JP2004522219A - タイムベースの質量流量制御装置とそれを用いた質量流量制御方法 - Google Patents
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Abstract
タイムベースの質量流量制御装置が、体積流量及び質量流量を時間にもとづいて正確に制御する。タイムベースの質量流量制御装置が:少なくとも一つのリザーバと;各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと;各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと;制御装置であって、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御するためのものであり、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御装置と;を具備している。
Description
【0001】
技術分野
本発明は、タイムベースの質量流量制御装置(MFC)と、体積流量/質量流量を時間にもとづいて正確に制御する方法とに関する。
【0002】
従来技術
MFCは電子装置、流体装置等のような広い分野において使用されている。例えば、半導体素子製造プロセスにおいて、蒸着装置と拡散装置とエッチング装置とプラズマ装置とスパタリング装置とが使用される。各プロセスが異なる種類のガスを使用するので、すべての装置は供給されるガス又は蒸気の量を正確かつ独立的に制御する必要がある。さらに、集積回路技術の改善を通じての半導体装置におけるサイズの著しい、微少化は、供給ガス流量がより正確に制御されることを必要としている。
【0003】
流量を直接的に測定することは非常に困難である。米国特許第6044701号、第5279154号、第4686856号及び日本国特開昭59−88622公報に開示されているように、種々の流量制御装置及び流量計が提案され使用されてきた。にもかかわらず、それらのほとんどは設置及びメンテナンスにおいて複雑かつ高価なものである。すなわち、従来形MFCは極度に特化されたかつ高価な装置となっている。
【0004】
従来形MFCは熱式MFCと圧力ベースのMFCとに分類されていて、その熱式MFCはカロリメータの原理により熱伝達量の差を検出することにより作動するもので、その圧力ベースのMFCは流路における質量流量と圧力損失と間の関係にもとづいて作動するものである。
熱式MFCは応答時間遅れの傾向があり、外部への熱損失のために十分に正確とはいえない。また熱式MFCは、バイパスパイプのような非常に精密な部品を必要とし、さらにセンシティブガスに使用することはできない。従って熱式MFCを製造することは容易ではない。圧力ベースのMFCは、非常に正確に作られたコンポネントを必要とし、オリフィス又はノズルのような流路における“ファウリング”を受ける。
【0005】
発明の開示
本発明は前述の問題を解決することにより達成される。本発明の目的は、従来形MFCと異なる概念にもとづいて、流量を正確かつ容易に測定できる新規なMFCを提供することである。例えば、時間はクオーツ式時間計測器によりより正確に測定できるので、本発明は、精密な道具としての構造体なしに精密なMFCを容易に提供することができる。本発明におけるもう一つの目的は、すぐれた信頼性と長寿命と耐久性と設置及びメンテナンスが安価であることを備えたMFCを提供することである。現在では、時間を非常に正確に測定する(1/108 sを上廻る)ことは安価で容易なものとなっている。従って本発明は、時間をベースにして質量流量/体積流量を非常に正確に制御することができる。
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明はタイムベースの質量流量制御装置を提供していて、タイムベースの質量流量制御装置が:
少なくとも一つのリザーバと;
各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと;
各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと;
制御装置であって、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数を及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御するためのものであり、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御装置と;
を具備している。
【0007】
入口バルブ及び出口バルブは、開運動/閉運動時において急速作動バルブのように急速な作動性能を有している必要がある。これらのバルブの制御は排他的ロジックのデジタルマシンにより達成することができて、そのデジタルマシンは急速作動バルブの作動をリザーバにおける圧力にもとづいて制御することができる。
【0008】
本発明の好適な実施例において、該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつプリセット時間後に該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口弁を制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該入口弁が閉状態になるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口弁を制御していて;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0009】
本発明の他の好適な実施例において、該リザーバが体積可変の貯蔵チャンバであり、かつ該制御装置が該リザーバの該体積を制御している。
【0010】
おそらく、該リザーバがピストン−シリンダ形状であって、該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口弁を制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口弁を制御していて;さらに該リザーバの体積を制御するために、該制御装置はリザーバのピストン押しのけ量を制御しており;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0011】
本発明のさらなる他の好適な実施例において、該制御装置は該リザーバの該入口へ流入する該ガスの温度のような特性値を制御している。このことが該MFCを通過する該流体は必要とされる特性値を有することを可能にしている。
【0012】
本発明におけるさらなる他の好適な実施例において、タイムベースの質量流量制御装置が、該リザーバの該入口の上流側に、該リザーバへ流入するガスの該質量流量/体積流量を調節するための主バルブを具備していて;該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口弁を制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口バルブを制御していて;該リザーバへ流入するガスの該質量流量/体積流量を制御するために、該制御装置は該主バルブの開度レベルを制御しており;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0013】
さらなる他の好適な実施例において、該入口バルブを閉とすること及び該出口バルブを開とすることの間、及び/又は該出口バルブを閉とすること及び該入口バルブを開とすることの間には時間遅れがあって、さらに該制御装置は該時間遅れの長さを制御しており、従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0014】
さらなる他の好適な実施例において、タイムベースの質量流量制御装置が、該リザーバに該ガスの温度を測定するための温度センサを具備していて;該温度センサにより測定された該リザーバにおける該ガス温度にもとづいて、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御していて、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0015】
さらなる他の好適な実施例において、一つより多いリザーバが平行に設置されていて、対応する該リザーバの入口バルブ及び出口バルブ各々が異なる開時点/閉時点を有している。
さらなる他の好適な実施例において、一つより多いリザーバが平行に設置されていて、各々の出口バルブからガス使用装置へのフローラインの長さが異なっている。
【0016】
さらなる他の好適な実施例において、タイムベースの質量流量制御装置が、該リザーバの該出口の下流側に設置されたバッファを備えていて、該バッファが該リザーバより大きな体積を有している。
【0017】
また本発明は、タイムベースの質量流量制御装置を用いた質量流量/体積流量制御方法を提供していて;該タイムベースの質量流量制御装置が、少なくとも一つのリザーバと、各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと、各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと、を具備する質量流量/体積流量制御方法において;
質量流量/体積流量制御方法が:単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉回数を及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御する段階であって、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御する段階、を含んでいる。
【0018】
発明の実施の形態
図1はタイムベースのMFCの原理を概略的に示している。圧縮性ガスが主ガス供給装置から既知体積のリザーバ1へ流れるようになっていて、リザーバ内の圧力が基準吐出し圧力PからP+δPへ増加する所要時間が測定されている。圧力がP+δPへ増加する所要時間の測定は、モニタリング周期で連続的に繰り返し行なわれる。コンピュータは圧力センサ5からの電気信号によりリザーバ1における圧力変化を監視することができる。出口バルブ3の作動時間は、コンピュータ内部の刻時機構(Clock producer)により正確に測定することができる。
【0019】
出口バルブ3、例えば高速作動バルブが、リザーバ1における圧力を連続的に基準吐出し圧力Pへ戻している。出口バルブ3は排他的チップ(exclusive chip)により制御されていて、圧力センサSにより測定された圧力がP+δPに達すると、出口バルブ3が開かれ、ガスはガス使用装置へ排出される。続いて、圧力が基準吐出し圧力Pへ低下すると、出口バルブ3が閉となる。特定の質量流量範囲に対する最も適切な圧力上昇δPは、特定の流量範囲において、既知の体積のリザーバ1を使用して選択することができる。
【0020】
図2A、2B及び2Cは、図1におけるリザーバのそれぞれ中流量、大流量、小流量における圧力−時刻歴を示している。
流量が小さい場合、リザーバ1における圧力がプリセット圧力に達する所要時間は長く、一方流量が大きい場合、プリセット圧力に達する所要時間は短くなる。
【0021】
