JP2004355616A - 情報提供システム並びに情報処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、実世界での様々な情報を収集して、実世界の状況を可視化して、実世界の状況を左右する要因についての知見を得、さらに実世界の現象を記述するモデルを得、実世界の状況をシミュレーションするための方法、装置、システムを実現する。
【解決手段】
本発明の好ましい実施形態の一つは、実世界に情報提供装置を多数設置して、被情報提供者に情報提供し、情報提供の状況を情報処理システムによって収集し、可視化して、実世界における情報の広がり方やその変化について分析をするというものである。
また、本発明のもう一つの実施形態は情報提供装置からの情報収集に限らず、様々な既存の情報システムからのデータと、既存の社会的な情報組み合わせて、社会や市場や経済の状況を可視化し、モデル化し、分類し、シミュレーションするというものである。
【選択図】図1


Description

本発明は、情報提供のためのシステムと、情報処理のための装置及びシステムに関する発明である。
消費者や市場に商品やサービスを告知し、商品やサービスの存在を認知させ、興味と購買意欲を喚起することは産業にとって非常に重要である。
また、市場が複雑化し急速に変化する現代では、消費者のニーズや嗜好の変化をいち早く察知して商品やサービスにフィードバックすることは、産業にとってさらに重要である。
しかし、消費者や市場に対する情報提供を効果的に行うには、実際の社会・市場における消費者や市場の興味や嗜好の状況とその変化、さらにはその原因となる社会や市場における傾向や変化を把握し理解し予測することが必要になる。このような、社会や市場や経済の振る舞いや変化を把握し理解し分析し予測しようとする試みが為されてきた。その大きな目的は、企業や行政などが将来において、よりよい(望ましい)状態になるために、将来予測される事態に対して備えよりよい対策を産み出すためのものである。
最近では、消費者の興味や嗜好の状況や変化或いは様々な流行などを把握し理解し分析し予測しようとする試みとしてインターネットを利用して情報を収集し分析を行おうとする技術が提案されている。しかしインターネットの世界はあくまで限られた仮想世界(バーチャルワールド)環境である。
しかし、実世界(リアルワールド)環境である社会や市場や経済の振る舞いや変化などに関する膨大な情報を収集し、多数の要素が相互作用する複雑系現象として有効に分析し説明・理解・予測をおこなう方法論は殆どがまだ研究段階である。
一方、近年の急速な情報技術、特にトランザクション系IT(具体例としてはPOS(ポイントオブセールス)やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)やERP(エンタープライズリソースマネジメント)などの企業情報システム)の進歩によって、直接的な消費者の関心や興味や行動履歴などの情報をはじめとして社会・経済・市場活動における膨大なデータが企業や行政のデータベースに集積されている。
また今後、ICタグなどに代表されるユビキタスコンピューティング技術の実装に伴い、さらに膨大なデータが蓄積されることは確実である。
このような膨大なデータから、社会・市場・経済やその現象について有効な知見及び説明・理解・分析・予測を与えてくれる情報出力を生み出すための、進歩的且つ効率的な情報処理技術の実現は産業活動や行政活動にとって急務であり、変化の時代に対応した産業の大きな発展にも繋がる。
当然、社会・市場・経済などのような膨大な要素が相互作用する巨大な系をモデル化することなしに有効な知見及び説明・理解・分析・予測を得ることは困難である。しかし、限定的な合理性しか有しえない人間の頭脳によって膨大な要素が相互作用する巨大な系を精緻にモデル化することもまた困難である。
一般的に、ある系やそこで起きている現象を理解するための方法は主に分析的手法と可視化手法に分類される。従来は分析的手法としては主に線形的・要素還元的な分析手法、具体的には統計的手法が用いられ。可視化手法としては主に表やグラフやGISなどによる静的な可視化手法が用いられてきた。また、従来の経済モデルや社会モデルは時間的な変化を扱うものが多く、空間的な変化、特に実世界対応した空間属性情報をモデルに取り込んで現象を扱う(情報処理する)ようなモデルや方法は少なかった。
しかし、社会や市場における現象は、多くの要素が相互作用し、さらに結果が原因に影響を及ぼす非線形な複雑系であり、静的、線形的要素還元的な手法によって分析・予測を行うことは困難である。
そのため、系全体或いは現象全体を概観できるような仕組み、さらには限定的な合理性しか有しない状態でも、複雑で巨大な系や現象に対して正しい理解を促すような構成的な仕組みの実現が求められている。
原因をさぐる統計学―共分散構造分析入門 豊田秀樹 講談社 (1992/07) 計量経済学 浅野 析、中村二郎 有斐閣 (2000) 多変量解析のはなし―複雑さから本質を探る 大村平 日科技連 (1985/02) 非線形経済動学 リチャード・M. グッドウィン 日本経済評論社 (1992/12) 非線形経済動学とカオス ハンス‐ヴァルター ローレンツ 日本経済評論社 (2000/10) I.プリゴジン、I.スタンジェール 1984 混沌からの秩序 みすず書房 社会シミュレーションの技法 伊庭 崇 人工社会―複雑系とマルチエージェント・シミュレーション Joshua M。 Epstein 構造計画研究所 (1999/12) 実験経済学の原理と方法 ダニエルフリードマン 同文舘出版 (1999/07) 人口市場アプローチによる家庭用VTRの規格競争 「情報処理学会誌:モデルと応用」Vol.42 No.SIG14(TOM5) (平成13年12月) 社会・経済のエージェントベースモデリングのフレームワーク 情報処理学会誌 カオスの素顔 ニーナ・ホール 講談社(1994/8) 自然の中に隠された数学 イアン・スチュアート 1996 草思社
一方、自然科学の分野では、複数の要因の相互作用によって成り立つような非線系的な力学的現象についてのモデル化の方法、及びその数値的なシミュレーション方法が開発されてきた。
特開2001−99748 複雑系を解く確率モデル 香取 眞理 講談社 (1997/11) パソコンで見る流れの科学(数値流体力学入門)矢川 元基 講談社 (2001)
また、社会の状況を理解するため手段として、近年発達してきた地図情報システムがある。GISとはGeographical Information Systemsの略で、地図上に様々な情報を重ね合わせて表示し分析するシステムであり、紙地図やそれに付随する様々な情報をデジタル化したデータとしてコンピュータに格納し、要求に応じた加工を施して、新たな情報を提供するシステムである。
さらに、計算機科学ではエージェントと呼ばれる、知的で自律的なソフトウェアが提案されている。
特許第2885130号また、ロボット工学(ロボティクス)の分野では、ハードウェアに知的機能を付与することで自律的に動作する機械を創造しようとする試みがなされている。さらに、人工知能の研究から、認知科学が派生し、様々な科学分野を統合して、計算機(機械)上にある種の知性を持たせるための研究がなされている。これらの提案や研究は、計算機(機械)に従来よりも高い知性を獲得させることによって、計算機や機械に従来よりも高度なサービスを行う、従来よりも高度に人間の活動を補助させるためである。
社会・市場・経済における現象の多くは、多数の要素(パラメーター)が複雑に相互作用し合うことによって様々に変化して行く現象であり、結果が原因に影響を及ぼす非線形な現象でもあるので、例えば小さな要素が現象の変化に大きく影響を及ぼす事も多い。
また、このような非線形な現象の特徴として、決定論的で分析可能であるが、初期値に鋭敏であることが多く、予測が非常に困難である。また、小さな要因や大きな要因が複雑に相互作用し合う現象を動的に捉えることが困難である。
さらに、統計的手法では時系列に変化する現象を大きく一般化して分析し現象をおおまかに捉えることと現象のミクロな部分の切片を詳細に分析することを統合して時系列な現象の変化とその要因の関係を検討することが困難であばかりでなく、現象の変化を線形的に予測してしまうため複雑に変化する現象の時系列的な可能性を充分に予測し得ないことも大きな課題である。
このように、複雑系や非線形な系における現象は、要素還元的或いは線形的或いは統計的な手法では本質的に捉えきれず、市場や社会の振る舞いや変化を起因する要因(要素とその相互作用)を推定することが困難である。
このことから、従来的な要素還元的なモデル化手法や統計的手法で社会・市場・経済の現象を分析する際には、手法そのものが現象の把握・理解・予測に対するフィルターとなってしまい系とその現象についての重要な要因(要素やその相互作用)についての知見を見失う可能性もあった。
さらに従来技術を産業に実際的に応用する際の具体的な課題としては、統計手法を使った分析技術は高度化精緻化されているが現象を直観的に理解するのは難しい。また統計的手法は推定や予測においては正規分布の仮定を要することや、正確な分析・説明・理解を行うには統計手法について十分な教育やトレーニングを受けずに使用することは誤解や誤用を招きかねず、企業の現場の担当者や企業の意思決定者にとって使いやすく直感的に理解しやすい手段とは言い難いこと
などの課題があった。
また上述のように、社会・市場・経済とその現象についての可視化手法は、主に表やグラフ或いはGISとの組み合わせによる静的な表現が主に利用されてきたが、表やグラフやGISなどによって、系を構成する要素の内の限られた一部要素や一部の要素間の相互作用のみを取り上げ、系の一断面として静的に表現することには系そのものや系の現象を明確に表現しているとは言い難い。
具体例としては、社会・市場・経済における情報を可視化する技術として、白地図やGIS(地図情報システム)などがある、これらは社会・市場・経済における空間的な属性情報と、現象の変化量などを空間的に可視化しようとするものであり。統計処理と組み合わせることで、社会や市場の現象を可視化する道具である。
しかし、白地図やGISは静的な空間的表現は可能であるが、要素間の相互作用を計算することや、動的な時系列的表現を行うことは困難である。このため最も大きな目的である変化の様子を知ること、及び変化に影響を及ぼす要素間の相互作用について知見を得ることが難しい。
上述のような課題を抱えた従来的な分析手法では、統計について教育とトレーニングを受けた分析者に分析を任せることが多かった。このため実際に社会・市場・経済の状況を知りたい担当者や意志決定者と分析者の間に相互理解を得るためのコミュニケーションを行う必要があるが、往々にして分析や説明の目的と手段とが乖離してしまうこともあった。また分析に手間と時間がかかり、実際には分析した結果が出たとたん(比較的短い時間で)その予測の範囲を大きく逸脱することも多く、企業や行政が将来的な備えをすることが困難であった。
社会や市場や経済は、多くの要素が相互作用し、さらに結果が原因に影響を及ぼす非線形な複雑系であり、従来的な手法(統計、集計・分析表、グラフなど)で分析や予測を行うことには限界が存在する。社会・市場・経済などのような巨大な系やその現象(振る舞い)を余すことなく全体的に概観し理解するための道具が必要である。
そこで、本発明では社会・市場・経済とそこで起きている現象を、統計や複雑系や非線形や可視化やシミュレーションの知識を持たない者(実際に知見を得る必要がある担当者や意志決定者)でも自ら簡便に社会・市場・経済やそこで起きている現象を、ほぼリアルタイムに可視化し説明し分析しシミュレーションすることが可能な情報処理システムを提供する。
他方では、経済や社会や市場を把握し分析する手法として経済学や社会科学やマーケティングが存在する。経済学は物理学や数学からモデル化の手法を取り入れ、複雑な社会や市場の動きや変化(振る舞い)を数理的な経済モデルによって、分析・理解・説明・予測しようと試みてきた。
しかし、経済モデルが、還元的な手法によって単純化された線形モデルから、複雑な社会や市場の姿を反映させた非線形モデルに移行するに従って、モデルやその示すところがますます難解さを増加させ、モデルから導き出された解を実際的に、産業活動や行政活動に活用することが困難になっている。
さらに、従来的な社会・市場・経済モデルは、ある仮定的な設定に基づいて時間成分、或いは空間成分における現象の展開を計算し、結果をグラフや表やGISによって時系列変化或いは空間的変化の一断面としてのみ表現することがほとんどであり、実際の時空間に属する情報や状況に対応して、時空間における現象の展開を動的に計算・可視化・説明するような方法或いは装置は無かった。
前述したように、社会・市場・経済における従来的な方法論は、還元的な手法によるものが殆どであり、多くの要素が相互作用する時空間に広がる複雑で非線形な現象として社会をみたときに、産業に役立つ実際的道具としての応用に大きな課題があった。また、社会・市場・経済を複雑で非線形な系として扱う複雑系科学においては、カオスや自己組織化など複雑系を特徴づける現象について発見がなされているが、実際の世界を複雑系として概観する方法やシステムは無かった。さらに、産業に役立つような方法やシステムとして、実際に社会・市場を構成する要素の相互作用として現象を可視化し、シミュレーションし、分類し、モデル化し、実際の社会・市場・経済になにが起きているのかをリアルタイムに可視化し、シミュレーションし分析することができるような、実際的な応用を可能にする方法やシステムは無かった。
一方、近年、非常に問題になっている「社会と自然界が相互作用する現象」がクローズアップされている、それは「感染症」である、突如発生する強力な感染症に対して、感染現象を把握・理解・分析し、世界的に蔓延することを防止する方法論(危機管理システム)を早急に確立する必要がある。従来から様々な感染症蔓延モデルや感染ルートの解明手段が開示されているが、複雑で非線形な社会現象として、総合的に「社会と自然界が相互作用する現象」として感染症をとらえることができるような方法や装置は存在していない。
上述のような様々な課題を解決するために本発明では、社会・市場・経済及び自然界の様々情報を収集し、可視化し、分類し、モデル化し、シミュレーションし、シミュレーションと実際の状況を比較することによって、社会・市場・経済などの複雑系を全体として概観できるような仕組み、さらには十分な知見がない状態で社会・市場・経済などの複雑で巨大な系における現象に対して理解を促すような構成的な仕組みの実現する情報処理システムを実現し、社会・市場・経済などの複雑で巨大な系の現象(振る舞いや変化)を導く法則を明確にするための道具として提供する。
具体的には本発明では、ICタグなどのユビキタスコンピューティング環境に直結した高いリアルタイム性を持つ可視化・シミュレーション・分析システムを実現する。
本発明による方法及び装置並びにシステムの目的は、時間軸と空間成分を有する(空間成分には実世界の様々なパラメータや量が対応づけられている)実世界対応型の可視化・シミュレーションツールであり、先端的なビジネスツールであると同時に、新たな経済学・社会科学の検証ツールでもあり、高度な可視化・シミュレーションによる社会・市場分析を、専門家を必要とせずに簡便に行えるツールを実現することにある。
本発明による方法及び装置並びにシステムは、急速に進歩し変化する環境に適応する、社会・経済・市場で起きている現象をリアルタイムに把握し、説明することができる構成的な手法、帰納的なモデルを扱える情報システムである。これらにより、企業の実問題において、意思決定の強力な補助となる次世代型情報処理システムが実現する。
本発明による方法及び装置並びにシステムの実現によって、市場の状況にリアルタイムに対応するビジネスのスキームを構築することが出来る。
本発明による方法及び装置並びにシステムは、複雑系科学の検証・実験ツールとして利用できる。本発明を社会科学者や経済学者が利用することによって、社会・経済・市場における複雑系特有の現象、具体例としてはカオスや自己組織化現象等を発見できる可能性がある。
本発明による方法及び装置並びにシステムは、従来的な要素還元的・線形的・決定論的な環境(社会・経済・市場)への対応から、全体的な要素の相互作用として環境(社会・経済・市場)を捉え、予測不可能な変化にも柔軟に対応するアプローチの形成を可能にする。
本発明は具体的には、ITの進化及びユビキタスコンピューティング社会の実現により発生した膨大なデータを日々変化する実世界の現象として地図上のアニメーションで表示し、様々な社会、経済、市場の状況や非線形な変化や複雑な現象を一目瞭然で理解する事を可能にするばかりではなく、経済モデルなどを利用して社会、経済、市場の現象をシミュレーションし理解する事を可能にする。
本発明により、データマイニング、統計、非線形系、複雑系、可視化、シミュレーションなどに関する特別な知識を持たずに、社会、市場、ユビキタスコンピューティング環境における膨大な情報を利用して実際的な社会、市場の可視化と複雑系の知見を統合したシミュレーションによる情報分析を実現する。
従来のGISシステムでは、社会現象を動的に表現する事は困難だった。また様々な社会的な要素(データ)の相互作用を計算したり。モデルを利用してシミュレーション(或いは予測)する事は出来なかった。そこで数理地図上に様々な社会の要素(データ)や要素(データ)の相互作用を動的に計算しシミュレーション(或いは予測)し動画として表現する事が出来る情報処理システムを実現する。
プラニングや意思決定支援は、人間の知的活動の中でも、高度なものである。
プラニングは、多くの可能なプランから選択するという問題であり。プラニングのための必要な道具立てとしては、状態についての理解と、プラン(選択肢)を選択した結果についての理解が必要である。また意思決定支援では置かれた環境(状況)についての理解を必要とする。
計算機は記号処理を行う機械であり、知識は数値化或いはコード化することによって計算機で扱えるようになる。つまり、計算機によって高度なサービスを行うためには、環境(状況)をコードで記述する或いは環境(状況)そのものを数値化する必要がある。
しかし、人間が置かれた環境(状況)である社会(社会現象)は複雑であるため適切に数値化或いはコード化することが困難であり、現状で人間が有する社会についての知識はその多くが形式化されていない暗黙的な知識である。
さらに社会という外的環境及びその要因及びその変化に関する予測を、計算機(機械)が自律的本発明を、現実世界に実装されてロボットやキオスクなどのように行動や情報提供によってサービス提供を行う機械或いはソフトウェアエージェントなどのようネットワーク上に実装されてサービスを行う手段と組み合わせることによって、
社会現象や社会の状況について情報を得て、社会現象や社会の状況を認知して、社会現象や社会の状況の変化を予測する手段を有するロボットややソフトウェアエージェントを実現する基礎技術を提供する。
本発明における情報処理システムは、
情報提供手段から情報を取得することが可能な情報取得装置と、
情報提供手段から取得した情報を基に情報取得装置が接続することが可能な情報処理手段を有し
情報取得装置が情報処理手段との間で行った情報処理の結果を
情報処理手段が記憶し視覚化し分析することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは
複数の固有の識別情報を有する情報提供手段と、複数の情報取得装置を有し、
さらに各情報提供装置が固有の識別情報を含む情報を、情報取得装置に提供し
さらに情報取得装置から情報処理手段が情報提供装置の識別情報を取得することにより
情報処理手段が、情報提供手段の固有の識別情報を含む情報を記憶し視覚化し分析することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは
複数の情報提供手段と、複数の固有の識別情報を有する情報取得装置を有し、
さらに情報取得装置から情報処理手段が情報取得装置の識別情報を取得することにより
情報処理手段が、情報取得装置の固有の識別情報を含む情報を記憶し視覚化し分析することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、情報提供手段の固有の識別情報が、その情報特徴手段の存在する位置を示す情報が含む或いは示すことが出来ることを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、前記情報処理結果を前記情報処理手段が時系列的に記憶し視覚化し分析することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、現象を視覚化しシミュレーションする情報処理システムであって、その構成に現象の分析に必要なデータを収集する手段と、現象のデータを情報処理可能な形式に変換する手段と、変換したデータを視覚化する手段と、視覚化された現象のパターンを認識する手段と、認識した現象のパターンを記憶する手段と、記憶された現象のパターン同士を比較し近似の現象のパターンを抽出する手段と、比較の結果から現象のパターンを記述する方程式を予め記憶した方程式から選択して設定する手段と、現象を記述する方程式が存在しない場合には、新たに方程式を設定する手段と、方程式の各パラメーターを設定する手段と、設定した方程式とパラメーター及び収集したデータを基に現象の予測シミュレーションを行う手段と、予測シミュレーションの結果を視覚化する手段と、捜索或いは生成された現象のパターン及び/又はパラメーターに共通の方程式を基にシミュレーションされた現象と、最新のデータを比較する手段、のいずれか或いは全てを備える情報処理システム。のいずれか或いは全てを備えることを特徴とする情報処理システムである。
本発明における情報処理システムは、
社会的な状況及び/又は現象を可視化する及び/又は分類する及び/又はモデル化する及び/又はシミュレーションする情報処理システムであって、実世界における様々な現象を構成する要素として情報提供装置からのデータに限らず企業情報システム(具体例としてはPOSシステム、CRMシステム、RFタグなどのユビキタスコンピューティング情報システム)からのデータと社会的なデータを組み合わせて、社会的な状況及び/又は現象の時系列ファイルを生成し、計算機上の離散化された時空間モデル上において社会的な状況及び/又は現象を動的に可視化する及び/又はシミュレーション実世界における(社会・市場・経済)現象の動き・振る舞い・変化などを直感的に把握・理解を可能にすることを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
社会的な状況及び/又は現象を分析する情報処理システムであって
様々な可視化データを蓄積し比較することによって、様々な(社会・市場・経済における)現象を分類し、モデル化することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
社会的な状況及び/又は現象を分析する情報処理システムであって
既存の事業仮説や経済モデルや社会学的モデルや感染症モデルを利用して、実世界の時空間や様々な属性と対応させて計算することによって、実世界の現象の振る舞い・変化をシミュレーションすることを特徴とすることを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
社会的な状況及び/又は現象を分析する情報処理システムであって、
シミュレーション結果と実際の現象の結果を比較することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
社会的現象を記述するモデルや社会的現象を構成する要素(データ)及び要素(データ)の相互関係を変化させて、シミュレーションを繰り返し、センシティビテイアナリシス手法を利用して、現象を構成する要素及び要素の相互作用がどのように現象に影響を与えるのかを明らかにすることを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
要素還元的な手法や統計的な手法を利用せずに、構成的・帰納的な手法のみで社会的な状況及び/又は現象を可視化し、把握し、説明し、予測し、分析できることを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、リアルタイムに社会的な状況及び/又は現象を、可視化し、比較し、分類し、シミュレーションすることによって分析する事ができることを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
時空間における社会的な現象を可視化する情報処理システムであって
時空間における社会的な現象を、社会的現象を構成する要素(データ)及び要素(データ)の相互作用として、動的に可視化することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
時空間における社会的な現象を可視化する情報処理システムであって
現象を構成する要素の一部として、空間に属する社会的な要素(データ)を利用することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
時空間における社会的な現象をシミュレーション及び/又は可視化する情報処理システムであって
空間を任意のスケールで離散化し
離散化した各分割空間に属する社会的現象の要素(データ)を引き当て可能な状態にして
各分割空間上に、各分割空間に属する現象要素情報の相互作用を計算する計算点を置いて、
時空間における現象を、現象を構成する要素の相互作用として動的にシミュレーション及び/又は可視化することを特徴としたものである。。
本発明における情報処理システムは、
時空間における社会的な現象をシミュレーション及び/又は可視化する情報処理システムであって
時間を任意のスケールで離散化し
各離散化時間における、各分割空間の現象要素の相互作用を計算して、各離散化時間、各離散化空間における現象を構成する要素の変化を計算処理し
計算処理結果を統合することで
時空間における現象を動的にシミュレーション及び/又は可視化することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
時空間における社会的な現象をシミュレーションする方法であって
時空間における現象について、現象を構成する要素の相互作用をシミュレーション計算し、シミュレーション結果を動的に可視化することを特徴としたものである。
本発明における情報処理システムは、
現象を構成する要素の相互作用を、数理モデルを利用してシミュレーション計算することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
非線形モデルを利用してシミュレーション計算することを特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、
RFタグ或いはICカードを利用したユビキタスコンピューティングシステムからのデータを数理地図上にアニメーションで表示し、様々な社会、経済、市場の状況や非線形な変化や複雑な現象を一目瞭然で理解する事を可能にするばかりではなく、経済モデルなどを利用して社会、経済、市場の現象をシミュレーションし理解する事を可能にするものである。
本発明における情報処理システムは、
社会的な状況及び/又は現象をシミュレーション及び/又は可視化の結果を比較及び/又はパターン認識することによって分類する社会的な状況及び/又は現象のモデル化をする事を特徴とするものである。
本発明における情報処理システムは、計算機やロボットが実世界という外的環境についての概念形成を行うことを特徴とするものである。
