JP2004345154A - 繊維強化複合材料の製造方法および繊維強化複合材料 - Google Patents

繊維強化複合材料の製造方法および繊維強化複合材料 Download PDF

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直美 三好
Norimitsu Natsume
憲光 夏目
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Abstract

【課題】高価な成形型や加熱設備、副資材等を必要とせず、かつ優れた耐熱性、難燃性および機械特性を有する繊維強化複合材料を与える繊維強化複合材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記の構成成分(A)と(B)が含まれてなる樹脂組成物を用いて、
(A)液状レゾール型フェノール樹脂
(B)硬化剤
下記の工程(1)〜(4)をこの順に行うことを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
(1)成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程
(2)5℃〜50℃の温度で前記の強化繊維と樹脂組成物を保持し、一次硬化させた繊維強化複合材料を得る工程
(3)前記の一次硬化させた繊維強化複合材料を成形型より外す工程
(4)一次硬化させた前記の繊維強化複合材料
を70℃〜150℃の温度で加熱し、繊維強化複合材料を得る工程
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機用構造材料、鉄道車両用構造材料をはじめとして、ゴルフシャフト、釣り竿等のスポーツ用途、その他一般産業用途に好適に適用しうる繊維強化複合材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種樹脂硬化物と炭素繊維などの強化繊維からなる繊維強化複合材料は、比強度、比弾性率等の機械強度に優れるため、ゴルフシャフトや釣り竿等のスポーツ用途や航空機用構造材料等に従来から現在まで広く使用され、最近では鉄道車輌構体用途等にも更なる展開が期待されている。
【0003】
かかる複合材料を構成する樹脂には、含浸性や耐熱性に優れる熱硬化性樹脂が用いられることが多く、熱硬化性樹脂には、強化繊維との接着性に優れること、成形性に優れること、高温、湿潤環境にあっても高度の機械強度を発現することが必要とされる。高度の機械強度を発現するためには、強化繊維のみでなく樹脂硬化物の弾性率も影響するため、樹脂硬化物の弾性率の高いものが望まれている。
【0004】
また、最近の動向として、コストメリットから、航空機の翼や胴体、潜水艦の船体、および鉄道車輌構体といった大型複合構造物用の繊維強化複合材料を成形方法として、成形型内にマトリックス樹脂を注入し硬化させる、いわゆる注入成形法が盛んになっている。また、この注入成形法として、強化繊維の基材を予めセットした成形型内にマトリックス樹脂を注入する、レジン・トランスファー・モールディング(以下、RTM成形法という)が繁用されている。その中でも、成形型として剛体のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いた場合に、通常吸引口を設け真空ポンプなどの手段によりバッグ内を低圧にし、大気圧による注入を用いるバキューム・アシステッド・レジン・トランスファー・モールディング(以下、VaRTM法という)が好ましく用いられている。このような成形法においては、繊維強化複合材料の耐熱性を高めるために、硬化温度を上げようとしても、大型複合構造物成形用の成型型は耐熱性に制約があり、成形型の耐熱性を高めると経済性に優れないなど、耐熱性に優れた大型構造用部材を安価に製造するのは困難であった。
【0005】
かかる問題を解決するために、比較的低温で硬化した後、脱型して、所望の温度で後硬化する方法が提案されている。本発明者らは、かかる方法としては、シアネートエステル化合物と金属配位型触媒および活性水素型触媒が含まれてなる樹脂組成物を用いる方法を提案してきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら、この方法では成形型から外した際に、形状を実質的に変化させることのない強度および耐熱性を有する繊維強化複合材料中間体を得るためには50℃以上で加熱する必要があり、成形型のコストを含め、十分に安価な製造方法とはいえなかった。また、硬化触媒として用いる金属配位型触媒を均一に分散させるためには、あらかじめ樹脂に溶解させておく必要がある。そのため、長期間の保存安定性が懸念される。
【0006】
一方で、鉄道車輌構体用途に代表される多くの用途において、火災発生時の安全性の確保から、これまで用いられてきたものよりさらに高い耐熱性、難燃性の材料が要望されている。
【0007】
特に、鉄道車輌構体では、まず着火しないことが重要であり、わが国では、鉄道車両に関する火災対策については普通鉄道構造規則に規定されている。同規則中の電車の火災事故対策についての通達の鉄道車両用材料燃焼試験に(昭和44年5月15日鉄運第81号、以下鉄運81号という)、耐着火性の判定基準を定め、材料の耐着火性が求められている。このような要求から難燃性および燃焼時の低発煙性、低有毒ガス性といった特徴を有するレゾール型フェノール樹脂が好ましく用いられている。このようなレゾール型フェノール樹脂をマトリックス樹脂として使用すると、前記VaRTM法を用いて低圧下で成形を行った場合、フェノール樹脂中にあらかじめ含まれる水分、低分子量フェノール類、モノマー類および硬化中に発生する縮合水により、得られる繊維強化複合材料中にボイドが多く発生する。このような繊維強化複合材料は、熱によるフェノール樹脂からのガスの発生のため、表面のフクレ、ハジキによる変形、着火等がおこり鉄運81号の「不燃性」規格を満たすことは困難である。このようなレゾール型フェノール樹脂の問題の改良を目的とした方法としては、マトリックス樹脂として特定のレゾルシノール成分とレゾール型フェノール樹脂との反応生成物を使用するものがある(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この方法ではレゾルシノール成分に由来する有機溶剤を含んでいるため、比較的低温で硬化すると、繊維強化複合材料を型から外す際に、有機溶剤が大気中に揮発し、火災の危険性、および人体に対する安全性や環境への影響への観点から好ましくない。また、硬化中に、揮発分が多いために得られる繊維強化複合材料にボイドが多く、鉄道車両構体の構造部材に必要な機械特性を保持できないことがある。
【0008】
このように、優れた耐熱性、難燃性および機械特性を有する繊維強化複合材料を安価に製造する方法は見いだされていないのが現状であった。
【0009】
【特許文献1】特開平2003−12819号公報
【0010】
【特許文献2】特開平7−60928号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、高価な成形型や加熱設備、副資材等を必要とせず、かつ優れた耐熱性、難燃性および機械特性を有する繊維強化複合材料を与える繊維強化複合材料の製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、(A)レゾール型フェノール樹脂、(B)硬化剤が含まれて成る樹脂組成物を用いて、下記の工程(1)〜(4)をこの順に行うことを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法である。
(1)成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程
(2)5℃〜50℃の温度で前記の強化繊維と樹脂組成物を保持し、一次硬化させた繊維強化複合材料を得る工程
