JP2004504070A

JP2004504070A - 大腿骨固定具および大腿骨固定具セット

Info

Publication number: JP2004504070A
Application number: JP2001527738A
Authority: JP
Inventors: トマス・アルブレフトソン; ラーシュ・カールソン; マグヌス・ヤーコブソン; ウォレン・マクドナルド; スティグ・ヴェンベルイ
Original assignee: アストラ・テック・アクチエボラーグ
Priority date: 1999-10-06
Filing date: 2000-10-06
Publication date: 2004-02-12
Also published as: AU7979900A; AU755551B2; AU7980000A; WO2001024738A1; CA2386233A1; CA2386229A1; DE60013469D1; CN1185991C; EP1225849A1; DE60013469T2; EP1223894B1; JP2003529408A; CN1377248A; US6824568B1; EP1223894A1; ATE274877T1; DE60012352D1; US7156879B1; ES2225239T3; EP1225849B1

Abstract

股関節人工骨頭用の大腿骨固定具（１）は、大腿骨頭部を固定位置まで切除した後に大腿骨の頸部に横方向に穿孔した対応する孔内へ横方向に螺合させるほぼ円形の横断面の固定構造（３）を包含する。この骨内固定構造（３）は、近位端、遠位端、近位端のところにある比較的短い円錐台形近位部分（１８）およびねじ山の外形を設けた近位円筒形部分（１１）を有する。近位円筒形部分（１１）は、固定構造（３）の遠位端に向かって円錐台形近位部分から延びている。円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）の各々は、骨内固定構造（３）が固定位置にあるときに大腿骨頸部の皮層を圧迫するような寸法となっている。本発明は、また、このような大腿骨固定具のセットにも関係する。このセットにおいて、セット内の各固定具（１）の円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）は異なった寸法を有し、それによって、或る特定の患者の大腿骨頸部皮質骨層に当接する正しいサイズの円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）を有する固定具を、その患者に使用するために、セットから選ぶことができる。

Description

【０００１】
【技術分野】
本発明は、股関節人工骨頭用の大腿骨固定具であって、固定位置まで大腿骨頭部を切除した後に大腿骨の頸部に横方向に穿孔した対応する孔内に横方向に螺合させるほぼ円形横断面の骨内固定構造（３）を包含する大腿骨固定具に関する。本発明は、このような大腿骨固定具のセットにも関する。
【０００２】
【発明の背景】
上述したタイプの大腿骨固定具は、本出願人の国際特許出願公報ＷＯ９３／１６６６３に開示されている。この大腿骨固定具においては、骨内構造が、近位端のところにねじ山付き円筒形部分を有する。ＷＯ９３／１６６６３の大腿骨固定具の骨内構造で円筒形近位部分を使用することで、そこに設けたねじ山が、大腿骨頸部の皮質骨層（ｃｏｒｔｅｘ）と係合し、大腿骨における大腿骨固定具の固定強度を増大させることができる。しかしながら、円筒形部分の近位末端部分のねじ山が、切除表面のところで大腿骨頸部の中間皮質骨層に整合しない。これは、切除表面に隣接して外方に広がる大腿骨頸部の皮質骨層による。
【０００３】
大腿骨固定具の骨内固定構造による大腿骨の切除表面のところでの皮質骨層による負荷の欠如は、切除表面のところでの骨吸収に至る可能性がある。この状況は、単にＷＯ９３／１６６６３の大腿骨固定具の骨内固定構造の円筒形近位部分の直径を増大させることによって処理することはできない。大腿骨頸部皮質骨層のトラペット形状に起因して、円筒形近位部分のねじ山が大腿骨頸部本体の皮質骨層を破壊するか、あるいは、皮質骨層を破壊する危険があるほど接近することになるからである。
【０００４】
【発明の開示】
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を処理する改良された大腿骨固定具を提供することにある。
