JP2004363010A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体層の表面に凹部などの立体構造を精度良く形成することで、放電セル間の干渉が抑制され、且つ高効率であるプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とする。
【解決手段】誘電体層27が、誘電体材料をその軟化点温度より低い温度で焼成して形成したものであり、放電空間34側の表面に放電セル35毎に少なくとも一つの凹部27aを有するというプラズマディスプレイパネルである。
以上により、放電は、誘電体層27の膜厚の薄い領域となる凹部27aの底面に集中的に形成されることとなり高効率化が実現できる。また、誘電体層27の形成時には、誘電体材料をその軟化点温度より低い温度で焼成することから、凹部27aの角や辺などの端部に、放電セル35間での荷電粒子の漏れの原因となる、焼成時の収縮による尖り等の盛り上がりのような形状変化が発生することが抑制される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表示デバイスとして知られているプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、双方向情報端末として大画面、壁掛けテレビへの期待が高まっている。そのための表示デバイスとして、液晶表示パネル、フィールドエミッションディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の数多くのものがあり、そのうちの一部は市販され、一部は開発中である。これらの表示デバイス中でもプラズマディスプレイパネル(PDP)は、自発光型で美しい画像表示ができ、大画面化が容易である等の理由から、視認性に優れた薄型表示デバイスとして注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このPDPには、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のPDPが主流を占めるようになってきている。
【0004】
図9にPDPのパネル構造の一例を示しており、この図9に示すようにPDPは、前面パネル1と背面パネル2とで構成している。
【0005】
前面パネル1は、ガラス基板などの絶縁性で透明な前面側の基板3上に、走査電極4と維持電極5とで対をなすストライプ状の表示電極6を複数対配列して形成し、そしてその表示電極6群を覆うように誘電体層7を形成し、その誘電体層7上にMgOからなる保護層8を形成することにより構成している。なお、走査電極4および維持電極5は、それぞれ透明電極4a、5a、およびこの透明電極4a、5aに電気的に接続したCr/Cu/CrまたはAg等からなるバス電極4b、5bとから構成している。また、図示していないが、前記表示電極6間には、遮光膜としてのブラックストライプを表示電極6と平行に複数列形成している。
【0006】
また、背面パネル2は、前記前面側の基板3に対向配置される背面側の基板9上に、表示電極6と直交する方向にアドレス電極10を形成するとともに、そのアドレス電極10を覆うように誘電体層11を形成し、そしてアドレス電極10間の誘電体層11上にアドレス電極10と平行にストライプ状の複数の隔壁12を形成するとともに、この隔壁12間の側面および誘電体層11の表面に、赤、緑、青の3色の蛍光体層13R、13G、13Bを形成している。
【0007】
そして、前面パネル1と背面パネル2とを、表示電極6とアドレス電極10とが直交し、且つ、隔壁12を挟んで微小な放電空間14を形成するように対向配置するとともに、周囲を封着部材(不図示)により封止し、そして前記放電空間にネオンおよびキセノンなどを混合してなる放電ガスを66500Pa(500Torr)程度の圧力で封入することによりPDPを構成している。
【0008】
そして放電空間14は、隔壁12によって複数の区画に仕切られており、この隔壁12間に発光画素領域となる複数の放電セル15を形成するように表示電極6を設けるとともに、表示電極6とアドレス電極10とが直交するように配置している。
【0009】
すなわち、図10に示すように、走査電極4と維持電極5とを放電ギャップ16を挟んで配列することにより表示電極6を形成し、この表示電極6と隔壁12で囲まれた領域が、発光画素領域となる放電セル15であり、そして隣接する放電セル15の表示電極6間は非発光領域17となる。
【0010】
このPDPでは、アドレス電極12、表示電極6に印加される周期的な電圧によって放電を発生させ、この放電による紫外線を蛍光体層13R、13G、13Bに照射して可視光に変換させることにより、画像表示を行う。
【0011】
このPDPの発展のためには、更なる高輝度化、高効率化、低消費電力化、低コスト化が不可欠となっている。そして、高効率化を達成するための手法の一つとして、例えば特許文献1に記載されているように、誘電体層7の表面に凹部のような立体構造を形成する手法が知られている。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−250029号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
