JP2004348902A - 情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリピット位置が変動した場合でも、安定に記録クロックを生成して精度の高い記録を行う情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】記録クロック生成手段は、プリピット検出信号に基づいて、プリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期した記録クロックを生成する。これにより、プリピットの位置が時間軸上で前方に移動したような場合でも、正確にプリピットを検出することができ、プリピットに同期した記録クロックを生成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】記録クロック生成手段は、プリピット検出信号に基づいて、プリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期した記録クロックを生成する。これにより、プリピットの位置が時間軸上で前方に移動したような場合でも、正確にプリピットを検出することができ、プリピットに同期した記録クロックを生成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクに情報を記録し、また、記録した情報を再生する情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DVD−R/RWなどに代表される光ディスクに情報を記録し、記録した情報を再生する情報記録再生装置が知られている。DVD−R/RWなどの光ディスクの情報記録面上には、記録トラックであるグルーブトラックと、グルーブトラックに隣接するランドトラックが形成されている。ランドトラックは、記録又は再生のための光ビームをグルーブトラックに照射するためのガイドトラックとしての機能を有する。また、ランドトラック上には、当該光ディスク上のアドレス情報などを含むプリ情報を示すプリピットが形成されている。さらに、グルーブトラックは、当該光ディスクの定格回転速度に対応する周波数でウォブリング(Wobbling)されている。上記プリピット及びグルーブトラックのウォブリングは、光ディスクの出荷前にあらかじめ形成されている。
【0003】
DVD−R/RWなどの光ディスクの情報記録再生装置は、光ピックアップにより、情報の記録及び再生のための光ビームを出射するとともに、光ディスクからの戻り光を受光して電気信号を出力する。この電気信号に基づいてプリピットを検出し、プリピットに同期した記録クロックを生成する。そして、記録クロックに同期して情報を光ディスク上に記録する。
【0004】
より具体的には、情報記録再生装置は、光ピックアップからの出力信号をサンプルホールド回路によりサンプルホールドする。サンプルホールド回路は、記録データのスペース期間中に光ピックアップからの出力信号をサンプルし、マーク期間中にそのサンプル値をホールドすることにより、記録データのシンク(Sync)パターン中の最長スペース期間においてのみプリピット検出を行う。サンプルホールドされたレベルが所定のスライスレベルを超える部分をプリピットと判定し、その前エッジをプリピットの検出タイミングとする。そして、情報記録再生装置は、PLL(Phase Lock Loop)などによりプリピットの検出タイミングと同期した記録クロックを生成し、情報記録時の基準同期信号として使用する。
【0005】
なお、光ディスクから検出したプリピットに基づいて記録クロック信号を生成し、その記録クロック信号を利用して光ディスクに情報を記録する(「同期記録」とも呼ばれる)手法が特許文献1に記載されている。この同期記録により、プリピットは記録されたデータのシンクパターン中の最長マークまたは最長スペースのセンタに存在することになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−304733号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光ディスクは製造上のばらつきなどに起因して回転の中心のずれを有することがある。これは「偏心」と呼ばれる。プリピットの検出タイミングに基づいて記録クロックを生成するためには一般的にPLLが使用されるが、PLLのサーボには残留偏差が存在するため、外乱である偏心が大きいと、PLLにより出力される記録クロックが、本来の同期状態における周波数に対してわずかに早くなったり遅くなったりする現象が起きる。光ディスクに対する情報の記録はこの記録クロックに同期して行われるため、この現象が発生すると、同期記録の精度が低下する。
【0008】
また、前述の現象が起きている場合、サンプルホールドされた出力信号中におけるプリピットの位置が記録するデータ位置に対し移動してしまう。前述のようにプリピットの検出は記録データのシンクパターン中の最長スペース期間における光ディスクからの出力信号レベルを所定のスライスレベルと比較することにより行われる。プリピットは、本来このシンクパターン中の最長スペース期間のセンタ位置に存在しなければならない。しかし有限の帯域である電気回路を通った信号では記録パワーから再生パワーに移行するのに時間がかかるため、時間軸上でスペース期間の前方が再生パワーレベルになっていない場合がある。このため、プリピットがスペースのセンタ位置から前後に移動してしまう場合、前方のマーク期間に接近しやすくなり、出力信号レベルがマーク期間中の記録パワーレベルの影響を受けて大きく変動してしまい、正しくプリピット検出ができなくなることがある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、各種の要因により光ディスクからの検出信号中におけるプリピット位置が変動した場合でも、安定的に記録クロックを生成して精度の高い同期記録を行うことが可能な情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、プリピットが形成された光ディスクの情報記録再生装置であって、記光ディスクにレーザ光を照射し、前記光ディスクにより反射された前記レーザ光を受光して対応する電気信号を出力する光ピックアップと、前記電気信号から、前記プリピットに対応するプリピット検出信号を生成するプリピット検出手段と、前記プリピット検出信号に基づいて、前記プリピットの後方エッジに同期した記録クロックを生成する記録クロック生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、光ディスクからの戻り光により生成したプッシュプル信号に基づいてプリピット信号を生成し、プリピット信号に同期した記録クロックを生成する情報記録再生装置において、プッシュプル信号を所定のスライスレベルと比較して得られるプリピット検出信号の後方エッジをプリピットの検出タイミングとして記録クロックを生成する点に特徴を有する。
【0012】
まず、プリピット検出方法の概要を説明する。なお、以下の説明では、プリピットとして光ディスクのランドトラック上に設けられるランドプリピット(以下、「LPP」と呼ぶ。)の検出について述べる。
【0013】
図1(a)にLPP検出方法の概要を示す。図1(a)には光ディスクからの戻り光に基づいて生成されたプッシュプル信号波形130が示されている。プッシュプル信号は、光ディスクからの戻り光を光ディスクの半径方向(ラジアル方向)に2分割してそれぞれ光電変換することにより得られる2つの検出信号の差として生成される。なお、1つの記録トラック(グルーブトラック)に対してLPPはその半径方向における内側と外側のランドトラックに存在しうるが、図1(a)にはそのうちの片側のLPPに対応するプッシュプル信号波形130を示している。
【0014】
図1(a)に示すように、片側のプッシュプル信号130は、記録データのマーク期間において記録パワーレベルに対応するレベルを有し、記録データのスペース期間においては一定の再生パワーレベルを有する。本発明の情報記録再生装置では、LPPに基づいて記録クロックを生成するので、ディスク上のLPPの検出位置は、記録クロックに同期した記録データ中のシンク(Sync)パターンに含まれる最長スペース区間である14Tスペース(以下、「14TS」と記す場合がある。)と同期する。よって、図示のように、片側のプッシュプル信号波形130中の14Tスペース区間中にLPPが存在する。14Tスペース区間内に存在するLPPは、記録中の再生パワーレベル中に現れる信号であり、記録データに対応する記録パルス波形により光変調されていないので信号品質がよく、LPPの検出に適している。
【0015】
図1(a)に示す片側のプッシュプル信号130を、サンプルホールド(以下「S/H」と記すことがある。)パルス信号波形132に示すタイミングで、サンプルホールド回路によりサンプルホールドする。つまり、記録データのスペース期間においてプッシュプル信号をサンプルし、記録データのマーク期間においてサンプル値をホールドすることにより、プッシュプル信号中のマーク期間に対応する部分(即ち、記録パルス信号により光変調されて戻り光レベルが大きく変動している部分)のレベルを除去する。図1(a)にサンプルホールドされたプッシュプル信号波形131を示している。
【0016】
そして、サンプルホールドされたプッシュプル信号波形131を所定のスライスレベルVsと比較してLPPに対応する検出LPP信号134を生成し、14Tスペース区間を示す14TSゲート信号133により検出LPP信号134をゲートする。こうして、14Tスペース区間中に存在するLPPを示すLPP検出信号134が生成される。ここで、本発明では、検出LPP信号134の前方エッジ140ではなく、後方エッジ141をLPP検出タイミングとし、それに基づいて後述のPLLにより記録クロックを生成する点に特徴を有する。なお、「LPP検出タイミング」とは、記録クロックを生成する際に基準とするLPP信号のタイミングを意味する。
