JP2004525429A - 電子透かしの埋め込み - Google Patents
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Abstract
音声信号などの情報信号x(n)に電子透かしを埋め込む方法が開示されている。この方法は、解析窓関数列(ha(n))を用いて、情報信号を重複するフレーム(xs(n))に分割する工程と、重複するフレームに対応する電子透かしセグメント(ws’(n))を計算する工程と、解析窓と相補的な形状を有する再構築窓(hr(n))を用い電子透かしセグメントから電子透かし信号(w’(n))を再構築する工程と、電子透かし信号を音声信号に重畳する工程とから構成される。解析窓と再構築窓を所定の相補的条件を満たす原型窓に基づいて構築することができる。また、解析窓と再構築窓を情報信号の内容に適合して構成することができる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号に電子透かしの埋め込みに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタル・マルチメデイア・データが広く使用されつつあり、これに伴い、ディジタル・マルチメデイア・データについて、不正複製の防止、著作権の保護、並びに所有者の個人認証に対する要求が高まってきた。
【0003】
ディジタル電子透かし技術は新しい技術であり、様々な目的に用いることができる。例えば、著作権所有者の証明、不正複製の追跡、複製装置の制限、放送の監視、信頼性検証、及びマルチメデイア信号に補助情報を追加することなどができる。
【0004】
電子透かしは、信号サンプルに僅かな変更を加えることで、信号に埋め込んだラベルである。電子透かしの埋め込みに関しては、電子透かしを感知できないように信号に組み込むことが望ましい、即ち、電子透かしは、信号の質に対して感知できるほどの影響を与えないように設計され、信号に埋め込まれる。一方、多くの応用において、電子透かしが頑丈でなければならない、即ち、適切な信号処理の後であっても、電子透かしが信頼性よく検出できなければならない。
【0005】
静止画像とビデオについて、多くの電子透かしのスキームが公表されているものの、音声信号の電子透かしに関する文献は比較的に少ない。公表された技術の殆どがエコー・ハイディング(echo-hiding)と雑音付加(noise addition)の方法を用いており、人間の聴覚システムの時間的又はスペクトル的なマスキング効果を利用している。
【0006】
例えば、次のように電子透かしを信号に埋め込むことができる。即ち、矩形窓関数を用いて、対象となる信号を複数のフレームに分割し(信号のセグメント化)、次に、各フレームをフーリエ変換して、得られた各フレームのフーリエ成分(フーリエ係数)を僅かながら変更し、該変更された係数に対して逆フーリエ変換を行い、そして、時間ドメインにおける電子透かしを埋め込んだ信号(電子透かし信号)が得られる。最後に、得られた電子透かし信号をスケーリングし、対象となる元の信号に重畳する。
【0007】
しかし、信号のセグメント化処理は、フレームの境界において人為的な信号成分が生じる問題を伴う。音声信号の場合は、このような人為的な成分がカチッカチッのような音として聴者に聞き取られる。
【0008】
また、信号のセグメント化処理の他の不利点としては、信号のセグメント化により、電子透かしの検出が電子透かしの埋め込みと検出の際のフレームの同期性に影響されやすくなる。電子透かしの埋め込みと検出のアルゴリズムでそれぞれ定義されたフレームの位相が一致しなければ、電子透かし検出の性能が低下する。
【0009】
Ryuki Tachibana等による文献「時間及び周波数の変動に対するロバスト性の高い音声電子透かし方法」、電子映像化国際会議「マルチメディア・コンテンツの安全性及び電子透かし(3)(EI27)」会報, 米国サンノゼ、2001年1月21日−26日(“An audio watermarking method robust against time- and frequency-fluctuation”by Ryuki Tachibana et al, in proceedings of the conference on Electronic Imaging, “Security and Watermarking of Multimedia Contents III (EI27)”, San Jose, USA, 21-26 January 2001)において、信号の時間対周波数の平面における窓(window)及び重複するフレームを用いた音声信号の電子透かしアルゴリズムが開示されている。このアルゴリズムでは、信号のセグメント化と再構築処理において用いられる各々のフレームにおいて、隣接するフレームは窓の半分程度で重複している。
【0010】
しかし、以上の従来の方法において、窓が重複する場合も含めて、信号のセグメント化及び再構築処理がセグメントの境界で人為的な信号成分を生じる問題がある。これらの人為的な信号成分が感知できる程の音声の変形を生じる。例えば、フレームの境界において人為的なブロッキングが発生し、これにより、信号振幅の不連続性が起き、望ましくない音声の変形として人間の聴覚システムに感知される。以降、“セグメント”は“フレーム”とも称される。
【0011】
[発明の目的]
本発明の目的は、以上の従来技術の問題点を解決する電子透かし埋め込み方法を提供する。
【0012】
[発明の概要]
本発明の電子透かし埋め込み方法は、情報信号に電子透かしを埋め込む方法であって、セグメント化窓関数列を前記情報信号に加え、前記情報信号の第一のセグメント列を生成する工程であり、各々の前記セグメント化窓関数が所定の窓長と所定の形状を有し、連続する二つの前記セグメント化窓関数が所定の長さで重複するところの工程、前記第一のセグメント列における少なくとも第一のセグメントに所定の電子透かしを埋め込み、電子透かしセグメント列を生成する工程、再構築窓関数を用い、前記電子透かしセグメント列における各電子透かしセグメントを結合し、電子透かし信号を生成する工程であり、各々の前記再構築窓関数は、対応する前記セグメント化窓関数の形状と相補的な形状を有する、ところの工程、及び前記電子透かし信号と前記情報信号とを結合し、電子透かし情報信号を生成する工程を備えている。
【0013】
以上の本発明の電子透かし埋め込み方法により、セグメント化窓と再構築窓の形状を個別に選択するので、相互の効果を補足するようにそれぞれの形状を適合させることができる。これによって、セグメント化と再構築処理において発生する全体的な変形を低減する。
【0014】
以上の本発明の電子透かし埋め込み方法は、人為的な効果、例えば、信号フレームの境界において生じるブロッキング効果を低減することができる利点を有し、電子透かしの非感知性を高めることができる。
【0015】
以上の本発明の電子透かし埋め込み方法は、電子透かし検出アルゴリズムの検出性能を高める利点を有する。
【0016】
さらに、上記の本発明の電子透かしの埋め込み方法によれば、信号処理操作に対してロバスト性の高い電子透かしを生成することができる。即ち、当該情報信号について信号処理操作が行われた後であっても、当該情報信号から電子透かしを信頼性よく検出することができる。音声信号の場合は、例えば、圧縮、トリミング、D/A又はA/D変換、均等化、時間スケーリング、グループ遅延歪み、フィルタリング、又は、サンプルの除去と挿入などの信号処理操作がある。
【0017】
セグメント化窓関数と再構築窓関数が所定の相補的条件を満たしている場合は、一対の相補的な窓関数を構成することができる。適切な相補的条件を指定するために、電子透かし又は電子透かしアルゴリズムの所定の特性を利用することができる。これにより、フレーム境界で起きるアルゴリズムに関連する変形を低減することができる。
【0018】
