JP2004357552A - 作用物質による効果推定方法及びスクリーニング方法 - Google Patents
作用物質による効果推定方法及びスクリーニング方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】細胞や組織といった実際の生体における作用物質の影響を推定する。
【解決手段】本発明は、下記工程(a)及び(b)を含む用物質による効果推定方法。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、下記工程(a)及び(b)を含む用物質による効果推定方法。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明は、例えば、医薬品の研究開発等において医薬品の候補である化学物質の薬効・毒性などを評価し、医薬品として有効な化学物質を探索する際に適用することができる、作用物質による効果推定方法及びスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DNA解析、タンパク質解析等の技術の応用により、細胞内における遺伝子発現・タンパク質作用などの機構が解明されつつあり、これらの情報が病気の治療や医薬品開発に利用されるようになった。特に医薬品開発においては、症状に関与する受容体タンパク質に結合・作用する化合物(リガンド)を探索することにより、より効果的な新薬開発が行えると期待されている。
【0003】
実際に、医薬品候補(リード)化合物の中から、目標の受容体タンパク質に高い活性を示す化合物を選別(スクリーニング)するため、例えば、扱いの容易な実験細胞(たとえば卵母細胞など)に目標の受容体タンパク質の遺伝子を導入して強制的に受容体タンパク質を発現させておき、各種リード化合物を投与して活性を調べる、等の方法が行われている。
【0004】
ところで、生物細胞や生体組織・器官の活動は、目標の受容体タンパク質以外に多くのタンパク質や化学反応等の相互作用によって成立している。上述したスクリーニングは、目標の受容体タンパク質とリード化合物の結合・作用のみを評価したに過ぎず、本来の細胞組織のように多くの相互作用の結果引き起こされる作用を観測することが出来ない。そのため、上述した方法で目標の受容体タンパク質に結合・作用するリード化合物を発見しても、必ずしも医薬品として有効であると結論付けることはできない。多くの場合は、候補としてスクリーニングされたリード化合物を、非臨床試験や臨床試験段階において再度、評価することとなる。非臨床試験や臨床試験段階では、リード化合物による副作用や薬物動態(吸収、分布、代謝、***)などの特性を評価する。
【0005】
しかしながら、本来の細胞は、実験細胞と比較して扱いが難しい。また、非臨床・臨床試験にはコスト・時間がかかる。このため、候補としてスクリーニングされたリード化合物を再度評価すること自体が困難であり、また数多くのリード化合物を再度評価するにはコストがかかるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑み、細胞や組織といった実際の生体における作用物質の影響を推定することができる、作用物質による効果推定方法及び作用物質のスクリーニング方法並びに、効果推定プログラム及びスクリーニングサービス提供システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成した本発明は、下記工程(a)及び(b)を含む作用物質による効果推定方法である。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程
前記工程(b)では、作用物質によるモデル細胞に対する影響を示す数理モデルを用いることができる。また、前記工程(b)では、作用物質を接触させたときのモデル細胞の細胞活性値と、当該細胞活性値を示す作用物質を対象生体に接触させたときの対象生体への影響とを関連付けて格納したデータベースを用いることができる。
【0008】
一方、本発明は、本発明に係る作用物質による効果推定方法を、コンピュータに実行させるコンピュータプログラムを提供する。本発明に係るコンピュータプログラムは、CPU等の演算装置と、工程(a)で取得した結果を入力するための入力装置と、メモリーやハードディスク等の記憶装置とを備えるコンピュータの動作を制御し、作用物質による対象生体に対する効果を推定するものである。
また、本発明は、本発明に係るコンピュータプログラムを利用した作用物質のスクリーニングサービス提供システムを提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明を適用したスクリーニングシステムの全体構成の一例を概略的に示す図である。図1に示すように、スクリーニングシステムは、実験用の細胞を用いて評価したい作用物質(以下、リード化合物と称する)に対する活性を測定するリード化合物活性評価システム1と、リード化合物活性評価システム1で得られた活性データに基づいて、本来評価したい対象の細胞における反応を推定する細胞反応推定システム2とからなる。
【0010】
〔リード化合物活性評価システム〕
リード化合物活性評価システム1は、モデル細胞に対してリード化合物を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定する工程を実現するシステムである。リード化合物活性評価システム1は、リード化合物活性評価試験の結果(細胞活性値を示すデータ)が入力されるコンピュータを備えている。また、このコンピュータは、細胞活性値を示すデータを保存するメモリやデータベース等の記憶装置、当該データを表示する表示装置、当該データを出力する出力装置及び当該データを外部へ送信する送信装置を備えていてもよい。
【0011】
ここで「モデル細胞」としては、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、HEK細胞、COS細胞、CHO細胞等の培養動物細胞等を挙げることができる。なお、リード化合物活性評価システム1においてモデル細胞としては、上述した例示に限定されず、如何なる細胞を用いても良い。
【0012】
また、モデル細胞には、予め、評価対象のタンパク質をコードする遺伝子を導入する。遺伝子としては、評価対象のタンパク質をコードするゲノムDNA、RNA、cDNA及びcRNAのいずれであっても良い。また、当該遺伝子は、エンハンサーやプロモーター等のシス配列を付加した形でモデル細胞に導入されても良い。
【0013】
「リード化合物」としては、特に限定されないが、タンパク質、核酸、高分子有機化合物、低分子有機化合物、無機化合物及びこれらの複合体化合物等を例示することができる。
【0014】
リード化合物活性評価システム1における作業の流れを説明する。始めに、遺伝子導入・発現工程11において、モデル細胞として例えばアフリカツメガエルの卵母細胞を用意し、この細胞にリード化合物の活性を評価したいタンパク質(例えば、イオンチャネルや受容体)をコードするcRNAを導入し、評価したいタンパク質を発現させる。なお、モデル細胞に評価対象のタンパク質が、通常の状態である程度発現しているなら、遺伝子導入・発現工程11が不要になる場合もある。
【0015】
次に、細胞活性計測工程12を行う。細胞活性計測工程12としては、例えば、電気生理学的解析、代謝生理学的解析或いは免疫学的解析等を行うことができる。電気生理学的解析としては、例えば、図2に示すように、二電極膜電位固定法による全細胞電流測定を行うことができる。
【0016】
図2に示すように、細胞外溶液79中のアフリカツメガエル卵母細胞70に、導電性の溶液(KCl溶液など)で満たしたガラス管を用いた電位測定電極77、電流測定電極78を刺入し、細胞外溶液中に不関電極76を設置する。電位測定電極77には膜電位測定回路74が接続され、負帰還回路72、増幅回路71によるフィードバックにより、膜電位を電位発生回路73で指定する一定値に保持する。このとき電流測定電極78に接続された電流測定回路75によって、全細胞電流を測定する。
【0017】
細胞活性計測工程12では、上述した細胞電流測定を、細胞外溶液79の組成や、溶液に添加するリード化合物の濃度、電位発生回路73により加える刺激電位などの条件を変えて行い、膜電位−リード化合物濃度−全細胞電流の関係を解析する。細胞電流測定結果の一例を図3に示す。
【0018】
リード化合物活性評価システム1では、上述したように測定したリード化合物活性評価試験の結果として、細胞活性値を示すデータとして得ることができる。得られたデータは、例えば、コンピュータの記憶装置に保存され、後述する細胞反応システム2に対して出力される。また、得られたデータは、後述する細胞反応システム2に応じた入力フォーマットに変換するプログラムにより、当該入力フォーマットに変換されて保存されていても良い。
【0019】
〔細胞反応推定システム〕
細胞反応推定システム2は、上記リード化合物活性評価システム1において測定された細胞活性値を用いて、対象生体における反応を推定する。細胞反応推定システム2は、上述したリード化合物活性評価システム1で得られたデータを入力値として、対象生体における反応の推定を行うプログラムがインストールされたコンピュータを備える。なお、細胞反応推定システム2におけるコンピュータは、リード化合物活性評価システム1におけるコンピュータと同一であっても良いし、異なるコンピュータであっても良い。
ここで、「対象生体」としては、細胞、皮膚、血管及び筋肉等の組織、臓器等の器官及びこれらの組み合わせからなる生物全体を挙げることができる。
【0020】
細胞反応推定システム2においては、推定を行うに先立って、数理モデル推定工程21で数理モデルを準備する。例えば、上記リード化合物活性測定システムにおいて、電気生理学的解析を行った場合には、以下のような数理モデルを準備する。
【0021】
〔数理モデルの準備〕
