JP2004522707A - 潜在性アンチトロンビンiiiの製造方法 - Google Patents
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Abstract
潜在性アンチトロンビンIIIの製造方法が提供される。その方法は、硫酸イオンおよびグッド(Good)の両性イオン緩衝液から選択される緩衝液の存在下での固有のアンチトロンビンIIIの溶液のインキュベーションを含む。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、潜在性(latent)アンチトロンビンIIIの製造方法に関する。
【0002】
発明の背景
アンチトロンビンIII(AT)は、総分子量58.1kDaの血漿糖蛋白質であり(レビング(Lebing)ら、Vox Sang. 67、117−124、1994)、凝固カスケード中でセリンプロテアーゼを阻害するため、凝血の制御において、主要な役割を果たす。アンチトロンビンIIIは、IXa、Xa、XI、およびXIIa因子、ならびにトロンビンの阻害物質である。よって、ATは、凝血カスケードの異なる段階において、凝血塊形成を制御する。血液中のAT含有量の小さな変化は、血栓塞栓症の危険性の増加に関連する。ATの濃縮物は、後天性または遺伝性アンチトロンビン欠乏を有する患者において、血栓塞栓性疾患の予防および治療に使用される。また、人体の多くの他のプロセスにおいて、例えば、血管形成および炎症反応において、ATが効用を有することが報告されている。これらの生理学的プロセスにおけるATの効用は、完全には理解されていない。
【0003】
ワルデル(Wardell)ら(バイオケミストリー(Biochemistry) 36、13133−13142、1997)によって最初に特徴付けられた、特別な状態のアンチトロンビンIIIは、潜在型(L−AT)として知られている。L−ATおよび選択的にエラスターゼ切断された変異体が、強い抗血管形成活性を有すること、さらに、ヒト神経芽細胞腫細胞系を皮下注射されたマウスにおいて、腫瘍成長を抑制することが示された(オレイリー(O’Reilly)ら、サイエンス(Science) 285、1926−1928、1999、およびWO 00/20026)。従って、L−ATは、潜在的なヒトの抗がん剤と考えられるはずである。しかし、この潜在的薬剤の臨床評価は、まだ行われていない。
【0004】
アフィニティークロマトグラフィーによるATの精製は、当分野で知られているように、固相結合リガンドとして、精製ヘパリンを用いて行われる。ミラー−アンダーセン(Miller−Andersson)ら(トロンボシス・リサーチ(Thrombosis Research) 5、439−452、1974)には、ヒトATを精製するためにヘパリン−セファロースを使用することが開示されている。このクロマトグラフィーシステムは、ATとL−ATとの分離のためにも有用であり、ここでは、チャン(Chang)およびハーパー((Harper)(トロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis) 77、323−328、1997)によって記載されているように、ATに対してL−ATに対するヘパリンのアフィニティーが減少することにより、2つの成分を分けることが可能になる。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、固有の(native)状態のATと潜在型(latent form)のATとの分離のために使用された(カールソン(Karlsson)、Gおよびウインゲ(Winge)、S. (2001) Protein Expr. Purif. 21:149−155)。
【0005】
潜在型ATの誘導は、あらかじめ、ワルデル(Wardell)ら(上記)に記載されているように行われ、彼らは、15時間、60℃で、0.25Mのクエン酸塩、10mMのトリス/HCl、pH7.4、の中で、ATをインキュベートすることによって、50−60%のL−ATを得た。
【0006】
60℃において、培地または緩衝液のみの中で、固有のアンチトロンビンIIIをインキュベートする際に、重合した蛋白質の凝集体が形成されることがある。これらの凝集体の存在は、潜在性アンチトロンビンIIIの高い収率には不利であり、できるだけ回避すべきである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、固有の(native)アンチトロンビンIII、AT、の溶液から、潜在性(latent)アンチトロンビンIII、L−ATを製造するための方法であって、従来技術の方法より高い収率で所望の生成物を与える方法を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、ATからのL−ATの製造方法であって、AT重合物の凝集体の生成を最小限に保つ方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、ATをL−ATへ転換するための、そのような方法であって、通常入手可能な薬剤および緩衝溶液が使用され、かつ、インビトロで行われる方法を提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、ATからL−ATを製造するための方法であって、L−ATの工業的製造のために、容易にスケールアップされる方法を提供することである。
