JP2004340627A - 残留化学物質分析システム - Google Patents

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Yutaka Nakanishi
西 豊 中
Ryoichi Sasano
々 野 僚 一 佐
Kazuaki Shigefuji
藤 和 明 重
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Abstract

【課題】農産物から残留化学物質を分析する際、夾雑物質の除去、残留化学物質の測定を行う一連の操作を自動化して、測定者による個人差をなくし、短時間で、しかも正確な値が得られる農産物中の残留化学物質分析システムを提供する。
【解決手段】農産物を細断、均一化した後有機溶剤により抽出して得た試料液を分光測定する分光分析測定手段、前記分光分析測定手段の測定値から試料液中の夾雑成分を認識し、かつその濃度を演算し、かつ試料液中の夾雑成分吸着除去するための固相カートリッジを指定する演算手段、前記指定された固相カートリッジに試料液を通して夾雑成分を除く吸着手段、前記固相カートリッジから出た試料液をガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーにて分析するクロマトグラフィー分析測定手段、を含んでなっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農産物中に微量に存在する残留化学物質を分析するにあたって、夾雑する成分を除去して目的とする微量成分を円滑に分析する残留化学物質分析システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
農産物の栽培、保存において殺虫剤、防黴剤、除草剤、土壌改質剤などの農薬が使用され、また、農産物を加工する際には、殺菌剤、酸化防止剤、調味料、その他加工薬品などが加えられ、消費者に届いたときに食品として本来好ましくないにも拘らず残留していることがある。これら残留化学物質の多くは、人に何らかの毒性があることが危惧され本来使用しない、あるいは一定の基準以下にするように規制されているものが多いが、不法に使われて大きな社会的な問題となっている。特に最近では、日本とは規制、管理の異なる外国産品が多量に輸入され、残留化学物質の種類、含有量は多岐にわたるようになってきた。
【0003】
一方、食品の安全・安心に対する欲求が高まる中、このような残留化学物質が消費者に渡る前に確実に検査することが望まれている。残留化学物質は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、その他各種の分析手段を用いて分析されるが、含有しているのは微量で、種類が多いのが普通である。しかし、これらの農産物には油脂、色素、糖分などが本来的に多量に含まれているので、これらが微量残留化学物質を分析する上での妨害成分となる。従って、残留化学物質の分析にあたっては、まずこれら夾雑成分を除くための前処理を行って、その後残留化学物質の微量多成分一斉分析を行うことが要求されている。
【0004】
従って、残留化学物質のような微量多成分一斉分析は、試料である農産物から残留化学物質を抽出し、夾雑物質を除去し、然る後に残留化学物質を測定するのが基本である〔例えば、非特許文献1参照〕。
【0005】
操作を追って説明すれば、対象とする農産物をミキサーで細断、均一化し、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエンなどの有機溶剤を用いて抽出する。このとき油脂、色素、糖分なども同時に有機溶剤に抽出されるので、抽出液は油脂、色素、糖分などが多く含まれる溶液であり、この中に極く微量の残留化学物質が存在する状態になっている。この状態で分析すると、油脂、色素、糖分などに妨害されて微量に存在する目的の残留化学物質の測定精度は極めて悪くなる。そこで、油脂、色素、糖分などは夾雑成分として、通常固相カラムに吸着させて除去するのが一般的である〔例えば、非特許文献2参照〕。
【0006】
このとき、夾雑成分の量からみて固相カラムの吸着相が少ないと夾雑成分の除去が不充分で目的の微量成分の検出、定量に支障があり、反対に吸着相が多過ぎると夾雑成分は完全に除去されるが目的の残留化学物質までも一部吸着されて誤差を招くことになる。従って、吸着相は必要最少限の量を用いるよう設計されなければならない。また、夾雑成分の種類によっても最適の吸着相を選ばなければならない。すなわち、夾雑成分の種類と含有量により、吸着相の最適な種類と量を選ぶことが要求される。
【0007】
農産物の種類により前処理条件は異なり、さらに同じ農産物の種類でも、産地、収穫時期、生育状況によっても夾雑成分の含有量が変動するので、実施毎に前処理条件を設定しなければならない煩雑さがある。