好適には、セグメント化窓関数及び再構築窓関数は、原型窓関数により構成され、セグメント化窓関数及び再構築窓関数の形状が少なくとも一つの形状パラメータにより決められる。
【0019】
これにより、上記の相補的条件を満たしながら、窓関数の形状をこの形状パラメータによって適合させることができ、従って、調整可能なパラメータを変えることにより、セグメント化及び再構築の特性を最適化することができ、与えられた電子透かし応用に対して窓関数を適合させることは容易となる。
【0020】
もう一つの調整可能なパラメータは、連続する二つのセグメント化窓関数が重なった部分の長さである。連続する二つのセグメント化窓関数の重複の度合いは、完全重複から重複しないまで変化する。
【0021】
さらに好適に、少なくとも第一のセグメント化窓関数及び第一の再構築窓関数のそれぞれの形状が、情報信号に応じて適合される。
【0022】
これにより、形状の異なる窓関数の間に窓関数を適応的に切り替えることができる。例えば、音声信号において過渡部分が存在する箇所に長いフレームと短いフレームを切り替えることができる。そのため、情報信号の過渡部分により生じる変形の影響を低減することができる。
【0023】
本発明はさらに電子透かしを埋め込む装置、このような電子透かしを埋め込む装置を含み、情報信号を送信する送信装置、電子透かしを埋め込んだ信号、前記信号を記録した記録媒体、及び電子透かしを検出する装置を提供する。本発明のこれらの観点は、独立請求項によって開示されている。本発明のこれらの観点の効果と特徴が前述した本発明の電子透かし埋め込み方法と同様であるので、以降には、重複する説明を省略する。
【0024】
[好ましい実施例の詳細な説明]
次に、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0025】
図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図である。
【0026】
図1(a)に示す電子透かし埋め込み装置は、例えば、ディジタル音声信号からなる入力信号x(n)とシフト可能なセグメント化窓(以降、解析窓と呼ぶ)ha(n)とを乗算し、音声信号x(n)を複数のセグメントに分割する分割回路101を備えている。得られたセグメントを、セグメント番号sを用いて次のように表す。
【0027】
【数1】
ここで、Nは窓関数の長さ(セグメントのサイズ)である。セグメントのサイズNは電子透かしの検出性能と音声信号の可聴度を考慮して決められる。検出のロバスト性を高めるには、大きいセグメント・サイズが必要であり、逆に、電子透かしの埋め込みを音声信号の局所的な特性と適応しやすいためには、小さいセグメント・サイズが必要となる。例えば、Nは2048サンプルにする。
【0028】
本発明により、隣接するセグメントのセグメント・サイズNの一部(ν)を重複させる。ここで、ν∈[0;1]とする。ν=0の場合は、例えば、隣接するセグメントが重複しない場合に対応し、ν=0.5の場合は、隣接するセグメントがセグメント・サイズNの半分重なる場合に対応する。νが小さい場合は、νが大きい場合より計算の複雑さが低い。解析窓ha(n)の形状は、後ほど図3(a)−(e)を参照して説明する。
【0029】
得られたセグメントxs(n)は、電子透かし計算モジュール102に入力され、電子透かし計算モジュール102において、各セグメントの電子透かしws’(n)が計算される。電子透かし計算モジュール102において実行される電子透かしの生成方法として、任意周知の電子透かしの生成方法を用いても良い。好ましくは、人間の聴覚システムの知覚モデルに従って、電子透かしに重み係数を掛ける。図1(b)において、好ましい電子透かしの生成方法が説明される。
【0030】
続いて、電子透かしws’(n)が再構築回路103に入力され、再構築回路103において、最終的な電子透かしw’(n)が生成される。ここで、最終的な電子透かしw’(n)は、次の式に示すように、各セグメントの電子透かしws’(n)とシフト可能な再構築窓関数hr(n)との乗算の和として生成される。
【0031】
【数2】
本発明により、再構築窓関数の形状が解析窓の効果を補足するように選択され、セグメント化と再構築処理において発生する変形を低減する。
【0032】
最後に、加算回路104において、電子透かしw’(n)は元の音声信号x(n)に重畳され、これにより、電子透かしが埋め込まれた音声信号y(n) = x(n) + w’(n)が生成される。或は、他の演算関数を用い、音声信号x(n)と電子透かしw’(n)を合成しても良い、例えば、減算、又は、1ビット音声フォーマットの場合は、排他的論理和(XOR:exclusive OR)などを用いてもよい。
【0033】
次の電子透かしの検出において、例えば、SPOMF(Symmetrical Phase Only Matched Filtering)手法を用いることができる。SPOMFにおける検出アルゴリズムには、解析対象となる信号をセグメント化する処理は行われる。
【0034】
図1(b)は、図1(a)に示す電子透かし計算モジュール102の一例を概略的に示すブロック図である。
【0035】
電子透かし計算モジュール102は、信号セグメントxs(n)をフーリエ・ドメインに変換し、一列のフーリエ係数x’s(k)を生成する高速フーリエ変換回路105を備えている。サイズがNとなるセグメントについて、高速フーリエ変換回路105がN個のフーリエ係数を生成する。なお、信号セグメントxs(n)のフーリエ変換を計算する方法として、以上に説明と異なる方法を用いても良い。なお、信号サンプルをフーリエ変換によりフーリエ・ドメインに変換する以外に、信号セグメントを他のドメインに変換する方法を用いても良い。このような変換方法として、例えば、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transformation)、又は、ウエーブレット変換(wavelet transform)などがある。
【0036】
電子透かし計算モジュール102は、さらに、電子透かしサンプルw(k)の形式で、秘密電子透かしWを記録した記録媒体109を備えている。好ましくは、記録媒体109は、読み出し専用メモリであり、他人から読み出すことができないようになっている。又は/更に、記録媒体109は次のような記録デバイスを含んでも良い、具体的に、磁気テープ、光ディスク、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、コンパクト・ディスク(CD、又は、CD−ROM)、ミニ・ディスク、ハード・ディスク、フロッピ・ディスク、強誘電体メモリ、EEPROM(電気的消去・プログラム可能型読取専用メモリ)、フラッシュ・メモリ、EPROM(消去・プログラム可能型読取専用メモリ)、ROM(読取専用メモリ)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、SDRAM(同期ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、強磁性体メモリ、光学記録媒体、電荷結合デバイス(CCD)、スマート・カード、などがある。
【0037】
また、好ましくは、電子透かしサンプルw(k)は、たとえば、平均値がゼロ、平方偏差が1となる正規分布からサンプリングされたノイズ・パターンからなる。乗算器106において、電子透かしサンプルw(k)がフーリエ係数x’s(k)と乗算され、電子透かしサンプルws(k)が生成される(ws(k)=w(k)・x’s(k))。
【0038】
続いて、電子透かしサンプルws(k)が逆フーリエ変換回路107に入力され、係数列ws(k)が時間ドメインに逆変換され、電子透かしセグメントが生成される。
【0039】
乗算回路108において、電子透かしセグメントがグローバルなスケーリング・ファクタαと乗算され、電子透かしw’(n)が生成される。このスケーリング・ファクタαが電子透かしの検出ロバスト性と音声信号の可聴度を考慮して決められる。