(3)前記の一次硬化させた繊維強化複合材料を成形型より外す工程
(4)一次硬化させた前記の繊維強化複合材料を70℃〜150℃の温度で加熱し、繊維強化複合材料を得る工程
また、本発明の繊維強化複合材料は、前記製造方法により得られる繊維強化複合材料であって、国土交通省鉄運81号に規定の準拠した燃焼試験において「難燃性」、「極難燃性」、「不燃性」より選ばれる少なくとも1種を満たす繊維強化複合材料である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり高価な成形型や加熱設備、副資材等を必要とせず、かつ優れた成形性、耐熱性、難燃性および機械特性を有する繊維強化複合材料を与える繊維強化複合材料の製造方法について、鋭意検討し、構成成分(A)レゾール型フェノール樹脂および(B)硬化剤が含まれてなる樹脂組成物を用いて、下記の工程(1)〜(4)をこの順に行うことを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法により、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
(1)成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程
(2)5℃〜50℃の温度で前記の強化繊維と樹脂組成物を保持し、一次硬化させた繊維強化複合材料を得る工程
(3)前記の一次硬化させた繊維強化複合材料を成形型より外す工程
(4)一次硬化させた前記の繊維強化複合材料を70℃〜150℃の温度で加熱し、繊維強化複合材料を得る工程
本発明に使用される液状レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されず、フェノール類とアルデヒド類との反応により得られたものを用いることができる。原料のフェノール類モノマーとしてはフェノールを初めとして、ビスフェノール、クレゾール、PTBP (p −tert −ブチルフェノール)、レゾルシン、ナフトール、ジヒドロキシナフタレンなどを使用することができる。これらのフェノール化合物を原料とし、アルデヒドを反応させることにより液状レゾール型フェノール樹脂を得ることができるが、使用するアルデヒドの種類としては例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどを用いることができる。中でもホルムアルデヒドの水溶液(以下、「ホルマリン」という。)が好ましく使用される。かかるアルデヒド類のフェノール化合物に対する配合比は、フェノール基1 モルに対しほぼ1ないし3モルを使用することができる。反応のための触媒としては例えばアルカリ触媒が用いられ、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの塩基性化合物の1 または2 種類以上を組み合わせて使用できる。このようなフェノール化合物とアルデヒド類との反応は通常加温下で行われ、反応終了後塩酸、リン酸、硫酸、蟻酸、酢酸、乳酸、マレイン酸等の酸性化合物により中和して液状レゾール樹脂が得られる。
【0014】
また、ここでいう液状とはレゾール型フェノール樹脂自体が液状のものであってもよく、レゾール型フェノール樹脂をメタノール、アセトン、トルエンなどの溶剤に希釈したもの(以下、有機溶剤系レゾール型フェノール樹脂という)であってもよく、水分散化させるなど溶媒として水を用いたもの(以下、水系レゾール型フェノール樹脂という)であってもよい。中でも、人体に対する安全性や環境への影響への観点から水系レゾール型フェノール樹脂が好ましく用いられる。
【0015】
本発明において用いる構成成分(A)としては、構成成分(A)の数平均分子量が350以上1000以下であり、かつ重量平均分子量が600以上1200以下であることが好ましい。数平均分子量が450以上800以下であることが好ましい。また重量平均分子量が650以上1000以下であることがより好ましい。数平均分子量が1000を超える、または重量平均分子量が1200を超えると樹脂の粘度が高くなり、成形性が低下し複雑な形状には適さない場合がある。また、数平均分子量が350未満、または重量平均分子量が600未満であると、曲げ弾性率など、樹脂硬化物の物性が低下し、樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなる繊維強化複合材料の機械特性が低下する傾向にある。
【0016】
ここでいう分子量はいずれも、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により求められるものであり、移動相溶媒としてはTHFが用いられるものであり、数平均分子量および重量平均分子量はいずれも、ポリスチレンを標準試料として計算される換算値である。
【0017】
本発明において用いる構成成分(A)に含まれる不揮発分は、50重量%〜90重量%であることが好ましく、65重量%〜90重量%であることがより好ましい。構成成分(A)に含まれる不揮発分が90重量%を超えると樹脂の粘度が高くなり、成形性が悪くなる場合がある。また、50重量%未満であると、樹脂硬化物中に、揮発分に由来するボイドが多く含まれ、難燃性および機械物性が損なわれたり。また、高熱下において、フェノール樹脂からの熱によるガスの発生が多くなるため、表面のフクレ、ハジキによる変形、着火等が起こるなど、鉄運81号の「不燃性」規格が満たされない場合がある。
【0018】
本発明において用いる構成成分(A)に含まれるフェノール類モノマーは、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましい。構成成分(A)に含まれるフェノール類モノマーが10重量%を超えると短時間でゲル化し可使時間が十分とれなくなることがある。また、高熱下において、フェノール樹脂からの熱によるガスの発生が多くなるため、鉄運81号の「不燃性」は満たしても、表面のフクレ、ハジキによる変形などいわゆる「爆裂」が生じる場合がある。
【0019】
本発明において用いる構成成分(A)としては、粘度1〜8000mPa・s(25℃)の液状レゾール型フェノール樹脂が好ましい。より好ましくは、1〜5000mPa・s(25℃)である。かかる粘度が1mPa・s未満であると粘度が低すぎて樹脂の含浸が不十分になるという場合があり、8000mPa・sを超えると成形性が損なわれる場合がある。ここでいう粘度とは円錐−平板型回転粘度計、回転−円筒粘度計、回転−平板粘度計など、いわゆる回転粘度計で測定される値をいう。
【0020】
本発明に用いるレゾール型フェノール樹脂の比重は、1.15〜1.30の範囲にあることが好ましい。より好ましくは1.15〜1.25である。かかる比重が1.15未満であると得られる複合材料がボイドの多いものとなり易く、その機械強度が低下するという場合があり、1.30を超えると樹脂の含浸が不十分になるという場合がある。
【0021】
レゾール型エポキシ樹脂としては、例えば「レヂトップ(登録商標)」(群栄化学工業社製)、「ショウノール(登録商標)」(昭和高分子社製)、「フェノライト(登録商標)」(大日本インキ化学工業社製)、「スミライトレジン(登録商標)」(住友ベークライト社製)、「スタンドライト(登録商標)」(日立化成社製)、などが挙げられるが、これらの各製品群から好ましい分子量、不揮発分量、粘度を有するグレードを選んで使用することもできるし、有機溶剤系のグレード或いは水系のグレードを選んで使用することもできる。例えばストレートレゾールからなる樹脂としてはスミライトレジンPR−51107やPR−51904、有機溶剤系レゾール型フェノール樹脂としては、スミライトレジンPR−912、PR−9183B、PR−50209、PR−51283などを、水系レゾール型フェノール樹脂としてはスミライトレジンPR−51464、PR−14170や、フェノライトPEシリーズなどを用いることができる。