圧力が基準吐出し圧力PからP+δPへビルドアップする所要時間あるいは周期τは、以下のパラメータに依存していて:
・流体の熱力学的特性値及び輸送特性値のような、流体の密度ρ、粘性係数μ、体積弾性係数ξ、と、流体の既知あるいは制御可能な温度Tとの特性値に関連するもの;
・ダクトあるいはキャビティのトポロジー(幾何学的形状、L及びD);
・体積流量、VF;である。
【0022】
上記において、
τ=f1 (μ、ρ、ξ、T、L、D、VF)
Re−これの組み合わせで得られる
VF=f2 (μ、ρ、ξ、T、L、D、τ)
=f3 (μ、ρ、ξ、T、L、D)/τ
かつf3 が函数性に乏しいもの(weak function)であって一定VF=C/τと仮定することができ、VF=C/τは、容易かつ正確に測定される時間τに対する、必要に応じて可変である体積流量に関する単純函数である。
【0023】
圧力−時間曲線の形状は、コンデンサが二つの電圧VとV+δVとの間で充電し放電している電圧−時間曲線と同様なものである。さらに曲線の特別な形状は、δP/Pが減少するに従って、著しくよりリニアになる。この装置において、圧力変化は時間に対してほぼリニアである。従って、トリガ信号として圧力を監視する(正確な絶対圧力Pの測定は必要とされない)ことと、正確なτ値を得るために時間を測定することが必要とされるだけである。
【0024】
図3は、図1におけるリザーバ1の、δP/Pが小さくかつ〔dP/dt〕fallが大きい場合の圧力−時刻歴を示している。
【0025】
理想的なタイムベースのMFCは以下のとおりのものである。
a)δP/Pが小さいように、PとP+δPとの間の圧力範囲で作動すること。提供されたδP/Pは十分に小さいものであって、リザーバ1における圧力が増加する一方で、圧力の時間変化率dP/dtは一定に近づくであろう。
b)リザーバ1とガス使用装置との間における、流れに対する小さな抵抗を有し及び/又は比較的大きな駆動差圧を有していること。このことが、リザーバ1における、P+δPから基準吐出し圧力Pへの圧力降化率が大きくなることを保証するであろう。詳しくは、|dP/dt|rise≪|dP/dt|fall
c)利用可能な供給ガス圧力がPに比較して高い状況において作動すること。このことは、MFCの作動が供給ガスに無関係であることを保証している。
上記a)及びb)を満足する場合のリザーバにおける圧力−時刻歴を図3に示す。
【0026】
図4は、バッファ15を備えたタイムベースのMFCの原理を概略的に示している。
【0027】
前記条件に加えて、MFCは、リザーバ1とガス使用装置との間における十分な流れ緩衝能力を有していて、リザーバにおける、無視し得る圧力変動δPと“流れの有無”状態とが平均化され、ほぼ一定の圧力と安定した一定の流れとなる。
【0028】
前述の条件を達成する方法は、リザーバ1に合った流れ安定化性能を備えたMFCを作ることである。これを行なうのに適切な方法は、出口バルブ3の下流側直下に安定化用バッファ15を取りつけることである。リザーバ1がバッファ15に比較して小体積であることと、出口バルブ3が開かれる場合流体抵抗が非常に小さいことと、を保証する場合、所定の性能が得られる。
【0029】
図5は、図4におけるリザーバ1とバッファ15との圧力時刻歴を概略的に示している。図5に示すように、装置はP1 ≒P2 、P1 ≫δP1 及びP2 ≫δP2 に設定されているので、バッファ15を出てゆく圧力と流量との変動は無視し得る。
【0030】
タイムベースのMFCがdP1 /dtが一定の範囲で作動されるので、リザーバ1における圧力は、τに直接的に(あるいはリニアに)比例する値(すなわちδP1 )とプリセットした基準吐出し圧力P1 とを加えたものである。従って、連続的な質量流量装置を用いて種々の質量流量の達成を可能にするためには、質量流量が可変なτを変更することにより制御されてもよい。τをより大きくすると、質量流量はより大きくなる。当然のことであるが、質量流量は可変な充填圧力P1 +δP1 を変更することにより制御されてもよい。しかしながら、このことは本発明の概念を逸脱するものである。というのは、本発明の目的は、時間を測定することだけにより、充填速度(周期)及び又は排出速度(周期)を標準質量流量にすることであるからである。
【0031】
図4におけるMFCは基本的に本発明の目的に合致するものではない。というのは、出口バルブ3が開かれる場合、主バルブ11からの供給ガスがリザーバ1における蓄積ガスと同様に、リザーバ1からガス使用装置へ連続的に流れるからである。この問題は、所望する速度で“バケットを充填及び排出”することによる、“バケット及びストップウォッチ(bucket−and stopwatch)”方法により解決された。
【0032】
多分給水栓からの流量を最も正確に測定する方法は、給水栓の下方に既知体積のバケットを置き、かつバケットが満ぱいになる時間を測定することである。体積流量は、単純にバケットの体積をそれを満ぱいにする時間で除算することであって、質量流量は体積流量と水の密度とを乗算したものに等しい。
【0033】
図6は本発明の第一実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。図示するようにMFCは、入口バルブ13と、出口バルブ3と、リザーバ1への流入ガスの質量流量を制御するための主バルブ11とを含んでいる。
【0034】
タイムベースのMFCには、リザーバ1におけるガス温度を測定するための温度センサが備えられていてもよい。例えば、熱電対のあるいは半導体の温度測定装置が温度センサとして使用されてもよい。もしリザーバ1におけるガスが理想気体であるなら、以下の関係が満足されている:(理想気体に対する状態方程式が説明の便宜のために使用されるので、非理想気体に対する状態方程式を使用することの必要性、又は実際の質量流量制御における正確な補正の必要性がある。)
PV=RT/M(Rは一般的なガス定数である)
【0035】
上記状態方程式により、比容積及び密度は既知のガス温度とプリセットした充填圧力及び吐出し圧力とにより得ることができる。リザーバに蓄積されたガス質量は、リザーバの体積と、充填圧力及び吐出し圧力状態における密度とを乗算することにより得ることができる。すなわち、入口バルブ13と出口バルブ3との開/閉速度(単位時間当りの開/閉ループ数)は時間を測定することによるだけで容易に得ることができる。従って、質量流量/体積流量は、容易に得ることができる。例えば、もし質量流量が所望する値より小さいなら、リザーバ1の体積が増加される。
【0036】
体積流量固定モードにおいて流量制御を実行する場合、制御は温度に依存することなくバルブの開/閉速度を一定に保つことにより達成することができる。このモードにおいて、質量流量は高温度において小さな値となり、低温度において大きな値となる。
【0037】
質量流量固定モードにおいて流量制御を実行する場合、制御はバルブの開/閉速度を制御することにより達成することができる。このモードにおいて体積流量は、温度上昇に従って増加し、温度下降に従って減少する。
【0038】
リザーバ1における、P1 から1.01P1 への1%の断熱圧力上昇を想定する。排出時、リザーバ1における圧力はP1 へ戻る。ループ当りリザーバを通過する(理想)気体の体積は、理想気体に対する状態方程式により計算される。例えば、計算された値がリザーバ体積のX%であることと、リザーバ1の体積が1mlであることを仮定する場合、ループ当りリザーバ1を通過するガス体積は0.01Xml/ループとなる。得られる体積流量が0.1ml/min であることを仮定すると、ループレート(時間当りの入口バルブ13と出口バルブ3との開/閉ループ数)は、体積流量をループ当りのリザーバ1を通過するガス体積で除算したもの、すなわち0.1ml/min ÷0.01Xml/ループである。もし所望する体積流量が10ml/min の場合、ループレートは10ml/min ÷0.01Xml/ループとなる。すなわち、質量流量/体積流量は、単位時間当りの入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ回数と、入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ各々当りのリザーバ1における蓄積及び排出されたガス質量/ガス体積との乗算で表わされる。従って、流量制御は、これらの条件を制御することにより制御できる。
【0039】
単位時間当りの入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ回数と、入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ各々当りのリザーバ1における蓄積及び排出されたガス質量/ガス体積とに影響する因子は、充填時間τ、リザーバ1の体積、主バルブ11の開度レベル、時間遅れ等である。すなわち、流量制御方法は以下の四に分類される:流量は、
a)リザーバ1の充填時間を変更することにより、
b)リザーバ1の体積を変更することにより、
c)リザーバ1への流入ガス流量を変化するために主弁11の開度レベルを変更することにより、
d)時間遅れを変更することにより、
制御することができる。
【0040】
これらの変数は、独立的に又は組合わせて流量制御に使用されてもよい。前述の四つの制御方法の実際的な実行において、制御管理は、既知の実験データ(あるいは実験式)をベースにした流量に対応する所定値を与えることにより、又は流量の結果を判断してプリセット値を修正することにより、又は両方法を実施することにより、流量を制御してもよい。
【0041】
例えば、主バルブ11を制御して一定のループを実行後に流量に対する結果値を(既知データにもとづき)計算する。もし所定流量から多少のずれがある場合、さらに主バルブ11を制御することにより修正される。他の例は、リザーバ1の体積を制御すると同時に一定のループのガス流れを実行した後に流量に対する結果値を既知データにもとづき計算する。もし所定の流量から多少のずれがある場合、時間遅れを与えることにより修正される。修正テーブル又は修正式が実験的に解明されてもよくて、かつ実際の制御の実行に反映されてもよい。実験データベースを得るための予備実験において、吐出し圧力及び充填圧力下における正確なガス状態を温度センサを用いて測定する必要があるかも知れない。
【0042】
前述した第一タイプのMFCの制御方法に関するより完全な説明は以下のとおりである:
a)入口バルブ13が開く毎に出口バルブ3が閉となるように、MFCは作動する。
b)リザーバ1における圧力は、基準吐出し圧力P1 から増加される。
c)入口バルブ13はプリセット時間後に閉となる。
d)出口バルブ3が開かれる。リザーバ1における圧力が基準吐出し圧力P1 に戻るまで、出口バルブ3は開状態となっている。
従って流量はリザーバ1へ充填する時間を変更することにより簡単に制御することができる。
【0043】
前述の第一タイプのMFC制御方法において、入口バルブ13と出口バルブ3との開/閉ループ各々当りにおける、リザーバ1において蓄積されかつ排出されたガス質量/ガス体積は、以下のようにして得ることができる:
予備実験段階において、基準吐出し圧力におけるリザーバ1のガスの特性、例えば温度が測定される。入口バルブ13を介してリザーバ1へ流入するガスの状態も測定される。第一タイプのMFC制御方法は、プリセット時間(τ)だけを変更することにより流量を制御しているので、基準吐出し圧力下のリザーバにおけるガスの状態と、入口バルブ13を介してリザーバ1へ流入するガスの状態とは、制御プロセス時において一定に保たれ、さらに一回の測定により種々の流量におけるガス流れ制御に対して等しく適用することができる。
