JP2004526472A - 動静脈アクセスのための高輪郭の布移植片 - Google Patents
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Abstract
高い外側ベロア輪郭(14)をもつ布移植片(10)を提供する。テキスタイル移植片(10)は、織成されるか又は編成されて管状のプロテーゼを形成することができる。長さ約1mmから約5mmまで外向きに延びるループによって、高い外側ベロア輪郭(14)が与えられる。布移植片(10)は自己密閉し、透析針で穿孔された後の出血を最小にする。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は一般に、血液の人工透析に使用される布移植片に関し、より詳細には、人工透析中の動静脈アクセスのための高輪郭移植片に関する。
【0002】
(背景技術)
健康な腎臓は、血液から有毒な廃棄物と過剰な水を除去する。しかしながら、部分的な又は慢性の腎臓病においては、腎臓は、こうした必須の機能の実行を次第に止めていく。患者の血液から有毒物と過剰な水を除去するために、人工透析が必要とされる場合が多い。
血液透析療法は、患者の血液から有毒物と水を除去する体外処理である。血液透析装置は、血液を患者から汲み上げ、透析膜に通して、患者に戻す。透析膜は、膜拡散原理により血液から有毒物と水を除去する。典型的には、慢性の腎臓病をもつ患者は、1週間に3回、3−6時間の血液透析を必要とする。身体から血液を取り出すには、患者の血液系への脈管アクセスが必要とされる。この脈管アクセスは、患者自身の血管を外科的に改造すること、すなわち血管に人工的な装置を取り付けることによって達成される。脈管アクセス部位が完全に皮膚の下にある場合には、アクセスのために皮膚と脈管部位が針で穿刺される。
【0003】
脈管アクセスを与えるために、これまで動静脈(AV)シャントが用いられてきた。AVシャントは、動脈に縫合された管を使用するものである。この管は、皮下に通され、皮膚から出たところで別の管に接続される。この第2の管は皮膚の中に戻って静脈に縫合される。血液透析の間、動脈の管が透析装置の入力ラインに接続され、静脈の管が装置の戻しラインに接続される。
管の一部が皮膚の外に出たままなので、患者は、典型的に、比較的高い割合で感染に悩まされる。AVシャントに関連するその他の問題には、皮膚の見た目を悪くすることと、凝固がよく生じることが含まれる。
【0004】
これらの経皮的なシャントに関連した問題から、手術後に皮下に残ったままにされ、経皮的な装置に関連した感染問題をある程度防ぐ、ネイティブ動静脈フィステル(native AV fistula)が開発された。AVフィステルは、皮下の外科的造設物であり、上腕の中のような便利な位置で患者の主要動脈を主要静脈に連結する。こうして得られた新たな血液の通り道により、ほとんどの血液が下流の流れ抵抗の高い毛細血管床をバイパスし、フィステルを通る血液の流速が劇的に増加することになる。皮膚を穿刺して、動脈化した静脈へのアクセスを得るために、血液透析機械に入り、及び透析機械から出る管に接続される2つのフィステル針が使用される。血液は、静脈の動脈側から引き出され、透析機械を通過して浄化され、アクセスの静脈側に戻される。
【0005】
しかしながら、AVフィステルは、4から8週間の成熟期間を必要とし、この期間は透析アクセスに使用することができない。AVフィステルは、動脈圧とそこでの動脈の流れの増加に基づくフィステル静脈の肥厚化によって成熟する。フィステル静脈が成熟した、すなわち動脈化した後に、AVフィステル静脈を繰り返し穿刺することが可能となる。動脈化した静脈は、繰り返し穿刺することができ、血液の流速が高いことにより、そこでの血液透析処置が可能になる。しかしながら、高齢の患者、糖尿病患者、又は動脈疾患をもつ患者には一般に使用できる末梢静脈が欠乏しているので、AVフィステル技術は、多くの透析患者に使用することができない。
【0006】
動静脈シャント及びフィステルの代用物として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、又はシリコンのような合成材料からなるAV移植片が使用されてきた。外科的手法で移植されたAV移植片は、静脈と動脈を連結し、普通のAVフィステルにアクセスするのと同じ方法で針の組によって穿刺できるバイパスを形成する。
AV移植片は、患者自身の血管がフィステルを設けるには非常に小さいときに一般に使用される。しかしながら、こうした移植片は典型的に、適切に治癒し十分に組織が成長して移植片が安定化するのに約2ないし4週間を要する。この期間のAV移植片は、通常は透析アクセスに利用できない。
【0007】
通常のPTFE又はePTFEが押出成形された管からなるAV移植片は、移植片が普通は透析針で穿孔された後に自己密閉しないという不利点をもつ。穿孔部位から出血することを防ぐために、穿刺部位の近くに指で何分間か圧力をかけることが多い。ポリウレタンの移植片は、体内でやや不安定となることが知られている。シリコン材料は、通常はPTFE材料より高い可撓性をもつ。シリコンからなる移植片は、シリコン材料の可撓性が高めなので、PTFEからなるAV移植片に比べて良好な自己密閉特性をもつ。しかしながら、こうしたシリコンAV移植片は、PTFEからなるAV移植片に比べて硬化し、不快となる場合が多い。
ePTFE、ポリウレタン、又はシリコンのAV移植片の不利な点をもたない自己密閉AV移植片に対する必要性がある。具体的には、血液透析に使用するのに先立つ治癒及び組織の成長のために長い期間を要さない自己密閉AV移植片に対する必要性がある。
【0008】
(発明の開示)
本発明は、合成繊維又は糸から形成され、組織の内部成長を容易にすること、透析針で穿刺された後の移植片の自己密閉性を与えること等のために高い外側輪郭をもつAV移植片に関する。AV移植片は、穿刺後の自己密閉機構を与えるために弾性合成繊維を含む。
本発明のAV移植片は、糸の織られた又は編まれたパターンを含む。織成された又は編成されたパターンは、穿刺後の自己密閉を与える。AV移植片は、移植後の組織の内部成長を促進し、穿刺後の移植片の自己密閉をさらに与えるために高い外側輪郭をもつ。
【0009】
1つの態様において、高輪郭AV移植片は、移植片の滑らかな内面を与えるために平織又は綾織パターンの第1布層をもつ織成移植片である。AV移植片に高い外側輪郭を与えるために、起毛したループをもつ第2布層が形成される。第2布層は、外面から外向きに延びる布の起毛したループをもち、起毛した又はベロアの風合いを与える。
別の態様においては、本発明は糸の編成パターンを含む。第1布層は、滑らかな内面をもつ緊密に編成されたパターンで形成される。第2布層の第2編成パターンは、表面から起毛させてベロア状の表面を与えることができる外側ループをもつ。
AV移植片の外面から延びる布ループは、約1mmから約5mmまでの長さに延びる。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、従来のAV移植片に関連した問題に対処するものである。本発明の脈管移植片は、厚肉ポリマー管の欠点を持たず実質的に自己密閉性である脈管移植片を提供することによって、現在入手可能なAV移植片の欠点を克服する。その上、本発明のAV移植片は、組織の成長又は安定化を容易にするために、高輪郭の外表面を有する。本発明の自己密閉特性と高輪郭の外表面との組合せにより、移植片が安定化するのを2から4週間も待たずに、AV移植片への透析アクセスが可能になる。本発明のAV移植片は、移植後1週間以内で透析アクセスのために充分に安定化される。
また、高輪郭の外表面はAV移植片の周りに中間容積を形成する。この中間容積は、近傍の脈管間領域に適合し、バイパスに使用される動脈と静脈の間の皮下領域にAV移植片を移植すること、即ちトンネル状にすることで生じたAV移植片と脈管間領域との間のどんな隙間をも満たす。
【0011】
図1は、本発明の脈管移植片10の斜視図である。移植片10は、滑らかな内面12と起毛ベロア布外表面14によって構成される管状壁13を含む。ベロア表面14は、多数の外向きに延びる起毛ループ16を持つ。起毛ループ16は、ベロア表面14に沿って周方向に延びる。周方向は、本明細書では縦糸方向とも呼ばれる。
図2は、本発明の脈管移植片20の斜視図である。移植片20は、移植片20の滑らかな内面22と起毛ベロア布外表面24によって構成される管状壁23を含む。移植片20のベロア表面24はまた、多数の外向きに延びる起毛ループ26を持つ。図2に示されるように、起毛ループ26はベロア表面24に沿って縦又は横糸方向に延びる。
【0012】