推定作業を行うにあたっては、推定したい細胞の数理モデルを用意する。例えば、図4に模式的に示すような細胞31を例示する。細胞31は脂質二重層で構成される細胞膜32で内外に隔てられている。細胞膜32の外側は細胞外溶液33、内側は細胞質34で満たされている。細胞膜上には選択的にイオンを通過させる膜貫通タンパク質であるイオンチャネル35が複数種類発現していて、細胞外溶液33と細胞質34に含まれるイオンがイオンチャネル35を通過して細胞の内外に出入りをしている。また、細胞31の内外イオンに濃度差があれば、電位差(膜電位)が発生する。
【0022】
細胞31には、n種類のイオンチャネル、m種類のイオンが存在するとして、あるイオンjの内外濃度を[Cj]in、[Cj]exとすると、イオンチャネルiを流れることによるイオンjの濃度の単位時間当たりの変化量[d[Cj]in/dt]iは、例えば次のように表すことができる。
【0023】
【数1】
【0024】
上記式(1)はイオンチャネルiが開いているときのイオンjの流量を表す関数で、細胞内外のイオン濃度[Cj]in,[Cj]exと、膜電位E、温度Tに依存する。pijはイオンチャネルiのゲートが開いている確率を示す関数で、例えば、膜電位依存型のゲート機構を持つ場合、
【0025】
【数2】
のように、微分方程式で表す。あるイオンjの細胞全体での濃度変化[d[Cj]in/dt]totalは
【0026】
【数3】
【0027】
また、細胞体積V,イオンjの価数をzjとすれば、イオンjの移動による電位変化dEj/dtは、
【数4】
【0028】
細胞全体での膜電位Eは、
【数5】
のように表すことができる。
【0029】
以上のように、すべてのイオン濃度とイオンチャネル、膜電位に関して連立微分方程式で表現すれば、数値積分を行うことによって、ある条件からの細胞の振る舞いをシミュレーションすることが出来る。
【0030】
これらの、各イオン・イオンチャネルごとの微分方程式表現モデルや、どの細胞がどのようなイオン・イオンチャネルで構成されているか、という情報を、あらかじめ、図1の細胞反応推定システム2における数理モデルデータベース22に登録しておく。これらの情報はシステムの運用者が作成するだけではなく、例えばインターネット上で公開されている生体生理モデルデータベース4などと、ネットワークを通じて連係することによってより多くの生体数理モデルを活用することが望ましい。
【0031】
なお、上記リード化合物活性測定システム1において電気生理学的解析を行った場合の数理モデルについて説明したが、リード化合物活性測定システム1において代謝生理学的解析を行った場合には、例えば、“Glycolysis in Bloodstream Form Trypanosoma brucei Can Be Understood in Terms of the Kinetics of the Glycolytic Enzymes” (Barbara M Bakkerら、The Journal of Biological Chemistry, 272, 3207−3215, 1997年)に記載された数理モデルを準備することができる。この数理モデルは、Trypanosoma bruceiと呼ばれる血中病原菌の解糖系に関するものである。
【0032】
また、代謝・シグナル伝達の数理モデルがhttp://www.cellml.org/examples/repository/に開示されており、これら数理モデルを準備することができる。なお、パラメータを含まないが、代謝モデルの概略がhttp://www.genome.ad.jp/kegg/kegg2.htmlに公開されている。
【0033】
〔シミュレーション〕
続いて、細胞反応推定システム2では、上記リード化合物活性評価システム1において測定された細胞活性値と、上述したように準備した数理モデルとを用いて、リード化合物の対象生体に対する影響を推定する。具体的には、以下に説明するように、上述した数理モデルを実装したソフトウェアを構築し、このソフトウェア(以下、シュミレーションプログラムと称する場合もある)をインストールしたコンピュータにより、細胞活性値を入力値としてリード化合物の対象生体に対する影響を推定する。
【0034】
具体的に、細胞反応推定システムでは、例えば、目的タンパク質がイオンチャネルの場合、cRNAの導入を行っていない卵母細胞による対照実験などと比較して、目的のイオンチャネルに関しての前述の(1)(2)式の形で表せるイオンチャネルの数理モデル式を同定する。
リード化合物がゲート機構に作用するリガンドであった場合、(2)式がリガンド濃度[L]に依存した形で表すことができ、例えば、
【0035】
【数6】
のようになる。ただし(2’)式は、リガンド濃度[L]との関係に関して未知のパラメータを含んでいる。
【0036】
そこで、数理モデルデータベース22から、該当する(1)(2’)式を選択し、これに試験条件や結果を入力して、実験結果に適合するよう(2’)のパラメータを最適化する。また、例えば作用機構が不明で(1)(2’)の関数形が未知な場合は、いくつかの候補式を数理モデルデータベース22からリストアップし、試験結果に最適な式を選択してもよい。
【0037】
合致するものがなく、細胞活性計測工程12における測定結果では数理モデルが同定できない場合、パッチクランプ法等により、イオンチャネル単体の詳細な分析を行い、直接に式を同定する方法を行うことが好ましい。
【0038】
また、これらの結果により得られた新たな式、およびパラメータは、新規に数理モデルデータベース22に登録され、次回、このリード化合物について検討が必要になったときに利用される。
【0039】
次に、図1におけるシミュレーション工程23において、数理モデルデータベース22に登録してあった細胞モデルを構成する式(1)〜(5)等により、本来評価したい対象である細胞のシミュレーションプログラムを構成する。
構成された細胞シミュレーションプログラムは、数理モデルデータベース22に登録され、次回この細胞について検討を行う際には、呼び出すだけで再構成する必要がなくなる。
【0040】
次に、該当するイオンチャネルの作用モデルを表す式を、数理モデル推定工程21で得たイオンチャネル−リード化合物の作用を表す数理モデル式(2’)で置き換える。
さらに、シミュレーション条件として、本来のリード化合物の投与対象であった細胞がおかれた環境における、細胞内外における各種イオン濃度の初期条件や温度、リード化合物の投与濃度、シミュレーション時間などを入力する。
【0041】
最後に、シミュレーションプログラムを実行すると、プログラムは組み込まれた種々のイオンチャネルの挙動を示す連立微分方程式を、定められたシミュレーション時間の分、数値積分を実行する。
【0042】
この結果、連立微分方程式の中で定義された細胞の構成要素(細胞内外の各種イオン濃度、膜電位、チャネルのゲート開口率などの値の、時系列の変化が算出され、これらの値を対象細胞の推定反応結果3として出力する。
この結果、リード化合物の作用プロセスが細胞構成要素ごとの時系列変化として表示されるため、有効性の検討のための指針が得やすいメリットがある。
【0043】
〔複数リード化合物の相互作用推定〕
なお、上述した例では、単独のリード化合物の対象生体に対する影響を推定しているが、複数のリード化合物の相互作用により様々な相乗効果をもたらすことがある。そこで、本システムにおいては、特にリード化合物活性評価システム1において、例えばリード化合物A、リード化合物B、リード化合物Cについてそれぞれ単独に試験し、モデル推定した結果を数理モデルデータベース22に登録しておく。この結果、シミュレーション工程23においてシミュレーションプログラムに上記の3つの作用モデルの数式を組み入れることで、リード化合物A、B、Cの単独の投与結果のほかに、AB、BC、AC、ABCの組み合わせといった複数ケースの相互作用の結果を検討することが出来る。
この場合、複数同時投与の実験を大幅に削減できるメリットがある。また、シミュレーション結果から作用プロセスが明確化するため、相互作用の有効性が定性的にも検討できる。
【0044】
なお、本例ではイオンチャネルのみを扱ったが、細胞では他にトランスポーターや他の受容体タンパク質、および酵素反応などの代謝、物質の移動など様々な活動が起こっており、これらを、上記と同様に微分方程式などの数理表現でシミュレーションプログラムに加えることで、これらの機能を含んだ形で細胞の活動結果を予測することが可能である。
【0045】
〔本スクリーニングシステムにおける他の実施の形態〕
ところで、本発明を適用したスクリーニングシステムにおいては、以下に説明するように、モデル細胞において本来発現している他のタンパク質の機能を考慮して更に詳細な推定作業を行うことができる。
【0046】
すなわち、この場合、細胞活性計測工程12においてcRNAを導入しない細胞による対照実験の結果から、評価対象のタンパク質だけではなく、通常、その細胞が持っている評価対象以外のタンパク質もリード化合物と作用してしまい、計測結果に影響を及ぼすことが考えられる。この場合、この実験細胞では前述の(1)(2)式の形で表せる一種類のイオンチャネルの式だけが成立しているとみなすと、正確な推定作業を行えない虞がある。
【0047】
そこで、本スクリーニングシステムにおいては、まず、数理モデル推定工程21で、モデル細胞に発現する評価対象以外のタンパク質(既知のイオンチャネル群)に関して、(1)〜(5)と同等の数理モデルを数理モデルデータベース22から呼び出し、これを用いてシミュレーションモデルを構築する。さらに、評価対象のタンパク質(目標のイオンチャネル)とリード化合物濃度との関係に関しての数理モデル(1)(2’)と同等の式を、評価対象以外のタンパク質についても数理モデルデータベース22から選択し、これらを数理モデルに加える。
【0048】