【0011】
発明の要約
本発明の上記の目的および他の目的は、請求項に規定された方法によって達成される。従って、硫酸イオンおよびグッド(Good)の両性イオン緩衝液から選択される緩衝液の存在下での固有のアンチトロンビンIIIの溶液のインキュベーションを含む方法が提供される。驚くべきことに、これらのインキュベーション条件により、従来技術の方法(特に、ワルデル(Wardell)らのクエン酸塩条件)で得られるものより、はるかに高い収率で、工程からL−ATを回収することができ、一方、可能性がある凝集の問題が回避されることが見出された。
【0012】
図面の説明
図1:0−2Mの塩化ナトリウム勾配を用いたアンチトロンビンのヘパリンアフィニティークロマトグラフィー(5−60分)。蛋白質の注入量は、試料A−Bに対して100μg、試料C−Dに対して150μgであった。加熱処理をしなかった対照のAT試料A以外(実施例では試料7)のすべての試料を、60℃で16時間インキュベートした。試料B(実施例では試料6)は、ワルデル(Wardell)によって、即ち、0.5Mのクエン酸塩中で、インキュベートした。試料C(実施例では試料2)およびD(実施例では試料1)は、それぞれ、0.9Mと0.8Mの硫酸アンモニウムを含む、5mMのHEPES、pH7.4の中で、インキュベートした。22分で溶出した、低アフィニティーヘパリン結合ピークの積分により、試料B、C、およびDそれぞれに対して、全積分領域の44%、71%、および89%が得られた。
【0013】
図2:12.5%のポリアクリルアミドを含む均質なゲルを用いた、アンチトロンビン試料の固有の電気泳動。試料の量は、1レーン当たり蛋白質0.5μgであり、操作後、ゲルを銀で染色した。レーン7以外のすべての試料を、60℃で16時間インキュベートした。
すべてのレーン番号は、下記実施例に記載の試料番号に対応する。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、その固有の状態のアンチトロンビンIII(ATと呼ぶ)の溶液から開始する、潜在性アンチトロンビン(L−ATと呼ぶ)の製造方法を提供する。ATは、記載したようなヘパリン−セファロースクロマトグラフィーによって、血液血漿から単離され得る。本発明によれば、その後、ATは、硫酸イオンおよび緩衝液の存在下でインキュベートされる。インキュベーションの温度および時間は、当業者によって容易に決定され得るが、約60℃で約16時間のような、通常の低温殺菌条件が、良好に作用することがわかった。
【0015】
硫酸イオンは、好ましくは硫酸塩の状態で供給される。ここでは、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類硫酸塩、または硫酸アンモニウムの使用が好ましい。硫酸アンモニウムを使用することが、特に好ましい。本発明による方法において適当な硫酸イオン濃度は、0.5−2.0Mの範囲であり、好ましくは0.7−1Mの範囲であり、0.8−0.9Mの間の濃度が最も好ましい。
【0016】
インキュベーション混合物の別の成分は、グッドの(Good)の両性イオン緩衝液から選ばれる緩衝液である(グッド(Good)ら、バイオケミストリー(Biochemistry) 5、467−477、1966)。本発明の方法において、示されているどの緩衝液を使用するかは、過度の実験なしに、緩衝液が以下の要件の大部分またはすべてを満たすべきであるという点に留意して、決定され得る:それは、約6−約9の間のpKa値を示し、水中で最大溶解度を示し、かつ、他の溶媒中で最小溶解度を示すべきであり、最小の塩効果をもたらすべきであり、使用される実験条件において安定であるべきであり、かつ、可視または紫外スペクトル領域において、(分光測光を妨げないように)光を吸収しないべきである。HEPES、MES、およびPIPESのような緩衝液を含むグッド(Good)の両性イオン緩衝液は、典型的には、所望の特徴を示す。本発明による方法では、HEPESを使用することが特に好ましい。広範に使用されているトリス緩衝液は、本発明の目的には適当ではない。好ましい緩衝液濃度は、ある程度、選択される緩衝液に依存するが、典型的には、1−25mMの範囲にあり、より好ましくは2.5−10mM、最も好ましくは4−6mMの範囲にある。
【0017】
上記のように、インキュベーション反応のpHは、pH6−pH9の間にあるべきであり、好ましくはpH7−pH8の間、最も好ましくはpH7.4−pH7.6の間にあるべきである。
【0018】