図3は、軸線3−3に沿って見た移植片10の断面図である。起毛ループ16は、ベロア表面14から放射状に外向きに延びる。移植片10は、図1から図3までにおいては、ほぼ円形の管として示される。本発明の1つの態様では、移植片28は、移植片を最初に形成した後は、図5に示されるようなほぼ平たい形状である。このほぼ平たい管状移植片28は、本明細書に記載されるように後で加工されて、移植片10のようなほぼ円形の管状移植片を形成する。平たい管状移植片28のループ30は、外面32の近くにあり、同様にほぼ平たい形状をしている。ループ30は、後で外面32から外向きに起毛されて、起毛ループ16又は26のような起毛ループを形成することができる。
【0013】
起毛ループ16又は26がベロア表面から延びる角度又は長さは、本発明の重要な態様である。起毛ループ16又は26は、組織の内部成長のためのアクセスを与えるばかりでなく、元の位置から乱れた又は変形した後に、外向きに突出した形状に戻るための弾力性を持つ。本明細書で用いられる「弾力性」という用語及びその類の用語は、曲げられること、伸ばされること又は圧縮されること等のように変形された後に元の形状すなわち静止状態に戻るという材料の能力を指す。例えば、移植片10が透析針(図示せず)によってアクセスされるとき、起毛ループ16の幾らかは、針によって静止状態から変化状態に変位されることになる。針を取り除くと、起毛ループ16は、弾力性によって実質的に乱れていない状態すなわち静止状態に戻る。起毛ループ16が変形すると、該起毛ループは、限定するものではないが、静止状態の位置の50から100パーセントまでを表す位置まで戻る。
【0014】
起毛ループ16の弾力性によって、1つには、移植片10が穿孔された後の自己密閉機構が与えられる。望ましくは、外表面から外向きに約1mmから約5mmまで突出するループが本発明において有用である。外向きに0.5mmより短く延びるループは、本発明に係るAVアクセス移植片として有用となるのに充分な弾力性と組織の内部成長のための面積を与えない。例えば、高さの低い、すなわち0.5mm未満のループ長さの移植片が外科手術で移植されてから透析アクセスに使用されるまでには、約2ないし4週間の期間が必要とされる。
【0015】
本発明の高輪郭AVアクセス移植片は、テキスタイル移植片である。このテキスタイル移植片は、織成又は編成移植片であることが望ましい。更に、図4に示されるように、移植片10の管状壁13は、外層18及び内層19を備える。これら両層は、合成糸のテキスタイル層である。これらの層は、透析針(図示せず)で穿孔された後の自己密閉機構をもつ本発明のAVアクセス移植片を与える、弾性合成繊維を持つ。本明細書で用いられる「弾性」という用語及びその類の用語は、変化した状態まで伸ばされた又は圧縮された後に静止状態まで戻るという材料の能力を指す。弾性繊維は、ポリエステル繊維を含むが、これに限定されるものではない。捲縮ポリエステル含有繊維から作られた糸は、切れずに静止状態の長さの105から155パーセントまでといった、かなりの程度まで伸びることができ、さらに、静止状態の長さ、例えば静止状態の長さの70から100パーセントまで実質的に戻る。弾性繊維は、透析針を取り除いた後に乱れていない状態まで戻る弾力性をもち、織成又は編成パターンは、透析針での穿孔中にそれらのパターンを実質的に維持し、透析針を取り除いた後に弾性繊維が乱れていない状態まで戻ることができるようにすることによって、自己密閉機構を更に向上させる。その上、織成又は編成パターン自体も、透析針がAVアクセス移植片を横切るときにパターン内の繊維を動かす際に弾力性を与え、これにより、透析針を取り除いた後に繊維を乱れていない状態まで移動させるように働く張力又は負荷をパターン内に生じさせる。
【0016】
図6は、図1の軸線A−Aに沿って見たベロア表面14の高輪郭織成部分36を示す。織成部分36は移植片10の外層18を形成する。織成部分36は織り交ぜられた縦糸37と横糸38を含む。縦糸37はさらに、織物の上層にあることを表す37aと、織物の下層にあることを表す37bと、多数の横糸38に覆い重なることを表す37cとして示される。縦糸37は、移植片中を縦方向に走り、移植片の幅を定める。横糸38はさらに、上部横糸38a及び下部横糸38bとして示される。横糸は、図6に示されるように縦糸と共に織られる。例えば、横糸シャットル(図示せず)は、選ばれた縦糸37が特定の織成パターンに従って持ち上げられている状態で縦糸37を横切る。
【0017】
縦糸37cは複数の横糸38の上に重なる。図6に示されるように、縦糸37cは7つの横糸の上に重なる。横糸37cは、平たい管状移植片28の外面32のループ30のような外側ループを形成する。縦糸37cは、3本から11本までの横糸の上に重なって、起毛後に約1mmから約5mmまで外向きに延びる外側ループを与えることが望ましい。更に、異なる織成パターンを選択することによって、1つの起毛ループの位置を別の起毛ループの位置に対して変えることができる。綾織又は繻子織パターンは、異なるパターンの外側ループ又はベロアの風合いを与えるのに有用なパターンである。
【0018】
図9及び10は、綾織75と繻子織85をそれぞれ表す。綾織は、規則的な連続又はパターンで1つ又はそれ以上の縦糸の上下にくる横糸をもつ。例えば、綾織75は、図9においては2/2綾織として示される。横糸77aは、縦糸76b及び76cの下にあり、かつ縦糸76d及び76eの上にある。次の横糸、すなわち横糸77bは、縦糸76c及び76dの下にあり、かつ縦糸76e及び76fの上にある。規則的な繰り返しによって、起毛ループを対角線方向に形成することができる。
【0019】
図10は、4/1繻子織として表される繻子織85を示す。繻子織には綾織の明瞭な対角線パターンがない。例えば、横糸87aは、縦糸86a及び86fの上にあり、かつ残りの縦糸86b−86eの下にある。次の横糸、すなわち横糸87bは、縦糸86dの上にあり、かつ残りの縦糸86a−c及び86e−fの下にある。次の横糸、すなわち横糸87cは、縦糸86bの上にあり、かつ残りの縦糸86a及び86c−fの下にある。このようなパターンの場合、起毛ループの対角線パターンは、繻子織では達成されない。
【0020】
図9及び10の織成パターンは、綾織と繻子織を説明するためのものである。これらの図に示されたパターンは、綾織又は繻子織を特定のパターンに限定することを意図したものではなく、綾織及び繻子織のその他のパターンも本発明においては有用である。
管状壁13の内層19も織成パターンとすることができる。図7に平織り40が示されている。縦糸42は、横糸43と織り交ぜられ、上部と下部の間を交互する。このような交互パターンは、滑らかな表面の風合いを持つ内面12を与える。
【0021】
外層18と内層19は、相互に接続されて移植片10の管状壁13を形成する。本発明の1つの態様においては、外層18の織成部分36からの糸は、内層19の平織40からの糸と共に織成される。例えば、図8に示されるように、縦糸39は、織成部分36の横糸38と平織40の横糸43とを互いに結び付ける。縦糸又は横糸はどれでも、2つの織物又は2つの層を互いに接続するのに使用することができる。本発明は、2つの織成部分を結合するために縦糸又は横糸を互いに結び付けることに限定されず、その他の手段も適切に使用することができる。例えば、1つの層をその他の層に結合するために、2つの層の間に接着層(図示せず)を使用してもよい。
【0022】
本発明の縦糸及び横糸として、どんなタイプの編織糸を使用することもできる。本発明の織成プロテーゼを作成するのに特に有用なものは、合成ポリマーのような合成材料である。本発明において使用するのに適している合成糸は、これに限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及びポリテトラフルオロエチレンを含む。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンタイプ又はこれらの組合せから作ることができる。
【0023】
本発明の織成移植片を作成するのに使用される糸は、フラット糸でも、撚り糸でも、かさ高加工された糸でもよいし、これらの組合せでもよい。更に、糸は、高、低、又は中程度の収縮性を持つこともできるし、異なる収縮性の組合せを持つこともできる。更に、糸のタイプと糸のデニールは、多孔性、可撓性及び外側ベロア面の風合いといった、プロテーゼに望ましい特定の性質に見合うように選択することができる。糸のデニールは、糸の線密度(9,000メートルの長さで割ったグラム質量数)を表す。したがって、小さいデニールを持つ糸は非常に細い糸に相当し、より大きなデニール、例えば1000デニールを持つ糸は太い糸に相当する。本発明において使用される糸は、約20から約1000デニールまで、好ましくは約40から約300デニールまでとすることができる。縦糸と横糸は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルであり、最も好ましくは、1層の、50デニール、48フィラメントのフラット及びかさ高加工されたポリエステルである。
【0024】