【0008】
尚、本発明では、夾雑成分の量を分光光度計により、複数波長における透過光の吸光度情報から多変量解析して検量線を求め、これを基礎に未知試料の測定値を演算、算出するが、この手法は既に知られている〔例えば、特許文献1、特許文献2参照〕。
【0009】
【非特許文献1】
米国食品医薬局編(PAM日本語版編集委員会訳)、「FDA残留農薬分析マニュアル」、中央法規出版株式会社、2000年8月、91〜95頁
【非特許文献2】
佐藤元昭、「農薬残留分析における固相抽出技術」、日本農薬学会誌、日本農薬学会、2002年11月、第27卷、第4号、444〜446頁
【特許文献1】
特開2001−141648号公報
【特許文献2】
特開平08−015141号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、固相カラムの選択およびその使用量は、測定者の経験と勘によるところが多く、また面倒な操作を繰り返して長時間を要し、測定者の技術差、個人差などの誤差を生む原因ともなっていた。かかる従来の問題点を解決すべく本発明の目的は、農産物から残留化学物質を抽出した後に、夾雑物質を除去、および残留化学物質の測定を行う一連の操作を自動化して、測定者による個人差がなく、短時間で、しかも正確な値が得られる農産物中の残留化学物質分析システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成すべく、本発明の請求項1は残留化学物質分析システムに関し、農産物を細断、均一化した後有機溶剤により抽出して得た試料液を分光測定する分光分析測定手段、前記分光分析測定手段の測定値から試料液中の夾雑成分を認識し、かつその濃度を演算し、かつ試料液中の夾雑成分吸着除去するための固相カートリッジを指定する演算手段、前記指定された固相カートリッジに試料液を通して夾雑成分を除く吸着手段、前記固相カートリッジから出た試料液をガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーにて分析するクロマトグラフィー分析測定手段、を含んでなっている。
【0012】
請求項2は請求項1記載の残留化学物質分析システムに関し、前記残留化学物質は、農産物中の残留農薬である。
【0013】
請求項3は請求項1または2記載の残留化学物質分析システムに関し、前記分光分析測定手段は、近赤外分析によることからなっている。
【0014】
請求項4は請求項1ないし3のいずれか1項記載の残留化学物質分析システムに関し、前記夾雑成分は、油脂、色素、糖分から選ばれる一種以上である。
【0015】
請求項5は請求項1ないし4いずれか1項記載の残留化学物質分析システムに関し、前記演算手段における試料液中の夾雑成分の認識、および濃度の演算は、前記試料液における複数の波長における吸光度または透過度を、同じ成分の既知濃度溶液における前記波長における吸光度または透過度と対照して行う多変量解析によることからなっている。
【0016】
請求項6は請求項1または2記載の残留化学物質分析システムに関し、前記クロマトグラフィー分析測定手段は、非直線状に屈曲した貯留室をもつ注入口ライナーを備えたガスクロマトグラフィーである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の農産物は、生鮮品、および乾燥、冷凍、調理した加工品を包含しており、その形態により制限されるものではない。
【0018】
本発明の残留化学物質は、農産物の栽培時や収穫後に使用した土壌改質剤、除草剤、殺虫剤、防黴剤など、農産物を加工する際に加えられた殺菌剤、酸化防止剤、調味料、その他加工薬品などであり、これら以外にダイオキシン類など非意図的に混入してくる成分をも包含している。
【0019】
本発明の残留化学物質分析システムは、対象とする農産物を細断、均一化した後、有機溶剤により抽出して試料液とし、これを分光測定する分光分析測定手段、分光分析した結果により予め用意した固相カートリッジを指定する演算手段、試料液を指定された固相カートリッジに通す吸着手段、固相カートリッジから出た試料液をガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーにて分析するクロマトグラフィー分析測定手段、を一連の操作に自動化したものである。
【0020】
本発明を実施するために、その前処理段階として対象とする農産物をミキサーで細断、均一化し、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエンなどの有機溶剤を用いた抽出液(以降「試料液」と記す)とする。試料液は、対象とする農産物から測定すべき残留化学物質が全て完全に移行していればよく、その調製方法は従来一般に行われていた方法と全く同じである。