【0017】
図1(a)に示したのは、LPPが14Tスペース期間内の適切な位置であるセンタに存在する場合の波形であった。しかし、図1(b)に示すように、信号を通過させる電気回路の応答周波数帯域が低かった場合、前方の記録パワーレベルから再生パワーレベルに移行する時間が長くなり、前方のサンプリング可能な時間が短くなる(破線部分151を参照)、このとき、PLLサーボの残留偏差や光ディスクの偏心などの各種の原因により記録クロックが変動し、その影響でLPPが時間軸上における前後に移動する場合、前方でサンプリングできない区間にかかりやすくなる。LPPが前方へ移動してしまった場合の各信号波形を図2に示す。片側のプッシュプル信号130に示すように、LPPの位置が時間軸上の前方へ移動し、その結果、先行するマーク期間の終了部分と重なりかけている。本来、LPPはサンプルホールドされたプッシュプル信号波形131の上の波形143のように検出されるはずであるが、その前半部分はサンプルホールド回路のホールド期間に属してしまっているため、実際に得られるプッシュプル信号波形は波形144に示すようになる。その結果、検出LPP信号134はその前方が削られたような状態で検出されることになってしまう。
【0018】
しかし、本発明では、検出LPP信号の前方エッジ140ではなく、後方エッジ141をLPP検出タイミングとして使用するので、上記のようにLPPの前方エッジが先行するマーク期間と干渉する場合でも、正しくLPP検出タイミングを取得することができる。
【0019】
また、上記の説明は情報記録再生装置による標準記録速度(1倍速)での記録時についてのものであるが、例えば4倍速、8倍速などの高速記録時においては14Tスペースの期間が短くなる。これは、光ディスクからの検出信号を増幅するプリアンプの周波数特性などに起因して、プッシュプル信号波形におけるマーク期間の後端部が後方に移動することによるものである。この場合も、図1(b)と等価になり、LPPを検出すべき14Tスペース期間が実質的に短くなり、LPPの前方エッジが先行するマーク期間のレベルと干渉する可能性が高くなる。しかし、本発明では検出LPP信号の後方エッジをLPP検出タイミングとして使用するので、高速化によりLPP検出精度が低下することを防止できる。
【0020】
即ち、本発明の1つの観点では、プリピットが形成された光ディスクの情報記録再生装置は、前記光ディスクにレーザ光を照射し、前記光ディスクにより反射された前記レーザ光を受光して対応する電気信号を出力する光ピックアップと、前記電気信号から、前記プリピットに対応するプリピット検出信号を生成するプリピット検出手段と、前記プリピット検出信号に基づいて、前記プリピットの後方エッジに同期した記録クロックを生成する記録クロック生成手段と、を備える。
【0021】
上記の情報記録再生装置は、例えばDVD−R/RWなどの光ディスクに情報の記録及び再生を行う。光ピックアップは、レーザ光源などからのレーザ光を光ディスクに照射し、反射されたレーザ光をフォトディテクタなどで受光して、受光量に対応する電気信号を出力する。出力された電気信号から、プリピットに対応するプリピット検出信号を生成する。プリピットの例は、例えばDVD−Rなどのランドトラックに形成されたランドプリピット(LPP)である。また、プリピット検出信号は、例えば光ピックアップからの電気信号に基づいてプッシュプル信号を生成し、そのレベルを所定のスライスレベルと比較することにより得ることができる。
【0022】
そして、記録クロック生成手段は、プリピット検出信号に基づいて、プリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期した記録クロックを生成する。記録クロック生成手段は例えばPLLなどにより構成することができる。これにより、光ディスク上のプリピットの検出信号に同期した記録クロックを利用して記録データを光ディスクに記録することができ、正確な同期記録が可能となる。また、その記録クロックはプリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期しているので、記録クロックの変動その他の原因により、プリピットの位置が時間軸上で前方に移動したような場合でも、正確にプリピットを検出することができ、プリピットに同期した記録クロックを生成することができる。
【0023】
上記の情報記録再生装置の一態様では、前記プリピット検出手段は、前記プリピットの検出結果が所定の条件を具備するか否かを判定する判定手段と、前記所定の条件が具備された場合に、疑似プリピット信号を生成して前記プリピット検出信号として前記記録クロック生成手段に供給する疑似プリピット信号生成手段と、を備える。この態様では、プリピットの検出結果が所定の条件を具備する場合、具体的にはプリピットを正しく検出できない場合には、疑似プリピットを生成し、これに基づいて記録クロックの生成が行われる。よって、プリピットが正しく検出できない場合でも、記録クロックの生成に支障が生じることが防止される。
【0024】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記プリピット検出手段は、記録マークのスペース期間に前記電気信号をサンプルし、記録マークのマーク期間に前記サンプル値をホールドするサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路の出力信号に基づいて前記プリピット検出信号を生成する手段と、を備える。光ディスクからの反射光は、マーク期間には記録パワーを有する記録パルス信号による光変調の影響でレベルが変動しているが、スペース期間はほぼ一定の再生パワーに対応するレベルに維持されているので、スペース期間中のレベルをサンプルホールド回路により取得して、それに基づいてプリピット検出を行う。これにより、正確なプリピット検出が可能となる。
【0025】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記判定手段は、前記プリピットの前方エッジが所定長さの前記スペース期間に属し、かつ、前記プリピットの後方エッジが当該所定長さのスペース期間に属しない場合に、前記所定の条件が具備されたと判定する。本発明では、プリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期した記録クロックを生成するが、プリピットの後方エッジが検出できない場合には疑似プリピット信号を生成して記録クロック生成に支障が生じないようにする。
【0026】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記疑似プリピット信号生成手段は、前記所定長さのスペース期間の後方エッジから所定時間後に前記疑似プリピット信号を生成することができる。上記の所定条件が具備された場合には、プリピットの前方エッジが検出されており、その後方のほぼ所定の位置にプリピットの後方エッジが存在すると考えられる。よって、プリピットの前方エッジが検出されたスペース期間の後方エッジから所定時間後に疑似プリピット信号を生成する。
【0027】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記所定長さのスペース期間は記録データ中の最長スペース期間である14Tスペース期間とすることができる。14Tスペース期間などの長いスペース期間にプリピット検出を行うことにより、前後のマーク期間との干渉の可能性を減少させることができ、正確にプリピット検出を行うことができる。
【0028】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記疑似プリピット信号生成手段は、検出された前記プリピットの前方エッジから所定時間後に前記疑似プリピット信号を生成する。上記の所定条件が具備された場合には、プリピットの前方エッジが検出されており、その前方エッジから所定の位置、より具体的にはプリピットの時間幅に対応する位置にプリピットの後方エッジが存在すると考えられる。よって、検出されたプリピットの前方エッジから所定時間後に疑似プリピット信号を生成する。
【0029】
上記の情報記録再生装置の他の一態様は、前記記録クロックに基づいて、記録データを前記光ディスクに記録する記録手段を備える。記録クロックは光ディスク上に形成されているプリピットに同期して生成されているため、記録クロックに基づいて記録データを光ディスクに記録するようにすれば、光ディスクの偏心などの影響を排除することができる。よって、前述のようにプリピットの後方エッジに同期した記録クロック信号を生成することにより、正確な同期記録が可能となる。
【0030】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0031】
[第1実施例]
図3に、本発明の第1実施例にかかる情報記録再生装置の概略構成を示す。なお、本発明の情報記録再生装置は、DVD−RやDVD−RWなどの光ディスクに情報を記録し、記録した情報を再生する機能を有するが、本発明は特に情報記録時における記録クロックの生成に特徴を有するため、図3においては主として情報記録に関連する構成要素を図示することとし、情報再生に関連する構成要素の詳細については図示及び説明を簡略化する。
【0032】
図3に示すように、情報記録再生装置100は、光ピックアップ2と、プリアンプ3と、プッシュプル信号生成部4と、サーボ信号生成部5と、CPU6と、LDドライバ7と、ストラテジ変換部8と、再生系9と、LPP検出部10と、サンプルホールド回路11と、DVDエンコーダ部20と、PLL発振器30とを備える。
