JP2004350654A - 植物栽培装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させるとともに、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持する。
【解決手段】栽培箱1の複数の栽培室8には、内部に天然パルプを水によってゲル状にした培地10が配置され、この培地10の上に植物の芽物野菜としてのパンジーの苗11の種子を蒔くことによってパンジーの苗11を栽培するようになっている。培地10は、表面が平らな水平面になるように配置される。培地10は、前記パンジーの苗11の種蒔きから前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間、例えば1週間、前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持する。
【選択図】 図1
【解決手段】栽培箱1の複数の栽培室8には、内部に天然パルプを水によってゲル状にした培地10が配置され、この培地10の上に植物の芽物野菜としてのパンジーの苗11の種子を蒔くことによってパンジーの苗11を栽培するようになっている。培地10は、表面が平らな水平面になるように配置される。培地10は、前記パンジーの苗11の種蒔きから前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間、例えば1週間、前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作物あるいは草花の苗、植林用の苗、苺、葉物野菜、花卉類、芋類等の植物を栽培する植物栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農作物や草花の苗を大量かつ効率的に栽培する技術として、培養土を収容可能な苗床部を複数設けた収容容器を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような収容容器の複数の苗床部は、植え替えの一単位毎に設けており、苗の植え替え際には、前記苗及び培養土を苗床部からそのまま取り出して畑、花壇等に移植していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−125671号公報(第3−4頁、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の栽培容器の複数の苗床部に培養土を収容する植物栽培方法では、植え替えが容易である等の種々の有効な機能を有するが、培養土を収容した栽培容器が重く、移動させる場合の作業性が低かった。また、培養土は不純物や不要物を多く含んでおり、植物の育成に問題が生じたり、一つの苗を栽培するためのに必要となる量が多く、結果として一つの栽培容器で栽培できる苗の数が少なくなっていた。さらに、培養土は水分の流出や蒸発が多く、植物の栽培中に随時給水しなければならず、水の供給が多く管理が複雑で栽培コストを増大させていた。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させ、植物の一本あたりの栽培に必要な植物栽培用培地の量を減らすことで1つの栽培容器で栽培できる植物の数を増やすとともに、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができる植物栽培装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の植物栽培装置は、少なくとも繊維を水分によってゲル状に形成し、植え込まれた植物を栽培育成するとともに、前記ゲル状の繊維は、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少する植物栽培用培地と、上側面に開口する複数の凹部を設け、これら複数の凹部の内部に前記植物栽培用培地を配置する栽培容器と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の植物栽培装置は、請求項1に記載の植物栽培装置であって、前記栽培容器は、底面部と側壁部を形成することで、上側が開口した箱体と、この箱体に収納され、該箱体の内部で区画壁により区画を形成する間仕切りと、を具備し、前記複数の凹部は、前記箱体の底面部及び側壁部と前記間仕切りの区画壁とにより囲まれた部分、或いは、前記箱体の底面部と前記間仕切りの区画壁により囲まれた部分であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の植物栽培装置は、請求項1または2に記載の植物栽培装置であって、前記繊維はパルプであり、前記植物栽培用培地は、パルプを水または養液などによってゲル状に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の植物栽培装置は、請求項3に記載の植物栽培装置であって、前記パルプは、天然パルプ、合成パルプ、再生紙のいずれか一つ、または、これらの混合物であることを特徴する。
【0011】
請求項5に記載の植物栽培装置は、請求項1または2に記載の植物栽培装置であって、前記繊維は、天然パルプ、合成パルプ、再生紙のいずれか一つ、または、これらの混合物であり、前記水分は養液であることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1ないし5に記載の植物栽培装置では、植物栽培用培地に少なくとも繊維を水分によってゲル状に形成したものを用いたことで、植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させ、植物の一本あたりの栽培に必要な植物栽培用培地の量を減らすことで1つの栽培容器で栽培できる植物の数を増やすとともに、少なくとも前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間、前記植物栽培用培地が前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3は本発明に係る第1の実施の形態を示し、図1はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図、図2は栽培箱のみの平面図、図3はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す断面図である。