【0040】
図2は、本発明の一の実施形態に係る電子透かし埋め込み方法を概略的に示すブロック図である。この方法は、例えば、図1(a)と(b)において説明された電子透かし埋め込み装置により実行される。
【0041】
図2に示す電子透かし埋め込み方法による処理は、ステップ201から開始される。ステップ201において、記録媒体202に記録されたシフト可能な解析窓によって、例えば、ディジタル音声信号からなる入力信号x(n)が複数のセグメントに分割される(セグメント化)。次のステップ203aからステップ203bまでの反復処理において、当該生成された信号セグメントが処理されるので、この反復処理にセグメント・インデックスsを付けることにする。各セグメントは高速フーリエ変換により変換され(ステップ204)。ステップ205において、得られたフーリエ係数は、記録媒体206に記録されたスケールされた電子透かし列w(k)と乗算される。ステップ207において、この変更された係数列は逆フーリエ変換によって時間ドメインに逆変換され、これによって、変更された信号セグメントが生成される。次の再構築ステップ208において、記録媒体209に記録された一セットの再構築窓により、この変更された信号セグメントは再構築され、電子透かしの埋め込んだ信号が生成される。
以上に説明したように、隣接する窓の重複、及び解析窓と再構築窓の形式は個別に選択できる。解析窓と再構築窓の選択は具体的な応用による。図3(a)−(e)は本発明に係る窓関数の具体例を示す。
【0042】
重複するセグメントから導出される電子透かし信号のセグメントが互いに相関する場合に、感知できる程の変形を生じさせる振幅不連続性がセグメント境界で起きることを避けるために、信号の振幅を保存する窓関数を用いることは有利であることが分かっている。信号振幅の保存は、次の式で示された振幅相補条件(amplitude complementary condition)を満たす解析窓と再構築窓を用いることによって達成できる。
【0043】
【数3】
ここで、sはセグメント・インデックスであり、νは重複パラメータであり、Nはセグメント・サイズである。
【0044】
以上の条件を満たす窓関数haとhrは、例えば、次の式に示すように、所定の原型窓関数hp(n)から構成される。
【0045】
【数4】
ここで、βは0から1の間に定義された窓形状パラメータであり、即ち、β∈[0;1]。Σs hp[n−s(1−ν)・N]=1であるとなるように、hp(n)は規格化されている。例えば、β=0とβ=1の場合は、解析窓と再構築窓はそれぞれ矩形である。信号処理の一般的な技術において、矩形の解析窓は、高速フーリエ変換において、窓の境界で変形を生じることが知られており、この変形は漏れと呼ばれている。即ち、FFTによる電子透かしのアルゴリズムにおいて、矩形の解析窓が漏れを生じる。
【0046】
一方、矩形の再構築窓は、セグメント境界において、振幅不連続性及び感知できる程の変形を生じる。従って、窓形状パラメータβは、FFTにおける漏れにより生じる変形と再構築により生じる変形両方を考慮して決められる。従って、以上の構成方法は、所定の電子透かしの応用において、十分許容できる結果を得るように解析窓と再構築窓の形状を調整するチャンスを与える。
【0047】
図3(a)−(e)に示すように、原型窓関数の一例として、次に示すいわゆるハニング(Hanning)窓関数がある。
【0048】
【数5】
なお、他の原型窓関数を用いても良い、例えば、バルレット(Barlett)窓関数、ハミング(Hamming)窓関数、或はケーサ(Kaiser)窓関数など周知の窓関数を用いることができる。
【0049】
図3(a)−(e)は、N=2048、ν=0.5のハニング窓関数に基づいて構築された解析窓301−305及び再構築窓306−310をそれぞれ示す。
【0050】
図3(a)の例において、連続する三つの解析窓301a、301b、301c、及び、対応する再構築窓306a、306b、306cが示されており、それぞれの中心窓301bと306bが点線で示されている。窓列301a、301b、301c及び306a、306b、306cが窓形状パラメータβ=0の場合に対応する、即ち、再構築窓306a、306b、306cが矩形である。
【0051】
図3(b)の例において、窓形状パラメータβ=0.25の場合の解析窓列302及び対応する再構築窓列307が示されている。
【0052】
図3(c)の例において、窓形状パラメータβ=0.5の場合の解析窓列303及び対応する再構築窓列308が示されている。ここで、窓形状パラメータβ=0.5であるので、解析窓列303と再構築窓列307が同じ形状となっている。
【0053】
図3(d)は、窓形状パラメータβ=0.75の場合の解析窓列304及び対応する再構築窓列309が示されており、図3(e)は、窓形状パラメータβ=1の場合の解析窓列305及び対応する再構築窓列310が示されている。
【0054】
図4(a)−(e)は、N=2048のハニング窓関数に基づいて構築された解析窓401−405及び再構築窓406−410をそれぞれ示す。図4(a)−(e)の窓形状パラメータβの値は、それぞれ図3(a)−(e)と同じ値であり、ただし、重複パラメータν=0.25となっている。図4(a)−(e)と図3(a)−(e)を比較すれば、重複パラメータνの効果が明らかになる。即ち、重複パラメータνが小さい場合の窓401−410が、対応する図3(a)−(e)の窓301−310より矩形に近い形状になっている。これは上述した原型窓関数の規格化に起因する、即ち、重複しない領域において、窓関数のサンプル値が1にスケールされる。以上の値の他、重複パラメータνがν=2−mとすることができる、ここで、例えば、m=4或は5。
【0055】
なお、上述した振幅相補条件と異なる制約を解析窓と再構築窓に加えることができる。例えば、信号セグメントに対応する、変換に基づく電子透かしアルゴリズムにより導出された音声電子透かしが相関しない場合、例えば、音声信号に依存しないノイズ信号の場合は、異なる制約を解析窓と再構築窓に加えることは有効な措置である。非相関の信号を用いた再構築処理において、パワー不連続性がセグメント境界において起きることを避けるために、信号のパワーを保存することは有効である。これは。例えば、電子透かしは、パワーが音声信号のパワーに依存するノイズ・シーケンスを用いて定義された場合に当たる。パワー保存条件を満たすことにより、解析窓と再構築窓に加える次のような制約条件が得られる。
【0056】
【数6】
振幅相補条件の場合と同じように、解析窓と再構築窓を原型窓関数hp(n)に基づき形状パラメータβを用い構成することができる。例えば、一例として、原型窓関数hp(n)=sin(πn/N)となる。
【0057】
図5を参照すれば、本発明により、窓関数の長さを情報信号のコンテンツに従って適合させることができる。例えば、セグメント化処理において、音声信号に過渡部分が存在する箇所に、二以上の異なるセグメント長を有する窓関数を切り替えることができる。前述したように、窓関数を相補的条件を満たすように選択することができ、また、窓関数を原型窓に基づいて構成することができる。
【0058】
図5は、このように窓関数を適応的に切り替える例を示す図であり、図3(a)と(b)に示すハニング原型窓関数に基づき、形状パラメータβ=1、重複パラメータν=0.5の場合の複数の連続窓関数のグラフを示す。
【0059】
この例において、サンプル番号4096付近に過渡部分が存在する。該過渡部の前に、窓501a、501bの窓サイズNL=2048であり、窓503a、503b、503cの窓サイズNS=1024であり、即ち、窓サイズはNLからNSに切り替えられる。該過渡部の後に、窓サイズは、再び窓503a、503b、503cの窓サイズNS=1024から窓501c、501dのNL=2048に切り替えられる。
【0060】