先に概略を述べた条件下でのATのインキュベーションの後、残りのATからこうして得られたL−ATの分離が、好ましくは、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを用いて行われる。L−ATは、ATよりも低いヘパリンに対する結合アフィニティーを示し、かなり早く溶出し、そして、2つの形のアンチトロンビンIIIの容易な分離を可能にする。
【0019】
こうして得られたL−ATの調製物は、特に、ウイルスおよびプリオンである病原菌の不活性化または除去のための処理に付されることが有利である。これは、当分野で既知の不活性化または除去のための数種の方法の1つを用いるか、またはそのような方法を組み合わせて用いる方法のどの段階でも行うことができる。そのような方法の例には、化学的不活性化、熱不活性化、光不活性化、マイクロ波不活性化、およびナノ濾過除去が含まれる。WO96/00237に記載されているような、高塩濃度のデッドエンド濾過工程単独または他の工程との組み合わせは、特に好ましい。病原菌の除去および不活性化は、アンチトロンビンIII分子が、固有の状態である場合に、L−ATへの転換前に行うこともできる。
【0020】
【実施例】
本発明は、以下の非限定的な実施例により、更に説明される。
実施例
95%超のAT純度の実験用試料を、ファルマシア(Pharmacia)、ストークホルム(Stockholm)、スエーデンの血漿生成物から得た。この試料を、既知の方法(ミラー−アンダーセン(Miller−Andersson)ら、上記)によって調製し、潜在型アンチトロンビンの誘導のために使用した。
【0021】
L−ATの調製
ATの実験用試料を、以下の溶液に移した:
【0022】
上記のすべての緩衝液を、室温で、所望のpHに調整した;1MのHClを、試料6の調整のために使用し、一方、1Mの水酸化ナトリウムを、他のすべての試料のpH調整のために使用した。
【0023】
ATを、最終濃度6mg/mlで、60℃で16時間、ガラス管中の溶液(試料1−13)中でインキュベートし(冷蔵庫中で約8℃に保った試料7以外)、小型ゲル濾過カラム(NAP−5 アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)を用いて、50 mM Tris/HCl、50 mM 塩化ナトリウムを含む、pH 7.4の溶液へ移した。
【0024】
試料中のL−ATの形成を、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーによって分析し、凝集体の存在を、固有の電気泳動によって分析した。
【0025】
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィー
この方法は、チャン(Chang)およびハーパー(Harper)(上記)に基づいて行われた。TSKヘパリン(登録商標)(トーソーハース(Tosohaas)、シュトゥットガルト(Stuttgart)、ドイツ、7.5 i.d. x 75 mm、10 μm、1000 Å)を具備したHPLCを使用した。溶出バッファーは、20mMのTris/HCl緩衝液、pH 7.4(緩衝液A)および2Mの塩化ナトリウムを含有する20mMのTris/HCl緩衝液、pH 7.4(緩衝液B)であった。線形勾配をかけた(0% Bを0−5分、0−100% Bを5−60分、0% Bを60−90分)。流速は0.4ml/minであり、280nmでの吸光度を測定することによって検出を行った。
【0026】
固有のポリアクリルアミドゲル電気泳動
12.5%のポリアクリルアミド均質ファスト(Phast)(登録商標)ゲル(アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)を用いて、推奨されている運転パラメーターを用いて、電気泳動を行った。各レーンに、0.5μgの蛋白質を含む1μlを載せた。50%のエタノール、10%の酢酸および40%の水を含む、わずかに強い固定溶液を用いた以外は、ファルマシア&アップジョーン(Pharmacia & Upjohn)(ファストシステム(Phast System)?、テクニカルノート(Technical Note) No 2、ファストゲル?分離培地による二次元電気泳動(Two−dimensional electrophoresis with PhastGel? separation media)、ファルマシアLKBバイオテクノロジーAB(Pharmacia LKB Biotechnology AB)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)からのパンフレットに従って、ジアミノ銀染色を行った。
【0027】
アンチトロンビン活性
