JP2004523907A - 超伝導体ロジックの移相装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】便利にスケーラブル及びリプロデューシブルであり、かつ周囲結合による最小の散逸を有する超伝導量子ビット装置に対する必要性が存在する。
【解決手段】本発明によれば、超伝導移相装置が提供される。移相装置は、装置の二端子の秩序変数の位相間に移相を生じさせることができる。二端子は、アングル・サイドを有する異方性超伝導体を通して、または調整不良の位相を有する二つの異方性超伝導体を通して、または接合領域の強磁性体を通して結合することができる。移相装置は、超伝導量子コンピューティング回路で用いることができる。通常の超伝導材料の製造技術とは異なる技術で移相装置を製造する方法を記述する。移相装置のアレイを含んでいる移相器チップを製造する方法を記述する。
【選択図】図1A
【解決手段】本発明によれば、超伝導移相装置が提供される。移相装置は、装置の二端子の秩序変数の位相間に移相を生じさせることができる。二端子は、アングル・サイドを有する異方性超伝導体を通して、または調整不良の位相を有する二つの異方性超伝導体を通して、または接合領域の強磁性体を通して結合することができる。移相装置は、超伝導量子コンピューティング回路で用いることができる。通常の超伝導材料の製造技術とは異なる技術で移相装置を製造する方法を記述する。移相装置のアレイを含んでいる移相器チップを製造する方法を記述する。
【選択図】図1A
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導量子コンピューティングの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピュータは、革命的な新しい技術によって構築され、より改良された計算性能を約束している。超伝導量子コンピューティング・システムに対する最新の提案は、スケーラビリティ及び制御に関して最も有望な技術になっている。
【0003】
量子コンピュータの基本構造ブロックは、量子ビットまたは量子ビットである。量子ビットは、ちょうど古典的コンピューティングにおけるビットのように、二つの基底状態、|0>及び|1>を持つことができる。しかしながら、計算中に、量子ビットの状態がその基底状態の量子合成になり、かつ量子力学の規則により発生するような古典コンピューティングのアナロジーが存在しない。量子情報処理が動作する方法に関する詳細は、よく知られており、例えば、その全てが参照文献として採用される、D. DiVincenze, "The Physical Implementation of Quantum Computers", p.1, S. Braunstein and H. Lo, "Scalable Quantume Computers", Wiley-VCH, Berlin, Germany, 2001を参照のこと。
【0004】
超伝導技術に基づく量子コンピュータは、ジョセフソン接合を含んでいる装置に多くの場合依存する。
【0005】
ジョセフソン接合は、超伝導ループまたはより高価な回路素子に属しうる、二つの超伝導端子を接続するために用いることができる。超伝導端子は、複合秩序変数を有し、超伝導端子の超伝導状態を表す。複合秩序変数は、その振幅及びその位相によって表すことができる。ジョセフソン接合は、ジョセフソン接合の二端子の位相間の差を誘起することができ、そして接合は、多くの場合、この位相差で呼ばれる。例えば、π/2位相差を誘起するジョセフソン接合は、π/2ジョセフソン接合、またはπ/2接合と呼ばれる。
【0006】
磁束量子ビットのある実施は、その全て及びその文献に記載された文献の全てが参照文献として採用される、J.E. Mooij, T. P. Orland, L. Levitov, L. Tian, C. H. van der Wal and S. Lloyd, "Josephson Persistent-Current Qubit", Science vol. 285, p. 1036 (1999)に記述されたような、3つまたは4つのジョセフソン接合を有するマイクロメータの大きさのループを含む。このシステムの基底状態は、ループを貫いている磁束の量で異なる。ループに垂直な静磁界の適用は、これらの基底状態の二つのエネルギーを縮退にする。静磁界の適用は、装置のスケーラビリティ及び有用性を低減する。特に、静磁界の適用は、量子ビットとその周囲との間に散逸結合を生じさせ、結果として合成基底状態間の位相のコヒーレンスの損失を導く。
【0007】
超伝導量子ビットに対する別の提案は、その全て及びその文献に記載された文献の全てが参照文献として採用される、L. Ioffe, V. Geshkenbein, M. Feigel'man, A. Fauchere, and G. Blatter, "Environmentally decoupled s-wave - d-wave - s-wave Josephson junctions for quantum computing" Nature, vol. 398, p. 678 (1999)によって記述されたような、二つの超伝導材料を含み、一つは、等方性秩序変数を有し、別のものは、異方性秩序変数を有する。この論文は、周囲から磁束量子ビットを隔離する機構としてπループを教示している。装置は、複合設計を有し、そして特に、通常の超伝導材料と通常ではない超伝導材料との間に多くのジョセフソン接合を含み、その結果、制約されたスケーラビリティ及びリプロデューシビリティ(再現性)を有する。
【0008】
【特許文献1】
Geordie Rose, Mohammad H. S. Amin, Timothy Duty, Alexandre Zagoskin, and Alexander Omelyanchouk,“Intrinsic phase shift device as an element of a qubit”, 米国仮出願第60/257,624号
【特許文献2】
A. Zagoskin, A. Tsaletchouk, and J. Hilton,2001年8月29日出願, 発明の名称“Superconducting low inductance qubit”, 米国仮出願第60/316、134号
【特許文献3】
A. Tzalenchuk, Z. Ivanov, and M. Steininger, 2001年12月6日出願, 発明の名称“Trilayer Heterostructure Junctions”, 米国特許出願10/006,787号
【非特許文献1】
D. DiVincenze, "The Physical Implementation of Quantum Computers", p.1,
【非特許文献2】
S. Braunstein and H. Lo, "Scalable Quantume Computers", Wiley-VCH, Berlin, Germany, 2001
【非特許文献3】
J.E. Mooij, T. P. Orland, L. Levitov, L. Tian, C. H. van der Wal and S. Lloyd, "Josephson Persistent-Current Qubit", Science vol. 285, p. 1036, 1999
【非特許文献4】
L. Ioffe, V. Geshkenbein, M. Feigel'man, A. Fauchere, and G. Blatter, "Environmentally decoupled s-wave - d-wave - s-wave Josephson junctions for quantum computing" Nature, vol. 398, p. 678, 1999
【非特許文献5】
C. Bruder, A.van Otterlo, and G.T. Zimanyi, "Tunnel Junctions of Unconventional Superconductors", Phys. Rev. B51, 12904-07, 1995
【非特許文献6】
R. R. Schultz, B. Chesca, B. Goetz, C. W. Schneider, A. Schmehl, H. Bielefeldt, H. Hilgenkamp, J. Mannhart, and C. C. Tsuei, "Design and Realization of an all d-Wave dc π-Superconducting Quantum Interference Device", Applied Physics Letters, 76, p.912-14, 2000
【非特許文献7】
F. Tafuri, F. Carillo, F. Lombardi, F. Miletto Granozio, F. Ricci, U. Scotti di Uccio, A. Barone, G. Testa, E. Sarnelli, J. R. Kirtley, "Feasibility of Biepitaxial Yba2Cu3O7-x Josephson Junctions for Fundamental Studies and Potential Circuit Implementation", Los Alamos preprint cond-mat/0010128, 2000
【非特許文献8】
V. V. Ryazanov, V. A. Oboznov, A. Yu. Rusanov, A. V. Veretennikov, A. A. Golubov, J. Aarts in "Coupling of Two Superconductors Through a Ferromagnet: Evidence for π-Junction", LANL preprint cond-mat/0008364, August 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、便利にスケーラブル及びリプロデューシブルであり、かつ周囲結合による最小の散逸を有する超伝導量子ビット装置に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子;第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された移相器を備え、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成される移相装置によって達成される。
【0011】
また、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び前記第1及び第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された移相器手段を備えている移相装置によって達成される。
【0012】
更に、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子を供給する段階;第2の位相を有している、第2の超伝導端子を供給する段階;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に移相器を結合する段階を具備し、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成される移相方法によって達成される。
【0013】
本発明の上記課題は、移相装置であり、第1の位相を有している、第1の超伝導端子;第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された、移相器を備え、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された該移相装置;及び前記移相装置に結合された超伝導回路を備える移相器回路によって達成される。
【0014】
また、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び前記第1及び第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、移相器手段を備えている移相装置手段と;前記移相装置手段に結合された、超伝導回路手段と、を備えている移相器回路によって達成される。
【0015】
更に、本発明の上記課題は、移相装置を供給する段階を具備し;前記移相装置を供給する段階は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子を供給する段階;第2の位相を有している、第2の超伝導端子を供給する段階;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子を移相器に結合する段階、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成され;及び超伝導回路を前記移相装置に結合する段階を具備する移相方法によって達成される。
【0016】
本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子;第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された、移相器をそれぞれ備え、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、複数の移相装置と、及び前記複数の移相装置に結合された、超伝導回路とを備えている移相器チップによって達成される。
【0017】
