JP2004340753A - キャリブレーションチャート画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定のキャリブレーション撮影方向から撮影されたキャリブレーションチャート1の画像を記憶する校正画像記憶部12と、校正画像記憶部12に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、前記キャリブレーション撮影方向に応じて表示するキャリブレーションチャート画像表示部14とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、カメラの画像歪曲を修正するのに必要とされる内部パラメータ{例えば、レンズの主点位置、画面距離(焦点距離)、歪曲パラメータ等}を測定するためのキャリブレーションチャートの表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、写真測量や写真計測の分野では、収差の少ない画像を得ることが重要である。そこで、写真測量や写真計測の分野では、撮影用カメラのレンズとして収差が少ない高精度のレンズを使用している。さらに、写真測量分野では、精密に計測された3次元上に配置された多数の点を複数方向から計測することにより、カメラの内部パラメータ(主点位置、画面距離、歪曲パラメータ)を解析的に求めている。また、写真計測の分野で用いられる計測用カメラの場合は、製作されたカメラを精密に計測することにより、カメラの内部パラメータを求めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、写真測量分野のように精密に計測された3次元上の測定点を撮影計測して、カメラ内部パラメータを求める方法では、以下の課題がある。
▲1▼3次元上に測定点(ターゲット)が配置されている。そこで、複数方向から撮影すると死角が生じて、画像間でみえないターゲットが生じる。
▲2▼撮影された画像において、3次元上の測定点相互の位置関係に逆転が生じる場合があり、測定点の計測や各画像間の対応付けが困難で、自動化できない。
▲3▼そこで、相当の熟練をした作業員により、測定点の計測や各画像間の対応付けを行っている。すると、カメラの内部パラメータを得るために、高額のコストと長時間の作業が必要となってくる。
また、製作された計測用カメラを精密に計測する方法も、専用の冶工具が必要なだけでなく、熟練を要し特殊な設備のある機関でしか計測できず、計測専用カメラとして高価になるという課題がある。
【0004】
そこで、近年では、3次元上の測定点に代わるものとして、シートに印刷された2次元の測定点を計ることにより、レンズ収差を計測するキャリブレーション方式が提案されている。しかし、シートに印刷された測定点を計測することによりレンズ収差を求める方法は、測定点が2次元状に配置されているために、計測できるパラメータがレンズ収差に限られており、レンズの焦点距離が測定できないという課題がある。ここで、レンズの焦点距離は、立体視できる画像の組を用いて3次元計測を行う場合に必要なパラメータである。
【0005】
また、撮影方法もシートに印刷された測定点を複数の位置や方向から撮影しなければならなく、さらに焦点距離により撮影位置が異なり、撮影にノウハウが必要で難しい、という課題がある。更に、ズームレンズであれば、ズームレンズの焦点位置のいくつかにおいてキャリブレーションしなければならず、時間がかかると同時に撮影が簡単に行えない、という課題があった。
【0006】
本発明は、上述する課題を解決したもので、第1の目的はカメラの内部パラメータを簡易に測定するためのキャリブレーション装置やキャリブレーション方法に用いて好適な、平面的なキャリブレーションチャート表示装置を提供するである。第2の目的は、固定焦点だけでなく、ズームレンズにも簡単に対応できるキャリブレーションチャート表示装置を提供するである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のキャリブレーションチャート画像表示装置は、第1の目的を達成するもので、図1に示すように、所定のキャリブレーション撮影方向から撮影されたキャリブレーションチャート1の画像を記憶する校正画像記憶部12と、校正画像記憶部12に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、前記キャリブレーション撮影方向に応じて表示するキャリブレーションチャート画像表示部14とを備えている。
【0008】
このように構成された装置においては、校正画像記憶部12には所定のキャリブレーション撮影方向から撮影されたキャリブレーションチャート1の画像が記憶されている。キャリブレーションチャート画像表示部14は、校正画像記憶部12に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、キャリブレーション撮影方向に応じて表示する。ここで、キャリブレーション撮影方向とは、例えば図4(A)、図5に示すように、キャリブレーションチャート1の第1マークの一つ(I)を正面として撮影する第1の撮影方向と、前記第1マークと前記所定距離dだけ離れた他の第1マーク(II,III,IV,V)を正面にカメラ位置を設けて、且つ前記レンズの撮影方向を前記第1マーク(I)に前記レンズの光軸が向くようにする第2の撮影方向とを含んでいる。すると、被校正撮影装置19はキャリブレーションチャート1に対して所望の角度を正確に付した画像を得ることができ、高さ(奥行き)方向の変化を確実にし、キャリブレーションチャートによって被校正撮影装置19の焦点距離を正確に算出できる。『キャリブレーション撮影方向に応じて表示する』とは、例えば第1の撮影方向、第2の撮影方向(左上(II)、左下(IV)、右上(III)及び右下(V))の順序で、順次表示することをいう。
【0009】
好ましくは、校正画像記憶部12に記憶されているキャリブレーションチャート画像は、歪が補正された画像とすると、カメラのような被校正撮影装置19にて撮影された画像に含まれる歪曲、例えばレンズ収差を除去するのに必要とされるカメラの内部パラメータの演算が容易に行なえる。歪が補正された画像は、例えば撮影したカメラにおけるレンズ収差の影響を補償するパラメータを適用して、撮影されたキャリブレーションチャート画像からレンズ収差の影響を除去して、生成する。
【0010】
本発明のキャリブレーションチャート画像表示装置は、第1の目的を達成するもので、図17に示すように、所定のキャリブレーション撮影方向からキャリブレーションチャート1を観察した状態の画像を形成する画像形成部40と、画像形成部40で形成されたキャリブレーションチャート画像を表示するキャリブレーションチャート画像表示部44とを備えている。
【0011】
このように構成された装置においては、画像形成部40では所定のキャリブレーション撮影方向からキャリブレーションチャート1を観察した状態の画像を形成する。キャリブレーションチャート画像表示部44は、画像形成部40で形成されたキャリブレーションチャート画像を表示する。
【0012】
好ましくは、画像形成部40は、特定方向から撮影されたキャリブレーションチャートの画像を記憶する基準画像記憶部41と、基準画像記憶部41に記憶された画像を用いて、特定方向とキャリブレーション撮影方向との画像変換関係を適用して、キャリブレーション撮影方向のキャリブレーションチャートの画像を形成する画像変換処理部42を備える構成とするとよい。すると、基準画像記憶部41で撮影されているキャリブレーションチャートの画像を用いて、画像変換処理部42により他のキャリブレーション撮影方向のキャリブレーションチャートの画像を形成できるので、キャリブレーションチャート1を多数のキャリブレーション撮影方向から撮影する作業が困難な場合にも、容易にキャリブレーションチャートの画像を取得できる。
【0013】
好ましくは、さらに、キャリブレーションチャート画像表示部(14、34)に表示されるキャリブレーションチャート画像を、被校正対象となる撮影装置19の撮影動作に連動して、順次選択する表示順序制御部(15、35)を備えている構成とするとよい。すると、表示順序制御部を用いることで、キャリブレーションチャート画像表示部14によって、校正画像記憶部12に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、キャリブレーション撮影方向に応じて表示することが容易に行なえる。
【0014】
