JP2004330522A - 積層体 - Google Patents

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Akihiko Kurahashi
明彦 倉橋
Hiroyuki Nakagami
博行 中上
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Abstract

【課題】構成材料であるポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの層間接着性に優れ、使い捨てカイロなどの構成材料として好適な積層体を提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを貼り合わせてなる積層体1であって、前記ポリプロピレン系不織布2の濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上であり、かつ、前記ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3との剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とする積層体1。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体に関する。更に詳しくは、構成材料であるポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの層間接着性に優れ、使い捨てカイロなどの構成材料として好適な積層体に関する。
【0002】
【背景技術】
通気性を有する不織布と多孔質フィルム、特に(ポリ)オレフィン系フィルムとを貼り合わせた積層体が従来から提案されている。当該積層体は、例えば、当該積層体により袋体を形成して、その中に鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩等の発熱体組成物を収納した、いわゆる使い捨てカイロの包装用材料として用いられている。かかる使い捨てカイロは、前記した積層体の有する通気性により内部に空気(酸素)が取り込まれ、内部に存在する発熱性組成物が酸素と接触して発熱することによりカイロとしての機能を有し、しかも火を使わない安全なものであるため、従来の点火式カイロに代わるものとして広く用いられている。
【0003】
このような積層体については、不織布層と多孔質フィルム層を接着剤や粘着剤を介して貼り合わせて積層する手段が数多く提案されている。かかる手段により形成された積層体としては、例えば、粘着性物質を繊維化して形成した多孔性粘着層を介してオレフィン系多孔質フィルムと通気性基材とを接着してなることを特徴とする多孔質包装材(例えば、特許文献1参照)等が報告されている。また、幅方向に通気度が異なる多孔質膜(A)と、最大通気度が当該(A)の最小通気度の10分の1以下であり、かつ破断時のMD/TDの強度比が2倍以上である不織布を、接着剤の非塗布部が非連続であり、幅方向の縦線幅を変化させた正格子パターンでドライラミネーション法により積層したカイロ用積層体(例えば、特許文献2)等も提案されている。
【0004】
このような積層体を構成する不織布としては、一般に、ポリアミド(ナイロン)不織布やレーヨン不織布等の極性基を有する材料が用いられていたが、極性基を有する被着体は、被着体との高い接着性を期待することができるため、被着対象である(ポリ)オレフィン系多孔質フィルムとの間にあっても良好な接着性を有するものであった。
【0005】
一方、近年では、積層体の構成材料として、前記したポリアミド不織布やレーヨン不織布等に加えて、高い生産性と低コスト等の観点から、ポリオレフィン系樹脂を用いた不織布を適用するという試みがなされている。また、特に、汎用性のあるポリプロピレン系樹脂を用いた不織布を構成材料として、オレフィン系多孔質フィルムと積層体を形成する技術も提案されていた(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−131472号公報(第1−6頁)
【特許文献2】
特開平9−85968号公報(第1−8頁)
【特許文献3】
特開平7−47633号公報(第1−4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、ポリプロピレンは、ポリアミドやレーヨンのように極性基を持たないことから、当該材料からなるポリプロピレン系不織布の接着性が乏しく、従って、ポリオレフィン系多孔質フィルムとの接着においても強固な接着性を発現させるのが困難であった。
【0008】
従って、本発明の目的は、ポリプロピレン系不織布と多孔質ポリオレフィン系多孔質フィルムと貼り合わせて積層体を構成した場合において、優れた層間剥離強度を発現させることを可能とする技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の好ましい特性を有する積層材料、特に、構成材料であるポリプロピレンの接着性の向上について鋭意検討を重ねた結果、濡れ指数が一定値以上のポリプロピレン系不織布を用いることにより、前記の課題を解決でき、使い捨てカイロ等の発熱体組成物等を収納する包装材料として好適となることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明の積層体は、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとを貼り合わせてなる積層体であって、前記ポリプロピレン系不織布の濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上であって、かつ、前記ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の積層体は、前記したように、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムを基本構成材料とする積層体である。本発明におけるポリプロピレン系不織布を構成するポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)等を使用することができるが、これらの中でも、耐熱性に優れるホモポリプロピレン(HPP)を使用することが好ましい。