誘電体層7の表面に凹部のような立体構造を形成する際には、誘電体層7の前駆体となる誘電体材料を凹部形状を有するように塗布し、その後、焼成するという方法が採られる。ここで、誘電体層7には、高効率化のため、蛍光体層13R、13G、13Bからの発光光を遮ることなく取り出すことが要求され、したがって、誘電体層7の透過率は高いことが必要とされる。そのため、一般的に、誘電体材料の焼成温度は、誘電体材料の焼結を促進することで透過率をできるだけ高い値に保つことを目的として、その軟化点温度よりも数十℃高い温度に設定される場合が多い。例えば、軟化点580℃の誘電体材料に対して焼成温度は590℃と設定され、その場合の基板3込みでの透過率は70%程度となる。
【0014】
ここで、誘電体材料は、軟化点温度より高い温度で焼成すると、一旦、軟化し、その後、固化するという変化をし、その際、誘電体層7には収縮が発生することから、誘電体層7の表面に形成した凹部には、その角部や辺部などの端部が尖るように盛り上がり形状が変形してしまうという問題が生じる場合がある。誘電体層7の表面にこのような盛り上がりが存在すると、前面パネル1と背面パネル2とを隔壁12を挟んで対向させる際、この盛り上がりが隔壁12と当接する箇所である場合には、背面パネル2と隔壁12との間に隙間が生じる原因となる。このような隙間が存在すると、この隙間を通じて、荷電粒子などの漏れが発生し、放電セル15間での放電に干渉が発生し、PDPの画像の表示特性に悪影響を与える場合がある。
【0015】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、誘電体層の表面に凹部などの立体構造を精度良く形成することで、放電セル間の干渉が抑制され、且つ高効率であるプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するために本発明のプラズマディスプレイパネルは、基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、前記隔壁間に放電セルが形成されるように前記前面側の基板に配列して形成した複数の表示電極と、この表示電極を覆うように前面側の基板に形成し、放電空間側の表面に放電セル毎に少なくとも一つの凹部を有する誘電体層と、前記表示電極間での放電により発光する蛍光体層とを有し、誘電体層は、誘電体材料をその軟化点温度より低い温度で焼成して形成したことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、前記隔壁間に放電セルが形成されるように前記前面側の基板に配列して形成した複数の表示電極と、この表示電極を覆うように前面側の基板に形成し、放電空間側の表面に放電セル毎に少なくとも一つの凹部を有する誘電体層と、前記表示電極間での放電により発光する蛍光体層とを有し、誘電体層は、誘電体材料をその軟化点温度より低い温度で焼成して形成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、凹部を有する誘電体層が多層構造であり、誘電体層を構成する各層の少なくとも最上層の誘電体層は、誘電体材料をその軟化点温度よりも低い温度で焼成して形成したことを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、誘電体層を構成する各層は、その層より下層の誘電体層の軟化点温度より低い温度で誘電体材料を焼成して形成したことを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、凹部は、その底面が下層側に形成した誘電体層の表面となるように、上層側の誘電体層をくりぬいて形成したことを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、軟化点温度より低い温度は、その下限が、軟化点温度より50℃低い温度であることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、誘電体層が、フィラーを含むことを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、フィラーの屈折率が、1から2であることを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から4、および6のいずれかに記載の発明において、誘電体層は、ZnO−B−SiO系の混合物、PbO−B−SiO系の混合物、PbO−B−SiO−Al系の混合物、PbO−ZnO−B−SiO系の混合物、Bi−B−SiO系の混合物の中から選ばれるガラス粉末を含有する誘電体材料により形成したことを特徴とするものである。
【0025】
以下、本発明の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルのいくつかの例について、図面を用いて説明する。
【0026】
図1に本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネル(PDP)の構造の一例を示しており、この図1に示すようにPDPは、前面パネル21と背面パネル22とから構成されている。