ハンデランド(Handeland)ら(Scand J. Haematol. 31、427−436、1983)に従って、トロンビン発色性ペプチド基質(S−2238)(クロモゲニックス(Chromogenix)、モルンダル(Molndal)、スエーデン)を用いて、試料2(0.9Mの硫酸アンモニウム中でインキュベーション)を、生物学的AT活性に関して分析した。検定溶液は、トロンビン、ヘパリン、発色性基質、および試料からなり、かつ、インキュベーション後の応答を、405nmでの吸光度における変化として記録した。
【0028】
結果
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーにより、39分(約0.9Mの塩化ナトリウム)で固有のATが溶出し、メインの潜在型のピークが、22分(約0.3Mの塩化ナトリウム)で溶出した(図1A−1B)。低ヘパリン結合ピークの積分により、ワルデル(Wardell)の方法によって調製された試料(試料6)について、44%の収率が示されたのに対し(図1B)、0.9Mおよび0.8Mの硫酸アンモニウム中でのインキュベーション(それぞれ試料2および1)により、それぞれ、全積分領域の71%および89%が得られた(図1C−1D)。表1は、さらに高い(increased)濃度の硫酸アンモニウム/HEPESまたはより高いpH値において、形成されるL−ATの割合が減少することを示す。
【0029】
リン酸塩/NaCl中で60℃でインキュベートされたATの固有の(native)電気泳動(試料8)により、凝集体が強く形成され、わずかな蛋白質だけが、単量体の状態で残った(図2、レーン8)。ワルデル(Wardell)に従ってインキュベートされたAT(図2、レーン6)、ならびに、インキュベートされなかったAT(図2、レーン7)は、凝集体を与えなかった。0.5Mの硫酸アンモニウムにおけるインキュベーション(試料10)は、強い凝集をもたらし(図2、レーン10)、一方、0.8M(試料1)は、わずかな凝集体のみを与えた(図2、レーン1)。0.9−2.0Mの濃度の硫酸アンモニウム(試料2−5)からは、目に見える凝集体は得られなかった(図2、レーン2−5)。pH7.0では、多数の凝集体が観察され(図2、レーン12)、一方、pH7.8では、より少量の凝集体が得られた(データ1は示していない)。
【0030】
試料2におけるアンチトロンビン活性検定(0.9Mの硫酸アンモニウムを使用)により、残存した、本来の特異的活性の34%が示された;これは、アフィニティークロマトグラフィーによる同じ試料の分析における、高アフィニティーヘパリン結合ATの29%の収率と比較されるべきである(表1)。
【0031】
【表1】
1実施例による
*固有の電気泳動によって分析した場合に目に見える凝集体なし(図2参照)
【0032】
実験の結論
0.8Mまたは0.9Mの硫酸アンモニウムを含む5mMのHEPES中での60℃における16時間のATのインキュベーションにより、それぞれ、約85−90%および70−75%のATが、潜在型に転換された。固有の電気泳動は、硫酸アンモニウム0.8Mにおいて、少量の凝集体を示し、0.9Mでは、目に見える凝集体を示さなかった。精製工程において、そのような少量の凝集体を、ゲル濾過または類似の技術によって、容易に除去することができる。
【0033】
硫酸アンモニウムを用いる、ATのL−ATへの転換に最適な濃度は、0.8−0.9Mである。0.7−1Mの間での転換での、良好な結果が得られ、0.5−2Mの間でも、良好な結果が得られる場合がある。L−ATの形成のためには、7.4付近のpHで、0.5−2.0M、好ましくは0.8−0.9Mの硫酸アンモニウム、および、25mMまでの、好ましくは10mM以下のHEPESを用いる方法が、最も好ましい結果を与えることがわかった。硫酸アンモニウム/HEPESの濃度が増加するか、または、pH値が高くなると、形成されたL−ATの割合が減少するであろう。また、凝集体の形成を防止するためには、低すぎる硫酸アンモニウム濃度または低すぎるpH値を用いないことが必要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】0−2Mの塩化ナトリウム勾配を用いたアンチトロンビンのヘパリンアフィニティークロマトグラフィー(5−60分)。
【図2】12.5%のポリアクリルアミドを含む均質なゲルを用いた、アンチトロンビン試料の固有の電気泳動。
発明の分野
本発明は、潜在性(latent)アンチトロンビンIIIの製造方法に関する。
【0002】
発明の背景
アンチトロンビンIII(AT)は、総分子量58.1kDaの血漿糖蛋白質であり(レビング(Lebing)ら、Vox Sang. 67、117−124、1994)、凝固カスケード中でセリンプロテアーゼを阻害するため、凝血の制御において、主要な役割を果たす。アンチトロンビンIIIは、IXa、Xa、XI、およびXIIa因子、ならびにトロンビンの阻害物質である。よって、ATは、凝血カスケードの異なる段階において、凝血塊形成を制御する。血液中のAT含有量の小さな変化は、血栓塞栓症の危険性の増加に関連する。ATの濃縮物は、後天性または遺伝性アンチトロンビン欠乏を有する患者において、血栓塞栓性疾患の予防および治療に使用される。また、人体の多くの他のプロセスにおいて、例えば、血管形成および炎症反応において、ATが効用を有することが報告されている。これらの生理学的プロセスにおけるATの効用は、完全には理解されていない。