【0012】
また、当該ポリプロピレン系樹脂により構成される不織布の種類としては、特に制限はないが、例えば、スパンレース不織布、熱風ガード不織布、熱エンボスガード不織布等のカード方式で製造された乾式不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、フラッシュ紡糸不織布、トウ開繊式不織布等の公知の不織布が挙げられる。これらの中でも、強度や生産性、製造コスト等の点から、長繊維より構成され製造工程が簡略なスパンボンド不織布を使用することが好ましい。スパンボンド不織布は、一般に、化学繊維を溶融紡糸し、シート状(ウェブ状)とした後、その一部を熱接着して、不織布の形態としたものである。更に、不織布は、一種類の樹脂からなる不織布であってもよく、また、二種以上の樹脂からなる複合繊維からなる不織布であっても構わない。
【0013】
本発明の積層体は、当該積層体を構成するポリプロピレン系不織布の濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上、好ましくは40mN/m(40dyn/cm)以上とすることを特徴とする。濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上であれば、積層するポリオレフィン系多孔質フィルムとの間において良好な接着性を発現させることができる。その一方で、濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)より小さいと、当該多孔質フィルムとの接着性に劣り、使用において剥離が生じる場合がある。更には、接着力を向上させるために接着剤を過剰に使用した場合にコストアップにつながるばかりか、通気性のバラツキ及び低下を招いたり、風合いが悪くなったりする等が有るため好ましくない。なお、かかる濡れ指数は、JIS K6768に準拠して測定を行えばよい。
【0014】
本発明の積層体を構成するポリプロピレン系不織布において、前記した濡れ指数を発現させるためには、当該不織布に対してコロナ放電処理を施すことが好ましい。コロナ放電処理とは、例えば、絶縁された電極と設置された電極と設置された対極誘電ロールとの間に前記ポリプロピレン系不織布を通し、この間に高周波、高電圧を印加する手段であり、当該処理によって、不織布表面の濡れ指数を調整することが可能となる。
【0015】
このコロナ放電処理を行う手段としては、特に制限はないが、例えば、スパークギャップ方式、真空管方式、リゾットステート方式などがあり、本発明を構成するポリプロピレン系不織布に対しては、これらの何れの手段を用いてもよい。また、具体的な処理条件としても、上記した設備方式や求められる仕様に応じて適宜決定すればよい。例えば、周波数1〜600kHz、印加電圧5〜30kV、処理電力を5〜30W/m/分の範囲で処理条件を設定することが好ましい。
【0016】
更には、ポリプロピレン系不織布にコロナ放電処理を行うにあたり、当該処理工程は、不織布製造ライン中、不織布製造後のアウトライン、接着剤を用いるラミネート工程の何れとしてもよい。なお、ポリプロピレン系不織布の濡れ指数は、一般に、コロナ放電処理後の経過時間に従って低下する場合が多く、従って、不織布に対するコロナ放電処理は、接着剤を用いるラミネート工程直前に実施することが好ましいのであるが、例えば、有機溶剤等を使用するドライラミネートでは、製造ライン中にコロナ放電処理を行うとすると防爆設備等の大がかりな設備が必要とされるため、当該ドライラミネートを実施する場合にあっては、不織布製造ライン中もしくは不織布製造後のアウトラインで行うことが好ましい。
【0017】
また、ポリプロピレン系不織布の濡れ指数を38mN/m(38dyn/cm)以上とするためには、ポリプロピレン系不織布の原料であるポリプロピレン系樹脂に対して、極性水素化オリゴマー、多価アルコール、アルキルアミド等の改質剤、界面活性剤、添加剤を配合してポリプロピレン系不織布を調製することにより、ポリプロピレン系不織布の濡れ指数を前記した値以上にしてもよい。更には、あらかじめ製造したポリプロピレン系不織布に対してプラズマ処理等を施して、ポリプロピレン系不織布の濡れ指数を向上させてもよい。
【0018】
本発明の積層体を構成する不織布の目付量としては、特には限定されないが、一般に5〜100g/m程度であればよく、20〜50g/m程度であることが好ましい。不織布の目付量をこの範囲にすることにより、十分な風合いを有する不織布が得られるため好ましい。その一方で、目付量が5g/mより小さいと、ポリプロピレン系不織布の風合いが悪くなり、また、目付量が100g/mより大きいと、ポリプロピレン系不織布が固くなる場合があり、人肌に触れる用途として適さないためそれぞれ好ましくない。
【0019】
不織布を構成するの繊維の太さとしては、特には限定されないが、一般に、1〜20デニールであることが好ましく、2〜10デニールであることがより好ましい。ポリプロピレン系不織布を構成する繊維の太さがこの範囲であれば、人肌に触れる用途として好適なポリプロピレン系不織布が得られる一方、ポリプロピレン系不織布を構成する繊維の太さが1デニールより小さいと、不織布表面のケバが発生し易くなり、また、繊維の太さが20デニールより大きいと、不織布の風合いが劣る場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0020】
次に、本発明の積層体を構成するポリオレフィン系多孔質フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等を使用することができる。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等が挙げられ、また、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)等が挙げられる。更には、これら、ポリオレフィン系多孔質フィルムは、単層構造であってもよく、また、前記した樹脂を積層した多層構造のフィルムとしてもよい。なお、本発明において「フィルム」は、一般的なフィルムのほか、シートの意味も含む。
【0021】