本発明により、有効な情報提供システムを実現する事が出来る。さらに広告などのような情報提供の効果を測定する方法が実現し、情報提供が効果的にされたか、情報はどのような人々に提供されたのかなどを直感的に知ることが可能になった。
広告などにより商品やサービスを提供する際に重要になる、消費者間での流行などのような現象を視覚化する方法が可能になった。
広告などにより商品やサービスを提供する際に重要になる、市場背景について分析する際に、統計手法のような線形的な分析では過去の傾向を知ることは出来てもその理由を知ることが可能なった。
広告などにより商品やサービスを提供する際に重要になる、市場背景は大規模なデータを伴う社会現象であり、そのような複雑な現象を短時間で現実に即した形で視覚化し分析する手段を提供する事が出来た。
上述のように本発明は宣伝広告などの情報提供に非常に高い効果をもたらすばかりではなく、消費者がどの様な商品やサービスに興味を持っているのかを知ることが出来る。さらに、消費者の興味が、地域別に、消費者の属性に、時間経過によってどの様な変化をしているのかを視覚的に概観することが出来る。
本来、非線形である社会現象を非線形的に捉え、社会現象を全体的な視点で分析できる。非線形系に特有の摂動敏感性や経路依存性の現象などの発見を促す。
可視化・アニメーションにより専門家のみが理解できる難解な出力ではなく、社会科学者や実際の意思決定者が、その経験を生かして社会現象を直感的に理解できるようになる。
経済政策・経営戦略におけるマーケティングリサーチの道具として本発明を利用した場合、
現実の市場環境の動き変化を可視化するため、消費動向調査、競合商品調査などをおこなう事が出来る。
また、
政策・戦略の策定フェーズ
では本発明を仮説・検証を繰り返すことで、より精度の高い政策や戦略の意思決定を行うための予測シミュレーションを行う道具として利用できる。
また政策・戦略の実行フェーズでは本発明を
政策・戦略実行過程において、社会の流れの変化を可視化し、適切な対処を行うためモニタリングを行うための道具として利用できる。
結果の分析・評価フェーズでは本発明を
による政策・戦略の結果や成果の可視化により、有効かつ効率的な新規政策・戦略策定に向けた示唆を与える評価・分析を行う道具として利用できる。
また、本発明では 社会や経済や市場における現象を映像として空間的に時系列的に展開する動画像として視覚化して、現象の全体像を見渡せるので、従来の手法であれば、苦労して現象やその変化の様子を読みとらねばならないのに比較して、ほぼ一瞬にして現象の変化の様子総てを把握できる。
さらに必要ならば部分や時間を拡大して現象の変化の詳細な様子を観察することもできるようにする。
また、従来の他の分析手法である静的な統計的表現などに比較すると、統計学やデータマイニングなどの教育を受けていないユーザーであっても、社会現象をリアルに直感的に把握することが可能になり、統計的処理やデータマイニング処理などに煩われることなく現象を理解し本質を捉え予測を行うための知見を得ることを容易にする。
特に非線形現象を解析する特別な知識を持たないが、市場などの現象に最も近い担当者が、現象の変化の様子を映像として見ることで、現場から離れている研究者や経済学者たちが見落としがちな経験に基づいた発見や直感的な現象の理解を得られるという点は、従来的手法に比較して本発明の大きな効果である。
行政や産業や企業の現場で担当者レベルの人々が、動的で非線形的な複雑系として社会、経済、市場を理解し、説明し予測する事が出来る、方法及び装置を実現することは、複雑且つ急速に進歩する社会で活動する上で大きな効果をもたらす。
誰でも簡単に、非線形で複雑な現象をその特徴を残したままの映像として現象の変化の様子を可視化して動的に表示することによって、社会現象の変化の様子或いは現象の特徴やパターンを直感的に捉えることが可能になる。従来手法では発見することが困難であったので、現象の変化のパターンや特異点などの重要な要素の発見に繋がる。
また、本発明は、ICタグなどのユビキタスコンピューティング環境に直結した高いリアルタイム性を持つ可視化・シミュレーション・分析システムである。本発明による情報処理システムは、時間軸と空間成分を有する(空間成分には実世界の様々なパラメータや量が対応づけられている)実世界対応型の可視化・シミュレーションツールであり。先端的なビジネスツールであると同時に、新たな経済学・社会科学の検証ツールである。高度な可視化・シミュレーションによる社会・市場分析を、専門家必要とせずに簡便に行えるツールでもある。
本発明は、急速に進歩し変化する環境に適応する、社会・経済・市場で起きている現象をリアルタイムに把握し、説明することができる構成的な手法、帰納的なモデルを扱える情報システムにより、企業の実問題において、意思決定の強力な補助となる次世代型情報処理システムが実現する。
本発明の実現によって、市場の状況にリアルタイムに対応するビジネスのスキームを構築することが出来る。
本発明は、複雑系科学の検証・実験ツールとして利用できる。本ソフトウェアを社会科学者や経済学者が利用することによって、社会・経済・市場における複雑系特有の現象、具体例としてはカオスや自己組織化現象等を発見できる可能性がある。
本発明は、従来的な要素還元的・線形的・決定論的な環境(社会・経済・市場)への対応から、全体的な要素の相互作用として環境(社会・経済・市場)を捉え、予測不可能な変化にも柔軟に対応するアプローチの形成に役立つ。
また、従来の経済モデルや社会モデルは時間的な変化を扱うものが多く、空間的な変化、特に実世界対応した空間属性情報をモデルに取り込んで現象を扱う(情報処理する)ようなモデルや方法は少なかった。
しかし本発明による情報処理システムでは時間・空間成分を実際の世界のデータに対応させて情報処理出来る。また、従来の統計的手段では困難だった結果が原因に影響を及ぼすような非線形なモデルを利用することが可能である。
これらの特徴によって、本発明の情報処理システムは、従来とは画期的に異なる可視化・モデル化・シミュレーションを行うことが出来きるため、従来的な手法では知ることが出来なかった様々な現象の側面について知見を得ることが出来る。
明らかになる現象の側面の具体例としては、従来的な分析方法では発見が困難であった、結果が原因にフィードバックする状況、特に小さなパラメーターを少し変化させただけで、結果に大きな影響が起きる非線形的な状況が明らかになる。このような状況は自己組織的な現象である可能性があり、このようなパラメーターの変化は非常に危険であるか、非常に有用であることが考えられるので、パラメーターの変化には注意する。または好ましい状況にするためにパラメーターの変化を注意してコントロールしなければならない。
さらに、パラメーターを様々に変化させても影響があまりでない安定的な状況や逆に非常にセンシティブなカオス的状況なども明らかになる可能性がある。
本実施形態においては、発明の一部を計算機をソフトウェアで制御することで実現する。この場合のソフトウェアは、計算機のハードウェアを物理的に活用することで本発明の作用効果を実現するものである。
本発明は、実世界での様々な情報を収集して、実世界の状況を可視化して、実世界の状況を左右する要因についての知見を得、さらに実世界の現象を記述するモデルを得て、実世界の状況をシミュレーションするための方法及び装置並びにシステムを実現するものである。
インターネットなどのネットワークの世界における様々な情報の動きを収集し、可視化し分析する。手法はこれまでにも提案されてきたが、本発明のように、実世界における情報のひろがりなどの現象を可視化し、モデル化し、振る舞いを左右する要因について知見を得て、実世界の状況(現象・振る舞い)をシミュレーションするような方法、装置、システムは存在しなかった。
その解決策としての本発明の好ましい実施形態の一つは、実世界に情報提供装置を多数設置して、被情報提供者に情報提供し、情報提供の状況を情報処理システムによって収集し、既存の社会的な情報組み合わせて、実世界における情報の広がり方やその変化について、或いは社会や市場や経済の状況やその振る舞いについて、可視化し、分析し、モデル化し、分類し、シミュレーションするというものである。
また、本発明のもう一つの好ましい実施形態は、情報提供装置からの情報収集に限らず、様々な既存の情報システムからのデータと、既存の社会的な情報組み合わせて、社会や市場や経済の状況を可視化し、モデル化し、分類し、シミュレーションするというものである。
そこで、本発明の実施例1では、実世界に情報を提供する装置を多数設置し様々な商品やサービスの情報提供を行う。さらに、多くの消費者に情報提供装置から情報を取得する情報取得装置を所持させる。そして情報提供装置と情報取得装置と情報処理システムの連携によって、様々な消費者がどのような情報をいつどこで情報取得装置から取得したのかという情報(データ)を処理する。
本発明の実施例1を実施することにより、実世界における、消費者の嗜好とその変化を分析することができる。
また実施例2では、実世界における様々な現象を構成する要素として情報提供装置からの情報(情報提供結果データ)のみでなく、既存の情報システム(具体例としてはPOSシステム、CRMシステム、RFタグなどのユビキタスコンピューティング情報システム、さらにはGISシステム)などからも情報(社会・市場・経済などのデータ)を統合的に収集し、実世界における様々な要素(データ)と要素(データ)の相互作用を、実時空間に対応した動的な画像として可視化し、実世界における(社会・市場・経済)現象の動き・振る舞い・変化などを直感的に把握・理解する事を可能にする情報処理システムについて説明する。
また、様々な可視化データを蓄積し比較することによって、様々な(社会・市場・経済における)現象を分類し、モデル化する情報処理システムについても説明する。
さらに、既存の事業仮説や経済モデルや社会学的モデルや感染症モデルなどの様々なモデルを利用して、、実世界の時空間や様々な属性と対応させて計算することによって、実世界の現象の振る舞い・変化をシミュレーション(予測)する方法。
そして、シミュレーション結果と実際の現象の結果を比較することによって、様々なモデルの有効性の検証を通じて、社会・市場・経済などの実世界における、現象についての知見を得ることができる情報処理システムについても説明する。
さらに、現象を構成する様々な要素を様々に変化させてシミュレーションを繰り返し、センシティビテイアナリシス手法を利用して、現象を構成する要素及び要素の相互作用がどのように現象に影響を与えるのかを明らかにする情報処理システムについても説明する。
実施例2の情報処理システムは、従来社会・市場・経済の現象などの現象を分析する際に主流であった要素還元的な手法や統計的な手法を利用せず、構成的・帰納的な手法で複雑で巨大で往々にして非線形な社会・市場・経済などの現象を可視化し、把握し、説明し、予測し、分析できるという特徴がある。
実施例1と実施例2を組み合わせて利用することで、従来は論理的な分析・リアルタイムは把握・検証などが困難だった、市場における情報の移流拡散や流行の発生や消滅などをはじめとする様々な社会現象を、可視化し、比較し、分類し、シミュレーションすることによって分析する事ができる。
さらに本発明の情報処理システムを感染症の拡大現象の可視化・シミュレーションに応用する例を説明する。
最後に、本発明の情報処理システムを利用して、計算機やロボットには従来困難だった実世界という外的環境についての概念形成を自律的に行う例について説明する。
以下に本発明の実施例を具体例を挙げて説明するが、以下の説明はあくまでも本発明の実施の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、以下の、文中では文脈に応じて被情報提供者を消費者或いはユーザーと記述する。
<情報提供装置>
情報提供装置は、街頭や地下街や店舗内や店舗施設内や駅や空港などの公共施設内の壁面、POS装置、エレベータ、商品陳列棚、ショーウィンドウ。バスや電車などの車両内など様々な場所に設置された、ポスターや本などの印刷物、テレビ受像装置やキオスクなどの画像表示装置、宣伝広告用のパネルや看板など、或いは壁面そのものやオブジェや柱や床など、実世界に存在する様々な物に、ユーザーが所持する情報取得装置と直接交信する手段を付与して情報提供装置として利用することが考えられる。
また、本発明の実施の形態によっては、上述した逆の形態として、ユーザーが常に携帯可能な装置を情報提供装置として利用し、街頭や地下街や店舗内や店舗施設内や駅や空港などの公共施設内の、壁面、POS装置、エレベータ、商品陳列棚、ショーウィンドウ。バスや電車などの車両内など様々な場所に設置された、ポスターや本などの印刷物、テレビ受像装置やキオスクなどの画像表示装置、宣伝広告用のパネルや看板など、或いは壁面そのものやオブジェや柱や床などを情報取得装置として利用することも可能である。
<情報提供装置と情報取得装置>
情報提供装置から情報を取得することが可能な情報取得装置は、ユーザーが常に携帯可能な装置で実施することが好ましい、具体例としては携帯電話、PDA、ICカード(非接触型を含む)、RF(無線)タグ、超小型RFタグ、カメラなどの撮像手段、及びそれらを組み合わせた情報取得装置で本発明の情報取得装置を実施することが考えられる。
それらの情報提供装置から、ユーザーが所持する情報取得装置が、情報の取得を行うためには、例えば近距離無線通信を利用する方法や画像処理手段を利用する方法など、様々な手段が考えられる。以下に具体例を挙げる。
情報提供装置に、提供する情報を文字列やシンボルなどで表示し、情報取得装置に付与された画像取り込み手段を利用して情報を取得するようにすることが可能である。
具体的には、ユーザーが所持する情報取得装置に、カメラなどの画像取り込み手段を付与して、情報提供装置が提供する文字列や画像を取得する。
提供する文字列や画像は、URLやIPアドレスや電話番号などの情報を文字列。或いはURLやIPアドレスや電話番号などのテキスト情報や、それらの情報を1次元バーコードや2次元バーコードなどのように特定の方法によってコード化した画像や、インフォメーションハイディング(情報埋め込み)技術によってそれらの情報を埋め込んだ画像などが考えられる。
特開2002−207955 特開2002−183661
情報提供装置に文字列や画像を付与する手段としては、まず予め印刷する方法が考えられるが。状況に応じて異なる情報を提供したい場合には情報提供装置に文字列や画像の生成手段を持たせる、或いは情報提供装置に文字列や画像の記憶手段を持たせて、CRTや液晶表示装置などに文字列や画像を表示させるなどの方法が考えられる。
次に、ユーザーが所持する情報取得装置は、カメラなどの画像取り込み手段によって、取り込んだ文字列やバーコードなどを、OCR(オプチカルキャラクタリーダー:光学読みとり手段)ソフトウェアや、バーコード解析ソフトウェアなどを利用し、URLやIPアドレスや電話番号などの情報文字列やコード化された画像を、情報取得装置が利用可能なデータ形式に変換し、詳細な情報を取得することができる。
また、情報取得装置が情報を取得する方法は、具体的には情報提供装置に表示された、印刷媒体や画像表示手段などの画像に表示された、「http://」や「www.」以降の文字列によって定義されるURLの文字列を抽出し、画像処理手段を用いてテキスト情報として取り込む手段や、画像として表示された1次元バーコードや2次元バーコードなどを読み込み、画像処理手段を用いてデータを抽出する方法で実現することもできる。
画像処理による情報取得手段を利用した場合には、例えば雑誌などの宣伝広告ページ或いはテレビ受像装置などの画像表示装置に、前述した「http://」以降の文字列によって定義されるURLの文字列や、1次元バーコードや2次元バーコードなどを印刷或いは表示し、カメラなどの画像取り込み手段を有する情報取得装置で、前述した文字列やバーコードなどのデータを含む画像を取り込んだうえで、OCR(光学式文字読みとり手段)やバーコードのデコーダーなどの画像処理手段を用いてデータ解析或いはデコードする。
また、解析或いはデコードされたデータを詳細情報が蓄積されているネットワーク上のサーバーなどへの接続手段として利用することも考えられる。
またもし、ユーザーが所持する情報取得装置が文字列や2次元バーコードの解析ソフトウェアを内蔵していない場合にでも、ユーザーが所持する情報取得装置がインターネットなどのネットワークに接続出来る手段を持っていれば、ネットワーク上のサーバーに解析ソフトウェアを付与することによってユーザーが所持する情報取得装置からネットワーク上のサーバーに取り込んだ画像を送信してネットワークの上サーバーが解析ソフトウェアで解析したコードをユーザーが所持する情報取得装置に返信することによって同様の効果を得ることが出来る。
また、同様にICカード或いはICカードと同様の機序を持つRF(無線)タグで代替えする事も可能である。
上述の方法以外にも、情報提供装置にも対応する近距離無線インターフェースを付与し、ユーザーが所持する情報取得装置にも近距離無線インターフェースを付与して、直接に情報を取得させることが考えられる。
近距離無線インターフェースを利用して情報提供装置を実現する方法としては、赤外線通信インターフェース、ブルートゥース通信インターフェース、無線LAN通信インターフェースなどを利用することが考えられる。
特願2001-397063号 特願2002-036202号
またもし、ユーザーが所持する情報取得装置が文字列や2次元バーコードの解析ソフトウェアを内蔵していない場合にでも、ユーザーが所持するデバイス又は装置がインターネットなどのネットワークに接続出来る手段を持っていれば、ネットワーク上のサーバーに解析ソフトウェアを付与することによってユーザーが所持する情報取得装置からネットワーク上のサーバーに取り込んだ画像を送信しネットワーク上サーバーが解析ソフトウェアで解析したコードをユーザーが所持する情報取得装置に返信することによって同様の効果を得ることが出来る。
また、同様にICカード或いはICカードと同様の機序を持つRF(無線)タグで代替えする事も可能である。
上述したような情報取得手段を付与した、情報提供手段と情報取得装置を以下に図1を元に説明する。図1は本発明による情報提供手段と情報取得装置、及び情報取得装置とネットワークで接続可能な情報処理システムを略示的に示したブロック図である。
図1において、6は具体例としてはポスターなどの印刷物を利用した情報提供手段である、61は情報提供手段の表示部であり、印刷物の他にもCRTや液晶画面などの映像表示装置などを利用することが考えられる。
8は情報提供手段からユーザーが所持する情報取得装置へ情報の提供を行うための手段である。具体例としては上述したように、2次元バーコードやURLなどの特定の文字列、或いはICカード又はICカードリーダー、或いはRFタグ又はRFタグリーダーなどである。
S1はユーザーが所持する情報取得装置であり、ここでは具体的にするために携帯電話に情報取得手段を付与して情報取得装置を実施する例を説明する。
91は携帯電話の表示装置、92は携帯電話の情報処理システム及び通信手段、99は携帯電話のインターフェース(10キーなど)である。
98は携帯電話S1が、情報提供手段6から情報の取得を行うための手段である。具体例としては上述したように、2次元バーコードやURLなどの特定の文字列の画像取り込み手段、或いはICカード又はICカードリーダー、或いはRFタグ又はRFタグリーダーなどが利用可能である。
300はインターネットなどのネットワークであり、301は情報提供手段に表示された情報に関する詳細情報などを記憶したネットワーク上のサーバーである。3500は情報処理システムであり機能は後述する。370は携帯電話の基地局であり、375はインターネットなどのネットワークに接続するためのゲートウェイである。
以下に情報提供手段の具体的な利用方法の例を挙げる。
情報取得装置S1を所持する消費者が、情報提供手段6の表示内容であるA社の格安航空券に興味を持ちさらに詳細な情報の取得を希望する或いは実際に格安航空券を購入したいと希望した場合。従来であれば、まず表示された電話番号或いはURLを確認し記憶したりメモを取った上で、携帯電話などのユーザーが所持するデバイス又は装置を操作して電話番号或いはURLを入力して詳細情報を得る或いは購入を行うというステップが必要だった。
しかし、情報提供手段6の情報提供手段8と、所持する携帯電話S1の情報取得手段98利用して、情報提供手段から電話番号やURLを簡単に取得することが出来るようになる。
さらに、情報提供手段6に予め情報提供手段を個別に識別出来る固有の識別情報(ID)を付与しておき、ユーザーが所持する情報取得装置に提供する情報に、情報提供手段の識別情報も含むようにしておくことで、後述するように情報処理システム3500を利用して、情報提供の効果を測定する事が可能なる。
これにより効果的な宣伝広告手法の開発や市場、マーケティングについての有用な情報を得ることが出来る。
情報提供手段の識別情報を含んだ情報の具体的な例を挙げる。ここでは情報提供手段6から、携帯電話S1に送られる情報が、インターネット上のサーバー301や情報処理システム3500を一意に示すURLである場合に付いて説明する。
この時、情報提供手段6から情報取得装置S1に送られるのURLパラメーターは例えば以下のような構造のURLになる。
http://www.kannri.co.jp/ Atravel/kakuyasu/6a
「http://www.kannri.co.jp」は情報処理システム3500のURLである。
「Atravel/」は、情報提供手段6が宣伝広告していたコンテンツ内容を示している。この例ではA社の格安航空券の商品情報であることを示している。
「/6a」は情報提供手段の識別情報で、情報取得装置S1は情報提供手段6aから、このURLを取得したことを示している。
情報提供手段6aから上述のURLを受信した消費者は情報取得装置S1のネットワーク接続手段を利用して「http://www.kannri.co.jp 」で記述される情報処理システム3500にアクセスする。
アクセスを受けた情報処理システム3500は、情報取得装置S1が情報提供手段の識別番号6aの情報提供によって、アクセスしてきた事及び/又は情報提供手段6aが提供している情報はA社の格安航空券の商品情報であることを情報処理システム3500内の記憶装置(図示せず)記録する。当然、情報処理システム3500の外部にデータベース3510を設け記憶装置とすることも可能である。
次に情報取得装置S1の接続を、A社(「Atravel/」)のWebサーバー301へリダイレクトする。
また、サーバー301に置かれている詳細情報のデータをデータベース3510に記憶させておくことで、情報取得装置と情報処理システムのみで処理を行うことで、情報取得装置とサーバー301との通信を省くことも可能である。
<情報提供効果の測定>
上述してきたような、宣伝広告などのような産業的に明確な目的をもって情報提供を行う際の課題は、どの様な情報提供や広告媒体が最も効率よく消費者に情報を伝えるかと言うことである。
具体的には消費者の興味の喚起及び購買行動に結びつくのは、どの様な媒体を通じて、どの様な情報あるいは広告の伝達方法で、どの場所で、どの時間帯に消費者に情報を提供すれば最も効果的であるかと言う課題を解決しなければならない。
現代のような情報社会においては、宣伝広告や消費者ニーズの発掘、或いは市場の動向・傾向を理解するとような情報に関する課題の解決が企業や製品の命運を分けると行って過言ではなく、企業は効果的なマーケティングや宣伝広告や消費者ニーズを満たす商品開発を行うために莫大なコストを費やしている。
実世界での広範かつリアルタイムな宣伝広告などの情報提供の効果測定を行えれば、宣伝広告のコストパフォーマンスの明確化や、効果を測定出来ることによるより効果的・効率的な宣伝広告の実現など産業に大きな効果が期待できる。
さらに、消費者が興味を有する或いは消費者が自ら積極的に取得する情報についてリアルタイムに知ることが出来れば、いち早く消費者のニーズを発掘し市場の動向・傾向を理解し、消費者ニーズを満たす商品を開発することが出来るようになる。
そこで、本発明では、前述の情報提供回数カウント手段641を利用して宣伝広告などの情報提供の効果を測定し、消費者のニーズを発掘し、市場の動向・傾向を理解する事を可能にする手段を提供する。
情報提供回数カウント手段641によって、記憶装置に記憶された情報提供回数は、ICカードなどの外部記憶装置、或いはネットワークを利用して、複数の情報提供装置の情報提供回数を収集する事が出来る。
収集した多数の情報提供装置の情報提供回数を比較して情報提供装置の情報提供効果を測定する事が可能になる。
以降の文中では情報提供装置が消費者に情報を提供した回数(又は情報を提供した消費者数)を簡単に「リーチ」と呼ぶこともある。
ネットワークを利用した情報提供システムの概念図2を用いて、ネットワークや通信を利用して情報提供の効果を測定するシステムについて具体的に説明する。
図11において、6a、6b、6cはそれぞれ独立して様々な場所に設置されている情報提供装置であり、構成や効果は上述してきた情報提供装置と同等である。
説明のため6a、6b、6cはそれぞれA社、B社、C社という異なる情報提供者の情報提供(宣伝広告)を行っているものとする。
また、351、352、353はA社、B社、C社それぞれの情報提供(宣伝広告)用の情報提供サーバーであり、具体的にはwebサーバーなどである。
さらに、3500は情報提供の効果を測定する情報処理システムであり、具体的にはネットワークに接続した計算機として実施する事が出来る。
3510は記憶装置であり、具体的には情報提供システムに関わるデータを集中的に記憶するデータベースである。
複数の情報提供装置a、6b、6cが内蔵するI/O装置69、及びインターネット接続装置310を利用してインターネットなどのネットワーク300に接続し、ネットワーク上の情報処理システム3500に接続されている。
前述したように、実世界(ネットワーク外)の様々な場所に設置された複数の情報提供装置6a、6b、6cから消費者が所持する携帯端末9が宣伝広告などに関連する情報を取得する度に、情報提供装置a、6b、6cの制御装置6が有する情報提供回数カウント手段641が、リーチ(情報提供)回数をカウントし、情報提供装置の制御装置に備えられた記憶装置に記憶する。
このカウント数データを、情報提供装置6a、6b、6cから、インターネットなどのネットワーク300を経由して情報処理システム3500に送信することによって、情報処理システム3500は各情報提供装置の情報提供回数をリアルタイムに収集する事が出来る。
ネットワーク上の情報処理システム3500は、個々の情報提供装置のリーチ(情報提供)回数を収集して、データベース3510に記憶する。
上述したように、リーチデータをリアルタイムにネットワーク上の情報処理システム3500に収集しさらにデータを処理して、宣伝広告などの情報提供の状況やその効果をリアルタイムに測定することが出来るようになる。
<リアルタイムに宣伝広告の状況確認や効果測定を行う情報提供システムの実施例>
上述してきたような情報提供手段を実世界で宣伝広告をおこなう看板や画像装置などに多数設置して、リアルタイムに宣伝広告の状況確認や効果測定を行う情報処理システムを構築することが可能である。
リアルタイムに宣伝広告のなどのような情報提供活動の効果測定を行う情報処理システムを略示的に示したのが図2のネットワークを利用した情報処理システムのブロック図である。
図2は、情報提供装置を利用して情報提供を行う、A社、S社、T社が、それぞれ情報装置システム351、352、353を有して、ネットワークを経由して情報提供装置からのデータを収集して情報処理を行うシステムである。