【0003】
ワルデル(Wardell)ら(バイオケミストリー(Biochemistry) 36、13133−13142、1997)によって最初に特徴付けられた、特別な状態のアンチトロンビンIIIは、潜在型(L−AT)として知られている。L−ATおよび選択的にエラスターゼ切断された変異体が、強い抗血管形成活性を有すること、さらに、ヒト神経芽細胞腫細胞系を皮下注射されたマウスにおいて、腫瘍成長を抑制することが示された(オレイリー(O’Reilly)ら、サイエンス(Science) 285、1926−1928、1999、およびWO 00/20026)。従って、L−ATは、潜在的なヒトの抗がん剤と考えられるはずである。しかし、この潜在的薬剤の臨床評価は、まだ行われていない。
【0004】
アフィニティークロマトグラフィーによるATの精製は、当分野で知られているように、固相結合リガンドとして、精製ヘパリンを用いて行われる。ミラー−アンダーセン(Miller−Andersson)ら(トロンボシス・リサーチ(Thrombosis Research) 5、439−452、1974)には、ヒトATを精製するためにヘパリン−セファロースを使用することが開示されている。このクロマトグラフィーシステムは、ATとL−ATとの分離のためにも有用であり、ここでは、チャン(Chang)およびハーパー((Harper)(トロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis) 77、323−328、1997)によって記載されているように、ATに対してL−ATに対するヘパリンのアフィニティーが減少することにより、2つの成分を分けることが可能になる。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、固有の(native)状態のATと潜在型(latent form)のATとの分離のために使用された(カールソン(Karlsson)、Gおよびウインゲ(Winge)、S. (2001) Protein Expr. Purif. 21:149−155)。
【0005】
潜在型ATの誘導は、あらかじめ、ワルデル(Wardell)ら(上記)に記載されているように行われ、彼らは、15時間、60℃で、0.25Mのクエン酸塩、10mMのトリス/HCl、pH7.4、の中で、ATをインキュベートすることによって、50−60%のL−ATを得た。
【0006】
60℃において、培地または緩衝液のみの中で、固有のアンチトロンビンIIIをインキュベートする際に、重合した蛋白質の凝集体が形成されることがある。これらの凝集体の存在は、潜在性アンチトロンビンIIIの高い収率には不利であり、できるだけ回避すべきである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、固有の(native)アンチトロンビンIII、AT、の溶液から、潜在性(latent)アンチトロンビンIII、L−ATを製造するための方法であって、従来技術の方法より高い収率で所望の生成物を与える方法を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、ATからのL−ATの製造方法であって、AT重合物の凝集体の生成を最小限に保つ方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、ATをL−ATへ転換するための、そのような方法であって、通常入手可能な薬剤および緩衝溶液が使用され、かつ、インビトロで行われる方法を提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、ATからL−ATを製造するための方法であって、L−ATの工業的製造のために、容易にスケールアップされる方法を提供することである。
【0011】
発明の要約
本発明の上記の目的および他の目的は、請求項に規定された方法によって達成される。従って、硫酸イオンおよびグッド(Good)の両性イオン緩衝液から選択される緩衝液の存在下での固有のアンチトロンビンIIIの溶液のインキュベーションを含む方法が提供される。驚くべきことに、これらのインキュベーション条件により、従来技術の方法(特に、ワルデル(Wardell)らのクエン酸塩条件)で得られるものより、はるかに高い収率で、工程からL−ATを回収することができ、一方、可能性がある凝集の問題が回避されることが見出された。
【0012】
図面の説明