【0033】
光ピックアップ2は、レーザダイオード(LD:Laser Diode)などの光源と、フォトディテクタなどを備える。光ピックアップ2は、光源から出射された記録光又は再生光としてのレーザ光を光ディスク1に照射し、光ディスク1からの戻り光をフォトディテクタにより受光して、受光量に対応する電気信号を出力する。フォトディテクタは例えば光ディスク1の半径方向(ラジアル方向)及び接線方向(タンジェンシャル方向)にそれぞれ並んで配置された4つの受光素子を有する4分割フォトディテクタが使用される。例えば4つの受光素子A〜Dを備え、受光素子A及びDが光ディスク1の接線方向に隣接し、受光素子B及びCが光ディスク1の接線方向に隣接する。よって、受光素子A及びBの出力信号が記録トラックの内周側又は外周側のいずれか一方における戻り光を受光し、受光素子B及びCが他方における戻り光を受光する。ピックアップ1のフォトディテクタは、4つの各受光素子の受光量に応じた電気信号をプリアンプ3へ供給する。
【0034】
プリアンプ3は、各受光素子からの電気信号を増幅し、サンプルホールド回路11、サーボ信号生成部5及び再生系9へそれぞれ供給する。サンプルホールド回路11は、DVDエンコーダ部20から与えられるS/Hパルス信号S2に基づいてプリアンプ3の出力信号をサンプルホールドしてプッシュプル信号生成部4へ供給する。
【0035】
プッシュプル信号生成部4は、フォトディテクタの4つの受光素子のうち、タンジェンシャル方向に並んだ2つの受光素子(例えば受光素子A及びDと、受光素子B及びC)からの電気信号の和信号をそれぞれ計算し、それら2つの和信号の差信号(=(A+D)−(B+C))をプッシュプル信号S1としてLPP検出部10へ供給する。このプッシュプル信号S1は、光ディスク1上に形成されたLPPを示すLPP信号成分を含んでおり、LPP検出部10へ供給される。
【0036】
LPP検出部10は、プッシュプル信号生成部4からプッシュプル信号S1を受け取る。また、LPP検出部10は、DVDエンコーダ部20から、記録クロックCKのシンク中の14Tスペース期間を示す14Tスペースゲート信号(以下、「14TSゲート信号」と呼ぶ。)を受け取る。そして、LPP検出部10は、所定のスライスレベルVsでプッシュプル信号S1を2値化し、LPP検出タイミングを示す基準LPP検出信号S4をPLL発振器30へ送る。なお、LPP検出部10の詳細は後述する。
【0037】
PLL発振器30は、前述のようにLPP検出タイミングとして機能する基準LPP検出信号S4の後方エッジに位相同期するように動作し、記録クロック信号CKを生成する。PLL発振器30は、生成した記録クロックCKをDVDエンコーダ部20へ供給する。
【0038】
DVDエンコーダ部20は、エンコーダ、S/Hパルス生成部などを備える。DVDエンコーダ部20内のエンコーダは、外部から記録データを受け取り、その記録データに対応し、かつ、記録クロックCKに同期したNRZI信号S6を生成してストラテジ変換部8へ供給する。また、S/Hパルス生成部は、記録データのマーク期間とスペース期間を示すS/Hパルス信号S2を生成してサンプルホールド回路11へ供給する。
【0039】
ストラテジ変換部8は、DVDエンコーダ部20から受け取ったNRZI信号S6に基づき、所定のライトストラテジに従って記録パルス信号S5を生成し、LDドライバ7へ供給する。ライトストラテジとしては、例えば1つのトップパルスと、記録データ長に応じた数のマルチパルスにより構成されるマルチパルス型のライトストラテジが知られているが、本発明は各種のライトストラテジに適用可能である。LDドライバ7は、記録パルス信号S5に従って光ピックアップ2内のレーザダイオードを駆動し、記録レーザ光を出射させる。
【0040】
CPU6は、情報記録再生装置100の全体動作を制御するものであり、例えば情報の記録時には、DVDエンコーダ部20とサーボ信号生成部5とを制御して、記録データを光ディスク1上の所定位置に記録させる。
【0041】
サーボ信号生成部5は、フォトディテクタの4つの受光素子からの電気信号を受け取り、所定の演算によりフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号、スレッドサーボ信号、スピンドルサーボ信号などの各種サーボ信号を生成する。そして、それらサーボ信号に基づいて、光ピックアップ2のスライダ機構及びアクチュエータ、並びに光ディスク1を回転駆動するスピンドルの制御を行う。
【0042】
再生系9は図示しないデコーダなどを備え、フォトディテクタの4つの受光素子からの電気信号の総和を再生信号として生成し、その再生信号に対してデコーダによる必要な復号化処理などを施して記録信号を再生し、再生データとして出力する。
【0043】
光ディスクは、製造上のばらつきなどにより回転の中心がずれてしまっていることが多い。これは光ディスクの「偏心」と呼ばれる。偏心があると、光ピックアップ2がトレースしているトラックの線速度が変化してしまう。しかし、上記の構成により、光ディスク上に予め記録されているLPPを示すLPP検出信号に同期して記録クロック信号を生成し、それを利用して記録を行うことにより、偏心に起因する線速度の変化に拘わらず光ディスクの所望位置に所望のデータを記録することができる。また、記録の開始、終了位置を高精度で決定することができる。これにより、データが記録された領域に続いて追加でデータを記録する場合に、記録ができない無駄な領域を減らすことができ、高密度記録が実現できる。
【0044】
次に、各信号の波形について説明する。図4に、図3に示す各信号の波形を示す。この例は前述のマルチパルス型のライトストラテジを利用した例であり、NRZI信号S6に対応して、トップパルスと複数のマルチパルスからなる記録パルス信号S5が生成されている。記録パルス信号S5に従ってレーザダイオードが発光し、ディスク上にはマーク部MKとスペース部SPからなる記録マークが形成される。
【0045】
情報の記録中はレーザダイオードの発光は記録パルス信号S5のパルス波形により光変調されているため、図示のように光ディスクからの戻り光波形も光変調されている。よって、記録マークのマーク部MKに対応する期間においては、戻り光波形は記録パルス波形S5に対応する波形部分51を含んでいる。一方、記録マークのスペース部SPに対応する期間においては戻り光波形には記録パルス信号S5による変調成分はない。また、戻り光波形には、14Tスペース期間においてLPPに対応する波形54が含まれている。サンプルホールド回路11は、情報の記録中は、DVDエンコーダ部20から与えられるS/Hパルス信号S2に基づき、スペース部SPに対応する期間においてプリアンプ3からの出力信号サンプルし、マーク部MKに対応する期間にはそのサンプル値をホールドする。
【0046】
サンプルホールド回路11は、光ピックアップ2内に設けられたフォトディテクタの4つの受光素子のうち、記録トラックの片側(例えば検出素子A及びDに対応)のサンプルホールド出力と、反対側(例えば検出素子B及びCに対応)のサンプルホールド出力とをプッシュプル信号生成部4へ供給する。プッシュプル信号生成部4は、それら2つのサンプルホールド出力の差を演算し、プッシュプル信号S1としてLPP検出部10へ供給する。こうして、戻り光波形に含まれる成分のうち、マーク期間の光変調成分がサンプルホールド回路11により除去され、スペース期間内にLPPに対応する成分を含むプッシュプル信号S1が生成される。
【0047】
次に、LPP検出部10について詳しく説明する。図5(a)にLPP検出部10の構成を示し、図5(b)にその各部の波形を示す。図示のように、LPP検出部10は、スライス電圧生成部18と、コンパレータ12と、ゲート回路13と、インバータ回路14とを備える。
【0048】
スライス電圧生成部18は、所定のスライスレベルVsを有するスライス電圧を生成し、コンパレータ12へ入力する。コンパレータ12は、図5(b)に示すように、プッシュプル信号S1をスライスレベルVsと比較し、プッシュプル信号S1のレベルがスライスレベルVsを超えるときにHレベルとなる2値化LPP信号S11を生成する。ゲート回路13は、DVDエンコーダ部20から供給される14TSゲート信号S3により2値化LPP信号S11をゲートし、インバータ回路14へ供給する。インバータ回路14は、ゲート回路13からの出力信号の極性を反転し、LPPの後方エッジのタイミングでHレベルとなる(立ち上がる)基準LPP検出信号S4を生成し、PLL発振器30へ出力する。
【0049】
このように、本発明のLPP検出部10は、LPPの後方エッジに対応するタイミングを示す基準LPP検出信号S4を生成し、PLL発振器30はそのLPPタイミング信号S4に基づいて記録クロックCKを生成するので、LPPの位置が相対的に前方に移動したような場合でも、正確にLPPを検出することができる。
【0050】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。上述の第1実施例では、LPPの後方エッジのタイミングを示す基準LPP検出信号S4を生成し、それに同期する記録クロックCKを生成している。しかし、このようにLPPの後方エッジをLPP検出タイミングとして使用する場合、LPPが時間軸上の後方に移動すると、LPPの後方エッジが次のマーク期間に接近し又は重なってしまい、LPPが正確に検出できなくなることが起こりうる。この様子を図6に示す。LPPが時間軸上の後方に移動すると、図6に示すように、次のマーク期間における戻り光波形と接近する。そのため、LPPに対応するプッシュプル信号波形は本来は波形61のようになるべきであるにも拘わらず、S/Hパルス信号がホールド期間に入ってしまうために、プッシュプル信号を所定のスライスレベルVsと比較した結果は波形62のようになる。その結果、検出LPP信号は誤ったパルス幅(図6の例では、実際よりも長い幅)で検出されてしまう。本発明では検出LPP信号の後方エッジを基準LPP検出信号S4として使用するので、図6に示すように誤って長いパルス幅の検出LPP信号が得られると、基準LPP検出信号が示すLPPの位置が大きな誤差を含んでしまう。
