JP2004329585A - 掃除用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】従来品では拭き取りが不充分であった毛髪や脂汚れにも対応可能で、かつ清掃時の抵抗の少ない掃除用シートを提供する。
【解決手段】清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜8mmの熱接着性合成繊維からなる、エアレイド法により製造された目付6〜50g/m2の表層部不織布からなり、さらに、該不織布における、下記で表される繊維末端指数(SI値)が18,000〜180,000である掃除用シート。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9,000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【選択図】 図2
【解決手段】清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜8mmの熱接着性合成繊維からなる、エアレイド法により製造された目付6〜50g/m2の表層部不織布からなり、さらに、該不織布における、下記で表される繊維末端指数(SI値)が18,000〜180,000である掃除用シート。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9,000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライまたはウェット状態で使用される掃除用シート、特に、業務用あるいは一般家庭用として用いられる使い捨てタイプの掃除用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、使い捨てタイプの掃除用シートとしては、乾式または湿式の不織布あるいはこれらの不織布に熱エンボスを付与したものなどがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−286206号公報(特許請求の範囲)
【0004】
これらの掃除用シートは、表面層における親水性セルロース繊維の量が多いので、湿潤強力に欠けるばかりか、繊維の脱落も多く、また、表面層が緻密過ぎて毛髪や糸くずのようなゴミの捕捉には、不充分である。
さらに、水溶性の汚れについては薬液を含浸したウエットタイプによって清掃可能であるが、皮脂などの脂汚れについては清掃能力が不充分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の掃除用シートでは拭き取りが不充分であった毛髪や脂汚れにも対応可能で、濡れても強い掃除用シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜8mmの熱接着性合成繊維からなる、エアレイド法により製造された目付6〜50g/m2の表層部不織布からなり、さらに、該不織布における、下記で表される繊維末端指数(SI値)が18,000〜180,000であることを特徴とする掃除用シートである。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【0007】
また、本発明は、熱接着性合成繊維と親水性繊維とが混合され、該熱接着性合成繊維どうし、おび熱接着性合成繊維と親水性繊維とが熱接着された目付10〜200g/m2の内層部不織布層の両面に、熱接着性合成繊維からなり、かつ該熱接着性合成繊維どうしが熱接着された、清掃面を形成する表層不織布層とが重ね合わせられて形成され、これらの不織布層が熱接着により一体化されており、全体として6〜25g/gの吸水性を有する、請求項1記載の掃除用シートである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0009】
図1は本発明に係る掃除用シートの平面図である。図1において、符号10は、エアレイド法により製造された掃除用シートである。この掃除用シート10は、図2に示すように、表層不織布層11,11と内層部不織布層12とから構成され、これらの不織布層11,12は、熱接着により一体化されている。
【0010】
掃除用シート10を本発明のエアレイド法により製造すると、不織布層11,12を構成している構成繊維がシート面に対して垂直方向に配向されやすく、特に清掃面である不織布層11の表面には細かいブラシ状の繊維末端が多数形成されることから、繊維末端部による汚れの掻き落とし能力が発現し、従来品では清掃が不充分であった毛髪や脂汚れも効果的に清掃することが可能となる。
【0011】
この掃除用シート10は、次の方法により製造される。すなわち、まず熱接着性合成繊維のみを空気流に均一分散させながら搬送して吐出部に設けた細孔を有するスクリーンから吹き出し、その下方に設置された金属またはプラスチックのネット上に堆積させて表層部不織布層を形成し、次に熱接着性合成繊維とパルプ繊維のような親水性繊維との混合物を同様な方法で空気流に均一分散させながら搬送して吐出部に設けた細孔を有するスクリーンから吹き出し、下方に設置された金属またはプラスチックのネット上に堆積された表層部不織布層の上に内層部不織布層として堆積させる。さらに、再度、この上に熱接着性合成繊維のみからなる表層部不織布層を同じ手法により堆積させて掃除用シート10を形成する。空気流はネット下方のサクションにより吸引させる。しかる後に、繊維どうしの接合点を熱接着により結合させると同時に、上下の表層部不織布層11と内層部不織布層12とを熱接着させるのである。その後、例えば各種の界面活性剤、防黴剤、抗菌剤、アルコールなどを添加した水を、不織布に対して150〜350重量%含浸させてウエットワイパーとして使用するか、あるいは例えば流動パラフィンのような粘着剤を付与してドライワイパーとして使用する。
