JP2004346243A - 静電インクジェットインク組成物およびこれを用いた画像形成方法 - Google Patents

静電インクジェットインク組成物およびこれを用いた画像形成方法 Download PDF

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誠治 堀江
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Abstract

【課題】高濃度で滲みが少ないドットを高速で印字することができ、記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れ、高速定着性、耐擦過性を有し、長期間安定に印字することができる静電インクジェットインク組成物、およびこれを用いた画像形成方法を提供すること。
【解決手段】比誘電率1.5〜20、表面張力15〜60mN/mを有する非水溶媒と、色材と、樹脂と、荷電調節剤とを主成分とする静電型インクジェット記録装置用のインク組成物であって、前記樹脂が、特定のスチレン誘導体成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、特定の脂肪族基成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、特定の塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有するインク組成物と、これを用いた静電インクジェット方式の画像形成方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電インクジェットインク組成物およびこれを用いた画像形成方法に関するものであり、詳しくは、高濃度で滲みの少ないドットを高速で安定に印字することができる静電インクジェットインク組成物およびこれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクを記録媒体に飛翔させ記録ドットを形成することにより印字を行うインクジェット記録法は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンインパクト記録法として関心を集めており、この方式を用いたプリンターが種々実用化されている。インクジェット記録法としては、例えば、安居院猛等,「リアルカラーハードコピー」,産業図書(株)(1993年刊)、大野信,「ノンインパクトプリンティング−技術と材料−」,(株)シーエムシー(1986年刊)、甘利武司,「インクジェットプリンタ−技術と材料」,(株)シーエムシー(1998年刊)等に記載されており、オンデマンド(随意噴射)とコンティニュアス(連続噴射)の方式がある。更に連続型では静電方式(Sweet型、Hertz型)、オンデマンド型ではピエゾ圧電方式、シェアモードピエゾ圧電方式、サーマルインクジェット方式と呼ばれる記録方式等が知られている。オンデマンド型インクジェット記録法の一つとして、一ノ瀬進,大庭有二,電子通信学会論文誌,Vol.J66−C,(No.1), 47ページ(1983)、大野忠義,水口衛,画像電子学会誌,Vol.10,(No.3),157ページ(1981)等に記載の静電加速型インクジェットあるいはスリットジェットと呼ばれる方式が知られている。この方式では、記録媒体に対向して配置された複数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極とに電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インクを記録媒体上に飛翔させるもので、具体的態様が、例えば特開昭56−170号公報、特開昭56−4467号公報、特開昭57−151374号公報等に開示されている。
この方式は、従来のインクジェットヘッドにおけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を有する細長いスリット状のインク吐出口を用いていて、このスリット状インク室にインクを供給し、これらの電極に選択的に高電圧を印加することにより、スリットと近接対向する記録紙に電極近傍のインクを噴射させて記録するものである。
【0003】
このため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、またヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低減が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーできる長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するためにも有効な方法である。
【0004】
このような静電加速型インクジェット方式により構成された、ドロップオンデマンド型のフルカラー記録ヘッドの一例が、例えば電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2(1985年),93〜100ページや特許文献1(特公昭60−59869号公報)に開示されている。
【0005】
この静電加速型インクジェットヘッドにおいては、有機溶剤に染料を溶解した油性インクが好適に用いられ、インクの構成材料に関しては詳細に開示されてはいないが、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2,pp.93−100,(1985年)に見られる例では、体積抵抗率(電気抵抗率)が10〜10Ω・cm、表面張力が22mN/m、粘度が3.1〜6.9cPの物性値を有するインクが用いられている。
【0006】
しかしながら、このような油性インクは、他のインジェット方式において一般に用いられている水性インクと比較し表面張力が低いために、記録紙への浸透性が非常に大きく、特に普通紙に印字を行う場合において、印字濃度の低下やにじみ、裏写りを生じやすい。
【0007】
一方、スリット状の記録ヘッドを用いない色材濃縮吐出型の静電方式が、特許文献2(特開平9−193389号公報)および特許文献3(特開平10−138493号公報)に開示されている。これは、インク中の色剤成分に静電力を作用させるための複数個の個別電極を、貫通孔の形成された絶縁性基板とこの貫通孔に対応して形成された制御電極とからなる制御電極基板と、この貫通孔のほぼ中心位置に配置された凸状インクガイドとから構成し、この凸状インクガイドの表面を表面張力でインクをインク滴飛翔位置まで運び、制御電極に所定の電圧を印加することで記録媒体にインク滴を飛翔させ記録するものである。
【0008】
この色材濃縮吐出型の静電インクジェット方式では、色材粒子を電気泳動により吐出口部に集中させ、色材粒子が高濃度に濃縮された形でインク滴を飛翔させる。このため、前述の方式とは異なり、インクの構成成分が均一な状態で多量の液体成分を含んだまま吐出されるのではなく、色材粒子が凝集され液体成分が少ない状態で吐出されることにより、上述の印字濃度の低下やにじみ、裏写りを生じやすい点が改善される。また、顔料を色材として用いることにより、従来の染料を用いたインクジェットヘッドに比べ、印字画像の耐水性、耐光性に関しても有利な結果が得られる。
【0009】
この様な色材濃縮吐出型の静電インクジェットインクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にインクの体積抵抗率が十分大きいことが必要である。このことにより記録電極と対向電極により形成されインクに印加された電界を色材粒子に到達させることが可能となる。また、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してしまい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含んだまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有していること、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高い粒子電導度を有していることが必要である。また、吐出性能と色材粒子の沈降防止との兼ね合いから、色材粒子の平均粒径は、0.3〜4μm程度、更に吐出性能からは色材粒子の粒径が揃っている理由から、特に0.2μm以下の微小な色材粒子が少ないことが望まれていた。
【0010】
このような色材粒子は、顔料等の色材と樹脂から構成される場合、色材を被覆させる樹脂としては、一般に、(1)顔料表面を十分に被覆して色材混和物を形成し、熱などにより適度の流動性を持つこと、(2)色材を被覆することにより分散媒中によく分散させること、(3)なるべく透明であること、(4)定着により記録媒体に固着して十分な耐擦過性を与えること等の特性を有することの他に、前記の静電インクジェットインクでは、(5)色材粒子に正極性もしくは負極性の高い粒子電導度を付与すること、が望まれていた。
【0011】
一方、特許文献4(特開平2−74958号公報)には、レジスト性に優れた、正荷電性付与成分を含む画像形成粒子を有する樹脂を含む正荷電性印刷版用液体現像剤が開示されている。
【0012】
樹脂に望まれる上記の特性、すなわち、色材に吸着し分散媒中によく分散させる機能、更に記録媒体に固着して十分な耐擦過性を与える機能、色材粒子に高い粒子電導度を付与する機能から、樹脂の基本構成としては、分散媒に溶媒和する成分と溶媒和しにくい成分、更には荷電付与基を有する成分を持っているのが理想であるが、これらの特性をすべて満足する樹脂を見いだすのは困難であった。
【0013】
【特許文献1】
特公昭60−59869号公報
【特許文献2】
特開平9−193389号公報
【特許文献3】
特開平10−138493号公報
【特許文献4】
特開平2−74958号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、インク中の色材粒子が高い正極性の比電導度を有することにより、高濃度で滲みが少ないドットを高速で印字することができる静電インクジェットヘッド用の静電インクジェットインク組成物を提供することである。
本発明の第二の目的は、記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ、高速定着性、耐擦過性を有する静電インクジェットヘッド用の静電インクジェットインク組成物を提供することである。
本発明の第三の目的は、色材粒子の荷電量を長期間に亘り安定に保持できるために長期間の安定に印字することができる静電インクジェットヘッド用の静電インクジェットインク組成物を提供することである。
本発明の第四の目的は、該インク組成物を用いた静電インクジェット方式の画像形成方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、前記目的は下記構成により達成されることが見出された。
即ち本発明は、以下の通りである。
(1)比誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒と、前記非水溶媒に不溶な色材と、前記非水溶媒に不溶な樹脂と、前記非水溶媒に可溶な荷電調節剤とを主成分とする静電型インクジェット記録装置用のインク組成物であって、前記非水溶媒に不溶な樹脂が、下記一般式(I)で示されるスチレン誘導体成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、下記一般式(II)で示される脂肪族基成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、下記一般式(IIIa)及び下記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有する共重合体であることを特徴とする静電インクジェットインク組成物:
【0016】
【化6】
Figure 2004346243
【0017】
[一般式(I)中、 aとaは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、−COO−Z (Zは水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。]
【0018】
【化7】
Figure 2004346243
【0019】