【0021】
本発明における残留化学物質分析システムの実施の形態を図1にて説明する。尚、図1は本発明を説明するためのものであり、これに限定されるものではない。また、分光測定においては、試料液、溶剤を任意に切り替えて行われるが、図1においては便宜的に試料液容器と、溶剤容器をまとめて1つに示してある。これらは、容器を任意に取替えて実施する、あるいは吸入口を移動して実施することができる。
【0022】
分光分析測定部20は、恒温制御装置24により一定温度にされ、ハロゲンランプなどの光源22からの光が分光測定セル23に照射されるようになっている。試料液(あるいは溶剤)12は、試料液容器(あるいは溶剤容器)11に溜められ、液吸入口21から分光測定セル23に流され、分光測定セル23で光源22からの光が照射される。分光測定セル23に試料液と溶剤を切り替えて流し、分光測定セル23を出た透過光は、光ファイバー25を経て分光器26に送られ、電気信号に変換されて演算装置40に送られる。
【0023】
分光測定セル23を出た試料液(あるいは溶剤)は、送液管31、流路切り替え装置30を経て排液管33から排出されるが、一時期だけ送液管32から自動固相抽出装置50に送られる。
【0024】
試料液が自動固相抽出装置50に送られた後、送液管31、分光測定セル23、液吸入口21は、次の測定に備えて洗浄される。洗浄は、適宜選ばれた有機溶剤を洗浄液36として、洗浄液容器35から流路切り替え装置30、分光測定セル23を経て液吸入口21から排出させるように流して実施することができる。
【0025】
演算装置40は、分光器26からの電気信号を受け、吸光度(または透過度)を計算して試料液中の油脂、色素、糖分などの種類、含有量を認識し、かつ自動固相抽出装置50に対して油脂、色素、糖分などを吸着除去するための固相カートリッジ充填層の種類、その量を指示する。
【0026】
自動固相抽出装置50では、送液管32から試料液を受け、これを演算装置40の指示で選択された固相カートリッジ51に流す。試料液を流した後の固相カートリッジ51は、流路切換え装置52により別途用意した溶剤53を流して固相カートリッジ51を洗浄し、固相カートリッジ51を出た試料液には、目的の残留化学物質は完全に残り、一方油脂、色素、糖分などは実質的に含まないようにして、送液管54からクロマトグラフィー60に送られる。
【0027】
クロマトグラフィー60はガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーであり、固相カートリッジ51からの試料液について、残留化学物質を分析する。図には示してないが、クロマトグラフィー60における分析結果の解析を、演算装置40で行ってもよい。またクロマトグラフィー60の後にさらに質量分析などの補完的な測定手段を追加することもできる。
【0028】
以下、本発明における残留化学物質分析システムをさらに詳細に説明する。
本発明の第一ステップは、前処理段階で調製した試料液を分光分析する段階である。分光分析においては、300〜2500nm、好ましくは600〜1700nmの近赤外領域の任意の範囲における吸光度(または透過度)が好ましく選ばれる。近赤外領域では、赤外領域の基準振動の倍音と結合音が現れるが、近赤外領域では水の吸収が小さくなり、目的物質成分の吸収が水に邪魔されずに測定可能であり、さらに高速応答が可能で1/10秒程度で一連のスペクトル測定が可能で、しかも装置が比較的安価であるなどの利点があり本発明の目的に最も適している。また、近赤外領域における光は光ファイバー中の透過率が高いので、光ファイバーを用いて光検出部、測定部などが構成ができ、装置の組立てがし易いという点でも優れている。
【0029】
分光分析における測定波長域は、幅広く採用してもよいが、農産物試料により含まれる油脂、色素、糖分などは過去の経験から予想されるので、予想される油脂、色素、糖分などに特徴的な領域に限定して測定して目的を達することができ、波長領域を限定することで精度を高くすることができる。
【0030】