ウエットワイパーとしては、特にアルカリ性電解水を用いると、合成界面活性剤の力を使わずに床面汚れに対して洗浄作用をアップする効果が期待できるので、合成薬剤がもたらす地球環境や人への影響を無くすることになり、特に好ましい。
【0012】
この方法により製造された不織布は、長手方向、幅方向および厚み方向に繊維がランダムに3次元配向されることから掃除用シートとして好適である。ドライの状態で使用する場合、十分な吸水性を有するので床面の汚れた水をきれいに清掃することができるし、あらかじめ水などを含浸させてウエットワイパーとして使用する場合でも十分な水分を保持させることができる。また、均一性が良好なので、掃除用シートとして性能のバラツキも少ない。必要であれば、さらに、カレンダー処理やエンボス処理を施すこともできる。
【0013】
本発明の掃除用シートは、上記のエアレイド法によるものが好適であるが、他の製法による、通気性を有する不織布あるいはネットとの複合体であっても良い。その場合、金属またはプラスチックのネット上に他の不織布あるいはネットを置き,その上に本発明の不織布層をエアレイド法で形成させることができる。
【0014】
内層部不織布層12は、熱接着性合成繊維と親水性繊維との混合物である必要がある。熱接着性繊維は、清掃面となる表層部不織布層との熱接着、および親水性繊維の接着・固定に必要であり、親水性繊維は、ドライタイプワイパーの場合には床面に存在する水性汚れの吸収の役割となり、ウエットワイパーの場合には清掃用水系薬剤の保持に必要である。
親水性繊維としては、パルプ、レーヨン、ビニロンなどが挙げられるが、これらの混合物でも良い。特に、パルプは、性能およびコストの観点から好適である。内層部不織布層12には、必要に応じて高吸水性ポリマーや高吸水性繊維を含有させておいても良い。清掃面を形成する表層部不織布層が表裏に存在しているので、内層部のパルプなどの親水性繊維の脱落を抑えたり、ドライワイパーの場合に吸収した水性汚れによる再汚染を抑えたり、ウエットワイパーの場合に内層部に蓄えられる清掃用水系薬剤の急激な流出を抑えたりするばかりか、表も裏も使えるので効率的である。
【0015】
この清掃用シート10は、清掃面を形成する表層部不織布層11が、下記で表される繊維末端指数(SI値=S×D2)が18,000〜180,000、より好ましくは20,000〜150,000、さらに好ましくは23,000〜140,000であることを特徴とする。
【0016】
ここで、単位面積当たりの繊維末端数(S)は、次式により計算される。
S=A×9,000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【0017】
繊維末端指数(SI値)が18,000未満の場合は、細繊度過ぎて繊維が柔らかく、繊維末端による毛髪や脂汚れの絡め取りが難しくなったり、また、太繊度であっても繊維間空隙が大き過ぎて毛髪や脂汚れの捕捉がやはり不十分となることを意味する。一方、SI値が180,000を超える場合は、太繊度過ぎて微細なゴミの捕捉が不十分となったり、細繊度であっても繊維末端数が多すぎて繊維間空隙が小さく、毛髪などの入り込む余地が少なくなる状態となり、いずれも好ましくない。
【0018】
つまり、シート構成繊維がシート面に対して垂直方向に配向され、シート面にブラシ状の繊維末端が多数形成されることから、繊維末端による毛髪などの保持効果が発揮されると共に掻き落とし能力が発現し、従来品では掃除が不充分であった油汚れも効果的に掻き落とすことが可能となる。
【0019】
熱接着性合成繊維としては、熱で溶融して相互に結合する繊維であれば、どのような繊維でもよい。この繊維間結合による網目状構造によってパルプ繊維が固定されるが、例えばポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0020】
このうち、ポリオレフィン系熱接着性合成繊維としては、芯鞘型や偏芯サイドバイサイド型の複合繊維が好適である。鞘や繊維外周部を構成するポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられる。芯成分や繊維内層部を構成するポリマーとしては、鞘より高融点であり、加熱接着処理温度で変化しないポリマーが好ましく、ポリプロピレン、ポリエステルなどが挙げられる。特に、ポリエステルの場合には、ペットボトル再生原料を用いればリサイクル関連商品としてさらに好適である。
【0021】
このようなポリマーの組み合わせとしては、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステルなどが挙げられる。これらのポリマーは、本発明の作用・効果を阻害しない範囲で変性されていても差し支えがなく、鞘成分としてパルプ繊維との親和性が大きいポリマーを使った繊維、例えば不飽和カルボン酸類でグラフト化されたポリオレフィン類などが特に好ましい。さらに、フィブリル状繊維であってもよい。例えば、三井化学株式会社のSWPなどが挙げられる。
