JP2004339218A - 有機化合物の使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 心血管疾患を処置し、そして心血管系再構成を誘導し、そしてそれにより疾病、とりわけ卒中および心筋梗塞、とりわけ左心室機能不全または心不全を伴う心筋梗塞の後の死亡のリスクを減少させる方法を提供する。
【解決手段】ARB、およびACEインヒビターの組み合わせからなる医薬品組成物を投与する方法。特にARBがバルサルタンであり、ACEインビターがカプトプリルである組み合わせの投与が好適である。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
発明の背景
アンギオテンシンIIレセプターブロッカー(ARB)、例えばバルサルタンは、血管拡張を引き起こすAT−レセプターに対するアンギオテンシンIIの結合を選択的にブロックし、そしてアルドステロン分泌を減少させる抗高血圧剤として知られている。アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターは、急性心筋梗塞を有する患者を処置するために使用されてきた。
心筋梗塞後に心臓機能が低下した患者における強力な抗高血圧剤の組合せは、心不全をもたらす低血圧および徐脈のリスクのために議論の余地がある。我々は、今回、心筋梗塞(MI)後の患者集団において、ARB、とりわけバルサルタンと、ACEインヒビターの共投与を含んでなる併用療法(combination therapy)について、血圧を低下させることに加えて利点が存在することを大規模臨床試験において発見した。
発明の要約
1つの観点において、本発明は、心疾患を処置し、そしてそれにより疾病(morbidity)、とりわけ卒中および心筋梗塞、とりわけ左心室機能不全または心不全を伴う心筋梗塞の後の患者における死亡(mortality)のリスクを減少させる方法であって、かかる患者に、所望により医薬上許容される担体の存在下で、ACEインヒビター、または医薬上許容されるそれらの塩の治療上有効量とともに、ARB、好ましくはバルサルタンまたは医薬上許容されるそれらの塩の治療上有効量を投与することを含んでなる方法に関する。
別の実施態様において、本発明は、本発明にしたがうARBおよびACEの組合せを投与するための用法(dosing regimen)に関する。
さらに別の実施態様において、本発明は、本発明にしたがうARBおよびACEの組合せを投与するための投与パック(dose pack)に関する。
さらに別の実施態様において、本発明は、心筋梗塞後の心血管系再構成の誘導方法、およびそれによって心筋梗塞、とりわけ左心室機能不全または心不全を伴う心筋梗塞後の患者における疾病、とりわけ卒中、および死亡のリスクを減少させる方法であって、かかる患者に、所望により医薬上許容される担体の存在下で、ACEインヒビターまたは医薬上許容されるそれらの塩の治療上有効量と組み合わせて、ARB、好ましくはバルサルタンまたは医薬上許容されるそれらの塩の治療上有効量を投与することを含んでなる方法に関する。
本発明の別の観点は、ARBまたはARBの代謝物および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物に関する。
別の実施態様において、本発明は、心筋梗塞(MI)後の心血管疾患の処置のための、医薬上許容される担体の存在下でARBインヒビターおよびACEインヒビターを含んでなる医薬組成物に関する。
本発明の別の観点には、心筋梗塞後の心血管疾患の処置用医薬の製造のための、医薬上許容される担体の存在下でARBインヒビターおよびACEインヒビターを含んでなる医薬組成物の使用が含まれる。
本発明の別の観点は、ARBインヒビターがバルサルタン(valsartan)、ロサルタン(losartan)、カンデサルタン(candesartan)、エプロサルタン(eprosartan)、イルベサルタン(irbesartan)、オルメサルタン(olmesartan)、タソサルタン(tasosartan)およびテルミサルタン(telmisartan)からなる群から選択される、本発明の医薬組成物、使用、用法(dosing regimen)、投与パック(dosage pack)を含む。
本発明の別の観点には、ACEインヒビターがベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル(captopril)、シラザプリル(cilazapril)、エナラプリル(enalapril)、エナラプリラート(enalaprilat)、フォシノプリル(fosinopril)、リシノプリル(lisinopril)、モエキシプリル(moexipril)、ペリンドプリル(perindopril)、キナプリル(quinapril)、ラミプリル(ramipril)、およびトランドラプリル(trandolapril)からなる群から選択される本発明の医薬組成物、使用、用法、投与パックが含まれる。
本発明の別の観点には、ARBインヒビターがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターはカプトプリルである、本発明の医薬組成物、使用、用法、投与パックが含まれる。
好適な実施態様の詳細な記載
AT−レセプターアンタゴニスト(アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストとも呼ばれる)は、アンギオテンシンIIレセプターのAT−レセプターサブタイプに結合するが該レセプターの活性化をもたらさない活性成分であると理解されている。AT−レセプターの阻害と結果として、これらのアンタゴニストは、例えば、血小板凝集を予防し、そしてそれに伴う病状を処置するために使用され得る。
AT−レセプターアンタゴニストのクラスには、異なる構造的特徴を有する化合物が含まれ、非ペプチド性化合物が本質的に好適である。本発明の範囲内のARBとしては、バルサルタンが挙げられ、これは式(I)
Figure 2004339218
で示されるAT−レセプターアゴニスト、(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロパ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2;(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル−メチル]アミンであり、そして欧州特許出願公開第0443983A号および米国特許第5,399,578号において記載され、これらの開示の全体を、出典明示により本明細書の一部とする。他のARB化合物としてはロサルタン、カンデサルタン(Atacand(登録商標)として知られるカンデサルタン シレキセチルを含む)、エプロサルタン、イルベサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、ゾラサルタン(1−[[3−ブロモ−2−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−5−ベンゾ−フラニル]メチル]−2−ブチル−4−クロロ−1H−イミダゾール−5−カルボン酸)、および3−(3−ブロモ−2−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゾフラン−5−イルメチル)−2−ブチル−5−クロロ−3H−イミダゾール−4−カルボン酸、メチル 2−[[4−ブチル−2−メチル−6−オキソ−5−[[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1'−ビフェニル]−4−イル]メチル]−1(6H)−ピリミジニル]メチル]−3−チオフェンカルボキシレート(LR−B/081としても知られる)およびメチル 2−[[4−ブチル−2−メチル−6−オキソ−5−[[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1'−ビフェニル]−4−イル]メチル]−1−(6H)−ピリミジニル]メチル]−3−チオフェンカルボキシレート(3kとしても知られる)、3位に(カルボキシヘテロアリール)メチル部分が導入されたLR−B/081(Lusofarmaco)、2,7−ジエチル−5−[[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−5H−ピラゾロ[1,5−b][1,2,4]−トリアゾールカリウム塩(YM 358としても知られる)(Yamanouchi)、Biol. Pharm. Bull., Vol. 23, No. 2, pp. 174-181 (2000);L-158,809, Thromb. Res., Vol. 105, No. 6, pp. 531-536 (2002);KT3 671, J. Cardiovasc. Pharmacol., Vol. 25, No. 1, pp. 22-29 (1995);TA 606, J. Cardiovasc. Pharmacol., Vol. 31, No. 4, pp. 568-575 (1998);TH 142177, Fundam. Clin. Pharmacol., Vol. 11, No. 5, pp. 395-401 (1997);および UP 269-6, Br. J. Pharmacol., Vol. 120, No. 3, pp. 488-494 (1997)、下記の式
Figure 2004339218
で示されるE−1477の名称を有する化合物、
下記の式
Figure 2004339218
で示されるSC−52458の名称を有する化合物、
下記の式
Figure 2004339218
で示されるZD−8731の名称を有する化合物、またはそれぞれの場合において、医薬上許容されるそれらの塩が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
好適なAT−レセプターアンタゴニストは、市販されている剤であり、もっとも好ましくはバルサルタンまたは医薬上許容されるその塩である。
本発明において使用するのに適したACEインヒビターとしては、遊離または医薬上許容される塩の形態の、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルが挙げられる。本発明において使用するのにとりわけ適したACEIは、遊離または医薬上許容される塩の形態の、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、キナプリルおよびリシノプリルが挙げられ、例えばベナゼプリル HClまたはエナラプリル マレイン酸塩である。
本発明の化合物(ARBおよびACEインヒビター)は、置換基の性質に依存して、1またはそれ以上の不斉中心を有し得る。得られるジアステレオ異性体、エナンチオマーおよび幾何異性体は、本発明に包含される。
出発物質および方法の選択に依存して、化合物は、あり得る異性体の1つの形態であるかまたはそれらの混合物であり得、例えば、実質的に純粋な幾何(シスまたはトランス)異性体、光学異性体(対掌体)、ラセミ体またはそれらの混合物であり得る。あり得る前記の異性体またはそれらの混合物は、本発明の範囲内である。
得られる任意の異性体の混合物は、構成物の物理化学的相違に基づいて、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別晶出法により、純粋な幾何異性体または光学異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体へと分離され得る。
得られる最終生成物または中間体の任意のラセミ体は、既知の方法により、例えば光学活性酸または塩基で得られるそのジアステレオ異性体塩を分離し、そして当該光学活性酸性または塩基性化合物を遊離させることにより、光学分割され得る。かくして、カルボン酸中間体を、例えば、D−またはL−(α−メチルベンジルアミン、シンコニジン、シンコニン、キニーネ、キニジン、エフェドリン、ジヒドロアビエチルアミン、ブルシンまたはストリキニーネ)−塩の分別晶出法により、光学分割され得る。ラセミ生成物は、また、キラルクロマトグラフィー、例えばキラル吸着剤を用いる高速液体クロマトグラフィーにより分割され得る。
結局、本発明の化合物は、遊離の形態で得られるか、または塩形成基が存在する場合にその塩として得られる。
本発明の酸性化合物は、有利にはエーテル性またはアルコール性溶媒、例えば低級アルカノールの存在下で、医薬上許容される塩基、例えば水性アルカリ金属水酸化物で塩に変換され得る。後者の溶液から、塩がエーテル、例えばジエチルエーテルで沈澱し得る。得られる塩は、酸での処理により遊離化合物へと変換され得る。これらのまたは他の塩は、また、得られる化合物の精製のためにも使用され得る。
塩基性基を有する本発明の化合物は、酸付加塩、とりわけ医薬上許容される塩へと変換され得る。これらは、例えば、無機酸、例えば鉱物酸、例えば硫酸;リン酸またはハロゲン化水素酸で;あるいは有機カルボン酸、例えば非置換またはハロゲンにより置換されたC〜Cアルカンカルボン酸、例えば酢酸、例えば飽和または不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸またはフマル酸、例えばヒドロキシ−カルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸、例えばアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸で、あるいは有機スルホン酸、例えばC〜Cアルキル−スルホン酸、例えばメタンスルホン酸;あるいは非置換または例えばハロゲンにより置換されたアリールスルホン酸で形成される。塩酸、メタンスルホン酸およびマレイン酸で形成された塩が好適である。
遊離の化合物とそれらの塩の形態の化合物との間の密接な関係の観点において、この文脈において化合物という場合はいつでも、その状況で可能または適当である限り、その対応する塩も意図するものとする。
それらの化合物(それらの塩を含む)は、また、それらの水和物の形態でも得られ得るか、またはそれらの結晶化に使用された他の溶媒を含み得る。
本発明の別の観点は、本発明の化合物の治療上有効量および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物を含む。本発明の医薬組成物は、自体公知の方法で製造され得、そして単独で、または1もしくはそれ以上の医薬上許容される担体、とりわけ経腸もしくは非経腸投与に適したものと組み合わせて、薬理学的活性化合物の治療上有効量を含んでなる、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)への経腸、例えば経口または経直腸投与に適したものである。典型的な経口製剤としては、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤および懸濁剤が挙げられる。典型的な注射可能な製剤としては、溶液および懸濁液が含まれる。医薬組成物は、心筋梗塞後の患者における心血管疾患を処置するため、およびそれにより疾病、とりわけ卒中および心筋梗塞、とりわけ左心室機能不全または心不全を伴う心筋梗塞の後の患者の死亡のリスクを減少させるために使用され得る。
上記の製剤において使用するための典型的な医薬上許容される担体は、医薬製剤において通常使用される、糖類、例えばラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール;スターチ、例えばコーンスターチ、タピオカスターチおよびポテトスターチ;セルロースおよび誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびメチルセルロース;リン酸カルシウム、例えばリン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウム;硫酸ナトリウム;硫酸カルシウム;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ステアリン酸;ステアリン酸アルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウム;ステアリン酸;植物油、例えばピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油およびコーン油;非イオン性、カチオン性およびアニオン性界面活性剤;エチレングリコールポリマー;β−シクロデキストリン;脂肪アルコール;固形穀類加水分解物(hydrolyzed cereal solid)、ならびに他の非毒性互換性増量剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、滑沢剤、着香料などにより例示される。
これらの医薬調製物は、単独または通常の医薬補助剤とともに薬理学的活性化合物を含んでなる調製物で恒温動物に経腸的、例えば経口的、および経直腸的または非経腸的投与するためのものである。例えば、該医薬調製物は、約0.1〜90%、好ましくは約1%〜約80%の活性化合物からなる。経腸または非経腸投与のための医薬調製物は、例えば単位投与形態、例えば被覆錠剤、錠剤、カプセル剤または坐剤およびアンプル剤の形態である。これらは、自体公知の方法、例えば慣用的な混合、造粒、被覆、可溶化または凍結乾燥プロセスを用いて製造される。かくして、経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固体賦形剤と組合せ、所望により得られた混合物を造粒し、そして必要ならば、該混合物または顆粒を、適当な補助剤の添加後に錠剤または被覆錠剤へと加工することにより得られ得る。