【0014】
図1ないし図3に示すように、栽培箱1は、底壁2と周側壁3,4,5,6と区画壁7とにより前記複数の凹部としての栽培室8の内面を形成した例えば発砲スチロール製の箱体である。
【0015】
前記栽培箱1は、例えば矩形をなす底壁2から全体の縁となる周側壁3,4,5,6を一体に周設してなり、その内側には区画をなす区画壁7が設けられている。栽培箱1は、底壁2と周側壁3,4,5,6と区画壁7に囲まれた部分が栽培室8になっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、栽培室8の内側の底壁2には、水抜き孔9が形成されている。
図1ないし図3に示すように、栽培室8には、内部全体に天然パルプを水によってゲル状にした植物栽培用培地10(以下、培地10と省略する)が配置され、この培地10の上に植物としてのパンジーの苗11の種子12を蒔く(植える)ことによってパンジーの苗11を栽培する。栽培中のパンジーの苗11は、種子12から根13及び芽14が伸びる。
【0017】
培地10は、天然パルプを水とともにミキサー内で撹拌して混合し、ゲル状にしたゲル材を栽培室8に充填し、かつ表面が平らな水平面になるように配置される。培地10は、前記パンジーの苗11の種蒔きから前記パンジーの苗11の栽培が終了して植え替えるまでの間、例えば1週間、前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持する。また、天然パルプとしては、木材から生成したものを用いている。
【0018】
さらに好ましくは、培地10として、前記パンジーの苗11の種蒔きから栽培終了後前記パンジーの苗11が商品として販売され消費されるまでの間、即ち植え替えられるまでの間、水分を含有し、かつ維持できればよい。
【0019】
本実施の形態では、栽培容器としての栽培箱1と培地10が、パンジーの苗11を栽培する植物栽培装置となっている。
【0020】
栽培箱1は、上側面に開口する複数の凹部を設け、これら複数の凹部の内部に前記植物栽培用培地を配置する栽培容器となっている。
【0021】
次に、植物の栽培方法を説明する。
まず、殺菌を行った栽培箱1を用意する。
これと平行して、天然パルプを水とともにミキサー内で撹拌し、ゲル状にすることでゲル材を用意する。天然パルプは非常に細かい繊維なので、ゲル状の天然パルプの中には、本実施の形態で必要な水分量を必要な期間維持できるようになっている。そして、このゲル材をパイプなどに吸引し、栽培箱1の各栽培室8の内部全体に、一定量のゲル材を充填して培地10を配置する。この操作は、全て自動で行う。
【0022】
さらに平行して、パンジーの種子12を洗浄する。この洗浄の処理においては、種子12に付着している不要なタンパク質やアミノ酸あるいはゴミなどを取り除くとともに、該種子12に付着している可能性のある雑菌並びに病原菌を取り除くようにする。
【0023】
次に、洗浄が済んだ種子12を水や栽培液に浸けることにより膨潤する。
上述で膨潤処理を行ったために、その後、種子12が発根する。このように種子12が発根してから、栽培箱1の各栽培室8に配置された培地10の上にパンジーの苗11の種子12を直蒔する。
【0024】
これにより、ゲル材による培地10の中にパンジーの苗11の根13が延びるとともに、パンジーの苗11の芽14が成長する。この状態でパンジーの苗11に例えば放電灯を光を照射し、パンジーの苗11に光合成を行わせ芽14の葉に光合成を行わせる。
【0025】
この状態を数日間つづけ、パンジーの苗11の芽14が適当な高さまで成長すると、パンジーの苗11を根13に保持された培地10ごと栽培室8から取り出して、出荷用の包装容器に収納して出荷するか、または、別の鉢に植え替えを行う。
【0026】
ここで、天然パルプの主成分はセルロースであり、その基本構造はグルコース重合体から成っている。一般に植物固有の非病原性細菌は、動物由来の細菌と異なり、澱粉やセルロースを分解する酵素を生成する。培地10では、この酵素によってセルロースをグルコースまで分解する。このグルコースは、パンジーの苗11の養分となるので、培地10に別の養分を含んだ養液を加える必要がないか、または該養液を減らすことができ、パンジーの苗11を効率よく育成でき、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【0027】
このような第1の実施の形態では、天然パルプと水によるゲル材の培地10は、培養土に比べて、比重が小さく、不純物や不要物を含んでいない。これにより、第1の実施の形態では、パンジーの苗11の育成不良を少なくし、パンジーの苗11の一本あたりの栽培に必要な培地10の量を減らすことができるので、1つの栽培箱1で栽培できるパンジーの苗11の数を増やすとともに、植物栽培装置を軽量化し、植物栽培装置を移動させる場合の作業性を向上できる。さらに、培地10が、前記パンジーの苗11の栽培開始から前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記パンジーの苗11の栽培開始から前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができるので、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【0028】