【0044】
実際的な次の制御段階において、流量のループの制御は、入口バルブ13を開きプリセット時間(τ)後にそれを閉じることにより実行されている。この場合、ループ当りリザーバ1において蓄積され排出されたガスの量は以下のようにして得ることができる。もし〔dP/dt〕riseが一定なら、プリセット時間(τ)後のリザーバ1におけるガスの圧力上昇は、〔dP/dt〕riseとプリセット時間(τ)との乗算により表示される。入口弁13を介してリザーバ1へ流入するガスの質量流量値(供給されたガスの圧力はPより高いので、入口弁13を介してリザーバ1へ流入するガスの質量流量は一定値である)と、プリセット時間(τ)とを乗算した値は、プリセット時間(τ)の間にリザーバ1へ流入したガスの質量、すなわちループ当りのリザーバ1における蓄積されかつ排出されたガスの質量を表わしている。
【0045】
しかしながら、前述の計算されたガスの質量値は、適切な仮定のもとに得られた理論値である。流量の正確な制御は、流量の表を参照することにより達成される。流量の表には、種々のプリセット時間τにおける蓄積されかつ排出されたガスの質量値が含まれていなければならなくて、質量値は、基準吐出し圧力において種々のプリセット時間τ後それぞれにおけるリザーバ1のガス状態を測定する予備実験により実験的に得ることが可能である。
【0046】
プリセット時間(τ)後のリザーバ1におけるガスの比体積は以下のようにして得られる:質量保存の法則(連続の式)によりリザーバ1におけるガス質量は、リザーバ1に流入するガス質量と、基準吐出し圧力状態におけるガス質量との合計で表示される。従って、プリセット時間後のリザーバにおけるガス質量は、容易に得ることができる。プリセット時間後のガスの比体積は、リザーバ体積をプリセット時間後のリザーバ1におけるガス質量により除算することにより得ることができる。
【0047】
第二タイプのMFC制御方法に関する説明の詳細は以下のとおりである:入口バルブ13を、リザーバ1における基準吐出し圧力において開とし、かつリザーバ1における基準充填圧力において閉とするべく制御すること。出口バルブ3を、リザーバ1における基準吐出し圧力において閉とし、かつリザーバ1における基準充填圧力において開とするべく制御すること。体積可変式貯蔵器を用いてリザーバ1における体積を制御すること。この場合リザーバ1における体積を、質量流量を増加するために増加し、かつ質量流量を減少するために減少する。
【0048】
図7は本発明の第二実施例による、タイムベースのMFCを概略的に示していて、そのMFCにおいて、リザーバ体積は変更可能である。図示するように、リザーバ1′はシリンダ−ピストン形状である。好ましくは、ステッピングモータがピストン押しのけ量を制御するために使用されている。小流量範囲のガス流れを制御するために小さな体積のリザーバが、そして大きな流量範囲のガス流れを制御するために大きな体積のリザーバがそれぞれ使用される。最適なリザーバ体積は、適切なソフトウェア/ハードウェアの使用することにより選択することができ、従ってガス流れの最も正確な測定と制御とが達成される。
【0049】
第三タイプのMFC制御方法に関して以下に詳述する:主バルブ11の開度レベルの変更が、結果としてガスをリザーバ1へ充填するための時間を変化させ(P1 及びδP1 が変化しなくても、リザーバ1における圧力をP1 からδP1 増加するのにかかる時間が変化する)、従って、ガス使用装置へ供給されるガス流れが結果的に変化する。大流量範囲においてガス使用装置への流量を制御するために、主バルブ11の開度レベルが増加される。一方小流量範囲においてガス使用装置への流量を制御するために、主バルブ11の開度レベルが減少される。主バルブ11の開度レベルがMFCにおける全体応答特性を変化させる。
【0050】
第四タイプのMFC制御方法に関して以下に詳述する:時間遅れが、入口バルブ13の閉と出口バルブ3の開との間に及び/又は出口バルブ3の閉と入口バルブ13の開との間に設定されるけれど、単位開ループ/閉ループ当りの、リザーバ1に蓄積されるガス質量/ガス体積は変化しない。しかしながら、ループ当りの経過時間が変化し、従ってリザーバ1からの流出ガスの質量流量/体積流量は結果的に変化する。
【0051】
図8は本発明の好適な第三実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。図6における複数のタイムベースのMFCが平行に接続されている。各々のリザーバ1から最終的なガス使用装置への流路長さの違いを調整することにより、ガス使用装置へのガス流量の摂動は回避することができる。すなわち、ガス使用装置へのガス流量の摂動は、ガス使用装置へのガス供給を一回毎に分割すること(spliting)により回避することができる。
【0052】
さらなる好適な実施例により、ガス使用装置への流量の摂動は、各々のMFCに対する開時点/閉時点を変えて制御することにより回避することができる。
図9は、本発明の第四実施例による、バッファ15を備えたタイムベースのMFCを概略的に示している。図9は、ガス使用装置へのガス流量の摂動を回避する他の実施例を示している。図9におけるMFCは、ガス流量の摂動を比較的単純な装置であるバッファ15だけにより回避できる利点がある。図9におけるMFCは、図8におけるMFCと同じく、複数セットのリザーバ1とバッファ15とを有している。
図10は、図9のタイムベースのMFCにおける、入口バルブ13及び出口バルブ3の状態と、リザーバ1及びバッファ15の圧力−時刻歴とを示している。
【0053】
第一タイプのMFC制御方法に焦点を合てると、リザーバ1に蓄積されるガス質量は、τを規定することにより決定される。そのような質量値のガスが、ガス使用装置に一定時間τ+ζ供給される。このことは、もし流体の特性及びバケットの体積が固定されている場合、流量はτを制御することにより制御できることを意味している。最重要点は、質量流量が時間だけの函数として表示されることである。
【0054】
図11A及び11Bは本発明におけるプロットタイプMFCの実際の構造と流量制御の基本原理とを概略的に示している。図11AはプロットタイプMFCの構造を概略的に示している。図11Bは、オスシレータ信号と、オスシレータ信号によりトリガされた時間遅れ信号との間の一般的な位相関係を概略的に示す。図示するように、プロットタイプMFCは、オスシレータ21と、NOTゲート(インバータ)236、二つの遅延タイマ25及び26と、パワードライバ27aと、二つのソレノイド29及び30と、入口バルブ13と、出口バルブ3とを含んでいる。LEGO空気バルブが入口バルブ13及び出口バルブ3に使用された。LEGO空気配管の区画がリザーバ1として使われた。プラスチックのレモネードボトルがガス供給装置として使われた。
【0055】
オスシレータの信号端を降下させる際、これらの時間遅れタイマ信号は、トリガされるので、第一時間遅れタイマ25及び第二時間遅れタイマ26が交互にトリガされるように、NOTゲート23がオスシレータ21と第二時間遅れタイマ26との間に設定された。
【0056】
発明者は図11A及び11Bに示すMFCを用いて実験を行ない、その実験結果を図12及び13に示す。
【0057】
図12は、図11AのMFCにおける、時間とリザーバ1を通過するガス体積との間の関係を示している。90ループ/min 及び210ループ/min それぞれの実験結果が示されている。長さ8cmで直径4mmの貯蔵チューブが使用された。図示するようにループ速度が90ループ/min から210ループ/min へ増加されるに従って、流量は20ml/min から350ml/min へ増加した。
【0058】
図13は図11Aに示すプロットタイプMFCにおける、時間と蓄積されたガス体積との間の関係を示している。直系4mmで長さ8cmと24cmとのリザーバ1に対する実験結果が示されている。図13に示すように、リザーバ長さが8cmから24cmに長くなると、流量が増加した。各曲線のこう配は、時間と伴に減少してこう配0のプラトーに達した。このことはガス供給装置の圧力の減少によるものであった。
【0059】
図14Aは本発明の好適な実施例によるMFCの実際的な構造例を概略的に示している。プロットタイプのMFCは、本発明の基本原理を説明するには有用であるけれど、本発明を完全に理解するには限界がある。例えばプロットタイプのMFCにおいて、リザーバの一定な充填は保証されていない。そのような限界を克服するために、図14Aに示すようなMFCが作られた。
【0060】
図14AにおけるMFCは、主バルブ11と、圧力レギュレータ35と、入口バルブ13と、リザーバ1と、出口バルブ3と、トランスデューサ5bと、増幅器37と、アナログ/デジタルインタフェース39と、パワードライバ27bと、A/Dコンバータカードとを備えたPC41とを含んでいる。A/Dコンバータが出力を読み取りできるように、トランスデューサ5bからの出力は増幅器37により増幅された。
【0061】
図14Bは、図14Aに示すMFCのPCにおいて実行された実行プログラムのフローチャートを示している。圧力を変換するには(短いとしても)時間を要するので、アレーが完全な充填/排出データを備えるにはA/D変換遅れが必要とされた。
【0062】
ループレートは以下のように計算された:プログラムがリザーバ1の充填及び排出のループを実行する時間毎に、そのループの合計時間が記憶された。続いてプログラムは、実行されたループの回数を加算しかつ所要時間を加算し、従ってループレートを計算することができた。多少の変則な充填/排出プロセスが含まれていてもよい。すなわち、多少の充填/排出プロセスは平均的なループレートに比較すると非常に短いものだからである。この問題はループ遅れを必要とするループ回数に適切な範囲で増加することにより解決することができる(例えば20ループ)。従って、実際に変換された値は、前の値ではなくて現在値であることが保証されている。
【0063】
本発明者は図14A及び14Bに示すMFCを用いて実験を行ない、その実験結果が図15〜19に示されている。図15はリザーバ1における、A/Dコンバータにより変換されたデジタル値と、圧力との間の関係を示している。電圧のアナログ信号はデジタル信号値に変換された。すなわち−10〜10V範囲における入力電圧が4096の個別のデジタル信号値の一つへ変換された。デジタル値4095及び2047が10Vと0Vとにそれぞれ対応していて、それらはリニアな関係にある。装置の挙動を知りかつそれを装置の設計に適用するために、圧力トランスデューサを用いて測定が実行されたけれども、これらの値は圧力に変換する必要はなかった。というのは、本発明における重要な値は圧力ではなくて繰返し回数であったからである。
【0064】
図16Aは、充填プロセス時における時間に対するリザーバ1における圧力を示している。直径2mmのリザーバが使用された。図示するように、リザーバの初期充填にあたって非常に長い時間を要した。というのはリザーバ1における圧力を0bar から0.05bar まで上昇させる必要があったからである。しかしながら、リザーバ1が初回で充填されてしまうと、充填プロセスはわずかな時間を要するだけであった。
【0065】
図16Bは、排出プロセス時における時間に対するリザーバ1における圧力を示している。
【0066】