図2の中で、3500は情報取得装置による情報処理活動を集中的に管理する情報処理システムであり、通常はコンピューターによってネットワーク上のサーバーの形で実施される。3510は情報処理システムに関わる記録を集中的に管理するデータベースである。
S1、S2、S3は、それぞれ別個の消費者が所持する情報取得装置である。
それぞれの情報提供手段の内、いくつかは、同じ企業の同じ商品の情報提供(宣伝広告)を行い、他の情報提供手段は、別の企業の別じ商品の情報提供(宣伝広告)を行う。
例えば図2では、情報提供手段6aと6eはA社商品の情報提供(宣伝広告)を行い、情報提供手段6bと6dはS社商品の情報提供(宣伝広告)、そして情報提供手段6cと6fはT社商品の情報提供(宣伝広告)行っている様子を表している。
また、同じ企業の同じ商品の情報提供(宣伝広告)を、異なる表示方法、例えば画像やデザインやコピーライトや出演タレントが異なる宣伝広告で行うことも当然あり得る。
351から353はA社、B社、C社それぞれの情報提供者のWebサーバーであり、情報提供手段で行っている情報(宣伝広告)に関連する詳細情報及び/又は宣伝広告している商品の購入(予約)を行うEC(エレクトリックコマース)機能を備えている。通常はコンピュータによってネットワーク上のサーバーの形で実施される。
以下に本発明における情報処理システムシステムの利用方法及び動作を説明する。
情報取得装置S1を所持する消費者が、情報提供手段Aで、A社の格安航空券の宣伝広告を見て味を持ち、所持する情報取得装置S1を利用して情報提供手段からURL(アクセス先パラメーター)と情報提供手段の識別情報を受信する。
この時、情報提供手段から情報取得装置に送られるのURLパラメーターは例えば以下のような構造のURLになる。
http://www.kannri.co.jp/ Atravel/kakuyasu/6a
「http://www.kannri.co.jp
」は情報処理システムを集中的に管理する情報処理システム3500のURLである。
「Atravel/」は、情報提供手段6aが宣伝広告していたコンテンツ内容を示している。この例では情報取得装置S1を所持する消費者がA社の格安航空券の商品情報を求めていることを示している。
「/6a」は、情報取得装置S1は、情報提供手段6aから、このURLを取得したことを示している。
情報提供手段6aから上述のURLを受信した消費者は情報取得装置S1のネットワーク接続手段を利用して「http://www.kannri.co.jp 」で記述される情報伝達を集中的に管理する事業者の情報処理システム3500にアクセスする。
アクセスを受けた情報処理システム3500は、情報取得装置S1が情報提供手段の識別番号6aの情報提供によって、アクセスしてきた事をデータベース3510に記録する。
次に情報取得装置S1の接続を、A社(「Atravel/」)のWebサーバーへリダイレクトする。
さらに別の実施の方法としては、情報取得装置S1の要求に応じて、情報処理システム3500が各社のサーバー351、352、353と交信して情報取得装置9に対する詳細情報の提供や購入(予約)などの情報処理を行う。または各社のサーバーに置かれているデータを記憶させておくことで、各社のサーバーとの交信を省くことも可能である。
上述してきたように、情報処理システム3500及びデータベース3510で一元管理することにより。宣伝広告などの情報提供の効果を測定する事が可能なりマーケティングについての有用な情報を得ることが出来る。
リーチ(情報提供)回数データを処理し宣伝広告などの情報提供の効果を測定した結果を図3、図4及び図5に示す。
図3は情報提供手段毎の情報提供回数(リーチ)比較表である。

図4は情報提供手段毎の情報提供回数(リーチ)比較グラフ
である。
図5は、情報提供を商品毎のデータであり、具体的にはA旅行社の格安航空券商品を広告している、情報提供手段毎の情報提供回数(リーチ)比較グラフである。

図の例では、情報提供手段ごとの情報提供回数(或いは情報提供人数)のデータを情報提供手段(場所)、日付、内容毎に比較できるよう視覚化してある。
この表を見れば、どの様な内容の情報提供(広告)手段が、何時どれだけの消費者の興味を引いて情報取得を行わせたかを定量的に測定し、さらに広告の効果を測定・比較することが可能である。
このように、図2に示すように情報提供手段をネットワーク化して、情報処理システム3500で情報処理を行うことにより、情報提供を行った時点でほぼリアルタイムに図3や図4や図5に示すように情報提供手段・商品・広告ごとの情報提供回数(リーチ)の比較を行うことができる。
上述の、情報処理システム3500やサーバー301にEC(エレクトリックコマース)機能を付与しておき、情報取得装置が情報処理システム3500を経由してサーバー301と通信して商品の詳細情報の入手だけではなく、商品の予約や購入などの情報処理を行うことも可能である。当然情報取得装置が決済手段を有していればその場で決済することも可能である。
サーバー301に付与するEC(エレクトリックコマース)機能については、すでに多くの出願があるので詳細な説明は省く。
また、本発明の情報取得装置を実現できるような、過般型の情報取得装置で決済を行う方法については、赤外線を利用した方法(IrFm)などが、IrDa(赤外線通信データオーガニゼーション)からすでに提案されている。IrDaが公表しているIrFm(赤外線を利用した携帯端末での決済方法)についてはインターネットで参照可能である。
IrDa:赤外線通信データオーガニゼーション http://www.irda.org/FMPAY/FM_Webpage.html
さらに、図6に示すように、情報提供手段をショーウィンドウなどの販売手段で実現する事も考えられる。
上述のように、情報取得装置による情報提供手段からの情報取得、情報処理システム3500やサーバー301へのアクセス、商品の購入などの活動を、情報処理システムが記憶し視覚化することが出来る。
図7及び図8は各情報提供手段ごとに何台の情報取得装置が提供情報にリーチし、情報処理システム3500にアクセスしさらに商品の購入(予約)を行ったのか?その回数と比較を表とグラフであらわしている。
このように各情報提供手段の設置場所ごとの、情報提供手段へのリーチと情報処理システムへのアクセスと、予約(購入)の実数と率が示され、且つそれぞれの行動を行った回数を知ることが出来る。
この表を見れば、どの様な内容の情報提供(宣伝広告)手段が、どの場所で、何時、どれだけの消費者の興味を引いて情報取得を行わせたかを定量的に測定し、さらに、アクセス及び購入を導いたか(各広告の消費行動に及ぼす効果)を比較することが可能になる。
上述したように、消費者が実世界の一般的な場所に設置された情報提供装置から、携帯端末を利用して情報を取得することを可能にする事が出来るばかりでなく、取得した情報によって簡単にネットワークにアクセスし商品などについての詳細情報を得たり、商品を予約したり購入したりする事が出来るようになる。
また、情報提供装置は情報を取得した消費者、取得した情報を元にアクセスした消費者、商品の予約や購入を行った消費者の属性を得ることが出来るようになる。
このように各情報提供装置の設置場所ごとの、情報提供装置へのリーチと情報処理システムへのアクセスと、予約(購入)の実数と率が示され、且つそれぞれの行動を行った回数を知ることが出来る。
この表を見れば、どの様な内容の情報提供(宣伝広告)手段が、どの場所で、何時、どれだけの消費者の興味を引いて情報取得を行わせたかを定量的に測定し、さらに、アクセス及び購入を導いたか(各広告の消費行動に及ぼす効果)を比較することが可能になる。
<消費者の属性情報の取得を行う情報処理システムの実施例>
情報処理システム3500によって、リーチ(情報取得)やアクセスや購入(予約)を行った消費者の属性(性別・年齢・職業など)を知ることが可能になれば、情報処理システム3500はさらに産業活動に役立つ。
従来には消費者の属性情報の取得には会員カード及び会員カード管理システムを利用する方法や、インターネット上のサーバーで消費者の属性情報情報を入力させてIDやパスワードを付与してデータベースで情報管理を行うなどの方法などが取られてきた。
また、情報取得装置のMAC(機器識別コード)アドレスや電話番号を情報取得装置のIDとして使用することも可能である。
本発明でこれらの方法を利用して、予め情報取得装置或いは情報取得装置を所持する消費者に会員番号などのIDやパスワードを付与して、データベース3510に記憶させておき、情報取得時や情報処理システム3500への接続時にそれらのIDやパスワードを入力させ、データベース3510の記録と、IDを引き当てることで被情報提供者の属性情報を確認する事が可能である。
この他にも、情報取得装置の接続プログラムにIDを埋め込み、接続時に情報処理システムがIDを確認し、データベース3510のIDと属性情報とを引き当てるなどの方法も可能である。
また、前述した情報交換を行うソフトウェアプログラム500を配布する際に予め重複しないIDを与えておき、消費者が情報交換を行うソフトウェアプログラム500を利用して自動的に情報処理システム3500にアクセスしてきた際に、初回のみ性別や年齢や職業などの属性入力を要求し、消費者によって入力された消費者属性を情報交換を行うソフトウェアプログラム500のIDと対応させてデータベース3510に記憶させておくことで携帯端末に情報交換を行うソフトウェアプログラム500が配布(インストール)されている場合には情報提供装置から情報取得をおこなうと、情報処理システム3500への接続は自動的に行われる様にすることが出来る。
つまり、携帯端末がどの情報提供装置からコンテンツ関連情報を取得しても、情報処理システム3500が情報交換を行うソフトウェアプログラム500のIDをデータベース3510から引き当てすれば、どの様な属性を持つ消費者が、どの様な宣伝広告などの情報提供に興味を持って、どの情報提供装置からコンテンツ関連情報を取得したのかを知ることが出来る情報処理システムが実現できる。
この時には情報交換を行うソフトウェアプログラムによって情報処理システム3500に情報交換を行うソフトウェアプログラムのIDを渡す、情報処理システム3500は、携帯端末9(の情報交換を行うソフトウェアプログラム)のIDと、アクセスの内容(例えば情報取得の内容や購入或いは予約を行ったかなど)及びURLを提供した情報提供装置の識別番号をセットにして記録する。この記録はデータベース3510に記憶させる事もできる、
このときは、情報交換を行うソフトウェアプログラムのIDに対応する消費者のレコードに、情報提供装置の識別番号(及び/又は情報提供装置が提供している情報)と共に消費者の新たな行動履歴として書き込む。
このように、携帯端末の最初のアクセス先を情報提供者の情報取得装置351、352、353ではなく、情報伝達を集中的に管理する事業者の情報処理システム3500にする事により複数の情報提供装置に対して複数の消費者が所持する携帯端末の情報取得・アクセス・購買(予約)などの行動履歴を集中的に管理する事が出来る。
また、その際に携帯端末を所持する消費者の属性を確認することで、携帯端末を持つ消費者の属性を集中的に収集し処理する事が出来る情報提供システムを実現できる。
また、収集する消費者属性に、消費者のメールアドレス(連絡先)などを含ませれば、情報提供者があらたな商品などについて情報提供を行う際に、データベース3510に記録された情報取得履歴を参照して消費者が好みそうな商品(情報)を案内する事も可能である。
上述したように、情報取得者(情報取得装置を所持する者)の属性を確認し、情報処理システムによって記憶し情報処理することにより。具体的には、図9、図10、図11に示すように、情報提供装置毎にリーチ・アクセス・予約(購入)の行動を行った消費者属性を知ることが出来る。
しかし、ネットワーク上で消費者の属性情報などの個人情報を扱うには、個人情報の流出や消費者が望まない形での情報利用や悪意もつ第3者による情報の悪用などの様々な問題が存在する。
実際にネットワーク上でCRMシステムを運用している女性向け化粧品を製造販売する企業の調査によると、消費者に情報やサービスを提供する際に、個人情報の入力を求めないと、個人情報の入力を求めた場合の2倍の消費者が情報提供を求めたという事実からも、消費者はネットワーク上で自らの個人情報を提供することに対する警戒心が存在することが分かる。
このため、本発明では消費者の属性データとして、マーケット分析に必要な項目は充足されているが個人を特定できないもののみを収集することも可能である。
具体的には、消費者に対するより良いサービスの実現や、よりよい商品の開発に役立つようなマーケティングデータを収集するための情報システムにおける情報提供や情報収集及び購入などに関わる特定の消費者の属性情報や嗜好情報を収集するが、当該消費者個人を識別する必要のない識別情報を個別の消費者或いは、特定の消費者が所持する携帯端末に割り当て、匿名によってマーケティングデータを提供しサービスを受けるという方法である。
具体例としては図12に示すように、年齢、性別、職業、およその住所地(都道府県市町村名)など、消費者の属性の一部は特定することは出来。且つ交換及び/又は収集し、氏名、メールアドレス、電話番号、詳細な住所等の個人を特定できるような情報は、交換及び/又は収集しない。
本発明の目的の一つは、大きく市場(マーケット)全体の傾向を把握することであり、そのような目的に必要な消費者の属性情報は特に個人個人を特定する必要がなく、性別、大凡の(例えば5才区分)年齢、大凡の職業、大凡の住所など、或いはその一部でも、情報提供の効果測定や、マーケティングや、仮説検証などに必要充分な情報処理出力を得ることが可能である。
図9は、情報提供装置ごとのリーチした回数及びリーチした消費者の性別と年齢を表にあらわしている。
図10と図11は、S化粧品の宣伝広告を行っている情報提供装置ごとリーチ回数及びリーチした消費者の性別と年齢をグラフにあらわしている。
このように、情報提供装置が設置された場所や媒体(情報提供)の価格と、リーチ・アクセス・予約(購入)を行った消費者の属性を比較し情報処理すれば、地域による傾向分析やどの媒体で広告を行うことが最も効果的かを分析し、効果的な産業活動に資することが出来る。また、どの様な情報提供(宣伝広告)方法がどの様な属性を持つ消費者にリーチし、アクセス・購入を生ませたかが判断できる。
このように本発明は、実世界において情報提供(広告)が所期の効果を挙げることが出来たかを定量的に判断する基準を与え、情報提供(広告)の方法、広告場所、広告に使用するキャラクターなどが、どの様に消費者の行動に影響を及ぼすのかを定性的に判断する事を可能にする。
上述したように、本発明の方法では消費者全体に対する一部の消費者のデータのみを収集する事になるが、消費者データの属性(性別、年齢、職業)などを元に、既に知られているような統計的手法、例えば年齢・性別属性などを統計的な人口比を元に割り当てる方法などを利用することにより、消費者全体データの近似を得ることが出来る。
また、上述したような分析以外にも、本発明の手段によって得られたデータを利用して、例えば広告の効果測定及び有効なリーチを生む広告方法について、様々な課題についての分析を行う事が可能になる。
具体例としては、どの様な商品を作り、どの様にその商品の訴求(広告方法)を実施すると、どの様な消費者が(定性的)、どの位の数(定量的)、どの場所で(定置的)に、リーチして、さらなる消費行動を起こすのか?
具体的には、広告方法や、広告手段、広告する場所や時間と、広告効果(リーチ・アクセス・購買率)の相関について統計分析する。
或いは、同じ商品の広告を実施する場合、広告手段(大きさ、提示場所、提示時間、コピーの文面、表現方法)などによりどの様に効果が異なり、どの様な方法が最も効果を生み生み出すのかなどについて統計解析することが可能になる。
<情報処理システム>
また、図33に示すように、情報処理システム3500に、情報提供装置から収集したデータに加えて広告効果や市場の状況を分析するために役立つ様々な情報を収集させることによってさらに効果的な情報処理を実現させることが可能になる。
収集する情報は上述の情報提供装置からの情報提供情報以外にも様々な情報源から収集することが可能である。具体例を挙げればPOS(ポイントオブセールス)システムやCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)システムやSFA(セールスフォースオートメーション)システムなどの様々な企業情報システムからの情報。また、人口データや市町村データなどのような社会的な基礎データなどを収集し情報処理システムに入力することで、実際の社会・市場の様子をリアルに把握することが可能な可視化出力を得る事ができる。
それぞれの情報は、データ形式や時間コードを統一的なデータフォーマットに変換することで、情報処理システムによって各データを融合して情報処理する事が可能になる。
そして、情報処理システム3500に情報処理モジュール(具体例としては統計処理ソフトウェアなど)及び操作モジュールを付与することによって、収集し記憶した報提供回数データなどを、ほぼリアルタイムに情報処理することにより、従来であれば非常に手間と時間を要していた、情報提供効果や消費者ニーズや市場動向・傾向などを、短時間で簡便に、或いはほぼ自動的に様々な方法で比較し分析する事が可能にする。
具体例としては、広告やプロモーションの投下量や、情報提供装置による情報提供回数や、SFAシステムによる営業実施状況と、とPOSシステムによる販売量との関係を分析する事などが可能になる。
また、商品の販売量と、地域の(ターゲット層の)人口との相関、広告・プロモーション投下量との相関 営業力との相関などを分析することが出来る。
当然、情報処理システム3500を、情報提供を行う企業内毎に設置してそれぞれの企業内で情報処理を行うことも可能であるし、情報処理システム3500をネットワーク上に置いて様々な企業がネットワークによって利用することも可能である。
以下に具体例を挙げて、図33に示したような情報処理システムで実現することが可能な様々な情報処理の例を説明する。
<位置情報を利用する情報処理>
情報取得装置に提供する情報に、各情報提供装置が存在する位置を特定する情報を付与することによって、報処理装置で広告効果の測定や市場における消費者の動向などを実際の空間に対応して視覚化するさらに分析するなど非常に効果的な情報処理を行うことが出来るようになる。
具体的には情報提供装置の位置を特定できる情報として、住所や緯度経度座標を利用することが出来る。例えば、緯度経度座標情報で各情報提供装置が存在する場所を記述し、情報取得装置に情報を送信する及び情報取得装置が情報処理システムに接続した際に、緯度経度座標情報も一緒に送信することによって、情報処理システムが情報提供装置の位置情報も含めた情報処理を行うことが可能になる。
具体例としては、情報提供装置が「北海道札幌市帯広市西13条北1−1」に設置されている場合にはその位置は「Y(緯度)=143.18623、X(経度)=42.92815」というコードで一意に表すことができる。また別の情報提供装置が「広島県広島市中区紙屋町2−3−2」に設置されている場合には「Y(緯度)=132.45915、X(経度)=34.390308」と言う緯度経度座標情報で一意に表わすことができる。
このような、緯度経度座標情報を、情報提供装置から送信するコンテンツ関連情報に含めることで、情報取得装置及び情報処理システムに情報提供装置の設置場所の情報を伝えることが出来る。
具体的には、情報提供装置から提供する2次元バーコードなどの情報にコンテンツ関連情報とともに、GIOコード或いは住所などのような情報提供装置の設置場所の特定する情報を記述することで、情報取得装置及び情報処理システムに情報提供手段の設置場所の情報を伝えることが出来る。
当然、この緯度経度座標情報と各情報提供装置の固有の識別情報を、予めデータベース3510などに引き当て可能な状態で記憶しておくことにより、情報提供装置からは固有の識別情報だけを取得し、情報処理システムで情報提供装置の位置を引き当てることも可能である。
情報提供装置の位置を特定することにより、情報処理システムが数理地図情報を利用して情報処理を行い、情報処理の結果を数理地図上にモニターに表示する、或いはプリンターから印刷するなどによって、実際のマーケットで広告などの情報に対しどの様にリーチがあるのか、さらにはマーケットにおいて消費者の興味はどの様に移り変わって行くのか、を極めて効果的に視覚化する事が可能になる。
具体的には、情報処理システム3500に、地図情報システムの機能を付与する。情報提供手段及び情報取得装置の情報提供データやPOSデータなどを情報処理システムによって地図情報システム上で視覚化することができる。
数理地図上で情報処理を行う方法については、地図情報(GIS)システムが良く知られている。
特開平5−242162号 特開平10−63182号 特開2001−350909号 特開2001−344328号
情報提供装置に関連する情報提供効果を、このような地図情報システム上で可視化することにより、従来であれば大規模なマーケットリサーチを行わなければ得ることが困難だった、産業活動に有用な、マーケットに対する様々な知見をほぼリアルタイムに得る事が出来るようになる。
例えば図13は、地図上に情報提供装置の情報提供状況を示した例である。それぞれの円グラフの中心位置に情報提供装置が設置されている。円グラフは情報提供装置が提供した情報にリーチした情報取得装置を所持する消費者の属性別グラフであり、リーチしてきた、消費者の属性別の比率を円グラフで表している。
図13によって、どのような場所に情報提供装置を設置すれば、どの様な属性の消費者のリーチを得る傾向があるかを知ることが出来る。
このような時系列的な情報提供データ及び/又は情報処理データ及び/又は消費者属性データを広範囲に渡って多数且つ長期間データベース3510に蓄積し、時間軸や地域の縮尺を適切に処理した上で、地図情報システム上で動画表示することで、これまでは困難であった、実際の市場における消費者の興味の変化を動的に視覚化することが可能になる。
さらに、図14の例では、同じ商品を広告している情報提供装置のリーチ数を地図情報システム上に色別で表している。
それぞれの小円は情報提供装置が設置された場所である、この視覚処理によって情報提供装置のリーチ効果を比較することが容易に出来るようになる。
また図15は、図14と同じデータを地図上で広域的に視覚化した図である。この視覚化処理により、地域によって、どの様な商品や情報に消費者が興味を示すのかをほぼリアルタイムに知ることができるようになる。
図15の例では、同じ商品の情報提供に対し埼玉県では、高い数値のリーチを記録している。これに対し千葉県では同じ商品の情報提供に対してかなり低い数値のリーチを記録している。
このように情報処理システムによるこのような視覚化処理データから、この商品に対する興味は千葉県より埼玉県の方が比較的高いことが推測できる。
換言すると情報提供装置に対するリーチ数から消費者の興味対象の地域格差を知ることが出来る。
図16は、一定の地域内(ここではある県内)に設置した情報提供装置が、ある商品のコンテンツ関連情報を、ある曜日のある時間帯、同時に提供した場合のリーチ数を市町村区分で色分けして示したものである。最もリーチ数が高かった地域が最も濃い色で示されている。
換言すれば。このような商品のコンテンツ関連情報に対する、消費者のリーチ数の、市町村別の格差を視覚化したものと言える。
このような分析結果を蓄積して、従来からよく知られている様々な統計手法を利用して地域による消費者の興味の傾向を求める事が出来る。また実施例2に説明するような方法を利用することにより、統計手法を利用せずに様々な地域ごと商品ごとの興味の傾向のパターンを知ることができる。
統計的手法を利用して傾向の予測を行う方法については従来から様々な提案が為されている。
特開2002−342557 特開2002−230121 特開2002−163434
そこで、これらの予測方法を利用し、情報提供者或いは広告提供者が、ある商品やサービスに関わる情報を、ある地域のある時間帯に提供した場合にどの程度のリーチ数或いは情報提供効果を得られるかを予測することが可能になる。
図17に示すように予測数値を数理地図上に表示する事も可能である。このような予測データを利用することにより、企業などの商品やサービスや情報の提供者は、より消費者のニーズに的確に商品やサービスや情報を提供する事が出来るようになる。
上述してきたように情報提供装置のようなユビキタスコンピューティング環境における情報媒介手段とユーザーが所持する情報取得装置との間で行われたトランザクションを情報処理システムが収集し分析することにより従来では困難だった様々な情報処理をほぼリアルタイムに行うことが出来る。
このような情報処理システムの処理データ出力により、これまでは膨大なコストと時間をかけなければ詳細な調査が困難であったマーケティングリサーチを、殆どリアルタイムで性格に比較的安価に行うことが出来るようになる。
また、このような情報処理システムの処理データ出力を基礎に、様々な製品やサービスの企画から生産販売に至る、短期間でのマーケティング仮説を立てる事が可能になり、産業上大きな効果が期待できる。
さらに、朝昼晩や、曜日毎などのような経時的なデータを、データベース3510に蓄積しておき、情報処理システムが時間を短縮して、地図上に動画で表示すれば、時間や曜日による情報提供装置と消費者間の情報提供傾向の変化を直感的に把握することが可能になる。
上述してきたように、実世界に情報を提供する装置を多数設置し様々な商品やサービスの情報提供を行う。さらに、多くの消費者に情報提供装置から情報を取得する情報取得装置を所持させる。そして情報提供装置と情報取得装置と情報処理システムの連携によって、様々な消費者がどのような情報をいつどこで情報取得装置から取得したのかという情報(データ)を処理する。
本発明の実施例1を実施することにより、実世界における、消費者の嗜好とその変化を分析することができるようになった。
<社会・市場・経済における動的な現象の可視化を行う情報処理システム>
前述したように、社会や市場や経済は、多くの要素が相互作用し、さらに結果が原因に影響を及ぼす非線形な複雑系であり、従来的な手法(統計、集計・分析表、グラフなど)で分析や予測を行うことには限界が存在する。社会・市場・経済などのような巨大な系やその現象(振る舞い)を余すことなく全体的に概観し理解するための道具が必要である。
そこで、本発明では社会・市場・経済とそこで起きている現象を、統計や複雑系や非線形や可視化やシミュレーションの知識を持たない者(実際に知見を得る必要がある担当者や意志決定者)でも自ら簡便に社会・市場・経済やそこで起きている現象を、ほぼリアルタイムに可視化し説明し分析しシミュレーションすることが可能な情報処理システムを提供する。
具体的には、上述してきた情報処理システムに可視化・シミュレーション・パターン認識などの機能を付与することで、社会や市場の状況やその変化を時空間における現象として動的に可視化し、分類し、シミュレーションなどを実行することができる情報処理システムを実現する。
情報処理システムに入力する情報としては、情報提供装置からの情報提供データに加え、POSやCRMを初めとする企業情報システムからの販売量データ顧客データなど、或いはユビキタスコンピューティングネットワーク(RFタグなどの仕組み)による社会情報システム及び人口統計や商業統計などの社会の基礎データを情報処理システムに入力する。
これらのデータを実空間に対応したモデル上で統合的に情報処理し、可視化・パターン認識・モデル化・シミュレーションなどの計算処理を行う。
この情報処理システムにより社会や経済や市場の様子を様々な要素が相互作用する現象として、可視化し、社会や経済や市場における現象の特徴を把握し、社会や経済や市場のモデルを生成し、数値計算的に社会や経済や市場の予測を行う情報処理システムを提供することができるようになる。