[一般式(II)中、Lは−COO−、−OCO−、−(CH−OCO−、−(CH−COO−又は−O−の連結基を表す。ただし、該連結基は組み合わせて用いてもよい。ここで、kは1〜3の整数を表す。bとbは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基を表す。Qは炭素数4〜22の脂肪族基を表す。]
【0020】
【化8】
Figure 2004346243
【0021】
【化9】
Figure 2004346243
【0022】
[一般式(IIIa)及び (IIIb)中、L、Lは−COO−、−CONH−、
【0023】
【化10】
Figure 2004346243
【0024】
、複素環残基、単なる結合を表し、A、Aはフェニレン基、−(CH−(mは1〜4の整数)、単なる結合を表す。dとd、eとeは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基を表す。R 〜R は、各々同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す。R とR及びR とRはそれぞれ結合して窒素原子と共に環を形成する有機残基を表してもよい。Xは陰イオンを表す。]
(2)前記非水溶媒に不溶な樹脂が、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を25〜98質量%、前記一般式(II)で示される繰り返し単位を1〜45質量%、前記一般式(IIIa)及び前記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種を1〜30質量%含有する共重合体であることを特徴とする前記(1)に記載の静電インクジェットインク組成物。
【0025】
(3)前記非水溶媒に不溶な樹脂が、前記一般式(I)で示される繰り返し単位と、前記一般式(II)で示される繰り返し単位と、前記一般式(IIIa)及び前記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有する共重合体であって、前記共重合体が、2×10〜5×10の範囲の重量平均分子量を有し、且つ30〜120℃の範囲の軟化点を有することを特徴とする前記(1)に記載の静電インクジェットインク組成物。
(4)前記色材が、平均粒径0.3〜4μmの範囲の粒子であり、且つ0.2μm以下の粒子の割合が体積基準で10%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電インクジェットインク組成物。
(5)前記静電インクジェットインク組成物の25℃における体積抵抗率が10Ω・cm以上であり、かつ前記静電インクジェットインク組成物中の色材粒子の粒子電導度が100pS/cm以上であることを特徴とする前記(4)に記載の静電インクジェットインク組成物。
【0026】
(6)複数の記録電極が配置された記録ヘッドにインク組成物を導入し、前記記録電極に電圧を印加して、前記インク組成物に静電力を作用させ色材粒子が濃縮された形でインク滴を飛翔させ、対向するように配置された記録媒体上に画像を形成し記録を行う静電インクジェット方式の画像形成方法において、前記インク組成物が前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電インクジェットインク組成物であることを特徴とする前記画像形成方法。
【0027】
(7)前記非水溶媒に不溶な樹脂が、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を25〜98質量%、前記一般式(II)で示される繰り返し単位を1〜45質量%、前記一般式(IIIa)及び前記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種を1〜30質量%含有する共重合体であることを特徴とする前記(6)に記載の画像記録方法。
(8)前記非水溶媒に不溶な樹脂が、前記一般式(I)で示される繰り返し単位と、前記一般式(II)で示される繰り返し単位と、前記一般式(IIIa)及び前記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有する共重合体であって、前記共重合体が、2×10〜5×10の範囲の重量平均分子量を有し、且つ30〜120℃の範囲の軟化点を有することを特徴とする前記(6)に記載の画像形成方法。
(9)前記色材が、平均粒径0.3〜4μmの範囲の粒子であり、且つ0.2μm以下の粒子の割合が体積基準で10%以下であることを特徴とする前記 (6)〜(8)のいずれかに記載の画像形成方法。
(10)前記静電インクジェットインク組成物の25℃における体積抵抗率が10Ω・cm以上であり、かつ前記静電インクジェットインク組成物中の色材粒子の粒子電導度が100pS/cm以上であることを特徴とする前記 (9)に記載の画像形成方法。
【0028】
なお、前記一般式(I)、(II)、(IIIb)を含有する樹脂は、特開平2−74958号公報に既に開示されている。しかしながら、特開平2−74958号公報では、印刷版用液体現像剤の樹脂としてレジスト性が必須の樹脂として使用しており、また大部分は顔料を含有しない樹脂粒子に関するものである。従って、特開平2−74958号公報では静電インクジェットヘッド用の静電インクジェットインク組成物における被覆樹脂としての使用については何ら言及していない。特に色材粒子の濃縮吐出のために色材粒子が正極性もしくは負極性の高い粒子電導度を有していること、更に、吐出性能からは色材粒子の粒径が揃っていることが好ましく、特に0.2μm以下の微小な色材粒子が少ないことなどについては何ら言及していない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用される比誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒に必要な特性としては、毒性の少ないこと、引火性が少ないこと、臭気が少ないことであり、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、石油ナフサ及びこれらのハロゲン置換体等から選ばれた溶媒が挙げられる。例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、エクソン社のアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、フィリップ石油社のソルトール、出光石油化学社のIPソルベント、石油ナフサではシェル石油化学社のS.B.R.、シェルゾール70、シエルゾール71、モービル石油社のベガゾール等から選ばれた溶媒を単独あるいは混合して用いることができる。
【0030】
好ましい炭化水素溶剤としては、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン系炭化水素が挙げられ、市販品としては前述のエクソン化学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノーパー12,13,15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300,400(商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等が挙げられる。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であり、25℃における粘度は3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・cm以上である。また、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。
ハロゲン置換の炭化水素系溶媒としては、フルオロカーボン系溶媒があり、例えばC16、C18などのC2n+2で表されるパーフルオロアルカン類(住友3M社製「フロリナートPF5080」、「フロリナートPF5070」(商品名)等)、フッ素系不活性液体(住友3M社製「フロリナートFCシリーズ」(商品名)等)、フルオロカーボン類(デュポンジャパンリミテッド社製「クライトックスGPLシリーズ」(商品名)等)、フロン類(ダイキン工業株式会社製「HCFC−141b 」(商品名)等)、[F(CFCHCHI]、[F(CFI]等のヨウ素化フルオロカーボン類(ダイキンファインケミカル研究所製「I−1420」、「I−1600」(商品名)等)等がある。
【0031】
本発明で使用される非水溶媒として、更に高級脂肪酸エステルや、シリコーンオイルも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製のSH200(商品名)等がある。シリコーンオイルとしてはこれらの具体例に限定されるものではない。これらのジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広い粘度範囲のものが入手可能であるが、1〜20cStの範囲のものを用いるのが好ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラフィン系炭化水素同様、1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった特徴を有している。またこれらのジメチルポリシロキサンは、表面張力が低いことに特徴があり、18〜21mN/mの表面張力を有している。
【0032】
これらの非水溶媒とともに、混合して使用できる溶媒としては、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)及びハロゲン化炭化水素類(例えばメチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等の溶媒が挙げられる。
【0033】
次に本発明で使用される色材について詳細に述べる。
色材としては、前記非水溶媒に不溶であれば特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、もしくは顔料を分散媒に不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等), C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等), C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、 C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、 C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0034】
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ビグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、 C.I.ビグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、 C.I.ビグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ビグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ビグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、 C.I.ビグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ビグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、 C.I.ビグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ビグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、 C.I.ビグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、 C.I.ビグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、 C.I.ビグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、 C.I.ビグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、 C.I.ビグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0035】