本発明の移植片は、平織り、バスケット織り、繻子織り、綾織などを含む当業技術分野において周知の織成パターンのいずれかを用いて織ることができ、平織り、繻子織り又は綾織パターンを用いて織られることが好ましい。織成パターンは、1層当たり1インチに約25から260(本数)の縦糸と、1層当たり1インチに約20から90(本数)の横糸を持つことが望ましい。移植片の弛緩された状態の壁厚は、従来の有用な厚さより大きくすべきであるが、約10.0mmより大きくないことが好ましく、より好ましくは、壁厚は約3.0mmから約7.0mmまでである。圧縮されると、圧縮された厚さは弛緩状態の壁厚より小さくなる。
【0025】
上記のように、本発明の管状織物移植片は、ヒートセット処理の間に収縮することができるポリエステルから構成されることが好ましい。例えば、このような移植片は、典型的には管形に平たく織られる。平たく織成する又は平たく編成するプロセスの性質から、管状移植片は、織成され又は編成された後の形状がほぼ平たい。しかしながら、こうした移植片は、収縮可能なポリエステル糸から構成された時には、心棒の上でヒートセットされてほぼ円形をなすことができる。
【0026】
このようなヒートセット処理は、移植片を、ヒートセット又はこれに類似の処理の間に収縮することができる材料で最初にシームのない管形に織ることによって達成される。移植片は、心棒の上に配置される前に予め収縮させることができる。予め収縮させることは、織成移植片を190°Fから400°Fまでのような中程度の温度におくことによって達成することができる。通常、移植片は、予め収縮させるためにある媒体中に置かれる。そのような媒体は、これらに限定しないが、熱水、塩化メチレンのような化学的流体、又は空気や二酸化炭素のような気体を含み得る。しかしながら、本発明の移植片は、このように糸を予め収縮させなくても、適切に作成することができる。
【0027】
移植片が織成された後、もしくは織成されて予め収縮された後に、移植片は、心棒の上に配置され、オーブン中で、該移植片の糸を心棒の形状及び直径までヒートセットすることが可能な温度と時間で加熱される。縦糸及び横糸としてポリエステル糸が使用され、材料に適した時間と温度でヒートセットが達成されることが好ましい。例えば、ヒートセットは、約190から400°Fまでの温度で約1時間より短い時間だけ行うことができる。190から300°Fまでの温度範囲も有効である。望ましくは、約190°Fから約260°Fまでの温度も有効である。望ましくは、約5から約30分までの時間が有用である。より望ましくは、約10から約20分までの時間が有用である。当業技術分野で周知のその他のヒートセット法を用いることもできる。このようにヒートセット処理した後に、移植片をほぼ円形の内腔をもった移植に望ましい形状にすることができる。
【0028】
ヒートセット処理はまた、異なる織成層に使用される糸の収縮性に差異があるときに、ループを移植片の外面から外向きに起毛させる。望ましくは、織成内層の糸の少なくとも幾らかは、織成外層の糸の少なくとも幾らかに比べて、ヒートセットのときにより大きな収縮性を呈するのがよい。また、ループは、移植片を縦方向に圧縮してループを起毛させるというようにループを機械的に起毛させ、次いでその移植片をヒートセットして起毛ループの配向を固定することによっても、ある程度起毛させることができる。
【0029】
本発明の別の態様においては、移植片10は、外層18のための編成上層50と内層19のための編成下層60又は65を含む編布移植片である。編成上層50は、移植片10のベロア表面14のA−A斜視図である図11に示される。編成上層50は、移植片10の上層を形成するシャークスキン・パターンとして示される。編成上層50は、図示されるように、相互に関係のある格子糸51とベロア糸55とを持つ縦編構造である。ベロア糸55は、格子糸51の上に重なって、本発明による外面14のベロアの風合いを形成する。ベロア糸55は、望ましくは約3本から約9本までの格子ループ53の上に重なって、移植片10の起毛ループ16を形成する。本発明の1つの態様においては、ベロア糸55は、約7本の格子ループ53の上に重なる。
【0030】
編成下層60は、図12ではトリコットパターンとして示されている。この編成下層60は、格子糸61とパイル糸63を持ち、内面12の滑らかな内表面を形成する。内層19は、図12に示されるトリコットパターンで編まれていてもよいし、図13に示されるロックニット・パターンで編まれていてもよい。ロックニット・パターン65も、内面12の滑らかな内表面を形成する格子糸67とパイル糸69を持つ。格子ループ62及び68は、それぞれトリコットパターン60及びロックニット・パターン65に一体性を与える。
図14に示されるように、編成上層50からの糸71の幾つかが編成下層60又は65の糸73と織り交ぜられて、移植片10の管状壁13の内層19と外層18が織り交ぜられる。
【0031】
本発明の編成テキスタイル移植片の糸として、どのようなタイプのテキスタイル製品をも使用することができる。本発明の編布プロテーゼを作成するのに特に有用なものは、合成ポリマーのような合成材料である。本発明において使用するのに適している合成糸は、これに限定しないが、PETポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及びポリテトラフルオロエチレンを含むポリエステルが挙げられる。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンタイプ又はこれらの組合せから作ることができる。糸はまた、フラット糸でも、撚り糸でも、かさ高加工された糸でもよく、高、低、又は中程度の収縮性を持つこともできるし、これらの組合せを持つこともできる。
【0032】
本発明の編成テキスタイル移植片は、ダブルニードルバーを用いる縦編み機(図示せず)で作成されることが望ましい。縦編みに有用なインチ当たりの針の数は、約18本から約36本までである。針はインチ当たり約28本が特に適している。移植片の格子は、通常30から300デニールまでの番手を持つ糸から作られる。格子糸の番手の範囲は、約30から約70までであることが望ましい。特に好適な糸の番手は約40デニールである。格子糸は、単一プライ、2プライ又は多プライにすることができる。本明細書で用いられる「多プライ」という用語は、2プライより多いものを指すのに用いられる。
【0033】
格子の典型的な縦編み方法では、糸は、各々が複数のエンドを保持するスプールである2つの内側ビームから送られる。内側ビームと共に、ループを形成するために2つの外側ビームを使用してもよい。外側ビームの各々も複数のエンドを持つ。しかしながら、内側ビームはループを形成するのに使用され、外側ビームは格子を形成するのに使用されることに注意されたい。どちらのビームが格子に使用され、またどちらのビームがループのために使用されるかに関係なく、かさ高加工されていないフラット糸が一般に格子に用いられ、かさ高加工された糸が一般にループに用いられる。一般に、ループの糸番手は、少なくとも格子の糸番手と同じ位の大きさでなければならない。本発明の編織移植片を作成するのに使用されるビームの最小数は2つである。しかしながら、より多くの数のビームも特定の用途のためには有用となり得る。
起毛ループは、単一プライのマルチフィラメント糸、2プライの糸又は多プライの糸で作成される。ループには多プライの糸が使用されることが望ましい。ループを形成するための糸番手は、約30から約300デニールまでの間にすべきであり、望ましい範囲は約30から約70デニールまでである。ループに特に適した糸番手は約40デニールである。
【0034】
ループが格子から突出する度合いは、ループと格子糸の相対的な送り速度が選択された時に定められ、ループが格子から外向きに突出する度合いの比率が定められる。ループ糸を供給するビームからの糸は、ループが格子から外向きに突出するように、格子の糸より高速で送られる。この速度比は、約1.25:1から約4.5:1までの範囲にある。こうした速度比により、ループ糸長さと格子糸長さの比が1.25から4.50までの間の移植片が与えられる。ループの度合いを制御するために、異なる収縮性を持つ糸を使用することもできる。例えば、編成内層は、編成外層の糸の収縮性と比較して、より高い収縮性を持つ糸を含むことができる。
編成後に、布は、編織移植片の多孔性を制御するために、及びループを移植片表面から外向きに起こして起毛ループ又はベロア編織物を形成するために、前述のように圧縮され、ヒートセットされることが望ましい。
【0035】
本発明の別の態様においては、高輪郭AVアクセス移植片は、動脈から静脈へのバイパスに直接アクセスできるようにする方法を提供するのに使用される。そのような直接的なアクセスを提供する方法は、高輪郭AVアクセス移植片を用意し、動脈と静脈の間の皮下領域の位置にAV移植片を移植し、すなわちトンネル化し、例えば縫合によってAV移植片の一方の端を動脈に及び他方の端を静脈に確実に取り付けることを含む。AV移植片の起毛した外側ループは、AV移植片の外面上に、近傍の脈管間領域に適合する中間容積を形成する。AV移植片の移植すなわちトンネル化の間、AV移植片が動脈と静脈の間に配置される際に、皮下領域に隙間が生じる。起毛した外側ループは、AV移植片を設置することによって生じたどんな隙間をも満たし、これにより組織が内部成長するか又は安定化する前にAV移植片へのアクセスが可能となる。