本発明の積層体を構成するポリオレフィン系多孔質フィルムは、例えば、前記した原料樹脂に、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ等の無機フィラーや、セルロース粉、高融点樹脂粉、架橋樹脂粉等の有機充填剤や、木粉等の各種充填剤の1種又は2種以上を含有させた混合材料とし、当該材料をインフレーション成形法、Tダイ成形法等の従来公知の成形方法を用いて押出ないし1軸または2軸延伸することにより得ることができる。また、前記充填剤の含有量は、原料樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して20〜400重量部、好ましくは40〜200重量部とすればよい。また、平均粒径としては、30μm以下、好ましくは0.2〜10μm程度のものを使用すればよい。
【0022】
ポリオレフィン系多孔質フィルムの平均孔径としては、0.1〜50μmが好ましく、0.1〜30μmがより好ましい。ポリオレフィン系多孔質フィルムの平均孔径がかかる範囲であれば、良好な通気性が得られるため好ましい。
【0023】
本発明を構成するポリオレフィン系多孔質フィルムの透湿度としては、100〜5000g/m・日であることが好ましく、また、発熱体収納袋の構成材料とする場合にあっては、200〜2000g/m・日であることが更に好ましい。なお、フィルムの透湿度は、JIS Z0208(カップ法)に準拠して測定すればよい。
【0024】
本発明を構成するポリオレフィン系多孔質フィルムの厚さとしては、一般に15〜200μmが好ましく、20〜100μmとすることが特に好ましい。ポリオレフィン系多孔質フィルムの厚さが15μmより小さいと、ポリプロピレン系不織布と接着した際に所定の剥離強度を発現できない場合がある。また、ポリオレフィン系多孔質フィルムの厚さが200μmより大きいと、ポリプロピレン系不織布と貼り合わせた積層体が固くなりすぎてしまい、肌触り等が悪くなる場合があり、人肌に触れる用途として適さなくなるため好ましくない。
【0025】
本発明の積層体は、前記したポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムを貼り合わせて積層することにより調製される。当該積層ないし貼り合わせ手段としては、積層された際及び使い捨てカイロ等の構成材料として適用された際に十分な貼り合わせ強度を確保できるものであれば特に制限はないが、層間に接着剤を介して貼り合わせ接着・積層を行うことが好ましい。当該接着剤等を用いて貼り合わせ接着を実施する手段としては、特に制限はなく、例えば、ホットメルトラミネート法、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の従来公知の貼り合わせ手段を適用することができる。なお、本明細書において、「接着剤」とは、接着剤のほか、粘着剤も含むものを意味する。
【0026】
また、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムを貼り付けるために用いられる接着剤等の種類としては、例えば、前記したホットメルトラミネート法を実施する際に用いられる接着剤としては、スチレン系、オレフィン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂接着剤等を成分とするものが挙げられる。また、ウェットラミネート法を実施する際に用いられる接着剤としては、酢酸ビニル、スチレン・アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル共重合体等を成分とするものが挙げられる。更には、ドライラミネート法で用いられる接着剤としては、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル/脂肪族イソシアネート系樹脂、イソシアネート系樹脂等を成分とする接着剤が挙げられる。なお、ドライラミネート法で用いられる接着剤には、主として酢酸エチル等の溶剤を使用することができる。
【0027】
本発明の積層体は、前記した接着剤を加熱溶融下に熱風を介して吹き付け展開する、カーテンスプレー方式、スパイラルスプレー方式、メルトブロー方式等の従来公知の手段により、接着剤等を繊維化して、被塗布体であるポリプロピレン系不織布やポリオレフィン系多孔質フィルムに対して展開塗布させ、多孔状態の接着剤層を設けて、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとを積層せしめることが好ましい。あるいは、接着剤等を従来公知の手段によりドット状に点打あるいはビード状に塗布して、接着剤等を部分的に塗布した状態の接着剤層等の形態としてもよい。接着剤をかかる手段により塗布して、接着剤層を形成することにより、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとを貼り合わせることにより、十分な通気性を確保し、かつ透湿性を大きく低下させない状態で積層体を製造可することができる。
【0028】
また、本発明の積層体は、積層体を貼り合わせる手段として、接着剤をグラビアロールを用いて接着剤をポリプロピレン系不織布またはポリオレフィン系多孔質フィルムに塗工して接着剤層を形成して、当該ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムを積層せしめることが好ましい。ドライラミネート方式に代表される当該貼り合わせ手段を用いた場合では、全面に均一に接着剤を塗布しても、工程中で接着剤を含む溶剤が、凹凸を有するグラビアロールの凹部(塗工部)に入ったもののみがポリプロピレン系不織布あるいはポリオレフィン系多孔質フィルムに塗工され、接着剤層が形成される一方、グラビアロールの凸部(非塗工部)では接着剤が塗工されなくなるため、積層体に対して通気性を付与することが可能な貼り合わせ方法といえる。更にはグラビアロールの凹凸部の面積率(開口率:非塗工部の面積率)を調整、例えば、1〜90%程度に調整することにより、積層体の通気性の程度をコントロールすることができる。本発明の積層体にあっては、接着剤をかかる手段により塗布して接着剤層を形成することにより、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとを十分な通気性を確保し、かつ透湿性を大きく低下させない状態で貼り合わせ接着することが可能となるため好ましい。
