【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリース等の潤滑剤を封入した転がり軸受に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の転がり軸受の一例として図２に示される転がり軸受５０は、内輪５１と外輪５２との間で保持器５３に保持された転動体５４を介在させており、当該複数の転動体５４の配列の両側に密封装置５６が設けられている。
【０００３】
密封装置５６は、その主リップ５７が内輪５１のシール溝５８の内側面５９に接すると共に、グリースリップ６０や外側リップ６１が内輪５１のシール溝５８の開口付近および他側面６２にそれぞれ近接しており、これにより水、埃、等といった異物の軸受内部への進入（浸入）を阻止している。尚、主リップ５７とグリースリップ６０との間にはグリース溜り部６３が形成されている。この密封装置５６の主リップ５７は、内輪５１のシール溝５８における軸受中心側の内側面５９に接する、所謂内当たりタイプのリップである。
【０００４】
密封装置５６の弾性体６４は、芯金６５から内径側へ長く延びる腰部６６を有し、この腰部６６には各リップ５７，６０，６１が形成されているため、主リップ５７の内輪５１との接触が軽く行なわれ、低トルクとなる。また、転がり軸受５０の内部圧力が急激に増大したときに、密封装置５６が撓んで外側リップ６１が内輪５１のシール溝５８の他側面６２に近接するが、外側リップ６１の先端にはガス抜き溝６７が設けられているため、ガス抜き溝６７により減圧されて、トルクが増大しない（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
転がり軸受の他の例として図３に示される転がり軸受７０は、内輪７１、外輪７２、当該内外輪７１，７２間に介在された複数の転動体である玉７３、当該玉７３を円周方向等間隔に保持する保持器７４、外輪７２の両端部内周面に固定された密封装置７５、から構成されている。
【０００６】
密封装置７５は、シール本体７６とシール芯金７７とからなり、その外周端部が、外輪７２の端部内周面に設けられた固定溝７８に嵌合固定されている。密封装置７５の内周端部は、主リップ７９を有し、内輪７１の端部外周面に設けられたシール溝８０の外側面８１に接している。この密封装置７５の主リップ７９は、内輪７１のシール溝８０における反軸受中心側の外側面８１に接する、所謂外当たりタイプのリップである（例えば、特許文献２参照）。
【０００７】
【特許文献１】
特開平１１−０８２５２６号公報（第２−３頁、第１図）
【特許文献２】
実開平０６−０７３４５４号公報（第６−８頁、第１図）
【０００８】
ところで、近年、省エネルギーおよび環境問題の観点から、車両の低燃費化や高効率化が目指されている。そのため、自動車は小型軽量化を目的とした駆動系を車両前部に集中したＦＦ車が普及し、更には室内空間拡大の要望により、エンジンルームの減少を余儀なくされ、それによって、転がり軸受が使用される電装部品、エンジン補機、等といった機器の小型軽量化がより一層進められている。加えて、前記各機器に対し一層の高性能化および高出力化が求められている。
【０００９】
しかし、小型化により出力の低下は避けられず、例えばオルタネータ用プーリやカーエアコンコンプレッサ用プーリでは、高速化することで出力の低下分を補っており、それに伴いアイドラプーリも同様に高速化が要求される。更に、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、前記各機器に使用される転がり軸受も高温に耐え得る性能が要求される。また、駆動ベルトの高張力化により、転がり軸受に加わる荷重も大きくなってきている。
【００１０】
また、前記各機器に使用される転がり軸受に封入されるグリース等の潤滑剤にも、剥離寿命や潤滑剤寿命が長いこと、トルク性能や防錆性能に優れること、軸受音響性能に優れること、等が要求される。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記転がり軸受５０は、その密封装置５６の主リップ５７が所謂内当たりタイプであるため、運転中に転がり軸受５０が高温になると、封入されているグリースから離油したベールオイル（基油）が蒸発して軸受内部の圧力が上昇すると、この蒸気圧により密封装置５６が軸受内部から押圧され、これによって主リップ５７とシール溝５８の内側面５９との非接触の状態が生じる。このような状態が生じると、主リップ５７とシール溝５８との隙間からグリースが軸受外部へ漏洩し、その結果、早期に焼付きが生じて転がり軸受５０の寿命が短縮されてしまう。
【００１２】
また、上記転がり軸受７０は、その密封装置７５の主リップ７９が所謂外当たりタイプであるため、軸受外部へのグリースの漏洩は基本的に抑えられるが、軸受外部からの水、埃、等といった異物の軸受内部への進入（浸入）に対して弱い構造である。
