JP2004331533A - アクリロニトリルの製造方法 - Google Patents

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道夫 深津
Hachiro Arai
八郎 荒井
Kenichi Miyagi
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Abstract

【課題】プロパンおよび/またはプロピレンのアンモ酸化反応の反応器出口ガスを、硫酸を含有する水溶液に接触させて処理液を得て、ついで、この処理液を蒸発濃縮する場合などに、有機固体物質やタール状物質の発生、析出を抑制できるアクリロニトリルの製造方法を提供する。
【解決手段】反応器出口ガス中のアクリロニトリルの質量をA、アクリル酸および/またはその塩のアクリル酸としての質量をBとした際に、B/Aが0.007以上であり、かつ、処理液がpH=6以上の場合にはY<−0.80X+40を、pH=5以上6未満の場合にはY<−0.78X+35を、pH=5未満の場合にはY<−0.75X+30を満足する組成となるようにする。ただし、Yは処理液中の有機物の質量百分率(%)、Xは処理液中の硫酸アンモニウムの質量百分率(%)である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロパンおよび/またはプロピレンのアンモ酸化によりアクリロニトリルを製造する方法に関し、特に反応器出口ガスの処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロパンおよび/またはプロピレンを、多成分金属酸化物触媒の存在下、流動床反応器などによりアンモニアと酸素(空気)とでアンモ酸化すると、反応器出口ガスには、通常、目的生成物であるアクリロニトリルの他に、青酸、アセトニトリルなどのニトリル類;アクロレインなどのアルデヒド類;アクリル酸などの有機酸類およびその塩;ピリジン類などの有機物が副生成物として含まれ、さらに未反応のアンモニアも含まれる。よって、アクリロニトリル製造プロセスにおいては、これら反応器出口ガスから副生成物や未反応アンモニアなどを分離、除去するための処理が必要である。
【0003】
反応器出口ガスの処理方法としては、反応器出口ガスを硫酸を含有する水溶液に接触させることにより、反応器出口ガスを冷却するとともに、未反応アンモニアを硫酸と中和反応させて硫酸アンモニウムとして水溶液中に取り込み、同時に、副生成物である有機物の一部をも水溶液中に吸収する方法が行われている。
このようにして得られた硫酸アンモニウムと有機物とを含む水溶液は、その後、例えば蒸発濃縮され、有価であり固体として回収される硫酸アンモニウムと、有機物を含み排出される水溶液とに分離される。一方、硫酸アンモニウムと有機物の一部が除去された残りの反応器出口ガスは、アクリロニトリル回収塔へと導かれる。
【0004】
反応器出口ガスの処理方法は特許文献にも開示されていて、例えば特許文献1には、反応器出口ガスをpH9以下の塩含有水溶液と接触させ、未反応アンモニアを硫酸アンモニウムとして回収するとともに、捕集液から硫酸アンモニウムを分離した分離母液を循環使用することが示されている。また、特許文献2には、多段急冷塔を利用して、反応器出口ガスと硫酸を含有する水溶液とを接触させる方法が記載されている。さらに、特許文献3には、反応器出口ガスを硫酸アンモニウム飽和水溶液や硫酸を含有する液に接触させることにより、未反応アンモニアを硫酸アンモニウムとするとともに、硫酸アンモニウム溶液の表面上に高沸点重合体化合物を浮着させる技術が記載されている。また、特許文献4には、生成気体混合物を70〜100℃の水で洗浄することを特徴とした、洗浄塔と中和塔を分離して処理を行う方法が開示され、特許文献5〜7には、反応器出口ガスを硫酸を含む水溶液で冷却するとともに洗浄する工程において、冷却や洗浄に使用される循環冷却水や抜き出し廃水中の特定成分の濃度を制御する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭46−96253号公報
【特許文献2】
米国特許第3649179号明細書