【0022】
清掃面を形成する表層部不織布に使用される熱接着性合成繊維の繊度としては、6〜50dtが好ましい。特に、8〜30dtが好ましい。繊維の太さが50dtを超えると、パルプ繊維の脱落が抑え切れず好ましくない。一方、6dt未満では、細繊度過ぎて繊維が柔らかく、かつ繊維間空隙が小さく、毛髪などの入り込む余地が少なくなる状態となって繊維末端による毛髪や脂汚れの絡め取りが難しくなる。6dt以上の場合は、特に清掃面との滑り易さが増大するので、清掃作業がスムースにできるという実用上の効果が大きい。
【0023】
熱接着性合成繊維の繊維長としては、2〜8mmが好ましい。繊維長が2mm未満になると、粉末状に近づき、繊維間結合による網目構造が作り難くなり、パルプ繊維の脱落が抑え切れないばかりか不織布としての強力が低くなる。一方、8mmを超えると、不織布の強力が上がるが、不織布製造時の空気輸送中に繊維どうしが絡まり易くなり、繊維塊を増大させるので、好ましくない。特に、好ましいのは3〜5mmである。
【0024】
表層部不織布層11には、熱接着性合成繊維のほかに、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ビニロンなどの合成繊維、あるいはパルプ、コットン、麻などの天然繊維などの他の繊維を含んでも良い。
【0025】
この場合、表層部不織布層11における熱接着性合成繊維の割合は、95〜100重量%が好ましい。95重量%未満の場合は、熱接着性合成繊維どうしの繊維間結合による網目構造が不十分となるために、それ以外の繊維の脱落を抑えることが難しくなる。一方、95重量%以上であれば、繊維脱落防止と共に湿潤強度の低下も少ない。ウエットワイパーの場合には清掃用水系薬剤をあらかじめ含浸して使うので湿潤強力は重要な要素であるし、ドライワイパーの場合にも水性汚れを吸収した場合の強度低下が少ないことは実用上好ましい。どのような場合においても繊維脱落があることはワイパーとして不適格である。
【0026】
表層部不織布層11を形成する熱接着性合成繊維は熱接着されており、この熱接着性合成繊維間結合による網目状構造でパルプ繊維が固定される。目付は、5g/m2を超えて50g/m2までが好ましい。5g/m2以下では耐水性を有する熱接着性合成繊維の量および繊維間の結合点数が少ないので、十分な湿潤強度を確保できないばかりでなく、脱落繊維の増大を招き易い。一方、50g/m2を超えると、耐水性のある熱接着の層が厚くなり過ぎ、水分の吸収が不充分となる。さらに好ましくは、8〜40g/m2である。
【0027】
内層部不織布層12は、熱接着性合成繊維とパルプ繊維とが熱接着により一体化されている。熱接着性合成繊維は、表層部不織布層11と同じ繊維を用いても良いし、異なった繊維を用いても良い。また、パルプ繊維としては、0.2〜5mmの粉砕パルプが好ましい。
【0028】
内層部不織布層12の熱接着性合成繊維とパルプ繊維との混合比率は、熱接着性合成繊維の比率が熱接着性合成繊維とパルプ繊維の合計に対して20重量%未満では、脱落繊維が増加し、強度、特に、湿潤時の強度が低下する。一方、60重量%を超えると、吸収性に寄与するパルプ繊維の量が低下して吸収性に欠けるようになる。
【0029】
内層部不織布層12において、熱接着性合成繊維どうし、また、熱接着性合成繊維とパルプ繊維とは、熱接着されている。この内層部不織布層12の目付は、10〜200g/m2が好ましい。10g/m2未満ではパルプの量が少な過ぎて吸水性が不充分であり、一方、200g/m2を超えると、剛性が増して全体が板状になり取り扱い性に欠ける。さらに好ましくは、15〜150g/m2である。
【0030】
また、不織布全体としては、表層部不織布層11と内層部不織布層12との間も熱接着性合成繊維どうしの熱接着により一体化され、多層構造を形成している。
【0031】
このエアレイド不織布は、タテとヨコの強力の比率が乾燥時および湿潤時ともに0.8〜1.2、より好ましくは0.85〜1.2である必要がある。どららか一方の強度が低ければ、実用上の支障がでる。
【0032】
また、乾燥時強力(D)と湿潤時強力(W)の比率(W/D)は、0.6〜1.1が好ましく、より好ましくは、0.7〜1.1である。0.6未満では、乾燥時に比べて湿潤時の強力が大きく低下する。濡れると弱くなる不織布であり、意図するところから外れ、実用上、問題が生ずる。また、湿潤時には、水分の存在による繊維間の表面張力で強度が上昇し、数値が1を超える場合がある。しかし、別の手段が存在しない限り、数値が1.1を超えることがない。
【0033】
このエアレイド不織布は、適度の水分吸収性が必要であり、水分の吸収性は、6〜25g/gが好ましく、より好ましくは、8〜22g/gである。6g/g未満では水分保持性に欠け、25g/gを超えると、保持する水分量が多すぎて取り扱い性に問題がでる。エアレイド不織布全体の目付は、30〜300g/m2である。好ましくは40〜250g/m2であり、さらには45〜200g/m2が好ましい。目付が30g/m2未満では、清掃用シートとしての強力や取り扱い性に欠けるばかりか、清掃効果も十分には期待できなくなる。一方、300g/m2を超えると、板状となり著しく取り扱い性に欠けるばかりかコストアップとなる。
【0034】