図16Cは、リザーバの連続した充填及び排出時の時間に対するリザーバにおける圧力を示している。図16Cに図示するように、充填及び排出特性は15bar /sの非常に急激な初期上昇を示した。このことは、リザーバ1が排出されるのを装置が待機している際の、入口バルブ13直前側の装置にビルドアップされた圧力によるものであった。一定ではあるがわずかな圧力上昇が、入口バルブ13の閉直前に生じている。
【0067】
図17Aは、直径1mmのリザーバにおける充填圧力が0.05bar で吐出し圧力が0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。本発明者は、種々の流量を扱うために、種々のサイズのリザーバ1に対する実験を実行した。まず直径1mmのリザーバが、製作され実験され、ループレートと流量とはこう配0.0112のリニアな関係であった。
【0068】
図17Bは、直径2.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。図示するように、こう配は0.009である。
【0069】
図17Cは、直径4mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。図示するように、こう配は0.011である。
【0070】
図17Dは、直径5.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。図示するように、こう配は0.0152である。
【0071】
図17A−17Dに示す実験結果からわかるように、リザーバ1を通過する媒体の流量は、リザーバ1の体積を変更することにより制御することができる。例外的に直径1mmのリザーバ1が直径2.5mmのリザーバ1より大きなこう配であったことは、センサがリザーバ1へ接続されていたことによるのかも知れない。
【0072】
最適な流量を決定するために、種々の充填圧力が試験された。主バルブはセットされ、さらに種々の充填圧力がテストプログラムに取り入れられた。図18Aに示すように、定常流量に対するループレートは、充填圧力0.025bar の場合375ループ/min であり、充填圧力0.125bar の場合75ループ/min であった。充填圧力が高くなるに従って、同一流量に対するループレートの数は減少した。
図18Bは、主バルブ11の開度レベルが固定された場合で、種々の充填圧力に対して測定された流量を示している。図示するように、主バルブ11を通過する流量は一定にセットされたけれども、充填圧力が上昇するに従って流量が増加した。図18Bにおけるボール形状曲線に図示されるように、リザーバ1における圧力は、非常に低い圧力(例えば図18Bにおける0.025bar の充填圧力)において、必要とされる充填圧力をすぐ超過して、充てん過多を招いている。従って装置の設計者は、装置の充填圧力の選択において、この点を考慮すべきであった。図18Bにおける実験条件により、使用可能な充填圧力として0.05bar そして使用可能な吐出し圧力として0.002bar が選択された。
【0073】
図19は図14AのMFCにおいて、装置の通常運転状態と、入口バルブ13及び出口バルブ3の両方が開となっている状態とにおける、時間と体積との間の関係を示している。
【0074】
図示するように、実験結果は以下のことを示していて;充填と排出とが繰返されている装置の通常運転状態において、リザーバ1を通過する流量は、入口バルブ13と出口バルブ3との両方が永久的に開とされている状態に比較して相対的に小さい。この現象は、圧力損失と圧力リークとによるものであった。入口バルブ13と出口バルブ3との両方が永久的に開となった状態において、供給圧力により空気が吹き抜けかつリークが均衡を破って大きなものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、タイムベースの質量流量制御装置(MFC)の原理を概略的に示している。
【図2A】
図2Aは、図1におけるリザーバの中流量における圧力−時刻歴を示している。
【図2B】
図2Bは、図1におけるリザーバの大流量における圧力−時刻歴を示している。
【図2C】
図2Cは、図1におけるリザーバの小流量における圧力−時刻歴を示している。
【図3】
図3は、図1におけるリザーバにおいてδP/Pが小さくかつ〔dP/dt〕fallが大きい場合の圧力−時刻歴を示す。
【図4】
図4は、バッファを備えたタイムベースのMFCの原理を概略的に示している。
【図5】
図5は、図4におけるリザーバとバッファとの圧力−時刻歴を概略的に示している。
【図6】
図6は、本発明の第一実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。
【図7】
図7は、本発明の第二実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。
【図8】
図8は、本発明の第三実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示していて、図6におけるタイムベースのMFCが平行に接続されてもよいことを示している。
【図9】
図9は、本発明の第四実施例によるバッファを備えたタイムベースのMFCを概略的に示している。
【図10】
図10は図9におけるMFCの、入口弁及び出口弁の状態と、リザーバ及びバッファの圧力−時刻歴とを概略的に示している。
【図11A】
図11Aは、本発明における流量制御の基本原理を説明するために、プロットタイプのMFCの実際的な構造例を概略的に示すもので、本図はプロットタイプMFCの構造を概略的に示している。
【図11B】
図11Bは、本発明における流量制御の基本原理を説明するために、プロットタイプのMFCの実際的な構造例を概略的に示すもので、本図はオスシレータ信号と、オスシレータ信号によりトリガされたタイマ遅れ信号との間の位相関係を概略的に示している。
【図12】
図12は、時間と、図11AのMFCにおけるリザーバを通過するガス体積との間の関係を示すもので、90ループ/min 及び210ループ/min それぞれに対する実験結果を示している。
【図13】
図13は、時間と、図11AのプロットタイプMFCにおける蓄積されたガス体積との間の関係を示すもので、8cm長さのリザーバ及び24cm長さのリザーバそれぞれに対する実験結果を示している。
【図14A】
図14Aは、本発明によるMFCの実際の構造例を概略的に示している。
【図14B】
図14Bは、図14Aに示すMFCのPCにおいて実行された実行プログラムのフローチャートを示している。
【図15】
図15はリザーバにおける、A/Dコンバータにより変換されたデジタル値と、圧力との間の関係を示している。
【図16A】
図16Aは、図14AにおけるMFCの充填プロセス時における、時間に対するリザーバの圧力を示している。
【図16B】
図16Bは、図14AにおけるMFCの排出プロセス時における、時間に対するリザーバの圧力を示している。
【図16C】
図16Cは、図14AにおけるMFCの連続している充填及び排出プロセス時における、時間に対するリザーバの圧力を示している。
【図17A】
図17Aは、図14AにおけるMFCの直径1mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図17B】
図17Bは、図14AにおけるMFCの直径2.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図17C】
図17Cは、図14AにおけるMFCの直径4mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図17D】
図17Dは、図14AにおけるMFCの直径5.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図18A】
図18Aは、図14AにおけるMFCにおいて主バルブ開度が固定されている場合の、ループレートと充填圧力との間の関係を示している。
【図18B】
図18Bは、図14AにおけるMFCにおいて主バルブ開度が固定されている場合の、異なる充填圧力に対する測定された流量を示している。
【図19】
図19は図14AのMFCにおいて、装置の通常運転状態と、入口バルブ及び出口バルブの両方が開となっている状態とにおける、時間と体積との間の関係を示している。
技術分野
本発明は、タイムベースの質量流量制御装置(MFC)と、体積流量/質量流量を時間にもとづいて正確に制御する方法とに関する。
【0002】
従来技術
MFCは電子装置、流体装置等のような広い分野において使用されている。例えば、半導体素子製造プロセスにおいて、蒸着装置と拡散装置とエッチング装置とプラズマ装置とスパタリング装置とが使用される。各プロセスが異なる種類のガスを使用するので、すべての装置は供給されるガス又は蒸気の量を正確かつ独立的に制御する必要がある。さらに、集積回路技術の改善を通じての半導体装置におけるサイズの著しい、微少化は、供給ガス流量がより正確に制御されることを必要としている。
【0003】
流量を直接的に測定することは非常に困難である。米国特許第6044701号、第5279154号、第4686856号及び日本国特開昭59−88622公報に開示されているように、種々の流量制御装置及び流量計が提案され使用されてきた。にもかかわらず、それらのほとんどは設置及びメンテナンスにおいて複雑かつ高価なものである。すなわち、従来形MFCは極度に特化されたかつ高価な装置となっている。
【0004】
従来形MFCは熱式MFCと圧力ベースのMFCとに分類されていて、その熱式MFCはカロリメータの原理により熱伝達量の差を検出することにより作動するもので、その圧力ベースのMFCは流路における質量流量と圧力損失と間の関係にもとづいて作動するものである。
熱式MFCは応答時間遅れの傾向があり、外部への熱損失のために十分に正確とはいえない。また熱式MFCは、バイパスパイプのような非常に精密な部品を必要とし、さらにセンシティブガスに使用することはできない。従って熱式MFCを製造することは容易ではない。圧力ベースのMFCは、非常に正確に作られたコンポネントを必要とし、オリフィス又はノズルのような流路における“ファウリング”を受ける。
【0005】
発明の開示
本発明は前述の問題を解決することにより達成される。本発明の目的は、従来形MFCと異なる概念にもとづいて、流量を正確かつ容易に測定できる新規なMFCを提供することである。例えば、時間はクオーツ式時間計測器によりより正確に測定できるので、本発明は、精密な道具としての構造体なしに精密なMFCを容易に提供することができる。本発明におけるもう一つの目的は、すぐれた信頼性と長寿命と耐久性と設置及びメンテナンスが安価であることを備えたMFCを提供することである。現在では、時間を非常に正確に測定する(1/108 sを上廻る)ことは安価で容易なものとなっている。従って本発明は、時間をベースにして質量流量/体積流量を非常に正確に制御することができる。
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明はタイムベースの質量流量制御装置を提供していて、タイムベースの質量流量制御装置が:
少なくとも一つのリザーバと;
各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと;
各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと;