この目的および他の目的は、独立請求項に定義した特徴を有する大腿骨固定具を提供することによって本発明に従って達成される。好ましい実施例は、従属請求項に定義してある。
【０００５】
本発明によれば、股関節人工補てつ具用の大腿骨固定具は、固定位置まで大腿骨頭部を切除した後に大腿骨の頸部に横方向に穿孔した対応する孔内に横方向に螺合させるほぼ円形横断面の骨内固定構造を包含する。この骨内固定構造は、近位端、遠位端、近位端のところにある比較的短い円錐台形近位部分およびねじ山の外形を設けてあり、円錐台形近位部分から遠位端に向かって延びている近位円筒形部分を有し、円錐台形近位部分および近位円筒形部分の各々は、骨内固定構造が固定位置にあるときに大腿骨頸部の皮質骨層で支持するような寸法となっている。
【０００６】
したがって、本発明は、骨内固定構造の近位端のところに比較的短い円錐台形近位部分を有する上述タイプの大腿骨固定具を提供するという有利なアイデアに基づく。
【０００７】
骨内固定構造の近位端のところに比較的短い円錐台形近位部分を設けるということは、切除表面に隣接して大腿骨頸部の皮質骨層に負荷を与え、そして、近位円筒形部分は大腿骨頸部本体の皮層に負荷を与える。それによって、患者の大腿骨において大腿骨固定具の固定状態を向上させることができる。
円錐台形近位部分は、８〜１５度の範囲、好ましくは１０〜１３度の範囲にあり、さらに好ましくはほぼ１２度であるフランク角を有する。
【０００８】
本発明の好ましい実施例によれば、円錐台形部分、５〜１０ｍｍの範囲の軸線方向寸法を有する。好ましくは、軸線方向寸法は、ほぼ８ｍｍである。
有利には、円錐台形近位部分の近位端は、１８〜３０ｍｍの範囲の直径を有する。
有利には、円錐台形近位部分の遠位端（すなわち、近位円筒形部分にインターフェイス接続する端）は、近位円筒形部分とほぼ同じ直径を有する。したがって、円錐台形近位部分と近位円筒形部分との間の移行領域には、望ましくないストレスを誘発する可能性のある鋭利な縁が存在しないことになる。
【０００９】
本発明の好ましい実施例によれば、円錐台形部分は、少なくとも部分的に、粗面を有する。これは、円錐台形部分の皮層との統合（この技術分野では「骨一体形成（ｏｓｓｅｏｉｎｔｅｇｒａｔｉｏｎ）」と呼ばれる）を改善する。粗面化は、これらの粗面化している技術のうちの１以上の組み合わせによるグリット・ブラスト仕上げ、エッチングあるいは機械加工によって達成でき、あるいは、これら粗面化技術の１つまたはそれ以上を組み合わせることによって達成できる。
【００１０】
あるいはまたはさらに、円錐台形近位部分は、円周方向に向いた粗面（好ましくは機械加工した粗面）を備えていてもよい。このような円周方向に向いた粗面は、たとえば、溝、ビーズ、トラックまたはねじ山の形で設けることができる。このような円周方向に向いた粗面を設けることで、円周方向に向いた粗面の、切除表面に隣接した大腿骨頸部の皮層との係合により、骨内固定構造の短期間固定能力を向上させると共に、骨形成プロセスをさらに促進しさえする。
【００１１】
本発明の一実施例によれば、円錐台形近位部分は、近位円筒形部分のそれと同様のねじ山の外形を備える。
【００１２】
本発明の好ましい実施例によれば、円錐台形近位部分は、近位円筒形部分のねじ山の外形より低い高さのねじ山の外形を有する。好ましくは、円錐台形近位部分上のねじ山の外形の高さは、０．３ｍｍ以下であり（微小ねじ山）、好ましくは０．１〜０．２５ｍｍの範囲内にあり、さらに好ましくはほぼ０．２ｍｍである。
【００１３】
本発明の別の実施例によれば、円錐台形近位部分は、近位円筒形部分のねじ山の外形より低い高さの円周ビーズを備える。好ましくは、ビーズの高さは、０．３ｍｍ以下であり、好ましくは、０．１〜０．２５ｍｍの範囲にあり、さらに好ましくはほぼ０．２ｍｍである。
【００１４】
本発明の好ましい実施例によれば、骨内固定構造は、骨内固定構造が固定位置にあるときに固定構造の遠位端が大腿骨の横方向皮層を貫いて突出するような寸法となっている。この配置は、固定構造の近位端のところに円錐台形近位部分を有するという本発明の特徴と共に、大腿骨の皮質骨組織における固定構造の強い固定状態を与える。
【００１５】
有利には、骨内固定構造は、さらに、ねじ付き遠位円筒形部分を有し、この遠位円筒形部分は、近位円筒形部分に向かって骨内固定構造の遠位端から延びている。遠位円筒形部分の直径は、前記近位円筒形部分の直径より小さい。好ましくは、近位、遠位円筒形部分のねじ山の外形はほぼ同じである。
【００１６】
