JP2004347699A - 光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルムの製造方法 - Google Patents

光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルムの製造方法 Download PDF

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Kuniaki Ishibashi
邦昭 石橋
Shunsuke Shudo
俊介 首藤
Hiroyuki Yoshimi
裕之 吉見
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Abstract

【課題】延伸や収縮等を必要としない、光学的二軸性の、配向非液晶性ポリマーフィルムの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の製造方法は、光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーフィルムの製造方法であって、光学的一軸性の非液晶性ポリマーフィルムに偏光を照射して、前記フィルム中の非液晶性ポリマーを配向させる製造方法である。この製造方法により、延伸や収縮を行わずに光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーフィルムが製造されるので、遅相軸のばらつきを抑制でき、従って、軸精度が良好になる。さらに、本発明の製造方法は、配向基板や配向膜を用いる必要もない。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
位相差フィルムは、様々な液晶表示装置に組み込まれて用いられている。位相差フィルムが組み込まれた液晶表示装置の画面は、画面の着色が抑制されたり、その視野角が拡大されるなど、表示特性が改善される。前記位相差フィルムとしては、光学的に正または負の一軸性を有するフィルムが、従来から用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、液晶表示装置の種類によっては、このような一軸性フィルムでは、それを組み込んだ液晶表示装置の画面の表示特性が制御できない場合もあった。
【0003】
この問題を解決するために、三方向の屈折率が制御された光学的二軸性のフィルムが位相差フィルムとして用いられるようになった。この二軸性フィルムは、一般的に、ポリマーフィルムを二軸延伸することにより作成される。しかし、この方法では、延伸条件の制御が困難であり、また得られた面内での屈折率の均一性が損なわれやすいという問題がある。
【0004】
一方、二軸延伸を必要としない方法、すなわち、光学的一軸性のフィルムを延伸(一軸)や収縮させることにより光学的二軸性のフィルムを製造する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。この光学的一軸性のフィルムは、基材上に、ポリアミド等の非液晶性ポリマーを塗工し、固化させて形成することができる。しかし、この方法では、延伸や収縮を行わなければならないので、得られた光学的二軸性のフィルムの遅相軸がばらつきやすいという問題がある。
【0005】
さらに、延伸(一軸、二軸)や収縮を必要としない方法、すなわち、液晶性モノマーから形成された光学的一軸性のフィルムに偏光照射することにより光学的二軸性のフィルムを製造する方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。この光学的一軸性のフィルムは、配向基板上に液晶性モノマーを塗布し、液晶性モノマーを配向させた後、重合してポリマーにすることにより得られる。しかし、液晶性モノマーを配向させるためには、配向基板や配向膜上に液晶性モノマーを塗布したり、基材を配向基材に加工したり、基板上に配向膜を準備する必要がある。
また、ポリイミドフィルムに偏光を照射すると、照射された部分のポリイミド分子が分解する(そのフィルムに異方性が付与される)ことが知られていた(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5,344,916号公報
【特許文献2】
米国特許第5,580,950号公報
【特許文献3】
特開2000−190385号公報
【特許文献4】
特開2002−6138号公報
【非特許文献1】
Kiryong HAら、Mol. Cryst. Liq. Cryst.、357, p.263−280 (2001)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、延伸や収縮等を必要とせず、かつ配向基板が不要な、光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーフィルム(以下、「第2のフィルム」という)の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の製造方法は、前記第2のフィルムの製造方法であって、光学的一軸性の非液晶性ポリマーのフィルム(以下、「第1のフィルム」という)に偏光を照射し、前記第1のフィルム中の非液晶性ポリマーを配向させることにより、前記第1のフィルムに光学的二軸性を付与することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
前述のように、本発明の製造方法は、前記第1のフィルムに、偏光を照射することにより、前記フィルム中の非液晶性ポリマーを配向させる方法である。そのような配向処理により、フィルムの屈折率が変化して、三方向の屈折率が異なる光学的二軸性のフィルムになる。このように、光学的二軸性のフィルムの従来の製造方法とは異なり、延伸や収縮等を行わないので、本発明の製造方法により製造された光学的二軸性のフィルムは、フィルム面内の遅相軸のばらつきが抑制され、均一な軸精度を得ることができる。また、本発明の製造方法で用いる非液晶性ポリマーは、液晶性ではないので、従来の液晶性モノマーを用いる製造方法とは異なり、配向基板や配向膜を使用して非液晶性ポリマーを配向させる必要がない。
【0010】
さらに、本発明の製造方法で製造される光学的二軸性のフィルムは、非液晶性ポリマーから形成されるので、従来の液晶性モノマーを用いる製造方法とは異なり、偏光を照射した後にも、均一な軸精度を保持しながら、さらに延伸や収縮を行うことによる光学的変更が可能である。
また、前記のように、本発明の製造方法においては、偏光を照射した後も、強固な結合は形成されないため、従来の液晶性モノマーを用いる製造方法とは異なり、所望の光学的二軸性を得るのに、大量の偏光を照射する必要は生じない。
【0011】
本発明の製造方法は、例えば、以下のようにして行うことができる。
前記第1のフィルムは、市販されているものを使用してもよいし、自家製作してもよい。前記第1のフィルムは、例えば、基材の表面に、固化すると光学的一軸性を示す非液晶性ポリマーの溶液または溶融液を塗工し、形成した塗工層を固化させることにより形成できる。
【0012】
前記非液晶性ポリマーとしては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。このようなポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
【0013】
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。
【0014】
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
【0015】
【化1】
Figure 2004347699
【0016】
前記式(1)中、R〜Rは、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R〜Rは、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
【0017】
前記式(1)中、Zは、例えば、C20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記式(2)で表される基である。
【0018】
【化2】
Figure 2004347699
【0019】
前記式(2)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、または、NR基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。Rは、それぞれ独立に、水素またはC(Rである。Rは、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。Rは、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
【0020】
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基があげられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基があげられる。
【0021】
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(3)または(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等があげられる。なお、下記式(5)のポリイミドは、下記式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0022】
【化3】
Figure 2004347699
【0023】
前記一般式(3)〜(5)中、GおよびG’は、例えば、共有結合、CH基、C(CH基、C(CF基、C(CX基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CHCH基、および、N(CH)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0024】
前記式(3)および式(5)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、およびC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素があげられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
【0025】
前記式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基があげられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基があげられる。fは、0から4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3および1から3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
【0026】
前記式(4)中、R10およびR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。その中でも、R10およびR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0027】