【００１３】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部からのグリース等の潤滑剤の漏洩を確実に防止でき且つ、外部からの異物の進入（浸入）を確実に防止することができる転がり軸受を提供することにある。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明に係る転がり軸受は、下記（１）に記載したように、
（１） 固定軌道輪と、回転軌道輪と、前記固定軌道輪と前記回転軌道輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体と、前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の一方に固定される第１周端部、および第２周端部を有する円環形状の密封装置と、を備え、前記密封装置により潤滑剤が入っている内部空間が密封される転がり軸受であって、
前記密封装置の第２周端部が、前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の他方に設けられたシール溝の外側面に締め代をもって摺接する主リップおよび当該主リップよりも軸方向外側に形成された副リップを有し、そして、
前記副リップが、前記シール溝の外側面に対する前記主リップの押し付け力の方向と交差する方向の押し付け力で、前記シール溝の口元を画成する前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の他方の周面に摺接していることを特徴としている。
【００１５】
上記（１）に記載の発明によれば、主リップが固定軌道輪または回転軌道輪のシール溝の外側面に締め代をもって摺接し、当該主リップよりも軸方向外側に形成された副リップが、シール溝の外側面に対する主リップの押し付け力の方向と交差する方向の押し付け力で、シール溝の口元を画成する固定軌道輪または回転軌道輪の周面に摺接する。従って、主リップが所謂外当たりタイプであるため、転がり軸受が例えば運転中に高温となり、当該転がり軸受の内部空間に封入されているグリース等の潤滑剤からベースオイル（基油）が蒸発しうる状態になったとしても、当該潤滑剤の軸受外部への漏洩を確実に防止することができ、これにより転がり軸受の寿命が延長される。その上、副リップによって転がり軸受の内部への外部からの水、埃、等といった異物の進入（浸入）を確実に防止することができる。更には、主リップの押し付け力の方向と副リップの押し付け力の方向とが交差する関係にあり、その関係において、当該主リップがシール溝の外側面に摺接し、そして副リップが、シール溝の口元の周面に摺接するため、従来の転がり軸受と比較して、より高い密封性能が備わっている。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図１は本発明の一実施形態である転がり軸受（以後、『転がり軸受』または単に『軸受』と記述する。）を示す要部断面図である。
【００１７】
先ず、簡潔に説明すると、本発明の一実施形態である転がり軸受１０は、図１に示されるように、固定軌道輪および回転軌道輪の一方である外輪１１と、固定軌道輪および回転軌道輪の他方である内輪１２と、外輪１１と内輪１２との間で周方向に転動自在に配設された複数の玉（即ち、転動体）１３と、当該玉１３を転動自在に保持する保持器１４と、外輪１１に固定される外周端部（即ち、第１周端部）および内周端部（即ち、第２周端部）を有する円環形状の密封装置１５と、を備えている深溝玉軸受である。尚、この転がり軸受１０の両側には、玉１３を介在するように一対の密封装置１５，１５が配置されるが、図１には、一対の密封装置１５，１５のうち転がり軸受１０の片側に配置されたものだけを示している。
【００１８】
密封装置１５の内周端部は、内輪１２端部の外周面に形成されたシール溝１６の外側面１７に締め代をもって摺接する主リップ１８、および当該主リップ１８よりも密封装置１５の軸方向外側に形成された副リップ１９、を有している。即ち、転がり軸受１０は、潤滑剤であるグリース（不図示）が入れられた、その内部空間を密封装置１５により密封した構造を有するものである。
【００１９】
副リップ１９は、シール溝１６の口元（換言すれば、転がり軸受１０の一端部に形成される（つまり、外輪１１の周端部と、該周端部に対向する内輪１２の周端部との間に形成される）円環状開口の一周面）を画成する内輪１２の口元外周面（周面）２０に締め代をもって摺接する。この副リップ１９は、シール溝１６の外側面１７に対する主リップ１８の押し付け力の方向と交差する方向の押し付け力で、シール溝１６の口元外周面２０に摺接する。即ち、主リップ１８は転がり軸受１０の軸方向外側に向かってシール溝１６の外側面１７を押圧し、そしてこの主リップ１８の押圧方向と交差する方向（より詳細には、転がり軸受１０の径方向内側）に副リップ１９が口元外周面２０を押圧する。
【００２０】
さて、上記のように構成された転がり軸受１０をより詳細に説明する。
【００２１】
外輪１１は、その外輪外周面にハウジング（不図示）が外嵌される。外輪１１は、その外輪内周面の中央部に外輪軌道面２１が形成されており、当該外輪軌道面２１の軸方向両端部には凹状の密封装置固定部２２が形成されている。