振幅相補条件を満たすために、大きい窓と小さい窓との間の切り替えを、移行窓502aと502bを介して行う。図5において、この移行窓502aと502bは点線で示されている。適応的に窓を切り替えることは、信号の過渡箇所付近に生じる感知できる変形による影響を低減することに有効である。過渡箇所付近に、フレーム長を短くしたので、より短い周期に亘って変形が分散されるので、変形の可聴度を低減する。
【0061】
また、形状パラメータβ及び重複パラメータνを情報信号のコンテンツに応じて適合させることもできる。
【0062】
図6は、本発明の第二の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図である。この電子透かし埋め込み装置は上述した適応的な窓切り替えに関連して使用することができる。
【0063】
図6に示す電子透かし埋め込み装置は、入力音声信号x(n)を解析する解析回路601を備えている。この解析に基づいて、解析回路601は、電子透かし埋め込み装置のセグメント化回路603と再構築回路605に入力する適切な窓パラメータPを計算する。セグメント化回路603は、これらのパラメータを使用して、音声信号のセグメント化用の窓関数を選択する。この音声信号は遅延回路602を介してセグメント化回路603に入力され、信号x(n)を事前分析することに使った時間を補償する。
【0064】
電子透かし計算モジュール604により対応する電子透かしセグメントが生成された後に、対応する再構築回路605は、電子透かしセグメントから、解析に用いられた窓関数に対応する窓関数を用い、電子透かし信号を再構築する。最後に、加算回路607において、電子透かしは遅延された音声信号に重畳され、これにより、電子透かしが埋め込まれた音声信号y(n)が生成される。
【0065】
なお、適応的に窓を切り替える方法の適用自体は、文献”重複ブロック変換及び適応的な窓関数による音声信号の符号化”(Coding of Audio Signals with Overlapping Block Transform and Adaptive Window Functions), Bernd Edler、Frequenz, 43(1998)9、により周知されている。この文献において、上記の手法は、例えば、音声信号のビットレートを抑えるために、より短い周期に亘って、プレイ・エコー(pre-echo)などのような感知可能な変形を分散するための音声符号化に用いられていた。しかし、以上の従来の方法は、セグメント化処理と再構築処理において同じ窓関数を使用し、変換された信号から再構築された信号が元の信号の同一性を保つために、窓関数は所定の対称性条件を満たすことが必要である。これに対して、本発明による方法は、このような対称性条件を必要とせず、その代わりに、相補的な窓関数を使用し、電子透かしの埋め込み処理の際に生じた変形を最小にする。
【0066】
また、主に音声信号を例にして本発明を説明したが、本発明は音声信号に限定されず、例えば、マルチ・メディア信号、ビデオ信号、動画、画像、静止画などの信号にも適用できる。
【0067】
また、以上の本発明による電子透かし埋め込み装置の機能は、例えば、プログラム可能なマイクロ・プロセッサ、アプリケーション専用の集積回路、一般的な集積回路、スマート・カード、その他任意の処理ユニットを用いて実現することができる。
また、以上に説明した実施形態は、本発明の実施の形態の例であり、添付した本発明の特許請求の範囲を逸脱せずに、当業者により種々の変更を加えることが可能である。また、本発明が、異なる要素からなるハード・ウエアにより実施されても良く、或は、コンピュータでプログラムを実行して実施しても良い。
【0068】
複数の手段が列挙された装置に関する請求項において、幾つかの手段の動作は、一つのハード・ウエア、或は、ハード・ウエアの同じの要素により実施されることがある。また、異なる従属請求項に異なる手段が列挙されている場合は、有利な効果を生ずる限り、これらの手段を組み合わせて用いることができると解すべきである。
[発明の効果]
以上、本発明は、音声信号などの情報信号x(n)に電子透かしを埋め込む方法を開示している。この方法は、一列の解析窓関数(ha(n))を用いて、情報信号を重複するフレーム(xs(n))に分割する工程と、重複するフレームに対応する電子透かしセグメント(ws’(n))を計算する工程と、解析窓と相補的な形状を有する再構築窓(hr(n))を用い電子透かしセグメントから電子透かし信号(w’(n))を再構築する工程と、電子透かし信号を元の情報信号に重畳する工程とから構成される。解析窓と再構築窓を所定の相補的条件を満たす原型窓に基づいて構築することができる。また、解析窓と再構築窓を情報信号の内容に適合して構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図であり、(b)は、(a)に示す電子透かし計算モジュール102の一例を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一の実施形態に係る電子透かし埋め込み方法を概略的に示すブロック図である。
【図3】(a)から(e)は、重複度ν=0.5の窓関数の例を示す図である。
【図4】(a)から(e)は、重複度ν=0.25の窓関数の例を示す図である。
【図5】窓関数を適応的に切り替える例を示す図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図である。
【0001】
本発明は、信号に電子透かしの埋め込みに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタル・マルチメデイア・データが広く使用されつつあり、これに伴い、ディジタル・マルチメデイア・データについて、不正複製の防止、著作権の保護、並びに所有者の個人認証に対する要求が高まってきた。
【0003】
ディジタル電子透かし技術は新しい技術であり、様々な目的に用いることができる。例えば、著作権所有者の証明、不正複製の追跡、複製装置の制限、放送の監視、信頼性検証、及びマルチメデイア信号に補助情報を追加することなどができる。
【0004】
電子透かしは、信号サンプルに僅かな変更を加えることで、信号に埋め込んだラベルである。電子透かしの埋め込みに関しては、電子透かしを感知できないように信号に組み込むことが望ましい、即ち、電子透かしは、信号の質に対して感知できるほどの影響を与えないように設計され、信号に埋め込まれる。一方、多くの応用において、電子透かしが頑丈でなければならない、即ち、適切な信号処理の後であっても、電子透かしが信頼性よく検出できなければならない。
【0005】
静止画像とビデオについて、多くの電子透かしのスキームが公表されているものの、音声信号の電子透かしに関する文献は比較的に少ない。公表された技術の殆どがエコー・ハイディング(echo-hiding)と雑音付加(noise addition)の方法を用いており、人間の聴覚システムの時間的又はスペクトル的なマスキング効果を利用している。
【0006】
例えば、次のように電子透かしを信号に埋め込むことができる。即ち、矩形窓関数を用いて、対象となる信号を複数のフレームに分割し(信号のセグメント化)、次に、各フレームをフーリエ変換して、得られた各フレームのフーリエ成分(フーリエ係数)を僅かながら変更し、該変更された係数に対して逆フーリエ変換を行い、そして、時間ドメインにおける電子透かしを埋め込んだ信号(電子透かし信号)が得られる。最後に、得られた電子透かし信号をスケーリングし、対象となる元の信号に重畳する。
【0007】
しかし、信号のセグメント化処理は、フレームの境界において人為的な信号成分が生じる問題を伴う。音声信号の場合は、このような人為的な成分がカチッカチッのような音として聴者に聞き取られる。
【0008】
また、信号のセグメント化処理の他の不利点としては、信号のセグメント化により、電子透かしの検出が電子透かしの埋め込みと検出の際のフレームの同期性に影響されやすくなる。電子透かしの埋め込みと検出のアルゴリズムでそれぞれ定義されたフレームの位相が一致しなければ、電子透かし検出の性能が低下する。