そして、細胞活性計測工程12での試験条件を初期条件としてシミュレーションを行い、シミュレーション結果と細胞活性計測工程12での試験結果の誤差が最小になるよう(2’)式のパラメータを調整する。パラメータの調節には、パウエル法のような数学的収束方法や、遺伝アルゴリズムのような試行錯誤方法を用いることができる。
【0049】
このようにして、評価対象以外のタンパク質とリード化合物濃度との関係を示す数理モデルを得た後、シミュレーション工程23において、対象生体のシミュレーションプログラムに、評価対象以外のタンパク質とリード化合物濃度との関係を示す数理モデルを加え、シミュレーションを実施する。
【0050】
この場合、評価目対象のタンパク質の発現量がモデル細胞内で僅少であっても、評価対象以外のタンパク質とリード化合物との相互作用による影響を排除することができるため、評価目対象のタンパク質とリード化合物との相互作用をより正確に推定することができる。
【0051】
〔本スクリーニングシステムにおける他の実施の形態〕
また、本スクリーニングシステムは、図5に示すように、細胞反応判定工程24と細胞活性−反応データベース25を備える細胞反応推定システム2によって、対象生体における反応を推定することができる。
本例において、細胞活性−反応データベース25には、過去に行われたモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果と、対象生体におけるリード化合物投与試験の結果とを試験条件ごと対応付けて格納しておく。ここで、過去に行われたモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果は、リード化合物濃度、細胞電流変化量及び細胞電流変化時間等の各項目をパラメータとし、評価関数に基づいて算出された評価指数を関連付けて格納される。
【0052】
本スクリーニングシステムにおいては、上述した例と同様に細胞活性計測工程12を実施し、得られた細胞活性値を用いて細胞反応判定工程24を行う。細胞反応判定工程24では、細胞活性計測工程12の結果の各項目(リード化合物濃度、細胞電流変化量、細胞電流変化時間など)をパラメータとし、評価関数を用いて評価指数を算出する。
【0053】
細胞反応判定工程24では、次に、細胞活性計測工程12の結果から算出された評価指数と最も近い評価指数を細胞活性−反応データベース25から検索する。そして、検索された評価指数と対応付けられた過去のモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果と、これに対応する対象生体におけるリード化合物投与試験の結果を、推定反応結果として抽出する。
【0054】
評価関数・指数の具体例として、簡単には、リード化合物濃度と細胞電流変化の最大値の関係を一次近似し、その傾きを評価指数として、細胞活性−反応データベース25の評価指数と比較する方法がある。
【0055】
また、評価関数・指数の別の例として、前記一次近似結果の傾きを評価指数A、細胞電流変化量が、最大値から一定割合まで減少するまでの平均時間を評価指数Bとする。次に、細胞活性−反応データベース25における評価指数A’及びB’と重み付け定数wとを使って、(A−A’)2+w(B−B’)2を計算する。そして、この値が最小となるものを検索する方法がある。
【0056】
あるいは、細胞反応判定工程24では、細胞活性計測工程12の結果から算出された評価指数と細胞活性−反応データベース25に格納されている評価指数との一致度を検索しても良い。この場合、例えば、所定の基準を超える一致度を示すものを一致度の高い順に、推定反応結果として一覧表示することができる。すなわち、一致度の高い評価指数と対応付けられた過去のモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果と、これに対応する対象生体におけるリード化合物投与試験の結果とを、一致度の高い順に並べて表示することができる。
【0057】
この場合には、対象生体におけるリード化合物投与試験の結果の評価指数の分布を表示することができる。これにより、推定結果の分布のばらつき具合によって、推定結果の妥当性を評価することができる。
【0058】
特に本スクリーニングシステムにおいては、上述したような数理モデルを作成する必要が無く、また、細胞活性計測工程12の結果からシミュレーションを行う必要も無いため、対象生体におけるリード化合物の影響をより簡易に推定することができる。
【0059】
〔本スクリーニングシステムを用いたビジネスモデル1〕
上述した本スクリーニングシステムを用いて医薬品開発等におけるリード化合物のスクリーニングサービスを提供する方法について、図6を用いて説明する。
図6に本スクリーニングサービスの概略図を示す。本サービスは、サービス提供者40とサービス利用者41によって構成される。サービス提供者40は、上述したリード化合物活性評価システム1を備えている。また、サービス利用者41は、計算機および記憶装置と、細胞における各種反応を推定するプログラムとデータベースとからなる細胞反応推定システム2をサービス提供者40から提供、あるいは貸与される。
【0060】
本サービスでは、先ず、サービス利用者41が実験細胞試験条件50をサービス提供者40に提示し、スクリーニングサービスを依頼する。
実験細胞試験条件50は、スクリーニングしたいリード化合物の情報(化学式等)、およびスクリーニング条件(リード化合物の投与濃度等)、評価対象のたんぱく質に関する情報を含む情報である。特に、実験細胞試験条件50としては、スクリーニングしたいリード化合物の情報を除く情報であることが好ましい。スクリーニングしたいリード化合物の情報を実験細胞試験条件50として開示しない場合には、例えば、サービス利用者41がサービス提供者40に対して管理番号を付与したリード化合物を別途提供する。これにより、本サービスにおいては、リード化合物に関する情報を、サービス提供者40を含む他者から秘匿することができる。
【0061】
次に、スクリーニングを依頼されたサービス提供者40は、実験細胞試験条件50に基づいて、上述したリード化合物活性評価システム1によって、モデル細胞におけるリード化合物の活性評価試験を行う。そして、サービス提供者40は、得られた試験結果を、サービス利用者41が有する細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換しサービス利用者41に送付する。
【0062】
次に、サービス利用者41は、送付されたデータ、および、対象細胞推定条件51を細胞反応推定システム2に入力する。
対象細胞推定条件51とは、サービス利用者41の検討対象である細胞等の対象生体に関する情報であり、例えば、対象生体の種類、初期条件、スクリーニングを依頼したリード化合物とは異なる他のリード化合物に関する情報等を挙げることができる。
【0063】
サービス利用者41は、上述したように細胞反応推定システム2によって、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定し、対象生体の反応推定結果3を得る。本例で説明したスクリーニングサービス提供方法において、サービス提供者40は、細胞反応推定システム2をサービス利用者41に対して提供、あるいは貸与する。これにより、サービス提供者40は、モデル細胞を用いたリード化合物の活性評価試験を行い、その結果を所定のフォーマットでサービス利用者41に提供するだけでよく、活性評価試験の結果を用いた、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定する必要がない。
【0064】
一方、サービス利用者41は、モデル細胞を用いたリード化合物の活性評価試験をアウトソーシングすることができ、医薬品等のスクリーニングを低コストで行うことができる。特に、サービス利用者41は、リード化合物に関する情報を隠匿しても本サービスを利用することができ、リード化合物に関する情報の漏洩を防止することができ、安心して本システムを利用することができる。
【0065】
〔本スクリーニングシステムを用いたビジネスモデル2〕
上述した本スクリーニングシステムを用いて医薬品開発等におけるリード化合物のスクリーニングサービスを提供する他の方法について、図7を用いて説明する。
【0066】
図7に本スクリーニングサービスの概略図を示す。本サービスは、サービス提供者40とサービス利用者41によって構成される。サービス提供者40はリード化合物活性評価システム1、および計算機および記憶装置と細胞における各種反応を推定するプログラムとデータベースとからなる細胞反応推定システム2を備えている。また、サービス利用者41は、インターネット等のネットワークを通じて、サービス提供者40が管理する細胞反応推定システム2にアクセスが可能な通信端末機器60を備えている。
【0067】
本サービスでは、先ず、サービス利用者41は、図6に示したスクリーニングサービスと同様に、実験細胞試験条件50をサービス提供者40に提示し、スクリーニングサービスを依頼する。
【0068】
次に、スクリーニングを依頼されたサービス提供者40は、図6に示したスクリーニングサービスと同様に、実験細胞試験条件50に基づいて、上述したようにリード化合物活性評価システム1によって、モデル細胞におけるリード化合物の活性評価試験を行う。サービス提供者40は、得られた結果を細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換して、細胞反応推定システム2へ入力する。また、サービス提供者40は、サービス利用者41に対して、細胞反応推定システム2への一定のアクセス権限を与える。サービス利用者41は、サービス提供者40からアクセス権限が与えられると、ネットワークを通じて細胞反応推定システム2を操作することが可能となる。
【0069】
