JP2004353451A - 容量可変型圧縮機の容量制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】構成の複雑化を抑制しつつ、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることが可能な容量制御装置を提供すること。
【解決手段】クランク室15の圧力調節を行う第2制御弁CV2には、プランジャ61を収容する収容室60の一部に、プランジャ61の往復動によって体積変化する容量制御用室80が区画されている。容量制御用室80は、流体圧アクチュエータ18の制御圧室69に接続されている。エアコンECU71は、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、第2制御弁CV2をスイッチングすることでプランジャ61を往復動させて冷媒ガスを圧縮し、流体圧アクチュエータ18の制御圧室69を昇圧する。制御圧室69が昇圧された流体圧アクチュエータ18は、傾斜角度が増大する方向に斜板22を傾動させる。
【選択図】 図2
【解決手段】クランク室15の圧力調節を行う第2制御弁CV2には、プランジャ61を収容する収容室60の一部に、プランジャ61の往復動によって体積変化する容量制御用室80が区画されている。容量制御用室80は、流体圧アクチュエータ18の制御圧室69に接続されている。エアコンECU71は、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、第2制御弁CV2をスイッチングすることでプランジャ61を往復動させて冷媒ガスを圧縮し、流体圧アクチュエータ18の制御圧室69を昇圧する。制御圧室69が昇圧された流体圧アクチュエータ18は、傾斜角度が増大する方向に斜板22を傾動させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両の冷凍サイクルに用いられる容量可変型圧縮機に関し、特に該容量可変型圧縮機の吐出容量を制御するための容量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、その外部駆動源である車両のエンジンとの間の動力伝達経路上に、電磁クラッチ等のクラッチ機構を備えている。そして、冷房不要時等においては、電磁クラッチのオフによって動力伝達を遮断することで、圧縮機の駆動が停止されるようになっている。しかし、電磁クラッチのオンオフ動作にはショックを伴い、このオンオフショックは車両のドライバビリティを悪化させる。
【0003】
従って、近年においては、エンジンとの間の動力伝達経路上にクラッチ機構を備えない、クラッチレスの圧縮機が提案されている(例えば特許文献1参照。)。このクラッチレスの圧縮機には容量可変型が用いられ、冷房不要時等においては該圧縮機の吐出容量を最小化することで、実質的な冷房停止を行うようになっている。
【0004】
例えば容量可変型斜板式の圧縮機に用いられる容量制御装置としては、斜板収容室たるクランク室の圧力を変更することで、該クランク室の圧力とシリンダボア(圧縮室)の圧力とのピストンを介した差を変更して斜板の傾斜角度を変更するものが一般的に採用されている。クランク室の圧力は、電磁弁の弁開度調節により、吐出圧力領域からクランク室への高圧な冷媒ガスの導入量と、該クランク室から吸入圧力領域への冷媒ガスの導出量とのバランスが制御されて決定される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−60589号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記容量制御装置においては、斜板の傾斜角度がゼロとなってピストンがストロークしなくなると、言い換えれば冷媒ガスの圧縮が行われなくなると、クランク室の圧力と圧縮室の圧力との間に差を付けることができなくなり、斜板の傾斜角度をゼロから離脱(増大)させることが不可能となる。従って、クランク室の圧力調節のみに頼った容量制御では、最小吐出容量をゼロに設定することができず、冷房不要時等に吐出容量を最小化したとしても、不必要な冷媒圧縮動作(ピストンの往復動)によって、エンジンの燃費が悪化する問題を生じていた。
【0007】
このような問題を解決するために、最小傾斜角度(傾斜角度ゼロ)状態にある斜板に対して、傾斜角度が増大する方向の付勢力を付与するアクチュエータを備えることが考えられる。しかし、該アクチュエータを動作させるための専用の駆動構成(例えば流体ポンプや電磁構成)が必要となり、容量制御装置の構成が複雑化する問題があった。
【0008】
本発明の目的は、構成の複雑化を抑制しつつ、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることが可能な容量制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明の容量制御装置は、容量制御用ピストンと、容量制御用室と、流体圧アクチュエータと、流体圧アクチュエータ制御手段とを備えている。容量制御用ピストンは、クランク室の圧力調節を行う電磁弁に作動連結されている。容量制御用室は、容量制御用ピストンの往復動により体積変化することで作動流体の吸入及び吐出を行う。流体圧アクチュエータは、その制御圧室が容量制御用室に接続されており、該制御圧室の圧力の変更(昇圧又は減圧)により、傾斜角度が増大する方向にカムプレートを傾動させることが可能である。
【0010】
そして、流体圧アクチュエータ制御手段は、容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、電磁弁の電磁力を変更することで容量制御用ピストンを往復動させて流体圧アクチュエータの制御圧室の圧力を変更する。
【0011】
このように本発明においては、容量可変型圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱を、流体圧アクチュエータによって行うようにしている。従って、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも、容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることができる。また、流体圧アクチュエータの駆動構成言い換えれば制御圧室の圧力変更構成として、電磁弁が用いられている。従って、流体圧アクチュエータを動作させるための専用の圧力変更構成が不要となり、流体圧アクチュエータを備えることでの容量制御装置の構成の複雑化を抑制することができる。
【0012】
請求項2の発明は請求項1において、前記容量制御用ピストン及び前記容量制御用室は、前記電磁弁のバルブハウジング内に配設されている。つまり、電磁弁と、容量制御用ピストン及び容量制御用室とが一つのユニットとなっている。従って、容量制御装置の組立に際して、これらの取り扱いが容易となる。
【0013】
請求項3の発明は請求項2において、前記電磁弁は、弁開度調節を行う弁体と、該弁体に作動連結された電磁アクチュエータとからなっている。前記電磁アクチュエータの可動鉄心が前記容量制御用ピストンを兼ねるとともに、前記電磁アクチュエータにおいて前記可動鉄心を移動可能に収容する収容室の一部には、前記可動鉄心によって前記容量制御用室が区画されている。
【0014】
このように、電磁弁の構成を容量制御用ピストン及び容量制御用室として利用することで、専用の容量制御用ピストン及び容量制御用室を必要とせず、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれか一項において、前記流体圧アクチュエータの前記作動流体として、前記容量可変型圧縮機が取り扱うガスが用いられている。従って、流体圧アクチュエータの作動流体として専用の流体を準備する必要がなく、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0016】
請求項5の発明は請求項1〜4のいずれか一項において、前記容量可変型圧縮機の最小吐出容量はゼロに設定されている。つまり、請求項1〜4のいずれか一項の発明によれば、例えば、クランク室の圧力調節のみに頼った容量制御では不可能であった、容量可変型圧縮機の最小吐出容量をゼロに設定することも実現可能となる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容量制御装置を適用するのに特に好適な容量可変型圧縮機の態様について言及するものである。すなわち、前記容量可変型圧縮機は車両の冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機であって、該容量可変型圧縮機は車両のエンジンを駆動源とし、該エンジンと前記容量可変型圧縮機との間の動力伝達機構は、常時伝達型のクラッチレス機構よりなっている。つまり、本発明の容量可変型圧縮機は、クラッチレスタイプよりなっている。クラッチレスタイプの容量可変型圧縮機は、冷凍サイクルの停止時には、実質的に外部回路に冷媒を流さないカムプレートの最小傾斜角度を維持した状態で駆動軸を回転させ続ける。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車両の冷凍サイクル(空調装置)に用いられる容量可変型斜板式圧縮機の容量制御装置に具体化した一実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)は、シリンダブロック11と、その前端に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁形成体13を介して接合固定されたリヤハウジング14とを備えている。なお、図1において左方を圧縮機の前方とし、右方を後方とする。
【0020】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域にはクランク室15が区画されている。クランク室15内には駆動軸16が回転可能に支持されている。クランク室15において駆動軸16上には、ラグプレート21が一体回転可能に固定されている。