好ましくは、表示順序制御部(15、35)は、さらに、キャリブレーションチャート画像表示部(14、34)が、キャリブレーションチャート画像を表示した後、撮影信号を被校正撮影装置19に出力する撮影信号出力部(16、36)と、被校正撮影装置19によるキャリブレーションチャート画像の撮影完了信号を入力して、キャリブレーションチャート画像表示部(14、34)に後続するキャリブレーションチャート画像の表示命令信号を出力する校正画像切換え指示部(17、37)とを備えている。すると、表示順序制御部の動作が被校正撮影装置19と連動するので、キャリブレーションチャート画像の切換えが自動化される。
【0015】
好ましくは、本発明のキャリブレーションチャート画像表示装置を被校正撮影装置19としてのズームレンズに対応させて、第2の目的を達成する為に、キャリブレーション対象となる被校正撮影装置19から取得された焦点距離情報に応じて、キャリブレーションチャート画像表示部(14、34)に表示されるキャリブレーションチャート画像の大きさ又は密度の少なくとも一方を変更する焦点距離修正制御部(18、38)を備えている。このように構成された装置においては、ズームレンズのように焦点距離が可変の被校正撮影装置19に対しても、容易に最適なキャリブレーションチャート画像に変換して表示できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を説明する全体構成ブロック図である。図において、本発明のキャリブレーションチャート画像表示装置は、校正画像記憶部12、表示画像メモリ13、キャリブレーションチャート画像表示部14、表示順序制御部15、撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17を備えている。校正画像記憶部12は、所定のキャリブレーション撮影方向から撮影されたキャリブレーションチャート1の画像を記憶する。なお、キャリブレーションチャート1とキャリブレーション撮影方向の詳細は後で説明する。表示画像メモリ13は、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示される画像を記憶するメモリである。キャリブレーションチャート画像表示部14は、校正画像記憶部12に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、キャリブレーション撮影方向に応じて表示するもので、例えばパソコンのCRTや液晶のようなモニター装置が用いられる。
【0017】
表示順序制御部15は、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示されるキャリブレーションチャート画像を、被校正対象となる撮影装置19の撮影動作に連動して、順次選択する。撮影信号出力部16は、キャリブレーションチャート画像表示部14が、キャリブレーションチャート画像を表示した後、撮影信号を被校正撮影装置19に出力する。校正画像切換え指示部17は、被校正撮影装置19によるキャリブレーションチャート画像の撮影完了信号を入力して、キャリブレーションチャート画像表示部14に後続するキャリブレーションチャート画像の表示命令信号を出力する。被校正撮影装置19としては、例えば可動焦点距離式のズームレンズや固定焦点式レンズを用いたカメラが用いられる。
【0018】
なお、被校正撮影装置19が撮影信号出力部16の撮影信号を受信すると撮影したり、撮影完了信号を出力する構造となっていない場合には、撮影信号出力部16と校正画像切換え指示部17を用いることはなく、撮影者がマニュアルで被校正撮影装置19のシャッターを操作してキャリブレーションチャート1の撮影を行なう。マニュアルで被校正撮影装置19を操作する場合には、表示順序制御部15は、キャリブレーション撮影方向毎に一定時間(例えば10秒間)キャリブレーションチャート画像を表示させる。
【0019】
次に、キャリブレーションチャートとしてのチャート1について説明する。ここでは、チャート1として紙やプラスチックシートに所定のマークを印刷してある場合を例に説明するが、平面画面に所定のマークを配列した画像を表示するものでもよい。
【0020】
図2は、キャリブレーションチャートの一例を示す平面図である。チャート1は、平面的なシート形状であって、表側に視認容易な第1マークと多数の点から構成される第2マークが印刷されている。ここでは、第1マークはチャート1に総計5個配置されるもので、外形菱形で、中心部分に第2マークと共通の図柄が描かれている。第1マーク1a、1b、1c、1dは、チャート1を4象限に区分したとき、各象限に設けられるもので、第1マーク1aは左上象限、第1マーク1bは右上象限、第1マーク1cは左下象限、第1マーク1dは右下象限に位置している。第1マーク1eは、各象限と共通となる原点位置に設けられている。例えば第1マーク1a、1b、1c、1dは、第1マーク1eに対して等距離dの位置に設けられている。チャート1が矩形であるとして、第1マーク1a、1bと第1マーク1eとの縦方向の間隔をh、第1マーク1c、1dと第1マーク1eとの縦方向の間隔をlとする。このとき、第1マーク1a、1b、1c、1dと第1マーク1eとの距離dは、以下の関係を充足する。
d=(h2+l2)1/2 (1)
【0021】
第1マークと第2マークは、予め所望の寸法で印刷するか、もしくは寸法を計測しておく。第1マークと第2マークの印刷位置の数値は、キャリブレーション装置のマーク座標記憶部10に読込んで、概略マーク位置測定部5において概略位置測定と対応づけのために利用される。なお、チャート1は、コンピュータの記憶装置に画像データとして記憶させておき、キャリブレーションする場所において印刷して使用しても良い。第1マークと第2マークの位置は、予めキャリブレーション装置の中に記憶してあるものを使い、その記憶された座標にてシートに印刷すれば、計測作業は不要になるので作業は簡単なものになる。あるいは、チャート1を精密に計測して、第1マークと第2マークの座標位置を測定し、その座標値をマーク座標記憶部10に格納して利用する構成としてもよい。
【0022】
第1マークは、概略マーク位置測定及び対応付けに利用されるだけでなく、撮影方向を決める視標としても利用される。さらに、第1マークの外形菱形の中心部分は第2マークと共通の図柄とすることにより、精密マーク位置測定部6で精密測定する際のテンプレートとして使用される。
【0023】
図3は第1マークの一例を示す説明図で、(A)は菱形、(B)は4本の矢印、(C)は黒塗り矩形を示している。図3(A)、(B)では、第1マークは第2マークと共通の図柄を囲むように菱形又は4本の矢印を配置し、作業者にとって視認容易になるように配慮してある。このように視認容易な図柄とすることで、第1マークの抽出が容易なものとなると共に、被校正撮影装置19の撮影方向として広い撮影角度の中から一つの撮影角度を選択しても、撮影された画像から第1マークを見逃すことがない。図3(C)では、第1マークは黒塗り矩形とし、中心部の図柄は第2マークとは反転した色彩になっているが、このようにしても検出は容易である。また、精密マーク位置測定部5にて測定する際にも、図3(C)の図柄に対しては、第1マークの階調を反転することにより、第2マークのテンプレートとすることができる。
【0024】
第2マークは、被校正撮影装置19によって撮影されたチャート1の画像データの位置を指定するもので、ターゲットとも呼ばれており、好ましくは均等の密度で満遍なくチャート1に配置する。第2マークは、チャート1の30箇所以上に設けられるのが好ましく、さらに好ましくは100〜200箇所程度にするとよい。しかし、第2マークを徒に多く設けると、第2マーク自体が小さくなって見難くなると共に、レンズ収差の測定演算時間も長くなるため、実際上の上限は存在しており、例えば1000個である。第2マークは、チャート1に満遍なく多数配置されるので、精密位置計測のしやすいものであれば、各種の図柄を採択して良い。例えば、第2マークとしては、黒丸『●』、プラス『+』、二重丸『◎』、英文字『X』、星印『★』、黒塗り四角『■』、黒塗り三角形『▲』、黒塗り菱形『◆』等を用いることができる。
【0025】
続いて、レンズ収差の極めて少ないレンズによって、キャリブレーションチャート画像用に、チャート1を撮影する手順について説明する。図4はキャリブレーション撮影方向を説明する図で、(A)はキャリブレーション撮影方向のカメラ配置を示した立体図であり、(B)は一般的に標準レンズ及び望遠レンズを使用したときのキャリブレーション撮影方向に対応するカメラ間隔を示した図である。チャート1を異なる撮影角度から撮影した画像として、所定のキャリブレーション撮影方向に関する2枚以上の画像があれば、キャリブレーション画像として利用可能となる。好ましくは、チャート1としてシートに印刷された平面チャートを用いる場合には、3以上の撮影角度方向から撮影することによって、各キャリブレーション要素、特に焦点距離、の測定値が安定し、かつ信頼性の高いものになる。また、カメラ2は、例えば写真測量や写真計測用の撮影用カメラのように、キャリブレーション画像撮影用のレンズ収差の極度に少ない高性能カメラを用いる。