また、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び前記第1の超伝導端子手段及び前記第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、移相器をそれぞれ備えた複数の移相装置手段と、及び前記複数の移相装置手段に結合された、超伝導回路手段とを備えている移相器チップによって達成される。
【0018】
更に、本発明の上記課題は、第1の結晶軸方位を有する基板を形成する段階;前記基板の上に横たわる、第2の結晶軸方位を有するシード層を形成する段階であり、該第2の結晶軸方位が前記第1の結晶軸方位とは異なる、該段階;前記シード層に複数の開口を形成する段階;及び前記複数の開口の上に横たわる複数の移相装置を形成する段階を具備する移相器チップを製作する方法によって達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超伝導移相装置が提供される。本発明の実施形態は、接合の二つの超伝導端子の秩序変数の位相間に移相αを生じさせることができる。αは、−πとπの間の値を仮定することができる。
かかる移相装置は、あらゆる種類の超伝導量子コンピューティング・システムで用いることができる。例えば、移相装置は、磁束量子ビット、または量子ビット、を製造することに役立ちうる。量子ビットの例は、移相装置が二重縮退グラウンド状態を生成するためにループを自己バイアスすることができ、二つの縮退グラウンド状態が両方向に流れる超伝導電流によって識別される、ジョセフソン接合を有する超伝導ループである。二つの縮退グラウンド状態は、量子ビットの基底状態として用いることができ、従って超伝導ループを量子コンピューティングに用いることができる。
【0020】
本発明によれば、移相装置は、周辺の超伝導回路を製造するために用いた方法とは異なる方法を用いて製造することができる。ある実施形態では、移相装置を基板上に製造し、続いて移相装置の上に横たわっている層に通常の超伝導回路を製造することができるように絶縁することができ、必要なところで移相装置に接続することができる。代替的に、通常の超伝導回路層は、基板上に製造することができ、続いて絶縁され、かつ移相装置は、次いで、通常の超伝導回路層の上に横たわって製造し、回路に接続することができる。ある実施形態では、移相装置は、超伝導回路と同じ層に製造することができる。
【実施例】
【0021】
移相装置は、Geordie Rose, Mohammad H. S. Amin, Timothy Duty, Alexandre Zagoskin, and Alexander Omelyanchoukによる、発明の名称が“Intrinsic phase shift device as an element of a qubit”である、米国仮出願第60/257,624号によって先に記述されている。移相装置は、図1Aから図1Gに関して記述される。
【0022】
図1Aは、両方の超伝導端子が移相器、この実施形態ではd波超伝導体240、に結合された、第1の超伝導端子210、第2の超伝導端子211のアーキテクチャを有する移相装置123の例を示す。第1の超伝導端子210は、第1の位相を有している、第1の秩序変数を有し、かつ第2の超伝導端子211は、第2の位相を有している、第2の秩序変数を有する。移相器は、第1の位相と第2の位相との間に差を生じさせることができるように構成されている。第1の位相と第2の位相との間の差は、移相(位相のずれ・移相)と呼ばれる。超伝導端子210及び211を流れる電流は、IS0及びIS1で表示される。
【0023】
図1Aは、S/N/D/N/Sヘテロ構造(異形構造)を有している二端子移相装置123の実施形態の平面図である。ここで“S”はs波超伝導体、“N”は標準金属、及び“D”はd波超伝導体をそれぞれ表す。図1Aに示す実施形態は、移相器に電気的に結合される、標準金属コネクタ250に電気的に結合された、s波超伝導端子210を含む。
【0024】
この実施形態では、移相器は、d波超伝導体240である。異なる実施形態では、移相器は、あらゆる異方性超伝導体、例えば、p波、d波、またはs+d波超伝導体でありうる。ある実施形態では、d波超伝導体240は、dが約0と約0.6との間である、YBa2Cu3O7-dのような、高温超伝導体である。ある実施形態では超伝導端子210及び211は、あらゆる種類の超伝導体でありうる。
【0025】
d波超伝導体240は、s波超伝導端子211に電気的に結合される、標準金属コネクタ251に更に電気的に結合される。ある実施形態では、超伝導端子210及び211の長さLS0、LS1、LS2、LS3及び幅WS0、WS1は、全て異なりうる。ある実施形態では、超伝導端子210及び211の長さ及び幅は、約5ミクロンよりも小さいことがありうる。
【0026】
d波超伝導体240は、第1の側で超伝導端子210に結合されかつ第2の側で超伝導端子211に結合される。第1及び第2の側は、図1Aに示した、角度θを規定する。角度θは、移相装置123によってもたらされた移相を決定する。例えば、第1及び第2の側が互いに直角であるような実施形態では、全移相は、移相装置123にわたりπである。第1及び第2の側が直接的に対向しかつ互いに並行(θ=0°)であるような実施形態では、全移相は、移相装置123にわたりゼロである。これにより、総称角度(generic angle)θは、2θの移相を導く。
【0027】
図1Bは、π移相装置の実施形態を示す。角度θは、90°であり、180°またはπラジアンの移相をもたらす。この実施形態では標準金属コネクタ250は、d波超伝導体240の結晶軸方位に平行であり、かつ標準金属コネクタ251は、d波超伝導体240の別の結晶軸方位に平行である。ある実施形態では標準金属コネクタ250及び251は、結晶軸方位に平行であるが、しかし90°の角度θを形成する。
【0028】
標準金属コネクタ250及び251の物理特性、幅及び長さは、超伝導端子210とd波超伝導体240との間、及び超伝導端子211とd波超伝導体240との間にジョセフソン接合を形成するように選択することができる。d波超伝導体240及び標準金属コネクタ250及び251の寸法(ディメンション)は、重要ではない。
【0029】
ある実施形態では超伝導端子210及び211は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)または錫(Sn)でありうる。本発明の実施形態は、ニオブで作られた超伝導端子210及び211、金で作られたコネクタ250及び251、およびYBa2Cu3O6.68で作られたd波超伝導体240を有しうる。長さLS0、LS1、LS2、及びLS3は概ね0.5ミクロンでありうるし、幅WS0及びWS1は概ね0.5ミクロンでありうるし、そしてコネクタ250及び251は概ね0.05ミクロン厚さでありうる。図1Bに示す移相装置123の実施形態は、超伝導端子210と211との間の移行で累積されたπの全移相を生成する。
【0030】
図1Cは、移相装置123の二端子実施形態の平面図を示す。移相装置123は、異方性超伝導体241と242との間にジョセフソン接合260を含んでいるヘテロ構造を含む。ある実施形態では異方性超伝導体241及び242は、dが0<d<0.6である、YBa2Cu3O7-dのような、d波超伝導体でありうる。異方性超伝導体241及び242は、粒界に関して結晶軸方位θ及びθ‘を有し、θ“=θ−θ‘である、不整合の角度θ“を規定する。一般に、超伝導体の結晶軸方位は、その超伝導体の秩序変数の方位と相関する。粒界に関して異方性超伝導体241及び242の不整合の角度、θ“を変更することは、粒界260にわたる移相に影響を与える。例えば、図1Cは、π/2移相をもたらす、θ“=45°の不整合角度を示す。かかる接合の動作は、その両方の文献がここに参考文献として採り入れられる、C. Bruder, A.van Otterlo, and G.T. Zimanyi, "Tunnel Junctions of Unconventional Superconductors", Phys. Rev. B51, 12904-07 (1995)、及びR. R. Schultz, B. Chesca, B. Goetz, C. W. Schneider, A. Schmehl, H. Bielefeldt, H. Hilgenkamp, J. Mannhart, and C. C. Tsuei, "Design and Realization of an all d-Wave dc π-Superconducting Quantum Interference Device", Applied Physics Letters, 76, p.912-14 (2000)によって詳細に記述されたように、よく知られている。
【0031】
ある実施形態ではジョセフソン接合260は、粒界接合として形成される。超伝導体は、多くの場合、結晶軸方位即ち超伝導体の秩序変数の方位が基板の結晶軸方位によって決定されるように基板上に形成する。従って、粒界接合は、既存の格子−不整合粒界を有する双結晶(バイ・クリスタル)基板上に異方性超伝導体240及び241を成長させることによって形成することができる。双結晶基板の粒界は、異方性超伝導体240及び241をそれ自体が粒界を形成する結晶軸方位で形成させることができ、接合を生成する。
【0032】
図1Dは、移相装置123の断面図を示す。異方性超伝導体241及び242は、基板上で成長される。ある実施形態では、基板90は、既存の粒界を有する双結晶基板でありうる。基板90は、市販されている、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)またはTi:Al2O3(サファイア)のような、絶縁体から形成することができる。
【0033】
この実施形態では異方性超伝導体240及び241は、c軸ヘテロ構造接合によって超伝導端子210及び211に結合される。c軸ヘテロ接合は、異方性超伝導体241及び242に標準金属コネクタ250及び251をそれぞれ形成することによって生成することができる。超伝導端子211及び210は、標準金属コネクタ250及び251にわたり続いて成長させることができる。そして、絶縁層50を異方性超伝導体241及び242の上に形成することができるが、超伝導端子210及び211に対する開口を有している。
【0034】
標準金属コネクタ250及び251は、金、銀、またはアルミニウムのような、金属導体、またはドープされたカリウムヒ素のような、半導体から形成することができる。異方性超伝導体241及び242は、dが約0と約0.6との間にある、YBa2Cu3O7-dのような、d波超伝導体でありうる。絶縁材50は、超伝導端子210及び211を電気的に隔離することができるように構成されたあらゆる材料でありうる。
【0035】
異方性超伝導体241及び242間のジョセフソン接合260は、粒界でありうる。ある実施形態では、接合260は、異方性超伝導材が、シード層によって部分的に覆われる基板90上に成長されるような、バイ−エピタキシャル方法を用いることによって形成することができる。異方性超伝導体が基板及びシード層上に成長される場合には、異方性超伝導体は、基礎角度(下に横たわる角度)の結晶軸によって決定された結晶軸で成長する。シード層の結晶軸は、基板の結晶軸の方位とは異なる方位に配向することができる。この場合には異方性超伝導体は、シード層上及び基板自体の上に異なる結晶軸方位で成長する。従ってシード層のエッジ(縁)で粒界は、異方性超伝導体内に形成され、異方性超伝導体240及び241を事実上形成する。ある実施形態では基板は、例えば、チタン酸ストロンチウムのような、絶縁体でありうるし、かつシード層は、CeO(酸化セリウム)またはMgO(酸化マグネシウム)でありうる。超伝導装置の製造の形態は、例えば、その全体がここに参考文献として採用される、F. Tafuri, F. Carillo, F. Lombardi, F. Miletto Granozio, F. Ricci, U. Scotti di Uccio, A. Barone, G. Testa, E. Sarnelli, J. R. Kirtley in "Feasibility of Biepitaxial Yba2Cu3O7-x Josephson Junctions for Fundamental Studies and Potential Circuit Implementation", Los Alamos preprint cond-mat/0010128(2000)によって記述されている。
【0036】
ある実施形態では標準金属コンダクタ250は、異方性超伝導体241をs波超伝導端子211に結合する。ある実施形態では標準金属コンダクタ251は、異方性超伝導体242をs波超伝導端子210に結合する。ある実施形態では標準金属コネクタ250及び251は、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、またはその他の金属でありうるし、かつs波超伝導端子210及び211は、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)またはその他の通常の超伝導体でありうる。
【0037】
ある実施形態では長さLS0、LS1、LS2、LS3、及び幅WS0、WS1は、全て異なりうる。ある実施形態では長さのそれぞれは、約1ミクロンよりも小さいことがありうる。標準金属コネクタ250及び251の物理特性及び空間拡張は、超伝導端子210と異方性超伝導体241の間に、及び超伝導端子211と異方性超伝導体242との間に、それぞれジョセフソン接合を形成するように選択することができる。超伝導端子210及び211を流れる電流は、IS0及びIS1でそれぞれ表示される。異方性超伝導体241及び22、及び標準金属コネクタ250及び251のディメンションは、重要ではない。