【0021】
前記駆動軸16の前端部は、動力伝達機構PTを介して外部駆動源としての車両のエンジンEに作動連結されている。動力伝達機構PTは、外部からの電気制御によって動力の伝達/遮断を選択可能なクラッチ機構(例えば電磁クラッチ)であってもよく、又は、そのようなクラッチ機構を持たない常時伝達型のクラッチレス機構(例えばベルト/プーリの組合せ)であってもよい。
【0022】
前記クランク室15内にはカムプレートとしての斜板22が収容されている。斜板22は、駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構23は、ラグプレート21と斜板22との間に介在されている。従って、斜板22は、ヒンジ機構23を介したラグプレート21との間でのヒンジ連結、及び駆動軸16の支持により、ラグプレート21及び駆動軸16と同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸線L方向へのスライド移動を伴いながら駆動軸16に対し傾動可能となっている。駆動軸16においてラグプレート21と斜板22との間には、斜板22の中心部をシリンダブロック11側に付勢する傾角減少バネ19が介在されている。
【0023】
前記シリンダブロック11には、複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが、駆動軸16を取り囲むようにして貫設形成されている。圧縮用ピストンたる片頭型のピストン30は、各シリンダボア11aに往復動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁形成体13及びピストン30によって閉塞されており、このシリンダボア11a内にはピストン30の往復動に応じて体積変化する圧縮室26が区画されている。各ピストン30は、シュー29を介して斜板22の外周部に係留されている。従って、駆動軸16の回転にともなう斜板22の回転運動が、シュー29を介してピストン30の往復直線運動に変換される。
【0024】
前記弁形成体13とリヤハウジング14との間には、吸入室31と吐出室32とが区画されている。弁形成体13には各圧縮室26に対応して、吸入ポート33及び該吸入ポート33を開閉する吸入弁34、並びに、吐出ポート35及び該吐出ポート35を開閉する吐出弁36が形成されている。吸入ポート33を介して吸入室31と各圧縮室26とが連通され、吐出ポート35を介して各圧縮室26と吐出室32とが連通される。
【0025】
そして、前記吸入室31の冷媒ガスは、各ピストン30の上死点位置から下死点側への往動により吸入ポート33及び吸入弁34を介して圧縮室26に吸入される。圧縮室26に吸入された冷媒ガスは、ピストン30の下死点位置から上死点側への復動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート35及び吐出弁36を介して吐出室32に吐出される。
【0026】
前記斜板22の傾斜角度(駆動軸16の軸線Lに直交する平面との間でなす角度)は、この斜板22の回転時の遠心力に起因する回転運動のモーメント、ピストン30の往復慣性力によるモーメント、ガス圧によるモーメント等の各種モーメントの相互バランスに基づいて決定される。ガス圧によるモーメントとは、圧縮室26の圧力と、ピストン30の背圧にあたるクランク室15の圧力との相互関係に基づいて発生するモーメントであり、クランク室15の圧力に応じて傾斜角度の減少方向にも傾斜角度の増大方向にも作用する。本実施形態では、クランク室15の圧力を調節し前記ガス圧によるモーメントを適宜変更することにより、斜板22の傾斜角度を変更可能としている。
【0027】
次に、容量制御装置について説明する。
図1に示すように、前記斜板22の傾斜角度制御に関与するクランク室15の圧力を調節するための容量制御装置は、圧縮機ハウジング内に設けられた抽気通路37、第1給気通路38、第2給気通路39、第1制御弁CV1及び第2制御弁CV2を備えている。図2に示すように、容量制御装置は、制御コンピュータたるエアコンECU71、第2制御弁CV2の駆動回路72、及び空調装置のオンオフスイッチたるエアコンスイッチ73を備えている。
【0028】
図1に示すように、前記抽気通路37は、吸入圧力領域である吸入室31とクランク室15とを接続する。第1給気通路38及び第2給気通路39は、吐出圧力領域である吐出室32とクランク室15とをそれぞれ接続する。第1給気通路38の途中には第1制御弁CV1が設けられている。
【0029】
前記第1制御弁CV1は、弁体41と、該弁体41に作動連結されたダイヤフラム42とを備えている。第1制御弁CV1は、感圧通路43を介してダイヤフラム42に作用する吸入室31内の圧力に応じて、弁体41が第1給気通路38の開度を調節する。第2給気通路39の途中には、電磁弁たる第2制御弁CV2が設けられている。第2制御弁CV2は、第2給気通路39を全開するオフ状態と第2給気通路39を全閉するオン状態とに、エアコンECU71からの指令に基づき駆動回路72によって切り換えられる。
【0030】
そして、前記第2制御弁CV2のオン状態(第2給気通路39の全閉状態)にて、第1制御弁CV1の開度が内部自律的に調節されることで、第1給気通路38を介したクランク室15への高圧な吐出ガスの導入量と、抽気通路37を介したクランク室15からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室15の圧力が決定される。クランク室15の圧力の変更に応じて、ピストン30を介してのクランク室15の圧力と圧縮室26の圧力との差が変更され、斜板22の傾斜角度が変更される結果、ピストン30のストロークすなわち圧縮機の吐出容量が調節される。
【0031】
例えば、前記吸入室31の圧力が高くなると、第1制御弁CV1の開度が小さくされてクランク室15の圧力が低くなる。従って、クランク室15の圧力と圧縮室26の圧力とのピストン30を介した差が小さくなり、斜板22の傾斜角度が増大して圧縮機の吐出容量は増大される。図1においては、斜板22のそれ以上の傾斜角度の増大がラグプレート21によって当接規制された、最大傾斜角度状態を示している。
【0032】
逆に、前記吸入室31の圧力が低くなると、第1制御弁CV1の開度が大きくされてクランク室15の圧力が高くなる。従って、クランク室15の圧力と圧縮室26の圧力とのピストン30を介した差が大きくなり、斜板22の傾斜角度が減少して圧縮機の吐出容量は減少される。図2においては、斜板22の最小傾斜角度状態を示している。
【0033】
なお、前記第2制御弁CV2のオン状態では、第1制御弁CV1が全開状態となったとしても圧縮機の吐出容量が最小となることがないように、抽気通路37の通路径及び第1給気通路38の通路径等が設定されている。また、図2に示すように、第2制御弁CV2がオフ状態とされて第2給気通路39が全開となると、吸入室31の圧力の高低に関係なく言い換えれば第1制御弁CV1の開度に関係なく、斜板22の傾斜角度が最小とされて圧縮機の吐出容量は最小となる。
【0034】
次に、第2制御弁CV2について詳述する。
図2に示すように、前記第2制御弁CV2のバルブハウジング51内には、図面の上端側に弁室52が区画されている。弁室52内には、作動ロッド53が軸方向(図面では垂直方向)に移動可能に配設されている。弁室52は、バルブハウジング51に設けられた第1ポート54、及び第2給気通路39の上流部を介して吐出室32と連通されている。弁室52は、バルブハウジング51に設けられた第2ポート55、及び第2給気通路39の下流部を介してクランク室15と連通されている。弁室52、第1ポート54及び第2ポート55は、第2給気通路39の一部を構成する。
【0035】
前記弁室52内には、作動ロッド53の上端部たる弁体部53aが配置されている。弁室52と第1ポート54との境界に位置する段差は弁座56をなしており、第1ポート54は一種の弁孔をなしている。そして、作動ロッド53が図2の位置(最下動位置)から弁体部53aが弁座56に着座する最上動位置(図1の位置)へ上動すると、第1ポート54が遮断される。つまり作動ロッド53の弁体部53aは、第2給気通路39を開閉可能な弁体として機能する。
【0036】
前記バルブハウジング51の下方側には、電磁アクチュエータ57が備えられている。電磁アクチュエータ57は、バルブハウジング51内の中心部に有底円筒状の収容筒58を備えている。収容筒58において上方側の開口には、センタポスト(固定鉄心)59が嵌入固定されている。このセンタポスト59の嵌入により、収容筒58内の最下部には収容室60が区画されている。
【0037】
前記収容室60内には、概略有底円筒状をなすプランジャ(可動鉄心)61が、軸方向に移動可能に収容されている。センタポスト59の中心には軸方向に延びるガイド孔59aが貫通形成され、該ガイド孔59a内には、作動ロッド53の下端側が軸方向に移動可能に配置されている。作動ロッド53の下端は、収容室60でプランジャ61に嵌合固定されている。プランジャ61と作動ロッド53とは常時一体となって上下動する。収容室60内においてセンタポスト59とプランジャ61との間には、プランジャ付勢バネ62が介在されている。プランジャ付勢バネ62は、プランジャ61をセンタポスト59から離間する方向に向けて付勢する。
【0038】
前記収容筒58の外周側には、センタポスト59及びプランジャ61を跨ぐ範囲にコイル63が巻回配置されている。このコイル63には、エアコンECU71の指令に基づき駆動回路72から電流が供給される。コイル63は、駆動回路72から電流が供給されることで、センタポスト59とプランジャ61との間に電磁力を発生させる。そして、その電磁力によってプランジャ61がセンタポスト59に向かって吸引されて作動ロッド53が上動し、弁体部53aが弁座56に着座して第2給気通路39が全閉状態とされる(第2制御弁CV2のオン状態(図1の状態))。
【0039】
逆に、前記駆動回路72からコイル63への電流の供給が停止されることで、センタポスト59とプランジャ61との間の電磁力が消滅する。従って、プランジャ61がプランジャ付勢バネ62の付勢力によってセンタポスト59から離間されて作動ロッド53が下動し、弁体部53aが弁座56から離間して第2給気通路39が全開状態とされる(第2制御弁CV2のオフ状態(図2の状態))。