ウエットワイパーに使用する場合に、あらかじめ含浸しておく薬液成分としては、水を主成分として、さらに各種の界面活性剤、防黴剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤、ワックス、洗浄剤、滑剤、アルコールなどを必要に応じて適宜することができる。原水に水溶性の電離性無機物質を少量添加しこれを電気分解することにより得られる陰極水は、アルカリ性を示し洗浄作用があることが知られているが、これをあらかじめ含浸しておけば、合成界面活性剤の力を使わずに床面汚れに対して洗浄作用をアップする効果が期待できるので、地球環境やヒトへの影響を無くすることになり、特に好ましい。このアルカリ性電解水は、原水に水溶性の電離性無機物質、例えば炭酸水素ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどを少量添加し、これを電気分解することにより得られ、水素イオン指数(pH)が8〜11が好ましい。8未満では洗浄力に欠け、一方11を超えると人の肌や清掃対象物に悪影響が起きるので好ましくない。特に好ましいのは、9〜10である。
【0035】
この清掃用シートは清掃用具に装着して使用しても良く、直接手で持って使用しても良い。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0037】
実施例1〜4,比較例1〜4,従来例
本発明のうち、特にウエットワイパーとしての清掃用シート(本発明1〜4)と比較例および従来例(市販品)について構成、性能などの比較を表1に示す。
【0038】
(1)性能試験方法
▲1▼滑り抵抗
試験装置のワイパーヘッドに試料を装着した後、ワイパーヘッド上に分銅をおいて荷重を加えた状態でテーブルをスライドさせる。そして、テーブルスライド時にワイパーヘッドにかかる力をストレインゲージで測定し、最大値を滑り抵抗値(N)とする。5回づつ試験しそれぞれの最大値の平均値で表した。荷重は400gと1kgで試験した。実施例はいずれも滑り抵抗値が低く、清掃作業が楽に行えることを示している。
・テーブル移動速度:75mm/sec
・テーブルスライド距離:750mm/sec
・ワイパーヘッドへの試料装着方向(図3参照)
・ワイパーヘッドに加える荷重はワイパーヘッドの重量を含んだ値
(テストに用いたワイパーヘッドの重量は400g)
【0039】
▲2▼毛髪保持性能
試験装置のスライドテーブル上に長さ約10cmの毛髪10本を置き、その上に試料を装着したワイパーヘッド(荷重400g)を置いてからスライドテーブルをスライドさせる。1回スライドさせた後、ワイパーヘッドを取り外し、試料に保持されている毛髪を数え、毛髪保持力(本/10本)とする。それぞれにつき3回づつ試験し、その平均値で表した。
なお、テーブル移動速度、テーブルスライド距離、ワイパーヘッドへの試料装着方向は、実施例1の場合と同じ。
実施例はいずれも優れた毛髪保持力を有していることが分かる。
【0040】
▲3▼油脂汚れ落とし性能
市販の料理用牛脂を加熱して溶かし、ガラス板上に5滴滴下(アルファベットのWの頂点部)してから常温にて約1時間放置し、凝固させる。このガラス板を試験装置に取り付け、試料を装着したワイパーに荷重(1kg)を加えた状態にてテーブルをスライドさせる。
なお、テーブル移動速度、テーブルスライド距離、ワイパーヘッドへの試料セット方向は、実施例1の場合と同じ。
結果の表示は次の通り。
○:牛脂がほぼ取れた。
○〜△:一部に牛脂が残ったが、ほぼ取れた。
△:牛脂が取れた部分でも薄く皮膜状に残り、かつ一部に牛脂が残った。
△〜×:一部に牛脂が取れた部分がある。
×:ほとんど取れなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
<注>含浸液の組成:水/エチルアルコール=90/10wt%(ただし、実施例4は、pH10のアルカリ電解水を用いた)
【0043】
【発明の効果】
上記のように、本発明のウェットワイパー用シートは、清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜7mmの熱接着性合成繊維からなる、かつ、エアレイド法により製造された目付8〜50g/m2の不織布で構成されており、さらに、下記で表される繊維末端指数(SI値)が15,000〜150,000である。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【0044】
その結果、シート構成繊維がシート面に対して垂直方向に配向され、シート面にブラシ状の繊維末端が多数形成されることから、繊維末端による毛髪保持力や、汚れの掻き落とし能力が発現し、従来品ではキャッチしにくかったヒトやペットの毛髪も良く保持することができる上,油汚れも効果的に掻き落とすことが可能になった。ウエットワイパーとして使用する場合、水系洗浄液の含浸性も良好であり、ドライワイパーとして使用する場合は床面などの水性汚れの吸収性にも優れており、しかも濡れても強いなど、実用上の特性に大きな特徴を有する。なお、従来品と同様に微細なチリ、ゴミなどを捕捉できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る掃除用シートの平面図である。
【図2】本発明に係る掃除用シートの拡大断面図である。
【図3】性能試験における試料装着方向を示す説明図である。