【0038】
図1Cに示したような、移相装置123の実施形態によれば、超伝導端子210及び211はニオブ、コネクタ250及び251は金で製作することができ、かつ異方性超伝導体241及び242は、YBa2Cu3O6.68で製作することができる。長さLS0、LS1、LS2、及びLS3、は、概ね0.5ミクロンでありうるし、幅WS0及びWS1は、概ね0.5ミクロンでありうるし、かつ通常の金コネクタ250及び251は、概ね0.05ミクロン厚さでありうる。異方性超伝導体241及び242は、異方性超伝導体241の結晶軸方位が粒界接合260と+22.5°の角度を成しかつ異方性超伝導体242の結晶軸方位が粒界接合260と−22.5°を成す、対称22.5°/22.5°格子不整合を有することができる。この種の粒界接合260は、超伝導体241及び242の結晶軸方位間の角度が45°なので、対称45°粒界と一般に呼ばれる。この実施形態は、粒界接合260にわたり累積されたπの移相を生成する。この実施形態は、対称45°粒界で自発的超伝導電流または磁束が生成されないし、従って超伝導電子回路の移相装置123によるノイズが低減されるという意味で“静か”でもある。
【0039】
図1Eは、二端子移相装置123の別の実施形態の平面図を示す。この実施形態は、超伝導端子210と超伝導端子211との間の接合領域、及び接合領域に形成された強磁性体276を含む。この実施形態では強磁性体276は、超伝導端子210の上にあり、かつ超伝導端子211は、強磁性体276の上にある。絶縁領域275は、超伝導端子210及び211を互いに隔離するために形成される。超伝導端子210と超伝導端子211の間のジョセフソン接合は、図1Eに示す面に垂直な軸に沿って存在する。
【0040】
強磁性体276の形状は、移相の角度を決定する。図1Eにおいて、長さLS1及びLS3は、超伝導端子210及び211の長さをそれぞれ示す。HT0及びHT1は、超伝導端子210のエッジと絶縁領域275のエッジとの間の距離及び超伝導端子211のエッジと絶縁領域275のエッジとの間の距離をそれぞれ示す。数量HF及びWFは、強磁性体276の高さ及び幅をそれぞれ示す。長さDT1は、超伝導端子211のエッジと超伝導端子210のエッジとの間の距離を示す。ある実施形態では長さ及び幅DT1、HT1、LS2、HT0、WS0、及びWS1は、全て異なりうるしかつ、ある実施形態では、全て5ミクロンよりも小さい。ある実施形態では長さHF及びWFは、異なりうるしかつ、ある実施形態では、所望の移相を与えるように選択されたこれらの長さで、1ミクロンよりも小さいことがありうる。超伝導端子210及び211を流れる電流は、IS0及びIS1でそれぞれ表示される。
【0041】
図1Fは、s波超伝導端子210とs波超伝導端子211との間に強磁性体276を有する移相装置123の実施形態の断面図を示す。絶縁領域275は、超伝導端子210と211の間に絶縁を供給する。
【0042】
ある実施形態では超伝導端子210及び211は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、またはs波電子対対称(pairing symmetry)を有するその他の超伝導体でありうる。ある実施形態では絶縁領域275は、酸化アルミニウム(AlO2)、またはその他の絶縁材でありうる。ある実施形態では強磁性体276は、銅とニッケルの合金(Cu:Ni)、またはその他の強磁性材でありうる。図1E及び図1Fに示された移相装置123の実施形態を製造する一つの方法は、その全体が参考文献としてここに採用される、V. V. Ryazanov, V. A. Oboznov, A. Yu. Rusanov, A. V. Veretennikov, A. A. Golubov, J. Aarts in "Coupling of Two Superconductors Through a Ferromagnet: Evidence for π-Junction", LANL preprint cond-mat/0008364 (August 2000)によって記述される。
【0043】
図1Gは、s波超伝導端子210と211の間の接合領域に埋め込まれた強磁性体276を有している二端子移相装置123の別の実施形態の平面図を示す。この実施形態ではs波超伝導端子210/強磁性体276/s波超伝導端子211接合は、図1Gの面に存在する。それゆえに、強磁性体276は、超伝導端子210及び211の面に直接存在する。強磁性体276の形状は、接合の移相を決定する。ある実施形態では長さ及び幅DT1、HT1、LS2、WS0、及びWS1は、全て異なりうるしかつ、ある実施形態では、全てが5ミクロンよりも小さい。ある実施形態では長さHF及び幅WFは、所望の移相を与えるために選択されたこれらの長さで、異なりうるしかつ約1ミクロンよりも小さいものでありうる。超伝導端子210及び211に流れる電流は、IS0及びIS1でそれぞれ示される。ある実施形態では超伝導端子210及び211は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、またはs波電子対対称を有するその他の超伝導体でありうる。ある実施形態では強磁性体276は、銅とニッケルの合金(Cu:Ni)またはその他の強磁性材でありうる。強磁性体276は、例えば、超伝導接合への強磁性基板の注入によって準備することができる。
【0044】
超伝導回路の構成素子として、移相装置123は、例えば、G. Rose, M. Amin, T. Duty, A. Zagoskin, and A. Omelyanchoukによる米国仮出願第60/257,624号によって先に記述されている。例えば、移相装置123は、量子ビット、または超伝導ループに含むことができ、αが0とπとの間の範囲でありうる、移相αを誘起する。
【0045】
多くの超伝導量子ビット設計は、量子ビット縮退の二つの基底状態を成すことを移相に要求する。ある設計では、基底状態間の縮退は、静磁界の適用によって達成される。かかる磁界は、量子ビットの基底状態の時間進行における散逸をもたらしうるので望ましくない。
【0046】
図2は、移相装置123が量子ビット設計に組込まれる、本発明の実施形態を示す。移相装置123は、磁界の適用なしで量子ビット縮退の二つの基底状態を成すことができるように構成される。超伝導低インダクタンス量子ビット(SLIQ)として知られた、特定の設計は、この仮出願及びそれに記載された文献が全体としてここに参考文献として採用される、A. Zagoskin, A. Tsaletchouk, and J. Hiltonによる、2001年8月29日に出願された、発明の名称が“Superconducting low inductance qubit”である、米国仮出願第60/316、134号によって先に開示されている。SLIQは、第1の部分及び第2の部分を有する超伝導ループを含む。ループの第1の部分は、二つの異方性超伝導材を分離している、ジョセフソン接合を含む。ループの第2の部分は、第1のループの二つの異方性超伝導材によって形成されたジョセフソン接合にわたるようにループの第1の部分に結合される通常の超伝導材を含む。ある実施形態では、ループの第2の部分の通常の超伝導材は、c軸ヘテロ構造トンネル接合を通してループの第1の部分の材料に結合することができる。
【0047】
図2は、SLIQが、第1のループ部分100−1及び第2のループ部分100−2を含むループを含むような、実施形態100を示す。第1のループ部分100−1は、接合60−1及び60−2を通して第2のループ部分100−2とインタフェース(連結)する)。第1のループ部分100−1は、所望の移相を導入することができるように構成された、移相機構30によって分離された、第1の超伝導材10、第2の超伝導材20を含んでいる、移相装置123を含む。第2のループ部分100−2は、超伝導材40を含む。その他の実施形態では、移相は、例えば、粒界によって導入することができる。ある実施形態における移相の所望の大きさは、α=π/2であり、そのような移相が二つの基底状態縮退を成し、SLIQが量子ビット装置として機能することができる。また、この実施形態は、基板90及び絶縁材50も含む。
【0048】
第1のループ部分100−1及び第2のループ部分100−2を製造する方法は、異なる技術を必要としうる。参照した米国仮出願第60/316、134号に記述されたような、かかる装置を製造する方法の例は、第1のループ部分100−1を準備しかつ絶縁する段階、c軸ヘテロ構造接合を準備するために絶縁材の領域をエッチングする段階、中間材を成長させる段階、及び第2のループ部分100−2を形成する材料を成長させる段階を含む。第1のループ部分100−1は、第1のループ部分100−1にわたる移行においてπ/2の移相を生じさせることができる、本発明による移相装置123を含むことができる。
【0049】
SLIQ設計により量子ビットを製造するこの方法によれば、移相装置123を製造するための技術は、装置の残りの部分を製造するための技術とは異なりうる。この有利な形態は、本発明のこれらの実施形態をスケーリングに対して都合よくし、かつより大きなアレイ及び回路を形成する。
【0050】
本発明の実施形態は、異なる製造方法を必要としうる装置の一部として、移相装置を製造する方法を提供する。図3は、移相回路200の実施形態を製造する動作を示す。第1の動作において移相装置123を基板120の上に製造することができる。絶縁層130は、通常の超伝導回路から絶縁層を隔離するために移相装置123にわたり成長させることができる。基板120を形成するために用いることができる材料は、サファイア及びSrTiO3を含む。接触端子111−1及び111−2は、移相装置123への電気的結合を供給するために絶縁層130に開口をまずエッチングすることによって形成することができる。開口は、例えば、電子ビーム・リソグラフィによってエッチングすることができる。それに続いて、接触端子111−1及び111−2を形成するために開口に導電性材料を成長させることができる。
【0051】
図4は、移相回路200を製造する後続の動作を示し、通常の超伝導回路層800が絶縁層130上に成長され、接触端子111−及び111−2をそれぞれ通して移相装置123に接続される。通常の超伝導回路層800は、アルミニウムのような、s波超伝導体を含んでいる、通常の超伝導体から形成することができる。
【0052】
図5は、移相回路200を形成する代替方法を示す。この方法の動作は、通常の超伝導回路層800を基板120上に形成することである。基板120は、例えば、サファイア及びSrTiO3から形成することができる。絶縁層130の第1の部分は、通常の超伝導回路層800にわたり成長させることができる。接触端子111−1及び111−2は、通常の超伝導回路層800と移相装置123との間に電気的結合を供給するために絶縁層130の第1の部分に形成することができる。移相装置123は、絶縁層130の第1の部分の上に横たわるように製造することができる。移相装置123は、接触端子111−1及び111−2を通して超伝導回路層800に電気的に結合することができる。次に、絶縁層130の第2の部分は、その環境(周囲)から移相回路300(200)を隔離するために成長させることができる。
【0053】
本発明のある実施形態は、超伝導量子ビットを製造するために用いたものと同じ製造方法を用いて製造することができる。
【0054】
超伝導量子ビット案の最も重要な効果の一つは、多数の量子ビットに対するスケーラビリティである。有用な数の量子ビットは、約102から103の量子ビットでありうる。かかる多数の量子ビットは、量子コンピュータを用いて複雑な量子アルゴリズムを実行するために必要である。それゆえに、本発明の実施形態は、複数の量子ビット装置を製造することにおける初期段階として、複数の移相装置を含むチップを製造する方法を提供する。本発明のある実施形態において多くの移相装置123は、移相器チップ500を形成するためにアレイに配列される。
【0055】
図6A〜図6Cは、N×Mの移相装置123を含む移相器チップ500を形成する方法を示す。
【0056】
図6Aは、バイ・エピタキシャル製造で移相器チップ500を形成する方法を示す。基板90が形成されかつシード層95が基板90の上に横たわるように形成される。開口90−1,1〜N,Mは、下に横たわっている基板90を露出するためにシード層95にエッチングされる。基板90は、チタン酸ストロンチウムまたはサファイアから形成することができる。シード層95は、例えばMgOまたはCeOから形成することができる。
【0057】
図6Bは、次の動作において超伝導体240がシード層95の上に(横たわるように)形成されることを示す。シード層95の開口において超伝導体240の結晶軸の方位は、異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,Mを形成するために基板90の結晶軸の方位、θ1によって決定される。シード層95の開口から離れた領域において超伝導体240の結晶軸の方位は、シード層95の結晶軸の方位、θ2によって決定される。超伝導体240の超伝導秩序変数の方位は、超伝導材240の結晶軸の方位に一般に平行または垂直である。ある場合において超伝導体240の秩序変数の方位は、下に横たわっている材料の結晶軸と0°または90°とは異なる角度を形成することができる。超伝導体240の結晶軸の方位が開口の領域において及び開口から離れて異なるので、超伝導体240の秩序変数の方位は、開口の領域において及び開口から離れて異なる。従って、ジョセフソン接合は、異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,Mと超伝導体240との間の境界領域に形成される。