ARB、とりわけバルサルタン、およびACEインヒビター、とりわけカプトプリルは、他の治療剤、例えば当分野において既知のそれぞれの治療有効用量で組み合わせられ得る。かかる治療剤には、ヘパリン、ワルファリン、t−PA、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ、エプチフィバチドおよびチロフィバン、抗高血圧剤および抗糖尿病剤が含まれる。
好適なAT−レセプターアンタゴニストは、バルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、ならびにテルミサルタンおよびエプロサルタンである。最も好適なものは、バルサルタンまたは医薬上許容されるその塩である。正確な投与量は、個々の患者に依存して変動するものであり、そして担当医によるいくらかの調節が必要とされ得るが、適当な投与量は、単独療法に関して該化合物について当分野において一般的に知られているものである。例えば、本発明の方法において、バルサルタンは、好ましくは成体患者に、好ましくは、遊離酸として、20〜320mg、好ましくは80〜320mgの総一日用量で1日に1回または2回(b.i.d.)投与される。ロサルタンは、好ましくは、成体患者に、好ましくはカリウム塩として25〜100mgの総一日用量で、1日に1回または2回経口的に投与される。カンデサルタンは、好ましくは、成体患者に2〜32mgの総一日用量で、好ましくはそのシレキセチルエステルの形態で投与される。イルベサルタンは、好ましくは、成体患者に150〜300mgの総一日用量で投与される。テルミサルタンは、好ましくは、成体患者に、好ましくは遊離酸として、40〜80mgの総一日用量で投与される。エプロサルタンは、好ましくは、成体に400〜800mgの総一日用量で、好ましくはそのメシル酸塩として投与される。
医薬組合せ(pharmaceutical combination)の好適な用量は、治療的有効な用量、とりわけ商品として入手可能なものである。低用量の組合せがとりわけ好ましい。ACEインヒビターの場合において、ACEインヒビターの好適な投与単位形態は、例えば錠剤またはカプセル剤、例えば、約5mg〜約20mg、好ましくは5、10または20mgのベナゼプリル;約6.5〜100mg、好ましくは6.25、12.5、25、50、75または100mgのカプトプリル;約2.5mg〜約20mg、好ましくは2.5、5、10または20mgのエナラプリル;約10mg〜約20mg、好ましくは10または20mgのフォシノプリル;約2.5mg〜約4mg、好ましくは2または4mgのペリンドプリル;約5mg〜約20mg、好ましくは5、10または20mgのキナプリル;あるいは約1.25mg〜約5mg、好ましくは1.25、2.5または5mgのラミプリルを含んでなるものである。好ましいACEインヒビターは、20mg用量で投与されるカプトプリルである。1日3回(t.i.d.)の投与が好ましい。
本発明において使用するための医薬組成物は、好ましくは、既知であり、そして製造者から商品として入手可能な経口投与用の組成物である。適当な組成物ならびに適当な医薬有効量および可能性のある副作用に関する情報は、Physician’s Desk Referenceにおいて記載されている。活性化合物の正確な用量は、さまざまなファクター、例えば投与様式、年齢および/または個々の病状に依存し得る。活性剤が、酸または塩基であるか、あるいは医薬上許容される塩またはプロドラッグを形成できる他のものである場合、これらの形態は本明細書に包含されるとみなされ、そして該化合物は、遊離の形態で、または医薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、例えば生理学的に加水分解可能かつ許容されるエステルの形態で、とりわけ該塩またはプロドラッグ形態が規制当局により承認され、そして普通に入手可能な形態である場合に、投与され得ることが理解される。
バルサルタンは、治療上有効量、例えば、遊離酸として約20mg〜約320mgのバルサルタンに相当する量を含んでなる、遊離または医薬上許容される塩の形態で、適当な投与単位形態、例えばカプセル剤または錠剤の形態で供給される。活性成分の投与は、1日3回まで、例えば、20または40mgのバルサルタンの1日投与量から始めて、1日80mgおよびさらに1日160mgを経由して、1日320mgまで増加させてもよい。好ましくは、バルサルタンは、20〜320mg、好ましくは1日80〜320mgの総一日用量のために、80または160mgの用量で患者に1日1回または2回投与される。対応する用量が、例えば朝、昼または夕に服用され得る。
本発明のこの観点の特定の実施態様において、増量タイトレーション・スケジュール(up-titration schedule)でARB、特にバルサルタン、およびACEインヒビター、特にカプトプリルを投与することを含んでなる用法であって、ARBおよびACEインヒビターの量が前回の用量よりも増加する一連のステップでARBおよびACEインヒビターの用量を投与することを含んでなる用法を提供する。さらに、個々のステップにおいて、組合せ療法を朝に行ない、昼はACEインヒビターのみを投与し、そして夕は組合せ療法が行なわれる。好適な実施態様において、ARBがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターがカプトプリルであり、そして投与量が実施例1の図3.1−1において示されたものである。4段階タイトレーション用量スケジュール(four-step titration dosage schedule)もまた好ましい。本発明のこの観点の別の実施態様において、タイトレーション用量パック(titration dosage pack)[ここで、個々の用量タイトレーション・パックは、タイトレーション・スケジュール(titration schedule)の特定のステップに対応する、ARBおよびACEインヒビターの量を含んでなる。]が提供される。好ましい実施態様において、ARBがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターがカプトプリルであり、そして投与量が先行するパラグラフにおいて示され、そして有能な医師により調節され得る用量を含有するが、さらに好ましい実施態様において、用量は実施例1の図3.1−1において示されたものである。
本発明のこの実施態様の別の観点において、少なくとも1ヶ月、好ましくは4ヶ月間十分なタイトレーション用量パックを含有する維持投与パック(maintenance dosing pack)が提供される。
上記のパックを、それぞれ、7桁の医薬コード番号で標識してもよい。
これは、投与の維持期間、例えば3ヶ月もしくはそれ以上を含んでなる。
上記の用量には、本発明の活性成分の治療上有効量が含まれる。
所望により医薬上許容される担体の存在下での、心筋梗塞後の患者への、ACEインヒビター、好ましくはカプトプリルまたは医薬上許容されるそれらの塩の治療上有効量と組み合わせた、ARB、好ましくはバルサルタン、または医薬上許容されるそれらの塩の治療上有効量の投与が、心血管疾患の発生率を減少させ、そしてそれにより疾病、とりわけ卒中および死亡のリスクを減少させ、そしてとりわけ心筋梗塞後の患者における左心室拡張を和らげることによる心血管系再構成(cardiovascular remodeling)を誘導することが見出された。
下記に実施例は、上記の発明を例示する;しかしながら、いかなる方法によっても本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本明細書において挙げられたすべての刊行物および特許は、出典明示により、その全体を本明細書の一部とする。
実施例1
心筋梗塞後の高リスク患者におけるバルサルタン、カプトプリルおよびそれらの組合せでの処置
1.0. 序論
急性および慢性心筋梗塞を有する患者におけるACEインヒビターの使用に関する延命効果は、100,000を超える患者に関わる、一連の国際的実施、ランダム化、制御臨床試験により確立されている(1〜4)。死亡率、および深刻であるが非致命的な心血管イベントの発生率の低減におけるこれらの剤の有効性は、十分に証明されているので、急性心筋梗塞におけるACEインヒビターの使用は、今日では、主要な国際心血管団体により強く保証されている(5、6)。全体的なエビデンスを考慮する場合、全般的な経験は、心筋梗塞を有する患者におけるACEインヒビターの新たな使用が、他の証明された治療、例えばアスピリン、β−アドレナリン作動性ブロッカーおよび再潅流ストラテジーで達成され得る効果に相加的な利点を生み出すことを示唆している(7)。
非選択的短期試験(100mmHg以上の収縮期血圧)において経口投与されたACEインヒビターの早期(24時間未満)使用は、4〜6週の治療単位の間に処置された1000人の患者当たり約5人の生存をもたらした(2)。これらの短期非選択的試験において、ACE阻害の死亡率に対する効果は、よりリスクの高い患者(Killip分類2またはそれ以上、前壁梗塞)においてより大きかった。さらに長い治療期間(2〜4年間)の高リスク患者について選択された心筋梗塞におけるACEインヒビター治療の治験は、ACEインヒビター治療のいっそうさらに印象的な利点を有する一貫した結果を生み出した(4)。死亡率単独に関して、これらの選択的試験において救われた生存者は、1,000人の処置患者につき40〜76の範囲であった。これらのそれぞれの長期試験により、また、主要な非致死的心血管イベントの減少におけるACEインヒビターの使用の他の重要な臨床的利点が例証された。SAVE試験(8)において高リスク患者を同定するために使用された選択基準は、肺のうっ血の過渡的徴候が存在するか否か(それぞれ、40%および60%)に応じて、40%またはそれ未満の左心室駆出率であった。AIRE試験(9)において、患者の選別は、心不全の臨床的、さらに過渡的エビデンスであった。TRACE試験(10)において、壁運動異常についての心エコー検査が高リスク群を同定するために使用された。
心筋梗塞を有する患者におけるACEインヒビター治療のこれらの証明された利点にもかかわらず、かなりの割合の患者が、この治療の間の死亡を含む、主要な心血管合併症を経験している。レニン−アンギオテンシンカスケードにおける最終ステップの特異的インヒビターとして、新たに開発されたARBは、この系を薬理学的にさらに完全に阻害するための機会を提供することができる。2つの試験は、レニン−アンギオテンシン系を阻害するこの新規薬理学的様式が心筋梗塞を有する患者に特異的な利益をもたらし得るかどうかという疑問を惹起した:第一のものは、ACE非依存性のアンギオテンシンIIの局所的生成の証明であった;第二のものは、アンギオテンシンIIの血漿レベルが長期のACE阻害治療の間にしばしば処置の前の値に戻ることの証明であった。他方、この血管活性化合物の分解におけるACEインヒビターの減少に伴うブラジキニンの増加は、ARBの使用から予想できないさらなる臨床的利点を提供し得る(11〜12)。しかしながら、このブラジキニンの蓄積は、咳のような副作用を伴い、これはACE阻害治療の中断をもたらす(13)。ARBが、レセプターレベルでより優れた耐容性または遮断性を有する少なくとも比較可能な臨床的有効性を提供するか否かは、適当な臨床試験によってのみ測定されるものである。
高齢者におけるロサルタンの評価(Evaluation of Losartan In The Elderly; ELITE)の治験により、ARBによるレニン−アンギオテンシン系の阻害が十分なほど、より大きい臨床的利点がもたらされ得るという見解を支持する予備的な証拠がもたらされた(14)。ELITE治験責任医師は、ACEインヒビターで過去に処置されたことがない心不全を有する高齢患者を同定した。これらの患者を、二重盲検様式で、標準的用量のカプトプリル(50mg、t.i.d.)またはARB、ロサルタンでの処置にランダム化した。この722人の患者の試験の第一の目的は、このARB対ACEインヒビターでの耐容性および血清クレアチニンの増加を比較することであった。当該第一目的における治療間に有意な相違は存在しなかったが、原因を問わない死亡率の統計的に有意な減少がロサルタンの使用で見出された。この生存に関する相違は、合計わずか49の死亡例に基づくものであり、したがって、予備的かつ仮定的な発生としてみなされなければならない。それにもかかわらず、ACEインヒビターとARBとの間のこの最初の直接比較は、変換酵素レベルというよりもむしろレセプターでのアンギオテンシン系の阻害についての裏付けを提供する。
研究に値する別のアプローチは、ACEインヒビターにより産生されるブラジキニンの増加に関する潜在的利点を持続しながら、アンギオテンシンIIの効果を減少させる経路における2点での作用によるレニン−アンギオテンシン系のより完全な阻害の潜在的利点を提供する、ACEインヒビターおよびARBの組合せの使用である。したがって、単独またはACEインヒビターと組み合わせたARBの使用での、心筋梗塞を有する患者のケアにおけるさらなる改善を例証する潜在能力は、現在の試験についての主要な理論的根拠を提供する。
本研究の目的は、ARB、バルサルタンが、高リスク心筋梗塞患者(AIRE、SAVEおよびTRACE分類)の死亡率の減少において証明されているACEインヒビターより効果的であるか、または少なくとも同じくらい効果的であり、かつ、より耐容性があるか否かを測定すること、ならびに証明されているACEインヒビターレジメンへのバルサルタンの追加がACEインヒビター単独療法で達成されるよりもより大きい死亡率の減少をもたらすか否かを確かめることである。
2. 試験目的
第一の目的:
単独療法として投与されるバルサルタンの長期投与が、急性心筋梗塞後の総死亡率の減少において、単独療法として投与されるカプトプリルよりも有効であることを証明すること。
バルサルタンとカプトプリルの組合せの長期投与が、急性心筋梗塞後の総死亡率の減少において、単独療法として投与されるカプトプリルよりも有効であることを証明すること。
単独療法としてのバルサルタンが、目的1において、カプトプリルよりも優れていることを示すことができない場合に、単独療法として投与されるバルサルタンの長期投与が、急性心筋梗塞後の総死亡率の減少において、単独療法として投与されたカプトプリルと少なくとも同程度有効であることを証明すること。
第二の目的:
バルサルタンとカプトプリルの組合せの長期投与が、急性心筋梗塞後の総死亡率の減少において、単独療法として投与されるバルサルタンよりも有効であることを証明すること。
他の重要なパラメーター
3つの処置群の資源利用(resource utilization)およびクオリティーオブライフを比較すること。
3つの処置群の安全性および耐容性を比較すること。
試験デザイン
VALIANTは、3つのパラレルの処置群を有する、前向き(prospective)多国籍、多施設、二重盲検、ランダム化、活性−コントロール第III相試験である。
患者集団
試験集団は、急性心筋梗塞を維持し、そして兆候の発症後12時間以後10日以前にランダム化された患者からなる。患者は、また、心不全および/または左心室収縮機能不全のエビデンスも有する(また、セクション3.3:試験集団参照。)。
サンプルサイズ
総計14,500人の患者を、ランダム化し、それぞれカプトプリル単独療法、バルサルタン単独療法、またはバルサルタンとカプトプリルの組合せ療法へと1:1:1に割り当てる(また、セクション6.2:サンプルサイズおよび検出力考察(power consideration)参照。)。
試験処置
3つの処置群(図3.1−1:処置レジメン、ならびにセクション3.4.1:研究治療および参照治療)は:
1. カプトプリル単独療法(活性コントロール薬)。標的用量は、50mg1日3回である。
2. バルサルタン単独療法(研究薬)。標的用量は、160mg1日2回である。
3. カプトプリルとバルサルタンの組合せ(研究レジメン)。標的用量は、それぞれ、50mg1日3回および80mg1日2回である。
処置の目的は、個々の患者が標的用量までの試験薬物療法(study medication)の最大許容用量を投与されることを確認することである。試験薬物療法は、4つのタイトレーションステップを有するタイトレーション法で投与される(ステップI〜IV)。
該タイトレーション法は、セクション3.4.1:研究治療および参照治療において記載された推奨および分類に従うべきであるが、タイトレーションするか否かの判断は、患者の状態に依存して治験責任医師に委ねられている。
患者は、セクション3.3.3:処置の中断または中止において記載されたような、一時的な中断または永続的な中止の場合を除いて、ランダム化の日から試験の終わりの日まで処置される。
Figure 2004339218
試験期間
