JP2004359527A - 炭素系複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐酸化性に優れる炭素系複合材料を提供する。
【解決手段】炭素系複合材料2を、炭素系基体4と、当該基体4側に形成され腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層8と、この第1の被覆層8の表面に形成され、熱膨張の異方性を有する結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層10とする。この炭素系材料2によれば、第2の被覆層10の製膜後の冷却過程において、熱膨張異方性結晶粒子間にクラックが形成される。この結晶粒子間クラックの存在により、第2の被覆層10が剥離するような大きな主クラックの発生が抑制され、第2の被覆層10及び第1の被覆層8の被覆状態が維持される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、炭素系複合材料に関し、特に、耐酸化性に優れる炭素系複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭素材料が耐熱性の高い電磁誘導可能な材料として注目されているが、耐酸化性について問題があった。特に、水蒸気酸化性については劣っていた。炭素材料の耐酸化性を向上させる方法としては、炭素材料表面に水や酸素などの腐食種の拡散を抑制する緻密な被覆層(耐酸化層ともいう。)を形成するのが有効であり、特に、ガラスを溶融させて被覆するのが有効である。炭素材料は溶融ガラスに対する濡れ性に劣るため、炭素材料の表面にSiやSiC層を予め形成させて濡れ性を向上させてから、溶融ガラスで被覆する方法が用いられている(非特許文献1及び2)。また、SiCやMoSi等のセラミックスフィラーを含むガラスを用いて直接被覆する方法も提案されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、これらの層を用いても、依然としてガラスに対する濡れ性は十分とはいえず、多孔質炭素材料においては材料内部にまで溶融ガラスを浸透させるのは困難であった。また、ガラスの溶融含浸の過程において、CO=1気圧のときの炭素の平衡酸素分圧はSiやSiCの平衡酸素分圧よりも大であるため、炭素材料表面に形成したSiやSiCは、ガラスの溶融被覆過程において優先的に酸化され、結果として、ガラスとSiやSiC界面においてSiO結晶相の一つであるクリストバライト(Cristobalite)が生成する。クリストバライトは約270℃においてβ→α転移(高温→低温)に伴う著しい体積変化(高温→低温:3.9vol%収縮)を伴うため、ガラス溶融被覆後の冷却過程において、クリストバライト結晶粒子の周りにき裂が生成し、耐酸化層の密着性が大きく低下し、結果として耐酸化性を維持できないことが問題となっていた。
【0004】
また、耐酸化層と炭素材料とを結合するのに有効なSiCやSiの酸化速度は、酸素雰囲気よりも水蒸気雰囲気の方が大であり、水蒸気雰囲気下での使用を考えた場合には、これらの結合層を緻密質の耐酸化層で完全に被覆することが要望される。しかしながら、この耐酸化層を炭素材料の表面に付与しただけでは耐酸化層の耐熱衝撃性が劣り、結果として炭素材料において十分な耐酸化性を維持することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−167860号公報
【非特許文献1】
H. Fritze, J. Jojic, T. Witke, C. Ruscher, S. Weber, S. Scherrer, R. Weib,
B. Schultrich and G. Borchardt, Journal of the European Ceramic Society,発行国:英国, 18, 2351−2364 (1998)
【非特許文献2】
近藤雅之、 小椋謙、 森本立男、 納富啓、 日本金属学会,発行国:日本,63, 851−858 (1999)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐酸化性に優れる炭素系複合材料を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、熱衝撃に抵抗して被覆状態を維持できる耐熱衝撃性を有する炭素系複合材料を提供することを一つの目的とする。さらに、本発明は、耐水蒸気酸化性に優れる炭素系複合材料を提供することも他の一つの目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、腐食種拡散抑制可能な被覆層の表層に熱衝撃に抵抗して被覆状態を維持可能な被覆層を形成することに着目し、かかる被覆層を熱膨張異方性結晶粒子と当該粒子間に充填されるガラス相とすることで、熱衝撃や高温に抵抗して良好な被覆性を発現することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明によれば、上記した目的の少なくとも一つを解決するべく、