次の実施例は、本発明のより一層の理解を与えるのに役に立つが、どのような点においても本発明の効果的な適用範囲を限定することを意図するものではない。
【0036】
実施例1 外側ベロアを持つ2プライのソリッド織成移植片
以下の明細は、本発明のソリッド織成プロテーゼを製作するのに使用される。
織物:7本の横糸が外側プライ上に浮くように織られた管状の2プライのソリッド織物。
縦糸:かさ高加工された50デニール/48フィラメントのポリエステル
横糸:1プライ/かさ高加工された50デニール/48フィラメントのポリエステル
インチ当たりの縦糸本数:200
インチ当たりの横糸本数:60
移植片を織成した後に、材料を塩基性の温水(例えば150°F)と洗浄剤の中で洗浄する。その後すすいで洗浄剤を除去する。次に、プロテーゼを最終的な所望の内径の心棒上でヒートセットする。典型的には、心棒の外径は、最終的なプロテーゼの直径に等しい。織成された管は、心棒の上に取り付けられ収縮して正確な直径に適合することができるようにするために、5から15%大きなサイズとなるように織られる。
【0037】
ヒートセットは、蒸気加熱オートクレーブ内で、約250°Fで約5から10分間、又は対流式オーブン内で、約250°F−400°Fで約10から30分間行うことができる。ヒートセットは2段階処理で行うことができる。第1段階は、充分に拡がった状態のプロテーゼを心棒にぴったりと収縮フィットさせるヒートセットに関する。第2のヒートセット段階は、プロテーゼを縦方向に圧縮することを含む。圧縮は、25−50%のオーダーである。次いで、プロテーゼに、第1ヒートセットサイクルと同様の条件を用いて2度目のヒートセットが行われる。
ヒートセットの結果として、縦糸は、縮れ、そして捲縮する。熱が糸をこの幾何学的配列に固着して、「ばねのような」性質に仕上げる。7本の横糸上に浮かんでいる外側層の縦糸が、布から起毛してフィラメント性ベロア面を形成することになる。
外側プライから起毛した縦糸は、ヒートセット後に起毛ループの形状になる。外側プライから延びるループの長さは、約1mmから約5mmまでの長さにわたる。
【0038】
実施例2 外側ベロアを持つ2プライソリッド編成移植片
以下の明細は、本発明のソリッド編成プロテーゼを製作するのに使用される。
前方ガイドバー:4−5/1−0
後方ガイドバー:1−0/4−5
送り比:3:1
後方バー上での糸の収縮度:>20%
前方バー上での糸の収縮度:<5%
糸のタイプ:
前方バー:延伸かさ高加工された40デニールのポリエステル・マルチフィラメント糸。
後方バー:40デニールのフラット糸か又は40デニールのかさ高加工された高収縮マルチフィラメント・ポリエステル糸。
編成した後に、プロテーゼを実施例1のようにヒートセットして、フィラメント性ベロア面を形成する。外面から延びるループの長さは、長さ約1mmから約5mmまで変化する。
【0039】
本発明は上記のように説明されているが、当業者にとって、本発明に多くの変更が可能であることは明らかであろう。そのような変更は、本発明の精神及び範囲から外れるものとみなされるべきではなく、そのような修正のすべては、特許請求範囲の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
縦方向に又は縦糸方向に延びる外側輪郭をもつ本発明の高輪郭布移植片の斜視図である。
【図2】
周方向に又は横糸方向に延びる外側輪郭をもつ本発明の高輪郭布移植片の第2の実施形態の斜視図である。
【図3】
軸線3−3に沿って見た図1の布移植片の断面図である。
【図4】
本発明の高輪郭布移植片の管壁の部分断面図であり、壁の内側部分と外側部分を示す。
【図5】
本発明の平らに織られた又は平らに編まれた布移植片の断面図である。
【図6】
本発明の高輪郭布移植片の外側部分の織成パターンの斜視図である。
【図7】
本発明の高輪郭布移植片の内側部分の織成パターンの斜視図である。
【図8】
移植片壁の外側部分と内側部分の間に織り交ぜられた糸をもつ織成パターンの部分断面図である。
【図9】
綾織を示す図である。
【図10】
繻子織を示す図である。
【図11】
本発明の高輪郭布移植片の外側部分の編成パターンの斜視図である。
【図12】
本発明の高輪郭布移植片の内側部分の編成パターンの斜視図である。
【図13】
本発明の高輪郭布移植片の内側部分の別の編成パターンの斜視図である。
【図14】
移植片壁の外側部分と内側部分の間に織り交ぜられた糸をもつ編成パターンの部分断面図である。
(技術分野)
本発明は一般に、血液の人工透析に使用される布移植片に関し、より詳細には、人工透析中の動静脈アクセスのための高輪郭移植片に関する。
【0002】
(背景技術)
健康な腎臓は、血液から有毒な廃棄物と過剰な水を除去する。しかしながら、部分的な又は慢性の腎臓病においては、腎臓は、こうした必須の機能の実行を次第に止めていく。患者の血液から有毒物と過剰な水を除去するために、人工透析が必要とされる場合が多い。
血液透析療法は、患者の血液から有毒物と水を除去する体外処理である。血液透析装置は、血液を患者から汲み上げ、透析膜に通して、患者に戻す。透析膜は、膜拡散原理により血液から有毒物と水を除去する。典型的には、慢性の腎臓病をもつ患者は、1週間に3回、3−6時間の血液透析を必要とする。身体から血液を取り出すには、患者の血液系への脈管アクセスが必要とされる。この脈管アクセスは、患者自身の血管を外科的に改造すること、すなわち血管に人工的な装置を取り付けることによって達成される。脈管アクセス部位が完全に皮膚の下にある場合には、アクセスのために皮膚と脈管部位が針で穿刺される。
【0003】
脈管アクセスを与えるために、これまで動静脈(AV)シャントが用いられてきた。AVシャントは、動脈に縫合された管を使用するものである。この管は、皮下に通され、皮膚から出たところで別の管に接続される。この第2の管は皮膚の中に戻って静脈に縫合される。血液透析の間、動脈の管が透析装置の入力ラインに接続され、静脈の管が装置の戻しラインに接続される。
管の一部が皮膚の外に出たままなので、患者は、典型的に、比較的高い割合で感染に悩まされる。AVシャントに関連するその他の問題には、皮膚の見た目を悪くすることと、凝固がよく生じることが含まれる。
【0004】
これらの経皮的なシャントに関連した問題から、手術後に皮下に残ったままにされ、経皮的な装置に関連した感染問題をある程度防ぐ、ネイティブ動静脈フィステル(native AV fistula)が開発された。AVフィステルは、皮下の外科的造設物であり、上腕の中のような便利な位置で患者の主要動脈を主要静脈に連結する。こうして得られた新たな血液の通り道により、ほとんどの血液が下流の流れ抵抗の高い毛細血管床をバイパスし、フィステルを通る血液の流速が劇的に増加することになる。皮膚を穿刺して、動脈化した静脈へのアクセスを得るために、血液透析機械に入り、及び透析機械から出る管に接続される2つのフィステル針が使用される。血液は、静脈の動脈側から引き出され、透析機械を通過して浄化され、アクセスの静脈側に戻される。
【0005】
しかしながら、AVフィステルは、4から8週間の成熟期間を必要とし、この期間は透析アクセスに使用することができない。AVフィステルは、動脈圧とそこでの動脈の流れの増加に基づくフィステル静脈の肥厚化によって成熟する。フィステル静脈が成熟した、すなわち動脈化した後に、AVフィステル静脈を繰り返し穿刺することが可能となる。動脈化した静脈は、繰り返し穿刺することができ、血液の流速が高いことにより、そこでの血液透析処置が可能になる。しかしながら、高齢の患者、糖尿病患者、又は動脈疾患をもつ患者には一般に使用できる末梢静脈が欠乏しているので、AVフィステル技術は、多くの透析患者に使用することができない。
【0006】
動静脈シャント及びフィステルの代用物として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、又はシリコンのような合成材料からなるAV移植片が使用されてきた。外科的手法で移植されたAV移植片は、静脈と動脈を連結し、普通のAVフィステルにアクセスするのと同じ方法で針の組によって穿刺できるバイパスを形成する。
AV移植片は、患者自身の血管がフィステルを設けるには非常に小さいときに一般に使用される。しかしながら、こうした移植片は典型的に、適切に治癒し十分に組織が成長して移植片が安定化するのに約2ないし4週間を要する。この期間のAV移植片は、通常は透析アクセスに利用できない。
【0007】