【0026】
キャリブレーション画像は、図4(A)に示すような5方向、即ち正面(I)、左上(II)、右上(III)、左下(IV)、右下(V)をキャリブレーション撮影方向として撮影する。カメラ2の光軸と平面チャートとの撮影入射角は、実際の撮影現場での奥行き精度を1cm程度に設定すると、10度〜30度の範囲が好ましく、他方レンズの焦点深度との関係でピントの合う距離も限られていることも考慮すると、12度〜20度の範囲がさらに好ましい。典型的には、カメラ2の光軸と平面チャートとの撮影入射角として15度を採用するとよい。
【0027】
以下、図5を参照して各キャリブレーション撮影方向によるチャート1の撮影手順を説明する。図5は、(A1)、(A2)、(A3)、(A4)にてカメラの画像を示し、カメラ画像に対応するチャート1とカメラ2の位置関係を(B1)、(B2)、(B3)、(B4)にて示している。なお、番号(I)〜(V)は図4(A)のカメラ位置に対応している。
【0028】
(I):正面から、チャート1の第1マークと第2マーク全てが一杯に入るよう撮影する(図5(A1)、(B1))。第1マークと第2マークをなるべく一杯に、撮影画像のすみまでいれることにより、レンズ周辺部までのディストーション補正が確実になる。そこで、カメラの焦点距離に応じて、撮影距離Hが変化する。
(II):次に、一般的に標準レンズ及び望遠レンズを使用した場合、正面のカメラ位置を中心として、撮影距離Hの1/3程度離れた位置にカメラを移動させて、例えば左上象限の第1マーク1aが撮影中心となるようにカメラ位置を変える(図5(A2)、(B2))。但し、一般的に広角レンズを使用した際に、撮影距離Hが約1m以内の場合は、カメラ位置は目的とする第1マークが正面に来るようにカメラ2を移動させればよい。そして、カメラ2のカメラ位置をそのままにして、中央にある第1マーク1eが中心となるようにカメラ2の方向を向ける(図5(A3)、(B3))。次に、カメラ2をチャート1に近づけるように移動して、カメラ2の撮影画像に対して第1マークと第2マークが一杯に入るようにして撮影する(図5(A4)、(B4))。
【0029】
(III):右上象限の第1マーク1bが撮影中心となるようにカメラ位置を変える。そして、カメラをそのまま中央にある第1マーク1eが中心となるようにカメラの方向を向け、第1マークと第2マークが一杯に入るようにして撮影する。(IV):左下象限の第1マーク1cが撮影中心となるようにカメラ位置を変える。そして、カメラをそのまま中央にある第1マーク1eが中心となるようにカメラの方向を向け、第1マークと第2マークが一杯に入るようにして撮影する。
(V):右下象限の第1マーク1aが撮影中心となるようにカメラ位置を変える。そして、カメラをそのまま中央にある第1マーク1eが中心となるようにカメラの方向を向け、第1マークと第2マークが一杯に入るようにして撮影する。
このような手順によって、カメラ2の角度が必要な撮影角度の差として確保できるので、焦点距離が確実に測定できるようになる。
【0030】
ここで、カメラ2とチャート1の間隔Hは、標準レンズや広角レンズの焦点距離fから定められる。例えば、焦点距離が35mmの標準レンズでは、撮影距離Hは90cm程度になる。チャート1に設けられた第1マークの相互間隔dは、例えば20cmであるから、正面(I)から左上(II)等に撮影方向を傾けるとき、撮影角度として約10度が確保される。
なお、撮影方向の傾斜角度の上限は焦点深度などによって定まる。即ち、撮影方向の傾斜角度が大きいとカメラ2と第1マーク間の距離が各第1マークによって相違し、画像に写る第1マークの像がボケてしまう。そこで、撮影方向の傾斜角度の上限は、例えば30度となる。実際の撮影手順は上記(I)〜(V)に示した通りで、カメラの画面一杯に第1マークと第2マークが入るように撮影すれば、自ずと上記条件になるので、撮影距離と位置の条件が満足される。
【0031】
望遠レンズや標準レンズのレンズ収差を計測する場合は、撮影レンズの画角が狭くなり、角度がつかなくなるため、正面(I)から左上(II)等に撮影方向を傾けるとき、撮影角度としての10度が確保されなくなる。即ち、焦点距離が長い場合にはカメラ2とチャート1の撮影距離Hが1m以上であって、第1マークの相互間隔dが20cm程度に過ぎないためである。そこで、図4(B)に示すように、正面のカメラ位置を中心として、左側のカメラ位置(II)、(IV)と、右側のカメラ位置(III)、(V)を定める。この際に、左右のカメラ位置の間隔を正面(I)の位置からそれぞれ撮影距離Hの1/3程度とった位置にカメラを設置して、上述の左上(II)、左下(IV)及び右上(III)、右下(V)での撮影を行えばよい。カメラの光軸は、チャート1の法線方向と一致させればよいが、チャート1方向を向けても良い。
【0032】
なお、上記の実施の形態においては、撮影位置として正面(I)、左上(II)、右上(III)、左下(IV)、右下(V)の5方向の場合を示したが、撮影位置は最低の場合には左右2方向あればよく、また3方向以上でもよい。左右2方向の場合も、撮影角度として約10度が確保されるようにしてチャート1の撮影を行う。
【0033】
また、チャート1は、平面シートに代えて、例えばノートパソコンのような平面的な表示画面を有する機器に、第1マークと第2マークが表示された平面シートの画像表示を用いてもよい。液晶表示画面のようにガラスを用いた画面は、紙やプラスチックに比較して湿度や温度による平面の伸縮が極めて少ないため、チャート1の表示装置として適している。また、液晶表示画面として携帯型パソコンの表示画面を用いると、表示精度がよい点に加えて、可搬性に優れているので、作業現場であっても防水や衝撃に注意すれば、通常の使用に耐える。
【0034】
図6はキャリブレーションチャート画像表示部14によって表示されるキャリブレーション画像の一例を説明する図である。キャリブレーション画像は、例えば図4(A)で説明した正面(I)、左上(II)、右上(III)、左下(IV)、右下(V)の5方向をキャリブレーション撮影方向として、図2で示すチャート1を撮影したものである。
【0035】
図7は、本発明が適用されるキャリブレーション装置を説明する全体構成ブロック図である。キャリブレーションチャート画像表示部14は、キャリブレーション画像をキャリブレーション撮影方向が判別できる態様で表示する。被校正撮影装置19は、キャリブレーションの対象となるカメラで、典型的には汎用の光学式カメラやデジタルカメラのように、レンズ収差が写真測量や写真計測用の撮影用カメラに比較して、大きいものである。被校正撮影装置19は、広角レンズや標準レンズでもよく、また望遠レンズを備えていても良い。
【0036】
画像データ記憶部3は、被校正撮影装置19によって撮影されたキャリブレーション画像データを記憶する記憶装置で、例えば磁気ディスク、CD−ROMのような電磁気的記憶媒体が用いられる。画像データ記憶部3では、キャリブレーション撮影方向が判別できる態様で、被校正撮影装置19が撮影したキャリブレーション画像が記憶されているとよい。
【0037】
キャリブレーション装置は、抽出部4、概略マーク位置測定部5、精密マーク位置測定部6、演算処理部7、画像処理部8、マーク座標記憶部10並びにレンズ収差補償パラメータ記憶部11を備えると共に、外部機器として画像データ記憶部3や表示部9を備えている。キャリブレーション装置には、例えばCPUとしてインテル社製のペンティアム(登録商標)やセレロン(登録商標)を搭載したコンピュータを用いるとよい。
【0038】
抽出部4は、画像データ記憶部3に格納される画像データから第1マークを抽出して、第1マークの画像座標値を求める第1マーク抽出処理を行う。第1マーク抽出処理は、概略マーク位置測定部5による第2マークの概略位置算出と対応付けの前処理として行われる。この第1マークの画像座標値は、マーク座標記憶部10に記憶される。なお、第1マークが第2マークと共通の図柄を含んでいる場合には、第1マーク内の第2マーク位置によって第1マークの画像座標値とするとよい。抽出部4による第1マーク抽出処理の詳細は、後で説明する。
【0039】
概略マーク位置測定部5は、抽出部4にて抽出された第1マークの画像座標値から射影変換を行って外部標定要素を求め、単写真標定の定理、並びに共線条件式を用いて、第2マークの概略位置を演算して、校正用写真組の画像相互の対応付けを行う。概略マーク位置測定部5による第2マークの概略位置演算処理の詳細は、後で説明する。