【特許文献3】
特公昭46−171号公報
【特許文献4】
特公昭44−15645号公報
【特許文献5】
特開2000−26388号公報
【特許文献6】
特開2000−26389号公報
【特許文献7】
特開2000−26390号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、反応器出口ガスを硫酸を含有する水溶液に接触させて得られた水溶液を蒸発濃縮すると、有機物の一部が硫酸アンモニウムとともに固体として析出したり、あるいは、冷却、中和などの工程中に複雑な副反応により生成した高分子化合物がタール状となって析出したりするという問題があった。このように蒸発濃縮中に硫酸アンモニウム以外の物質、特に、タール状物質が発生してしまうと、硫酸アンモニウムと水溶液とに効率的に分離することが困難となるうえ、装置の運転にも支障をきたす場合があった。
また、上述の特許文献1〜4はこのような問題を解決しようとするために検討されたものではなく、また、特許文献5〜7に開示された技術を利用しても、有機固体物質やタール状物質の発生、析出を十分に抑制することはできず、特に、特定のpH領域の場合や、反応器出口ガス中におけるアクリル酸やその塩の量が少ない場合には、有機固体物質やタール状物質の発生、析出をほとんど抑制することはできなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、プロパンおよび/またはプロピレンのアンモ酸化反応の反応器出口ガスを、硫酸を含有する水溶液に接触させて処理液を得て、ついで、この処理液を蒸発濃縮する場合などに、有機固体物質やタール状物質の発生、析出を抑制でき、硫酸アンモニウムの回収と、有機物を含む水溶液の排出とを効率的に行えるアクリロニトリルの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、得られる処理液の性状は、処理液中の有機物の量と、硫酸アンモニウムの量と、反応器出口ガス中におけるアクリロニトリルに対するアクリル酸および/またはその塩の量と、処理液のpHとに鋭敏に影響されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のアクリロニトリルの製造方法は、プロパンおよび/またはプロピレンのアンモ酸化によりアクリロニトリルを製造する方法において、生成したアクリロニトリルと、未反応のアンモニアと、副生したアクリル酸および/またはその塩を含む有機物とを含有する反応器出口ガスを冷却するとともに、硫酸を含有する水溶液に接触させることにより、前記アンモニアと前記硫酸との反応で生成した硫酸アンモニウムと、前記有機物の一部とを少なくとも含有する処理液を得る工程を有し、前記反応器出口ガス中のアクリロニトリルの質量をA、前記アクリル酸および/またはその塩のアクリル酸としての質量をBとした際に、B/Aが0.007以上であり、かつ、前記処理液がpH=6以上の場合には下記式(1)を満足する組成であり、pH=5以上6未満の場合には下記式(2)を満足する組成であり、pH=5未満の場合には下記式(3)を満足する組成であることを特徴とする。
Y<−0.80X+40・・・(1)
Y<−0.78X+35・・・(2)
Y<−0.75X+30・・・(3)
(ただし、式(1)〜(3)中、Yは処理液中の有機物の質量百分率(%)、Xは処理液中の硫酸アンモニウムの質量百分率(%)を表す。)
また、本発明は、前記B/Aが0.008〜0.05である場合に特に効果的である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、プロパンおよび/またはプロレンをアンモ酸化して、アクリロニトリルを生成させる工程を有する。
プロパンおよび/またはプロピレンをアンモ酸化する方法としては、例えば、多成分金属酸化物触媒などの固体触媒が投入された流動床反応器に、少なくともプロパンおよび/またはプロピレンと酸素とアンモニアとを含有し、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈された原料ガスを流通させ、400〜500℃、常圧〜300kPaの条件下において気固接触させる方法があり、流動床反応器の出口からは、通常、目的生成物であるアクリロニトリルの他、副生したアクリル酸および/またはその塩を含む有機物と、未反応アンモニアとが少なくとも含まれる反応器出口ガスが得られる。
