JP2004513969A - 腸洗浄を促進するための5ht3アンタゴニスト、5ht4アゴニスト及び緩下薬を含んでなる三種類の組み合わせの使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、腸洗浄を速めるための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用に関する。本発明はまた、便秘症の処置のための該三種類の組み合わせの使用にも関する。
Description
【0001】
本発明は、腸洗浄を速めるための、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用に関する。本発明はまた、便秘症の処置のための該三種類の組み合わせの使用にも関する。
腸洗浄
診断、治療もしくは外科的処置の前の適切な結腸準備は、安全性及び診断精度が腸の適切な洗浄に依存するので重要である。硫酸マグネシウム(MgSO4)もしくはより最近ではポリエチレングリコール(PEG)−電解質溶液(例えば、KleanPrepTMもしくはGoLytelyTM)は、結腸準備のための洗浄溶液として広く使用されている。一般に患者により十分に許容されるこれらの溶液は、糞便残渣物の結腸粘膜を洗浄することにおいて非常に有効である。しかしながら、かなり大容量(4リットル)及び比較的長い準備時間(24時間まで)が必要とされる。摂取する容量の減少及び準備時間の短縮は、患者の承諾及び快適さを非常に増す。
【0002】
これらの薬剤はまた、適切な治療後に寄生虫を除くのを促進するために用いることもでき、例えば、これらを駆虫薬の後もしくはそれらと組み合わせて用いることができる。これらの浸透圧性薬剤はまた、中毒のいくつかの場合において有毒物質を除くのを促進するために用いることもできる。
【0003】
1998年10月29日に公開されたWO−98/47481は、腸洗浄を速めるための、緩下薬、特に浸透圧性薬剤と組み合わせた5HT3受容体アンタゴニストの使用を開示する。
【0004】
今回、5HT3アンタゴニスト、緩下薬、特に浸透圧性薬剤(osmotic agent)及び5HT4アゴニストを含んでなる三種類の組み合わせの使用が腸洗浄を速めることにおいてさらにいっそう有効であることが見出された。
【0005】
5HT3アンタゴニスト特性を有する興味深い化合物は、アロセトロン、アザセトロン、シランセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、インジセトロン、イタセトロン、レリセトロン、ルロセトロン、オンダンセトロン、R−オンダンセトロン、S−オンダンセトロン、パロノセトロン、ラモセトロン、トロピセトロン、((−)−シス−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[1−[3−[(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−ピリミジニル)−アミノ]プロピル]−3−メトキシ−4−ピペリジニル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフランカルボキサミド)(これを以下「化合物A」と称する)などである。
【0006】
5HT4アゴニスト特性を有する興味深い化合物は、シサプリド、プルカロプリド、モサプリド、レンザプリド、テガセロド、E3620などである。
【0007】
別の興味深い5HT4アゴニストは、1999年1月21日に公開されたWO 99/02156の化合物番号95として記述されている(3S−トランス)−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[[3−ヒドロキシ−1−(3−メトキシプロピル)−4−ピペリジニル]メチル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラン−カルボキサミド(これを以下「化合物B」と称する)である。
【0008】
もちろん、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストの製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩もまた、本発明に含まれるものとする。上記のような製薬学的に許容しうる酸付加塩は、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストが形成することができる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなるものとする。後者は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;もしくは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。
【0009】
酸性プロトンを含有する5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストはまた、適切な有機及び無機塩基での処理によりそれらの無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、並びに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0010】
上記に使用するような付加塩という用語はまた、式(I)の化合物並びにその塩が形成することができる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば、水和物、アルコラートなどである。
【0011】
緩下薬は、排便を促進する薬剤である。多数の緩下薬の正確な作用機構は、結腸機能に影響を与える複雑な因子、実験種及び調製物間の水及び電解質輸送の顕著な変動、並びにこの分野における研究のある種の高価さのために不明のままである。緩下薬作用の3つの一般的な機構を記述することができる。(1)緩下薬は、それらの親水性もしくは浸透性質により、結腸内容物における流体の保留をもたらし、それによりかさ及び柔らかさを増し、そして通過を容易にすることができる。(2)緩下薬は、水及びNaClの正味の吸収を減少するように結腸粘膜に対して直接的及び間接的の両方に作用することができる。(3)緩下薬は、腸の運動性を増し、減少した通過時間に二次的な塩及び水の減少した吸収をもたらすことができる。一般には、3つの主要な種類の緩下薬、すなわち、1)食物繊維及びバルク成形(bulk−forming)緩下薬、2)食塩水及び浸透圧性緩下薬、並びに3)刺激性緩下薬が認められる(Goodman and Gilman,第7版,pp994〜1003を参照)。
【0012】
バルク成形緩下薬には、部分的にのみ消化される広範囲の天然及び半合成の多糖類並びに細胞誘導体が包含される。消化されていない部分は親水性であり、そして水の存在下で膨張して粘性溶液もしくはゲルを形成する。増加した管内圧力はぜん動を反動的に刺激し、結腸通過時間を減らし、そして柔らかいゼリー状の糞便を生成する(“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,783−786頁,1990,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,第18版)。
【0013】
刺激性緩下薬は、腸管に対してその運動活動を増すように作用する。より一般に用いられる薬剤は、例えばカスカラサグラダ及びセンナのようなアントラキノン緩下薬;例えばフェノールフタレイン及びビサコジルのようなジフェニルメタン誘導体;並びにヒマシ油である(“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,783−786頁,1990,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,第18版)。