【0040】
精密マーク位置測定部6は、校正用写真組の画像に対して第2マークの認識を行い、重心位置検出法等によって第2マークの位置を精密に演算する。演算処理部7は、精密マーク位置測定部6にて演算された第2マークの位置が、チャート1の画像データにおける他の第2マークの位置と著しい齟齬が生じていた場合には、齟齬の生じた第2マークの位置を除外する機能を有する。また、演算処理部7は、精密マーク位置測定部6にて演算された第2マークのうち、キャリブレーションに適切な第2マークを抽出して、外部標定要素と対象点座標を同時調整すると共に、被校正撮影装置19の内部パラメータを演算する。演算された被校正撮影装置19の内部パラメータは、レンズ収差補償パラメータ記憶部11に格納すると良い。被校正撮影装置19の内部パラメータには、主点位置、画面距離、歪曲パラメータがある。なお、ここでは歪曲パラメータのみを求めているが、ザイデルの5収差を構成する球面収差、コマ、非点収差、像面のそりについても、求めても良い。演算処理部7にて求められた内部パラメータは、表示部9にてグラフィック表示される。なお、精密マーク位置測定部6、並びに演算処理部7の被校正撮影装置19の内部パラメータ演算処理に関しての詳細は、後で説明する。
【0041】
画像処理部8は、演算処理部7にて求められた内部パラメータを用いて、被校正撮影装置19によって撮影された画像(特に、チャート1以外の画像)のデータ画像を再配列する。すると、被校正撮影装置19によって撮影された画像が、レンズ収差の大部分が除去された歪の著しく少ない画像として、表示部9に表示される。表示部9は、CRTや液晶ディスプレイのような画像表示装置である。マーク座標記憶部10には、第1マークの画像座標値が記憶されていると共に、第2マークの管理番号並びにその画像座標値が記憶されている。レンズ収差補償パラメータ記憶部11には、演算処理部7にて演算された被校正撮影装置19の内部パラメータが記憶されている。
【0042】
次に、図8を参照して、本発明のキャリブレーションチャート画像表示装置及びキャリブレーション装置を用いたキャリブレーション処理の流れ全体について説明する。図8は、キャリブレーション処理の流れ全体を説明するフローチャートである。まず、レンズ収差の補償対象となる被校正撮影装置19によって、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示されたキャリブレーション画像を撮影する(S10)。ここで、S10の詳細を説明する。図9はS10におけるキャリブレーションチャート画像表示装置を用いたキャリブレーション画像撮影を説明するフローチャートである。
【0043】
まず最初に、被校正撮影装置19がズームレンズの場合には、キャリブレーションしたい焦点距離に設定する(S11)。焦点距離は、例えば広角側と望遠側のうち、ズームレンズの広角側に設定するのが良いが、望遠側でも差し支えない。なお、被校正撮影装置19が固定焦点の場合は、ステップS11を省略してよい。
【0044】
次に、キャリブレーションチャート画像表示部14に、キャリブレーションチャート画像を表示する(S12)。表示するキャリブレーションチャート画像は、キャリブレーションチャート1を撮影したものでも、コンピュータにて生成されたキャリブレーションチャートでもよい。キャリブレーションチャート画像表示部14は、例えばパソコンのモニタ画面を用いるのが良く、表示するキャリブレーション画像は、モニタ画面いっぱいに第1及び第2のマーク(ターゲット)が表示されるのがよい。キャリブレーション画像のキャリブレーション撮影方向としては、例えば図6(E)のように、第1画面として被校正撮影装置19とキャリブレーション画像が正対した画像を選択する。
【0045】
次に、被校正撮影装置19の画面に、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示されたキャリブレーション画像がいっぱいに映るようにカメラ位置を設定する(S13)。カメラ位置とは、被校正撮影装置19とキャリブレーションチャート画像表示部14との距離を含む概念である。そして、被校正撮影装置19により、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示されたキャリブレーション画像を撮影する(S14)。
【0046】
そして、被校正撮影装置19がキャリブレーションに必要な画像をすべて撮影したか判断する(S15)。例えば、図6に示すような、正面(I)、左上(II)、右上(III)、左下(IV)、右下(V)の5方向をキャリブレーション撮影方向とするキャリブレーション画像に対して、被校正撮影装置19による撮影がすべて終了したか、判定する。もし終了していなければ、S12に戻って、他のキャリブレーション撮影方向から撮影したのと等価なキャリブレーション画像をキャリブレーションチャート画像表示部14に表示して、被校正撮影装置19による撮影を必要枚数繰り返す(例えば、図6(E)以外の残り4方向)。
【0047】
被校正撮影装置19について、一つの焦点距離で必要枚数の撮影が終了したのち、被校正撮影装置19がズームレンズの場合には、必要とする全ての焦点距離で撮影が終了したか判定する(S16)。なお、被校正撮影装置19が固定焦点の場合は、必要とされる焦点距離が一つなので、キャリブレーション画像の撮影作業を終了する。被校正撮影装置19がズームレンズの場合は、S16にて未了と判断されると、必要とされる次の焦点距離に対する撮影処理をS11に戻って繰り返す。例えば、被校正撮影装置19の焦点距離として、補間したい必要焦点数についてズームレンズを調整して、S11〜S16の処理を繰り返す。ここで、被校正撮影装置19のキャリブレーション画像の対象となる焦点距離数はキャリブレーションの必要精度に変えるのが良く、またズームレンズのレンジに応じて変えてもよい。この焦点距離数は、最低値として2焦点距離であるが、3以上の焦点距離でもよい。例えば、被校正撮影装置19が広角から望遠まで5焦点の場合は5回行う。従って、被校正撮影装置19について焦点距離変更した場合、キャリブレーション画像を被校正撮影装置19の画面いっぱいに撮影できるよう、カメラ位置を変更して繰り返す。
【0048】
被校正撮影装置19によるキャリブレーション画像の撮影が終了したら、撮影されたキャリブレーション画像を画像データ記憶部3に格納する(S17)。キャリブレーション画像の格納は、フレキシブルディスクのような電磁気的記憶媒体でも良く、またインターネット経由にて通信によりキャリブレーション装置に画像データを転送してもよい。そして、S17の処理が完了すると戻しとなる。
【0049】
図8に戻り、画像データ記憶部3に格納されたキャリブレーション画像に関して、画像上に記録されている焦点位置を読み込む(S20)。次に、キャリブレーション画像に関して、被校正撮影装置19の同一焦点距離の画像を一グループとして、各焦点距離ごとのキャリブレーション画像グループを作成する(S25)。なお、被校正撮影装置19が固定焦点式であれば、単一の焦点距離に関してキャリブレーション処理を行なえば良い。
【0050】
続いて、各焦点距離ごとに形成されたキャリブレーション画像グループから今回の処理対象となる画像が選択される(S30)。即ち、キャリブレーション装置は、選択されたキャリブレーション画像グループの画像データを画像データ記憶部3から読込んで、表示部9に表示する。そして、操作者は表示部9に表示された画像から、ターゲットの対応付け及び計測を行う画像を選択する。そして、抽出部4により、選択された画像につき第1マーク抽出処理を行う(S40)。
【0051】
(I):第1マーク抽出処理
第1マーク抽出処理では、測定対象面に設定されたチャート1の平面座標とその画像座標(カメラ側)との二次射影変換式を決定するため、平面座標上の第1マークのうち、最低3点以上を画像データ上で計測する。ここでは、第1マークの中に第2マークを含んでいるので、含まれた第2マークの位置を指定することで、正確に第1マークの位置を指定する。第1マーク抽出処理は、次のI−▲1▼からI−▲4▼までの処理を第1マークの点数分繰り返す。例えば、図2に示すチャート1では、左右各2点の第1マーク1a、1b、1c、1dについて行う。
【0052】
I−▲1▼…操作者は表示部9に表示された全体画像上で、検出したい第1マーク中の第2マークにマウスのカーソル位置を合わせクリックし、第1マークの概略位置を求める。
I−▲2▼…I−▲1▼で求められた画像座標を中心として、拡大画像より第2マークを含んだ、局所となる画像を切り出して、表示する。このとき、第2マークを含む画像を第2マーク精密位置測定のテンプレートとして使うことができる。