また、本実施の形態では、培地10に天然パルプと水をゲル状にして配置したものを用いたことで、少なくとも前記パンジーの苗11の種蒔きから前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持でき、栽培期間中、または栽培終了後消費されるまでの間に、水または養液による給水を行わないで、生育させ品質を保持することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態では、出荷後も、培地10は、適量の水分を含有し、かつ維持できるため、品質の保持期間を延長できる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、培地10に用いた天然パルプは水によりグルコースに分解してパンジーの苗11の養分となるので、別の養液を加える必要がなく、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できるという効果もある。尚、培地10に養分を添加する場合にも、セルロースから分解するグルコースがあるので、添加する養分は少なくてすむ。
【0031】
さらに、本実施の形態では、培地10はパンジーの苗11が消費された後に廃棄物となるが、培地10に用いた天然パルプは容易に自然分解するとともに燃焼により水と二酸化炭素に分解することができるので、環境に優しいという効果が得られる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、栽培室8の底壁2に水抜き孔9を形成したことにより、培地10の余分な水分を排水できる。
【0033】
さらに、本実施の形態では、ゲル材の培地10は土や固体の培地よりも取り扱いが容易なので、栽培にかかるコストを従来に比べてさらに低減できるという効果もある。
【0034】
図1乃至図3に示した実施の形態では、培地10は、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持するように構成したが、変形例として、培地10は、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少するように構成してもよい。このような構成は、培地10における天然パルプの繊維の大きさや水分量を調整することで実現できる。
【0035】
このような変形例では、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間に給水を行うことになるが、この場合に給水量は従来に比べて少なくてよいので、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【0036】
図4及び図5は本発明に係る第2の実施の形態を示し、図4はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図、図5はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す破断斜視図である。
【0037】
図4及び図5を用いた第2の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0038】
図4及び図5に示すように、栽培箱21は、上面に複数のV字溝による栽培室28を格子状に並べて形成している。第2の実施の形態では、栽培箱21のV字溝による栽培室28が栽培容器の凹部となっている。
【0039】
栽培室28には、内部全体に天然パルプを水によってゲル状にした培地10が配置されている。栽培箱21は、この培地10の上に植物としてのパンジーの苗11の種子12を蒔く(植える)ことによってパンジーの苗11を栽培するようになっている。
【0040】
また、第2の実施の形態では、1つの栽培室28に複数の種子12を蒔いている。
【0041】
このような第2の実施の形態では、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の手法で、パンジーの苗11の栽培が行える。
【0042】
このような第2の実施の形態によれば、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、V字溝による栽培室28としたために、使用後の洗浄が容易であるという効果もある。
【0043】
図6及び図7は本発明に係る第3の実施の形態を示し、図6はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図、図7はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す破断斜視図である。
【0044】
図6及び図7を用いた第3の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0045】
図6及び図7に示す栽培箱31は、箱体41に間仕切り51を収納し、箱体41と間仕切り51で複数の栽培室48を形成したものである。
【0046】
前記箱体41は、ポリスチレン、ポリエチレン−スチレングラフト共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂もしくはこれらの発泡体により構成されており、コストおよび軽量性の観点からポリスチレン発泡体が好適に使用される。
【0047】
前記箱体41は、例えば矩形をなす底面部42から全体の縁となる側壁部43,44,45,46を一体に周設してなる。
【0048】
前記箱体41の内側の底面部42には、複数の水抜き孔49が形成されている。
前記間仕切り51は、升目状の区画をなす区画壁52で構成されている。
前記複数の栽培室48は、前記箱体41の底面部42及び側壁部43,44,45,46と前記間仕切り51の区画壁52とにより囲まれた部分、または前記箱体41の底面部42と前記間仕切り51の区画壁52とにより囲まれた部分により形成されている。
【0049】
前記複数の栽培室48は、栽培箱31の上面に形成された複数の凹部となっている。
【0050】
栽培室48には、図1と同様の培地10が配置されている。栽培箱31は、培地10の上に植物としてのパンジーの苗11の種子12を蒔く(植える)ことによってパンジーの苗11を栽培するようになっている。