【0051】
そこで、第2実施例では、上記のような場合、即ちS/Hパルス信号のサンプル期間内にLPPの前方エッジが存在するが、後方エッジが存在しない(つまり、LPPの後方エッジは次のホールド期間に入ってしまう)場合には、疑似LPP信号を生成する。これにより、誤った基準LPP信号が生成され、それに基づいて誤った記録クロックが生成されることを防止する。
【0052】
図7(a)に第2実施例によるLPP検出部10aの構成を示す。図7(a)に示すように、第2実施例によるLPP検出部10aは、スライス電圧生成部18と、コンパレータ12と、ゲート回路13と、インバータ回路14と、疑似LPP処理回路15と、セレクタ16とを備える。なお、スライス電圧生成部18、コンパレータ12、ゲート回路13及びインバータ回路14は、図5(a)に示した第1実施例のLPP検出部10と同一である。
【0053】
LPP検出部10aの各部の波形を図7(b)に示す。スライス電圧生成部18は所定のスライスレベルVsのスライス電圧を生成し、コンパレータ12へ供給する。コンパレータ12は、プッシュプル信号S1のレベルがスライスレベルVsを超える部分を検出し、2値化LPP信号S22としてセレクタ16及び疑似LPP処理回路15へ供給する。
【0054】
疑似LPP処理回路15は、主として疑似LPP信号を生成すべき条件が具備されたか否かの判定処理(疑似LPP生成判定処理)と、疑似LPP信号の生成処理を実行する。疑似LPP信号を生成すべき条件とは、前述のように、S/Hパルス信号S2の14Tスペース期間に対応するサンプル期間内に、LPPの前方エッジ(立上りエッジ)が存在し、かつ、後方エッジ(立下りエッジ)が存在しないことである。
【0055】
疑似LPP生成判定処理の一例を図8に示す。まず、疑似LPP処理回路15は、S/Hパルス信号S2に基づいて、14Tスペース期間内であるか否かを判定する(ステップS1)。14Tスペース期間内である場合、その期間内でLPPの前方エッジ(即ち2値化LPP信号S22の立上り)が現れたか否かを判定し(ステップS2)、前方エッジが現れた場合は、次に後方エッジ(即ち2値化LPP信号S22の立下り)が現れたか否かを判定する(ステップS3)。後方エッジが現れた場合は(ステップS3;Yes)、LPPが正しく検出できるので、コンパレータ12が出力した2値化LPP信号S22をゲート回路13へ出力するようにセレクタの制御を行う(ステップS4)。一方、後方エッジが現れない場合は(ステップS3;No)、前述のようにLPPの後方エッジが次のマーク期間に重なってしまっていると判定し、疑似LPP信号S23をゲート回路13へ出力するようにセレクタ16を制御する(ステップS5)。なお、セレクタ16の切替制御は制御信号S27により行う。一方、14Tスペース期間内でない場合(ステップS1;No)及びLPPの前方エッジが現れない場合(ステップS2;No)は、直ちに処理を終了し、ステップS1へ戻る。
【0056】
ゲート回路13は、セレクタ16から受け取った2値化LPP信号S22又は疑似LPP信号S23を、DVDエンコーダ部20から供給された14TSゲート信号S3でゲートし、インバータ回路14へ送る。インバータ回路14はゲート回路13の出力信号を反転して基準LPP検出信号S24を生成する。
【0057】
次に、疑似LPP処理回路15による疑似LPP信号S23の生成方法について説明する。疑似LPP信号S23は、2つの方法で生成することができる。第1の方法は、図7(b)に示すように、疑似LPP信号S23の前方エッジをS/Hパルス信号S2の後方エッジ(立下り)から所定時間T1後に設定する方法である。この場合の所定時間T1は経験的に求められる所定値であり、予め情報記録再生装置100内に設定しておくことができる。
【0058】
第2の方法は、同じく図7(b)に示すように、疑似LPP信号S23を検出された2値化LPP信号S22の前方エッジから所定時間T2後に設定する方法である。この場合、所定時間T2は一般的なLPPの時間幅に相当する値となる。この所定時間T2も予め情報記録再生装置100内に設定しておく。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、LPPの前方エッジ及び後方エッジが検出できたときには、その後方エッジにより、記録クロック生成の基準となる基準LPP検出信号S24を生成する。一方、LPPの前方エッジが検出できたが、後方エッジが検出できないときには、疑似LPP信号を生成し、その後方エッジを基準LPP検出信号S24として出力する。よって、LPPが時間軸上で後方へ移動して次のマーク期間に重なるような場合でも、基準LPP検出信号が欠落したり誤ったタイミングの基準LPP信号を生成することを防止でき、記録クロック生成に支障や誤差が生じることを防止できる。
【0060】
[変形例]
次に、情報記録再生装置の変形例について説明する。図9に本発明を適用した情報記録再生装置の変形例の構成を示す。なお、図1に示す情報記録再生装置100と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0061】
この例では、記録クロックを2つのPLLを用いて生成している。第1のPLL42はウォブル信号に基づいて記録クロックCKを生成し、第2のPLLはLPPに基づいてその記録クロックの位相を調整して記録クロックCK2を生成する。
【0062】
具体的には、プッシュプル信号生成部4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル検出部41及びLPP検出部43へ送られる。ウォブル検出部41はプッシュプル信号中に含まれるウォブル信号成分を生成して第1のPLL42へ供給する。第1のPLLは、ウォブル信号に同期した記録クロックCKを生成して位相変調器44へ出力する。
【0063】
一方、LPP検出部43は上述した第1実施例のLPP検出部10又は第2実施例のLPP検出部10aとして構成され、プッシュプル信号からLPPを検出し、位相変調器44へ入力する。DVD−Rなどの記録フォーマットによれば、ウォブル信号の所定周期毎にLPPが存在する。よって、位相変調器44は、LPP検出信号に基づいて記録クロックCKの位相を調整し、第2のPLL45へ供給する。これにより、第2のPLL45はウォブル信号及びLPP検出信号に同期した記録クロックCK2を生成してDVDエンコーダ部20へ供給する。
【0064】
このように、本発明によるLPP検出信号を利用するPLLとウォブル信号を利用するPLLと併用することにより、LPP及びウォブル信号の両方に同期した記録クロックを生成する記録クロック生成部を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるLPP検出方法の基本原理を説明する波形図である。
【図2】LPP位置が変動した場合における本発明のLPP検出方法の動作例を示す波形図である。
【図3】本発明による情報記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す情報記録再生装置の各部の波形を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例に係るLPP検出部の概略構成を示すブロック図及びその動作波形図である。
【図6】本発明の第2実施例によるLPP検出方法を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施例によるLPP検出部の概略構成を示すブロック図及びその動作波形図である。
【図8】疑似LPP生成判定処理の例を示すフローチャートである。
【図9】情報記録再生装置の変形例の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 光ピックアップ
3 プリアンプ
4 プッシュプル信号生成部
5 サーボ信号生成部
6 CPU
7 LDドライバ
8 ストラテジ変換部
10 記録クロック生成部
11 サンプルホールド回路
12 コンパレータ
13 ゲート回路
14 インバータ回路
15 疑似LPP処理回路
16 セレクタ
20 DVDエンコーダ部
30 PLL発振器
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクに情報を記録し、また、記録した情報を再生する情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DVD−R/RWなどに代表される光ディスクに情報を記録し、記録した情報を再生する情報記録再生装置が知られている。DVD−R/RWなどの光ディスクの情報記録面上には、記録トラックであるグルーブトラックと、グルーブトラックに隣接するランドトラックが形成されている。ランドトラックは、記録又は再生のための光ビームをグルーブトラックに照射するためのガイドトラックとしての機能を有する。また、ランドトラック上には、当該光ディスク上のアドレス情報などを含むプリ情報を示すプリピットが形成されている。さらに、グルーブトラックは、当該光ディスクの定格回転速度に対応する周波数でウォブリング(Wobbling)されている。上記プリピット及びグルーブトラックのウォブリングは、光ディスクの出荷前にあらかじめ形成されている。