I−▲3▼…I−▲2▼で表示した拡大画像に対して、第2マークの重心位置にマウスのカ−ソル位置を合わせクリックし、この画像座標を第1マークの重心位置とする。なお、後続の処理で概略位置対応付けを行うために、I−▲3▼での位置あわせは厳密でなくともよい。
I−▲4▼…次に、マーク座標記憶部10に記憶された第2マークの管理番号と対応させるために、I−▲3▼で計測された第1マークの重心位置に対応する第2マークの管理番号を入力する。このとき、入力された第2マークの管理番号には、I−▲3▼で計測された第1マークの重心位置が基準点座標として記憶される。
【0053】
なお、第1マーク抽出処理では、例えばチャート1上の第1マークの計測順序を予め決めておけば、第2マークの管理番号を入力せずとも、抽出部4側で自動採番処理が可能である。また、第1マーク抽出処理では、操作者が作業しやすいように、例えば、表示部9に表示されている選択画像を二つに分割し、片側に図2のような全体画像、もう一方側に図3(A)、(B)、(C)のような拡大画像を表示するようにすれば、位置計測がしやすくなる。
【0054】
次に、第1マーク抽出処理の他の処理手順として、拡大画像を用いないで図2のような全体画像だけで計測する方式がある。この場合、I−▲1▼の処理を行うと共に、I−▲4▼においてI−▲1▼で計測された第1マークの重心位置に対応する第2マークの管理番号を入力する。このようにすると、拡大画像を用いないため、I−▲2▼、I−▲3▼の処理が省略できる。ただし全体画像表示なので、第1マークが小さく表示されるため、操作者の好みで拡大画像を利用するかしないか判断すればよい。
【0055】
次に、第1マーク抽出処理を抽出部4により自動処理する場合を説明する。まず、第1マークのうち第2マークを含まない外枠部分をテンプレートとして登録する。この登録は、例えば先に説明した、第1マーク抽出処理における最初の第1マークをテンプレート画像として登録すればよい。すると、テンプレートマッチング処理にて、残りの第1マークを自動で計測することができる。また、第1マークの場合の位置対応付けは、第1マークの位置が画像上から明確であるため容易に行える。例えば図2の第1マーク配置であれば、その検出座標から5点の第1マークの対応付けを行うのは容易である。なお、テンプレートマッチングの処理については、後で説明する第2マーク精密位置測定におけるターゲットの認識処理(S62)と同様なので、説明を省略する。
【0056】
続いて、第1マーク抽出処理を抽出部4によりさらに自動処理する場合を説明する。第1マーク抽出処理における第1マークのテンプレート画像を、予め抽出部4に登録しておく。すると、第1マークのテンプレート画像を用いて、テンプレートマッチングの処理により第1マークが個別に抽出されるので、I−▲1▼の第1マークを指定する作業は全て省略することも可能である。即ち第1マークが第2マークに対して明確に異なるマークであれば、仮想のテンプレート画像を抽出部4が持つことによっても、自動処理が可能となる。
しかしながら、第1マークは最低3点以上計測すればよいので、マニュアルによる作業でも、簡単な作業である。
【0057】
図8に戻り、概略マーク位置測定部5により第2マーク概略位置測定と対応付けを行う(S50)。第2マーク概略位置測定と対応付けは、外部標定要素を求める工程(II−1)と、第2マークの概算位置を演算する工程(II−2)を含んでいる。
(II−1):外部標定要素を求める工程
概略マーク位置測定部5では、S40で求めた第1マークの画像座標と対応する基準点座標を式(2)に示す二次の射影変換式に代入し、観測方程式をたてパラメ−タ−b1〜b8を求める。
X=(b1・x+b2・y+b3)/(b7・x+b8・y+1)
Y=(b4・x+b5・y+b6)/(b7・x+b8・y+1) (2)
ここで、XとYは基準点座標、xとyは画像座標を示している。
【0058】
次に、基準点座標と画像座標の関係を説明する。図11(A)は中心投影における画像座標系と対象座標系の説明図である。中心投影の場合、投影中心点Ocを基準にしてチャート1の置かれる基準点座標系としての対象座標系52と、被校正撮影装置19のフィルム又はCCDが置かれる画像座標系50が図11(A)のような位置関係にある。対象座標系52における基準マークのような対象物の座標を(X,Y,Z)、投影中心点Ocの座標を(X0,Y0,Z0)とする。画像座標系50における座標を(x,y)、投影中心点Ocから画像座標系50までの画面距離をCとする。ω、φ、κは、画像座標系50の対象座標系52を構成する3軸X,Y,Zに対するカメラ撮影時の傾きを表すもので、外部標定要素と呼ばれる。
【0059】
そして、式(2)のパラメ−タ−b1〜b8を用いて、式(3)より次の外部標定要素を求める。
ω=tan−1(C・b8)
φ=tan−1(−C・b7・cosω)
κ=tan−1(−b4/b1) (φ=0のとき)
κ=tan−1(−b2/b5) (φ≠0、ω=0のとき)
κ=tan−1{−(A1・A3−A2・A4)/(A1・A2−A3・A4)}(φ≠0、ω≠0のとき)
【0060】
ただし、A1=1+tan2φ、A2=B1+B2・tanφ/sinω、A3=B4+B5・tanφ/sinω、A4=tanφ/(cosφ・tanω)とする。また、Zmは第1マーク1a、1b、1c、1d4点の基準点の平均標高とする。ここでは、第1マーク1a、1b、1c、1d4点の基準点は平面座標上なので、標高一定の面と仮定できる。Cは焦点距離で、前述の画面距離に相当している。
【0061】
(II−2):第2マークの概算位置を演算する工程
次に、単写真標定の原理から、対象座標系52で表される地上の対象物(X,Y,Z)に対する、画像座標系50で表される傾いたカメラ座標系におけるカメラ座標(xp、yp、zp)は、式(4)で与えられる。
【数1】
ここで、X0、Y0、Z0は、前述したように、図11(A)に示すような投影中心点Ocの地上座標とする。
【0062】
ここで、式(3)で求めたカメラの傾き(ω、φ、κ)を、式(4)中に代入し、回転行列の計算をして、回転行列の要素a11〜a33を求める。
【0063】
次に、求めた回転行列の要素a11〜a33と式(3)で求めたカメラの位置(X0、Y0、Z0)、及びタ−ゲットの基準点座標(X,Y,Z)を共線条件式{式(5)}に代入し、タ−ゲットの画像座標(x、y)を求める。ここで、共線条件式とは、投影中心、写真像及び地上の対象物が一直線上にある場合に成立する関係式である。これにより、レンズ収差がない場合の第2マークの位置が算出されるので、レンズ収差のある現実の被校正撮影装置19で撮影した画像におけるタ−ゲットの概略の画像座標が求める。
【0064】
ところで、式(3)中のtan−1の演算では解が二つ求めるため、カメラの傾き(ω、φ、κ)はそれぞれ2つ解をもち全通りの計算を行う。そして、第1マーク抽出処理で計測した第1マーク1a、1b、1c、1d4点の画像座標と、式(5)で求めた対応する4点の画像座標との残差の比較により、正解となるω、φ、κを算出する。
なお、ここでは射影変換式として二次の射影変換式を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、三次の射影変換式等の他の射影変換式を利用しても良い。また、概略マーク位置測定部5では、例えばマーク座標記憶部10に格納されている基準点座標ファイルに付加してある第2マークの管理番号を、各第1マークのタ−ゲット(第2マーク)に割り振ることにより、第2マークの対応づけを行う。
【0065】
図8に戻り、精密マーク位置測定部6によって第2マークの精密位置測定を行う(S60)。以下、図10を用いて第2マークの精密位置測定の処理手順を詳細に説明する。まず、精密マーク位置測定部6は、第2マークとしてのタ−ゲットを認識する(S62)。このターゲット認識には、例えば正規化相関を用いたテンプレ−トマッチングを用いる。以下、ターゲット認識の詳細について説明する。
【0066】
(III)ターゲット認識
図11(B)はターゲット認識に用いられる正規化相関のテンプレ−ト画像と対象画像の説明図である。まず、第1マーク抽出処理(S40)で計測した第1マーク、例えば第1マーク1a、1b、1c、1d4点のタ−ゲットの重心位置の中から、任意のタ−ゲットを選ぶ。正規化相関のテンプレ−ト画像は、選ばれたターゲットの重心位置(画像座標)を中心とする、M×M画素の画像とする。また、第2マーク概略位置測定(S50)で算出したタ−ゲットの概略位置(画像座標)を中心として、N×N画素の画像を対象画像とする。
【0067】