図1:0−2Mの塩化ナトリウム勾配を用いたアンチトロンビンのヘパリンアフィニティークロマトグラフィー(5−60分)。蛋白質の注入量は、試料A−Bに対して100μg、試料C−Dに対して150μgであった。加熱処理をしなかった対照のAT試料A以外(実施例では試料7)のすべての試料を、60℃で16時間インキュベートした。試料B(実施例では試料6)は、ワルデル(Wardell)によって、即ち、0.5Mのクエン酸塩中で、インキュベートした。試料C(実施例では試料2)およびD(実施例では試料1)は、それぞれ、0.9Mと0.8Mの硫酸アンモニウムを含む、5mMのHEPES、pH7.4の中で、インキュベートした。22分で溶出した、低アフィニティーヘパリン結合ピークの積分により、試料B、C、およびDそれぞれに対して、全積分領域の44%、71%、および89%が得られた。
【0013】
図2:12.5%のポリアクリルアミドを含む均質なゲルを用いた、アンチトロンビン試料の固有の電気泳動。試料の量は、1レーン当たり蛋白質0.5μgであり、操作後、ゲルを銀で染色した。レーン7以外のすべての試料を、60℃で16時間インキュベートした。
すべてのレーン番号は、下記実施例に記載の試料番号に対応する。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、その固有の状態のアンチトロンビンIII(ATと呼ぶ)の溶液から開始する、潜在性アンチトロンビン(L−ATと呼ぶ)の製造方法を提供する。ATは、記載したようなヘパリン−セファロースクロマトグラフィーによって、血液血漿から単離され得る。本発明によれば、その後、ATは、硫酸イオンおよび緩衝液の存在下でインキュベートされる。インキュベーションの温度および時間は、当業者によって容易に決定され得るが、約60℃で約16時間のような、通常の低温殺菌条件が、良好に作用することがわかった。
【0015】
硫酸イオンは、好ましくは硫酸塩の状態で供給される。ここでは、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類硫酸塩、または硫酸アンモニウムの使用が好ましい。硫酸アンモニウムを使用することが、特に好ましい。本発明による方法において適当な硫酸イオン濃度は、0.5−2.0Mの範囲であり、好ましくは0.7−1Mの範囲であり、0.8−0.9Mの間の濃度が最も好ましい。
【0016】
インキュベーション混合物の別の成分は、グッドの(Good)の両性イオン緩衝液から選ばれる緩衝液である(グッド(Good)ら、バイオケミストリー(Biochemistry) 5、467−477、1966)。本発明の方法において、示されているどの緩衝液を使用するかは、過度の実験なしに、緩衝液が以下の要件の大部分またはすべてを満たすべきであるという点に留意して、決定され得る:それは、約6−約9の間のpKa値を示し、水中で最大溶解度を示し、かつ、他の溶媒中で最小溶解度を示すべきであり、最小の塩効果をもたらすべきであり、使用される実験条件において安定であるべきであり、かつ、可視または紫外スペクトル領域において、(分光測光を妨げないように)光を吸収しないべきである。HEPES、MES、およびPIPESのような緩衝液を含むグッド(Good)の両性イオン緩衝液は、典型的には、所望の特徴を示す。本発明による方法では、HEPESを使用することが特に好ましい。広範に使用されているトリス緩衝液は、本発明の目的には適当ではない。好ましい緩衝液濃度は、ある程度、選択される緩衝液に依存するが、典型的には、1−25mMの範囲にあり、より好ましくは2.5−10mM、最も好ましくは4−6mMの範囲にある。
【0017】
上記のように、インキュベーション反応のpHは、pH6−pH9の間にあるべきであり、好ましくはpH7−pH8の間、最も好ましくはpH7.4−pH7.6の間にあるべきである。
【0018】
先に概略を述べた条件下でのATのインキュベーションの後、残りのATからこうして得られたL−ATの分離が、好ましくは、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを用いて行われる。L−ATは、ATよりも低いヘパリンに対する結合アフィニティーを示し、かなり早く溶出し、そして、2つの形のアンチトロンビンIIIの容易な分離を可能にする。
【0019】
こうして得られたL−ATの調製物は、特に、ウイルスおよびプリオンである病原菌の不活性化または除去のための処理に付されることが有利である。これは、当分野で既知の不活性化または除去のための数種の方法の1つを用いるか、またはそのような方法を組み合わせて用いる方法のどの段階でも行うことができる。そのような方法の例には、化学的不活性化、熱不活性化、光不活性化、マイクロ波不活性化、およびナノ濾過除去が含まれる。WO96/00237に記載されているような、高塩濃度のデッドエンド濾過工程単独または他の工程との組み合わせは、特に好ましい。病原菌の除去および不活性化は、アンチトロンビンIII分子が、固有の状態である場合に、L−ATへの転換前に行うこともできる。
【0020】
【実施例】
本発明は、以下の非限定的な実施例により、更に説明される。
実施例