シアン色を呈する顔料として、C.Iピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、 C.I.ビグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、 C.I.ビグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ビグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、 C.I.ビグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、 C.I.ビグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0036】
ブラック色を呈する顔料として、BK−1(アニリンブラック)の如きアニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、及びファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類が挙げられる。カーボンブラック顔料の具体例としては、三菱化学(株)のMA−8,MA−10,MA−11,MA−100,MA−220,#25,#40,#260,#2600,#2700B,#3230B,CF−9,MA−100R、MA−200RBや、デグサ社のプリンテックス75,90、キャボット社のモナーク800,1100等が挙げられる。 また、金、銀、銅などの色再現のために金属粉を使用してもよい。
【0037】
その他、ロジンエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等に顔料微粒子を分散させた加工顔料が市販されており、これを用いてもよい。市販加工顔料の具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ社のマイクロリス顔料等が挙げられ、好ましい加工顔料の例としては、ロジンエステル樹脂で顔料を被覆したマイクロリス−T顔料が挙げられる。
【0038】
本発明のインクにおける、色材の濃度は、インクの総量に対して0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%の範囲であることが好ましい。色材の濃度を0.5質量%以上にすることで十分な印字濃度が得られる。また、色材の濃度を20質量%以下にすることでインクの粘度が著しく増大することなく、安定なインク吐出が行える。
【0039】
次に、本発明のインク組成物における非水溶媒に不溶な樹脂について説明する。
本発明のインク組成物の特徴である樹脂は、前記非水溶媒に不溶であって、下記一般式(I)で示されるスチレン誘導体成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、下記一般式(II)で示される脂肪族基成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、下記一般式(IIIa)及び下記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有することを特徴とする。
【0040】
【化11】
Figure 2004346243
【0041】
一般式(I)中、 aとaは、互いに同じでも異なってもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素原子等)、シアノ基、炭化水素基、例えば炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基又はプロピル基等)を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素原子等)、炭化水素基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、又は−COO−Z (Zは水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。R、Zにおける炭化水素基としては、炭素数1〜22の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基、もしくは架橋環式炭化水素基が挙げられ、これらは置換されていてもよい。
【0042】
、Zにおける好ましい炭化水素基をさらに例示する。該炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、 炭素数4〜18の置換されていてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基,2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、 炭素数7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、 炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、又は炭素数5〜18の架橋環式炭化水素基(例えば、ビシクロ〔1,1,0〕ブタン、ビシクロ〔3,2,1〕オクタン、ビシクロ〔5,2,0〕ノナン、ビシクロ〔4,3,2〕ウンデカン、アダマンタン等の基)が挙げられる。
は、水素原子、炭化水素基として炭素数1〜5のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基)が、更に好ましい例として挙げられる。
一般式(I)で示される繰り返し単位に相当する単量体の好ましい例としては、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の他に、片末端にメタクロイル基を有するポリスチレンのマクロモノマー(商品名AS−6:東亜合成(株))等のマクロモノマーが挙げられる。
【0043】
【化12】
Figure 2004346243
【0044】
一般式(II)中、Lは−COO−、−OCO−、−(CH−OCO−、−(CH−COO−又は−O−の連結基を表す。ただし、該連結基は組み合わせて用いてもよい。Lの好ましい例としては−COO−、−OCO−が挙げられる。ここで、kは1〜3の整数を表す。bとbは、互いに同じでも異なってもよく、前記a、aと同義であり、具体的には、前記aとaについて説明したものと同様の内容を表わす。Qは炭素数4〜22の脂肪族基、例えば直鎖状或は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。具体的には、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等が挙げられる。
【0045】
一般式(II)で示される繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
【化13】
Figure 2004346243
【0047】
一般式(II)で示される繰り返し単位に相当する単量体としては、上述の脂肪族基を有するアクリレート、メタクリレートの他に、マクロモノマーが挙げられる。一般式(II)で示される繰り返し単位に相当するマクロモノマーとしては、片末端にメタクロイル基を有するポリブチルメタクリレートのマクロモノマー(商品名AB−6:東亜合成(株))、片末端にメタクロイル基を有するポリラウリルメタクリレートのマクロモノマー、片末端にメタクロイル基を有するポリステアリルメタクリレートのマクロモノマー等が挙げられる。
【0048】
【化14】
Figure 2004346243
【0049】
【化15】
Figure 2004346243
【0050】
一般式(IIIa)、 (IIIb)中、L、Lは−COO−、−CONH−、
【0051】
【化16】
Figure 2004346243
【0052】
、複素環残基、単なる結合を表し、A、Aはフェニレン基、−(CH−(mは1〜4の整数)、単なる結合を表す。dとd、eとeは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ前記a、aと同義であり、具体的には、前記aとaについて説明したものと同様の内容を表わす。R 〜R は、各々同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す。R 〜Rの炭化水素基としては、炭素数1〜22の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基、アリール基もしくは架橋環式炭化水素基を表わし、これらは置換されていてもよい。
【0053】
〜Rの好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオンアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)等が挙げられる。
【0054】
また、R とR及びR とRはそれぞれ結合して窒素原子と共に環を形成する有機残基を表してもよい。この有機残基は更に、ヘテロ原子(例えば酸素原子、窒素原子、イオウ原子等)を含有してもよい。形成される環状アミノ基としては、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、イミダゾリル基、キノリル基、等が挙げられる。Xは陰イオンを表す。
陰イオン成分としてはハロゲン、モノメチル硫酸、p−トルエンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸イオンなどが挙げられる。その他特開昭59−137960号公報に記載の各種の陰イオンも挙げることができる。
【0055】
一般式(IIIa)で示される繰り返し単位に相当するアミノ基を有する単量体の具体例、及び又は一般式(IIIb)で示される繰り返し単位に相当する4級アンモニウム塩を有する単量体の具体例を以下に示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化17】
Figure 2004346243
【0057】
【化18】
Figure 2004346243
【0058】
【化19】
Figure 2004346243
【0059】
本発明における樹脂は色材と共に用いられ色材粒子を形成し、最終的に画像を形成する。この樹脂に要求される特性としては、色材に吸着し分散媒中によく分散させる機能、別の特性として熱的な特性つまり容易に定着可能であり、かつ室温においては流動しない熱特性を有する機能、更に記録媒体に固着して十分な耐擦過性を与える機能、及び色材粒子に高い粒子電導度を付与する機能が要求される。
【0060】
本発明において、一般式(I)で示されるスチレン誘導体成分を含有する繰り返し単位は、形成画像に耐擦過性を与える機能と共に、0.2μm以下の微小な色材粒子を少なくして良好な吐出性能を与える機能を有する。一般式(II)で示される脂肪族基成分を含有する繰り返し単位は、分散性を付与する機能を有し、脂肪族基成分Qのアルキル基の炭素数が長い程、非水溶媒に対する親和性が高いため少量でも分散性の改良に効果がある。また、熱特性を制御し容易に定着できる機能を有する。一般式(IIIa)及び/又は一般式(IIIb)で示される塩基性成分を含有する繰り返し単位は、色材粒子に高い正極性の粒子電導度を付与する機能を有し、荷電調節剤によって容易に正荷電性を付与し、かつその粒子電導度をコントロールすることができる。
【0061】
これらの要求される性能を総合的に満足させる樹脂は、中でも、一般式(I)で示される繰り返し単位を25〜98質量%、一般式(II)で示される繰り返し単位を1〜45質量%、一般式(IIIa)及び/又は一般式(IIIb)で示される繰り返し単位を1〜30質量%含有する共重合体である。