次に、サービス利用者41は、通信端末機器60を用い、ネットワークを経由して対象細胞推定条件51を細胞反応推定システム2に入力する。サービス利用者41は、ネットワークを経由して上述した細胞反応推定システム2を操作することでき、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定することができる。なお、推定結果は、対象生体の反応推定結果3としてネットワークを通じ通信端末機器60に送られ、サービス利用者41が利用することができる。なお、これら一連のネットワークを通じた通信データは、暗号化などによりサービス利用者41以外の他者に対し秘匿されることが望ましい。
【0070】
本サービスにおいては、サービス提供者40は、細胞反応推定システム2を備え、ネットワークを介してサービス利用者41に細胞反応推定システム2を利用させている。このように構成することによって、サービス提供者40は、多数のサービス利用者41に細胞反応推定システムを提供或いは貸与する場合と比較して、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を容易に行うことができる。換言すれば、本サービスにおいては、サービス利用者41は、サービス提供者40が備える細胞反応推定システムを利用するため、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を行う必要がない。したがって、本サービスは、サービス利用者41にとって非常に利用しやすいものとなる。
【0071】
さらに、サービス提供者40は、サービス利用者41との間で様々な契約形態を締結し得る。すなわち、本サービスにおいて、サービス提供者40は、契約形態に応じて、細胞反応推定システム2へのアクセス権の範囲、アクセス期間、利用できるデータベースの範囲などを細かく設定でき、多様なサービスを提供することができる。換言すれば、サービス利用者41は、本サービスの利用目的に応じてサービス提供者40と契約を結ぶことができ、本サービスの有効利用を図ることができる。
【0072】
〔本スクリーニングシステムを用いたビジネスモデル3〕
上述した本スクリーニングシステムを用いて医薬品開発等におけるリード化合物のスクリーニングサービスを提供する他の方法について、図8を用いて説明する。
【0073】
図8に本スクリーニングサービスの概略図を示す。本サービスは、サービス提供者40とサービス利用者41とリード化合物投与試験者42とによって構成される。サービス提供者40は計算機および記憶装置と細胞における各種反応を推定するプログラムとデータベースとからなる細胞反応推定システム2を備えている。また、サービス利用者41は、インターネット等のネットワークを通じて、サービス提供者40が管理する細胞反応推定システム2にアクセスが可能な通信端末機器60を備えている。リード化合物投与試験者42は、リード化合物活性評価システム1を備えている。
【0074】
本システムにおいては、先ず、サービス利用者41が図4に示したスクリーニングサービスと同様の実験細胞試験条件50をリード化合物投与試験者42に提示し、リード化合物投与試験の実施を依頼する。
【0075】
次に、リード化合物投与試験者42は、サービス利用者41の依頼に基づいて、モデル細胞におけるリード化合物の活性評価試験を行う。リード化合物投与試験者42は、リード化合物投与試験の結果を細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換して、サービス提供者40に対して送信する。なお、リード化合物投与試験の結果を細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換せず、そのままサービス提供者40に対して送信してもよい。この場合、リード化合物投与試験の結果は、サービス提供者40の側で入力フォーマットに変換すればよい。
【0076】
次に、サービス提供者40は、リード化合物投与試験者42から取得した結果を用い、上述したように細胞反応推定システム2によって、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定し、対象生体の反応推定結果3を得る。このとき、サービス利用者41に対しては、サービス提供者40から細胞反応推定システム2への一定のアクセス権限を与える。サービス利用者41は、サービス提供者40からアクセス権限が与えられると、ネットワークを通じて細胞反応推定システム2を操作することが可能となる。
【0077】
次に、サービス利用者41は、通信端末機器60を用い、ネットワークを経由して対象細胞推定条件51を細胞反応推定システム2に入力する。サービス利用者41は、ネットワークを経由して上述した細胞反応推定システム2を操作することでき、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定することができる。なお、推定結果は、対象生体の反応推定結果3としてネットワークを通じ通信端末機器60に送られ、サービス利用者41が利用することができる。なお、これら一連のネットワークを通じた通信データは、暗号化などによりサービス利用者41以外の他者に対し秘匿されることが望ましい。
【0078】
本サービスにおいては、サービス提供者40は、リード化合物活性評価システム1を備えず、細胞反応推定システム2を備え、ネットワークを介してサービス利用者41に細胞反応推定システム2を利用させている。このように構成することによって、サービス提供者40は、リード化合物活性評価試験を行う必要もなく、多数のリード化合物活性評価試験者42における試験結果を効率よく解析することができる。また、サービス提供者40は、多数のサービス利用者41に細胞反応推定システム2を提供或いは貸与する場合と比較して、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を容易に行うことができる。換言すれば、本サービスにおいては、サービス利用者41は、サービス提供者40が備える細胞反応推定システムを利用するため、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を行う必要がない。したがって、本サービスは、サービス利用者41にとって非常に利用しやすいものとなる。
【0079】
さらに、サービス提供者40は、サービス利用者41との間で様々な契約形態を締結し得る。すなわち、本サービスにおいて、サービス提供者40は、契約形態に応じて、細胞反応推定システム2へのアクセス権の範囲、アクセス期間、利用できるデータベースの範囲などを細かく設定でき、多様なサービスを提供することができる。換言すれば、サービス利用者41は、本サービスの利用目的に応じてサービス提供者40と契約を結ぶことができ、本サービスの有効利用を図ることができる。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、細胞や組織といった実際の生体における作用物質の影響を推定することができる、作用物質による効果推定方法及び作用物質のスクリーニング方法並びに、効果推定プログラム及びスクリーニングサービス提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したスクリーニングシステムの全体構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】アフリカツメガエル卵母細胞の膜電位固定法による全細胞電流測定の模式図である。
【図3】アフリカツメガエル卵母細胞の膜電位固定法による細胞電流測定結果の一例を示す特性図である。
【図4】イオンチャネルを持つ細胞の模式図である。
【図5】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【図6】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【図7】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【図8】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1. リード化合物活性評価システム
2. 細胞反応推定システム
3. 対象細胞の反応推定結果
4. 公開生体数理モデルデータベース
11. 遺伝子導入・発現工程
12. 細胞活性計測工程
21. 数理モデル推定工程
22. 数理モデルデータベース
23. シミュレーション工程
24. 細胞反応判定工程
25. 細胞活性−反応データベース
40. サービス提供者
41. サービス利用者
50. 実験細胞試験条件
51. 対象細胞推定条件
60. 通信端末機器
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明は、例えば、医薬品の研究開発等において医薬品の候補である化学物質の薬効・毒性などを評価し、医薬品として有効な化学物質を探索する際に適用することができる、作用物質による効果推定方法及びスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DNA解析、タンパク質解析等の技術の応用により、細胞内における遺伝子発現・タンパク質作用などの機構が解明されつつあり、これらの情報が病気の治療や医薬品開発に利用されるようになった。特に医薬品開発においては、症状に関与する受容体タンパク質に結合・作用する化合物(リガンド)を探索することにより、より効果的な新薬開発が行えると期待されている。
【0003】
実際に、医薬品候補(リード)化合物の中から、目標の受容体タンパク質に高い活性を示す化合物を選別(スクリーニング)するため、例えば、扱いの容易な実験細胞(たとえば卵母細胞など)に目標の受容体タンパク質の遺伝子を導入して強制的に受容体タンパク質を発現させておき、各種リード化合物を投与して活性を調べる、等の方法が行われている。
【0004】
