JP2004323411A - ポリエステル廃棄物のリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステルを含有する廃棄物から再び元のポリエステル製品群を何度も生産できるリサイクル方法を確立すること。
【解決手段】ポリエステル廃棄物を原料として、粗製ポリエステルフレークを得る前処理工程と、高圧、高温度下に水と接触させ、ポリエステルモノマーを得る加水分解工程と、得られた粗製ポリエステルモノマーを酢酸水溶液で洗浄し、残留金属を除去する洗浄工程と、水に溶解し水素添加触媒存在下、水添することで着色物を除去する水添工程と適当な粒径を得るための晶析工程を経て高純度のポリエステルモノマーを製造し、これらを原料にポリエステル製品を製造して市場に再び供給する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル廃棄物から有効成分をリサイクルする方法に関し、詳しくは、リサイクルの実施による品質劣化を回避することによる半永久的に実施可能なポリエステルのリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル製品(ボトル容器、フィルム、繊維他)の消費量は年々増大しており、中でもポリエチレンテレフタレート製ボトル(PETボトル)の消費量増加は著しく、PETボトルだけでも大雑把にみて、1997年は22万トン、1998年は33万トンが消費され、2001年にはその消費量は40万トンを超している。今後もポリエチレンテレフタレート製品の消費量は年々増加すると予測され、使用済みポリエチレンテレフタレート製品の回収率とリサイクル率を向上することは地球規模で必要不可欠な命題となっている。
【0003】
最近、使用済みPETボトルの分別収集と再商品化が法律で義務付けられ、行政と民間が一体となって使用済みPETボトルの回収とリサイクルに努めている。回収率は年々増加し2001年には40%を超えているが、現在のところ再生品用途が限定されており、回収率の向上と共に再生品用途の拡大も課題となっている。 従来、回収されたPETボトルは、市町村が分別・減容圧縮してPETボトルのベール(例えば40×40×60cm程度)とし、再商品化業者に引き渡している。再商品化業者は、これを解俵して金属、塩ビボトル等の異物を分別し、洗浄した後に更に着色ボトルを分別し、次に粉砕してラベル、アルミ等を分別する。更に、洗浄を行い、ポリエステル以外のプラスチック(ポリエチレン、ポリスチレン等)を分別し、脱水、乾燥を行なった後、更に磁力による金属の分別を行ない、フレークもしくはペレットとしている。
このフレークは、利用業者に送られ、該業者はこのフレークもしくはペレットを原料として、カーペット、卵等の包装用フィルム、短繊維等、PETボトル以外の製品としている。
またポリエステルを化学的に分解しオリゴマーもしくはモノマーを回収し再びポリエステルを重合する方法が各種開発されている。例えば特開2002−60369、特開2002167469に開示されている方法はポリエチレンテレフタレートからジメチルテレフタレートを経由し高純度テレフタル酸を得る方法である。この方法ではメタノールを加えて分解した後に再び加水分解してテレフタル酸に戻すという工程が多数に及び、メタノールの処理も環境負荷が大きい。また、特開2000−169623、特開2000−53802にはポリエチレンテレフタレートからビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る方法が開示されているが、エチレングリコールがテレフタル酸に対し2モルとなり、重縮合反応で溜去するエチレングリコール量が通常よりも多くポリエステル生産性の低下が予想される。更に、特許第3042076号や特開2000−53801などには超臨界又は亜臨界と呼ばれる高温高圧状態の水と反応させ加水分解するプロセスが開示されているが、精製法についての記述はなく、PETボトルなどに使用されるポリエチレンテレフタレート用原料としては不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現状の回収、リサイクル方法では次のような問題点があった。まず、化学的に分解しないリサイクル法では、異物混入の問題が完全に解決されていないため、製品の品質変動が大きくなる。また、リサイクルにより品質の低下が発生するため、適用できる製品の種類が限定され、マーケットと比較して過剰生産になる。一方化学的に分解するリサイクル方法では、これまでに提案されている方法は、分解及び/または精製工程が多段にわたり、また副成するアルコール、グリコール、ジカルボン酸塩などの処理に大きなエネルギーおよびコストがかかっているため、より簡便なリサイクル方法が望まれている。
【0005】