試験期間は可変であり、そして第一次効力エンドポイント(primary efficacy endpoint)、すなわち予め特定した死亡数の到達に依存する。統計的に有意な中間分析または安全上の注意のために早期に終了しない限り、2700人の患者が第一次エンドポイント、すなわち死に至るまで該試験を継続する。その死亡者数に達した日に、ランダム化したすべての患者の生命関連情報(vital status)を集め、そして該試験を、セクション6.2:サンプルサイズおよび検出力考察において記載したように終了したとみなす。
プランニングのため、予期される試験期間は、18ヶ月の登録期間を含めて約4年である。現実には、実際の試験期間は、実際の増加率(actual accrual rate)、増加期間の長さ、および観察された死亡率に依存する。したがって、試験期間は、4年より短いまたは長い場合もあり得る。しかしながら、必要とされる数のイベントが6年の試験期間後に観察されない場合において、試験を打ち切り、そして終了したものとみなす。
3.2. デザインについての議論
この試験を、バルサルタン、ARBでのレニン−アンギオテンシン系の阻害が、カプトプリル、ACEインヒビターよりも有効であるか、または少なくとも同程度有効であるか否かについて試験し、そしてACEインヒビターとバルサルタンの組合せが急性心筋梗塞を有する高リスク患者における総死亡率の減少においてACEインヒビター単独よりも有効であるか否かについて試験するように設計する。
序論において概説したように、急性心筋梗塞を有するすべての患者がACEインヒビターでの早期処置を受けるべきか否かに関する論争が存在するが、ACEインヒビターは心不全および/または左心室心収縮機能不全のエビデンスを有する患者における心筋梗塞後の死亡率および罹病率を減少させることの圧倒的な証拠が存在する(5〜6)。かかる高リスク患者は、早期に開始し、そして長期間継続する当該治療を受けるべきである(1〜7)。
結果として、ACEインヒビターの追加的プラセボ−コントロール治験がこのような患者において行なわれることは倫理的理由から好ましくない(15)。したがって、VALIANTは活性−コントロール参照処置を必要とし、その結果、ICHガイドラインにおいて定義された外的妥当性を必要とする(16)。
AIRE、SAVEおよびTRACE試験(8〜10)は、延命効果に基づいて、長期間のACEインヒビター治療を受けるべき心筋梗塞を有する高リスク患者群を定義した限定的プラセボ−コントロール死亡率長期試験であるので、これらの試験が外的妥当性のために選択された。これらの試験の結果は、原因を問わない死亡率の第一次エンドポイントに関してのみならず[オッズ比(OR):0.74、95%信頼区間(CI):プールされた3つの試験について0.66〜0.83、ならびにAIRE、SAVEおよびTRACEについて、それぞれOR:0.79、0.70および0.73]、重要な非致死的エンドポイント、例えばうっ血性心不全での最初の入院までの時間(OR:0.73、95%CI:プールされた3つの試験について0.63〜0.85、ならびにそれぞれOR:0.74、0.65および0.78)ならびに心筋梗塞の最初の再発までの時間(OR:0.80、95%CI:プールされた3つの試験について0.69〜0.94、ならびにそれぞれOR:0.89、0.80および0.75)についても同質かつ一貫したものであった。AIRE、SAVEおよびTRACEの共通の特徴は、心不全の徴候および症候によるおよび/または左心室収縮機能不全の他覚的な測定による高リスク患者の同定である。高リスク患者は、同じ登録基準(inclusion criteria)を用いてVALIANT(また、長期試験も)において選択される。
心筋梗塞を有する高リスク患者におけるおよびうっ血性心不全を有する患者におけるプラセボ−コントロール試験において、原因を問わない死亡率に対するACEインヒビターの効果に関する興味深い類似性が存在する。AIRE、SAVEおよびTRACE(4)において、5,966人のランダム化された患者のうち1,568人が死亡し、そして原因を問わない死亡率のORは0.74であった(CI:0.66〜0.83)。うっ血性心不全を有する患者におけるプラセボ−コントロール試験のメタアナリシスにおいて、7,105人のランダム化された患者のうち1,320人が死亡し(17)、そして原因を問わない死亡率のORは0.77であった(CI:0.67〜0.88)。したがって、心臓機能が低下した患者における原因を問わない死亡率に対するACEインヒビターの利点は、それが安定徴候性心不全であろうと、または心筋梗塞後の左心室機能不全であろうと、完全に比較可能でありそして十分に定量される。
比較のために選択されたACEインヒビターは、十分に裏付けされた効力および安全性プロフィールおよび確立された投与レジメンを有する。急性および慢性梗塞におけるACEインヒビターの総合的な経験において、カプトプリルが非選択的早期試験ISIS−4および中国のカプトプリル試験(18、19)において、ならびに選択的長期試験SAVE(8)において使用され、これらはコントロール臨床試験においてACEインヒビターでの最大の蓄積的経験をもたらした。カプトプリルは早期および長期投与の両方で有効であったので、安全かつ有効な投与レジメンがバルサルタンとの比較のために利用可能である。
したがって、VALIANTは最適な現行の臨床的プラクティスおよび処置を反映する実用的な試験である(20)。処置医は、それらの患者において最適の、すなわち救命の標準的処置、例えば、アスピリン、血栓溶解剤またはプライマリー血管形成術(primary angioplasty)およびβ−ブロッカーを使用することを推奨される。彼らは、さらに、ACEインヒビターでの処置が通常考えられる、すなわち、心不全および/または左心室収縮機能不全のエビデンスを有する患者を、VALIANTにランダム化するよう推奨される。かかる高リスク患者の同定は、3つの関連する大規模臨床試験、AIRE、SAVEおよびTRACEにおいて使用される基準に厳密に基づいている。これら3つの試験と同様に、VALIANTは、第一次効力エンドポイントとしての原因を問わない死亡率についての長期試験である。活性−コントロールACEインヒビターは、SAVEにおいて評価された投与レジメンを用いるカプトプリルである。
3.3. 試験集団
3.3.1. 患者集団
患者集団は、急性心筋梗塞を維持し、そして症候の発生後12時間以上10日以内にランダム化された患者からなる。患者は、また、心不全および/または左心室収縮機能不全のエビデンスも有していなければならない。
総計14,500人の患者がこの試験に包含され、3つの処置群(treatment arm)はそれぞれ約4,833人の患者を有する(また、セクション6.2:サンプルサイズおよび検出力考察参照。)。
3.3.2. 登録基準および除外基準
登録基準(inclusion criteria)
下記の患者は、この試験の対象となり得る:
男性
妊娠の可能性がない女性。女性は、有効な避妊法(ホルモン系避妊薬または子宮内器具または殺***剤でのバリア)を用いているか、子宮摘出後であるか、または卵管結紮もしくは閉経後少なくとも1年経過していない限り、妊娠の可能性があるとみなされる。
18歳もしくはそれ以上。
急性心筋梗塞(下記の定義を参照)を維持し、症候の発生後12時間以上10日以内である者。
心不全および/または左心室収縮機能不全(下記の定義を参照)のエビデンスの臨床的または放射線学的徴候を有する者。
定義
急性心筋梗塞:
急性心筋梗塞の基準を満たすために:
すべての患者は、心筋酵素の血漿濃度の増加を有していなければならない。下記のうちのどちらかが心筋酵素の増加についての要件を満たす:
正常範囲の上限の少なくとも2倍の総クレアチンキナーゼ(CK)、または
正常範囲の上限を超え、そして総CKの少なくとも5%のCK−MB。
注:総CKまたはCK−MB値が入手できない場合には、下記のものが急性心筋梗塞についての基準の充足するものとして認められる:
正常範囲の上限の少なくとも3倍のトロポニンT、
正常範囲の上限の少なくとも3倍のトロポニンI。
他の心筋酵素は適当とはみなされない。
すべての患者は、また、典型的な臨床所見および/または典型的な心電図(ECG)変化も有していなければならない。典型的なECG変化としては、2もしくはそれ以上の近接ECG導出におけるST−セグメント上昇またはT波変化、2もしくはそれ以上の近接ECG導出における新規病理学的Q/QS波の発生、あるいは新規左脚ブロックの発生が挙げられる。
心不全:
心不全は次の基準の少なくとも1つにより定義される:
左心室不全の放射線学的エビデンス。これは、間質性浮腫または肺胞水腫を有する肺静脈のうっ血として定義され、そして少なくとも1つの胸部X線写真により裏付けられなければならない。
左心室不全の臨床エビデンス。これは、肺水腫(肺疾患のない肺領域の少なくとも3分の1に広がる、咳後の両側性ラ音)または持続性頻脈を伴うIII心音(a third heart sound)の存在として定義される。
急性心筋梗塞と見なした後の心不全の臨床的または放射線学的エビデンスは一過性であり得、そして必ずしもランダム化の時点で存在する必要はない。
左心室収縮機能不全
下記のうちの少なくとも1つが、左心室収縮機能不全の十分な証拠と認定される:
心エコー検査:左心室駆出分画率(LVEF)≦35%、または壁運動指数≦1.2。
放射線核種心室造影:LVEF≦40%。
心室コントラスト血管造影(ventricular contrast angiography):LVEF≦35%。
これらの検査のうちこの試験に必須のものはないが、標準的ケアの一部として行なわれ得る。コアラボラトリーによる集中測定(central measurement)は、この試験には必要ない。
除外基準(exclusion criteria)
ランダム化の時点で、下記のものが存在してはならない。
インフォームドコンセントの提供の失敗
心臓性ショック(ランダム化の前の24時間以内に)
収縮期血圧<100mmHg
血清クレアチニン>221μmol/L(2.5mg/dL)(心筋梗塞と認定された後でありかつランダム化の前に得られた最近の値)
両側性腎動脈狭窄であることが知られているかまたは疑われること
先の1ヶ月以内の卒中または一過性虚血性発作
潜在的致死性難治性心室性不整脈
難治性の狭心症(Refractory angina)
ランダム化後15日以内に予定されている心臓手術
ACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカーに対する不耐性または禁忌が知られていること
臨床的に有意な右心室適格心筋梗塞
今後3ヶ月以内に手術を必要としそうな既存の心臓弁膜症
閉塞性心筋症
平均余命を大幅に制限する深刻な非心血管疾患
妊婦もしくは授乳婦
過去の主要臓器(例えば、肺、肝臓、心臓、腎臓)移植または移植待機リストへの登録
低い処置遵守につながりそうな他の条件/状況、例えば、低コンプライアンスの前歴、アルコールまたは薬物依存状態、精神病および住所不定
別の臨床試験に現在参加し、そこで患者が現在治験薬を服用していること。もはや治験薬を服用していないが別の臨床試験の追跡期間にある患者、またはその適応症で既に登録されている薬物での臨床試験に参加している患者は、地方条例(local reguration)に従って、そしてノバルティス(Novartis)からの事前許可が得られたならば、登録と見なされ得る。
非被覆またはヘパリン被覆ステント以外の治験中の医療機器での別の臨床試験に現在参加していること。
注:ランダム化の前のACEインヒビターまたはアンギオテンシンIIブロッカーでの処置は除外とはならない。ただし、この処置は、ランダム化の遅くとも12時間前には中止されているものとする。
アメンドメント2における心臓病マーカーの基準の変更
急性心筋梗塞についての基準を満たすために:
すべての患者は、心筋酵素の血漿濃度の増加を有していなければならない。下記のものはいずれも心筋酵素上昇のための条件を満たす:
総クレアチンキナーゼ(CK)およびCK−MBの両方が入手可能である場合、総CKは正常範囲の上限の少なくとも2倍でなければならず、そしてCK−MBは正常範囲の上限以上であり、かつ、総CKの少なくとも5%でなければならない。
総クレアチンキナーゼ(CK)のみが入手可能である場合、総CKは正常範囲の上限の少なくとも2倍でなければならない。
CK−MBのみが入手可能である場合、CK−MBは正常範囲の上限の少なくとも2倍でなければならない。
総CKもCK−MBも入手できない場合、下記のマーカーが急性心筋梗塞の基準を充足するものとして認められる:
正常範囲の上限の少なくとも3倍のトロポニンT
正常範囲の上限の少なくとも3倍のトロポニンI。
他の心筋酵素は、適当とは見なされない。
すべての患者は、また、典型的な臨床所見および/または典型的なECG変化も有していなければならない。典型的なECG変化としては、2もしくはそれ以上の近接ECG導出におけるST−セグメント上昇またはT波変化、2もしくはそれ以上の近接ECG導出における新規病理学的Q/QS波の発生、あるいは新規左脚ブロックの発生が挙げられる。
アメンドメント3における心臓病マーカー基準の変更
急性心筋梗塞についての基準を満たすために:
すべての患者は、心臓壊死の適当なマーカーの血漿濃度の上昇を有していなければならない。下記のものはいずれも、心臓病マーカー上昇の条件を満たす:
総CKおよびCK−MBの両方が正常範囲の上限を超え(>ULN)、そして総CKまたはCK−MBのいずれかが正常範囲の上限の少なくとも2倍である場合
総CKが入手できないときにCK−MBが正常範囲の上限の少なくとも2倍(2×ULN)に上昇している場合、あるいは正常範囲の上限の少なくとも3倍(3×ULN)のトロポニンTまたはIの濃度を伴うことにより確認されるならば正常範囲の上限を超えて上昇している場合
総CK−MBが入手できないときに総CKが正常範囲の上限の少なくとも2倍(2×ULN)に上昇している場合、あるいは正常範囲の上限の少なくとも3倍(3×ULN)のトロポニンTまたはIの濃度を伴うことにより確認されるならば正常範囲の上限を超えて上昇している場合
トロポニンTまたはIの濃度が正常範囲の上限の少なくとも5倍(5×ULN)であり、そして総CKもCK−MBも入手できない場合
したがって、下記の表において要約された8組の値のいずれかを有する患者は、この試験の心臓病マーカーについての基準を満たす:
Figure 2004339218
他の心臓病マーカーは適当とは見なされない。
すべての患者は、また、典型的な臨床所見および/または典型的なECG変化も有していなければならない。典型的なECG変化としては、2もしくはそれ以上の近接ECG導出におけるST−セグメント上昇またはT波変化、2もしくはそれ以上の近接ECG導出における新規病理学的Q/QS波の発生、あるいは新規左脚ブロックの発生が挙げられる。
Figure 2004339218
3.3.3. 処置の中断または中止
患者が試験に残り、そして試験期間に試験薬物療法に残ることを確実にするために、あらゆる努力をしなければならない。ランダム化された個々の患者は、試験薬物療法の最初の用量が服用するかどうか、または試験薬物療法を一時的に中断もしくは永続的に中止するかどうかについて、試験の終了まで従わなければならない。患者識別番号が自動ランダム化システム、Q−toneにより割り当てられたときに、患者はランダム化されたと見なされる(セクション3.4.2:処置割り付け参照)。
試験薬物療法または患者の診察のいずれかが中止された場合、中止の理由(複数も可)は、症例記録書(Case Report Form, CRF)に集められ、そして記録される。
試験薬物療法の一時的な中断
試験薬物療法の一時的な中断が、時折、必要とされ得る。一時的な中断が起きた場合、コーディネイティング・センター・メディカル・ホットライン(Coordinating Center Medical Hot Line)に知らせ、そして試験薬物療法をできるだけ早期に再開しなければならない。試験期間を通して、試験薬物療法を再開するためのあらゆる試みを行なうべきである。試験薬物療法の再開は制限時間の対象ではなく、そして薬物療法を再開するための試みの数は制限されていない。
試験薬物療法が再開された場合、最小用量で始める必要はない。試験薬物療法は前に投与されていた用量で、または患者の臨床状態に依存して治験責任医師の判断によりいずれかのタイトレーションステップで、再開され得る。
試験薬物療法を一時的に中断した患者は、訪問スケジュールに従うことを継続すべきであり、そしてエンドポイントの発生について評価されるべきである。
試験薬物療法は、妊娠、懐胎(gestation)および授乳期間により中断されなければならない。
試験薬物療法の永続的な中止
試験薬物療法の永続的な中止は、下記の条件の1つが存在する場合にのみ考慮され得る:
同意を取り下げることが自分にとって最大の利益であると患者が判断する場合
堅実な臨床的理由のために、およびコーディネイティング・センター・メディカル・ホットラインとの議論の後に、治験責任医師(investigator)が望ましいと考える場合
試験薬物療法に関係すると疑われるかまたは患者の試験薬物療法の継続を妨げる、耐え難い有害事象が起きた場合
試験薬物療法に関係すると疑われる、生命を危うくする有害事象または検査所見の異常が起きた場合。
患者の試験薬物療法は盲検ではない。
可能な限り、患者は、コーディネイティング・センターとの事前の協議なしで試験薬物療法を永続的に中止されることはない。処置の選択について議論し、そして永続的な中止が決定した場合は、代替治療を開始すべきである。