通常のPTFE又はePTFEが押出成形された管からなるAV移植片は、移植片が普通は透析針で穿孔された後に自己密閉しないという不利点をもつ。穿孔部位から出血することを防ぐために、穿刺部位の近くに指で何分間か圧力をかけることが多い。ポリウレタンの移植片は、体内でやや不安定となることが知られている。シリコン材料は、通常はPTFE材料より高い可撓性をもつ。シリコンからなる移植片は、シリコン材料の可撓性が高めなので、PTFEからなるAV移植片に比べて良好な自己密閉特性をもつ。しかしながら、こうしたシリコンAV移植片は、PTFEからなるAV移植片に比べて硬化し、不快となる場合が多い。
ePTFE、ポリウレタン、又はシリコンのAV移植片の不利な点をもたない自己密閉AV移植片に対する必要性がある。具体的には、血液透析に使用するのに先立つ治癒及び組織の成長のために長い期間を要さない自己密閉AV移植片に対する必要性がある。
【0008】
(発明の開示)
本発明は、合成繊維又は糸から形成され、組織の内部成長を容易にすること、透析針で穿刺された後の移植片の自己密閉性を与えること等のために高い外側輪郭をもつAV移植片に関する。AV移植片は、穿刺後の自己密閉機構を与えるために弾性合成繊維を含む。
本発明のAV移植片は、糸の織られた又は編まれたパターンを含む。織成された又は編成されたパターンは、穿刺後の自己密閉を与える。AV移植片は、移植後の組織の内部成長を促進し、穿刺後の移植片の自己密閉をさらに与えるために高い外側輪郭をもつ。
【0009】
1つの態様において、高輪郭AV移植片は、移植片の滑らかな内面を与えるために平織又は綾織パターンの第1布層をもつ織成移植片である。AV移植片に高い外側輪郭を与えるために、起毛したループをもつ第2布層が形成される。第2布層は、外面から外向きに延びる布の起毛したループをもち、起毛した又はベロアの風合いを与える。
別の態様においては、本発明は糸の編成パターンを含む。第1布層は、滑らかな内面をもつ緊密に編成されたパターンで形成される。第2布層の第2編成パターンは、表面から起毛させてベロア状の表面を与えることができる外側ループをもつ。
AV移植片の外面から延びる布ループは、約1mmから約5mmまでの長さに延びる。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、従来のAV移植片に関連した問題に対処するものである。本発明の脈管移植片は、厚肉ポリマー管の欠点を持たず実質的に自己密閉性である脈管移植片を提供することによって、現在入手可能なAV移植片の欠点を克服する。その上、本発明のAV移植片は、組織の成長又は安定化を容易にするために、高輪郭の外表面を有する。本発明の自己密閉特性と高輪郭の外表面との組合せにより、移植片が安定化するのを2から4週間も待たずに、AV移植片への透析アクセスが可能になる。本発明のAV移植片は、移植後1週間以内で透析アクセスのために充分に安定化される。
また、高輪郭の外表面はAV移植片の周りに中間容積を形成する。この中間容積は、近傍の脈管間領域に適合し、バイパスに使用される動脈と静脈の間の皮下領域にAV移植片を移植すること、即ちトンネル状にすることで生じたAV移植片と脈管間領域との間のどんな隙間をも満たす。
【0011】
図1は、本発明の脈管移植片10の斜視図である。移植片10は、滑らかな内面12と起毛ベロア布外表面14によって構成される管状壁13を含む。ベロア表面14は、多数の外向きに延びる起毛ループ16を持つ。起毛ループ16は、ベロア表面14に沿って周方向に延びる。周方向は、本明細書では縦糸方向とも呼ばれる。
図2は、本発明の脈管移植片20の斜視図である。移植片20は、移植片20の滑らかな内面22と起毛ベロア布外表面24によって構成される管状壁23を含む。移植片20のベロア表面24はまた、多数の外向きに延びる起毛ループ26を持つ。図2に示されるように、起毛ループ26はベロア表面24に沿って縦又は横糸方向に延びる。
【0012】
図3は、軸線3−3に沿って見た移植片10の断面図である。起毛ループ16は、ベロア表面14から放射状に外向きに延びる。移植片10は、図1から図3までにおいては、ほぼ円形の管として示される。本発明の1つの態様では、移植片28は、移植片を最初に形成した後は、図5に示されるようなほぼ平たい形状である。このほぼ平たい管状移植片28は、本明細書に記載されるように後で加工されて、移植片10のようなほぼ円形の管状移植片を形成する。平たい管状移植片28のループ30は、外面32の近くにあり、同様にほぼ平たい形状をしている。ループ30は、後で外面32から外向きに起毛されて、起毛ループ16又は26のような起毛ループを形成することができる。
【0013】
起毛ループ16又は26がベロア表面から延びる角度又は長さは、本発明の重要な態様である。起毛ループ16又は26は、組織の内部成長のためのアクセスを与えるばかりでなく、元の位置から乱れた又は変形した後に、外向きに突出した形状に戻るための弾力性を持つ。本明細書で用いられる「弾力性」という用語及びその類の用語は、曲げられること、伸ばされること又は圧縮されること等のように変形された後に元の形状すなわち静止状態に戻るという材料の能力を指す。例えば、移植片10が透析針(図示せず)によってアクセスされるとき、起毛ループ16の幾らかは、針によって静止状態から変化状態に変位されることになる。針を取り除くと、起毛ループ16は、弾力性によって実質的に乱れていない状態すなわち静止状態に戻る。起毛ループ16が変形すると、該起毛ループは、限定するものではないが、静止状態の位置の50から100パーセントまでを表す位置まで戻る。
【0014】
起毛ループ16の弾力性によって、1つには、移植片10が穿孔された後の自己密閉機構が与えられる。望ましくは、外表面から外向きに約1mmから約5mmまで突出するループが本発明において有用である。外向きに0.5mmより短く延びるループは、本発明に係るAVアクセス移植片として有用となるのに充分な弾力性と組織の内部成長のための面積を与えない。例えば、高さの低い、すなわち0.5mm未満のループ長さの移植片が外科手術で移植されてから透析アクセスに使用されるまでには、約2ないし4週間の期間が必要とされる。
【0015】
本発明の高輪郭AVアクセス移植片は、テキスタイル移植片である。このテキスタイル移植片は、織成又は編成移植片であることが望ましい。更に、図4に示されるように、移植片10の管状壁13は、外層18及び内層19を備える。これら両層は、合成糸のテキスタイル層である。これらの層は、透析針(図示せず)で穿孔された後の自己密閉機構をもつ本発明のAVアクセス移植片を与える、弾性合成繊維を持つ。本明細書で用いられる「弾性」という用語及びその類の用語は、変化した状態まで伸ばされた又は圧縮された後に静止状態まで戻るという材料の能力を指す。弾性繊維は、ポリエステル繊維を含むが、これに限定されるものではない。捲縮ポリエステル含有繊維から作られた糸は、切れずに静止状態の長さの105から155パーセントまでといった、かなりの程度まで伸びることができ、さらに、静止状態の長さ、例えば静止状態の長さの70から100パーセントまで実質的に戻る。弾性繊維は、透析針を取り除いた後に乱れていない状態まで戻る弾力性をもち、織成又は編成パターンは、透析針での穿孔中にそれらのパターンを実質的に維持し、透析針を取り除いた後に弾性繊維が乱れていない状態まで戻ることができるようにすることによって、自己密閉機構を更に向上させる。その上、織成又は編成パターン自体も、透析針がAVアクセス移植片を横切るときにパターン内の繊維を動かす際に弾力性を与え、これにより、透析針を取り除いた後に繊維を乱れていない状態まで移動させるように働く張力又は負荷をパターン内に生じさせる。
【0016】
図6は、図1の軸線A−Aに沿って見たベロア表面14の高輪郭織成部分36を示す。織成部分36は移植片10の外層18を形成する。織成部分36は織り交ぜられた縦糸37と横糸38を含む。縦糸37はさらに、織物の上層にあることを表す37aと、織物の下層にあることを表す37bと、多数の横糸38に覆い重なることを表す37cとして示される。縦糸37は、移植片中を縦方向に走り、移植片の幅を定める。横糸38はさらに、上部横糸38a及び下部横糸38bとして示される。横糸は、図6に示されるように縦糸と共に織られる。例えば、横糸シャットル(図示せず)は、選ばれた縦糸37が特定の織成パターンに従って持ち上げられている状態で縦糸37を横切る。
【0017】
縦糸37cは複数の横糸38の上に重なる。図6に示されるように、縦糸37cは7つの横糸の上に重なる。横糸37cは、平たい管状移植片28の外面32のループ30のような外側ループを形成する。縦糸37cは、3本から11本までの横糸の上に重なって、起毛後に約1mmから約5mmまで外向きに延びる外側ループを与えることが望ましい。更に、異なる織成パターンを選択することによって、1つの起毛ループの位置を別の起毛ループの位置に対して変えることができる。綾織又は繻子織パターンは、異なるパターンの外側ループ又はベロアの風合いを与えるのに有用なパターンである。