前記式(5)中、MおよびMは、同一であるかまたは異なり、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素があげられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、およびC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基があげられる。
【0028】
前記式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(6)で表されるもの等があげられる。
【0029】
【化4】
Figure 2004347699
【0030】
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーがあげられる。
【0031】
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物があげられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0032】
前記ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等があげられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等があげられる。前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0033】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等があげられる。
【0034】
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0035】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンがあげられる。
【0036】
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等があげられる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、および3,3’−ジアミノベンゾフェノン等があげられる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等があげられる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等があげられる。
【0037】
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等があげられる。
【0038】
前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記一般式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンがあげられる。
【0039】
【化5】
Figure 2004347699
【0040】
前記式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
【0041】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、Cの直鎖または分岐鎖の低級アルキル基が好ましく、より好ましくはCの直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物があげられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、Cの直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはCの直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、および、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物があげられる。
【0042】
前記式(7)中、qは、0から4までの整数である。前記式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
また、前記式(7)中、Rは、下記式(8)で表される基であり、mは、0または1の整数である。
【0043】
【化6】
Figure 2004347699
【0044】
前記式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記式(7)におけるXと同様である。前記式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。q’は、前記X’の置換数を表し、0から4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0または1の整数である。
【0045】
前記式(8)中、Rは、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等があげられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記Rとしては、下記式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
【0046】
【化7】
Figure 2004347699
【0047】
前記式(7)中、前記Rとしては、下記式(16)で表される基が好ましく、下記式(16)において、Rおよびpは前記式(8)と同義である。
【0048】
【化8】
Figure 2004347699
【0049】
さらに、前記式(7)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0050】
さらに、前記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(17)で表すことができる。なお、下記式において、nは前記式(7)と同様の重合度を表す。
【0051】
【化9】
Figure 2004347699
【0052】
前記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記式(18)〜(21)で表されるもの等があげられ、下記各式において、nは、前記式(7)と同様の重合度を表す。
【0053】
【化10】
Figure 2004347699
【0054】
また、これらの他に、前記ポリアミドまたはポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記一般式(22)で表すことができる。
【0055】
【化11】
Figure 2004347699
【0056】
前記式(22)中、Yは、OまたはNHである。また、Eは、例えば、共有結合、Cアルキレン基、ハロゲン化Cアルキレン基、CH基、C(CX基(ここで、Xはハロゲンまたは水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(R)基、および、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、Rは、C1−3アルキル基およびC1−3ハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基またはY基に対してメタ位またはパラ位にある。
【0057】
また、前記(22)中、AおよびA’は、置換基であり、tおよびzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1から3までの整数であり、rは、0から3までの整数である。
【0058】
前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C1−9アルコキシカルボニル基、C1−9アルキルカルボニルオキシ基、C1−12アリールオキシカルボニル基、C1−12アリールカルボニルオキシ基およびその置換誘導体、C1−12アリールカルバモイル基、ならびに、C1−12アリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基およびこれらの組み合わせがあげられる。前記tは、0から4までの整数であり、前記zは、0から3までの整数である。
【0059】
前記式(22)で表されるポリアミドまたはポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式(23)で表されるものが好ましい。
【化12】
Figure 2004347699
【0060】
前記式(23)中、A、A’およびYは、前記式(22)で定義したものであり、vは0から3の整数、好ましくは、0から2の整数である。xおよびyは、それぞれ0または1であるが、共に0であることはない。
【0061】
前記基材としては、特に限定されず、無機化合物の基材(SUSベルト、銅薄板、ガラス、Siウエハ等)、ポリマーフィルムまたは金属板等を用いることができる。
前記ポリマーフィルムの形成材料として、具体的には、例えば、ポリオレフイン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アモルファスポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース系ポリマー(トリアセチルセルロース(TAC)等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル樹脂や、これらの混合物等が挙げられる。
【0062】
また、これらの他に、前記ポリマーフィルムの形成材料として、液晶ポリマー等も使用できる。さらに、例えば、特開平2001−343529号公報(WO01/37007号)に記載されているような、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物等も使用できる。具体例としては、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドの交互共重合体と、アクリロニトリルとスチレンの共重合体との混合物等である。
【0063】
これらの形成材料の中でも、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロース系ポリマー、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂、イソブテンとN−メチルマレイミドの交互共重合体と、アクリロニトリルとスチレンの共重合体の混合物、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物が好ましい。この混合物を用いたポリマーフィルムとしては、例えば、鐘淵化学社製の商品名「HTフィルム」等が挙げられる。
【0064】
前記ポリマーフィルムとしては、前記樹脂を、押出成形、カレンダー法、溶媒キャスティング法等で製造することができる。さらに、ポリマーフィルムは、延伸(一軸、二軸等)されてもよく、延伸されたポリマーフィルムが好ましい。
前記ポリマーフィルムとしては、親水化処理や疎水化処理、基材の溶解性を低減する処理等の表面処理を施したものを用いることもできる.