本発明の一実施例によれば、骨内固定構造は、さらに、近位、遠位円筒形部分間に設けた先細連結部分を包含する。この先細連結部分は、近位、遠位円筒形部分を相互連結し、好ましくは、円錐台形状を有する。この円錐台形状は、一端で、前記近位円筒形部分の直径にほぼ等しい基部直径を有し、他端で、前記遠位円筒形部分の直径にほぼ等しい頂部直径を有する。
【００１７】
先細連結部分を設けることで、異なった直径の円筒形部分間の鋭利な段付き移行部によって誘発される可能性のあるいかなるストレスも急激に減らすことができる。さらに、固定具の挿入が容易になり、固定具の短期、長期の安定性が改善されると共に、固定具とそれを取り囲む骨組織との間の骨形成プロセスも改善されることになる。
【００１８】
有利には、先細連結部分の近位端は、近位円筒形部分とほぼ同じ直径を有する。同様に、先細連結部分の遠位端は、遠位円筒形部分とほぼ同じ直径を有すると有利である。
【００１９】
本発明の好ましい実施例によれば、第１円筒形部分の直径は、大腿骨固定具の移植を意図した特定の患者の大腿骨の実際の寸法、形状に合わせることができる。したがって、第１円筒形部分の直径はかなり変化する可能性がある。しかしながら、第２円筒形部分の直径は、短い限られた範囲内にあるように寸法決めすると好ましい。したがって、連結部分のフランク角は、第１、第２の円筒形部分の実際の寸法に応じて変化する可能性がある。好ましくは、フランク角は、１５度〜４５度の範囲で、好ましくは２０度〜４０度の範囲で変化する可能性がある。
【００２０】
好ましくは、先細連結部分は、少なくとも部分的に、粗面を備える。これは、円筒形部分間の移行領域のところでの骨形成プロセスをさらに促進する。粗面は、ブラスチング、好ましくはグリット・ブラスチング、エッチング等で達成し得る。あるいはまたはさらに、先細近位部分の表面は、円周方向に向いた粗面、たとえば、円周ビーズまたはねじ山の形をした円周方向に向いた粗面を備える。ビーズまたはねじ山の高さは、好ましくは０．３ｍｍ以下であり、より好ましくは０．１〜０．２５ｍｍの範囲にあり、さらに好ましくはほぼ０．２ｍｍである。
【００２１】
以下に説明するような本発明の一実施例によれば、先細連結部分は、少なくとも部分的に、１つまたはそれ以上のセルフタップ式切削くぼみを備える。
【００２２】
本発明の好ましい実施例によれば、大腿骨固定具は、さらに、頭部を包含する。この頭部は、先細近位部分に当接するカラーを備える。このカラーは、骨組織への大腿骨固定具の挿入限界を定める。好ましくは、近位部分に面するカラーの表面は、内方へ傾斜していて、対応した傾斜形状を与えた切除骨組織表面と一致する。好ましくは、傾斜角度は、１０度〜２０度の範囲内にあり、好ましくはほぼ１５度である。あるいは、近位部分に面するカラーの表面には、凸面の骨組織表面と一致するように凹面形状を与える。それによって、大腿骨固定具と骨表面との間の接触状態が改善され得る。
【００２３】
好ましくは、前記カラー表面は、半径方向に隔たった円形のビーズまたは溝を備え、挿入した大腿骨固定具の安定性を増大させると共に、大腿骨固定具と骨組織との間での骨形成を促進する。好ましくは、これらのビーズは、０．１〜０．５ｍｍの範囲にあり、より好ましくは０．２〜０．４ｍｍの範囲にあり、さらに好ましくはほぼ０．３ｍｍである高さを有する。
【００２４】
本発明の好ましい実施例によれば、本発明による大腿骨固定具のセットであって、セット内の各固定具の円錐台形近位部分および近位円筒形部分が異なった寸法を有し、それによって、或る特定の患者の大腿骨頸部の皮層に当接する正しいサイズの円錐台形近位部分および近位円筒形部分を有するセット内の固定具をその患者に使用するために選ぶことができる。
【００２５】
本発明の好ましい実施例によれば、大腿骨固定具セットであって、セット内の各固定具の円錐台形近位部分および近位円筒形部分が異なった直径を有し、遠位円筒形部分の寸法がセット内のすべての固定具についてほぼ同じである。それによって、或る特定の患者の大腿骨頸部の皮層に当接する正しいサイズの円錐台形、円筒形部分を有するセット内固定具をその患者に使用するために選ぶことができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【００２６】
【実施例】