本発明は、アルキレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸からなるポリエステルモノマー組成物の精製方法を提供し、既存のフタル酸製造設備による該モノマー組成物の処理工程を可能にすることを目的とする。また本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンイソフタレートから得られる廃棄物を化学的に分解し、アルキレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸からなるポリエステルモノマー組成物を得る製造方法を提供する。これにより、ポリエステル廃棄物よりバージン品と同等品質のポリエステルを生産し、これを利用することにより同品質のポリエステル製品を幾度でも生産できるリサイクル方法の確立を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、不純物、異物類を含有するポリエステル廃棄物を出発原料として高純度のポリエステル中間原料、製品を得る方法について鋭意検討の結果、本発明は次のような構成を採用した。
ポリエステルのリサイクル方法は、使用済みのポリエステル廃棄物に粉砕、洗浄、異物分別等の前処理を施して粗製ポリエステルフレークを得る前処理工程と、得られた粗製ポリエステルフレークを、水と接触させ、ポリエステルモノマーを得る加水分解工程と、得られた粗製ポリエステルモノマーを洗浄する精製工程と、水に溶解し水素添加触媒存在下、水添することで着色物を除去する水添工程と適当な粒径を得るための晶析工程を経て高純度のポリエステルモノマー製造し、これらを原料にポリエステル製品を製造して市場に再び供給する。
【0007】
本発明にかかる精製工程は、得られた粗製ポリエステルモノマー組成物を酢酸水溶液で洗浄し、残留金属を除去する洗浄工程からなる。モノマー組成物は具体的にはアルキレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸からなり、水溶液の酢酸濃度60乃至100重量%、酢酸水溶液中のテレフタル酸および/又はイソフタル酸濃度1乃至40重量%、処理温度60乃至140℃、であることを特徴とする。本精製工程により、残存金属量は0.5ppm以下まで低減することが望ましい。
本発明にかかる加水分解工程は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンイソフタレートから得られる粗製ポリエステルフレークを、高圧、高温度下に水と接触させ、アルキレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸からなるモノマー組成物を得ることを特徴とする。
【0008】
前記加水分解工程に供給するに当たり、ポリエステルを溶融させ、高温高圧水と混合して供給することが効率的である。
前記加水分解工程に供給するポリエステルに対する高温高圧水の割合が2乃至10wt%、更には3乃至5wt%とすることが望ましい。
前記加水分解工程の反応温度が200乃至400℃、圧力が5乃至40MPa、望ましくは温度300乃至400℃、圧力10乃至30MPaとすることが効果的である。
前記加水分解工程に供給される水の温度Tは溶融ポリエステルの温度Tより高く、さらに反応器内の温度Tと同一もしくは、反応器内の温度よりも高い、すなわち T>T、T≧Tが成立することが効果的である。すなわち溶融ポリエステルは高温水から熱エネルギーを得ることで反応温度近傍まで加熱される。
【0009】
前記酢酸洗浄工程を効率的、経済的に実施するため、テレフタル酸製造プロセスにおけるテレフタル酸を酢酸でリスラリー工程を利用して実施し、新たに設備を建設することなしに洗浄することができる。
【0010】
前記水添工程を効率的、経済的に実施するため、テレフタル酸製造プロセスにおける水添工程を利用して実施し、 新たに設備を建設することなしに洗浄することができる。
【0011】
前記晶析工程を効率的、経済的に実施するため、テレフタル酸製造プロセスにおける晶析工程を利用して実施し、 新たに設備を建設することなしに洗浄することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、具体例を挙げつつ詳細に説明する。本加水分解法は、一般にPETと水を高温高圧状態で反応させる方法であり、たとえば図1に示すようなフローチャートで表される。本実施形態では、使用済みPETボトルを減容圧縮したベールを出発原料としている。このPETボトルベールは、現在市町村が採用している公知の方法によって製造される。勿論、PETボトルベールの替わりに他のポリエステル廃棄物を出発原料としても差し支えないし、PETボトルのフレークを出発原料としても差し支えない。
PETボトル廃棄物を減容圧縮したPETボトルベールを解梱包することなくベール状のままで粉砕機に連続投入し、温水もしくは常温水又は洗剤を含有する温水もしくは常温水を注入して水中粉砕する。このように、PETボトルベールを解梱包することなく粉砕するので、作業性の向上が図れ、安全衛生対策上も効果的である。更に、粉砕時の混合、摩擦のエネルギーを利用して洗浄を行うことにより洗浄効果が極めて高くなり、食用油や機械油等の除去も洗浄剤によって容易に行われる。従って、高度の洗浄効果が得られる。
更に、粉砕機から排出されるPETボトルのフレークと洗浄水の混合物は直ちに比重分離処理を行って、夾雑物である金属、石、ガラス、砂とフレークとを分離する。次いで、フレークと洗浄水とを分離し、フレークはイオン交換水で濯ぎ、遠心脱水する。分離された洗浄水及び使用後の濯ぎの水は濾過され、上記水中粉砕用の水として再使用され、汚水は排水処理にかけられる。このようにして前処理工程は極めて単純化される。従って、この前処理工程の自動化も容易に図ることができる。また、このように効果的な粉砕と洗浄が行われるために、本発明によればPETボトル中味が残存していても全く問題がない。
