JP2004519246A - マトリックス付着領域およびその使用方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、核酸ベクターで真核細胞をトランスフェクトするための組成物および方法に関する。特に、本発明は、安定および一過性トランスフェクション効率を増加するためのMARエレメントの使用に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にマトリックス付着領域(MAR)およびMARの使用方法に関する。特に、本発明は、安定な真核細胞株の開発のためのそのような方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
真核細胞株は、1つ以上の所望のタンパク質を発現するために遺伝子的に改変することができる。調節された発現および産物に必要な発現特徴を有するクローン細胞株を同定するための現在の選択およびスクリーニング手順は、労力を要し、時間が掛かる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞では、最大の発現を達成するための古典的アプローチは、変異細胞株の使用およびジヒドロ葉酸還元酵素などの同時トランスフェクトされた選択マーカーに対する数ヶ月間の選択圧力の緩徐な増加に関与する。(KaufmanおよびSharp, 1982;Schimkeら1982)。この問題に対する新規のアプローチは、標的化された組み込みならびに選択およびスクリーニング手順の改良と組み合わされた高い転写活性を有する染色体上の稀な部位の同定を含む(Fusseneggerら1999)一方、それにもかかわらず、これらはすべて研究レベルに特化したプロセスである。
【発明の概要】
【0003】
1つの局面において、本発明は、2つ以上の連結していない核酸ベクター(プロモーターおよび所望のタンパク質をコードする異種遺伝子を有する第1のベクター、ならびに少なくとも1つのクロマチンエレメントを有する第2のベクター)のトランスフェクションを使用して、真核細胞を形質転換する方法に関与する。好適な実施態様において、クロマチンエレメントはMARエレメント(例えば、ニワトリリゾチームMARエレメント)である。本発明の代替的実施態様では、核酸ベクターは真核細胞のクロマチンに組み入れられ、エピソームを保持する。
【0004】
もう1つの局面において、本発明は、2つ以上の連結していない核酸ベクター(プロモーターおよび所望のタンパク質をコードする異種遺伝子を有する第1のベクター、および少なくとも1つのクロマチンエレメントを有する第2のベクター)のトランスフェクションを使用して、トランスフェクトされた細胞を酪酸塩に接触させる、真核細胞を形質転換する方法に関与する。
【0005】
さらなるもう1つの局面において、本発明は、2つ以上の連結していない核酸ベクター(プロモーター、所望のタンパク質をコードする異種遺伝子および第1のクロマチンエレメントを有する第1のベクター;第2のクロマチンエレメントを有する第2のベクター)のトランスフェクションを使用して、真核細胞を形質転換する方法に関与する。代替的実施態様において、第1のクロマチンエレメントは、プロモーターおよび異種遺伝子の5'(上流)側または3'(下流)側に位置してもよい。他の実施態様において、第2のベクターは2つ以上のクロマチンエレメント(例えば、第3、第4、第5または第6のクロマチンエレメント)を含有する。本発明の好適な実施態様では、第1、第2、第3、第4、第5および第6のクロマチンエレメントの少なくとも1つはMARエレメント(例えば、ニワトリリゾチームMARエレメント)であってもよい。もう1つの好適な実施態様において、真核細胞は、第3のベクターと同時トランスフェクトされる。この第3のベクターは少なくとも1つの遺伝子(例えば、構造、調節または選択遺伝子)および/または少なくとも1つのクロマチンエレメント(例えば、MARエレメント)を含んでもよい。本発明の特定の好適な実施態様において、第1、第2、および恐らく第3のベクターのモル比が変調される。
【0006】
さらなる局面において、本発明は、第1のプロモーターおよび第1の遺伝子を有する第1のベクター、およびMARエレメントを有する第2のベクターで第1の真核細胞をトランスフェクトし、第1のプロモーターおよび第1の遺伝子を有する第1のベクターで第2の真核細胞をトランスフェクトし、第1および第2の真核細胞における遺伝子の発現を測定し、比較し、そして第1の遺伝子の発現が、第1の真核細胞において第2の真核細胞より大きい場合、第1の真核細胞を選択することにより、組換えタンパク質をコードする遺伝子を発現する真核細胞を選択する方法を提供する。
【0007】
もう1つの局面において、本発明は1つ以上の核酸ベクターの組成物を提供する。1つの実施態様において、本発明は、2つの核酸ベクター(プロモーターおよび所望のタンパク質をコードする異種遺伝子を有する第1のベクター、ならびにMARエレメントを有する第2のベクター)の組成物を提供する。他の実施態様において、組成物は酪酸塩をさらに含む。
【0008】
もう1つの局面において、本発明は、2つ以上の核酸ベクター(プロモーターおよび所望のタンパク質をコードする異種遺伝子を有する第1のベクター、およびMARエレメントを有する第2のベクター)を含有する1つ以上の真核細胞を提供する。実施態様において、本発明は、2つ以上の核酸ベクター(プロモーター、所望のタンパク質をコードする異種遺伝子、およびMARエレメントを有する第1のベクター、ならびに少なくとも1つのMARエレメントを有する第2のベクター)を含有する1つ以上の真核細胞を提供する。いくつかの実施態様において、1つ以上の真核細胞は、酪酸塩処置された細胞である。
【0009】
さらなる局面において、本発明は、1つ以上の容器、2つ以上の核酸ベクター(プロモーターおよび所望のタンパク質をコードする異種遺伝子を有する第1のベクター、ならびにMARエレメントを有する第2のベクター)、ならびにその取扱説明書を含有するキットを提供する。実施態様において、本発明は、2つ以上の核酸ベクター(プロモーター、所望のタンパク質をコードする異種遺伝子、およびMARエレメントを有する第1のベクター、ならびに少なくとも1つのMARエレメントを有する第2のベクター)を含む1つ以上の真核細胞を、1つ以上の容器に含有するキットを提供する。実施態様において、キットは酪酸塩をさらに含む。
【0010】
他で規定しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が関する分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料に類似または等価な方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は以下に記載される。本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の文献は、その全体が参考として援用される。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は、例示のみであって限定することを意図しない。
【0011】
本発明の他の特徴および利点については、以下の詳細な説明および請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
現在までのところ、安定な細胞株の開発は、無作為に組込まれたベクター配列の発現に対する周辺クロマチンのネガティブな影響によって妨害されている。境界エレメント、マトリックス付着領域、および遺伝子座制御領域などのクロマチンエレメントは、ゲノムに組込まれた場合にのみ遺伝子発現に対して効果を及ぼすことが公知である。次世代の遺伝子治療ベクターにおけるクロマチンエレメントの使用については、現在、治療用の導入遺伝子の発現を改良することが検討されている(Neffら1997)が、そのようなエレメントが遺伝子構築物の発現を改変または改善する能力について体系的に取り組んでいる研究はまだない。安定な細胞株の開発においてクロマチンエレメントの好ましい特性を利用するためには、それらの有用性を確立しなければならない。この目的のために使用されるエレメントは、染色体組み込み部位および組込まれたコピー数にかかわらず、高レベルの発現クローンを入手する頻度を改善すべきである。この効果は特定の細胞タイプに特異的であるべきではなく、むしろバイオテクノロジーおよび遺伝子または細胞治療で一般に使用されるすべての細胞において観察されるべきである。さらに、エレメントは独立してプロモーターに作用し、多様な構築物でそれが使用されることを可能にすべきである。
【0013】
本発明の組成物および方法は、真核細胞のトランスフェクションにおける新規の性能および能力を有する。本発明は、組換えタンパク質をコードする遺伝子などの核酸を真核細胞、特に哺乳動物の細胞へのトランスフェクションを可能にする。
【0014】
本発明の組成物および方法は、組換えタンパク質をコードする1つ以上の遺伝子を発現する細胞株を作製するのに特に適切である。
【0015】
真核細胞にトランスフェクトされた異種遺伝子の発現レベルの多様性は、クロマチンの構造および/または宿主ゲノムにおける異種遺伝子の組込み部位での調節エレメントの存在(「位置効果」と呼ばれる現象)に反映すると考えられる。位置効果を克服するための簡単かつ迅速なアプローチは、近傍のクロマチンが導入遺伝子の発現に影響を及ぼすことを妨げるクロマチンエレメントを利用することである。このアプローチは、所望の調節された発現を示すクローンを単離する確率を改善する。このアプローチは、例えば、エクスビボ遺伝子治療、または組換えタンパク質の産生のための高レベル発現に有用であり、それによって、クローンをスクリーニングするのに費やす時間が減少する。さらに、治療用遺伝子の発現は(その制御成分とともに)組込み部位でのクロマチン構造とは独立しているため、位置依存性導入遺伝子の発現は、調節された遺伝子発現系の構築において顕著な能力を有する。位置効果を克服する能力を潜在的に有し、従って安定な細胞株の開発に興味深いクロマチンエレメントには、境界エレメント(BE)、マトリックス付着領域(MAR)、遺伝子座制御領域(LCR)、および普遍性クロマチンオープニングエレメント(universal chromatin opening element)(UCOE)が挙げられる。
【0016】
境界エレメント(BE)、またはインシュレーターエレメントは、多くの場合、クロマチンの境界を規定し(BellおよびFelsenfeld, 1999;Udvardy, 1999)、インビボで転写ドメインを規定する役割を果たすことができる。BEは固有のプロモーター・エンハンサーを欠くが、むしろ周辺クロマチンにおける調節エレメントの転写の影響から遺伝子を保護すると考えられている。エンハンサー阻害アッセイは、一般に、インシュレーターエレメントを同定するために使用される。このアッセイでは、クロマチンエレメントがエンハンサーとプロモーターとの間に置かれ、エンハンサーにより活性される転写が測定される。境界エレメントは、Drosophila(ショウジョウバエ)、酵母および哺乳動物細胞における位置効果に対して安定にトランスフェクトされたレポーター遺伝子を保護することが可能であることが明らかにされている(BiおよびBroach, 1999;Cuvierら1998;Waltersら1999)。それらはまた、誘導性導入遺伝子発現を有するトランスジェニックマウスの割合を増加することも明らかにされている(Wangら1997)。
【0017】