【００２２】
内輪１２は、その内輪内周面に軸（不図示）が内嵌される。内輪１２は、その内輪外周面の中央部に内輪軌道面２３が形成されており、当該内輪軌道面２３の軸方向両側に配された肩部２４の端部には、凹状のシール溝１６が形成されている。シール溝１６は、肩部２４に対して略直交するように肩部２４から軸受中心（即ち、軸（不図示））に向けて延長された内側面２５、当該内側面２５の軸受中心側の端部から肩部２４に略平行となるように延長された底面２６、当該底面２６の軸方向外側の端部から径方向外側に傾斜しながら延長された外側面１７、および当該外側面１７の軸方向外側の端部から肩部２４に略平行となるように延長された口元外周面２０を有する。
【００２３】
保持器１４は、玉１３を周方向等間隔に保持する。この保持器１４は、例えばもみ抜き保持器であって、周方向に複数形成されたポケット２７内に、外輪軌道面２１と内輪軌道面２３との間に配された玉１３を転動自在に保持している。
【００２４】
密封装置１５は、上述したように、円環形状に形成されており、玉１３に対して軸方向両側にそれぞれ配されている。密封装置１５は、補強の役目を持つ金属製の芯金２８を、ゴム製、合成樹脂製、等の弾性部材２９で覆って形成されている。密封装置１５の外周端部には、外輪１１の密封装置固定部２２に嵌着される固定部３０が形成されている。
【００２５】
また、密封装置１５の内周端部には、内輪１２のシール溝１６に向けて延出した腕部３１の先端側においてシール溝１６内で転がり軸受１０の中央に向けて突出した主リップ１８が形成されている。また、密封装置１５の内周端部には、腕部３１の先端側においてシール溝１６の口元外周面２０に向けて突出した副リップ１９が形成されている。また更に、密封装置１５の内周端部には、腕部３１の中間部において、転がり軸受１０の中央（即ち、玉１３）に向けて突出したグリースリップ３２が形成されている。グリースリップ３２の先端部は、内輪１２の肩部２４に近接して配置されている。
【００２６】
即ち、密封装置１５は、主リップ１８、副リップ１９、そしてグリースリップ３２を芯金２８の周りに一体成形したものであり、転がり軸受１０の軸方向外側に向けて延びる主リップ１８の先端部を内輪１２のシール溝１６の外側面１７に締め代をもって摺接させるとともに、転がり軸受１０の径方向内側に向けて延びる副リップ１９の先端部を内輪１２のシール溝１６の口元外周面２０に締め代をもって摺接させることで転がり軸受１０のシールを行なう所謂接触シール部材である。尚、密封装置１５，１５によって囲まれた転がり軸受１０の内部空間には潤滑剤として所定のグリース（不図示）が封入される。
【００２７】
密封装置１５の主リップ１８は、シール溝１６の外側面１７に摺接する外当たりタイプである。そのため、転がり軸受１０が例えば運転中に高温となり、当該転がり軸受１０の内部空間に封入されているグリースからベースオイル（基油）が蒸発しうる状態になったとしても、当該グリースの転がり軸受１０外部への漏洩を確実に防止することができ、これにより転がり軸受１０の寿命が延長される。
【００２８】
その上、密封装置１５の副リップ１９によって転がり軸受１０の内部への外部からの水、埃、等といった異物の進入（浸入）を確実に防止することができる。更には、主リップ１８の押し付け力の方向と副リップ１９の押し付け力の方向とが交差する関係にあり、その関係において、当該主リップ１８がシール溝１６の外側面１７に摺接し、そして副リップ１９が、シール溝１６の口元外周面２０に摺接するため、従来の転がり軸受と比較して、より高い密封性能が得られる。
【００２９】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形，改良，等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質，形状，寸法，形態，数，配置個所，等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【００３０】
例えば、本発明に係る転がり軸受に用いられる密封装置の副リップの径方向における断面形状については、図１に示された三角形状に限らず、上述のように形成された先端部を有するものであれば種々の形状を採ることができる。
【００３１】
また、本発明に係る転がり軸受に用いられる密封装置は、その芯金を合成樹脂製としてもよく、或いは、芯金を用いずに弾性部材のみにより成形したものであってもよい。
【００３２】
また、本発明に係る転がり軸受は、前述した深溝玉軸受に限らず、その他、例えば、アンギュラ玉軸受、各種ころ軸受、等、本発明に係る転がり軸受用密封装置を要する若しくは適用できる転がり軸受であれば、どんな転がり軸受であってもよい。
【００３３】
また、本発明は、特に、オルタネータ、カーエアコン、等のプーリやテンショナに組み込まれて、エンジンによって駆動されるベルトを通じて動力が伝達され、その動力伝達により回転する転がり軸受、電動ファンモータ、ウォーターポンプ、等の自動車電装部品や高温・高速で使用されるエンジン補機等に用いられる転がり軸受、等に好適である。