【0040】
次に、容量制御装置において、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させるための構成について説明する。
図2に示すように、前記シリンダブロック11の中心部には、駆動軸16の軸線L方向に収容孔65が貫設されている。収容孔65には、弁形成体13側が底となる有底筒状をなす可動体66が、スライド移動可能に収容されている。収容孔65内の後方側には、弁形成体13と可動体66とで制御圧室69が区画されている。制御圧室69内において収容孔65の端面と可動体66との間には、可動体付勢バネ67が介在されている。可動体付勢バネ67は、可動体66を斜板22側へ付勢する。なお、可動体付勢バネ67としては、傾角減少バネ19よりも付勢力が小さいものが用いられている。
【0041】
前記可動体66の内部には、駆動軸16の後端部が挿入されている。ラジアルベアリング68は、駆動軸16の後端部と可動体66の内周面との間に介在されている。ラジアルベアリング68は、可動体66とともに駆動軸16に対して軸線L方向へスライド移動可能である。制御圧室69内において弁形成体13の前面には、位置決め面13aが形成されている。当接面66aは可動体66の先端面に形成され、可動体66の移動により位置決め面13aに対して接離される。
【0042】
前記斜板22と可動体66との間にはスラストベアリング70が介在されている。スラストベアリング70は駆動軸16上にスライド移動可能に支持されている。スラストベアリング70は、可動体付勢バネ67に付勢されて、常には斜板22と可動体66との間で挟持されている。
【0043】
そして、前記斜板22が可動体66側へ傾動するのに伴い、該斜板22の傾動がスラストベアリング70を介して可動体66に伝達される。従って、可動体66が可動体付勢バネ67の付勢力に抗して弁形成体13側に移動され、該可動体66は当接面66aを以て位置決め面13aに当接される。当接面66aが位置決め面13aに当接された状態にて、斜板22のそれ以上の傾動が規制される。この傾動が規制された状態にて斜板22は最小傾斜角度となり、従って圧縮機の吐出容量は最小となる(図2の状態)。本実施形態において斜板22の最小傾斜角度言い換えれば圧縮機の最小吐出容量は、ゼロに設定されている。
【0044】
なお、前記可動体66の外面において制御圧室69と反対側の領域は、クランク室15の圧力雰囲気に曝されている。従って、可動体66には、クランク室15の圧力に基づく付勢力が、弁形成体13側に向かって言い換えれば制御圧室69の圧力に基づく力に対抗して作用されている。
【0045】
ここで、従来技術においても詳述したように、クランク室15の圧力調節のみに頼った容量制御では、斜板22を最小傾斜角度(=0°)状態から離脱させることが不可能となる。従って、本実施形態においては、斜板22を最小傾斜角度状態から離脱させる場合には、制御圧室69の圧力をクランク室15の圧力よりも高めることで、該制御圧室69の圧力に基づき可動体66に作用する、斜板22側への移動力を増大するようにしている。この移動力が増大することで、可動体66は斜板22を傾斜角度が増大する方向に押し動かすこととなる。
【0046】
つまり、本実施形態においては、前記可動体66及び制御圧室69等によって流体圧アクチュエータ18が構成されている。以下に、該流体圧アクチュエータ18の制御圧室69の昇圧を行う構成について詳述する。
【0047】
前記第2制御弁CV2において収容室60内には、収容筒58と、容量制御用ピストンを兼ねるプランジャ61とによって、該プランジャ61の下方側に容量制御用室80が区画されている。容量制御用室80は、プランジャ61の上下動により体積が変化される。第2制御弁CV2のバルブハウジング51はその下端部に、収容筒58の下部を覆うカバー81を備えている。カバー81内には導出室82が区画されている。導出室82と流体圧アクチュエータ18の制御圧室69とは、圧縮機ハウジング内に設けられた導出通路84を介して接続されている。
【0048】
前記収容筒58の下端の一部は導出室82内に露出されている。収容筒58の下端には導出口58aが形成されており、該導出口58aは容量制御用室80と導出室82とを接続する。導出室82内において収容筒58の外底面には、導出口58aを開閉可能なリード弁よりなる開閉弁86が取着されている。
【0049】
前記収容筒58の側部には導入口58bが形成されている。導入口58bとクランク室15とは、圧縮機ハウジング内に設けられた導入通路85を介して接続されている。導入口58bと容量制御用室80との間は、プランジャ61が最上動位置に位置した状態(図1に示す状態)では連通され、プランジャ61が最下動位置に位置した状態(図2に示す状態)では遮断される。
【0050】
そして、前記第2制御弁CV2の電磁アクチュエータ57のオン(通電)からオフ(非通電)、オフからオンの切換を繰り返すと(以下スイッチングと呼ぶ)、プランジャ61が最上動位置と最下動位置との間で繰り返し往復動される。プランジャ61が繰り返し往復動されることで、クランク室15から導入通路85及び導入口58bを介した容量制御用室80への冷媒ガスの吸入、及び吸入冷媒ガスの圧縮、並びに圧縮済み冷媒ガスの導出口58a及び開閉弁86を介した導出室82への吐出が行われる。
【0051】
前記容量制御用室80から導出室82に吐出された高圧冷媒ガスは、導出通路84を介して制御圧室69に供給される。制御圧室69の圧力は、導出室82からの高圧冷媒ガスの供給によってクランク室15の圧力よりも上昇する。つまり、本実施形態においては、流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガスが用いられている。
【0052】
なお、前記制御圧室69の圧力は、収容孔65の内周面と可動体66の外周面との間の若干の隙間を介してクランク室15へ若干漏らされている。従って、第2制御弁CV2(電磁アクチュエータ57)のスイッチングを停止すれば、やがては制御圧室69とクランク室15とが均圧されることとなる。
【0053】
次に、エアコンECU71による第2制御弁CV2の制御について説明する。図3のタイムチャートに示すように、前記エアコンECU71は、エアコンスイッチ73がオフ状態では、第2制御弁CV2のオフ状態を駆動回路72に指令する。第2制御弁CV2のオフ状態では、圧縮機の吐出容量は最小化されている。圧縮機の最小吐出容量はゼロに設定されているため、該圧縮機の最小吐出容量状態では不必要な冷媒圧縮動作(ピストン30の往復動)が行われず、エンジンEによる圧縮機の駆動負荷を極力低減することができる。これはエンジンEの燃費向上につながる。
【0054】
前記エアコンECU71は、オフ状態にあるエアコンスイッチ73がオン状態に切り換えられると、第2制御弁CV2のスイッチングを駆動回路72に指令する。この第2制御弁CV2のスイッチングは、予め設定された所定時間t(例えば1〜10秒)の間継続される。従って、流体圧アクチュエータ18の制御圧室69の圧力がクランク室15の圧力よりも上昇し、該流体圧アクチュエータ18が斜板22に対して付与する、傾斜角度が増大する方向への付勢力が増大される。よって、斜板22が傾角減少バネ19に抗して傾斜角度が増大する方向へ傾動されて、圧縮機が最小吐出容量状態から離脱される。
【0055】
前記エアコンECU71は、エアコンスイッチ73がオフされてから所定時間tが経過された後には、第2制御弁CV2のオン状態の継続を駆動回路72に指令する。従って、エアコンスイッチ73がオンされてから所定時間tが経過して以降は、該エアコンスイッチ73がオフされるまで、第1制御弁CV1による内部自律的な圧縮機の吐出容量制御が行われることとなる。
【0056】
上記構成の本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱を、流体圧アクチュエータ18によって行うようにしている。従って、クランク室15の圧力調節による容量制御に頼らなくとも、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることができる。よって、クランク室15の圧力調節のみに頼った容量制御では不可能であった、圧縮機の最小吐出容量をゼロに設定することも実現可能となる。
【0057】
また、前記流体圧アクチュエータ18の駆動構成言い換えれば制御圧室69の昇圧構成として、第2制御弁CV2が用いられている。従って、流体圧アクチュエータ18を動作させるための専用の昇圧構成が不要となり、流体圧アクチュエータ18を備えることでの容量制御装置の構成の複雑化を抑制することができる。
【0058】
(2)容量制御用ピストン(プランジャ61)及び容量制御用室80は、第2制御弁CV2のバルブハウジング51内に配設されている。つまり、第2制御弁CV2と、容量制御用ピストン(プランジャ61)及び容量制御用室80とが一つのユニットとなっている。従って、圧縮機の組立に際してこれらの取り扱いが容易となり、圧縮機に対する組み付け性が向上される。
【0059】
(3)第2制御弁CV2が有する電磁アクチュエータ57のプランジャ61が、容量制御用ピストンを兼ねるとともに、電磁アクチュエータ57においてプランジャ61を収容する収容室60の一部に、該プランジャ61によって容量制御用室80が区画されている。このように、第2制御弁CV2の構成を容量制御用ピストン及び容量制御用室80として利用することで、専用の容量制御用ピストン及び容量制御用室を必要とせず、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0060】
(4)流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガスが用いられている。従って、流体圧アクチュエータ18の作動流体として専用の流体を準備する必要がなく、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。また、第2制御弁CV2内で異なる流体を取り扱うことでのシール構造の複雑化も防止することができる。