本発明の第二ステップは、前記試料液および溶剤それぞれの透過光から波長毎の吸光度(または透過度)を計算し、固相カートリッジを指定する演算手段である。演算手段における分光分析の結果を解析するには、多変量解析の手法が好ましく用いられる。多変量解析は、複数の波長における吸光度(または透過度)を、従来の化学分析など方法による測定値を参照して多変量解析して検量線を演算し、これを基礎に未知試料の測定値を演算するものである。それ故、演算手段は、中央演算装置(CPU)、プログラムを格納する記憶装置等を備えたコンピュータから構成することができ、試料の従来方法による測定値と、該試料の複数の波長における吸光度(または透過度)とから、検量線を演算する機能を持つ演算機能と、この演算機能によって予め求められた検量線を記憶装置に格納し、この格納された検量線と、検出手段からの信号を用いて、未知試料の測定値を演算する演算機能が要求される。これらの構成要素は、現在の電子機器にCPUを持つものがあり、あるいは必要な要素・能力を備える機器を組み合わせて構成することもできる。また、多変量解析を行う計算ソフトも開発されている。〔非特許文献(市川哲生他4、島津評論、49卷、1・2号、11〜18頁、1992年7月、島津評論編集部発行)参照〕。
【0031】
図2には、糖度の高い柑橘類と糖度の低い柑橘類それぞれの抽出液(溶剤:アセトニトリル)における600〜1000nm域の近赤外スペクトルを、図3には油脂の多い米と油脂の少ない米それぞれの抽出液(溶剤:アセトニトリル)における1000〜1700nm域の近赤外スペクトルを示した。柑橘類、米それぞれ固有のスペクトルがあり、糖度あるいは油脂の含有量により吸光度に差があることがわかる。図4には、豆油100%、および豆油のトルエン溶液についての近赤外スペクトルを示した。また、図5は、近赤外スペクトルにより求めた豆油濃度と、化学分析による豆油濃度との相関を示しており、非常に高い相関関係が得られることがわかる。
【0032】
一方、演算手段には、第三ステップで述べる固相カートリッジ充填層のそれぞれが油脂、色素、糖分などをどれだけ吸着できるかの吸着能力の情報を入力しておく。固相カートリッジ充填層の吸着能力は、例えば、代表的な試料を用いて特定充填層の特定量で処理して、その前後の油脂、色素、糖分などの含有量を比較することにより求めることができる。
【0033】
従って、演算手段では、近赤外スペクトルなどの分光分析データを受け、検量線と照合することにより油脂、色素、糖分の含有量を認識し、同時にその含有量に対応した最適な、最適量の充填層をもつ固相カートリッジを選ぶことが可能となる。
【0034】
第三ステップは、固相カートリッジによる試料液中の油脂、色素、糖分などの吸着手段である。本発明は、残留化学物質分析にとって夾雑妨害成分となる油脂、色素、糖分などの種類と量によって最適の固相カートリッジを選び、最適のしかも必要最少量の充填層を用いて処理することで、試料液中の残留化学物質が実質的に充填層に吸着されないことにその特徴がある。
【0035】
充填層に用いる材料は、従来一般に用いられているものでよく、例えば油脂を主に吸着するオクタデシル基のついたシリカゲル、色素を主に吸着するグラファイトカーボン、酸成分を主に吸着する二級アミンタイプのアニオン樹脂、その他珪藻土などがあり、これらが任意に選ばれる。
【0036】
固相カートリッジ充填層の材料は、目的の農産物中の油脂、色素、糖分などが過去の経験から、あるいは予備試験からわかるので予め選定することが可能であるが、充填層の量は全く試料液に依存する。従って、固相カートリッジは、充填層の材料を変えて、さらにカラム充填量を変えてカートリッジにしたものを各種用意して、前記演算手段の指示によりバルブ切換えで任意の固相カートリッジを選ぶことができるようにする。また、固相カートリッジは、直列に複数個連結して、ある固相カートリッジを出た後に別の固相カートリッジを通すなど、臨機応変に組合せて最適な条件とするのがよい。
【0037】
多数の固相カートリッジから充填層で吸着操作を行い、かつ後続のクロマトグラフィーへの導入操作をするには自動化装置が便利であり、例えばジーエルサイエンス(株)から「プロスペクト」(商品名)として市販されており、これを用いることができる。
【0038】
第四ステップは、前ステップで油脂、色素、糖分などを実質的になくした試料液について、ガスクロマトグラフィー、あるいは液体クロマトグラフィー分析して本発明が目的とする農産物中に微量に存在する残留化学物質の種類、およびその量を決定する。
【0039】
ガスクロマトグラフィーの場合、通常のガスクロマトグラフィーでは注入量が1〜2μLであり、この量を固相カートリッジで処理する方法は少量過ぎて誤差を招き、一方多量の試験液を固相カートリッジで処理してその一部をガスクロマトグラフィーに注入する方法は自動分取の段階で誤差を生む原因となっている。そこで本発明では、大量注入可能なクロマトグラフィー注入口を使用して、50〜100μLの試料液を固相カートリッジで処理し、その全量をクロマトグラフィーに注入できるようにするのが好ましい。
【0040】