次に、対象画像に対して、式(6)に示す正規化相関によるテンプレ−トマッチングを施し、相関値が最大となる位置を求める。この相関値が最大値となる位置にて重ね合わせが達成され、最大値となる位置にてタ−ゲットが認識されたとみなす。ここでのテンプレ−ト画像の中心座標を等倍画像上の画像座標に換算し、検出点とする。
ここで、Aは相関値、Mはテンプレ−ト画像の正方サイズ、Xiは対象画像、Tiはテンプレ−ト画像とする。また、画像の正方サイズN、Mは可変であるが、処理時間の高速化をはかるため、N、Mはタ−ゲットが十分格納できるのを前提にできるだけ小さくするのがよい。
【0068】
図10に戻り、第2マークの精密位置測定を行うために、第2マークのサブピクセルエッジ検出を行う(S64)。第2マークのサブピクセルエッジ検出を行う対象画像は、S62でタ−ゲットと認識された検出点を中心としてN×N画素の画像とする。対象画像に存在する濃淡波形に、式(7)に示すガウス関数の二次微分であるラプラシアン・ガウシアン・フィルタ(LOGフィルタ)を施し、演算結果の曲線の2箇所のゼロ交差点、つまりエッジをサブピクセルで検出する。ここで、サブピクセルとは一画素よりも細かい精度で位置検出を行うことを言う。
ここで、σはガウス関数のパラメ−タ−である。
【0069】
次に、ターゲットの重心位置を検出し(S66)、戻しとする(S68)。ここでは、式(7)を用いて求めたx、y方向のエッジ位置より、その交点をタ−ゲットの重心位置とする。なお、第2マークの精密位置測定は、S62〜S66に開示した処理に限定されるものではなく、他の重心位置検出法、例えばモーメント法やテンプレートマッチング法をさらに改良して利用するなど、どのような求め方をしても良い。
【0070】
図8に戻り、全タ−ゲット重心位置の確認をし、一見明白な過誤のないことを確認する(S70)。即ち、ターゲット認識されたターゲットの位置検出が適切であるか確認する。操作者による確認の便宜のために、検出されたターゲットの位置を表示部9に表示する。過誤がない場合には、S80に行く。過誤があれば、不適切なターゲットの位置を修正する(S75)。例えば、S62で演算された相関値が低いターゲットや、重心検出位置が概略検出位置とあまりにかけ離れてしまったターゲットは、表示部9上にそのターゲット表示を赤くするなど、操作者に明確にわかるように表示する。すると、過誤のあったターゲットに関しては、操作者によるマニュアルにて計測しなおす(マウスで重心位置を指定する)。なお、ここで過誤のあったターゲット位置を無理に修正しなくとも、あとのキャリブレーションパラメータを求めるためのS90の処理過程によっても、異常点として検出されるので、取り除くことが可能である。
【0071】
そして、S30〜S75の処理を、レンズ収差の測定に必要な画像分繰り返す(S80)。例えば、撮影された画像が5枚であれば、全ての5枚について繰り返しても良く、またレンズ収差の測定に必要な画像分に到達していれば、撮影された画像の全部を繰り返して処理しなくてもよい。
【0072】
レンズ収差の測定に必要な画像分の計測処理を終了したら、次に演算処理部7のカメラの内部パラメータ演算処理を用いて、レンズ収差のキャリブレーション要素を求める処理に移る(S90)。ここでは、キャリブレーション要素の演算対象として、チャート1上の第2マークについて、概略マーク位置測定部5と精密マーク位置測定部の処理により対応づけがなされ重心位置が求められている全ての第2マークについて行う。
【0073】
(IV):カメラの内部パラメータ演算処理(セルフキャリブレーション付きバンドル調整法)
演算処理部7のカメラの内部パラメータ演算処理としては、例えば写真測量分野で使用されている「セルフキャリブレーション付きバンドル調整法」を用いる。ここで、「バンドル調整」とは、被写体、レンズ、CCD面を結ぶ光束(バンドル)は同一直線上になければならないという共線条件に基づき、各画像の光束1本毎に観測方程式をたて、最小2乗法によりカメラの位置と傾き(外部標定要素)と第2マークの座標位置を同時調整する方法である。「セルフキャリブレーション付き」とはさらに、キャリブレーション要素、即ちカメラの内部定位(レンズ収差、主点、焦点距離)を求めることができる方法である。セルフキャリブレーション付きバンドル調整法(以下単に「バンドル調整法」という)の共線条件基本式は、次の(式8)と(式9)である。
【0074】
【数2】
【数3】
【0075】
この(式8)と(式9)は、第1マーク抽出処理で説明した単写真標定の共線条件式(5)を基本式とするものである。即ちバンドル調整法は、(式8)と(式9)を用いて、複数画像から最小二乗近似して、各種解を算出する手法であり、各撮影位置のカメラの外部標定要素を同時に求めることが可能となる。即ち、カメラのキャリブレーション要素を求めることが可能となる。
【0076】
次に、内部定位の補正モデル(レンズ収差)として、放射方向レンズ歪を有する場合の一例を次の(式10)に示す。
【数4】
補正モデルはこれに限らず、使用レンズにあてはまるものを選択すればよい。これら計算は、基準点を地上座標と画像座標で6点以上あれば、逐次近似解法によって算出される。なお、演算処理部7では、逐次近似解法の閾値によって、閾値以上となった場合の誤差の大きいチャート1上の第2マークを省くことによって、正確なキャリブレーション要素を求めることが可能となる。そこで、ターゲット位置重心位置確認(S70)において、誤差の大きい第2マークとして検出されなかった場合でも、S90にて過誤のある第2マークを検出して、除去することが可能である。
【0077】
図8に戻り、演算処理部7によるキャリブレーション要素を求める演算処理結果を判断し(S100)、演算処理が収束しなかったり、或いは得られたキャリブレーション要素が適正と思われないものであった場合、S110にて対処する。S110では、過誤のある第2マークを含む画像を選択する。S90におけるキャリブレーション終了時点で、演算処理部7によりどの画像のどの第2マークに過誤があるか判明しているので、その各画像における該当ターゲット検出点を表示して、確認する。
【0078】
そして、操作者はマニュアル操作にて過誤のある第2マークを修正する(S120)。即ち、過誤のある第2マークの重心位置座標がずれて表示されているので、過誤のある第2マークとして表示されているマークを、適性として表示されている重心位置に移動させることで、修正が行われる。そして、過誤のある第2マークの位置修正が完了したか判断し(S130)、完了していればS90のキャリブレーション要素演算に戻り、キャリブレーション要素を演算しなおす。他方、他に修正箇所があれば、S110に戻って、過誤のある第2マークの位置修正操作を繰り返す。
【0079】
キャリブレーション要素を求める演算処理結果が適性であれば、他の焦点距離のキャリブレーション画像グループが存在するか判断する(S135)。もし、他の焦点距離のキャリブレーション画像グループが存在が存在していれば、S30に戻る。全ての焦点距離のキャリブレーション画像グループに関して、キャリブレーション要素を求める演算処理結果が適性であれば、結果を表示部9に表示する(S140)。図12は、キャリブレーション要素の演算処理結果の一例を示す説明図である。例えば、表示部9への表示には、キャリブレーション要素である焦点距離、主点位置、歪曲パラメータを表示する。レンズ収差を示すディストーションについては、補正前曲線102、補正後曲線104、理想に補正された場合106、についてグラフィック表示するとわかりやすい。
【0080】
さらに、キャリブレーションした結果に基づいて、ディストーション補正した画像を、画像処理部8にて作成して表示部9に表示することもできる。こうすれば、ディストーションの大きいカメラにて撮影した画像も、ディストーション補正されて表示する画像表示装置を提供することが可能となる。
【0081】
図13は本発明の第2の実施の形態を説明する全体構成ブロック図である。図において、第2の実施の形態のキャリブレーションチャート画像表示装置は、校正画像記憶部12、表示画像メモリ13、キャリブレーションチャート画像表示部14、表示順序制御部15、撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17、焦点距離修正制御部18を備えている。焦点距離修正制御部18は、キャリブレーション対象となる被校正撮影装置19から取得された焦点距離情報に応じて、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示されるキャリブレーションチャート画像の大きさ又は密度の少なくとも一方を変更する機能を有する。
【0082】