制御装置であって、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数を及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御するためのものであり、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御装置と;
を具備している。
【0007】
入口バルブ及び出口バルブは、開運動/閉運動時において急速作動バルブのように急速な作動性能を有している必要がある。これらのバルブの制御は排他的ロジックのデジタルマシンにより達成することができて、そのデジタルマシンは急速作動バルブの作動をリザーバにおける圧力にもとづいて制御することができる。
【0008】
本発明の好適な実施例において、該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつプリセット時間後に該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口弁を制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該入口弁が閉状態になるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口弁を制御していて;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0009】
本発明の他の好適な実施例において、該リザーバが体積可変の貯蔵チャンバであり、かつ該制御装置が該リザーバの該体積を制御している。
【0010】
おそらく、該リザーバがピストン−シリンダ形状であって、該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口弁を制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口弁を制御していて;さらに該リザーバの体積を制御するために、該制御装置はリザーバのピストン押しのけ量を制御しており;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0011】
本発明のさらなる他の好適な実施例において、該制御装置は該リザーバの該入口へ流入する該ガスの温度のような特性値を制御している。このことが該MFCを通過する該流体は必要とされる特性値を有することを可能にしている。
【0012】
本発明におけるさらなる他の好適な実施例において、タイムベースの質量流量制御装置が、該リザーバの該入口の上流側に、該リザーバへ流入するガスの該質量流量/体積流量を調節するための主バルブを具備していて;該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口弁を制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口バルブを制御していて;該リザーバへ流入するガスの該質量流量/体積流量を制御するために、該制御装置は該主バルブの開度レベルを制御しており;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0013】
さらなる他の好適な実施例において、該入口バルブを閉とすること及び該出口バルブを開とすることの間、及び/又は該出口バルブを閉とすること及び該入口バルブを開とすることの間には時間遅れがあって、さらに該制御装置は該時間遅れの長さを制御しており、従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0014】
さらなる他の好適な実施例において、タイムベースの質量流量制御装置が、該リザーバに該ガスの温度を測定するための温度センサを具備していて;該温度センサにより測定された該リザーバにおける該ガス温度にもとづいて、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御していて、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている。
【0015】
さらなる他の好適な実施例において、一つより多いリザーバが平行に設置されていて、対応する該リザーバの入口バルブ及び出口バルブ各々が異なる開時点/閉時点を有している。
さらなる他の好適な実施例において、一つより多いリザーバが平行に設置されていて、各々の出口バルブからガス使用装置へのフローラインの長さが異なっている。
【0016】
さらなる他の好適な実施例において、タイムベースの質量流量制御装置が、該リザーバの該出口の下流側に設置されたバッファを備えていて、該バッファが該リザーバより大きな体積を有している。
【0017】
また本発明は、タイムベースの質量流量制御装置を用いた質量流量/体積流量制御方法を提供していて;該タイムベースの質量流量制御装置が、少なくとも一つのリザーバと、各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと、各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと、を具備する質量流量/体積流量制御方法において;
質量流量/体積流量制御方法が:単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉回数を及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御する段階であって、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御する段階、を含んでいる。
【0018】
発明の実施の形態
図1はタイムベースのMFCの原理を概略的に示している。圧縮性ガスが主ガス供給装置から既知体積のリザーバ1へ流れるようになっていて、リザーバ内の圧力が基準吐出し圧力PからP+δPへ増加する所要時間が測定されている。圧力がP+δPへ増加する所要時間の測定は、モニタリング周期で連続的に繰り返し行なわれる。コンピュータは圧力センサ5からの電気信号によりリザーバ1における圧力変化を監視することができる。出口バルブ3の作動時間は、コンピュータ内部の刻時機構(Clock producer)により正確に測定することができる。
【0019】
出口バルブ3、例えば高速作動バルブが、リザーバ1における圧力を連続的に基準吐出し圧力Pへ戻している。出口バルブ3は排他的チップ(exclusive chip)により制御されていて、圧力センサSにより測定された圧力がP+δPに達すると、出口バルブ3が開かれ、ガスはガス使用装置へ排出される。続いて、圧力が基準吐出し圧力Pへ低下すると、出口バルブ3が閉となる。特定の質量流量範囲に対する最も適切な圧力上昇δPは、特定の流量範囲において、既知の体積のリザーバ1を使用して選択することができる。
【0020】
図2A、2B及び2Cは、図1におけるリザーバのそれぞれ中流量、大流量、小流量における圧力−時刻歴を示している。
流量が小さい場合、リザーバ1における圧力がプリセット圧力に達する所要時間は長く、一方流量が大きい場合、プリセット圧力に達する所要時間は短くなる。
【0021】
圧力が基準吐出し圧力PからP+δPへビルドアップする所要時間あるいは周期τは、以下のパラメータに依存していて:
・流体の熱力学的特性値及び輸送特性値のような、流体の密度ρ、粘性係数μ、体積弾性係数ξ、と、流体の既知あるいは制御可能な温度Tとの特性値に関連するもの;
・ダクトあるいはキャビティのトポロジー(幾何学的形状、L及びD);
・体積流量、VF;である。
【0022】
上記において、
τ=f1 (μ、ρ、ξ、T、L、D、VF)
Re−これの組み合わせで得られる
VF=f2 (μ、ρ、ξ、T、L、D、τ)
=f3 (μ、ρ、ξ、T、L、D)/τ
かつf3 が函数性に乏しいもの(weak function)であって一定VF=C/τと仮定することができ、VF=C/τは、容易かつ正確に測定される時間τに対する、必要に応じて可変である体積流量に関する単純函数である。
【0023】
圧力−時間曲線の形状は、コンデンサが二つの電圧VとV+δVとの間で充電し放電している電圧−時間曲線と同様なものである。さらに曲線の特別な形状は、δP/Pが減少するに従って、著しくよりリニアになる。この装置において、圧力変化は時間に対してほぼリニアである。従って、トリガ信号として圧力を監視する(正確な絶対圧力Pの測定は必要とされない)ことと、正確なτ値を得るために時間を測定することが必要とされるだけである。
【0024】
図3は、図1におけるリザーバ1の、δP/Pが小さくかつ〔dP/dt〕fallが大きい場合の圧力−時刻歴を示している。
【0025】
理想的なタイムベースのMFCは以下のとおりのものである。
a)δP/Pが小さいように、PとP+δPとの間の圧力範囲で作動すること。提供されたδP/Pは十分に小さいものであって、リザーバ1における圧力が増加する一方で、圧力の時間変化率dP/dtは一定に近づくであろう。
b)リザーバ1とガス使用装置との間における、流れに対する小さな抵抗を有し及び/又は比較的大きな駆動差圧を有していること。このことが、リザーバ1における、P+δPから基準吐出し圧力Pへの圧力降化率が大きくなることを保証するであろう。詳しくは、|dP/dt|rise≪|dP/dt|fall
c)利用可能な供給ガス圧力がPに比較して高い状況において作動すること。このことは、MFCの作動が供給ガスに無関係であることを保証している。
上記a)及びb)を満足する場合のリザーバにおける圧力−時刻歴を図3に示す。
【0026】
図4は、バッファ15を備えたタイムベースのMFCの原理を概略的に示している。
【0027】
前記条件に加えて、MFCは、リザーバ1とガス使用装置との間における十分な流れ緩衝能力を有していて、リザーバにおける、無視し得る圧力変動δPと“流れの有無”状態とが平均化され、ほぼ一定の圧力と安定した一定の流れとなる。
【0028】
前述の条件を達成する方法は、リザーバ1に合った流れ安定化性能を備えたMFCを作ることである。これを行なうのに適切な方法は、出口バルブ3の下流側直下に安定化用バッファ15を取りつけることである。リザーバ1がバッファ15に比較して小体積であることと、出口バルブ3が開かれる場合流体抵抗が非常に小さいことと、を保証する場合、所定の性能が得られる。
【0029】
図5は、図4におけるリザーバ1とバッファ15との圧力時刻歴を概略的に示している。図5に示すように、装置はP1 ≒P2 、P1 ≫δP1 及びP2 ≫δP2 に設定されているので、バッファ15を出てゆく圧力と流量との変動は無視し得る。
【0030】
タイムベースのMFCがdP1 /dtが一定の範囲で作動されるので、リザーバ1における圧力は、τに直接的に(あるいはリニアに)比例する値(すなわちδP1 )とプリセットした基準吐出し圧力P1 とを加えたものである。従って、連続的な質量流量装置を用いて種々の質量流量の達成を可能にするためには、質量流量が可変なτを変更することにより制御されてもよい。τをより大きくすると、質量流量はより大きくなる。当然のことであるが、質量流量は可変な充填圧力P1 +δP1 を変更することにより制御されてもよい。しかしながら、このことは本発明の概念を逸脱するものである。というのは、本発明の目的は、時間を測定することだけにより、充填速度(周期)及び又は排出速度(周期)を標準質量流量にすることであるからである。