【0027】
前面パネル21は、例えばフロート法による硼珪素ナトリウム系ガラス等からなるガラス基板などの、透明、且つ絶縁性の前面側の基板23上に、走査電極24と維持電極25とで対をなすストライプ状の表示電極26を複数対配列して形成し、そしてその表示電極26群を覆うように誘電体層27を形成し、その誘電体層27上にMgOからなる保護層28を形成することにより構成している。なお、走査電極24および維持電極25は、それぞれ透明電極24a、25a、および、この透明電極24a、25aに電気的に接続されたCr/Cu/Cr、またはAg等からなるバス電極24b、25bとから構成している。また、図示していないが、前記表示電極26間には、遮光膜としてのブラックストライプを表示電極26と平行に複数列形成している。
【0028】
また、背面パネル22は、前記前面側の基板23に対向配置される背面側の基板29上に、表示電極26と直交する方向にアドレス電極30を形成するとともに、そのアドレス電極30を覆うように誘電体層31を形成し、そしてアドレス電極30間の誘電体層31上にアドレス電極30と平行にストライプ状の複数の隔壁32を形成するとともに、この隔壁32間の側面および誘電体層31の表面に、赤、緑、青の3色の蛍光体層33R、33G、33Bを形成している。
【0029】
そして、これらの前面パネル21と背面パネル22とを、表示電極26とアドレス電極30とが直交し、且つ、隔壁32を挟んで微小な放電空間34を形成するように対向配置するとともに、周囲を封着部材(不図示)により封止し、そして前記放電空間34にネオンおよびキセノンなどを混合してなる放電ガスを66500Pa(500Torr)程度の圧力で封入することによりPDPを構成している。
【0030】
そして、放電空間34は隔壁32によって複数の区画に仕切っており、この隔壁32間に発光画素領域となる複数の放電セル35を形成するように表示電極26を設けるとともに、表示電極26とアドレス電極30とを直交して配置している。
【0031】
図2に、前面パネル21の放電セル35(図1)部分を拡大して示している。図に示すように、誘電体層27は、表示電極26を覆うように前面側の基板23上に形成し、その表面、すなわち放電空間34(図1)側には、放電セル35(図1)毎に少なくとも一つの凹部27aを有する構造である。また、誘電体層27は、誘電体材料をその軟化点温度より低い温度で焼成して形成したものである。
【0032】
次に、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法について説明する。
【0033】
まず、前面パネル21の前面側の基板23上に、ITOやSnO等からなる透明電極材料膜をスパッタ法により一様に成膜する。次に、透明電極材料膜上に、ノボラック樹脂を主成分とするポジ型レジストを塗布し、所望のパターンの露光乾板を介して紫外線を露光し、レジストを硬化させる。次に、アルカリ水溶液で現像を行い、レジストパターンを形成する。その後、塩酸を主成分とする溶液に基板を浸漬させてエッチングを行い、不要部分の除去を行い、最後にレジストを剥離して透明電極24a、25aを形成する。
【0034】
次に、RuO等からなる黒色顔料、ガラスフリット(PbO−B−SiO系やBi−B−SiO系等)を含有する黒色電極材料膜と、Ag等の導電性材料、ガラスフリット(PbO−B−SiO系やBi−B−SiO系等)を含有する金属電極材料膜とからなる電極材料膜を形成し、所望のパターンの露光乾板を介して紫外線を照射し露光部を硬化させ、その後、アルカリ性現像液(0.3wt%の炭酸ナトリウム水溶液)を用いて現像してパターンを形成し、その後、ガラスフリットの軟化点温度以上の温度で焼成を行うことで、透明電極24a、25a上にバス電極24b、25bを形成する。以上のようにして前面パネル21の表示電極26を形成することができる。
【0035】
次に、ガラス粉末、結着樹脂、および溶剤を含有するペースト状のガラス粉末含有組成物の誘電体材料を、例えばダイコート法を用いて表示電極26が形成された基板23の表面に塗布、乾燥し、焼成することにより、誘電体層27を形成する。ここで、誘電体層27の表面には放電セル35毎に少なくとも一つの凹部27aを有するように形成し、また形成時において、誘電体材料を焼成する温度は、誘電体材料の軟化点温度より低い温度である。
【0036】
ここで、凹部27aの形成は、例えば、フォトリソ法によるハーフエッチングなどの方法を挙げることができる。
【0037】
また、ガラスペースト組成物である誘電体材料を基板23の表面に塗布する方法としては、誘電体材料を支持フィルム上に塗布し、乾燥することでシート状誘電体材料とし、これを転写により基板23上に形成するという方法でも良い。この場合、誘電体層27は、シート状誘電体材料のカバーフィルムを剥離した後、誘電体材料層の表面が基板23に接するようにシート状誘電体材料を重ね合わせながら、支持フィルム側から加熱ローラーで圧着して基板23に固着することとなる。そしてその後、基板23上に固着された誘電体材料層から支持フィルムを剥離除去し、その後、軟化点温度より低い温度で焼成することで誘電体層27が得られる。この時の圧着に使用する手段としては、加熱ローラー以外に、加熱しない単なるローラーでもよい。