【0065】
前記ポリマーフィルムの厚みは、通常10μm以上かつ200μm以下であり、好ましくは20μm以上かつ150μm以上、特に好ましくは30μm以上かつ100μm以下である。
【0066】
前記基材上に前記非液晶性ポリマーの溶液または溶融液のいずれを塗工する方法を用いてもよいが、中でも、作業性に優れ、光学異方性制御の点から、前記ポリマー溶液を塗工する方法が好ましい。
【0067】
前記ポリマー溶液におけるポリマー濃度は、特に制限されないが、例えば、塗工が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、前記非液晶性ポリマーが、例えば0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部である。溶媒100重量部に対して前記非液晶性ポリマーが0.5重量部以上であると、塗工に適した粘度が得られるので好ましい。また、50重量部以下であると、滑らかな塗工面を形成できる粘度が得られるので好ましい。
【0068】
前記ポリマー溶液の溶媒としては、特に制限されず、例えば、前記非液晶性ポリマー等の形成材料を溶解できればよく、前記形成材料の種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等があげられる。これらの溶媒は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。また、前記基材を侵食しないものが好ましい。
【0069】
前記ポリマー溶液は、例えば、必要に応じて、さらに安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤を配合してもよい。
また、前記ポリマー溶液は、例えば、前記非液晶性ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等があげられる。
【0070】
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等があげられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等があげられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等があげられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂等があげられる。
【0071】
このように、前記他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、前記非液晶性ポリマーに対して、例えば、0〜50重量%であり、好ましくは、0〜30重量%である。
【0072】
前記ポリマー溶液の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等があげられる。また、塗工に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採用できる。
【0073】
前記非液晶性ポリマーの溶融液の塗工方法としては、前記基材に塗工可能な方法であれば限定されないが、例えば、キャスティング法、溶融押し出し法等が挙げられる。前記非液晶性ポリマーの溶融液は、例えば、必要に応じて、上述の安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤および異なる他の樹脂をさらに含有してもよい。
【0074】
次いで、前記基材の表面に形成された前記非液晶性ポリマーの塗工層を固化させて、前記基材の表面に前記非液晶性ポリマーフィルム(第1のフィルム)を形成する。
前記固化の方法としては、前記非液晶性ポリマーの溶液または溶融液を乾燥させ、フィルムを形成する方法であれば、特に制限されず、例えば、自然乾燥や加熱乾燥等があげられる。その条件も、例えば、前記非液晶性ポリマーの種類や、溶液の場合には前記溶媒の種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、温度は、通常、40℃〜250℃であり、好ましくは50℃〜200℃である。なお、乾燥は、一定温度で行っても良いし、段階的に温度を上昇または下降させながら行っても良い。乾燥時間も特に制限されないが、非液晶性ポリマーの溶液を用いた場合、乾燥により溶媒を除去する条件を用いる必要がある。通常、乾燥時間は、10秒〜60分、好ましくは30秒〜30分である。
【0075】
前記基材上に形成される前記第1のフィルムの厚みは、特に制限されないが、例えば、0.2〜100μmの範囲であり、好ましくは0.5〜50μmの範囲であり、より好ましくは1〜20μmの範囲である。
【0076】
このようにして、基材上に前記第1のフィルムを形成することができる。前記第1のフィルム自体は、基材の配向等に関わらず、光学的一軸性を示す。
【0077】
前記光学的一軸性とは、主屈折率nxとnyがほぼ同一であり、かつnzより大きい(nx≒ny>nz)負の一軸性と、主屈折率nxとnyがほぼ同一であり、かつnzより小さい(nx≒ny<nz)正の一軸性がある。具体的には、nxとnyの差は0.001以下程度であれば、光学的一軸性を示すものとして用いることができる。本発明の製造方法において、光学的一軸性とは、正の一軸性でも負の一軸性でも良いが、負の一軸性が好ましい。
【0078】
なお、前記nx、ny、nzとは、前記第1のフィルムにおける3つの光軸方向における屈折率をそれぞれ示す。具体的に、図1の概略図に前記第1のフィルムにおける屈折率(nx, ny, nz)の光軸方向の例を矢印で示す。屈折率nx, ny, nz は、前述のように、それぞれX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
【0079】
前記第1のフィルムの厚み方向の位相差(Rth)、即ち(nx−nz)×dで与えられる値は、後記する偏光照射により、値を大きく変化させることがないので、偏光照射後に得られる第2のフィルムの位相差と、ほぼ同一と考えることができる。この厚み方向の位相差は、通常20nm以上2000nm以下、より好ましくは50nm以上1000nm以下、さらに好ましくは100nm以上600nm以下である。20nm以上の場合は、広視野角において良好なコントラストが得られるため好ましい。2000nm以下の場合は、均一な光学的二軸性を与えることが可能であるので好ましい。
【0080】
次いで、前記第1のフィルムに偏光を照射することにより、前記第1のフィルム中の非液晶性ポリマーの分子配向を変化させて、前記第1のフィルムに光学的二軸性を付与する。このように、偏光を照射すると光学的二軸性が付与される原因は不明だが、本発明者らは、照射された偏光に対して特定の方向に存在する非液晶性ポリマーが分解され、その結果、非液晶性ポリマーが配向するからであると推察している。
【0081】
なお、本発明の製造方法においては、非液晶性ポリマーの溶液または溶融液が固化する途中および後のいずれかの時点で、非液晶性ポリマーに偏光を照射してもよい。また、前記第1のフィルムが基材上に形成されている場合、前記第1のフィルムから前記基材を剥離して除去する前および後のいずれかの時点で、前記第1のフィルムに偏光を照射してもよい。
【0082】
偏光照射により、前記第1のフィルムの3つの主屈折率のうちnx及びnzを大きく変化させることなくnyだけを小さく変化させることにより、光学的二軸性、例えば負の光学的二軸性(nx>ny>nz)を得ることができると考えられる。そのため、前記第1のフィルムにおける厚み方向位相差(Rth)の値を大きく変化させることなく、もう一つの重要なパラメーターである面内位相差(△nd)を、偏光照射の条件を選択することにより、制御することができる。