【0031】
図4におけるMFCは基本的に本発明の目的に合致するものではない。というのは、出口バルブ3が開かれる場合、主バルブ11からの供給ガスがリザーバ1における蓄積ガスと同様に、リザーバ1からガス使用装置へ連続的に流れるからである。この問題は、所望する速度で“バケットを充填及び排出”することによる、“バケット及びストップウォッチ(bucket−and stopwatch)”方法により解決された。
【0032】
多分給水栓からの流量を最も正確に測定する方法は、給水栓の下方に既知体積のバケットを置き、かつバケットが満ぱいになる時間を測定することである。体積流量は、単純にバケットの体積をそれを満ぱいにする時間で除算することであって、質量流量は体積流量と水の密度とを乗算したものに等しい。
【0033】
図6は本発明の第一実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。図示するようにMFCは、入口バルブ13と、出口バルブ3と、リザーバ1への流入ガスの質量流量を制御するための主バルブ11とを含んでいる。
【0034】
タイムベースのMFCには、リザーバ1におけるガス温度を測定するための温度センサが備えられていてもよい。例えば、熱電対のあるいは半導体の温度測定装置が温度センサとして使用されてもよい。もしリザーバ1におけるガスが理想気体であるなら、以下の関係が満足されている:(理想気体に対する状態方程式が説明の便宜のために使用されるので、非理想気体に対する状態方程式を使用することの必要性、又は実際の質量流量制御における正確な補正の必要性がある。)
PV=RT/M(Rは一般的なガス定数である)
【0035】
上記状態方程式により、比容積及び密度は既知のガス温度とプリセットした充填圧力及び吐出し圧力とにより得ることができる。リザーバに蓄積されたガス質量は、リザーバの体積と、充填圧力及び吐出し圧力状態における密度とを乗算することにより得ることができる。すなわち、入口バルブ13と出口バルブ3との開/閉速度(単位時間当りの開/閉ループ数)は時間を測定することによるだけで容易に得ることができる。従って、質量流量/体積流量は、容易に得ることができる。例えば、もし質量流量が所望する値より小さいなら、リザーバ1の体積が増加される。
【0036】
体積流量固定モードにおいて流量制御を実行する場合、制御は温度に依存することなくバルブの開/閉速度を一定に保つことにより達成することができる。このモードにおいて、質量流量は高温度において小さな値となり、低温度において大きな値となる。
【0037】
質量流量固定モードにおいて流量制御を実行する場合、制御はバルブの開/閉速度を制御することにより達成することができる。このモードにおいて体積流量は、温度上昇に従って増加し、温度下降に従って減少する。
【0038】
リザーバ1における、P1 から1.01P1 への1%の断熱圧力上昇を想定する。排出時、リザーバ1における圧力はP1 へ戻る。ループ当りリザーバを通過する(理想)気体の体積は、理想気体に対する状態方程式により計算される。例えば、計算された値がリザーバ体積のX%であることと、リザーバ1の体積が1mlであることを仮定する場合、ループ当りリザーバ1を通過するガス体積は0.01Xml/ループとなる。得られる体積流量が0.1ml/min であることを仮定すると、ループレート(時間当りの入口バルブ13と出口バルブ3との開/閉ループ数)は、体積流量をループ当りのリザーバ1を通過するガス体積で除算したもの、すなわち0.1ml/min ÷0.01Xml/ループである。もし所望する体積流量が10ml/min の場合、ループレートは10ml/min ÷0.01Xml/ループとなる。すなわち、質量流量/体積流量は、単位時間当りの入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ回数と、入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ各々当りのリザーバ1における蓄積及び排出されたガス質量/ガス体積との乗算で表わされる。従って、流量制御は、これらの条件を制御することにより制御できる。
【0039】
単位時間当りの入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ回数と、入口バルブ13及び出口バルブ3の開/閉ループ各々当りのリザーバ1における蓄積及び排出されたガス質量/ガス体積とに影響する因子は、充填時間τ、リザーバ1の体積、主バルブ11の開度レベル、時間遅れ等である。すなわち、流量制御方法は以下の四に分類される:流量は、
a)リザーバ1の充填時間を変更することにより、
b)リザーバ1の体積を変更することにより、
c)リザーバ1への流入ガス流量を変化するために主弁11の開度レベルを変更することにより、
d)時間遅れを変更することにより、
制御することができる。
【0040】
これらの変数は、独立的に又は組合わせて流量制御に使用されてもよい。前述の四つの制御方法の実際的な実行において、制御管理は、既知の実験データ(あるいは実験式)をベースにした流量に対応する所定値を与えることにより、又は流量の結果を判断してプリセット値を修正することにより、又は両方法を実施することにより、流量を制御してもよい。
【0041】
例えば、主バルブ11を制御して一定のループを実行後に流量に対する結果値を(既知データにもとづき)計算する。もし所定流量から多少のずれがある場合、さらに主バルブ11を制御することにより修正される。他の例は、リザーバ1の体積を制御すると同時に一定のループのガス流れを実行した後に流量に対する結果値を既知データにもとづき計算する。もし所定の流量から多少のずれがある場合、時間遅れを与えることにより修正される。修正テーブル又は修正式が実験的に解明されてもよくて、かつ実際の制御の実行に反映されてもよい。実験データベースを得るための予備実験において、吐出し圧力及び充填圧力下における正確なガス状態を温度センサを用いて測定する必要があるかも知れない。
【0042】
前述した第一タイプのMFCの制御方法に関するより完全な説明は以下のとおりである:
a)入口バルブ13が開く毎に出口バルブ3が閉となるように、MFCは作動する。
b)リザーバ1における圧力は、基準吐出し圧力P1 から増加される。
c)入口バルブ13はプリセット時間後に閉となる。
d)出口バルブ3が開かれる。リザーバ1における圧力が基準吐出し圧力P1 に戻るまで、出口バルブ3は開状態となっている。
従って流量はリザーバ1へ充填する時間を変更することにより簡単に制御することができる。
【0043】
前述の第一タイプのMFC制御方法において、入口バルブ13と出口バルブ3との開/閉ループ各々当りにおける、リザーバ1において蓄積されかつ排出されたガス質量/ガス体積は、以下のようにして得ることができる:
予備実験段階において、基準吐出し圧力におけるリザーバ1のガスの特性、例えば温度が測定される。入口バルブ13を介してリザーバ1へ流入するガスの状態も測定される。第一タイプのMFC制御方法は、プリセット時間(τ)だけを変更することにより流量を制御しているので、基準吐出し圧力下のリザーバにおけるガスの状態と、入口バルブ13を介してリザーバ1へ流入するガスの状態とは、制御プロセス時において一定に保たれ、さらに一回の測定により種々の流量におけるガス流れ制御に対して等しく適用することができる。
【0044】
実際的な次の制御段階において、流量のループの制御は、入口バルブ13を開きプリセット時間(τ)後にそれを閉じることにより実行されている。この場合、ループ当りリザーバ1において蓄積され排出されたガスの量は以下のようにして得ることができる。もし〔dP/dt〕riseが一定なら、プリセット時間(τ)後のリザーバ1におけるガスの圧力上昇は、〔dP/dt〕riseとプリセット時間(τ)との乗算により表示される。入口弁13を介してリザーバ1へ流入するガスの質量流量値(供給されたガスの圧力はPより高いので、入口弁13を介してリザーバ1へ流入するガスの質量流量は一定値である)と、プリセット時間(τ)とを乗算した値は、プリセット時間(τ)の間にリザーバ1へ流入したガスの質量、すなわちループ当りのリザーバ1における蓄積されかつ排出されたガスの質量を表わしている。
【0045】
しかしながら、前述の計算されたガスの質量値は、適切な仮定のもとに得られた理論値である。流量の正確な制御は、流量の表を参照することにより達成される。流量の表には、種々のプリセット時間τにおける蓄積されかつ排出されたガスの質量値が含まれていなければならなくて、質量値は、基準吐出し圧力において種々のプリセット時間τ後それぞれにおけるリザーバ1のガス状態を測定する予備実験により実験的に得ることが可能である。
【0046】
プリセット時間(τ)後のリザーバ1におけるガスの比体積は以下のようにして得られる:質量保存の法則(連続の式)によりリザーバ1におけるガス質量は、リザーバ1に流入するガス質量と、基準吐出し圧力状態におけるガス質量との合計で表示される。従って、プリセット時間後のリザーバにおけるガス質量は、容易に得ることができる。プリセット時間後のガスの比体積は、リザーバ体積をプリセット時間後のリザーバ1におけるガス質量により除算することにより得ることができる。
【0047】
第二タイプのMFC制御方法に関する説明の詳細は以下のとおりである:入口バルブ13を、リザーバ1における基準吐出し圧力において開とし、かつリザーバ1における基準充填圧力において閉とするべく制御すること。出口バルブ3を、リザーバ1における基準吐出し圧力において閉とし、かつリザーバ1における基準充填圧力において開とするべく制御すること。体積可変式貯蔵器を用いてリザーバ1における体積を制御すること。この場合リザーバ1における体積を、質量流量を増加するために増加し、かつ質量流量を減少するために減少する。
【0048】
図7は本発明の第二実施例による、タイムベースのMFCを概略的に示していて、そのMFCにおいて、リザーバ体積は変更可能である。図示するように、リザーバ1′はシリンダ−ピストン形状である。好ましくは、ステッピングモータがピストン押しのけ量を制御するために使用されている。小流量範囲のガス流れを制御するために小さな体積のリザーバが、そして大きな流量範囲のガス流れを制御するために大きな体積のリザーバがそれぞれ使用される。最適なリザーバ体積は、適切なソフトウェア/ハードウェアの使用することにより選択することができ、従ってガス流れの最も正確な測定と制御とが達成される。
【0049】
第三タイプのMFC制御方法に関して以下に詳述する:主バルブ11の開度レベルの変更が、結果としてガスをリザーバ1へ充填するための時間を変化させ(P1 及びδP1 が変化しなくても、リザーバ1における圧力をP1 からδP1 増加するのにかかる時間が変化する)、従って、ガス使用装置へ供給されるガス流れが結果的に変化する。大流量範囲においてガス使用装置への流量を制御するために、主バルブ11の開度レベルが増加される。一方小流量範囲においてガス使用装置への流量を制御するために、主バルブ11の開度レベルが減少される。主バルブ11の開度レベルがMFCにおける全体応答特性を変化させる。
【0050】
第四タイプのMFC制御方法に関して以下に詳述する:時間遅れが、入口バルブ13の閉と出口バルブ3の開との間に及び/又は出口バルブ3の閉と入口バルブ13の開との間に設定されるけれど、単位開ループ/閉ループ当りの、リザーバ1に蓄積されるガス質量/ガス体積は変化しない。しかしながら、ループ当りの経過時間が変化し、従ってリザーバ1からの流出ガスの質量流量/体積流量は結果的に変化する。