炭素系基体と、
当該基体側に形成され腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層と、
この第1の被覆層の表面に形成され、熱膨張の異方性を有する結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層、
とを備える、炭素系複合材料が提供される。
この炭素系材料によれば、第2の被覆層の高温製膜後の冷却過程において、熱膨張異方性結晶粒子の界面に誘起される引っ張り応力によって、結晶粒子間クラックが異方性結晶粒子間に存在するガラス層中及び/又は異方性結晶粒子とガラス層との界面に形成される。また、かかる炭素系複合材料を高温から急激に冷却した場合においても、同様に結晶粒子間クラックが生成されうる。これらの結晶粒子間クラックにより、当該層が剥離するような大きな主クラックの発生が抑制され、第2の被覆層の被覆状態が維持される。このため、腐食種を拡散抑制する第1の被覆層による被覆状態も維持される。したがって、良好な耐酸化性を備える炭素系複合材料が提供される。また、良好な耐水蒸気酸化性を備える炭素系複合材料も提供される。さらに、耐熱衝撃性を備える炭素系複合材料が提供される。
【0009】
また、温度上昇に伴い結晶粒子が熱膨脹することでクラックが閉塞し、また、ガラス相が軟化することでクラックが癒着される。このため、温度上昇によって第2の被覆層の緻密度が向上される。この結果、良好な耐高温酸化性を備える炭素系複合材料が提供される。
【0010】
第2の被覆層においては、前記熱膨張異方性結晶粒子は、単位格子軸の最大と最小の熱膨張係数差(αmax−αmin)が、5×10−6−1以上であることが好ましい。また、前記熱膨張異方性結晶粒子はpseudobrookite構造を有するM 3+Ti4+(ただし、M3+はFe,Ti,Ga及びAlのいずれかである。)又はM2+Ti 4+(ただし、M2+は、Mg,Fe,Ti,及びCoのいずれかである。)からなる群から選択される1種あるいは2種以上であることが好ましい。さらに、また、前記第2の被覆層において、熱膨張異方性結晶粒子とガラス層との比率は、重量比で70:30〜95:5の範囲であることが好ましい。
【0011】
また、第2の被覆層中のガラス相は、700℃以下のガラス転移点を有していることが好ましい。さらに、前記第1の被覆層がSiOを含むガラス質層であることが好ましく、当該ガラス質層は、850℃以上のガラス転移点を有することが好ましい。前記第1の被覆層と前記炭素系材料との間には、SiOを含有する結合層を備えることが好ましい。また、この結合層は、Si結晶を含有することもできる。
【0012】
また、前記第2の被覆層の前記熱膨張異方性結晶粒子は、AlTiOであり、前記ガラス相は700℃以下のガラス転移点を有し、前記第1の被覆層は、Y−Al−Si−O系ガラス質層であり、ガラス転移点が850℃以上である、複合材料も提供される。AlTiOは、熱膨張の異方性が大きく、かつ、正の膨張係数の結晶軸と負の膨張係数の結晶軸を有しているため、結晶粒子間クラックが形成されやすくなっている。
【0013】
本発明によれば、これらの複合材料は、電磁誘導による発熱体材料であることが好ましい。また、これらの複合材料を用いた発熱体を備える、電磁誘導加熱装置も提供される。
【0014】
さらにまた、本発明によれば、炭素系複合材料の製造方法であって、炭素系基体の表層側に腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層を形成する工程と、この第1の被覆層の表面に熱膨張の異方性を有する結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層を形成する工程、とを備える、方法が提供される。この方法においては、前記第1の被覆層はSiOを含有するガラス質層であり、当該第1の被覆層は、ケイ素化合物を含有する結合層を介して前記炭素系基体の表層側に形成することが好ましい。また、前記結合層は、Si−N前駆体を前記炭素系材料に含浸し熱分解し、その後、前記第1の被覆層の溶融被覆工程においてSiOを生成させて形成することも好ましい形態である。さらに、SiとSiOとを生成させることもできる。
【0015】
これらの複合材料は、電磁誘導による発熱体材料であることが好ましい適用形態であり、また、いずれかの複合材料を用いた発熱体を備える、電磁誘導加熱装置が好ましい形態である。
【0016】
他方、本発明によれば、炭素系複合材料の製造方法であって、
炭素系基体の表層側に腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層を形成する工程と、この第1の被覆層の表面に熱膨張の異方性を有する結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層を形成する工程、