【0018】
図9及び10は、綾織75と繻子織85をそれぞれ表す。綾織は、規則的な連続又はパターンで1つ又はそれ以上の縦糸の上下にくる横糸をもつ。例えば、綾織75は、図9においては2/2綾織として示される。横糸77aは、縦糸76b及び76cの下にあり、かつ縦糸76d及び76eの上にある。次の横糸、すなわち横糸77bは、縦糸76c及び76dの下にあり、かつ縦糸76e及び76fの上にある。規則的な繰り返しによって、起毛ループを対角線方向に形成することができる。
【0019】
図10は、4/1繻子織として表される繻子織85を示す。繻子織には綾織の明瞭な対角線パターンがない。例えば、横糸87aは、縦糸86a及び86fの上にあり、かつ残りの縦糸86b−86eの下にある。次の横糸、すなわち横糸87bは、縦糸86dの上にあり、かつ残りの縦糸86a−c及び86e−fの下にある。次の横糸、すなわち横糸87cは、縦糸86bの上にあり、かつ残りの縦糸86a及び86c−fの下にある。このようなパターンの場合、起毛ループの対角線パターンは、繻子織では達成されない。
【0020】
図9及び10の織成パターンは、綾織と繻子織を説明するためのものである。これらの図に示されたパターンは、綾織又は繻子織を特定のパターンに限定することを意図したものではなく、綾織及び繻子織のその他のパターンも本発明においては有用である。
管状壁13の内層19も織成パターンとすることができる。図7に平織り40が示されている。縦糸42は、横糸43と織り交ぜられ、上部と下部の間を交互する。このような交互パターンは、滑らかな表面の風合いを持つ内面12を与える。
【0021】
外層18と内層19は、相互に接続されて移植片10の管状壁13を形成する。本発明の1つの態様においては、外層18の織成部分36からの糸は、内層19の平織40からの糸と共に織成される。例えば、図8に示されるように、縦糸39は、織成部分36の横糸38と平織40の横糸43とを互いに結び付ける。縦糸又は横糸はどれでも、2つの織物又は2つの層を互いに接続するのに使用することができる。本発明は、2つの織成部分を結合するために縦糸又は横糸を互いに結び付けることに限定されず、その他の手段も適切に使用することができる。例えば、1つの層をその他の層に結合するために、2つの層の間に接着層(図示せず)を使用してもよい。
【0022】
本発明の縦糸及び横糸として、どんなタイプの編織糸を使用することもできる。本発明の織成プロテーゼを作成するのに特に有用なものは、合成ポリマーのような合成材料である。本発明において使用するのに適している合成糸は、これに限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及びポリテトラフルオロエチレンを含む。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンタイプ又はこれらの組合せから作ることができる。
【0023】
本発明の織成移植片を作成するのに使用される糸は、フラット糸でも、撚り糸でも、かさ高加工された糸でもよいし、これらの組合せでもよい。更に、糸は、高、低、又は中程度の収縮性を持つこともできるし、異なる収縮性の組合せを持つこともできる。更に、糸のタイプと糸のデニールは、多孔性、可撓性及び外側ベロア面の風合いといった、プロテーゼに望ましい特定の性質に見合うように選択することができる。糸のデニールは、糸の線密度(9,000メートルの長さで割ったグラム質量数)を表す。したがって、小さいデニールを持つ糸は非常に細い糸に相当し、より大きなデニール、例えば1000デニールを持つ糸は太い糸に相当する。本発明において使用される糸は、約20から約1000デニールまで、好ましくは約40から約300デニールまでとすることができる。縦糸と横糸は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルであり、最も好ましくは、1層の、50デニール、48フィラメントのフラット及びかさ高加工されたポリエステルである。
【0024】
本発明の移植片は、平織り、バスケット織り、繻子織り、綾織などを含む当業技術分野において周知の織成パターンのいずれかを用いて織ることができ、平織り、繻子織り又は綾織パターンを用いて織られることが好ましい。織成パターンは、1層当たり1インチに約25から260(本数)の縦糸と、1層当たり1インチに約20から90(本数)の横糸を持つことが望ましい。移植片の弛緩された状態の壁厚は、従来の有用な厚さより大きくすべきであるが、約10.0mmより大きくないことが好ましく、より好ましくは、壁厚は約3.0mmから約7.0mmまでである。圧縮されると、圧縮された厚さは弛緩状態の壁厚より小さくなる。
【0025】
上記のように、本発明の管状織物移植片は、ヒートセット処理の間に収縮することができるポリエステルから構成されることが好ましい。例えば、このような移植片は、典型的には管形に平たく織られる。平たく織成する又は平たく編成するプロセスの性質から、管状移植片は、織成され又は編成された後の形状がほぼ平たい。しかしながら、こうした移植片は、収縮可能なポリエステル糸から構成された時には、心棒の上でヒートセットされてほぼ円形をなすことができる。
【0026】
このようなヒートセット処理は、移植片を、ヒートセット又はこれに類似の処理の間に収縮することができる材料で最初にシームのない管形に織ることによって達成される。移植片は、心棒の上に配置される前に予め収縮させることができる。予め収縮させることは、織成移植片を190°Fから400°Fまでのような中程度の温度におくことによって達成することができる。通常、移植片は、予め収縮させるためにある媒体中に置かれる。そのような媒体は、これらに限定しないが、熱水、塩化メチレンのような化学的流体、又は空気や二酸化炭素のような気体を含み得る。しかしながら、本発明の移植片は、このように糸を予め収縮させなくても、適切に作成することができる。
【0027】
移植片が織成された後、もしくは織成されて予め収縮された後に、移植片は、心棒の上に配置され、オーブン中で、該移植片の糸を心棒の形状及び直径までヒートセットすることが可能な温度と時間で加熱される。縦糸及び横糸としてポリエステル糸が使用され、材料に適した時間と温度でヒートセットが達成されることが好ましい。例えば、ヒートセットは、約190から400°Fまでの温度で約1時間より短い時間だけ行うことができる。190から300°Fまでの温度範囲も有効である。望ましくは、約190°Fから約260°Fまでの温度も有効である。望ましくは、約5から約30分までの時間が有用である。より望ましくは、約10から約20分までの時間が有用である。当業技術分野で周知のその他のヒートセット法を用いることもできる。このようにヒートセット処理した後に、移植片をほぼ円形の内腔をもった移植に望ましい形状にすることができる。
【0028】
ヒートセット処理はまた、異なる織成層に使用される糸の収縮性に差異があるときに、ループを移植片の外面から外向きに起毛させる。望ましくは、織成内層の糸の少なくとも幾らかは、織成外層の糸の少なくとも幾らかに比べて、ヒートセットのときにより大きな収縮性を呈するのがよい。また、ループは、移植片を縦方向に圧縮してループを起毛させるというようにループを機械的に起毛させ、次いでその移植片をヒートセットして起毛ループの配向を固定することによっても、ある程度起毛させることができる。
【0029】
本発明の別の態様においては、移植片10は、外層18のための編成上層50と内層19のための編成下層60又は65を含む編布移植片である。編成上層50は、移植片10のベロア表面14のA−A斜視図である図11に示される。編成上層50は、移植片10の上層を形成するシャークスキン・パターンとして示される。編成上層50は、図示されるように、相互に関係のある格子糸51とベロア糸55とを持つ縦編構造である。ベロア糸55は、格子糸51の上に重なって、本発明による外面14のベロアの風合いを形成する。ベロア糸55は、望ましくは約3本から約9本までの格子ループ53の上に重なって、移植片10の起毛ループ16を形成する。本発明の1つの態様においては、ベロア糸55は、約7本の格子ループ53の上に重なる。
【0030】
編成下層60は、図12ではトリコットパターンとして示されている。この編成下層60は、格子糸61とパイル糸63を持ち、内面12の滑らかな内表面を形成する。内層19は、図12に示されるトリコットパターンで編まれていてもよいし、図13に示されるロックニット・パターンで編まれていてもよい。ロックニット・パターン65も、内面12の滑らかな内表面を形成する格子糸67とパイル糸69を持つ。格子ループ62及び68は、それぞれトリコットパターン60及びロックニット・パターン65に一体性を与える。
図14に示されるように、編成上層50からの糸71の幾つかが編成下層60又は65の糸73と織り交ぜられて、移植片10の管状壁13の内層19と外層18が織り交ぜられる。