具体例としては、情報提供装置からのデータを視覚化することにより地域別における消費者の興味の傾向或いは流行などのような従来把握が困難であった社会現象の動態を視覚化できる。
さらに、時系列での消費者の嗜好の推移を視覚化し分析することによって、たとえば都市部で流行が生じて周辺部に伝播して行く様子や、流行が消滅する様子を観察することが出来る。
また、商品の販売量と、地域の(ターゲット層の)人口との相関、広告・プロモーション投下量との相関 営業力との相関などを可視化・シミュレーションすることが出来る。
前述の情報処理システム3500の構成モジュールの内容を変更及び追加することで、社会や経済や市場の現象を可視化しモデル化しシミュレーションする事が可能な情報処理システム3500bを実現することが出来る。
図18は、このような時系列的、空間的な 社会や経済や市場の現象を可視化しシミュレーションする事が可能な情報処理システム3500bの構成例を略示的に示したブロック図である。
この情報処理システムは、様々な社会的なデータ(具体例としては情報提供装置、POSシステム、企業情報システム、RFタグシステムなどからのデータや、人口統計や商業統計などの社会的な調査データ)を収集して、統合的に情報処理可能な形式にフォーマットし、それらの様々なデータを実世界に対応した時空間モデル上で、可視化処理、パターン化処理、分類処理、モデル化処理、シミュレーション処理することができ、様々なデータ(要素)の相互作用として社会や経済や市場の現象を動的に情報処理する事ができる。
このような、情報処理システムは、上述したような機能を実施するモジュール群を協調させて機能させることによって実現することができる。
本実施例では、各モジュールの例として、データ収集モジュール1000、可視化モジュール1100、操作モジュール1700などの組み合わせによって情報処理システム3500bを実現する例を説明する。
<各モジュールの構成と機能>
以下に図を利用して利用して各モジュールの機能及び実施の構成例と、データ及び情報処理の流れを説明する。図19は情報処理システムにおけるデータの流れの概念図
、図20、図21、図22、図23、図24は、それぞれ情報処理システムの構成機能とすることが出来る各モジュールの実装例を略示的に示したブロック図である。
<操作モジュール>
操作モジュール1700を利用して情報処理システム3500bの各モジュールの操作を行う事が出来る。
操作モジュールは、データ収集やデータ出力を操作するデータ操作インターフェース、可視化を操作する可視化モジュールインターフェース、モデル化を操作するモデル化モジュールインターフェース、数値計算(シミュレーション)を操作する数値計算(シミュレーション)モジュールインターフェースを備え、必要に応じて各モジュールを操作する事が出来る。各モジュールの操作インターフェースは各モジュールの操作やパラメーターの指定を実行しやすいように視覚的なインターフェース(GUI:グラフィックユーザーインターフェース)を備える事が好ましい。
情報処理システム3500bはバッチ処理やマクロ処理等を利用して自動的に動作させることも可能である。
<データ収集モジュール>
データ収集モジュールの収集対象データの具体例としては、POSシステムからの販売関連データ、などの他に様々な企業情報システムからのデータ、或いはRFタグなどのユビキタスコンピューティングシステムからのデータ、社会統計に関するデータ(地政学的なデータ、国勢調査データ、商業統計データ、交通量調査、数理地図データ)などが考えられる。
図20はデータ収集モジュール1000の実施構成例を略示的に示したブロック図である。データ収集モジュールは、データ収集モジュール、データフォーマット変換エンジン、データ蓄積部からなる。
これら外部データベースからのデータ収集はデータ収集モジュールが外部データベースや、双方向広告システムや、RFタグシステムなどの様々なデータ源に対しクエリーやスクリプトを発行して収集する方法、或いはデータ源からデータをデータ収集モジュールに自動的に送付するなどの方法によって収集するなど、従来から知られている様々な方法を利用してデータを収集する事が出来る。
また、これらのデータを実世界に対応した時空間モデル上で情報処理するためには、データの空間的な成分及び/又は時系列成分を情報処理する必要がある。
具体的には、POSデータに含まれる売り上げが発生した時刻及び(店舗の)場所、CRMデータに含まれる顧客アクティビティの発生した時刻及び住所、さらには前述の情報提供装置からの情報提供時刻と情報提供装置の設置場所などである。
これらのデータの時間成分と空間成分(場所)は、後述する可視化モジュールやシミュレーションモジュールにデータを入力し或いは参照して情報処理を行えるように、情報やデータが有する座標情及び時系列情報を標準化し、さらに必要であれば単位等を標準化した上で、各モジュールが情報処理可能なデータ形式に変換する相互に情報処理が可能なように一意なデータフォーマットに統一される必要がある。
具体例としては、データの空間成分(場所)、を前述したGIOコードフォーマットに変換して統一的に扱うことによって、様々なデータの空間成分を一意に情報処理する事ができ、たとえば実世界に対応した数理地図上に様々なデータをプロットする事ができる。
同様に、時間成分を共通フォーマットし、さらにPOSデータの商品コードなどを商品分類し、数量のフォーマットを統一する。
これらの、データ収集モジュールがデータ源から収集したデータのデータフォーマットの変換は、データフォーマットエンジンによって実施する。データフォーマットエンジンは必要によって商品分類辞書データなどを参照してデータフォーマットを行う。
データフォーマットが統一されたデータは時系列ファイル化される。この時系列ファイルはそのまま可視化モジュールやシミュレーションモジュールで情報処理する事も可能である。
また、データ蓄積の必要性や情報処理能力などの状況によって、時系列ファイルの記憶が必要であれば空間情報を有する時系列のデータベースとしてデータ蓄積部に記憶してから可視化やシミュレーション処理に利用する事も可能である。
データフォーマット変換エンジンが、標準化する座標情及び時系列情報について、以下に、具体例を挙げて詳細に説明する。
POSシステムや双方向広告システム(特許文献3参照)などのデータには、データが発生した或いはデータが属する地点及び時点に応じた、店舗名や場所についての住所及び時間が付加している。これらの空間的情報及び時間的情報を、後述する可視化モジュールやモデル化モジュールやシミュレーションモジュールが使用する、空間及び時間モデルに対応させて座標化する。
具体的には、空間(位置)成分を緯度経度などのXY座標に変換して、各データをXY座標に対応づけ、さらにデータが発生した時間(日付時刻)成分をt(時間)座標に対応させる。
具体例としては、例えば或る商品Aの売り上げデータaが神奈川県逗子市の逗子駅前の店舗Bで2003年10月31日の午前10時35分に発生したものであれば、店舗名Bと商品名Aと販売個数P、と販売価格Zというデータに、店舗の所在地北緯35度17分38.38秒東経139度34分56.85秒という空間成分と2003年10月31日の午前10時35分と言う時間成分に対応して「(データ):a,(商品):A,店舗:B,(所在地)Y:35.173838,X:139.45685,(時間)t:20031031.10311035,(販売個数)P:1,(価格)Z:120」という時空間座標成分を標準化した時系列データフォーマットを生成した上で情報処理する(又は、一時データ蓄積部に記録する)。
また、情報処理システムをデジタル計算機で実現する場合には、時間及び空間データの計算(情報)処理を行うために、時間・空間を計算機で処理可能な形式に離散化することが好ましい。連続的な時間や連続的な空間について計算を行うことは実際の計算能力の限界から考えると不効率と言わざるを得ない。
そこで、時間の単位、空間の単位を設定して様々なデータは設定した時間・空間単位ごとに整理してデータ収集し情報処理する事が効率的である。
これは計算(情報)処理する時間・空間スケール(解像度)を決定する必要があるということでもある。
時間離散化の具体例としては、年、月、週、日、時間などが考えられる。これらの離散化時間に対応して、データを収集して情報処理する事が可能になる。
たとえば毎月の売り上げ状況を可視化する際にはデータを月ごとにまとめて可視化計算することになり、時間ごとに可視化する際にはデータを時間ごとにまとめて可視化計算することになる。
応用性を考えれば、通常の時間単位である「年:月:日:時:分:秒」による時間コードを付与した時系列データファイルを生成しておき、必要に応じた時間単位でデータをとりまとめて情報処理すれば、一つのデータを様々な時間単位に対応させることができる。
次に空間の単位であるが、具体的には空間をメッシュに分割する方法が挙げられる。本発明の情報処理システムが利用可能な空間離散化の方法のひとつとしては標準地域メッシュを利用することが好ましい。
日本における様々社会的な基礎データもこの地域メッシュで整理されているため、本発明のように社会的な現象を可視化・シミュレーションする際には非常に便利である。
これらの地域メッシュに沿って社会・自然などにおける様々な統計データが準備されている。社会的なデータとしては、国勢調査が代表的であり、それぞれの地域メッシュ内における総人口、性別人口、年齢別人口、職業別人口などを、さらに商業統計調査では、各地域メッシュにおける商業施設の数、平均床面積、平均売り上げなど、社会及び社会現象を分析する際に重要なデータとなる社会的な基礎データの調査を調査し公開している。
この標準メッシュコードによって空間の離散化を行えば、本発明の情報処理システムによって、社会的な現象を視覚化しシミュレーションする際に、これらの社会的な基礎データを利用することが簡便になる。
標準地域メッシュは、統計に利用するために、緯度・経度に基づいて地域をほぼ同じ大きさの網の目(メッシュ)に分けたものである。標準地域メッシュでは第1次メッシュから第3次メッシュまでが定められており、第1次メッシュは20万分の1地勢図の1図葉の区画を1単位区画としたもので、緯度差は40分、経度差は1度となっている。1辺の長さは約80kmである。第2次メッシュは第1次メッシュを緯線方向及び経線方向に8等分してできる区域で、2万5千分の1地形図の1図葉の区画に対応する。緯度差は5分、経度差は7分30秒で、1辺の長さは約10kmである。第3次メッシュは第2次メッシュを緯線方向及び経線方向に10等分してできる区域である。第3次メッシュのことを標準地域メッシュという。緯度差は30秒、経度差は45秒で、1辺の長さは約1kmである。
これらの地域メッシュを識別するためのコードを地域メッシュコードと言い、日本では、行政管理庁(現在の総務省)によって出された「統計に用いる標準地域メッシュおよび標準地域メッシュ・コード」(昭和48年行政管理庁告示第143号)が用いられている。このコードは1976年に日本工業規格(JIS
X 0410 地域メッシュコード)となった。
1次メッシュコードは4桁の数字で、上2桁が緯度(1.5倍して分以下を切り上げたもの)、下2桁が経度(下2桁)を表す。第2次メッシュコードは2桁の数字で、上1桁が緯度方向、下1桁が経度方向を表す。これに1次メッシュコードを合せて5339-23のように表す。第3次メッシュコードは第2次メッシュコードと同様に2桁の数字で、上1桁が緯度方向、下1桁が経度方向を表す。これに第1次・第2次メッシュコードを合せて5339-23-43のように表す。
地域メッシュは、GIS(地図情報システム)として知られる情報システムでも利用されている。GISは空間メッシュの分割された各格子に、地形的な情報、地勢的な情報、交通網などの地図情報と、上述したような国勢調査などの社会的な調査によって得られたデータや売り上げデータなどを紐付けし、数理地図上にデータを表示する技術である。
本発明による情報処理システムとGIS技術の大きな差は、数理地図とデータを紐付けするだけではなく、様々なデータを、現象を構成する要素として扱い、要素(データ)の変化と相互作用を動的に扱える(計算処理する事が出来る)ことである。
現状のGISでは要素(データ)の量的な変化を時系列に動的に可視化するためには煩雑な作業が必要になる。またGISでは要素(データ)の相互作用を動的に表現することは困難である。
さらにGIS上で、様々な要素(データ)の振る舞いや変化を数値計算することは不可能である。
しかし、本発明の情報処理システムは、数理地図上に紐付けした要素(データ)とその相互作用について数値計算を行い、動的に時系列に時空間における現象として表現する。また実世界の要素(データ)を利用して高度な社会的現象のシミュレーションを行う。
さらに、本発明による情報処理システムは、統計手法とは異なり、社会的な現象を非線形な現象を扱うことが出来るようにする必要がある。
非線形現象は通常基本的には微分方程式や偏微分方程式によってモデル化されている。
これらの方程式の各項・各パラメーターに収集した社会的な要素(データ)を当てはめて空間微分や時間微分の項を計算処理することによって、社会的な現象を情報処理可能にする。
そのため、本発明では空間を離散化(分割)するだけではなく、離散化(分割)した各空間の中(好ましくは中心)に、分割した各空間に属する(紐付けされた)要素(データ)を代表する計算点を置く。
この計算点は例えば、偏微分方程式の数値計算本発明である差分法における格子点に相当するものであり、この計算点を置くことで様々な非線形現象モデルの計算処理が可能になり、動的な可視化 パターン認識、分類、シミュレーションなどの情報処理(計算)を行うことが可能になる。
また、本発明の情報処理システムでは対象とする現象や、現象モデルや、シミュレーションの目的によって、有限要素法、格子ボルツマン法、セルオートマトン法、差分法などの数値計算法を使い分けて利用することが好ましい。
さらに、数値計算するモデル(数理モデル)の方程式によっては、解法に非常に計算能力を必要とするものがある。このような場合はモデルが使用する方程式の解法に特化したソルバーを情報処理システムに実装することが望ましい。
さらに、データ収集モジュールは、その他の基礎データとして、さらに地図上の座標や地域メッシュに属する数値データ、具体例としては標高データ・道路や鉄道のデータ・行政区分データ・植生のデータなどを現象に影響を与える要素(データ)として、各格子に対応づけて記録・情報処理(計算)する事ができる。
<可視化モジュール>
図21は可視化モジュール1100の実施構成例を略示的に示したブロック図である。
可視化モジュールによって、データ収集モジュールが収集しデータフォーマットを標準化したデータ(場合によってはデータ蓄積部に記憶したデータ)を、社会の時空間モデル(数理地図)上に要素(データ)の変化や相互作用を空間的時系列的に展開し現象の時空間における社会的現象の時系列動画として可出力するモジュールである。具体的には、可視化モジュールが、各時間の各空間に対応付けられた要素(データ)及び要素(データ)の相互関係を計算して等高線・シェーディング・ベクトル・粒子等によって数理地図上にデータ量の変化或いはデータの相互関係の時空間的な変化(現象)として可視化することが出来る。
可視化モジュールは、データ入力部と可視化(映像データ生成)モジュールと操作モジュールと映像データ出力部からなる。
データ入力部は、データ収集モジュールのデータ蓄積部からデータを入力し可視化モジュールの格子描画エンジンによって描画した格子上に各データの変化を描画する。
格子生成モジュールは、前述の計算点(格子点)を生成してデータの視覚化計算をする事を可能にする。
ただし、格子描画エンジンが生成する計算点(格子点)は地域メッシュのような2次元正方格子のみではなく、情報処理を行う時空間モデルに対応して、様々な形状の空間メッシュや2次元以上の空間に対応した格子を生成して可視化をすることも可能である。
可視化モジュールの入出力及び情報処理は、操作モジュールを利用して空間情報を有する時系列のデータベースとして蓄積されたデータから、ユーザーが複数の任意の変数を指定し、映像データ生成モジュールに含まれる機能(シェーディング、等高線、ベクトル、粒子表現等)を用いて可視化し、それらをオーバーレイして表示することができる。
具体的には、空間と時間の広がり(日本全国や関東地方や東京都、2000年1月1日から2002年12月31日まで、など)、及び空間解像度(前述のメッシュの大きさ)と時間解像度(毎月の、毎日の、など)を選択し、可視化したい要素(データ)と要素(データ)の相互作用を設定して可視化処理を行う。
具体例としては、図28に示すように、関東地方における社会現象について可視化する際に、第3次メッシュを利用して空間の離散化(分割)を行い、約128km四方に及ぶ関東地方を1km四方の格子で128X128程度の解像度で分割し、各メッシュに対応する現象の要素(データ)や社会的な基礎データ(人口などの要素(データ))の変化や要素(データ)の相互作用を可視化するための情報処理(計算)を行うことになる。
また、計算処理は格子の多さに依存するので、500m或いは1kmの整数倍の大きな格子を生成して(整数倍した)複数の格子のデータを加算することにより、格子数と計算量を少なくすることも可能である。例えば全国における社会現象を概観する際には、20個の1km格子のデータを加算した上で、20km平方の格子を生成して、短時間で可視化やシミュレーションといった計算処理をおこなう事が可能である。
さらに、現象の詳細を検証する際には、小さな格子を生成して、例えば関東地方における現象の様子を視覚化或いはシミュレーションするといった方法が可能になる。
具体例としては、500mよりも小さな格子を生成して、各格子に対応する各データをモデルに基づいて分配する或いは平準化する等の方法で、詳細な格子を生成して現象の視覚化やシミュレーションを行うことも可能である。
さらに、特殊な例として、2次元以上の次元で格子を生成することも可能である、例えば3次元格子を生成してそのうち2次元(XY座標)は空間座標として空間地図に対応させ、もう1次元(Z座標)は空間座標に対応するなんらかのデータ(例えば人口密度など)として加えて、人口密度が高さとして表現された3次元格子を生成することが出来る。
このように、多次元のデータを多次元の格子に対応させることによって、従来では困難であった、様々な要素の相互作用を一括して視覚化及び計算処理する事が可能になる。
たとえば、Z軸(高さと)して表現されるデータは人口密度のような一次的なデータのみならず後述するように計算処理の結果得られる(ターゲット人口と広告投下量から予測される販売量のような)二次的なデータであっても良いし、空間座標に対応する現象の時間的な変化を示すデータなどであっても良い。
具体例としては、全国を500mメッシュに区切った多数の格子によって表現される2次元座標に時間変化を加えた3次元座標上で、情報提供状況や広告投下状況や商品販売状況などの様々なデータの変化を実際の地図に対応して表現される市場での様々なデータの変化(現象)として可視化する事が出来る。
またこの時、描画されるデータは現象のパターン(特徴)について知見を得やすいように、可視化モジュールの等高線計算エンジン、パーティクル計算エンジン、ベクトル計算エンジン、シェーディング計算エンジンなどの視覚化エンジンなどにより、各データの変化が適切に強調され動画として映像化される。
例えば、社会現象の基礎的なデータと要因の量的或いは質的な変化を、それぞれ、色彩、彩度、明度、等高線などの変化によって可視化することが出来る。
複数の次元を座標変換した上でZ軸に表現することで3次元以上の多次元を3次元格子で表現するさらに計算処理する事も可能である。
さらに、後述するように適応地形データを生成して、最適化の度合いを視覚化的に表現することが可能なる。
上述のように、情報処理された上で生成された映像データは映像データ合成部で合成されて。映像データ出力部に送られ、映像データ出力部に表示装置に適したデータ形式に変換した上で、表示装置上に動画映像として表示される。
動画映像は視覚化モジュールからの映像出力としてそのままモニターなどで見ることが可能であるし、映像データ出力部で、GISシステムが処理可能な形式(例えばアニメーションJPEGなど)に変換してGISシステムに再入力しGISシステムの地図レイヤーや地図属性情報レイヤーと重ねて見ることも可能である。
また、表示装置としては2次元的なCRTや液晶モニターに出力する事も可能であるし、映像データ合成部にパララックス(視差)計算ソフトウェアを追加して、視差計算を行わせて立体映像とし出力して3次元的な表示装置で、立体的に表示する事も可能である。
さらに、可視化する際には、現象の変化の様子を観察しやすいように、例えば一日分の変化を1秒で計算出力した上で出力することにより、1年間の現象の推移を6分で表示するなど、時間的な圧縮や伸張を行ったうえで表示することが出来る。
以下に、視覚化モジュールを使用して新たなマーケットの生成過程を可視化する実施例について説明する。ここでは、新たな産業が産まれて、全国に拡がって行く様子を時系列的な現象として映像化する例として、昭和5年に第一号店が日本に出店したパチンコ店の全国への展開の視覚化例を説明する。
昭和25年の、全国のパチンコ店の組合成立以降は、時系列(ほぼ毎年)に調査した全国のパチンコ店のリストが存在するので、この店舗リストをデータ収集情報収集モジュールに入力する。具体的には各パチンコ店の住所を緯度経度のXY座標に変換し、視覚化モジュールの格子の識別番号に対応させて、時系列のデータファイルとしてデータ蓄積部に記憶する。
視覚化モジュールのデータ入力部は、データ収集モジュールのデータ記憶部から、上述のパチンコ店データを読み出し、日本全国を分割(離散化)した格子に対応づけてプロットする。
この時、可視化モジュールの各機能を使用して、一つの格子内におけるパチンコ店の絶対数を色彩の濃さで示す事でパチンコ店の絶対数(密集度)を表現し、同時にパチンコ店が拡大して行く前線を等高線で時系列に表現することで、時系列な広がりの状況や産業が拡がって行く速さの度合いなどを動画化することが出来る。
この時、パチンコ店の拡大の様子を特徴づける現象に注目して新たなモデルを作り、そのモデルを後述するシミュレーションモジュールで数値計算して、その結果を視覚化モジュールで視覚化することもできる。また、同様にデータ欠損部分について、モデルに基づいてシミュレーションし、補完して視覚化することが可能である。
具体例としては、視覚化モジュール上で日本全国を一辺約40kmの2次元格子として離散化し各格子(セル)におけるパチンコ店の件数(の増加)を時系列変化で映像化する事が出来る。
しかしこの時、特定の地域、具体的には大都市圏などの変化の様子を詳細に見るために、それらの地域にのみさらに詳細な格子(例えば1kmの)などを生成し、全体と一部の変化の様子を観察することも可能である。同様に時間の離散化についても、全国レベルでは1年を1秒として動画化し、大都市圏では1ヶ月を1秒として動画化することで時系列での詳細な変化を観察する事が出来る。
このように、視覚化モジュールを利用して新たな産業が社会に広がって行く様子を社会現象の全体及び/又は詳細を時空間にわたる変化として、時系列的に可視化し概観することができるようになる。視覚化モジュールを利用して社会現象の全体及び/又は詳細を時空間にわたる変化として、時系列的に可視化し概観することで、現象のパターンや特徴が明らかになり、従来の方法では得られなかった直感的な理解が得られるようになる。
また可視化モジュールを利用して、新しい商品の広がりを、可視化することが出来る、具体的には、全国展開しているコンビニエンスストアのPOSデータから或る商品の売り上げ状態の遷移を可視化することが出来る。
具体例としては、ミネラルウォーターや発泡酒などの新商品の販売量は、卸流通時のデータや販売店舗のPOSデータとして蓄積されている、これらのデータの発生した空間座標(販売店の空間的な位置)を、視覚化モジュールが生成した格子座標に対応させ、発生時系列にデータの変化を映像化することによって、新たな商品の市場が生成する状況を概観することが出来る。
それまでに存在していなかった商品が市場で広がって行く様子などを視覚化モジュールによって可視化することが出来る。
当然、可視化モジュールは、現在存在している商品の販売状況を視覚化することもできる。この時、国勢調査による人口データから、格子内における人口:販売量比や、格子内におけるターゲットとする人口(例えば20歳以上の女性人口):販売額比などのような、情報処理を行った結果を映像として可視化することも可能であるし、複数のデータを異なる表現手段によって重ねて映像化することも可能である。
これらの、異なる量を映像の中で表現するための視覚化処理は、可視化(映像データ生成)モジュールの、メッシュ描画エンジン、等高線計算エンジン、パーティクル計算エンジン、ベクトル計算エンジン、シェーディング計算エンジンなどの視覚化エンジンを利用して様々な視覚化を行うことが出来る。具体的には、それぞれの量を等高線として、パーティクルとして、ベクトルとして、或いは色としてそしてその濃度として、量とその変化を表現する事が出来る。これら出所が異なる様々なデータは、データ収集モジュールが収集し、空間座標、時系列を標準化して記憶することで、可視化モジュールで一元的に映像化することが出来る。
さらに、前述の双方向広告システムや従来的な広告の投下量の記録をデータ収集モジュールが収集し、人口:広告投下量:販売量比を可視化する。或いは都市サイズ:人口:広告投下量:販売量比を可視化するなどの方法によって、商品ターゲット設定や広告戦略の成果確認や、マーケティングモデルの構築や検証に可視化モジュールを利用することが出来る。
このように様々な情報処理を行った上で可視化を行えば、新たな商品や産業の発展する現象やその変化のパターン或いは特徴について知見を得ることが出来るだけではなく、従来の方法では、得る事が困難であった現象やその変化についての直感的な理解を容易に得る事が可能になる。
以上の例は、それまでに無かった商売や商品の市場創成の様子を数値・映像化している。もし2つの例の可視化映像や数値に、共通のパターンや特徴が見られる様なことがあった場合には、これらの(有意な)パターンの認識・抽出を通じて、新たな産業や商品が市場に拡がって行く際の法則性を導くことが出来る可能性がある。
パターンの認識・抽出及び、法則性を導く方法としては、後述するようにモデル抽出モジュール及びシミュレーションモジュールを利用することが出来る。
上述したように、可視化することによって、現象そのものを概観し直感的に捉えることが可能になる。また、数式や数値やグラフや表としてではなく、変化の様子を捉えた映像として現象の変化の様々な特徴やパターンを捉えることで、直感や経験を充分に働かせて、現象と変化に対する理解を得ることが出来るようになった。
従来の他の分析手法である静的な統計的表現などに比較すると、統計学やデータマイニングなどの教育を受けていないユーザーであっても、社会現象をリアルに直感的に把握することが可能になり、統計的処理やデータマイニング処理などに煩われることなく現象を理解し本質を捉え予測を行うための知見を得ることが容易になる。
また、可視化モジュールによって表示した画像は、ユーザーが任意の位置に平行移動、任意の角度に回転、任意の大きさに拡大・縮小できる。また、生成した画像は、時系列の動画として表示することができる。さらに、瞬時の画像を時系列で自動保存することもできる。可視化に用いた設定は、ヒストリーファイルとして保存することができ、このファイルを読み込むことで、可視化の再設定作業を大幅に軽減できる。