【0051】
このような第3の実施の形態では、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の手法で、パンジーの苗11の栽培が行える。
【0052】
このような第3の実施の形態によれば、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、栽培箱31を箱体41と間仕切り51により構成したため、洗浄が容易であるとともに、培地10とパンジーの苗11を栽培箱31かり取り出しやすいという効果もある。
【0053】
図8は本発明に係る第4の実施の形態を示すパンジーやビート等の苗を栽培中の栽培紙管の斜視図である。
【0054】
図8を用いた第4の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0055】
図8に示すように、栽培紙管61は、例えば再生紙による厚紙をパイプ状に形成したものである。栽培紙管61の管内は、栽培室62になっている。
【0056】
栽培室62には、内部全体に天然パルプを水によってゲル状にした培地10が配置されている。栽培紙管61は、この培地10の上に植物としてのパンジーやビート等の苗11の種子12を蒔く(植える)ことによって苗11を栽培するようになっている。
【0057】
また、第4の実施の形態では、栽培紙管61を複数並べた状態で苗11を栽培している。
【0058】
このような第4の実施の形態では、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の手法で、苗11の栽培が行える。
【0059】
このような第4の実施の形態によれば、栽培紙管61を用いてパンジーやビート等の苗11の栽培を行う場合にも、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0060】
尚、図1乃至図3に示した第1の実施の形態及びその変形例に示した図6及び図7に示した第1の実施の形態本実施の形態は、例えば水稲の苗のように、多くの水分が必要な植物の場合、水に浮かべて使用することも可能であり、この場合、水抜き孔9,49が給水孔の働きをし、水抜き孔9,49から適量な水分を培地10に供給することになる。
【0061】
また、栽培箱1,31の水抜き孔9,49は、栽培する植物の種類に応じて形成しなくてもよい。
【0062】
また、これら図1乃至図8に示した本実施の形態及び変形例における培地としては、パルプを水によってゲル状にしたものとして、天然パルプを水によってゲル状にしたものを用いたが、培地としては、合成パルプを水によってゲル状にしたもの、再生紙を水によってゲル状にしたものも適用可能である。さらに、培地としては、合成繊維を植物を育成するための養分を含んだ養液によってゲル状にしたもの、天然パルプを養液によってゲル状にしたもの、再生紙を養液によってゲル状にしたものも適用可能である。さらに、培地としては、養液に、天然パルプ、合成パルプ、再生紙の少なくとも一つを混ぜることにより生成することも可能である。このようなパルプに混ぜる養液としては、窒素化合物、リン酸等の他の養分を水に混ぜたものが適用可能である。
【0063】
図1乃至図8に示した本実施の形態及び変形例では、栽培箱及び栽培紙管の各栽培室の内部全体に培地を充填したが、培地は、栽培室の内部全体に限らず、栽培室の底から8割程度の高さまで充填する等、培地の栽培室に充填する量は各種適用可能である。
【0064】
図1乃至図8に示した本実施の形態及び変形例では、培地に種子を直蒔きしたが、培地に種子を埋め込んだり、培地を栽培室の途中まで充填し、この状態の培地の上に種子を蒔き、その上から残り培地を充填してもよい。
【0065】
また、本発明で適用できる植物としては、草花のとしてパンジーやビート等の苗や水稲の苗以外に、各種農作物あるいは草花の苗又は植林用の苗、苺、葉物野菜、花卉類、芋類などの植物全般に適用できる。また、本発明の培地に植える時点の植物としては、種の状態に限らず、苺の株等、植物の各種状態に適用できる。
【0066】
尚又、合成繊維によるゲル材の生成として、養液ではなく水を用い、後に必要とする肥料を加え、または散布してもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させ、植物の一本あたりの栽培に必要な植物栽培用培地の量を減らすことで1つの栽培容器で栽培できる植物の数を増やすとともに、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができるので、植物の育成不良が起こりにくく、植物の栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る栽培箱のみの平面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す破断斜視図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るパンジーやビート等の苗を栽培中の栽培紙管の斜視図。
【符号の説明】
1 …栽培箱
2 …底壁
3,4,5,6 …周側壁
7 …区画壁
8 …栽培室
10 …培地
11 …パンジーの苗