【0022】
本発明における構成成分(A)は1種類の液状レゾール型フェノール樹脂であっても、複数の液状レゾール型フェノール樹脂を混合したものであってもよい。
【0023】
本発明において用いる樹脂組成物は構成成分(B)硬化剤を含むものである。かかる硬化剤を前記構成成分(A)と組み合わせることにより、低温での硬化が可能となる。硬化剤としては、例えばウレタン硬化剤や酸性硬化剤等を用いることができるが、硬化時間を短くすることが可能であること、および硬化物の耐熱性が良好であるという点で酸性硬化剤を好ましく用いることができる。特に大型構造体の成形の場合には、硬化サイクルを早められるという点で好適である。酸性硬化剤としては、例えばベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、硫酸、リン酸等の有機又は無機酸等の単独又は併用で使用することができる。
【0024】
酸性硬化剤の配合量は適宜決定されるが、樹脂組成物の硬化性と保存安定性との両立の面から、液状レゾール型フェノール樹脂100重量部に対して1〜20重量部とすることが好ましく、3〜15重量部であればより好ましく、5〜12重量部であればさらに好ましい。酸性硬化剤が20重量部を超えると、短時間でゲル化しやすく、可使時間が十分にとれない場合がある。また、1重量部より少ないと、5〜50℃の温度で一次硬化を行う際に時間がかかりすぎて実用的でないことがある。
【0025】
本発明で用いる樹脂組成物には、前記構成成分(A)の液状レゾール型フェノール樹脂以外の樹脂化合物を含んでいてもよく、かかる樹脂化合物としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、シアネートエステル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂を使用することができる。ここでいう熱硬化性樹脂は、モノマー或いはオリゴマーを一部に含んでいてもよい。
【0026】
この場合、液状レゾール型フェノール樹脂(構成成分(A))以外の熱硬化性樹脂の配合量は、構成成分(A)100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。より好ましくは0〜80重量部である。熱硬化性樹脂の配合量が100重量部を超えると樹脂硬化物の難燃性が損なわれることがある。また熱可塑性樹脂を含む場合には構成成分(A)100重量部に対して0〜40重量部が好ましい。より好ましくは0〜30重量部である。熱可塑性樹脂の配合量が40重量%を超えると樹脂硬化物の難燃性が損なわれることがある。
【0027】
本発明において樹脂組成物中に前記構成成分(A)以外の樹脂化合物を用いる場合には、各々の樹脂化合物に合わせて、適宜硬化剤を添加してもよい。例えば、エポキシ樹脂を含ませる場合は、硬化剤としてアミン化合物、フェノール化合物を用いるのが好ましい。また、ベンゾオキサジン樹脂を含ませる場合には硬化助剤或いは硬化触媒としては、フェノール化合物やカルボン酸等の酸、或いはアミンを用いるのが好ましい。尚、硬化助剤としてフェノール化合物を用いる場合には、樹脂組成物中10重量%を超えない程度で用いることが、ポットライフの低下も少なく好ましい。
【0028】
また、本発明において用いる樹脂組成物は、その他添加剤を含んでいてもよく、例えばゴム成分などのエラストマーを用いることもできる。
【0029】
本発明において用いる樹脂組成物の粘度は、1〜8000mPa・s(25℃)であることが好ましい。より好ましくは、1〜5000mPa・s(25℃)である。かかる粘度が1mPa・s未満であると粘度が低すぎて樹脂の含浸が不十分になるという場合があり、8000mPa・sを超えると成形性が損なわれる場合がある。
【0030】
また、本発明において用いる樹脂組成物は、pH5〜8.5であることが好ましい。より好ましくはpH6〜7.5である。レゾール型フェノール樹脂の原料に由来するホルムアルデヒド等のモノマー類が樹脂組成物中に多く含まれているとpHが5未満になる場合があり、そのような場合にはモノマーの揮発により、爆裂が生じやすくなる傾向にある。またpHが、8.5を超えると硬化触媒との反応が遅くなるという場合がある。
【0031】
本発明において、得られる繊維強化複合材料の機械物性を向上させるためには、樹脂硬化物の曲げ弾性率が高いのが良い。かかる観点から、樹脂硬化物の曲げ弾性率が好ましくは2GPa以上、より好ましくは2.2GPa以上、さらに好ましくは2.4GPa以上であるのが良い。
【0032】
かかる樹脂硬化物の曲げ弾性率は、130℃で2時間硬化させた樹脂硬化物についてJIS−K7171に準拠した方法により測定することができる。
【0033】
本発明において用いる樹脂組成物は、構成成分(B)の硬化活性に応じて5〜50℃の範囲の一定温度で加熱することにより硬化させることができる。ここでいう硬化とは、脱型可能な程度に硬化していれば良いが、硬化度が15%以上であれば好ましく、20%以上であればより好ましい。かかる硬化度は高ければ高いほど好ましいが、15%あれば一次硬化としては十分である。ここでいう硬化度とは、JIS−K6911という方法に準じて最終硬化後の樹脂の硬化度(Q)及び一次硬化させた樹脂の硬度(Q1)をそれぞれバーコル硬さ試験機934−I型で測定し、硬化度(%)=(Q1/Q)×100により求めることができる。中でも50℃、8時間硬化させた場合の、硬化度が20%以上である樹脂組成物は、成形効率と得られる成形体の特性のバランスから、特に好ましく用いることができる。また、樹脂硬化物の曲げ弾性率を1つの指標とすることもできる。すなわち、本発明において用いる樹脂組成物は、25℃で24時間硬化させた場合の曲げ弾性率が1.2GPa以上であることが好ましく、2GPa以上がより好ましい。該曲げ弾性率はJIS−K7171に順じて測定される。
【0034】
本発明において用いる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ナイロン繊維、炭化珪素繊維等を用いることができる。より高い力学特性を得るためには、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく用いられ、比強度、比弾性率の点から炭素繊維がより好ましく用いられる。前記強化繊維は単独で用いても良いし、複数の強化繊維を組み合わせて使用することもできる。
【0035】
強化繊維として炭素繊維を用いる場合、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性と剛性を両立するためにストランド引張弾性率Eが200GPa以上であるものが好ましい。200GPaを下回ると得られる繊維強化複合材料の比強度が低下し、結果として得られる複合材料の重量が大きくなり過ぎることがある。ストランド引張弾性率は高い程好ましいが、700GPaを超えると得られる繊維強化複合材料がもろくなる場合がある。
【0036】
また、炭素繊維のストランド引張強度σは、好ましくは3000MPa以上、より好ましくは4000MPa以上、さらに好ましくは4500MPa以上であるのが良い。3000MPa未満であると、得られる複合材料の引張強度が不充分となり、高度の機械強度が要求される航空機用構造材料や鉄道車両用構造材料などへの適用が困難となることがある。尚、ここでいうストランド引張試験とは束状の炭素繊維に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、JIS R7601に基づいて行う試験をいう。
【0037】
*樹脂組成
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシ
ル−カルボキシレート 100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン 3重量部
・アセトン 4重量部