【００３４】
また、保持器は、前述したもみ抜き保持器に限らず、例えば、打ち抜き保持器、冠形保持器、等といった種々の保持器を転がり軸受に応じて用いればよい。
【００３５】
尚、外輪にシール溝を設け、そして内輪に密封装置固定部を設けて、密封装置の固定部を内輪の密封装置固定部に嵌着し、そして主リップを外輪のシール溝の外側面、副リップをシール溝の口元内周面、に摺接させるようにしてもよく、その場合にも、上述した実施形態と同様にして本発明を実施することができる。
【００３６】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、主リップが固定軌道輪または回転軌道輪のシール溝の外側面に締め代をもって摺接し、当該主リップよりも軸方向外側に形成された副リップが、シール溝の外側面に対する主リップの押し付け力の方向と交差する方向の押し付け力で、シール溝の口元を画成する固定軌道輪または回転軌道輪の周面に摺接する。従って、主リップが所謂外当たりタイプであるため、転がり軸受が例えば運転中に高温となり、当該転がり軸受の内部空間に封入されているグリース等の潤滑剤からベースオイル（基油）が蒸発しうる状態になったとしても、当該潤滑剤の軸受外部への漏洩を確実に防止することができ、これにより転がり軸受の寿命が延長される。その上、副リップによって転がり軸受の内部への外部からの水、埃、等といった異物の進入（浸入）を確実に防止することができる。更には、主リップの押し付け力の方向と副リップの押し付け力の方向とが交差する関係にあり、その関係において、当該主リップがシール溝の外側面に摺接し、そして副リップが、シール溝の口元の周面に摺接するため、従来の転がり軸受と比較して、より高い密封性能が備わっている。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る転がり軸受の一実施形態の要部断面図である。
【図２】転がり軸受の一例の縦断面図である。
【図３】転がり軸受の他の一例の縦断面図である。
【符号の説明】
１０ 転がり軸受
１１ 外輪（固定軌道輪および回転軌道輪の一方）
１２ 内輪（固定軌道輪および回転軌道輪の他方）
１３ 玉（転動体）
１４ 保持器
１５ 密封装置
１６ シール溝
１７ 外側面
１８ 主リップ
１９ 副リップ
２０ 口元外周面（周面）[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a rolling bearing in which a lubricant such as grease is sealed.
[0002]
[Prior art]
A rolling bearing 50 shown in FIG. 2 as an example of a conventional rolling bearing has a rolling element 54 held by a retainer 53 interposed between an inner ring 51 and an outer ring 52, and an arrangement of the plurality of rolling elements 54. Sealing devices 56 are provided on both sides.
[0003]
The sealing device 56 has a main lip 57 in contact with the inner surface 59 of the seal groove 58 of the inner race 51, and a grease slip 60 and an outer lip 61 near the opening of the seal groove 58 of the inner race 51 and near the other side surface 62, respectively. As a result, foreign substances such as water, dust and the like are prevented from entering (infiltrating) the inside of the bearing. Note that a grease reservoir 63 is formed between the main lip 57 and the grease slip 60. The main lip 57 of the sealing device 56 is a so-called inner contact type lip that comes into contact with an inner side surface 59 of the seal groove 58 of the inner ring 51 on the center side of the bearing.