【0003】
DVD−R/RWなどの光ディスクの情報記録再生装置は、光ピックアップにより、情報の記録及び再生のための光ビームを出射するとともに、光ディスクからの戻り光を受光して電気信号を出力する。この電気信号に基づいてプリピットを検出し、プリピットに同期した記録クロックを生成する。そして、記録クロックに同期して情報を光ディスク上に記録する。
【0004】
より具体的には、情報記録再生装置は、光ピックアップからの出力信号をサンプルホールド回路によりサンプルホールドする。サンプルホールド回路は、記録データのスペース期間中に光ピックアップからの出力信号をサンプルし、マーク期間中にそのサンプル値をホールドすることにより、記録データのシンク(Sync)パターン中の最長スペース期間においてのみプリピット検出を行う。サンプルホールドされたレベルが所定のスライスレベルを超える部分をプリピットと判定し、その前エッジをプリピットの検出タイミングとする。そして、情報記録再生装置は、PLL(Phase Lock Loop)などによりプリピットの検出タイミングと同期した記録クロックを生成し、情報記録時の基準同期信号として使用する。
【0005】
なお、光ディスクから検出したプリピットに基づいて記録クロック信号を生成し、その記録クロック信号を利用して光ディスクに情報を記録する(「同期記録」とも呼ばれる)手法が特許文献1に記載されている。この同期記録により、プリピットは記録されたデータのシンクパターン中の最長マークまたは最長スペースのセンタに存在することになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−304733号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光ディスクは製造上のばらつきなどに起因して回転の中心のずれを有することがある。これは「偏心」と呼ばれる。プリピットの検出タイミングに基づいて記録クロックを生成するためには一般的にPLLが使用されるが、PLLのサーボには残留偏差が存在するため、外乱である偏心が大きいと、PLLにより出力される記録クロックが、本来の同期状態における周波数に対してわずかに早くなったり遅くなったりする現象が起きる。光ディスクに対する情報の記録はこの記録クロックに同期して行われるため、この現象が発生すると、同期記録の精度が低下する。
【0008】
また、前述の現象が起きている場合、サンプルホールドされた出力信号中におけるプリピットの位置が記録するデータ位置に対し移動してしまう。前述のようにプリピットの検出は記録データのシンクパターン中の最長スペース期間における光ディスクからの出力信号レベルを所定のスライスレベルと比較することにより行われる。プリピットは、本来このシンクパターン中の最長スペース期間のセンタ位置に存在しなければならない。しかし有限の帯域である電気回路を通った信号では記録パワーから再生パワーに移行するのに時間がかかるため、時間軸上でスペース期間の前方が再生パワーレベルになっていない場合がある。このため、プリピットがスペースのセンタ位置から前後に移動してしまう場合、前方のマーク期間に接近しやすくなり、出力信号レベルがマーク期間中の記録パワーレベルの影響を受けて大きく変動してしまい、正しくプリピット検出ができなくなることがある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、各種の要因により光ディスクからの検出信号中におけるプリピット位置が変動した場合でも、安定的に記録クロックを生成して精度の高い同期記録を行うことが可能な情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、プリピットが形成された光ディスクの情報記録再生装置であって、記光ディスクにレーザ光を照射し、前記光ディスクにより反射された前記レーザ光を受光して対応する電気信号を出力する光ピックアップと、前記電気信号から、前記プリピットに対応するプリピット検出信号を生成するプリピット検出手段と、前記プリピット検出信号に基づいて、前記プリピットの後方エッジに同期した記録クロックを生成する記録クロック生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、光ディスクからの戻り光により生成したプッシュプル信号に基づいてプリピット信号を生成し、プリピット信号に同期した記録クロックを生成する情報記録再生装置において、プッシュプル信号を所定のスライスレベルと比較して得られるプリピット検出信号の後方エッジをプリピットの検出タイミングとして記録クロックを生成する点に特徴を有する。
【0012】
まず、プリピット検出方法の概要を説明する。なお、以下の説明では、プリピットとして光ディスクのランドトラック上に設けられるランドプリピット(以下、「LPP」と呼ぶ。)の検出について述べる。
【0013】
図1(a)にLPP検出方法の概要を示す。図1(a)には光ディスクからの戻り光に基づいて生成されたプッシュプル信号波形130が示されている。プッシュプル信号は、光ディスクからの戻り光を光ディスクの半径方向(ラジアル方向)に2分割してそれぞれ光電変換することにより得られる2つの検出信号の差として生成される。なお、1つの記録トラック(グルーブトラック)に対してLPPはその半径方向における内側と外側のランドトラックに存在しうるが、図1(a)にはそのうちの片側のLPPに対応するプッシュプル信号波形130を示している。
【0014】
図1(a)に示すように、片側のプッシュプル信号130は、記録データのマーク期間において記録パワーレベルに対応するレベルを有し、記録データのスペース期間においては一定の再生パワーレベルを有する。本発明の情報記録再生装置では、LPPに基づいて記録クロックを生成するので、ディスク上のLPPの検出位置は、記録クロックに同期した記録データ中のシンク(Sync)パターンに含まれる最長スペース区間である14Tスペース(以下、「14TS」と記す場合がある。)と同期する。よって、図示のように、片側のプッシュプル信号波形130中の14Tスペース区間中にLPPが存在する。14Tスペース区間内に存在するLPPは、記録中の再生パワーレベル中に現れる信号であり、記録データに対応する記録パルス波形により光変調されていないので信号品質がよく、LPPの検出に適している。
【0015】
図1(a)に示す片側のプッシュプル信号130を、サンプルホールド(以下「S/H」と記すことがある。)パルス信号波形132に示すタイミングで、サンプルホールド回路によりサンプルホールドする。つまり、記録データのスペース期間においてプッシュプル信号をサンプルし、記録データのマーク期間においてサンプル値をホールドすることにより、プッシュプル信号中のマーク期間に対応する部分(即ち、記録パルス信号により光変調されて戻り光レベルが大きく変動している部分)のレベルを除去する。図1(a)にサンプルホールドされたプッシュプル信号波形131を示している。
【0016】
そして、サンプルホールドされたプッシュプル信号波形131を所定のスライスレベルVsと比較してLPPに対応する検出LPP信号134を生成し、14Tスペース区間を示す14TSゲート信号133により検出LPP信号134をゲートする。こうして、14Tスペース区間中に存在するLPPを示すLPP検出信号134が生成される。ここで、本発明では、検出LPP信号134の前方エッジ140ではなく、後方エッジ141をLPP検出タイミングとし、それに基づいて後述のPLLにより記録クロックを生成する点に特徴を有する。なお、「LPP検出タイミング」とは、記録クロックを生成する際に基準とするLPP信号のタイミングを意味する。
【0017】
図1(a)に示したのは、LPPが14Tスペース期間内の適切な位置であるセンタに存在する場合の波形であった。しかし、図1(b)に示すように、信号を通過させる電気回路の応答周波数帯域が低かった場合、前方の記録パワーレベルから再生パワーレベルに移行する時間が長くなり、前方のサンプリング可能な時間が短くなる(破線部分151を参照)、このとき、PLLサーボの残留偏差や光ディスクの偏心などの各種の原因により記録クロックが変動し、その影響でLPPが時間軸上における前後に移動する場合、前方でサンプリングできない区間にかかりやすくなる。LPPが前方へ移動してしまった場合の各信号波形を図2に示す。片側のプッシュプル信号130に示すように、LPPの位置が時間軸上の前方へ移動し、その結果、先行するマーク期間の終了部分と重なりかけている。本来、LPPはサンプルホールドされたプッシュプル信号波形131の上の波形143のように検出されるはずであるが、その前半部分はサンプルホールド回路のホールド期間に属してしまっているため、実際に得られるプッシュプル信号波形は波形144に示すようになる。その結果、検出LPP信号134はその前方が削られたような状態で検出されることになってしまう。
【0018】
しかし、本発明では、検出LPP信号の前方エッジ140ではなく、後方エッジ141をLPP検出タイミングとして使用するので、上記のようにLPPの前方エッジが先行するマーク期間と干渉する場合でも、正しくLPP検出タイミングを取得することができる。
【0019】
また、上記の説明は情報記録再生装置による標準記録速度(1倍速)での記録時についてのものであるが、例えば4倍速、8倍速などの高速記録時においては14Tスペースの期間が短くなる。これは、光ディスクからの検出信号を増幅するプリアンプの周波数特性などに起因して、プッシュプル信号波形におけるマーク期間の後端部が後方に移動することによるものである。この場合も、図1(b)と等価になり、LPPを検出すべき14Tスペース期間が実質的に短くなり、LPPの前方エッジが先行するマーク期間のレベルと干渉する可能性が高くなる。しかし、本発明では検出LPP信号の後方エッジをLPP検出タイミングとして使用するので、高速化によりLPP検出精度が低下することを防止できる。