【0029】
かかる手段により貼り合わされた本発明の積層体は、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの剥離強度を2N/15mm以上とすることを特徴とし、2.5N/15mm以上とすることが好ましい。剥離強度をこの値以上とすることにより、両層間での層間剥離が生じにくくなり、実用上も問題なくなるため好ましい。その一方で、剥離強度が2N/15mmより小さいと、カイロ用の包装材料等として用いた場合にあっては、当該基材を用いて熱シール等により包装体を形成した際に、積層体の層間剥離により破袋する場合があるため好ましくない。かかる剥離強度は、引張強度100mm/分でT型剥離(180度剥離)を行った場合の、15mm巾当たりの最大強度を求めればよい。
【0030】
本発明の積層体は、空気(酸素)の存在下で発熱する性質を有する発熱体組成物を収納する発熱体組成物の収納袋を構成する材料として適用することが好ましく、例えば、使い捨てカイロ用の構成材料として適用することが好ましい。
【0031】
前記使い捨てカイロを調製するには、例えば、ポリオレフィン系多孔質フィルム層が直接重なるように、本発明の積層体を2枚重ね、鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩等の発熱体組成物を所定量充填しながら、四方を熱シール機等でヒートシールすることにより袋状に加工する等の方法が挙げられる。また、人体、衣服に貼付して使用される使い捨てカイロの場合にあっては、あらかじめ粘着加工が施された、ポリオレフィン系の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂からなるフィルムと本発明の積層体とを、発熱体組成物を所定量充填しながら四方を熱シール機等でヒートシールすることにより、袋状に加工してもよい。
【0032】
かくして得られる本発明の積層体は、濡れ指数が一定値以上のポリプロピレン系不織布を構成材料としているので、ポリオレフィン系多孔質フィルムとの接着性に優れ、高い剥離強度を有するものである。従って、例えば、当該積層体で使い捨てカイロ用の構成材料として適用した場合であっても、当該カイロ内に収納される発熱体組成物等の熱によって、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとが剥がれたりすることを防止することができ、使い捨てカイロの構成材料として好適な積層体を提供することができる。
【0033】
そして、本発明の積層体は、前記した使い捨てカイロ用の構成材料として適用するほか、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート等の構成材料としても有利に使用することができるものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本発明の積層体の一態様を示した概略図であり、図2は図1のII−II断面図である。図1及び図2中、1は積層体、2はポリプロピレン系不織布、3はポリオレフィン系多孔質フィルム、4は接着層、をそれぞれ示す。
【0036】
本発明の積層体1は、図1及び図2に示されるように、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを積層した構成をとる。また、本態様では、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3との間には接着剤層4が設けられている。
【0037】
本態様の積層体1を構成するポリプロピレン系不織布2は、後記するコロナ放電処理を施した、濡れ指数が約48mN/m(48dyn/cm)のものを使用している。また、本態様におけるポリプロピレン系不織布2を構成するポリプロピレン系樹脂としては、耐熱性の高いホモポリプロピレンを用いており、また、不織布の種類としては、スパンボンド不織布が用いられている。
【0038】
本態様で使用されるポリプロピレン系不織布2は、コロナ放電処理を施されている。このコロナ放電処理を行う手段としては、例えば、スパークギャップ方式、真空管方式、リゾットステート方式などが公知であり、本発明を構成するポリプロピレン系不織布2に対しては、これら公知の方式の何れを用いてもよい。
【0039】
コロナ放電処理の具体的な処理条件としては、前記した設備方式や求められる仕様に応じて適宜決定すればよいが、例えば、周波数1〜600kHz、印加電圧5〜30kV、処理電力を5〜30W/m/分の範囲で処理条件を設定することが好ましい。なお、本態様のポリプロピレン系不織布2は、当該不織布製造後のアウトラインにてあらかじめコロナ放電処理が施されている。
【0040】
また、本態様の積層体1を構成するポリオレフィン系多孔質フィルム3としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、炭酸カルシウム等の無機フィラーを含有させた混合材料を使用した、単層構造の多孔質フィルムである。当該フィルム3の調製は、前記した混合材料を、インフレーション成形法、Tダイ成形法等の従来公知の成形方法を用いて押出ないし1軸または2軸延伸することにより得ることができる。
【0041】
また、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3との間の接着剤層4としては、ポリアミド系接着剤が用いられている。
【0042】
次に、前記図1に示す構成の積層体1を製造する製造装置について、積層体1を接着させるための接着剤14の塗布手段として、カーテンスプレー方式を用い、また、貼り合わせ手段としてホットメルトラミネート方式を用いた態様を例として説明する。
【0043】
図3に示される製造装置10は、カーテンスプレー装置11、第1繰出機15、第2繰出機18、巻取機19、スリッター20及びロール21を基本構成として備えている。
【0044】