95%超のAT純度の実験用試料を、ファルマシア(Pharmacia)、ストークホルム(Stockholm)、スエーデンの血漿生成物から得た。この試料を、既知の方法(ミラー−アンダーセン(Miller−Andersson)ら、上記)によって調製し、潜在型アンチトロンビンの誘導のために使用した。
【0021】
L−ATの調製
ATの実験用試料を、以下の溶液に移した:
【0022】
上記のすべての緩衝液を、室温で、所望のpHに調整した;1MのHClを、試料6の調整のために使用し、一方、1Mの水酸化ナトリウムを、他のすべての試料のpH調整のために使用した。
【0023】
ATを、最終濃度6mg/mlで、60℃で16時間、ガラス管中の溶液(試料1−13)中でインキュベートし(冷蔵庫中で約8℃に保った試料7以外)、小型ゲル濾過カラム(NAP−5 アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)を用いて、50 mM Tris/HCl、50 mM 塩化ナトリウムを含む、pH 7.4の溶液へ移した。
【0024】
試料中のL−ATの形成を、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーによって分析し、凝集体の存在を、固有の電気泳動によって分析した。
【0025】
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィー
この方法は、チャン(Chang)およびハーパー(Harper)(上記)に基づいて行われた。TSKヘパリン(登録商標)(トーソーハース(Tosohaas)、シュトゥットガルト(Stuttgart)、ドイツ、7.5 i.d. x 75 mm、10 μm、1000 Å)を具備したHPLCを使用した。溶出バッファーは、20mMのTris/HCl緩衝液、pH 7.4(緩衝液A)および2Mの塩化ナトリウムを含有する20mMのTris/HCl緩衝液、pH 7.4(緩衝液B)であった。線形勾配をかけた(0% Bを0−5分、0−100% Bを5−60分、0% Bを60−90分)。流速は0.4ml/minであり、280nmでの吸光度を測定することによって検出を行った。
【0026】
固有のポリアクリルアミドゲル電気泳動
12.5%のポリアクリルアミド均質ファスト(Phast)(登録商標)ゲル(アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)を用いて、推奨されている運転パラメーターを用いて、電気泳動を行った。各レーンに、0.5μgの蛋白質を含む1μlを載せた。50%のエタノール、10%の酢酸および40%の水を含む、わずかに強い固定溶液を用いた以外は、ファルマシア&アップジョーン(Pharmacia & Upjohn)(ファストシステム(Phast System)?、テクニカルノート(Technical Note) No 2、ファストゲル?分離培地による二次元電気泳動(Two−dimensional electrophoresis with PhastGel? separation media)、ファルマシアLKBバイオテクノロジーAB(Pharmacia LKB Biotechnology AB)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)からのパンフレットに従って、ジアミノ銀染色を行った。
【0027】
アンチトロンビン活性
ハンデランド(Handeland)ら(Scand J. Haematol. 31、427−436、1983)に従って、トロンビン発色性ペプチド基質(S−2238)(クロモゲニックス(Chromogenix)、モルンダル(Molndal)、スエーデン)を用いて、試料2(0.9Mの硫酸アンモニウム中でインキュベーション)を、生物学的AT活性に関して分析した。検定溶液は、トロンビン、ヘパリン、発色性基質、および試料からなり、かつ、インキュベーション後の応答を、405nmでの吸光度における変化として記録した。
【0028】
結果
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーにより、39分(約0.9Mの塩化ナトリウム)で固有のATが溶出し、メインの潜在型のピークが、22分(約0.3Mの塩化ナトリウム)で溶出した(図1A−1B)。低ヘパリン結合ピークの積分により、ワルデル(Wardell)の方法によって調製された試料(試料6)について、44%の収率が示されたのに対し(図1B)、0.9Mおよび0.8Mの硫酸アンモニウム中でのインキュベーション(それぞれ試料2および1)により、それぞれ、全積分領域の71%および89%が得られた(図1C−1D)。表1は、さらに高い(increased)濃度の硫酸アンモニウム/HEPESまたはより高いpH値において、形成されるL−ATの割合が減少することを示す。
【0029】