ところで、生物細胞や生体組織・器官の活動は、目標の受容体タンパク質以外に多くのタンパク質や化学反応等の相互作用によって成立している。上述したスクリーニングは、目標の受容体タンパク質とリード化合物の結合・作用のみを評価したに過ぎず、本来の細胞組織のように多くの相互作用の結果引き起こされる作用を観測することが出来ない。そのため、上述した方法で目標の受容体タンパク質に結合・作用するリード化合物を発見しても、必ずしも医薬品として有効であると結論付けることはできない。多くの場合は、候補としてスクリーニングされたリード化合物を、非臨床試験や臨床試験段階において再度、評価することとなる。非臨床試験や臨床試験段階では、リード化合物による副作用や薬物動態(吸収、分布、代謝、***)などの特性を評価する。
【0005】
しかしながら、本来の細胞は、実験細胞と比較して扱いが難しい。また、非臨床・臨床試験にはコスト・時間がかかる。このため、候補としてスクリーニングされたリード化合物を再度評価すること自体が困難であり、また数多くのリード化合物を再度評価するにはコストがかかるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑み、細胞や組織といった実際の生体における作用物質の影響を推定することができる、作用物質による効果推定方法及び作用物質のスクリーニング方法並びに、効果推定プログラム及びスクリーニングサービス提供システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成した本発明は、下記工程(a)及び(b)を含む作用物質による効果推定方法である。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程
前記工程(b)では、作用物質によるモデル細胞に対する影響を示す数理モデルを用いることができる。また、前記工程(b)では、作用物質を接触させたときのモデル細胞の細胞活性値と、当該細胞活性値を示す作用物質を対象生体に接触させたときの対象生体への影響とを関連付けて格納したデータベースを用いることができる。
【0008】
一方、本発明は、本発明に係る作用物質による効果推定方法を、コンピュータに実行させるコンピュータプログラムを提供する。本発明に係るコンピュータプログラムは、CPU等の演算装置と、工程(a)で取得した結果を入力するための入力装置と、メモリーやハードディスク等の記憶装置とを備えるコンピュータの動作を制御し、作用物質による対象生体に対する効果を推定するものである。
また、本発明は、本発明に係るコンピュータプログラムを利用した作用物質のスクリーニングサービス提供システムを提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明を適用したスクリーニングシステムの全体構成の一例を概略的に示す図である。図1に示すように、スクリーニングシステムは、実験用の細胞を用いて評価したい作用物質(以下、リード化合物と称する)に対する活性を測定するリード化合物活性評価システム1と、リード化合物活性評価システム1で得られた活性データに基づいて、本来評価したい対象の細胞における反応を推定する細胞反応推定システム2とからなる。
【0010】
〔リード化合物活性評価システム〕
リード化合物活性評価システム1は、モデル細胞に対してリード化合物を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定する工程を実現するシステムである。リード化合物活性評価システム1は、リード化合物活性評価試験の結果(細胞活性値を示すデータ)が入力されるコンピュータを備えている。また、このコンピュータは、細胞活性値を示すデータを保存するメモリやデータベース等の記憶装置、当該データを表示する表示装置、当該データを出力する出力装置及び当該データを外部へ送信する送信装置を備えていてもよい。
【0011】
ここで「モデル細胞」としては、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、HEK細胞、COS細胞、CHO細胞等の培養動物細胞等を挙げることができる。なお、リード化合物活性評価システム1においてモデル細胞としては、上述した例示に限定されず、如何なる細胞を用いても良い。
【0012】
また、モデル細胞には、予め、評価対象のタンパク質をコードする遺伝子を導入する。遺伝子としては、評価対象のタンパク質をコードするゲノムDNA、RNA、cDNA及びcRNAのいずれであっても良い。また、当該遺伝子は、エンハンサーやプロモーター等のシス配列を付加した形でモデル細胞に導入されても良い。
【0013】
「リード化合物」としては、特に限定されないが、タンパク質、核酸、高分子有機化合物、低分子有機化合物、無機化合物及びこれらの複合体化合物等を例示することができる。
【0014】
リード化合物活性評価システム1における作業の流れを説明する。始めに、遺伝子導入・発現工程11において、モデル細胞として例えばアフリカツメガエルの卵母細胞を用意し、この細胞にリード化合物の活性を評価したいタンパク質(例えば、イオンチャネルや受容体)をコードするcRNAを導入し、評価したいタンパク質を発現させる。なお、モデル細胞に評価対象のタンパク質が、通常の状態である程度発現しているなら、遺伝子導入・発現工程11が不要になる場合もある。
【0015】
次に、細胞活性計測工程12を行う。細胞活性計測工程12としては、例えば、電気生理学的解析、代謝生理学的解析或いは免疫学的解析等を行うことができる。電気生理学的解析としては、例えば、図2に示すように、二電極膜電位固定法による全細胞電流測定を行うことができる。
【0016】
図2に示すように、細胞外溶液79中のアフリカツメガエル卵母細胞70に、導電性の溶液(KCl溶液など)で満たしたガラス管を用いた電位測定電極77、電流測定電極78を刺入し、細胞外溶液中に不関電極76を設置する。電位測定電極77には膜電位測定回路74が接続され、負帰還回路72、増幅回路71によるフィードバックにより、膜電位を電位発生回路73で指定する一定値に保持する。このとき電流測定電極78に接続された電流測定回路75によって、全細胞電流を測定する。
【0017】
細胞活性計測工程12では、上述した細胞電流測定を、細胞外溶液79の組成や、溶液に添加するリード化合物の濃度、電位発生回路73により加える刺激電位などの条件を変えて行い、膜電位−リード化合物濃度−全細胞電流の関係を解析する。細胞電流測定結果の一例を図3に示す。
【0018】
リード化合物活性評価システム1では、上述したように測定したリード化合物活性評価試験の結果として、細胞活性値を示すデータとして得ることができる。得られたデータは、例えば、コンピュータの記憶装置に保存され、後述する細胞反応システム2に対して出力される。また、得られたデータは、後述する細胞反応システム2に応じた入力フォーマットに変換するプログラムにより、当該入力フォーマットに変換されて保存されていても良い。
【0019】
〔細胞反応推定システム〕
細胞反応推定システム2は、上記リード化合物活性評価システム1において測定された細胞活性値を用いて、対象生体における反応を推定する。細胞反応推定システム2は、上述したリード化合物活性評価システム1で得られたデータを入力値として、対象生体における反応の推定を行うプログラムがインストールされたコンピュータを備える。なお、細胞反応推定システム2におけるコンピュータは、リード化合物活性評価システム1におけるコンピュータと同一であっても良いし、異なるコンピュータであっても良い。
ここで、「対象生体」としては、細胞、皮膚、血管及び筋肉等の組織、臓器等の器官及びこれらの組み合わせからなる生物全体を挙げることができる。
【0020】
細胞反応推定システム2においては、推定を行うに先立って、数理モデル推定工程21で数理モデルを準備する。例えば、上記リード化合物活性測定システムにおいて、電気生理学的解析を行った場合には、以下のような数理モデルを準備する。
【0021】
〔数理モデルの準備〕
推定作業を行うにあたっては、推定したい細胞の数理モデルを用意する。例えば、図4に模式的に示すような細胞31を例示する。細胞31は脂質二重層で構成される細胞膜32で内外に隔てられている。細胞膜32の外側は細胞外溶液33、内側は細胞質34で満たされている。細胞膜上には選択的にイオンを通過させる膜貫通タンパク質であるイオンチャネル35が複数種類発現していて、細胞外溶液33と細胞質34に含まれるイオンがイオンチャネル35を通過して細胞の内外に出入りをしている。また、細胞31の内外イオンに濃度差があれば、電位差(膜電位)が発生する。
【0022】
細胞31には、n種類のイオンチャネル、m種類のイオンが存在するとして、あるイオンjの内外濃度を[Cj]in、[Cj]exとすると、イオンチャネルiを流れることによるイオンjの濃度の単位時間当たりの変化量[d[Cj]in/dt]iは、例えば次のように表すことができる。
【0023】
【数1】
【0024】
上記式(1)はイオンチャネルiが開いているときのイオンjの流量を表す関数で、細胞内外のイオン濃度[Cj]in,[Cj]exと、膜電位E、温度Tに依存する。pijはイオンチャネルiのゲートが開いている確率を示す関数で、例えば、膜電位依存型のゲート機構を持つ場合、
【0025】
【数2】
のように、微分方程式で表す。あるイオンjの細胞全体での濃度変化[d[Cj]in/dt]totalは
【0026】
【数3】
【0027】
また、細胞体積V,イオンjの価数をzjとすれば、イオンjの移動による電位変化dEj/dtは、
【数4】
【0028】
細胞全体での膜電位Eは、
【数5】
のように表すことができる。
【0029】
以上のように、すべてのイオン濃度とイオンチャネル、膜電位に関して連立微分方程式で表現すれば、数値積分を行うことによって、ある条件からの細胞の振る舞いをシミュレーションすることが出来る。
【0030】