反応器出口ガス中の有機物には、アクリル酸および/またはその塩の他、通常、種々の副生成物が含まれる。副生成物の種類や量は、アンモ酸化に使用する触媒の種類、反応温度、原料ガスにおける酸素とアンモニアとプロパンおよび/またはプロピレンとのモル比など、各種反応条件によって異なるが、通常、青酸、アセトニトリルなどのニトリル類;アクロレインなどのアルデヒド類;アクリル酸などの有機酸類およびその塩;ピリジン類などが含まれる。
【0010】
ついで、この反応器出口ガスを冷却するとともに、硫酸を含有する水溶液に接触させる。具体的な方法としては、反応器出口ガスを多段冷却塔などに導入して0.001〜1質量%程度の硫酸を含有する水溶液に接触させることにより、反応器出口ガスの水溶液による冷却と、反応器出口ガスに含まれる未反応のアンモニアの中和とを同時に行う方法が挙げられる。このような方法によれば、冷却と中和とを効率的に行うことができるが、冷却と中和とを別の塔でそれぞれ行ってもよく、また、冷却には硫酸を含有する水溶液を必ずしも使用する必要もない。このようにして反応器出口ガスを硫酸を含有する水溶液に接触させると、未反応のアンモニアと硫酸との中和により硫酸アンモニウムが液中に生成するとともに、反応器出口ガス中のアクリル酸および/またはその塩を少なくとも含む有機物の一部が水溶液に吸収され、その結果、硫酸アンモニウムと有機物とを含有する処理液が得られる。一方、このような処理により硫酸アンモニウムと有機物の一部が除去された残りの反応器出口ガスは、アクリロニトリル回収工程へと導かれる。
【0011】
このようにして得られた処理液は、ついで、例えば10〜70kPa程度の減圧下、60〜110℃の温度で蒸発濃縮されて、有価であり固体として回収される硫酸アンモニウムと、有機物を含み排出される水溶液とに分離されるが、ここで、反応器出口ガス中のアクリロニトリルの質量(A)と、アクリル酸および/またはその塩のアクリル酸としての質量(アクリル酸換算の質量)(B)との比率B/Aが0.007以上となる場合において、処理液のpHが6以上の場合には下記式(1)を満足する組成であり、pHが5以上6未満の場合には下記式(2)を満足する組成であり、pHが5未満の場合には下記式(3)を満足する組成となるように処理液の組成を制御する。ただし、式(1)〜(3)中、Yは処理液における有機物の質量百分率(%)、Xは処理液における硫酸アンモニウムの質量百分率(%)を表す。なお、実際には、処理液のpHが7以上となることや、pHが2未満となることはあまりない。
Y<−0.80X+40・・・(1)
Y<−0.78X+35・・・(2)
Y<−0.75X+30・・・(3)
【0012】
反応器出口ガス中の比率B/Aが0.007以上となる場合に、処理液中の有機物の質量百分率Y(%)と処理液中の硫酸アンモニウムの質量百分率X(%)とが、そのpHに応じて上記式(1)〜(3)を満足すると、その処理液を蒸発濃縮した際に、有機物の一部が硫酸アンモニウムとともに固体として析出したり、高分子量の物質がタール状となって析出したりすることがほとんどなく、処理液を硫酸アンモニウムと水溶液とに効率的に分離できる。また、このようにタール状物質の析出がないために、蒸発濃縮に使用する装置の運転にも支障をきたすことがない。
【0013】
また、有機固体物質およびタール状物質の発生、析出は、処理液のpHが上がるにつれ、より広いXおよびYの領域で認められにくくなる傾向があるものの、反応器出口ガス中のアクリロニトリルの質量(A)と、アクリル酸および/またはその塩のアクリル酸としての質量(B)との比率B/Aが0.007未満であると、たとえ比較的高いpHレベル(pH=7程度)であっても、XおよびYをいかなる範囲に制御しても有機固体物質やタール状物質の発生、析出は著しい。このようなタール状物質は、反応器出口ガスを冷却、中和する過程などで副生した有機物同士が互いに反応したり、あるいは、主生成物であるアクリロニトリルや未反応のアンモニアなどと複雑に反応して生成するものである。