試験薬物療法を永続的に中止した患者は、訪問スケジュールを継続し、そしてエンドポイントの発生について評価されるべきである。すべての手順を、試験薬物療法の復帰および投薬の資料以外について記載したように完了すべきである。これらの患者は、この試験が終わるまで、実行委員会(Executive Committee)の許可なしにその後のいかなる研究薬または医療機器の試験にも登録し得ない。
患者が同意を取り下げた場合、たいていの国における公記録の問題として、少なくとも生命状態を試験終了まで追跡する。
試験の中止
あらゆる接触の手段を尽くしても患者を追跡できなかった場合にのみ、その患者を中止と見なす。
患者をまったく追跡できない場合、最後の訪問または接触の際の患者の状態を最終分析として使用する。
3.4. 処置
3.4.1. 研究治療および参照治療
記載
Novartisがすべての試験薬物を提供する。
バルサルタン(研究治療)は、20mg、40mg、80mgおよび160mgカプセルの形態で供給される。適合プラセボカプセル(matching placebo capsule)が、盲検的用法を維持するために提供される。
試験薬物療法の最初の振り分け以外のすべてについて、カプトプリル(参照治療)は、6.25mg、12.5mg、25mgおよび50mg錠の形態で供給される。該カプトプリル6.25mg錠は、Azupharma Gmb H & Co.(ドイツ)からの市販用12.5mg錠剤に基づいてNovartisにより製造される。カプトプリル 12.5、25、および50mg錠は、Azupharmaから商品として入手される。Novartisにより製造された適合プラセボカプセルは、盲検的用法を維持するために供給される。
試験の開始時に、カプトプリルは、盲検法を維持するために、適合プラセボカプセルとともに、6.25mg、12.5mg、25mg、および50mgカプセルの形態で供給される。Novartisにより製造されたこれらのカプセルは、粉砕されそしてバルサルタンカプセルと適合するように封入されたAzupharmaカプトプリル錠を含有する。しかしながら、これらのカプセルは、製造後1年の貯蔵寿命しかを有さない。この1年という貯蔵寿命は、VALIANTの規模および期間の試験を行なうのに実用的ではない。したがって、最初の供給・分配(約1000人の患者)以外について提供されたカプトプリルは、Azupharmaの市販錠剤からなる。インビトロでの溶解試験を行ったところ、カプトプリルカプセルと錠剤で、同等の結果が示された。
注:試験薬供給の議論の残りにおいて、供給の記載はバルサルタンカプセルおよびカプトプリル錠を含む。最初の供給が錠剤の代わりにカプトプリルカプセルを含む場合を示すためにアスタリスクが使用される。
パッケージング
試験薬物は、ブリスターにパッケージングされる。個々のブリスターは、21カプセルのバルサルタンおよび21錠(カプセル)のカプトプリルを含み、これは7日間の処置に十分である。個々のブリスターには、7つの番号付けされた列および3つの行のポケット(pocket)が存在する。列には、週の7日に対応する1〜7までの数字が付けられる。列には、朝、昼および夕の投与に対応する標識が付けられる。
ブリスターは色分けされたラベルで標識され、1色が4つのタイトレーションステップの1つに対応する。
下表において示されるような、2種類の試験薬物療法パック:タイトレーションパックおよび4ヶ月処置パックが提供される。
表3.4.1−1. 試験薬物療法パック
Figure 2004339218
ラベリング
試験薬物のラベルは、個々の国の法的必要条件に従い、その国の言語で印刷され、そして貯蔵条件を含んでいる。
タイトレーションおよび4ヶ月処置パックは2区画ラベルを含有する。1つの区画は該パックに添付されたままであり、そして第2の区画は文書化のためのCRFに添付された切り取り部分である。ラベルの両区画は、研究センターが患者同定情報に書き込むためのスペースを含む。4ヶ月処置パックに含まれる1ヶ月処置パックは、切り取り部分のない永続的に固定されたラベルを有する。
試験処置の投与
試験薬物の個々の投与は、1つのバルサルタンまたはプラセボカプセルおよび1つのカプトプリルまたはプラセボ錠(カプセル)からなる。試験薬物は、水で嚥下される。朝、昼、および夕に投与される。患者は、毎日ほぼ同時刻に、好ましくは食事の1時間前に服用するように指示されるべきである。投与スキームは、以下の4つの表で表される。
Figure 2004339218
Figure 2004339218
Figure 2004339218
Figure 2004339218
タイトレーション基準
試験薬物療法は、ランダム化後できるだけ早期に、タイトレーションステップIにて開始される。
処置は、1日のうちの任意の時間に開始され得る(朝、昼または夕の投与)。
タイトレーションは、また、1日のうちの任意の時間に行なわれ得る(朝、昼または夕の投与)。ただし、タイトレーション基準が満たされるものとする。
注:試験への参加のための評価時にカプトプリル25mgを1日3回(または同等の用量の別のACEインヒビターもしくはARB)服用し、そして臨床的に安定な患者について、試験薬物療法はステップIの代わりにステップIIで開始され得る。先のACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカー治療を、ランダム化の少なくとも12時間前に中止しなければならない。この早められたタイトレーションスケジュールを用いる場合、ステップIIおよびステップIIIの最初の投与は、昼の投与であってはならない。
試験薬物のタイトレーションの基準は:
急性心筋梗塞の発症から72時間以内の場合に持続性の収縮期血圧≧100mmHg、または急性心筋梗塞の発症から72時間以後の場合に>90mmHg(同じ姿勢、背臥位、座位、または立位で繰り返し測定しなければならない。)、
低血圧、例えば、失神(syncope)、起立性のめまい(orthostatic dizziness)、失神型めまい(faintness)、頭のふらつき(lightheadedness)の徴候がないこと、
血清クレアチニン≦265μmol/L(3.0mg/dL)でなければならず、そしてベースライン(訪問1の値)から88.4μmol/L(1.0mg/dL)以上増加していてはならない。血清クレアチニンが221μmol/L(2.5mg/dL)以上に上昇した場合には、ステップIIIを越えるべきではない。
血清クレアチニンのCRFにおける測定および記録は、ステップII、III、およびIVへの試験薬物の最初のタイトレーションの前にのみ必要とされる。それ以外は、この測定は、その国の治療法ガイドライン(local practice guideline)にしたがって治験責任医師の判断に任せられる。
用量タイトレーションステップの達成の推奨
患者が試験薬物の用量の増加の前に試験薬物のタイトレーション基準を満たす限り、個々のタイトレーションステップでの処置期間は、患者の状態に基づいて治験責任医師の判断に委ねられる。しかしながら、ステップIIへのタイトレーションを、ランダム化の翌日(第2日)より早くに試みるべきではない。さらに、同じ日には1のみのタイトレーションを試みるべきである。
注:試験への参加のための評価時にカプトプリル25mg1日3回(または同等の用量の別のACEインヒビターもしくはアンギオテンシンレセプターブロッカー)を服用し、臨床的に安定し、そして試験薬物療法をステップIの代わりにステップIIで開始した患者のために、治験責任医師は、タイトレーションのための基準が満たされる限り、ランダム化の翌日まで待つ代わりに12時間の観察期間の後にステップIIIに進行する選択を有する。
可能な限り、治験責任医師は退院(たいていの患者にとって訪問2)の前に少なくともタイトレーションステップIIIまで試験薬物の用量のタイトレーションを企図すべきである。これが可能でない場合には、少なくともタイトレーションステップIIを達成するためにあらゆる努力をすべきである。ステップIIが許容されないかまたはタイトレーション基準を満たさないために投与できない場合には、タイトレーションステップIで患者を退院させることのみが許容される。
患者がタイトレーションステップIに耐えられない場合、試験全体にわたってこのタイトレーションステップの再試験を継続すべきである。患者が試験期間中処置を受けることを確実するために、あらゆる努力をすべきである。
患者が現在ステップIVにあるかまたは試験薬物療法を永続的に中止していない限り、タイトレーションを、すべての評価時に考慮すべきである。すべての患者がステップIVに到達するわけではないが、3ヶ月評価(訪問4)時までにステップIVを少なくとも試すということは、すべての患者に当てはまる。
試験中の任意の時点で、患者が特定の用量に耐えられない場合、例えば症候性低血圧または腎機能障害の場合、または付随する病状もしくは手術のために試験薬物療法が継続できない場合、漸減または一時的な中断が許される(またセクション3.3.3:処置の中止または中断参照)。
試験薬物療法の継続
試験薬物療法は、試験の完了後または早期終了後には提供されない。
3.4.2. 処置の割り付け
インフォームドコンセントを与えそして他のすべての登録および除外基準を満たす患者を、1:1:1の比率で3つの処置群のうちの1つにランダムに振り分ける。
処置群への患者の振り分けは、24時間対話式音声作動応答テレフォンコールインシステム(Q−tone)を用いて中央で行なわれる。ランダム化の情報を得ることを認められた個人に、サイト識別番号(ユーザー識別)および固有の暗証番号を割り付ける。そのサイトでQ−toneに電話し、サイトおよび暗証番号を入力し、患者のランダム化を要求し、そして患者の適格性を確認した後に、Q−toneシステムは患者に3桁の患者番号を割り付け、そして投薬されるべき最初の薬物キットを特定する。4桁のサイト識別番号および3桁の患者番号の組合せにより、試験期間の間、患者は一意的に特定される。
患者に3桁の識別番号を割り付けたときに、患者はランダム化されたと見なされる。
薬物コード番号により同定される試験薬物処置パックの備蓄を、そのサイトで維持する。そのサイトでQ−toneに電話し、患者に投薬するための適当な処置パックのための薬物コード番号を得る。
3.4.3. 盲検化
盲検性は、適合カプセル中のバルサルタンおよびプラセボ、ならびに適合錠剤(カプセル)中のカプトプリルおよびプラセボを供給することにより、ダブルダミー様式で維持される。個々の投薬において、患者は1カプセルのバルサルタンまたはプラセボおよび1錠(カプセル)のカプトプリルまたはプラセボを服用する。
ランダム化は、処置群をランダム化された番号(randomization number)に自動的に割り当てる有効なシステムを用いて、ノバルティス・ドラッグ・サプライ・マネージメント(Novartis Drug Supply Management)により行われる。ランダム化のスキームは、ノバルティス・メディカル・インフォメーション・プロセシング・アンド・スタティスティクス・デパートメント(Novartis Medical Information Processing and Statistics Department)のクオリティー・マネージメント・バイオスタティスティクス・グループ(Quality Management Biostatistics Group)により検査され、そして承認後に彼らによりロックされる。
Q−toneシステムの内部で、ランダム化された番号は、患者の識別番号を処置パック上の正確な薬物コード番号と関連付けるために使用される。
ランダム化のデータは、非盲検化のときまで極秘にされ、権限を有する者のみが利用できる。治験の結論時に、あらゆる緊急の暗号解読の発生を、ノバルティス(Novartis)へのすべての暗号解読報告および未使用医薬の返却後に測定する。試験が終了した時にはじめて、データファイルを確認し、薬物コードを解読するプロトコール違反を測定し、そしてデータ解析のために利用可能となる。
中間解析の時点で、解析に含まれる患者のための処置割り付けは、独立した統計センターの独立した統計学者に移される。データは半盲検的方法でDSMBに渡される(処置A、B、およびC)。非盲検化がDSMBにより必要と思われる場合には、DSMBの統計学者は非盲検化のための処置解読スキームの密閉されたコピーを入手する。このような場合において、DSMBによる非盲検化は議事録に文書化される。DSMBの議事録は、治験が終了しそしてデータが解析された後でのみ入手可能となる。
緊急の場合における個々の患者の非盲検化のための緊急手順の詳細については、セクション9.1.2を参照せよ。
3.4.4. 付随的治療
試験中の任意の時点で、下記の薬物の使用を避けるためのあらゆる努力をしなければならない:
試験薬物療法以外のACEインヒビター
試験薬物療法以外のアンギオテンシンレセプターブロッカー。
例外的な状況において、治験責任医師は、試験薬物療法の代わりにオープンラベルACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカー治療を用いる必要があると感じるかもしれない。かかる行動方針は、極めてまれな場合にのみ必要とされるべきであり、一般に、しない方がよい。オープンラベルACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカーでのいかなる処置を開始する前にも、状況について該試験のコーディネイティング・センター・メディカル・ホットラインのスタッフと議論しなければならない。オープンラベル治療の同意された期間は、必要な時間の最小限に維持されなければならず、そして試験薬での処置をその後できるだけ早期に設定すべきである。
試験参加前にACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカーを服用している患者はランダム化に適格であるが、ただし、最後の投与が、試験薬物療法を受ける少なくとも12時間前に服用されることを条件とする。
使用が承認されている他のすべての薬物が許容される。治験責任医師は、ACEインヒビターおよびアンギオテンシンレセプターブロッカーと組み合わせた医薬の投与について、その国のガイドラインに従うべきである。
患者は、店頭販売(over-the-counter)のものを含めてすべての併用薬を治験責任医師に知らせるように指示されなければならない。この情報は、患者のカルテ(ソースドキュメント)に記録されなければならない。心血管薬、抗血栓薬および抗糖尿病薬、脂質調節剤(lipid-modulating agent)、ホルモン補充療法、避妊剤、および非ステロイド性抗炎症薬はCRFに薬物のクラスごとに記録される。オープンラベルのACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカーが必要と考えられる非常に稀な状況において、開始/終了日が必要とされる。そうでなければ、投与の理由、用量および開始/終了日は記録されない。
3.4.5. 処置のコンプライアンス
投薬および返却された試験薬物、投与された用量、訪問の間隔の記録は、試験の間、サイトにより保持される。薬物の信頼性(drug accountability)は、サイト訪問の間治験監視員(field monitor)によりチェックされ、そして治験の終了時に試験薬物記録の再調査により、およびCRFに添付された試験薬ラベルの切り取り部分をチェックすることによりチェックされる。
3.5. 訪問スケジュールおよび評価
3.5.1. 訪問スケジュール
ランダム化の日を第1日(Day 1)と見なす。
患者は、心筋梗塞の日(徴候の発症から少なくとも12時間後でなければならない。)にまたは徴候の発生から10日まで(10日を含む)の任意の日にランダム化される。
Figure 2004339218
(1)試験期間が、この表における例として示された4年を超えるまたは4年未満である場合、訪問15スケジュールを、試験が完了するかまたは必要により削除されるまで、4ヶ月ごとに繰り返し得る。最後の試験訪問の際に、訪問16で示されるスケジュールに従う。
(2)第15日の訪問または退院の、早いほうのいずれか。
(3)(患者の標準的臨床評価およびケアの一部としてのランダム化の前に行なわれる)1またはそれ以上の試験が、患者に試験のための資格を与えるために必要とされる。
(4)試験の終了または処置の中途中止の際。
(5)クオリティーオブライフの質問事項は、一部の患者のみに必要とされる。
治験責任医師の判断時。最初のタイトレーション〜ステップII、III、またはIVの前のみに必要とされる。患者の標準的臨床評価およびケアの一部として行なわれる研究結果は、可能性のある試験エンドポイントおよび有害事象を評価するために使用されるべきである。
訪問手順
試験は2相、1)試験薬物療法開始およびタイトレーション相、ならびに2)維持相からなる。これら2相の期間は、患者の状態および試験薬物療法に対する応答に依存する。
ランダム化および試験薬物療法の開始は、第1日の訪問1に行なわれる。たいていの患者にとって、この訪問は病院内で行なわれる。
用量タイトレーションおよび維持は、訪問2〜16に行なわれる。
訪問2は第15日または退院の、いずれか早いほうに行なわれる。ランダム化の時点で入院していない患者については、訪問2は第15日に行われる。
訪問3〜16は外来患者の訪問としてプランされたものであるが、患者の状態に応じて、病院内で行なわれてもよい。それらは特定された時点で行なわれるべきであるが、ある程度の柔軟性は許容される。最初の1年間、訪問はプロトコールで定められた日の15日前または後までに行なわれ得る。その後、訪問はプロトコールで計画された訪問の20日前または後までに行なわれ得る。