[0004]
The elastic body 64 of the sealing device 56 has a waist 66 extending long from the cored bar 65 toward the inner diameter side. Each of the lips 57, 60, 61 is formed on the waist 66, so that the inner ring 51 of the main lip 57 and Contact is performed lightly, resulting in low torque. When the internal pressure of the rolling bearing 50 suddenly increases, the sealing device 56 bends and the outer lip 61 approaches the other side surface 62 of the sealing groove 58 of the inner ring 51. Since the groove 67 is provided, the pressure is reduced by the gas release groove 67, and the torque does not increase (for example, see Patent Document 1).
[0005]
A rolling bearing 70 shown in FIG. 3 as another example of the rolling bearing includes an inner ring 71, an outer ring 72, a plurality of rolling elements such as balls 73 interposed between the inner and outer rings 71, 72, and a ball 73 in a circumferential direction. It is composed of a retainer 74 for holding at equal intervals, and a sealing device 75 fixed to the inner peripheral surfaces of both ends of the outer ring 72.
[0006]
The sealing device 75 includes a seal body 76 and a seal core 77, and the outer peripheral end thereof is fitted and fixed to a fixing groove 78 provided on the inner peripheral surface of the end of the outer ring 72. The inner peripheral end of the sealing device 75 has a main lip 79 and is in contact with the outer surface 81 of a seal groove 80 provided on the outer peripheral surface of the end of the inner ring 71. The main lip 79 of the sealing device 75 is a so-called outer contact type lip that comes into contact with the outer surface 81 of the seal groove 80 of the inner ring 71 on the side opposite to the bearing center (for example, see Patent Document 2).
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-11-082526 (page 2-3, FIG. 1)
[Patent Document 2]
Japanese Utility Model Laid-Open No. 06-073454 (page 6-8, FIG. 1)
[0008]
By the way, in recent years, from the viewpoint of energy saving and environmental problems, reduction of fuel consumption and higher efficiency of vehicles are aimed at. For this reason, FF vehicles with a drive system for the purpose of reducing the size and weight of vehicles have been concentrated at the front of the vehicle, and the demand for more indoor space has forced the reduction of the engine room, which resulted in the use of rolling bearings. The size and weight of devices such as electrical components, engine accessories, and the like have been further reduced. In addition, there is a demand for higher performance and higher output for each of the devices.
[0009]
However, a reduction in output is inevitable due to downsizing.For example, pulleys for alternators and car air conditioner compressors compensate for the reduction in output by increasing the speed. Is done. Furthermore, the demand for improved quietness increases the hermeticity of the engine room and promotes high temperatures in the engine room. Therefore, the rolling bearings used in each of the above-mentioned devices are required to have a performance capable of withstanding high temperatures. In addition, due to an increase in the tension of the drive belt, the load applied to the rolling bearing has also increased.
[0010]
Also, the lubricant such as grease enclosed in the rolling bearing used in each of the above-mentioned devices also has a long peeling life and a long lubricant life, excellent torque performance and rust prevention performance, excellent bearing acoustic performance, Etc. are required.
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
However, since the main lip 57 of the sealing device 56 of the rolling bearing 50 is of a so-called inner contact type, if the temperature of the rolling bearing 50 becomes high during operation, the bale oil (base oil) that has separated from the enclosed grease. ) Evaporates and the pressure inside the bearing rises, and the vapor pressure presses the sealing device 56 from the inside of the bearing, thereby causing a state where the main lip 57 and the inner surface 59 of the seal groove 58 are not in contact with each other. When such a state occurs, grease leaks from the gap between the main lip 57 and the seal groove 58 to the outside of the bearing. As a result, seizure occurs early and the life of the rolling bearing 50 is shortened.
[0012]
Further, in the rolling bearing 70, since the main lip 79 of the sealing device 75 is a so-called outer contact type, leakage of grease to the outside of the bearing is basically suppressed, but water, dust, etc. The structure is weak against foreign substances entering (infiltrating) inside the bearing.