つまり、大まかに現象を概観してから細部の状況を詳細に可視化処理することにより、現象の概要から細部に至る状況を把握することが出来る。さらに毎日或いは毎週同じ要素(データ)を可視化する際に、一々自社商品と競合他社の商品を要素(データ)として指定したり、関連する要素(データ)を指示することなく、あらかじめ設定したヒストリーファイルを指定するだけで可視化処理を開始する事が出来る。
上述のように可視化モジュールにより、社会や経済や市場で起きている現象を動的な視覚化画像として概観する事が出来る。さらに、空間的及び時系列的な、社会や経済や市場における現象とその変化を動的に可視化し、概観することで現象の特徴、特異点、変節点を浮き彫りにする。
また、現状を正しく理解するためには現在の状況だけをいくら詳しく分析しても不充分であり、時系列的な特徴を捉え、なぜ現在の状況がそこにあるのかを過去との関連において見極めることが必要になる。
大きな流れや変化を大局的に概観することで、部分的な分析や知見のみに基づく「部分最適」「思いつき的な対策と実行」に陥ることを防ぎ、正しい原因の分析を導き、
社会や経済や市場における現象ついての有効な指標(パラメーター)や法則性(或いはモデル)を発見することを可能にする。
社会や経済や市場を分析し可視化する従来の主要な手法である統計的手法は、社会・市場・経済やその現象を構成する膨大な要素からいくつかの要素を選択し、要素の相互作用を線形モデルとすることで、社会・市場・経済やその現象をモデル化する。しかし、実際の社会や経済や市場の現象は多くの要素が複雑に相互作用する動的な非線形現象を含む複雑な適応系であるため、線形なモデルでは本質的に記述が不可能である。また、非常に小さな要素の相互作用が系全体に大きな影響を与えることもある、さらに結果が原因にフィードバックする事も多々ある。このため従来的な手法で社会・市場・経済やその現象を理解し説明し予測する事には本質的な限界が存在した。
しかし、本発明による方法で実際に社会や経済や市場において起因している現象をそのまま可視化することによって、実際の社会や経済や市場現象を、非線形現象を含む複雑な適応系の動的な現象として観察することが可能になり、現象のより本質的な意味を読みとれるようになる。
このように、データ収集モジュールと可視化モジュールの協調によって、社会や経済や市場を直感的に且つ正確に把握し理解するための新たな方法を実現する事が出来る。
また、企業において本発明を利用する場合には、収集したデータをアニメーションで視覚化し、例えば1年間の現象推移を数分に圧縮して見ることによって、
ユーザーが現象の全体を時間軸に沿って概観し、現象パターンを読み、傾向を分析する事が出来る。
このため、例えば製品やサービスの仕様、製造数量などについて仮説を立てさらに仮説を検証し企業における意志決定の基礎を得る事が出来るようになる。
<現象のモデル化>
しかし、可視化するだけで現象の理解が充分に行えるという事ではない。
上述したように、企業等で商品やサービスの仕様を決定したり、販売戦略を構築したりする際には、市場における様々な要素についての仮説を基に、それぞれの課題や解決策を明らかにして行かなければならない。そこで重要になるのが現象の適切な分類、及び仮説に基づいた現象のモデル化である。
例えば既存商品の販売戦略を構築する場合、または既存商品に対して新商品を開発する場合など、それぞれの商品の成否を左右する様々な要素が存在し、それらの要素の相互作用によって商品の売れ行きが大きく異なり、さらに要素間の相互作用には適応的にフィードバックが存在する事も多い。このような多くの要素の複雑な(その多くが非線形な)相互作用は、直感に反する現象を起因することが多く。このような現象を理解し予測するためには、現象の適切な分類、及び仮説に基づいた現象のモデル化が不可欠である。
モデル化は通常、社会や経済や市場にたずさわるユーザーによって行われる。本発明においても、このようなユーザーがマーケティング仮説や経済学的などに基づいたモデルを用いて、情報処理システム3500bの統計処理モジュールや後述するシミュレーションモジュールを利用して現象の分析や予測を行うことが可能である。
また、可視化モジュールの可視化結果を概観或いは詳細に観察することによって、ユーザーが効率的に現象を分類する或いはモデル化する事が出来る。
しかし社会や経済や市場における多くの要素が相互作用する複雑且つ非線形でフィードバックを含むような現象を分類する、或いは説に基づいて現象を論理的に或いは数理的にモデル化するには、社会科学、経済学、統計学、計量経済学、非線形動力学、マーケティングなど様々な専門的な知識とトレーニングが必要であった。
仮説に基づいた現象のモデル化を、マーケティングやコンサルティングの分野ではシナリオと呼ぶこともある。ただし現状では計算機で処理が可能な論理的或いは数理的なモデル(又はシナリオ)を簡便に生成する装置や方法は存在していない。
そこで本発明における情報処理システム3500bでは、専門的な知識とトレーニングの経験を有しない企業や行政の現場にたずさわるユーザーが、社会や経済や市場の複雑で非線形な現象の適切な分類、及び実際的な仮説に基づく現象のモデル化を行うことを可能にする機能を実現する。
以下に、可視化した現象の数値的或いは幾何学的なパターン(特徴)を基に、現象を分類する、或いはモデル化する方法を説明する。
図22は、情報処理システム3500bにおいてモデル化モジュールを実施する例を略示的に示したブロック図である。モデル化モジュールは、モデルパターンデータベース、幾何学パターン認識エンジン、数値パターン認識エンジンなどで構成することが出来る。
また、モデル化モジュールの構成のバリエーションとして、パラメーターセット検証モジュールやモデルコントロールモジュールを追加することもできる。
モデル化モジュールは、現象を分類し、或いは現象を説明しその変化をシミュレーション(予測)するためのモデルを作る。
可視化された現象に見られるパターン、特徴、特異点、から、現象を説明する様々な論理的或いは数値的なモデルを生成或いは仮定することで計算機により様々なモデルをシミュレーションする事が可能になる。
モデルパターンデータベースは、様々なパターンやモデルや方程式やパラメーターを関連づけて記憶する、幾何学的或いは数値的パターンと特徴とそれらのパターンや特徴を説明する或いは生成するモデルのライブラリーである。
モデルライブラリーには、自然科学的な現象のパターン及び/又は既存の社会現象或いは予測される社会現象のパターン、さらにはそれらのパターンの特異点配置や変化を、様々な分類方法で分類して記憶させておく、分類方法としては、自然現象の種類、社会現象の種類、方程式の種類、数学的な近さ、理論的な近さなどが考えられる。
これら、現象モデルパターンデータベースに記憶するパターンについては、そのパターンを生み出す現象を生成或いは説明するモデルや方程式やパラメーターを関連づけて記憶しておく。
記憶するパターンやモデルの具体例としては、パターンや特徴は具体的には、線分、面、曲線などの交差や傾きなどの特徴や、幾何学的な特異点としての、頂点、鞍点、など。さらに静的な状態だけでなく、動きや速度ベクトルのパターンや特徴を記憶させ、パターン認識エンジンでこれらのパターンを人獅子期することが考えられる。
また、例えば様々な幾何学的及び数値的なパターン、流体力学や波動力学や熱力学や電磁気学や力学的な的な現象のモデル及びパターンなどを記憶させることが考えられる。これらの現象の時系列的な変化としての、拡散パターン、や移流パターン。
流体的な現象パターンとして層流のパターンやカルマン流や乱流的なパターンなど、波動力学的なパターンとして、波のパターンさらには干渉縞や、波形のパターンなど様々なパターンが考えられる。
これらの力学的なパターンは、多くがモデル化されているので分析やシミュレーションに都合がよい。これらの力学的なパターンを説明するモデルである方程式とそのパラメーターは、多くのパターンについてほぼ完全に決定されている。そこで、現象モデルパターンデータベースには、パターンの特徴と、それらのパターンを説明する数値的なモデルである方程式とそのパラメーターを関連づけて記憶させておく。またこの時、力学的相似を認識するために、方程式を構成するパラメーターは可能な限り無次元化しておく事が望ましい。
さらに、これらの自然現象のパターンに加えて、従来観察された或いは研究されている社会現象のパターンや研究から予測される社会現象のパターンと、それらの現象のパターンも説明すると考えられている数値的なモデルである方程式とそのパラメーターを関連づけて記憶させておく事が望ましい。
しかし、社会現象のような複雑な現象は従来的な力学や社会科学のモデルだけでは説明できない可能性がある。そこで近年研究が進んでいる複雑系における現象モデルのパターン(具体例としては図形のフラクタル次元など)や、カオス現象に見られるパターン或いは自己組織的な現象に見られるパターンなどを記憶させておくことが考えられる。
また、自然現象におけるモデルやパターンだけではなく、計算機科学におけるマルチエージェントモデルやネットワークモデルのパターンや特徴などの、パターンや特徴を記憶させておくことで、適応複雑系としての社会や経済や市場の特徴を活かした分類或いはモデル化を行うことが可能になる。
このような、様々な現象のパターンや特徴をデータベース化したモデルパターンデータベースは、社会現象の分析のみならず自然科学研究に活用することもできる。さらに分析や説明やシミュレーションが困難であった複雑系現象全般の分析ツールとしてモデルパターンデータベースを含む本発明を活用することも可能である。
前述した可視化モジュールの可視化結果をユーザーが概観し或いは詳細に観察することによって、ユーザーがモデルパターンデータベースの分類の中から現象を説明する適当なモデルを選択する事が出来る。
具体的には、可視化モジュールによって映像化した現象の変化のパターンを人間が読みとり、前述したモデルパターンデータベースに予め記憶されているパターンと対応するパターンを選択することが出来る。現象を記述するモデル及び方程式を選択することによって、後述するように現象のシミュレーションを行うことが可能になる。
しかし、人間によるパターン認識には注意すべき点がある。以下に代表的な2つの点を挙げる。
人間のパターン認識能力は非常に高速であるが、高速である理由が記憶や直感的な情報処理に頼っているという特徴がある。人間の特性である記憶力の界限や感情的なバイアス、例えば希望的観測に影響を受けて判断を誤るなどのように、人間の判断には限定的な合理性しか有しない点を考慮するべきである。
また、膨大なパターンのデータベースからマッチするパターンを総当たり的に検索することや、パターンの類似度を数値的に判断するなどの情報処理、及び数値的なパターン認識は計算機が圧倒的に優れている。
<計算機によるパターン認識>
そこで、可視化モジュールの可視化結果とモデルパターンデータベースと計算機によるパターン認識を利用して、計算機によって合理的に且つ自動的に現象の分類或いはモデル化を行うことが出来る。
計算機による分類或いはモデル化は、数値パターン認識エンジンによって、分析対象現象の要素としてのデータの数値的パターンと特徴を認識することによって実現される。
幾何学的パターン認識エンジンによって、可視化された現象の幾何学的なパターンや特徴をパターン認識して、予めモデルパターンデータベースに記憶されているパターンから、認識したパターンと同様のパターンや特徴を持つパターンを抽出する。
抽出した、モデルパターンデータベースに記憶されているパターンを生成或いは説明するモデルを、分析対象現象を説明するモデルとして仮定して、予めモデルパターンデータベースに記憶されているモデルを記述する方程式や論理式やシミュレーションプログラムやそのパラメーターなどを、分析対象現象を記述する方程式や論理式やシミュレーションプログラムやそのパラメーターなどであると仮定し、分析対象現象の要素データを、方程式や論理式やシミュレーションプログラムのパラメーターとして仮定的に充当して分析対象現象を記述するパラメーターセットを生成する。
さらに、分析対象現象のパターンや特徴によって近い分類に分類して、仮定したモデルや方程式やパラメーターと関連づけてモデルパターンデータベースに記憶する。
モデル化モジュールは、似たようなパターンや特徴を持つ現象は或いは相似の現象は、似たような或いは相似の法則或いはパラメーターを持っている可能性があるので、同じような発展経路をたどる可能性があるという科学的思想をバックボーンに持つ。(参考文献:自然の中に隠された数学 イアン・スチュアート 1996 草思社)
次に数値パターン認識について説明する。現象に見られる数値的なパターンや特徴を見つけるために、モデルパターンデータベースには様々な現象のパターンと特徴とその現象を説明するモデルとともに、モデルを構成するパラメーターとパラメーターの相互作用が関連づけられて記憶されている。
モデルを構成するパラメーターとパラメーターの相互作用は、方程式などの形でモデルとして記述されることもあるし、マルチエージェントモデルのようにコード化されてソフトウェアプログラムのような形式で記述されることもある。
数値パターン認識は具体的には、データ収集モジュールが収集してきた分析対象現象の要素データ(分析対象現象のパラメーター)の時系列的な変化や、パラメーター同士の関連や相互作用などに、数学的なパターンや特徴がないかをパターン認識する作業であり、数値パターン認識エンジンに予めパターンや特徴を捜索するソフトウェアプログラムを実装して数値計算的にこのパターンや特徴を認識する事で実現できる。
捜索するパターンや特徴の一例を挙げると、365日で循環するような、或いは季節的な変動に関連するような数値的なパターン、またフィボナッチ数列のような特徴的なパターンや特徴をもつ数値が考えられる。
また、パラメーターの関連や相互作用としては、2乗に反比例する関係、平法則や立方則、べき乗則的な特徴、対数的な特徴などが考えられる。
分析対象現象のパラメーターの関連や相互作用の特徴は、分析対象現象を説明するモデル化する際に大きな手がかりになる。
もし、従来知られた方程式とほぼ同じ様なパラメーターの関連或いは相互作用が分析対象現象のパラメーターの関連や相互作用の特徴として見られた場合、分析対象現象をこの方程式で説明できる可能性がある。
上述したような様々なパターンや特徴については、幾何学的特徴や数値的な特徴、その時系列変化の特徴や特異点、そのモデル記述やモデルやパラメーターのセットなどを関連させてモデルパターンデータベースに記憶させておくことで、様々な現象と近似するモデル化すること、或いは分析対象現象を様々な観点からモデル化する事が可能になる。
ここで、パターン認識エンジンについて詳細に説明する。パターン認識とは観測されたパターンをあらかじめ定められたパターン分類(クラス)の1つに対応させる情報処理であり、計算機によるパターン認識技術は、既に様々な分野で研究され実用化されている。一例を挙げれば、セキュリティにおける指紋照合や網膜照合など、医療分野でのX線画像解析、介護などの分野での人間の顔貌認識及び人物の高精度追跡。
或いは、衛星画像からの地質や植生に分析、或いは軍事施設や車両などの高精度追跡。文字・文書・画像の認識、情景画像中の文字情の抽出、走行中の車両のナンバープレート認識、情景画像の理解などの既存技術が存在する。
計算機によるパターン認識は通常、特徴抽出と識別の2つの過程で行われる。
特徴抽出とは、対象を区別できるような情報を、観測された分析対象現象の視覚化パターン或いは数値パターンから取り出す処理である。この時、計算機で扱いやすいように、取り出された情報はすべて数値化さていれる必要がある。取り出された情報を特徴と呼ぶ、具体的には幾何学的な形状や数値的な特徴などが特徴となる。
また、パターンや特徴としては、線分、面、曲線などの交差や傾きなどの特徴や、静的な状態だけでなく、動きや速度ベクトルのパターンや特徴を認識することもできる。
パターンの識別は、得られた特徴を用いて観測されたパターンがどの分類(クラス)に属するかを判断する処理である。観測パターンから得られた数値を対象とするので、識別の理論は様々な認識対象に対して適用できる。
識別の手法は、大きく統計的アプローチと構文解析的アプローチに分類される。代表的な統計的アプローチとしては、確率分布を求める方法が様々な特徴に対応できる一般的な方法として挙げられる。これは、パターン分類ごとに多くのデータを収集して特徴を求め、特徴の確率分布を求めておき、未知の観測パターンから特徴を求め、それが各クラスに属する確率を計算し、最も確率の高い分類(クラス)が一番もっともらしいパターン分類であると判断する。
一方、構文解析的アプローチでは、各クラスのパターンがある理論(文法)に従って生成すると考え、観測パターンを生成するのはどのクラスの理論であるかを判断することでパターン分類を判定する。
さらに、パターンの様々な特徴の度合いに数値的な重み付けを施すことにより、パターンがどの分類に属するかを。数値的な近さとして(例えばクラスター化して)判断する事も可能である。
パターン認識エンジンによるパターン認識方法は、データベースに含まれるパターンすべてについて、総当たり的に行うことも可能であるし、既に提案されている様々な、パターン認識アルゴリズムのプログラム或いはヒューリスティック的なパターン認識プログラムなどによって実現することが出来る。
上述の様なパターン認識ソフトウェア或いはハードウェアをパターン認識エンジンとして実装することで、パターン認識を実現することが出来る。
前述したように、可視化モジュールによって、描画されるデータは現象のパターン(特徴)について知見を得やすいように、可視化モジュールの等高線計算エンジン、パーティクル計算エンジン、ベクトル計算エンジン、シェーディング計算エンジンなどの視覚化エンジンなどにより、各データの変化を捉えやすいように適切にエフェクトされた上で動画として映像化されている。
計算機で形を処理する場合には、形を形成する点を画面スクリーン上座標としての数値で処理している。具体的には可視化モジュールの出力映像は、画素(ドット)の集合で表示されているが、各画素はスクリーン上の座標として数値的に処理されている。
一般に形とは点の集合であり、計算機においては数値の組みのリストとして処理する事が出来る。
そこで、幾何学的パターン認識エンジンは、可視化手段の映像生成モジュールの映像データ合成部の出力を取り込み、現象の映像的成分の幾何学的特徴やその変化から、現象の特徴的なパターンを認識する。
また、数値パターン・パラメーター認識エンジンは前述した、映像生成モジュールから数値段階での出力を取り込み、現象の映像を構成する要素の数値的成分の特徴やその変化から、現象の特徴的なパターンを認識する。
また、別の方法として離散的なパターン認識の方法として、空間を格子に分割してあるので 各格子点の要素の変化(移動)の特徴をパターンとして抽出することや、すべての格子点の要素の状態、或いは要素の変化の状態を真理値表化して現象を抽象化し、パターンマッチングを行う方法なども可能である。
そこで、可視化モジュールで映像化した分析対象現象の映像及び/又は数値的なパターンをパターン認識し、現象モデルパターンデータベースに予め記憶させた、自然現象や社会現象のパターンと比較し現象に似たパターンを抽出する。この時、パターン認識の結果似たような或いは、相似或いはパターンを持つ現象は、似たような原因、相互作用、結果を有するとの仮定の基で、パターン認識の結果分析対象の現象に似たパターンを有する数値モデル(現象モデルパターンデータベースに予め記憶された)を分析対象の現象を説明するための第一近似モデルとする。
この時現象を説明する第一近似モデルを複数与えることも可能である、複数のモデルは後述するシミュレーションと検証を経て、精度の高いモデルが抽出される。さらに、複数のモデルを合成してシミュレーションと検証を行い精度の高いモデルを作ることも可能である。
パターン認識を計算機でおこなうことにより、人間には判断不可能な膨大なパターンを網羅的に検索し、モデルパターンデータベースに記憶されている数値的なパターンやパラメーターのライブラリーの照合を行うことが出来る。
上述のように、モデル化モジュールによるパターン認識の結果として、モデルパターンデータベースから分析対象の現象を記述するモデル(具体的には方程式及びパラメーターのセット)を抽出することが出来る。
モデル化モジュールが抽出したモデルによって、分析対象の現象を説明し予測するために、数値計算によるシミュレーションを行うことが出来る。
<モデルの分類>
上述したように、複雑な現象に関する理解や予測を得るための有効な方法としては現象を分類することが挙げられる。そこで本発明では、複雑な現象に対する概念を得る事を助けるために、モデル化モジュールとモデルパターンデータベースを利用して、分析対象現象をパターンや特徴によって分類し記憶する。
モデル化モジュールによって、認識された分析対象現象のモデルは、パターン認識の結果で分類され、モデルパターンデータベースに記録される。
具体的には、例えばパターンの特徴の数値的な重み付けの結果で、近い数値を有するクラスターに含まれるパターンは同じ分類のパターンとして関連づけて記憶する。
さらに、モデル化モジュールは、後述するように、シミュレーションと実現象の比較を通じて、モデルの精度を向上させるという機能を有するようにする事も可能である。
具体的には、従来から知られた機械学習機能をモデル化モジュールに組み込み、結果に対する評価を与えることでこの機能を実現することが出来る。
このようにモデル化モジュールによって、現象を近似するモデルを仮定することが出来る。
<シミュレーションモジュール>
シミュレーションモジュールは、モデル化モジュール或いは人間が抽出したモデルとパラメーターのセットを用いて、計算機による数値計算による現象シミュレーションを行う事が出来る。
具体例としては、関東地方における社会現象についてシミュレーションする際に、第3次メッシュを利用して空間の離散化(分割)を行い、シミュレーション計算をする場合には、約128km四方に及ぶ関東地方を、1km四方の格子で128X128程度の解像度で分割し、この格子座標の四辺を境界条件としてシミュレーション計算を行うことになる。
また、前述したように、社会科学的なモデルや、複雑系科学に於ける確率的なモデルやマルチエージェントモデルとしてモデル化し、それらのモデルを利用してシミュレーションを行うことも可能である。現象シミュレーション結果は可視化モジュールに出力する事が出来る。可視化モジュールがシミュレーション結果を可視化することによって、現象やその変化の様子を映像出力として可視化することが出来る。
図23はシミュレーションモジュール500の実施構成例を略示的に示したブロック図である。シミュレーションモジュールは、モデル化モジュールが出力した、現象を説明すると仮定する複数の条件の異なる方程式とパラメーターのセット(=パラメーターセット1、2・・・n)を計算条件ファイルとして、計算条件ファイル入力部に入力して、シミュレーション数値計算を行う方程式とパラメーターのセットとする。
この時、シミュレーション計算の初期値データとして、過去の実績データを収集モジュールから入力する事も可能である。
シミュレーション計算モジュールは、計算条件ファイルを利用して、現象を記述すると仮定する複数の条件の異なる方程式とパラメーターのセット(=パラメーターセット1、2・・・n)の各々について計算を行い、現象のシミュレーションとなる数値計算を行う。
シミュレーションモジュールには扱うモデルの種類や分析の目的によって様々な方法で、数値計算を行わせることが可能であるが。
前述してきた、離散化された格子モデル上で、移流拡散方程式やNV方程式などの方程式によって各格子におけるパラメーターの相互作用として記述された現象を、数値的に計算して解を出す場合には、差分法を利用することが考えられる。
差分法は、代表的な数値解析法であり、様々な流体現象を捉えることを目指す研究と計算機の発達と共に発展してきた。差分法は、対象とする現象が起きている場の領域を網の目(格子)に分割し、それぞれの格子内で現象を記述する微分方程式を差分化することにより、方程式を連立方程式として近似して、連立方程式を解くことで現象の変化を数値としてシミュレーションすることが出来る。
当然、差分法以外にも、有限要素法やスペクトル法などの数値計算方法を利用してシミュレーションする事も考えられる。
また、モデル化モジュールが抽出したモデルに、社会科学や経済学やマーケティングにおける様々なモデルを組み合わせて現象仮説モデルを作ってシミュレーションモジュールで、現象仮説をシミュレーションする事も可能である。
シミュレーション結果ファイルは時間軸に沿った現象の時系列変化の予測ファイルとして複数(例えば1日を単位として1ヶ月分であれば、30個)出力される。
シミュレーション計算モジュールは、現象を記述すると仮定する複数の条件の異なる方程式とパラメーターのセット(=パラメーターセット1、2・・・nの各々に対して、現象の予測シミュレーションを行い、シミュレーション結果ファイルを生成する。
この時、シミュレーション結果チェックモジュールを設けて、シミュレーション結果がどの程度、妥当であるかを検査することが出来る。具体的には、シミュレーション結果を検査するシミュレーション結果チェックモジュール検査に、理論チェックを行うアルゴリズムを実装して、シミュレーション結果を検査する。
例えば自然科学に於いては、総ての自然現象は熱力学の第一法則(エネルギー保存則)と熱力学の第2法則(エントロピー増大則)を守っていると考えられている。であるから、もし或るモデルによって自然現象をシミュレーションした結果が、熱力学の第一法則(エネルギー保存則)と熱力学の第2法則(エントロピー増大則)を守っていない場合には、このモデル或いはそのシミュレーション結果は正しくないと判断することが出来る。具体例としては、前述の熱力学法則や、社会や経済や市場についての経験則による法則などを利用して、シミュレーション結果出力がこれらの法則を満たしているかを検査することが考えられる。
ただし、シミュレーション結果に対して熱力学的チェックを行う場合には、社会現象が自然科学的な現象と同様の理論的本質を有すると仮定することになる。検査の結果、シミュレーション結果が検査法則を満たさない場合には、モデル、パラメーターセット、シミュレーション計算の何れかが正しくない或いは何らかの問題がある、と推定することが出来る。
複数のパラメーターセットによって計算され生成されたシミュレーション結果ファイルは、モデルの条件を変えて現象を予測したファイルとしての意味を持つので、パラメーターセット毎に時系列にまとめられ、シミュレーション結果ファイル出力部に記憶される。
シミュレーション結果ファイルは具体的には数値の羅列であり、このままでは人間が現象の変化を直感的に捉えることが出来ないので、シミュレーション結果ファイルを可視化モジュールに入力し。現象の変化を(例えば一ヶ月分)予測したアニメーションとして可視化する事が出来る。
<モデル検証作業>
各モジュールの一部、或いは全部の入出力を再帰的に情報処理することによって、現象を説明するモデルや方程式の妥当性を検証し、モデルや方程式を修正することが出来る。
具体的にはシミュレーション結果を可視化した映像出力を、実際の現象推移と比較する。
実際の現象推移に関するデータをデータ収集モジュールが収集して、可視化モジュールで可視化し、数値的及び/又は幾何学的なパターンや特徴が一致しているかを、モデル化モジュール或いは人間が比較する。比較の結果、シミュレーションが実現象を良く再現していない場合、及び/又は、モデル及びシミュレーション結果が実現象と一部異なるパターン及び/又は特徴を有する場合には、再度、現れた特徴をキーとしてモデルの再抽出及び/又は修正を行い、再抽出及び/又は修正されたモデルに基づいてシミュレーションを行い、再度実現象と比較を行う。
この時、モデルやパラメーターを変更した複数回にわたるシミュレーションにおいても頻繁に認められるパターンや特徴は、モデルやパラメーターの変化にもかかわらず、安定した現象の側面が示されていると考えられる。