注:1ヶ月は暦の月、例えば、7月15日から8月15日までである。
第2および第3の3ヶ月(trimester)の間の妊娠において使用された場合、レニン−アンギオテンシン系に直接的に作用する薬物は成長中の胎児に損傷および死さえ引き起こし得る。許容されるバース・コントロール法(登録基準参照)を用い、かつ外科的不妊でない閉経前の女性を、妊婦を除外するために、試験期間中定期的にチェックすべきである。妊娠が検出された場合、試験薬物療法を中止し、コーディネイティング・センターに直ちに知らせるべきである。
訪問1(第1日、ランダム化および試験薬物療法の開始)
ランダム化前
試験登録および除外基準に従って患者の病歴および現在の状態を評価せよ。
患者がランダム化に適格である場合:
書面でのインフォームドコンセントを取得せよ。
個体群統計データ(demographic data)、病歴および薬物クラスごとの併用薬(心血管薬、抗血栓薬および抗糖尿病薬、脂質調節剤、ホルモン補充療法、避妊剤/用具、抗うつ薬および非ステロイド性抗炎症薬)を記録せよ。
ランダム化前の最高のKillip分類を記録せよ。
心拍数、血圧およびNYHA機能的分類を記録せよ。
ベースライン血清クレアチニン測定を記録せよ(地域の研究室)。
患者をランダム化せよ。
ランダム化
24時間テレフォンコールインシステム(Q−tone)を介して患者をランダム化せよ。CRFにサイト番号、患者番号およびランダム化の日および時間を記録せよ。この日を第1日と見なし、その後の訪問をプラニングするための基準である。
ランダム化は、できるだけ早くではあるが、心筋梗塞の徴候の発症後12時間以後10日経過以前に行なわれるべきである。
ランダム化後
試験薬物の最初の用量は、ランダム化後できるだけ早期に患者に与えられるべきである。いかなる理由であれ、試験薬物に対する一時的な禁忌が予期される場合、ランダム化はしかるべく延期されるべきである。
タイトレーションステップIの最初の用量を投与し、患者を精密にモニターせよ。第2日の朝まではタイトレーションステップIIへと試験薬物量をタイトレーションしてはいけない。
インフォームドコンセント後に起こり、そして試験薬物の投与に関係すると疑われるあらゆる重篤な有害事象について、「重篤な有害事象」のCRFを完成せよ(有害事象の深刻さの評価において使用される定義のため、および試験薬物に対する有害事象の関係を測定するために、セクション3.5.3:安全性評価を参照)。
訪問2(ランダム化の15日後または退院の、早いほうのいずれか)
心拍数、血圧およびNYHA機能的分類を記録せよ。
開始第2日から、セクション3.4.1:研究治療および参照治療において記載されたタイトレーションスケジュールを継続せよ。タイトレーションは、1日のうちの任意の時間(朝、昼または夕の投与)に行われ得る。最終訪問以降の個々のタイトレーションステップを記録せよ。
血清クレアチニンを記録せよ(ステップII、IIIおよびIVへの最初のタイトレーションのためにのみ必要とされる)。
ランダム化以降に起きた有害事象について:
試験薬物の投与に関係すると疑われるあらゆる重篤な有害事象について、「重篤な有害事象」のCRFを完成せよ(有害事象の深刻さの評価において使用される定義のため、および試験薬物に対する有害事象の関係を測定するために、セクション3.5.3:安全性評価を参照)。
CRFおよび/またはエンドポイント文書に、試験薬物療法に関係するとは疑われていない深刻な事象を記録せよ。
予め定義したあらゆる安全性および耐容性パラメーターの発生をCRFに記録せよ(セクション3.5.3:安全性評価参照)。
患者試験表(ソースドキュメント)にあらゆる非重篤有害事象を記録せよ。
ランダム化以後の潜在的効力および安全性エンドポイントを評価および記録せよ。
返却された試験薬物を計数し、試験投薬記録を完成せよ。
新たな試験薬物を投薬し、試験投薬記録を完成せよ。
併用薬のクラスを記録せよ。
クオリティーオブライフの質問事項を患者に完成させよ(一部の患者のクオリティーオブライフのみが必要とされる)。
医薬品の経済性評価を完成せよ。
訪問3(ランダム化の30日後)
心拍数、血圧およびNYHA機能的分類を記録せよ。
セクション3.4.1:研究治療および参照治療において記載されたタイトレーションスケジュールを継続せよ。タイトレーションは、1日のうちの任意の時間(朝、昼、または夕の投与)に行われ得る。最終訪問以降の個々のタイトレーションステップを記録せよ。
血清クレアチニンを記録せよ(ステップII、IIIおよびIVへの最初のタイトレーションのためにのみ必要とされる)。
最終訪問以降に起きた有害事象について:
試験薬物の投与に関係すると疑われるあらゆる重篤な有害事象について、「重篤な有害事象」のCRFを完成せよ(有害事象の深刻さの評価において使用される定義のため、および試験薬物に対する有害事象の関係を測定するために、セクション3.5.3:安全性評価を参照)。
CRFおよび/またはエンドポイント文書に、試験薬物療法に関係するとは疑われていない深刻な事象を記録せよ。
予め定義したあらゆる安全性および耐容性パラメーターの発生をCRFに記録せよ(セクション3.5.3:安全性評価参照)。
患者試験表(ソースドキュメント)にあらゆる非重篤有害事象を記録せよ。
最終訪問以降の潜在的効力および安全性エンドポイントを評価および記録せよ。
返却された試験薬物を計数し、試験投薬記録を完成せよ。
新たな試験薬物を投薬し、試験投薬記録を完成せよ。
併用薬のクラスを記録せよ。
医薬品の経済性評価を完成せよ。
訪問4〜15(訪問4、5、6、および7は、ランダム化の3、6、9、および12ヵ月後に行なわれる。その後の訪問は、試験の完了まで4ヶ月ごとに行なわれる。)
心拍数、血圧およびNYHA機能的分類を記録せよ。
セクション3.4.1:研究治療および参照治療において記載されたタイトレーションスケジュールを継続せよ。タイトレーションは、1日のうちの任意の時間(朝、昼、または夕の投与)に行われ得る。最終訪問以降の個々のタイトレーションステップを記録せよ。
血清クレアチニンを記録せよ(ステップII、IIIおよびIVへの最初のタイトレーションのためにのみ必要とされる)。
最終訪問以降に起きた有害事象について:
試験薬物の投与に関係すると疑われるあらゆる重篤な有害事象について、「重篤な有害事象」のCRFを完成せよ(有害事象の深刻さの評価において使用される定義のため、および試験薬物に対する有害事象の関係を測定するために、セクション3.5.3:安全性評価を参照)。
CRFおよび/またはエンドポイント文書に、試験薬物療法に関係するとは疑われていない深刻な事象を記録せよ。
予め定義したあらゆる安全性および耐容性パラメーターの発生をCRFに記録せよ(セクション3.5.3:安全性評価参照)。
患者試験表(ソースドキュメント)にあらゆる非重篤有害事象を記録せよ。
最終訪問以降の潜在的効力および安全性エンドポイントを評価および記録せよ。
返却された試験薬物を計数し、試験投薬記録を完成せよ。
新たな試験薬物を投薬し、試験投薬記録を完成せよ。
併用薬のクラスを記録せよ。
訪問5、7、9、10およびその後1年ごとにクオリティーオブライフの質問事項を患者に完成させよ(一部の患者のクオリティーオブライフについてのみ必要とされる)。
医薬品の経済性評価を完成せよ。
訪問16(最終訪問、第48月または試験終了時)
心拍数、血圧およびNYHA機能的分類を記録せよ。
血清クレアチニンを記録せよ。
最終訪問以降に起きた有害事象について:
試験薬物の投与に関係すると疑われるあらゆる重篤な有害事象について、「重篤な有害事象」のCRFを完成せよ(有害事象の深刻さの評価において使用される定義のため、および試験薬物に対する有害事象の関係を測定するために、セクション3.5.3:安全性評価を参照)。
CRFおよび/またはエンドポイント文書に、試験薬物療法に関係するとは疑われていない深刻な事象を記録せよ。
予め定義したあらゆる安全性および耐容性パラメーターの発生をCRFに記録せよ(セクション3.5.3:安全性評価参照)。
患者試験表(ソースドキュメント)にあらゆる非重篤有害事象を記録せよ。
最終訪問以降の潜在的効力および安全性エンドポイントを評価および記録せよ。
返却された試験薬物を計数し、試験投薬記録を完成せよ。
患者にさらなる試験薬物を投薬しない。
併用薬のクラスを記録せよ。
クオリティーオブライフの質問事項を患者に完成させよ(一部の患者のクオリティーオブライフについてのみ必要とされる)。
医薬品の経済性評価を完成せよ。
CRFの「試験完了表(Study Completion Sheet)」を完成せよ。
いかなる理由であれ、二重盲検試験薬物療法を永続的に中止した患者は、可能な限り、試験の終了までまたは死ぬまでプロトコール特異的訪問を完成しなければならない。かかる患者は、処置中止後の訪問時に試験薬物を投与されない。文書化された理由のために、患者が追跡訪問をできない場合には、電話による追跡が許可される。治験責任医師は、すべての患者においてできるだけ完全な追跡を得るように意図しなければならず、これには最低限でも、患者の生命状態が含まれる。
必要な数の第一次エンドポイントに達した場合、試験は終了する。これは、第48ヶ月の前または後に起こり得る。第48ヶ月の前に試験が終了する場合、訪問16について列挙された手順をすべての患者について完了させる。試験が第48ヶ月以降まで延長した場合、訪問16について列挙した手順が完了する時点で試験が終了するまで、訪問15について列挙された手順を4ヶ月ごとに完了させる。
3.5.2. 効力評価
潜在的第一次または第二次エンドポイントの発生の文書化がエンドポイント委員会(Endpoint Committee)への提出のために必要とされる。エンドポイント委員会は、死因、ならびに予め定義された定義およびこの試験のための手順に基づいて選択された二次エンドポイントを判定する。エンドポイント判定の方法、ならびに第一次および第二次エンドポイントのための定義および必要とされる文書がエンドポイントマニュアル(Endpoint Manual)に含まれる。
第一次効力パラメーター
第一次効力パラメーターは、原因を問わない死亡率(死亡までの時間)である。
第二次効力パラメーター
第二次効力パラメーターは次のとおりである:
原因を問わない(非計画的かつ選択的な)入院
原因を問わない死亡率および原因を問わない入院
心不全のための入院(入院中または医療施設での宿泊中に必要とされるかまたは起こる、強心薬、利尿薬または血管拡張薬での心不全の発症または悪化の非計画的静脈処置として定義される)
原因を問わない死亡率および心不全のための入院
心血管死亡率(突然死、あるいは再発性心筋梗塞、心不全、心血管処置(cardiovascular procedure)、卒中、または他の心血管の病因の再発に起因する死亡として定義される)
心血管死亡率および心不全についての入院
心血管死亡率、心不全についての入院、および非致死的心筋梗塞の再発
心血管死亡率、心不全についての入院、非致死的心筋梗塞の再発、および冠動脈血管再生術(非計画的かつ選択的な経皮的冠動脈血管形成術、ステント、他の経皮的冠動脈血管再生術、および冠動脈バイパス手術として定義される)
心血管罹病率(心不全のための入院、非致死的再発性心筋梗塞、不安定狭心症、蘇生可能な突然の心停止、卒中、一過性虚血性発作のための非計画的入院、他の心血管関連の非計画的入院として定義される)
原因を問わない死亡率および心血管罹病率
心血管死亡率および心血管罹病率
突然死および蘇生可能な突然の心停止
致死的および非致死的再発性心筋梗塞
冠動脈血管再生術
心血管処置(冠動脈血管再生術、うっ血性心不全、心臓移植、または他の血管処置のための心血管処置として定義される)
30日での原因を問わない死亡率
3.5.3. 安全性評価
安全性評価は、予め定義された安全性および耐容性エンドポイント(下記参照)、すべての重篤な有害事象、および生命徴候の定期的測定をモニタリングおよび記録することからなる。
患者の標準的評価およびケアの一部として行なわれるすべての安全性評価(例えば、身体検査または臨床検査)の結果は、患者試験表(ソースドキュメント)に保持されるべきである。
予め定義された安全性および耐容性パラメーター
下記の予め定義された安全性および耐容性エンドポイントは、カプトプリルおよび/またはバルサルタンの既知の副作用である。これらの有害事象の発生情報をすべての患者についてCRFに集め、そして記録する。
症候性低血圧
症候性低血圧は次のうちの1つとして定義される:症候(例えば、めまい、失神型めまい、発汗)を伴う低血圧(初回投与時の低血圧を含む)、あるいは用量の減量または試験薬物療法の一時的な中断もしくは永続的な中止をもたらす持続性低血圧。この症候は、治験責任医師が試験薬物療法を非盲検化することの理由とは見なされない。しかしながら、DSMBはこれらの事象の発生率を再検討し、そして必要と考えるならば非盲検化し得る。
腎機能障害
腎機能障害は次のうちの1つとして定義される:腎不全からの死亡、慢性的な透析もしくは腎移植を必要とする末期の腎疾患、または試験薬物療法の一時的な中断もしくは永続的な中止をもたらす血清クレアチニンの増加。この症候は、治験責任医師が試験薬物療法を非盲検することの理由とは見なされない。しかしながら、DSMBはこれらの事象の発生率を再検討し、そして必要と考えるならば非盲検化し得る。
空咳
空咳は、乾燥、持続的および時には発作的であることを特徴とする。アンギオテンシン系の阻害に関する場合、空咳は、通常、治療開始の1週間から6ヶ月後に発現する。それは、痰の生成を伴う咳、または同定できる原因、例えばウイルス性気管支炎もしくは肺うっ血を有する空咳ではない。この症候は、治験責任医師が試験薬物療法を非盲検することの理由とは見なされない。しかしながら、DSMBはこれらの事象の発生率を再検討し、そして必要と考えるならば非盲検化し得る。
血管浮腫
血管浮腫は、鼻、喉、口、声門、喉頭、***および/または舌における急速な腫脹により特徴付けられる。アンギオテンシン系の阻害に関係する場合、この稀な事象は、用量と明らかに無関係であり、そして通常、治療の第1週以内、通常最初の投与の最初の数時間に発現する。気道閉塞および呼吸窮迫症は死につながり得る。試験処置は、永続的に中止されなければならない。試験薬物療法の非盲検化は、治験責任医師により考慮され得る。DSMBはこれらの事象の発生率を再検討し、そして必要と考えるならば非盲検化し得る。
ACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカーを止めると、血管浮腫は、通常、数時間以内に消失する;その間に、患者の気道を保護し、そして必要ならば、エピネフリン、または抗ヒスタミン薬、および/またはコルチコステロイドを投与すべきである。
有害事象
下記の基準を満たす場合、有害事象をCRFまたは「重篤な有害事象(SAE)」フォームに記録する:
(セクション3.5.2において記載されたような)第一次および第二次効力パラメーター
前のセクションにおいて記載されたような予め特定された安全性および耐容性パラメーター(カプトプリルおよび/またはバルサルタンの既知の副作用)
重篤な有害事象(下記のセクションにおいて記載されたようなもの)。
他の非重篤有害事象はCRFに集められない。しかしながら、患者により自発的に提供されるか、治験責任医師の質問により発見されるか、または身体検査、研究所の試験もしくは他の手段を通して検出された、すべての有害事象についての情報は、患者の試験表(ソースドキュメント)に記録され、そして事象を追跡し、必要に応じて処置される。有害事象は、たとえ事象が処置に関係すると見なされない場合であっても、試験処置の開始後に起こった任意の望ましくない徴候、症候または病状である。試験処置開始前に存在する病状/疾患は、それらが試験処置開始後に悪化した場合にのみ有害事象と見なされる。異常な臨床検査値または試験結果は、それらが臨床的徴候または症候を誘発するかあるいは治療または治療の変更を必要とする場合にのみ有害事象を構成する。
重篤な有害事象(SAE)
重篤な有害事象は、一般に:
1. 致死的または生命を危うくし、
2. 入院を必要とするかまたは延長し、
3. 重大なまたは永続的な機能障害または機能不全であり、
4. 先天異常または出生異常を構成し、
5. 医学的に重大である(その対象を危険にさらし得、上に列挙した結果の1つを予防するために医学的または外科的インターベンションを必要とし得る)、
不適当な(望ましくない)事象として定義される。
重篤な有害事象と見なされない事象は、次の状況下で起こる入院である:臨床試験参加前から計画されていた場合;(上の深刻さの基準を満たさない限り)緊急、外来患者として起こり、そして収容(admission)されない場合;通常の処置または試験された適応症のモニタリングの一部であり、そして病状のいかなる悪化をも伴わない場合。
試験薬の投与と有害事象の発生との間の関係は、わずか2つのカテゴリー、すなわち治験責任医師により疑われるかまたは治験責任医師により疑われないか、のうちの1つに属するものとして記載される。
Figure 2004339218
患者の安全を保証するために、試験薬物療法に関係すると治験責任医師により疑われる個々の重篤な有害事象を、その発生の知得から24時間以内に試験コーディネイティング・センターに報告しなければならない。