とを備える、方法も提供される。この方法においては、前記第1の被覆層はSiOを含有するガラス質層であり、当該第1の被覆層は、SiOを含有する結合層を介して前記炭素系基体の表層側に形成することが好ましい。また、前記結合層は、Si−N前駆体を前記炭素系材料に含浸し熱分解し、その後、前記第1の被覆層の溶融被覆工程においてSiO、あるいは、SiとSiOを生成するような状態で加熱することにより形成することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の炭素系複合材料は、炭素系基体と、当該基体側に形成され腐食種を拡散抑制可能な第1の被覆層と、この第1の被覆層の表面に形成され、熱膨張異方性結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層とを備えている。図1に本発明を適用した典型的な炭素系複合材料2を示し、以下、図1を参照しながら説明する。
【0018】
(炭素系基体)
本発明において炭素系基体4は、炭素系材料で形成されている。炭素系材料は、炭素元素を含有して構成される全ての材料を包含するものとする。かかる材料としては、例えば、炭素粉末、等方性黒鉛、炭素系繊維複合材料等を挙げることができる。炭素系繊維複合材料としては、炭素繊維と炭素マトリックスとを有する複合材料、炭素繊維とSiCマトリックスとを有する複合材料、SiC繊維とSiCマトリックスとを有する複合材料を挙げることができる。なかでも、炭素繊維と炭素マトリックスとを有する複合材料を好ましく用いることができる。
【0019】
炭素系基体4は多孔質体であっても緻密質体であってもよいが、結合層6や第1の被覆層8との一体性を考慮すると少なくとも被覆すべき表層側は多孔質であることが好ましい。
なお、炭素系基体4は、電磁誘導による発熱体として使用する場合には、電磁誘導可能な程度に導電性を有しているものとする。炭素系基体の形状は、用途に応じて各種形態を採ることができる。
【0020】
(第1の被覆層)
第1の被覆層8は、腐食種拡散抑制可能に形成されている。ここでいう腐食種は、酸素の他水(水蒸気を含む)である。第1の被覆層8は、したがって、酸素、水蒸気に対して優れた化学的安定性を有する化合物で形成されることが好ましい。また、炭素系基体4と同程度の熱膨脹係数であることが好ましい。基体4の熱膨張係数を同程度とすることで、異相界面の熱応力の発生を抑制し、密着性を向上させることができる。例えば、熱膨脹係数(室温〜900℃)は1×10−6−1以上8×10−6−1以下であることが好ましい。
【0021】
かかる第1の被覆層8は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライト、酸化イットリウム、YAG(Al12)等で形成することができる。これらのなかでも、酸化ケイ素、ムライトを使用することが好ましい。なお、これらのセラミックスを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
また、ケイ酸ガラス等の各種のガラス(結晶化ガラスを含む)は、緻密な被覆層を形成できる点において好ましく、組成は特に限定しないが、Y−Al−Si−O系、Sc−Al−Si−O系、La−Al−Si−O系を用いることができる。より好ましくは、Y−Al−Si−O系ガラスを用いる。Y−Al−Si−O系ガラスを構成する酸化物はいずれも安価であり、しかもその水酸化物(気体)の平衡蒸気圧が小さいことから、高温の水蒸気環境下における耐食性に優れる(耐揮発性に優れる)。当該ガラスにおいては、好ましくは、SiOが20〜60wt%、Alが10〜40wt%、Yが25〜60wt%である。
【0023】
また、ガラスは、その熱膨脹係数が炭素系基体4と同程度になるように組成を調整できる点においても好ましい。なお、ガラスは850℃以上のガラス転移点を有することが好ましい。850℃未満であると、電磁誘導発熱体の常用温度(700〜850℃)において、結晶化に伴う体積収縮と熱膨張係数の増大により、その後の冷却過程においてガラス層が破壊する可能性がある。また、ガラスは溶融温度が1200℃以上であることが好ましい。1200℃未満であると、高温での使用時において複合形態が損なわれるおそれがある。
【0024】
第1の被覆層8の厚さは、10μm以上500μm以下であることが好ましい。10μm未満であると腐食種の炭素系基体4までの拡散距離が短く長期間の耐食性に劣るからである。また、500μmを超えると、炭素系基体4を誘導発熱する過程において、第1の被覆層8の熱伝導率が炭素系基材よりも小さいために熱応答性が悪くなることに加えて、第1の被覆層8内において急峻な温度勾配がつくため、その結果として誘起した引張応力により第1の被覆層が破壊するからである。より好ましくは、50μm以上200μm以下である。
【0025】
(結合層)