【0061】
(5)エアコンECU71は、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、第2制御弁CV2を所定時間tの間スイッチングすることで、プランジャ61を繰り返し往復動させる。従って、制御圧室69を確実に昇圧させることができ、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱が確実となる。
【0062】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。
○上記実施形態において流体圧アクチュエータ18は、第2制御弁CV2のスイッチングに基づく制御圧室69の昇圧により、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる構成であった。これを変更し、流体圧アクチュエータ18を、第2制御弁CV2のスイッチングに基づく制御圧室69の減圧により、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる構成としてもよい。
【0063】
○上記実施形態においては、第2制御弁CV2の構成を容量制御用ピストン(プランジャ61)及び容量制御用室80として利用していた。これを変更し、容量制御用ピストン及び容量制御用室を専用に設けること。この場合、容量制御用ピストン及び容量制御用室は、第2制御弁CV2のバルブハウジング51内に配設するようにしてもよいし、バルブハウジング51外に配設するようにしてもよい。
【0064】
○上記実施形態においては、流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガスが用いられていた。これを変更し、流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガス以外の流体を用いるようにしてもよい。例えば、流体圧アクチュエータ18用に油圧回路を設けるとか、大気を作動流体として用いる等が挙げられる。
【0065】
○上記実施形態においては、圧縮機の最小吐出容量がゼロに設定されていた。これを変更し、圧縮機の最小吐出容量を、ゼロよりも若干大きいゼロ近傍の容量とすること。この場合においても、最小吐出容量状態にある圧縮機ではピストン30のストロークが小さく、クランク室15の圧力と圧縮室26の圧力との間に生じる差が小さくなる。従って、例えば、クランク室15の圧力調節のみによる容量制御では、最小吐出容量状態からの離脱を速やかに行い得ない。しかし、このような構成に本発明を適用し、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱を流体圧アクチュエータ18によって行うようにすることで、該離脱を速やかに行うことができる。
【0066】
○上記実施形態において第2制御弁CV2の導入口58bは、導入通路85を介してクランク室15に連通されていた。これを変更し、第2制御弁CV2の導入口58bを、導入通路85を介して吸入室31に連通すること。
【0067】
○上記実施形態において第1制御弁CV1は、第1給気通路38の開度調節によりクランク室15の圧力を調節する、所謂入れ側制御弁であった。これを変更し、第1制御弁CV1を、第1給気通路38ではなく抽気通路37の開度調節によりクランク室15の圧力を調節する、所謂抜き側制御弁としても良い。
【0068】
○上記実施形態においては、第2制御弁CV2が第2給気通路39を全開とすることで圧縮機の吐出容量が最小化されるとともに、第2制御弁CV2が第2の抽気通路を全閉とすることで、第1制御弁CV1による圧縮機の吐出容量制御が行われる構成であった。
【0069】
これを変更し、第2給気通路39を削除するとともに、クランク室15と吸入室31とを接続する第2の抽気通路を設け、該第2の抽気通路上に第2制御弁CV2を配設すること。この場合、第2制御弁CV2が第2の抽気通路を全閉状態とすることで圧縮機の吐出容量が最小化されるとともに、第2制御弁CV2が第2の抽気通路を全開状態とすることで、第1制御弁CV1による圧縮機の吐出容量制御が行われることとなる。
【0070】
○上記実施形態において第1制御弁CV1は、吸入室31の圧力(吸入圧)を所定の目標値(設定吸入圧という)に維持すべく動作して、圧縮機の吐出容量を変更するようになっている。しかし、第1制御弁CV1は、単一の設定吸入圧しか持っていない内部制御弁であるため、細やかな空調制御要求には対応できない。従って、上記実施形態において第2制御弁CV2を削除するとともに、第1制御弁CV1を、外部からの電気制御によって設定吸入圧を変更可能な設定吸入圧可変型制御弁に変更すること。
【0071】
前記設定吸入圧可変型制御弁は、例えば、内部制御弁(第1制御弁CV1)に対して電気的に付勢力調節可能な電磁アクチュエータを付加し、内部制御弁の設定吸入圧を決めている感圧部材(例えばダイヤフラム)に作用する機械的バネ力を外部制御によって増減変更することにより、設定吸入圧の変更を実現するものである。本態様の場合、設定吸入圧可変型制御弁を、容量制御用ピストンが作動連結される電磁弁として把握することができる。
【0072】
○上記実施形態において第1制御弁CV1を削除すること。この場合、圧縮機の吐出容量は、第2制御弁CV2のオン状態による最大吐出容量と、該第2制御弁CV2のオフ状態による最小吐出容量とに切り換えられる。本態様においても上記実施形態と同様に、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱は、第2制御弁CV2のスイッチングにより行われる。
【0073】
○上記実施形態において第1制御弁CV1を削除するとともに、第2制御弁CV2をPWM制御することで、該第2制御弁CV2をデューティー比に応じた任意の開度に変更可能とすること。この場合、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱は、例えば第2制御弁CV2を駆動するデューティー比を50%に固定するとともに、駆動周波数を、通常の容量制御時(最小吐出容量状態からの離脱以外の容量制御時)よりも低めに変更することで、プランジャ61を実質的に(冷媒ガスの圧縮可能に)往復動させるようにしてもよい。
【0074】
○上記実施形態においては、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させるための専用の流体圧アクチュエータ18が備えられていた。これを変更し、上記実施形態から流体圧アクチュエータ18を削除するとともに、第2制御弁CV2の導出室82を、導出通路84を介して圧縮室26に接続すること。この場合、最小吐出容量状態にある圧縮機の圧縮室26に対して、導出室82から高圧冷媒ガスが供給されることで、斜板22にはピストン30を介して傾斜角度が増大する方向の付勢力が付与されることとなる。
【0075】
つまり、本態様においては、前記圧縮室26及びピストン30等が流体圧アクチュエータを兼ねており、特に圧縮室26をこの流体圧アクチュエータの制御圧室として把握することができる。専用の流体圧アクチュエータを備えなくともよいことは、容量制御装置の構成の簡素化につながる。
【0076】
○本発明を、ワッブル式の容量可変型圧縮機に用いられる容量制御装置において具体化すること。
○本発明を、冷凍サイクル以外に用いられる容量可変型圧縮機の容量制御装置において具体化すること。
【0077】
上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記流体圧アクチュエータ制御手段は、前記容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、前記電磁弁を所定時間の間スイッチングすることで、前記容量制御用ピストンを繰り返し往復動させて前記制御圧室の圧力を変更する請求項1〜6のいずれか一項に記載の容量制御装置。
【0078】
(2)前記電磁弁は、前記クランク室と前記容量可変型圧縮機の吐出圧力領域とを接続する給気通路(上記実施形態においては第2給気通路39に具体化されている)上、又は前記クランク室と前記容量可変型圧縮機の吸入圧力領域とを接続する抽気通路上に配設されている請求項1〜6のいずれか一項又は技術的思想(1)に記載の容量制御装置。
【0079】
(3)前記圧縮用ピストンはシリンダブロックに形成されたシリンダボアに収容されて圧縮室を区画し、前記圧縮用ピストン及び前記圧縮室が流体圧アクチュエータを兼ねており、前記圧縮室が前記流体圧アクチュエータの制御圧室をなしている請求項1〜6のいずれか一項又は技術的思想(1)或いは(2)に記載の容量制御装置。
【0080】
【発明の効果】
上記構成の本発明の容量制御装置によれば、構成の複雑化を抑制しつつ、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の容量制御装置を備えた容量可変型斜板式圧縮機の縦断面図。
【図2】容量制御装置を説明する要部拡大断面図。
【図3】エアコンECUによる第2制御弁の制御を説明するタイムチャート。
【符号の説明】
15…クランク室、16…駆動軸、18…流体圧アクチュエータ、22…カムプレートとしての斜板、30…圧縮用ピストンとしてのピストン、51…バルブハウジング、53a…電磁弁の弁体としての弁体部、57…電磁アクチュエータ、60…収容室、61…容量制御用ピストンを兼ねる第2制御弁のプランジャ(可動鉄心)、69…流体圧アクチュエータの制御圧室、71…流体圧アクチュエータ制御手段としてのエアコンECU、80…容量制御用室、CV2…電磁弁としての第2制御弁、E…エンジン、PT…動力伝達機構。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両の冷凍サイクルに用いられる容量可変型圧縮機に関し、特に該容量可変型圧縮機の吐出容量を制御するための容量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、その外部駆動源である車両のエンジンとの間の動力伝達経路上に、電磁クラッチ等のクラッチ機構を備えている。そして、冷房不要時等においては、電磁クラッチのオフによって動力伝達を遮断することで、圧縮機の駆動が停止されるようになっている。しかし、電磁クラッチのオンオフ動作にはショックを伴い、このオンオフショックは車両のドライバビリティを悪化させる。