一般式(I)で示される繰り返し単位を25質量%以上含有することにより、0.2μm以下の微小な色材粒子が少なくなり良好な吐出性能を与える。0.2μm以下の微小な色材粒子を少なくするためには、ビニルトルエンなどのアルキル置換スチレンをスチレンと共に含有することが好ましい。一般式(II)で示される繰り返し単位を45質量%以下にすることにより、良好な分散性とともに0.2μm以下の微小な色材粒子が少なくなり良好な吐出性能を与える。また、室温においては流動しない熱特性を有し、容易に定着できる。このためには、一般式(II)で示される繰り返し単位を含有する単量体としては、脂肪族基成分Qのアルキル基の炭素数が12以上の繰り返し単位を含有する単量体と共に、定着性の改良に効果があるアクリレートの導入が好ましく、特にブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を用いるのが好ましい。
一般式(IIIa)及び/又は一般式(IIIb)で示される塩基性成分を含有する繰り返し単位を1〜30質量%含有することにより、良好な分散性と色材粒子に高い正極性の粒子電導度を付与することができる。また、一般式(IIIb)で示される繰り返し単位の含有量を30質量%以下にすることにより、樹脂の軟化温度を高めることなく容易に定着できる。
【0062】
本発明において、樹脂の分子量は、GPC法によるポリスチレン換算で重量平均分子量が2×10〜5×10の範囲であり、好ましくは5×10〜1×10の範囲である。分子量を2×10以上とすることで微小な色材粒子が少なくなり良好な吐出性能を与える。また分子量を5×10未満とすることで良好な分散性・定着性が得られる。
本発明において、樹脂の軟化点は30〜120℃の範囲が好ましく、軟化点が30℃以上では形成画像がブロッキングすることがなく、また軟化点が120℃以下であれば定着により多くのエネルギーを必要せずに容易に定着できる。軟化点は特開昭60−134792号公報で示した方法による軟化開始温度である。
【0063】
本発明における樹脂では、一般式(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)で示される繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な、重合性官能基を2個以上有する単量体を更に併用してもよい。
重合性官能基を2個以上有する単量体は、これらの重合性官能基を同一のものあるいは異なったものを2個以上有した単量体であればよく、その具体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体として、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のスチレン誘導体、多価アルコール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ボリエチレングリコール#200、#400、#600、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなど)、ポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類、二塩基酸(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルアミド類又はアリルアミド類、ポリアミン(例えばエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1.4−ブチレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、アリル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0064】
また、異なる重合性官能基を有する単量体としては、例えば、ビニル基を含有するカルボン酸〔例えば、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイルプロピオン酸、アクリロイルプロピオン酸、イタコニロイル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無水物とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリルオキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリルアミノカルボニルプロピオン酸等)等〕のビニル基を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えば、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等);及びアミノアルコール類(例えばアミノエタノ一ル、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)と、ビニル基を含有したカルボン酸との縮合体などが挙げられる。
本発明に用いられる2個以上の重合性官能基を有する単量体の使用量は、前述の樹脂の要求特性に悪影響を与えない範囲で使用でき、好ましい範囲としては全単量体の10質量%以下である。
【0065】
本発明における樹脂は、前記一般式(I)、(II)、(IIIa)、(IIIb)で示される繰り返し単位に相当する単量体群を所望の割合で共重合させることによって得ることができる。
重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、沈澱重合、乳化重合等の従来公知の方法により得ることができる。例えば、溶液重合ではベンゼン、トルエン等の溶媒中、単量体を所定の割合で添加し、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどのラジカル重合開始剤によって共重合体溶液を得ることができる。これを乾燥又は貧溶媒に添加することにより所望の共重合体を得ることができる。又、懸濁重合ではポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン等の分散剤の存在下、単量体を懸濁させ、ラジカル重合開始剤の存在下で共重合体を得ることができる。これらの重合においては、分子量の調節のためラウリルメルカプタンのようなメルカプタン類等の連鎖移動剤も使用できる。
一般式(IIIb)で示される4級アンモニウム塩を導入するには、一般式(I)、(II)、(IIIa)示される繰り返し単位に相当する単量体群から作製したアミノ基を有する共重合体に、更にハロゲン化アルキル、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸エステル等の試薬を用いて4級化反応を行なうことで好ましく達成される。
【0066】
本発明における樹脂の具体例としては、下記一般式(IV)〜(X)で表される樹脂が好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化20】
Figure 2004346243
【0068】
一般式(IV)中、a、a、d、dは、水素原子またはCHを表し、Lは、−COO−、−CONH−、
【0069】
【化21】
Figure 2004346243
【0070】
を表す。Q、Qは、炭素数4〜22のアルキル基を表す。R、Rは、一般式(IIIa)と同一内容を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基を表す。nは1〜4の整数である。また、x:(y+y):z=(25〜89):(10〜45):(1〜30)である。
【0071】
【化22】
Figure 2004346243
【0072】
一般式(V)中、a、a、e、eは、水素原子またはCHを表し、L、Q、Q、R、nは、一般式(IV)と同一内容を表す。R〜R、Xは、一般式(IIIb)と同一内容を表す。また、x:(y+y):z=(25〜89):(10〜45):(1〜30)である。
【0073】
【化23】
Figure 2004346243
【0074】
一般式(VI)中、a、a、d、d、L、Q、Q、R、R、nは一般式(IV)と同一内容を表す。Rは、炭素数1〜22のアルキル基である。また、(x+x):(y+y):z=(25〜98):(1〜45):(1〜30)である。
【0075】
【化24】
Figure 2004346243
【0076】
一般式(VII)中、a、a、e、e、L、Q、Q、R〜R、X、nは一般式(V)と同一内容を表す。Rは、炭素数1〜22のアルキル基である。また、(x+x):(y+y):z=(25〜98):(1〜45):(1〜30)である。
【0077】
【化25】
Figure 2004346243
【0078】
一般式(VIII)中、a、a、e、e、Q、Q、nは一般式(VII)と同一内容を表す。Rは、炭素数1〜22のアルキル基である。Rは炭素数1〜22のアルキル基または炭素数7〜22のアラルキル基である。丸で囲まれたArは、窒素原子を含むヘテロ環基(例えばイミダゾール基、ピリジン基等である。また、(x+x):(y+y):z=(25〜98):(1〜45):(1〜30)である。
【0079】
【化26】
Figure 2004346243
【0080】
一般式(IX)中、a、a、d、d、L、Q、Q、R、nは一般式(VI)と同一内容を表す。b、bは、水素原子またはメチル基である。Wは、−(CH−S−、−(CH−OCO−(CH−S−、−CHCH(OH)CHOCO−(CH−S−を表す。ここで、mおよびlは1〜4の整数を表す。また、(x+x):(y+y):z=(25〜98):(1〜45):(1〜30)である。
【0081】
【化27】
Figure 2004346243
【0082】
一般式(X)中、a、a、e、e、L、Q、R、nは一般式(VII)と同一内容を表す。b、bは、水素原子またはメチル基である。W、m、lは一般式(IX)と同一内容を表す。1〜4の整数を表す。また、(x+x):(y+y):z=(25〜98):(1〜45):(1〜30)である。
【0083】
色材と樹脂の使用量は、色材1質量部に対して、樹脂は0.3〜10質量部用いられる。好ましくは、色材1質量部に対して、樹脂は0.4〜7質量部用いられる。より好ましくは、色材1質量部に対して、樹脂は0.5〜5質量部用いられる。色材に対して樹脂の使用量を0.3質量部以上とすることで混練時の顔料分散効果が得られる。また、色材に対して樹脂の使用量を10質量部以下とすることで、インク組成物中の色材濃度が大きく低下せず必要な画像濃度が得られる。
【0084】
次に、本発明における非水溶媒に可溶な荷電調節剤について説明する。
本発明において使用する荷電調節剤としては、公知のものを使用することができる。例えばナフテン酸、オクテン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸の金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩、特公昭45−556号、特開昭52−37435号、特開昭52−37049号の各公報等に示されている油溶性スルホン酸金属塩、特公昭45−9594号公報に示されているリン酸エステル金属塩、特公昭48−25666号公報に示されているアビエチン酸もしくは水素添加アビエチン酸の金属塩、特公昭55−2620号公報に示されているアルキルベンゼンスルホン酸Ca塩類、特開昭52−107837号、同52−38937号、同57−90643号、同57−139753号の各公報に示されている芳香族カルボン酸あるいはスルホン酸の金属塩類、ポリオキシエチル化アルキルアミンのような非イオン性界面活性剤、レシチン、アマニ油等の油脂類、ポリビニルピロリドン、多価アルコールの有機酸エステル、特開昭57−210345号公報に示されているリン酸エステル系界面活性剤、特公昭56−24944号公報に示されているスルホン酸樹脂等を使用することができる。また特開昭60−21056号、同61−50951号の各公報に記載されたアミノ酸誘導体も使用することができる。また特開昭60−173558号、同60−179750号の各公報に記載されているマレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体等が挙げられる。さらに特開昭54−31739号、特公昭56−24944号の各公報等に示されている4級化アミンポリマーを挙げることができる。
【0085】