また、本発明において炭素繊維を用いる場合には、その破壊ひずみ強さWが20MPa以上であることが好ましい。ここで破壊ひずみ強さWとは、前記ストランド引張強度σ(MPa)と弾性率E(MPa)とを用いて、次式:W=σ/2Eに基づいて算出する。かかる破壊歪み強さがWが20MPa以上の炭素繊維を用いることでより耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料が得られるというメリットがある。
【0038】
さらに、ストランド引張試験における引張伸度が1.5%以上の炭素繊維を用いることが、より耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましく、引張伸度が1.7%以上の炭素繊維を用いることがより好ましい。引張伸度が1.5%未満であると得られる複合材料の強度が不充分となり、高度の機械強度が要求される航空機用構造材料や鉄道車両用構造材料などへの適用が困難となるという場合がある。
【0039】
また強化繊維には、サイジング剤を付着させることができるが、その付着量としては、0.01重量%〜5重量%であることが好ましく、0.1重量%〜3重量%であればより好ましい。サイジング剤の量が0.01重量%未満の場合、炭素繊維の取扱性が低下し、成形型に強化繊維を設置する際の作業性が劣る場合がある。また、付着させるサイジング剤の量が5重量%を超えてしまうと着火性や難燃性が低下する傾向にある。
【0040】
強化繊維に付着させるサイジング剤としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリル酸付加物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のメタクリル酸付加物、不飽和ポリエステルなどの不飽和結合を有する化合物、およびポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリビニルホルマール、ポリテトラメチレンアジペート、ブタンエチレンオキサイド・ポリエチレンオキサイド付加物、ウレタン化合物などが好ましく用いられる。例えば、特許第3003513号公報に記載されているようなサイジング剤を用いることもできる。
【0041】
強化繊維の形態や配列については特に限定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選択できるが、軽量、耐久性がより高い水準にある繊維強化複合材料を得るためには、強化繊維が、織物、一方向ストランド、ロービング等連続繊維の形態であるのが良い。ここで、織物は特に限定されないが、織物組織としては、例えば、縦糸に強化繊維、横糸に目ずれ防止のガラス繊維または有機繊維等を用いた一方向織物、平織、綾織、絡み織、繻子織、のものを用いることができる。なお、織物に色艶等の美観が付与されることから、織物の表面は炭素繊維からなる織物とするのが好ましい。
【0042】
また、強化繊維の形態としてはプリフォームを適用することができる。ここで、
プリフォームとは通常、長繊維の強化繊維からなる織物基布を積層したもの、またはこれをステッチ糸により縫合一体化したもの、あるいは立体織物・編組物などの繊維構造物を意味する。
【0043】
本発明の製造方法を用いて製造される繊維強化複合材料は、該繊維強化複合材料に対する繊維体積分率が、好ましくは10〜85%、より好ましくは30〜70%であるのがよい。10%未満であると、得られる複合材料の重量が過大となり、比強度、比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が損なわれることがあり、85%を超えると、得られる複合材料が、ボイドの多いものとなり易く、その機械強度が低下することがある。
【0044】
本発明は工程(1)〜(4)からなる繊維強化複合材料の製造方法である。工程(1)は、成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程である。すなわち、これにより航空機構造部材、衛星構造部材、鉄道車両構造部材、および各種スポーツ、レジャー用品、例えばゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などの所望の形に強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程である。所望の形の成形型を用いて強化繊維と上記樹脂組成物を配置させる方法として、例を挙げると、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法(以下、FW法という)、プルトルージョン法、レジン・トランスファー・モールディング法(以下、RTM法という)、レジン・フィルム・インフュージョン(以下、RFI法という)等の方法を用いることができる。
【0045】
ハンドレイアップ法は、強化繊維に樹脂を含浸させながら、所定の枚数積層して配置させる方法である。FW法は、マンドレル等を成形型として用いて樹脂を含浸せしめた繊維束を所定の方向に巻き付けて配置させる方法である。プルトルージョン法は、強化繊維を樹脂に浸漬後、成形型中で含浸・配置させる方法である。RTM法は、成形型枠内に強化繊維を予め配置しておき、その後、樹脂を注入して配置させる方法である。RFI法は、予め強化繊維に樹脂を付着させたプリフォームを配置させる方法である。
【0046】
本発明における工程(1)において、強化繊維と樹脂組成物を配置させる方法として、強化繊維を一方向に引き揃えたシート状、リボン状、クロス状、テープ状などの形態で、未硬化のフェノール樹脂組成物が含浸された中間体である、いわゆるプリプレグを配置する方法を用いることもできる。
【0047】
本発明におけるプリプレグは、樹脂組成物を溶媒に溶解して低粘度化したものを強化繊維に含浸させるウェット法と、離型紙上に加熱溶解した樹脂組成物をロール或いはドクターブレード等でコーティングし、これを強化繊維に加圧加熱含浸させ、その後放冷するホットメルト法のいずれによっても製造することができる。
【0048】
また、上記の強化繊維と樹脂組成物を配置させる方法には、それぞれ適した樹脂の粘度範囲があり、例えば、RTM法では、注入温度において10〜1000mPa・s、プルトルージョン法では、注入温度に置いて10〜500mPa・sが適する範囲である。なお、樹脂組成物の粘度は添加剤や希釈剤を配合したり、含浸温度を制御することで調整できる。
【0049】
本発明における工程(1)では、上記の強化繊維と樹脂組成物を配置させる方法は、目的とする複合材料の生産量、寸法、或いは形状等により適宜使い分けることができる。例えば、比較的、形状が複雑な複合材料を、短時間で大量生産する場合は、RTM法が好ましく用いられる。RTM法では、金属板、フォームコア、ハニカムコア等、前記したプリフォーム以外の素材を成形型内に予めセットしておくことができるため、種々の用途に対応可能である。
【0050】
工程(1)で用いる成形型には、剛体からなるクローズモールドを用いてもよく、剛体のオープンモールドと可撓性のフィルムを用いた、いわゆる真空バギングを用いる方法も可能である。後者の場合、強化繊維と場合によっては離型用織布などの副資材とを成形型面上に配置した後、例えばそれらの外周の型面上にシール用粘着性テープやシーラントを貼り付け、その上にバック材として可撓性のフィルムを配置して成形型上の少なくとも成形部を覆って密閉する。また、強化繊維の体積含有率をより向上させる場合には、樹脂注入後、バッグ内の圧力上昇を防止する効果を発揮させるために、さらに該バギング用フィルムの外側にもう一重バギング用フィルムで覆ってもよい。また、成形型の材料には、通常アルミニウム、鋼、ステンレス等の金属を用いるのが好ましいが、5〜50℃程度の比較的低温で成形する場合は、石膏やFRP(Fiber Reinforced Plastics)および木製の成形型を用いることもできる。また、成形型を加熱するため、熱媒循環やヒーターによる加熱機能を付与するのが好ましい。可撓性のフィルムの材料としては、ナイロン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。