試験薬物療法に関係すると治験責任医師により疑われない重篤な有害事象は、CRFおよび/またはエンドポイント文書でコーディネイティング・センターに報告される。試験コーディネイティング・センターへの重篤有害事象レポートフォーム(Serious Adverse Event Report Forms)の完成および返却に関する詳細な指示については、セクション9.1.1:重篤な有害事象の迅速な通知のための指示を参照。
研究所評価
血清クレアチニンは、訪問1の際、試験の終了時または試験薬物療法の永続的な中止の際、およびステップII、IIIおよびIVへの試験薬物の最初のタイトレーションの前に行われる。
血清クレアチニン以外、研究室での測定は必要とされない。研究室での測定は患者の通常のケアに必要な際には行われるべきであり、そして可能な場合には、その結果は患者試験表(ソースドキュメント)に含められるべきである。潜在的なエンドポイントの評価を可能にするために特定の臨床検査値(laboratory value)が必要な場合には、その値はエンドポイント委員会への提出のための患者試験記録に含められるべきである。
それぞれの参加センターは、研究所での評価のために、その地域の研究室を使用する。集中検査(central laboratory)は使用されない。その地域の研究室の正常範囲は、特定のセンターの患者のための参考として役に立つ。試験期間中に患者が不参加センターに入院した場合、そのセンターでの検査値およびその病院の正常範囲はその入院について考慮される。
生命徴候
ランダム化前の最高のKillip分類を、訪問1の際に記録する。
心拍数および血圧をそれぞれの訪問時に測定する。あらゆるタイトレーションの前に、血圧を測定し(セクション3.4.1:研究治療および参照治療を参照。)、そして処置の耐容性をモニターしなければならない。
ニューヨーク心臓協会(NYHA)の機能的分類をそれぞれの訪問時に記録する。
特別試験
心筋酵素、ならびに12導出ECG、胸部X線、心エコー図、放射性核種脳質造影(radionuclide ventriculogram)、または心室コントラスト血管造影の結果が、試験への患者の適格性を確認するために必要とされ得る。患者の標準的臨床評価およびケアの一部として必要とされる場合に行われるこれらの試験の結果は、患者試験表(ソースドキュメント)に含められるべきである。潜在的エンドポイントの評価を可能にするために特定の試験結果が必要とされる場合、その値はエンドポイント委員会に提出するための患者の試験記録に含められるべきである。
3.5.4. 薬物濃度および薬動力学的評価
薬物濃度または薬動力学的評価は計画されていない。
3.5.5. 資源活用およびクオリティーオブライフ評価
試験中に追跡されるべき資源活用パラメーターには:
入院患者の入院(in-patient hospitalization)
医療機関への外来患者の訪問
外来患者の心血管処置
が含まれる。
クオリティーオブライフの評価には、EuroQol(C)機器(21〜23)を利用する。この2区画の機器は、6項目の機能状態評価およびサーモメータービジュアルアナログスケール(thermometer visual analogue scale)からなる。EuroQol(C)は、患者により自己投与される。クオリティーオブライフ評価は、ランダム化された患者の一部において行われる。
4. プロトコールアメンドメント、試験実施(study conduct)における他の変更
4.1. プロトコールアメンドメント
プロトコールの変更(些細な管理上の変更を除く)は、アメンドメントの形態で行われる。中間的試験データの再検討に基づいて、DSMBは、当局にプロトコールのアメンドメントを勧めさせる。実行委員会(Executive Committee)は、すべてのプロトコールアメンドメントを再検討および承認する。実行の前に、すべてのアメンドメントは、必要とされるその地域の保健当局および倫理審査委員会により再検討および承認される(セクション9.2.1:プロトコールの変更)。
4.2. 試験実施における他の変更
試験実施における変更は認められない。試験実施におけるあらゆる不測の変更は臨床試験報告に記録される。
5. データ管理
5.1. データ収集
治験責任医師は、症例記録表(CRF)に、プロトコールにより要求される情報を入力しなければならない。フィールドモニターは、完全性および正確性に関してCRFを再検討し、そしてあらゆる必要な訂正または追加をするようにサイトの作業員を指示する。
CRFは、試験データ管理センターに送られる。研究サイトはCRFの1部のコピーを保有する。データ管理センターがCRFを受け取ると、その受領は記録され、そしてCRFは処理のデータ管理責任者に送られる。
第一次および第二次エンドポイントを支持する文書がエンドポイント委員会による判定のためにデータ管理センターに送られる。必要とされる文書は、エンドポイントマニュアルにおいて概説される。
5.2. データベース管理および品質管理
この試験のためのデータベース管理および品質管理はデューク・クリニカル・リサーチ・インスティチュート、ダラム、ノースカロライナ州、米国(Duke Clinical Research Institute, Durham, NC, USA)の責任である。
CRFからのデータ項目を、第2エントリーでの確認を有する二重データエントリーを用いる試験データベースに入力する。テキスト項目(例えば、コメント)を、CRFに一旦入力し、手動でチェックする。
その後、データベースに入力された情報は、バリデーションプログラムおよびデータベースリスティングからのエラーメッセージを用いて、データ管理者により系統的にチェックされる。明らかなエラーは、データ管理センターの作業員により訂正される。他のエラー、脱落または質問はデータークエリーフォームに入力され、これは解決のために研究サイトに返却される。データ管理センターが治験責任医師の応答を受け取った後、回答をデータベースに入力する。署名されたデータークエリーフォームのコピーをCRFで保存する。データベース中のすべての重要な安全性および効力に関するデータの品質管理監査報告書(quality control audit)を、試験中の指定された時間に作成する。
共存する疾患および有害事象は、標準的なコード辞書(coding dictionary)、MEDDRAを用いてコード化される。併用薬は、標準的な医薬辞書、WHO DRLを用いてコード化される。
データベースが完成しそして正確であることが示されたときに、データベースをロックし、そして非盲検化する。その時点以後のデータベースのあらゆる変更は、臨床試験指導者(Clinical Trial Leader)、治験統計学者(Trial Statistician)およびデータ管理者(Data Manager)の間で共同の書面による同意がある場合にのみ、され得る。
6. 統計学的方法
6.1. 使用されるべき統計学的方法
調査されるべき第一の仮説は、バルサルタンがカプトプリルよりも優れている(“優越性”)か、またはカプトプリルと同じぐらい有効(“非劣等性”)であるか否かについて、およびカプトプリルとバルサルタンの組合せが単独療法としてのカプトプリルより優れているか否かについてである。これらの比較のための第一次の効力可変要素は、死亡までの時間であり、そしてその仮説はコックス回帰分析(Cox regression analysis)を用いて試験される(詳細についてはセクション6.1.5.に記載されている)。第二次の効力可変要素は、また、コックス回帰分析を用いて試験される。
データはNovartisにより解析される。治験責任医師により独立的に行われたあらゆるデータ解析は、出版または発表の前にNovartisに提出されるべきである。
このプロトコールに参加しているすべてのセンターからのデータを組み合わせると、適当な数の患者が解析に利用可能となる。
個体群統計およびベースライン特性、効力の観察および測定、ならびに安全性の観察および測定に関してデータを要約する。
6.1.1. 集団
一次解析集団:
一次解析集団は、治験を受けるすべてのランダム化された患者からなる。この集団に基づく解析において、事象が二重盲検処置の永続的な中止前または後に起きるか否かにかかわらず、治験完了まで(治験完了時を含む)に起きるすべての事象が解析に含まれる。
プロトコール遵守集団(per-protocol population):
プロトコール遵守集団は、急性心筋梗塞を維持していることに関するプロトコール登録条件を満たし(セクション3.3.2参照)、そして少なくとも1回、試験薬物療法のタイトレーションステップIIを受けている(セクション3.5.参照)、すべての患者からなる。
プロトコール遵守の事象発生までの時間の解析(time-to-event analysis)において、患者が二重盲検処置を永続的に中止し、そして事象が症例記録表に示された永続的中止日まで起こらなかった場合、中止の理由にかかわらず、その患者の事象発生までの時間はその日に打ち切られたものと見なされる。かくして、永続的中止の前に起こった事象は非打切事象(non-censored event)としてプロトコール遵守解析に含められ、そして中止後に起こった事象は含められない。
二重盲検処置を一時的に中止した患者について、およびその中止が2回の連続する訪問にわたって継続している患者について、第2の連続訪問の前に起こった事象は、非打切事象としてプロトコール遵守解析に含められ、そして第2の連続訪問後に起こった事象は含められない。
さらに、治験処置を非永続的に中止した患者について、患者が試験薬物以外のACEインヒビターまたはアンギオテンシンレセプターブロッカーを投与されたことが2回の連続訪問時に症例記録表に示された治験の任意の時点で打ち切られたと見なされる(打切は、2回の連続訪問の後者の方の日にされたと見なされる。)。
一次および二次解析のための集団:
一次効力可変要素は、カプトプリル対バルサルタンの優越性および非劣等性の比較のための、および組合せ対カプトプリルの優越性の比較のための、一次解析集団を用いて解析される。これらの比較は、また、それぞれ、一次解析集団を用いる解析から得られた結論の感度(sensitivity)を評価するために、プロトコール遵守集団およびすべてのランダム化された患者のセットを用いて行われる。一次可変要素についての他の感度解析も、必要ならば考慮され得る。
すべての二次可変要素は、一次解析集団を用いて解析される。(セクション3.5.2.において定義されたような)心血管死亡率は、また、プロトコール遵守集団を用いて解析される。
中間解析のためのデータセット:
中間解析プラン(セクション6.1.7.参照)にしたがって行われる処置群の正式な比較(formal comparison)は一次解析集団に基づいて行われ、そして個々の中間解析について定義されたカットオフ日(cutoff date)の前にランダム化された患者を含む。異なる集団を使用し得る他の解析は、独立のDSMBからのインプットで定義され、そして任意の中間データの最初の解析の前に発行される、DSMBマニュアルにおいて文書化される。
6.1.2. 背景および個体群統計的特性
適当な要約統計量は、処置群により、ならびに処置群および国により、個体群統計的および病歴特性のために、ならびに訪問1の際に測定されたKillip分類、血圧および心拍数のために、一次解析集団について提供される。これらの可変要素についての処置群の比較からのP値も提供される(これらのp値は説明目的のために提供されるのであって、統計解析モデルに含められるべきファクターを測定するためのいかなる形式的基準(formal basis)を定義するとも見なしてはならない。)。
6.1.3. 試験薬物療法
治験薬への曝露期間の要約統計量は、処置群により、および適当ならば、処置群および投与量により計算される。
6.1.4. 付随的治療
要約統計量は適当に提供される。正式の解析は計画されない。
6.1.5. 効力の評価
一次効力可変要素
一次効力可変要素は、死亡までの時間である。これは、死亡日とランダム化日の差として、個々の非生存患者について計算される。
多重比較のための調整:
バルサルタン単独療法がカプトプリルより優れているか、または同程度であることが判明した場合、あるいはバルサルタンとカプトプリルの組合せがカプトプリルより優れていると判明した場合に、治験の主要目的は達成される。これらの試験について0.05以下の全体の有意水準を維持するために、全般的な有意水準0.0253(シダックの調整)を用いる;優越性仮説に関して両側検定が行われ、そして非劣等性仮説に関して片側検定が行われる。バルサルタン単独療法対カプトプリルの優越性および非劣等性の両方についての試験は、閉手順(24)の使用に基づいて、さらなる有意水準調整を必要としないことに注意せよ。
カプトプリル対バルサルタンの比較:
カプトプリルとバルサルタンとの間の一次比較のために、優越性仮説および非劣等性仮説の両方を正式に調査する。
優越性の比較のために、カプトプリルとバルサルタンとの間のリスク比(死亡の危険率)が1であることが帰無仮説であり、それに対して、そのリスク比が1でないことが対立仮説である:
Figure 2004339218
〔式中、λおよびλは、それぞれ、カプトプリルおよびバルサルタンの危険率である。〕。
バルサルタンがカプトプリルと少なくとも同程度有効であるか否かを試験するために、帰無仮説は、カプトプリルとバルサルタンとの間のリスク比が少なくとも1+Δであることであり、それに対して、対立仮説はそれが1+Δ未満であること、すなわち
Figure 2004339218
〔式中、Δは、2つの処置が同等と考えられる範囲内の許容範囲であり、そして0.13と定義される。〕
である。この数値は、14.4%〜29.8%の95%信頼区間で、プラセボと比較したACEインヒビターの推定22.5%危険率便益を示唆していた、AIRE、TRACE、およびSAVE試験(4、8〜10)のメタ分析に基づいて選択された(セクション3.2参照)。かくして、Δ=0.13を用いることは、試験基準が達成された場合に、もっとも悪い場合においてさえ、バルサルタンがプラセボに対する有意な便益を証明し、そしてACEインヒビターの推定便益の半分近くが保存されていることを証明することを確実にする。この基準を達成するバルサルタンについて観察された最低の有効性は、カプトプリルより3%以上悪くはないものであることがさらに推定され得る。かくして、バルサルタンがカプトプリルと同程度有効であることを請求するためには、バルサルタンの推定危険率は、カプトプリルのそれよりも小さいか、またはカプトプリルのそれよりも約3%以上高くない(例えば、カプトプリルについて20%およびバルサルタンについて20.6%の総死亡率を治験の間に観察することに対応する)。
カプトプリルとバルサルタンの組合せ対カプトプリルの比較:
カプトプリルおよびバルサルタンの組合せとカプトプリル単独療法との間の一次比較のために、優越性試験が行われる。帰無仮説は、組合せ療法とカプトプリルとの間のリスク比(危険率)が1であることであり、それに対し、両側検定はリスク比が1ではないこと、すなわち
Figure 2004339218
〔式中、λおよびλは、それぞれカプトプリルと前記組合せの危険率である。〕
である。
前記組合せとバルサルタンとの比較に関する第2の目的のために、仮説が同様に定義される。
統計モデル:
主要変数ならびに他の事象発生までの時間の変数に関する比較のために、解析は、コックス回帰モデルを用いて行われる。個々の比較のための一次解析モデルは、処置群、年齢(連続的共変量として)、および過去の心筋梗塞の発生である。処置群ハザード関数(すなわち、一定の危険率)の比例性の推定を調査し、そしてあらゆる非比例性の一次解析結果についての意義が考慮される。補足的なログランク検定(supplemental logrank test)も行われる。探査解析を、他の潜在的に重要な予後因子の影響に取り組むために行う。
効力の基準:
バルサルタン単独療法がカプトプリル単独療法よりも優れていると見なされるのは、一次解析集団および主要変数のコックス回帰分析を用いて、これらの処置群間の差が、2.53%の両側水準を用いて、バルサルタンに有利に、統計的に有意な場合である。
バルサルタンがカプトプリルより優れていることが示されないならば、(コックス回帰推定値に由来し、そして2.53%の片側危険率有意水準を用いる)危険率の信頼区間の上限が1.13未満である場合に、バルサルタンがカプトプリルと少なくとも同程度有効であると結論される。
カプトプリルとバルサルタンの組合せがカプトプリルよりも優れていると見なされるのは、一次解析集団および主要変数のコックス回帰分析を用いて、これらの処置群間の差が、2.53%の両側有意水準を用いて、該組合せに有利に統計的に有意な場合である。
探求的サブグループ解析
主要変数のため、複合的な死亡(composite death)、再梗塞、心不全での入院のために、記述的要約が提供され、そして探求的解析は、下記の要因:年齢、性別、種族、過去の心筋梗塞、高血圧、糖尿病、高脂血症または喫煙の前歴、ランダム化までの時間、Killip分類、梗塞の位置およびタイプ、指標心筋梗塞(index MI)時およびその前の冠動脈血管再生術、左心室機能不全または心不全のエビデンス、ランダム化前のβ−ブロッカー、アスピリン、ACEインヒビターまたはARBまたは血栓溶解剤の使用により定義されるサブグループにおける特異的な処置効果の可能性を調査するのに適当であると見なされる。
二次効力変数