これらの内で好ましいものとしては、ナフテン酸の金属塩、ジオクチルスルホコハク酸の金属塩、前記マレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体、レシチン、前記アミノ酸誘導体を挙げることができる。これらの荷電調節剤としては、2種以上の化合物を併用することも可能である。上述の様な荷電調節剤の濃度は、インクの総量に対して0.0001〜2.0質量%の範囲であることが好ましい。荷電調節剤の濃度が0.0001質量%以上とすることで、色材粒子に高い比伝導度を付与することができ、2.0質量%以下にすることでインクの体積抵抗率を低下させず、必要な印字濃度を維持することができる。
【0086】
次に、インクの作製方法について説明する。インクの作製には、各種顔料インクの作製方法として公知である一般的な手法を用いることができる。例えば、樹脂により色材が被覆された色材粒子は、色材を樹脂で被覆して着色混和物を形成した後、該着色混和物を非水溶媒中で微粒子状に分散することにより形成することができる。まず、色材を樹脂で被覆して着色混和物を作る工程について説明する。着色混和物は例えば以下の方法で調製する。
▲1▼色材と樹脂とを、樹脂の軟化点以上の温度でロールミル、バンバリミキサー、ニーダー等の混練機を用いて溶融混練し、冷却後に粉砕して着色混和物を得る方法;
▲2▼樹脂を溶剤に溶解し、色材を加え、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等で湿式分散し、溶剤を蒸発させて着色混和物を得るか、又は、分散物を該樹脂の非溶剤中に注ぎ、沈殿させて混和物を得、その後乾燥させて着色混和物を得る方法;
▲3▼フラッシング法で、色材の含水ペースト(ウェットケーキ)を樹脂又は樹脂溶剤と共に混練し、水を樹脂又は樹脂溶液で置換した後、水及び溶剤を減圧乾燥して着色混和物を得る方法。
【0087】
次に前記で説明した着色混和物を非水溶媒中で微粒子状に分散する分散工程について述べる。
分散工程では、微粒子状に分散し且つ非水溶媒中で分散安定化させるために顔料分散剤を使用することが好ましい。着色混和物と顔料分散剤の使用としては、例えば次のような方法がある。
1.着色混和物と顔料分散剤を予め混合した顔料組成物を非水溶媒中に添加して分散する。
2.非水溶媒に着色混和物と顔料分散剤を別々に添加して分散する。
3.非水溶媒に着色混和物と顔料分散剤を予め別々に分散し得られた分散体を混合する。この場合、顔料分散剤を溶剤のみで分散してもよい。
4.非水溶媒に着色混和物を分散した後、得られた顔料分散体に顔料分散剤を添加する等の方法があり、これらのいずれによっても目的とする効果が得られる。前記の着色混和物を非水溶媒中で混合あるいは分散する機械としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター等が使用できる。
【0088】
インク組成物の比電導度は、色材粒子の比電導度(粒子電導度)とインク組成物を遠心分離器にかけ測定した上澄みの比電導度の和で求められる。色材粒子の比電導度は、色材粒子の粒子数と荷電量の大きさに比例する。色材粒子の粒径が揃ってなく、特に0.2μm以下の微小な色材粒子が多い時は、色材粒子の粒子数が二桁以上大きくなるため、色材粒子の一個あたりの荷電量は二桁以下に低下してしまう。インク組成物の比電導度は2500pS/cm未満の制約があるために、色材粒子の一個あたり荷電量を二桁以上大きくすることができないため、色材粒子の電気泳動性の低下と、色材粒子供給が不十分となり、色材粒子の凝集性が悪くなり、良好な吐出性能が得られない。色材粒子としては、平均粒径は、0.3〜4μm程度で粒径が揃っていること、また、0.2μm以下の微小な色材粒子が少ないことが好ましい。
したがって、着色混和物を分散し形成された色材粒子の平均粒径の範囲は0.3〜4μmが好ましく、より好ましくは0.3〜3μmの範囲で、特に好ましくは0.4〜2μmの範囲である。また、0.2μm以下の微小な色材粒子の割合は、体積基準で10%以下が好ましく、より好ましくは7%以下の範囲で、特に好ましくは5%以下の範囲である。
【0089】
本発明に使用することができる、着色剤を非水溶媒中で微粒子状に分散するための顔料用分散剤としては、該非水溶媒中で適用される一般の顔料用分散剤が使用できる。
例えば顔料分散剤としては前記非水溶媒に相溶し、安定的に顔料を微粒子分散できるものであればよく、具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)、脂肪族ジエタノールアミド系などのノニオン系界面活性剤、及び高分子系分散剤としては、分子量1000以上の高分子化合物がよく、例えば、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製のウレタン系高分子化合物)、EFKA−47、LP−4050(EFKA社製のウレタン系分散剤)、ソルスパーズ24000(ゼネカ社製のポリエステル系高分子化合物)、ソルスパーズ17000(ゼネカ社の脂肪族ジエタノールアミド系)等が挙げられる。
【0090】
高分子系顔料分散剤としては前記の他に更に、溶媒に溶媒和するラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のモノマーと、溶媒に溶媒和しにくいメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等のモノマー及び極性基を有する部分からなるランダム共重合体、あるいは特開平3−188469号公報に開示されているグラフト共重合体が挙げられる。上述の極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸又はそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。また、この他にはスチレン―ブタジエン共重合体、特開昭60−10263号公報に開示されているスチレンと長鎖アルキルメタクリレートのブロック共重合体等が挙げられる。好ましい顔料用分散剤としては、特開平3−188469号公報に開示されているグラフト共重合体等が挙げられる。顔料分散剤の使用量は、顔料100質量部に対して、0.1〜300質量部が好ましい。顔料分散剤の添加量が0.1質量部以上とすることで顔料分散効果が発現し、また、300質量部以下とすることで添加した分の効果が得られる。
【0091】
本発明における基本的な構成材料は以上のようなものであるが、本発明のインク組成物には、所望により各種添加剤を加えてもよい。インクジェット方式あるいはインクジェット吐出ヘッド、インク供給部、インク循環部の材質・構造等によって、任意に選択されインク組成物として含有される。例えば、甘利武司監修「インクジェットプリンタ−技術と材料」第17章、(株)シーエムシー刊(1998年)等に記載されている添加剤が使用される。
【0092】
具体的には、脂肪酸類(例えば、炭素数6〜32のモノカルボン酸、多塩基酸;例えば、2−エチルヘキシン酸、ドデセニルコハク酸、ブチルコハク酸、2−エチルカプロン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、エライジン酸、リノレイン酸、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、エナント酸、ナフテン酸、エチレンジアミン四酢酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水添ロジン等)、樹脂酸、アルキルフタル酸、アルキルサリチル酸等の金属塩(金属イオンの金属としては、Na、K、Li、B、Al、Ti、Ca、Pb、Mn、Co、Zn、Mg、Ce、Ag、Zr、Cu、Fe、Ba等)、界面活性化合物類(例えば、有機リン酸又はその塩類として、炭素数3〜18のアルキル基から成るモノ、ジ又はトリアルキルリン酸等、有機スルホン酸又はその塩類として、長鎖脂肪族スルホン酸、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸等又はその金属塩、両性界面活性化合物として、レシチン、ケファリン等のリン脂質等が挙げられる)、フッ素原子及び/又はジアルキルシロキサン結合基を含有するアルキル基含有の界面活性剤類、脂肪族アルコール類(例えば、炭素数9〜20の分岐状アルキル基から成る高級アルコール類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シクロヘキシルアルコール等)、多価アルコール類{例えば、炭素数2〜18のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど)};炭素数4〜1000のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数5〜18の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);炭素数12〜23のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のポリオール類;3価〜8価又はそれ以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);前記3価以上のポリフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド付加物(付加モル数は2〜20)、前記多価アルコールのエーテル誘導体(ポリグリコールアルキルエーテル類、アルキルアリールポリグリコールエーテル等)、多価アルコールの脂肪酸エステル誘導体、多価アルコールのエーテルオレート誘導体(例えば、エチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノブチルプロピオレート、ソルビタンモノメチルジオキサルト等)、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルアリールスルホネート等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。各種添加剤の使用量は、インク組成物の表面張力が15〜60mN/m(25℃において)及び粘度が1.0〜40cPの範囲となるように調整して用いることが好ましい。
【0093】
インク組成物の比電導度(粒子電導度)は、好ましくは100pS/cm以上、より好ましくは150〜2500pS/cmの範囲、さらに好ましくは200〜2000pS/cmの範囲である。インク組成物の比電導度を100pS/cm以上、特に150pS/cm以上とすることで、吐出電極に印加する電圧を低くすることができ長期間の安定吐出が可能となる。また、インク組成物の比電導度を2500pS/cm以下とすることで、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせることがない。また、インク組成物の25℃における体積抵抗率は、10Ω・cm以上であることが好ましい。
【0094】
本発明のインク組成物は、とくに静電インクジェットヘッド用の静電インクジェットインク組成物として有用である。静電型インクジェットプリンタとしては、色材粒子を用いたインクを使用するものであれば、特に方式に限定されずに適用できる。好ましい例としては、色材濃縮吐出型の静電インクジェットプリンタが挙げられる。
【0095】
次に、色材濃縮吐出型の静電インクジェットプリンタについて更に説明する。図1及び図2は、色材濃縮吐出型の静電インクジェットプリンタの吐出ヘッドの一例を説明するための概略図であり、図1はライン走査型マルチチャンネルインクジェットヘッドの構成を説明するための図であり、記録ドットに対応した吐出電極の断面を示している。同図においてインク100はポンプを含む循環機構111から、ヘッドブロック101に接続されたインク供給流路112を通して、ヘッド基板102と吐出電極基板103間に供給され、同じくヘッドブロック101に形成されたインク回収流路113を通してインク循環機構111に回収される。この吐出電極基板103は、貫通孔107を有する絶縁性基板104と、この貫通孔107の周囲で記録媒体側に形成されている吐出電極109とから構成されている。一方ヘッド基板102上には凸状インクガイド108が前記貫通孔107の略中心位置に配置されている。この凸状インクガイド108はプラスチック樹脂、セラミックスなど絶縁性部材からなり、前記貫通孔107と中心が等しくなるように同じ列間隔、ピッチで配置され、所定の方法でヘッド基板102上に保持されている。各凸状インクガイド108は厚みが一定の平板の先端を三角形あるいは台形状に切り出した形状で、その先端部がインク滴飛翔位置110となる。各凸状インクガイド108はその先端部からスリット状の溝を形成してもよく、そのスリットの毛細管現象により、インク飛翔位置110へのインク供給がスムースに行われ、記録周波数を向上することができる。またインクガイドの任意の表面は必要に応じて導電性を有していてもよく、その場合には導電部分は電気的に浮遊状態とすることによって、吐出電極への少ない電圧印加で有効にインク飛翔位置に電界を形成できる。各凸状インクガイド108は、それぞれの貫通孔からほぼ垂直に所定の距離だけインク滴飛翔方向に突きだしている。