マトリックス付着領域(「MAR」;足場付着領域または足場/マトリックス付着領域(「S/MAR」)としても公知である)は、インビトロで単離された核足場または核マトリックスに高い親和性で結合するDNA配列である(HartおよびLaemmli, 1998)。例えば、それらは、包含するシス−調節エレメントのみがドメイン内の遺伝子の発現を制御するように独立したクロマチンドメインの境界を規定することができる。しかし、近傍のクロマチンエレメントから染色体遺伝子座を十分に保護し、そのようにして、位置独立性遺伝子発現を付与するそれらの能力は、安定してトランスフェクトされた細胞では認められていない(Poljakら1994)。一方、MAR配列は、エンハンサーと相互作用して、局所クロマチンのアクセス可能性を増加することが明らかにされている(Jenuweinら1997)。具体的には、MARエレメントは、細胞培養株(KalosおよびFournier, 1995;Klehrら1991;Phi−Vanら1990;Poljakら1994)、トランスジェニックマウス(Castillaら1998)および植物(Allenら1996)の異種遺伝子の発現を増強することができる。遺伝子治療のために改善されたベクターを開発するためのMAR配列の有用性についても認識されている(Agarwalら1998)。
【0018】
遺伝子座制御領域(「LCR」)は、それらの天然の位置における遺伝子座の初期クロマチン活性化およびその後の遺伝子転写に必要なシス−調節エレメントである(Grosveld, 1999において考察)。LCRの活性化機能はまた、宿主ゲノムにおける組込み部位であるにもかかわらず、トランスジェニックマウスの適切な組織において結合した導入遺伝子の発現を可能にする。LCRは、一般に連結された遺伝子において組織特異的レベルの発現を付与する一方、トランスジェニックマウスのほとんどすべての組織において切断型ヒトT細胞受容体LCR(Ortizら1997)およびラットLAP LCR(Talbotら1994)効率的な発現が報告されている。最も広範に特徴付けられたLCRは、グロビン遺伝子座のLCRである。鎌状赤血球症およびβサラセミアの遺伝子治療のためのベクターにおけるLCRの使用が現在評価されている(Pawliukら1998)。
【0019】
偏在性クロマチンオープニングエレメント(ubiquitous chromatin opening element)(「UCOE」、「偏在的に作用するクロマチンオープニングエレメント」としても公知である)が最近報告されている(WO00/05393を参照のこと)。
【0020】
ニワトリリゾチーム5'MARエレメントはCHO細胞(組換えタンパク質産生に一般に使用される細胞株)での安定な導入遺伝子の発現を有意に改善することが可能である。ニワトリリゾチーム5'MARエレメントはまた、特にトランスフェクトされた細胞が酪酸塩と接触した場合に一過性トランスフェクションを有意に改善することが可能である。このニワトリMARエレメントは、異種細胞における異種プロモーターからの転写を増強すること(Phi−Vanら1990)、ならびにトランスジェニックマウスにおける乳清酸性タンパク質遺伝子の発現の位置独立性ホルモンおよび発達調節を付与すること(McKnightら1992)が以前より明らかにされている。
【0021】
重要なことに、1つ以上の発現ベクターによるニワトリリゾチーム5'MARエレメントを有するプラスミドの同時トランスフェクションは、安定な導入遺伝子発現の増加を生じる。この簡単なアプローチでは、発現構築物にMARエレメントをクローニングする必要がない。さらに、MARエレメントのサイズには、もはや制限がない。MARエレメントによる同時トランスフェクションは、安定なクローンの発現の平均レベルを増大し、そして発現プラスミドのみのトランスフェクションで得られるレベルよりも高いレベルで発現するクローンを得る確率が増大する。
【0022】
理論的に導くまでもなく、MARエレメントと発現単位との間の距離および配列は考慮すべき重要な事項であり得る。MARの効果は、隣接する遺伝子では検出されるが、より遠位に位置する遺伝子では検出されていない(Bodeら1995)。MARの同時トランスフェクションの効果は十分に満たされておらず(図2)、この技術の能力的限界は、細胞あたりのトランスフェクトされたDNAの量である。当業者であれば、最小限の実験で、所定の細胞タイプにトランスフェクトするDNAの最大量を決定することが可能である。
【0023】
本明細書で使用される以下の定義は、本件の理解を容易にするために供給される。定義については、当該分野の範囲内で通用する意味から変動する程度であっても、以下の定義の方が優先されるべきである。
【0024】
「クロマチン」は、真核細胞の染色体を有する核酸物質であり、DNA、RNAおよび関連タンパク質を指す。
【0025】
「クロマチンエレメント」は、染色体上の核酸配列を意味する。
【0026】
「シス」は、同じ核酸分子(例えば、同じベクターまたは染色体)上の2つ以上のエレメント(例えば、クロマチンエレメント)の配置を指す。
【0027】
「トランス」は、2つ以上の異なる核酸分子上(例えば、2つのベクターまたは2つの染色体上)の2つ以上のエレメント(例えば、クロマチンエレメント)の配置を指す。
【0028】
「シス活性化」は、同じ核酸分子(例えば、同じベクターまたは染色体)上に位置するアクチベーター(例えば、エンハンサー)による遺伝子の活性化を指す。
【0029】
「下流」は、ヌクレオチド配列の3'末端に向かう方向を指す。
【0030】
「エンハンサー」は、遺伝子の正体、遺伝子に対する配列の位置、または配列の配向とは独立した遺伝子の転写を強化するために作用するヌクレオチド配列である。本発明のベクターは、任意にエンハンサーを含む。
【0031】
「遺伝子」は、所定の成熟タンパク質をコードするデオキシリボヌクレオチド(DNA)配列である。本明細書において使用される用語「遺伝子」は、RNA転写開始シグナル、ポリアデニル化添加部位、プロモーターまたはエンハンサーなどの非翻訳フランキング領域を含むべきではない。
【0032】
「選択遺伝子」は、遺伝子を発現する細胞に、検出可能なタンパク質として表現型を付与する遺伝子である。選択遺伝子の例としては、抗生物質耐性遺伝子および細胞代謝の中間化合物もしくは外因的に細胞に添加される化合物(例えば、薬物)を産生または改変する酵素をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「選択因子」は、選択遺伝子の発現の検出を可能にする条件、薬剤または物質である。
【0034】
「表現型」は、細胞の遺伝子型によって発現される細胞の観察可能な特性を指す。
【0035】
「産物遺伝子」は、診断または治療有用性などの所望の特性を有するタンパク質産物をコードする遺伝子である。産物遺伝子としては、例えば、構造遺伝子および調節遺伝子が挙げられる。
【0036】
「構造遺伝子」は、構造タンパク質をコードする遺伝子を指す。構造遺伝子の例としては、細胞骨格タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、核孔タンパク質および核足場タンパク質、イオンチャンネルおよびトランスポーター、収縮性タンパク質、ならびにシャペロンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な構造遺伝子は抗体または抗体フラグメントをコードする。
【0037】
「調節遺伝子」は、調節タンパク質をコードする遺伝子を指す。調節タンパク質の例としては、転写因子、ホルモン、成長因子、サイトカイン、シグナル伝達分子、オンコジーン、プロトオンコジーン、貫膜受容体、およびタンパク質キナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
「遺伝子型」は、発現とは反対に細胞内に含有される遺伝情報を指し、細胞の表現型として観察される。
【0039】
「連結反応」は、2つのDNA鎖の5'および3'末端間でリン酸ジエステルを形成するプロセスである。これは、T4DNAリガーゼによる平滑末端連結反応を含むがそれに限定されないいくつかの周知の酵素技術によって達成することができる。
【0040】
「配向」は、所定のDNA配列におけるヌクレオチドの順序を指す。例えば、DNA配列の逆方向配向は、配列が得られるDNAの参照ポイントと比較して、もう1つの配列に対する5'から3'への順序の配列が逆になっている配向である。そのような参照ポイントは、供給源のDNAにおいて特定した他のDNA配列の転写方向および/または該配列を含む複製可能なベクターの複製開始点を含むことができる。
【0041】
「転写」は、DNAテンプレートからのRNAの合成を意味する。
【0042】
「翻訳」は、メッセンジャーRNAからのポリペプチドの合成を指す。
【0043】
本明細書において使用される用語「ベクター」は、連結されているもう1つの核酸を輸送する能力を有する核酸分子を指す。
【0044】
「真核細胞」は、真核生物体由来の任意の哺乳動物または非哺乳動物細胞を指す。非限定的な例によって、細胞培養条件下で維持され、続いて、トランスフェクトされ得る任意の真核細胞は、本発明に含まれる。特に好適な細胞タイプとしては、例えば、幹細胞、胚性幹細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS、BHK21、NIH3T3、ヒーラ(HeLa)、C2C12、癌細胞、および初期分化または未分化細胞が挙げられる。他の適切な細胞は当業者に公知である。
【0045】
本明細書において使用される「形質転換」は、核酸の添加によって真核細胞を改変することを指す。例えば、細胞を形質転換することは、DNAベクターなどの核酸で細胞を形質転換することを含む。
【0046】
「トランスフェクション」は、エレクトロポレーションかまたは化学的手段などによるレシピエント細胞への核酸の導入である。トランスフェクションは、場合により、細胞の表現型の変化によって検出することができる。場合により、トランスフェクトされた細胞は、トランスフェクタントと呼ばれ、トランスフェクション前の細胞は親細胞と称される。
【0047】
本明細書において使用される「プロモーター」は、遺伝子の発現を調節する核酸配列を指す。
【0048】
「同時トランスフェクション」は、細胞に対して外来性である1つを超える外因性遺伝子(そのうちの1つは細胞に選択可能な表現型を付与することができる)で真核細胞をトランスフェクトするプロセスを意味する。
【0049】
核酸ベクターの真核トランスフェクションは、一般に周知のプロセスであり、様々な標準的な方法によって達成することができる。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、さらなるDNAセグメントを連結することができる環状二本鎖DNAループを指す。ベクターのもう1つのタイプはウイルスベクターであって、さらなるDNAをウイルスゲノムに連結させることができる。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律性複製が可能である(例えば、最近の複製開始点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組込まれ、従って、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが操作可能に連結される遺伝子の発現を指令する能力を有する。そのようなベクターを、本明細書では「発現ベクター」と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において使用される「プラスミド」および「ベクター」は交換可能に使用され、プラスミドは最も多く使用されるベクターの形態である。しかし、本発明は、等価な機能を供給するウイルスベクター(例えば、複製能欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含むがそれに限定されない他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。