【0014】
食塩水及び浸透圧性緩下薬は、本発明において予想される緩下薬の主要な種類である。
【0015】
食塩水及び浸透圧性緩下薬には、様々なマグネシウム塩;ナトリウム及びカリウムの硫酸塩、リン酸塩及び酒石酸塩;二糖ラクツロース;グリセリン;並びにソルビトールが包含される。これらは、管腔液におけるそれらの浸透性質により乏しく且つゆっくりと吸収されそして作用する。
【0016】
腸洗浄のために市販されているこれらの浸透圧性薬剤の2つの例は、KleanPrepTM及びGoLytelyTMである
5HT3−受容体アンタゴニストは、例えば、ラットにおいてセロトニンにより引き起こされるVon Bezold−Jarisch化学反射に拮抗することにおいてそれらが有効であることにより同定することができる(Pharmacology and Toxicology,70,Supp II,17−22(1992))。5HT3受容体結合のKi値を測定するためのインビトロ結合アッセイは、薬理学的実施例1に記述する。
【0017】
5HT4受容体結合のEC50値を測定するためのインビトロ結合アッセイは、薬理学的実施例2に記述する。
【0018】
本発明は、腸洗浄を速めるもしくは促進するための薬剤の製造のための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用に関する。従って、有効量の5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストを緩下薬、特に浸透圧性薬剤と組み合わせて温血動物、特に哺乳動物に投与する処置の方法を請求する。
【0019】
5HT3拮抗作用及び5HT4作動作用(agonism)はまた、一つに合わせてもよく、そして同じ化合物であってもよい。
【0020】
「速める」、「向上する」もしくは「促進する」という用語は、この本文の全体にわたって同義語として用いる。
【0021】
この処置において予想される患者は、診断もしくは外科的処置の前にその腸を洗浄する必要がある人々である。患者の別の群は、排便時に力むのを防ぐべき患者であり、これらの患者には、ヘルニアもしくは心血管疾患を患っている人々が包含される。さらに、本発明の組み合わせは、痔及び他の肛門直腸疾患にかかっている患者において柔らかい便を保つために手術の前及び後の両方で指示することができる。
【0022】
排便を促す用量の浸透圧性薬剤は、胃腸管、腎臓、または他の腹もしくは腹膜後構造の放射線医学検査の前に、そして待機腸手術の前に頻繁に用いられる。従って、これらの用途にも現在記述する組み合わせは有用であることができる。
【0023】
さらに、本発明の組み合わせはまた、腸から作用因子を取り除くことにより、薬物過剰服用及び中毒の処置において用いることもできる。本発明の組み合わせはまた、ある種の駆虫薬とさらに組み合わせて用いることもできる。
【0024】
実験部分において示すように、本発明は緩下薬、特に浸透圧性薬剤の作用を速めそして/もしくは促す方法を提供する。緩下薬は、経口的もしくは直腸的に投与もしくは共投与することができる。また、有効量の5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストと組み合わせた緩下薬の投与により、温血動物、特に哺乳動物における腸洗浄を速める方法も提供する。
【0025】
一般に、「共投与」は、緩下薬、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストが、少なくとも部分的に重なる時間の間に胃腸管に存在することを意味する。さらに、「共投与」は、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストの用量の後1時間以内に該緩下薬の1用量より多くを投与することを意味し、すなわち、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストは、該緩下薬の投与ごとの前もしくは一緒に再び投与する必要はなく、処置の経過中に断続的に投与することができる。
【0026】
本発明はまた、急性便秘症、慢性便秘症もしくは難治性便秘症のような便秘症の処置のための薬剤の製造のための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用にも関する。従って、有効量の5HT3アンタゴニスト及び有効量の5HT4アゴニストと組み合わせた緩下薬の投与により、温血動物、特に哺乳動物における例えば急性便秘症、慢性便秘症もしくは難治性便秘症のような便秘症を処置する方法を提供する。
【0027】
5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストは、投与目的のための様々な製薬学的形態に調合することができる。これらの製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、塩基もしくは酸付加塩形態の特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合する。該担体は、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、好ましくは経口的、直腸的もしくは非経口注入による投与に適当な望ましくは単位剤形である。例えば、経口剤形の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤及び液剤のような経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれか;または散剤、丸剤、カプセル剤及び錠剤の場合には、澱粉、糖類、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。錠剤及びカプセル剤は、投与におけるそれらの容易さのために、最も好都合な経口単位剤形であり、この場合、固体の製薬学的担体を明らかに用いる。非経口組成物では、例えば可溶性を促進するために他の成分を含むことができるが、担体は通常少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、その場合、担体は食塩水溶液、グルコース溶液、もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤を製造することもでき、その場合、適切な液体担体、沈殿防止剤などを用いることができる。経皮投与に適当な組成物において、担体は、わずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と場合により組み合わせた、浸透促進剤(penetration enhancing agent)及び/もしくは適当な湿潤剤を場合により含んでなり、これらの添加剤は皮膚への有意な有害作用を引き起こさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するために有用であることができる。これらの組成物は、様々な方法で、例えば、経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。式(I)の化合物の酸付加塩は、対応する塩基形態より優れたそれらの増加した水溶性のために、明らかに水性組成物の製造にいっそう適している。投与の容易さ及び投与量の均一性のために単位剤形の上記の製薬学的組成物を調合することは特に有益である。単位剤形は、本明細書において用いる場合、単位投与量として適当な物理的に分離している単位をさし、各単位は、必要とされる製薬学的担体と会合して所望の治療効果を生み出すように計算される有効成分の前もって決定された量を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠もしくは被覆錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤、小さじ一杯、大さじ一杯など、及びその分離した倍数である。