凸状インクガイド108の先端に対向して記録紙である記録媒体121が配置され、この記録媒体121のヘッド基板102と反対側の背面に、記録媒体121を案内するプラテンの役割を兼ねる対向電極122が配置されている。また、ヘッド基板102と吐出電極基板103間によって形成される空間の底部には泳動電極140が形成されており、これに所定の電圧を印加することにより、インクガイドの吐出位置方向にインク中の荷電粒子を電気泳動させ、吐出の応答性を上げることができる。
【0096】
次に、吐出電極基板103の具体的構成例について図2を用いて説明する。図2は、吐出電極基板103を記録媒体121側から見た図で、複数個の吐出電極が主走査方向に二列でアレイ状に配列されて、各吐出電極の中心に貫通孔107が形成され、この貫通孔107の周辺にはそれぞれ個別の吐出電極109が形成されている。本実施例では吐出電極109の内径は貫通孔107の径より一回り大きく設けられているが、貫通孔107の径と同径でもよい。ここでは、絶縁性基板104は25から200μm程度の厚さのポリイミドからなり、吐出電極109は10から100μm程度の厚さの銅箔からなり、貫通孔107の内径は150から250μmφ程度である。
【0097】
次に、静電方式のインクジェット記録装置の記録動作を説明する。ここでは負荷電した色材を含むインクを用いた場合を例にとって説明するが、本発明は本例に限定されるものではない。記録時には、インク循環機構111からインク供給流路112を経て供給されたインク100は貫通孔107から凸状インクガイド108の先端のインク飛翔位置110に供給されると共に、一部はインク回収流路113を経てインク循環機構111に回収される。ここで、吐出電極109にはバイアス電圧源123から常時バイアスとして例えば−1.5kVの電圧が与えられ、これに信号電圧源124からの画像信号に応じた信号電圧として例えばON時に−500Vのパルス電圧が吐出電圧109に重畳される。またこの際、泳動電極140は−1.8kVの電圧が印加されている。一方、記録媒体121の背面に設けられた対向電極122は、図のように接地電圧0Vに設定されている。場合によっては記録媒体121側を例えば−1.5kVに帯電させてバイアス電圧としてもよい。この場合には、対向電極122表面に絶縁層を設け、記録媒体にコロナチャージャー、スコロトロンチャージャー、固体イオン発生器等により帯電を行い、かつ吐出電極109は例えば接地され、これに信号電圧源124からの画像信号に応じた信号電圧として例えばON時に−500Vのパルス電圧が吐出電圧109に重畳される。またこの際、泳動電極140は−200Vの電圧が印加される。今、吐出電圧109がON状態(−500Vが印加された状態)となり、バイアスDC−1.5kVに−500Vのパルス電圧が重畳された合計−2kVの電圧が加わると、凸状電極108先端のインク滴飛翔位置110から、インク滴115が飛び出し、対向電極122方向に引っ張られて、該記録媒体121に向けて飛翔して画像を形成する。なお、飛翔後のインク液滴の飛翔を精密制御し記録媒体上での着弾精度を向上するため、吐出電極と記録媒体間に中間電極を設ける、あるいは吐出電極間に電界干渉抑制用のガード電極を設ける、等の手段がしばしば講じられるが、本例においても必要により好適に使用されることはもちろんである。また、ヘッド基28板102と吐出電極基板103間に多孔質体を設けても良く、この場合にはインクジェットヘッドの移動等によるインク内圧の変化の影響を防止できると共にインク滴吐出後の貫通孔107部へのインク液供給が迅速に達成される。したがって、インク滴115の飛翔が安定化され、記録媒体121上に濃度の安定した良好な画像を高速に記録することができる。
【0098】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
合成した樹脂の具体例とその合成法について以下に述べる。
まず、合成した樹脂の具体例と重量平均分子量及び軟化点を表1〜5に示す。
【0099】
【表1】
Figure 2004346243
【0100】
【表2】
Figure 2004346243
【0101】
【表3】
Figure 2004346243
【0102】
【表4】
Figure 2004346243
【0103】
【表5】
Figure 2004346243
【0104】
DMMA:ジメチルアミノメチルメチクリレート
DEMA:ジエチルアミノメチルメチクリレート
DMMSt:ジメチルアミノメチルスチレン
NVIm:N−ビニルイミダゾール
SMAマクロモノマー:片末端にメタクロイル基を有するポリステアリルメタクリレートのマクロモノマー(分子量8,000)
AB−6:片末端にメタクロイル基を有するポリブチルメタクリレートのマクロモノマー(東亜合成(株))
DVB:ジビニルベンゼン(架橋剤)
AMSD−GRS:2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(五井化成製の連鎖移動剤)
*1 メチルp−トルエンスルホネートで4級化
*2 ステアリルp−トルエンスルホネートで4級化
*3 ブチルp−トルエンスルホネートで4級化
*4 メチルクロライドで4級化
*5 メチルクロライドで4級化
*6 メチルアイオダイドで4級化
【0105】
樹脂の具体例(1)の合成法
還流器、撹拌羽根および窒素導入管の付いた反応容器にトルエン200g、スチレン56.8g、ビニルトルエン68.2g、ラウリルメタクリレート4.2g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート2.6gを添加し窒素気流中70℃に昇温し重合開始剤2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を前記全モノマーに対し1モル%添加し70℃で6時間重合反応を行なった。次いでp−トルエンスルホン酸メチル3.1g(1.0等量)を添加し引き続き2時間加熱した。次に反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール10Lに再沈殿させた。この沈殿物を50℃で真空乾燥させ目的の樹脂の具体例(1)を得た。
【0106】
樹脂の具体例(7)の合成法
還流器、撹拌羽根および窒素導入管の付いた1Lの丸底フラスコにトルエン250g、スチレン67.5g、ビニルトルエン77.5g、ブチルアクリレート75.0g、ラウリルメタクリレート5g、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート25.0gを添加し窒素気流中80℃に昇温した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)5gを添加し80℃で3時間重合反応を行なった。更に開始剤を2.5g添加し2時間重合反応した後、内温を90℃に昇温し、開始剤を3.3g添加して2時間重合反応させた。次いで内温を90℃にしたままで、p−トルエンスルホン酸メチル30.1g(1.1等量)を添加し引き続き7時間加熱した。次に反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール10Lに再沈殿させた。この沈殿物を50℃で真空乾燥させ目的の樹脂の具体例(7)を得た。
【0107】
樹脂の具体例(8)の合成法
還流器、撹拌羽根および窒素導入管の付いた反応容器にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート30.0g、p−トルエンスルホン酸オクチル65.0g、メチルエチメケトン20ml、重合禁止剤としてt−ブチルハイドロキノン0.1gを添加し窒素気流中80℃で24時間反応を行なった。次に反応溶液を室温まで冷却した後、析出した結晶を取り出し、ヘキサンで洗浄した。トルエンとメチルエチメケトンの混合溶媒中でt−ブチルハイドロキノン0.2gを添加し再結晶を行い白色結晶の4級塩モノマー73.3gを得た。収率は87%であった。次に、還流器、撹拌羽根および窒素導入管の付いた反応容器にトルエン200g、スチレン48g、ビニルトルエン120g、ラウリルメタクリレート4g、前記の4級塩モノマー28gを添加し窒素気流中70℃に昇温した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)を全モノマーに対し1モル%添加し、70℃で6時間重合反応を行なった。次に反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール10Lに再沈殿させた。この沈殿物を50℃で真空乾燥させ、樹脂の具体例(8)を得た。
【0108】
樹脂の具体例(9)の合成法
還流器、撹拌羽根および窒素導入管の付いた1Lの丸底フラスコにトルエン250g、スチレン64.5g、ビニルトルエン150.5g、ラウリルメタクリレート10g、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート25.0gを添加し窒素気流中85℃に昇温した後、重合開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)3gを添加し85℃で4時間重合反応を行なった。更に開始剤を1.5g添加して95℃で4時間重合反応させた。次に反応溶液を室温まで冷却した後、メタノール10Lに再沈殿させた。この沈殿物を50℃で真空乾燥させ目的の樹脂の具体例(9)を得た。
【0109】
樹脂の具体例(22)の合成法
還流器、撹拌羽根および窒素導入管の付いた1Lの丸底フラスコにトルエン250g、スチレン61.0g、ビニルトルエン94.8g、SMAマクロモノマー(片末端にメタクロイル基を有するポリステアリルメタクリレートのマクロモノマー、数平均分子量8,000)12.7g、ブチルアクリレート44.3g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート11.4gを添加し窒素気流中75℃に昇温した後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)を全モノマーに対し3質量%添加し、75℃で3時間重合反応を行なった。更に開始剤を1質量%添加して75℃で2時間重合反応させた。次に90℃に昇温した後、開始剤を2質量%添加し2時間重合反応させた。次にp−トルエンスルホン酸メチル16.3g(1.2等量)を添加し引き続き90℃で2時間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した後、アセトン500gで希釈して、メタノール10Lに再沈殿させた。この沈殿物を50℃で真空乾燥させ目的の樹脂の具体例(22)を得た。
その他の樹脂の具体例も上述した合成法に従い合成した。猶、樹脂の具体例(14)等の低分子量体を合成する時は、連鎖移動剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(五井化成製、AMSD−GRS)を1〜4モル%用いた。
【0110】
比較用樹脂の製造例1:R−1
一般式(I)で示されるスチレン誘導体成分に相当する単量体の代わりにベンジルメタクリレート140g、一般式(II)に相当する単量体としてステアリルメタクリレート40g、一般式(III)に相当する単量体としてN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート20gを用い、トルエン200g中で、樹脂の製造例1と同様に窒素気流下攪拌しながら温度70℃で1時間加熱後、重合開始剤
アゾビスイソブチロニトリル(A.I.B.N.)を加え、70℃でトータル6時間重合させた。製造例1と同様にしてメタノール中に再沈殿させ重合体を得た。得られた比較用樹脂(R−1)の重量平均分子量Mwは1.0×10 で、軟化点は40℃であった。
【0111】
比較用樹脂の製造例2:(R−2)