また、反応器出口ガス中のアクリロニトリルの質量(A)とアクリル酸および/またはその塩のアクリル酸としての質量(B)との比率B/Aが0.007以上であっても、処理液が、そのpHに応じて上記式(1)〜(3)を満足しないものである場合には、同じく、蒸発濃縮の過程において有機固体物質やタール状物質の発生、析出は顕著となり、硫酸アンモニウムの回収と、有機物を含む水溶液の排出とを効率的に行えない。
有機固体物質やタール状物質の発生、析出がより抑制される比率B/Aは、好ましくは0.008以上である。一方比率B/Aが0.05を超えると、アクリロニトリルの収率に悪影響を及ぼすとともに、処理液も増加する傾向があるため好ましくない。
【0014】
なお、B/Aは、所定体積の反応器出口ガスをガスクロマトグラフィにより直接分析するか、または、出口ガスを冷水に吸収した液をガスクロマトグラフィにより分析することにより、所定体積の反応器出口ガス中に含まれるアクリロニトリルの質量を求め、同じく所定体積の反応器出口ガスをガスクロマトグラフィにより直接分析するか、または、出口ガスを冷水に吸収した液をガスクロマトグラフィにより分析することにより、所定体積の反応器出口ガス中に含まれるアクリル酸および/またはその塩の質量とを求めることにより決定できる。
また、処理液における有機物の質量百分率Y(%)は、該処理液を全有機炭素分析装置により分析してTOC(全有機炭素)測定値を得て、ついでこのTOC測定値およびアクリル酸測定値から、後述の様にファクター使用して求めることができ、硫酸アンモニウの質量百分率X(%)は、バリウムイオン規定液により硫酸根を滴定して求めることができる。
【0015】
以上説明したようにプロパンおよび/またはプロピレンのアンモ酸化の反応器出口ガスを、硫酸を含有する水溶液に接触させて処理液を得る場合、この処理液における有機物の量と、硫酸アンモニウムの量と、反応器出口ガス中におけるアクリロニトリルに対するアクリル酸および/またはその塩の量と、処理液のpHとを厳密に制御することによって、処理液を蒸発濃縮した場合において、有機固体物質やタール状物質の発生、析出を抑制でき、硫酸アンモニウムの回収と、有機物を含む水溶液の排出とを効率的に行うことができる。
なお、以上説明したアクリロニトリルの製造方法においては、プロパンおよび/またはプロピレンをアンモ酸化反応する際に使用する触媒や反応器の種類、反応条件には特に制限はなく、アクリロニトリルと、未反応のアンモニアと、副生したアクリル酸および/またはその塩を含む有機物とを含有する反応器出口ガスが得られ、その反応器出口ガスを冷却するとともに硫酸を含有する水溶液に接触させることにより処理液を得る工程を有するものであれば、いかなる反応形態であってもよい。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
[触媒製造例1]
特公平2−47265号公報に従って下記実験式で示される触媒を以下のようにして調製した。
0.25Mo0.5Te1.5CuFe11Sb2575.75(SiO50
まず、硝酸(比重1.38)0.59Lを、水0.74Lと混合し加温し、これに電解鉄粉73gを少しずつ加え、完全に溶解したことを確認した。ついで、これに金属テルル粉22.7gを加え溶解させ、さらに、硝酸銅155gを加え溶解させた。
このようにして得られた鉄/テルル/銅溶液に、シリカゾル1785gを加え、その後、三酸化アンチモン433gさらに加えスラリーを得た。
一方、パラタングステン酸アンモニウム7.8gと、パラモリブデン酸アンモニウム10.5gとを、水0.5Lに溶解し、この水溶液を、上記スラリーに加えた。
こうして得られたスラリーに、超音波を照射しつつ、15%アンモニア水を少しずつ加え、pHを2に調整した。超音波照射には、プランソン社製超音波洗浄器を用い、スラリーに間接照射した。
pH調整後、超音波照射を停止し、昇温して還流下に100℃で4時間加熱した。加熱処理の完了したスラリーを、よく攪拌しつつ噴霧乾燥した。
噴霧乾燥により得られた球状粒子を、200℃で4時間、400℃で4時間焼成した後、さらに785℃で3時間焼成し、触媒▲1▼を得た。