【0028】
本発明において使用する薬剤の投与量は、薬剤、臨床試験において決定されるような組み合わせた薬剤の性質、及び医師が患者を処置しているもの以外の疾患を包含する患者の特徴の知識を用いて、最終分析において、症例を担当する医師により決定されなければならない。
【0029】
一般に、5HT3アンタゴニストの有効量は、約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重、好ましくは約0.02mg/kg〜約5mg/kg体重であると考えられる。5HT4アゴニストの有効量は、約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重、好ましくは約0.02mg/kg〜約5mg/kg体重である。正確な投与量割合及び処方計画は、個々の状況により、医師によって経験的に決定することができる。
【0030】
ある態様として、5HT3アンタゴニストの量は0.001mg/kg〜0.1mg/kgの範囲、好ましくは約0.01mg/kgであり、そして5HT4アゴニストの量は0.001mg/kg〜1mg/kgの範囲である。
【0031】
本発明の追加の特徴として、本発明は、容器、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤の剤形を含んでなる委託販売に適当な治療パッケージを提供する。この緩下薬もしくは浸透圧性薬剤はたいてい粉末の形態であり、通常、これをある量の水に溶解もしくは懸濁する。従って、本発明はまた、便秘症の処置における同時もしくは逐次使用のための、または腸洗浄を促進するための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる製品にも関し、ただし、該製品はオピオイドアンタゴニストを含有しない。該製品における各成分、すなわち、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬の量は、3成分の組み合わせが相乗効果を示すようにである。そのような製品は、緩下薬の製薬学的組成物を含有する容器、5HT3アンタゴニストの製薬学的組成物を含んでなる別の容器、及び5HT4アゴニストを含んでなる別の容器を含んでなるキットを含んでなることができる。緩下薬、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストの別個の組成物を有する製品は、各成分の適切な量、並びに投与のタイミング及び順序を患者の関数において選択することができるという利点を有する。
【0032】
薬理学的実施例
1.5HT 3 受容体のインビトロ結合親和性
インビトロ5HT3受容体結合をNxG 108CC15細胞及び[3H]GR65630を用いて測定した。細胞をNaCl(154mM)を含有するトリスHClバッファー(20mM,pH=7.5)において均質化し;最終細胞濃度は約106細胞/mlに相当した。放射性リガンド結合アッセイのためのインキュベーション混合物は、0.5mlの膜懸濁液、0.025mlの[3H]GR65630(最終濃度2nM)、及び0.025mlの総結合のための溶媒(10%ジメチルスルホキシド)もしくは非特異的結合のためのトロピセトロン(最終濃度1.0μM)、または薬剤溶液のいずれかからなった。インキュベーションを37℃で60分間実施した。標識された膜を、40ウェル濾過マニホールドを用いてWalkman GF/Bプラン(plan)ファイバーフィルター(0.1%ポリエチレンイミンに少なくとも1時間前もって浸した)上で吸引下で急速濾過により集め、増大した(raised)。阻害曲線が、二重反復で測定する少なくとも8〜12の濃度点により特定されるように、試験化合物を適切な濃度で加えた(60分のインキュベーション時間)。全ての実験を独立して少なくとも2回繰り返した。フィルター上の放射能をPackard Tri−carb 1600CA液体シンチレーション分析器において計数した。計数データをマッキントッシュSEパーソナルコンピューターにおいて直接集め、そしてマッキントッシュIIパーソナルコンピューターにさらに移した。化合物の存在下のアッセイからの計数データを試験化合物の非存在下で測定する総結合のパーセントとして自動的に表した。試験化合物のlog濃度に対する総結合のパーセントをプロットする阻害曲線を自動的に作製した。S字形阻害曲線を、1もしくは2部位の曲線の当てはめのための非線形回帰分析を用いるプログラム(Oestreicher E.G.and Pinto G.F.,Comput.Biol.Med.,17,53−68(1987)に記述されている式の改変)で、コンピューター化された曲線の当てはめにより分析した。−logIC50値(pIC50;特異的放射性リガンド結合の50%阻害を引き起こす濃度と定義するIC50)を個々の曲線から得た。Ki値は、KD(1.7nM)及び放射性標識された[3H]GR65630(2nM)の濃度(C)を用いてCheng及びPrusoff(Cheng Y.C.and Prusoff W.H.,Biochem.Pharmacol.,22,3099−3108,1973)の方法に従って計算した[Ki=IC50/(1+C/KD)]。試験化合物のKi値は、様々な測定の対数平均及び対応する95%信頼限界として示し;そして「5HT3受容体Ki(95% c.l.)nM」と明示する列において表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例2:「5HT 4 受容体のインビトロ結合親和性」
いずれかの性別のDunkin−Hartleyモルモット(600−900gの間の重さがある)を断頭により殺した。回腸を取り除き、温め酸素を付加したクレブス−ヘンゼライト溶液で洗浄した。回腸の一部(15cm)をガラスピペット上に滑り込ませた。筋層間神経叢を有する縦筋肉層をクレブス溶液で湿らせた木綿糸によって取り除いた。8cmの長さを有するストリップを折りたたみ、そしてこれらのストリップ(4cm)を2本の白金電極(8cmの長さ、0.5cm離れた)間に載せた。ストリップを100mlのクレブス−ヘンゼライト溶液(37.5℃)に1.5gの前負荷で懸濁し、95% O2及び5% CO2の混合物で処理した。調製物を単一の直交刺激で刺激した[1ms;0.1Hz;亜最大応答(最大応答の80%をもたらす電流)、プログラム可能な刺激装置(Janssen Scientific Instruments Division)から]。収縮を等尺的に測定した(Statham UC2,Janssen Scientific Instruments増幅器、Kipp BD−9ペン記録装置)。30分の安定化期間中、1.5gの定常状態張力を得るために、ストリップを繰り返し伸ばした。電気刺激を開始する前に、アセチルコリン(3.10−9、10−8、3.10−8及び10−7M)の累積濃度応答曲線を与えた。浴液を新しいクレブス溶液で置換し、そしてストリップをさらに30分間安定させた。続いて、ストリップを0.1Hzの周波数で1ms間電気的に刺激した(電力刺激装置)。最大の力の発生が認められるまで電圧を2Vの段階で増やした(最大限15V)。単収縮応答は、最大電圧で作動しているものの約80%に減少した(電圧減少により)。電圧を注意深く調整することにより、少なくとも2時間にわたって変わらない亜最大単収縮応答を得ることが可能であった。単収縮応答が少なくとも15分間安定である場合、試験化合物を浴液に30分間加えた。試験化合物が50%未満の阻害を引き起こす場合、試験化合物がシサプリドの刺激作用に拮抗できるかどうかを明らかにするためにシサプリド3.10−7Mを浴液に加えた。試験化合物が50%より大きい阻害を引き起こす場合、阻害がアヘン剤受容体によりもたらされるかどうかを明らかにするためにナロキソン10−7Mを加えた。シサプリドもしくはナロキソンのいずれかの添加後に、最大を越える(supramaximal)刺激を再び与えた。その後、電気刺激を中止し、そしてアセチルコリンでの第二の累積濃度応答曲線を与えた。アセチルコリンのこれら2つの累積濃度応答曲線は、減少したアセチルコリン放出による作用を直接的抗コリン作動性作用と区別するためもしくはアセチルコリンの増大した放出による作用をムスカリン性受容体の感作と区別するために与えた。化合物のEC50(すなわち、電気刺激への応答を50%刺激する濃度)は、試験化合物が刺激を引き起こす場合に線形回帰分析を用いて計算した。