【0003】
従って、近年においては、エンジンとの間の動力伝達経路上にクラッチ機構を備えない、クラッチレスの圧縮機が提案されている(例えば特許文献1参照。)。このクラッチレスの圧縮機には容量可変型が用いられ、冷房不要時等においては該圧縮機の吐出容量を最小化することで、実質的な冷房停止を行うようになっている。
【0004】
例えば容量可変型斜板式の圧縮機に用いられる容量制御装置としては、斜板収容室たるクランク室の圧力を変更することで、該クランク室の圧力とシリンダボア(圧縮室)の圧力とのピストンを介した差を変更して斜板の傾斜角度を変更するものが一般的に採用されている。クランク室の圧力は、電磁弁の弁開度調節により、吐出圧力領域からクランク室への高圧な冷媒ガスの導入量と、該クランク室から吸入圧力領域への冷媒ガスの導出量とのバランスが制御されて決定される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−60589号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記容量制御装置においては、斜板の傾斜角度がゼロとなってピストンがストロークしなくなると、言い換えれば冷媒ガスの圧縮が行われなくなると、クランク室の圧力と圧縮室の圧力との間に差を付けることができなくなり、斜板の傾斜角度をゼロから離脱(増大)させることが不可能となる。従って、クランク室の圧力調節のみに頼った容量制御では、最小吐出容量をゼロに設定することができず、冷房不要時等に吐出容量を最小化したとしても、不必要な冷媒圧縮動作(ピストンの往復動)によって、エンジンの燃費が悪化する問題を生じていた。
【0007】
このような問題を解決するために、最小傾斜角度(傾斜角度ゼロ)状態にある斜板に対して、傾斜角度が増大する方向の付勢力を付与するアクチュエータを備えることが考えられる。しかし、該アクチュエータを動作させるための専用の駆動構成(例えば流体ポンプや電磁構成)が必要となり、容量制御装置の構成が複雑化する問題があった。
【0008】
本発明の目的は、構成の複雑化を抑制しつつ、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることが可能な容量制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明の容量制御装置は、容量制御用ピストンと、容量制御用室と、流体圧アクチュエータと、流体圧アクチュエータ制御手段とを備えている。容量制御用ピストンは、クランク室の圧力調節を行う電磁弁に作動連結されている。容量制御用室は、容量制御用ピストンの往復動により体積変化することで作動流体の吸入及び吐出を行う。流体圧アクチュエータは、その制御圧室が容量制御用室に接続されており、該制御圧室の圧力の変更(昇圧又は減圧)により、傾斜角度が増大する方向にカムプレートを傾動させることが可能である。
【0010】
そして、流体圧アクチュエータ制御手段は、容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、電磁弁の電磁力を変更することで容量制御用ピストンを往復動させて流体圧アクチュエータの制御圧室の圧力を変更する。
【0011】
このように本発明においては、容量可変型圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱を、流体圧アクチュエータによって行うようにしている。従って、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも、容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることができる。また、流体圧アクチュエータの駆動構成言い換えれば制御圧室の圧力変更構成として、電磁弁が用いられている。従って、流体圧アクチュエータを動作させるための専用の圧力変更構成が不要となり、流体圧アクチュエータを備えることでの容量制御装置の構成の複雑化を抑制することができる。
【0012】
請求項2の発明は請求項1において、前記容量制御用ピストン及び前記容量制御用室は、前記電磁弁のバルブハウジング内に配設されている。つまり、電磁弁と、容量制御用ピストン及び容量制御用室とが一つのユニットとなっている。従って、容量制御装置の組立に際して、これらの取り扱いが容易となる。
【0013】
請求項3の発明は請求項2において、前記電磁弁は、弁開度調節を行う弁体と、該弁体に作動連結された電磁アクチュエータとからなっている。前記電磁アクチュエータの可動鉄心が前記容量制御用ピストンを兼ねるとともに、前記電磁アクチュエータにおいて前記可動鉄心を移動可能に収容する収容室の一部には、前記可動鉄心によって前記容量制御用室が区画されている。
【0014】
このように、電磁弁の構成を容量制御用ピストン及び容量制御用室として利用することで、専用の容量制御用ピストン及び容量制御用室を必要とせず、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれか一項において、前記流体圧アクチュエータの前記作動流体として、前記容量可変型圧縮機が取り扱うガスが用いられている。従って、流体圧アクチュエータの作動流体として専用の流体を準備する必要がなく、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0016】
請求項5の発明は請求項1〜4のいずれか一項において、前記容量可変型圧縮機の最小吐出容量はゼロに設定されている。つまり、請求項1〜4のいずれか一項の発明によれば、例えば、クランク室の圧力調節のみに頼った容量制御では不可能であった、容量可変型圧縮機の最小吐出容量をゼロに設定することも実現可能となる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容量制御装置を適用するのに特に好適な容量可変型圧縮機の態様について言及するものである。すなわち、前記容量可変型圧縮機は車両の冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機であって、該容量可変型圧縮機は車両のエンジンを駆動源とし、該エンジンと前記容量可変型圧縮機との間の動力伝達機構は、常時伝達型のクラッチレス機構よりなっている。つまり、本発明の容量可変型圧縮機は、クラッチレスタイプよりなっている。クラッチレスタイプの容量可変型圧縮機は、冷凍サイクルの停止時には、実質的に外部回路に冷媒を流さないカムプレートの最小傾斜角度を維持した状態で駆動軸を回転させ続ける。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車両の冷凍サイクル(空調装置)に用いられる容量可変型斜板式圧縮機の容量制御装置に具体化した一実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)は、シリンダブロック11と、その前端に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁形成体13を介して接合固定されたリヤハウジング14とを備えている。なお、図1において左方を圧縮機の前方とし、右方を後方とする。
【0020】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域にはクランク室15が区画されている。クランク室15内には駆動軸16が回転可能に支持されている。クランク室15において駆動軸16上には、ラグプレート21が一体回転可能に固定されている。
【0021】
前記駆動軸16の前端部は、動力伝達機構PTを介して外部駆動源としての車両のエンジンEに作動連結されている。動力伝達機構PTは、外部からの電気制御によって動力の伝達/遮断を選択可能なクラッチ機構(例えば電磁クラッチ)であってもよく、又は、そのようなクラッチ機構を持たない常時伝達型のクラッチレス機構(例えばベルト/プーリの組合せ)であってもよい。
【0022】
前記クランク室15内にはカムプレートとしての斜板22が収容されている。斜板22は、駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構23は、ラグプレート21と斜板22との間に介在されている。従って、斜板22は、ヒンジ機構23を介したラグプレート21との間でのヒンジ連結、及び駆動軸16の支持により、ラグプレート21及び駆動軸16と同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸線L方向へのスライド移動を伴いながら駆動軸16に対し傾動可能となっている。駆動軸16においてラグプレート21と斜板22との間には、斜板22の中心部をシリンダブロック11側に付勢する傾角減少バネ19が介在されている。
【0023】
前記シリンダブロック11には、複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが、駆動軸16を取り囲むようにして貫設形成されている。圧縮用ピストンたる片頭型のピストン30は、各シリンダボア11aに往復動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁形成体13及びピストン30によって閉塞されており、このシリンダボア11a内にはピストン30の往復動に応じて体積変化する圧縮室26が区画されている。各ピストン30は、シュー29を介して斜板22の外周部に係留されている。従って、駆動軸16の回転にともなう斜板22の回転運動が、シュー29を介してピストン30の往復直線運動に変換される。
【0024】