【0051】
図8は本発明の好適な第三実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。図6における複数のタイムベースのMFCが平行に接続されている。各々のリザーバ1から最終的なガス使用装置への流路長さの違いを調整することにより、ガス使用装置へのガス流量の摂動は回避することができる。すなわち、ガス使用装置へのガス流量の摂動は、ガス使用装置へのガス供給を一回毎に分割すること(spliting)により回避することができる。
【0052】
さらなる好適な実施例により、ガス使用装置への流量の摂動は、各々のMFCに対する開時点/閉時点を変えて制御することにより回避することができる。
図9は、本発明の第四実施例による、バッファ15を備えたタイムベースのMFCを概略的に示している。図9は、ガス使用装置へのガス流量の摂動を回避する他の実施例を示している。図9におけるMFCは、ガス流量の摂動を比較的単純な装置であるバッファ15だけにより回避できる利点がある。図9におけるMFCは、図8におけるMFCと同じく、複数セットのリザーバ1とバッファ15とを有している。
図10は、図9のタイムベースのMFCにおける、入口バルブ13及び出口バルブ3の状態と、リザーバ1及びバッファ15の圧力−時刻歴とを示している。
【0053】
第一タイプのMFC制御方法に焦点を合てると、リザーバ1に蓄積されるガス質量は、τを規定することにより決定される。そのような質量値のガスが、ガス使用装置に一定時間τ+ζ供給される。このことは、もし流体の特性及びバケットの体積が固定されている場合、流量はτを制御することにより制御できることを意味している。最重要点は、質量流量が時間だけの函数として表示されることである。
【0054】
図11A及び11Bは本発明におけるプロットタイプMFCの実際の構造と流量制御の基本原理とを概略的に示している。図11AはプロットタイプMFCの構造を概略的に示している。図11Bは、オスシレータ信号と、オスシレータ信号によりトリガされた時間遅れ信号との間の一般的な位相関係を概略的に示す。図示するように、プロットタイプMFCは、オスシレータ21と、NOTゲート(インバータ)236、二つの遅延タイマ25及び26と、パワードライバ27aと、二つのソレノイド29及び30と、入口バルブ13と、出口バルブ3とを含んでいる。LEGO空気バルブが入口バルブ13及び出口バルブ3に使用された。LEGO空気配管の区画がリザーバ1として使われた。プラスチックのレモネードボトルがガス供給装置として使われた。
【0055】
オスシレータの信号端を降下させる際、これらの時間遅れタイマ信号は、トリガされるので、第一時間遅れタイマ25及び第二時間遅れタイマ26が交互にトリガされるように、NOTゲート23がオスシレータ21と第二時間遅れタイマ26との間に設定された。
【0056】
発明者は図11A及び11Bに示すMFCを用いて実験を行ない、その実験結果を図12及び13に示す。
【0057】
図12は、図11AのMFCにおける、時間とリザーバ1を通過するガス体積との間の関係を示している。90ループ/min 及び210ループ/min それぞれの実験結果が示されている。長さ8cmで直径4mmの貯蔵チューブが使用された。図示するようにループ速度が90ループ/min から210ループ/min へ増加されるに従って、流量は20ml/min から350ml/min へ増加した。
【0058】
図13は図11Aに示すプロットタイプMFCにおける、時間と蓄積されたガス体積との間の関係を示している。直系4mmで長さ8cmと24cmとのリザーバ1に対する実験結果が示されている。図13に示すように、リザーバ長さが8cmから24cmに長くなると、流量が増加した。各曲線のこう配は、時間と伴に減少してこう配0のプラトーに達した。このことはガス供給装置の圧力の減少によるものであった。
【0059】
図14Aは本発明の好適な実施例によるMFCの実際的な構造例を概略的に示している。プロットタイプのMFCは、本発明の基本原理を説明するには有用であるけれど、本発明を完全に理解するには限界がある。例えばプロットタイプのMFCにおいて、リザーバの一定な充填は保証されていない。そのような限界を克服するために、図14Aに示すようなMFCが作られた。
【0060】
図14AにおけるMFCは、主バルブ11と、圧力レギュレータ35と、入口バルブ13と、リザーバ1と、出口バルブ3と、トランスデューサ5bと、増幅器37と、アナログ/デジタルインタフェース39と、パワードライバ27bと、A/Dコンバータカードとを備えたPC41とを含んでいる。A/Dコンバータが出力を読み取りできるように、トランスデューサ5bからの出力は増幅器37により増幅された。
【0061】
図14Bは、図14Aに示すMFCのPCにおいて実行された実行プログラムのフローチャートを示している。圧力を変換するには(短いとしても)時間を要するので、アレーが完全な充填/排出データを備えるにはA/D変換遅れが必要とされた。
【0062】
ループレートは以下のように計算された:プログラムがリザーバ1の充填及び排出のループを実行する時間毎に、そのループの合計時間が記憶された。続いてプログラムは、実行されたループの回数を加算しかつ所要時間を加算し、従ってループレートを計算することができた。多少の変則な充填/排出プロセスが含まれていてもよい。すなわち、多少の充填/排出プロセスは平均的なループレートに比較すると非常に短いものだからである。この問題はループ遅れを必要とするループ回数に適切な範囲で増加することにより解決することができる(例えば20ループ)。従って、実際に変換された値は、前の値ではなくて現在値であることが保証されている。
【0063】
本発明者は図14A及び14Bに示すMFCを用いて実験を行ない、その実験結果が図15〜19に示されている。図15はリザーバ1における、A/Dコンバータにより変換されたデジタル値と、圧力との間の関係を示している。電圧のアナログ信号はデジタル信号値に変換された。すなわち−10〜10V範囲における入力電圧が4096の個別のデジタル信号値の一つへ変換された。デジタル値4095及び2047が10Vと0Vとにそれぞれ対応していて、それらはリニアな関係にある。装置の挙動を知りかつそれを装置の設計に適用するために、圧力トランスデューサを用いて測定が実行されたけれども、これらの値は圧力に変換する必要はなかった。というのは、本発明における重要な値は圧力ではなくて繰返し回数であったからである。
【0064】
図16Aは、充填プロセス時における時間に対するリザーバ1における圧力を示している。直径2mmのリザーバが使用された。図示するように、リザーバの初期充填にあたって非常に長い時間を要した。というのはリザーバ1における圧力を0bar から0.05bar まで上昇させる必要があったからである。しかしながら、リザーバ1が初回で充填されてしまうと、充填プロセスはわずかな時間を要するだけであった。
【0065】
図16Bは、排出プロセス時における時間に対するリザーバ1における圧力を示している。
【0066】
図16Cは、リザーバの連続した充填及び排出時の時間に対するリザーバにおける圧力を示している。図16Cに図示するように、充填及び排出特性は15bar /sの非常に急激な初期上昇を示した。このことは、リザーバ1が排出されるのを装置が待機している際の、入口バルブ13直前側の装置にビルドアップされた圧力によるものであった。一定ではあるがわずかな圧力上昇が、入口バルブ13の閉直前に生じている。
【0067】
図17Aは、直径1mmのリザーバにおける充填圧力が0.05bar で吐出し圧力が0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。本発明者は、種々の流量を扱うために、種々のサイズのリザーバ1に対する実験を実行した。まず直径1mmのリザーバが、製作され実験され、ループレートと流量とはこう配0.0112のリニアな関係であった。
【0068】
図17Bは、直径2.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。図示するように、こう配は0.009である。
【0069】
図17Cは、直径4mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。図示するように、こう配は0.011である。
【0070】
図17Dは、直径5.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の流量とループレートとの間の関係を示している。図示するように、こう配は0.0152である。
【0071】
図17A−17Dに示す実験結果からわかるように、リザーバ1を通過する媒体の流量は、リザーバ1の体積を変更することにより制御することができる。例外的に直径1mmのリザーバ1が直径2.5mmのリザーバ1より大きなこう配であったことは、センサがリザーバ1へ接続されていたことによるのかも知れない。
【0072】
最適な流量を決定するために、種々の充填圧力が試験された。主バルブはセットされ、さらに種々の充填圧力がテストプログラムに取り入れられた。図18Aに示すように、定常流量に対するループレートは、充填圧力0.025bar の場合375ループ/min であり、充填圧力0.125bar の場合75ループ/min であった。充填圧力が高くなるに従って、同一流量に対するループレートの数は減少した。
図18Bは、主バルブ11の開度レベルが固定された場合で、種々の充填圧力に対して測定された流量を示している。図示するように、主バルブ11を通過する流量は一定にセットされたけれども、充填圧力が上昇するに従って流量が増加した。図18Bにおけるボール形状曲線に図示されるように、リザーバ1における圧力は、非常に低い圧力(例えば図18Bにおける0.025bar の充填圧力)において、必要とされる充填圧力をすぐ超過して、充てん過多を招いている。従って装置の設計者は、装置の充填圧力の選択において、この点を考慮すべきであった。図18Bにおける実験条件により、使用可能な充填圧力として0.05bar そして使用可能な吐出し圧力として0.002bar が選択された。
【0073】
図19は図14AのMFCにおいて、装置の通常運転状態と、入口バルブ13及び出口バルブ3の両方が開となっている状態とにおける、時間と体積との間の関係を示している。
【0074】
図示するように、実験結果は以下のことを示していて;充填と排出とが繰返されている装置の通常運転状態において、リザーバ1を通過する流量は、入口バルブ13と出口バルブ3との両方が永久的に開とされている状態に比較して相対的に小さい。この現象は、圧力損失と圧力リークとによるものであった。入口バルブ13と出口バルブ3との両方が永久的に開となった状態において、供給圧力により空気が吹き抜けかつリークが均衡を破って大きなものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、タイムベースの質量流量制御装置(MFC)の原理を概略的に示している。
【図2A】
図2Aは、図1におけるリザーバの中流量における圧力−時刻歴を示している。
【図2B】
図2Bは、図1におけるリザーバの大流量における圧力−時刻歴を示している。
【図2C】
図2Cは、図1におけるリザーバの小流量における圧力−時刻歴を示している。
【図3】