【0058】
図6Cは、移相器チップ500を形成する次の動作を示す。超伝導体240は、領域のアレイ以外では離れるようにエッチングされ、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを形成する。このアーキテクチャでは、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mは、異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,Mを有するジョセフソン接合を形成する。
【0059】
異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを形成する方法は、超伝導体240の上にマスク層を成長させ、次いで、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,M領域が形成される領域を除いて、全ての場所でマスク層を露出しかつ硬化する段階を含む。硬化されたマスク層領域は、後続のエッチング段階において異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを保護する。次に動作でマスク層は、硬化された領域以外では離れるようにエッチングされる。また、超伝導体240及びシード層95も、マスク層の除去の後に露出されたところから離れるようにエッチングされる。提示したエッチング方法は、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを生成する。ジョセフソン−接合−結合異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,M及び異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mは、移相装置123−1,1〜123−N,Mのアレイを形成する。
【0060】
次の動作では絶縁層が移相装置123−1,1〜123−N,Mのアレイの上に成長させられ、かつ接触端子の対応するアレイが形成される。次に、通常の超伝導体回路層が絶縁層の上に形成される。通常の超伝導体ロジックを通常の超伝導体回路に形成することができ、それは接触端子のアレイを通して移相装置123−1,1〜123−N,Mのアレイに結合される。ヘテロ構造接合は、その文献及びそれに記載された参考文献の全てがここに参考文献として採用される、2001年12月6日に出願された、A. Tzalenchuk, Z. Ivanov, and M. Steiningerによる、発明の名称が“Trilayer Heterostructure Junctions”である米国特許出願第10/006,787号に記述されている。
本発明の様々な形態は、ある一定の実施形態に関して記述されたが、本発明は、添付した特許請求の範囲の全ての範疇内の保護の権利を有するということが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1B】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1C】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1D】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1E】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1F】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1G】移相装置の実施形態を示す図である。
【図2】移相装置を含む量子ビットの実施形態を示す図である。
【図3】移相装置を製造する動作を示す図である。
【図4】移相装置を製造する動作を示す図である。
【図5】移相装置を製造する動作を示す図である。
【図6A】移相装置のN×Mアレイを含んでいる移相器チップを製造する動作を示す図である。
【図6B】移相装置の実施形態を示す図である。
【図6C】移相装置の実施形態を示す図である。
【0001】
本発明は、超伝導量子コンピューティングの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピュータは、革命的な新しい技術によって構築され、より改良された計算性能を約束している。超伝導量子コンピューティング・システムに対する最新の提案は、スケーラビリティ及び制御に関して最も有望な技術になっている。
【0003】
量子コンピュータの基本構造ブロックは、量子ビットまたは量子ビットである。量子ビットは、ちょうど古典的コンピューティングにおけるビットのように、二つの基底状態、|0>及び|1>を持つことができる。しかしながら、計算中に、量子ビットの状態がその基底状態の量子合成になり、かつ量子力学の規則により発生するような古典コンピューティングのアナロジーが存在しない。量子情報処理が動作する方法に関する詳細は、よく知られており、例えば、その全てが参照文献として採用される、D. DiVincenze, "The Physical Implementation of Quantum Computers", p.1, S. Braunstein and H. Lo, "Scalable Quantume Computers", Wiley-VCH, Berlin, Germany, 2001を参照のこと。
【0004】
超伝導技術に基づく量子コンピュータは、ジョセフソン接合を含んでいる装置に多くの場合依存する。
【0005】
ジョセフソン接合は、超伝導ループまたはより高価な回路素子に属しうる、二つの超伝導端子を接続するために用いることができる。超伝導端子は、複合秩序変数を有し、超伝導端子の超伝導状態を表す。複合秩序変数は、その振幅及びその位相によって表すことができる。ジョセフソン接合は、ジョセフソン接合の二端子の位相間の差を誘起することができ、そして接合は、多くの場合、この位相差で呼ばれる。例えば、π/2位相差を誘起するジョセフソン接合は、π/2ジョセフソン接合、またはπ/2接合と呼ばれる。
【0006】
磁束量子ビットのある実施は、その全て及びその文献に記載された文献の全てが参照文献として採用される、J.E. Mooij, T. P. Orland, L. Levitov, L. Tian, C. H. van der Wal and S. Lloyd, "Josephson Persistent-Current Qubit", Science vol. 285, p. 1036 (1999)に記述されたような、3つまたは4つのジョセフソン接合を有するマイクロメータの大きさのループを含む。このシステムの基底状態は、ループを貫いている磁束の量で異なる。ループに垂直な静磁界の適用は、これらの基底状態の二つのエネルギーを縮退にする。静磁界の適用は、装置のスケーラビリティ及び有用性を低減する。特に、静磁界の適用は、量子ビットとその周囲との間に散逸結合を生じさせ、結果として合成基底状態間の位相のコヒーレンスの損失を導く。
【0007】
超伝導量子ビットに対する別の提案は、その全て及びその文献に記載された文献の全てが参照文献として採用される、L. Ioffe, V. Geshkenbein, M. Feigel'man, A. Fauchere, and G. Blatter, "Environmentally decoupled s-wave - d-wave - s-wave Josephson junctions for quantum computing" Nature, vol. 398, p. 678 (1999)によって記述されたような、二つの超伝導材料を含み、一つは、等方性秩序変数を有し、別のものは、異方性秩序変数を有する。この論文は、周囲から磁束量子ビットを隔離する機構としてπループを教示している。装置は、複合設計を有し、そして特に、通常の超伝導材料と通常ではない超伝導材料との間に多くのジョセフソン接合を含み、その結果、制約されたスケーラビリティ及びリプロデューシビリティ(再現性)を有する。
【0008】
【特許文献1】
Geordie Rose, Mohammad H. S. Amin, Timothy Duty, Alexandre Zagoskin, and Alexander Omelyanchouk,“Intrinsic phase shift device as an element of a qubit”, 米国仮出願第60/257,624号
【特許文献2】
A. Zagoskin, A. Tsaletchouk, and J. Hilton,2001年8月29日出願, 発明の名称“Superconducting low inductance qubit”, 米国仮出願第60/316、134号
【特許文献3】
A. Tzalenchuk, Z. Ivanov, and M. Steininger, 2001年12月6日出願, 発明の名称“Trilayer Heterostructure Junctions”, 米国特許出願10/006,787号
【非特許文献1】
D. DiVincenze, "The Physical Implementation of Quantum Computers", p.1,
【非特許文献2】
S. Braunstein and H. Lo, "Scalable Quantume Computers", Wiley-VCH, Berlin, Germany, 2001
【非特許文献3】
J.E. Mooij, T. P. Orland, L. Levitov, L. Tian, C. H. van der Wal and S. Lloyd, "Josephson Persistent-Current Qubit", Science vol. 285, p. 1036, 1999
【非特許文献4】
L. Ioffe, V. Geshkenbein, M. Feigel'man, A. Fauchere, and G. Blatter, "Environmentally decoupled s-wave - d-wave - s-wave Josephson junctions for quantum computing" Nature, vol. 398, p. 678, 1999
【非特許文献5】
C. Bruder, A.van Otterlo, and G.T. Zimanyi, "Tunnel Junctions of Unconventional Superconductors", Phys. Rev. B51, 12904-07, 1995
【非特許文献6】
R. R. Schultz, B. Chesca, B. Goetz, C. W. Schneider, A. Schmehl, H. Bielefeldt, H. Hilgenkamp, J. Mannhart, and C. C. Tsuei, "Design and Realization of an all d-Wave dc π-Superconducting Quantum Interference Device", Applied Physics Letters, 76, p.912-14, 2000
【非特許文献7】
F. Tafuri, F. Carillo, F. Lombardi, F. Miletto Granozio, F. Ricci, U. Scotti di Uccio, A. Barone, G. Testa, E. Sarnelli, J. R. Kirtley, "Feasibility of Biepitaxial Yba2Cu3O7-x Josephson Junctions for Fundamental Studies and Potential Circuit Implementation", Los Alamos preprint cond-mat/0010128, 2000
【非特許文献8】
V. V. Ryazanov, V. A. Oboznov, A. Yu. Rusanov, A. V. Veretennikov, A. A. Golubov, J. Aarts in "Coupling of Two Superconductors Through a Ferromagnet: Evidence for π-Junction", LANL preprint cond-mat/0008364, August 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、便利にスケーラブル及びリプロデューシブルであり、かつ周囲結合による最小の散逸を有する超伝導量子ビット装置に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子;第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された移相器を備え、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成される移相装置によって達成される。
【0011】
また、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び前記第1及び第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された移相器手段を備えている移相装置によって達成される。
【0012】