【0013】
上記前処理工程で得られた粗製ポリエステルフレークを解重合するが、この場合、遠心脱水された程度の水分の多い状態で溶融すると同時に加水分解させて重合度の低いポリエステル溶融物とし、該ポリエステル溶融物を高圧高温度の水と混合し、加水分解させる方が効果的である。
【0014】
前記の廃ポリエステルフレークは溶融ドラム2にて260乃至300℃で溶融され、ポンプにて反応器へ供給される。圧力5乃至30MPa望ましくは10乃至30MPaに昇圧されて供給する。
【0015】
該反応器入り口では、水タンク4から昇温、昇圧された、高温高圧水、すなわち温度200乃至450℃、望ましくは300乃至450℃、圧力5乃至40MPa、望ましくは10乃至30MPaの水と前記溶融ポリエステルが混合されて反応器へ供給される。
【0016】
ここで供給される溶融ポリエステルに対する水の重量比は2乃至10倍、望ましくは3乃至5倍に調整されて反応器入り口にて混合されて供給される。また、水の温度はポリエステル及び/又は反応器内温度よりも高いことが好ましい。すなわち溶融ポリエステルは加熱された水の熱エネルギーを得ることで、反応温度近傍まで加熱される。
【0017】
前記反応器に供給される水は溶存酸素を脱気しておくことが望ましい。すなわち溶存酸化が後述の加水分解工程において酸化剤として働き、ポリエステルの加水分解を促進するにとどまらず、有機物が酸化され不純物の原因となることがある。
【0018】
反応器3は、高温高圧水と溶融ポリエステルを収容して、超臨界水域又は亜臨界水域を形成し、該ポリエステルは加水分解する。反応器3は、既知のベッセル型と称される縦筒型の反応器であっても、パイプ式と称される管状の反応器であってもよい。
【0019】
反応器3にて反応した処理流体は、超臨界水、又は亜臨界水と、分解生成物である、テレフタル酸、エチレングリコール、分解副生物のほかに、触媒由来の金属などの無機不純物を含んでいる。
反応器出口には濾過体を用いて不溶解分を除去することが望ましい。
【0020】
該濾過体を通過した処理流体は熱交換器にて冷却され、さらに減圧弁にて減圧される。冷却、減圧された処理流体からは、常温で固体のテレフタル酸が析出する。析出したテレフタル酸を回収するため、遠心分離器、板枠型圧濾器、葉状濾過器、円筒型連続真空濾過器、などの分離装置5を用いて、固−液分離する。固形分として回収されたテレフタル酸は次工程の精製工程へ直接又は回収タンクに回収後送られる。
【0021】
一方分離器5で分離された液体分は、通常の蒸留装置により低沸点有機物を含む水と、重質分を含むエチレングリコールとに分離された後、水はさらに既知の精製手法により精製され再度水タンク4に供給される。
同様に重質分を含むエチレングリコールも既知の精製手法により精製され、エチレングリコールを得る。該エチレングリコールは再びポリエステル製造に使用することが可能であるほか、不凍液原料として使用することが可能である。また重質分又は重質分を含むエチレングリコールは、そのままボイラーなどの燃料として使用することも可能である。
【0022】
次に得られたテレフタル酸の精製工程について以下に述べる。前記の固−液分離装置5で分離されたテレフタル酸には、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの分解途中のエステル体や、安息香酸などの過分解生成物、及び/又はイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが含有していることがある。さらに前記濾過体を通過したポリエステル製造時のエステル交換触媒、エステル化触媒及び/又は重縮合触媒(以下単に触媒と称することがある)由来の金属化合物が含有していることがある。
【0023】
これら有機及び/又は無機不純物を含むテレフタル酸を公知のテレフタル酸製造プロセスに直接投入することができる。これによって新たに設備を設置することなしに、廃ポリエステルから得られたポリエステルモノマーを再びポリエステルが製造可能な高純度モノマーに精製することが可能となる。該テレフタル酸製造プロセスは、SD法もしくはAmoco法などと呼ばれるプロセスで、たとえば特公昭37―2666号公報に開示されているようなパラキシレンを酢酸溶媒中、空気酸化してテレフタル酸を得るプロセスである。このプロセスで酸化反応器から溶媒とともに排出されたテレフタル酸は、遠心分離器により固液分離された後、洗浄のため再び酢酸溶媒によりリスラリーされる。該リスラリー工程に本発明の廃ポリエステルから加水分解により得られた有機及び/又は無機不純物を含むテレフタル酸を投入する。
【0024】
該リスラリー工程において、本発明の廃ポリエステルから加水分解により得られたテレフタル酸に含まれるエステル交換触媒、エステル化化触媒及び/又は重縮合触媒由来の金属は酢酸に溶解し除去される。ここで該リスラリー工程の温度は60℃乃至140℃、望ましくは80乃至120℃であり、酢酸に対するテレフタル酸の濃度は1乃至40重量%、望ましくは20乃至40重量%で行われる。また酢酸水溶液には0乃至40重量%の水を含有するものが用いられる。酢酸洗浄により全金属量は0.5ppm以下まで精製されることが望ましい。残存金属量は、試料を強酸で分解後、プラズマ発光分析により求めることが出来る。