比較用樹脂の製造例1において、ベンジルメタクリレート140gの代わりにシクロヘキシルメタクリレート140gを用いた他は比較製造例1と全く同様にして比較用樹脂(R−2)を合成した。比較用樹脂(R−2)のMwは4.0×10、軟化点66℃であった。
【0112】
実施例1:インク組成物IJ−1
青色顔料としてリノールブルーFG−7350(Pigment Blue15:3東洋インキ社製)100質量部、樹脂として具体例(1)の樹脂100質量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、120℃に加熱した三本ロールミルで溶融混練(20分)した。前記の顔料混練物をピンミルで粉砕した。次に顔料混練物10質量部、アイソパーG(エクソン社製、比誘電率2.01、表面張力22.5mN/m)77.5質量部、下記構造の顔料分散剤D−1をアイソパーGに加熱溶解して調液した20質量%溶液を12.5質量部、及び3G−Xガラスビーズ400質量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で180分間混合した。分散液の温度は47℃まで上昇した。分散後の顔料樹脂粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.64μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で2.3%であった。
【0113】
【化28】
Figure 2004346243
【0114】
ガラスビーズをろ過により除去した前記顔料樹脂粒子分散液を、アイソパーGで顔料樹脂粒子成分が3.5%になる様に希釈した。次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を、0.072質量%になる様に添加してインク組成物IJ−1を調液した。得られたインク組成物の粘度は1.25cP(E型粘度計、温度25℃で測定)、表面張力は23mN/m(協和界面科学社製の自動表面張力計、温度25℃で測定)、比誘電率は2.16(LCRメーター、安藤電気(株)社製AG−4311で測定)であった。また、インク組成物IJ−1は全体の比電導度が758pS/cmを示し、また明瞭な正荷電性を示した青色樹脂粒子は、その粒子電導度が652pS/cmを示しインク組成物の荷電量の大部分が顔料樹脂粒子についていた。また、45℃、一週間強制経時後のインク組成物の全体比電導度及び顔料樹脂粒子の粒子電導度は荷電量変化が殆ど無く極めて安定していることが判った。
なお、インク組成物の荷電量は、前記のLCRメーター及び液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定した比電導度より求め、顔料樹脂粒子の粒子電導度は、インク組成物の全体の比電導度から、インク組成物を遠心分離器にかけた上澄みの比電導度を差し引いて求めた。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23°Cの条件で30分間行ったものである。
【0115】
インクジェット装置として、図1に示すヘッド構造の100dpi 64チャンネルの静電式インクジェットヘッドを使用し、インク組成物IJ−1をインクタンクに充填した。エアーポンプ吸引により記録媒体であるコート記録紙表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを描画位置までコート記録紙に近づけ、描画解像度600dpiでインクを吐出し描画した。この際、パルス電圧を調節してドット径15μmから60μmの範囲で16段階でドット面積を変化させながら描画した。描画画像は滲みのない均一なドットで安定に印字されていて、満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与えた。インクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。次ぎにフルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。
更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与え、また吐出安定性も良好で、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。
【0116】
実施例2〜6:インク組成物IJ−2〜IJ−6
実施例1において、樹脂(1)の代わりに、下記の樹脂を用いた他は実施例1と全く同様にして溶融混練、湿式分散を行った。溶融混練時の温度は90〜130℃と樹脂の軟化点より高めに設定した。得られた顔料樹脂粒子分散液はアイソパーGで顔料樹脂粒子成分が3.5%になる様に希釈し、次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を添加してインク組成物IJ−2〜IJ−6を調液した。インク組成物の表面張力は22〜24mN/m、粘度は1.2〜1.5cp、比誘電率は2.0〜2.5であった。インク組成物IJ−2〜IJ−6の分散液中の顔料樹脂粒子の体積平均粒径、0.2μm以下の微粒子の割合(体積基準)の結果を表6に示す。また、下記の荷電調節剤の添加量の時のインク組成物IJ−2〜IJ−6の青色樹脂粒子の粒子電導度を同じく表6に示す。
実施例1と同様にしてインク組成物IJ−2〜IJ−6の描画性能を評価したところ、いずれのインクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。また、得られた描画画像は滲みがなく十分な画像濃度を有し良質で明瞭なものであった。また、フルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与え、また吐出安定性も良好であった。
【0117】
【表6】
Figure 2004346243
【0118】
比較例1〜3:比較用インク組成物IJR−1〜IJR−3
実施例1において、樹脂の具体例(1)の代わりに比較用樹脂(R−1)〜(R−2)及びポリエステル樹脂GV−230(東洋紡績(株)製)を用いた他は、実施例1と全く同様にして比較用インク組成物IJR−1〜IJR−3を調液した。比較例1、3のスチレン誘導体成分を含有しないアクリル樹脂やポリエステル樹脂を用いたインク組成物IJR−1、IJR−3は、顔料樹脂粒子の粗大粒子が混在し、短期間の保存で著しい凝集が発生し次の吐出性評価に供することができなかった。
また、比較例2のスチレン誘導体成分を含有しないアクリル樹脂を用いたインク組成物IJR−2は、本発明のインク組成物IJ−1〜IJ−6がインクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができたのに対し、連続一時間以内でインクの吐出が不安定になり、ヘッド部での目詰まりが発生した。比較用インク組成物IJR−2は、色材粒子の粒子電導度は約600pS/cmと大きいものの0.2μm以下の微小な色材粒子が多いために、本発明のインク組成物に対し、色材粒子の粒子数が一桁以上大きくなるため、色材粒子の一個あたりの荷電量は一桁以下に低下してしまう。このため色材粒子の電気泳動性が低下し色材粒子の供給が不十分となり、色材粒子の凝集性が悪くなり良好な吐出性能が得られなかったと考えられる。結果を表7に示す。
【0119】
実施例1〜6と比較例1〜3より、本発明のインク組成物が、特異的に良好な分散性、耐擦過性、定着性、良好な描画画像を与え、且つ吐出安定性に優れることが判る。
【0120】
【表7】
Figure 2004346243
【0121】
実施例7:インク組成物IJ−7
青色顔料としてリノールブルーFG−7350(Pigment Blue15:3東洋インキ社製)100質量部、樹脂として具体例(1)の樹脂200質量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、125℃に加熱した卓上型ニーダーPBV(入江商会社製)で溶融混練(120分)した。前記の顔料混練物をピンミルで粉砕した。次に粉砕した顔料混練物20質量部、アイソパーG160質量部、前記の顔料分散剤D−1をアイソパーGに加熱溶解して調液した20質量%溶液を25質量部、及び3G−Xガラスビーズ400質量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間予分散した後、ダイノミルKDL型(シンマルエンタープライズ社)にて2000rpmで恒温槽を用いて分散液の温度を制御しながら6時間湿式分散を行った。まず、10℃の冷媒で2時間分散したあと、40℃に昇温し4時間分散した。分散液中の顔料樹脂粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.90μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で1.1%であった。
【0122】
ガラスビーズをろ過により除去した前記顔料樹脂粒子分散液を、アイソパーGで顔料樹脂粒子成分が7.0%になる様に希釈し、荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を、0.075質量%になる様に添加してインク組成物IJ−7を調液した。得られたインク組成物の粘度は1.46cp、表面張力は23mN/m、比誘電率は2.32であった。また、インク組成物IJ−7の全体の比電導度が698pS/cm、また明瞭な正荷電性を示した青色樹脂粒子は、その粒子電導度が582pS/cmを示しインク組成物の荷電量の大部分が顔料樹脂粒子についていた。また、45℃、一週間強制経時後のインク組成物の全体比電導度及び顔料樹脂粒子の粒子電導度は荷電量変化が殆ど無く極めて安定していることが判った。
【0123】
実施例1と同様にしてインク組成物IJ−7の描画性能を評価したところ、インクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。得られた描画画像は滲みがなく十分な画像濃度を有し良質で明瞭なものであった。また、フルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与え、また吐出安定性も良好であった。
【0124】
実施例8〜16:インク組成物IJ−8〜IJ−16
実施例7において、樹脂(1)の代わりに、下記の樹脂を用いた他は実施例7と全く同様にして溶融混練、湿式分散を行った。溶融混練時の温度は90〜130℃とバインダー樹脂の軟化点より高めに設定した。また、湿式分散は10℃の冷媒で2時間分散したあと、30〜50℃の範囲で昇温し4時間分散した。得られた顔料樹脂粒子分散液はアイソパーGで顔料樹脂粒子成分が3.5%になる様に希釈し、次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を添加してインク組成物IJ−8〜IJ−16を調液した。インク組成物の表面張力は22〜24mN/m、粘度は1.2〜1.5cp、比誘電率は2.0〜2.5であった。インク組成物IJ−8〜IJ−16の分散液中の顔料樹脂粒子の体積平均粒径、及び0.2μm以下の微粒子の割合(体積基準)の結果を表8に示す。また、下記の荷電調節剤の添加量の時のインク組成物IJ−8〜IJ−16の青色樹脂粒子の粒子電導度を同じく表8に示す。実施例7と同様にしてインク組成物IJ−8〜IJ−16の描画性能を評価したところ、いずれのインク組成物もインクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。また、得られた描画画像は滲みがなく十分な画像濃度を有し良質で明瞭なものであった。また、フルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与え、また吐出安定性も良好であった。
【0125】
【表8】
Figure 2004346243
【0126】
実施例17:インク組成物IJ−17