図3は、図1におけるリザーバにおいてδP/Pが小さくかつ〔dP/dt〕fallが大きい場合の圧力−時刻歴を示す。
【図4】
図4は、バッファを備えたタイムベースのMFCの原理を概略的に示している。
【図5】
図5は、図4におけるリザーバとバッファとの圧力−時刻歴を概略的に示している。
【図6】
図6は、本発明の第一実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。
【図7】
図7は、本発明の第二実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示している。
【図8】
図8は、本発明の第三実施例によるタイムベースのMFCを概略的に示していて、図6におけるタイムベースのMFCが平行に接続されてもよいことを示している。
【図9】
図9は、本発明の第四実施例によるバッファを備えたタイムベースのMFCを概略的に示している。
【図10】
図10は図9におけるMFCの、入口弁及び出口弁の状態と、リザーバ及びバッファの圧力−時刻歴とを概略的に示している。
【図11A】
図11Aは、本発明における流量制御の基本原理を説明するために、プロットタイプのMFCの実際的な構造例を概略的に示すもので、本図はプロットタイプMFCの構造を概略的に示している。
【図11B】
図11Bは、本発明における流量制御の基本原理を説明するために、プロットタイプのMFCの実際的な構造例を概略的に示すもので、本図はオスシレータ信号と、オスシレータ信号によりトリガされたタイマ遅れ信号との間の位相関係を概略的に示している。
【図12】
図12は、時間と、図11AのMFCにおけるリザーバを通過するガス体積との間の関係を示すもので、90ループ/min 及び210ループ/min それぞれに対する実験結果を示している。
【図13】
図13は、時間と、図11AのプロットタイプMFCにおける蓄積されたガス体積との間の関係を示すもので、8cm長さのリザーバ及び24cm長さのリザーバそれぞれに対する実験結果を示している。
【図14A】
図14Aは、本発明によるMFCの実際の構造例を概略的に示している。
【図14B】
図14Bは、図14Aに示すMFCのPCにおいて実行された実行プログラムのフローチャートを示している。
【図15】
図15はリザーバにおける、A/Dコンバータにより変換されたデジタル値と、圧力との間の関係を示している。
【図16A】
図16Aは、図14AにおけるMFCの充填プロセス時における、時間に対するリザーバの圧力を示している。
【図16B】
図16Bは、図14AにおけるMFCの排出プロセス時における、時間に対するリザーバの圧力を示している。
【図16C】
図16Cは、図14AにおけるMFCの連続している充填及び排出プロセス時における、時間に対するリザーバの圧力を示している。
【図17A】
図17Aは、図14AにおけるMFCの直径1mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図17B】
図17Bは、図14AにおけるMFCの直径2.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図17C】
図17Cは、図14AにおけるMFCの直径4mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図17D】
図17Dは、図14AにおけるMFCの直径5.5mmのリザーバにおける、充填圧力0.05bar 及び吐出し圧力0.002bar の場合の、流量とループレートとの間の関係を示している。
【図18A】
図18Aは、図14AにおけるMFCにおいて主バルブ開度が固定されている場合の、ループレートと充填圧力との間の関係を示している。
【図18B】
図18Bは、図14AにおけるMFCにおいて主バルブ開度が固定されている場合の、異なる充填圧力に対する測定された流量を示している。
【図19】
図19は図14AのMFCにおいて、装置の通常運転状態と、入口バルブ及び出口バルブの両方が開となっている状態とにおける、時間と体積との間の関係を示している。
Claims (10)
- タイムベースの質量流量制御装置が:
少なくとも一つのリザーバと;
各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと;
各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと;
制御装置であって、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数を及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御するためのものであり、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御装置と;
を具備しているタイムベースの質量流量制御装置。 - 該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつプリセット時間後に該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口バルブを制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該入口バルブが閉状態になるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口バルブを制御していて;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっているところの、請求項1に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 該リザーバが体積可変の貯蔵チャンバであり、かつ該制御装置が該リザーバの該体積を制御しているところの、請求項1に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 該リザーバがピストン−シリンダ形状であって、該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口バルブを制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口バルブを制御していて;さらに該リザーバの体積を制御するために、該制御装置はリザーバのピストン押しのけ量を制御しており;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっているところの、請求項3に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 該リザーバの該入口の上流側に、該リザーバへ流入するガスの該質量流量/体積流量を調節するための主バルブを具備していて;該リザーバが基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該入口を開とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該入口を閉とするために、該制御装置は該入口バルブを制御しており;該リザーバが該基準吐出し圧力状態であるとき該リザーバの該出口を閉とするために、かつ該リザーバが基準充填圧力状態であるとき該リザーバの該出口を開とするために、該制御装置は該出口バルブを制御していて;該リザーバへ流入するガスの該質量流量/体積流量を制御するために、該制御装置は該主バルブの開度レベルを制御しており;従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっているところの、請求項1に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 該入口バルブを閉とすること及び該出口バルブを開とすることの間、及び/又は該出口バルブを閉とすること及び該出口バルブを開とすることの間には時間遅れがあって、さらに該制御装置は該時間遅れの長さを制御しており、従って該制御装置は該リザーバから流出する該ガスの該質量流量/体積流量を制御することができるようになっているところの、請求項1に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 該リザーバに該ガスの温度を測定するための温度センサを具備していて;該温度センサにより測定された該リザーバにおける該ガス温度にもとづいて、該制御装置は、単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉ループの回数及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御していて、従って該制御装置は、該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっているところの、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 一つより多いリザーバが平行に設置されていて、対応する該リザーバの入口バルブ及び出口バルブ各々が異なる開時点/閉時点を有しているところの、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- 該リザーバの該出口の下流側に設置されたバッファを備えていて、該バッファが該リザーバより大きな体積を有しているところの、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイムベースの質量流量制御装置。
- タイムベースの質量流量制御装置を用いた質量流量/体積流量制御方法であって;該タイムベースの質量流量制御装置が、少なくとも一つのリザーバと、各々が対応するリザーバの入口を開/閉する、少なくとも一つの入口バルブと、各々が対応するリザーバの出口を開/閉する、少なくとも一つの出口バルブと、を具備する質量流量/体積流量制御方法において;
質量流量/体積流量制御方法が:単位時間当りの該入口バルブと該出口バルブとの開/閉回数を及び/又は該入口バルブと該出口バルブとの単位開/閉ループ当りのリザーバにおいて蓄積されかつ排出されるガスの質量/体積を制御する段階であって、該出口バルブが開状態となっているとき、該入口バルブは該ガスを該リザーバに流入することを可能にするべく該リザーバの該入口を開としていて、該入口バルブが閉状態となっているとき、該出口バルブは該ガスを該リザーバから流出することを可能にするべく該リザーバの該出口を開としており、従って該リザーバから流出する該ガスの質量流量/体積流量を制御することができるようになっている制御する段階、を含んでいる質量流量/体積流量制御方法。
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CN111259529A (zh) * | 2020-01-12 | 2020-06-09 | 湘潭大学 | 一种基于差分的最优高压油管稳压控制方法 |
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2001
- 2001-11-22 JP JP2002554476A patent/JP2004522219A/ja active Pending
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