図１〜８を参照して、ここには、好ましくは市販の純チタンから作ってあり、（ｉ）円形横断面の骨内固定部分３と、（ｉｉ）頭部分５とからなる股関節人工骨頭用の一体形成式大腿骨固定具１が示してある。固定部分３は、対応するプロファイル（図７）の空洞３０内に横方向に挿入することを意図している。前記空洞３０は、大腿骨の頭部を切除することによって作った切除部３３を貫いて大腿骨頸部に穿たれている。固定具の頭部分５（骨内固定部分３を空洞３０（図８）内に設置したときに切除部３３から突き出ることになる）は、股関節人工骨頭の球体２５を支持するように配置する。この股関節人工補てつ具は、解剖学的寛骨臼の空洞または股関節人工補てつ具全体を必要とする股関節人工補てつ具寛骨臼部分と相互作用する。
【００２７】
図１〜３でわかるように、骨内固定部分３は、異なった外径の近位、遠位円筒形部分１１、１３を有する。近位円筒形部分１１の直径は、遠位円筒形部分１３のそれより大きい。骨内固定部分３は、さらに、遠位円筒形部分１３に隣接する先細遠位末端部分１２と、近位円筒形部分１１を遠位円筒形部分１３に連結する円錐台形連結部分１５と、近位円筒形部分１１を頭部分５に連結する円錐台形近位部分１８とを有する。
【００２８】
近位円筒形部分１１は、前記空洞の外方骨空洞部３２に螺合するためのねじ付き外面を有する。遠位円筒形部分１３もねじ付き外面を有し、これは、前記外方空洞部３２と同軸である細い穿孔３１に螺合する。近位円筒形部分１１のねじ山は、遠位円筒形部分（１３）のそれと同じピッチ、高さを有する。
【００２９】
近位、遠位円筒形部分１１、１３上のねじ山の外径は、外方空洞部３２の対応する円筒形部分の内径および大腿骨頸部の空洞３０（図７参照）に設けた穿孔３１より大きいように設定する。したがって、骨内固定部分３は、空洞３０内に大腿骨固定具１を螺合させることによって空洞３０内に固定することができる。そのとき、近位、遠位円筒形部分１１、１３上のねじ山は、空洞３０の境界壁にある骨組織に螺合する。
【００３０】
図８でわかるように、近位円筒形部分１１の直径は、実際、ＷＯ９３／１６６６３およびＷＯ９７／２５９３９に概説されるように、ねじ山が大腿骨頸部の皮質骨３４の周辺層に整合するような寸法となっている。したがって、近位円筒形部分１１上のねじ山は、よりスポンジ状の海綿骨３５ではなくより強い皮質骨３４に固定され、それによって、大腿骨固定具１を大腿骨頸部により強く固定する。大腿骨寸法が患者毎に異なるという事実により、近位円筒形部分の直径は、約１６〜２６ｍｍ（図３、８参照）の範囲で変わり得る。
【００３１】
図８に示すように、骨内固定部分３の軸長は、骨内固定部分３の固定位置において、その遠位端１２が大腿骨の横方向皮質骨層３４を貫いて突出するように決める。
【００３２】
図３〜５を参照して、円錐台形近位部分１８にもねじ山が設けてある。これらのねじ山の高さは、近位、遠位円筒形部分１１、１３上のねじ山のそれより低い０．２ｍｍ（いわゆる微小ねじ山）である。さらに、円錐台形の近位部分１８は、微小ねじ山が切除表面のところで大腿骨頸部の皮質骨層３４と係合するような寸法となっている。ここに説明する実施例において、円錐台形近位基部１８は、ほぼ１２度のフランク角を有し、ほぼ８ｍｍの軸線方向寸法を有する。
【００３３】
近位部分１８の遠位直径は、隣接した近位円筒形部分１１の直径になっており、その結果、円錐台形近位部分１８と近位円筒形部分１１との間の移行領域には鋭い縁がまったくない。したがって、円錐台形近位部分１８の近位直径は、ほぼ２０〜３０ｍｍの範囲にある。
【００３４】
遠位円筒形部分１３の直径は、患者の大腿骨寸法に依存して変化する必要はない。遠位円筒形部分１３の直径は、ほぼ１１ｍｍであり、あるいは、１０〜１２ｍｍの範囲内にある。
【００３５】
円錐台形連結部分１５は、近位、遠位円筒形部分１１、１３を相互連結している。本実施例において、連結部分１５のそれぞれの端の直径は、近位、遠位円筒形部分１１、１３の直径のそれぞれと一致している。換言すれば、連結部分１５の遠位端は、遠位円筒形部分１３とほぼ同じ直径を有し、連結部分１５の近位端は、近位円筒形部分１１とほぼ同じ直径を有する。
【００３６】
近位円筒形部分１１の直径が異なった大腿骨固定具間で変わる可能性があり、一方、遠位円筒形部分１３の直径が変化しないという事実の結果、連結部分の寸法は、近位円筒形部分１１と遠位円筒形部分１３との間の直径の様々な違いに従って変化することになる。連結部分の軸線方向寸法が比較的短く保たれる、すなわち、おおよそ７．５〜１０．５ｍｍの範囲内に保たれるので、連結部分のフランク角は、最も細い固定具の場合には約２０度から変わり、最も太い固定具の場合にはほぼ３７度まで変わる可能性がある。
【００３７】