【0020】
即ち、本発明の1つの観点では、プリピットが形成された光ディスクの情報記録再生装置は、前記光ディスクにレーザ光を照射し、前記光ディスクにより反射された前記レーザ光を受光して対応する電気信号を出力する光ピックアップと、前記電気信号から、前記プリピットに対応するプリピット検出信号を生成するプリピット検出手段と、前記プリピット検出信号に基づいて、前記プリピットの後方エッジに同期した記録クロックを生成する記録クロック生成手段と、を備える。
【0021】
上記の情報記録再生装置は、例えばDVD−R/RWなどの光ディスクに情報の記録及び再生を行う。光ピックアップは、レーザ光源などからのレーザ光を光ディスクに照射し、反射されたレーザ光をフォトディテクタなどで受光して、受光量に対応する電気信号を出力する。出力された電気信号から、プリピットに対応するプリピット検出信号を生成する。プリピットの例は、例えばDVD−Rなどのランドトラックに形成されたランドプリピット(LPP)である。また、プリピット検出信号は、例えば光ピックアップからの電気信号に基づいてプッシュプル信号を生成し、そのレベルを所定のスライスレベルと比較することにより得ることができる。
【0022】
そして、記録クロック生成手段は、プリピット検出信号に基づいて、プリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期した記録クロックを生成する。記録クロック生成手段は例えばPLLなどにより構成することができる。これにより、光ディスク上のプリピットの検出信号に同期した記録クロックを利用して記録データを光ディスクに記録することができ、正確な同期記録が可能となる。また、その記録クロックはプリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期しているので、記録クロックの変動その他の原因により、プリピットの位置が時間軸上で前方に移動したような場合でも、正確にプリピットを検出することができ、プリピットに同期した記録クロックを生成することができる。
【0023】
上記の情報記録再生装置の一態様では、前記プリピット検出手段は、前記プリピットの検出結果が所定の条件を具備するか否かを判定する判定手段と、前記所定の条件が具備された場合に、疑似プリピット信号を生成して前記プリピット検出信号として前記記録クロック生成手段に供給する疑似プリピット信号生成手段と、を備える。この態様では、プリピットの検出結果が所定の条件を具備する場合、具体的にはプリピットを正しく検出できない場合には、疑似プリピットを生成し、これに基づいて記録クロックの生成が行われる。よって、プリピットが正しく検出できない場合でも、記録クロックの生成に支障が生じることが防止される。
【0024】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記プリピット検出手段は、記録マークのスペース期間に前記電気信号をサンプルし、記録マークのマーク期間に前記サンプル値をホールドするサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路の出力信号に基づいて前記プリピット検出信号を生成する手段と、を備える。光ディスクからの反射光は、マーク期間には記録パワーを有する記録パルス信号による光変調の影響でレベルが変動しているが、スペース期間はほぼ一定の再生パワーに対応するレベルに維持されているので、スペース期間中のレベルをサンプルホールド回路により取得して、それに基づいてプリピット検出を行う。これにより、正確なプリピット検出が可能となる。
【0025】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記判定手段は、前記プリピットの前方エッジが所定長さの前記スペース期間に属し、かつ、前記プリピットの後方エッジが当該所定長さのスペース期間に属しない場合に、前記所定の条件が具備されたと判定する。本発明では、プリピットの後方エッジに対応するタイミングに同期した記録クロックを生成するが、プリピットの後方エッジが検出できない場合には疑似プリピット信号を生成して記録クロック生成に支障が生じないようにする。
【0026】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記疑似プリピット信号生成手段は、前記所定長さのスペース期間の後方エッジから所定時間後に前記疑似プリピット信号を生成することができる。上記の所定条件が具備された場合には、プリピットの前方エッジが検出されており、その後方のほぼ所定の位置にプリピットの後方エッジが存在すると考えられる。よって、プリピットの前方エッジが検出されたスペース期間の後方エッジから所定時間後に疑似プリピット信号を生成する。
【0027】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記所定長さのスペース期間は記録データ中の最長スペース期間である14Tスペース期間とすることができる。14Tスペース期間などの長いスペース期間にプリピット検出を行うことにより、前後のマーク期間との干渉の可能性を減少させることができ、正確にプリピット検出を行うことができる。
【0028】
上記の情報記録再生装置の他の一態様では、前記疑似プリピット信号生成手段は、検出された前記プリピットの前方エッジから所定時間後に前記疑似プリピット信号を生成する。上記の所定条件が具備された場合には、プリピットの前方エッジが検出されており、その前方エッジから所定の位置、より具体的にはプリピットの時間幅に対応する位置にプリピットの後方エッジが存在すると考えられる。よって、検出されたプリピットの前方エッジから所定時間後に疑似プリピット信号を生成する。
【0029】
上記の情報記録再生装置の他の一態様は、前記記録クロックに基づいて、記録データを前記光ディスクに記録する記録手段を備える。記録クロックは光ディスク上に形成されているプリピットに同期して生成されているため、記録クロックに基づいて記録データを光ディスクに記録するようにすれば、光ディスクの偏心などの影響を排除することができる。よって、前述のようにプリピットの後方エッジに同期した記録クロック信号を生成することにより、正確な同期記録が可能となる。
【0030】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0031】
[第1実施例]
図3に、本発明の第1実施例にかかる情報記録再生装置の概略構成を示す。なお、本発明の情報記録再生装置は、DVD−RやDVD−RWなどの光ディスクに情報を記録し、記録した情報を再生する機能を有するが、本発明は特に情報記録時における記録クロックの生成に特徴を有するため、図3においては主として情報記録に関連する構成要素を図示することとし、情報再生に関連する構成要素の詳細については図示及び説明を簡略化する。
【0032】
図3に示すように、情報記録再生装置100は、光ピックアップ2と、プリアンプ3と、プッシュプル信号生成部4と、サーボ信号生成部5と、CPU6と、LDドライバ7と、ストラテジ変換部8と、再生系9と、LPP検出部10と、サンプルホールド回路11と、DVDエンコーダ部20と、PLL発振器30とを備える。
【0033】
光ピックアップ2は、レーザダイオード(LD:Laser Diode)などの光源と、フォトディテクタなどを備える。光ピックアップ2は、光源から出射された記録光又は再生光としてのレーザ光を光ディスク1に照射し、光ディスク1からの戻り光をフォトディテクタにより受光して、受光量に対応する電気信号を出力する。フォトディテクタは例えば光ディスク1の半径方向(ラジアル方向)及び接線方向(タンジェンシャル方向)にそれぞれ並んで配置された4つの受光素子を有する4分割フォトディテクタが使用される。例えば4つの受光素子A〜Dを備え、受光素子A及びDが光ディスク1の接線方向に隣接し、受光素子B及びCが光ディスク1の接線方向に隣接する。よって、受光素子A及びBの出力信号が記録トラックの内周側又は外周側のいずれか一方における戻り光を受光し、受光素子B及びCが他方における戻り光を受光する。ピックアップ1のフォトディテクタは、4つの各受光素子の受光量に応じた電気信号をプリアンプ3へ供給する。
【0034】
プリアンプ3は、各受光素子からの電気信号を増幅し、サンプルホールド回路11、サーボ信号生成部5及び再生系9へそれぞれ供給する。サンプルホールド回路11は、DVDエンコーダ部20から与えられるS/Hパルス信号S2に基づいてプリアンプ3の出力信号をサンプルホールドしてプッシュプル信号生成部4へ供給する。
【0035】
プッシュプル信号生成部4は、フォトディテクタの4つの受光素子のうち、タンジェンシャル方向に並んだ2つの受光素子(例えば受光素子A及びDと、受光素子B及びC)からの電気信号の和信号をそれぞれ計算し、それら2つの和信号の差信号(=(A+D)−(B+C))をプッシュプル信号S1としてLPP検出部10へ供給する。このプッシュプル信号S1は、光ディスク1上に形成されたLPPを示すLPP信号成分を含んでおり、LPP検出部10へ供給される。
【0036】
LPP検出部10は、プッシュプル信号生成部4からプッシュプル信号S1を受け取る。また、LPP検出部10は、DVDエンコーダ部20から、記録クロックCKのシンク中の14Tスペース期間を示す14Tスペースゲート信号(以下、「14TSゲート信号」と呼ぶ。)を受け取る。そして、LPP検出部10は、所定のスライスレベルVsでプッシュプル信号S1を2値化し、LPP検出タイミングを示す基準LPP検出信号S4をPLL発振器30へ送る。なお、LPP検出部10の詳細は後述する。