前記のエステル交換触媒、エステル化触媒及び又は重合触媒由来の金属を含有した酢酸はそのまま、パラキシレン酸化反応器へ供給することができる。
触媒由来金属を除去したテレフタル酸を公知の設備に従い、固液分離、乾燥を行い、粗テレフタル酸としてサイロに貯留された後、精製工程へ供給される。
【0025】
前記の粗テレフタル酸は、たとえばイギリス特許第994769号公報に開示されているような着色不純物の水素添加による除去、及びたとえばイギリス特許第781936号公報に開示されているような再結晶による純度向上といった公知の技術による方法で精製することができる。
【0026】
粗テレフタル酸を水でスラリーにし、テレフタル酸濃度10乃至60重量%、望ましくは20乃至50重量%に調整される。該テレフタル酸スラリーを完全に溶解するまで昇温、昇圧する。テレフタル酸の溶解度より20%で約270℃、50%で約300℃となる。溶解したテレフタル酸水溶液はそのまま公知の水素添加触媒存在下、水素により不純物が水添される。既存のテレフタル酸製造設備であれば主反応は4−カルボキシベンズアルデヒドを水添して水溶性のパラトルイル酸にする反応であるが、本発明のテレフタル酸においては共役二重結合に由来する着色成分の除去が目的となる。しかし異なる目的においても既存の設備の運転条件と全く同様に運転することが可能であり、廃ポリエステル由来のテレフタル酸を供給することによっても何ら制限されるものではない。さらに本発明においては、加水分解工程で得られる粗製テレフタル酸に含まれる モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの分解途中のエステル体が、高温高圧条件により加水分解され、テレフタル酸の純度が向上する効果も認められる。
【0027】
水添工程を出たテレフタル酸水溶液は直列に連続した数段の晶析ドラムで段階的に減圧、減温が行われる。この課程でテレフタル酸の結晶は徐々に成長し、溶解度の高い有機物由来の不純物は溶解したままでテレフタル酸から分離され、テレフタル酸純度が向上する。
上記のようにして高純度の精製テレフタル酸が得られたら、公知の高純度ポリエステルポリマー製造設備において、エチレングリコールとともに原料として使用される。
【0028】
これらの操作によりバージンと同等、又はそれ以上の高純度のポリエステルポリマーが得られ、公知の技術により各種のポリエステル製品をバージン原料と同様に製造することができる。
【0029】
高純度ポリマーの製造方法は公知の方法であるが、参考にポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物の製造について以下に説明する。一般に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル交換反応させ、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト及び/又はそのオリゴマ−を形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行って、ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物を得る。
【0030】
本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸としては、前記廃ポリエステル原料から加水分解により得られた精製テレフタル酸のほかに、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を共に用いることができる。
同様に脂肪族ジオールとしては、前記廃ポリエステル原料から加水分解により得られた精製エチレングリコールのほか、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコールを用いることができる。
また、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料として使用することができ、脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
さらに本発明では、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
(エステル化工程)まず、ポリエステルを製造するに際して、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化させる。
具体的には、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。このようなスラリーには芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体1モルに対して、通常1.005乃至1.4モル、好ましくは1.01乃至1.3モルの脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれる。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給される。