まず、接着剤14を塗布するカーテンスプレー装置11は、例えば、特開2001−96654号公報の図6に開示されるような従来公知の装置を用いればよい。当該カーテンスプレー装置11は、図3に示すように、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルムと3を積層・接着するための接着剤14を供給する接着剤導入部12を備え、接着剤排出部13から接着剤14を、均一な繊維状かつ進行方向と平行なカーテン状で、塗布体であるポリプロピレン系不織布2に対して排出することができる機能を有するものである。
【0045】
また、第1繰出機15は、例えば、ポリプロピレン系不織布2を取り付けておくことが可能で、また、当該不織布2を送り出すためのものである。この第1繰出機15の大きさや方式等は特に制限はなく、任意の大きさや方式のものを適用することができる。
【0046】
押圧ロール16は、冷却ロール17との間に挿通されるポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを押圧するためのものである。押圧ロール16の材質は、特に制限はないが、押圧ロール16の表面は、ゴム等の弾性部材で構成されているものが好ましい。
【0047】
冷却ロール17は、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3を冷却するものであり、例えば、水冷式、空冷式等各種形式の冷却ロールを使用することができる。
【0048】
更には、第2繰出機18は、例えば、ポリオレフィン系多孔質フィルム3を取り付けておくことが可能で、また、当該フィルム3を送り出すためのものである。第2繰出機18の大きさや方式等も、第1繰出機15と同様に、特に制限はなく、任意の大きさや方式等を適用することができる。
【0049】
そして、巻取機19は、貼り合わせ接着・積層されたポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とからなる積層体1を巻き取るためのものである。この巻取機19の大きさや方式等は、特に制限はない。
【0050】
本発明の積層体1は、前記した図3に示す製造装置10を用いて、以下の手段で製造することができる。すなわち、まず、第1繰り出し機15に、あらかじめコロナ放電処理を施した濡れ指数が約48mN/m(48dyn/cm)のポリプロピレン系不織布2を取り付けておき、また、第2繰出機18には、ポリオレフィン系多孔質フィルム3を取り付けておく。そして、カーテンスプレー装置11に取り付けられている接着剤導入部12に、前記ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを貼り合わせ接着・積層するための接着剤14であるポリアミド系接着剤を入れておく。
【0051】
次に、第1繰出機15からポリプロピレン系不織布2を送り出すと、当該不織布2の表面上方に存在するカーテンスプレー装置11の接着剤排出部13から、繊維状のポリアミド系接着剤14が、ポリプロピレン系不織布2の進行方向と平行なカーテン状となって、ポリプロピレン系不織布2の表面上に積層展開されることになる。
【0052】
ポリアミド系接着剤14が積層展開されたポリプロピレン系不織布2は、ポリオレフィン系多孔質フィルム3とともに、押圧ロール16と冷却ロール17との間を挿通する。押圧ロール16は、ポリプロピレン系不織布2側より押圧して、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを、ポリアミド系接着剤14を介して十分に密着状態とするはたらきをする。
【0053】
冷却ロール17は、挿通されてくる材料を冷却する機能を有しており、両材料間に存在する接着剤14を冷却固化させる。このようにして、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とをポリアミド系接着剤14により確実に貼り合わせ接着して、積層が完了する。
【0054】
そして、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを貼り合わせ接着・積層した積層体は、冷却ロール17を回り込み、ロール21との間を挿通して、スリッター20により積層体1の幅を調整した後、巻取機19に巻かれることになる。このようにして製造された本発明の積層体1の剥離強度は、約3.4N/15mmとなる。
【0055】
また、本実施形態に係る積層体1は、空気(酸素)の存在下において発熱する発熱体組成物41を収納する発熱体組成物の収納袋の構成材料として用いられることが好ましく、具体的には、図5及び図6に示されるような形態の使い捨てカイロ40用の構成材料として用いられることが好ましい。
【0056】
図5及び図6に示す使い捨てカイロ40は、例えば、スリットされた積層体1を2枚貼り合わせるようにダイロールに投入され、内部に発熱体組成物41を収納し、その後カットされて袋状物を得る。なお、使い捨てカイロ40は、ポリオレフィン系多孔質フィルム3同士が向き合うように、積層体1を2枚貼り合わせたものである。積層体1の各辺は、ヒートシールされてヒートシール部42となる。
【0057】
使い捨てカイロ40の製造手順としては、従来公知のダイロール方式の自動充填製袋機にて、本発明の積層体1を、ポリオレフィン系多孔質フィルム3同士が向き合うように、2枚重ねて貼り合わせる。そして、発熱体組成物41を積層体1に充填しながら、各ヒートシール部42が形成される。なお、発熱体組成物41は、鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩等であり、空気(酸素)の存在下にて発熱する特性をもつ。
【0058】
前記した本発明の実施形態によれば、次に挙げるような効果を得ることができる。まず、本発明の積層体1は、構成材料であるポリプロピレン系不織布2の濡れ指数を38mN/m(38dyn/cm)以上としているため、ポリオレフィン系多孔質フィルム3と貼り合わせ接着を行って積層体を構成した場合における剥離強度を2N/15mm以上とすることができる。このため、当該積層体1を使い捨てカイロ40の構成材料として適用された場合であっても、当該包装材内に収納される発熱体組成物41等の熱によって、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とが剥がれたりすることを防止することができる。