【0009】
Ryuki Tachibana等による文献「時間及び周波数の変動に対するロバスト性の高い音声電子透かし方法」、電子映像化国際会議「マルチメディア・コンテンツの安全性及び電子透かし(3)(EI27)」会報, 米国サンノゼ、2001年1月21日−26日(“An audio watermarking method robust against time- and frequency-fluctuation”by Ryuki Tachibana et al, in proceedings of the conference on Electronic Imaging, “Security and Watermarking of Multimedia Contents III (EI27)”, San Jose, USA, 21-26 January 2001)において、信号の時間対周波数の平面における窓(window)及び重複するフレームを用いた音声信号の電子透かしアルゴリズムが開示されている。このアルゴリズムでは、信号のセグメント化と再構築処理において用いられる各々のフレームにおいて、隣接するフレームは窓の半分程度で重複している。
【0010】
しかし、以上の従来の方法において、窓が重複する場合も含めて、信号のセグメント化及び再構築処理がセグメントの境界で人為的な信号成分を生じる問題がある。これらの人為的な信号成分が感知できる程の音声の変形を生じる。例えば、フレームの境界において人為的なブロッキングが発生し、これにより、信号振幅の不連続性が起き、望ましくない音声の変形として人間の聴覚システムに感知される。以降、“セグメント”は“フレーム”とも称される。
【0011】
[発明の目的]
本発明の目的は、以上の従来技術の問題点を解決する電子透かし埋め込み方法を提供する。
【0012】
[発明の概要]
本発明の電子透かし埋め込み方法は、情報信号に電子透かしを埋め込む方法であって、セグメント化窓関数列を前記情報信号に加え、前記情報信号の第一のセグメント列を生成する工程であり、各々の前記セグメント化窓関数が所定の窓長と所定の形状を有し、連続する二つの前記セグメント化窓関数が所定の長さで重複するところの工程、前記第一のセグメント列における少なくとも第一のセグメントに所定の電子透かしを埋め込み、電子透かしセグメント列を生成する工程、再構築窓関数を用い、前記電子透かしセグメント列における各電子透かしセグメントを結合し、電子透かし信号を生成する工程であり、各々の前記再構築窓関数は、対応する前記セグメント化窓関数の形状と相補的な形状を有する、ところの工程、及び前記電子透かし信号と前記情報信号とを結合し、電子透かし情報信号を生成する工程を備えている。
【0013】
以上の本発明の電子透かし埋め込み方法により、セグメント化窓と再構築窓の形状を個別に選択するので、相互の効果を補足するようにそれぞれの形状を適合させることができる。これによって、セグメント化と再構築処理において発生する全体的な変形を低減する。
【0014】
以上の本発明の電子透かし埋め込み方法は、人為的な効果、例えば、信号フレームの境界において生じるブロッキング効果を低減することができる利点を有し、電子透かしの非感知性を高めることができる。
【0015】
以上の本発明の電子透かし埋め込み方法は、電子透かし検出アルゴリズムの検出性能を高める利点を有する。
【0016】
さらに、上記の本発明の電子透かしの埋め込み方法によれば、信号処理操作に対してロバスト性の高い電子透かしを生成することができる。即ち、当該情報信号について信号処理操作が行われた後であっても、当該情報信号から電子透かしを信頼性よく検出することができる。音声信号の場合は、例えば、圧縮、トリミング、D/A又はA/D変換、均等化、時間スケーリング、グループ遅延歪み、フィルタリング、又は、サンプルの除去と挿入などの信号処理操作がある。
【0017】
セグメント化窓関数と再構築窓関数が所定の相補的条件を満たしている場合は、一対の相補的な窓関数を構成することができる。適切な相補的条件を指定するために、電子透かし又は電子透かしアルゴリズムの所定の特性を利用することができる。これにより、フレーム境界で起きるアルゴリズムに関連する変形を低減することができる。
【0018】
好適には、セグメント化窓関数及び再構築窓関数は、原型窓関数により構成され、セグメント化窓関数及び再構築窓関数の形状が少なくとも一つの形状パラメータにより決められる。
【0019】
これにより、上記の相補的条件を満たしながら、窓関数の形状をこの形状パラメータによって適合させることができ、従って、調整可能なパラメータを変えることにより、セグメント化及び再構築の特性を最適化することができ、与えられた電子透かし応用に対して窓関数を適合させることは容易となる。
【0020】
もう一つの調整可能なパラメータは、連続する二つのセグメント化窓関数が重なった部分の長さである。連続する二つのセグメント化窓関数の重複の度合いは、完全重複から重複しないまで変化する。
【0021】
さらに好適に、少なくとも第一のセグメント化窓関数及び第一の再構築窓関数のそれぞれの形状が、情報信号に応じて適合される。
【0022】
これにより、形状の異なる窓関数の間に窓関数を適応的に切り替えることができる。例えば、音声信号において過渡部分が存在する箇所に長いフレームと短いフレームを切り替えることができる。そのため、情報信号の過渡部分により生じる変形の影響を低減することができる。
【0023】
本発明はさらに電子透かしを埋め込む装置、このような電子透かしを埋め込む装置を含み、情報信号を送信する送信装置、電子透かしを埋め込んだ信号、前記信号を記録した記録媒体、及び電子透かしを検出する装置を提供する。本発明のこれらの観点は、独立請求項によって開示されている。本発明のこれらの観点の効果と特徴が前述した本発明の電子透かし埋め込み方法と同様であるので、以降には、重複する説明を省略する。
【0024】
[好ましい実施例の詳細な説明]
次に、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0025】
図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図である。
【0026】
図1(a)に示す電子透かし埋め込み装置は、例えば、ディジタル音声信号からなる入力信号x(n)とシフト可能なセグメント化窓(以降、解析窓と呼ぶ)ha(n)とを乗算し、音声信号x(n)を複数のセグメントに分割する分割回路101を備えている。得られたセグメントを、セグメント番号sを用いて次のように表す。
【0027】
【数1】
ここで、Nは窓関数の長さ(セグメントのサイズ)である。セグメントのサイズNは電子透かしの検出性能と音声信号の可聴度を考慮して決められる。検出のロバスト性を高めるには、大きいセグメント・サイズが必要であり、逆に、電子透かしの埋め込みを音声信号の局所的な特性と適応しやすいためには、小さいセグメント・サイズが必要となる。例えば、Nは2048サンプルにする。
【0028】
本発明により、隣接するセグメントのセグメント・サイズNの一部(ν)を重複させる。ここで、ν∈[0;1]とする。ν=0の場合は、例えば、隣接するセグメントが重複しない場合に対応し、ν=0.5の場合は、隣接するセグメントがセグメント・サイズNの半分重なる場合に対応する。νが小さい場合は、νが大きい場合より計算の複雑さが低い。解析窓ha(n)の形状は、後ほど図3(a)−(e)を参照して説明する。
【0029】
得られたセグメントxs(n)は、電子透かし計算モジュール102に入力され、電子透かし計算モジュール102において、各セグメントの電子透かしws’(n)が計算される。電子透かし計算モジュール102において実行される電子透かしの生成方法として、任意周知の電子透かしの生成方法を用いても良い。好ましくは、人間の聴覚システムの知覚モデルに従って、電子透かしに重み係数を掛ける。図1(b)において、好ましい電子透かしの生成方法が説明される。