【0051】
剛体からなるクローズモールドを用いる場合は、プリフォームを成形型内にセット後、成形型を閉止して型内を密閉し、さらに所定の圧力で型締めを行う。この型締めには、樹脂組成物の注入圧以上の圧力を付与して行うのが好ましい。型締めしたあと、樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。この時、中入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプなどの手段により吸引することも可能である。吸引を行い、特別な加圧手段を用いず、大気圧のみで樹脂組成物を注入することも可能である。
【0052】
剛体のオープンモールドと可撓性のフィルムを用いる場合は、通常、密閉するに際し、減圧(真空)吸引口および樹脂注入口をセットし具体的には開口部を有するライン状基材(例えば、アルミニウム製C型チャンネル材や、樹脂性Ω型チューブなど)を強化繊維基材の担部周辺に配置し、該ライン状機材の端部に例えば樹脂製チューブなどを連通させる。その後、減圧(真空)吸引口から例えば油拡散タイプの真空ポンプなどの手段により吸引し、大気圧による注入を用いるVaRTM法を用いる。国際公開第01/41993号に引用されるCAPRI法のごとく、大気圧より低い圧力を調整する方法も可能である。大気圧あるいはそれ以下の圧力による注入で、良好な含浸を実現するためには、米国特許第4902215明細書に示されるような、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。
【0053】
RTM法において、樹脂組成物の強化繊維への含浸性を確保するためには、注入温度を高くし粘度を低下させることが有利であるが、注入温度が高過ぎる場合、注入中に樹脂組成物の硬化反応が進行して増粘あるいはゲル化することがある上、成形型や加熱設備等のコストがかさむ場合がある。かかる観点から、注入温度は、5〜50℃とするのが好ましい。5℃未満であると、樹脂組成物の粘度が高く、成形型内への樹脂組成物の注入が困難になることがあり、50℃を超えると、樹脂組成物の粘度上昇が過大となり、短時間でゲル化が進行し、成形が困難となることがある。注入温度は、10〜40℃であることがより好ましい。ここで注入温度とは、樹脂組成物を注入する際の成形型の温度を示すものである。このような条件で注入するため、本発明で用いるフェノール樹脂組成物は、25℃での粘度が好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは400mPa・s以下であるのが良い。
【0054】
本発明において、工程(2)は、5〜50℃の温度で強化繊維と樹脂組成物を保持し、一次硬化させた繊維強化複合材料を得る工程である。ここで、一次硬化させた繊維強化複合材料とは、5〜50℃の温度で強化繊維と樹脂組成物を保持し、樹脂が一部反応した状態で、成形型から外しても形状を実質的に変化させることのない強度および耐熱性を有するものをいう。具体的には、硬化度が15%以上であることが好ましく、20%以上であればより好ましい。かかる硬化度は20%程度あれば一次硬化としては十分である。ここでいう硬化度は前記した方法により求められる。また、繊維強化複合材料の曲げ弾性率が、一次硬化完了後に1.2GPa以上であることが好ましい、1.5GPa以上であればより好ましい。
【0055】
工程(2)における強化繊維と樹脂組成物の保持温度が5℃未満であると、得られる一次硬化させた繊維強化複合材料の耐熱性や、弾性率等の力学物性が低下し、後述の工程(3)において成形型から外す際に形状が変化することがある。50℃より高い温度で保持する場合は、揮発分がボイドとなって硬化物中に多く含まれることが多く、品位のよい一次硬化繊維強化複合材料を得られないことがある。また、50℃より高い温度で保持する場合は、安価な成形型の使用が困難であり、成形型のコストが高くなる。また、温度保持に要する熱エネルギーも大きくなり製造コスト的に不利となる。また、ここで温度の保持とはある範囲に温度を制御する事を意味し、保持温度とは、成形型の温度をいう。ここで保持温度は、成形型の昇温や降温に要する時間を低減するため、工程(1)において樹脂組成物を配置させる温度との差を極力小さくするのが好ましい。具体的には、かかる温度差を好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜30℃の範囲とするのが良い。
【0056】
工程(2)においては、保持時間は、脱型可能な程度に硬化が進行していれば特に限定されないが、1〜72時間であるのが好ましい。保持時間が1時間より短くなると樹脂組成物の硬化が不充分であるため繊維強化複合材料が得られない場合がある。保持時間が72時間を超えると、温度保持に要する熱エネルギーが大きくなり製造コストがかさむ場合がある。
【0057】
本発明において、工程(3)は、工程(2)により得られた一次硬化させた繊維強化複合材料を成形型より外す工程である。ここで、工程(2)により得られた一次硬化させた繊維強化複合材料は、実質的に形状を変化させることなく加熱硬化できる耐熱性を有するものである。すなわち、好ましくは前記した硬化度もしくはガラス転移温度を有する一次硬化繊維強化複合材料である。
【0058】
本発明において、工程(4)は、工程(3)で得られた一次硬化させた繊維強化複合材料を70℃〜150℃の温度で加熱し、繊維強化複合材料を得る工程である(以下、二次硬化という場合もある)。かかる工程では、前記一次硬化させた繊維強化複合材料を、成形型に入れることなくオーブンなどの装置を用いて70〜150℃で加熱することが好ましく、経済性と繊維強化複合材料の耐熱性を両立させるため100℃〜150℃で加熱することがより好ましい。加熱温度が70℃未満では、得られる繊維強化複合材料の耐熱性、難燃性が不十分な場合がある。また、加熱温度が150℃を超えると、硬化に要する熱エネルギーが過大となり、製造コストが増加することがある。かかる硬化に要する時間は特に限定されないが、得られる繊維強化複合材料の特性と製造効率のバランスから1〜72時間が好ましく、1〜24時間がより好ましく、1〜12時間がさらに好ましい。かかる二次硬化後の繊維強化複合材料は、前記方法により求められる硬化度が25%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、35%以上がさらに好ましい。また、前記方法により求められる曲げ弾性率が2GPa以上が好ましく、2.2GPa以上がより好ましく、2.4GPa以上がさらに好ましい。かかる硬化度が25%未満であったり、曲げ弾性率が2GPa未満であると、鉄道車輌その他の構造材として用いる場合に、耐熱性や難燃性が不十分となる場合がある。
【0059】
本発明は、上記のごとく、4段階の工程を得ることにより、得られる繊維強化複合材料は、鉄運81号に準拠する燃焼試験において「難燃性」、「極難燃性」、「不燃性」より選ばれる少なくとも1種を満たすものとすることができる。ここで鉄運81号に規定の着火試験は次の内容からなる。B5判の試料を45 °に傾斜させて保持し、試料下面の中心の垂直下25 .4mmのところに容器の中心がくるように燃料容器を受台に乗せ、エチルアルコール0 .5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。燃焼性の判定はアルコールの燃焼中と燃焼後に分け、燃焼中は着火、着炎、発煙状態、炎の状態を観察し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調べる。上記観察結果が、例えば、「着火」あり、「着炎」あり、「煙」普通、「火勢」炎が試験片の上端を超えない、「残炎」なし、「残じん」なし、「炭化」試験片の上端に達する、「変形」縁に達する変形・局部的貫通であれば、その判定結果は「難燃性」となる。また、「着火」なし、「着炎」なし、「煙」少ない、「炭化」試験片の上端に達しない、「変形」150mm以下の変形、あるいは、「着火」あり、「着炎」あり、「煙」少ない、「火勢」弱い、「残炎」なし、「残じん」なし、「炭化」30mm以下、「変形」150mm以下の変形であれば、その判定結果は「極難燃性」となる。また、「着火」なし、「着炎」なし、「煙」僅少、「炭化」100mm 以下の変色、「変形」100mm以下の表面的変形であれば、「不燃性」となる。尚、本発明では、試料として2±0.3mmの試験片を用いて上記試験を行うものとする。