【0083】
照射する偏光は、特に限定されないが、直線偏光であることが好ましい。偏光の照射方向と、偏光の偏向方向については、特に限定されない。本発明において前記第1のフィルムは、nx≒nyであるので、流れ方向のいかなる角度からも偏光を照射できるので、遅相軸の方向を流れ方向に対していかなる角度にも制御できる。照射する偏光は特に限定されないが、例えば200〜400nmの範囲から選択される波長を有する光である。
【0084】
偏光の照射エネルギーは、光学的二軸性が得られるように適宜設定することができるが、例えば、0.01〜1000mJ/cm、好ましくは0.1〜100mJ/cm、より好ましくは1〜50J/cmである。照射エネルギーが1000mJ/cm以下であると、前記第1のフィルムまたは前記第2のフィルムの分解が生じず、クラック防止が可能となるので好ましい。照射エネルギーが0.01mJ/cm以上であると、所望の光学的特性が短時間で得られるので好ましい。
【0085】
偏光の照射時間は、光学的二軸性が得られれば、特に限定されないが、例えば1秒〜1時間、好ましくは5秒〜50分、より好ましくは10秒〜40分、照射することができる。なお、照射時間を長くすると、より光学的二軸性が強まった前記第2のフィルムが得られる。
【0086】
本発明の製造方法で得られた前記第2のフィルムは、基材が積層されている場合には、そのまま本発明の位相差フィルムとして使用してもよいし、その基材を剥離して、前記第2のフィルムのみを本発明の位相差フィルムとして使用してもよい。
【0087】
また、本発明の製造方法において、前記基材(以下、「第1の基材」という)と前記第1の基材上に形成された前記第2のフィルムとの積層体を、さらに他の基材(以下、「第2の基材」)上に、前記第2のフィルムが対向するように接着し、前記第1の基材のみを剥離して、前記第2のフィルムを形成してもよい。このように他の第2の基材に前記第2のフィルムを転写して、前記第1の基材を剥離することによって形成された前記第2のフィルムと前記第2の基材との積層体を、本発明の位相差フィルムとして使用することもできる。
【0088】
また、本発明の製造方法において、前記第1の基材上に形成された前記第1のフィルムとの積層体を、第2の基材上に転写し、その第2の基材と前記第1のフィルムの積層体に前述のように偏光を照射して配向させ、前記第2の基材上に前記第2のフィルムを形成してもよい。
この積層体を本発明の位相差フィルムとして使用してもよいし、前記積層体から前記基材を剥離して除去し、前記第2のフィルム単独で、本発明の位相差フィルムとして使用することもできる。
【0089】
転写に用いられる第2の基材としては、特に限定されないが、平面性を有するものが好ましい。透明で光学的等方性を有するガラスやポリマーフィルム等がさらに好ましい。かかるポリマーフィルムの形成材料としては、上述の基材(すなわち、第1の基材)で説明した、ポリマーフィルムの形成材が挙げられる。また、前記第2の基板は、例えば、光学的に等方性であることが好ましいが、用途に応じて、光学的異方性であってもよい。このような光学的異方性を有する第2の基板としては、例えば、前記ポリマーフィルムに延伸処理等を施した位相差フィルムや、光散乱性を有する光散乱フィルム、回折能を有する回折フィルム、偏光フィルム等でもよい。
【0090】
前記剥離方法は、ロール等を用いて機械的に剥離する方法、貼り合わせられた構造体の材料すべてに対する貧溶媒に浸漬したのち機械的に剥離する方法、前記貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、前記基材と前記位相差フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法等が挙げられる。前記基材と前記第2のフィルムの剥離性は、前記第2のフィルムを形成するのに用いた材料と、前記基材との密着性によって異なるため、適宜、最も適した方法を採用することができる。
【0091】
前記第2の基材と前記第2のフィルムとを貼り合せる接着剤または粘着剤は、特に制限されないが、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。前記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等があげられる。また、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も使用できる。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等があげられる。
【0092】
以上のような本発明の製造方法によって得られる前記第2のフィルムは、光学的二軸性の特性、例えば負の光学的二軸性(nx>ny>nz)を示す。このような光学特性を有するため、本発明の前記第2のフィルムを含む位相差フィルムは、液晶表示装置などの画像表示装置の表示特性を改善するのに有用である。
さらに、本発明の前記第2のフィルムは、軸精度が例えば−1°〜1°であり、好ましくは−0.5°〜0.5°である。
【0093】
つぎに、本発明の積層偏光板は、位相差フィルムを含む積層偏光板であって、前記位相差フィルムが本発明の位相差フィルムであることを特徴とする。このような積層偏光板は、前記本発明の製造方法により得られる位相差フィルムと、偏光板とを有していれば、その構成は特に制限されない。本発明の位相差フィルムと任意に組み合わせて用いられる偏光板は、偏光子のみでもよいし、偏光子と透明保護層との積層体であってもよい。中でも、そのような偏光板としては、偏光子の片面または両面に保護層が設けられ、偏光板として用いられることが好ましい。本発明の位相差フィルムは、そのような偏光子と積層され、その積層物の両面に保護層が設けられてもよい。
【0094】
前記偏光子(偏光フィルム)としては、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。また、前記偏光フィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、これには限定されない。
【0095】
前記保護層としては、特に制限されず、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTACフィルムが好ましい。
【0096】
また、前記保護層としては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムが挙げられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物があげられる。なお、前記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
【0097】
また、前記保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィルム厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+75mの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。前記位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。なお、下記式において、nx,ny,nzは、前述と同様であり、dは、その膜厚を示す。
Rth=(nx−nz)・d
【0098】