【0030】
続いて、電子透かしws’(n)が再構築回路103に入力され、再構築回路103において、最終的な電子透かしw’(n)が生成される。ここで、最終的な電子透かしw’(n)は、次の式に示すように、各セグメントの電子透かしws’(n)とシフト可能な再構築窓関数hr(n)との乗算の和として生成される。
【0031】
【数2】
本発明により、再構築窓関数の形状が解析窓の効果を補足するように選択され、セグメント化と再構築処理において発生する変形を低減する。
【0032】
最後に、加算回路104において、電子透かしw’(n)は元の音声信号x(n)に重畳され、これにより、電子透かしが埋め込まれた音声信号y(n) = x(n) + w’(n)が生成される。或は、他の演算関数を用い、音声信号x(n)と電子透かしw’(n)を合成しても良い、例えば、減算、又は、1ビット音声フォーマットの場合は、排他的論理和(XOR:exclusive OR)などを用いてもよい。
【0033】
次の電子透かしの検出において、例えば、SPOMF(Symmetrical Phase Only Matched Filtering)手法を用いることができる。SPOMFにおける検出アルゴリズムには、解析対象となる信号をセグメント化する処理は行われる。
【0034】
図1(b)は、図1(a)に示す電子透かし計算モジュール102の一例を概略的に示すブロック図である。
【0035】
電子透かし計算モジュール102は、信号セグメントxs(n)をフーリエ・ドメインに変換し、一列のフーリエ係数x’s(k)を生成する高速フーリエ変換回路105を備えている。サイズがNとなるセグメントについて、高速フーリエ変換回路105がN個のフーリエ係数を生成する。なお、信号セグメントxs(n)のフーリエ変換を計算する方法として、以上に説明と異なる方法を用いても良い。なお、信号サンプルをフーリエ変換によりフーリエ・ドメインに変換する以外に、信号セグメントを他のドメインに変換する方法を用いても良い。このような変換方法として、例えば、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transformation)、又は、ウエーブレット変換(wavelet transform)などがある。
【0036】
電子透かし計算モジュール102は、さらに、電子透かしサンプルw(k)の形式で、秘密電子透かしWを記録した記録媒体109を備えている。好ましくは、記録媒体109は、読み出し専用メモリであり、他人から読み出すことができないようになっている。又は/更に、記録媒体109は次のような記録デバイスを含んでも良い、具体的に、磁気テープ、光ディスク、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、コンパクト・ディスク(CD、又は、CD−ROM)、ミニ・ディスク、ハード・ディスク、フロッピ・ディスク、強誘電体メモリ、EEPROM(電気的消去・プログラム可能型読取専用メモリ)、フラッシュ・メモリ、EPROM(消去・プログラム可能型読取専用メモリ)、ROM(読取専用メモリ)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、SDRAM(同期ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、強磁性体メモリ、光学記録媒体、電荷結合デバイス(CCD)、スマート・カード、などがある。
【0037】
また、好ましくは、電子透かしサンプルw(k)は、たとえば、平均値がゼロ、平方偏差が1となる正規分布からサンプリングされたノイズ・パターンからなる。乗算器106において、電子透かしサンプルw(k)がフーリエ係数x’s(k)と乗算され、電子透かしサンプルws(k)が生成される(ws(k)=w(k)・x’s(k))。
【0038】
続いて、電子透かしサンプルws(k)が逆フーリエ変換回路107に入力され、係数列ws(k)が時間ドメインに逆変換され、電子透かしセグメントが生成される。
【0039】
乗算回路108において、電子透かしセグメントがグローバルなスケーリング・ファクタαと乗算され、電子透かしw’(n)が生成される。このスケーリング・ファクタαが電子透かしの検出ロバスト性と音声信号の可聴度を考慮して決められる。
【0040】
図2は、本発明の一の実施形態に係る電子透かし埋め込み方法を概略的に示すブロック図である。この方法は、例えば、図1(a)と(b)において説明された電子透かし埋め込み装置により実行される。
【0041】
図2に示す電子透かし埋め込み方法による処理は、ステップ201から開始される。ステップ201において、記録媒体202に記録されたシフト可能な解析窓によって、例えば、ディジタル音声信号からなる入力信号x(n)が複数のセグメントに分割される(セグメント化)。次のステップ203aからステップ203bまでの反復処理において、当該生成された信号セグメントが処理されるので、この反復処理にセグメント・インデックスsを付けることにする。各セグメントは高速フーリエ変換により変換され(ステップ204)。ステップ205において、得られたフーリエ係数は、記録媒体206に記録されたスケールされた電子透かし列w(k)と乗算される。ステップ207において、この変更された係数列は逆フーリエ変換によって時間ドメインに逆変換され、これによって、変更された信号セグメントが生成される。次の再構築ステップ208において、記録媒体209に記録された一セットの再構築窓により、この変更された信号セグメントは再構築され、電子透かしの埋め込んだ信号が生成される。
以上に説明したように、隣接する窓の重複、及び解析窓と再構築窓の形式は個別に選択できる。解析窓と再構築窓の選択は具体的な応用による。図3(a)−(e)は本発明に係る窓関数の具体例を示す。
【0042】
重複するセグメントから導出される電子透かし信号のセグメントが互いに相関する場合に、感知できる程の変形を生じさせる振幅不連続性がセグメント境界で起きることを避けるために、信号の振幅を保存する窓関数を用いることは有利であることが分かっている。信号振幅の保存は、次の式で示された振幅相補条件(amplitude complementary condition)を満たす解析窓と再構築窓を用いることによって達成できる。
【0043】
【数3】
ここで、sはセグメント・インデックスであり、νは重複パラメータであり、Nはセグメント・サイズである。
【0044】
以上の条件を満たす窓関数haとhrは、例えば、次の式に示すように、所定の原型窓関数hp(n)から構成される。
【0045】
【数4】
ここで、βは0から1の間に定義された窓形状パラメータであり、即ち、β∈[0;1]。Σs hp[n−s(1−ν)・N]=1であるとなるように、hp(n)は規格化されている。例えば、β=0とβ=1の場合は、解析窓と再構築窓はそれぞれ矩形である。信号処理の一般的な技術において、矩形の解析窓は、高速フーリエ変換において、窓の境界で変形を生じることが知られており、この変形は漏れと呼ばれている。即ち、FFTによる電子透かしのアルゴリズムにおいて、矩形の解析窓が漏れを生じる。
【0046】
一方、矩形の再構築窓は、セグメント境界において、振幅不連続性及び感知できる程の変形を生じる。従って、窓形状パラメータβは、FFTにおける漏れにより生じる変形と再構築により生じる変形両方を考慮して決められる。従って、以上の構成方法は、所定の電子透かしの応用において、十分許容できる結果を得るように解析窓と再構築窓の形状を調整するチャンスを与える。
【0047】
図3(a)−(e)に示すように、原型窓関数の一例として、次に示すいわゆるハニング(Hanning)窓関数がある。
【0048】
【数5】
なお、他の原型窓関数を用いても良い、例えば、バルレット(Barlett)窓関数、ハミング(Hamming)窓関数、或はケーサ(Kaiser)窓関数など周知の窓関数を用いることができる。