【0035】
【表2】
【0036】
実施例4:液状便の開始の測定
1)一般的な記述
イヌを試験化合物もしくは蒸留水(0.5ml/kg)で経口的もしくは皮下的に前処理し、そして1時間後に胃管による強制飼養によりKleanPrepTMで攻撃した(基準用量:15分間隔で2x200ml)。最初の液状便が起こる時間間隔を攻撃後6時間まで記した(KleanPrepTMの最初の投与後の分単位)。実験観察により、尿排出の妨害はなく:排尿するイヌは液状便を示さず(むしろその逆が認められ:液状便のないイヌはいつも排尿した)、そして液状便のあるイヌは決して排尿しなかった。
【0037】
KleanPrepTM製剤は、ポリエチレングリコール3350(59.000g/l)、硫酸ナトリウム(5.685g/l)、炭酸水素ナトリウム(1.685g/l)、塩化ナトリウム(1.465g/l)、塩化カリウム(0.7425g/l)、アスパルテート(0.0494g/l)及びバニラ(0.3291g/l)からなった。
2)統計学
試験化合物(5HT3アンタゴニスト化合物A、及び5HT4アゴニストシサプリド、プルカロプリド及び化合物B)の各用量を5匹の動物に与えた。フィニーの反復法に従ってED50値及び95%信頼限界を計算するために悉無規準を用いた。
3)浸透圧性薬剤KleanPrep TM を用いて得られるコントロールデータ
5匹のイヌに対するパイロット研究において、6時間の観察期間内に液状便を得るためには大容量のKleanPrepTM(1400、1400、1800、2800、2800ml)及び比較的長い時間間隔(KleanPrepTM後95、101、124、211及び305分)が必要とされた。本実験では、400mlのKleanPrepTM溶液(15分間隔で2x200ml)の基準容量を用いた。これらの条件下で、液状便はKleanPrepTM後6時間まで認められず、また単一用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)で前処理した40匹のコントロールのイヌにおいても、また相互の直後に2用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)で前処理した35匹のコントロールのイヌにおいても、また1用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)及び1用量の食塩水(0.5ml/kg、s.c.、−1時間)で前処理した10匹のイヌにおいても、また2用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)及び1用量の食塩水(0.5ml/kg、s.c.、−1時間)で処理した5匹のイヌにおいても認められなかった。
4)5HT 4 アゴニストシサプリドの効果
KleanPrepTMの投与後6時間以内に液状便を得るために、0.89mg/kgのED50が必要とされた。
5)5HT 4 アゴニストプルカロプリドの効果
プルカロプリドは、KleanPrepTMの投与後6時間以内に液状便を得るのに必要とされる用量に関してあまり効能がなかった(ED50:2.3mg/kg)。1時間以内の液状便は、5mg/kgまで得られなかった。
6)5HT 4 アゴニスト化合物Bの効果
化合物Bは、2.5mg/kgの用量まで6時間の観察期間にわたってKleanPrepTMの投与後に液状便を誘導しなかった。
7)三種類の組み合わせの効果
7.1)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aで得られるコントロールデータ
35匹のコントロールのイヌに5HT3アンタゴニスト化合物A(0.01mg/kg、p.o.)及び蒸留水(0.5ml/kg、p.o.)での組み合わせた前処理の1時間後にKleanPrepTMを与えた。これらのうち33匹は、6時間以内に液状便を示したが(35匹の動物に関するメジアン時間間隔:125分)、2匹だけはKleanPrepTMの投与後1時間以内に液状便を示した。
7.2)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aと5HT 4 アゴニストシサプリドとの組み合わせ
化合物A(0.01mg/kg)で前処理したイヌにおいて、5HT4アゴニストシサプリドの共投与は、最初の液状便の開始をコントロール動物における125分のメジアンからKleanPrepTMの投与後24分まで用量依存的に速めた(1時間以内の液状便のED50:0.056mg/kg)。
7.3)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aと5HT 4 アゴニストプルカロプリドと の組み合わせ
化合物A(0.01mg/kg)で前処理したイヌにおいて、5HT4アゴニストプルカロプリドの共投与は、最初の液状便の開始をコントロール動物における125分のメジアンからKleanPrepTMの投与後32分まで用量依存的に速めた(1時間以内の液状便のED50:0.22mg/kg)。
7.4)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aと5HT 4 アゴニスト化合物Bとの組み合わせ
化合物A(0.01mg/kg)で前処理したイヌにおいて、5HT4アゴニスト化合物Bの共投与は、最初の液状便の開始をコントロール動物における125分のメジアンからKleanPrepTMの投与後29分まで用量依存的に速めた(1時間以内の液状便のED50:0.0014mg/kg)。
【0038】
【表3】
本発明は、腸洗浄を速めるための、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用に関する。本発明はまた、便秘症の処置のための該三種類の組み合わせの使用にも関する。
腸洗浄
診断、治療もしくは外科的処置の前の適切な結腸準備は、安全性及び診断精度が腸の適切な洗浄に依存するので重要である。硫酸マグネシウム(MgSO4)もしくはより最近ではポリエチレングリコール(PEG)−電解質溶液(例えば、KleanPrepTMもしくはGoLytelyTM)は、結腸準備のための洗浄溶液として広く使用されている。一般に患者により十分に許容されるこれらの溶液は、糞便残渣物の結腸粘膜を洗浄することにおいて非常に有効である。しかしながら、かなり大容量(4リットル)及び比較的長い準備時間(24時間まで)が必要とされる。摂取する容量の減少及び準備時間の短縮は、患者の承諾及び快適さを非常に増す。
【0002】
これらの薬剤はまた、適切な治療後に寄生虫を除くのを促進するために用いることもでき、例えば、これらを駆虫薬の後もしくはそれらと組み合わせて用いることができる。これらの浸透圧性薬剤はまた、中毒のいくつかの場合において有毒物質を除くのを促進するために用いることもできる。
【0003】
1998年10月29日に公開されたWO−98/47481は、腸洗浄を速めるための、緩下薬、特に浸透圧性薬剤と組み合わせた5HT3受容体アンタゴニストの使用を開示する。