[0013]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and an object of the present invention is to reliably prevent leakage of a lubricant such as grease from the inside and to surely prevent foreign matter from entering (penetrating) from the outside. It is to provide a rolling bearing that can.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-mentioned object, a rolling bearing according to the present invention is provided as described in (1) below.
(1) a fixed bearing ring, a rotating bearing ring, a plurality of rolling elements disposed so as to freely roll in the circumferential direction between the fixed bearing ring and the rotating bearing ring, the fixed bearing ring and the rotation An annular sealing device having a first peripheral end fixed to one of the bearing rings and a second peripheral end, wherein the sealing device seals an internal space containing a lubricant. A bearing,
A second peripheral end of the sealing device is formed on a main lip slidingly contacting an outer surface of a seal groove provided on the other of the fixed race ring and the rotating race ring with an interference, and is formed axially outside the main lip. Has a sub lip that has been
The auxiliary lip is a pressing force in a direction intersecting a direction of the pressing force of the main lip against the outer surface of the seal groove, and the other circumference of the fixed raceway ring and the rotating raceway ring defining a mouth of the seal groove is pressed. It is characterized by being in sliding contact with the surface.
[0015]
According to the invention described in the above (1), the main lip slidably contacts the outer surface of the seal groove of the fixed raceway ring or the rotating raceway with an interference, and the auxiliary lip formed outside the main lip in the axial direction is formed. The pressing force in the direction intersecting the direction of the pressing force of the main lip against the outer surface of the seal groove makes sliding contact with the peripheral surface of the fixed orbital ring that defines the mouth of the seal groove. Therefore, since the main lip is a so-called outer hit type, the temperature of the rolling bearing becomes high during operation, for example, so that the base oil (base oil) can evaporate from a lubricant such as grease sealed in the internal space of the rolling bearing. , The leakage of the lubricant to the outside of the bearing can be reliably prevented, thereby extending the life of the rolling bearing. In addition, the auxiliary lip can reliably prevent foreign matters such as water, dust, and the like from entering the inside of the rolling bearing (penetration). Further, the direction of the pressing force of the main lip and the direction of the pressing force of the sub lip are in an intersecting relationship. In this relationship, the main lip slides on the outer surface of the seal groove, and the sub lip is in contact with the opening of the seal groove. Because of the sliding contact with the original peripheral surface, a higher sealing performance is provided as compared with a conventional rolling bearing.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, preferred embodiments according to the present invention will be described in detail with reference to the accompanying drawings.
FIG. 1 is a cross-sectional view of a principal part showing a rolling bearing (hereinafter, referred to as a “rolling bearing” or simply “bearing”) according to an embodiment of the present invention.
[0017]
First, briefly, a rolling bearing 10 according to an embodiment of the present invention includes, as shown in FIG. 1, an outer ring 11 which is one of a fixed raceway ring and a rotating raceway ring, and a fixed raceway ring and a rotating raceway ring. And the plurality of balls (that is, rolling elements) 13 which are arranged to be rollable in the circumferential direction between the outer ring 11 and the inner ring 12, and the balls 13 are rotatably held. A retainer 14 and an annular sealing device 15 having an outer peripheral end (that is, a first peripheral end) and an inner peripheral end (that is, a second peripheral end) fixed to the outer ring 11 are provided. Is a deep groove ball bearing. A pair of sealing devices 15, 15 are arranged on both sides of the rolling bearing 10 so as to interpose the ball 13, but FIG. 1 shows one of the sealing devices 15, 15 on one side of the rolling bearing 10. Are only shown.
[0018]
The inner peripheral end of the sealing device 15 is slidably contacted with an outer surface 17 of a sealing groove 16 formed on the outer peripheral surface of the end of the inner ring 12 with an interference, and the axis of the sealing device 15 is larger than the main lip 18. And a sub lip 19 formed on the outside in the direction. That is, the rolling bearing 10 has a structure in which grease (not shown) serving as a lubricant is filled and the internal space thereof is sealed by the sealing device 15.