【0017】
[触媒製造例2]
特開平2−251250号公報に従って下記実験式で示される触媒を以下のようにして調製した。
Mo10Bi1.0Fe2.0Ni6.5Sb150.20.471.7(SiO60
まず、硝酸カリウム3.92gを水20mLに溶解し、1745gの20%シリカゾルと混合した。この液に攪拌下パラモリブデン酸アンモニウム171.0gを510mLの水に溶解したものを加え混合した。
ついで、この液に、四酸化アンチモン粉末225.6gおよび硝酸ニッケル186.8gを水190mLに溶解した溶液と、硝酸鉄79.8gを水80mLに溶解した溶液と、85%リン酸水溶液2.23gとを順次混合し、スラリーを得た。
このスラリーに、攪拌下、15%アンモニア水を加えpH=8に調整し、次いで、このスラリーと、硝酸ビスマス47.9gを10%硝酸48mlに溶解した溶液とを混合した。
この混合液を噴霧乾燥後、得られた粒子を250℃で加熱処理し、さらに400℃で2.5時間焼成し、さらに620℃で3時間焼成し、触媒▲2▼を得た。
【0018】
[実施例1〜7、比較例1〜7]
(モデル処理液の調製)
触媒▲1▼または触媒▲2▼が300g充填された内径1.5インチの流動床型連続反応器に、原料ガス(アンモニア/空気/プロピレン=1.1/9〜10/1(モル比))を接触時間約2.5秒(触媒容積を静止状態の容積とした場合)で導入し、約440℃、常圧の反応条件で、プロピレンのアンモ酸化を行った。
反応器から流量約3NL/minで排出される反応器出口ガスを、温度調整器付き300mL容器内のモデル吸取水(約100mL)に導入して、最終的に得られるモデル処理液中の有機物の質量百分率Y(%)が、それぞれ表1の値となるまで吸収させ、冷却塔からの廃液を模したモデル処理液を得た。吸収時の液温は75〜80℃に維持した。
【0019】
なお、ここで使用したモデル吸収水には、あらかじめ各例ごとに異なる量のアクリル酸と、硫酸もしくは硫酸アンモニウムとを添加しておいた。硫酸もしくは硫酸アンモニウムの添加量により、アクリロニトリルや青酸の重合の度合いが異なり、また、得られる処理液のpHも異なる。具体的には、表1中、吸収時pHが(a)と記載されているものについては、吸収時のpHが約5〜6となるように硫酸もしくは硫酸アンモニウムを添加した。一方、表1中、吸収時pHが(b)と記載されているものについては、吸収時のpHが約7〜8となるように硫酸もしくは硫酸アンモニウムを添加した。
このようにして各例ごとにpH、硫酸アンモニウムの質量百分率X(%)、有機物の質量百分率Y(%)、アクリル酸量が異なるモデル処理液を得た。これらの値を表1に示す。
【0020】
なお、表1に示したモデル処理液の有機物の質量百分率Y(%)は、モデル処理液の質量をW(g)として次のように求められる;
(1)反応ガス中のアクリル酸量をガスクロマトグラフィーで測定し、各モデル吸収液に導入されたガス量から同液に流入したアクリル酸質量をAg(g)とする。
(2)各モデル吸収水に予め加えたアクリル酸質量をAa(g)とする。
(3)各モデル処理液を全有機炭素分析装置で分析して得られたTOC(全有機炭素)測定値から求めた各モデル吸収液中の全有機炭質量をTc(g)とする。
各モデル吸収液中の有機物はファクターF1=1.7、ファクターF2=2.0を用いて下記の式で表される;
Y(%)={(Tc−Ag/F2−Aa/F2)×F1+Ag+Aa}/W×100
また、表1に示したB/A値は、反応器出口ガスを直接ガスクロマトグラフィで分析したアクリロニトリル量(A)に対する、反応器出口ガスを直接ガスクロマトグラフィで分析したアクリル酸量とあらかじめモデル吸収水に添加しておいたアクリル酸量との総和(B)即ちAg+Aaの比率である。
【0021】
(モデル処理液を蒸発濃縮した際のタール状物質の発生評価)
こうして得られたモデル処理液約100mLを200mLフラスコに採取し、約60℃、約10kPaの減圧条件下で、硫酸アンモニウムが析出するまでモデル処理液の蒸発濃縮を行い、硫酸アンモニウム析出時におけるタール状物質および有機固体物質の発生および析出の様子、量を目視により観察して評価した。結果を表1に示す。表中の略号は以下の内容を示す。