第1の被覆層8は、炭素系基体4に対して結合層6を介して結合することもできる。特に、第1の被覆層8をガラス質層とする場合には、炭素系基体4のガラスに対する濡れ性を確保するような結合層6を設けることが好ましい。結合層6の組成は、第1の被覆層の種類によって異なるが、それ自体少なくとも炭素系基体4に対して濡れ性が高いことが好ましい。また、耐酸化性を備えていることが好ましい。このような観点からすると、結合層6は、好ましくは、Si、SiC、Si、SiC、MoSi等のSiを含有する化合物層とすることができる。特に、前記第1の被覆層8がSiOを含有するガラス質層である場合には、結合層6はSiとすることが好ましい。また、結合層6は、SiOを含有することが好ましく、SiとSiOとを含有することも好ましい。さらにまたSiOのみからなることも好ましい。前記ガラス質層8の炭素系期待4の溶融被覆工程において、CO=1気圧のときの炭素の平衡酸素分圧下では、Siはガラスと反応してSiOを生成することができる。結合層6をSiやSiCで形成するときと異なりクリストバライトの生成を伴わないことから、密着性に優れる耐酸化層を形成することができる。また、SiOは、Siがガラス質の第1の被覆層8のSiOと反応する点においても密着性と濡れ性に優れた結合層6を形成できる。
【0026】
結合層6の厚みは、好ましくは0.1μm以上20μm以下とする。0.1μm未満であると、第1の被覆層8がSiO含有ガラス質層である場合において、その溶融被覆過程において、Siとガラスとの反応により生成したSiO層がガラス中に完全に溶解し、結果として、炭素系基体4の溶融ガラスに対する濡れ性を維持することができなくなる。一方、結合層6の厚みが20μmを超えると、結合層6を付与する過程において、熱分解・収縮に伴いき裂が生成し炭素系基体4が表面に露出するため、溶融ガラスに対する濡れ性を付与することができないからである。より好ましくは、1μm以上10μm未満である。なお、結合層6についても、炭素系基体4と同程度の熱膨脹係数であることが好ましい。第1の被覆層8と同様、基体4の熱膨張係数を同程度とすることで、異相界面の熱応力の発生を抑制し、密着性を向上させることができる。
【0027】
(第2の被覆層)
第2の被覆層10は、熱膨張の異方性が大きな結晶粒子と、これらの結晶粒子間をガラス相で充填した構造を有している。第2の被覆層10は、熱膨張異方性結晶粒子とガラス相とを有しているために、第2の被覆層10の形成(ガラス相溶融温度域において結晶粒子が成長する段階)後の冷却過程において、結晶粒子の界面に誘起される引っ張り応力によって、結晶粒子間クラックが形成される。結晶粒子間クラックは、微小なクラックであって、結晶粒子間に存在するガラス相中あるいは結晶粒子とガラス相との界面に形成される。かかる微小なクラックは、主として熱膨張の異方性によって誘起されるものであり、結晶粒子界面あるいは結晶粒子間にとどまって形成されるため、構造体としての形を維持することができる。結晶粒子間クラックは、炭素系複合材料を高温から急激に冷却した場合においても、同様に形成される。
【0028】
複合材料2の冷却過程において、ガラス相の収縮や結晶粒子自体の収縮等が進行する過程で、かかる結晶粒子間クラックが形成されることにより、第2の被覆層10に及ぶ熱衝撃を広く分散して第2の被覆層10が剥離するような大きな主クラックの発生を抑制することができる。結果として、第2の被覆層10に及ぶ熱衝撃を緩和して第2の被覆層10による被覆状態を維持できる。
【0029】
一方、複合材料2の昇温過程においては、第2の被覆層10中に既に内包している結晶粒子間クラックの閉塞が進行する。すなわち、ガラス相の膨張や結晶粒子自体の膨張等によって開口している結晶粒子間クラックが徐々に閉じていく。したがって、結晶粒子間クラックは、ガラス相や結晶粒子が急激に熱膨張したとしても、そのような膨張を結晶粒子間クラックの閉塞により吸収できる。このため、複合材料2の昇温過程においては、結晶粒子間クラックが閉塞することにより、第2の被覆層に及ぶ収縮応力を第2の被覆層10の全体で分散吸収して熱衝撃を緩和することができる。
【0030】
本複合材料2は、500℃程度までの高温域にあっては、結晶粒子間クラックが閉塞することにより、第2の被覆層10の被覆性と緻密性を維持することで耐酸化性と耐水蒸気酸化性を発揮するが、さらに酸化が激しくなる高温域では、すなわち、ガラス相を軟化させることにより、閉塞した結晶粒子間クラックを充填し癒着させ、密封させることができる。これにより、酸化が激しい500℃以上の高温域であっても、高い被覆性と緻密性とを確保でき、結果として、かかる高温での耐酸化性と耐水蒸気酸化性が発揮させることができる。したがって、ガラス相のガラス転移点を選択することで、このような高温での被覆性、耐酸化性及び耐水蒸気酸化性を付与することができる。
【0031】
このように、結晶粒子間クラックは、昇降温に伴って閉じたり開いたりすることで、第2の被覆層10に及ぶ熱応力を緩和できる。この結果、第2の被覆層10の被覆性および密着性が維持され、第1の被覆層による腐食種の拡散抑制機能が有効に発揮される。このように、第2の被覆層10において結晶粒子単位にとどまるようにクラックを内包させることにより、第2の被覆層10に熱衝撃に対する抵抗性を発現させることができる。