【符号の説明】
10 掃除用シート
11 表層部不織布層
12 内層部不織布層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライまたはウェット状態で使用される掃除用シート、特に、業務用あるいは一般家庭用として用いられる使い捨てタイプの掃除用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、使い捨てタイプの掃除用シートとしては、乾式または湿式の不織布あるいはこれらの不織布に熱エンボスを付与したものなどがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−286206号公報(特許請求の範囲)
【0004】
これらの掃除用シートは、表面層における親水性セルロース繊維の量が多いので、湿潤強力に欠けるばかりか、繊維の脱落も多く、また、表面層が緻密過ぎて毛髪や糸くずのようなゴミの捕捉には、不充分である。
さらに、水溶性の汚れについては薬液を含浸したウエットタイプによって清掃可能であるが、皮脂などの脂汚れについては清掃能力が不充分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の掃除用シートでは拭き取りが不充分であった毛髪や脂汚れにも対応可能で、濡れても強い掃除用シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜8mmの熱接着性合成繊維からなる、エアレイド法により製造された目付6〜50g/m2の表層部不織布からなり、さらに、該不織布における、下記で表される繊維末端指数(SI値)が18,000〜180,000であることを特徴とする掃除用シートである。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【0007】
また、本発明は、熱接着性合成繊維と親水性繊維とが混合され、該熱接着性合成繊維どうし、おび熱接着性合成繊維と親水性繊維とが熱接着された目付10〜200g/m2の内層部不織布層の両面に、熱接着性合成繊維からなり、かつ該熱接着性合成繊維どうしが熱接着された、清掃面を形成する表層不織布層とが重ね合わせられて形成され、これらの不織布層が熱接着により一体化されており、全体として6〜25g/gの吸水性を有する、請求項1記載の掃除用シートである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0009】
図1は本発明に係る掃除用シートの平面図である。図1において、符号10は、エアレイド法により製造された掃除用シートである。この掃除用シート10は、図2に示すように、表層不織布層11,11と内層部不織布層12とから構成され、これらの不織布層11,12は、熱接着により一体化されている。
【0010】
掃除用シート10を本発明のエアレイド法により製造すると、不織布層11,12を構成している構成繊維がシート面に対して垂直方向に配向されやすく、特に清掃面である不織布層11の表面には細かいブラシ状の繊維末端が多数形成されることから、繊維末端部による汚れの掻き落とし能力が発現し、従来品では清掃が不充分であった毛髪や脂汚れも効果的に清掃することが可能となる。
【0011】
この掃除用シート10は、次の方法により製造される。すなわち、まず熱接着性合成繊維のみを空気流に均一分散させながら搬送して吐出部に設けた細孔を有するスクリーンから吹き出し、その下方に設置された金属またはプラスチックのネット上に堆積させて表層部不織布層を形成し、次に熱接着性合成繊維とパルプ繊維のような親水性繊維との混合物を同様な方法で空気流に均一分散させながら搬送して吐出部に設けた細孔を有するスクリーンから吹き出し、下方に設置された金属またはプラスチックのネット上に堆積された表層部不織布層の上に内層部不織布層として堆積させる。さらに、再度、この上に熱接着性合成繊維のみからなる表層部不織布層を同じ手法により堆積させて掃除用シート10を形成する。空気流はネット下方のサクションにより吸引させる。しかる後に、繊維どうしの接合点を熱接着により結合させると同時に、上下の表層部不織布層11と内層部不織布層12とを熱接着させるのである。その後、例えば各種の界面活性剤、防黴剤、抗菌剤、アルコールなどを添加した水を、不織布に対して150〜350重量%含浸させてウエットワイパーとして使用するか、あるいは例えば流動パラフィンのような粘着剤を付与してドライワイパーとして使用する。
ウエットワイパーとしては、特にアルカリ性電解水を用いると、合成界面活性剤の力を使わずに床面汚れに対して洗浄作用をアップする効果が期待できるので、合成薬剤がもたらす地球環境や人への影響を無くすることになり、特に好ましい。
【0012】
この方法により製造された不織布は、長手方向、幅方向および厚み方向に繊維がランダムに3次元配向されることから掃除用シートとして好適である。ドライの状態で使用する場合、十分な吸水性を有するので床面の汚れた水をきれいに清掃することができるし、あらかじめ水などを含浸させてウエットワイパーとして使用する場合でも十分な水分を保持させることができる。また、均一性が良好なので、掃除用シートとして性能のバラツキも少ない。必要であれば、さらに、カレンダー処理やエンボス処理を施すこともできる。
【0013】