これらの、各イオン・イオンチャネルごとの微分方程式表現モデルや、どの細胞がどのようなイオン・イオンチャネルで構成されているか、という情報を、あらかじめ、図1の細胞反応推定システム2における数理モデルデータベース22に登録しておく。これらの情報はシステムの運用者が作成するだけではなく、例えばインターネット上で公開されている生体生理モデルデータベース4などと、ネットワークを通じて連係することによってより多くの生体数理モデルを活用することが望ましい。
【0031】
なお、上記リード化合物活性測定システム1において電気生理学的解析を行った場合の数理モデルについて説明したが、リード化合物活性測定システム1において代謝生理学的解析を行った場合には、例えば、“Glycolysis in Bloodstream Form Trypanosoma brucei Can Be Understood in Terms of the Kinetics of the Glycolytic Enzymes” (Barbara M Bakkerら、The Journal of Biological Chemistry, 272, 3207−3215, 1997年)に記載された数理モデルを準備することができる。この数理モデルは、Trypanosoma bruceiと呼ばれる血中病原菌の解糖系に関するものである。
【0032】
また、代謝・シグナル伝達の数理モデルがhttp://www.cellml.org/examples/repository/に開示されており、これら数理モデルを準備することができる。なお、パラメータを含まないが、代謝モデルの概略がhttp://www.genome.ad.jp/kegg/kegg2.htmlに公開されている。
【0033】
〔シミュレーション〕
続いて、細胞反応推定システム2では、上記リード化合物活性評価システム1において測定された細胞活性値と、上述したように準備した数理モデルとを用いて、リード化合物の対象生体に対する影響を推定する。具体的には、以下に説明するように、上述した数理モデルを実装したソフトウェアを構築し、このソフトウェア(以下、シュミレーションプログラムと称する場合もある)をインストールしたコンピュータにより、細胞活性値を入力値としてリード化合物の対象生体に対する影響を推定する。
【0034】
具体的に、細胞反応推定システムでは、例えば、目的タンパク質がイオンチャネルの場合、cRNAの導入を行っていない卵母細胞による対照実験などと比較して、目的のイオンチャネルに関しての前述の(1)(2)式の形で表せるイオンチャネルの数理モデル式を同定する。
リード化合物がゲート機構に作用するリガンドであった場合、(2)式がリガンド濃度[L]に依存した形で表すことができ、例えば、
【0035】
【数6】
のようになる。ただし(2’)式は、リガンド濃度[L]との関係に関して未知のパラメータを含んでいる。
【0036】
そこで、数理モデルデータベース22から、該当する(1)(2’)式を選択し、これに試験条件や結果を入力して、実験結果に適合するよう(2’)のパラメータを最適化する。また、例えば作用機構が不明で(1)(2’)の関数形が未知な場合は、いくつかの候補式を数理モデルデータベース22からリストアップし、試験結果に最適な式を選択してもよい。
【0037】
合致するものがなく、細胞活性計測工程12における測定結果では数理モデルが同定できない場合、パッチクランプ法等により、イオンチャネル単体の詳細な分析を行い、直接に式を同定する方法を行うことが好ましい。
【0038】
また、これらの結果により得られた新たな式、およびパラメータは、新規に数理モデルデータベース22に登録され、次回、このリード化合物について検討が必要になったときに利用される。
【0039】
次に、図1におけるシミュレーション工程23において、数理モデルデータベース22に登録してあった細胞モデルを構成する式(1)〜(5)等により、本来評価したい対象である細胞のシミュレーションプログラムを構成する。
構成された細胞シミュレーションプログラムは、数理モデルデータベース22に登録され、次回この細胞について検討を行う際には、呼び出すだけで再構成する必要がなくなる。
【0040】
次に、該当するイオンチャネルの作用モデルを表す式を、数理モデル推定工程21で得たイオンチャネル−リード化合物の作用を表す数理モデル式(2’)で置き換える。
さらに、シミュレーション条件として、本来のリード化合物の投与対象であった細胞がおかれた環境における、細胞内外における各種イオン濃度の初期条件や温度、リード化合物の投与濃度、シミュレーション時間などを入力する。
【0041】
最後に、シミュレーションプログラムを実行すると、プログラムは組み込まれた種々のイオンチャネルの挙動を示す連立微分方程式を、定められたシミュレーション時間の分、数値積分を実行する。
【0042】
この結果、連立微分方程式の中で定義された細胞の構成要素(細胞内外の各種イオン濃度、膜電位、チャネルのゲート開口率などの値の、時系列の変化が算出され、これらの値を対象細胞の推定反応結果3として出力する。
この結果、リード化合物の作用プロセスが細胞構成要素ごとの時系列変化として表示されるため、有効性の検討のための指針が得やすいメリットがある。
【0043】
〔複数リード化合物の相互作用推定〕
なお、上述した例では、単独のリード化合物の対象生体に対する影響を推定しているが、複数のリード化合物の相互作用により様々な相乗効果をもたらすことがある。そこで、本システムにおいては、特にリード化合物活性評価システム1において、例えばリード化合物A、リード化合物B、リード化合物Cについてそれぞれ単独に試験し、モデル推定した結果を数理モデルデータベース22に登録しておく。この結果、シミュレーション工程23においてシミュレーションプログラムに上記の3つの作用モデルの数式を組み入れることで、リード化合物A、B、Cの単独の投与結果のほかに、AB、BC、AC、ABCの組み合わせといった複数ケースの相互作用の結果を検討することが出来る。
この場合、複数同時投与の実験を大幅に削減できるメリットがある。また、シミュレーション結果から作用プロセスが明確化するため、相互作用の有効性が定性的にも検討できる。
【0044】
なお、本例ではイオンチャネルのみを扱ったが、細胞では他にトランスポーターや他の受容体タンパク質、および酵素反応などの代謝、物質の移動など様々な活動が起こっており、これらを、上記と同様に微分方程式などの数理表現でシミュレーションプログラムに加えることで、これらの機能を含んだ形で細胞の活動結果を予測することが可能である。
【0045】
〔本スクリーニングシステムにおける他の実施の形態〕
ところで、本発明を適用したスクリーニングシステムにおいては、以下に説明するように、モデル細胞において本来発現している他のタンパク質の機能を考慮して更に詳細な推定作業を行うことができる。
【0046】
すなわち、この場合、細胞活性計測工程12においてcRNAを導入しない細胞による対照実験の結果から、評価対象のタンパク質だけではなく、通常、その細胞が持っている評価対象以外のタンパク質もリード化合物と作用してしまい、計測結果に影響を及ぼすことが考えられる。この場合、この実験細胞では前述の(1)(2)式の形で表せる一種類のイオンチャネルの式だけが成立しているとみなすと、正確な推定作業を行えない虞がある。
【0047】
そこで、本スクリーニングシステムにおいては、まず、数理モデル推定工程21で、モデル細胞に発現する評価対象以外のタンパク質(既知のイオンチャネル群)に関して、(1)〜(5)と同等の数理モデルを数理モデルデータベース22から呼び出し、これを用いてシミュレーションモデルを構築する。さらに、評価対象のタンパク質(目標のイオンチャネル)とリード化合物濃度との関係に関しての数理モデル(1)(2’)と同等の式を、評価対象以外のタンパク質についても数理モデルデータベース22から選択し、これらを数理モデルに加える。
【0048】
そして、細胞活性計測工程12での試験条件を初期条件としてシミュレーションを行い、シミュレーション結果と細胞活性計測工程12での試験結果の誤差が最小になるよう(2’)式のパラメータを調整する。パラメータの調節には、パウエル法のような数学的収束方法や、遺伝アルゴリズムのような試行錯誤方法を用いることができる。
【0049】
このようにして、評価対象以外のタンパク質とリード化合物濃度との関係を示す数理モデルを得た後、シミュレーション工程23において、対象生体のシミュレーションプログラムに、評価対象以外のタンパク質とリード化合物濃度との関係を示す数理モデルを加え、シミュレーションを実施する。
【0050】
この場合、評価目対象のタンパク質の発現量がモデル細胞内で僅少であっても、評価対象以外のタンパク質とリード化合物との相互作用による影響を排除することができるため、評価目対象のタンパク質とリード化合物との相互作用をより正確に推定することができる。
【0051】
〔本スクリーニングシステムにおける他の実施の形態〕
また、本スクリーニングシステムは、図5に示すように、細胞反応判定工程24と細胞活性−反応データベース25を備える細胞反応推定システム2によって、対象生体における反応を推定することができる。
本例において、細胞活性−反応データベース25には、過去に行われたモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果と、対象生体におけるリード化合物投与試験の結果とを試験条件ごと対応付けて格納しておく。ここで、過去に行われたモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果は、リード化合物濃度、細胞電流変化量及び細胞電流変化時間等の各項目をパラメータとし、評価関数に基づいて算出された評価指数を関連付けて格納される。
【0052】