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作物あるいは草花の苗、植林用の苗、苺、葉物野菜、花卉類、芋類等の植物を栽培する植物栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農作物や草花の苗を大量かつ効率的に栽培する技術として、培養土を収容可能な苗床部を複数設けた収容容器を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような収容容器の複数の苗床部は、植え替えの一単位毎に設けており、苗の植え替え際には、前記苗及び培養土を苗床部からそのまま取り出して畑、花壇等に移植していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−125671号公報(第3−4頁、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の栽培容器の複数の苗床部に培養土を収容する植物栽培方法では、植え替えが容易である等の種々の有効な機能を有するが、培養土を収容した栽培容器が重く、移動させる場合の作業性が低かった。また、培養土は不純物や不要物を多く含んでおり、植物の育成に問題が生じたり、一つの苗を栽培するためのに必要となる量が多く、結果として一つの栽培容器で栽培できる苗の数が少なくなっていた。さらに、培養土は水分の流出や蒸発が多く、植物の栽培中に随時給水しなければならず、水の供給が多く管理が複雑で栽培コストを増大させていた。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させ、植物の一本あたりの栽培に必要な植物栽培用培地の量を減らすことで1つの栽培容器で栽培できる植物の数を増やすとともに、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができる植物栽培装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の植物栽培装置は、少なくとも繊維を水分によってゲル状に形成し、植え込まれた植物を栽培育成するとともに、前記ゲル状の繊維は、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少する植物栽培用培地と、上側面に開口する複数の凹部を設け、これら複数の凹部の内部に前記植物栽培用培地を配置する栽培容器と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の植物栽培装置は、請求項1に記載の植物栽培装置であって、前記栽培容器は、底面部と側壁部を形成することで、上側が開口した箱体と、この箱体に収納され、該箱体の内部で区画壁により区画を形成する間仕切りと、を具備し、前記複数の凹部は、前記箱体の底面部及び側壁部と前記間仕切りの区画壁とにより囲まれた部分、或いは、前記箱体の底面部と前記間仕切りの区画壁により囲まれた部分であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の植物栽培装置は、請求項1または2に記載の植物栽培装置であって、前記繊維はパルプであり、前記植物栽培用培地は、パルプを水または養液などによってゲル状に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の植物栽培装置は、請求項3に記載の植物栽培装置であって、前記パルプは、天然パルプ、合成パルプ、再生紙のいずれか一つ、または、これらの混合物であることを特徴する。
【0011】
請求項5に記載の植物栽培装置は、請求項1または2に記載の植物栽培装置であって、前記繊維は、天然パルプ、合成パルプ、再生紙のいずれか一つ、または、これらの混合物であり、前記水分は養液であることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1ないし5に記載の植物栽培装置では、植物栽培用培地に少なくとも繊維を水分によってゲル状に形成したものを用いたことで、植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させ、植物の一本あたりの栽培に必要な植物栽培用培地の量を減らすことで1つの栽培容器で栽培できる植物の数を増やすとともに、少なくとも前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間、前記植物栽培用培地が前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3は本発明に係る第1の実施の形態を示し、図1はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図、図2は栽培箱のみの平面図、図3はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す断面図である。
【0014】
図1ないし図3に示すように、栽培箱1は、底壁2と周側壁3,4,5,6と区画壁7とにより前記複数の凹部としての栽培室8の内面を形成した例えば発砲スチロール製の箱体である。
【0015】
前記栽培箱1は、例えば矩形をなす底壁2から全体の縁となる周側壁3,4,5,6を一体に周設してなり、その内側には区画をなす区画壁7が設けられている。栽培箱1は、底壁2と周側壁3,4,5,6と区画壁7に囲まれた部分が栽培室8になっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、栽培室8の内側の底壁2には、水抜き孔9が形成されている。
図1ないし図3に示すように、栽培室8には、内部全体に天然パルプを水によってゲル状にした植物栽培用培地10(以下、培地10と省略する)が配置され、この培地10の上に植物としてのパンジーの苗11の種子12を蒔く(植える)ことによってパンジーの苗11を栽培する。栽培中のパンジーの苗11は、種子12から根13及び芽14が伸びる。
【0017】
培地10は、天然パルプを水とともにミキサー内で撹拌して混合し、ゲル状にしたゲル材を栽培室8に充填し、かつ表面が平らな水平面になるように配置される。培地10は、前記パンジーの苗11の種蒔きから前記パンジーの苗11の栽培が終了して植え替えるまでの間、例えば1週間、前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持する。また、天然パルプとしては、木材から生成したものを用いている。
【0018】
さらに好ましくは、培地10として、前記パンジーの苗11の種蒔きから栽培終了後前記パンジーの苗11が商品として販売され消費されるまでの間、即ち植え替えられるまでの間、水分を含有し、かつ維持できればよい。
【0019】