【0059】
また、ポリプロピレン系不織布2としてポリプロピレンスパンボンド不織布を使用しているため、構成する繊維を連続長繊維とすることができ、積層体1に優れた柔軟性、風合い及び強度を付与することができる。また、スパンボンド不織布を使用することにより、製造工程が簡略となり、製造コストの削減を図ることができる。
【0060】
更には、構成材料として適度な通気性を有するポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3を採用しているため、使い捨てカイロ40用の構成材料として使用された場合にあっても、当該カイロ40の機能を好適に発揮させることが可能な包装材とすることができる。そして、両材料を接着する接着剤14の塗布手段として、カーテンスプレー方式を採用しているため、接着剤層4により積層体1の通気性が阻害されることもないのである。
【0061】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としてもよい。
【0062】
例えば、前記の実施形態においては、ポリプロピレン系不織布2としてホモポリプロピレンを用いた例を示したが、これには限定されず、例えば、ランダムポリプロピレンを使用してもよい。また、不織布の種類としても、スパンボンド不織布の例を示したが、これには限定されず、従来公知の不織布を使用することができる。
【0063】
本態様で使用されたポリプロピレン系不織布2にはあらかじめコロナ放電処理が施されていたが、濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上のポリプロピレン系不織布2とすることができるのであれば、当該処理は必ずしも必須ではない。また、ポリプロピレン系不織布2の濡れ指数を38mN/m(38dyn/cm)以上とするためには、当該不織布2の原料であるポリプロピレン系樹脂に対して、改質剤、界面活性剤、添加剤を添加してポリプロピレン系不織布2を調製したり、あるいは、あらかじめ製造したプロピレン不織布にプラズマ処理等の手段を施すことにより、ポリプロピレン系不織布2の濡れ指数を38mN/m(38dyn/cm)以上としてもよい。
【0064】
コロナ放電処理の処理手段や具体的な処理条件としても、特に制限はなく、求められる仕様等に応じて適宜決定すればよい。更には、不織布に対してコロナ放電処理を施す工程についても、前記した実施態様では、不織布製造後のアウトラインで処理を施した例を示したが、不織布製造ライン中や貼り合わせ工程において実施してもよい。
【0065】
また、ポリオレフィン系多孔質フィルム3を構成するポリオレフィン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンを用いた例を示したが、これには限定されず、他のポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。更には、ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられ、ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられ、これらを使用してもよい。
【0066】
ポリオレフィン系多孔質フィルム3は、単層構造のものを例示したが、これには限定されず、前記したポリオレフィン系樹脂や、当該樹脂を異なる製法で調製したものとの多層構造とするほか、これらの樹脂のブレンド材料を使用しても構わない。
【0067】
ポリオレフィン系多孔質フィルム3には、原料であるポリオレフィン系樹脂と炭酸カルシウム等の無機フィラーとを混合して、当該混合材料をインフレーション成形法、Tダイ成形法、キャスティング成形法等の従来公知の成形方法を用いて押出ないし1軸または2軸延伸した例を示したが、当該フィルム3の構成や製法は特には限定されず、ポリオレフィン系多孔質フィルム3であれば従来公知のものを使用することができる。
【0068】
更には、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3を積層する手段としても、図3に示した装置を用い、ホットメルトラミネート方式により貼り合わせ接着・積層した例を示したが、これには限定されず、ドライラミネート方式、ウェットラミネート方式等、両者を貼り合わせ可能であれば任意の手段を適用させることができる。また、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3を積層する際に使用する接着剤14も、ポリアミド系接着剤を例として示したが、これには限定されず、ポリプロピレン系不織布2並びにポリオレフィン系多孔質フィルム3の種類及び両者を接着する手段等に応じて適宜決定すればよい。
【0069】
なお、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを積層する手段としては、以下に示す図4のドライラミネート装置30等を用い、ポリプロピレン系不織布2の表面に接着剤14を塗布して接着剤層4を形成した後、当該ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3を貼り合わせて積層化して積層体1を製造するドライラミネート法を用いてもよい。
【0070】
図4は、本発明の積層体1を製造する装置の他の態様であるドライラミネート装置30を示した図であり、接着剤を貯めておくパン31、接着剤14を塗工するグラビアロール32及びバックアップロール33とからなる塗工部34、接着剤を乾燥する乾燥機35、ポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルムをラミネートする加熱金属ロール36及びゴムロール、ラミネート後の積層体1を冷却する冷却ロール38、及び図3と同様に第1繰出機15a、第2繰出機18a、巻取機19a及びスリッター20aを基本構成とする。
なお、グラビアロール32としては、開口率(非塗工部分の面積の割合)を調整して、接着剤14を部分的に塗工可能なグラビアロールを用いて接着剤14を塗布してもよい。
【0071】