本発明のここに説明した実施例においては、円錐台形連結部分１５の表面は、この表面と周囲の海綿骨組織との間の骨形成を促進するためのグリット・ブラスト仕上げした表面を備えている。さらに、あるいは、代わりに、この表面は、前記骨形成を促進し、大腿骨固定具１の固定を向上させるためのねじ山の外形を備え得る。さらなる代替案として、円錐台形連結部分１５は、滑らかなままに残してもよいし、さらには研磨さえしてよい。
【００３８】
図２、３でわかるように、近位円筒形部分１１と円錐台形連結部分１５との境界をつないで、一連の円周方向に等間隔に隔たっている、鋭利な縁のある切削くぼみまたは切り欠き１４があり、これらは予め切削した外方骨空洞部３２にセルフタッピングすることができる。切削くぼみ１４の各々は、近位円筒形部分１１に設けた縦溝１６と連通している。これらの縦溝は、ＷＯ９７／２５９３９に詳述されるように、大腿骨固定具１を大腿骨頸部の内腔に螺合したときに切削くぼみ１４で切削される骨の自家移植のためのものである。
【００３９】
さらに、遠位円筒形部分１３と先細遠位末端部分１２との境界をつないで、一連の短い、鋭利な縁のある、円周方向配置の切削くぼみ１７があり、これらの切削くぼみは、遠位円筒形部分１３を前記の比較的細い穿孔３１内にセルフタッピングすることができる。
【００４０】
図１、７、８を参照して、大腿骨固定具１の頭部分５は、カラー部分２０と、股関節人工骨頭の球体要素２５を装着するための先細取り付け部分２３とを有する。取り付け部分２３は、球体要素２５を受け入れるくぼみ２４を備えている。カラー部分２０は、空洞３０に通じる開口に隣接して切除大腿骨部分３３と当接することによって、骨内固定部分３の大腿骨頸部の内腔への挿入限界を定める。図５でわかるように、遠位表面２１（図５）は、切除大腿骨部分３３（図７）の対応した傾斜骨表面と一致するように内方に傾いている。ここに説明した実施例における傾斜角度は、ほぼ１５度である。さらに、固定および骨形成を向上させるために、図６でわかるように、カラー部分２０の遠位表面２１は、半径方向に隔たった円周方向ビーズ２２を備えている。これらのビーズは、ほぼ０．３ｍｍの高さを有する。
【００４１】
ＷＯ９３／１６６６３およびＷＯ９７／２５９３９に記載されている大腿骨固定具を植設するための外科措置は、また、大腿骨固定具１の移植にも適用できるので、参照によって本明細書に加入する。
【００４２】
大腿骨固定具１の固定は、主として、大腿骨におけるねじ山の整合、特に、大腿骨頸部の皮質骨層３４における近位円筒形部分１１上のねじ山の整合、そして、大腿骨の横方向皮層３４における遠位円筒形部分１３上のねじ山の整合に依存する。これは、たとえばＧＢ−Ａ−２０３３７５５に記載されているような固定用のスラスト・プレート機構に依存する大腿骨固定具とは異なる。
【００４３】
添付図を参照しながらここに説明した大腿骨固定具１は、本発明の範囲内で多数の方法によって変更可能である。たとえば、大腿骨固定具１は、構成部分を、（ｉ）ＷＯ９３／１６６６３に開示されているように一体構造として内腔へ横方向に挿入するように、あるいは、（ｉｉ）ＷＯ９３／０１７６９に開示されているように、内腔内で相互に部品を連結することによって組み立てる組立体の形をしていてもよい。大腿骨固定具１は、また、装着時に加えられる荷重に耐えるに充分な強度を有する任意の生物適合材料で作ってもよい。
【００４４】
ここで、発明を実施例に関して説明してきており、添付の請求範囲内で多くの異なった方法で発明を変更できることは了解されたい。たとえば、インプラントは、股関節人工補てつ具用の大腿骨固定具としての用途に限定されない。一例として、インプラントは骨固定ねじの形を採り得る。さらに、図面の参照符号を請求項に付けているが、これが説明の目的であり、請求項に制限を与えるものと解釈されるべきではないことは了解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例による股関節人工補てつ具用大腿骨固定具の斜視図である。
【図２】図１に示す大腿骨固定具の反対側の斜視図である。
【図３】大腿骨固定具の長手方向側面図である。
【図４】大腿骨固定具の長手方向断面図である。
【図５】先細近位部分および大腿骨固定具の頭部を示す拡大断片断面図である。
【図６】大腿骨固定具の底面図である。
【図７】人間の大腿骨頸部の断片断面図であり、大腿骨固定具を受け入れるように形成した空洞を示す図である。
【図８】人間の大腿骨頸部の断片断面図であり、そこに挿入した大腿骨固定具を示す図である。

Claims