本スクリーニングシステムにおいては、上述した例と同様に細胞活性計測工程12を実施し、得られた細胞活性値を用いて細胞反応判定工程24を行う。細胞反応判定工程24では、細胞活性計測工程12の結果の各項目(リード化合物濃度、細胞電流変化量、細胞電流変化時間など)をパラメータとし、評価関数を用いて評価指数を算出する。
【0053】
細胞反応判定工程24では、次に、細胞活性計測工程12の結果から算出された評価指数と最も近い評価指数を細胞活性−反応データベース25から検索する。そして、検索された評価指数と対応付けられた過去のモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果と、これに対応する対象生体におけるリード化合物投与試験の結果を、推定反応結果として抽出する。
【0054】
評価関数・指数の具体例として、簡単には、リード化合物濃度と細胞電流変化の最大値の関係を一次近似し、その傾きを評価指数として、細胞活性−反応データベース25の評価指数と比較する方法がある。
【0055】
また、評価関数・指数の別の例として、前記一次近似結果の傾きを評価指数A、細胞電流変化量が、最大値から一定割合まで減少するまでの平均時間を評価指数Bとする。次に、細胞活性−反応データベース25における評価指数A’及びB’と重み付け定数wとを使って、(A−A’)2+w(B−B’)2を計算する。そして、この値が最小となるものを検索する方法がある。
【0056】
あるいは、細胞反応判定工程24では、細胞活性計測工程12の結果から算出された評価指数と細胞活性−反応データベース25に格納されている評価指数との一致度を検索しても良い。この場合、例えば、所定の基準を超える一致度を示すものを一致度の高い順に、推定反応結果として一覧表示することができる。すなわち、一致度の高い評価指数と対応付けられた過去のモデル細胞による細胞活性計測工程12の結果と、これに対応する対象生体におけるリード化合物投与試験の結果とを、一致度の高い順に並べて表示することができる。
【0057】
この場合には、対象生体におけるリード化合物投与試験の結果の評価指数の分布を表示することができる。これにより、推定結果の分布のばらつき具合によって、推定結果の妥当性を評価することができる。
【0058】
特に本スクリーニングシステムにおいては、上述したような数理モデルを作成する必要が無く、また、細胞活性計測工程12の結果からシミュレーションを行う必要も無いため、対象生体におけるリード化合物の影響をより簡易に推定することができる。
【0059】
〔本スクリーニングシステムを用いたビジネスモデル1〕
上述した本スクリーニングシステムを用いて医薬品開発等におけるリード化合物のスクリーニングサービスを提供する方法について、図6を用いて説明する。
図6に本スクリーニングサービスの概略図を示す。本サービスは、サービス提供者40とサービス利用者41によって構成される。サービス提供者40は、上述したリード化合物活性評価システム1を備えている。また、サービス利用者41は、計算機および記憶装置と、細胞における各種反応を推定するプログラムとデータベースとからなる細胞反応推定システム2をサービス提供者40から提供、あるいは貸与される。
【0060】
本サービスでは、先ず、サービス利用者41が実験細胞試験条件50をサービス提供者40に提示し、スクリーニングサービスを依頼する。
実験細胞試験条件50は、スクリーニングしたいリード化合物の情報(化学式等)、およびスクリーニング条件(リード化合物の投与濃度等)、評価対象のたんぱく質に関する情報を含む情報である。特に、実験細胞試験条件50としては、スクリーニングしたいリード化合物の情報を除く情報であることが好ましい。スクリーニングしたいリード化合物の情報を実験細胞試験条件50として開示しない場合には、例えば、サービス利用者41がサービス提供者40に対して管理番号を付与したリード化合物を別途提供する。これにより、本サービスにおいては、リード化合物に関する情報を、サービス提供者40を含む他者から秘匿することができる。
【0061】
次に、スクリーニングを依頼されたサービス提供者40は、実験細胞試験条件50に基づいて、上述したリード化合物活性評価システム1によって、モデル細胞におけるリード化合物の活性評価試験を行う。そして、サービス提供者40は、得られた試験結果を、サービス利用者41が有する細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換しサービス利用者41に送付する。
【0062】
次に、サービス利用者41は、送付されたデータ、および、対象細胞推定条件51を細胞反応推定システム2に入力する。
対象細胞推定条件51とは、サービス利用者41の検討対象である細胞等の対象生体に関する情報であり、例えば、対象生体の種類、初期条件、スクリーニングを依頼したリード化合物とは異なる他のリード化合物に関する情報等を挙げることができる。
【0063】
サービス利用者41は、上述したように細胞反応推定システム2によって、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定し、対象生体の反応推定結果3を得る。本例で説明したスクリーニングサービス提供方法において、サービス提供者40は、細胞反応推定システム2をサービス利用者41に対して提供、あるいは貸与する。これにより、サービス提供者40は、モデル細胞を用いたリード化合物の活性評価試験を行い、その結果を所定のフォーマットでサービス利用者41に提供するだけでよく、活性評価試験の結果を用いた、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定する必要がない。
【0064】
一方、サービス利用者41は、モデル細胞を用いたリード化合物の活性評価試験をアウトソーシングすることができ、医薬品等のスクリーニングを低コストで行うことができる。特に、サービス利用者41は、リード化合物に関する情報を隠匿しても本サービスを利用することができ、リード化合物に関する情報の漏洩を防止することができ、安心して本システムを利用することができる。
【0065】
〔本スクリーニングシステムを用いたビジネスモデル2〕
上述した本スクリーニングシステムを用いて医薬品開発等におけるリード化合物のスクリーニングサービスを提供する他の方法について、図7を用いて説明する。
【0066】
図7に本スクリーニングサービスの概略図を示す。本サービスは、サービス提供者40とサービス利用者41によって構成される。サービス提供者40はリード化合物活性評価システム1、および計算機および記憶装置と細胞における各種反応を推定するプログラムとデータベースとからなる細胞反応推定システム2を備えている。また、サービス利用者41は、インターネット等のネットワークを通じて、サービス提供者40が管理する細胞反応推定システム2にアクセスが可能な通信端末機器60を備えている。
【0067】
本サービスでは、先ず、サービス利用者41は、図6に示したスクリーニングサービスと同様に、実験細胞試験条件50をサービス提供者40に提示し、スクリーニングサービスを依頼する。
【0068】
次に、スクリーニングを依頼されたサービス提供者40は、図6に示したスクリーニングサービスと同様に、実験細胞試験条件50に基づいて、上述したようにリード化合物活性評価システム1によって、モデル細胞におけるリード化合物の活性評価試験を行う。サービス提供者40は、得られた結果を細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換して、細胞反応推定システム2へ入力する。また、サービス提供者40は、サービス利用者41に対して、細胞反応推定システム2への一定のアクセス権限を与える。サービス利用者41は、サービス提供者40からアクセス権限が与えられると、ネットワークを通じて細胞反応推定システム2を操作することが可能となる。
【0069】
次に、サービス利用者41は、通信端末機器60を用い、ネットワークを経由して対象細胞推定条件51を細胞反応推定システム2に入力する。サービス利用者41は、ネットワークを経由して上述した細胞反応推定システム2を操作することでき、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定することができる。なお、推定結果は、対象生体の反応推定結果3としてネットワークを通じ通信端末機器60に送られ、サービス利用者41が利用することができる。なお、これら一連のネットワークを通じた通信データは、暗号化などによりサービス利用者41以外の他者に対し秘匿されることが望ましい。
【0070】
本サービスにおいては、サービス提供者40は、細胞反応推定システム2を備え、ネットワークを介してサービス利用者41に細胞反応推定システム2を利用させている。このように構成することによって、サービス提供者40は、多数のサービス利用者41に細胞反応推定システムを提供或いは貸与する場合と比較して、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を容易に行うことができる。換言すれば、本サービスにおいては、サービス利用者41は、サービス提供者40が備える細胞反応推定システムを利用するため、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を行う必要がない。したがって、本サービスは、サービス利用者41にとって非常に利用しやすいものとなる。
【0071】
さらに、サービス提供者40は、サービス利用者41との間で様々な契約形態を締結し得る。すなわち、本サービスにおいて、サービス提供者40は、契約形態に応じて、細胞反応推定システム2へのアクセス権の範囲、アクセス期間、利用できるデータベースの範囲などを細かく設定でき、多様なサービスを提供することができる。換言すれば、サービス利用者41は、本サービスの利用目的に応じてサービス提供者40と契約を結ぶことができ、本サービスの有効利用を図ることができる。
【0072】
〔本スクリーニングシステムを用いたビジネスモデル3〕