【0049】
図3(a)−(e)は、N=2048、ν=0.5のハニング窓関数に基づいて構築された解析窓301−305及び再構築窓306−310をそれぞれ示す。
【0050】
図3(a)の例において、連続する三つの解析窓301a、301b、301c、及び、対応する再構築窓306a、306b、306cが示されており、それぞれの中心窓301bと306bが点線で示されている。窓列301a、301b、301c及び306a、306b、306cが窓形状パラメータβ=0の場合に対応する、即ち、再構築窓306a、306b、306cが矩形である。
【0051】
図3(b)の例において、窓形状パラメータβ=0.25の場合の解析窓列302及び対応する再構築窓列307が示されている。
【0052】
図3(c)の例において、窓形状パラメータβ=0.5の場合の解析窓列303及び対応する再構築窓列308が示されている。ここで、窓形状パラメータβ=0.5であるので、解析窓列303と再構築窓列307が同じ形状となっている。
【0053】
図3(d)は、窓形状パラメータβ=0.75の場合の解析窓列304及び対応する再構築窓列309が示されており、図3(e)は、窓形状パラメータβ=1の場合の解析窓列305及び対応する再構築窓列310が示されている。
【0054】
図4(a)−(e)は、N=2048のハニング窓関数に基づいて構築された解析窓401−405及び再構築窓406−410をそれぞれ示す。図4(a)−(e)の窓形状パラメータβの値は、それぞれ図3(a)−(e)と同じ値であり、ただし、重複パラメータν=0.25となっている。図4(a)−(e)と図3(a)−(e)を比較すれば、重複パラメータνの効果が明らかになる。即ち、重複パラメータνが小さい場合の窓401−410が、対応する図3(a)−(e)の窓301−310より矩形に近い形状になっている。これは上述した原型窓関数の規格化に起因する、即ち、重複しない領域において、窓関数のサンプル値が1にスケールされる。以上の値の他、重複パラメータνがν=2−mとすることができる、ここで、例えば、m=4或は5。
【0055】
なお、上述した振幅相補条件と異なる制約を解析窓と再構築窓に加えることができる。例えば、信号セグメントに対応する、変換に基づく電子透かしアルゴリズムにより導出された音声電子透かしが相関しない場合、例えば、音声信号に依存しないノイズ信号の場合は、異なる制約を解析窓と再構築窓に加えることは有効な措置である。非相関の信号を用いた再構築処理において、パワー不連続性がセグメント境界において起きることを避けるために、信号のパワーを保存することは有効である。これは。例えば、電子透かしは、パワーが音声信号のパワーに依存するノイズ・シーケンスを用いて定義された場合に当たる。パワー保存条件を満たすことにより、解析窓と再構築窓に加える次のような制約条件が得られる。
【0056】
【数6】
振幅相補条件の場合と同じように、解析窓と再構築窓を原型窓関数hp(n)に基づき形状パラメータβを用い構成することができる。例えば、一例として、原型窓関数hp(n)=sin(πn/N)となる。
【0057】
図5を参照すれば、本発明により、窓関数の長さを情報信号のコンテンツに従って適合させることができる。例えば、セグメント化処理において、音声信号に過渡部分が存在する箇所に、二以上の異なるセグメント長を有する窓関数を切り替えることができる。前述したように、窓関数を相補的条件を満たすように選択することができ、また、窓関数を原型窓に基づいて構成することができる。
【0058】
図5は、このように窓関数を適応的に切り替える例を示す図であり、図3(a)と(b)に示すハニング原型窓関数に基づき、形状パラメータβ=1、重複パラメータν=0.5の場合の複数の連続窓関数のグラフを示す。
【0059】
この例において、サンプル番号4096付近に過渡部分が存在する。該過渡部の前に、窓501a、501bの窓サイズNL=2048であり、窓503a、503b、503cの窓サイズNS=1024であり、即ち、窓サイズはNLからNSに切り替えられる。該過渡部の後に、窓サイズは、再び窓503a、503b、503cの窓サイズNS=1024から窓501c、501dのNL=2048に切り替えられる。
【0060】
振幅相補条件を満たすために、大きい窓と小さい窓との間の切り替えを、移行窓502aと502bを介して行う。図5において、この移行窓502aと502bは点線で示されている。適応的に窓を切り替えることは、信号の過渡箇所付近に生じる感知できる変形による影響を低減することに有効である。過渡箇所付近に、フレーム長を短くしたので、より短い周期に亘って変形が分散されるので、変形の可聴度を低減する。
【0061】
また、形状パラメータβ及び重複パラメータνを情報信号のコンテンツに応じて適合させることもできる。
【0062】
図6は、本発明の第二の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図である。この電子透かし埋め込み装置は上述した適応的な窓切り替えに関連して使用することができる。
【0063】
図6に示す電子透かし埋め込み装置は、入力音声信号x(n)を解析する解析回路601を備えている。この解析に基づいて、解析回路601は、電子透かし埋め込み装置のセグメント化回路603と再構築回路605に入力する適切な窓パラメータPを計算する。セグメント化回路603は、これらのパラメータを使用して、音声信号のセグメント化用の窓関数を選択する。この音声信号は遅延回路602を介してセグメント化回路603に入力され、信号x(n)を事前分析することに使った時間を補償する。
【0064】
電子透かし計算モジュール604により対応する電子透かしセグメントが生成された後に、対応する再構築回路605は、電子透かしセグメントから、解析に用いられた窓関数に対応する窓関数を用い、電子透かし信号を再構築する。最後に、加算回路607において、電子透かしは遅延された音声信号に重畳され、これにより、電子透かしが埋め込まれた音声信号y(n)が生成される。
【0065】
なお、適応的に窓を切り替える方法の適用自体は、文献”重複ブロック変換及び適応的な窓関数による音声信号の符号化”(Coding of Audio Signals with Overlapping Block Transform and Adaptive Window Functions), Bernd Edler、Frequenz, 43(1998)9、により周知されている。この文献において、上記の手法は、例えば、音声信号のビットレートを抑えるために、より短い周期に亘って、プレイ・エコー(pre-echo)などのような感知可能な変形を分散するための音声符号化に用いられていた。しかし、以上の従来の方法は、セグメント化処理と再構築処理において同じ窓関数を使用し、変換された信号から再構築された信号が元の信号の同一性を保つために、窓関数は所定の対称性条件を満たすことが必要である。これに対して、本発明による方法は、このような対称性条件を必要とせず、その代わりに、相補的な窓関数を使用し、電子透かしの埋め込み処理の際に生じた変形を最小にする。
【0066】
また、主に音声信号を例にして本発明を説明したが、本発明は音声信号に限定されず、例えば、マルチ・メディア信号、ビデオ信号、動画、画像、静止画などの信号にも適用できる。
【0067】
また、以上の本発明による電子透かし埋め込み装置の機能は、例えば、プログラム可能なマイクロ・プロセッサ、アプリケーション専用の集積回路、一般的な集積回路、スマート・カード、その他任意の処理ユニットを用いて実現することができる。
また、以上に説明した実施形態は、本発明の実施の形態の例であり、添付した本発明の特許請求の範囲を逸脱せずに、当業者により種々の変更を加えることが可能である。また、本発明が、異なる要素からなるハード・ウエアにより実施されても良く、或は、コンピュータでプログラムを実行して実施しても良い。