【0060】
鉄運81号は、英著「プラスチックの難燃化−低発煙化と有害燃焼ガス対策」日刊工業新聞(1978年)及び西沢著「増補新版ポリマーの難燃化−その科学と実際技術」大成社(1992年 )に詳説されている。
【0061】
また、本発明の製造方法において、前記のごとく、より好ましい樹脂組成を選択することにより、国土交通省鉄運81号に準拠した燃焼試験で実質的に着火せず、かつ分解ガスの発生による爆裂がおこらない繊維強化複合材料を得ることも可能となるものである。
【0062】
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、耐熱性、難燃性、および機械強度に優れた繊維強化複合材料を安価に製造することができ、かかる方法により得られた繊維強化複合材料は、たとえば土木・建築、電気・電子、自動車、鉄道、船舶、航空機、スポーツ用品、美術・工芸などの分野における固定材、構造部材、補強剤、型どり材、絶縁材などの用途に好ましく使用される。これらの中でも、耐候性、耐燃性および高度の機械強度が要求される航空機構造部材、衛星構造部材および鉄道車両構造部材、特に時速200kmを超える高速鉄道車両構造部材およびスポーツ用の繊維強化複合材料としてゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などに好適に利用することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。樹脂組成物、樹脂硬化物および繊維強化複合材料の物性評価方法は次のような条件で行った。
1.液状レゾール型フェノール樹脂分子量の測定
液状レゾール型フェノール樹脂分子量はGPC法により測定した。ここで測定装置としては、TOSOH製GPCを用いた。カラムには、ガードカラムとして「TSKguardcolumn Hxl−L」とGPCカラムとして「TSKgel G3000Hxl」と「TSKgel G2000Hxl」2本を組み合わせて使用した。分析時のカラム温度は40℃、溶媒はTHF、流速は0.8L/minで行った。検出器にはRI検出器を使用した。分子量計算はポリスチレン換算して計算した。
2.樹脂組成物の物性測定
(1)樹脂組成物の粘度測定
未硬化の樹脂組成物の25℃における粘度を測定した。粘度計には、円錐−平板型回転粘度計TVE−30H(東機産業(株)製)を用いた。ローターには、1°34′×R24を用いた。
(2)ポットライフ測定
樹脂温が25℃の液状レゾール型フェノール樹脂100gを100mlのポリ容器に入れた後、表1に示す量の硬化剤を添加し、透明になるまでよく攪拌した。その後25℃で放置し、白濁した時間をポットライフとした。
3.繊維強化複合材料の製造方法
プリフォームには、炭素繊維クロスCK6243C(T700S−12K(引張弾性率E:240GPa、破壊ひずみ強さW:52MPa)使用、炭素繊維目付:300g/m、東レ(株)製)を、各辺が強化繊維と直行または平行となるようにカットした1辺280mmの正方形のものを6枚重ねたものを用いた。
【0064】
成形用型に、縦300mm、横300mm、高さ2mmの直方体のキャビティーを備えるものを使用した。
【0065】
かかるプリフォームと表1に記載した樹脂組成物を用いて繊維強化複合材料を得たが、特に各実施例中に明記した場合を除いては以下に示す(1)〜(4)の工程をこの順に行うことにより繊維強化複合材料を得た。尚、本実施例において用いたRTM成形法の概略を図1に示す。
(1)成形型の面上にプリフォーム1、樹脂拡散媒体2をセットした後、樹脂注入口3、減圧吸引口4を形成した。その後、成形型5の成形部全体をバッグ材6で覆い、周囲はシール用の粘着性テープ7a、7bを用いて密封した。次に、減圧吸引口4に連結した減圧吸引チューブ8や真空トラップ9を介して真空ポンプ10によって成形部を吸引した。樹脂注入口3に連結した樹脂注入チューブ11からフェノール樹脂組成物12を、注入温度25℃にて、5分間で成形型内に注入した。
(2)強化繊維と樹脂組成物を、一定温度で保持し、一次硬化した繊維強化複合材料を得た。各実施例で採用した保持温度および保持時間は表1にまとめて示す。
(3)一次硬化した繊維強化複合材料を成形型より外した。
(4)一次硬化した繊維強化複合材料をさらに加熱し、繊維強化複合材料を得た。各実施例で採用した加熱温度および加熱時間は表1にまとめて示す。
4.繊維強化複合材料の引張強度測定
JIS−K7073に準拠して、繊維強化複合材料の引張強度測定を行った。試験片寸法は、幅25±0.1mm、長さ250±5mm、厚さ2±0.3mmであり、各片が強化繊維と直行または平行となるようにカットしたものを用いた。測定数はn=5とし、その平均値を求めた。尚、本実施例では、万能試験機として、インストロン4208型試験器(インストロン社製)を用い、環境温度は25℃、クロスヘッドスピードは5mm/minとした。
5.繊維強化複合材料の燃焼試験
電車の火災事故対策についての通達(昭和44年5月15日鉄運第81号、以下鉄運81号という)に準処し、燃焼試験を行った。試料の厚みについては2±0.3mm とした。B5 判の試料を45 °に傾斜させて保持し、試料下面の中心の垂直下25 .4mm のところに容器の中心がくるように燃料容器を受台に乗せ、エチルアルコール0 .5cc を入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置した。燃焼性の判定はアルコールの燃焼中と燃焼後に分け、燃焼中は着火、着炎、発煙状態、炎の状態を観察し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調べた。上記観察結果が、例えば、「着火」あり、「着炎」あり、「煙」普通、「火勢」炎が試験片の上端を超えない、「残炎」なし、「残じん」なし、「炭化」試験片の上端に達する、「変形」縁に達する変形・局部的貫通であれば、その判定結果は「難燃性」とした。また、「着火」なし、「着炎」なし、「煙」少ない、「炭化」試験片の上端に達しない、「変形」150mm以下の変形、あるいは、「着火」あり、「着炎」あり、「煙」少ない、「火勢」弱い、「残炎」なし、「残じん」なし、「炭化」30mm以下、「変形」150mm以下の変形であれば、その判定結果は「極難燃性」とした。また、「着火」なし、「着炎」なし、「煙」僅少、「炭化」100mm 以下の変色、「変形」100mm 以下の表面的変形であれば、「不燃性」とした。尚、鉄運81 号は、英著「プラスチックの難燃化−低発煙化と有害燃焼ガス対策」日刊工業新聞(1978年)及び西沢著「増補新版ポリマーの難燃化−その科学と実際技術」大成社(1992年)に詳説されている。
<実施例1>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が580、重量平均分子量が1060、不揮発分含有量72.9重量%、含有フェノールモノマー量が7.0重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「レヂトップ XPL6828B−1」(群栄化学工業社製)100重量部、硬化剤として酸性硬化剤「XHL4112C」(群栄化学社製)10重量部を混合し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の25℃における粘度、ポットライフを測定した。測定結果は、表1に示した。