【0031】
本発明の編成テキスタイル移植片の糸として、どのようなタイプのテキスタイル製品をも使用することができる。本発明の編布プロテーゼを作成するのに特に有用なものは、合成ポリマーのような合成材料である。本発明において使用するのに適している合成糸は、これに限定しないが、PETポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン及びポリテトラフルオロエチレンを含むポリエステルが挙げられる。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンタイプ又はこれらの組合せから作ることができる。糸はまた、フラット糸でも、撚り糸でも、かさ高加工された糸でもよく、高、低、又は中程度の収縮性を持つこともできるし、これらの組合せを持つこともできる。
【0032】
本発明の編成テキスタイル移植片は、ダブルニードルバーを用いる縦編み機(図示せず)で作成されることが望ましい。縦編みに有用なインチ当たりの針の数は、約18本から約36本までである。針はインチ当たり約28本が特に適している。移植片の格子は、通常30から300デニールまでの番手を持つ糸から作られる。格子糸の番手の範囲は、約30から約70までであることが望ましい。特に好適な糸の番手は約40デニールである。格子糸は、単一プライ、2プライ又は多プライにすることができる。本明細書で用いられる「多プライ」という用語は、2プライより多いものを指すのに用いられる。
【0033】
格子の典型的な縦編み方法では、糸は、各々が複数のエンドを保持するスプールである2つの内側ビームから送られる。内側ビームと共に、ループを形成するために2つの外側ビームを使用してもよい。外側ビームの各々も複数のエンドを持つ。しかしながら、内側ビームはループを形成するのに使用され、外側ビームは格子を形成するのに使用されることに注意されたい。どちらのビームが格子に使用され、またどちらのビームがループのために使用されるかに関係なく、かさ高加工されていないフラット糸が一般に格子に用いられ、かさ高加工された糸が一般にループに用いられる。一般に、ループの糸番手は、少なくとも格子の糸番手と同じ位の大きさでなければならない。本発明の編織移植片を作成するのに使用されるビームの最小数は2つである。しかしながら、より多くの数のビームも特定の用途のためには有用となり得る。
起毛ループは、単一プライのマルチフィラメント糸、2プライの糸又は多プライの糸で作成される。ループには多プライの糸が使用されることが望ましい。ループを形成するための糸番手は、約30から約300デニールまでの間にすべきであり、望ましい範囲は約30から約70デニールまでである。ループに特に適した糸番手は約40デニールである。
【0034】
ループが格子から突出する度合いは、ループと格子糸の相対的な送り速度が選択された時に定められ、ループが格子から外向きに突出する度合いの比率が定められる。ループ糸を供給するビームからの糸は、ループが格子から外向きに突出するように、格子の糸より高速で送られる。この速度比は、約1.25:1から約4.5:1までの範囲にある。こうした速度比により、ループ糸長さと格子糸長さの比が1.25から4.50までの間の移植片が与えられる。ループの度合いを制御するために、異なる収縮性を持つ糸を使用することもできる。例えば、編成内層は、編成外層の糸の収縮性と比較して、より高い収縮性を持つ糸を含むことができる。
編成後に、布は、編織移植片の多孔性を制御するために、及びループを移植片表面から外向きに起こして起毛ループ又はベロア編織物を形成するために、前述のように圧縮され、ヒートセットされることが望ましい。
【0035】
本発明の別の態様においては、高輪郭AVアクセス移植片は、動脈から静脈へのバイパスに直接アクセスできるようにする方法を提供するのに使用される。そのような直接的なアクセスを提供する方法は、高輪郭AVアクセス移植片を用意し、動脈と静脈の間の皮下領域の位置にAV移植片を移植し、すなわちトンネル化し、例えば縫合によってAV移植片の一方の端を動脈に及び他方の端を静脈に確実に取り付けることを含む。AV移植片の起毛した外側ループは、AV移植片の外面上に、近傍の脈管間領域に適合する中間容積を形成する。AV移植片の移植すなわちトンネル化の間、AV移植片が動脈と静脈の間に配置される際に、皮下領域に隙間が生じる。起毛した外側ループは、AV移植片を設置することによって生じたどんな隙間をも満たし、これにより組織が内部成長するか又は安定化する前にAV移植片へのアクセスが可能となる。
次の実施例は、本発明のより一層の理解を与えるのに役に立つが、どのような点においても本発明の効果的な適用範囲を限定することを意図するものではない。
【0036】
実施例1 外側ベロアを持つ2プライのソリッド織成移植片
以下の明細は、本発明のソリッド織成プロテーゼを製作するのに使用される。
織物:7本の横糸が外側プライ上に浮くように織られた管状の2プライのソリッド織物。
縦糸:かさ高加工された50デニール/48フィラメントのポリエステル
横糸:1プライ/かさ高加工された50デニール/48フィラメントのポリエステル
インチ当たりの縦糸本数:200
インチ当たりの横糸本数:60
移植片を織成した後に、材料を塩基性の温水(例えば150°F)と洗浄剤の中で洗浄する。その後すすいで洗浄剤を除去する。次に、プロテーゼを最終的な所望の内径の心棒上でヒートセットする。典型的には、心棒の外径は、最終的なプロテーゼの直径に等しい。織成された管は、心棒の上に取り付けられ収縮して正確な直径に適合することができるようにするために、5から15%大きなサイズとなるように織られる。
【0037】
ヒートセットは、蒸気加熱オートクレーブ内で、約250°Fで約5から10分間、又は対流式オーブン内で、約250°F−400°Fで約10から30分間行うことができる。ヒートセットは2段階処理で行うことができる。第1段階は、充分に拡がった状態のプロテーゼを心棒にぴったりと収縮フィットさせるヒートセットに関する。第2のヒートセット段階は、プロテーゼを縦方向に圧縮することを含む。圧縮は、25−50%のオーダーである。次いで、プロテーゼに、第1ヒートセットサイクルと同様の条件を用いて2度目のヒートセットが行われる。
ヒートセットの結果として、縦糸は、縮れ、そして捲縮する。熱が糸をこの幾何学的配列に固着して、「ばねのような」性質に仕上げる。7本の横糸上に浮かんでいる外側層の縦糸が、布から起毛してフィラメント性ベロア面を形成することになる。
外側プライから起毛した縦糸は、ヒートセット後に起毛ループの形状になる。外側プライから延びるループの長さは、約1mmから約5mmまでの長さにわたる。
【0038】
実施例2 外側ベロアを持つ2プライソリッド編成移植片
以下の明細は、本発明のソリッド編成プロテーゼを製作するのに使用される。
前方ガイドバー:4−5/1−0
後方ガイドバー:1−0/4−5
送り比:3:1
後方バー上での糸の収縮度:>20%
前方バー上での糸の収縮度:<5%
糸のタイプ:
前方バー:延伸かさ高加工された40デニールのポリエステル・マルチフィラメント糸。
後方バー:40デニールのフラット糸か又は40デニールのかさ高加工された高収縮マルチフィラメント・ポリエステル糸。
編成した後に、プロテーゼを実施例1のようにヒートセットして、フィラメント性ベロア面を形成する。外面から延びるループの長さは、長さ約1mmから約5mmまで変化する。
【0039】
本発明は上記のように説明されているが、当業者にとって、本発明に多くの変更が可能であることは明らかであろう。そのような変更は、本発明の精神及び範囲から外れるものとみなされるべきではなく、そのような修正のすべては、特許請求範囲の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
縦方向に又は縦糸方向に延びる外側輪郭をもつ本発明の高輪郭布移植片の斜視図である。
【図2】
周方向に又は横糸方向に延びる外側輪郭をもつ本発明の高輪郭布移植片の第2の実施形態の斜視図である。
【図3】
軸線3−3に沿って見た図1の布移植片の断面図である。
【図4】
本発明の高輪郭布移植片の管壁の部分断面図であり、壁の内側部分と外側部分を示す。
【図5】
本発明の平らに織られた又は平らに編まれた布移植片の断面図である。
【図6】
本発明の高輪郭布移植片の外側部分の織成パターンの斜視図である。
【図7】
本発明の高輪郭布移植片の内側部分の織成パターンの斜視図である。
【図8】
移植片壁の外側部分と内側部分の間に織り交ぜられた糸をもつ織成パターンの部分断面図である。
【図9】
綾織を示す図である。
【図10】
繻子織を示す図である。
【図11】
本発明の高輪郭布移植片の外側部分の編成パターンの斜視図である。
【図12】
本発明の高輪郭布移植片の内側部分の編成パターンの斜視図である。
【図13】
本発明の高輪郭布移植片の内側部分の別の編成パターンの斜視図である。