また、前記透明保護層は、さらに光学補償機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のものが使用できる。具体的には、例えば、前述した透明樹脂を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液晶ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を配置した積層体等があげられる。これらの中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、前記液晶ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、ディスコティック系やネマチック系の液晶ポリマーの傾斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセチルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例えば、富士写真フィルム株式会社製「WVフィルム」等の市販品があげられる。なお、前記光学補償位相差板は、前記位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによって、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
【0099】
前記透明保護層の厚みは、特に制限されず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定できるが、通常、500μm以下であり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは5〜150μmの範囲である
【0100】
前記透明保護層は、例えば、偏光フィルムに前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光フィルムに前記透明樹脂製フィルムや前記光学補償位相差板等を積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用することもできる。
【0101】
また、前記透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
【0102】
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形成する方式等があげられる。
【0103】
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100重量部あたり2〜70重量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜50重量部の範囲である。
【0104】
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視覚補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
【0105】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
【0106】
各構成物同士(位相差フィルム、偏光子、透明保護層等)の積層方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、前述と同様の粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類は、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。前記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等があげられる。また、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も使用できる。前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に塗布してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような層を前記表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。なお、前記接着剤を塗布する場合は、例えば、前記接着剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。これらの接着剤は、例えば、その水溶液を前記各構成物表面に塗工し、乾燥すること等によって使用できる。前記水溶液には、例えば、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合できる。これらの中でも、前記接着剤としては、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、PVA系接着剤が好ましい。
【0107】
本発明の積層偏光板は、実用に際して、前記本発明の位相差フィルムの他に、さらに他の光学層を含んでもよい。前記光学層としては、例えば、以下に示すような偏光板、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルム等、液晶表示装置等の形成に使用される、従来公知の各種光学層があげられる。これらの光学層は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、また、一層でもよいし、二層以上を積層してもよい。このような光学層をさらに含む積層偏光板は、例えば、光学補償機能を有する一体型偏光板として使用することが好ましく、例えば、液晶セル表面に配置する等、各種画像表示装置への使用に適している。
【0108】
以下に、このような一体型偏光板について説明する。
まず、反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに反射板が、前記半透過反射型偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに半透過反射板が、それぞれ積層されている。
【0109】
前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
【0110】
前記反射型偏光板は、例えば、前記弾性率を示す偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作成できる。具体的には、例えば、前記偏光板における透明保護層の片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、前記面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげられる。
【0111】
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、前記透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
【0112】
また、前述のように偏光板の透明保護層に前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、前記透明保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射板における前記反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避する点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