図14は、被校正撮影装置19の焦点距離にあわせてキャリブレーション画像の密度を変更する場合の説明図で、(A)は粗の場合、(B)は密の場合を示している。焦点距離修正制御部18は、被校正撮影装置19の焦点距離にあわせて、被校正撮影装置19のファインダー上でいっぱいになるような密度と大きさになるキャリブレーション画像を計算して、キャリブレーションチャート画像表示部14に表示させる。
【0083】
図15は、被校正撮影装置とキャリブレーション装置とが連携をとってキャリブレーション処理を行なう場合の配置図である。被校正撮影装置19としてのカメラは、キャリブレーションチャート画像表示部14に対して固定した位置に設置される。カメラとキャリブレーション装置としてのパソコンとを通信線を用いて接続すれば、画像の転送及び撮影のコントロールが撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17によって自動で行える。ズームレンズ対応のカメラの場合も、カメラとパソコンと接続すれば、焦点距離によってカメラとキャリブレーションチャート画像表示部14との位置を変える必要はない。
【0084】
図16は、被校正撮影装置19がズームレンズの場合に、キャリブレーション装置と連携をとってキャリブレーション処理を説明するフローチャートである。まず、被校正撮影装置19とキャリブレーション装置用のソフトウェアをインストールしたパソコンとを信号線を用いて接続して、パソコンの電源を立ち上げる(S200)。そして、被校正撮影装置19のズームレンズを一番広角側に設定する(S210)。次に、キャリブレーションチャート画像表示部14が被校正撮影装置19のファインダーいっぱいになるような位置に被校正撮影装置19を設定する(S220)。被校正撮影装置19の位置が決まったら、被校正撮影装置19を三脚に取り付けて、キャリブレーション装置によるキャリブレーションを撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17を用いて行える。
【0085】
即ち、キャリブレーション装置は、キャリブレーションチャート画像表示部14上にキャリブレーション画像を写す(S230)。そして、被校正撮影装置19によりキャリブレーション画像を撮影する(S240)。ここで、キャリブレーション装置側から被校正撮影装置19の撮影を撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17を用いてコントロールできるのであれば、キャリブレーション連携操作ソフトウェアを起動して、被校正撮影装置19により撮影させる。あるいは操作者が手動で被校正撮影装置19のシャッターを押してもよい。
【0086】
次に、被校正撮影装置19によるキャリブレーション画像の撮影が終了したか判断する(S250)。もし、被校正撮影装置19の焦点距離について必要枚数撮影していなければ、S230に戻って、異なるキャリブレーション撮影方向のキャリブレーション画像を映し出し、所定枚数終了するまで被校正撮影装置19の撮影を繰り返す。なお、キャリブレーション装置と被校正撮影装置19が連動して動作できる構造であれば、キャリブレーションチャート画像表示部14の画面をソフトウェアにて切り替えた後、撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17の機能を搭載したキャリブレーション連携操作ソフトウェアにより被校正撮影装置19を操作して、キャリブレーション画像の撮影を自動で行える。
【0087】
次に、被校正撮影装置19の一つの焦点距離において、キャリブレーションが終了したら、被校正撮影装置19の焦点位置を変更する(S260)。焦点位置については、ズームレンズをどのくらいの精度でキャリブレーションするかによって決める。また、焦点位置の変更は、マニュアル式の被校正撮影装置19に対しては操作者が行ない、電動式でキャリブレーション装置側からコントロール可能なものであれば、キャリブレーション連携操作ソフトウェアを用いて位置を変更する。焦点位置の変更処理は、被校正撮影装置19が焦点距離を電動で調整できる形式である場合は全自動で、マニュアルで調整する形式である場合は、被校正撮影装置19の焦点距離をマニュアルであわせた後、被校正撮影装置19とキャリブレーション装置の通信により焦点情報をキャリブレーション装置側に転送する。仮に通信機能が無くとも、画像転送機能が被校正撮影装置19とキャリブレーション装置間にあれば、被校正撮影装置19の焦点距離を変えた状態でキャリブレーション画像を一枚撮影すれば、その画像上から焦点距離を読み込むことができる。
【0088】
次に、焦点距離修正制御部18により、被校正撮影装置19の変更した焦点位置の情報を基礎として、キャリブレーションチャート画像表示部14のターゲットの密度を変更して、キャリブレーション画像を自動で表示させる(S270)。例えば図14(A)のパターンを、被校正撮影装置19の焦点距離に合わせ、図14(B)のように画素密度を密に表示する。
【0089】
そして、被校正撮影装置19は、表示されたキャリブレーション画像を撮影する(S280)。S280の処理も、被校正撮影装置19の焦点位置変更と同様に、操作者が行なっても良く、又はキャリブレーション連携操作ソフトウェアを用いて、キャリブレーションチャート画像表示部14の表示が変更された後、被校正撮影装置19のシャッターを切っても良い。
【0090】
キャリブレーション装置又は操作者は、被校正撮影装置19が撮影するキャリブレーション画像が所定枚数終了したか判定する(S290)。もし、撮影が終了していなければ、S260に戻り、表示順序制御部15に従い、焦点距離やキャリブレーション撮影方向の異なるキャリブレーション画像を映し、キャリブレーションチャート画像表示部14に焦点距離修正制御部18で処理された画素密度にて表示させる。
【0091】
キャリブレーション装置又は操作者は、被校正撮影装置19が各焦点距離にてキャリブレーション画像の撮影が終了したか判定する(S300)。もし終了していなければ、S260に戻り、再び焦点距離を変えて同様の操作を繰り返す。所定の焦点位置についてすべての撮影が終了したら、それらの画像について解析処理を行い、各焦点位置におけるカメラパラメータを算出する(S310)。
【0092】
本実施の形態のように、被校正撮影装置19とキャリブレーション装置を接続すれば、全自動にてズームレンズのキャリブレーションが行えるため、操作者による作業は、キャリブレーションチャート画像表示部14の前に被校正撮影装置19を設置するだけでよい。また、被校正撮影装置19のズームが手動のタイプでも、キャリブレーションチャート画像表示部14の前に被校正撮影装置19を一度設定したら、その後は被校正撮影装置19のレンズの焦点距離を変更させるだけでよい。
【0093】
図17は本発明の第3の実施の形態を説明する全体構成ブロック図である。図において、第3の実施の形態のキャリブレーションチャート画像表示装置は、画像形成部40、基準画像記憶部41、画像変換処理部42、表示画像メモリ43、キャリブレーションチャート画像表示部44、表示順序制御部45を備えている。
【0094】
画像形成部40では所定のキャリブレーション撮影方向からキャリブレーションチャート1を観察した状態の画像を形成するもので、基準画像記憶部41と画像変換処理部42を備えている。基準画像記憶部41は、特定方向から撮影されたキャリブレーションチャートの画像を記憶するもので、図2に示すような標準となるキャリブレーションチャート1の画像を記憶させておいてもよい。画像変換処理部42は、基準画像記憶部41に記憶された画像を用いて、特定方向とキャリブレーション撮影方向との画像変換関係を適用して、キャリブレーション撮影方向のキャリブレーションチャートの画像を形成する。
【0095】
表示画像メモリ43は、キャリブレーションチャート画像表示部44に表示される画像を記憶するメモリである。キャリブレーションチャート画像表示部44は、画像形成部40で形成されたキャリブレーションチャート画像を表示するもので、例えばパソコンのCRTや液晶のようなモニター装置が用いられる。表示順序制御部45は、キャリブレーションチャート画像表示部44に表示されるキャリブレーションチャート画像を、被校正対象となる撮影装置19の撮影動作に連動して、順次選択する。撮影信号出力部46、校正画像切換え指示部47は、前述した撮影信号出力部16、校正画像切換え指示部17と同様の働きをする。
【0096】