前記弁形成体13とリヤハウジング14との間には、吸入室31と吐出室32とが区画されている。弁形成体13には各圧縮室26に対応して、吸入ポート33及び該吸入ポート33を開閉する吸入弁34、並びに、吐出ポート35及び該吐出ポート35を開閉する吐出弁36が形成されている。吸入ポート33を介して吸入室31と各圧縮室26とが連通され、吐出ポート35を介して各圧縮室26と吐出室32とが連通される。
【0025】
そして、前記吸入室31の冷媒ガスは、各ピストン30の上死点位置から下死点側への往動により吸入ポート33及び吸入弁34を介して圧縮室26に吸入される。圧縮室26に吸入された冷媒ガスは、ピストン30の下死点位置から上死点側への復動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート35及び吐出弁36を介して吐出室32に吐出される。
【0026】
前記斜板22の傾斜角度(駆動軸16の軸線Lに直交する平面との間でなす角度)は、この斜板22の回転時の遠心力に起因する回転運動のモーメント、ピストン30の往復慣性力によるモーメント、ガス圧によるモーメント等の各種モーメントの相互バランスに基づいて決定される。ガス圧によるモーメントとは、圧縮室26の圧力と、ピストン30の背圧にあたるクランク室15の圧力との相互関係に基づいて発生するモーメントであり、クランク室15の圧力に応じて傾斜角度の減少方向にも傾斜角度の増大方向にも作用する。本実施形態では、クランク室15の圧力を調節し前記ガス圧によるモーメントを適宜変更することにより、斜板22の傾斜角度を変更可能としている。
【0027】
次に、容量制御装置について説明する。
図1に示すように、前記斜板22の傾斜角度制御に関与するクランク室15の圧力を調節するための容量制御装置は、圧縮機ハウジング内に設けられた抽気通路37、第1給気通路38、第2給気通路39、第1制御弁CV1及び第2制御弁CV2を備えている。図2に示すように、容量制御装置は、制御コンピュータたるエアコンECU71、第2制御弁CV2の駆動回路72、及び空調装置のオンオフスイッチたるエアコンスイッチ73を備えている。
【0028】
図1に示すように、前記抽気通路37は、吸入圧力領域である吸入室31とクランク室15とを接続する。第1給気通路38及び第2給気通路39は、吐出圧力領域である吐出室32とクランク室15とをそれぞれ接続する。第1給気通路38の途中には第1制御弁CV1が設けられている。
【0029】
前記第1制御弁CV1は、弁体41と、該弁体41に作動連結されたダイヤフラム42とを備えている。第1制御弁CV1は、感圧通路43を介してダイヤフラム42に作用する吸入室31内の圧力に応じて、弁体41が第1給気通路38の開度を調節する。第2給気通路39の途中には、電磁弁たる第2制御弁CV2が設けられている。第2制御弁CV2は、第2給気通路39を全開するオフ状態と第2給気通路39を全閉するオン状態とに、エアコンECU71からの指令に基づき駆動回路72によって切り換えられる。
【0030】
そして、前記第2制御弁CV2のオン状態(第2給気通路39の全閉状態)にて、第1制御弁CV1の開度が内部自律的に調節されることで、第1給気通路38を介したクランク室15への高圧な吐出ガスの導入量と、抽気通路37を介したクランク室15からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室15の圧力が決定される。クランク室15の圧力の変更に応じて、ピストン30を介してのクランク室15の圧力と圧縮室26の圧力との差が変更され、斜板22の傾斜角度が変更される結果、ピストン30のストロークすなわち圧縮機の吐出容量が調節される。
【0031】
例えば、前記吸入室31の圧力が高くなると、第1制御弁CV1の開度が小さくされてクランク室15の圧力が低くなる。従って、クランク室15の圧力と圧縮室26の圧力とのピストン30を介した差が小さくなり、斜板22の傾斜角度が増大して圧縮機の吐出容量は増大される。図1においては、斜板22のそれ以上の傾斜角度の増大がラグプレート21によって当接規制された、最大傾斜角度状態を示している。
【0032】
逆に、前記吸入室31の圧力が低くなると、第1制御弁CV1の開度が大きくされてクランク室15の圧力が高くなる。従って、クランク室15の圧力と圧縮室26の圧力とのピストン30を介した差が大きくなり、斜板22の傾斜角度が減少して圧縮機の吐出容量は減少される。図2においては、斜板22の最小傾斜角度状態を示している。
【0033】
なお、前記第2制御弁CV2のオン状態では、第1制御弁CV1が全開状態となったとしても圧縮機の吐出容量が最小となることがないように、抽気通路37の通路径及び第1給気通路38の通路径等が設定されている。また、図2に示すように、第2制御弁CV2がオフ状態とされて第2給気通路39が全開となると、吸入室31の圧力の高低に関係なく言い換えれば第1制御弁CV1の開度に関係なく、斜板22の傾斜角度が最小とされて圧縮機の吐出容量は最小となる。
【0034】
次に、第2制御弁CV2について詳述する。
図2に示すように、前記第2制御弁CV2のバルブハウジング51内には、図面の上端側に弁室52が区画されている。弁室52内には、作動ロッド53が軸方向(図面では垂直方向)に移動可能に配設されている。弁室52は、バルブハウジング51に設けられた第1ポート54、及び第2給気通路39の上流部を介して吐出室32と連通されている。弁室52は、バルブハウジング51に設けられた第2ポート55、及び第2給気通路39の下流部を介してクランク室15と連通されている。弁室52、第1ポート54及び第2ポート55は、第2給気通路39の一部を構成する。
【0035】
前記弁室52内には、作動ロッド53の上端部たる弁体部53aが配置されている。弁室52と第1ポート54との境界に位置する段差は弁座56をなしており、第1ポート54は一種の弁孔をなしている。そして、作動ロッド53が図2の位置(最下動位置)から弁体部53aが弁座56に着座する最上動位置(図1の位置)へ上動すると、第1ポート54が遮断される。つまり作動ロッド53の弁体部53aは、第2給気通路39を開閉可能な弁体として機能する。
【0036】
前記バルブハウジング51の下方側には、電磁アクチュエータ57が備えられている。電磁アクチュエータ57は、バルブハウジング51内の中心部に有底円筒状の収容筒58を備えている。収容筒58において上方側の開口には、センタポスト(固定鉄心)59が嵌入固定されている。このセンタポスト59の嵌入により、収容筒58内の最下部には収容室60が区画されている。
【0037】
前記収容室60内には、概略有底円筒状をなすプランジャ(可動鉄心)61が、軸方向に移動可能に収容されている。センタポスト59の中心には軸方向に延びるガイド孔59aが貫通形成され、該ガイド孔59a内には、作動ロッド53の下端側が軸方向に移動可能に配置されている。作動ロッド53の下端は、収容室60でプランジャ61に嵌合固定されている。プランジャ61と作動ロッド53とは常時一体となって上下動する。収容室60内においてセンタポスト59とプランジャ61との間には、プランジャ付勢バネ62が介在されている。プランジャ付勢バネ62は、プランジャ61をセンタポスト59から離間する方向に向けて付勢する。
【0038】
前記収容筒58の外周側には、センタポスト59及びプランジャ61を跨ぐ範囲にコイル63が巻回配置されている。このコイル63には、エアコンECU71の指令に基づき駆動回路72から電流が供給される。コイル63は、駆動回路72から電流が供給されることで、センタポスト59とプランジャ61との間に電磁力を発生させる。そして、その電磁力によってプランジャ61がセンタポスト59に向かって吸引されて作動ロッド53が上動し、弁体部53aが弁座56に着座して第2給気通路39が全閉状態とされる(第2制御弁CV2のオン状態(図1の状態))。
【0039】
逆に、前記駆動回路72からコイル63への電流の供給が停止されることで、センタポスト59とプランジャ61との間の電磁力が消滅する。従って、プランジャ61がプランジャ付勢バネ62の付勢力によってセンタポスト59から離間されて作動ロッド53が下動し、弁体部53aが弁座56から離間して第2給気通路39が全開状態とされる(第2制御弁CV2のオフ状態(図2の状態))。
【0040】
次に、容量制御装置において、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させるための構成について説明する。
図2に示すように、前記シリンダブロック11の中心部には、駆動軸16の軸線L方向に収容孔65が貫設されている。収容孔65には、弁形成体13側が底となる有底筒状をなす可動体66が、スライド移動可能に収容されている。収容孔65内の後方側には、弁形成体13と可動体66とで制御圧室69が区画されている。制御圧室69内において収容孔65の端面と可動体66との間には、可動体付勢バネ67が介在されている。可動体付勢バネ67は、可動体66を斜板22側へ付勢する。なお、可動体付勢バネ67としては、傾角減少バネ19よりも付勢力が小さいものが用いられている。
【0041】
前記可動体66の内部には、駆動軸16の後端部が挿入されている。ラジアルベアリング68は、駆動軸16の後端部と可動体66の内周面との間に介在されている。ラジアルベアリング68は、可動体66とともに駆動軸16に対して軸線L方向へスライド移動可能である。制御圧室69内において弁形成体13の前面には、位置決め面13aが形成されている。当接面66aは可動体66の先端面に形成され、可動体66の移動により位置決め面13aに対して接離される。
【0042】
前記斜板22と可動体66との間にはスラストベアリング70が介在されている。スラストベアリング70は駆動軸16上にスライド移動可能に支持されている。スラストベアリング70は、可動体付勢バネ67に付勢されて、常には斜板22と可動体66との間で挟持されている。
【0043】