【図14】
移植片壁の外側部分と内側部分の間に織り交ぜられた糸をもつ編成パターンの部分断面図である。
Claims (28)
- 合成布管状脈管移植片であって、
滑らかな内面と反対側の外面とを形成するように織り交ぜられた糸のパターンをもつ管状の第1布層と、
外表面を形成するように織り交ぜられ、前記第1布層の前記パターンとは異なる糸のパターンをもち、かつ前記外表面の上にループ状に起こされて、起毛した又はベロアの風合いをなす糸のフィラメントをもつ管状の第2布層と、
を備え、
前記ループは、前記外表面から約1mmから約5mmまでの長さに延び、前記第1布層からの少なくとも1つの糸が前記第2布層の糸と織り交ぜられて、前記第2布層が前記第1布層に固定されたことを特徴とする移植片。 - 前記第1及び第2布層の前記糸が、流体密な静止状態をもち、前記糸は、穿孔された変化状態から前記静止状態へと復元可能に移動して、そこに自己密閉機構を与えることができる弾性合成繊維であることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記第1層のパターンと前記第2層のパターンが、流体密な静止状態をもち、前記パターンは、穿孔された変化状態から前記静止状態へと復元可能に移動して、そこに自己密閉機構を与えることができる弾力性をもつことを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記起毛した外側ループが、前記移植片の穿孔後に自己閉鎖機構を与える弾力性をもつことを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記糸が縦糸と横糸を含み、前記縦糸と前記横糸が織成されて、前記第1及び第2布層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記第1布層の前記縦糸と前記横糸が平織パターンで織成され、前記第2布層の前記縦糸と前記横糸が綾織又は繻子織パターンで織成されることを特徴とする請求項5に記載の移植片。
- 前記ループが縦糸であり、前記ループの前記縦糸の各々が5から9本までの横糸の上に重なることを特徴とする請求項6に記載の移植片。
- 前記糸が、パイル糸、格子糸及びベロア糸を含み、前記パイル糸と前記格子糸が編成されて前記第1布層が形成され、前記ベロア糸と前記格子糸が編成されて前記第2布層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記第1布層の前記パイル糸と前記格子糸が、トリコット又はロックニット・パターンで編成され、前記第2布層の前記ベロア糸と前記格子糸が、シャークスキン・パターンで編成されることを特徴とする請求項8に記載の移植片。
- 前記ループが前記ベロア糸であり、前記ループを形成する前記ベロア糸の各々が5から9本までの格子糸の上に重なることを特徴とする請求項9に記載の移植片。
- 前記糸が、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、スパンタイプ糸、フラット糸、撚り糸、かさ高加工された糸、及びこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記糸が、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、又はこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記ポリエステルが、ポリエチレン・テレフタレート・ポリエステルを含むことを特徴とする請求項12に記載の移植片。
- 前記糸が単一プライ又は多プライの糸であることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記第1布層の糸は、ヒートセットされたとき第1熱収縮特性をもち、前記第2布層の糸は、ヒートセットされたとき第2熱収縮特性をもち、前記第2熱収縮特性は前記第1熱収縮特性より大きいことを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記移植片は動静脈アクセス移植片であることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 前記動静脈アクセス移植片は、移植後にアクセスのために1週間以内で安定化されることを特徴とする請求項16に記載の移植片。
- 前記ループが、近傍の脈管間領域に適合する中間容積を形成し、前記移植片が安定化する前に前記移植片へのアクセスを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の移植片。
- 動脈と静脈とのバイパスへの直接的なアクセスを与える方法であって、
a.i.滑らかな内面と反対側の外面を形成するように織り交ぜられた糸のパターンをもつ管状の第1布層と、
ii.外表面を形成するように織り交ぜられ、前記第1層の前記パターンとは異なる糸のパターンをもち、前記外表面上にループ状に起こされて、起毛した又はベロアの風合いをなす糸のフィラメントをもつ管状の第2布層と、
を備え、
前記ループが約1mmから約5mmまでの長さに前記外表面から延び、前記第1布層からの少なくとも1つの糸が前記第2布層の糸と織り交ぜられて、前記第2布層が前記第1布層に固定された、高輪郭AVアクセス移植片を用意すること、
b.動脈と静脈の間の位置に前記AV移植片を皮下移植するか、又はトンネル状にすること、
c.前記AV移植片の一方の端を動脈に、他方の端を静脈に固定的に取り付けること、
からなり、
前記ループが、前記AV移植片の外表面上に、近傍の脈管間領域に適合する中間容積を形成し、前記AV移植片が安定化する前に前記AV移植片へのアクセスを可能にすることを特徴とする方法。 - 高輪郭AVアクセス移植片を製造するプロセスであって、
滑らかな内面と反対側の外面とをもつ管状の第1布層を形成することができる糸の第1パターンを選択すること、
起毛した又はベロアの風合いをもつ外表面を備える管状の第2布層を形成することができ、前記第1パターンとは異なる糸の第2パターンを選択すること、
付随して、移植片を形成するための前記第1及び第2布層のパターンを形成するように糸を織り交ぜらせること、
前記第1布層からの少なくとも1つの糸を、前記第2布層の糸と織り交ぜらせることによって、前記第2布層を前記第1布層に固定的に取り付けること、
前記外表面上にループ状に起こされて前記起毛した又はベロアの風合いをなす糸のフィラメントを形成すること、
前記ループを約1mmから約5mmまでの長さだけ前記外表面から延びるようにすること、
からなることを特徴とするプロセス。 - 前記糸が縦糸と横糸を含み、前記織り交ぜらせることが、前記縦糸と前記横糸を織成して前記第1及び第2布層を形成することを含むことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
- 前記第1布層の前記縦糸と前記横糸が平織パターンで織成され、前記第2布層の前記縦糸と前記横糸が綾織又は繻子織パターンで織成されることを特徴とする請求項21に記載のプロセス。
- 前記ループが縦糸であり、前記ループの前記縦糸の各々が5本から9本までの横糸の上に重なることを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
- 前記糸が、パイル糸、格子糸及びベロア糸を含み、前記パイル糸と前記格子糸が編成されて前記第1布層が形成され、前記ベロア糸と前記格子糸が編成されて前記第2布層が形成されることを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
- 前記第1布層の前記パイル糸と前記格子糸が、トリコット又はロックニット・パターンで編成され、前記第2布層の前記ベロア糸と前記格子糸が、シャークスキン・パターンで編成されることを特徴とする請求項24に記載のプロセス。
- 前記ループが前記ベロア糸であり、前記ループを形成する前記ベロア糸の各々が5本から9本までの格子糸の上に重なることを特徴とする請求項25に記載のプロセス。
- 前記ループを延ばすことがさらに、前記移植片を縦方向に圧縮して前記ループを前記外表面から外向きに起毛させ、前記移植片をヒートセットして前記ループを固定させ、前記起毛した又はベロアの風合いを与えることを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
- 前記ループを延びるようにすることがさらに、前記移植片をヒートセットして前記ループを前記外表面から外向きに起毛させ、前記ループを固定して前記起毛した又はベロアの風合いを与えることを含むことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
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