[0019]
The auxiliary lip 19 is formed at the mouth of the seal groove 16 (in other words, formed at one end of the rolling bearing 10 (that is, at the peripheral end of the outer race 11 and the peripheral end of the inner race 12 facing the peripheral end). Between the inner ring 12 and the outer peripheral surface (peripheral surface) 20 of the inner ring 12 defining an annular opening (formed between the peripheral surfaces). The auxiliary lip 19 slides on the outer peripheral surface 20 at the mouth of the seal groove 16 with a pressing force in a direction intersecting the direction of the pressing force of the main lip 18 against the outer surface 17 of the seal groove 16. In other words, the main lip 18 presses the outer surface 17 of the seal groove 16 toward the outside of the rolling bearing 10 in the axial direction, and intersects with the pressing direction of the main lip 18 (more specifically, the diameter of the rolling bearing 10). The sub lip 19 presses the mouth outer peripheral surface 20 (inward in the direction).
[0020]
Now, the rolling bearing 10 configured as described above will be described in more detail.
[0021]
The outer ring 11 has a housing (not shown) fitted on the outer peripheral surface of the outer ring. The outer race 11 has an outer raceway surface 21 formed at the center of the inner peripheral surface of the outer race, and concave sealing device fixing portions 22 are formed at both axial ends of the outer raceway surface 21.
[0022]
The inner ring 12 has a shaft (not shown) fitted inside the inner peripheral surface of the inner ring. The inner race 12 has an inner raceway surface 23 formed at the center of the inner race outer peripheral surface, and a concave seal groove 16 is formed at an end of a shoulder 24 disposed on both axial sides of the inner raceway surface 23. Is formed. The seal groove 16 has an inner surface 25 extending from the shoulder 24 toward the center of the bearing (i.e., an axis (not shown)) so as to be substantially orthogonal to the shoulder 24. A bottom surface 26 extending from the end to be substantially parallel to the shoulder 24, an outer surface 17 extending radially outward from an axially outer end of the bottom surface 26, and an outer surface 17. A mouth outer peripheral surface 20 is extended from the axially outer end to be substantially parallel to the shoulder portion 24.
[0023]
The retainer 14 holds the balls 13 at equal intervals in the circumferential direction. The retainer 14 is, for example, an extruded retainer. The ball 13 disposed between the outer raceway surface 21 and the inner raceway surface 23 can be rolled freely in a plurality of circumferentially formed pockets 27. keeping.
[0024]
As described above, the sealing device 15 is formed in an annular shape, and is disposed on both axial sides of the ball 13. The sealing device 15 is formed by covering a metal core 28 having a role of reinforcement with an elastic member 29 made of rubber, synthetic resin, or the like. A fixing portion 30 that is fitted to the sealing device fixing portion 22 of the outer race 11 is formed at an outer peripheral end of the sealing device 15.
[0025]
A main lip 18 protruding toward the center of the rolling bearing 10 in the seal groove 16 at the distal end side of the arm portion 31 extending toward the seal groove 16 of the inner ring 12 is provided at the inner peripheral end of the sealing device 15. Is formed. At the inner peripheral end of the sealing device 15, a sub lip 19 protruding toward the outer peripheral surface 20 near the mouth of the seal groove 16 is formed on the distal end side of the arm 31. Further, a grease slip 32 protruding toward the center of the rolling bearing 10 (that is, the ball 13) is formed at the inner peripheral end of the sealing device 15 in the middle of the arm 31. The tip of the grease slip 32 is arranged close to the shoulder 24 of the inner race 12.
[0026]
That is, the sealing device 15 is formed by integrally forming the main lip 18, the sub lip 19, and the grease slip 32 around the core 28, and the tip of the main lip 18 extending outward in the axial direction of the rolling bearing 10. To the outer surface 17 of the seal groove 16 of the inner ring 12 with a tight allowance, and the distal end of the sub lip 19 extending radially inward of the rolling bearing 10 to the outer peripheral surface 20 at the mouth of the seal groove 16 of the inner ring 12. This is a so-called contact seal member that seals the rolling bearing 10 by sliding contact with an interference. In addition, predetermined grease (not shown) is sealed as a lubricant in the internal space of the rolling bearing 10 surrounded by the sealing devices 15 and 15.
[0027]
The main lip 18 of the sealing device 15 is of an external contact type that slides on the outer surface 17 of the seal groove 16. Therefore, even if the rolling bearing 10 becomes hot during operation, for example, and the base oil (base oil) can evaporate from the grease sealed in the internal space of the rolling bearing 10, the grease outside the rolling bearing 10 can be used. Leakage can be reliably prevented, thereby extending the life of the rolling bearing 10.