このように構成された装置の動作について説明する。図18は、画像形成部40により形成されるキャリブレーションチャート画像の一例を示す図である。図18で示すキャリブレーションチャート画像は、例えば図2で示すキャリブレーションチャート1の第1及び第2のマークを、キャリブレーションチャート画像表示部44の所定位置に表示するものであればよい。画像変換処理部42は、例えば平面パターンの場合には、前述の式(2)で示す射影変換式を用いて、ある平面の点(x,y)を投影中心Oに関して、他の平面上の点(X,Y)として投影する。さらに、図18のように規則正しく並んだ画像に高さを持たせたい場合には、次の式(11)を用いて、その高さを考慮した変換画像を作成することができる。即ち、三次元の点(X,Y,Z)が投影中心Oに関して平面の点(x,y)に投影されるとき、次式が成立する。
【数5】
【0097】
なお、上記の実施の形態においては、キャリブレーションチャートとして平面的な画像の場合を示したが、本発明はこれに限定されるものでは、立体的なものでも良い。図19は立体基準チャートの一例を示す構成斜視図である。図において、立体基準チャート20は、ターゲット20a〜20hの位置が三次元的に正確に測定されているもので、ターゲットの数、高さ、並びに平面的な座標は三次元計測に適するように適宜に定められている。
【0098】
図20はキャリブレーションチャート画像表示部14によって表示される三次元キャリブレーション画像の一例を説明する図である。キャリブレーション画像は、例えば図4(A)で説明した正面(I)、左上(II)、右上(III)、左下(IV)、右下(V)の5方向をキャリブレーション撮影方向として、図19で示す立体基準チャート20を撮影したものである。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のキャリブレーションチャート画像表示装置によれば、所定のキャリブレーション撮影方向から撮影されたキャリブレーションチャートの画像を記憶する校正画像記憶部と、校正画像記憶部に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、前記キャリブレーション撮影方向に応じて表示するキャリブレーションチャート画像表示部とを備えているので、被校正撮影装置はキャリブレーションチャートに対して所望の角度を正確に付した画像を得ることができ、高さ(奥行き)方向の変化を確実にし、キャリブレーションチャートによって被校正撮影装置の焦点距離を正確に算出できる。
【0100】
また実施の形態のように、キャリブレーションチャート画像表示装置としてPC(パソコン)のような情報処理プロセッサを搭載したコンピュータ、LCD(Liquid Crystal Display)モニタのような表示装置、並びにPCにインストールするキャリブレーションチャート画像表示用のソフトウェアが存在すれば、デジタルカメラのような被校正撮影装置の画像に含まれる歪曲成分を除去するのに必要とされる撮影画像が取得できる。そこで、従来キャリブレーション作業で必要とされていた、高価で精密な専用機材を用いなくても、汎用で低価格のコンピュータとモニタ装置を用いて安価にシステム構築ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する全体構成ブロック図である。
【図2】キャリブレーションチャートの一例を示す平面図である。
【図3】第1マークの一例を示す説明図である。
【図4】レンズ収差を計測する場合のカメラ配置を説明する図で、(A)はカメラ配置を示した立体図であり、(B)は一般的に標準レンズ及び望遠レンズを使用したときのカメラ間隔を示した図である。
【図5】標準レンズや広角レンズのカメラによるチャートの撮影手順の説明図で、(A1)〜(A4)はカメラの画像、(B1)〜(B4)はカメラ画像に対応するチャートとカメラの位置関係を示している。
【図6】キャリブレーションチャート画像表示部14によって表示されるキャリブレーション画像の一例を説明する図である。
【図7】本発明が適用されるキャリブレーション装置を説明する全体構成ブロック図である。
【図8】キャリブレーション装置を用いたキャリブレーション方法を説明するフローチャートである。
【図9】S10におけるキャリブレーションチャート画像表示装置を用いたキャリブレーション画像撮影を説明するフローチャートである。
【図10】S60における第2マーク精密位置計測を説明するフローチャートである。
【図11】(A)は中心投影における画像座標系と対象座標系の説明図、(B)はターゲット認識に用いられる正規化相関のテンプレ−ト画像と対象画像の説明図である。
【図12】キャリブレーション要素の演算処理結果の一例を示す説明図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態を説明する全体構成ブロック図である。
【図14】被校正撮影装置19の焦点距離にあわせてキャリブレーション画像の密度を変更する場合の説明図である。
【図15】被校正撮影装置とキャリブレーション装置とが連携をとってキャリブレーション処理を行なう場合の配置図である。
【図16】被校正撮影装置がズームレンズの場合に、キャリブレーション装置と連携をとってキャリブレーション処理を説明するフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施の形態を説明する全体構成ブロック図である。
【図18】画像形成部40により形成されるキャリブレーションチャート画像の一例を示す図である。
【図19】立体基準チャートの一例を示す構成斜視図である。
【図20】キャリブレーションチャート画像表示部14によって表示される三次元キャリブレーション画像の一例を説明する図である。
【符号の説明】
1 チャート(キャリブレーションチャート)
2 カメラ
3 画像データ記憶部
4 抽出部
5 概略マーク位置測定部
6 精密マーク位置測定部
7 演算処理部
8 画像処理部
9 表示部
12 校正画像記憶部
13 表示画像メモリ
14 キャリブレーションチャート画像表示部
15 表示順序制御部
16 撮影信号出力部
17 校正画像切換え指示部
18 焦点距離修正制御部
19 被校正撮影装置
Claims (7)
- 所定のキャリブレーション撮影方向から撮影されたキャリブレーションチャートの画像を記憶する校正画像記憶部と;
前記校正画像記憶部に記憶されたキャリブレーションチャート画像を、前記キャリブレーション撮影方向に応じて表示するキャリブレーションチャート画像表示部と;
を備えるキャリブレーションチャート画像表示装置。 - 前記校正画像記憶部に記憶されているキャリブレーションチャート画像は、歪が補正された画像である請求項1に記載のキャリブレーションチャート画像表示装置。
- 所定のキャリブレーション撮影方向からキャリブレーションチャートを観察した状態の画像を形成する画像形成部と;
該画像形成部で形成されたキャリブレーションチャート画像を表示するキャリブレーションチャート画像表示部と;
を備えるキャリブレーションチャート画像表示装置。 - 前記画像形成部は;
特定方向から撮影されたキャリブレーションチャートの画像を記憶する基準画像記憶部と;
前記基準画像記憶部に記憶された画像を用いて、前記特定方向と前記キャリブレーション撮影方向との画像変換関係を適用して、前記キャリブレーション撮影方向のキャリブレーションチャートの画像を形成する画像変換処理部を備える;
請求項3に記載のキャリブレーションチャート画像表示装置。 - さらに、前記キャリブレーションチャート画像表示部に表示されるキャリブレーションチャート画像を、被校正対象となる撮影装置の撮影動作に連動して、順次選択する表示順序制御部を備える;
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のキャリブレーションチャート画像表示装置。 - 前記表示順序制御部は、さらに;
前記キャリブレーションチャート画像表示部が、キャリブレーションチャート画像を表示した後、撮影信号を前記撮影装置に出力する撮影信号出力部と;
前記撮影装置による前記キャリブレーションチャート画像の撮影完了信号を入力して、前記キャリブレーションチャート画像表示部に後続するキャリブレーションチャート画像の表示命令信号を出力する校正画像切換え指示部とを備える;
請求項5に記載のキャリブレーションチャート画像表示装置。 - さらに、キャリブレーション対象となる撮影装置から取得された焦点距離情報に応じて、前記キャリブレーションチャート画像表示部に表示されるキャリブレーションチャート画像の大きさ又は密度の少なくとも一方を変更する焦点距離修正制御部を備える;
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のキャリブレーションチャート画像表示装置。
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