前記した図4のドライラミネート装置30を用いて、本発明の積層体1を製造する手段を示せば、以下の通りである。すなわち、まず、塗工部34のパン31に接着剤(例えば、酢酸エチル等を溶剤としたイソシアネート系接着剤14a等)を入れ、第1繰出機14aから送り出されたポリプロピレン系不織布2の表面に対して、グラビアロール32及びゴムロールを介して、接着剤14aを塗布する。次に、接着剤14aが塗布されたポリプロピレン系不織布2は、乾燥機35を通過することにより乾燥された後、第2繰出機18aから繰り出されたポリオレフィン系多孔質フィルム3と対向し、加熱金属ロール36とゴムロール37の間を挿通することにより貼り合わせ接着される。そして、貼り合わせ接着された積層体1は、冷却ロール38を通して冷却された後、スリッター20aで巾が調整され、巻取機19aに巻き取られることになる。このようにしてドライラミネート法により得られた本発明の積層体1のポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの剥離強度は、約2.5N/15mmとなる。また、かかる方法によりポリプロピレン系不織布2とポリオレフィン系多孔質フィルム3とを貼り合わせることにより、透湿性を大きく低下させずに、十分な通気性を確保した積層体1を提供することができる。
【0072】
なお、図3及び図4の装置は、ホットメルトラミネート法及びドライラミネート法を実施するための一態様を示したに過ぎず、当該装置の形状や構造等は任意のものを適用させても何ら問題はない。また、前記した態様では、ポリプロピレン系不織布2に接着剤14を塗布した後に、ポリオレフィン系多孔質フィルム3を積層した例を示したが、これには限定されず、ポリオレフィン系多孔質フィルム3に接着剤14を塗布した後に、ポリプロピレン系不織布2を積層するようにしてもよい。
【0073】
また、本発明の積層体1を構成材料とする使い捨てカイロ30についても、図5及び図6に示すように、スリットされた当該積層体1を2枚貼り合わせるようにして形成されていたが、これには限定されず、例えば、下記図7及び図8に示すように、本発明の積層体1と、粘着加工が施されたフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系の樹脂等からなるのフィルムとを貼り合わせて袋状に加工して形成するようにしてもよい。
【0074】
図7及び図8は、使い捨てカイロ40の他の態様を示した図であり、図7は概略図、図8は図7のVIII−VIII断面図である。本態様は、前記した図5及び図6の態様とは、本発明の積層体1と、粘着層7が形成された離型紙6付きフィルム5とを貼り合わせている点において相違するものである。
【0075】
図7に示される使い捨てカイロの調製は、前記した図5のカイロ40と同様な製造手順と同様に、積層体1のポリオレフィン系多孔質フィルムとフィルム5が向き合うように貼り合わせてヒートシールすればよく、また、使用時には、離型紙6を剥がして、粘着層7を人体や衣服等に被着させればよい。
【0076】
そして、本発明の積層体1の適用例としては、使い捨てカイロ40用の包装材の態様を示したが、これには限定されず、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート等に適用させてもよい。
【0077】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
【0078】
〔実施例1〕
(A)コロナ放電処理ポリプロピレン系不織布の調製:
ポリプロピレン系不織布としてポリプロピレンスパンボンド不織布(ストラテックRW2040:出光ユニテック(株)製、目付 40g/m、濡れ指数 32mN/m(32dyn/cm)を用い、当該不織布に対して、装置として市販されるコロナ放電処理装置(春日電機(株)製)を用い、処理電力条件を10W/m/分としてコロナ放電処理を行い、コロナ放電処理ポリプロピレン系不織布を得た。かかるポリプロピレン系不織布のぬれ指数は48mN/m(48dyn/cm)であった。
【0079】
(B)ポリオレフィン系多孔質フィルムの調製:
直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して炭酸カルシウム120重量部を配合した混合材料を、Tダイキャスト成形法を用いて押出し、延伸倍率を4倍として一軸で延伸処理して、厚さ80μmのポリオレフィン系多孔質フィルムを得た。かかるポリオレフィン系多孔質フィルムの透湿度は600g/m・日であった。
【0080】
図3に示す製造装置を用いて、まず、実施例1(A)で製造したコロナ放電処理ポリプロピレン系不織布に対して、接着剤としてポリアミド系ホットメルト接着剤をカーテンスプレー方式で繊維化して展開堆積させた。そして、当該展開堆積させた層上に、実施例1(B)で製造したポリオレフィン系多孔質フィルムをホットメルトラミネートして貼り合わせて、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの積層体(厚さ約252μm)を製造した。
【0081】
〔実施例2〕
実施例1(A)で製造したコロナ放電処理ポリプロピレン系不織布と実施例(B)で製造したポリオレフィン系多孔質フィルムを、接着剤としてイソシアネート系接着剤(溶剤として酢酸エチルを使用)を用いて、開口率(非塗工部の面積)が10%のグラビアロールを用いた図4に示すドライラミネート装置により両者を貼り合わせて接着・積層して、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの積層体(厚さ約230μm)を製造した。
【0082】
〔比較例1〕
ポリプロピレン系不織布として、ポリプロピレンスパンボンド不織布(ストラテックRW2040:出光ユニテック(株)製、目付 40g/m、濡れ指数32mN/m(32dyn/cm)を、また、ポリオレフィン系多孔質フィルムとして、実施例1(B)で製造したポリオレフィン系多孔質フィルムをそれぞれ用いて、実施例1と同様な装置及び製法により、積層体を製造した。
【0083】
〔比較例2〕
ポリプロピレン系不織布として、ポリプロピレンスパンボンド不織布(ストラテックRW2040:出光ユニテック(株)製、目付 40g/m、濡れ指数32mN/m(32dyn/cm)を、また、ポリオレフィン系多孔質フィルムとして実施例1(B)で製造したポリオレフィン系多孔質フィルムをそれぞれ用いて、実施例2と同様な装置及び製法により、積層体を製造した。