[0028]
In addition, the auxiliary lip 19 of the sealing device 15 can reliably prevent foreign matter such as water, dust, and the like from entering the inside of the rolling bearing 10 (penetration). Further, the direction of the pressing force of the main lip 18 and the direction of the pressing force of the sub lip 19 intersect, and in this relation, the main lip 18 slides on the outer surface 17 of the seal groove 16, and Since the lip 19 comes into sliding contact with the outer peripheral surface 20 of the mouth of the seal groove 16, higher sealing performance can be obtained as compared with a conventional rolling bearing.
[0029]
It should be noted that the present invention is not limited to the above-described embodiment, and can be appropriately modified, improved, or the like. In addition, the materials, shapes, dimensions, forms, numbers, arrangement locations, and the like of the components in the above-described embodiment are arbitrary and are not limited as long as the present invention can be achieved.
[0030]
For example, the cross-sectional shape in the radial direction of the auxiliary lip of the sealing device used for the rolling bearing according to the present invention is not limited to the triangular shape shown in FIG. 1 and has a tip portion formed as described above. If so, various shapes can be adopted.
[0031]
Further, the sealing device used in the rolling bearing according to the present invention may be such that the core is made of a synthetic resin, or may be formed by using only an elastic member without using the core.
[0032]
Further, the rolling bearing according to the present invention is not limited to the above-described deep groove ball bearing, but also includes, for example, an angular ball bearing, various roller bearings, and the like, which require or can be applied to the rolling bearing sealing device according to the present invention. Any rolling bearing may be used.
[0033]
Further, the present invention is particularly applicable to a rolling bearing, an electric fan motor, and a water pump which are incorporated in a pulley or a tensioner of an alternator, a car air conditioner, or the like, in which power is transmitted through a belt driven by an engine and rotated by the power transmission. It is suitable for rolling bearings and the like used in automotive electrical parts such as, and engine accessories used at high temperatures and high speeds.
[0034]
Further, the retainer is not limited to the above-described extruded retainer, and various retainers such as a punched retainer, a crown retainer and the like may be used according to the rolling bearing.
[0035]
The outer ring is provided with a seal groove, the inner ring is provided with a sealing device fixing portion, the fixing device of the sealing device is fitted to the sealing device fixing portion of the inner ring, and the main lip is attached to the outer surface of the outer groove of the sealing groove of the outer ring. The lip may be brought into sliding contact with the inner peripheral surface of the mouth of the seal groove. In this case, the present invention can be carried out in the same manner as in the above-described embodiment.
[0036]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, according to the present invention, the main lip slidably contacts the outer surface of the seal groove of the fixed raceway ring or the rotating raceway with an interference, and the auxiliary lip formed axially outside the main lip. However, the pressing force in the direction intersecting the direction of the pressing force of the main lip against the outer surface of the seal groove makes sliding contact with the peripheral surface of the fixed raceway or the rotating raceway which defines the mouth of the seal groove. Therefore, since the main lip is a so-called outer hit type, the temperature of the rolling bearing becomes high during operation, for example, so that the base oil (base oil) can evaporate from a lubricant such as grease sealed in the internal space of the rolling bearing. , The leakage of the lubricant to the outside of the bearing can be reliably prevented, thereby extending the life of the rolling bearing. In addition, the auxiliary lip can reliably prevent foreign matter such as water, dust, and the like from entering the inside of the rolling bearing (penetration). Further, the direction of the pressing force of the main lip and the direction of the pressing force of the sub lip are in an intersecting relationship. Because of the sliding contact with the original peripheral surface, a higher sealing performance is provided as compared with the conventional rolling bearing.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional view of a main part of an embodiment of a rolling bearing according to the present invention.
FIG. 2 is a longitudinal sectional view of an example of a rolling bearing.
FIG. 3 is a longitudinal sectional view of another example of the rolling bearing.
[Explanation of symbols]
10 Rolling bearing 11 Outer ring (one of fixed raceway ring and rotating raceway ring)
12 Inner ring (the other of fixed raceway ring and rotating raceway ring)
13 balls (rolling element)
14 Cage 15 Sealing device 16 Seal groove 17 Outer surface 18 Main lip 19 Secondary lip 20 Outer peripheral surface (peripheral surface)