本実施の形態では、栽培容器としての栽培箱1と培地10が、パンジーの苗11を栽培する植物栽培装置となっている。
【0020】
栽培箱1は、上側面に開口する複数の凹部を設け、これら複数の凹部の内部に前記植物栽培用培地を配置する栽培容器となっている。
【0021】
次に、植物の栽培方法を説明する。
まず、殺菌を行った栽培箱1を用意する。
これと平行して、天然パルプを水とともにミキサー内で撹拌し、ゲル状にすることでゲル材を用意する。天然パルプは非常に細かい繊維なので、ゲル状の天然パルプの中には、本実施の形態で必要な水分量を必要な期間維持できるようになっている。そして、このゲル材をパイプなどに吸引し、栽培箱1の各栽培室8の内部全体に、一定量のゲル材を充填して培地10を配置する。この操作は、全て自動で行う。
【0022】
さらに平行して、パンジーの種子12を洗浄する。この洗浄の処理においては、種子12に付着している不要なタンパク質やアミノ酸あるいはゴミなどを取り除くとともに、該種子12に付着している可能性のある雑菌並びに病原菌を取り除くようにする。
【0023】
次に、洗浄が済んだ種子12を水や栽培液に浸けることにより膨潤する。
上述で膨潤処理を行ったために、その後、種子12が発根する。このように種子12が発根してから、栽培箱1の各栽培室8に配置された培地10の上にパンジーの苗11の種子12を直蒔する。
【0024】
これにより、ゲル材による培地10の中にパンジーの苗11の根13が延びるとともに、パンジーの苗11の芽14が成長する。この状態でパンジーの苗11に例えば放電灯を光を照射し、パンジーの苗11に光合成を行わせ芽14の葉に光合成を行わせる。
【0025】
この状態を数日間つづけ、パンジーの苗11の芽14が適当な高さまで成長すると、パンジーの苗11を根13に保持された培地10ごと栽培室8から取り出して、出荷用の包装容器に収納して出荷するか、または、別の鉢に植え替えを行う。
【0026】
ここで、天然パルプの主成分はセルロースであり、その基本構造はグルコース重合体から成っている。一般に植物固有の非病原性細菌は、動物由来の細菌と異なり、澱粉やセルロースを分解する酵素を生成する。培地10では、この酵素によってセルロースをグルコースまで分解する。このグルコースは、パンジーの苗11の養分となるので、培地10に別の養分を含んだ養液を加える必要がないか、または該養液を減らすことができ、パンジーの苗11を効率よく育成でき、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【0027】
このような第1の実施の形態では、天然パルプと水によるゲル材の培地10は、培養土に比べて、比重が小さく、不純物や不要物を含んでいない。これにより、第1の実施の形態では、パンジーの苗11の育成不良を少なくし、パンジーの苗11の一本あたりの栽培に必要な培地10の量を減らすことができるので、1つの栽培箱1で栽培できるパンジーの苗11の数を増やすとともに、植物栽培装置を軽量化し、植物栽培装置を移動させる場合の作業性を向上できる。さらに、培地10が、前記パンジーの苗11の栽培開始から前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記パンジーの苗11の栽培開始から前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができるので、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【0028】
また、本実施の形態では、培地10に天然パルプと水をゲル状にして配置したものを用いたことで、少なくとも前記パンジーの苗11の種蒔きから前記パンジーの苗11の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記パンジーの苗11が必要とする水分を含有し、かつ維持でき、栽培期間中、または栽培終了後消費されるまでの間に、水または養液による給水を行わないで、生育させ品質を保持することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態では、出荷後も、培地10は、適量の水分を含有し、かつ維持できるため、品質の保持期間を延長できる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、培地10に用いた天然パルプは水によりグルコースに分解してパンジーの苗11の養分となるので、別の養液を加える必要がなく、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できるという効果もある。尚、培地10に養分を添加する場合にも、セルロースから分解するグルコースがあるので、添加する養分は少なくてすむ。
【0031】
さらに、本実施の形態では、培地10はパンジーの苗11が消費された後に廃棄物となるが、培地10に用いた天然パルプは容易に自然分解するとともに燃焼により水と二酸化炭素に分解することができるので、環境に優しいという効果が得られる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、栽培室8の底壁2に水抜き孔9を形成したことにより、培地10の余分な水分を排水できる。
【0033】
さらに、本実施の形態では、ゲル材の培地10は土や固体の培地よりも取り扱いが容易なので、栽培にかかるコストを従来に比べてさらに低減できるという効果もある。
【0034】
図1乃至図3に示した実施の形態では、培地10は、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持するように構成したが、変形例として、培地10は、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少するように構成してもよい。このような構成は、培地10における天然パルプの繊維の大きさや水分量を調整することで実現できる。
【0035】