更に、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子を供給する段階;第2の位相を有している、第2の超伝導端子を供給する段階;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に移相器を結合する段階を具備し、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成される移相方法によって達成される。
【0013】
本発明の上記課題は、移相装置であり、第1の位相を有している、第1の超伝導端子;第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された、移相器を備え、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された該移相装置;及び前記移相装置に結合された超伝導回路を備える移相器回路によって達成される。
【0014】
また、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び前記第1及び第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、移相器手段を備えている移相装置手段と;前記移相装置手段に結合された、超伝導回路手段と、を備えている移相器回路によって達成される。
【0015】
更に、本発明の上記課題は、移相装置を供給する段階を具備し;前記移相装置を供給する段階は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子を供給する段階;第2の位相を有している、第2の超伝導端子を供給する段階;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子を移相器に結合する段階、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成され;及び超伝導回路を前記移相装置に結合する段階を具備する移相方法によって達成される。
【0016】
本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子;第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された、移相器をそれぞれ備え、前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、複数の移相装置と、及び前記複数の移相装置に結合された、超伝導回路とを備えている移相器チップによって達成される。
【0017】
また、本発明の上記課題は、第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び前記第1の超伝導端子手段及び前記第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、移相器をそれぞれ備えた複数の移相装置手段と、及び前記複数の移相装置手段に結合された、超伝導回路手段とを備えている移相器チップによって達成される。
【0018】
更に、本発明の上記課題は、第1の結晶軸方位を有する基板を形成する段階;前記基板の上に横たわる、第2の結晶軸方位を有するシード層を形成する段階であり、該第2の結晶軸方位が前記第1の結晶軸方位とは異なる、該段階;前記シード層に複数の開口を形成する段階;及び前記複数の開口の上に横たわる複数の移相装置を形成する段階を具備する移相器チップを製作する方法によって達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超伝導移相装置が提供される。本発明の実施形態は、接合の二つの超伝導端子の秩序変数の位相間に移相αを生じさせることができる。αは、−πとπの間の値を仮定することができる。
かかる移相装置は、あらゆる種類の超伝導量子コンピューティング・システムで用いることができる。例えば、移相装置は、磁束量子ビット、または量子ビット、を製造することに役立ちうる。量子ビットの例は、移相装置が二重縮退グラウンド状態を生成するためにループを自己バイアスすることができ、二つの縮退グラウンド状態が両方向に流れる超伝導電流によって識別される、ジョセフソン接合を有する超伝導ループである。二つの縮退グラウンド状態は、量子ビットの基底状態として用いることができ、従って超伝導ループを量子コンピューティングに用いることができる。
【0020】
本発明によれば、移相装置は、周辺の超伝導回路を製造するために用いた方法とは異なる方法を用いて製造することができる。ある実施形態では、移相装置を基板上に製造し、続いて移相装置の上に横たわっている層に通常の超伝導回路を製造することができるように絶縁することができ、必要なところで移相装置に接続することができる。代替的に、通常の超伝導回路層は、基板上に製造することができ、続いて絶縁され、かつ移相装置は、次いで、通常の超伝導回路層の上に横たわって製造し、回路に接続することができる。ある実施形態では、移相装置は、超伝導回路と同じ層に製造することができる。
【実施例】
【0021】
移相装置は、Geordie Rose, Mohammad H. S. Amin, Timothy Duty, Alexandre Zagoskin, and Alexander Omelyanchoukによる、発明の名称が“Intrinsic phase shift device as an element of a qubit”である、米国仮出願第60/257,624号によって先に記述されている。移相装置は、図1Aから図1Gに関して記述される。
【0022】
図1Aは、両方の超伝導端子が移相器、この実施形態ではd波超伝導体240、に結合された、第1の超伝導端子210、第2の超伝導端子211のアーキテクチャを有する移相装置123の例を示す。第1の超伝導端子210は、第1の位相を有している、第1の秩序変数を有し、かつ第2の超伝導端子211は、第2の位相を有している、第2の秩序変数を有する。移相器は、第1の位相と第2の位相との間に差を生じさせることができるように構成されている。第1の位相と第2の位相との間の差は、移相(位相のずれ・移相)と呼ばれる。超伝導端子210及び211を流れる電流は、IS0及びIS1で表示される。
【0023】
図1Aは、S/N/D/N/Sヘテロ構造(異形構造)を有している二端子移相装置123の実施形態の平面図である。ここで“S”はs波超伝導体、“N”は標準金属、及び“D”はd波超伝導体をそれぞれ表す。図1Aに示す実施形態は、移相器に電気的に結合される、標準金属コネクタ250に電気的に結合された、s波超伝導端子210を含む。
【0024】
この実施形態では、移相器は、d波超伝導体240である。異なる実施形態では、移相器は、あらゆる異方性超伝導体、例えば、p波、d波、またはs+d波超伝導体でありうる。ある実施形態では、d波超伝導体240は、dが約0と約0.6との間である、YBa2Cu3O7-dのような、高温超伝導体である。ある実施形態では超伝導端子210及び211は、あらゆる種類の超伝導体でありうる。
【0025】
d波超伝導体240は、s波超伝導端子211に電気的に結合される、標準金属コネクタ251に更に電気的に結合される。ある実施形態では、超伝導端子210及び211の長さLS0、LS1、LS2、LS3及び幅WS0、WS1は、全て異なりうる。ある実施形態では、超伝導端子210及び211の長さ及び幅は、約5ミクロンよりも小さいことがありうる。
【0026】
d波超伝導体240は、第1の側で超伝導端子210に結合されかつ第2の側で超伝導端子211に結合される。第1及び第2の側は、図1Aに示した、角度θを規定する。角度θは、移相装置123によってもたらされた移相を決定する。例えば、第1及び第2の側が互いに直角であるような実施形態では、全移相は、移相装置123にわたりπである。第1及び第2の側が直接的に対向しかつ互いに並行(θ=0°)であるような実施形態では、全移相は、移相装置123にわたりゼロである。これにより、総称角度(generic angle)θは、2θの移相を導く。
【0027】
図1Bは、π移相装置の実施形態を示す。角度θは、90°であり、180°またはπラジアンの移相をもたらす。この実施形態では標準金属コネクタ250は、d波超伝導体240の結晶軸方位に平行であり、かつ標準金属コネクタ251は、d波超伝導体240の別の結晶軸方位に平行である。ある実施形態では標準金属コネクタ250及び251は、結晶軸方位に平行であるが、しかし90°の角度θを形成する。
【0028】
標準金属コネクタ250及び251の物理特性、幅及び長さは、超伝導端子210とd波超伝導体240との間、及び超伝導端子211とd波超伝導体240との間にジョセフソン接合を形成するように選択することができる。d波超伝導体240及び標準金属コネクタ250及び251の寸法(ディメンション)は、重要ではない。
【0029】
ある実施形態では超伝導端子210及び211は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)または錫(Sn)でありうる。本発明の実施形態は、ニオブで作られた超伝導端子210及び211、金で作られたコネクタ250及び251、およびYBa2Cu3O6.68で作られたd波超伝導体240を有しうる。長さLS0、LS1、LS2、及びLS3は概ね0.5ミクロンでありうるし、幅WS0及びWS1は概ね0.5ミクロンでありうるし、そしてコネクタ250及び251は概ね0.05ミクロン厚さでありうる。図1Bに示す移相装置123の実施形態は、超伝導端子210と211との間の移行で累積されたπの全移相を生成する。
【0030】
図1Cは、移相装置123の二端子実施形態の平面図を示す。移相装置123は、異方性超伝導体241と242との間にジョセフソン接合260を含んでいるヘテロ構造を含む。ある実施形態では異方性超伝導体241及び242は、dが0<d<0.6である、YBa2Cu3O7-dのような、d波超伝導体でありうる。異方性超伝導体241及び242は、粒界に関して結晶軸方位θ及びθ‘を有し、θ“=θ−θ‘である、不整合の角度θ“を規定する。一般に、超伝導体の結晶軸方位は、その超伝導体の秩序変数の方位と相関する。粒界に関して異方性超伝導体241及び242の不整合の角度、θ“を変更することは、粒界260にわたる移相に影響を与える。例えば、図1Cは、π/2移相をもたらす、θ“=45°の不整合角度を示す。かかる接合の動作は、その両方の文献がここに参考文献として採り入れられる、C. Bruder, A.van Otterlo, and G.T. Zimanyi, "Tunnel Junctions of Unconventional Superconductors", Phys. Rev. B51, 12904-07 (1995)、及びR. R. Schultz, B. Chesca, B. Goetz, C. W. Schneider, A. Schmehl, H. Bielefeldt, H. Hilgenkamp, J. Mannhart, and C. C. Tsuei, "Design and Realization of an all d-Wave dc π-Superconducting Quantum Interference Device", Applied Physics Letters, 76, p.912-14 (2000)によって詳細に記述されたように、よく知られている。
【0031】
ある実施形態ではジョセフソン接合260は、粒界接合として形成される。超伝導体は、多くの場合、結晶軸方位即ち超伝導体の秩序変数の方位が基板の結晶軸方位によって決定されるように基板上に形成する。従って、粒界接合は、既存の格子−不整合粒界を有する双結晶(バイ・クリスタル)基板上に異方性超伝導体240及び241を成長させることによって形成することができる。双結晶基板の粒界は、異方性超伝導体240及び241をそれ自体が粒界を形成する結晶軸方位で形成させることができ、接合を生成する。
【0032】
図1Dは、移相装置123の断面図を示す。異方性超伝導体241及び242は、基板上で成長される。ある実施形態では、基板90は、既存の粒界を有する双結晶基板でありうる。基板90は、市販されている、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)またはTi:Al2O3(サファイア)のような、絶縁体から形成することができる。
【0033】
この実施形態では異方性超伝導体240及び241は、c軸ヘテロ構造接合によって超伝導端子210及び211に結合される。c軸ヘテロ接合は、異方性超伝導体241及び242に標準金属コネクタ250及び251をそれぞれ形成することによって生成することができる。超伝導端子211及び210は、標準金属コネクタ250及び251にわたり続いて成長させることができる。そして、絶縁層50を異方性超伝導体241及び242の上に形成することができるが、超伝導端子210及び211に対する開口を有している。
【0034】
標準金属コネクタ250及び251は、金、銀、またはアルミニウムのような、金属導体、またはドープされたカリウムヒ素のような、半導体から形成することができる。異方性超伝導体241及び242は、dが約0と約0.6との間にある、YBa2Cu3O7-dのような、d波超伝導体でありうる。絶縁材50は、超伝導端子210及び211を電気的に隔離することができるように構成されたあらゆる材料でありうる。
【0035】