本発明の掃除用シートは、上記のエアレイド法によるものが好適であるが、他の製法による、通気性を有する不織布あるいはネットとの複合体であっても良い。その場合、金属またはプラスチックのネット上に他の不織布あるいはネットを置き,その上に本発明の不織布層をエアレイド法で形成させることができる。
【0014】
内層部不織布層12は、熱接着性合成繊維と親水性繊維との混合物である必要がある。熱接着性繊維は、清掃面となる表層部不織布層との熱接着、および親水性繊維の接着・固定に必要であり、親水性繊維は、ドライタイプワイパーの場合には床面に存在する水性汚れの吸収の役割となり、ウエットワイパーの場合には清掃用水系薬剤の保持に必要である。
親水性繊維としては、パルプ、レーヨン、ビニロンなどが挙げられるが、これらの混合物でも良い。特に、パルプは、性能およびコストの観点から好適である。内層部不織布層12には、必要に応じて高吸水性ポリマーや高吸水性繊維を含有させておいても良い。清掃面を形成する表層部不織布層が表裏に存在しているので、内層部のパルプなどの親水性繊維の脱落を抑えたり、ドライワイパーの場合に吸収した水性汚れによる再汚染を抑えたり、ウエットワイパーの場合に内層部に蓄えられる清掃用水系薬剤の急激な流出を抑えたりするばかりか、表も裏も使えるので効率的である。
【0015】
この清掃用シート10は、清掃面を形成する表層部不織布層11が、下記で表される繊維末端指数(SI値=S×D2)が18,000〜180,000、より好ましくは20,000〜150,000、さらに好ましくは23,000〜140,000であることを特徴とする。
【0016】
ここで、単位面積当たりの繊維末端数(S)は、次式により計算される。
S=A×9,000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【0017】
繊維末端指数(SI値)が18,000未満の場合は、細繊度過ぎて繊維が柔らかく、繊維末端による毛髪や脂汚れの絡め取りが難しくなったり、また、太繊度であっても繊維間空隙が大き過ぎて毛髪や脂汚れの捕捉がやはり不十分となることを意味する。一方、SI値が180,000を超える場合は、太繊度過ぎて微細なゴミの捕捉が不十分となったり、細繊度であっても繊維末端数が多すぎて繊維間空隙が小さく、毛髪などの入り込む余地が少なくなる状態となり、いずれも好ましくない。
【0018】
つまり、シート構成繊維がシート面に対して垂直方向に配向され、シート面にブラシ状の繊維末端が多数形成されることから、繊維末端による毛髪などの保持効果が発揮されると共に掻き落とし能力が発現し、従来品では掃除が不充分であった油汚れも効果的に掻き落とすことが可能となる。
【0019】
熱接着性合成繊維としては、熱で溶融して相互に結合する繊維であれば、どのような繊維でもよい。この繊維間結合による網目状構造によってパルプ繊維が固定されるが、例えばポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0020】
このうち、ポリオレフィン系熱接着性合成繊維としては、芯鞘型や偏芯サイドバイサイド型の複合繊維が好適である。鞘や繊維外周部を構成するポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられる。芯成分や繊維内層部を構成するポリマーとしては、鞘より高融点であり、加熱接着処理温度で変化しないポリマーが好ましく、ポリプロピレン、ポリエステルなどが挙げられる。特に、ポリエステルの場合には、ペットボトル再生原料を用いればリサイクル関連商品としてさらに好適である。
【0021】
このようなポリマーの組み合わせとしては、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステルなどが挙げられる。これらのポリマーは、本発明の作用・効果を阻害しない範囲で変性されていても差し支えがなく、鞘成分としてパルプ繊維との親和性が大きいポリマーを使った繊維、例えば不飽和カルボン酸類でグラフト化されたポリオレフィン類などが特に好ましい。さらに、フィブリル状繊維であってもよい。例えば、三井化学株式会社のSWPなどが挙げられる。
【0022】
清掃面を形成する表層部不織布に使用される熱接着性合成繊維の繊度としては、6〜50dtが好ましい。特に、8〜30dtが好ましい。繊維の太さが50dtを超えると、パルプ繊維の脱落が抑え切れず好ましくない。一方、6dt未満では、細繊度過ぎて繊維が柔らかく、かつ繊維間空隙が小さく、毛髪などの入り込む余地が少なくなる状態となって繊維末端による毛髪や脂汚れの絡め取りが難しくなる。6dt以上の場合は、特に清掃面との滑り易さが増大するので、清掃作業がスムースにできるという実用上の効果が大きい。
【0023】
熱接着性合成繊維の繊維長としては、2〜8mmが好ましい。繊維長が2mm未満になると、粉末状に近づき、繊維間結合による網目構造が作り難くなり、パルプ繊維の脱落が抑え切れないばかりか不織布としての強力が低くなる。一方、8mmを超えると、不織布の強力が上がるが、不織布製造時の空気輸送中に繊維どうしが絡まり易くなり、繊維塊を増大させるので、好ましくない。特に、好ましいのは3〜5mmである。
【0024】
表層部不織布層11には、熱接着性合成繊維のほかに、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ビニロンなどの合成繊維、あるいはパルプ、コットン、麻などの天然繊維などの他の繊維を含んでも良い。
