳動物における疾患もしくは医学的病状[該疾患もしくは医学的病状が変異種Rykタンパク質の不十分なもしくは過剰な発現に関係する]または疾患もしくは医学的病状に対する感受性の診断方法。 - 医学的病状が、癌、転移、糖尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患、創傷、妊娠、および生殖系の新脈管形成を伴う臨床的病状よりなる群から選択される、請求項25記載の方法。
- 配列番号1、配列番号2および配列番号3より本質的になる群から選択される推定アミノ酸配列を有することを特徴とするタンパク質。
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