異方性超伝導体241及び242間のジョセフソン接合260は、粒界でありうる。ある実施形態では、接合260は、異方性超伝導材が、シード層によって部分的に覆われる基板90上に成長されるような、バイ−エピタキシャル方法を用いることによって形成することができる。異方性超伝導体が基板及びシード層上に成長される場合には、異方性超伝導体は、基礎角度(下に横たわる角度)の結晶軸によって決定された結晶軸で成長する。シード層の結晶軸は、基板の結晶軸の方位とは異なる方位に配向することができる。この場合には異方性超伝導体は、シード層上及び基板自体の上に異なる結晶軸方位で成長する。従ってシード層のエッジ(縁)で粒界は、異方性超伝導体内に形成され、異方性超伝導体240及び241を事実上形成する。ある実施形態では基板は、例えば、チタン酸ストロンチウムのような、絶縁体でありうるし、かつシード層は、CeO(酸化セリウム)またはMgO(酸化マグネシウム)でありうる。超伝導装置の製造の形態は、例えば、その全体がここに参考文献として採用される、F. Tafuri, F. Carillo, F. Lombardi, F. Miletto Granozio, F. Ricci, U. Scotti di Uccio, A. Barone, G. Testa, E. Sarnelli, J. R. Kirtley in "Feasibility of Biepitaxial Yba2Cu3O7-x Josephson Junctions for Fundamental Studies and Potential Circuit Implementation", Los Alamos preprint cond-mat/0010128(2000)によって記述されている。
【0036】
ある実施形態では標準金属コンダクタ250は、異方性超伝導体241をs波超伝導端子211に結合する。ある実施形態では標準金属コンダクタ251は、異方性超伝導体242をs波超伝導端子210に結合する。ある実施形態では標準金属コネクタ250及び251は、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、またはその他の金属でありうるし、かつs波超伝導端子210及び211は、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)またはその他の通常の超伝導体でありうる。
【0037】
ある実施形態では長さLS0、LS1、LS2、LS3、及び幅WS0、WS1は、全て異なりうる。ある実施形態では長さのそれぞれは、約1ミクロンよりも小さいことがありうる。標準金属コネクタ250及び251の物理特性及び空間拡張は、超伝導端子210と異方性超伝導体241の間に、及び超伝導端子211と異方性超伝導体242との間に、それぞれジョセフソン接合を形成するように選択することができる。超伝導端子210及び211を流れる電流は、IS0及びIS1でそれぞれ表示される。異方性超伝導体241及び22、及び標準金属コネクタ250及び251のディメンションは、重要ではない。
【0038】
図1Cに示したような、移相装置123の実施形態によれば、超伝導端子210及び211はニオブ、コネクタ250及び251は金で製作することができ、かつ異方性超伝導体241及び242は、YBa2Cu3O6.68で製作することができる。長さLS0、LS1、LS2、及びLS3、は、概ね0.5ミクロンでありうるし、幅WS0及びWS1は、概ね0.5ミクロンでありうるし、かつ通常の金コネクタ250及び251は、概ね0.05ミクロン厚さでありうる。異方性超伝導体241及び242は、異方性超伝導体241の結晶軸方位が粒界接合260と+22.5°の角度を成しかつ異方性超伝導体242の結晶軸方位が粒界接合260と−22.5°を成す、対称22.5°/22.5°格子不整合を有することができる。この種の粒界接合260は、超伝導体241及び242の結晶軸方位間の角度が45°なので、対称45°粒界と一般に呼ばれる。この実施形態は、粒界接合260にわたり累積されたπの移相を生成する。この実施形態は、対称45°粒界で自発的超伝導電流または磁束が生成されないし、従って超伝導電子回路の移相装置123によるノイズが低減されるという意味で“静か”でもある。
【0039】
図1Eは、二端子移相装置123の別の実施形態の平面図を示す。この実施形態は、超伝導端子210と超伝導端子211との間の接合領域、及び接合領域に形成された強磁性体276を含む。この実施形態では強磁性体276は、超伝導端子210の上にあり、かつ超伝導端子211は、強磁性体276の上にある。絶縁領域275は、超伝導端子210及び211を互いに隔離するために形成される。超伝導端子210と超伝導端子211の間のジョセフソン接合は、図1Eに示す面に垂直な軸に沿って存在する。
【0040】
強磁性体276の形状は、移相の角度を決定する。図1Eにおいて、長さLS1及びLS3は、超伝導端子210及び211の長さをそれぞれ示す。HT0及びHT1は、超伝導端子210のエッジと絶縁領域275のエッジとの間の距離及び超伝導端子211のエッジと絶縁領域275のエッジとの間の距離をそれぞれ示す。数量HF及びWFは、強磁性体276の高さ及び幅をそれぞれ示す。長さDT1は、超伝導端子211のエッジと超伝導端子210のエッジとの間の距離を示す。ある実施形態では長さ及び幅DT1、HT1、LS2、HT0、WS0、及びWS1は、全て異なりうるしかつ、ある実施形態では、全て5ミクロンよりも小さい。ある実施形態では長さHF及びWFは、異なりうるしかつ、ある実施形態では、所望の移相を与えるように選択されたこれらの長さで、1ミクロンよりも小さいことがありうる。超伝導端子210及び211を流れる電流は、IS0及びIS1でそれぞれ表示される。
【0041】
図1Fは、s波超伝導端子210とs波超伝導端子211との間に強磁性体276を有する移相装置123の実施形態の断面図を示す。絶縁領域275は、超伝導端子210と211の間に絶縁を供給する。
【0042】
ある実施形態では超伝導端子210及び211は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、またはs波電子対対称(pairing symmetry)を有するその他の超伝導体でありうる。ある実施形態では絶縁領域275は、酸化アルミニウム(AlO2)、またはその他の絶縁材でありうる。ある実施形態では強磁性体276は、銅とニッケルの合金(Cu:Ni)、またはその他の強磁性材でありうる。図1E及び図1Fに示された移相装置123の実施形態を製造する一つの方法は、その全体が参考文献としてここに採用される、V. V. Ryazanov, V. A. Oboznov, A. Yu. Rusanov, A. V. Veretennikov, A. A. Golubov, J. Aarts in "Coupling of Two Superconductors Through a Ferromagnet: Evidence for π-Junction", LANL preprint cond-mat/0008364 (August 2000)によって記述される。
【0043】
図1Gは、s波超伝導端子210と211の間の接合領域に埋め込まれた強磁性体276を有している二端子移相装置123の別の実施形態の平面図を示す。この実施形態ではs波超伝導端子210/強磁性体276/s波超伝導端子211接合は、図1Gの面に存在する。それゆえに、強磁性体276は、超伝導端子210及び211の面に直接存在する。強磁性体276の形状は、接合の移相を決定する。ある実施形態では長さ及び幅DT1、HT1、LS2、WS0、及びWS1は、全て異なりうるしかつ、ある実施形態では、全てが5ミクロンよりも小さい。ある実施形態では長さHF及び幅WFは、所望の移相を与えるために選択されたこれらの長さで、異なりうるしかつ約1ミクロンよりも小さいものでありうる。超伝導端子210及び211に流れる電流は、IS0及びIS1でそれぞれ示される。ある実施形態では超伝導端子210及び211は、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、錫(Sn)、またはs波電子対対称を有するその他の超伝導体でありうる。ある実施形態では強磁性体276は、銅とニッケルの合金(Cu:Ni)またはその他の強磁性材でありうる。強磁性体276は、例えば、超伝導接合への強磁性基板の注入によって準備することができる。
【0044】
超伝導回路の構成素子として、移相装置123は、例えば、G. Rose, M. Amin, T. Duty, A. Zagoskin, and A. Omelyanchoukによる米国仮出願第60/257,624号によって先に記述されている。例えば、移相装置123は、量子ビット、または超伝導ループに含むことができ、αが0とπとの間の範囲でありうる、移相αを誘起する。
【0045】
多くの超伝導量子ビット設計は、量子ビット縮退の二つの基底状態を成すことを移相に要求する。ある設計では、基底状態間の縮退は、静磁界の適用によって達成される。かかる磁界は、量子ビットの基底状態の時間進行における散逸をもたらしうるので望ましくない。
【0046】
図2は、移相装置123が量子ビット設計に組込まれる、本発明の実施形態を示す。移相装置123は、磁界の適用なしで量子ビット縮退の二つの基底状態を成すことができるように構成される。超伝導低インダクタンス量子ビット(SLIQ)として知られた、特定の設計は、この仮出願及びそれに記載された文献が全体としてここに参考文献として採用される、A. Zagoskin, A. Tsaletchouk, and J. Hiltonによる、2001年8月29日に出願された、発明の名称が“Superconducting low inductance qubit”である、米国仮出願第60/316、134号によって先に開示されている。SLIQは、第1の部分及び第2の部分を有する超伝導ループを含む。ループの第1の部分は、二つの異方性超伝導材を分離している、ジョセフソン接合を含む。ループの第2の部分は、第1のループの二つの異方性超伝導材によって形成されたジョセフソン接合にわたるようにループの第1の部分に結合される通常の超伝導材を含む。ある実施形態では、ループの第2の部分の通常の超伝導材は、c軸ヘテロ構造トンネル接合を通してループの第1の部分の材料に結合することができる。
【0047】
図2は、SLIQが、第1のループ部分100−1及び第2のループ部分100−2を含むループを含むような、実施形態100を示す。第1のループ部分100−1は、接合60−1及び60−2を通して第2のループ部分100−2とインタフェース(連結)する)。第1のループ部分100−1は、所望の移相を導入することができるように構成された、移相機構30によって分離された、第1の超伝導材10、第2の超伝導材20を含んでいる、移相装置123を含む。第2のループ部分100−2は、超伝導材40を含む。その他の実施形態では、移相は、例えば、粒界によって導入することができる。ある実施形態における移相の所望の大きさは、α=π/2であり、そのような移相が二つの基底状態縮退を成し、SLIQが量子ビット装置として機能することができる。また、この実施形態は、基板90及び絶縁材50も含む。
【0048】
第1のループ部分100−1及び第2のループ部分100−2を製造する方法は、異なる技術を必要としうる。参照した米国仮出願第60/316、134号に記述されたような、かかる装置を製造する方法の例は、第1のループ部分100−1を準備しかつ絶縁する段階、c軸ヘテロ構造接合を準備するために絶縁材の領域をエッチングする段階、中間材を成長させる段階、及び第2のループ部分100−2を形成する材料を成長させる段階を含む。第1のループ部分100−1は、第1のループ部分100−1にわたる移行においてπ/2の移相を生じさせることができる、本発明による移相装置123を含むことができる。
【0049】
SLIQ設計により量子ビットを製造するこの方法によれば、移相装置123を製造するための技術は、装置の残りの部分を製造するための技術とは異なりうる。この有利な形態は、本発明のこれらの実施形態をスケーリングに対して都合よくし、かつより大きなアレイ及び回路を形成する。
【0050】
本発明の実施形態は、異なる製造方法を必要としうる装置の一部として、移相装置を製造する方法を提供する。図3は、移相回路200の実施形態を製造する動作を示す。第1の動作において移相装置123を基板120の上に製造することができる。絶縁層130は、通常の超伝導回路から絶縁層を隔離するために移相装置123にわたり成長させることができる。基板120を形成するために用いることができる材料は、サファイア及びSrTiO3を含む。接触端子111−1及び111−2は、移相装置123への電気的結合を供給するために絶縁層130に開口をまずエッチングすることによって形成することができる。開口は、例えば、電子ビーム・リソグラフィによってエッチングすることができる。それに続いて、接触端子111−1及び111−2を形成するために開口に導電性材料を成長させることができる。
【0051】
図4は、移相回路200を製造する後続の動作を示し、通常の超伝導回路層800が絶縁層130上に成長され、接触端子111−及び111−2をそれぞれ通して移相装置123に接続される。通常の超伝導回路層800は、アルミニウムのような、s波超伝導体を含んでいる、通常の超伝導体から形成することができる。
【0052】
図5は、移相回路200を形成する代替方法を示す。この方法の動作は、通常の超伝導回路層800を基板120上に形成することである。基板120は、例えば、サファイア及びSrTiO3から形成することができる。絶縁層130の第1の部分は、通常の超伝導回路層800にわたり成長させることができる。接触端子111−1及び111−2は、通常の超伝導回路層800と移相装置123との間に電気的結合を供給するために絶縁層130の第1の部分に形成することができる。移相装置123は、絶縁層130の第1の部分の上に横たわるように製造することができる。移相装置123は、接触端子111−1及び111−2を通して超伝導回路層800に電気的に結合することができる。次に、絶縁層130の第2の部分は、その環境(周囲)から移相回路300(200)を隔離するために成長させることができる。