【0025】
この場合、表層部不織布層11における熱接着性合成繊維の割合は、95〜100重量%が好ましい。95重量%未満の場合は、熱接着性合成繊維どうしの繊維間結合による網目構造が不十分となるために、それ以外の繊維の脱落を抑えることが難しくなる。一方、95重量%以上であれば、繊維脱落防止と共に湿潤強度の低下も少ない。ウエットワイパーの場合には清掃用水系薬剤をあらかじめ含浸して使うので湿潤強力は重要な要素であるし、ドライワイパーの場合にも水性汚れを吸収した場合の強度低下が少ないことは実用上好ましい。どのような場合においても繊維脱落があることはワイパーとして不適格である。
【0026】
表層部不織布層11を形成する熱接着性合成繊維は熱接着されており、この熱接着性合成繊維間結合による網目状構造でパルプ繊維が固定される。目付は、5g/m2を超えて50g/m2までが好ましい。5g/m2以下では耐水性を有する熱接着性合成繊維の量および繊維間の結合点数が少ないので、十分な湿潤強度を確保できないばかりでなく、脱落繊維の増大を招き易い。一方、50g/m2を超えると、耐水性のある熱接着の層が厚くなり過ぎ、水分の吸収が不充分となる。さらに好ましくは、8〜40g/m2である。
【0027】
内層部不織布層12は、熱接着性合成繊維とパルプ繊維とが熱接着により一体化されている。熱接着性合成繊維は、表層部不織布層11と同じ繊維を用いても良いし、異なった繊維を用いても良い。また、パルプ繊維としては、0.2〜5mmの粉砕パルプが好ましい。
【0028】
内層部不織布層12の熱接着性合成繊維とパルプ繊維との混合比率は、熱接着性合成繊維の比率が熱接着性合成繊維とパルプ繊維の合計に対して20重量%未満では、脱落繊維が増加し、強度、特に、湿潤時の強度が低下する。一方、60重量%を超えると、吸収性に寄与するパルプ繊維の量が低下して吸収性に欠けるようになる。
【0029】
内層部不織布層12において、熱接着性合成繊維どうし、また、熱接着性合成繊維とパルプ繊維とは、熱接着されている。この内層部不織布層12の目付は、10〜200g/m2が好ましい。10g/m2未満ではパルプの量が少な過ぎて吸水性が不充分であり、一方、200g/m2を超えると、剛性が増して全体が板状になり取り扱い性に欠ける。さらに好ましくは、15〜150g/m2である。
【0030】
また、不織布全体としては、表層部不織布層11と内層部不織布層12との間も熱接着性合成繊維どうしの熱接着により一体化され、多層構造を形成している。
【0031】
このエアレイド不織布は、タテとヨコの強力の比率が乾燥時および湿潤時ともに0.8〜1.2、より好ましくは0.85〜1.2である必要がある。どららか一方の強度が低ければ、実用上の支障がでる。
【0032】
また、乾燥時強力(D)と湿潤時強力(W)の比率(W/D)は、0.6〜1.1が好ましく、より好ましくは、0.7〜1.1である。0.6未満では、乾燥時に比べて湿潤時の強力が大きく低下する。濡れると弱くなる不織布であり、意図するところから外れ、実用上、問題が生ずる。また、湿潤時には、水分の存在による繊維間の表面張力で強度が上昇し、数値が1を超える場合がある。しかし、別の手段が存在しない限り、数値が1.1を超えることがない。
【0033】
このエアレイド不織布は、適度の水分吸収性が必要であり、水分の吸収性は、6〜25g/gが好ましく、より好ましくは、8〜22g/gである。6g/g未満では水分保持性に欠け、25g/gを超えると、保持する水分量が多すぎて取り扱い性に問題がでる。エアレイド不織布全体の目付は、30〜300g/m2である。好ましくは40〜250g/m2であり、さらには45〜200g/m2が好ましい。目付が30g/m2未満では、清掃用シートとしての強力や取り扱い性に欠けるばかりか、清掃効果も十分には期待できなくなる。一方、300g/m2を超えると、板状となり著しく取り扱い性に欠けるばかりかコストアップとなる。
【0034】
ウエットワイパーに使用する場合に、あらかじめ含浸しておく薬液成分としては、水を主成分として、さらに各種の界面活性剤、防黴剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤、ワックス、洗浄剤、滑剤、アルコールなどを必要に応じて適宜することができる。原水に水溶性の電離性無機物質を少量添加しこれを電気分解することにより得られる陰極水は、アルカリ性を示し洗浄作用があることが知られているが、これをあらかじめ含浸しておけば、合成界面活性剤の力を使わずに床面汚れに対して洗浄作用をアップする効果が期待できるので、地球環境やヒトへの影響を無くすることになり、特に好ましい。このアルカリ性電解水は、原水に水溶性の電離性無機物質、例えば炭酸水素ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどを少量添加し、これを電気分解することにより得られ、水素イオン指数(pH)が8〜11が好ましい。8未満では洗浄力に欠け、一方11を超えると人の肌や清掃対象物に悪影響が起きるので好ましくない。特に好ましいのは、9〜10である。
【0035】
この清掃用シートは清掃用具に装着して使用しても良く、直接手で持って使用しても良い。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0037】