上述した本スクリーニングシステムを用いて医薬品開発等におけるリード化合物のスクリーニングサービスを提供する他の方法について、図8を用いて説明する。
【0073】
図8に本スクリーニングサービスの概略図を示す。本サービスは、サービス提供者40とサービス利用者41とリード化合物投与試験者42とによって構成される。サービス提供者40は計算機および記憶装置と細胞における各種反応を推定するプログラムとデータベースとからなる細胞反応推定システム2を備えている。また、サービス利用者41は、インターネット等のネットワークを通じて、サービス提供者40が管理する細胞反応推定システム2にアクセスが可能な通信端末機器60を備えている。リード化合物投与試験者42は、リード化合物活性評価システム1を備えている。
【0074】
本システムにおいては、先ず、サービス利用者41が図4に示したスクリーニングサービスと同様の実験細胞試験条件50をリード化合物投与試験者42に提示し、リード化合物投与試験の実施を依頼する。
【0075】
次に、リード化合物投与試験者42は、サービス利用者41の依頼に基づいて、モデル細胞におけるリード化合物の活性評価試験を行う。リード化合物投与試験者42は、リード化合物投与試験の結果を細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換して、サービス提供者40に対して送信する。なお、リード化合物投与試験の結果を細胞反応推定システム2への入力フォーマットに変換せず、そのままサービス提供者40に対して送信してもよい。この場合、リード化合物投与試験の結果は、サービス提供者40の側で入力フォーマットに変換すればよい。
【0076】
次に、サービス提供者40は、リード化合物投与試験者42から取得した結果を用い、上述したように細胞反応推定システム2によって、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定し、対象生体の反応推定結果3を得る。このとき、サービス利用者41に対しては、サービス提供者40から細胞反応推定システム2への一定のアクセス権限を与える。サービス利用者41は、サービス提供者40からアクセス権限が与えられると、ネットワークを通じて細胞反応推定システム2を操作することが可能となる。
【0077】
次に、サービス利用者41は、通信端末機器60を用い、ネットワークを経由して対象細胞推定条件51を細胞反応推定システム2に入力する。サービス利用者41は、ネットワークを経由して上述した細胞反応推定システム2を操作することでき、対象生体におけるリード化合物投与結果を推定することができる。なお、推定結果は、対象生体の反応推定結果3としてネットワークを通じ通信端末機器60に送られ、サービス利用者41が利用することができる。なお、これら一連のネットワークを通じた通信データは、暗号化などによりサービス利用者41以外の他者に対し秘匿されることが望ましい。
【0078】
本サービスにおいては、サービス提供者40は、リード化合物活性評価システム1を備えず、細胞反応推定システム2を備え、ネットワークを介してサービス利用者41に細胞反応推定システム2を利用させている。このように構成することによって、サービス提供者40は、リード化合物活性評価試験を行う必要もなく、多数のリード化合物活性評価試験者42における試験結果を効率よく解析することができる。また、サービス提供者40は、多数のサービス利用者41に細胞反応推定システム2を提供或いは貸与する場合と比較して、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を容易に行うことができる。換言すれば、本サービスにおいては、サービス利用者41は、サービス提供者40が備える細胞反応推定システムを利用するため、細胞反応推定システム2を構成する計算機および記憶装置とプログラム・データベース等の保守・管理等を行う必要がない。したがって、本サービスは、サービス利用者41にとって非常に利用しやすいものとなる。
【0079】
さらに、サービス提供者40は、サービス利用者41との間で様々な契約形態を締結し得る。すなわち、本サービスにおいて、サービス提供者40は、契約形態に応じて、細胞反応推定システム2へのアクセス権の範囲、アクセス期間、利用できるデータベースの範囲などを細かく設定でき、多様なサービスを提供することができる。換言すれば、サービス利用者41は、本サービスの利用目的に応じてサービス提供者40と契約を結ぶことができ、本サービスの有効利用を図ることができる。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、細胞や組織といった実際の生体における作用物質の影響を推定することができる、作用物質による効果推定方法及び作用物質のスクリーニング方法並びに、効果推定プログラム及びスクリーニングサービス提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したスクリーニングシステムの全体構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】アフリカツメガエル卵母細胞の膜電位固定法による全細胞電流測定の模式図である。
【図3】アフリカツメガエル卵母細胞の膜電位固定法による細胞電流測定結果の一例を示す特性図である。
【図4】イオンチャネルを持つ細胞の模式図である。
【図5】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【図6】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【図7】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【図8】本発明を適用したスクリーニングシステムの他の実施の形態を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1. リード化合物活性評価システム
2. 細胞反応推定システム
3. 対象細胞の反応推定結果
4. 公開生体数理モデルデータベース
11. 遺伝子導入・発現工程
12. 細胞活性計測工程
21. 数理モデル推定工程
22. 数理モデルデータベース
23. シミュレーション工程
24. 細胞反応判定工程
25. 細胞活性−反応データベース
40. サービス提供者
41. サービス利用者
50. 実験細胞試験条件
51. 対象細胞推定条件
60. 通信端末機器
Claims (14)
- 下記工程を含む作用物質による対象生体に対する効果推定方法。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程 - 前記工程(b)では、作用物質によるモデル細胞に対する影響を示す数理モデルに基づいて、対象生体に対する影響を推定することを特徴とする請求項1記載の効果推定方法。
- 上記数理モデルは、上記モデル細胞の電気生理モデルであることを特徴とする請求項1記載の効果推定方法。
- 前記工程(b)では、作用物質を接触させたときのモデル細胞の細胞活性値と、当該細胞活性値を示す作用物質を対象生体に接触させたときの対象生体への影響とを関連付けて格納したデータベースを用いて、対象生体に対する影響を推定することを特徴とする請求項1記載の効果推定方法。
- 前記工程(a)の前に、モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定する工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の効果推定方法。
- 前記工程(b)の後に測定結果を出力する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の効果推定方法。
- 下記工程を含み、作用物質による対象生体に対する効果を推定するコンピュータプログラム。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程 - 前記工程(b)では、作用物質によるモデル細胞に対する影響を示す数理モデルに基づいて、対象生体に対する影響を推定することを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
- 上記数理モデルは、上記モデル細胞の電気生理モデルであることを特徴とする請求項8記載のコンピュータプログラム。
- 前記工程(b)では、作用物質を接触させたときのモデル細胞の細胞活性値と、当該細胞活性値を示す作用物質を対象生体に接触させたときの対象生体への影響とを関連付けて格納したデータベースを用いて、対象生体に対する影響を推定することを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
- 前記工程(b)の後に測定結果を出力する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
- 下記工程を含む作用物質のスクリーニングサービス提供システム。
(a)モデル細胞に対して作用物質を接触させ、当該モデル細胞の細胞活性値を測定した結果を取得する工程
(b)前記工程(a)で測定した細胞活性値を入力値とし、当該作用物質を対象生体に作用させた場合の当該対象生体に対する影響を推定する工程 - 前記工程(a)で取得する結果を、外部から取得することを特徴とする請求項12記載のスクリーニングサービス提供システム。
- 前記工程(b)では、作用物質を接触させたときのモデル細胞の細胞活性値と、当該細胞活性値を示す作用物質を対象生体に接触させたときの対象生体への影響とを関連付けて格納したデータベースを用いて、対象生体に対する影響を推定することを特徴とする請求項12記載のスクリーニングサービス提供システム。
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