さらに、モデルやパラメーター少しでも修正すると、大きく現象の振る舞いが変わる場合には、現象に大きく影響を及ぼすモデルやパラメーター及びその性質が示されている可能性があるので特に注意を要する。
上述のモデルの検証作業は、人間の介在無しにモデル化モジュールのみで行うことによって、すべて計算機によるシステムだけで行うことも可能である。
計算機システムは上述の作業をフィードバック的に繰り返して、実現象を説明し予測するモデルを生成する、生成されたモデルとそのパターン及び/又は特徴は分類した上でモデルのライブラリーに加えモデルパターンデータベースに記憶する。
モデルのシミュレーション結果と、実現象をモデル化モジュールのみで比較して、モデル及びシミュレーションが実現象のパターン及び/又は特徴を良く再現している場合には計算機システムは実現象とモデルを関連づけて記憶して作業を停止する。
<情報処理システムの 動作の具体例>
以下に具体例を挙げて情報処理システムの動作例を説明する。
以下の説明では、関東地区における商品1と商品2のターゲット消費者と広告量(販促費)と、販売量の推移を動画として可視化する場合を例にとって説明する。
まず、操作モジュールのGUI画面を利用して、情報処理に必要なデータとその可視化とモデル化を指示する。
指示する(情報処理に必要な)データの具体例としては地域指定、人口属性指定、商品指定、期間指定などがある。
具体例として、或る地域における、商品1と商品2の販売量の変化(推移)及び、商品1と商品2の消費者(商品ターゲット)人口と販売量の変化(推移)及び、商品1と商品2の消費者(商品ターゲット)人口と情報提供回数(販促費投下量)と販売量の変化(推移)を動画として可視化し、それらの変化を説明するモデルを仮定し、モデルを利用して変化を予測するものとして、以下の説明では、或る地域が関東地方であり、商品1及び商品2がビールであるとする。
まず、操作モジュールのGUI画面を利用して、関東地方を指定地域として指定し、可視化する期間を例として2003/10/11から2004/01/10まで指定し、消費者(商品ターゲット)人口としてビールを消費するであろうターゲット消費者を指定する。
ビールを消費するであろうターゲット消費者を指定する具体例としては、例えば20歳以上の男性の70%と20歳以上の女性の30%をビールの消費ターゲット人口として指定する事が考えられる。当然、このような消費者(商品ターゲット)人口の指定は商品の性格やマーケティング仮説によって様々に変化させることが出来る。
情報処理に必要なデータはデータ操作インターフェースを経由してデータ収集モジュールに送られる、データ操作インターフェースはデータ蓄積部から指示された(情報処理に必要な)データを引き出す。
この時、指示された(情報処理に必要な)データがデータ蓄積部に存在しない場合には、データ収集モジュールは外部データ源から指示された(情報処理に必要な)データを収集する。
例えば、データ操作インターフェースで指定されたデータがデータ蓄積部に記憶されていない場合には、データ収集モジュールは、国勢調査による人口統計データベースから、関東地区の人口データから20歳以上の男性と女性の人口を収集し、それぞれの70%と30%を加えた人口を計算する。
また、データ収集モジュールは、POSシステムから収集した販売量データから、関東地区における2001/10/11から2002/10/10までの間の、商品1及び商品2の販売量データ及び販売属性データを収集する。
さらに、データ収集モジュールは、情報提供装置から、関東地区における2001/10/11から2002/10/10までの間の、商品1及び商品2の情報提供回数を収集する。
次に、データフォーマット変換エンジンによって、収集したデータの時間成分を標準化し空間成分を標準メッシュコードに対応させて整理した上でデータ蓄積部に記憶する。
データフォーマット変換エンジンは、後述する可視化モジュールやモデル化モジュールやシミュレーションモジュールが、情報やデータを入力し或いは参照して情報処理を行えるように、各データのフォーマットの標準化を行う。データ標準化の具体例としては各データの形式をCSVデータフォーマットなどの形式に統一し、さらに各データが有する空間成分に対応した緯度経度によるXY座標化及び/又は国勢調査などで用いられる全国標準メッシュコードに対応させて整理して、空間情報を有する時系列のデータベースとしてデータ蓄積部に記憶させる。
標準メッシュとは日本全国を10km、1km、500mの矩形メッシュに区切ったものであり、すべての標準メッシュには統一的なコードが付与されていて計算機による情報処理が可能なようになっている。また、標準メッシュにおける人口数、様々な属性別の人口数、推定所得、商業施設数、商業施設売り上げ、交通量など社会の様々なファンダメンタルな数値が集計されている。
POSシステムや情報提供装置から収集したデータには、データが発生した或いはデータが属する地点及び時点に応じた、店舗名や住所などの空間的な、及び時間的な情報成分が存在している。これらの空間的情報及び時間的情報を上述したXY座標やメッシュコードと言う統一的な空間モデルに対応して変換し、さらに時間的な情報を統一的な時間コードに変換することによって、異なる情報源からの様々なデータを空間情報を有する時系列データ化することが可能になり、後述する可視化モジュールやモデル化モジュールやシミュレーションモジュールで統一的に情報処理する事が出来るようになる。
データフォーマット変換エンジンが収集したデータを、空間情報を有する時系列データ化する方法を、例を挙げて説明する。
具体的には、例えば或る商品Aの売り上げデータaが神奈川県逗子市の逗子駅前の店舗Bで2003年10月31日の午前10時35分に発生したものであれば、店舗名Bと商品名Aと販売個数x、と販売価格zというデータに、店舗の所在地北緯35度17分38。38秒東経139度34分56。85秒という空間成分と2003年10月31日の午前10時35分と言う時間成分に対応して「Y:35。173838 X139。45685 t20031031。10311035」という時空間座標を対応させることが出来る。さらにそれぞれの緯度経度(XY座標)は、後に空間離散化して数値計算を行いやすいように標準メッシュコードに対応させた上でデータ蓄積部に記録する。
また、データ収集モジュールは、数理地図データとして、地図に関連する数値データ、具体的には、標高データ、道路や鉄道のデータ、行政区分データ、植生のデータ、河川データなどを収集して、各メッシュに対応づけて記録する事ができる。これらの数理データに関しては、メッシュと別にレイヤーを生成して計算処理を行う事が出来る。
データ収集モジュールのからデータ蓄積部から可視化モジュールのデータ入力部へのデータの読み込み、及び読み込んだデータの可視化は以下のように行われる。
まず、可視化モジュール起動時に、可視化モジュールのデータ入力部のバックグラウンドデータ読み込みモジュールによって、数値地図データを自動的に読み込む。
次に、操作モジュールによってユーザーが指定した地域に対応するメッシュデータ、及び読み込むメッシュに対応したデータを、可視化モジュールのデータ入力部のメッシュデータ読み込みモジュールによってデータ蓄積部からデータを読み込む。
また、操作モジュールによってユーザーが指定した可視化に用いる変数データ(商品1、商品2、ターゲット消費者属性など)を、可視化モジュールのデータ入力部のフィールドデータ読み込みモジュールによってデータ蓄積部からデータを読み込む。
そして、操作モジュールによってユーザーが指定した可視化に用いる手法を用いて、映像データ収集モジュールの当該エンジンにデータを渡し、画像を生成する。
生成された画像データは、映像データ合成モジュールに渡され、既存の画像とオーバーレイした画像データを合成する。
さらに操作モジュールによってユーザーの指定で平行移動、回転、拡大・縮小された画像を映像データ出力モジュールに渡し、表示する。ユーザーの指定によって、画像を保存する場合には、ユーザーの指定したファイル名で映像データ出力モジュールから、ファイルに出力する。
具体的には、操作モジュールによって指定された、情報提供装置からの商品1と商品2の情報提供状況データ、POSシステムからの商品1と商品2の販売量、国勢調査データからのターゲット消費者データが可視化モジュールに入力され、空間(数理地図)上における時系列な現象として、商品1と商品2の情報提供状況、販売状況の遷移と、ターゲット消費者人口の関連を可視化することが出来る。
この時、現象のパターン(特徴)について知見を得やすいように、映像データ生成部の等高線計算エンジン、パーティクル計算エンジン、ベクトル計算エンジン、シェーディング計算エンジンなどの視覚化エンジンなどにより、各データの変化が適切に強調されて画像化される。
例えば、社会現象の基礎的なデータと要因の量的或いは質的な変化を、それぞれ、色彩、彩度、明度、等高線などの変化によって可視化することが出来る。
生成された映像データは映像データ合成部で合成されて。映像データ出力部に送られ、映像データ出力部に表示装置に適したデータ形式に変換した上で、表示装置上に動画映像として表示される。
動画映像は可視化モジュールからの映像出力としてそのままモニターなどで見ることが可能であるし、映像データ出力部で、GISシステムが処理可能な形式(例えばアニメーションJPEGなど)に変換してGISシステムに再入力しGISシステムの地図レイヤーや地図属性情報レイヤーと重ねて見ることも可能である。
また、表示装置としては2次元的なCRTや液晶モニターに出力する事も可能であるし、映像データ合成部にパララックス(視差)計算ソフトウェアを追加して、視差計算を行わせて立体映像とし出力して3次元的な表示装置で、立体的に表示する事も可能である。
さらに、可視化する際には、現象の変化の様子を観察しやすいように、例えば一日分の変化を1秒で計算出力した上で出力することにより、1年間の現象の推移を6分で表示するなど、時間的な圧縮や伸張を行ったうえで表示することが出来る。
また、後述するように、商品1と商品2の情報提供状況、販売状況の遷移と、ターゲット消費者人口の関連をアイドマモデルなどの数理モデルとしてシミュレーションして、シミュレーション結果を可視化し、実際の現象と比較してモデルの整合性を確認することが出来る。
さらに、複数の次元を座標変換した上でZ軸に表現することで3次元以上の多次元を3次元メッシュで表現するさらに計算処理する事も可能である。或いは後述するように適応地形データを生成して、最適化の度合いを視覚化的に表現することが可能なる。
このように、可視化モジュールを利用して新たな商品が社会に広がって行く様子を時系列的に可視化し概観することができるようになる。可視化モジュールを利用して社会現象の全体或いは詳細を空間における変化として、時系列的に可視化し概観することで、現象のパターンや特徴が明らかになり、従来の方法では得られなかった直感的な理解が得られるようになる。
上述したように、可視化することによって、現象そのものを概観し直感的に捉えることが可能になる。また、数式や数値やグラフや表としてではなく、変化の様子を捉えた映像として現象の変化の様々な特徴やパターンを捉えることで、直感や経験を充分に働かせて、現象と変化に対する理解を得ることが出来るようになった。
従来の他の分析手法である静的な統計的表現などに比較すると、統計学やデータマイニングなどの教育を受けていないユーザーであっても、社会現象をリアルに直感的に把握することが可能になり、統計的処理やデータマイニング処理などに煩われることなく現象を理解し本質を捉え予測を行うための知見を得ることが容易になる。
以下の説明では、関東地区における商品1と商品2のターゲット消費者と広告量(販促費)と、販売量の推移を動画として可視化する場合を例にとって説明する。
まず、操作モジュールのGUI画面を利用して、情報処理に必要なデータとその可視化とモデル化を指示する。
指示する(情報処理に必要な)データの具体例としては地域指定、人口属性指定、商品指定、期間指定などがある。
具体例として、或る地域における、商品1と商品2の販売量の変化(推移)及び、商品1と商品2の消費者(商品ターゲット)人口と販売量の変化(推移)及び、商品1と商品2の消費者(商品ターゲット)人口と情報提供回数(販促費投下量)と販売量の変化(推移)を動画として可視化し、それらの変化を説明するモデルを仮定し、モデルを利用して変化を予測するものとして、以下の説明では、或る地域が関東地方であり、商品1及び商品2がビールであるとする。
<モデル抽出>
指定されたデータの可視化に続いて、操作モジュールによってモデル化が指定されている場合にはモデル化モジュールが、現象のモデル化を行う。
具体例として、商品1と商品2の情報提供と販売の相互作用を対象現象としてモデル化する例を説明する。
ここでは、可視化モジュールによって映像化された商品1と商品2の情報提供状況と販売状況現象の幾何学的及び/又は動的パターンに、情報提供数が東京都都心部で発生して周囲に拡散して行くパターンが見られ、さらに周辺都市へ出店が跳躍するパターンの特徴がパターン認識エンジンによって認識されたと仮定して説明をする。
パターン認識エンジンは情報提供状況と販売状況現象の映像に見られたパターンと、予めモデルパターンデータベースに記憶されたパターンから、同じ様な幾何学的且つ動的なパターンの特徴を有するモデルを抽出する。
この時、パターン認識エンジンによって、モデルパターンデータベースから森林火災モデルが抽出されたと仮定してさらに説明をする。
モデルパターンデータベースに記憶された森林火災の延焼モデルは、森林において発生した火災が周囲の樹木に燃え広がり、さらに風によって飛び火して周辺の地域に火災を延焼させる現象を説明するモデルである。つまり森林火災の延焼モデルは、「拡散:周囲への延焼」と「移流:周辺地域への飛び火」によって構成される移流拡散現象をモデル化したものであり、森林火災の延焼モデルは、移流拡散方程式によって数理モデルとして記述されている。
移流拡散方程式は基本的には流体や熱などの移動や拡散を記述する方程式である。モデルを記述する移流拡散方程式にはf:移流速度関数、v:拡散係数、u:速度、p:圧力というパラメーターがある。
これらのパラメーターは森林火災モデルにおいては、v:拡散係数は現象が起因する空間の基礎的データとしての火災現場及び周辺の樹木の種類による森林の燃え易さのパラメーターであり、具体的には生育している樹木の種類である。u:速度は現象の変化に大きな影響を与えるパラメーターである風向きと風速である。p:圧力は風(飛び火)を起因する気圧であり、f:移流速度関数は火災の局所的な温度と風の速度から計算される火災が飛び火する確率である。
次に、数値パターン認識エンジンは、森林火災モデルを記述するモデル(移流拡散方程式)の各パラメーターと、商品が拡大する現象の各要素(パラメーター、データ)の数値的な、関連や相互作用のパターンと特徴を数値的にパターン認識して数値的に近い関連や相互作用パターンを持つ分析対象現象の要素(パラメーター、データ)を、森林火災モデルを記述するモデル(移流拡散方程式)の各パラメーターに充当してパラメーターセットを生成する。
具体例として、下記に数値パターン認識エンジンが以下のようにモデル(移流拡散方程式)の各パラメーターに、分析対象現象の要素(パラメーター、データ)を充当して生成したパラメーターセットの例を挙げる。
v:拡散係数は各メッシュにおけるターゲット消費者の人口密度、u:速度は提供情報が交通網や通信網に乗って移流する速度、p:圧力は販売(購入)を惹起する各メッシュにおける情報の(移流拡散による)蓄積量、f:移流速度関数は販売量が周囲の地域に移流する確率。
上述のパラメーターセットは、現象の定性的な側面から見ると、「商品1と商品2が流行っている」という情報が周囲の地域に拡散し、或いは交通網や通信網などに乗って周辺または遠隔地域に情報が移流した結果、情報が充分に蓄積した地域にで販売量が増加するという社会的現象のパターンを説明していると推定することが出来る。
上述の例では、まず、可視化モジュールの出力に対して幾何学的なパターン認識を行い、次にデータ収集モジュールが収集した現象の要素データ(パラメーター)に対して、数値的なパターン認識を行ってモデルを抽出したが、逆の順序でモデル抽出を行う事も可能である。
また、単にデータ収集モジュールが収集した現象の要素データ(パラメーター)に対して、数値的なパターン認識を行うことによりモデルパターンデータベースからモデルを抽出する事も可能である。
同様に、単に可視化モジュールの出力に対して幾何学的なパターン認識を行いモデルパターンデータベースからモデルを抽出する事も可能である。ただし、この場合にはモデルにパラメーターを充当するために後述する、パラメーター選択モジュールやモデルコントロールモジュールを利用することが望ましい。
モデル化モジュールによって抽出した上述の移流拡散方程式及びそのパラメーターセットが、商品拡大現象のモデルとして妥当であるかどうかは、後述するシミュレーションモジュールでの数値計算と結果の検証によって検討される。
また、上述の例では分析対象現象のモデルを一つだけ抽出したが、分析対象現象を説明する可能性のある複数のモデルを抽出することも可能である。様々な観点から現分析対象のモデル化を行い、それぞれのモデルに関してシミュレーションによって、モデルの妥当性を検証することにより、一面的な見方によって現象の本質を見誤る可能性を排除することが出来る。
さらに、複数のパターンでパラメーターの充当を行い、複数のパラメーターセットを出力することが可能である、複数のパラメーターセットについてシミュレーションを実施してパラメーターセットの妥当性を検証することにより一面的な見方によって現象の本質を見誤る可能性を排除することが出来る。
<パラメーター選択モジュール>
パラメーターの充当は上述のように数値パターン認識を行う方法いがいにも、様々な方法で実行できる。例えば可能なすべてのパラメーターの充当パターンを総当たり的に充当して、シミュレーション結果から妥当性を判断してパラメーターの充当を絞り込む方法が可能である
しかし、上述の方法では、計算処理量が増大してしまうので、モデル化モジュールにパラメーター選択モジュールを組み込んで計算機によってパラメーターの推定と選択を行うことも可能である。
パラメーターの推定は様々な方法によって実現可能である。
前述したように、数値パターン認識エンジンによって認識された、分析対象現象のパラメーターの関連或いは相互作用は、分析対象現象のパラメーターの関連や相互作用の特徴は、分析対象現象を説明するモデルを抽出する際に大きな手がかりになる。
もし、従来知られた方程式とほぼ同じ様なパラメーターの関連或いは相互作用が分析対象現象のパラメーターの関連や相互作用の特徴として見られた場合、分析対象現象をこの方程式で説明できる可能性がある。
さらに、パラメーター選択モジュールに統計的検定を行うプログラムを組み込んでパラメーターの推定と充当を実現することも出来る。具体的には最尤度法などによってデータ収集モジュールが収集したデータが、移流拡散方程式のどのパラメーターに相当するかを判定して、分析対象現象のデータを方程式のパラメーターに充当する方法などが考えられる。
或いは、予めパラメーター選択モジュールにパラメーターを推定と選択を行うためのアルゴリズムをプログラムとして実装する方法も可能である。
パラメーターを推定するためのアルゴリズムの具体例としては、従来から知られている一般的探索アルゴリズムを利用することが出来る。この方法では、パラメーターの充当状態を探索木としてコード化し、一般的探索アルゴリズムをプログラムとしてパラメーター選択モジュールに実装して、パターン認識結果が抽出したパターンや特徴である、線分、面、曲線などの交差や傾きなどの特徴や、静的な状態だけでなく、動きや速度ベクトルのパターンや特徴を、検索に利用する情報として深さ優先探索や反復深化探索などを行い、それぞれのパラメーターを検索的に推定して充当する事が出来る。
上述したような、パラメーターの推定と充当作業を単独で或いは組み合わせておこうなうことにより、モデルにパラメーターを充当してパラメーターセットを生成することが出来る。
<モデルコントロールモジュール>
さらに、モデル化モジュールに、モデルコントロールモジュールを追加することによって、パターン認識によって選択したモデル及びパラメーター選択モジュールによって充当したパラメーターを調整する或いは修正することが可能である。
モデルコントロールモジュールは主に人間が持つ経験的な知見や仮説などに応じて、モデルの細部やパラメーターや初期条件や境界状況などを調整する或いは修正することが出来る。
このため、モデルコントロールモジュールは、モデルやそのパラメーターを、スライドバーや選択ボタンや入力ウィンドウなどのようなGUI(視覚的ユーザーインターフェース)によって簡便に操作できることが好ましい。
モデルコントロールモジュールによって、パラメーター設定やパラメーターの相互作用の重み付けなどを変化させた複数のパラメーターセットを作り、各々のパラメーターセットについて数値計算シミュレーションを行うことが簡単に実現できるようになる。
モデルコントロールモジュールによって、モデルやパラメーターを様々に変化させて、現象をシミュレーションすることにより、現象やその変化の振る舞いについて多くの知見を得ることが出来る。
さらに、実際に商品や行政に於いて、情報処理システムを利用する際に特に重要であるのはパラメーターの変化に対する現象の振る舞いの変化である。具体的には、少し変化させただけで大きく現象の振る舞いが変わってしまうようなパラメーター。もう一つは変化させても現象の振る舞いがほとんど変化しないパラメーターである。
前者は少しの違いが結果に大きな影響を及ぼすため非常に注意すべきパラメーターであり、後者はパラメーターの選択に関わらず安定的な現象であると考えられる。
具体的には、前者については充分に注意と時間とかけて選択肢を調査して意志決定すべき要因であるし。後者ようなについては、どのような選択肢を選択しても大きく現象に変化はないと推定できるので、無駄な調査や会議などによって経営資源を浪費する危険を避けるべきであることがわかる。
またモデルコントロールモジュールを利用して、モデルやパラメーター経験則を加えることで、現象をより経験則に沿うものとして記述することも可能である。
また、パラメーターの充当についてパラメーター選択モジュールを使用せずに、現象の可視化結果としてのパターンや特徴から、人間が大まかな判断を行い、或いは統計的検定などを行ってモデルコントロールモジュールからパラメーターを充当する方法も可能である。
<複雑なモデルの自動的な形成>
上述したように、情報処理システムを利用して、分析対象現象のモデルと、その方程式やパラメーターを仮定することが出来る、モデルは上述の説明のように単純なモデルであっても良いが、さらにモデルデータベースとパターン認識エンジンを利用して、多くの要素が相互作用する複雑なモデルを生成することもできる。
具体的には、モデルパターンデータベースに記憶された各モデルに関連するサブモデル、或いはモデルの詳細な部分を説明するモデルを関連づけて記憶させておくことが可能である。
例えば、森林火災モデルの重要なパラメーターである火災周辺の風の流れを詳細に計算する事が出来れば、森林火災現象やその変化の可能性の重要な細部に迫る事が出来る。具体的には流体の振る舞いを記述するナビエストークス方程式によって、火災現場周辺の地形、気圧の配置、空気の温度、及び火災によって発生する上昇気流等の空気の流れや、火災の拡散及び延焼に重要な影響を与える風向きと風の強さを計算する事が出来る。
また、火の粉の飛散による森林火災の延焼の確率はマルチエージェントモデルによってもモデル化することが出来る。
このような、現象を構成する要素の振る舞いに関する現象サブモデルを、主要なモデルと組み合わせて多くの要素が複雑に相互作用するモデルを構築することが出来る。
上述のように、現象を構成する要素のサブモデルを森林火災モデルと関連づけてモデルデータベース記憶させておく、モデル相互のメイン・サブの関係は、例えば一意的に決定してツリー的に記述することも可能であるし、或いはオントロジー的に記述して或るモデルを選択するとそのモデルに関連するサブモデルの候補としていくつかのモデルを抽出するように関連づけておくこともできる。
前述の新商品拡大のモデルに於いて、情報が交通網や通信網に乗って移流する速度(u)情報が周囲の地域に拡散する確率(f)は現象の変化に大きな影響を与えるパラメーターである。(商品販売ばかりではなく、社会、経済、市場において非常に重要なパラメーターである。)
情報伝達・伝播をシミュレーションすることが出来るモデルが存在すれば、商品拡大現象など、が重要なパラメーターである現象を、説明しモデル化し数値的にシミュレーション計算することが出来る。そこで、モデルデータベースが森林火災モデルに関連して記憶しておいた、移流する速度(u)や、拡散する確率(f)を記述する、NV方程式やマルチエージェントモデルを、商品拡大の移流拡散モデルを構成するサブモデルとして利用することが出来る。
これらの、サブモデルを後述するシミュレーションモジュールで、離散化した各メッシュにおける情報の移流拡散による情報蓄積量を計算或いは情報処理してシミュレーションし、可視化モジュールでシミュレーション結果を可視化することによって、商品拡散現象において、情報が交通網や通信網に乗って移流する速度(u)情報が周囲の地域に拡散する確率(f)の仕組みや現象の変化や特徴を詳細に説明し予測し理解する手助けとなる。
また、情報の移流拡散現象は、NV方程式やマルチエージェントモデルの他に、連続体モデル、パーコレーション、相転移モデル、粒子モデルなどによってモデル化し計算或いは情報処理する事もできる、当然これらのモデルをモデルデータベースに記憶させておき商品拡大のサブモデルとして選択することも可能である。
上述のように、情報処理システムによれば、現象を詳細に説明し、精度の高い予測を行うために、複雑なモデルが生成される可能性がある。
情報処理システムでは、従来のようにモデルに於けるシンプルさの基準を重要視する必要は小さい、何故なら、すでに人間には直接理解することも計算することもコントロールする事もできないモデルであっても、充分に現象を説明することが出来れば情報処理システムのシステムはこのモデルによって現象をシミュレーションし可視化することが出来るからである。
また、上述の説明でモデル化モジュールが抽出したモデル、移流拡散方程式やNV方程式は偏微分方程式である。偏微分方程式は要素のフィードバック的な相互作用を記述する事が可能な方程式であり、一つ以上の目的変数を取り扱える方程式であるので、社会現象のような複雑な現象の記述には都合がいい事が考えられるが、通常は解析的に解くことが出来ないので、数値計算的に解くことになる。このため通常の解析的な方法論ではなく、本システムのような方法論が必要になる。
偏微分方程式の数値計算的な解は、初期条件や要素(パラメーター)の小さな変動に大きな影響をうけることもある。
そして上述のように、偏微分方程式やマルチエージェントモデルを組み合わせた複雑なモデルによる分析や説明や予測は、従来的な社会予測観のように一つの答えに収束する予測とは大きく異なる可能性を有する。
しかし、このことは実際の社会現象の特徴を捉えていると言える。
よく、社会現象や生命現象のような複雑な現象においては「全体は部分の総和ではない」
と言われる。
社会現象は部分(要素)と、部分(要素)のフィードバック的な相互作用の総和である。
また、分析対象の現象が複雑な非線形現象であることは、おおまかに言えば個別要素がもつ性質の総和としては全体を理解することが決してできないと言うことを意味する。さらに、初期値に対する敏感性やカオス的な挙動や、小さな変化の雪崩的な増幅によって、大きな変化が生まれる自己組織的な現象や、マクロな存在様式や運動様式が突然変化する現象は、非線形現象によく見られる特徴であり、非常に小さなパラメーターの変化が系全体の挙動に大きな変化をもたらす。