【0066】
また、上記の樹脂組成物を用いて、前述の方法により繊維強化複合材料を得た。この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い、引張強度および燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0067】
25℃における樹脂組成物のポットライフは20分であり成形性も良好であった。繊維強化複合材料の引張強度は920MPaと高く良好な機械物性を有していた。鉄運81号による燃焼試験の規格において「不燃性」であり、ガスの発生による爆裂等もなく難燃性にも優れていた。
<実施例2>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が495、重量平均分子量が820、不揮発分含有量71.6重量%、含有フェノールモノマー量が8.3重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「レヂトップ XPL6828B−2」(群栄化学工業社製)100重量部、硬化剤として酸性硬化剤「XHL4112C」(群栄化学社製)10重量部を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、繊維強化複合材料を作製し、樹脂組成物および繊維強化複合材料の物性を測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0068】
25℃における樹脂組成物のポットライフは15分であり成形性も良好であった。また、繊維強化複合材料の引張強度は910MPaと高く良好な機械物性を有していた。鉄運81号による燃焼試験の規格において「不燃性」であり、ガスの発生による爆裂等もなく難燃性にも優れていた。
<実施例3>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が390、重量平均分子量が720、不揮発分含有量70.0重量%、含有フェノールモノマー量が6.7重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「ショウノール BRL−240」(昭和高分子社製)100重量部、硬化剤として酸性硬化剤「FRH−50」(昭和高分子社製)10重量部を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。かかる樹脂組成物を用い、一次硬化して得られた複合材料を120℃で36時間加熱(二次硬化)した以外は実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂組成物および繊維強化複合材料の物性を前述の方法に従い測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0069】
25℃における樹脂組成物のポットライフは20分であり成形性も良好であった。また、繊維強化複合材料の引張強度は790MPaと高く良好な機械物性を有していた。鉄運81号による燃焼試験の規格において「不燃性」であり、ガスの発生による爆裂等もなく難燃性にも優れていた。
<実施例4>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が470、重量平均分子量が790、不揮発分含有量73.3重量%、含有フェノールモノマー量が7.4重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「フェノライト DG626−T66」(大日本インキ化学工業社製)100重量部、硬化剤として酸性硬化剤「硬化剤B3」(大日本インキ化学工業社製)8重量部を混合した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物および繊維強化複合材料を作製した。樹脂組成物および、樹脂未硬化物の物性を前述の方法に従い測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0070】
25℃における樹脂組成物のポットライフは30分であり成形性も良好であった。繊維強化複合材料の引張強度は920MPaと高く良好な機械物性を有していた。鉄運81号による燃焼試験の規格において「不燃性」であり、ガスの発生による爆裂等もなく難燃性にも優れていた。
<比較例1>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が495、重量平均分子量が820、不揮発分含有量71.6重量%、含有フェノールモノマー量が8.3重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「レヂトップ XPL6828B−2」(群栄化学工業社製)100重量部、硬化剤として酸性硬化剤「XHL4112C」(群栄化学社製)10重量部を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、繊維強化複合材料を作製した。この際、繊維強化複合材料中間体は、50℃で24時間加熱し繊維強化複合材料を得た。得られた樹脂組成物および繊維強化複合材料の物性を前述の方法に従い測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0071】
25℃における樹脂組成物のポットライフは15分であり成形性も良好であった。また、繊維強化複合材料の引張強度も730MPaであり良好な機械物性を有していた。しかしながら、鉄運81号による燃焼試験の規格において、ガスの発生により燃焼試験時のアルコール炎の芳香を変えるため着火と判断され、「極燃性」となった。また、ガスの発生による爆裂等があり難燃性は劣っていた。
<比較例2>
成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程(工程(1))の後に5〜50℃で一次硬化させる工程(工程(2))を経ることなく、100℃で10時間加熱し硬化させた以外は実施例2と同様の方法で繊維強化複合材料を得た。これらおよび、樹脂組成物の物性を測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0072】
25℃における樹脂組成物のポットライフは15分であり成形性も良好であった。しかしながら、加熱硬化後に得られた繊維強化複合材料は、初期の硬化温度が高いため硬化中に樹脂中に含まれる水分によるガスが多く発生し、これがボイドとなり良好な品位のものは得られなかった。繊維強化複合材料の引張強度も420MPaと低く機械物性は不十分であった。鉄運81号による燃焼試験の規格において「不燃性」であったが、ガスの発生による爆裂等があり難燃性は劣っていた。
<比較例3>
成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程(工程(1))の後、100°で48時間硬化させる工程(工程(4))を行わずに、60℃で48時間加熱し硬化させた以外は実施例2と同様の方法で繊維強化複合材料を得た。これらおよび、樹脂組成物の物性を測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0073】
25℃における樹脂組成物のポットライフは11分と短く、樹脂が十分に含浸する前にポット中の樹脂が硬化してしまい成形性が悪かった。また、繊維強化複合材料の引張強度も430MPaと低く機械物性は不十分であった。さらに、鉄運81号による燃焼試験の規格において、ガスの発生により燃焼試験時のアルコール炎の芳香を変えるため着火と判断され、「極燃性」となった。また、ガスの発生による爆裂等があり難燃性は劣っていた。