二次効力変数はセクション3.5.2において定義された。すべての複合エンドポイントに関して、結果変数(outcome variable)は、1を超える構成要素が治験中に起こったかどうかにかかわらず、該複合の少なくとも1つの構成要素の発生として定義される;かくして、個々の患者は解析において一回カウントされる。
二次効力変数の解析
二次変数解析は一次解析集団に基づく;心血管死亡率は、さらに、プロトコール遵守集団を用いて解析される。個々の二次効力変数は、一次変数について定義されたのと同じコックス回帰モデルを用いて解析される。患者一人あたりに複数の事象の発生を取り扱う可能性のあるさらなる追跡解析は、適当に考慮される。
一次および二次効力変数について要約統計および度数分布:
すべての一次および二次効力変数について、治験完了までに事象が起きた患者のパーセンテージおよび二重盲検処置期間中に起きる事象のパーセンテージは、処置群により提供される。処置群による総死亡率は、また、上に記載された、主要サブグループを定義している変数の個々のレベルについて提供される。
事象発生までの時間の変数のために、処置群によるKaplan−Meier生存確率のプロットが提供される。
6.1.6. 安全性評価
安全性評価は、主に、試験薬物療法に関係すると治験責任医師により疑われる、予め定義された安全性および耐容性パラメーターならびに重篤な有害事象の頻度に基づいている。他の安全性データ(例えば、生命徴候)は、適当に考慮されそして要約される。
試験薬物療法に関係すると治験責任医師により疑われる重篤な有害事象は、あらゆる重篤関連有害事象を有し、全身において重篤関連事象を有しそして個人の重篤関連有害事象を有する患者の数およびパーセンテージを提供することにより、個々の処置群について要約される。
6.1.7. 中間解析
一次効力エンドポイントについての2つの形式的中間解析が行われる。第一および第二中間解析についてのカットオフ日は、試験完了前の標的総死亡数に関して、ほぼ等しく区切られる。かくして、中間解析は、900および1800の死亡者が報告された時に最も近いDSMBミーティングに一致して行われるように計画される。個々の中間解析について、解析されたデータセットは、カットオフ日前にランダム化された一次解析集団におけるすべての患者からなる。
Lan−DeMets−α消費関数(25)でのO'Brien−Flemingタイプ境界は、有意基準(significance criteria)を決定するために使用される。2.53%の累積両側有意水準は、処置群の3つの対による比較のそれぞれについて形式的な統計学的有意性を示すために使用される。死亡についての情報は、年に2回計画された安全性再検討のそれぞれについて独立的DSMBへと提供されるので、中間および最終解析のためのO'Brien−Fleming境界基準は、これらの安全性解析についても同様に調整される。グループ間の有意差が中間解析での予め特定した境界を横切ることにより示される場合、治験は早期に停止され得るか、または処置群は中止され得る。
処置群の個々の対の間で有意差が得られる確率を推定する条件付き確率の計算が、また、DSMBにより作成された決定に関する追加的ガイダンスのように、形式的効力解析に沿って計算される。これらにより、DSMBは、他の処置群のいずれかと比べてカプトプリルの利点に対する強い傾向が存在する場合、形式的境界ほど厳密でない基準を考慮することが可能となる。
中間解析に基づいて、カプトプリルと比較したバルサルタンの非劣等性を確立するための基準は定義されていない。
中間解析は、独立的な統計施設によりNovartisの外部で行われ、そして結果は独立的なDSMBにより再検討される。治験責任医師、Novartisの従業員および治験の処理に関係し、かつ最終治験結果の解析に関係する他の者、または試験施設と接触を有する他の者には、すべてのモニタリングに関する決定がなされ、そしてデータベースが最終解析に関してロックされるまで、処置コードおよび中間解析の結果は知らされない。
グループ間の有意差が中間解析での予め特定した境界を横切ることにより示される場合、治験は早期に停止され得るか、または処置群は中止され得る。試験を早期に終わらせた場合、最終報告および解析には、すべてのデータ(終了のための決定の根拠となる中間解析について利用可能なデータだけではない)が含まれる。
6.1.8. 他の論題
薬剤経済学的データ
入院、在院日数、心血管処置の外来患者数および総在院日数についての情報を、3つの処置群のそれぞれについて評価する。解析は、個々の資源カテゴリー(resource category)についての記述統計を含む。適当な試験が、処置群間で資源活用が異なるかどうかを決定するために行われる。資源使用の解析を、臨床試験報告とは別個に文書化する。
クオリティーオブライフデータ
クオリティーオブライフ評価は、特定の国々における本プロトコールの統合サブスタディ(integral substudy)である。処置群間のEuroQol(C)スコアの解析には、各処置群についての記述統計が含まれる。処置群間の比較は、共分散としてのベースラインEuroQol(C)スコアを用いる共分散の解析(ANCOVA)に基づく。クオリティーオブライフ解析の結果は、臨床試験報告とは別個に文書化される。
6.2. サンプルサイズおよび検出力考察
サンプルサイズの計算において、カプトプリル患者について6.9%の年間死亡率が推定される;これは、AIRE、SAVEおよびTRACE試験および同様のハイリスク集団の使用における結果に基づくものである(4、8〜10)。
優越性仮説についての検出力考察:
カプトプリル単独療法に対するバルサルタンとカプトプリルの組合せの利点は、死亡リスクの15%〜17.5%の減少、すなわち、λ=kλ〔式中、kは0.825〜0.85である。〕であり得ることが仮説として取り上げられる。0.0253の両側有意差水準を用いて、これら2つの処置群において総計1700の一次イベントを得ることは、死亡リスクの17.5%の減少を検出するための95.4%の検出力、および15%の減少を検出するための85.9%の検出力を提供する(これらの計算は、計画されたO'Brien−Fleming中間解析スキームのための2%の調整を反映している。)。同じ検出力の結果が、バルサルタンの利点に関する同じ推定下で、カプトプリルに対するバルサルタンの優越性の証明に当てはまる。かくして、バルサルタンおよびカプトプリル単独療法処置群において1700イベントを必要とすることは、優越性仮説を試験するのに十分な検出力を提供すると考えられる。
非劣等性仮説のための検定力考察:
非劣等性比較は、バルサルタンの真の利益(true benefit)が0〜2.5%の範囲内である場合、バルサルタンがカプトプリルと同程度有効であることを証明するのに適切な検定力を有することが望まれる。0.0253の片側有意水準を用いて、これら2つの処置群における総計1850の一次イベントは、バルサルタンがカプトプリルよりも実際的に2.5%優れている場合に88.1%の検定力、および死亡リスクがこれら2つの処置群において同一である場合に74.0%の検定力を提供する。
サンプルサイズ決定
2つの先行するパラグラフにおける情報にしたがって、総計
1/2 (1700+1850+1850)=2700
のイベントは、主要目的を取り扱うのに適当な検定力を提供する(優越性の検定力は上で特定したよりも少し大きい。なぜなら、少しより多いイベント数が非劣等性仮説について必要とされるからである。)。上で言及した6.9%の年間死亡率に対応するコントロール群ハザード比、18ヶ月の登録期間、48ヶ月の総治験期間、ならびに脱落および中間解析計画対応する約7.5%のかさ上げ(inflation)を考慮すると、14,500人の患者(処置群ごとに約4833人)の登録が必要とされる。
治験完了の定義
本治験は、最大情報治験(maximum information trial)、すなわち治験期間が3つのすべての処置群を合わせたうちの、予め特定した数である2700人の患者が死亡するまでの治験として計画される。
治験の時間の実際的な長さは、観察された死亡率、患者の集積率および発症期間(accrual period)の長さに依存し、約4年と予想される。必要な数のイベントが6年の治験期間後に観察されなかった場合には、治験を打ち切り、そして完了したと見なす。
7. 注目に値する検査値基準、特別方法およびスケール
7.1. 臨床的に注目に値する検査所見異常の基準
訪問スケジュール(セクション3.5.1.参照)において特定された血清クレアチニンを除いて、通常の検査室測定の結果はCRFに記録されない。患者の標準的ケアおよび評価の一部として得られた検査値は、試験薬物療法または試験エンドポイントの発生と関係があると疑われる重篤な有害事象を裏付けるために必要とされ得、そして患者の試験表(ソースドキュメント)に保持されるべきである。
7.2. 特別方法およびスケール
EuroQol(C)機器(21〜23)を、クオリティーオブライフを評価するために使用する。
実施例2
序論
左心室のサイズおよび形状における心筋梗塞後の形態学的変化は、左心室系再構成(left ventricular remodeling)と一般的に呼ばれるプロセスで起こり得る(26、27、28)。その後の数週から数ヶ月にわたって、拡張が非梗塞領域で起こり得、大きくなるにつれて左心室は全体としてより球形(globular)および球状(spherical)になる(29)。限定的または進行性左心室拡張(しばしば、再構成の代わりに使用される)は、心筋梗塞後の約3分の2の患者において示された(30)。これは最初の梗塞のサイズに依存し、そしてその後の罹病および死亡のリスクの有意な増加を伴う(31)。アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターは、動物モデルおよびヒトの治験の両方において左心室リモデリングを減弱することが示された(32、33、34)。複数の大規模臨床試験における心筋梗塞後のACEインヒビターの使用に伴う生存の有意な改善を、左心室系再構成の減弱のみでは説明できないが、複数の試験により、最大規模の左心室再構成を経験する患者は有害事象について最もリスクが高いことが示された(31)。同様に、生存および心室拡張(Survival and Ventricular Enlargement, SAVE)治験において、有害事象を経験した患者は、彼らがカプトプリルまたはプラセボを投与された場合、さらに再構成しやすい(35)。ACEインヒビター治療にもかかわらず、有害事象の増大および左心室拡張の両方のリスクがあるかなりの数の患者は、ACEインヒビター抵抗性の可能性が上昇している。
重要な追加的エビデンスにより、再構成に対するACE阻害効果は経時的に減少し得ることが示される。SAVEにおいて、1年後のACEインヒビターによるさらなる再構成の減弱はなかった(36)。経時的に効果が無くなることについての可能性のある説明には、循環しているアンギオテンシンIIおよびアルドステロンの濃度の上昇がACEインヒビターの投与の比較的少し後に起こり得る事実が含まれる(37)。実際、長期のACE阻害はアルドステロンエスケープ(38)に関連し、そしてアンギオテンシンII、血漿ノルエピネフリン、エンドセリン、心房性ナトリウム利尿ペプチドおよびバゾプレッシンの濃度は、長期のACEインヒビター治療の間、多くの患者において増加したままであることが示された(39)。全体としてみると、これらのデータにより、心筋梗塞後の患者においてレニン−アンギオテンシン系を阻害することへの代替的アプローチについての潜在的役割が示唆される。
したがって、VALIANTにおける再構成サブスタディについての理論的根拠には:
ACEインヒビターは心筋梗塞後の左心室系再構成を減弱させることが示されているが、アンギオテンシンレセプターブロッカーが左心室系再構成に対して同様の効果を有するか否かは、現在不明である。
SAVE治験におけるカプトプリルに関連する左心室系再構成の改善にもかかわらず、有害事象を経験した患者は、彼らがプラセボ群またはカプトプリル群にいるか否かにかかわらず、有意に大きい左心室拡張を示した。このことは、これらの患者においてさらなる治療剤の重要な役割が存在し得ることを示唆している。
長期のACE阻害は、アンギオテンシンIIおよび他の神経ホルモンの反跳に関連し得る。実際、SAVE試験において、左心室系再構成のさらなる減弱は、ACE阻害の1年後には見られず、直接的なアンギオテンシンIIレセプターのブロックは、レニン−アンギオテンシン系の長期的阻害に関して、アンギオテンシン変換酵素の阻害よりも効果的であり得る可能性が浮上してきた。
ACEインヒビターおよびアンギオテンシンレセプターブロッカーの両方での組合せ治療は、レニン−アンギオテンシン系の最も効果的な阻害、およびそれ故に、心筋梗塞後の左心室系再構成の最も完全な減弱を提供し得る。
サブスタディの目的
一次目的
VALIANTのためのコア心エコー検査サブスタディの目的は、左心室系再構成に対するレニン−アンギオテンシン系の阻害に関して、3つのアプローチの差動効果を評価することである。次の一次仮説が試験される:
単独またはカプトプリルと組み合わせた、バルサルタンは、心筋梗塞後の左心室系再構成(左心室拡張終期容積の変化)の減弱においてカプトプリル単独よりも優れている。
この治験の目的において、再構成は、ベースラインから患者の最後の利用可能なVALIANTエコー(患者が生存していれば20ヶ月)への左心室拡張終期容積における変化として定義される。
二次目的
次の二次仮説が扱われる:
単独またはカプトプリルと組み合わせた、バルサルタンは、心筋梗塞後の拡張終期容積の増大の減弱においてカプトプリル単独よりも優れている。
単独またはカプトプリルと組み合わせた、バルサルタンは、心筋梗塞後の左心室機能(駆出率の変化により証明される)の改善においてカプトプリルよりも優れている。
治療の割付にかかわらず、拡大を示す患者は心血管イベントのリスクがより高い。我々は、この集団における再構成と心血管イベントの間の関係を評価し、バルサルタンが心血管イベントを有する再構成を示す群において患者の割合を減少させるか否かを調査する。
我々は、心筋梗塞後の神経ホルモン的評価で、左心室のサイズおよび機能のベースライン心エコー検査評価を含む心エコー検査パラメーターと、および左心室サイズおよび機能における変化の間の関係を評価する。注:1より多いサブスタディを行うことについて規制当局の許可が得られたサイトで、心エコー検査サブスタディにおける患者は、また、集められた可変要素間の相関関係の解析を可能にする他のサブスタディに参加するよう依頼される。
単独またはカプトプリルと組み合わせた、バルサルタンは、第2回(1ヶ月)および最終回(20ヶ月)心エコー検査評価の間の左心室系再構成の減弱においてカプトプリルよりも優れている。
僧帽弁逆流は左心室系再構成の程度に関係する。我々は、単独またはカプトプリルと組み合わせた、バルサルタンが、ベースラインから20ヶ月まで僧帽弁逆流の重症度の悪化の減少または改善に関連するか否かを調査する。
治療とは関係なく、心エコー検査測定および心血管イベントの間の関係。
治療とは関係なく、左心室のサイズおよび機能におけるベースライン心エコー検査パラメーターおよびその後の変化の間の関係。
E波減速時間およびその後の左心室系再構成により評価される、ベースラインと1ヶ月心拡張機能の間の関係。
調査計画
全体的サブスタディデザイン
サブスタディデザインは、主要VALIANT試験、実施例1のためのものと同一である。3つの心エコー検査が行われる:
VALIANTにおけるランダム化の24時間以内(主要VALIANT試験訪問1)
心筋梗塞後1ヶ月(±15日)(主要VALIANT試験訪問3)
心筋梗塞後20ヶ月(±20日)(主要VALIANT試験訪問9)
サブスタディ集団
患者は、VALIANTに参加している選択試験サイトから登録される。すべてのVALIANT登録および除外基準が適用可能である。サイトがサブスタディへの参加開始を認められた後に、サブスタディ参加についての書面によるインフォームドコンセントを提供し、そして必要な時間枠内で画像診断できるすべての連続的ランダム化患者が登録される。サブスタディへの登録は、必要なサブスタディ総サンプルサイズが達成されるか、あるいは主要VALIANT試験への登録が完了または終了するかの、いずれかが起こるまで継続する。
サンプルサイズ
総計1200人の患者が含まれる(セクション6.0、統計学的方法を参照)。これらの患者のうちの約500人が、エコー造影剤、OPTISON(登録商標)の投与を用いて試験される(セクション4.1、手順およびタイミング、OPTISONでの心筋コントラストエコー法の管理を参照)。
処置および盲検化
処置および盲検化は、主要VALIANT試験に登録されたすべての患者についてのものと同じである。心エコー検査サブスタディ患者のための追加的処置は存在しない。
造影剤OPTISONが投与された場合、それは盲検化されない(セクション4.1、手順およびタイミング、OPTISONでの心筋コントラストエコー法の管理を参照)。
サブスタディの期間
それぞれの患者は、約20ヶ月、または主要VALIANT試験の完了もしくは終了の、いずれかが起こるまで参加するよう求められる。
4. 方法
4.1 手順およびタイミング
施設の同定および訓練