社会現象はシンプルな決定論的に予め定められた通りに進行する現象ではなく、ほんの少しの変化が様々な結果を引き起こす、つまり解が複数存在する可能性が大きな現象なのである。実際の社会現象にこのような非線形的な特徴が存在する可能性については言及されてきたが、従来は、主に還元的且つ統計的な方法論によって社会現象を解析してきたため、上述したような社会の非線形的な特徴である突然の変化や予測困難性については充分な言及をおこなう方法自体が存在していなかった。
そして、商品や行政において、社会現象の分析が重要なのは、何が問題なのかを見極めることである。ここに直感を働かせることが出来る余地が可能であれば大きくあることの重要性が存在する。情報処理システムのシステムは現象を解析的に解くのではなく数値計算によってシミュレーションすることで現象の全体像を把握するので「部分の分析から、全体として視覚化する」ことによって現象全体の変化についての直感的理解を促すことの有意性がある。
さらに、現象のモデルを偏微分方程式として記述して、シミュレーションする事が可能であり、数値計算的に現象とその変化を説明し予測した結果を直感的な理解を得やすいように可視化することで、要素の相互作用についての知見を得ることが出来るということに情報処理システムの従来にない優位性がある。
端的に言えば、社会現象は社会という系(システム)の高次のレベルに固有の現象である可能性が高いので、社会現象に対する理解を得るためにはただ単なる分析結果の集積を超えて、複雑な非線形現象に対する新たな概念を得る必要があり、情報処理システムは概念の得ることに適したシステムであると言える。
また、上述の説明に関わらず本システムは当然、複雑ではないモデルや、偏微分方程式以外の方程式によって記述したモデルを取り扱うことも可能である。
具体的には通常の微分方程式や線形方程式だけで記述されたシンプルなモデルを取り扱うこともできる。これらのシンプルなモデルをシミュレーションモジュールによってシミュレーション計算して、可視化モジュールで可視化することによっても、社会現象の可視化とシミュレーションを総合的に実現するという従来技術には無かった大きな効果を有する。
説明してきたように、モデル化モジュール或いは人間によって、現象を記述するモデル、方程式を抽出し、パラメーターセットを出力することが出来た。このパラメーターセットを利用して分析対象現象を数値的にシミュレーションする事が可能なる。
上述の実施例では、モデル化モジュール或いは人間が抽出したモデルは自然科学的なモデルであったが、現象のパターンや特徴によっては、社会科学的なモデルや、複雑系科学に於ける確率的なモデルや、マルチエージェントモデルなどのモデルを抽出し、それらのモデルを利用してシミュレーションを行うことも可能である。
モデル化モジュールによって抽出されたモデル、方程式、パラメーターは、パラメーターセットとしてシミュレーションモジュールに出力される、モデル化モジュールが出力したパラメーターセットの妥当性はシミュレーションモジュールでの数値計算と結果の検証によって検討される。
上述した実施例では、モデル化モジュールが抽出したモデルは自然科学的なモデルであり、移流拡散方程式やNV方程式などの方程式によって各メッシュにおけるパラメーターの相互作用としてモデル化されていた。
しかし、現象のパターンや特徴によっては、粒子モデルや連続的なモデルが仮定される、或いは社会科学的なモデルや、複雑系科学に於ける確率的なモデルや、マルチエージェントモデルなどのモデルが抽出され仮定されることもあり得る。
当然、これらのような様々なモデルを利用してモデルの時系列な変化についてのシミュレーションを行い、シミュレーション結果ファイルを生成し、現象のシミュレーション結果を可視化モジュールで映像化することも可能である。
それらのモデルは、数理的なモデルでは無い場合もあるが、モデルパターンデータベースにモデルを記憶させる際に、モデルを計算機によって情報処理可能な状態にしておけば、シミュレーションモジュールを利用してシミュレーションを行うことが可能である。
具体例としては、複雑系科学に於ける確率的なモデルが抽出された場合には、メッシュガス法やメッシュボルツマン法、パーコレーションモデルや相転移モデルなどの確率的なモデルを利用してシミュレーションを行い、シミュレーション結果をシミュレーションファイルとして出力することが出来る。
さらに、マルチエージェントモデルが抽出された場合には、マルチエージェントモデルのプログラムとルールを用いて現象のシミュレーションを行い、シミュレーション結果をシミュレーションファイルとして出力する事が出来る。
マルチエージェントモデルは、社会現象などのような複雑で、ルール自体が時系列に変化してしまうような現象を計算機上でシミュレーションする方法として考えられた方法である。
例えば実験経済学の分野においては、個々の人間を社会の構成要素として考え、各人間の行動基準を簡略化したプログラムで記述して、人間の相互作用として社会現象を記述しようとする試みが為されている。
或いは、マルチエージェントを粒子に見たてて、マルチエージェントによる粒子モデルとして現象を記述することも考えられる。
上述のように、シミュレーション結果を可視化した映像出力を概観或いは精査することによって、現象とその変化についての知見を得ることが出来る。またモデル及びパラメーターが正しく抽出できた場合には高い精度で現象とその変化を予測することが出来る。
以上のように、社会現象のような複雑な現象のシミュレーションを理論的なモデルを利用して行うことが出来るようになった。
<情報処理システムの応用>
情報処理システムは、社会科学、経済学、マーケティング全般などに利用することが可能である。特に従来困難だった社会・市場・経済やその現象を駆動する要素間の相互作用について知見を得ることが出来る。
具体的には、従来見落とされていたような要素について知ること、或いは重要性の高い要素の相互作用の発見などが期待できる。
或いは図29の産業(企業戦略)における情報処理システムの応用例に示したよう、情報処理システムを応用して、市場分析(マーケティングリサーチ)を行い、企業戦略やマーケティングプランを構築し、マーケティングプランをシミュレーションする事が出来る。また、企業戦略やマーケティングプランを実行した際には実行状況の検証ツールとして、さらに実行結果の分析・評価ツールとして利用することも考えられる。
情報処理システムは上述したように、効率的な経営戦略の策定及び実行検証ツールなどとして或いは、広告効果の検証、より効果的な広告手法の開発など産業における様々な局面で効果的に利用することが考えられる。
また従来、社会科学や経済学やマーケティングの分野には、それぞれの現象を説明する多くの仮説(モデル)が存在していた。これらの仮説(モデル)は、コンサルティング企業などにより、実際の企業経営や行政活動などに導入されていた。
しかし、これらの仮説(モデル)を事前に簡単に且つ詳細にシミュレーションし、且つ直感的に理解できるように可視化する或いは検証する手段は存在していなかった。
情報処理システムを利用すれば、様々な仮説に基づいて、事前に様々な仮説(モデル)やモデルの要素(パラメーター)の相互作用をシミュレーションして、各モデル、各パラメーターの相互作用について様々な知見を得る事が出来、企業において仮説(モデル)を実際に戦略や業務に導入する、或いは実行する前に、仮説(モデル)の正しさや効果や要素(パラメーター)を定性的或いは定量的に変化させて実行した場合のシミュレーションを行えることが情報処理システムの利点である。
さらに、情報処理システムを利用して、様々な仮説構築と検証を繰り返すことで、仮説(モデル)の本質についての理解を得る事が出来る。
具体例としては、新たな商品の拡大現象についてデータを収集し、現象を可視化し、現象をモデル化し、モデルに基づいて現象をシミュレーションすることで、全く異なる産業や商品が市場拡大するための重要な要素(パラメーター)や、市場拡大に必要な機序を発見する事が出来る。
上述したように情報処理システムを利用することにより、社会や市場の消費者における情報伝播の様子を概観する或いは、本質的な法則性を探ることにより従来の方法では困難だった複雑な現象について理解と予測を得ることが出来るようになる。
<マーケティングツール>
図30は産業におけるマーケティングにおける情報処理システムの応用例を略示的に示したブロック図である。図に示すように、市場におけるデータを収集して様々なマーケティング分析やシミュレーションを行うことが出来る。
例えば、販売量の推移をマーケットリサーチする、或る商品とその競合商品の、或る地域における販売量の時系列データを、POSシステムなどから、データ収集モジュールが収集してモデリングモジュールが適当な格子を生成し、店舗と各店舗における販売量をプロットし、時系列な変化を可視化モジュールで動画として映像化する。
或いは、広告効果の測定を組み合わせてマーケティング分析や予測を行うこともできる。具体例としては、対象商品をメーカーの新商品とし、プロモーション戦略として都市部に集中的な広告宣伝を行っている状況である場合、モデリングモジュールが適当な格子を生成し、店舗と各店舗における販売量をプロットする。
このケースでは、以下のような関係に注目して、広告効果測定を行うことが考えられる。
具体例としては、テレビ受像装置CMなどのプロモーションと時系列的に連動する販売量の増減傾向、テレビ受像装置CMなどのプロモーションコンテンツを変えた場合における販売量の増減傾向、その他の要因(例えば時間や曜日や週その他様々な変動)による販売量の増減傾向。
また、以下のような可視化出力から「社会における流行の発生(情報伝播)の過程」が可視化されている可能性がある。その他には都市部から(おそらく鉄道や幹線道路などの動線に沿って)周辺部に広がって行く販売量の増加の波。或いは都市部から周辺部への販売増加量の「飛び火」など。
さらにこのケースが、具体例として若い女性をターゲットに設定している場合、国勢調査による年齢別区分メッシュ地図データを同時にビジュアリゼーションモジュールで処理すれば、ターゲットとする年齢層の女性への地域別の浸透度も可視化できる。
さらに、競合商品が発売されたケースをモデル化して、競合商品の販売量データも同時にアニメーション化することもできる。これによって、競合商品の侵食状況が可視化されるので、競争マーケット(消費者行動)の動態を見ることができる。例えば、以下のようなことが見てとれる可能性がある。
先行商品の販売量増加の波を追いかける競合商品の販売量増加の波。先行商品のマーケットに侵食する競合商品のクラスタの増殖或いは縮小。地域による、先行商品と競合商品の販売量の変化率。競合商品のテレビ受像装置CMなどのプロモーションと連動する、先行商品の販売量の増減傾向競合商品がテレビ受像装置CMなどのプロモーションコンテンツを変えた場合における先行商品の販売量の増減傾向
また、ビジュアリゼーションモジュールはシミュレーションモジュールの結果を可視化する際にも用いる。これによって、販売手法の最適化、広告・プロモーションの投下手法及び量の最適化、営業資源配置の最適化、販売手法実行の最適化を行い、さらに最適化した手法の実行後に、結果の検証を行うこともできる。
<広告及び/又は情報の移流拡散と販売量の関係モデル>
本システムの各モジュールを利用して、広告及び/又は情報の移流拡散と販売量の関係をモデル化し、広告投下量と販売量をシミュレーションする事が可能である。
広告と商品の販売量の関係ついては、AIDMA(アイドマ)と呼ばれる有名なマーケティング理論(仮説、モデル)がある。これは消費者に情報を提供することによって、消費行動を喚起できるとする理論である。
アイドマ理論は具体的には広告宣伝や口コミによって消費者へ商品に関する情報を伝播させ、Attention:注意、Interest:興味、Desire:欲求、Memoriy:記憶 と喚起を行い、その効果によってAction:購買行動を起すという段階を説明している理論である。
このアイドマ理論を基に、実際に企業は莫大な費用を投じて広告を大量に投下し自社のサービス・商品を消費者に訴求している。
このアイドマ理論をモデル化すると、例えば図27に示すようなモデル及び方程式として表すことが出来る。
図27で示した、アイドマモデル方程式とグラフは広告と販売量の関係を示したモデルであり、具体的には前述のように日本全国を格子によって離散化した各格子において、広告の投下及び情報の移流拡散によって各格子の情報量の蓄積量が決定されるモデルによる、情報量の蓄積量の推移を示すグラフである。
このモデルにおいては、
販売量(購買行動量)は購入ターゲット人口に購買確率をかけることで算出できるとし、そして
購買確率は商品の広告量と商品の情報移流拡散によって各格子に蓄積した情報の量から求められるとする。
実際には、一部の商品を除いて、一般的な商品は人口すべてを購買対象としていない。つまりその商品を購入する見込みユーザーが存在する。例えばビールであれば20歳以上の年齢の男性が主な見込みユーザーであり、化粧品であれば若年層から中年層の女性が主な見込みユーザーである。
これらの見込みユーザーに商品情報を効果的に届けるように広告などのプロモーションが行われ、結果として購買行動が惹起され、販売量が増加するというモデルが現在実際に行われている企業における広告及び販売戦略である。
そこで、アイドマモデルに基づいて現象を計算するには、まず商品の見込みユーザーがどの地域にどの程度の量存在しているかを明確にする必要がある。
具体的には、国勢調査によるの人口データをデータ収集モジュールが収集し、5年に一度行われる国勢調査により、日本全国を500mX500mの矩形に分割し、各格子におけるの性別、年齢別、職業別の人口をプロットする。
そして、可視化モジュールによって収集したデータの時系列変化を可視化し、シミュレーションモジュールによって広告量と販売量の関係をシミュレーションする事が出来る。
また、現象に影響を与える、パラメーターとして、各格子におけるの税収から推定した、各矩形内の平均年収や、商業統計調査による、各矩形内の商業施設の数、その平均面積及び売り上げなどをプロットする事もできる。
<最適出店地、最適出店規模シミュレーション>
本システムの各モジュールを利用して、店舗出店或いは店舗最適化の分析やシミュレーションに応用することが出来る。
産業においては商品を販売する店舗をどの地域にどの程度の規模で出店するかという課題がある。
企業などは最適地域に最適規模で店舗を出店することができないと、出店したにも関わらず集客、売り上げ、利益などが損益分岐を上回る事が出来ないため損害を被ることになる。
また、最適地域に出店できても、店舗規模が最適でない場合は、店舗規模に勝る競合店に駆逐されるなどの悪影響を被る恐れがある。
そこで、従来では統計的手法を利用して、最適な店舗出店地を選定するための発明が為されている。
特開2003−114969 商業施設提案システムしかし、上述したような従来的な方法やシステムは統計的な分析や情報処理が中心であり、統計的な分析や情報処理の基礎となる、社会的な状況や社会的な現象やその変化などについては、充分に分析し説明し予測することは行わなかった。しかし、最適な店舗出店地を選定に影響を与えるパラメーターが非線形的に相互作用することで、非線形で複雑な現象に特有の、急激な変化や小さな要因の大きな影響を考慮した上で。社会的な状況を分析し説明し予測することが必要である。そこで情報処理システムの各システムを利用して最適な店舗出店地を選定のためのモデルを様々に変更してシミュレーションを行う。さらに、出店後の様々な要因の変動をもとに店舗の営業状態のシミュレーションをおこなう。この時、利用可能な固定的なパラメーターとしては、各格子における現在の消費者人口、推定所得、鉄道や道路などの消費者の動線など。さらに商業統計による各格子(500mメッシュ)あたりの店舗数と、その平均面積と平均売り上げなど、そして現在の競合店舗の位置、競合店舗の売場面積など、変動的なパラメーターとしては広告投下量や商品の価格設定など。さらに確率的に変動するパラメーターとしては将来の消費者人口の確率的な増加現象や将来するかもしれない競合店舗の位置及び競合店舗の売場面積など。上述のような要素(パラメーター)を使用し、情報処理システムのモデルパターンデータベースやモデルコントロールモジュールを利用して、店舗最適化シミュレーション用のモデルを設定して。様々な状況におけるシミュレーションをおこない、結果を可視化することで、よりよい店舗最適化を行うことが出来る。
<位相空間・環境適応地形>
上述してきた、実施例では空間モデルは、実際に空間に対応した座標系が緯度経度に対応する地図とほぼ同様の概念の空間を利用してきた。しかし、分析対象によっては、現象が起因している時空間(実空間)をモデル化した空間ではなく、位相的な空間としてモデル化して、情報処理することも可能である。
例えば、情報の移流を考える場合には、移流速度に対応して、空間的な距離を修正した位相空間をモデル化し、そのモデル上で情報の移流についてシミュレーションを行った方が正確な結果を得ることが出来るような場合には、実空間を移流速度に対応して歪めた位相空間モデルを生成する事が考えられる。
また、実空間対応の時空間モデルでは、次元軸がそれぞれ緯度、経度、高度、時間などに対応していたが、それぞれの次元軸を現象に影響を与えるパラメーター、或いは現象の結果を示すパラメーターに対応させることで、現象の性質や現象の変化を巧く可視化する事が考えられる。
具体的には、或る商品の販売量に関する現象の可視化や分析を行う場合には、X軸及びY軸を販売個数に大きく影響を与えるパラメーターに対応させて、Z軸に販売個数を対応させることで、より理解しやすい可視化や分析を行えるようになる。
また、環境適応地形として空間をモデル化する事も可能である。環境適応地形は或る状況(環境)における、選択肢の適応度を高度として表す地形的な表現方法であると言える。
例えば、X軸に状況(環境)、Y軸に選択肢のパラメーターを対応させる、X座標が示す状況(環境)において、Y座標が示す選択肢を選択した場合の適応度をシミュレーションし、結果をZ軸に高度としてプロットする。
或いは、XYそれぞれに可能な選択肢を対応させることによって、XYそれぞれの選択肢の組み合わせをXY表面上にプロットする、それぞれの選択肢を選択した結果を状況(環境)のパラメーターとしてシミュレーションし、シミュレーション結果をXY表面上に状況(環境)パラメーターとしてプロットするそしてそれぞれの選択肢を選択した場合の適応度をシミュレーションし、結果をZ軸に高度としてプロットする。
どちらの場合も、状況(環境)に対して最も適応度が高い選択肢或いは選択肢の組み合わせは、最も高度が高い(或いは低い)地点として表示される。
この時、Z軸に対応させるのは、選択肢ではなく、これまでの行動の結果であっても良い。具体例としては、或る商品の販売量を最大化させるために販売個数に大きく影響を与えるパラメーターとして、商品の価格と機能の選択肢の適応度を最大にするような課題に対する可視化や分析を行う場合には、X軸に価格、Y軸に機能を対応させて、Z軸に販売個数のシミュレーション結果を表示させることで、より理解しやすい可視化や分析を行えるようになる。
この時、現象に影響を与える様々なパラメーターの変化によって、選択肢の適応度が時系列的に変化することが考えられる。
このように、実際の社会においては、環境の変化によって有効な選択肢が変化する。
このことによって、従来有効であった選択肢を選択しても環境が変化した場合は効果がないことになる。情報技術などの進歩により、急激に環境が変化する社会において、行政や企業が、多くの情報を収集し分析し、素早い意志決定を行わなければならない。
従来的な成功体験が、全く異なる有効な選択肢の選択を妨げることによって、大企業であっても急速に業績が悪化するという問題の本質を、この環境適応地形は見事に表現する事が出来る。
本システムの各モジュールを利用すれば、現象に影響を与える様々なパラメーターの変化によって動的に変化する環境と選択肢の適応度をシミュレーションによって計算して出力し、可視化モジュールによって動的な映像として、動的に変化する環境と選択肢の関係を表現する事が出来る、動的な環境適応地形図を実現することが出来る。
本システムを利用して、環境適応地形図を生成して様々な選択肢をシミュレーションを行うことによって、変化する社会環境において最適な選択肢を計算機によって選択することが出来る。
例えば、政府が政策を策定する際に、或いは企業が3年間にわたる経営計画を策定する際、或いはチェーンストアが出店を計画する際などに、環境適応地形を生成し様々な選択肢をシミュレーションすることによって、事業環境となる社会的現象系を分析し、様々な要素の相互作用について知見を得、様々な選択肢の組み合わせによって、事業環境全体や事業そのものがどう変化して行くのかを視覚的且つ論理的に分析することが出来る。
また、社会的現象を適応適応地形上で情報処理することによって系の変化のシミュレーションを行い、加えて計画や行動を選択した結果のシミュレーションを行うことによって、計算機で自律的に行動最適化のシミュレーションを行い、社会的な環境適応地形における行動の最適化解を得ることが出来る。
<経路依存性分析>
本システムを用いて、可能性のある現象の発展の経路をすべてシミュレーションする事が出来るので、現象の経路依存性についての知見を得ることが出来る。
ただし、充分に早い計算処理が行えない場合には、現象を特徴づけるような主な経路のみ
或いは、利用目的に応じて必要な経路についてのみシミュレーションを行い、各経路に依存する現象の特徴或いはパターンなどを分析し比較することによって、現象の経路依存性についての知見を得ることもできる。
例えば、販売戦略計画の立案に情報処理システムを利用する場合であれば、販売チャネル或いは販売価格或いは宣伝広告方法、さらにはそれらの各選択肢の組み合わせをシミュレーションしそれぞれの選択肢の組み合わせによる現象の発展の経路依存性を分析する。
さらに、市場背景の様々な変化をシミュレーションの際に様々に変えたパラメーターとして処理し、市場背景が変化する際に採り得る選択肢の組み合わせを変えて複数のシミュレーションを実施することにより、予想される或いは予想を超える市場の変化と、その変化の各経路において、採り得る選択肢の組み合わせの結果としての現象の変化としての、販売状況或いは販売量さらには利益率などが、それぞれの経路の選択によって、どの様な地域で、どの様に時系列変化するかを分析することが出来る。
具体例としては、自社商品の価格を2000円に設定して販売した場合、競合の同等商品が価格を1500円或いは1000円に設定して、1ヶ月後或いは3ヶ月後に市場参入してきた場合のそれぞれのシミュレーションを行う。
また、自社商品の価格を、競合の同等商品が価格に合わせて値下げした場合の販売状況と、販売当初から価格を1200円に下げて販売をした場合の販売状況を、どの様な地域で、どの様に時系列変化するかを分析することが出来る。
この時、各パラメーターが相互に影響を与えあうことに注目して、シミュレーション時のアルゴリズムを組み立てることによって、社会現象に特有のフィードバック性、非線形性、適応性、複雑さなどの特徴を失わずに、現象の本質をより深く理解することが可能になる。
さらに、それぞれのシミュレーションにおける経路依存性のパターンを分類し数値化することによって、それらの現象の経路依存性の特徴を素早く的確に把握することが可能になる。
上述のように従来では困難であった経路依存性の分析について、本発明では現象の背景の変化と、多くの選択肢の組み合わせと、選択した組み合わせがフィードバック的に影響を与える様子をシミュレーションすることによってより効果的に実現することが出来る。
具体例としては、店舗出店の最適配置、最適規模を求める課題の場合、様々な要因によって時系列に最適配置、最適規模が変化する可能性があると言うことである。
現在から将来に渡る環境変化が出店最適配置及び最適規模にどの様などの程度の変化を及ぼすのかを数値的に解析し動的に表示する事が出来るようになり、出店における時系列的なリスクを把握した上で計画の策定及び出店の意志決定を行うことが出来る。
<感染シミュレーション>
課題の項で前述したように、近年「感染症」が非常に問題になっている。
突如発生する強力な感染症に対して、感染現象を把握・理解・分析し、世界的に蔓延することを防止する方法論(危機管理システム)を早急に確立する必要がある。従来から様々な感染症蔓延モデルや感染ルートの解明手段が開示されているが、複雑で非線形な社会現象として、総合的に「社会と自然界が相互作用する現象」として感染症をとらえることができるような方法や装置は存在していない。
特開2002−279076
感染症拡大の可視化は従来から白地図やGISなどを利用して行われているが、感染症と社会との相互作用として感染症を可視化したり・分類したり・シミュレーションしたりすることは、専ら医療専門家や研究者の手で行われている。
このため、これらの専門家以外の人々、具体例としては政府機関や輸送関連業者や食品供給業者などが、今日的な様々な感染症の急速な流行に対して、それぞれの専門的な見地から、様々な影響を考慮ながら、速やかな状況把握や対策(具体的には移動の禁止やサービスの供給停止など)を行うことは困難である。
この状況に対して、医療関係者やその他様々な分野の関係者が、それぞれが考慮しなければならない要素(データ)を持ち寄り、統一的に感染症の可視化・分類・モデル化・シミュレーションなどを行える情報処理システムが実現すれば、論理的な基準に基づいた合理的な判断(対策)を早急に下すことができるようになり、感染症に対する危機管理システムの方法論を構築する基礎を構築する事につながる。
本発明による情報処理システムを利用すれば、感染症が社会に拡大する状況を可視化・シミュレーションすることが可能になれば、感染症の驚異や拡大の状況を把握・予測する事につながる。
具体的には、種類や特徴(たとえば感染源・感染様態・感染率・平均感染期間・治癒率・死亡率など)と、動物種の分布(人間の場合には人口や人口密度)及び移動形態と移動量(人間の場合には様々な移動手段による移動量)を及び感染症に対する対策(たとえばワクチンの有無・量、医療機関の多寡、地域の衛生状態)などを基礎データとして空間モデル(数理地図)に入力(配置)し、感染症の特徴をモデル化し或いは既存の感染症モデルを利用して、感染率やワクチン量などの様々なパラメーターを変化させながら実際の世界(の状況)に対応して感染症の拡大をシミュレーションすることができる。
このようなシミュレーションを行うことにより、必要なワクチン量を推定することが可能になり、効果的なワクチン供給を実現する手助けとすることができる。
さらに、感染症が発生した場合に、空路や航路や鉄道や道路による広域な地域への急速な感染の拡大を効果的に防止するために、空港・港湾・鉄道・道路などを閉鎖した場合に感染症の拡大をどの程度くい止めることができるのかなどを実際の数値に基づいて論理的に精緻にシミュレーションするできれば、感染症の影響と社会的な影響を合理的に勘案した上で、社会的に大きな影響を及ぼす空港や道路の閉鎖などの意志決定を下すことができるようになる。
図31及び図32は本発明による情報処理システムと、代表的な数理的な感染症モデルである 「Kermack-MacKendrick
疾病モデル」を応用して、日本に感染症が発生した場合の感染状況と各地域における感染者数及び死亡者数を時空間的にシミュレーションした計算結果の動画可視化画像の一部静止画像である。
ただし、「Kermack-MacKendrick 疾病モデル」は感染症の時間的変化を扱うモデルであり、空間成分((感染症の空間的変化を扱う)項は存在しないため、そのままでは時空間における感染現象をシミュレーションできない。