股関節人工補てつ具用の大腿骨固定具（１）であって、固定位置まで大腿骨頭部を切除した後に大腿骨の頸部に横方向に穿孔した補足的な孔内に横方向に螺合させるほぼ円形横断面の骨内固定構造（３）を包含し、この骨内固定構造（３）は、近位端、遠位端、近位端のところにある比較的短い円錐台形近位部分（１８）およびその上にねじ山の外形が設けられた円錐台形近位部分（１８）から遠位端に向かって延びている近位円筒形部分（１１）を有し、円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）の各々が、骨内固定構造（３）が固定位置にあるときに大腿骨頸部の皮質骨層で支持するような寸法となっていることを特徴とする大腿骨固定具。
骨内固定構造（３）が、固定位置にあるときに、その遠位端が大腿骨の横方向皮質骨層（３４）を貫いて突出するような寸法となっている、請求項１に記載の大腿骨固定具（１）。
骨内固定構造（３）に、さらに、ねじ山の外形が設けてあり、骨内固定構造（３）の遠位端から近位円筒形部分（１１）に向かって延びている遠位円筒形部分（１３）を有し、この遠位円筒形部分（１１）の直径が前記近位円筒形部分（１３）の直径より小さいものである、請求項１または２に記載の大腿骨固定具（１）。
近位、遠位円筒形部分（１１、１３）のねじ山プロファイルがほぼ同じである、請求項３に記載の大腿骨固定具（１）。
骨内固定構造（３）が、さらに、近位、遠位円筒形部分（１１、１３）間に設けられ、それらを相互連結する先細連結部分（１５）を包含する、請求項３または４に記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）が、円錐台形の形状を有し、一端で、前記近位円筒形部分（１１）の直径にほぼ等しい基部直径を有し、他端で、前記遠位円筒形部分（１３）の直径にほぼ等しい頂部直径を有する、請求項５に記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）が、１５度〜４５度の範囲にあり、好ましくは２０度〜４０度の範囲にあるフランク角を有する、請求項５または６に記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）が、ブラスト仕上げの表面、好ましくはグリット・ブラスト仕上げの表面を、少なくとも部分的に備えている、請求項５〜７のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）が、好ましくは円周ビーズまたはねじ山の形をした円周方向に向いた粗面を、少なくとも部分的に備えている、請求項５〜８のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円周方向に向いた粗面が、近位、遠位円筒形部分（１１、１３）のねじ山の外形よりも低い高さを有する、請求項９に記載の大腿骨固定具（１）。
円周方向に向いた粗面の高さが、０．３ｍｍ以下であり、好ましくは０．１〜０．２５ｍｍの範囲にあり、さらに好ましくはほぼ０．２ｍｍである、請求項９または１０に記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）が、少なくとも部分的に、滑らかな表面を備えている、請求項５〜１１のいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）の全表面が滑らかである、請求項５〜７のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
連結部分（１５）に、少なくとも部分的に、１つまたはそれ以上のセルフタッピング式切削くぼみ（１４）が設けてある、請求項５〜１３のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）が、近位円筒形部分（１１）にインターフェイス接続するその端のところで、近位円筒形部分（１１）の直径にほぼ等しい直径を有する、請求項１〜１４のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）が、８〜１５度の範囲、好ましくは１０〜１３度の範囲にあり、さらに好ましくはほぼ１２度であるフランク角を有する、請求項１〜１５のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具。