そして、前記斜板22が可動体66側へ傾動するのに伴い、該斜板22の傾動がスラストベアリング70を介して可動体66に伝達される。従って、可動体66が可動体付勢バネ67の付勢力に抗して弁形成体13側に移動され、該可動体66は当接面66aを以て位置決め面13aに当接される。当接面66aが位置決め面13aに当接された状態にて、斜板22のそれ以上の傾動が規制される。この傾動が規制された状態にて斜板22は最小傾斜角度となり、従って圧縮機の吐出容量は最小となる(図2の状態)。本実施形態において斜板22の最小傾斜角度言い換えれば圧縮機の最小吐出容量は、ゼロに設定されている。
【0044】
なお、前記可動体66の外面において制御圧室69と反対側の領域は、クランク室15の圧力雰囲気に曝されている。従って、可動体66には、クランク室15の圧力に基づく付勢力が、弁形成体13側に向かって言い換えれば制御圧室69の圧力に基づく力に対抗して作用されている。
【0045】
ここで、従来技術においても詳述したように、クランク室15の圧力調節のみに頼った容量制御では、斜板22を最小傾斜角度(=0°)状態から離脱させることが不可能となる。従って、本実施形態においては、斜板22を最小傾斜角度状態から離脱させる場合には、制御圧室69の圧力をクランク室15の圧力よりも高めることで、該制御圧室69の圧力に基づき可動体66に作用する、斜板22側への移動力を増大するようにしている。この移動力が増大することで、可動体66は斜板22を傾斜角度が増大する方向に押し動かすこととなる。
【0046】
つまり、本実施形態においては、前記可動体66及び制御圧室69等によって流体圧アクチュエータ18が構成されている。以下に、該流体圧アクチュエータ18の制御圧室69の昇圧を行う構成について詳述する。
【0047】
前記第2制御弁CV2において収容室60内には、収容筒58と、容量制御用ピストンを兼ねるプランジャ61とによって、該プランジャ61の下方側に容量制御用室80が区画されている。容量制御用室80は、プランジャ61の上下動により体積が変化される。第2制御弁CV2のバルブハウジング51はその下端部に、収容筒58の下部を覆うカバー81を備えている。カバー81内には導出室82が区画されている。導出室82と流体圧アクチュエータ18の制御圧室69とは、圧縮機ハウジング内に設けられた導出通路84を介して接続されている。
【0048】
前記収容筒58の下端の一部は導出室82内に露出されている。収容筒58の下端には導出口58aが形成されており、該導出口58aは容量制御用室80と導出室82とを接続する。導出室82内において収容筒58の外底面には、導出口58aを開閉可能なリード弁よりなる開閉弁86が取着されている。
【0049】
前記収容筒58の側部には導入口58bが形成されている。導入口58bとクランク室15とは、圧縮機ハウジング内に設けられた導入通路85を介して接続されている。導入口58bと容量制御用室80との間は、プランジャ61が最上動位置に位置した状態(図1に示す状態)では連通され、プランジャ61が最下動位置に位置した状態(図2に示す状態)では遮断される。
【0050】
そして、前記第2制御弁CV2の電磁アクチュエータ57のオン(通電)からオフ(非通電)、オフからオンの切換を繰り返すと(以下スイッチングと呼ぶ)、プランジャ61が最上動位置と最下動位置との間で繰り返し往復動される。プランジャ61が繰り返し往復動されることで、クランク室15から導入通路85及び導入口58bを介した容量制御用室80への冷媒ガスの吸入、及び吸入冷媒ガスの圧縮、並びに圧縮済み冷媒ガスの導出口58a及び開閉弁86を介した導出室82への吐出が行われる。
【0051】
前記容量制御用室80から導出室82に吐出された高圧冷媒ガスは、導出通路84を介して制御圧室69に供給される。制御圧室69の圧力は、導出室82からの高圧冷媒ガスの供給によってクランク室15の圧力よりも上昇する。つまり、本実施形態においては、流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガスが用いられている。
【0052】
なお、前記制御圧室69の圧力は、収容孔65の内周面と可動体66の外周面との間の若干の隙間を介してクランク室15へ若干漏らされている。従って、第2制御弁CV2(電磁アクチュエータ57)のスイッチングを停止すれば、やがては制御圧室69とクランク室15とが均圧されることとなる。
【0053】
次に、エアコンECU71による第2制御弁CV2の制御について説明する。図3のタイムチャートに示すように、前記エアコンECU71は、エアコンスイッチ73がオフ状態では、第2制御弁CV2のオフ状態を駆動回路72に指令する。第2制御弁CV2のオフ状態では、圧縮機の吐出容量は最小化されている。圧縮機の最小吐出容量はゼロに設定されているため、該圧縮機の最小吐出容量状態では不必要な冷媒圧縮動作(ピストン30の往復動)が行われず、エンジンEによる圧縮機の駆動負荷を極力低減することができる。これはエンジンEの燃費向上につながる。
【0054】
前記エアコンECU71は、オフ状態にあるエアコンスイッチ73がオン状態に切り換えられると、第2制御弁CV2のスイッチングを駆動回路72に指令する。この第2制御弁CV2のスイッチングは、予め設定された所定時間t(例えば1〜10秒)の間継続される。従って、流体圧アクチュエータ18の制御圧室69の圧力がクランク室15の圧力よりも上昇し、該流体圧アクチュエータ18が斜板22に対して付与する、傾斜角度が増大する方向への付勢力が増大される。よって、斜板22が傾角減少バネ19に抗して傾斜角度が増大する方向へ傾動されて、圧縮機が最小吐出容量状態から離脱される。
【0055】
前記エアコンECU71は、エアコンスイッチ73がオフされてから所定時間tが経過された後には、第2制御弁CV2のオン状態の継続を駆動回路72に指令する。従って、エアコンスイッチ73がオンされてから所定時間tが経過して以降は、該エアコンスイッチ73がオフされるまで、第1制御弁CV1による内部自律的な圧縮機の吐出容量制御が行われることとなる。
【0056】
上記構成の本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱を、流体圧アクチュエータ18によって行うようにしている。従って、クランク室15の圧力調節による容量制御に頼らなくとも、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることができる。よって、クランク室15の圧力調節のみに頼った容量制御では不可能であった、圧縮機の最小吐出容量をゼロに設定することも実現可能となる。
【0057】
また、前記流体圧アクチュエータ18の駆動構成言い換えれば制御圧室69の昇圧構成として、第2制御弁CV2が用いられている。従って、流体圧アクチュエータ18を動作させるための専用の昇圧構成が不要となり、流体圧アクチュエータ18を備えることでの容量制御装置の構成の複雑化を抑制することができる。
【0058】
(2)容量制御用ピストン(プランジャ61)及び容量制御用室80は、第2制御弁CV2のバルブハウジング51内に配設されている。つまり、第2制御弁CV2と、容量制御用ピストン(プランジャ61)及び容量制御用室80とが一つのユニットとなっている。従って、圧縮機の組立に際してこれらの取り扱いが容易となり、圧縮機に対する組み付け性が向上される。
【0059】
(3)第2制御弁CV2が有する電磁アクチュエータ57のプランジャ61が、容量制御用ピストンを兼ねるとともに、電磁アクチュエータ57においてプランジャ61を収容する収容室60の一部に、該プランジャ61によって容量制御用室80が区画されている。このように、第2制御弁CV2の構成を容量制御用ピストン及び容量制御用室80として利用することで、専用の容量制御用ピストン及び容量制御用室を必要とせず、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0060】
(4)流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガスが用いられている。従って、流体圧アクチュエータ18の作動流体として専用の流体を準備する必要がなく、容量制御装置の構成の簡素化を図ることができる。また、第2制御弁CV2内で異なる流体を取り扱うことでのシール構造の複雑化も防止することができる。
【0061】
(5)エアコンECU71は、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、第2制御弁CV2を所定時間tの間スイッチングすることで、プランジャ61を繰り返し往復動させる。従って、制御圧室69を確実に昇圧させることができ、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱が確実となる。
【0062】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。
○上記実施形態において流体圧アクチュエータ18は、第2制御弁CV2のスイッチングに基づく制御圧室69の昇圧により、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる構成であった。これを変更し、流体圧アクチュエータ18を、第2制御弁CV2のスイッチングに基づく制御圧室69の減圧により、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる構成としてもよい。
【0063】
○上記実施形態においては、第2制御弁CV2の構成を容量制御用ピストン(プランジャ61)及び容量制御用室80として利用していた。これを変更し、容量制御用ピストン及び容量制御用室を専用に設けること。この場合、容量制御用ピストン及び容量制御用室は、第2制御弁CV2のバルブハウジング51内に配設するようにしてもよいし、バルブハウジング51外に配設するようにしてもよい。
【0064】
○上記実施形態においては、流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガスが用いられていた。これを変更し、流体圧アクチュエータ18の作動流体として、圧縮機が取り扱う冷媒ガス以外の流体を用いるようにしてもよい。例えば、流体圧アクチュエータ18用に油圧回路を設けるとか、大気を作動流体として用いる等が挙げられる。
【0065】