リン酸塩/NaCl中で60℃でインキュベートされたATの固有の(native)電気泳動(試料8)により、凝集体が強く形成され、わずかな蛋白質だけが、単量体の状態で残った(図2、レーン8)。ワルデル(Wardell)に従ってインキュベートされたAT(図2、レーン6)、ならびに、インキュベートされなかったAT(図2、レーン7)は、凝集体を与えなかった。0.5Mの硫酸アンモニウムにおけるインキュベーション(試料10)は、強い凝集をもたらし(図2、レーン10)、一方、0.8M(試料1)は、わずかな凝集体のみを与えた(図2、レーン1)。0.9−2.0Mの濃度の硫酸アンモニウム(試料2−5)からは、目に見える凝集体は得られなかった(図2、レーン2−5)。pH7.0では、多数の凝集体が観察され(図2、レーン12)、一方、pH7.8では、より少量の凝集体が得られた(データ1は示していない)。
【0030】
試料2におけるアンチトロンビン活性検定(0.9Mの硫酸アンモニウムを使用)により、残存した、本来の特異的活性の34%が示された;これは、アフィニティークロマトグラフィーによる同じ試料の分析における、高アフィニティーヘパリン結合ATの29%の収率と比較されるべきである(表1)。
【0031】
【表1】
1実施例による
*固有の電気泳動によって分析した場合に目に見える凝集体なし(図2参照)
【0032】
実験の結論
0.8Mまたは0.9Mの硫酸アンモニウムを含む5mMのHEPES中での60℃における16時間のATのインキュベーションにより、それぞれ、約85−90%および70−75%のATが、潜在型に転換された。固有の電気泳動は、硫酸アンモニウム0.8Mにおいて、少量の凝集体を示し、0.9Mでは、目に見える凝集体を示さなかった。精製工程において、そのような少量の凝集体を、ゲル濾過または類似の技術によって、容易に除去することができる。
【0033】
硫酸アンモニウムを用いる、ATのL−ATへの転換に最適な濃度は、0.8−0.9Mである。0.7−1Mの間での転換での、良好な結果が得られ、0.5−2Mの間でも、良好な結果が得られる場合がある。L−ATの形成のためには、7.4付近のpHで、0.5−2.0M、好ましくは0.8−0.9Mの硫酸アンモニウム、および、25mMまでの、好ましくは10mM以下のHEPESを用いる方法が、最も好ましい結果を与えることがわかった。硫酸アンモニウム/HEPESの濃度が増加するか、または、pH値が高くなると、形成されたL−ATの割合が減少するであろう。また、凝集体の形成を防止するためには、低すぎる硫酸アンモニウム濃度または低すぎるpH値を用いないことが必要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】0−2Mの塩化ナトリウム勾配を用いたアンチトロンビンのヘパリンアフィニティークロマトグラフィー(5−60分)。
【図2】12.5%のポリアクリルアミドを含む均質なゲルを用いた、アンチトロンビン試料の固有の電気泳動。
Claims (16)
- 硫酸イオンおよびグッド(Good)の両性イオン緩衝液から選択される緩衝液の存在下での固有のアンチトロンビンIIIの溶液のインキュベーションを含む、潜在性アンチトロンビンIIIの製造方法。
- 前記硫酸イオンが、硫酸アンモニウム、アルカリ金属硫酸塩、およびアルカリ土類硫酸塩から選択される塩として供給される、請求項1に記載の方法。
- 前記硫酸塩が硫酸アンモニウムである、請求項2に記載の方法。
- 前記硫酸イオンの濃度が0.5−2.0Mの範囲内である、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
- 硫酸イオン濃度が0.7−1Mの範囲内である、請求項4に記載の方法。
- 硫酸イオン濃度が0.8−0.9Mの範囲内である、請求項5に記載の方法。
- 前記緩衝液がHEPES緩衝液を含む、請求項1−6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記緩衝液の濃度が1−25mMの範囲内である、請求項1−7のいずれか1項に記載の方法。
- 緩衝液濃度が2.5−10mMの範囲内である、請求項8に記載の方法。
- 緩衝液濃度が4−6mMの範囲内である、請求項9に記載の方法。
- pH値が6−9の範囲内である、請求項1−10のいずれか1項に記載の方法。
- pH値が7−8の範囲内である、請求項11に記載の方法。
- pH値が7.4−7.6の範囲内である、請求項12に記載の方法。
- 病原菌、特に、ウイルスおよびプリオンの不活性化または除去のための処理を更に含む、請求項1−13のいずれか1項に記載の方法。
- 固有のアンチトロンビンIIIが、病原菌、特に、ウイルスおよびプリオンの不活性化または除去のために処理される、請求項1に記載の方法。
- 前記処理が、化学的不活性化、熱不活性化、光不活性化、マイクロ波不活性化、およびナノ濾過除去から選択される方法の1つまたは組み合わせを含む、請求項14または15に記載の方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070214 |