<比較例4>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が495、重量平均分子量が820、不揮発分含有量70.4重量%、含有フェノールモノマー量が12.9重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「レヂトップ XPL6828B−5」(群栄化学工業社製)100重量部、硬化剤として酸性硬化剤「XHL4112C」(群栄化学社製)10重量部を混合した以外は比較例3と同様にして樹脂組成物を得、および繊維強化複合材料を作製し、これらおよび、樹脂未硬化物の物性を測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0074】
25℃における樹脂組成物のポットライフは11分と短く、樹脂が十分に含浸する前にポット中の樹脂が硬化してしまい成形性が悪かった。また、得られた繊維強化複合材料は、樹脂の含心が不十分であり引張強度も450MPaと低く機械物性は不十分であった。鉄運81号による燃焼試験の規格において「不燃性」であったが、ガスの発生による爆裂等があり難燃性は劣っていた。
<比較例5>
液状レゾール型フェノール樹脂として、数平均分子量が495、重量平均分子量が820、含有フェノールモノマー量が12.9重量%である水系レゾール型フェノール樹脂「レヂトップ XPL6828B−2」(群栄化学工業社製)100重量部に水59.1重量部を混合し、不揮発分含有量45重量%としたもの、硬化剤として酸性硬化剤「XHL4112C」(群栄化学社製)10重量部を混合した以外は比較例3と同様にして樹脂組成物を得、樹脂硬化物、および繊維強化複合材料を作製し、これらおよび、樹脂未硬化物の物性を測定した。測定結果は、表1に示した。また、この繊維強化複合材料を用いて、前記した方法に従い燃焼試験を行った。判定結果は、表1に示した。
【0075】
25℃における樹脂組成物のポットライフは30分であり成形性も良好であった。しかしながら、得られた繊維強化複合材料は、揮発分の発生によるボイドを多く含有しており品位は劣っていた。また、引張強度も380MPaと低く機械物性は不十分であった。さらに、鉄運81号による燃焼試験の規格において、ガスの発生により燃焼試験時のアルコール炎の芳香を変えるため着火と判断され、「極燃性」となった。また、ガスの発生による爆裂等があり難燃性は劣っていた。
【0076】
以上の測定結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
Figure 2004345154
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、高価な成形型や加熱設備、副資材等を必要とせず、かつ樹脂物性とポットライフを両立させ、優れた難燃性、成形性および機械特性を有する繊維強化複合材料用フェノール樹脂組成物およびこれをマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料ができる。
【0079】
本発明の繊維強化複合材料用フェノール樹脂組成物と強化繊維を配合して得られる繊維強化複合材料は、土木・建築、電気・電子、自動車、鉄道、船舶、航空機、スポーツ用品、美術・工芸などの分野における固定材、構造部材、補強剤、型どり材、絶縁材などの用途に好ましく使用される。これらの中でも、耐候性、耐燃性および高度の機械強度が要求される鉄道車両構造部材、特に時速200kmを超える高速鉄道車両構造部材に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることのできるVaRTM成型法の一例
【符号の説明】
1:プリフォーム
2:樹脂拡散媒体
3:樹脂注入口
4:樹脂吸引口
5:成形型
6:バッグ材
7a、7b:シール用粘着用テープ
8:減圧吸引チューブ
9:真空トラップ
10:真空ポンプ
11:樹脂注入チューブ
12:フェノール樹脂組成物
13:バルブ

Claims (15)

  1. 下記の構成成分(A)と(B)が含まれてなる樹脂組成物を用いて、
    (A)液状レゾール型フェノール樹脂
    (B)硬化剤
    下記の工程(1)〜(4)をこの順に行うことを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
    (1)成形型を用いて強化繊維と樹脂組成物を配置させる工程
    (2)5〜50℃の温度で前記の強化繊維と樹脂組成物を保持し、一次硬化させた繊維強化複合材料を得る工程
    (3)前記の一次硬化させた繊維強化複合材料を成形型より外す工程
    (4)一次硬化させた前記の繊維強化複合材料を70〜150℃の温度で加熱し、繊維強化複合材料を得る工程
  2. 構成成分(A)が下記(ア)および(イ)を満たす請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
    (ア)数平均分子量:350以上1000以下
    (イ)重量平均分子量:600以上1200以下
  3. 構成成分(A)に含まれる不揮発分含有量が50〜90重量%である請求項1または2に記載の繊維強化複合材の製造方法。
  4. 前記樹脂組成物中に含まれるフェノール類モノマーが10重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材の製造方法。
  5. 構成成分(A)が水系レゾール型フェノール樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 強化繊維に、ストランド引張弾性率Eが少なくとも200GPa、破壊ひずみ強さWが少なくとも20MPaである炭素繊維を含む請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 強化繊維のうち、少なくとも50重量%が炭素繊維である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 前記工程(1)において減圧吸引口および樹脂注入口を設けた成形型の減圧吸引口から吸引により減圧した後、樹脂注入口から樹脂を注入し強化繊維に樹脂を含浸させる請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 前記工程(1)において成形型の少なくとも成形部をバック材で覆い、これに減圧吸引口および樹脂注入口を設け密閉し、減圧吸入口から吸引により減圧した後、樹脂注入口から樹脂を注入し強化繊維に樹脂を含浸させる請求項8に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 前記工程(2)において、5〜50℃で保持する時間を1〜72時間とする請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 前記工程(4)において、一次硬化させた繊維強化複合材料を70〜150℃で1〜72時間加熱する請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法によって得られる繊維強化複合材料であって、国土交通省鉄運81号に規定の準拠した燃焼試験において「難燃性」、「極難燃性」、「不燃性」より選ばれる少なくとも1種を満たす繊維強化複合材料。
  13. 国土交通省鉄運81号に準拠した燃焼試験で実質的に着火せず、かつ分解ガスの発生による爆裂がおこらない請求項12に記載の繊維強化複合材料。
  14. 繊維体積分率が10〜85%である請求項12または13に記載の繊維強化複合材料。
  15. 請求項12〜14のいずれかに記載の繊維強化複合材料からなる構造材料を含んでなる鉄道車両。
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