エステル化反応は好ましくは2個以上のエステル化反応基を直列に連結した装置を用いてエチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら行う。
エステル化反応工程は通常多段で実施され、第1段目のエステル化反応は、通常、反応温度が240乃至270℃、好ましくは245乃至265℃であり、圧力が0.2乃至3kg/cmG、好ましくは0.5乃至2kg/cmGの条件下で行われ、また最終段目のエステル化反応は、通常、反応温度が250乃至280℃、好ましくは255乃至275℃であり、圧力が0乃至1.5kg/cmG、好ましくは0乃至1.3kg/cmGの条件下で行われる。
エステル化反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件であればよい。
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245乃至275℃、好ましくは250乃至270℃であり、圧力は通常0乃至2kg/cmG、好ましくは0.2乃至1.5kg/cmGであればよい。
これらの各段におけるエステル化反応率は、特に制限はされないが、各段階におけるエステル化反応率の上昇の度合いが滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応生成物においては通常90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
このエステル化工程により、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応物(低次縮合物)が得られ、この低次縮合物の数平均分子量が500乃至5000程度である。
上記のようなエステル化工程で得られた低次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給される。(液相重縮合工程)液相重縮合工程においては、公知の重縮合触媒の存在下に、エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエステルの融点以上の温度(通常250乃至280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族ジオールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
重縮合触媒としては、一般にゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合物、スズ化合物などが知られている。
重縮合反応は、1段階で行ってもよく、複数段階に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が複数段階で行われる場合には、第1段目の重縮合反応は、反応温度が250乃至290℃、好ましくは260乃至280℃、圧力が500乃至20Torr、好ましくは200乃至30Torrの条件下で行われ、最終段の重縮合反応は、反応温度が265乃至300℃、好ましくは270乃至295℃、圧力が10乃至0.1Torr、好ましくは5乃至0.5Torrの条件下で行われる。
重縮合反応を3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段目の1段前間での重縮合反応は、上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件で行われる。例えば、重縮合工程が3段階で行われる場合には、第2段目の重縮合反応は通常、反応温度が260乃至295℃、好ましくは270乃至285℃で、圧力が50乃至2Torr、好ましくは40乃至5Torrの条件下で行われる。
また、重縮合反応では、安定剤の共存下で行われることが望ましい。安定剤としては具体的に、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が挙げられる。
上記の触媒の使用割合は、全重合原料中触媒中の金属重量として2乃至1000ppm、好ましくは4乃至500ppmの範囲とされ、安定剤の使用割合は全原料中、安定剤中のリン原子の重量として通常4乃至1000ppm、好ましくは4乃至500ppmの範囲とされる。また、触媒及び安定剤の供給は、公知技術では原料スラリー調製時の他、エステル化反応の任意の段階において行うことができる。さらに重縮合反応工程の初期に供給することもできる。
以上のような液相重縮合工程で得られるポリエステルの固有粘度[IV]は0.40乃至1.0dl/g、好ましくは0.50乃至0.90dl/gであることが望ましい。なお、この液相重縮合工程の最終段目を除く各段階において達成される固有粘度は特に制限されないが、各段階における固有粘度の上昇の度合いが滑らか分配されることが好ましい。
なお、本明細書において、固有粘度[IV]は、ポリエステル1.2g計量し、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(50/50重量比)を用いて0.5g/dlの試料溶液を調製し、25℃で測定した溶液粘度から算出した。