このため例では「Kermack-MacKendrick 疾病モデル」に、感染症が鉄道によって拡大するという空間的なモデルを追加し、空間的な感染は距離の2乗に反比例して拡大するという空間的なパラメーターを仮定した。
この例では人口密度に比例して感染者が増加するという仮定でシミュレーション(計算)を行っている。空間的な人口密度と関連した現象として感染が拡大する様子がよくわかる。また感染モデルのパラメーターに感染率と死亡率の項があり、それぞれパラメーターを設定することで感染者及び死亡者数のシミュレーションを行うことができる。
各画像において日本地図上の着色部分が各地域メッシュごとの人口密度を示し、棒グラフが各地域メッシュごとの感染者数を示している。このモデルによる現象シミュレーションのパターンは前述の森林火災モデルと非常によく似たパターンを示す。感染症も移流拡散現象として分類可能であることを示している可能性がある。
当然、モデル化に際しては鉄道の移動時間を実際に即して詳細に設定することも可能である。さらに、鉄道による感染拡大以外に、空路・道路による拡大や人口密度に依存して(移動しない)人間同士の接触によって感染が拡大するモデルを組み込むなどして実際の状況を詳細にシミュレーションする事も可能である。
詳細なシミュレーションを行う際には、時空間に属する様々なパラメーターを詳細に設定する必要がある。感染症モデルにおける例としては移動に関する要素として以下のようなデータを利用してモデルを作りシミュレーションをすることができる。
鉄道の各駅の乗降客数。空路・空港の利用者数。道路の交通量(交通センサスによってデータ化されている)。道路による移動時間(カーナビのどの実現技術によって計算可能になっている。)
このような詳細な移動データを用いて、感染症シミュレーションを行うことによって、空路による感染者の移動によって「森林火災における飛び火」のような現象が生じて、この感染拡大の「飛び火現象」を制することが感染症の拡大防止に大きな影響を与える可能性が高いと考えられるので。
本発明の情報処理システムによって、様々なモデルやパラメーターを利用して感染症シミュレーションを実行すれば、道路や空港(空路)の一部を閉鎖した場合にどの程度感染の拡大が防止できるのかを合理的に予測することができるようになり、感染症の拡大防止に寄与することが考えられる。
<社会を自律的に理解する機械或いは計算機の実現>
計算機科学やロボット工学や認知科学の分野で、エージェントやロボットや人工知能などによって、計算機や機械に従来よりも高度に人間の活動を補助させようとする試みが為されている。
しかし、このような高度な人間活動の補助を実現させるためには、補助する対象の人間が置かれた状態についての理解や、状態の理解に基づくプランニングや、意志決定支援が必要になる。社会における人間の活動を広範に支援するための人工知能やエージェントなど計算機(機械)にある種の知性を持たせるためには、社会という外的環境及びその要因及びその変化に関する数値化された入力(知覚)を有する必要がある。さらに社会という外的環境及びその要因及びその変化に関する予測を、計算機(機械)が自律的或いは或る程度自律的に行う手段を実現させる必要がある。
計算機は記号処理を行う機械であり、知識は数値化或いはコード化することによって計算機で扱えるようになる。つまり、計算機によって高度なサービスを行うためには、環境(状況)をコードで記述する或いは環境(状況)そのものを数値化する必要がある。
しかし、人間が置かれた環境(状況)である社会(社会現象)は複雑であるため適切に数値化或いはコード化することが困難であり、現状で人間が有する社会についての知識はその多くが形式化されていない暗黙的な知識である。
一方、上述してきたように本システムを利用したデータ収集、データ可視化、モデル化、シミュレーション、モデル検証という情報処理は計算機によって自律的に行うことが可能である。
本システムを現実世界に実装されてロボットやキオスクなどのように行動や情報提供によってサービス提供を行う機械或いはソフトウェアエージェントなどのようネットワーク上に実装されてサービスを行うシステムと組み合わせることによって、社会現象や社会の状況について情報を得て、社会現象や社会の状況を認知して、社会現象や社会の状況の変化を予測する手段を有するロボットやキオスクやソフトウェアエージェントを実現することが出来る。
機械的な知性を実現させる課題の一つは、人間社会で充分に人間の手助けを行える知性を構築するためには、社会という環境と、その要因、その変化を計算機に入力(機械が知覚)することが不可欠である。また、効果的に自律的な機械的な知性を創造するためには、自律的に環境(状況)の認識とその変化の予測を行えるようにすることである。
このことから、社会における人間の活動を広範に支援するための人工知能やソフトウェアエージェントなど計算機(機械)にある種の知性を持たせるためには、社会という外的環境及びその要因及びその変化に関する数値化された入力(知覚)を有することが必要である。
社会は我々が生存し活動する背景である。そのような意味で社会についての様々な知識は我々のコンテキストであると言うことが出来る。
本システムによって、機械や計算機が社会的なコンテキストを認知し、モデル化し、シミュレーションを行うことによってその変化を予測する事を可能にする、いわば機械的な知性を実現することが可能になり、自律的に世界観を構築する機械や計算機を実現することが出来る。
具体的には、単体の機械或いは計算機に本システムを組み合わせて、ネットワークによって外部のデータ源からデータを収集することによって、単体の機械或いは計算機が自律的に社会的なコンテキストを認知し、その理論を数値的にモデル化し、シミュレーションを行うことによってその変化を予測するようにすることが可能である。
また、単体の機械や計算機とネットワークで接続されたサーバーに情報処理システムを実装し、単体の機械や計算機からネットワークを経由した依頼を受けて、現象の可視化、数値モデル構築、数値計算シミュレーションを行い、結果を単体の機械や計算機に提供することで、単体の機械や計算機に情報処理システムを実装することと同様の効果を得ることが出来る。
さらに、ネットワークで結ばれた、サーバー及び、複数の機械や計算機に情報処理システムを実装し、協調分散処理によって各サーバー、機械、計算機が協調して、社会現象の分析を行うことも可能である。
この時、複数の計算機上の分析結果を照合することによって、社会現象の分析プロセスを進めることも可能である。
上述の計算機による社会現象の分析及び背景状況に適したサービスの実現は、パターン認識を主とする人間の世界観構築手法を計算機に実装したとも言えるが、人間の限定的合理性や感情に左右されずに複雑で確率的な系の現象の説明・予測を合理的に行う事を可能にする。
前述したように、社会・市場・経済などのような膨大な要素が相互作用する系を、モデル化することなしに記述や説明することは困難である。
しかし、限定的な合理性しか有しえない人間の頭脳によって、社会・市場・経済などのような膨大な要素が相互作用する系を精緻にモデル化することもまた困難である。
その理由の一つは、系の複雑さや巨大さだけではなく、人間がこれらの系を理解する際に、多くの場合「非記述的知識(暗黙知)」的な情報処理を行っているためである。
しかし、本発明は上述してきたように、社会・市場・経済に関する情報収集・可視化・パターン認識・分類・モデル化・シミュレーションを計算機によって行うことを可能にした。
つまり、本発明は計算機による社会・市場・経済に関する概念形成システムという、一側面を有している。
本発明を計算機に実装することにより、従来は困難であった「計算機による社会・市場・経済などのような複雑で巨大な系に関する理解」を可能にすることができる。
また、本発明による情報処理システムによって抽出されたモデルは透明性が高く、人々や多くのシステムよって共有される規範的なモデルと成り得る。
このため、本発明を応用すれば、計算機や、計算機を内蔵するロボットや、計算機ネットワークで活動するソフトウェアエージェントなどが社会・市場・経済やその振る舞いを理解し、予測し、比較することが可能になる。
社会・市場・経済に関するエージェントやソフトウェアやロボット相互の概念形成或いは合意形成などに役立つばかりではなく、人間とコンピュータとの理解の共有も可能になる。
具体的には、社会・市場・経済に関する様々な事柄について、人間と計算機がそれぞれの利点を活かして相談しコラボレーションすることが可能になる。
さらに、社会・市場・経済のような複雑系に関する、コンピュータによる意味制約の解釈による共通語彙の提供も可能になる。また、本発明によって得られた社会的な知識の再利用と共有、標準化、知識の体系化を実現できる。
具体的には、情報処理システムを利用することによって、社会や社会における現象やその変化やその理由について人々の合意形成に役立ち、通常暗黙的知識となっている基本的な世界観(概念化)が明確化され、それが人々に共有されると同時に、人々が持つ社会・市場・経済に関する知識の根元となる概念が明示化され、それらを標準化して(少なくとも企業内で共通化して)必要であればそれらを用いて知識を再記述して体系化を行うと同時に、必要なモデル構築を行う事が出来る。
上述してきたように、従来の経済モデルや社会モデルは時間的な変化を扱うものが多く、空間的な変化、特に実世界対応した空間属性情報をモデルに取り込んで現象を扱う(情報処理する)ようなモデルや方法は少なかったが。
しかし本発明による情報処理システムでは時間・空間成分を実際の世界のデータに対応させて情報処理出来る。また、従来の統計的手段では困難だった結果が原因に影響を及ぼすような非線形なモデルを利用することが可能である。
これらの特徴によって、本発明の情報処理システムは、従来とは画期的に異なる可視化・モデル化・シミュレーションを行うことが出来きるため、従来的な手法では知ることが出来なかった様々な現象の側面について知見を得ることが出来る。
明らかになる現象の側面の具体例としては、従来的な分析方法では発見が困難であった、結果が原因にフィードバックする状況、特に小さなパラメーターを少し変化させただけで、結果に大きな影響が起きる非線形的な状況が明らかになる。このような状況は自己組織的な現象である可能性があり、このようなパラメーターの変化は非常に危険であるか、非常に有用であることが考えられるので、パラメーターの変化には注意する。または好ましい状況にするためにパラメーターの変化を注意してコントロールしなければならない。
また、パラメーターを様々に変化させても影響があまりでない安定的な状況や逆に非常にセンシティブなカオス的状況なども明らかになる可能性がある。
実施例2以降の情報処理システムは、非線形で複雑で適応的な系の現象を自然科学の方法で理解するためのシステム・方法であるとも言える。社会現象が自然科学の概念や方法で理解できるとすると、世界そのものに対する人間の理解が革命的に進歩し、世界の変化、世界の変化の予測、経済や政治を従来よりも格段に科学的に遂行できる可能性が開ける。
一方、非線形複雑系である、社会現象の分析と理解を通じて、自然科学の理解が一段と進む可能性もある。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
本発明により、有効な情報提供システムを実現する事が出来る。さらに広告などのような情報提供の効果を測定する方法が実現し、情報提供が効果的にされたか、情報はどのような人々に提供されたのかなどを直感的に知ることが可能になった。
広告などにより商品やサービスを提供する際に重要になる、消費者間での流行などのような現象を視覚化する方法が可能になった。
広告などにより商品やサービスを提供する際に重要になる、市場背景について分析する際に、統計手法のような線形的な分析では過去の傾向を知ることは出来てもその理由を知ることが可能なった。
広告などにより商品やサービスを提供する際に重要になる、市場背景は大規模なデータを伴う社会現象であり、そのような複雑な現象を短時間で現実に即した形で視覚化し分析する手段を提供する事が出来た。
上述のように本発明は宣伝広告などの情報提供に非常に高い効果をもたらすばかりではなく、消費者がどの様な商品やサービスに興味を持っているのかを知ることが出来る。さらに、消費者の興味が、地域別に、消費者の属性に、時間経過によってどの様な変化をしているのかを視覚的に概観することが出来る。
本来、非線形である社会現象を非線形的に捉え、社会現象を全体的な視点で分析できる。非線形系に特有の摂動敏感性や経路依存性の現象などの発見を促す。
可視化・アニメーションにより専門家のみが理解できる難解な出力ではなく、社会科学者や実際の意思決定者が、その経験を生かして社会現象を直感的に理解できるようになる。
経済政策・経営戦略におけるマーケティングリサーチの道具として本発明を利用した場合、
現実の市場環境の動き変化を可視化するため、消費動向調査、競合商品調査などをおこなう事が出来る。また、
政策・戦略の策定フェーズ
では本発明を仮説・検証を繰り返すことで、より精度の高い政策や戦略の意思決定を行うための予測シミュレーションを行う道具として利用できる。
また政策・戦略の実行フェーズでは本発明を
政策・戦略実行過程において、社会の流れの変化を可視化し、適切な対処を行うためモニタリングを行うための道具として利用できる。
結果の分析・評価フェーズでは本発明を
による政策・戦略の結果や成果の可視化により、有効かつ効率的な新規政策・戦略策定に向けた示唆を与える評価・分析を行う道具として利用できる。
また、本発明では 社会や経済や市場における現象を映像として空間的に時系列的に展開する動画像として視覚化して、現象の全体像を見渡せるので、従来の手法であれば、苦労して現象やその変化の様子を読みとらねばならないのに比較して、ほぼ一瞬にして現象の変化の様子総てを把握できる。
さらに必要ならば部分や時間を拡大して現象の変化の詳細な様子を観察することもできるようにする。
また、従来の他の分析手法である静的な統計的表現などに比較すると、統計学やデータマイニングなどの教育を受けていないユーザーであっても、社会現象をリアルに直感的に把握することが可能になり、統計的処理やデータマイニング処理などに煩われることなく現象を理解し本質を捉え予測を行うための知見を得ることを容易にする。
特に非線形現象を解析する特別な知識を持たないが、市場などの現象に最も近い担当者が、現象の変化の様子を映像として見ることで、現場から離れている研究者や経済学者たちが見落としがちな経験に基づいた発見や直感的な現象の理解を得られるという点は、従来的手法に比較して本発明の大きな効果である。
行政や産業や企業の現場で担当者レベルの人々が、動的で非線形的な複雑系として社会、経済、市場を理解し、説明し予測する事が出来る、方法及び装置を実現することは、複雑且つ急速に進歩する社会で活動する上で大きな効果をもたらす。
誰でも簡単に、非線形で複雑な現象をその特徴を残したままの映像として現象の変化の様子を可視化して動的に表示することによって、社会現象の変化の様子或いは現象の特徴やパターンを直感的に捉えることが可能になる。従来手法では発見することが困難であったので、現象の変化のパターンや特異点などの重要な要素の発見に繋がる。
さらに様々な分野における具体的な実用(応用)例を挙げれば、
産業界向けの経営や市場や販売戦略の分析ツールとして利用することが出来る、具体的にはユビキタスコンピューティング環境システムやPOSシステムやCRMシステムと連携して製品の流通・販売などの状況を、消費者数や広告投下量や資本投下量などとの関連を計算した上で、地図上でリアルタイムに概観することが出来る。従来の分析方法に比較すると経験則や従来的な理論では説明できないイレギュラーな現象や時系列的空間的な変化の兆しを容易に発見することが出来る。また販売量とその他の要素の関係を可視化することにより市場における重要なパラメータを発見する事が出来、市場を動かす法則についての重要な知見を得ることが出来る。さらに様々な経営的な仮説に基づく経営シミュレーションや市場シミュレーションや販売シミュレーションを行いシミュレーションと実データを比較することで経営仮説の問題点や利点を明らかにすることが出来る。
行政の社会状況分析ツール及び政策立案ツール及び行政効果の検証ツールとして利用することが出来る。
具体例としては日本地図上で時空間的な人口変化のシミュレーションを行い、将来的な税収のシミュレーションを行う。災害時の避難シミュレーションを行い災害対策の検証を行う。公共投資の投下量と市場の活性化度を時空間的に検証する事などが考えられる。
医療や食品の安全性の見地から、現在課題となっている感染症の発生・拡大を、感染症の数理モデルやマルチエージェントモデルなどを利用して地図上におけるアニメーションとして可視化することが可能である。
社会科学の経済学における、様々なモデルをシミュレーションし、実際の現象と照合してモデルやパラメータの整合性を検証するツールとしての応用などが考えられる。
情報提供手段と情報取得装置、及び情報取得装置とネットワークで接続可能な情報処理装置を略示的に示したブロック図 情報処理装置を含む情報提供システムの概念図 情報提供装置毎の情報提供回数(リーチ)比較表 情報提供装置毎の情報提供回数(リーチ)比較グラフ A旅行社の情報提供装置毎の情報提供回数(リーチ)比較グラフ 販売装置と情報処理システムを組み合わせたシステムの概念図 情報提供装置毎の消費者アクション比較表 情報提供装置毎の消費者アクション比較グラフ リーチした消費者の属性表 リーチした消費者の属性別グラフ1 リーチした消費者の属性別グラフ2 個人を特定しない消費者属性の例 地域別(狭域)に被情報提供傾向を表示した図の例 地域別(広域)にリーチの傾向を表示した図の例 地域別に被情報提供傾向を表示した図の例 地域別に被情報提供効果を表示した図の例 地域別に被情報提供効果を予測して表示した図の例 情報処理システムのブロック図 情報処理システムにおける情報の流れの概念図 データ収集モジュールのブロック図 視覚化モジュールのブロック図 モデル化モジュールのブロック図 シミュレーションモジュールのブロック図 データ収集フローチャート 可視化・パラメーター抽出フローチャート パラメーター検証作業フローチャート アイドマ理論モデル 標準メッシュによって関東地方を空間分割し、各メッシュの人口統計を割り当てた例 産業(企業戦略)における本システムの応用例 産業(マーケティング)における本システムの応用例 感染症モデルによるシミュレーション1 感染症モデルによるシミュレーション2 情報提供装置からのデータを収集して情報処理を行うシステムを略示的に示したブロック図
符号の説明
300はインターネットあるいは電話網などのネットワーク、
350は情報処理装置
3500は情報処理システム
3500bは情報処理システム
3510は情報処理システムに関わる記録を集中的に管理するデーターベース
370及び371は携帯電話の基地局或いはホットスポットなどの無線中継装置、
375及び376は携帯電話のあるいはホットスポットのゲートウェイサーバー、
S1、S2は所持者が所持する情報取得装置、
91は情報取得装置のディスプレイ、
92は情報取得装置のメモリ、
93は情報取得装置のCPU、
98は情報取得装置の近距離無線通信の送受信インターフェイス、
99は情報取得装置の操作部、
1000はデータ収集モジュール、
1100は視覚化モジュール、
1200はモデル抽出モジュール、
1300はシミュレーションモジュール、
1700は操作モジュール
3510:外部データーベース

Claims (23)

  1. 情報提供手段から情報を取得することが可能な情報取得装置と、
    情報提供手段から取得した情報を基に情報取得装置が接続することが可能な情報処理手段を有し
    情報取得装置が情報処理手段との間で行った情報処理の結果を
    情報処理手段が記憶し視覚化し分析することを特徴とする情報処理システム。
  2. 請求項1の発明において、
    固有の識別情報を有する複数の情報提供手段と、複数の情報取得装置を有し、
    さらに各情報提供装置が固有の識別情報を含む情報を、情報取得装置に提供し
    或いは情報取得装置から情報処理手段が情報提供装置の識別情報を取得することにより
    情報処理手段が、情報提供手段の固有の識別情報を含む情報を記憶し視覚化し分析することを特徴とする情報処理システム。
  3. 請求項1の発明において、
    複数の情報提供手段と、複数の固有の識別情報を有する情報取得装置を有し、
    さらに情報取得装置から情報処理手段が情報取得装置の識別情報を取得することにより
    情報処理手段が、情報取得装置の固有の識別情報を含む情報を記憶し視覚化し分析することを特徴とする情報処理システム。
  4. 請求項1から3の発明において、情報提供手段の固有の識別情報が、その情報特徴手段の存在する位置を示す情報を含む、或いは位置情報を示すことが出来る情報を含むことを特徴とする情報提供システム。
  5. 請求項1から4の発明において、前記情報処理結果を前記情報処理手段が時系列的に記憶し視覚化し分析することを特徴とした情報処理システム。
  6. 現象を視覚化しシミュレーションする情報処理システムであって、その構成に
    現象の分析に必要なデータを収集する手段と、現象のデータを情報処理可能な形式に変換する手段と、変換したデータを視覚化する手段と
    視覚化された現象のパターンを認識する手段と
    認識した現象のパターンを記憶する手段と
    記憶された現象のパターン同士を比較し近似の現象のパターンを抽出する手段と
    比較の結果から現象のパターンを記述する方程式を予め記憶した方程式から選択して設定する手段と
    現象を記述する方程式が存在しない場合には、新たに方程式を設定する手段と
    方程式の各パラメーターを設定する手段と
    設定した方程式とパラメーター及び収集したデータを基に現象の予測シミュレーションを行う手段と
    予測シミュレーションの結果を視覚化する手段と
    捜索或いは生成された現象のパターン及び/又はパラメーターに共通の方程式を基にシミュレーションされた現象と、最新のデータを比較する手段
    のいずれか或いは全てを備える情報処理システム。
  7. 社会的な状況及び/又は現象を可視化する及び/又は分類する及び/又はモデル化する及び/又はシミュレーションする情報処理システムであって、実世界における様々な現象を構成する要素として情報提供装置からのデータに限らず企業情報システム(具体例としてはPOSシステム、CRMシステム、RFタグなどのユビキタスコンピューティング情報システム)からのデータと社会的なデータを組み合わせて、社会的な状況及び/又は現象の時系列ファイルを生成し、計算機上の離散化された時空間モデル上において社会的な状況及び/又は現象を動的に可視化する及び/又はシミュレーション実世界における(社会・市場・経済)現象の動き・振る舞い・変化などを直感的に把握・理解を可能にする情報処理システム。
  8. 社会的な状況及び/又は現象を分析する情報処理システムであって
    様々な可視化データを蓄積し比較することによって、様々な(社会・市場・経済における)現象を分類し、モデル化する情報処理システム。
  9. 社会的な状況及び/又は現象を分析する情報処理システムであって
    既存の事業仮説や経済モデルや社会学的モデルや感染症モデルを利用して、実世界の時空間や様々な属性と対応させて計算することによって、実世界の現象の振る舞い・変化をシミュレーションすることを特徴とする情報処理システム。
  10. 社会的な状況及び/又は現象を分析する情報処理システムであって、
    シミュレーション結果と実際の現象の結果を比較することを特徴とする情報処理システム。
  11. 請求項1から請求項11に記載の情報処理システムであって、
    社会的現象を記述するモデルや社会的現象を構成する要素(データ)及び要素(データ)の相互関係を変化させて、シミュレーションを繰り返し、センシティビテイアナリシス手法を利用して、現象を構成する要素及び要素の相互作用がどのように現象に影響を与えるのかを明らかにすることを特徴とする情報処理システム。
  12. 請求項1から請求項12に記載の
    情報処理システムであって、要素還元的な手法や統計的な手法を利用せずに、構成的・帰納的な手法のみで社会的な状況及び/又は現象を可視化し、把握し、説明し、予測し、分析できることを特徴とする情報処理システム。
  13. 請求項1から請求項12に記載の
    情報処理システムであって、リアルタイムに社会的な状況及び/又は現象を、可視化し、比較し、分類し、シミュレーションすることによって分析する事ができる情報処理システム。
  14. 時空間における社会的な現象を可視化する情報処理システムであって
    時空間における社会的な現象を、社会的現象を構成する要素(データ)及び要素(データ)の相互作用として、動的に可視化することを特徴とした情報処理システム。
  15. 時空間における社会的な現象を可視化する情報処理システムであって
    現象を構成する要素の一部として、空間に属する社会的な要素(データ)を利用することを特徴とする情報処理システム
  16. 時空間における社会的な現象をシミュレーション及び/又は可視化する情報処理システムであって
    空間を任意のスケールで離散化し
    離散化した各分割空間に属する社会的現象の要素(データ)を引き当て可能な状態にして
    各分割空間上に、各分割空間に属する現象要素情報の相互作用を計算する計算点を置いて、
    時空間における現象を、現象を構成する要素の相互作用として動的にシミュレーション及び/又は可視化することを特徴とした情報処理システム。
  17. 時空間における社会的な現象をシミュレーション及び/又は可視化する情報処理システムであって
    時間を任意のスケールで離散化し
    各離散化時間における、各分割空間の現象要素の相互作用を計算して、各離散化時間、各離散化空間における現象を構成する要素の変化を計算処理し
    計算処理結果を統合することで
    時空間における現象を動的にシミュレーション及び/又は可視化することを特徴とする情報処理システム。
  18. 時空間における社会的な現象をシミュレーションする方法であって
    時空間における現象について、現象を構成する要素の相互作用をシミュレーション計算し、シミュレーション結果を動的に可視化することを特徴とした情報処理システム。
  19. 請求項18に記載の情報処理システムであって
    現象を構成する要素の相互作用を、数理モデルを利用してシミュレーション計算することを特徴とする情報処理システム。
  20. 請求項18から請求項19に記載の情報処理システムであって
    非線形モデルを利用してシミュレーション計算することを特徴とする情報処理システム。
  21. RFタグ或いはICカードを利用したユビキタスコンピューティングシステムからのデータを数理地図上にアニメーションで表示し、様々な社会、経済、市場の状況や非線形な変化や複雑な現象を一目瞭然で理解する事を可能にするばかりではなく、経済モデルなどを利用して社会、経済、市場の現象をシミュレーションし理解する事を可能にする情報処理システム。
  22. 社会的な状況及び/又は現象をシミュレーション及び/又は可視化の結果を比較及び/又はパターン認識することによって分類する社会的な状況及び/又は現象のモデル化をする事を特徴とする、情報処理システム。
  23. 情報処理システムであって、計算機やロボットが実世界という外的環境についての概念形成を行うことを特徴とする情報処理システム。
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