【0068】
複数の手段が列挙された装置に関する請求項において、幾つかの手段の動作は、一つのハード・ウエア、或は、ハード・ウエアの同じの要素により実施されることがある。また、異なる従属請求項に異なる手段が列挙されている場合は、有利な効果を生ずる限り、これらの手段を組み合わせて用いることができると解すべきである。
[発明の効果]
以上、本発明は、音声信号などの情報信号x(n)に電子透かしを埋め込む方法を開示している。この方法は、一列の解析窓関数(ha(n))を用いて、情報信号を重複するフレーム(xs(n))に分割する工程と、重複するフレームに対応する電子透かしセグメント(ws’(n))を計算する工程と、解析窓と相補的な形状を有する再構築窓(hr(n))を用い電子透かしセグメントから電子透かし信号(w’(n))を再構築する工程と、電子透かし信号を元の情報信号に重畳する工程とから構成される。解析窓と再構築窓を所定の相補的条件を満たす原型窓に基づいて構築することができる。また、解析窓と再構築窓を情報信号の内容に適合して構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図であり、(b)は、(a)に示す電子透かし計算モジュール102の一例を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一の実施形態に係る電子透かし埋め込み方法を概略的に示すブロック図である。
【図3】(a)から(e)は、重複度ν=0.5の窓関数の例を示す図である。
【図4】(a)から(e)は、重複度ν=0.25の窓関数の例を示す図である。
【図5】窓関数を適応的に切り替える例を示す図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る電子透かし埋め込み装置を概略的に示すブロック図である。
Claims (14)
- 情報信号に電子透かしを埋め込む方法であって:
セグメント化窓関数列を前記情報信号に加え、前記情報信号の第一のセグメント列を生成する工程であり、各々の前記セグメント化窓関数が所定の窓長と所定の形状を有し、連続する二つの前記セグメント化窓関数が所定の長さで重複する、ところの工程;
前記第一のセグメント列における少なくとも第一のセグメントに所定の電子透かしを埋め込み、電子透かしセグメント列を生成する工程;
再構築窓関数を用い、前記電子透かしセグメント列における各電子透かしセグメントを結合し、電子透かし信号を生成する工程であり、各々の前記再構築窓関数は、対応する前記セグメント化窓関数の形状と相補的な形状を有する、ところの工程;及び
前記電子透かし信号と前記情報信号とを結合し、電子透かし情報信号を生成する工程;
から構成されることを特徴とする電子透かし埋め込み方法。 - 前記セグメント化窓関数と前記再構築窓関数が、所定の相補的条件を満たす;
ことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 前記所定の相補的条件は、振幅保存条件に相当する;
ことを特徴とする請求項2に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 前記所定の相補的条件は、パワー保存条件に相当する:
ことを特徴とする請求項2に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 前記セグメント化窓関数及び前記再構築窓関数は、原型窓関数により構成され、前記セグメント化窓関数及び前記再構築窓関数の形状が少なくとも一つの形状パラメータにより決められる;
ことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 少なくとも第一のセグメント化窓関数の前記窓長が、前記情報信号に応じて適合される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 少なくとも第一のセグメント化窓関数及び第一の再構築窓関数のそれぞれの形状が、前記情報信号に応じて適合される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 前記第一のセグメントを変換し、第一の係数列を生成する工程;
前記第一の係数列の各々の係数を前記所定の電子透かしの関数に改変し、所定の改変された係数列を生成する工程;及び
前記の改変された係数列を逆変換し、第一の電子透かしセグメントを生成する工程;
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 前記情報信号は、音声信号、静止画信号、及びビデオ信号を含むマルチ・メディア信号から選択された一種類の信号を含む;
ことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。 - 情報信号に電子透かしを埋め込む装置であって:
セグメント化窓関数列を前記情報信号に加え、前記情報信号の第一のセグメント列を生成する手段であり、各々の前記セグメント化窓関数が所定の窓長と所定の形状を有し、連続する二つの前記セグメント化窓関数が所定の長さで重複する、ところの手段;
前記第一のセグメント列における少なくとも第一のセグメントに所定の電子透かしを埋め込み、電子透かしセグメント列を生成する手段;
再構築窓関数を用い、前記電子透かしセグメント列における各電子透かしセグメントを結合し、電子透かし信号を生成する手段であり、各々の前記再構築窓関数は、対応する前記セグメント化窓関数の形状と相補的な形状を有する、ところの手段;及び
前記電子透かし信号と前記情報信号とを結合し、電子透かし情報信号を生成する手段;
を備えたことを特徴とする電子透かし埋め込み装置。 - 電子透かしが埋め込まれた情報信号であって:
前記情報信号は、
セグメント化窓関数列を前記情報信号に加え、前記情報信号の第一のセグメント列を生成する工程であり、各々の前記セグメント化窓関数が所定の窓長と所定の形状を有し、連続する二つの前記セグメント化窓関数が所定の長さで重複する、ところの工程;
前記第一のセグメント列における少なくとも第一のセグメントに所定の電子透かしを埋め込み、電子透かしセグメント列を生成する工程;
再構築窓関数を用い、前記電子透かしセグメント列における各電子透かしセグメントを結合し、電子透かし信号を生成する工程であり、各々の前記再構築窓関数は、対応する前記セグメント化窓関数の形状と相補的な形状を有する、ところの工程;及び
前記電子透かし信号と前記情報信号とを結合し、電子透かし情報信号を生成する工程;
により生成される
ことを特徴とする情報信号。 - 請求項11に記載の情報信号を記録した記録媒体。
- 請求項11に記載の情報信号における電子透かしを検出する電子透かし検出装置。
- 情報信号を送信する装置であり、前記情報信号に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置を有する送信装置であって:
前記電子透かし埋め込み装置は、
セグメント化窓関数列を前記情報信号に加え、前記情報信号の第一のセグメント列を生成する手段であり、各々の前記セグメント化窓関数が所定の窓長と所定の形状を有し、連続する二つの前記セグメント化窓関数が所定の長さで重複する、ところの手段;
前記第一のセグメント列における少なくとも第一のセグメントに所定の電子透かしを埋め込み、電子透かしセグメント列を生成する手段;
再構築窓関数を用い、前記電子透かしセグメント列における各電子透かしセグメントを結合し、電子透かし信号を生成する手段であり、各々の前記再構築窓関数は、対応する前記セグメント化窓関数の形状と相補的な形状を有する、ところの手段;及び
前記電子透かし信号と前記情報信号とを結合し、電子透かし情報信号を生成する手段;
から構成されることを特徴とする送信装置。
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