【0053】
本発明のある実施形態は、超伝導量子ビットを製造するために用いたものと同じ製造方法を用いて製造することができる。
【0054】
超伝導量子ビット案の最も重要な効果の一つは、多数の量子ビットに対するスケーラビリティである。有用な数の量子ビットは、約102から103の量子ビットでありうる。かかる多数の量子ビットは、量子コンピュータを用いて複雑な量子アルゴリズムを実行するために必要である。それゆえに、本発明の実施形態は、複数の量子ビット装置を製造することにおける初期段階として、複数の移相装置を含むチップを製造する方法を提供する。本発明のある実施形態において多くの移相装置123は、移相器チップ500を形成するためにアレイに配列される。
【0055】
図6A〜図6Cは、N×Mの移相装置123を含む移相器チップ500を形成する方法を示す。
【0056】
図6Aは、バイ・エピタキシャル製造で移相器チップ500を形成する方法を示す。基板90が形成されかつシード層95が基板90の上に横たわるように形成される。開口90−1,1〜N,Mは、下に横たわっている基板90を露出するためにシード層95にエッチングされる。基板90は、チタン酸ストロンチウムまたはサファイアから形成することができる。シード層95は、例えばMgOまたはCeOから形成することができる。
【0057】
図6Bは、次の動作において超伝導体240がシード層95の上に(横たわるように)形成されることを示す。シード層95の開口において超伝導体240の結晶軸の方位は、異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,Mを形成するために基板90の結晶軸の方位、θ1によって決定される。シード層95の開口から離れた領域において超伝導体240の結晶軸の方位は、シード層95の結晶軸の方位、θ2によって決定される。超伝導体240の超伝導秩序変数の方位は、超伝導材240の結晶軸の方位に一般に平行または垂直である。ある場合において超伝導体240の秩序変数の方位は、下に横たわっている材料の結晶軸と0°または90°とは異なる角度を形成することができる。超伝導体240の結晶軸の方位が開口の領域において及び開口から離れて異なるので、超伝導体240の秩序変数の方位は、開口の領域において及び開口から離れて異なる。従って、ジョセフソン接合は、異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,Mと超伝導体240との間の境界領域に形成される。
【0058】
図6Cは、移相器チップ500を形成する次の動作を示す。超伝導体240は、領域のアレイ以外では離れるようにエッチングされ、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを形成する。このアーキテクチャでは、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mは、異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,Mを有するジョセフソン接合を形成する。
【0059】
異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを形成する方法は、超伝導体240の上にマスク層を成長させ、次いで、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,M領域が形成される領域を除いて、全ての場所でマスク層を露出しかつ硬化する段階を含む。硬化されたマスク層領域は、後続のエッチング段階において異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを保護する。次に動作でマスク層は、硬化された領域以外では離れるようにエッチングされる。また、超伝導体240及びシード層95も、マスク層の除去の後に露出されたところから離れるようにエッチングされる。提示したエッチング方法は、異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mを生成する。ジョセフソン−接合−結合異方性超伝導領域241−1,1〜241−N,M及び異方性超伝導領域242−1,1〜242−N,Mは、移相装置123−1,1〜123−N,Mのアレイを形成する。
【0060】
次の動作では絶縁層が移相装置123−1,1〜123−N,Mのアレイの上に成長させられ、かつ接触端子の対応するアレイが形成される。次に、通常の超伝導体回路層が絶縁層の上に形成される。通常の超伝導体ロジックを通常の超伝導体回路に形成することができ、それは接触端子のアレイを通して移相装置123−1,1〜123−N,Mのアレイに結合される。ヘテロ構造接合は、その文献及びそれに記載された参考文献の全てがここに参考文献として採用される、2001年12月6日に出願された、A. Tzalenchuk, Z. Ivanov, and M. Steiningerによる、発明の名称が“Trilayer Heterostructure Junctions”である米国特許出願第10/006,787号に記述されている。
本発明の様々な形態は、ある一定の実施形態に関して記述されたが、本発明は、添付した特許請求の範囲の全ての範疇内の保護の権利を有するということが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1B】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1C】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1D】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1E】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1F】移相装置の実施形態を示す図である。
【図1G】移相装置の実施形態を示す図である。
【図2】移相装置を含む量子ビットの実施形態を示す図である。
【図3】移相装置を製造する動作を示す図である。
【図4】移相装置を製造する動作を示す図である。
【図5】移相装置を製造する動作を示す図である。
【図6A】移相装置のN×Mアレイを含んでいる移相器チップを製造する動作を示す図である。
【図6B】移相装置の実施形態を示す図である。
【図6C】移相装置の実施形態を示す図である。
Claims (75)
- 第1の位相を有している、第1の超伝導端子;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された移相器
を備え、
前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成されることを特徴とする移相装置。 - 前記移相器は、異方性超伝導体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の移相装置。
- 前記異方性超伝導体は、d波超伝導体であることを特徴とする請求項2に記載の移相装置。
- 前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子は、s波超伝導体を備えていることを特徴とする請求項2に記載の移相装置。
- 前記異方性超伝導体は、第1の側を通して前記第1の超伝導端子に結合され;かつ
前記異方性超伝導体は、第2の側を通して前記第2の超伝導端子に結合され;
前記第1の側及び前記第2の側は、不整合角度を規定することを特徴とする請求項2に記載の移相装置。 - 前記不整合角度は、約90度であることを特徴とする請求項5に記載の移相装置。
- 前記移相器は、第1のコネクタを通して前記第1の超伝導端子に電気的に結合され;かつ
前記移相器は、第2のコネクタを通して前記第2の超伝導端子に電気的に結合されることを特徴とする請求項2に記載の移相装置。 - 前記第1の超伝導端子、前記第2の超伝導端子、前記第1のコネクタ、前記第2のコネクタ、及び前記移相器は、基板の上に横たわることを特徴とする請求項7に記載の移相装置。
- 前記第1のコネクタは、前記移相器に隣接し;
前記第1の超伝導端子は、前記第1のコネクタに隣接し;
前記第2のコネクタは、前記移相器に隣接し;かつ
前記第2の超伝導端子は、前記第2のコネクタに隣接する
ことを特徴とする請求項8に記載の移相装置。 - 前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、標準的な金属を備えていることを特徴とする請求項7に記載の移相装置。
- 前記第1の超伝導端子の長さ及び幅と前記第2の超伝導端子の長さ及び幅は、約5ミクロンよりも小さく、
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子は、長さ及び幅を有することを特徴とする請求項2に記載の移相装置。 - 前記移相器と前記第1の超伝導端子との結合は、第1のジョセフソン接合を備え;かつ
前記移相器と前記第2の超伝導端子との結合は、第2のジョセフソン接合を備えることを特徴とする請求項2に記載の移相装置。 - 前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子は、ニオブ、アルミニウム、鉛、または錫を備え;
前記移相器は、YBa2Cu3O7-dを備え、ここでdは、約0と約0.6の間の値を有し;かつ
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、金、銀、またはプラチナを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の移相装置。 - 前記移相器は、複数の異方性超伝導体を備えていることを特徴とする請求項2に記載の移相装置。
- 前記移相器は、
第1の異方性超伝導体;
第2の異方性超伝導体を備え、
前記第1の超伝導体及び前記第2の超伝導体は、ジョセフソン接合によって結合されることを特徴とする請求項14に記載の移相装置。 - 前記ジョセフソン接合は、粒界を備えていることを特徴とする請求項15に記載の移相装置。
- 前記第1の異方性超伝導体は、第1の方位を有する第1の秩序変数を有し;かつ
前記第2の異方性超伝導体は、第2の方位を有する第2の秩序変数を有し、
前記第1の方位及び前記第2の方位は、不整合角度を規定することを特徴とする請求項15に記載の移相装置。 - 前記不整合角度は、約45度であることを特徴とする請求項17に記載の移相装置。
- 前記第1の異方性超伝導体及び前記第2の異方性超伝導体は、基板の上に横たわることを特徴とする請求項15に記載の移相装置。
- 前記第1のコネクタは、前記第1の異方性超伝導体の上に横たわり;かつ
前記第2のコネクタは、前記第2の異方性超伝導体の上に横たわることを特徴とする請求項19に記載の移相装置。 - 前記第1の超伝導端子は、前記第1のコネクタの上に横たわり;かつ
前記第2の超伝導端子は、前記第2のコネクタの上に横たわることを特徴とする請求項20に記載の移相装置。 - 前記移相器は、強磁性体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の移相装置。
- 前記強磁性体は、銅とニッケルの合金であることを特徴とする請求項22に記載の移相装置。
- 前記第1の超伝導端子は、基板の上に横たわり;
前記強磁性体は、前記第1の超伝導体端子の上に横たわり;かつ
前記第2の超伝導端子は、前記強磁性体の上に横たわる
ことを特徴とする請求項22に記載の移相装置。 - 前記第2の超伝導端子は、絶縁体によって前記第1の超伝導端子から分離(隔離)されることを特徴とする請求項24に記載の移相装置。
- 前記絶縁体は、ポリメタクリス酸メチル)またはAlOxであり、ここにxは、整数であることを特徴とする請求項25に記載の移相装置。
- 前記第1の超伝導端子、前記強磁性体及び前記第2の超伝導端子の長さ及び幅、かつ
前記第1の超伝導端子、前記強磁性体及び前記第2の超伝導端子の相対位置は、それらが前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすものであり、
前記第1の超伝導端子、前記強磁性体及び前記第2の超伝導端子は、長さ、幅、及び相対位置を有することを特徴とする請求項24に記載の移相装置。 - 前記第1の超伝導端子と前記第2の超伝導端子とは、接合領域によって結合され;かつ
前記強磁性体は、前記接合領域に埋め込まれる
ことを特徴とする請求項22に記載の移相装置。 - 前記第1の超伝導端子、前記強磁性体及び前記第2の超伝導端子の長さ及び幅、かつ
前記第1の超伝導端子、前記強磁性体及び前記第2の超伝導端子の相対位置は、それらが前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすものであり、
前記第1の超伝導端子、前記強磁性体及び前記第2の超伝導端子は、長さ、幅、及び相対位置を有する
ことを特徴とする請求項28に記載の移相装置。 - 第1の接合によって前記第1の超伝導端子に結合され、かつ第2の接合によって前記第2の超伝導端子に結合された、通常の超伝導端子を更に備え、
前記第1の超伝導端子、前記第2の超伝導端子、及び前記通常の超伝導端子は、ループを形成することを特徴とする請求項1に記載の移相装置。 - 前記第1及び第2の接合は、c軸ヘテロ接合であることを特徴とする請求項30に記載の移相装置。
- 前記第1の位相と前記第2の位相との間の前記所定の差は、約π/2であることを特徴とする請求項30に記載の移相装置。