【0032】
以上のことから、特に、基体4の炭素系材料や結合層6や第1の被覆層8に含まれることのある炭素系材料の酸化が激しくなる500℃程度以上において、結晶粒子の熱膨脹によりクラックが閉塞し、発生したクラックが軟化したガラス相により癒着される程度に第2の被覆相10の構成材料を選択することで、特に酸化が激しい高温域や水蒸気酸化雰囲気において、一層緻密性の高い被覆状態を形成できる。
【0033】
なお、結晶粒子間クラックを内包する第2の被覆層10は、第1の被覆層8との間の熱膨張係数差に起因する界面熱応力も緩和することができる。これは粒界クラックの開口と閉塞及びその結果生じる結晶粒子単位の移動によるものである。
【0034】
(熱膨張異方性結晶粒子)
熱膨張の異方性を有する結晶粒子としては、結晶形態は特に限定しないが、熱膨張の異方性が大きな結晶構造を有するものが好ましい。例えば、単位格子軸の最大と最小の熱膨張係数差(αmax−αmin)が、5×10−6−1以上であることが好ましい。単位格子の軸方向の最大と最小の熱膨張係数差が5×10−6−1未満であると、結晶粒子の界面に誘起される引っ張り応力が十分でなく、結晶粒子間クラックが形成されないため耐熱衝撃性に劣る。かかる結晶としては、具体的には、pseudobrookite構造を有するM 3+Ti4+(ただし、M3+はFe,Ti,Ga及びAlのいずれかである。)やM2+Ti 4+(ただし、M2+は、Mg,Fe,Ti,及びCoのいずれかである。)を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。なかでも、正の熱膨張係数を有する結晶軸と負の熱膨張係数を有する結晶軸とを有する結晶粒子を用いることが好ましい。このような結晶粒子であると、粒子間クラックを多く発生させることができるからである。かかる結晶としては、GaTiO及びAlTiOのいずれかあるいは両方を用いることができる。これらは、いずれも高温の水蒸気に対して優れた化学的安定性を有する。
【0035】
(第2の被覆層中のガラス相)
第2の被覆層中のガラス相は特に限定しないが、700℃以下のガラス転移点を有していることが好ましい。700℃を超える場合には、電磁誘導発熱体の常用温度(700〜850℃)において、熱膨張異方性結晶粒子間のクラックの癒着が起こりにくく、結果として、前記常用温度域において緻密性に優れる被覆状態を形成できない。一方、好ましくは、ガラス転移点は、450℃以上であることが好ましく、より好ましくは500℃以上である。炭素系基体4は、500℃近傍以上において激しく酸化されるからである。
【0036】
このようなガラスは、例えば、ケイ酸系ガラス、酸化アルミニウム系ガラス、酸化チタン系ガラス、酸化鉄系ガラス、酸化マグネシウム系ガラス等によって構成するのが好ましい。具体的には、上記ガラス組成は、SiOが20〜50重量%、FeOが40〜80重量%、MgOが5〜15重量%であることが好ましい。
【0037】
また、第2の被覆層10において、熱膨張異方性結晶粒子とガラス層との比率は、重量比で70:30〜95:5の範囲にあるのが好ましい。熱膨張異方性結晶粒子が70wt%未満であると、結晶粒子間距離が大きいために溶解−再析出型の結晶成長が抑制され、結果として、結晶粒界に引っ張り応力による結晶粒子間クラックが生成されにくく耐熱衝撃性が低下するからである。一方、95wt%を超えると、ガラスを介した第1の被覆層との密着性が低下する。好ましくは80:20〜90:10の範囲にある。
【0038】
第2の被覆層の厚みは、50μm以上1000μm以下であることが好ましい。50μm未満であると、十分な遮熱効果が得られないため下層の第1の被膜層8が熱衝撃破壊されるからである。また、1000μmを超えると、炭素系基材を誘導発熱する過程において、第2の被覆層の熱伝導率が炭素系基材よりも十分に小さいために熱応答性が悪くなるからである。より好ましくは、100μm以上500μm以下である。
【0039】
なお、本複合材料においては、これらの層の他、必要に応じて他の層を炭素系基体4の表層側に付与することができる。
【0040】
このようにして形成された炭素材料系複合材料は、良好な耐酸化性、耐熱衝撃性を兼ね備えており、さらに、酸化性の激しい環境(高温、水蒸気雰囲気)における耐酸化性も発現することができる。本発明の炭素系複合材料は、各種熱処理部材用材料として適用できる。さらに、電磁誘導による発熱する発熱体材料とすることもできる。さらに、本複合材料を用いた発熱体を備える電磁誘導加熱手段も提供できる。かかる電磁誘導加熱手段としては、水蒸気を過熱するヒーターであることが好ましく、用途としては、食品加工(生鮮食料品の滅菌・殺菌、甲殻類の解凍、レトルト食品等の乾燥)の他、廃材や廃棄物の加熱処理、水素製造装置(水の電気分解等による)等を挙げることができる。
【0041】
(本複合材料の製造方法)