VALIANT試験に参加しているすべての国の施設は、心エコー検査サブスタディに参加するよう勧められる。VALIANTの心エコー図の取得を指示する心エコー図記録人(echocardiographer)をそれぞれのサイトにて同定する。個々のサイトは、VALIANT心エコー検査(これは、標準的心エコー検査の限定版である。)を行う心エコー検査技術者(超音波検査士)を同定する責任を有する。サイトには、VALIANT心エコー検査を取得する方法を詳細に記載した手順マニュアル(Procedure Manual)が提供される。心エコー検査サブスタディに参加している施設および患者は、ボランティアである。
Mallinckrodtにより提供されるさらなる訓練が、OPTISON造影剤を使用するサイトに必要とされる(セクション4.1、手順およびタイミング、OPTISONでの心筋コントラストエコー法の管理を参照)。OPTISONを使用するサイトは、また、さらなるOPTISON特異的手順マニュアルも受け取る。
試験計画および訪問
患者は、登録の24時間以内、登録後1ヶ月および20ヶ月に心エコー検査を受ける(表4.1−1.参照)。
Figure 2004339218
心エコー検査および取得
一部の標準的心エコー検査が行われる(手順マニュアル参照)。すべての患者は、次の視野(view)で2−D心エコー検査を受ける:
胸骨傍長軸
胸骨傍短軸(僧帽弁レベル)
胸骨傍短軸(乳頭筋レベル)
心突4腔
心突5腔
心突2腔または心突長軸
ドップラー心エコー検査が心突4腔の視野において行われる。
特定の心エコー図取得プロトコールは、手順マニュアルにおいて詳細に記載されている。VALIANT心エコー図は、心内膜境界明確化のために最適化される。特定の最適化は、装置依存的である。コア研究室は、画像を最適化するのに適した装置の設定を同定するために、個々のサイトとともに働く。サイトはビデオテープに心エコー図を記録し、そして試験ビデオテープはコア研究室に送られる。すべての試験測定はおよび解釈は、コア研究室により行われる。サイトでの測定は必要とされない。
OPTISONでの心コントラストエコー法の管理
心エコー造影剤OPTISON(登録商標)(MBI Inc. および Mallinckrodt, Inc.)が、約500人の患者において、左心室の不透明化および心内膜境界の明確化を改善するために使用される。OPTISONは、化学的に安定なガスのオクタフルオロプロパンを含有する平均直径2.0〜4.5μmのヒトアルブミンマイクロスフェアからなる心エコー造影剤である。該アルブミンマイクロスフェアは、ヒトアルブミンの通常の代謝経路により***される。OPTISONは、超音波との独特の相互作用により、心エコーコントラストを生成する。OPTISONは、米国および欧州連合(European Union)において、心内膜境界明確化用に認可されている。米国および欧州における一部のみのサイトがOPTISONコントラスト法を用いる。
血液、血液製剤もしくはアルブミンに対する過敏症が知られているかもしくは疑われている患者、または妊娠もしくは授乳中の患者は、OPTISONの投与から除外される。
OPTISONがベースライン心エコー検査に使用される患者は、残りの2つのVALIANT心エコー図のために、OPTISONコントラストイメージングで試験される。OPTISONは、ボーラス注射を用いて注射される(手順マニュアル参照)。患者がまだ持っていない場合、この注射には静脈ラインの配置が必要とされる。最初にOPTISONなしでイメージを取得し、次いで、OPTISONコントラスト法を用いて取得する。OPTISONコントラスト法の管理の特定の詳細は、OPTISON手順マニュアルに記載されている。OPTISONを投与される患者にとって、完成されるべき1つのさらなる症例記録表が存在する。
OPTISONの投与後、患者は非コントラスト患者と同じ視野で2−D心エコー検査を受ける:
胸骨傍長軸
胸骨傍短軸(僧帽弁レベル)
胸骨傍短軸(乳頭筋レベル)
心突4腔
心突5腔
心突2腔または心突長軸
ドップラー心エコー検査が心突4腔の視野において行われる。
イメージ記録およびコア研究室への移送
サイトから得られた心エコーイメージを、スタンダードVHSまたはS−VHSビデオテープに記録する。光ディスク上のデジタルイメージは、コア研究室の事前承認がある場合にのみ認められる。コア研究室はオリジナルのビデオテープを必要とする。この試験は臨床およびVALIANT研究の両方の目的で必要とされ、VALIANTコア研究室はオリジナル試験を受け取らなければならず、そしてそのサイトは臨床目的の試験のコピーを自由に保持することができる。エコー症例記録表は、治験責任医師により記入され、そしてコア研究室まで個々のビデオテープと同行する(手順マニュアル参照)。ビデオに収められた試験は、クーリエ便(エコノミークラス)でコア研究室に送られる。シッピングラベル(shipping label)が提供される。すべてのビデオテープ(および他の媒体)は、心エコー検査コア研究室の管理下とされ、他の認められた補助的分析のVALIANT心エコー治験責任医師に利用可能となる。
効力の評価
コア研究室はすべての測定を行う。ビデオテープまたはデジタルフォーマットで受け取った心エコー図は、特注のオフライン分析システムを用いて、オフラインで分析される。
すべての分析は、オリジナルの心エコー図からのデジタル透写(digitized tracing)に基づいている。心内膜境界(および、下記のように、心外膜境界)は、拡張終期および収縮終期に手動でデジタル化される。すべての測定は、異なる心周期からトリプリケートで行われ、そして3つのトリプリケート測定の平均が測定に使用される。
コア研究室は、それぞれの時点で次の評価を行う:
全心室サイズ(global ventricular size)および機能の評価:
左心室拡張終期および収縮終期容積の測定
複数の視野からの左心室拡張終期および収縮終期面積の測定
左心室駆出率および微少面積変化(fractional area change)の評価
局所壁運動の評価
センターラインアルゴリズムを用いる定量的局所壁運動
米国心エコー図学会(American Society of Echocardiography)の壁運動スコアリングシステムを用いる局所壁運動の定量的評価
運動不能/運動異常のセグメント長の測定
E波速度、A波速度、E波減速時間を含むドップラーパラメーターの測定
カラーフロードップラー(colorflow Doppler)による僧帽弁逆流の評価および等級付け
経時的な心室容積および心室機能の変化の評価には、入手可能な最も完全なセットの心エコーイメージからのデータが使用される。個々の患者においてコントラスト試験がすべての時点で利用可能である場合、コントラスト試験は、それらが非コントラスト試験よりも技術的に劣っていると思われない限り、主要VALIANTエコー解析のために使用される。面積および容積の変化は、すべての場合において、同じタイプの試験(コントラストまたは非コントラスト)に基づく。エコーコア研究室は、両セット(コントラストおよび非コントラストデータ)を保持し、そして試験完了時に、これらのデータをVALIANTデータコーディネイティングセンターに移送する。試験完了前に行われた心室容積および心室機能のベースライン評価は、非コントラスト試験で行われる。
全心室サイズおよび機能の評価
僧帽弁および中乳頭筋(mid-papilary muscle)の両方の面での胸骨傍短軸から、心内膜および心外膜の境界は、腔面積(cavity area)を得るために拡張終期および収縮終期においてデジタル化される。心外膜境界は、左心室の重量計算を可能にするためにデジタル化される。
心尖方向(apical view)から、心内膜境界は、拡張終期および収縮終期の両方においてデジタル化される。腔容積は、米国心エコー図学会により明記された2方向シンプソン法アルゴリズム(biplane Simpson's Rule Algorithm)を用いて得られる。
計算されたパラメーター:
次のパラメーターは一次データから計算される:
(心尖方向からの)左心室拡張終期および収縮終期容積
これらは米国心エコー図学会により推奨される2方向シンプソン法解析を用いて計算される。
左心室駆出率(拡張終期および収縮終期容積から計算される)
Figure 2004339218
として容積(上記)から計算された駆出率
平均短軸腔面積(3つまでの短軸方向の平均から計算される)
平均心突腔面積(4腔および2腔方向の平均から計算される)
合計腔面積(平均短軸面積および平均心突面積の合計から計算される)
左心室重量
左心室重量は、2次元の情報を用いて米国心エコー図学会の勧めにしたがって計算される(J Am Soc Echocardiogr 1989;2:362)。
局所壁運動の評価
局所壁運動の評価は、2つの別個の方法で行われる。第1には、局所壁運動は、米国心エコー図学会のスコアリングシステムを用いて評価される。これには、個々の領域が半定量される16セグメントモデルを使用すること、通常の動揺病(kinesia)、運動低下症(hypokinesia)、運動不能症(akinesia)、および運動異常(dyskinesia)をスコアリングすることが含まれる。平均は、1より多い映像において明視化されたセグメントについて測定される。個々の患者の壁運動スコアは、個々のセグメントの平均により測定される。局所性の2つの測定、すなわち、すべての領域の平均を表す総壁運動異常インデックス、および壁運動変動性インデックス(これらにより、壁運動異常の領域が不連続的または全体的のいずれかであるかが測定される。)が計算される。
局所壁運動異常の第2の評価方法は、上記のデジタル化からの保存された外形に基づく。等間隔の弦(chord)が、1)拡張終期と収縮終期心内膜外形の間、および2)収縮期厚(systolic thickness)を得るために心収縮期の心内膜外形と心外膜外形の間にコンピューターにより描かれる、センターラインアルゴリズムが用いられる。
梗塞サイズの測定
梗塞サイズは、心収縮期の梗塞の程度を追跡しているオペレーターにより直接的に測定される。梗塞領域は、(上記のような腔のデジタル化により得られた)総腔周囲に対する梗塞サイズの比として表される。梗塞セグメントは、短軸および心尖方向の両方において手動でデジタル化される。
僧帽弁逆流のカラーフロードップラー評価
カラーフロードップラーは、僧帽弁逆流を評価するために心突4腔方向から得られる。僧帽弁逆流は、米国心エコー図学会の基準にしたがって1+から4+として等級付けされる。
安全性評価
安全性評価は、主要VALIANT試験の一部として行われる。
さらに、治験責任医師によりOPTISONに関連すると疑われるOPTISON投与に関係して起こるすべての重篤な有害事象は、迅速な様式で報告される。サイトの治験責任医師は、事象がOPTISONに関係するか否かに関して最初の決定をする。
5. データ管理
このサブスタディの一部として得られるすべての心エコーデータは、コア研究室により管理および収集される。症例記録表(CRF)は心エコー図とともにコア研究室に送られ、そしてCRFからの対応するデータは、患者の心エコーデータ記録に入力される。最後に、心エコーデータは、VALIANTデータコーディネイティングセンターに送られ、メインVALIANTデータベースと合わせられる。CRFのコピーは、試験サイトにより保持される。
6. 統計方法
この試験の主要目的を満足するためには、1200人の患者が必要とされると見積もられる。このサンプルサイズの見積もりは、同様の治験での先の経験に基づく。0.05のαおよび0.90の検出力を仮定すると、サンプルサイズは、400人の患者のサンプルサイズのグループあたりの近似値を決定するために、HEART試験(23.4ml)からの標準偏差データを用いて、ベースラインから20ヶ月までの拡張終期のサイズにおける5.7mlの臨床的に対応する差を検出する能力に基づいて計算される(コア研究室において測定された再現性に関して、95%信頼区間の上限の150%)。変動性、したがってサンプルサイズは、収縮終期測定のそれよりも小さい。
事前に特定された評価には:
治験に登録された3つの群のそれぞれについて、ベースラインから2つのその後の時点までの左心室サイズ(拡張期および収縮期容積)の変化の比較(一次エンドポイント)。
治験に登録された3つの群のそれぞれについて、ベースラインから2つのその後の時点までの左心室収縮機能(駆出率)の変化の比較。
3つの処置群における左心室壁厚および重量の変化の評価および比較。
3つの処置群における拡張機能のパラメーターの評価。
心エコー測定と有害事象との間の関係の評価。
左心室サイズおよび機能におけるベースライン心エコーパラメーターとその後の変化との間の関係の評価。
これらの事前に特定された評価に加えて、神経ホルモンおよび他の臨床的評価との心エコーパラメーターの相関関係を含む(が、これに限定されるわけではない)多くの他の評価が行われる。
さらなる解析が、OPTISONイメージングの有無でのコア測定の再現性を比較するためにOPTISONを投与された患者のコア研修室により行われる。
本発明を、その一定の好適な態様(version)に関してかなり詳細に記述したが、他の態様も、本明細書に含有される好適な態様の精神および範囲から逸脱することなく可能である。
本明細書に記載したすべての刊行物および特許を、それらの全体が本明細書に示されているかのように、出典明示によりそれらの全体を本明細書の一部とする。

Claims (20)

  1. 心筋梗塞後の心血管疾患の処置方法であって、それを必要とする患者に、ARBおよびACEインヒビターの組合せを含んでなる医薬組成物の治療上有効量を投与することを含んでなる方法。
  2. ARBがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターはカプトプリルである、請求項1に記載の方法。
  3. バルサルタンが約80mgの量で投与され、そしてカプトプリルは約20mgの量で投与される、請求項2に記載の方法。
  4. 心筋梗塞後の死亡率を減少させる方法であって、それを必要とする患者に、ARBおよびACEインヒビターの組合せを含んでなる医薬組成物の治療上有効量を投与することを含んでなる方法。
  5. 心筋梗塞後の心血管系再構成を誘導する方法であって、それを必要とする患者に、ARBおよびACEインヒビターの組合せを含んでなる医薬組成物の治療上有効量を投与することを含んでなる方法。
  6. ARBがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターはカプトプリルである、請求項1に記載の方法。
  7. 心血管系再構成が心筋梗塞後の左心室拡張である、請求項5に記載の方法。
  8. ARBおよびACEインヒビターの量が、前のステップから増大する一連のステップでARBおよびACEインヒビターを投与することを含んでなる、用法。
  9. ARBがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターはカプトプリルである、請求項8に記載の用法。
  10. それぞれのステップにおいて、朝および夕にARBを、そして朝、昼および夕にACEインヒビターを投与することを含んでなる、請求項9に記載の用法。
  11. ARBがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターはカプトプリルである、請求項10に記載の用法。
  12. バルサルタンがステップIにおいて40mg、ステップIIにおいて40mg、ステップIIIにおいて80mgおよびステップIVにおいて160mgの1日用量で投与され、そしてカプトプリルがステップIにおいて37.5mg、ステップIIにおいて75mg、ステップIIIにおいて150mgおよびステップIVにおいて300mgで投与される、請求項11に記載の用法。
  13. ARBおよびACEインヒビターの投与量がそれぞれのステップごとに増加する一連のステップの1つに対応するARBおよびACEインヒビターの量を含んでなる投与パック。
  14. ARBがバルサルタンであり、そしてACEはカプトプリルであり、そしてそれぞれ1週間分の量が存在する、請求項13に記載の投与パック。
  15. ARBおよびACEインヒビターの量が4カ月分の量である、請求項13に記載の投与パックを含んでなる維持投与パック。
  16. 心筋梗塞(MI)後の心血管疾患の処置のための、医薬上許容される担体の存在下でARBインヒビターおよびACEインヒビターを含んでなる医薬組成物。
  17. 心筋梗塞後の心血管疾患の処置用医薬の製造のための、医薬上許容される担体の存在下でARBインヒビターおよびACEインヒビターを含んでなる医薬組成物の使用。
  18. ARBインヒビターがバルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、タソサルタンおよびテルミサルタンからなる群から選択される、請求項1〜17のいずれかに記載の医薬組成物、使用、方法、用法、投与パック。
  19. ACEインヒビターがベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、およびトランドラプリルからなる群から選択される、請求項1〜18のいずれかに記載の医薬組成物、使用、方法、用法、投与パック。
  20. ARBインヒビターがバルサルタンであり、そしてACEインヒビターはカプトプリルである、請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物、使用、方法、用法、投与パック。

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