【0050】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形態で本発明の核酸を含有する。具体的には、これは、組換え発現ベクターが、発現のために使用されるべき宿主細胞に基づいて選択され、発現させようとする核酸配列に操作可能に連結される1つ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内で、用語「操作可能に連結される」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で(例えば、インビトロ転写/翻訳系かまたはベクターが宿主細胞に導入される場合の宿主細胞において)、調節配列に連結されることを意味することを意図する。そのような調節配列については、例えば、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY : METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成性発現を指令する調節配列および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指令する調節配列(例えば、組織特異的調節配列)を含む。当業者であれば、発現ベクターの構築は、トランスフェクトしようとする宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベルなどの因子に依存し得ることを理解するであろう。
【0051】
本明細書において使用される組換え発現ベクターは、真核細胞における所望のタンパク質の発現のために設計することができる。適切な宿主細胞については、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)においてさらに考察されている。
【0052】
本明細書において使用される発現ベクターは酵母の発現ベクターであってもよい。酵母サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerivisae)における発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldariら1987. EMBO J. 6: 229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz, 1982. Cell 30: 933−943)、pJRY88(Schultzら1987. Gene 54: 113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、ならびにpicZ(InVitrogen Corp, San Diego, Calif.)が挙げられる。
【0053】
あるいは、本明細書において使用される発現ベクターは、バキュロウイルス発現ベクターであってもよい。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smithら1983. Mol. Cell. Biol. 3: 2156−2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers, 1989. Virology 170: 31−39)が挙げられる。
【0054】
本発明の核酸はまた、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞において発現させてもよい。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329: 840)およびpMT2PC(Kaufmanら1987. EMBO J. 6: 187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞を使用する場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびトリウイルス40から誘導される。原核および真核細胞の両方に適切な他の発現系については、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989の第16および17章を参照のこと。
【0055】
組換え哺乳動物発現ベクターは、好適には特定の細胞タイプにおいて、核酸の発現を指令することが可能である(例えば、組織特異的調節エレメントは、核酸を発現させるために使用される)。組織特異的調節エレメントは当該分野において公知である。適切な組織特異的プロモーターの非制限的例としては、アルブミンプロモーター(肝特異的;Pinkertら1987. Genes Dev. 1: 268−277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton, 1988. Adv. Immunol. 43: 235−275)、特にT細胞受容体(WinotoおよびBaltimore, 1989. EMBO J. 8: 729−733)および免疫グロブリン(Banerjiら1983. Cell 33: 729−740;QueenおよびBaltimore, 1983. Cell 33: 741−748)のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら1985. Science 230: 912−916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。発生段階で調節されるプロモーターも包含される。そのようなプロモーターの例としては、例えば、マウスホックス(hox)プロモーター(KesselおよびGruss, 1990. Science 249: 374−379)およびαフェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman, 1989. Genes Dev. 3: 537−546)が挙げられる。
【0056】
調節可能な遺伝子発現プロモーターは当該分野において周知であり、非制限的例により、CRE/LOX系、TET系、NFκB/UV光系、Leu3p/イソプロピルリンゴ酸系、およびGLVPc/GAL4系などの外因性分子に結合することによって所望のタンパク質をコード遺伝子の発現を変調する任意のプロモーターが挙げられる(例えば、Sauer, 1998, Methods 14 (4): 381−92;Lewandoski, 2001, Nat. Rev. Genet 2 (10): 743−55;Legrand−Poelsら1998, J. Photochem. Photobiol. B. 45: 18;Guoら1996, FEBS Lett. 390 (2): 191−5;WangらPNAS USA, 1999,96 (15): 8483−8を参照のこと)。
【0057】
さらに、用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書において交換可能に使用され、本発明の1つ以上のベクターが導入されている真核細胞を示す。そのような用語は、特定の主体細胞だけではなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫をも指すことが理解される。変異または環境の影響のいずれかにより連続的世代において特定の改変が生じ得るため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではない可能性もあるが、それでもなお、本明細書において使用される用語の範囲内に含まれる。
【0058】
記載のように、「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む外来性核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための様々な当該分野において認識される技術を指す。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法については、Sambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989)および他の研究マニュアルにおいて見出すことができる。
【0059】
哺乳動物細胞の適切なトランスフェクションについては、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、ごく一部の細胞しか外来性DNAをそれらのゲノムに組込むことができないことが公知である。これらの首尾よい組込み体を同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が、一般に目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入される。多様な選択可能なマーカーとしては、G418、ヒグロマイシンおよびメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与するマーカーが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、構造もしくは調節タンパク質をコードするような同じベクターに対して宿主細胞に導入することができるかまたは個別のベクターに対して導入することができる。導入された核酸で安定してトランスフェクトされる細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み入れた細胞は、他の細胞が死滅する一方、生存するであろう)。
【0060】
本発明は、クロマチンエレメント(MARエレメント、BEおよびLCR)を使用して、真核細胞のトランスフェクションの効率を変調することができる組成物および方法に関与する。本発明に従えば、MARエレメントは、真核細胞のトランスフェクション方法に使用してもよい。例えば、本発明における使用に適切なMARエレメントには、配列表の配列番号1(表1Aを参照のこと)に示されるニワトリリゾチームMARエレメントまたはそのフラグメントが含まれる。GenBank寄託番号X52989(配列表の配列番号2)、X84223(配列表の配列番号3)、X98408(配列表の配列番号4)、およびAJ277960(配列表の配列番号5)(表1B〜1Eを参照のこと)において列挙されるヌクレオチド配列またはそれらのフラグメントも有用である。本発明によって使用すべきさらなるMARエレメントは、当業者に周知の様々な技術を使用して同定、単離およびクローン化することができる。
【0061】
【表1】
Figure 2004519246
【0062】
【表2】
Figure 2004519246
【0063】
【表3】
Figure 2004519246
【0064】
【表4】
Figure 2004519246
【0065】
【表5】
Figure 2004519246
【0066】
【表6】
Figure 2004519246
【0067】
【表7】
Figure 2004519246
【0068】
【表8】
Figure 2004519246
【0069】
【表9】
Figure 2004519246
【0070】