【0004】
今回、5HT3アンタゴニスト、緩下薬、特に浸透圧性薬剤(osmotic agent)及び5HT4アゴニストを含んでなる三種類の組み合わせの使用が腸洗浄を速めることにおいてさらにいっそう有効であることが見出された。
【0005】
5HT3アンタゴニスト特性を有する興味深い化合物は、アロセトロン、アザセトロン、シランセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、インジセトロン、イタセトロン、レリセトロン、ルロセトロン、オンダンセトロン、R−オンダンセトロン、S−オンダンセトロン、パロノセトロン、ラモセトロン、トロピセトロン、((−)−シス−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[1−[3−[(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−ピリミジニル)−アミノ]プロピル]−3−メトキシ−4−ピペリジニル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフランカルボキサミド)(これを以下「化合物A」と称する)などである。
【0006】
5HT4アゴニスト特性を有する興味深い化合物は、シサプリド、プルカロプリド、モサプリド、レンザプリド、テガセロド、E3620などである。
【0007】
別の興味深い5HT4アゴニストは、1999年1月21日に公開されたWO 99/02156の化合物番号95として記述されている(3S−トランス)−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[[3−ヒドロキシ−1−(3−メトキシプロピル)−4−ピペリジニル]メチル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラン−カルボキサミド(これを以下「化合物B」と称する)である。
【0008】
もちろん、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストの製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩もまた、本発明に含まれるものとする。上記のような製薬学的に許容しうる酸付加塩は、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストが形成することができる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなるものとする。後者は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;もしくは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。
【0009】
酸性プロトンを含有する5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストはまた、適切な有機及び無機塩基での処理によりそれらの無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、並びに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0010】
上記に使用するような付加塩という用語はまた、式(I)の化合物並びにその塩が形成することができる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば、水和物、アルコラートなどである。
【0011】
緩下薬は、排便を促進する薬剤である。多数の緩下薬の正確な作用機構は、結腸機能に影響を与える複雑な因子、実験種及び調製物間の水及び電解質輸送の顕著な変動、並びにこの分野における研究のある種の高価さのために不明のままである。緩下薬作用の3つの一般的な機構を記述することができる。(1)緩下薬は、それらの親水性もしくは浸透性質により、結腸内容物における流体の保留をもたらし、それによりかさ及び柔らかさを増し、そして通過を容易にすることができる。(2)緩下薬は、水及びNaClの正味の吸収を減少するように結腸粘膜に対して直接的及び間接的の両方に作用することができる。(3)緩下薬は、腸の運動性を増し、減少した通過時間に二次的な塩及び水の減少した吸収をもたらすことができる。一般には、3つの主要な種類の緩下薬、すなわち、1)食物繊維及びバルク成形(bulk−forming)緩下薬、2)食塩水及び浸透圧性緩下薬、並びに3)刺激性緩下薬が認められる(Goodman and Gilman,第7版,pp994〜1003を参照)。
【0012】
バルク成形緩下薬には、部分的にのみ消化される広範囲の天然及び半合成の多糖類並びに細胞誘導体が包含される。消化されていない部分は親水性であり、そして水の存在下で膨張して粘性溶液もしくはゲルを形成する。増加した管内圧力はぜん動を反動的に刺激し、結腸通過時間を減らし、そして柔らかいゼリー状の糞便を生成する(“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,783−786頁,1990,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,第18版)。
【0013】
刺激性緩下薬は、腸管に対してその運動活動を増すように作用する。より一般に用いられる薬剤は、例えばカスカラサグラダ及びセンナのようなアントラキノン緩下薬;例えばフェノールフタレイン及びビサコジルのようなジフェニルメタン誘導体;並びにヒマシ油である(“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,783−786頁,1990,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,第18版)。
【0014】
食塩水及び浸透圧性緩下薬は、本発明において予想される緩下薬の主要な種類である。
【0015】
食塩水及び浸透圧性緩下薬には、様々なマグネシウム塩;ナトリウム及びカリウムの硫酸塩、リン酸塩及び酒石酸塩;二糖ラクツロース;グリセリン;並びにソルビトールが包含される。これらは、管腔液におけるそれらの浸透性質により乏しく且つゆっくりと吸収されそして作用する。
【0016】
腸洗浄のために市販されているこれらの浸透圧性薬剤の2つの例は、KleanPrepTM及びGoLytelyTMである
5HT3−受容体アンタゴニストは、例えば、ラットにおいてセロトニンにより引き起こされるVon Bezold−Jarisch化学反射に拮抗することにおいてそれらが有効であることにより同定することができる(Pharmacology and Toxicology,70,Supp II,17−22(1992))。5HT3受容体結合のKi値を測定するためのインビトロ結合アッセイは、薬理学的実施例1に記述する。
【0017】
5HT4受容体結合のEC50値を測定するためのインビトロ結合アッセイは、薬理学的実施例2に記述する。
【0018】
本発明は、腸洗浄を速めるもしくは促進するための薬剤の製造のための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用に関する。従って、有効量の5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストを緩下薬、特に浸透圧性薬剤と組み合わせて温血動物、特に哺乳動物に投与する処置の方法を請求する。
【0019】
5HT3拮抗作用及び5HT4作動作用(agonism)はまた、一つに合わせてもよく、そして同じ化合物であってもよい。
【0020】