【0037】
PLL発振器30は、前述のようにLPP検出タイミングとして機能する基準LPP検出信号S4の後方エッジに位相同期するように動作し、記録クロック信号CKを生成する。PLL発振器30は、生成した記録クロックCKをDVDエンコーダ部20へ供給する。
【0038】
DVDエンコーダ部20は、エンコーダ、S/Hパルス生成部などを備える。DVDエンコーダ部20内のエンコーダは、外部から記録データを受け取り、その記録データに対応し、かつ、記録クロックCKに同期したNRZI信号S6を生成してストラテジ変換部8へ供給する。また、S/Hパルス生成部は、記録データのマーク期間とスペース期間を示すS/Hパルス信号S2を生成してサンプルホールド回路11へ供給する。
【0039】
ストラテジ変換部8は、DVDエンコーダ部20から受け取ったNRZI信号S6に基づき、所定のライトストラテジに従って記録パルス信号S5を生成し、LDドライバ7へ供給する。ライトストラテジとしては、例えば1つのトップパルスと、記録データ長に応じた数のマルチパルスにより構成されるマルチパルス型のライトストラテジが知られているが、本発明は各種のライトストラテジに適用可能である。LDドライバ7は、記録パルス信号S5に従って光ピックアップ2内のレーザダイオードを駆動し、記録レーザ光を出射させる。
【0040】
CPU6は、情報記録再生装置100の全体動作を制御するものであり、例えば情報の記録時には、DVDエンコーダ部20とサーボ信号生成部5とを制御して、記録データを光ディスク1上の所定位置に記録させる。
【0041】
サーボ信号生成部5は、フォトディテクタの4つの受光素子からの電気信号を受け取り、所定の演算によりフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号、スレッドサーボ信号、スピンドルサーボ信号などの各種サーボ信号を生成する。そして、それらサーボ信号に基づいて、光ピックアップ2のスライダ機構及びアクチュエータ、並びに光ディスク1を回転駆動するスピンドルの制御を行う。
【0042】
再生系9は図示しないデコーダなどを備え、フォトディテクタの4つの受光素子からの電気信号の総和を再生信号として生成し、その再生信号に対してデコーダによる必要な復号化処理などを施して記録信号を再生し、再生データとして出力する。
【0043】
光ディスクは、製造上のばらつきなどにより回転の中心がずれてしまっていることが多い。これは光ディスクの「偏心」と呼ばれる。偏心があると、光ピックアップ2がトレースしているトラックの線速度が変化してしまう。しかし、上記の構成により、光ディスク上に予め記録されているLPPを示すLPP検出信号に同期して記録クロック信号を生成し、それを利用して記録を行うことにより、偏心に起因する線速度の変化に拘わらず光ディスクの所望位置に所望のデータを記録することができる。また、記録の開始、終了位置を高精度で決定することができる。これにより、データが記録された領域に続いて追加でデータを記録する場合に、記録ができない無駄な領域を減らすことができ、高密度記録が実現できる。
【0044】
次に、各信号の波形について説明する。図4に、図3に示す各信号の波形を示す。この例は前述のマルチパルス型のライトストラテジを利用した例であり、NRZI信号S6に対応して、トップパルスと複数のマルチパルスからなる記録パルス信号S5が生成されている。記録パルス信号S5に従ってレーザダイオードが発光し、ディスク上にはマーク部MKとスペース部SPからなる記録マークが形成される。
【0045】
情報の記録中はレーザダイオードの発光は記録パルス信号S5のパルス波形により光変調されているため、図示のように光ディスクからの戻り光波形も光変調されている。よって、記録マークのマーク部MKに対応する期間においては、戻り光波形は記録パルス波形S5に対応する波形部分51を含んでいる。一方、記録マークのスペース部SPに対応する期間においては戻り光波形には記録パルス信号S5による変調成分はない。また、戻り光波形には、14Tスペース期間においてLPPに対応する波形54が含まれている。サンプルホールド回路11は、情報の記録中は、DVDエンコーダ部20から与えられるS/Hパルス信号S2に基づき、スペース部SPに対応する期間においてプリアンプ3からの出力信号サンプルし、マーク部MKに対応する期間にはそのサンプル値をホールドする。
【0046】
サンプルホールド回路11は、光ピックアップ2内に設けられたフォトディテクタの4つの受光素子のうち、記録トラックの片側(例えば検出素子A及びDに対応)のサンプルホールド出力と、反対側(例えば検出素子B及びCに対応)のサンプルホールド出力とをプッシュプル信号生成部4へ供給する。プッシュプル信号生成部4は、それら2つのサンプルホールド出力の差を演算し、プッシュプル信号S1としてLPP検出部10へ供給する。こうして、戻り光波形に含まれる成分のうち、マーク期間の光変調成分がサンプルホールド回路11により除去され、スペース期間内にLPPに対応する成分を含むプッシュプル信号S1が生成される。
【0047】
次に、LPP検出部10について詳しく説明する。図5(a)にLPP検出部10の構成を示し、図5(b)にその各部の波形を示す。図示のように、LPP検出部10は、スライス電圧生成部18と、コンパレータ12と、ゲート回路13と、インバータ回路14とを備える。
【0048】
スライス電圧生成部18は、所定のスライスレベルVsを有するスライス電圧を生成し、コンパレータ12へ入力する。コンパレータ12は、図5(b)に示すように、プッシュプル信号S1をスライスレベルVsと比較し、プッシュプル信号S1のレベルがスライスレベルVsを超えるときにHレベルとなる2値化LPP信号S11を生成する。ゲート回路13は、DVDエンコーダ部20から供給される14TSゲート信号S3により2値化LPP信号S11をゲートし、インバータ回路14へ供給する。インバータ回路14は、ゲート回路13からの出力信号の極性を反転し、LPPの後方エッジのタイミングでHレベルとなる(立ち上がる)基準LPP検出信号S4を生成し、PLL発振器30へ出力する。
【0049】
このように、本発明のLPP検出部10は、LPPの後方エッジに対応するタイミングを示す基準LPP検出信号S4を生成し、PLL発振器30はそのLPPタイミング信号S4に基づいて記録クロックCKを生成するので、LPPの位置が相対的に前方に移動したような場合でも、正確にLPPを検出することができる。
【0050】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。上述の第1実施例では、LPPの後方エッジのタイミングを示す基準LPP検出信号S4を生成し、それに同期する記録クロックCKを生成している。しかし、このようにLPPの後方エッジをLPP検出タイミングとして使用する場合、LPPが時間軸上の後方に移動すると、LPPの後方エッジが次のマーク期間に接近し又は重なってしまい、LPPが正確に検出できなくなることが起こりうる。この様子を図6に示す。LPPが時間軸上の後方に移動すると、図6に示すように、次のマーク期間における戻り光波形と接近する。そのため、LPPに対応するプッシュプル信号波形は本来は波形61のようになるべきであるにも拘わらず、S/Hパルス信号がホールド期間に入ってしまうために、プッシュプル信号を所定のスライスレベルVsと比較した結果は波形62のようになる。その結果、検出LPP信号は誤ったパルス幅(図6の例では、実際よりも長い幅)で検出されてしまう。本発明では検出LPP信号の後方エッジを基準LPP検出信号S4として使用するので、図6に示すように誤って長いパルス幅の検出LPP信号が得られると、基準LPP検出信号が示すLPPの位置が大きな誤差を含んでしまう。
【0051】
そこで、第2実施例では、上記のような場合、即ちS/Hパルス信号のサンプル期間内にLPPの前方エッジが存在するが、後方エッジが存在しない(つまり、LPPの後方エッジは次のホールド期間に入ってしまう)場合には、疑似LPP信号を生成する。これにより、誤った基準LPP信号が生成され、それに基づいて誤った記録クロックが生成されることを防止する。
【0052】
図7(a)に第2実施例によるLPP検出部10aの構成を示す。図7(a)に示すように、第2実施例によるLPP検出部10aは、スライス電圧生成部18と、コンパレータ12と、ゲート回路13と、インバータ回路14と、疑似LPP処理回路15と、セレクタ16とを備える。なお、スライス電圧生成部18、コンパレータ12、ゲート回路13及びインバータ回路14は、図5(a)に示した第1実施例のLPP検出部10と同一である。
【0053】
LPP検出部10aの各部の波形を図7(b)に示す。スライス電圧生成部18は所定のスライスレベルVsのスライス電圧を生成し、コンパレータ12へ供給する。コンパレータ12は、プッシュプル信号S1のレベルがスライスレベルVsを超える部分を検出し、2値化LPP信号S22としてセレクタ16及び疑似LPP処理回路15へ供給する。
【0054】
疑似LPP処理回路15は、主として疑似LPP信号を生成すべき条件が具備されたか否かの判定処理(疑似LPP生成判定処理)と、疑似LPP信号の生成処理を実行する。疑似LPP信号を生成すべき条件とは、前述のように、S/Hパルス信号S2の14Tスペース期間に対応するサンプル期間内に、LPPの前方エッジ(立上りエッジ)が存在し、かつ、後方エッジ(立下りエッジ)が存在しないことである。
【0055】