○上記実施形態においては、圧縮機の最小吐出容量がゼロに設定されていた。これを変更し、圧縮機の最小吐出容量を、ゼロよりも若干大きいゼロ近傍の容量とすること。この場合においても、最小吐出容量状態にある圧縮機ではピストン30のストロークが小さく、クランク室15の圧力と圧縮室26の圧力との間に生じる差が小さくなる。従って、例えば、クランク室15の圧力調節のみによる容量制御では、最小吐出容量状態からの離脱を速やかに行い得ない。しかし、このような構成に本発明を適用し、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱を流体圧アクチュエータ18によって行うようにすることで、該離脱を速やかに行うことができる。
【0066】
○上記実施形態において第2制御弁CV2の導入口58bは、導入通路85を介してクランク室15に連通されていた。これを変更し、第2制御弁CV2の導入口58bを、導入通路85を介して吸入室31に連通すること。
【0067】
○上記実施形態において第1制御弁CV1は、第1給気通路38の開度調節によりクランク室15の圧力を調節する、所謂入れ側制御弁であった。これを変更し、第1制御弁CV1を、第1給気通路38ではなく抽気通路37の開度調節によりクランク室15の圧力を調節する、所謂抜き側制御弁としても良い。
【0068】
○上記実施形態においては、第2制御弁CV2が第2給気通路39を全開とすることで圧縮機の吐出容量が最小化されるとともに、第2制御弁CV2が第2の抽気通路を全閉とすることで、第1制御弁CV1による圧縮機の吐出容量制御が行われる構成であった。
【0069】
これを変更し、第2給気通路39を削除するとともに、クランク室15と吸入室31とを接続する第2の抽気通路を設け、該第2の抽気通路上に第2制御弁CV2を配設すること。この場合、第2制御弁CV2が第2の抽気通路を全閉状態とすることで圧縮機の吐出容量が最小化されるとともに、第2制御弁CV2が第2の抽気通路を全開状態とすることで、第1制御弁CV1による圧縮機の吐出容量制御が行われることとなる。
【0070】
○上記実施形態において第1制御弁CV1は、吸入室31の圧力(吸入圧)を所定の目標値(設定吸入圧という)に維持すべく動作して、圧縮機の吐出容量を変更するようになっている。しかし、第1制御弁CV1は、単一の設定吸入圧しか持っていない内部制御弁であるため、細やかな空調制御要求には対応できない。従って、上記実施形態において第2制御弁CV2を削除するとともに、第1制御弁CV1を、外部からの電気制御によって設定吸入圧を変更可能な設定吸入圧可変型制御弁に変更すること。
【0071】
前記設定吸入圧可変型制御弁は、例えば、内部制御弁(第1制御弁CV1)に対して電気的に付勢力調節可能な電磁アクチュエータを付加し、内部制御弁の設定吸入圧を決めている感圧部材(例えばダイヤフラム)に作用する機械的バネ力を外部制御によって増減変更することにより、設定吸入圧の変更を実現するものである。本態様の場合、設定吸入圧可変型制御弁を、容量制御用ピストンが作動連結される電磁弁として把握することができる。
【0072】
○上記実施形態において第1制御弁CV1を削除すること。この場合、圧縮機の吐出容量は、第2制御弁CV2のオン状態による最大吐出容量と、該第2制御弁CV2のオフ状態による最小吐出容量とに切り換えられる。本態様においても上記実施形態と同様に、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱は、第2制御弁CV2のスイッチングにより行われる。
【0073】
○上記実施形態において第1制御弁CV1を削除するとともに、第2制御弁CV2をPWM制御することで、該第2制御弁CV2をデューティー比に応じた任意の開度に変更可能とすること。この場合、圧縮機の最小吐出容量状態からの離脱は、例えば第2制御弁CV2を駆動するデューティー比を50%に固定するとともに、駆動周波数を、通常の容量制御時(最小吐出容量状態からの離脱以外の容量制御時)よりも低めに変更することで、プランジャ61を実質的に(冷媒ガスの圧縮可能に)往復動させるようにしてもよい。
【0074】
○上記実施形態においては、圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させるための専用の流体圧アクチュエータ18が備えられていた。これを変更し、上記実施形態から流体圧アクチュエータ18を削除するとともに、第2制御弁CV2の導出室82を、導出通路84を介して圧縮室26に接続すること。この場合、最小吐出容量状態にある圧縮機の圧縮室26に対して、導出室82から高圧冷媒ガスが供給されることで、斜板22にはピストン30を介して傾斜角度が増大する方向の付勢力が付与されることとなる。
【0075】
つまり、本態様においては、前記圧縮室26及びピストン30等が流体圧アクチュエータを兼ねており、特に圧縮室26をこの流体圧アクチュエータの制御圧室として把握することができる。専用の流体圧アクチュエータを備えなくともよいことは、容量制御装置の構成の簡素化につながる。
【0076】
○本発明を、ワッブル式の容量可変型圧縮機に用いられる容量制御装置において具体化すること。
○本発明を、冷凍サイクル以外に用いられる容量可変型圧縮機の容量制御装置において具体化すること。
【0077】
上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記流体圧アクチュエータ制御手段は、前記容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、前記電磁弁を所定時間の間スイッチングすることで、前記容量制御用ピストンを繰り返し往復動させて前記制御圧室の圧力を変更する請求項1〜6のいずれか一項に記載の容量制御装置。
【0078】
(2)前記電磁弁は、前記クランク室と前記容量可変型圧縮機の吐出圧力領域とを接続する給気通路(上記実施形態においては第2給気通路39に具体化されている)上、又は前記クランク室と前記容量可変型圧縮機の吸入圧力領域とを接続する抽気通路上に配設されている請求項1〜6のいずれか一項又は技術的思想(1)に記載の容量制御装置。
【0079】
(3)前記圧縮用ピストンはシリンダブロックに形成されたシリンダボアに収容されて圧縮室を区画し、前記圧縮用ピストン及び前記圧縮室が流体圧アクチュエータを兼ねており、前記圧縮室が前記流体圧アクチュエータの制御圧室をなしている請求項1〜6のいずれか一項又は技術的思想(1)或いは(2)に記載の容量制御装置。
【0080】
【発明の効果】
上記構成の本発明の容量制御装置によれば、構成の複雑化を抑制しつつ、クランク室の圧力調節による容量制御に頼らなくとも容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の容量制御装置を備えた容量可変型斜板式圧縮機の縦断面図。
【図2】容量制御装置を説明する要部拡大断面図。
【図3】エアコンECUによる第2制御弁の制御を説明するタイムチャート。
【符号の説明】
15…クランク室、16…駆動軸、18…流体圧アクチュエータ、22…カムプレートとしての斜板、30…圧縮用ピストンとしてのピストン、51…バルブハウジング、53a…電磁弁の弁体としての弁体部、57…電磁アクチュエータ、60…収容室、61…容量制御用ピストンを兼ねる第2制御弁のプランジャ(可動鉄心)、69…流体圧アクチュエータの制御圧室、71…流体圧アクチュエータ制御手段としてのエアコンECU、80…容量制御用室、CV2…電磁弁としての第2制御弁、E…エンジン、PT…動力伝達機構。
Claims (6)
- 駆動軸には、クランク室に収容されたカムプレートが一体回転可能でかつ傾動可能に連結され、前記カムプレートには圧縮用ピストンが連結されており、前記駆動軸の回転運動が前記カムプレートを介して前記圧縮用ピストンの往復運動に変換されてガスの圧縮が行われるとともに、前記駆動軸に対する前記カムプレートの傾斜角度を、電磁弁の弁開度調節による前記クランク室の圧力調節によって変更することで吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機において、
前記電磁弁に作動連結された容量制御用ピストンと、該容量制御用ピストンの往復動により体積変化することで作動流体の吸入及び吐出を行う容量制御用室と、該容量制御用室に制御圧室が接続され、該制御圧室の圧力の変更により、傾斜角度が増大する方向に前記カムプレートを傾動させることが可能な流体圧アクチュエータと、前記容量可変型圧縮機を最小吐出容量状態から離脱させる場合には、前記電磁弁の電磁力を変更することで前記容量制御用ピストンを往復動させて前記制御圧室の圧力を変更する流体圧アクチュエータ制御手段とからなることを特徴とする容量制御装置。 - 前記容量制御用ピストン及び前記容量制御用室は、前記電磁弁のバルブハウジング内に配設されている請求項1に記載の容量制御装置。
- 前記電磁弁は、弁開度調節を行う弁体と、該弁体に作動連結された電磁アクチュエータとからなり、該電磁アクチュエータの可動鉄心が前記容量制御用ピストンを兼ねるとともに、前記電磁アクチュエータにおいて前記可動鉄心を移動可能に収容する収容室の一部には、前記可動鉄心によって前記容量制御用室が区画されている請求項2に記載の容量制御装置。
- 前記流体圧アクチュエータの前記作動流体として、前記容量可変型圧縮機が取り扱うガスが用いられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の容量制御装置。
- 前記容量可変型圧縮機の最小吐出容量はゼロに設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の容量制御装置。
- 前記容量可変型圧縮機は車両の冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機であって、該容量可変型圧縮機は車両のエンジンを駆動源とし、該エンジンと前記容量可変型圧縮機との間の動力伝達機構は、常時伝達型のクラッチレス機構よりなっている請求項1〜5のいずれか一項に記載の容量制御装置。
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