本発明は、2つ以上の核酸ベクターを細胞に同時トランスフェクトすることによって、1つ以上の真核細胞を形質転換する方法を提供する。これらの2つ以上のベクターは、細胞によって発現させようとする所望のタンパク質をコードする遺伝子およびこの遺伝子の発現を制御するプロモーターを含有する第1のベクター、ならびにMARエレメント(例えば、ニワトリリゾチームMARエレメント)などの少なくとも1つのクロマチンエレメントを含有する第2のベクターを含む。配列表の配列番号1〜5に記載の核酸配列は、本発明のMARエレメントとして有用である。多様な実施態様において、第1および第2のベクターは、宿主細胞の染色体DNAに組込まれる。当業者であれば、本明細書に記載の方法に従ってトランスフェクションの任意の手段を使用することができることを認識するであろう。いくつかの実施態様において、第1のベクターは単一のクロマチンエレメント(例えば、MARエレメント)を含有する。他のいくつかの実施態様では、本発明は、3つ以上の核酸ベクターを細胞に同時トランスフェクトすることによって、1つ以上の真核細胞を形質転換する方法を提供する。さらにトランスフェクトされたベクターは、例えば、構造もしくは調節タンパク質をコードする遺伝子、または選択遺伝子を含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施態様において、エンハンサーエレメントが任意に本発明の1つ以上のベクターに含まれる。
【0072】
特定の細胞タイプに必要とされる第1および第2のベクターの比を適応することができ、当業者にとって日常的実験法である。第1のベクター対第2のベクターのモル比の比制限的例示の範囲は約1:2〜約1:10である。しかし、他の比も本発明により予想され、2:1、1:1、1:20、1:50、1:100および1:1000以上を含む。
【0073】
本発明はまた、導入遺伝子の発現を変調する(例えば、増加する)ための酪酸塩の使用を予想する(例えば、実施例6(後掲)を参照のこと)。酪酸塩は、核酸ベクターの添加の前、同時、または後に、細胞に添加することができる。当業者であれば、トランスフェクトされる細胞株に対する酪酸塩の最も有利な時間および濃度を容易に決定するであろう。例えば、酪酸は約0.1mM〜約1Mの濃度で添加することができる。好ましくは、約1〜500mM、1〜250mM、1〜100mM、1〜75mM、1〜50mM、1〜25mM、1〜20mM、1〜15mM、1〜14mM、1〜13mM、1〜12mM、1〜11mMまたは1〜10mMの量である。当業者であれば、酪酸塩の特定の効果は、同時トランスフェクションにおいて使用される細胞タイプに依存し、酪酸塩の添加は、トランスフェクトされた細胞の増殖もしくは分化に影響してもまたは影響しなくてもよい。酪酸塩は、酪酸ナトリウムまたは当業者に公知の任意の化合物の形態で添加することができる。
【0074】
本発明は、細胞によって発現させようとする所望のタンパク質をコードする遺伝子を含有する第1のベクター(この遺伝子の発現はプロモーターによって制御される)、および少なくとも1つのクロマチンエレメント(例えば、ニワトリリゾチームMARエレメント)を含有する第2のベクターに加えて、1つ以上の連結されていない核酸ベクターによる真核細胞の同時トランスフェクションをさらに包含する。さらなるベクター(単数または複数)は、選択遺伝子もしくは産生遺伝子またはその両方をコードすることができる。3つの連結されていないベクターが同時トランスフェクトされるような実施態様では、特定の細胞タイプに必要とされる第1、第2および第3のベクターの比を適応することができる。これらのベクターの比の決定は、当業者にとって日常的実験法の問題である。例えば、第1、第2および第3のベクターの非制限的モル比の範囲は、約1:1.75:5.5〜約1:1.75:11である。1:2:20、1:2:50、1:2:100または1:2:1000以上を含む他の比もまた、本発明によって予想される。
【0075】
所望のタンパク質をコードする所望のレベルの遺伝子を発現するトランスフェクトされた細胞を選択するための方法も提供される。ある場合において、これらの細胞は、(治療用タンパク質の産生および精製などのために)より多量の所望のタンパク質を産生するかまたは(機能分析などのために)より少量のタンパク質を産生することができる。好適な実施態様において、細胞によって発現させようとする所望のタンパク質をコードする遺伝子を含有する第1のベクター、およびMARエレメントなどの少なくとも1つのクロマチンエレメントを含有する第2のベクターで同時トランスフェクトした第1の細胞における遺伝子の発現を、第1のベクターのみでトランスフェクトされた第2の細胞における遺伝子の発現と比較し、第1の遺伝子の発現のレベルが第1および第2の細胞の間で異なる場合、第1の細胞を選択する。この方法は、MARエレメントを含有する第2のベクターの存在が所望の遺伝子の発現に有利である(例えば、増加を引き起こす)トランスフェクトされた細胞を選択するのに有用である。
【0076】
本発明はまた、細胞において所望のタンパク質をコードする遺伝子の発現を増加するのに使用することができるすべてのトランスフェクション組成物を包含する。1つの実施態様において、このトランスフェクション組成物は、少なくとも1つのMARエレメント(例えば、ニワトリリゾチームMARエレメント)を含有するベクターを含む。もう1つの実施態様において、細胞トランスフェクション組成物は、細胞によって発現させようとする所望のタンパク質またはその一部をコードする遺伝子を含有する第1のベクター、およびMARエレメントなどの少なくとも1つのクロマチンエレメントを含有する第2のベクターを含んでもよい。細胞トランスフェクション組成物は、例えば、約10mM、約100mMまたは約1Mの酪酸塩の濃度で、酪酸塩をさらに含有してもよい。
【0077】
本発明はまた、第1のプロモーターおよび所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子を有する第1のベクター、およびMARエレメントを含む第2のベクターを含有する、同時トランスフェクトされている真核細胞を包含する。本発明の実施態様として、第1および/または第2のベクターは真核細胞の染色体DNAに組込まれる。同時トランスフェクトされる細胞は、酪酸塩処置された細胞であってもよい。本発明はまた、2つ以上のベクター(第1のプロモーター、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子およびMARエレメントを有する第1のベクター、少なくとも1つのMARエレメントを含む第2のベクター)を含有する同時トランスフェクトされている真核細胞を包含する。本発明は、3つ以上のベクター(第1のプロモーター、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子を有し、少なくとも1つのMARエレメントを含む第2のベクター、第2のプロモーターおよび所望の遺伝子またはその一部をコードする第2の遺伝子を含む第3のベクター)を含有する同時トランスフェクトされている真核細胞を包含する。本発明のいくつかの実施態様において、第2の遺伝子は選択遺伝子または検出可能な遺伝子産物(例えば、緑色蛍光タンパク質などの蛍光タンパク質、もしくはルシフェラーゼなどの発光タンパク質)をコードする遺伝子をコードする。
【0078】
本発明は、真核細胞をトランスフェクトするためのキットを提供する。例えば、キットは、1つ以上の容器において、2つ以上の核酸ベクター(プロモーターおよび所望のタンパク質をコードする異種遺伝子を有する第1のベクター、ならびに少なくとも1つのMARエレメントを有する第2のベクター)ならびにその取扱説明書を有することができる。実施態様において、本発明は、1つ以上の容器において、2つ以上の核酸ベクター(プロモーター、所望のタンパク質をコードする異種遺伝子およびMARエレメントを有する第1のベクター、ならびに1つ以上のMARエレメントを有する第2のベクター)を含有する1つ以上の真核細胞を含有するキットを提供する。実施態様において、キットは酪酸塩をさらに含む。キットのベクターは、当業者であれば、最小限の実験で、研究下の細胞に対して使用することが可能である比で提供される。
【0079】
以下の実施例で本発明をさらに説明するが、該実施例は特許請求の範囲に記載の発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0080】
一般的材料および方法
プラスミドの構築
クロマチンエレメントを試験するためにし使用されるルシフェラーゼ発現ベクターは、すべてpGL3−コントロール(Promega)に基づく。このプラスミドは、改変されたホタルルシフェラーゼcDNAの前にSV40プロモーターを含有し、SV40後期ポリ(A)シグナルおよびSV40エンハンサーが続く。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)エレメントは、p7、p83およびp1314プラスミド由来である(Poljakら1994)。1.8kbのSalI scs(特別クロマチン構造)BEフラグメントは、P83、および960bpのBamHI−XhoI熱ショック87A遺伝子座SAR(hsp SAR)由来である。500bpのBamHI scs'BEフラグメントはp7由来であるが、657bpのEcoRI−HinfIヒストンSAR(his SAR)はp1314由来である。
【0081】
これらのエレメントの組み合わせを、最初に、pGL3−コントロールのBamHI SalI部位にクローン化した。scs'BEおよびhsp SARを、それぞれBamHI−EcoRIおよびEcoRI−SalIフラグメントとしてクローン化し、pMZ61を得た。同様に、BamHI−EcoRIscs'BE フラグメントおよびEcoRI−SalI hsp SARフラグメントを挿入して、pMZ62を得、BamHI−EcoRI his SARおよびEcoRI−SalI scs'BEを導入してpMZ63を得た。次いで、クロマチンエレメントをルシフェラーゼ発現カセットの上流の部位にクローン化した。KpnI−BamHI hsp SARおよびBEフラグメントをpMZ61のKpnI BglII部位にクローン化することによって構築物pMZ67−1を得たが、pMZ70−1は、同じフラグメントのpMZ62へのクローン化より生じた。KpnI−EcoRI his SARおよびEcoRI−BamHI scs'BE フラグメントをpMZ61のKpnI BglII部位に導入することによって、ベクターpMZ71を構築したが、pMZ68は、同じフラグメントのpMZ62へのクローン化より生じた。最後に、XbaI−EcoRIscs'BEおよびEcoRI−BamHI his SARフラグメントをpMZ63のNheI BglII部位にクローン化することによってpMZ69を得た。2.95kbのBamHI−XbaIニワトリリゾチームMAR(lys MAR)フラグメント(Phi−VanおよびStraetling, 1988)はpUC−B−1−X1(Wolf Stratling)由来である。それを、最初に、pGL3−コントロールのBamHI SalI部位にクローン化し、pMZ50を得た。KpnI−XbaIフラグメントを第2のMARとしてpMZ50のKpnI NheI部位に挿入することによって、構築物pMZ52を得た。マウスT細胞受容体αLCRの6kbのサブ領域(Ortizら1997)は、p3'LCR−72(Astar Winoto)由来である。それを、SalIおよび充填された(fill−in)EcoRIフラグメントとしてpGL3−コントロールのSalIおよび充填された(fill−in)BamHI部位にクローン化した。S1 LIP(Ueli Schibler)由来の2kbのNheIフラグメントは、おそらくLAP LCRを包含する(Talbotら1994)。それは、両方の配向で、KpnI−充填された(fill−in)NotIフラグメントとしてpGL3−コントロールのKpnI SmaI部位にクローン化し、pMZ44およびpMZ45を得た。
【0082】