「速める」、「向上する」もしくは「促進する」という用語は、この本文の全体にわたって同義語として用いる。
【0021】
この処置において予想される患者は、診断もしくは外科的処置の前にその腸を洗浄する必要がある人々である。患者の別の群は、排便時に力むのを防ぐべき患者であり、これらの患者には、ヘルニアもしくは心血管疾患を患っている人々が包含される。さらに、本発明の組み合わせは、痔及び他の肛門直腸疾患にかかっている患者において柔らかい便を保つために手術の前及び後の両方で指示することができる。
【0022】
排便を促す用量の浸透圧性薬剤は、胃腸管、腎臓、または他の腹もしくは腹膜後構造の放射線医学検査の前に、そして待機腸手術の前に頻繁に用いられる。従って、これらの用途にも現在記述する組み合わせは有用であることができる。
【0023】
さらに、本発明の組み合わせはまた、腸から作用因子を取り除くことにより、薬物過剰服用及び中毒の処置において用いることもできる。本発明の組み合わせはまた、ある種の駆虫薬とさらに組み合わせて用いることもできる。
【0024】
実験部分において示すように、本発明は緩下薬、特に浸透圧性薬剤の作用を速めそして/もしくは促す方法を提供する。緩下薬は、経口的もしくは直腸的に投与もしくは共投与することができる。また、有効量の5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストと組み合わせた緩下薬の投与により、温血動物、特に哺乳動物における腸洗浄を速める方法も提供する。
【0025】
一般に、「共投与」は、緩下薬、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストが、少なくとも部分的に重なる時間の間に胃腸管に存在することを意味する。さらに、「共投与」は、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストの用量の後1時間以内に該緩下薬の1用量より多くを投与することを意味し、すなわち、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストは、該緩下薬の投与ごとの前もしくは一緒に再び投与する必要はなく、処置の経過中に断続的に投与することができる。
【0026】
本発明はまた、急性便秘症、慢性便秘症もしくは難治性便秘症のような便秘症の処置のための薬剤の製造のための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる三種類の組み合わせの使用にも関する。従って、有効量の5HT3アンタゴニスト及び有効量の5HT4アゴニストと組み合わせた緩下薬の投与により、温血動物、特に哺乳動物における例えば急性便秘症、慢性便秘症もしくは難治性便秘症のような便秘症を処置する方法を提供する。
【0027】
5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストは、投与目的のための様々な製薬学的形態に調合することができる。これらの製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、塩基もしくは酸付加塩形態の特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合する。該担体は、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、好ましくは経口的、直腸的もしくは非経口注入による投与に適当な望ましくは単位剤形である。例えば、経口剤形の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤及び液剤のような経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれか;または散剤、丸剤、カプセル剤及び錠剤の場合には、澱粉、糖類、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。錠剤及びカプセル剤は、投与におけるそれらの容易さのために、最も好都合な経口単位剤形であり、この場合、固体の製薬学的担体を明らかに用いる。非経口組成物では、例えば可溶性を促進するために他の成分を含むことができるが、担体は通常少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、その場合、担体は食塩水溶液、グルコース溶液、もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤を製造することもでき、その場合、適切な液体担体、沈殿防止剤などを用いることができる。経皮投与に適当な組成物において、担体は、わずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と場合により組み合わせた、浸透促進剤(penetration enhancing agent)及び/もしくは適当な湿潤剤を場合により含んでなり、これらの添加剤は皮膚への有意な有害作用を引き起こさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するために有用であることができる。これらの組成物は、様々な方法で、例えば、経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。式(I)の化合物の酸付加塩は、対応する塩基形態より優れたそれらの増加した水溶性のために、明らかに水性組成物の製造にいっそう適している。投与の容易さ及び投与量の均一性のために単位剤形の上記の製薬学的組成物を調合することは特に有益である。単位剤形は、本明細書において用いる場合、単位投与量として適当な物理的に分離している単位をさし、各単位は、必要とされる製薬学的担体と会合して所望の治療効果を生み出すように計算される有効成分の前もって決定された量を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠もしくは被覆錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤、小さじ一杯、大さじ一杯など、及びその分離した倍数である。
【0028】
本発明において使用する薬剤の投与量は、薬剤、臨床試験において決定されるような組み合わせた薬剤の性質、及び医師が患者を処置しているもの以外の疾患を包含する患者の特徴の知識を用いて、最終分析において、症例を担当する医師により決定されなければならない。
【0029】
一般に、5HT3アンタゴニストの有効量は、約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重、好ましくは約0.02mg/kg〜約5mg/kg体重であると考えられる。5HT4アゴニストの有効量は、約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重、好ましくは約0.02mg/kg〜約5mg/kg体重である。正確な投与量割合及び処方計画は、個々の状況により、医師によって経験的に決定することができる。
【0030】
ある態様として、5HT3アンタゴニストの量は0.001mg/kg〜0.1mg/kgの範囲、好ましくは約0.01mg/kgであり、そして5HT4アゴニストの量は0.001mg/kg〜1mg/kgの範囲である。
【0031】