このような変形例では、前記植物の種蒔きから前記植物の栽培が終了するまでの間に給水を行うことになるが、この場合に給水量は従来に比べて少なくてよいので、栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【0036】
図4及び図5は本発明に係る第2の実施の形態を示し、図4はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図、図5はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す破断斜視図である。
【0037】
図4及び図5を用いた第2の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0038】
図4及び図5に示すように、栽培箱21は、上面に複数のV字溝による栽培室28を格子状に並べて形成している。第2の実施の形態では、栽培箱21のV字溝による栽培室28が栽培容器の凹部となっている。
【0039】
栽培室28には、内部全体に天然パルプを水によってゲル状にした培地10が配置されている。栽培箱21は、この培地10の上に植物としてのパンジーの苗11の種子12を蒔く(植える)ことによってパンジーの苗11を栽培するようになっている。
【0040】
また、第2の実施の形態では、1つの栽培室28に複数の種子12を蒔いている。
【0041】
このような第2の実施の形態では、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の手法で、パンジーの苗11の栽培が行える。
【0042】
このような第2の実施の形態によれば、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、V字溝による栽培室28としたために、使用後の洗浄が容易であるという効果もある。
【0043】
図6及び図7は本発明に係る第3の実施の形態を示し、図6はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図、図7はパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す破断斜視図である。
【0044】
図6及び図7を用いた第3の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0045】
図6及び図7に示す栽培箱31は、箱体41に間仕切り51を収納し、箱体41と間仕切り51で複数の栽培室48を形成したものである。
【0046】
前記箱体41は、ポリスチレン、ポリエチレン−スチレングラフト共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂もしくはこれらの発泡体により構成されており、コストおよび軽量性の観点からポリスチレン発泡体が好適に使用される。
【0047】
前記箱体41は、例えば矩形をなす底面部42から全体の縁となる側壁部43,44,45,46を一体に周設してなる。
【0048】
前記箱体41の内側の底面部42には、複数の水抜き孔49が形成されている。
前記間仕切り51は、升目状の区画をなす区画壁52で構成されている。
前記複数の栽培室48は、前記箱体41の底面部42及び側壁部43,44,45,46と前記間仕切り51の区画壁52とにより囲まれた部分、または前記箱体41の底面部42と前記間仕切り51の区画壁52とにより囲まれた部分により形成されている。
【0049】
前記複数の栽培室48は、栽培箱31の上面に形成された複数の凹部となっている。
【0050】
栽培室48には、図1と同様の培地10が配置されている。栽培箱31は、培地10の上に植物としてのパンジーの苗11の種子12を蒔く(植える)ことによってパンジーの苗11を栽培するようになっている。
【0051】
このような第3の実施の形態では、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の手法で、パンジーの苗11の栽培が行える。
【0052】
このような第3の実施の形態によれば、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、栽培箱31を箱体41と間仕切り51により構成したため、洗浄が容易であるとともに、培地10とパンジーの苗11を栽培箱31かり取り出しやすいという効果もある。
【0053】
図8は本発明に係る第4の実施の形態を示すパンジーやビート等の苗を栽培中の栽培紙管の斜視図である。
【0054】
図8を用いた第4の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同じ符号を付して説明を省略している。
【0055】
図8に示すように、栽培紙管61は、例えば再生紙による厚紙をパイプ状に形成したものである。栽培紙管61の管内は、栽培室62になっている。
【0056】
栽培室62には、内部全体に天然パルプを水によってゲル状にした培地10が配置されている。栽培紙管61は、この培地10の上に植物としてのパンジーやビート等の苗11の種子12を蒔く(植える)ことによって苗11を栽培するようになっている。
【0057】
また、第4の実施の形態では、栽培紙管61を複数並べた状態で苗11を栽培している。
【0058】
このような第4の実施の形態では、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の手法で、苗11の栽培が行える。
【0059】
このような第4の実施の形態によれば、栽培紙管61を用いてパンジーやビート等の苗11の栽培を行う場合にも、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0060】
尚、図1乃至図3に示した第1の実施の形態及びその変形例に示した図6及び図7に示した第1の実施の形態本実施の形態は、例えば水稲の苗のように、多くの水分が必要な植物の場合、水に浮かべて使用することも可能であり、この場合、水抜き孔9,49が給水孔の働きをし、水抜き孔9,49から適量な水分を培地10に供給することになる。