本発明の炭素系複合材料の製造方法は、炭素系基体の表層側に腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層を形成する工程と、この第1の被覆層の表面に異方性結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層を形成する工程、とを備えている。
【0042】
(第1の被覆層の形成工程)
炭素系基体4の表層側には第1の被覆層8を形成するには、第1の被覆層8の種類に応じて、従来公知の各種方法を採用できる。ディッピング法、塗布法、スプレー法等、浸透法、溶射法等、各種方法により被覆層8を付与できる。
【0043】
(結合層の形成工程)
第1の被覆層8の形成にあたっては、既に述べたように結合層6を付与することが好ましい。結合層8は、上記したように薄く付与するため、第1の被覆層8を形成する方法の他、炭素系基体4表面等へのCVD法等の蒸着法などの物理的化学的成膜法、前駆体化合物の含浸及び熱分解による方法を採用することができる。第1の被覆層8がガラス質である場合には、結合層6を形成することが好ましい。
【0044】
例えば、窒化ケイ素(Si)及び/又はSiOを含む結合層6を形成しようとする場合には、熱分解により、Siを生成する前駆体(Si−N前駆体)を炭素系基体4の表層側(典型的には表面)に含浸等により付与し熱分解(一例として約600℃)を行う。これを1回以上行うことにより、適度な厚みの結合層6を形成することができる。Siは、当該熱分解では非晶質であるが、さらに加熱することで結晶質となる。適度な厚みの非晶質層を形成した後加熱することにより結晶化することもできるが、当該結晶化工程を、後段において第1の被覆層8のガラス溶融被覆時において行うこともできる。
【0045】
結合層6がケイ素系化合物層であり、第1の被覆層8がガラス質層である場合、第1の被覆層8のガラス溶融被覆工程においては、結合層6の一部は第1の被覆層8のガラス質層に溶解し、また、ガラス質層のガラス成分が結合層6を貫通して炭素系基体4側に侵入することがわかっている。かかる相溶によれば、ガラスの溶融被覆工程を利用することで、密着性のよい結合層6と第1の被覆層8を形成できる。
【0046】
第1の被覆層8がSiOを含有するガラス質層であるとき、特に、Si前駆体あるいはSiの層を炭素系基体4表面に付与しておき、第1の被覆層8のガラス被覆工程を実施することにより、結合層6中に、SiとともにSiOを生成、あるいはSiOのみを生成させることができる。これにより、結果としてSiOの結晶の一つであるクリストバライトの生成を抑制して、結合層6による密着性を確保及び向上させることができる。SiOは、ガラスが溶融するガラス溶融被覆工程では、SiとSiOとの反応により生成される。
【0047】
(第2の被覆層の形成工程)
第2の被覆層10を形成するにも、第1の被覆層8と同様に、従来公知の各種方法を採用できる。第2の被覆層10の形成にあたっては、緻密な層を容易に形成できる方法を採用できることが好ましい。溶射法を用いる場合には、安価で厚膜を形成することが可能であるという利点がある。第2の被覆層10は、既に説明したように、熱膨張異方性結晶粒子とガラス相を形成できるような組成物を調製し、この組成物を供給することで形成する。熱膨張異方性結晶粒子は、当該結晶を形成する前駆材料を用いることもできる。熱膨張異方性結晶粒子とガラス相との重量比は、既に述べたような比率となるように組成物を調製することが好ましい。
【0048】
ガラス相が形成されるような温度を第2の被覆層10を形成するべく原料組成物に付与することにより、結晶粒子とガラス相とを有する被覆層を形成することができる。そして、その冷却過程において、この被覆層10に結晶粒子間クラックが形成されることにより、熱膨張異方性結晶粒子とガラス相とを備え、結晶粒子間クラックを備える第2の被覆層10が形成され、同時に、本発明の複合材料を得ることができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明をその要旨を超えない限りこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
1)炭素系複合材料の作製
炭素系基体としてのCarbon板(Carbonics社製ETU−10、28×38×3mm、気孔率=15vol%)を超音波洗浄した後、減圧中にて2000℃×2h処理する。この熱処理により、Carbon中の不純物を除去した。
次に、このCarbon板にSi−N前駆体を用いて結合層を付与した。Si−N前駆体には、ClariantJapan製のPerhydropolysilazane(PHPS)溶液(N−N110、20wt%−PHPS、キシレン溶媒)を使用した。この前駆体溶液中にCarbon板を減圧含浸し、その後、窒素中(0.1MPa)において熱分解(600℃×1h)を行った。この前駆体含浸−熱分解サイクルを3回繰り返した。Si−N結合層は600℃熱分解の段階では非晶質であるが、次段のガラス溶融被覆温度に昇温することでSiを主成分とする結晶層に変化する。結晶化前の時点での結合層の厚さは約5μmであった。