【0084】
[試験例1]
上記の実施例1、2及び比較例1、2で得られた各積層体に対して、剥離強度として、引張試験機を用いて、引張速度を200mm/分として、180度剥離(T型剥離)を行った場合の15mm当たりの最大強度を測定して、比較・評価した。評価結果を表1に示す。
【0085】
( 評価結果 )
【表1】
Figure 2004330522
【0086】
表1の結果からわかるように、ポリプロピレン系不織布として濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上の材料を用いた実施例1及び2の積層体の剥離強度は、いずれも2N/15mm以上と高いものであった。従って、発熱体組成物を収納する使い捨てカイロ用の構成材料としても好適であると考えられる。
【0087】
一方、比較例1及び2の積層体は、本発明の積層体と比較して、剥離強度が大きく劣るものであった。従って、使い捨てカイロ用の包装材として用いた場合にあっては、当該カイロの使用中にポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとが剥がれ、包装材が破袋する可能性がある。
【0088】
【発明の効果】
本発明の積層体は、構成材料のポリプロピレン系不織布の濡れ指数を一定値以上としているため、ポリオレフィン系多孔質フィルムと貼り合わせて積層体を構成した場合において優れた剥離強度を発現させることができる。従って、当該積層体で使い捨てカイロの構成材料として適用した場合であっても、当該カイロ内に収納される発熱体組成物等の熱によって、ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとが剥がれたりすることを防止することができ、使い捨てカイロの構成材料等として好適な積層体を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の一態様を示した概略図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の積層体を製造する製造装置の一態様を示すブロック図である。
【図4】本発明の積層体を製造する製造装置の他の態様を示すブロック図である。
【図5】本発明の積層体により構成される使い捨てカイロの一態様を示した概略図である。
【図6】図6のVI−VI断面図である。
【図7】使い捨てカイロの他の態様を示した概略図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
1 積層体
2 ポリプロピレン系不織布
3 ポリオレフィン系多孔質フィルム
4 接着剤層
5 フィルム
6 離型紙
7 粘着層
10 製造装置
11 カーテンスプレー装置
12 接着剤導入部
13 接着剤排出部
14 接着剤(ポリアミド系接着剤)
14a 接着剤(イソシアネート系接着剤)
15 第1繰出機
16 押圧ロール
17 冷却ロール
18 第2繰出機
19 巻取機
20 スリッター
21 ロール
30 ドライラミネート装置
31 パン
32 グラビアロール
33 バックアップロール
34 塗工部
35 乾燥機
36 加熱金属ロール
37 ゴムロール
38 冷却ロール
39 ガイドロール
40 使い捨てカイロ
41 発熱体組成物
42 ヒートシール部

Claims (9)

  1. ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとを貼り合わせてなる積層体であって、前記ポリプロピレン系不織布の濡れ指数が38mN/m(38dyn/cm)以上であり、かつ、前記ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムとの剥離強度が2N/15mm以上であることを特徴とする積層体。
  2. 請求項1に記載の積層体において、前記ポリプロピレン系不織布がポリプロピレンスパンボンド不織布であることを特徴とする積層体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層体において、前記ポリオレフィン系多孔質フィルムが、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)よりなる群から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする積層体。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の積層体において、前記ポリプロピレン系不織布の目付が5〜100g/mであることを特徴とする積層体。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の積層体において、前記ポリオレフィン系多孔質フィルムの透湿度が100〜5000g/m・日であることを特徴とする積層体。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の積層体において、貼り合わせ手段が、接着剤をグラビアロールを用いて前記ポリプロピレン系不織布またはポリオレフィン系多孔質フィルムに塗工して接着剤層を設けて、前記ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムを積層せしめることを特徴とする積層体。
  7. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の積層体において、貼り合わせ手段が、接着剤を繊維化して形成した接着剤層を設けて、前記ポリプロピレン系不織布とポリオレフィン系多孔質フィルムを積層せしめることを特徴とする積層体。
  8. 請求項7記載の積層体において、前記接着剤層がカーテンスプレー方式により形成されるものであることを特徴とする積層体。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れかに記載の積層体において、使い捨てカイロの構成材料として適用されることを特徴とする積層体。
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