【0113】
一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を有するものである。前記半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミラー等があげられる。
【0114】
前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
【0115】
つぎに、本発明の積層偏光板に、さらに輝度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
【0116】
前記輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとしては、例えば、3M社製の商品名「D−BEF」等があげられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。これらは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merck社製の商品名「Transmax」等があげられる。
【0117】
本発明の各種偏光板は、例えば、前述のような複屈折層を含む積層偏光板と、さらに光学層とを積層して、2層以上の光学層を含む光学部材であってもよい。
【0118】
このように2層以上の光学層を積層した光学部材は、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
【0119】
前述のような各種偏光板は、例えば、液晶セル等の他の部材への積層が容易になることから、さらに粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、これらは、前記偏光板の片面または両面に配置することができる。前記粘着層の材料としては、特に制限されず、アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例えば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等でもよい。前記偏光板表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、前記偏光板の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記偏光板の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような層は、偏光板のいずれの表面に形成してもよく、例えば、偏光板における前記位相差フィルムの露出面に形成してもよい。
【0120】
このように偏光板に設けた粘着剤層等の表面が露出する場合は、前記粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的として、セパレータによって前記表面をカバーすることが好ましい。このセパレータは、前記透明保護フィルム等のような適当なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成できる。
【0121】
前記粘着剤層等は、例えば、単層体でもよいし、積層体でもよい。前記積層体としては、例えば、異なる組成や異なる種類の単層を組合せた積層体を使用することもできる。また、前記偏光板の両面に配置する場合は、例えば、それぞれ同じ粘着剤層でもよいし、異なる組成や異なる種類の粘着剤層であってもよい。
【0122】
前記粘着剤層の厚みは、例えば、偏光板の構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500μmである。
【0123】
前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等があげられる。
【0124】
前記粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、前記粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
【0125】
以上のような本発明の位相差フィルムや偏光板、各種光学部材(光学層をさらに積層した各種偏光板)を形成する偏光フィルム、透明保護層、光学層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによって、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
【0126】
本発明の位相差フィルムや積層偏光板は、前述のように、液晶表示装置等の各種装置の形成に使用することが好ましく、例えば、偏光板を液晶セルの片側または両側に配置して液晶パネルとし、反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。
【0127】
液晶表示装置を形成する前記液晶セルの種類は、任意で選択でき、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック(TN)型やスーパーツイストネマチック(STN)型に代表される単純マトリクス駆動型のもの、OCB(Optically Controlled Birefringence)セル、HAN(Hybrid Aligned Nematic)セル、VA(垂直配向;Vertical Aligned)セル等、種々のタイプの液晶セルが使用できる。これらの中でも、本発明の位相差フィルムや偏光板は、特にVAセルの光学補償に非常に優れているので、VAモードの液晶表示装置用の視角補償フィルムとして非常に有用である。
【0128】
また、前記液晶セルは、通常、対向する液晶セル基板の間隙に液晶が注入された構造であって、前記液晶セル基板としては、特に制限されず、例えば、ガラス基板やプラスチック基板が使用できる。なお、前記プラスチック基板の材質としては、特に制限されず、従来公知の材料があげられる。
【0129】
また、液晶セルの両面に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適当な部品を、適当な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0130】
さらに、本発明の液晶表示装置は、液晶パネルを含み、前記液晶パネルとして、本発明の液晶パネルを使用する以外は、特に制限されない。また、さらに光源を有する場合には、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
【0131】
本発明の液晶パネルの一例としては、以下のような構成があげられる。例えば、液晶セル、本発明の位相差フィルム、偏光子および透明保護層を有しており、前記液晶セルの一方の面に前記位相差フィルムが積層されており、前記位相差フィルムの他方の面に、前記偏光子および前記透明保護層が、この順序で積層されている構造である。前記液晶セルは、二枚の液晶セル基板の間に、液晶が保持された構成となっている。また、前記位相差フィルムが、前述のように複屈折層と基材との積層体である場合、その配置は特に制限されないが、例えば、前記複屈折層側が前記液晶セルに面しており、前記基材側が前記偏光子に面している形態があげられる。
【0132】
本発明の液晶表示装置は、視認側の位相差フィルム(偏光板)の上に、例えば、さらに拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層や保護板を配置したり、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板との間に補償用位相差板等を適宜配置することもできる。