大量注入可能なガスクロマトグラフィー注入口は、オンカラム方式と呼ばれるメインカラムの前にプレカラムを設けて、プレカラム内で試料に溶剤を気化させ、プレカラム内で試料を濃縮する方式〔特許文献(特開平11−51920号公報)参照〕、注入口ライナーが非直線状に屈曲して貯留室とする方式〔特許文献(特開2002−174629号公報)参照〕などがあるが、好ましくは後者の注入口ライナーを非直線状に屈曲して貯留室とし形態である。後者の注入口は、図6の形態であり、大量注入可能で、かつライナーの滞留室内で一旦試料液を滞留させるのでそこで固相カートリッジからの試料液を均一してからクロマトグラフィーのカラムに送り込むので、正確な測定が可能となる。非直線状に屈曲した貯留室を有する注入口ライナーは、株式会社エミネットから市販されている「ラビストマ(Lavi Stoma)」(商品名)を使用できる。
【0041】
クロマトグラフィー分析を行った後の残留化学物質の同定は、農産物中に残存している可能性のある殺虫剤、除草剤、土壌改質剤、防黴剤由来の化合物それぞれの標準品との対応で決められる。ここで、化合物同定が出来なかった場合には、さらに質量分析計を直結して化合物の同定をすることがあるが、本発明は質量分析計などさらなる測定機器との連結は、なんら妨げるものではない。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、農産物を細断、均一化した後有機溶剤により抽出して得た試料液について、分光分析測定、固相カートリッジによる吸着、クロマトグラフィーへの注入を一連の自動操作で実施することができ、測定者による技術の差がなく、しかも短時間で正確な値が得られる長所がある。また、測定時に使用する溶剤量を大幅に減らすことができ、これは分析費用の減少になるとともに、溶剤の廃棄量の減少であり、廃棄コストの削減、環境汚染減少にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における残留化学物質分析システムの模式図である。
【図2】糖度の高い柑橘類と糖度の低い柑橘類それぞれの抽出液における近赤外スペクトル図である。
【図3】油脂の多い米と油脂の少ない米それぞれの抽出液における近赤外スペクトル図である。
【図4】豆油100%、および豆油のトルエン溶液についての近赤外スペクトル図である。
【図5】近赤外スペクトルにより求めた豆油濃度と、化学分析による豆油濃度との相関関係を示す図である。
【図6】非直線状に屈曲した貯留室を有し、大量注入可能なガスクロマトグラフィー注入口ライナーの形態を示す図である。
【符号の説明】
11:試料液容器(あるいは溶剤容器)
12:試料液(あるいは溶剤)
20:分光分析測定部
21:液吸入口
22:光源
23:分光測定セル
24:恒温制御装置
25:光ファイバー
26:分光器
27:架台
30:流路切り替え装置
31:送液管
32:送液管
33:排液管
34:洗浄液送液管
35:洗浄液容器
36:洗浄液
40:演算装置
50:自動固相抽出装置
51:固相カートリッジ
52:流路切替え装置
53:溶剤
54:送液管
60:クロマトグラフィー

Claims (6)

  1. 農産物を細断、均一化した後有機溶剤により抽出して得た試料液を分光測定する分光分析測定手段、
    前記分光分析測定手段の測定値から試料液中の夾雑成分を認識し、かつその濃度を演算し、かつ試料液中の夾雑成分吸着除去するための固相カートリッジを指定する演算手段、
    前記指定された固相カートリッジに試料液を通して夾雑成分を除く吸着手段、
    前記固相カートリッジから出た試料液をガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーにて分析するクロマトグラフィー分析測定手段、
    を含んでなることを特徴とする残留化学物質分析システム。
  2. 前記残留化学物質は、農産物中の残留農薬であることを特徴とする請求項1記載の残留化学物質分析システム。
  3. 前記分光分析測定手段は、近赤外分析によることを特徴とする請求項1または2記載の残留化学物質分析システム。
  4. 前記夾雑成分は、油脂、色素、糖分から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の残留化学物質分析システム。
  5. 前記演算手段における試料液中の夾雑成分の認識、およびその濃度の演算は、前記試料液における複数の波長における吸光度または透過度を、同じ成分の既知濃度溶液における前記波長における吸光度または透過度と対照して行う多変量解析によることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の残留化学物質分析システム。
  6. 前記クロマトグラフィー分析測定手段は、非直線状に屈曲した貯留室をもつ注入口ライナーを備えたガスクロマトグラフィーであることを特徴とする請求項1または2記載の残留化学物質分析システム。
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