実施例1〜4,比較例1〜4,従来例
本発明のうち、特にウエットワイパーとしての清掃用シート(本発明1〜4)と比較例および従来例(市販品)について構成、性能などの比較を表1に示す。
【0038】
(1)性能試験方法
▲1▼滑り抵抗
試験装置のワイパーヘッドに試料を装着した後、ワイパーヘッド上に分銅をおいて荷重を加えた状態でテーブルをスライドさせる。そして、テーブルスライド時にワイパーヘッドにかかる力をストレインゲージで測定し、最大値を滑り抵抗値(N)とする。5回づつ試験しそれぞれの最大値の平均値で表した。荷重は400gと1kgで試験した。実施例はいずれも滑り抵抗値が低く、清掃作業が楽に行えることを示している。
・テーブル移動速度:75mm/sec
・テーブルスライド距離:750mm/sec
・ワイパーヘッドへの試料装着方向(図3参照)
・ワイパーヘッドに加える荷重はワイパーヘッドの重量を含んだ値
(テストに用いたワイパーヘッドの重量は400g)
【0039】
▲2▼毛髪保持性能
試験装置のスライドテーブル上に長さ約10cmの毛髪10本を置き、その上に試料を装着したワイパーヘッド(荷重400g)を置いてからスライドテーブルをスライドさせる。1回スライドさせた後、ワイパーヘッドを取り外し、試料に保持されている毛髪を数え、毛髪保持力(本/10本)とする。それぞれにつき3回づつ試験し、その平均値で表した。
なお、テーブル移動速度、テーブルスライド距離、ワイパーヘッドへの試料装着方向は、実施例1の場合と同じ。
実施例はいずれも優れた毛髪保持力を有していることが分かる。
【0040】
▲3▼油脂汚れ落とし性能
市販の料理用牛脂を加熱して溶かし、ガラス板上に5滴滴下(アルファベットのWの頂点部)してから常温にて約1時間放置し、凝固させる。このガラス板を試験装置に取り付け、試料を装着したワイパーに荷重(1kg)を加えた状態にてテーブルをスライドさせる。
なお、テーブル移動速度、テーブルスライド距離、ワイパーヘッドへの試料セット方向は、実施例1の場合と同じ。
結果の表示は次の通り。
○:牛脂がほぼ取れた。
○〜△:一部に牛脂が残ったが、ほぼ取れた。
△:牛脂が取れた部分でも薄く皮膜状に残り、かつ一部に牛脂が残った。
△〜×:一部に牛脂が取れた部分がある。
×:ほとんど取れなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
<注>含浸液の組成:水/エチルアルコール=90/10wt%(ただし、実施例4は、pH10のアルカリ電解水を用いた)
【0043】
【発明の効果】
上記のように、本発明のウェットワイパー用シートは、清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜7mmの熱接着性合成繊維からなる、かつ、エアレイド法により製造された目付8〜50g/m2の不織布で構成されており、さらに、下記で表される繊維末端指数(SI値)が15,000〜150,000である。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm)
【0044】
その結果、シート構成繊維がシート面に対して垂直方向に配向され、シート面にブラシ状の繊維末端が多数形成されることから、繊維末端による毛髪保持力や、汚れの掻き落とし能力が発現し、従来品ではキャッチしにくかったヒトやペットの毛髪も良く保持することができる上,油汚れも効果的に掻き落とすことが可能になった。ウエットワイパーとして使用する場合、水系洗浄液の含浸性も良好であり、ドライワイパーとして使用する場合は床面などの水性汚れの吸収性にも優れており、しかも濡れても強いなど、実用上の特性に大きな特徴を有する。なお、従来品と同様に微細なチリ、ゴミなどを捕捉できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る掃除用シートの平面図である。
【図2】本発明に係る掃除用シートの拡大断面図である。
【図3】性能試験における試料装着方向を示す説明図である。
【符号の説明】
10 掃除用シート
11 表層部不織布層
12 内層部不織布層
Claims (3)
- 清掃面が繊度6〜50dt、繊維長2〜8mmの熱接着性合成繊維からなる、エアレイド法により製造された目付6〜50g/m2の表層部不織布からなり、さらに、該不織布における、下記で表される繊維末端指数(SI値)が18,000〜180,000であることを特徴とする掃除用シート。
SI値=S×D2
ここで、S=A×9,000×2/(D×L×10)
ただし、S:繊維末端数(ケ/cm2)
A:目付(g/m2)
D:繊度(dt)
L:繊維長(mm) - 熱接着性合成繊維と親水性繊維とが混合され、該熱接着性合成繊維どうし、および熱接着性合成繊維と親水性繊維とが熱接着された目付10〜200g/m2の内層部不織布層の両面に、熱接着性合成繊維からなり、かつ該熱接着性合成繊維どうしが熱接着された、清掃面を形成する表層部不織布層とが重ね合わせられて形成され、これらの不織布層が熱接着により一体化されており、全体として6〜25g/gの吸水性を有する請求項1記載の掃除用シート。
- 清掃用水系液体として、あらかじめアルカリ性電解水を含浸してなる、請求項1または2記載の掃除用シート。
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