【0038】
その後、MgOを電子ビーム蒸着法により誘電体層27上に一様に成膜することで保護層28を形成する。以上により、PDPの前面パネル21が得られる。
【0039】
一方、PDPの背面パネル22の製造方法は、まずフロート法により製造された背面パネル22の背面側の基板29に対し、前面パネル21でのバス電極24a、25aと同様にしてアドレス電極30を形成する。その上に誘電体層28を形成する。これも基本的には前面パネル21の誘電体層27と同様であるが、形成時の焼成の温度を軟化点温度以下とする必要はない。そして誘電体層31の上に隔壁32を形成する。
【0040】
隔壁32の形成に利用する材料としては、ガラス粉末、結着樹脂および溶剤を含有するペースト状のガラス粉末含有組成物である誘電体材料である。またその形成方法としては、フォトリソグラフィー法やサンドブラスト法を用いて形成することができる。
【0041】
次に、R、G、Bに対応する蛍光体材料を隔壁32間に塗布し、焼成することで蛍光体層33R、33G、33Bを形成する。以上により背面パネル22を得ることができる。
【0042】
以上のようにして作製した前面パネル21と背面パネル22とを、表示電極26とアドレス電極30とがほぼ直角に交差するように位置合わせをして対向配置し、その周辺部をシール材(不図示)によって封着して貼り合わせ、その後、隔壁32で仕切られた放電空間34内を排気することで不純ガスの除去を行い、そして、その放電空間34内に、Ne、Xe等の放電ガスを封入して封止することにより、図1に示すような構成のPDPを製造することができる。
【0043】
ここで、PDPの高効率化を達成するための一つの方法として、発光光が遮蔽される部分、すなわち金属材料で形成されているため透過率が低いバス電極24b、25bの領域にまで放電が拡がらないように放電を制御することが有効である。
【0044】
そして、上述した実施の形態の構成によれば、誘電体層27が、放電セル35毎に少なくとも一つの凹部27aを有し、バス電極24b、25bが存在する領域においては誘電体層27の膜厚が厚くなった構成とすることで、その領域での静電容量は低くなり、表面に発生する電荷は抑制されることから、その領域での放電は抑制される。さらに、誘電体層27の膜厚が厚い領域では、放電開始電圧は上昇するため、このことからも、その部分での放電は抑制される。すなわち、図3に示すように、上述した実施の形態の構成によれば、放電Aは、誘電体層27の膜厚の薄い領域である凹部27aの底面に集中的に形成されることとなる。これに対して、図4に示すような、凹部27aのない構造では、誘電体層27の膜厚が一定であるため、容量が誘電体層27の面上で一定であり、放電Bはバス電極24b、25b付近にまで拡がり、その発光光がバス電極24b、25bにより遮蔽される部分の蛍光体層を発光させてしまうため、効率が低下する。
【0045】
また、放電が隔壁32近傍にまで拡がった場合、隔壁32により電子温度が低下するため効率が低下する恐れがあり、さらに、隔壁32付近で放電を行うと隔壁32が負に帯電し、これにより正イオンがひきつけられ、イオン爆撃を受けてエッチングされ、エッチングされた隔壁32が蛍光体層33R、33G、33Bに降り積もるなどして特性を劣化させる恐れがあるという問題が発生する場合があるが、上述した構成では隔壁32よりも内側に凹部27aを形成することで、放電が隔壁32付近にまで拡がることを抑制することができる。
【0046】
なお、凹部27aの形状としては、上記の形状以外に、円柱、円錐、三角柱、三角錐などの形状でもよく、上記実施の形態での形状に限るものではない。
【0047】
ここで、上述した構成においては、誘電体層27を形成する際の、誘電体材料の焼成は、その軟化点温度より低い温度で行っている。
【0048】
すなわち、PDPの高効率化のためには、前面パネル21に用いられる誘電体層27においては、蛍光体層33R、33G、33Bからの発光光を遮ることなく取り出すことが要求され、したがって、誘電体層27の透過率は高いことが必要とされる。そのため、従来は、誘電体層27の焼成温度は、誘電体材料の焼結を促進することで透過率をできるだけ高い値に保つことを主目的として、その軟化点温度よりも数十度高い温度に設定されることが多かった。例えば、軟化点温度580℃の誘電体材料に対しては焼成温度は590℃と設定され、これにより、基板23込みでの透過率として70%程度としていた。しかしながら本発明者は、この誘電体材料に対して、様々な焼成温度とその際の透過率との関係を検討し、その結果、焼成温度を軟化点温度に対し±30℃(軟化点温度が580℃の場合には550℃〜610℃)とした場合は、低温側では焼結の不足、高温側では泡の成長となるものの、1〜5%程度の透過率の低下に収まることを確認している。また、軟化点温度よりも50℃以上低い温度(軟化点温度が580℃の場合には530℃)で焼成した場合には、誘電体材料はほとんど軟化せず、したがって焼結は促進されず、透過率も50%未満にまで低下することも確認している。
【0049】
そこで以上の結果に基づき、本発明においては、透過率を大きく低下させないことを目的としつつも、誘電体材料を焼成する際の軟化、固化に伴う、凹部27aの端部の尖りなどの形状変化の発生を抑制することも目的とし、そのために、軟化点温度より、低い温度、その下限は上述より50℃程度、プロセスの変動による影響を考慮して、好ましくは30℃程度として焼成するものである。