本発明の追加の特徴として、本発明は、容器、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤の剤形を含んでなる委託販売に適当な治療パッケージを提供する。この緩下薬もしくは浸透圧性薬剤はたいてい粉末の形態であり、通常、これをある量の水に溶解もしくは懸濁する。従って、本発明はまた、便秘症の処置における同時もしくは逐次使用のための、または腸洗浄を促進するための5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬、特に浸透圧性薬剤を含んでなる製品にも関し、ただし、該製品はオピオイドアンタゴニストを含有しない。該製品における各成分、すなわち、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬の量は、3成分の組み合わせが相乗効果を示すようにである。そのような製品は、緩下薬の製薬学的組成物を含有する容器、5HT3アンタゴニストの製薬学的組成物を含んでなる別の容器、及び5HT4アゴニストを含んでなる別の容器を含んでなるキットを含んでなることができる。緩下薬、5HT3アンタゴニスト及び5HT4アゴニストの別個の組成物を有する製品は、各成分の適切な量、並びに投与のタイミング及び順序を患者の関数において選択することができるという利点を有する。
【0032】
薬理学的実施例
1.5HT 3 受容体のインビトロ結合親和性
インビトロ5HT3受容体結合をNxG 108CC15細胞及び[3H]GR65630を用いて測定した。細胞をNaCl(154mM)を含有するトリスHClバッファー(20mM,pH=7.5)において均質化し;最終細胞濃度は約106細胞/mlに相当した。放射性リガンド結合アッセイのためのインキュベーション混合物は、0.5mlの膜懸濁液、0.025mlの[3H]GR65630(最終濃度2nM)、及び0.025mlの総結合のための溶媒(10%ジメチルスルホキシド)もしくは非特異的結合のためのトロピセトロン(最終濃度1.0μM)、または薬剤溶液のいずれかからなった。インキュベーションを37℃で60分間実施した。標識された膜を、40ウェル濾過マニホールドを用いてWalkman GF/Bプラン(plan)ファイバーフィルター(0.1%ポリエチレンイミンに少なくとも1時間前もって浸した)上で吸引下で急速濾過により集め、増大した(raised)。阻害曲線が、二重反復で測定する少なくとも8〜12の濃度点により特定されるように、試験化合物を適切な濃度で加えた(60分のインキュベーション時間)。全ての実験を独立して少なくとも2回繰り返した。フィルター上の放射能をPackard Tri−carb 1600CA液体シンチレーション分析器において計数した。計数データをマッキントッシュSEパーソナルコンピューターにおいて直接集め、そしてマッキントッシュIIパーソナルコンピューターにさらに移した。化合物の存在下のアッセイからの計数データを試験化合物の非存在下で測定する総結合のパーセントとして自動的に表した。試験化合物のlog濃度に対する総結合のパーセントをプロットする阻害曲線を自動的に作製した。S字形阻害曲線を、1もしくは2部位の曲線の当てはめのための非線形回帰分析を用いるプログラム(Oestreicher E.G.and Pinto G.F.,Comput.Biol.Med.,17,53−68(1987)に記述されている式の改変)で、コンピューター化された曲線の当てはめにより分析した。−logIC50値(pIC50;特異的放射性リガンド結合の50%阻害を引き起こす濃度と定義するIC50)を個々の曲線から得た。Ki値は、KD(1.7nM)及び放射性標識された[3H]GR65630(2nM)の濃度(C)を用いてCheng及びPrusoff(Cheng Y.C.and Prusoff W.H.,Biochem.Pharmacol.,22,3099−3108,1973)の方法に従って計算した[Ki=IC50/(1+C/KD)]。試験化合物のKi値は、様々な測定の対数平均及び対応する95%信頼限界として示し;そして「5HT3受容体Ki(95% c.l.)nM」と明示する列において表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例2:「5HT 4 受容体のインビトロ結合親和性」
いずれかの性別のDunkin−Hartleyモルモット(600−900gの間の重さがある)を断頭により殺した。回腸を取り除き、温め酸素を付加したクレブス−ヘンゼライト溶液で洗浄した。回腸の一部(15cm)をガラスピペット上に滑り込ませた。筋層間神経叢を有する縦筋肉層をクレブス溶液で湿らせた木綿糸によって取り除いた。8cmの長さを有するストリップを折りたたみ、そしてこれらのストリップ(4cm)を2本の白金電極(8cmの長さ、0.5cm離れた)間に載せた。ストリップを100mlのクレブス−ヘンゼライト溶液(37.5℃)に1.5gの前負荷で懸濁し、95% O2及び5% CO2の混合物で処理した。調製物を単一の直交刺激で刺激した[1ms;0.1Hz;亜最大応答(最大応答の80%をもたらす電流)、プログラム可能な刺激装置(Janssen Scientific Instruments Division)から]。収縮を等尺的に測定した(Statham UC2,Janssen Scientific Instruments増幅器、Kipp BD−9ペン記録装置)。30分の安定化期間中、1.5gの定常状態張力を得るために、ストリップを繰り返し伸ばした。電気刺激を開始する前に、アセチルコリン(3.10−9、10−8、3.10−8及び10−7M)の累積濃度応答曲線を与えた。浴液を新しいクレブス溶液で置換し、そしてストリップをさらに30分間安定させた。続いて、ストリップを0.1Hzの周波数で1ms間電気的に刺激した(電力刺激装置)。最大の力の発生が認められるまで電圧を2Vの段階で増やした(最大限15V)。単収縮応答は、最大電圧で作動しているものの約80%に減少した(電圧減少により)。電圧を注意深く調整することにより、少なくとも2時間にわたって変わらない亜最大単収縮応答を得ることが可能であった。単収縮応答が少なくとも15分間安定である場合、試験化合物を浴液に30分間加えた。試験化合物が50%未満の阻害を引き起こす場合、試験化合物がシサプリドの刺激作用に拮抗できるかどうかを明らかにするためにシサプリド3.10−7Mを浴液に加えた。試験化合物が50%より大きい阻害を引き起こす場合、阻害がアヘン剤受容体によりもたらされるかどうかを明らかにするためにナロキソン10−7Mを加えた。シサプリドもしくはナロキソンのいずれかの添加後に、最大を越える(supramaximal)刺激を再び与えた。その後、電気刺激を中止し、そしてアセチルコリンでの第二の累積濃度応答曲線を与えた。アセチルコリンのこれら2つの累積濃度応答曲線は、減少したアセチルコリン放出による作用を直接的抗コリン作動性作用と区別するためもしくはアセチルコリンの増大した放出による作用をムスカリン性受容体の感作と区別するために与えた。化合物のEC50(すなわち、電気刺激への応答を50%刺激する濃度)は、試験化合物が刺激を引き起こす場合に線形回帰分析を用いて計算した。
【0035】
【表2】
【0036】
実施例4:液状便の開始の測定
1)一般的な記述
イヌを試験化合物もしくは蒸留水(0.5ml/kg)で経口的もしくは皮下的に前処理し、そして1時間後に胃管による強制飼養によりKleanPrepTMで攻撃した(基準用量:15分間隔で2x200ml)。最初の液状便が起こる時間間隔を攻撃後6時間まで記した(KleanPrepTMの最初の投与後の分単位)。実験観察により、尿排出の妨害はなく:排尿するイヌは液状便を示さず(むしろその逆が認められ:液状便のないイヌはいつも排尿した)、そして液状便のあるイヌは決して排尿しなかった。
【0037】
KleanPrepTM製剤は、ポリエチレングリコール3350(59.000g/l)、硫酸ナトリウム(5.685g/l)、炭酸水素ナトリウム(1.685g/l)、塩化ナトリウム(1.465g/l)、塩化カリウム(0.7425g/l)、アスパルテート(0.0494g/l)及びバニラ(0.3291g/l)からなった。
2)統計学