- 第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び
前記第1及び第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された移相器手段
を備えていることを特徴とする移相装置。 - 前記移相器手段は、d波超伝導体を備えていることを特徴とする請求項33に記載の移相装置。
- 第1の位相を有している、第1の超伝導端子を供給する段階;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子を供給する段階;及び
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に移相器を結合する段階
を具備し、
前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成されることを特徴とする移相方法。 - 移相器を供給する段階は、異方性超伝導体を供給する段階を具備することを特徴とする請求項35に記載の方法。
- 前記移相器を結合する段階は、
前記第1の超伝導端子を前記移相器の第1の側に結合する段階;
前記第2の超伝導端子を前記移相器の第2の側に結合する段階を具備し、
前記移相器の前記第1の側及び前記第2の側は、不整合角度を規定することを特徴とする請求項35に記載の方法。 - 前記第1の超伝導端子を前記移相器の前記第1の側に結合する段階は、
前記第1の超伝導端子を第1のコネクタに結合する段階、及び
前記第1のコネクタを前記移相器に結合する段階を具備し;かつ
前記第2の超伝導端子を前記移相器の第2の側に結合する段階は、
前記第2の超伝導端子を第2のコネクタに結合する段階、及び
前記第2のコネクタを前記移相器に結合する段階を具備する
ことを特徴とする請求項37に記載の方法。 - 前記移相器を供給する段階は、
第1の方位を有する第1の秩序変数を有している、第1の異方性超伝導体を供給する段階、及び
第2の方位を有する第2の秩序変数を有している、第2の異方性超伝導体を供給する段階を具備し、
前記第1の方位及び前記第2の方位は、不整合角度を規定する
ことを特徴とする請求項35に記載の方法。 - 前記移相器を供給する段階は、
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子を接合に結合する段階;及び
前記接合に強磁性体を供給する段階
を具備することを特徴とする請求項35に記載の方法。 - 移相装置であり、
第1の位相を有している、第1の超伝導端子;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された、移相器
を備え、
前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された該移相装置;及び
前記移相装置に結合された超伝導回路
を備えることを特徴とする移相器回路。 - 前記移相器は、異方性超伝導体を備えていることを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。
- 前記異方性超伝導体は、第1の側を通して前記第1の超伝導端子に結合され;かつ
前記異方性超伝導体は、第2の側を通して前記第2の超伝導端子に結合され;
前記第1の側及び前記第2の側は、不整合角度を規定することを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記移相器は、第1のコネクタを通して前記第1の超伝導端子に電気的に結合され;かつ
前記移相器は、第2のコネクタを通して前記第2の超伝導端子に電気的に結合されることを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子は、ニオブ、アルミニウム、鉛、または錫を備え;
前記移相器は、YBa2Cu3O7-dを備え、ここでdは、約0と約0.6の間の値を有し;かつ
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、金、銀、またはプラチナを備える
ことを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記移相器は、
第1の方位を有する第1の秩序変数を有している、第1の異方性超伝導体;
第2の方位を有する第2の秩序変数を有している、第2の異方性超伝導体を備え、
前記第1の方位及び前記第2の方位は、不整合角度を規定し、かつ
前記第1の超伝導体及び第2の超伝導体は、ジョセフソン接合によって結合されることを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記第1の異方性超伝導体及び前記第2の異方性超伝導体は、基板の上に横たわり;
前記第1のコネクタは、前記第1の異方性超伝導体の上に横たわり;
前記第2のコネクタは、前記第2の異方性超伝導体の上に横たわり;
前記第1の超伝導端子は、前記第1のコネクタの上に横たわり;かつ
前記第2の超伝導端子は、前記第2のコネクタの上に横たわることを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記第1の超伝導端子は、基板の上に横たわり;
強磁性体は、前記第1の超伝導体端子の上に横たわり;かつ
前記第2の超伝導端子は、前記強磁性体の上に横たわる
ことを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記第1の超伝導端子と前記第2の超伝導端子とは、接合領域によって結合され;かつ
前記強磁性体は、前記接合領域に埋め込まれる
ことを特徴とする請求項48に記載の移相器回路。 - 前記移相装置は、基板の上に横たわり;
前記超伝導回路は、前記移相装置の上に横たわり;かつ
第1の接触端子及び第2の接触端子は、前記超伝導回路及び前記移相装置を結合することを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 前記基板は、サファイアまたはSrTiO3である
ことを特徴とする請求項50に記載の移相器回路。 - 絶縁層は、前記移相装置と前記超伝導回路と分離し、
前記第1の接触端子及び前記第2の接触端子は、前記絶縁層の第1の開口及び第2の開口を通して前記超伝導回路及び前記移相装置をそれぞれ結合することを特徴とする請求項50に記載の移相器回路。 - 前記超伝導回路は、基板の上に横たわり;
前記移相装置は、前記超伝導回路の上に横たわり;かつ
第1の接触端子及び第2の接触端子は、前記超伝導回路及び前記移相装置を結合することを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 絶縁層は、前記移相装置及び前記超伝導回路を分離し、
前記第1の接触端子及び前記第2の接触端子は、前記絶縁層の第1の開口及び第2の開口を通して前記超伝導回路及び前記移相装置をそれぞれ結合する
ことを特徴とする請求項53に記載の移相器回路。 - 前記超伝導回路は、量子コンピューティング回路
を備えていることを特徴とする請求項41に記載の移相器回路。 - 第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び
前記第1及び第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、移相器手段
を備えている移相装置手段と;
前記移相装置手段に結合された、超伝導回路手段と、
を備えていることを特徴とする移相器回路。 - 移相装置を供給する段階を具備し;
前記移相装置を供給する段階は、
第1の位相を有している、第1の超伝導端子を供給する段階;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子を供給する段階;及び
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子を移相器に結合する段階、
前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成され;及び
超伝導回路を前記移相装置に結合する段階
を具備することを特徴とする移相方法。 - 移相器を供給する前記段階は、異方性超伝導体を供給する段階を具備することを特徴とする請求項57に記載の方法。
- 第1の位相を有している、第1の超伝導端子;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子;及び
前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子に結合された、移相器をそれぞれ備え、
前記移相器は、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、
複数の移相装置と、及び
前記複数の移相装置に結合された、超伝導回路と、
を備えていることを特徴とする移相器チップ。 - 前記移相器は、異方性超伝導体をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。
- 前記第1の超伝導端子及び前記第2の超伝導端子は、ニオブ、アルミニウム、鉛、または錫を備え;
前記移相器は、YBa2Cu3O7-dをそれぞれ備え、ここでdは、約0と約0.6の間の値を有することを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。 - 前記移相器は、
第1の方位を有する第1の秩序変数を有している、第1の異方性超伝導体;
第2の方位を有する第2の秩序変数を有している、第2の異方性超伝導体をそれぞれ備え、
前記第1の方位及び前記第2の方位は、不整合角度を規定することを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。 - 前記不整合角度は、約45度であることを特徴とする請求項62に記載の移相器チップ。
- 個々の移相器において、前記第1の異方性超伝導体及び前記第2の異方性超伝導体は、ジョセフソン接合によって結合されることを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。
- 前記ジョセフソン接合は、粒界を備えることを特徴とする請求項64に記載の移相器チップ。
- 前記第1の異方性超伝導体及び前記第2の異方性超伝導体は、基板の上に横たわり;
前記第1の超伝導端子は、前記第1の異方性超伝導体の上に横たわり;かつ
前記第2の超伝導端子は、前記第2の異方性超伝導体の上に横たわることを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。 - 前記複数の移相装置は、基板の上に横たわり;
前記超伝導回路は、前記複数の移相装置の上に横たわり;かつ
前記個々の移相装置は、第1の接触端子及び第2の接触端子によって前記超伝導回路に結合されることを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。 - 絶縁層は、前記複数の移相装置と前記超伝導回路とを分離し、
前記個々の移相装置において、前記第1の接触端子及び前記第2の接触端子は、前記絶縁層の第1の開口及び第2の開口を通して前記超伝導回路及び前記個々の移相装置をそれぞれ結合することを特徴とする請求項67に記載の移相器チップ。 - 前記超伝導回路は、基板の上に横たわり;
前記複数の移相装置は、前記超伝導回路の上に横たわり;かつ
前記個々の移相装置は、第1の接触端子及び第2の接触端子によって前記超伝導回路に結合されることを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。 - 絶縁層は、前記複数の移相装置と前記超伝導回路とを分離し、
前記個々の移相装置において、前記第1の接触端子及び前記第2の接触端子は、前記絶縁層の第1の開口及び第2の開口を通して前記超伝導回路及び前記個々の移相装置をそれぞれ結合することを特徴とする請求項69に記載の移相器チップ。 - 前記超伝導回路は、量子コンピューティング回路を備えていることを特徴とする請求項59に記載の移相器チップ。
- 第1の位相を有している、第1の超伝導端子手段;
第2の位相を有している、第2の超伝導端子手段;及び
前記第1の超伝導端子手段及び前記第2の超伝導端子手段に結合され、前記第1の位相と前記第2の位相との間に所定の差をもたらすことができるように構成された、移相器
をそれぞれ備えた複数の移相装置手段と、及び
前記複数の移相装置手段に結合された、超伝導回路手段と、
を備えていることを特徴とする移相器チップ。 - 第1の結晶軸方位を有する基板を形成する段階;
前記基板の上に横たわる、第2の結晶軸方位を有するシード層を形成する段階であり、該第2の結晶軸方位が前記第1の結晶軸方位とは異なる、該段階;
前記シード層に複数の開口を形成する段階;及び
前記複数の開口の上に横たわる複数の移相装置を形成する段階
を具備することを特徴とする移相器チップを製作する方法。 - 複数の移相装置を形成する前記段階は、
前記複数の開口にわたり複数の第1の異方性超伝導体を形成する段階;及び
前記シード層にわたり複数の第2の異方性超伝導体を形成する段階を具備することを特徴とする請求項73に記載の方法。 - 複数の移相装置を形成する前記段階は、
第1の方位を有する第1の秩序変数を有している、複数の第1の異方性超伝導体を形成する段階;及び
第2の方位を有する第2の秩序変数を有している、複数の第2の異方性超伝導体を形成する段階
を具備し、
前記第1の方位は、前記第1の結晶軸方位によって決定され;かつ
前記第2の方位は、前記第2の結晶軸方位によって決定されることを特徴とする請求項74に記載の方法。
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