【0133】
なお、本発明の位相差フィルムや積層偏光板は、前述のような液晶表示装置には限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)等の自発光型表示装置にも使用できる。自発光型フラットディスプレイに使用する場合は、例えば、本発明の位相差フィルムの面内位相差値Δndをλ/4にすることで、円偏光を得ることができるため、反射防止フィルターとして利用できる。
【0134】
以下に、本発明の積層偏光板を備えるエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置について説明する。本発明のEL表示装置は、本発明の位相差フィルムまたは偏光板を有する表示装置であり、このEL装置は、有機ELおよび無機ELのいずれでもよい。
【0135】
近年、EL表示装置においても、黒状態における電極からの反射防止として、例えば、偏光子や偏光板等の光学フィルムをλ/4板とともに使用することが提案されている。本発明の積層偏光板や位相差フィルムは、特に、EL層から、直線偏光、円偏光もしくは楕円偏光のいずれかの偏光が発光されている場合、あるいは、正面方向に自然光を発光していても、斜め方向の出射光が部分偏光している場合等に、非常に有用である。
【0136】
まずここで、一般的な有機EL表示装置について説明する。前記有機EL表示装置は、一般に、透明基板上に、透明電極、有機発光層および金属電極がこの順序で積層された発光体(有機EL発光体)を有している。前記有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層とアントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、また、前記正孔注入層と発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わせがあげられる。
【0137】
そして、このような有機EL表示装置は、前記陽極と陰極とに電圧を印加することによって、前記有機発光層に正孔と電子とが注入され、前記正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。前記正孔と電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、電流と発光強度とは、印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0138】
前記有機EL表示装置においては、前記有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要なため、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成された透明電極が陽極として使用される。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に、仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Li等の金属電極が使用される。
【0139】
このような構成の有機EL表示装置において、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極めて薄い膜で形成されることが好ましい。これは、前記有機発光層においても、透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過させるためである。その結果、非発光時に、前記透明基板の表面から入射して、前記透明電極と有機発光層とを透過して前記金属電極で反射した光が、再び前記透明基板の表面側へ出る。このため、外部から視認した際に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えるのである。
【0140】
本発明の有機EL表示装置は、例えば、前記有機発光層の表面側に透明電極を備え、前記有機発光層の裏面側に金属電極を備えた前記有機EL発光体を含む有機EL表示装置において、前記透明電極の表面に、本発明の位相差フィルムや積層偏光板等が配置されることが好ましく、さらにλ/4板を偏光板とEL素子との間に配置することが好ましい。このように、本発明の位相差フィルムや積層偏光板を配置することによって、外界の反射を抑え、視認性向上が可能であるという効果を示す有機EL表示装置となる。また、前記透明電極と光学フィルムとの間に、さらに位相差板が配置されることが好ましい。
【0141】
前記位相差フィルムや積層偏光板等は、例えば、外部から入射して前記金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって前記金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板として1/4波長板を使用し、かつ、前記偏光板と前記位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、前記金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、前記偏光板によって直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、前記位相差板によって、一般に楕円偏光となるが、特に前記位相差板が1/4波長板であり、しかも前記角がπ/4の場合には、円偏光となる。
【0142】
この円偏光は、例えば、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び、有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、前記位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、前記偏光板の偏光方向と直交しているため、前記偏光板を透過できず、その結果、前述のように、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができるのである。
【0143】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0144】
また、第1のフィルム(非液晶性ポリマーフィルム)や第2のフィルム(配向非液晶性ポリマーフィルム)の特性は、以下の方法で評価した。
位相差測定は、分光エリプソメーター(日本分光(株)製、商品名M−220)を用いて測定した。
膜厚測定は、波長700〜900nmで光干渉法により、自記分光光度計(大塚電子(株)製、商品名MCPD−2000)を用いて測定した。
軸精度測定は、位相差計(王子計測機器社(株)製、商品名:KOBRA21ADH)を用いて測定した。
【0145】
面内位相差△ndおよび厚み方向位相差Rthは、以下の式を用いて算出した。
△nd=(nx−ny)・d
Rth=(nx−nz)×d
なお、前記nx、nyおよびnzは、それぞれ前記第1のフィルムまたは前記第2のフィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記第1のフィルムまたは前記第2のフィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
【0146】
実施例1