試験化合物(5HT3アンタゴニスト化合物A、及び5HT4アゴニストシサプリド、プルカロプリド及び化合物B)の各用量を5匹の動物に与えた。フィニーの反復法に従ってED50値及び95%信頼限界を計算するために悉無規準を用いた。
3)浸透圧性薬剤KleanPrep TM を用いて得られるコントロールデータ
5匹のイヌに対するパイロット研究において、6時間の観察期間内に液状便を得るためには大容量のKleanPrepTM(1400、1400、1800、2800、2800ml)及び比較的長い時間間隔(KleanPrepTM後95、101、124、211及び305分)が必要とされた。本実験では、400mlのKleanPrepTM溶液(15分間隔で2x200ml)の基準容量を用いた。これらの条件下で、液状便はKleanPrepTM後6時間まで認められず、また単一用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)で前処理した40匹のコントロールのイヌにおいても、また相互の直後に2用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)で前処理した35匹のコントロールのイヌにおいても、また1用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)及び1用量の食塩水(0.5ml/kg、s.c.、−1時間)で前処理した10匹のイヌにおいても、また2用量の蒸留水(0.5ml/kg、p.o.、−1時間)及び1用量の食塩水(0.5ml/kg、s.c.、−1時間)で処理した5匹のイヌにおいても認められなかった。
4)5HT 4 アゴニストシサプリドの効果
KleanPrepTMの投与後6時間以内に液状便を得るために、0.89mg/kgのED50が必要とされた。
5)5HT 4 アゴニストプルカロプリドの効果
プルカロプリドは、KleanPrepTMの投与後6時間以内に液状便を得るのに必要とされる用量に関してあまり効能がなかった(ED50:2.3mg/kg)。1時間以内の液状便は、5mg/kgまで得られなかった。
6)5HT 4 アゴニスト化合物Bの効果
化合物Bは、2.5mg/kgの用量まで6時間の観察期間にわたってKleanPrepTMの投与後に液状便を誘導しなかった。
7)三種類の組み合わせの効果
7.1)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aで得られるコントロールデータ
35匹のコントロールのイヌに5HT3アンタゴニスト化合物A(0.01mg/kg、p.o.)及び蒸留水(0.5ml/kg、p.o.)での組み合わせた前処理の1時間後にKleanPrepTMを与えた。これらのうち33匹は、6時間以内に液状便を示したが(35匹の動物に関するメジアン時間間隔:125分)、2匹だけはKleanPrepTMの投与後1時間以内に液状便を示した。
7.2)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aと5HT 4 アゴニストシサプリドとの組み合わせ
化合物A(0.01mg/kg)で前処理したイヌにおいて、5HT4アゴニストシサプリドの共投与は、最初の液状便の開始をコントロール動物における125分のメジアンからKleanPrepTMの投与後24分まで用量依存的に速めた(1時間以内の液状便のED50:0.056mg/kg)。
7.3)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aと5HT 4 アゴニストプルカロプリドと の組み合わせ
化合物A(0.01mg/kg)で前処理したイヌにおいて、5HT4アゴニストプルカロプリドの共投与は、最初の液状便の開始をコントロール動物における125分のメジアンからKleanPrepTMの投与後32分まで用量依存的に速めた(1時間以内の液状便のED50:0.22mg/kg)。
7.4)5HT 3 アンタゴニスト化合物Aと5HT 4 アゴニスト化合物Bとの組み合わせ
化合物A(0.01mg/kg)で前処理したイヌにおいて、5HT4アゴニスト化合物Bの共投与は、最初の液状便の開始をコントロール動物における125分のメジアンからKleanPrepTMの投与後29分まで用量依存的に速めた(1時間以内の液状便のED50:0.0014mg/kg)。
【0038】
【表3】
Claims (10)
- 腸洗浄を速めるための薬剤の製造のための、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬を含んでなる三種類の組み合わせの使用。
- 便秘症を処置するための薬剤の製造のための、5HT3アンタゴニスト、5HT4アゴニスト及び緩下薬を含んでなる三種類の組み合わせの使用。
- 緩下薬が浸透圧性薬剤である請求項1〜2に記載の使用。
- 緩下薬がポリエチレングリコール(PEG)−電解質溶液である請求項1〜3に記載の使用。
- 5HT3アンタゴニストがアロセトロン、アザセトロン、シランセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、インジセトロン、イタセトロン、レリセトロン、ルロセトロン、オンダンセトロン、R−オンダンセトロン、S−オンダンセトロン、パロノセトロン、ラモセトロン、トロピセトロン、(−)−シス−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[1−[3−[(3,4−ジヒドロー4−オキソ−2−ピリミジニル)アミノ]プロピル]−3−メトキシ−4−ピペリジニル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフランカルボキサミド及びその製薬学的に許容しうる酸付加塩よりなる群から選択される上記請求項のいずれかに記載の使用。
- 5HT3アンタゴニストが(−)−シス−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[1−[3−[(3,4−ジヒドロー4−オキソ−2−ピリミジニル)アミノ]−プロピル]−3−メトキシ−4−ピペリジニル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフランカルボキサミドである請求項5に記載の使用。
- 5HT4アゴニストがシサプリド、プルカロプリド、モサプリド、テガセロドもしくは(3S−トランス)−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[[3−ヒドロキシ−1−(3−メトキシプロピル)−4−ピペリジニル]−メチル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラン−カルボキサミドよりなる群から選択される上記請求項のいずれかに記載の使用。
- 5HT4アゴニストが(3S−トランス)−4−アミノ−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−N−[[3−ヒドロキシ−1−(3−メトキシプロピル)−4−ピペリジニル]メチル]−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラン−カルボキサミドである請求項7に記載の使用。
- 5HT3アンタゴニストの量が0.001mg/kg〜0.1mg/kgの範囲であり、そして5HT4アゴニストの量が0.001mg/kg〜1mg/kgの範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
- 5HT3アンタゴニストの量が0.01mg/kgであり、そして5HT4アゴニストの量が0.001mg/kg〜1mg/kgの範囲である請求項9に記載の使用。
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