免疫グロブリン発現ベクター、pMZ57およびpMZ36は、ヒトサイトメガロウイルスMIEプロモーター/エンハンサーが軽および重鎖の発現を駆動することを除いて、他に記載されている(Miescherら)ものと同一である。調節された発現系、pEFl−TetRNLS−TR450W、pPGK−TetRNLS−TR450W、pSV−TetRNLS−KoxW、pVG−GTTI−Luc+、p5xGTTI−GVPおよびp5xGTTI−mEpoirespGについては、先に記載されている(Imhofら2000)。すべてのプラスミドは、標準的な技術を使用して構築した。
【0083】
CHO細胞培養およびトランスフェクション
CHO DG44細胞株(Urlaubら1983)を、HT(Gibco−BRL)および2または10%FBS(Gibco−BRL)を補充したDMEM:F12(Gibco−BRL)中で培養した。ポリエチレンイミン(PEI)でトランスフェクトすることにより、ルシフェラーゼを発現する安定なCHO細胞のプールを得た(Boussifら1995)。細胞を、500〜750000細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種し、1晩付着させた。2〜3μgのpGL3−コントロールに対応するモル量のPvuI−線状化試験構築物を、10:1モル比で、トランスフェクション混合物をpUC19またはpBluescriptのいずれかで合計10μgとし、pSVneo(CLONTECH Laboratories, Inc.)で同時トランスフェクトした。プラスミドDNAを150mM NaClに希釈し、35μlの10mM PEI25(Fluka)を含有する等容量の150mM NaClを添加した。室温で15分間のインキュベーション後、トランスフェクション混合物を細胞に添加した。4時間後に培地を取り換えるか、または新鮮培地を補充した。48時間後、PBSで細胞を洗浄し、トリプシン処理し、700μg/mlジェネティシン(geneticin)(G−418硫酸、Gibco BRL)を補充した培地に置き換えた。その後の培地交換は、13および15日間の選択後にアッセイしたクローンのプールで、500μg/mlジェネティシン(geneticin)を補充した培地で行った。12〜14日間の選択後、ルシフェラーゼを発現する個々のクローンを拾い出し、解析前に選択培地中に維持した。
【0084】
軽鎖ベクターpMZ57、重鎖ベクターpMZ36およびMARを有するプラスミドpUC−B−1−X1か、またはコントロールとしてpUC18のいずれかを同時トランスフェクトすることによって、ヒト抗RhD−IgG抗体を発現する安定なCHOクローンを得た。1:1.75:5.5または1:1.75:11のモル比のpMZ57:pMZ36:pUC−B−1−X1のいずれかを伴うウェルあたりの合計で2.5μgのDNAを使用し、これはそれぞれ2:1および4:1のモル比のMAR:抗体プラスミドに対応した。細胞を、最適化したリン酸カルシウム沈殿方法(Jordanら1996)を使用するトランスフェクションの18時間前に、140000細胞/ウェルで12ウェルプレートに播種した。グリセロールストック(PBS 1×中10%グリセロール)を、トランスフェクションの3時間後に適用し、細胞を、8%FCSを補充した培地中、非選択条件下で2日間維持した。細胞を10cmディッシュ中に置き換えた際に、100μM L−プロリン、5%透析ウシ胎児血清(Gibco−BRL)を補充し、10mM HEPESで緩衝化したMEM(GHT−)培地(Sigma)において選択を行った。10〜14日後にコロニーが発生し、安定なコロニーを24ウェルプレートに移した。8日後に、培養上清を2〜10倍希釈し、ELISAで抗体濃度を決定した。
【0085】
C2C12細胞培養およびトランスフェクション
C2C12細胞株を、10%FCSを補充したDMEM(Gibco BRL)中で培養した。TK−HygのLipofectinTM(Gibco−BRL)、リプレッサー発現プラスミド、pEFl−TetRNLS−TR450W、pPGK−TetRNLS−TR450W、pSV−TetRNLS−KoxWのうちの1つ、およびMARプラスミドpUC−B−1−X1を1:4のモル比で使用する同時トランスフェクションにより、リプレッサーを発現する安定なC2C12クローンを得た。200μg/mlヒグロマイシンB(Gibco−BRL)で9日間の選択後、クローンを拾い出した。トランスフェクション効率の内部標準としてのpVG−GTTI−Luc+、およびpCMVssgal(MacOregorおよびCaskey, 1989)による一過性トランスフェクションを、本質的に先に記載(Imhofら2000)の通りに3回反復で実施した。100ng/mlのドキシサイクリン塩酸塩(Sigma)を有するまたは有さない培地を24時間ごとに交換し、トランスフェクション48時間後に細胞を回収した。pEFl−TetRNLS−TR450Wリプレッサーを有するクローンのプールを、アクチーベーター発現プラスミドpSxGTTI−GVP、リプレッサープラスミドp5xGTTI−mEpoiresβGeoおよびMARプラスミドpUC−B−1−X1で同時トランスフェクトした。500μg/mlジェネティシン(geneticin)による選択後、製造者に従い、フルオレセインジ−β−Dガラクトピラノシド(Molecular Probes)を使用して、クローンのプールのフローサイトメトリー分析を実施した。βガラクトシダーゼの中等度発現を有する細胞を貯蔵し、これらのクローンを、ドキシサイクリンを有さない培地に拡げた。これらのクローンを、100ng/mlのドキシサイクリン塩酸塩の存在における誘導についてスクリーニングし、βガラクトシダーゼを発現するクローンを選択した。ドキシサイクリン塩酸塩を有さない培地での培養後、ドキシサイクリンの存在および非存在下でクローンをアッセイした。
【0086】
細胞ライゼートおよび受容体アッセイ
以下の通りに、ルシフェラーゼおよびタンパク質測定のための細胞抽出物を調製した。細胞をPBSで洗浄し、100μl溶解緩衝液(25mM Tris−リン酸、pH7.8、2mM DTT、2mM CDTA、10%グリセロール、0.5%Triton X−100)で、20分間、室温でインキュベートした。白色96ウェルプレート中、20μlの抽出物でルシフェラーゼの測定を行った。ルシフェラーゼアッセイ試薬プロトコル(Promega)に記載の試薬を使用して、EG & G Berthold Microplate96Vルミノメーター中で一定グロータイプアッセイを実施した。それぞれのウェルについて、注入により100μlの基質溶液を添加した。2秒間の停滞後、発光を2秒間測定した。先に記載(Imhofら2000)の通りに、βガラクトシダーゼ活性の比色決定を実施した。155μlの水と40μlのタンパク質アッセイ染料試薬濃縮物(BioRad)との混合物を、96ウェルプレート中の5μlの細胞抽出物に添加し、595nmの吸収(Spectramax 340, Molecular Devices)を測定することによって、タンパク質含有量の比色決定を実施した。すべての吸収値は、BSAで確立した標準曲線の直線内にあった。ルシフェラーゼ値を、CHO細胞のタンパク質含有量について正規化した。C2C12クローンでは、ルシフェラーゼ値をβガラクトシダーゼ活性について正規化し、βガラクトシダーゼ値をタンパク質含有量について正規化した。培地に分泌されたヒト免疫グロブリンを、非結合型ヤギ抗ヒトκ軽鎖抗体およびアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgGγをそれぞれ補足および検出抗体として(BioSource)、サンドイッチELISAにより測定した。
【0087】
サザンおよびプラスミドレスキュー解析
製造者の指示に従い、Nucleospin C+T(Macherey & Nagel, Germany)によりサザン解析のためのゲノムDNAを単離した。アリコート(4μg)をEcoRIで完全に消化し、アガロースゲル電気泳動により分離し、Hybond N+メンブラン(Amersham, England)上にブロットした。BamHI−XbaIフラグメントとしてのpUC−B−1−X1から完全長MARプローブを単離した。HighPrime(Roche, Switzerland)により放射線標識を実施した。
【0088】
プラスミドレスキュー実験のために、IgG1およびMARベクターのトランスフェクションにより生成される安定な細胞株、トランスフェクションしていないCHO GD44細胞、およびDNA単離の1週間前にpUC−B−1−X1で一過的にトランスフェクトした細胞からエピソームDNAを単離した。細胞を計数し、アルカリ条件で溶解し、Nucleospinキット(Macherey & Nagel, Germany)でプラスミドを精製した。コンピテント大腸菌(E. coli)細胞(Electro ax DH10B, Gibco)を、細胞供給者の指示に従い、BioRad Gene Pulserユニットにより、約10個の細胞由来のプラスミド抽出物でエレクトロポレートした。100μg/mlアンピシリンを含有するLBプレート上で形質転換体を選択した。
【0089】
シスMAR発現ベクターの構築
pUC−B−1−X1由来のBamHl−XbaI MARフラグメントを、EcoRIおよびBamHIでそれぞれ線状化されたプラスミドpMZ59およびpMZ37にクローン化することによって、シスMAR SV40IgG−κおよびγベクターを作製した。MARフラグメントのXbaI部位ならびにpMZ59およびpMZ37のEcoRI部位を最初にPfuで平滑化した。シスMAR MCV IgGκおよびγベクターを合成するために、最初にpMZ57およびpMZ36をそれぞれAvaIおよびKpnIで消化し、T4DNAポリメラーゼで平滑化し、次いで、BamHIで切断した。上記のXbaI充填BamHI MARフラグメントを後者のベクターにクローン化した。
【実施例2】
【0090】
CHO細胞におけるクロマチンエレメントおよび安定な導入遺伝子発現
周辺染色体環境によって安定に組込まれた遺伝子のサイレンシングを克服するために構造クロマチン成分を使用することは、バイオテクノロジーにおいて得に有用であることが判明するであろう。都合悪くも、高等真核細胞において十分に特徴付けられたクロマチンエレメントはまれである。さらに、これらのほとんどは、異種細胞における異種プロモーターによって試験されていない。安定な導入遺伝子発現に対する近傍クロマチン構造の効果を妨害するエレメントは、安定なクローンの平均的な導入遺伝子の発現を生じることが期待され、異なる組込み部位の効果および有効コピー数は平均化される。
【0091】
単一のクロマチンエレメントまたはクロマチンエレメントの組み合わせを、図1に記載のようにpGL3−コントロールのルシフェラーゼ発現ユニットの片側、または両側にクローン化した。レポーター発現カセットに隣接するキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)SARおよびBEエレメントの多様な組み合わせを試験した。これらのエレメントは、ヒーラ(HeLa)およびL細胞における安定なレポーター遺伝子発現が先に明らかにされている(Poljakら1994)。ルシフェラーゼ発現カセットに隣接するニワトリリゾチーム5'MARエレメント(lys MAR)、または「A−エレメント」を、ニワトリプロマクロファージおよびラット線維芽細胞において高い発現を付与することが先に明らかにされている形状構成(Phi−Vanら1990;Stiefら1989)でクローン化した。マウスT細胞受容体αLCR(TCRαLCR)およびラット肝活性化タンパク質LCR(LAP LCR)は、両方とも、トランスジェニックマウスの複数の組織において高レベルの発現を指令することが明らかにされている(Ortizら1997;Talbotら1994)。導入遺伝子プロモーターに関する2つのLCRの位置および配向はその本来の遺伝子座の通りであった。