【0061】
また、栽培箱1,31の水抜き孔9,49は、栽培する植物の種類に応じて形成しなくてもよい。
【0062】
また、これら図1乃至図8に示した本実施の形態及び変形例における培地としては、パルプを水によってゲル状にしたものとして、天然パルプを水によってゲル状にしたものを用いたが、培地としては、合成パルプを水によってゲル状にしたもの、再生紙を水によってゲル状にしたものも適用可能である。さらに、培地としては、合成繊維を植物を育成するための養分を含んだ養液によってゲル状にしたもの、天然パルプを養液によってゲル状にしたもの、再生紙を養液によってゲル状にしたものも適用可能である。さらに、培地としては、養液に、天然パルプ、合成パルプ、再生紙の少なくとも一つを混ぜることにより生成することも可能である。このようなパルプに混ぜる養液としては、窒素化合物、リン酸等の他の養分を水に混ぜたものが適用可能である。
【0063】
図1乃至図8に示した本実施の形態及び変形例では、栽培箱及び栽培紙管の各栽培室の内部全体に培地を充填したが、培地は、栽培室の内部全体に限らず、栽培室の底から8割程度の高さまで充填する等、培地の栽培室に充填する量は各種適用可能である。
【0064】
図1乃至図8に示した本実施の形態及び変形例では、培地に種子を直蒔きしたが、培地に種子を埋め込んだり、培地を栽培室の途中まで充填し、この状態の培地の上に種子を蒔き、その上から残り培地を充填してもよい。
【0065】
また、本発明で適用できる植物としては、草花のとしてパンジーやビート等の苗や水稲の苗以外に、各種農作物あるいは草花の苗又は植林用の苗、苺、葉物野菜、花卉類、芋類などの植物全般に適用できる。また、本発明の培地に植える時点の植物としては、種の状態に限らず、苺の株等、植物の各種状態に適用できる。
【0066】
尚又、合成繊維によるゲル材の生成として、養液ではなく水を用い、後に必要とする肥料を加え、または散布してもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、植物栽培用培地を軽量化し、植物栽培用培地から不純物や不要物を無くす、或いは、減少させ、植物の一本あたりの栽培に必要な植物栽培用培地の量を減らすことで1つの栽培容器で栽培できる植物の数を増やすとともに、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少することができるので、植物の育成不良が起こりにくく、植物の栽培にかかるコストを従来に比べて低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る栽培箱のみの平面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の斜視図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るパンジーの苗を栽培中の栽培箱の要部を拡大して示す破断斜視図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るパンジーやビート等の苗を栽培中の栽培紙管の斜視図。
【符号の説明】
1 …栽培箱
2 …底壁
3,4,5,6 …周側壁
7 …区画壁
8 …栽培室
10 …培地
11 …パンジーの苗
Claims (5)
- 少なくとも繊維を水分によってゲル状に形成し、植え込まれた植物を栽培育成するとともに、前記ゲル状の繊維は、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間、又は、さらに前記栽培終了後消費されるまでの間に前記植物が必要とする水分を含有し、かつ維持し、或いは、前記植物の栽培開始から前記植物の栽培が終了するまでの間の給水量を減少する植物栽培用培地と、
上側面に開口する複数の凹部を設け、これら複数の凹部の内部に前記植物栽培用培地を配置する栽培容器と、
を具備したことを特徴とする植物栽培装置。 - 前記栽培容器は、
底面部と側壁部を形成することで、上側が開口した箱体と、
この箱体に収納され、該箱体の内部で区画壁により区画を形成する間仕切りと、
を具備し、
前記複数の凹部は、前記箱体の底面部及び側壁部と前記間仕切りの区画壁とにより囲まれた部分、或いは、前記箱体の底面部と前記間仕切りの区画壁により囲まれた部分であることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。 - 前記繊維はパルプであり、前記植物栽培用培地は、パルプを水または養液などによってゲル状に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
- 前記パルプは、天然パルプ、合成パルプ、再生紙のいずれか一つ、または、これらの混合物であることを特徴する請求項3に記載の植物栽培装置。
- 前記繊維は、天然パルプ、合成パルプ、再生紙のいずれか一つ、または、これらの混合物であり、前記水分は養液であることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102763572A (zh) * | 2011-05-03 | 2012-11-07 | 光劲能源股份有限公司 | 一体式给光植生墙 |
CN112400682A (zh) * | 2020-11-17 | 2021-02-26 | 福建省中科生物股份有限公司 | 一种应用凝胶栽培介质的栽培盘及其栽培方法 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003155568A patent/JP2004350654A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN112400682A (zh) * | 2020-11-17 | 2021-02-26 | 福建省中科生物股份有限公司 | 一种应用凝胶栽培介质的栽培盘及其栽培方法 |
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