【0051】
次に、熱分解後のCarbon板をカーボンモールド内に設置し、その周りに予め調整しておいたY−Al−Si−Oガラス粉末を充填した。その後、窒素中(1MPa)において、Y−Al−Si−Oガラスを溶融(1500℃×1h)させてCarbon板全体を被覆して、第1の被覆層としてのガラス層を形成した。この層の厚さは約100μmであった。なお、Y−Al−Si−Oガラス粉末の調製は以下のとおりとした。
【0052】
(Y−Al−Si−Oガラス粉末の調製)
このガラス粉末は、ナカライテスク(株)製のSiO粉末(試薬特級)と住友化学工業(株)製のAl粉末(商品名:「AKP−50」)と第一希元素化学工業(株)製のY粉末(商品名:「NRN」)を、SiO:Al:Y=41:19:30(wt%)になるように混合した後、この混合粉末を白金容器内において大気中1380℃で15時間保持し溶解させた後、室温にまで急冷させて作製した。得られたガラスの熱膨張係数が炭素系基体と同じになるようにガラスの組成を決定した。炭素系基体及び当該ガラスの熱膨脹係数は、約3.9×10−6−1であった。
【0053】
次に、ガラス被覆材の表面に大気プラズマ溶射法により第2の被覆層として、AlTiO(pseudobrookite構造を有する)−SiO系ガラスからなる混合物層を付与した。原料粉末には丸ス釉薬(資)製のTM−20スプレー顆粒粉を用いた。原料粉末組成を表1に示す。また、溶射装置にはエアロプラズマ製APS7050を使用した。出力を25.6kW、粉末供給量を30g/min、溶射距離(粉末供給ノズルから基材までの距離)を120mmとした。溶射被膜厚さは約200μmである。
【0054】
【表1】
Figure 2004359527
【0055】
2)炭素系複合材料の界面の二次電子像及びEDSスペクトル
図2にガラス層(第1の被覆層)−Si結合層(SiOを含む)−Carbon(炭素系基体)界面の二次電子像及びエネルギー分散型分光法(EDS)により測定したスペクトルを示す。図2に示すように、ガラス成分(Si、Al、Y、O)は炭素系基体内部の気孔内部にまで充填されていた。また、異相界面にはクラックの生成は全く認められず、極めて整合性のよい構造が得られていた。結合層の厚さがガラス溶融被覆により減少していたが、これは、結合層の一部がガラス中に溶解したためであった。
【0056】
(実施例2)
炭素系複合材料の耐酸化性評価
実施例1(図3中△で示す。)で作製した炭素系複合材料の高温水蒸気に対する耐酸化性を評価した。対照1として、同様の炭素系基体に実施例1と同様にして熱分解し、ガラス層を付与することなく窒素中(1MPa)において1500℃で1時間加熱して生成したSi結合層のみを被覆したもの(図3中○で示す。)を使用し、また、対照2として、第2の被覆層を形成しない以外は、実施例1と同様にして第1の被覆層まで形成したもの(図3中□で示す。)を使用した。これらの試料を管状雰囲気炉に設置した後、空気ガス(N:O=4:1)を100ml/minの流速で流し、炉内温度が100℃に到達後は、空気ガスを60℃の蒸留水で曝気して水蒸気を20%含む混合ガスを炉内に流した。その後、炉内温度900℃にて最大800時間保持した。試験後の試験片の質量変化を測定した。質量変化量(ΔW、wt%)は次式(1)で算出した。
Figure 2004359527
ここで、Wは試験前質量、Wは所定時間保持後の質量である。結果を図3に示す。
【0057】
図3に示すように、実施例1の複合材料(第2の被覆層を備えるもの、(△))については、800時間曝露後もほとんど質量減少は認められなかった。高温においては、第2の被覆層中のクラックが閉塞・癒着し、第1の被覆層のガラスと同様に腐食種拡散抑制層として作用したためであると考えられる。これに対して、対照1(Si−N結合層のみを被覆したもの(○))は、200時間曝露することで質量が約75wt%に減少した。残りの25wt%については、カーボンそのものは酸化により消失するのであるが、炭素系基体表面と内部(開気孔表面)に形成していたSi結合層が酸化してSiOを生成し残留した量に相当している。また、対照2(ガラスを被覆したもの(□))は、800時間曝露後で約5wt%の質量減少があった。これらの結果から、異方性結晶粒子とガラス相とを有する表層を備えることで、複合材料の耐酸化性(耐水蒸気酸化性)が向上したことが明らかであった。特に、高温になるほど効果が顕著であることもわかった。
【0058】
(実施例3)
炭素系複合材料の耐熱衝撃性評価
次に、実施例1で作製した炭素系複合材料の耐熱衝撃性を評価した。対照3としては、第2の被覆層を形成しない以外は、実施例1と同様にし第1の被覆層まで被覆したもの(□)を使用した。熱衝撃は、水中急冷方式により与えた。すなわち、試験片を治具に取り付けた後、電気炉にて900℃(大気中)で5分間保持した後、電気炉から50cm離れたところに設置した水中(25℃)に1m/sの速度で治具ごと入れた。この操作を最大500回繰り返した。試験後の試験片の質量変化を前記式(1)より求めた。結果を図4に示す。