○:タール状物質の発生が少ない
△:タール状物質の発生が中程度
×:タール状物質の発生が多い
【0022】
【表1】
Figure 2004331533
【0023】
実施例および比較例から以下の点が明らかとなった。
1)実施例1および比較例2
アクリル酸濃度(B/A)が本願請求項1の範囲内であり、pHが6〜7の範囲内であると、Y=−0.80X+40を境に、タール状物質の発生程度が異なることが明らかとなった。
2)比較例1
有機物の質量百分率Yが非常に低い(6%)廃液であってもアクリル酸濃度(B/A)が低いと、たとえタール状物質や有機固体物質などの発生・析出の面でより有利であると考えられる比較的高いpH域(6〜7)であっても、蒸発濃縮時におけるタール状物質の発生が多かった。この結果から、より有機物の質量百分率Yまたは硫酸アンモニウムの質量百分率Xが高い領域や、pHがより低い領域では、さらに蒸発濃縮時におけるタール状物質の発生が多くなることが示唆された。
3)実施例2、3比較例3
アクリル酸濃度(B/A)が本願請求項1の範囲内であり、pHが5〜6の範囲内であると、Y=−0.78X+35を境に、タール状物質の発生程度が異なることが明らかとなった。
4)実施例4および比較例4
アクリル酸濃度(B/A)が本願請求項1の範囲内であり、pHが2〜5の範囲内であると、Y=−0.75X+30を境に、タール状物質の発生程度が異なることが明らかとなった。
5)実施例5〜7、比較例5〜7
アクリル酸濃度(B/A)が比較的高くても本願請求項1の範囲内であると、実施例5および比較例5ではY=−0.80X+40、実施例6および比較例6ではY=−0.78X+35、実施例7および比較例7ではY=−0.75X+30を境にタール状物質の発生程度が異なることが明らかとなった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、例えば流動床反応器を用いてプロパンおよび/またはプロピレンをアンモ酸化してアクリロニトリルを製造する方法において、反応器出口ガスを冷却するとともに、硫酸を含有する水溶液に接触させることにより、未反応のアンモニアと硫酸との反応で生成した硫酸アンモニウムと、アクリル酸および/またはその塩を含有する有機物とを少なくとも含有する処理液を得て、この処理液から硫酸アンモニウムを回収すると同時に、有機物を含む水溶液を排出する際に、取り扱いの困難なタール状物質および有機固体物質などの発生・析出量を抑制することができる。よって、本発明によれば、処理液を非常に効率的に処理することができる。

Claims (2)

  1. プロパンおよび/またはプロピレンのアンモ酸化によりアクリロニトリルを製造する方法において、
    生成したアクリロニトリルと、未反応のアンモニアと、副生したアクリル酸および/またはその塩を含む有機物とを含有する反応器出口ガスを冷却するとともに、硫酸を含有する水溶液に接触させることにより、前記アンモニアと前記硫酸との反応で生成した硫酸アンモニウムと、前記有機物の一部とを少なくとも含有する処理液を得る工程を有し、
    前記反応器出口ガス中のアクリロニトリルの質量をA、前記アクリル酸および/またはその塩のアクリル酸としての質量をBとした際に、B/Aが0.007以上であり、かつ、
    前記処理液がpH=6以上の場合には下記式(1)を満足する組成であり、
    pH=5以上6未満の場合には下記式(2)を満足する組成であり、
    pH=5未満の場合には下記式(3)を満足する組成であることを特徴とするアクリロニトリルの製造方法。
    Y<−0.80X+40・・・(1)
    Y<−0.78X+35・・・(2)
    Y<−0.75X+30・・・(3)
    (ただし、式(1)〜(3)中、Yは処理液中の有機物の質量百分率(%)、Xは処理液中の硫酸アンモニウムの質量百分率(%)を表す。)
  2. 前記B/Aが0.008〜0.05であることを特徴とする請求項1に記載のアクリロニトリルの製造方法。
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