【0092】
クロマチンエレメントは一過性発現レベルにほとんどまたはまったく効果を有さず、ここではクロマチン構造は作用しない。安定にトランスフェクトされたCHO細胞のプールを、導入遺伝子の発現について解析した(図1)。Drosophila(ショウジョウバエ)SARおよびBEエレメントの試験したすべての組み合わせ、および試験した2つのLCRでは発現レベルの2〜4倍の適度な増加が認められた。安定なレポーター発現の重要な増加を示す試験したエレメントのみが、ニワトリリゾチーム5'MARであり、pGL3−コントロール構築物と比較してルシフェラーゼ発現が20倍増加した。ニワトリ細胞における先の結果(Stiefら1989)によれば、レポーター発現カセットに隣接する2つのMARエレメントの配向は導入遺伝子の発現に影響を及ぼさなかった。CHO細胞におけるクロマチンエレメントのこの初期スクリーニングの後、安定な細胞株の発達における有用性についてニワトリリゾチームMARの使用に注目した。
【実施例3】
【0093】
MARの同時トランスフェクションは安定な導入遺伝子の発現を改善する。
【0094】
MARエレメントをレポーター発現ベクターにクローン化するための代替的な計略として、導入遺伝子発現ベクターでMARエレメント含有プラスミドを同時トランスフェクトする計略がある。複数のプラスミドによるトランスフェクションによって、同じ染色体部位で複数のプラスミドコピーの同時組込みが生じると思われる観察(Wurmら1992)より、MARエレメントは、トランスフェクション時に導入遺伝子発現カセットに物理的に連結されている必要はないことが示唆される。しかし、多様な組込みプラスミドの起源およびこれらがどのように組み合わされて組込みDNAを作製するかについては不明である。MARエレメントレポーター遺伝子発現カセットの両側に隣接する場合に安定な導入遺伝子の発現レベルの有意な増加が観察されることから、遺伝子エレメントの正確な順序が必要であることが示唆される。MARの配向は安定な発現に影響を及ぼさないが、規定された間隔配置による特定の配列が必要であり得る。それにもかかわらず、MARおよびレポーター発現カセットを有するプラスミドの同時トランスフェクションもまた安定な導入遺伝子発現の増強を生じ得るか否かを決定した。
【0095】
ニワトリリゾチームMARを有するプラスミドpUC−B−1−X1を増量して、pGL3−コントロールレポーターを同時トランスフェクトした。図2は、それぞれルシフェラーゼ転写単位の隣に1つおよび2つのMARを有する構築物pMZ50およびpMZ52の結果を含む、CHOクローンのプールのルシフェラーゼ活性を示す。pMZ50およびpMZ52による安定な発現について比較すると、発現プラスミド自体に存在する場合、2つのフランキングMARは単一のMARよりも効果が大きいことを示す。一方、MARプラスミド対レポーター構築物の比を1:1から4:1のモル比に増加させても、安定発現が増加する。2つのMARでレポーター構築物を同時トランスフェクトすると、1つのMARを有するpMZ50と同じ安定発現を生じる。MARによる同時トランスフェクションは、2つのフランキングMARを有するpMZ52構築物で観察される発現レベルに比べて、安定なルシフェラーゼ発現レベルを生じないが、それはまた、安定な導入遺伝子発現を増強する代替的手段を提供し得る。
【実施例4】
【0096】
MARはクローンの最高産生普及を増加する
安定なクローンのプールにおける発現の増加は導入遺伝子発現に対するニワトリリゾチームMARの全体的にポジティブな効果を示すが、それは、高産生者クローンを単離する確率に関する情報を提供しない。この問題に取り組むために、個々のクローンを単離し、導入遺伝子の発現のレベルを測定した。
【0097】
MARを含有しないか、1つ、または2つのMARを含有するルシフェラーゼ発現ベクターでCHO細胞をトランスフェクトし、15個の個々のクローンを無作為に単離し、それぞれの構築物について解析した。最低から最大に格付けされた個々のコロニーの安定なルシフェラーゼ発現のレベルを図3Aに示す。安定なクローンのプールで得られる結果と一致して、解析したクローンの平均発現レベルは、構築物上に存在するMARの数と共に増加する。さらに重要なことに、発現構築物上にMARを有すると、最高産生クローンの普及が明らかに上昇する。さらに、ほとんどの産生クローンの発現レベルは、MARを有する構築物では高い方であった。従って、MARが発現プラスミド上に存在する場合、高産生クローンを同定するために拾い出して解析する必要のあるクローンはより少なくなる。
【0098】
個別のプラスミドから発現される複数のサブユニットからなるタンパク質の安定な産生によって、より複雑な状況が生じる。MARエレメントをそれぞれの個別のベクターにクローン化する代わりに、MARの簡単な同時トランスフェクションによっても安定な発現レベルの改善が生じるか否かについても調べた。それを行うために、医学関連の一項RhD−抗体の軽および重鎖の発現ベクター(Miescherら、印刷中)を使用した。イントロンを含有する軽および重鎖発現ベクターを、pUC−B−X1 MARを有するプラスミドまたはコントロールとしてそのpUC骨格のいずれか一方と共にトランスフェクトした。個々の安定なCHOコロニーを拾い出し、抗体の発現について解析した(図3B)。pUC18によるコントロールにおいて抗体を発現するコロニーはほとんど認められないが、MAR量の増加に伴い、検出可能な量の抗RhD−抗体を発現するコロニーの割合は増加する。
【0099】
MARを有するルシフェラーゼ構築物で認められるように、ほとんどの産生クローンの抗体発現のレベルは、コントロールよりもMARコロニーの方が顕著に高い。従って、ニワトリリゾチームMARは、最高産生クローンの割合およびそれらの発現レベルの両方を増加させる。このことは、MARが発現構築物上に存在する場合、およびMARが1つ以上の発現構築物と共にどうじトランスフェクトされる場合に正しい。実際的に、これは、安定な細胞株の開発に対し、同じ利点を生じるMARエレメントによる同時トランスフェクションによって、複雑なクローニングストラテジーを迂回することができることを意味する。最も重要なことに、いくつかの発現ベクターによるMARエレメントを有するプラスミドの同時トランスフェクションの際にも、これらの利点が認められる。
【0100】
MARエレメントが宿主細胞のゲノムに組込まれていることを確認するために、サザンブロットによって、無作為に選択された4つの抗体発現コロニーを解析した(図3C)。2つのフラグメント、1.8kb MARフラグメントおよびMARの残部に対応する多様なサイズのフラグメントがすべてのクローンに存在し、親CHO DG44細胞株には存在しない。軽および重鎖ベクターの両方も組込まれる。MARエレメントは、CHO細胞におけるSV40 oriを含有するトランスフェクトされたベクターのエピソーム複製を可能にすることが明らかにされている(Piechaczekら1999)。サザンブロットでは、CHO細胞においてエピソームとして複製するpUC−B−1−X1に対応する3.8kbのバンドは検出されない。プラスミドが低コピー数でエピソームとして存在するか否かを決定するために、プラスミドレスキュー実験を行った。細胞あたり1コピーのMARを有するプラスミドpUC−B−1−X1によるコントロールCHO一過性トランスフェクションにより、200を超えるコロニーを得た。対照的に、4つのクローンおよびDG44は、トランスフェクトされたプラスミドに関連しないDNAを含有する4つまでのバックグランドを生じた。同時に、これらの実験は、トランスフェクトされたMARがエピソームとしては複製しないが、安定なクローンの染色体に組み入れられる証拠を提供する。
【実施例5】
【0101】
安定な調節された発現系を確立するためのMARの同時トランスフェクション
現在使用されるほとんどの調節された遺伝子発現系は、複数の成分に基づく。そのような系では、個々の調節エレメントの安定な発現は、導入遺伝子の発現系の制御にきわめて重要である。現在までのところ、クロマチンエレメントはそのような系において稀に用いられ、それらの使用は、それらを使用するのは、導入遺伝子構築物に隣接するようにそのようなエレメントを挿入することに本質的に限定されている(Wangら1997;Wellsら1999)。調節された発現系によるMARの同時トランスフェクションによって、安定な調節された発現系を得ることができるか否かについて調べた(Imhofら2000)。このテトラサイクリンに基づくスイッチ系は、導入遺伝子の転写を制御するために作用するキメラリプレッサーおよびアクチベータータンパク質に関与する。
【0102】
第1の工程では、リプレッサータンパク質発現ベクターを安定してトランスフェクトする。最初に、ベクターのみのトランスフェクションは、導入遺伝子発現が調節できないクローンを生じた。これらのクローンは、特に選択圧力が除かれた後では、不安定なリプレッサータンパク質発現を示した。次いで、ニワトリリゾチーム5'MARプラスミドによる3つのリプレッサータンパク質発現ベクターを個別にトランスフェクトした。ドキシサイクリンの添加時ルシフェラーゼ発現を誘導する能力について、リポフェクションによって得られた24個のクローンのスクリーニングの結果を図4Aに示す。大部分のクローン(24個のうち21個)は、調節された導入遺伝子発現を示し、いくつかのクローンは、ドキシサイクリンの存在下で400倍を超えるレポーター発現の誘導を示した。さらに、トランスフェクションの方法およびリプレッサータンパク質の発現を駆動するプロモーターにかかわりなく、調節された遺伝子発現を得た。
【0103】
第2の工程では、アクチベーターおよびリプレッサー構築物を、リプレッサーを発現するクローンに安定してトランスフェクトする。リプレッサータンパク質を安定して発現し、図4Aのクローン1〜8が単離されたクローンのプールをこの目的のために使用した。アクチベーターおよびリプレッサー構築物を、ニワトリリゾチーム5'MARプラスミドで安定して同時トランスフェクトし、中間レベルのβガラクトシダーゼを発現する個々の細胞を、FACSソーティングによって単離した。これらを、ドキシサイクリンの存在下における誘導についてスクリーニングし、得られる10個のクローンを、3日後にドキシサイクリンの非存在および存在下でのβガラクトシダーゼ発現の調節について試験した(図4B)。これらのクローンのうち5つは、ドキシサイクリンの存在下で17〜45倍の範囲の導入でβガラクトシダーゼの調節された発現を示した。第2の導入遺伝子、マウスエリトロポイエチンの調節された発現も観察される(Imhofら2000)。従って、発現形のエレメントでのニワトリリゾチームMARの同時トランスフェクションによって、調節された発現を示す細胞株が得られた。
【実施例6】
【0104】
一過的にトランスフェクトされたCHO細胞においてMARおよび酪酸塩により仲介されるタンパク質産生のレベルの増加
ニワトリ5'リゾチームMARを、酪酸ナトリウムの細胞培養培地への添加と組み合わせる場合、導入遺伝子発現の劇的な増加が認められる。理論的に導くまでもなく、この効果は、DNAトランスフェクション効率の増加、細胞増殖および/または分化、ならびに/あるいは他の細胞機構の変化から生じることができる。酪酸塩は、一過性または安定なトランスフェクションに使用されている(Gormanら1983 Nucl. Acids Res. 11: 7631;Reevesら1985, Nuci. Acids Res. 13: 3599)。
【0105】