黒色顔料としてカーボンブラックMA−200RB(三菱化学社製)100質量部、樹脂として具体例(8)の樹脂100質量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、100℃に加熱した卓上型ニーダーPBV(入江商会社製)で溶融混練(120分)した。前記の顔料分散剤D−1をアイソパーGに加熱溶解して調液した20質量%溶液を25質量部、及び3G−Xガラスビーズ400質量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間予分散した後、ダイノミルKDL型(シンマルエンタープライズ社)にて2000rpmで恒温槽を用いて分散液の温度を制御しながら7時間湿式分散を行った。まず、10℃の冷媒で3時間分散したあと、40℃に昇温し4時間分散した。分散液中の顔料樹脂粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.98μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で1.7%であった。得られた黒色顔料樹脂粒子分散液はアイソパーGで顔料樹脂粒子成分が5.0%になる様に希釈し、次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を0.03%添加してインク組成物IJ−17を調液した。インク組成物の表面張力は23mN/m、粘度は1.4cp、比誘電率は2.4であった。また、インク組成物IJ−17の全体の比電導度が526pS/cm、また明瞭な正荷電性を示した黒色樹脂粒子は、その粒子電導度が478pS/cmを示しインク組成物の荷電量の大部分が顔料樹脂粒子についていた。また、45℃、一週間強制経時後のインク組成物の全体比電導度及び顔料樹脂粒子の粒子電導度は荷電量変化が殆ど無く極めて安定していることが判った。
実施例7と同様にしてインク組成物IJ−17の描画性能を評価したところ、インクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。また、得られた描画画像は滲みがなく十分な画像濃度を有し良質で明瞭なものであった。また、フルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与え、また吐出安定性も良好であった。
【0127】
実施例18〜19:インク組成物IJ−18〜IJ−19
実施例7において、青色顔料のリノールブルーFG−7350(Pigment Blue15:3東洋インキ社製)の代わりに、赤色顔料としてリノールレッドFG−4213(Pigment Red57:1東洋インキ社製)、黄色顔料としてトナーイェローHG(Pigment Yellow180クラリアント社製)をそれぞれ100質量部用い、また樹脂として具体例(7)の樹脂200質量部を用いた他は実施例7と全く同様にして溶融混練、湿式分散を行った。溶融混練時の温度はそれぞれ90℃、95℃に設定した。また、湿式分散は分散液温度を25℃で6時間分散したあと、分散液温度を40〜48℃に昇温して、更に2〜8時間分散した。得られた顔料樹脂粒子分散液はアイソパーGで顔料樹脂粒子成分が7.0%になる様に希釈し、次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を0.005%添加してマゼンタインク組成物IJ−18、イエローインク組成物IJ−19を調液した。インク組成物の表面張力は23mN/m、粘度はそれぞれ1.68cp、1.43cp、比誘電率は2.4であった。インク組成物IJ−18、IJ−19の分散液中の顔料樹脂粒子の体積平均粒径はそれぞれ0.83μm、0.87μm、及び0.2μm以下の微粒子の割合(体積基準)はそれぞれ1.7%、0.8%であった。
また、インク組成物IJ−18、IJ−19の全体の比電導度はそれぞれ822pS/cm、873pS/cmを示し、赤色樹脂粒子、黄色樹脂粒子とも明瞭な正荷電性を示した。
インク組成物IJ−18、IJ−19の粒子電導度はそれぞれ765pS/cm、798pS/cmを示しインク組成物の荷電量の大部分が顔料樹脂粒子についていた。また、45℃、一週間強制経時後のインク組成物の全体比電導度及び顔料樹脂粒子の粒子電導度はそれぞれ荷電量変化が殆ど無く極めて安定していることが判った。実施例17と同様にしてインク組成物IJ−18〜IJ−19の描画性能を評価したところ、いずれのインク組成物もインクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。得られた描画画像は滲みがなく十分な画像濃度を有し良質で明瞭なものであった。また、フルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得うるものであった。
【0128】
実施例20:インク組成物IJ−20
青色顔料としてToner Cyan BG(クラリアント社製)のプレスケーキと、樹脂として具体例(7)の樹脂33%トルエン溶液を顔料に対し2倍量用い、フラッシャーで攪拌後、加熱し減圧して水分と溶媒を除去して含水率1質量%の青色塊状物を得た。青色塊状物を真空乾燥し、水分を完全に除去した後、サンプルミルで粉砕し、0.1−0.01mmの青色粉体を得た。
実施例7と全く同様にして湿式分散を行ない、得られた顔料樹脂粒子分散液はアイソパーGで顔料樹脂粒子成分が7.0%になる様に希釈し、次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を0.012%添加してインク組成物IJ−20を調液した。インク組成物の表面張力は23mN/m、粘度はそれぞれ1.32cp、比誘電率は2.18であった。インク組成物IJ−20の分散液中の顔料樹脂粒子の体積平均粒径は0.88μm、及び0.2μm以下の微粒子の割合(体積基準)は3.7%であった。
また、インク組成物IJ−20の全体の比電導度は996pS/cmを示し、青色樹脂粒子は明瞭な正荷電性を示した。インク組成物IJ−20の粒子電導度は922pS/cmを示しインク組成物の荷電量の大部分が顔料樹脂粒子についていた。
また、45℃、一週間強制経時後のインク組成物の全体比電導度及び顔料樹脂粒子の粒子電導度は荷電量変化が殆ど無く極めて安定していることが判った。実施例7と同様にしてインク組成物IJ−20の描画性能を評価したところ、インクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じることが無く、長期間の連続画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。得られた描画画像は滲みがなく十分な画像濃度を有し良質で明瞭なものであった。また、フルベタパターンを印字して、印字物を乾燥・定着させた後、ベタ部をテープ剥離テストしたところ欠落部がなく極めて耐擦過性・定着性に優れていることが判った。更に、45℃、一週間の強制経時後のインク組成物を用いて同様に描画したところ、描画画像は滲みのない均一なドットで満足し得うるものであった。
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、高濃度で滲みが少ないドットを高速で印字することができ、記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れ、高速定着性、耐擦過性を有し、色材粒子の荷電量を長期間に亘り安定に保持して長期間安定に印字することができる静電インクジェットヘッド用の静電インクジェットインク組成物、およびこれを用いた静電インクジェット方式の画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ライン走査型マルチチャンネルインクジェットヘッドの構成を説明するための図である。
【図2】吐出電極を記録媒体側から見た図である
【符号の説明】
100 インク
101 ヘッドブロック
102 ヘッド基板
103 吐出電極基板
104 絶縁性基板
107 貫通孔
108 凸状インクガイド
109 吐出電極
110 インク滴飛翔位置
111 循環機構
112 供給流路
113 回収流路
115 インク滴
121 記録媒体
122 対向電極
123 バイアス電圧源
124 信号電圧源
140 泳動電極

Claims (6)

  1. 比誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒と、前記非水溶媒に不溶な色材と、前記非水溶媒に不溶な樹脂と、前記非水溶媒に可溶な荷電調節剤とを主成分とする静電型インクジェット記録装置用のインク組成物であって、前記非水溶媒に不溶な樹脂が、下記一般式(I)で示されるスチレン誘導体成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、下記一般式(II)で示される脂肪族基成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種と、下記一般式(IIIa)及び下記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有する共重合体であることを特徴とする静電インクジェットインク組成物:
    Figure 2004346243
    [一般式(I)中、 aとaは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、−COO−Z (Zは水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。]
    Figure 2004346243
    [一般式(II)中、Lは−COO−、−OCO−、−(CH−OCO−、−(CH−COO−又は−O−の連結基を表す。ただし、該連結基は組み合わせて用いてもよい。ここで、kは1〜3の整数を表す。bとbは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基を表す。Qは炭素数4〜22の脂肪族基を表す。]
    Figure 2004346243
    Figure 2004346243
    [一般式(IIIa)及び (IIIb)中、L、Lは−COO−、−CONH−、
    Figure 2004346243
    、複素環残基、単なる結合を表し、A、Aはフェニレン基、−(CH−(mは1〜4の整数)、単なる結合を表す。dとd、eとeは、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基を表す。R 〜R は、各々同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す。R とR及びR とRはそれぞれ結合して窒素原子と共に環を形成する有機残基を表してもよい。Xは陰イオンを表す。]
  2. 前記非水溶媒に不溶な樹脂が、前記一般式(I)で示される繰り返し単位を25〜98質量%、前記一般式(II)で示される繰り返し単位を1〜45質量%、前記一般式(IIIa)及び前記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種を1〜30質量%含有する共重合体であることを特徴とする請求項1記載の静電インクジェットインク組成物。
  3. 前記非水溶媒に不溶な樹脂が、前記一般式(I)で示される繰り返し単位と、前記一般式(II)で示される繰り返し単位と、前記一般式(IIIa)及び前記一般式(IIIb)から選ばれる塩基性成分を含有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含有する共重合体であって、前記共重合体が、2×10〜5×10の範囲の重量平均分子量を有し、且つ30〜120℃の範囲の軟化点を有することを特徴とする請求項1記載の静電インクジェットインク組成物。
  4. 前記色材が、平均粒径0.3〜4μmの範囲の粒子であり、且つ0.2μm以下の粒子の割合が体積基準で10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電インクジェットインク組成物。
  5. 前記静電インクジェットインク組成物の25℃における体積抵抗率が10Ω・cm以上であり、かつ前記静電インクジェットインク組成物中の色材粒子の粒子電導度が100pS/cm以上であることを特徴とする請求項4に記載の静電インクジェットインク組成物。
  6. 複数の記録電極が配置された記録ヘッドにインク組成物を導入し、前記記録電極に電圧を印加して、前記インク組成物に静電力を作用させ色材粒子が濃縮された形でインク滴を飛翔させ、対向するように配置された記録媒体上に画像を形成し記録を行う静電インクジェット方式の画像形成方法において、前記インク組成物が請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電インクジェットインク組成物であることを特徴とする前記画像形成方法。
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