2,2’−ビス(3,4ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルから合成された、以下の式(6)に示す重量平均分子量(Mw)2万のポリイミドを、メチルイソブチルケトンに溶解させて、20重量%溶液を調製した。
【0147】
【化13】
Figure 2004347699
【0148】
このポリイミド溶液を、ブレードコート法によりトリアセチルセルロース(基材)(長さ200m、幅350m、厚み80μm、富士写真フィルム社製)の片面上に、連続的に塗工した。塗工後、100℃で5分間乾燥させ、前記基材上に厚み6.7μmのポリイミド層(第1のフィルム)を得た。このポリイミド層のみの屈折率は、nx=ny>nz、△ndは0nm、Rthは246nmであり、負の一軸性を示していた。
【0149】
この基材上の前記第1のフィルムに、紫外線照射装置(偏光UV露光装置(センエンジニアリング(株)製))を使用して、入射角度90°で、5J/cmで、波長310nmの偏光紫外線を30分間照射して、基材上に形成された第2のフィルムを得た。
【0150】
この第2のフィルムの特性を調べるために、照射後の基材と第2のフィルムの積層物から、第2のフィルムを、アクリル系粘着剤を用いてガラス板の上に転写した。この第2のフィルムとガラス板の積層物のnx−ny、△nd、Rth、光学特性および軸精度の結果を表1に示す。同表に示すように、得られた第2のフィルムは、光学的二軸性を示した。
【0151】
実施例2
偏光紫外線の照射時間を60分にした以外は、実施例1と同様に行った。得られた第2のフィルムのnx−ny、△nd、Rth、光学特性および軸精度の結果を表1に示す。同表に示すように、得られた第2のフィルムは、光学的二軸性を示した。
【0152】
実施例3
偏光紫外線の照射時間を120分にした以外は、実施例1と同様に行った。得られた第2のフィルムのnx−ny、△nd、Rth、光学特性および軸精度の結果を表1に示す。同表に示すように、得られた第2のフィルムは、光学的二軸性を示した。
【0153】
比較例1
偏光紫外線の代わりに、非偏光紫外線を180分間照射した以外は、実施例1と同様に行った。得られた第2のフィルムのnx−ny、△nd、Rth、光学特性および軸精度の結果を表1に示す。同表に示すように、得られた第2のフィルムは、光学的二軸性を示した。
【0154】
比較例2
実施例1と同様にして、トリアセチルセルロース上にポリイミド層(第1のフィルム)を形成した。
この第1のフィルムと基材の積層物を、150℃で1.01倍、固定端一軸延伸させて、基材上に形成された第2のフィルムを得た。この第2のフィルムの特性を調べるために、得られた基材と第2のフィルムの積層物から、この第2のフィルムを、アクリル系粘着剤を用いてガラス板の上に転写した。この第2のフィルムとガラス板の積層物のnx−ny、△nd、Rth、光学特性および軸精度の結果を表1に示す。同表に示すように、得られた前記第2のフィルムは、光学的二軸性を示した。
【0155】
【表1】
Figure 2004347699
【0156】
前記表1に示すように、実施例1〜3および比較例1の結果から、偏光を照射した場合に、非液晶性ポリマーが配向され、その結果光学的二軸性が付与されることが確認できた。さらに、実施例1〜3および比較例2の結果から、得られた第2のフィルムは高い軸精度を有し、遅相軸のばらつきが抑制されたことが確認できた。また、実施例1〜3に示す結果から、偏光の照射時間を長くすることにより、△ndが大きくなり、強まった光学的二軸性が得られることも確認できた。
【0157】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーフィルムの製造方法であり、偏光照射により、非液晶性ポリマーを配向させる。このため、延伸や収縮工程を用いない方法であり、従って遅相軸のばらつきを抑制でき、軸精度が良好になる。また、非液晶性ポリマーを用いるので、配向基板や配向膜が不要である。

Claims (16)

  1. 光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーの第2のフィルムの製造方法であって、
    光学的一軸性の非液晶性ポリマーの第1のフィルムに偏光を照射し、前記第1のフィルム中の非液晶性ポリマーを配向させることにより、前記第1のフィルムに光学的二軸性を付与する製造方法。
  2. 前記第1のフィルムが、基材の表面に、固化すると光学的一軸性を示す非液晶性ポリマーの溶液または溶融液を塗工し、これを固化させることにより形成される請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記偏光の照射が、前記非液晶性ポリマーの溶液または溶融液の固化の途中および後の少なくとも1つの時点に行われる請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記第1のフィルムから前記基材を剥離して除去した後、前記第1のフィルムに偏光を照射する請求項2に記載の製造方法。
  5. 前記基材の表面に形成された前記第1のフィルムに、他の基材上を接着し、前記第1のフィルムが形成されていた前記基材のみを剥離して除去した後、前記第1のフィルムに偏光を照射する請求項2に記載の製造方法。
  6. 前記偏光が、200〜400nmの範囲にある波長を有する光である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記第1のフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選択される1以上のポリマーから形成される請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記第1のフィルムが、負の光学的一軸性である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記第2のフィルムが、負の光学的二軸性である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られる光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルム。
  11. 軸精度が、−1°〜1°である請求項10に記載の光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルム。
  12. 請求項10または11に記載の光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルムを含む位相差フィルム。
  13. 位相差フィルムを含む積層偏光板であって、前記位相差フィルムが請求項12に記載の位相差フィルムである積層偏光板。
  14. 液晶セルおよび光学部材を含み、前記液晶セルの少なくとも一方の表面に前記光学部材が配置された液晶パネルであって、前記光学部材が、請求項10もしくは11に記載の光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルム、請求項12に記載の位相差フィルムまたは請求項13に記載の積層偏光板である液晶パネル。
  15. 液晶パネルを含む液晶表示装置であって、前記液晶パネルが請求項14に記載の液晶パネルである液晶表示装置。
  16. 請求項10もしくは11に記載の光学的二軸性の配向非液晶性ポリマーのフィルム、請求項12に記載の位相差フィルムまたは請求項13に記載の積層偏光板を含むことを特徴とする画像表示装置。
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