ベクター:抗RhD−IgGκおよびγ鎖をコードするプラスミド、pMZ59およびpMZ37は、それらが、CMVプロモーターに代わってSV40初期プロモーターを含有することを除いて、それぞれ、pMZ58およびpMZ36について先に記載されている通りである(実施例1を参照のこと)。pMZ126およびpMZ127はpMZ59およびpMZ37からを起源とするが、さらに、SV40プロモーターより上流においてシス配位で1つのMARエレメントを含有する。pMZ126およびpMZ127は以下の通りに構築した:pUCB1X1をXbaIで消化し、Pfu DNAポリメラーゼで平滑末端化し、BamHIで消化して、最初にEcoRIで切断し、Pfu DNAポリメラーゼで平滑末端化し、次いでBamHIで消化してあったpMZ59およびpMZ37にそれぞれ指向的にサブクローン化した。
【0106】
細胞培養およびトランスフェクション:CHO細胞を実施例1に記載の通りに増殖させた。トランスフェクションのために、以下の変更を加えて、先に記載の通りに細胞を処置した:10%FBS(Gibco, Life Technologies)を補充した1mlのDMEMを各ウェルに添加した後、26μlのPBS中500mM酪酸Na pH6.9をウェルの半分(数字で示された場所)まで添加した。24時間間隔で2μlのアリコートを採取し、96ウェルプレート中の248μlのブロッキング溶液に移した。IgGの力価を、二重抗体サンドイッチELISAによって先に記載の通りに決定した。
【実施例7】
【0107】
MARエレメントの多量体化
本発明のMARエレメントには、配列表の配列番号1に記載のフラグメントのようなMARエレメントのフラグメントが含まれる。図7は、MARフラグメントF(pF4L)の4つのコピーが、より長い天然のMAR配列で観察される発現に類似の発現を示すことを実証する。他のフラグメントはより低い(K、B)発現を示すかまたは発現を示さない(G)。2つの異なるMARエレメントのフラグメントを組み合わせる場合、PK4F4LまたはpB4K4Lにおいて、全長MARエレメント(配列表の配列番号1)よりも高い発現が得られる。従って、MARエレメントフラグメントの特定の組み合わせは、導入遺伝子の発現を変調するためには好ましく、小さなサイズを所望するかまたは最大発現を所望するかどうかに依存する。
【0108】
材料および方法:
pLucに基づくプラスミドの構築(SV40プロモーターに基づくルシフェラーゼ遺伝子構築物):
多様なMARフラグメント(即ち、B、K、FおよびG)を、それぞれ5'ならびに3'末端のBglIIおよびBamHI部位に導入される特異的プライマーセットと共に、pUC−BI−XIをテンプレートとして使用するポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。後者の制限部位の放出後、BglIIおよびBamHIの存在下でフラグメントを自己連結させた。正の配向のダイマーおよびテトラマー反復をpGL3−コントロール(Promega)のBglII−BamHI間にクローン化した。pLucに基づくプラスミドを構築するために、多様なテトラマーをBglII−BamHIフラグメントとして切り出し、プラスミドpGL3−コントロールにサブクローン化した。pF4G4L、pK4G4LおよびpB4G4Lについて、F4、K4およびB4フラグメントをそれぞれプラスミドpG4LのBglII部位にクローン化した。K4およびB4をpF4Lにクローン化することによってプラスミドpK4F4LおよびpB4F4Lを構築し、B4をpK4LのBglII部位にクローン化することによってpB4K4Lを生成した。
【0109】
細胞培養および安定な遺伝子伝達:
CHO DG44細胞を記載のように増殖させた(前掲を参照のこと)。MARフラグメントベクターおよびコントロールベクターの発現研究のためのレシピエント細胞株を作製するために、上記のpLuc誘導体およびpGL3−コントロールを平行してトランスフェクトした。トランスフェクションのために、1.3E5細胞/ウェルで24ウェルプレートに細胞を播種し、16時間付着させた。PBSで洗浄後、最終容量81μlのOptiMEM(Gibco, Life Sciences)において混合物により3回反復測定で細胞をトランスフェクトした。典型的に、混合物は、0.327pmolのMAR由来プラスミドおよびpGL3−コントロールならびに23.4fmolのpSVneoを含有した。ポリスチレンチューブ中に、3回反復測定あたり77μlのOptiMEMと4μlのLipofectAMIN2000(Gibco, Life Sciences)を組み合わせ、5分間インキュベートした。続いて、DNAとLipofectamin2000混合物とをポリスチレンチューブ中で組み合わせた。室温で15分後、3回反復測定あたり混合物に1mlのOptiMEMを補充し、これらの混合物の300μlずつを各ウェルに分注した。細胞を、トランスフェクション混合物に3時間暴露させた。その後、10%FBS(Gibco, Life Sciences)を補充した1mlのDMEMを各ウェルに添加した。トランスフェクションの48時間後に細胞を継代し、三分割物(triplicata)を750μgのG−418を補充した14mlの培地を含有するT−75にプールした。トランスフェクションの2週間後に細胞を継代した。
【0110】
抽出物の調製および酵素的測定:
細胞懸濁液の三分割物である250μlのサンプルを遠心分離によって回収し、PBSで洗浄し、100μlの溶解緩衝液と共に室温で20分間インキュベートした。以後のルシフェラーゼ測定のために、20μlの抽出物を平底96ウェルに移した。5μlの抽出物をBradfordによるタンパク質決定のために使用した。
【0111】
Bradford測定のためにルシフェラーゼを正規化することによって、相対光単位を算出した。データポイントは、2つの独立したトランスフェクション実験の三分割物の平均を示す。
【0112】
【表10】
Figure 2004519246
【0113】
参考文献
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【0114】
他の実施態様
発明の詳細な記述と共に本発明について説明してきたが、上記の説明は例示を目的とするものであって、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されるものと理解されるべきである。他の局面、利点、および改変は以下の請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】安定な導入遺伝子の発現に対するクロマチンエレメントの効果を表す。クロマチンエレメントをpGL3−コントロールプラスミドのルシフェラーゼ発現単位(黒線および矢印)の片側または両側上にクローン化した。得られる構築物(左側のパネルにおいて概略的に示した)をPvuIで消化し、pSV2neoで同時トランスフェクトした。タンパク質含有量について正規化され、pGL3−コントロールに対して発現されたCHOクローンのプールのルシフェラーゼ活性を右側のパネルに示す。誤差バーは、少なくとも3つの独立したトランスフェクションに基づく標準誤差に相当する。試験したクロマチンエレメントは、境界エレメント(BE;黒色帯)、マトリックス付着領域(MAR;白色帯)、および遺伝子座制御領域(LCR;斜線帯)を含む位置効果を潜在的に克服する能力を有するクロマチンエレメントを含む。lysMARエレメントの方向を示す矢印は、BamHIからXbaIを指す一方、LAP LCRに対する矢印は、LAP遺伝子の向きおよび該遺伝子の転写の向きを指す。
【図2】ニワトリリゾチームMARを使用する安定なレポーター発現を示す線図表す。pGL3−コントロール(それぞれpMZ50およびpMZ52)にクローン化された1または2つのMARを有する構築物、ならびにpGL3−コントロールおよびpUC−B−1−X1プラスミドを、示されたモル比で、CHOにおいてpSV2neoと共に同時トランスフェクトした。数字は、タンパク質含有量について正規化され、pGL3−コントロールに対して発現されたクローンのプールのルシフェラーゼ活性を示す。誤差バーは、少なくとも3つの独立したトランスフェクションに基づく標準誤差に相当する。
【図3】安定なクローンにおける遺伝子発現を表す。図3Aは、ニワトリリゾチームMARを有さないか、1、または2つのニワトリリゾチームMARを有するプラスミドに対応するpGL3−コントロール、pMZ50、またはpMZ52のいずれかにより得られるクローンに対するルシフェラーゼ発現を示す。タンパク質含有量について正規化されたルシフェラーゼ活性を、最低から最大の発現レベルに格付けされたそれぞれの構築物の15のクローンについて示す。図3Bは、軽および重鎖発現ベクター、それぞれpMZ57およびpMZ36を、示されたモル比のコントロールpUC18またはMARを有するpUC−B−1−X1プラスミドのいずれかで同時トランスフェクトすることによって得られるクローンの抗RhD−IgG1抗体の発現を示す。最低から最大発現レベルに格付けされたクローンの上清抗体濃度を示す。図3Cは、抗RhD抗体を発現するクローンの分子解析を表す。上のパネルは、pUC−B−1−X1ベクターの概略図を表し、斜線帯はMAR配列に対応する。消化時に得られるフラグメントサイズを地図の上に示す。下のパネルは、パネルB(番号1〜番号4と標識した)由来のMARを有する4つの安定な細胞クローンのサザンブロット解析の結果を示す。ゲノムDNAをEcoRIで消化し、MAR配列全体でプロービングした。フラグメントの分子量を、キロベース対で左側に示す。
【図4】安定なC2C12クローンにおける調節された遺伝子発現を示す。図4Aは、リプレッサー構築物を有する無作為に取得した安定なC2C12クローンのスクリーニングを示す。βガラクトシダーゼ活性について正規化したルシフェラーゼ活性を24のクローンについて示す。白色カラムはドキシサイクリンの非存在(doxなし)下での発現に対応し;黒色カラムはドキシサイクリンの添加(dox)によって誘導される発現に対応し、黒色カラムの上に誘導倍数を示す。図4Bは、FACSによって選択される、安定に組込まれた調節された発現系を有するクローンにおける発現を示す。タンパク質含有量について正規化されたβガラクトシダーゼ活性を、10のクローンについて示す。白色カラムはドキシサイクリンの非存在(doxなし)下での発現に対応し;黒色カラムはドキシサイクリンの添加(dox)によって誘導される発現に対応し、黒色カラムの上に誘導倍数を示す。
【図5】CHO細胞におけるIgG産生に対するMARの効果を表す。MARの異なる組換えを有する組換えIgGのSV40−プロモーター(パネルA)およびCMV−プロモーター(パネルB)誘導性発現の誘導倍数。結果は、3回反復測定で行われた2つの実験由来の安定にトランスフェクトされた細胞のプールの特異的産生の平均として表す。1MARシス配列+4MARトランス配列を有する単一細胞の特異的産生は、SV40およびCMVプロモーターによりそれぞれ、38pg/細胞/日および40pg/細胞/日までの範囲である。トランスフェクションは、当該分野において一般に記載されている通りであり(例えば、Zahn−Zabalら2001 J. Biotechnol. 87: 29、および後掲)、プラスミドpMZ36、pMZ37、pMZ57およびpMZ59を使用する。シス配列で1つのMARエレメント(1MARシス配列)を含有するIgGの発現のために使用されるプラスミドを、実施例1に記載の通りに構築した。