【0050】
以上のような誘電体材料の焼成によれば、誘電体材料は軟化して溶融することがないので、固化の際に収縮して凹部27aの端部が盛り上がるなどの形状変化が発生することが抑制され、その結果、誘電体層27の表面に凹部27aを精度良く形成することが可能となる。
【0051】
なお、上述のような軟化点温度以下での焼成を行うことで、誘電体層27の透過率には若干の低下が発生するが、上述した構成においては、誘電体層27の表面に凹部27aが形成され、放電はその凹部27a内に制限されることから、放電により発生する発光光の透過に実質的に寄与する部分は、誘電体層27の厚みが薄くなっている凹部27aであり、したがって、誘電体層27の透過率に若干の低下があっても、凹部27aでは誘電体層27の厚みが薄くなっており、これにより誘電体層27を透過する発光光の量への影響は抑制されることとなる。
【0052】
また、誘電体材料は、焼成することによってガラス焼結体である誘電体層27となるものであり、含有されるガラス粉末としては、例えば、ZnO−B−SiO系の混合物、PbO−B−SiO系の混合物、PbO−B−SiO−Al系の混合物、PbO−ZnO−B−SiO系の混合物、Bi−B−SiO系の混合物などを挙げることができる。
【0053】
次に、図5〜図8に、本発明の他の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの一例を示す。なお、図1〜図3に示した構成と同じ要素には同じ番号を付している。
【0054】
図1〜図3に示す構成と異なる点は、誘電体層27が多層構造であり、誘電体層27を構成する各層の、少なくとも最上層の誘電体層は、誘電体材料をその軟化点温度よりも低い温度で焼成して形成したことである。
【0055】
図5〜図8は、多層構造の一例として、誘電体層27が2層構造、すなわち、表示電極26を覆うように前面側の基板23上に形成した下層の誘電体層27bと、その上を覆うように放電空間側に形成した上層の誘電体層27cとから構成されている場合の放電セル部を拡大して示しており、誘電体層27を構成する各層27b、27cの、少なくとも最上層の誘電体層27cは、誘電体材料をその軟化点温度よりも低い温度で焼成することで形成している。
【0056】
上述したような実施の形態の構成によれば、最上層の誘電体層27cは、それ自身を形成するための誘電体材料の軟化点温度よりも低い温度で焼成しているため、図1〜図3に示した構成と同様、凹部27aの端部が尖るなどの形状変化が発生するという問題が抑制される。
【0057】
ここで、誘電体層27を構成する各層が、その層より下層となる誘電体層の軟化点温度より低い温度で誘電体材料を焼成して形成したものとすれば、例えば図5から図8に示す構成の場合には、下層の誘電体層27bを形成した後に、上層の誘電体層27cを形成するための誘電体材料を塗布、乾燥し、焼成する段階において、下層の誘電体層27bが再軟化することが抑制されるため、さらに安定した形状の凹部27aを形成することが可能となる。
【0058】
ここで、軟化点温度の調整は、誘電体材料に含有されるPbOの組成比やSiOの組成比を変更することで行うことができる。一般的に、PbOの組成比を高くすると軟化点が低下し、また、SiOの組成比を下げると、同様に軟化点が低下する。例えば、軟化点が600℃付近のガラス粉末としては、全体を100重量%として、酸化鉛(PbO)45重量%〜65重量%、酸化硼素(B)10重量%〜30重量%、酸化硅素(SiO)10重量%〜30重量%、添加物として酸化カルシウム(CaO)1重量%〜10重量%、酸化アルミニウム(Al)0重量%〜3重量%という組成のものが挙げられ、これに対して軟化点を30℃上げるためには、PbOの重量%を5〜10%上げることで実現できる。
【0059】
また、誘電体層27の表面の凹部27aとしては、例えば上層の誘電体層27cをフォトリソ法によるハーフエッチングで形成することによる図7に示すような構成や、上層の誘電体層27cを放電セル毎にくりぬいて形成し、凹部27aの底面が下層の誘電体層27bの表面となるように形成することによる図8に示すような構成が例として挙げられる。図8に示す構成は、例えば、まず下層の誘電体層27bを形成した後、上層の誘電体層27cを形成するための誘電体材料に感光性材料を添加して作製した感光性の誘電体材料を下層の誘電体層27b上に塗布し、そして孔部が形成されるように、露光、現像し、その後、焼成することで、上層の誘電体層27cに孔部が形成された状態となり、このことにより、誘電体層27として凹部27aを有した構成となるというものである。また、このような形成方法による凹部27aの構成の方が、凹部27aの深さ方向の精度が高まるため好ましい。
【0060】
なお、以上説明した構成においては、保護層28は誘電体層27の凹部27aを含め、その表面に形成されるものである。
【0061】
また、以上説明した構成においては、誘電体層27にフィラーを含有させることで、さらに形状を保持させることが可能となり、盛り上がりを抑制することができる。ここでフィラー成分としては酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、石英ガラス、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