円錐台形近位部分（１８）が、５〜１０ｍｍの範囲にあり、好ましくはほぼ８ｍｍである軸線方向寸法を有する、請求項１〜１６のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）が、１８〜３０ｍｍの範囲にある近位直径を有する、請求項１〜１７のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）が、少なくとも部分的に、粗面を備えている、請求項１〜１８のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
粗面が、少なくとも部分的に、ブラスト仕上げ表面、好ましくはグリット・ブラスト仕上げ表面である、請求項１９に記載の大腿骨固定具（１）。
粗面が、少なくとも部分的に、円周方向に向いた粗面を備えている、請求項１９または２０に記載の大腿骨固定具（１）。
円周方向に向いた粗面が、ねじ山の外形をしている、請求項２１に記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）のねじ山の外形が、近位円筒形部分（１１）のねじ山の外形と異なっている、請求項２２に記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）のねじ山の外形が、近位円筒形部分（１１）のねじ山の外形よりも低い高さを有する、請求項２３に記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）上のねじ山の外形の高さが、０．３ｍｍ以下であり、好ましくは０．１〜０．２５ｍｍの範囲内にあり、さらに好ましくはほぼ０．２ｍｍである、請求項２２〜２４のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円錐台形近位部分（１８）上のねじ山の外形が、１つまたはそれ以上のねじ山の巻回部によって形成されている、請求項２２〜２５のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円周方向に向いた粗面が円周ビーズの形をしている、請求項２１に記載の大腿骨固定具（１）。
円周ビーズが、近位円筒形部分（１１）のねじ山の外形よりも低い高さを有する、請求項２７に記載の大腿骨固定具（１）。
円周ビーズの高さが、０．３ｍｍ以下であり、好ましくは０．１〜０．２５ｍｍの範囲にあり、さらに好ましくはほぼ０．２ｍｍである、請求項２７または２８に記載の大腿骨固定具（１）。
さらに、股関節人工骨頭の球体要素を支持する頭部（５）を包含し、この頭部（５）が、骨内固定構造（３）に当接する遠位表面（２１）を有するカラー部（２０）を包含する、請求項１〜２９のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
遠位表面（２１）が、カラー部（２０）のボディに向かって内方へ傾いている、請求項３０に記載の大腿骨固定具（１）。
遠位表面（２１）が、１０度〜２０度の範囲にあり、好ましくはほぼ１５度の傾斜角度で内方へ傾いている、請求項３１に記載の大腿骨固定具（１）。
遠位表面（２１）が凹面である、請求項３０に記載の大腿骨固定具（１）。
遠位表面（２１）が、半径方向に隔たった円形ビーズ（２２）を備えている、請求項３０〜３３のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具（１）。
円形ビーズが、０．１〜０．５ｍｍの範囲、好ましくは０．２〜０．４ｍｍの範囲内にあり、さらに好ましくはほぼ０．３ｍｍである高さを有する、請求項３４に記載の大腿骨固定具（１）。
セット内の各固定具（１）の円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）が異なった寸法を有し、それによって、或る特定の患者の大腿骨頸部の皮質骨層に当接する正しいサイズの円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）を有する、セット内の固定具をその患者に使用するために選ぶことができる、請求項１〜３５のうちいずれか１つに記載の大腿骨固定具のセット。
セット内のすべての固定具（１）の遠位円筒形部分（１３）が同じ寸法を有し、セット内の各固定具（１）の円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）が異なった寸法を有し、それによって、或る特定の患者の大腿骨頸部の皮質骨層に当接する正しいサイズの円錐台形近位部分（１８）および近位円筒形部分（１１）をその患者に使用するために選ぶことができる、請求項３に記載の大腿骨固定具のセット。