疑似LPP生成判定処理の一例を図8に示す。まず、疑似LPP処理回路15は、S/Hパルス信号S2に基づいて、14Tスペース期間内であるか否かを判定する(ステップS1)。14Tスペース期間内である場合、その期間内でLPPの前方エッジ(即ち2値化LPP信号S22の立上り)が現れたか否かを判定し(ステップS2)、前方エッジが現れた場合は、次に後方エッジ(即ち2値化LPP信号S22の立下り)が現れたか否かを判定する(ステップS3)。後方エッジが現れた場合は(ステップS3;Yes)、LPPが正しく検出できるので、コンパレータ12が出力した2値化LPP信号S22をゲート回路13へ出力するようにセレクタの制御を行う(ステップS4)。一方、後方エッジが現れない場合は(ステップS3;No)、前述のようにLPPの後方エッジが次のマーク期間に重なってしまっていると判定し、疑似LPP信号S23をゲート回路13へ出力するようにセレクタ16を制御する(ステップS5)。なお、セレクタ16の切替制御は制御信号S27により行う。一方、14Tスペース期間内でない場合(ステップS1;No)及びLPPの前方エッジが現れない場合(ステップS2;No)は、直ちに処理を終了し、ステップS1へ戻る。
【0056】
ゲート回路13は、セレクタ16から受け取った2値化LPP信号S22又は疑似LPP信号S23を、DVDエンコーダ部20から供給された14TSゲート信号S3でゲートし、インバータ回路14へ送る。インバータ回路14はゲート回路13の出力信号を反転して基準LPP検出信号S24を生成する。
【0057】
次に、疑似LPP処理回路15による疑似LPP信号S23の生成方法について説明する。疑似LPP信号S23は、2つの方法で生成することができる。第1の方法は、図7(b)に示すように、疑似LPP信号S23の前方エッジをS/Hパルス信号S2の後方エッジ(立下り)から所定時間T1後に設定する方法である。この場合の所定時間T1は経験的に求められる所定値であり、予め情報記録再生装置100内に設定しておくことができる。
【0058】
第2の方法は、同じく図7(b)に示すように、疑似LPP信号S23を検出された2値化LPP信号S22の前方エッジから所定時間T2後に設定する方法である。この場合、所定時間T2は一般的なLPPの時間幅に相当する値となる。この所定時間T2も予め情報記録再生装置100内に設定しておく。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、LPPの前方エッジ及び後方エッジが検出できたときには、その後方エッジにより、記録クロック生成の基準となる基準LPP検出信号S24を生成する。一方、LPPの前方エッジが検出できたが、後方エッジが検出できないときには、疑似LPP信号を生成し、その後方エッジを基準LPP検出信号S24として出力する。よって、LPPが時間軸上で後方へ移動して次のマーク期間に重なるような場合でも、基準LPP検出信号が欠落したり誤ったタイミングの基準LPP信号を生成することを防止でき、記録クロック生成に支障や誤差が生じることを防止できる。
【0060】
[変形例]
次に、情報記録再生装置の変形例について説明する。図9に本発明を適用した情報記録再生装置の変形例の構成を示す。なお、図1に示す情報記録再生装置100と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0061】
この例では、記録クロックを2つのPLLを用いて生成している。第1のPLL42はウォブル信号に基づいて記録クロックCKを生成し、第2のPLLはLPPに基づいてその記録クロックの位相を調整して記録クロックCK2を生成する。
【0062】
具体的には、プッシュプル信号生成部4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル検出部41及びLPP検出部43へ送られる。ウォブル検出部41はプッシュプル信号中に含まれるウォブル信号成分を生成して第1のPLL42へ供給する。第1のPLLは、ウォブル信号に同期した記録クロックCKを生成して位相変調器44へ出力する。
【0063】
一方、LPP検出部43は上述した第1実施例のLPP検出部10又は第2実施例のLPP検出部10aとして構成され、プッシュプル信号からLPPを検出し、位相変調器44へ入力する。DVD−Rなどの記録フォーマットによれば、ウォブル信号の所定周期毎にLPPが存在する。よって、位相変調器44は、LPP検出信号に基づいて記録クロックCKの位相を調整し、第2のPLL45へ供給する。これにより、第2のPLL45はウォブル信号及びLPP検出信号に同期した記録クロックCK2を生成してDVDエンコーダ部20へ供給する。
【0064】
このように、本発明によるLPP検出信号を利用するPLLとウォブル信号を利用するPLLと併用することにより、LPP及びウォブル信号の両方に同期した記録クロックを生成する記録クロック生成部を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるLPP検出方法の基本原理を説明する波形図である。
【図2】LPP位置が変動した場合における本発明のLPP検出方法の動作例を示す波形図である。
【図3】本発明による情報記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す情報記録再生装置の各部の波形を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例に係るLPP検出部の概略構成を示すブロック図及びその動作波形図である。
【図6】本発明の第2実施例によるLPP検出方法を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施例によるLPP検出部の概略構成を示すブロック図及びその動作波形図である。
【図8】疑似LPP生成判定処理の例を示すフローチャートである。
【図9】情報記録再生装置の変形例の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 光ピックアップ
3 プリアンプ
4 プッシュプル信号生成部
5 サーボ信号生成部
6 CPU
7 LDドライバ
8 ストラテジ変換部
10 記録クロック生成部
11 サンプルホールド回路
12 コンパレータ
13 ゲート回路
14 インバータ回路
15 疑似LPP処理回路
16 セレクタ
20 DVDエンコーダ部
30 PLL発振器
Claims (8)
- プリピットが形成された光ディスクの情報記録再生装置であって、
前記光ディスクにレーザ光を照射し、前記光ディスクにより反射された前記レーザ光を受光して対応する電気信号を出力する光ピックアップと、
前記電気信号から、前記プリピットに対応するプリピット検出信号を生成するプリピット検出手段と、
前記プリピット検出信号に基づいて、前記プリピットの後方エッジに同期した記録クロックを生成する記録クロック生成手段と、を備えることを特徴とする情報記録再生装置。 - 前記プリピット検出手段は、
前記プリピットの検出結果が所定の条件を具備するか否かを判定する判定手段と、
前記所定の条件が具備された場合に、疑似プリピット信号を生成して前記プリピット検出信号として前記記録クロック生成手段に供給する疑似プリピット信号生成手段と、を備えること特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。 - 前記プリピット検出手段は、
記録マークのスペース期間に前記電気信号をサンプルし、記録マークのマーク期間に前記サンプル値をホールドするサンプルホールド回路と、
前記サンプルホールド回路の出力信号に基づいて前記プリピット検出信号を生成する手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。 - 前記判定手段は、前記プリピットの前方エッジが所定長さの前記スペース期間に属し、かつ、前記プリピットの後方エッジが当該所定長さのスペース期間に属しない場合に、前記所定の条件が具備されたと判定することを特徴とする請求項3に記載の情報記録再生装置。
- 前記疑似プリピット信号生成手段は、前記所定長さのスペース期間の後方エッジから所定時間後に前記疑似プリピット信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の情報記録再生装置。
- 前記所定長さのスペース期間は、記録データ中の最長スペース期間であることを特徴とする請求項5に記載の情報記録再生装置。
- 前記疑似プリピット信号生成手段は、検出された前記プリピットの前方エッジから所定時間後に前記疑似プリピット信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の情報記録再生装置。
- 前記記録クロックに基づいて、記録データを前記光ディスクに記録する記録手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報記録再生装置。
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Family Applications (1)
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JP2003146692A Abandoned JP2004348902A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 情報記録再生装置 |
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- 2003-05-23 JP JP2003146692A patent/JP2004348902A/ja not_active Abandoned
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