【0062】
前面板に形成するためフィラーを添加しても透明性を保持する必要があり、さらに好ましくは誘電体ガラスの屈折率に近いものが好ましい。例えば誘電体ガラスの屈折率が1.7付近のものであれば、フィラーの屈折率を1〜2とすることが好ましい。さらに、好ましくは1.5から1.9とすることが好ましい。ここで、アルミナは1.56、炭酸カルシウムは1.53〜1.61、石英ガラスは1.46、水酸化マグネシウムは1.54、硫酸バリウムは1.65、硫酸カルシウムは1.57であり、前述したフィラーの中でも好ましい屈折率の材料である。逆に酸化チタンは屈折率が2.76であり透明性が失われるおそれがある。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のプラズマディスプレイパネルによれば、誘電体層の表面に凹部などの立体構造を精度良く形成することが可能となり、放電セル間の干渉が抑制され、且つ高効率であるプラズマディスプレイパネルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す斜視図
【図3】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す断面図
【図4】従来のプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す断面図
【図5】本発明の他の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図6】同じく、本発明の他の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す斜視図
【図7】同じく、本発明の他の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す断面図
【図8】同じく、本発明の他の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す断面図
【図9】従来のプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図10】従来のプラズマディスプレイパネルにおける放電セル部の概略構成を示す断面図
【符号の説明】
21 前面パネル
22 背面パネル
23 (前面側の)基板
24 走査電極
25 維持電極
26 表示電極
27 誘電体層
27a 凹部
29 (背面側の)基板
30 アドレス電極
32 隔壁
33 蛍光体層
34 放電空間
35 放電セル

Claims (8)

  1. 基板間に隔壁により仕切られた放電空間が形成されるように対向配置した一対の前面側および背面側の基板と、前記隔壁間に放電セルが形成されるように前記前面側の基板に配列して形成した複数の表示電極と、この表示電極を覆うように前面側の基板に形成し、放電空間側の表面に放電セル毎に少なくとも一つの凹部を有する誘電体層と、前記表示電極間での放電により発光する蛍光体層とを有し、誘電体層は、誘電体材料をその軟化点温度より低い温度で焼成して形成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 凹部を有する誘電体層が多層構造であり、誘電体層を構成する各層の少なくとも最上層の誘電体層は、誘電体材料をその軟化点温度よりも低い温度で焼成して形成したことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 誘電体層を構成する各層は、その層より下層の誘電体層の軟化点温度より低い温度で誘電体材料を焼成して形成したことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 凹部は、その底面が下層側に形成した誘電体層の表面となるように、上層側の誘電体層をくりぬいて形成したことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 軟化点温度より低い温度は、その下限が、軟化点温度より50℃低い温度であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 誘電体層が、フィラーを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. フィラーの屈折率が、1から2であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 誘電体層は、ZnO−B−SiO系の混合物、PbO−B−SiO系の混合物、PbO−B−SiO−Al系の混合物、PbO−ZnO−B−SiO系の混合物、Bi−B−SiO系の混合物の中から選ばれるガラス粉末を含有する誘電体材料により形成したことを特徴とする請求項1から4、および6のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
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