【図6】24ウェルプレートの単一のウェルにおける培養培地上清の1.3mlあたりのIgG(μg)の時間経過累積を示すことによって、一過性トランスフェクトされたCHOにおけるIgG分泌に対するMARエレメントおよび酪酸ナトリウムの効果を表す(3回反復したウェルの平均を示す)。左側のパネルでは、3つのウェルあたり1.69μgのコントロール(最初の2列のカラム)または等モル量(2.28μg)のMAR含有プラスミド(3および4列)で細胞をトランスフェクトした。重および軽鎖をコードするプラスミド間の比は2:1であった。プラスミドDNAの総量をpGL3(Promega, Inc)で2.5μgに調整した。列2および4は、培養培地中に10mM酪酸ナトリウムを添加することによって処置した細胞から得られる。右側のパネルでは、それぞれ、3つのウェルあたり2.47μgのコントロール(最初の2列のカラム)または等モル量(3.27μg)のMAR含有プラスミド(3および4列)で細胞をトランスフェクトした。重および軽鎖をコードするプラスミド間の比は2:1であった。列2および4は、培養培地中に10mM酪酸ナトリウムを添加することによって処置した細胞から得られる。
【図7】安定にトランスフェクトされたCHO細胞におけるレポータールシフェラーゼ遺伝子に対するMARフラグメントの効果を表す。図7Aは、MARフラグメント連結ルシフェラーゼ遺伝子構築物の地図を示す。pML構築物は、A、B、C、D、E、F、GおよびKの部分に任意にセグメント化された天然のMAR配列、SV40と標識された帯で示されるSV40初期プロモーター、ならびにルシフェラーゼレポーター導入遺伝子を示す。構築物pLMは、SV40プロモーターと天然MAR配列との間に置かれたルシフェラーゼ導入遺伝子を有する。実施例7に示される他の構築物pMLは、示したMARエレメントの多量体化された部分を含有する。MARセグメントのDNA配列を実施例7に示す。図7Bは、MAR配列(pGL3)を欠くレポーター構築物を含有する細胞かまたはシス配列で1コピーの天然MAR配列(pML、pLM)を含有するか、もしくは部分(A)で示される多量体化されたMARエレメントを含有する誘導体の抽出物で達成されたルシフェラーゼ測定の結果を示す。解析は、当該分野で行われる通りに、G−418選択された集団(安定にトランスフェクトされたCHO細胞のポリクローナルプール)で達成した。結果は、2つの独立した組の実験からのデータを示す。

Claims (43)

  1. 真核細胞を形質転換して所望の遺伝子またはその一部を組み入れる方法であって、前記細胞に:
    第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子とを含む第1のベクターと、
    少なくとも1つのクロマチンエレメントを含む第2のベクターと
    を同時トランスフェクトする工程を含む方法。
  2. 前記クロマチンエレメントはMARエレメントを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記クロマチンエレメントがニワトリリゾチーム遺伝子のクロマチンドメインより入手可能である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記MARエレメントがニワトリリゾチームMARエレメントである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記クロマチンエレメントが、配列表の配列番号1〜5からなる群、またはそのフラグメントより選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記クロマチンエレメントは、配列表の配列番号1またはそのフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第2のベクターが少なくとも1つのさらなるクロマチンエレメントをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記同時トランスフェクションが、エレクトロポレーションおよび化学トランスフェクションからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  9. 請求項1に記載の方法によって生成される細胞。
  10. 前記所望の遺伝子が、構造遺伝子および調節遺伝子からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 所望の遺伝子が、抗体、抗体フラグメント、抗体軽鎖および抗体重鎖からなる群より選択されるポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。
  12. 前記真核細胞が、約1:2〜約1:10のモル比で前記第1のベクターおよび前記第2のベクターによりトランスフェクトされる、請求項1に記載の方法。
  13. 方法が前記真核細胞に1つ以上のさらなるベクターを同時トランスフェクトする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 方法が前記真核細胞に第3のベクターを導入する工程を含み、前記第1、第2および第3のベクターのモル比が約1:1.75:5.5〜約1:1.75:11である、請求項1に記載の方法。
  15. 真核細胞を形質転換して所望の遺伝子またはその一部を組み入れる方法であって、前記細胞に:
    第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子とを含む第1のベクターと、
    少なくとも1つのクロマチンエレメントを含む第2のベクターと、
    を導入する工程を含み、前記細胞は酪酸塩に接触される方法。
  16. 前記酪酸塩の濃度は約10mMである、請求項15に記載の方法。
  17. 真核細胞を形質転換し、連結されていないベクターで同時トランスフェクトする技術によって、所望の遺伝子またはその一部を組み入れる方法であって、前記方法は、
    第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の異種遺伝子とを含む第1のベクター、ならびに第1のクロマチンエレメント、ならびに
    第2のクロマチンエレメントを含む第2の連結されていないベクター
    で細胞を同時トランスフェクトする工程を含む方法。
  18. 前記第1のクロマチンエレメントがMARエレメントである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記MARエレメントがニワトリリゾチームMARエレメントである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記第1のクロマチンエレメントが、配列表の配列番号1〜5またはそのフラグメントからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  21. 第2のクロマチンエレメントが第1のクロマチンエレメントと同じである、請求項17に記載の方法。
  22. 前記所望の遺伝子が、構造遺伝子および調節遺伝子からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  23. 所望の遺伝子が、抗体、抗体フラグメント、抗体軽鎖および抗体重鎖からなる群より選択されるポリペプチドをコードする、請求項17に記載の方法。
  24. 所望の遺伝子がヒト抗RhD−IgG抗体をコードする、請求項17に記載の方法。
  25. 方法が前記真核細胞に第3のベクターを導入する工程をさらに含み、前記第3のベクターが第2のプロモーターおよび第2の異種遺伝子を任意に含む、請求項17に記載の方法。
  26. 細胞が、約1:2〜約1:10のモル比で第1のベクターおよび第2のベクターによりトランスフェクトされる、請求項17に記載の方法。
  27. 方法が、前記真核細胞に第3のベクターを導入する工程をさらに含み、約1:1.75:5.5〜約1:1.75:11のモル比で第1、第2および第3のベクターが導入される、請求項17に記載の方法。
  28. 第1のベクターが、外因性分子の投与によって所望の遺伝子産物の発現を調節する工程を可能にする、調節可能な遺伝子発現エレメントをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  29. 調節可能な遺伝子発現エレメントがTet調節可能なエレメントである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記細胞と酪酸塩とを接触させる工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  31. 前記酪酸塩の濃度が約10mMである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記第1のクロマチンエレメントが、前記プロモーターおよび前記第1の異種遺伝子の5'側に位置する、請求項17に記載の方法。
  33. 前記第1のクロマチンエレメントが、前記プロモーターおよび前記第1の異種遺伝子の3'側に位置する、請求項17に記載の方法。
  34. 組換えタンパク質をコードする遺伝子を発現する真核細胞を選択する方法であって、
    a)前記第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子とを含む第1のベクター、および少なくとも1つのMARエレメントを含む第2のベクターで、第1の真核細胞をトランスフェクトする工程と、
    b)前記第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする前記第1の遺伝子とを含む前記第1のベクターで、第2の真核細胞をトランスフェクトする工程と、
    c)前記第1の真核細胞および前記第2の真核細胞における前記第1の遺伝子の発現を測定する工程と、
    d)前記第1の真核細胞および前記第2の真核細胞における前記第1の遺伝子の発現を比較する工程と、
    e)前記第1の真核細胞における前記第1の遺伝子の発現が、前記第2の真核細胞における前記第1の遺伝子の発現と異なる場合、前記第1の真核細胞を選択する工程と、
    を含む方法。
  35. 細胞トランスフェクション組成物であって、前記組成物が、配列表の配列番号1〜5からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのMARエレメントを含むベクターを含む細胞トランスフェクション組成物。
  36. 酪酸塩をさらに含む、請求項35に記載の細胞トランスフェクション組成物。
  37. 前記酪酸塩の濃度は約10mMである、請求項36に記載の方法。
  38. 細胞トランスフェクション組成物であって、前記組成物が、第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子とを含む第1のベクターと、ならびに少なくとも1つのMARエレメントを含む第2のベクターと、を含む細胞トランスフェクション組成物。
  39. 前記1つ以上のMARエレメントが配列表の配列番号1またはその一部を含む、請求項38に記載の細胞トランスフェクション組成物。
  40. 酪酸塩をさらに含む、請求項39に記載の細胞トランスフェクション組成物。
  41. 第1のプロモーターの転写制御下で、第1のプロモーターと、所望の遺伝子またはその一部をコードする第1の遺伝子とを含む第1のベクター、ならびに少なくとも1つのMARエレメントを含む第2のベクターを含有する、真核細胞。
  42. 1つ以上の容器において、2つ以上の核酸ベクター、プロモーターと所望のタンパク質をコードする異種遺伝子とを有する第1のベクター、ならびに少なくとも1つのMARエレメントを含む第2のベクター、ならびにその取扱説明書を含む、キット。
  43. 酪酸塩をさらに含む、請求項32に記載のキット。
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