【0059】
図4に示すように、実施例1の本複合材料(△)については、熱衝撃を500回与えても質量変化はほとんど認められなかった。これに対して、ガラスのみを被覆した対照3(□)は、熱衝撃回数の増加に伴い急激に質量が減少した。このような急激な減少は、熱衝撃によりガラス層に形成したクラックが下層のカーボンにまで到達し、その結果として、開口クラックを介したカーボンの直接酸化が進行したからであると考えられた。熱衝撃回数の増加に伴い、ガラス層における表面き裂の数も増大するために、酸素の拡散経路がさらに増え、カーボンの酸化が急激に進行したものと考えられる。以上のことから、第2の被覆層が熱衝撃に抵抗して被覆状態を維持し、第1の被覆層による腐食種遮断効果を有効に維持できることがわかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な耐酸化性を有する炭素系複合材料を提供できる。また、さらに耐熱衝撃性も備える炭素系複合材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素系複合材料の複合形態を模式的に示した図である。
【図2】実施例1で作製した炭素系複合材料の炭素系基体−結合層−第1の被覆層の界面の二次電子像とEDSスペクトルとを示す図である。
【図3】炭素系複合材料の耐酸化性評価の結果を示すグラフ図である。
【図4】炭素系複合材料の耐熱衝撃性評価の結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
2 炭素系複合材料、4 炭素系基体、6 結合層、8 第1の被覆層、10第2の被覆層。

Claims (14)

  1. 炭素系複合材料であって、
    炭素系基体と、
    当該基体側に形成され腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層と、
    この第1の被覆層の表面に形成され、熱膨張の異方性を有する結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層、
    とを備える、複合材料。
  2. 前記熱膨張異方性結晶粒子は、単位格子軸の最大と最小の熱膨張係数差(αmax−αmin)が、5×10−6−1以上である、請求項1記載の複合材料。
  3. 前記熱膨張異方性結晶粒子は、pseudobrookite構造を有するM 3+Ti4+(ただし、M3+はFe,Ti,Ga及びAlのいずれかである。)又はM2+Ti 4+(ただし、M2+は、Mg,Fe,Ti,及びCoのいずれかである。)からなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1又は2に記載の複合材料。
  4. 前記第2の被覆層において、熱膨張異方性結晶粒子とガラス層との比率は、重量比で70:30〜95:5の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
  5. 前記第2の被覆層に含まれる前記ガラス相は、700℃以下のガラス転移点を有している、請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料。
  6. 前記第1の被覆層はSiOを含むガラス質層である、請求項1〜5のいずれかに記載の複合材料。
  7. 前記ガラス質層は、850℃以上のガラス転移点を有している、請求項6記載の複合材料。
  8. 前記第1の被覆層と前記炭素系基体との間には、SiOを含有する結合層を備える、請求項5又は6に記載の複合材料。
  9. 前記第2の被覆層の前記熱膨張異方性結晶粒子は、AlTiOであり、前記ガラス相は700℃以下のガラス転移点を有し、
    前記第1の被覆層は、Y−Al−Si−O系ガラス質層であり、ガラス転移点が850℃以上である、請求項1に記載の複合材料。
  10. 電磁誘導による発熱体材料である、請求項1〜9のいずれかに記載の複合材料。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の複合材料を用いた発熱体を備える、電磁誘導加熱装置。
  12. 炭素系複合材料の製造方法であって、
    炭素系基体の表層側に腐食種拡散抑制可能な第1の被覆層を形成する工程と、この第1の被覆層の表面に熱膨張の異方性を有する結晶粒子と当該粒子間を充填するガラス相とを有する第2の被覆層を形成する工程、
    とを備える、方法。
  13. 前記第1の被覆層はSiOを含有するガラス質層であり、当該第1の被覆層は、ケイ素化合物を含有する結合層を介して前記炭素系基体の表層側に形成する、請求項11記載の方法。
  14. 前記結合層は、Si−N前駆体を前記炭素系材料に含浸し熱分解し、その後、前記第1の被覆層の溶融被覆工程においてSiOを生成させて形成する、請求項12記載の方法。
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