この重縮合工程で得られるポリエステルは、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成形される。(固相重縮合工程)この液相重縮合工程で得られるポリエステルは、所望によりさらに固相重縮合することができる。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステルは、予め、固相重縮合を行なう場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重縮合工程に供給してもよい。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエステルを乾燥状態で通常、120乃至200℃、好ましくは130乃至180℃の温度に1分から4時間加熱することによって行なうことができる。またこのような予備結晶化は、粒状ポリエステルを水蒸気雰囲気、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、あるいは水蒸気含有空気雰囲気下で、120乃至200℃の温度で1分間以上加熱することによって行なうこともできる。
予備結晶化されたポリエステルは、結晶化度が20乃至50%であることが望ましい。なお、この予備結晶化処理によっては、いわゆるポリエステルの固相重縮合反応は進行せず、予備結晶化されたポリエステルの固有粘度は、液相重縮合後のポリエステルの固有粘度とほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエステルの固有粘度と予備結晶化される前のポリエステルの固有粘度との差は、通常0.06dl/g以下である。
固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、温度が190乃至230℃、好ましくは195乃至225℃であり、圧力が1kg/cmG乃至10Torr、好ましくは常圧から100Torrの条件下で、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。使用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
このような固相重縮合工程を経て得られた粒状ポリエステルには、例えば特公平7−64920号公報記載の方法で、水処理を行ってもよく、この水処理は、粒状ポリエステルを水、水蒸気、水蒸気含有不活性ガス、水蒸気含有空気などと接触させることにより行われる。
このようにして得られた粒状ポリエステルの固有粘度は、通常0.60乃至1.00dl/g、好ましくは0.75乃至0.95dl/gであることが望ましい。上記のようなエステル化工程と重縮合工程とを含むポリエステルの製造工程はバッチ式、半連続式、連続式のいずれでも行うことができる。
このようにして製造されたポリエステルは、従来から公知の添加剤、例えば、安定剤、離型剤、帯電防止剤、分散剤、染顔料等の着色剤などが添加されていてもよく、これらの添加剤はポリエステル製造時のいずれかの段階で添加してもよく、成形加工前、マスターバッチにより添加したものであってもよい。
本発明によって得られるポリエステルは、製膜設備でポリエステルフィルムにして各種ポリエステルフィルム製品群としたり、製糸設備でポリエステル原糸や綿とし、繊維衣料、カーペット、自動車用内装材、フトン、床材などの製品としたりすることもできる。また上記ポリマーを固相重合設備で必要な処理を施すことにより、PETボトルやエンジニアリングプラスチックの原料とすることもできる。
本発明のリサイクル方法によれば、殆どの、ポリエステルを含有する廃棄物から再び元のポリエステル製品群を生産することができるので、ほぼ完全な「循環型リサイクルシステム」を可能とすることができる。現在、大きな課題となっているPETボトルをはじめ、繊維廃棄物を包含したポリエステル製品からポリエステル製品への循環が容易に可能となり、一般・産業廃棄物として埋め立て、焼却等の環境汚染型処分をする必要がなくなる。このため、廃棄物処理問題の解決と省資源・省エネルギーを達成できるに有効なリサイクル方法である。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定を受けるものではない。なお、例中の特性は下記の方法で測定した。
1)テレフタル酸純度:テレフタル酸10mgをDMF 10mlに溶解し、高速液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ(株)製2690アライアンスシステム、カラム:Develosil ODS−HG−3 4.6×150mm(野村化学(株)製)、溶媒:0.25%酢酸水溶液/アセトニトリル= 85/15、検出器:UV 254nm)を用いて絶対検量線法で測定した。
2)固有粘度(以下、IVと略称することもある):チップ及び成形体から切り出した試料を一定量計量し、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(50/50重量比)を用いて0.5g/dlの試料溶液を調製し、25℃で測定した溶液粘度から固有粘度(IV)を算出した。
3)金属分析:試料を濃硫酸及び、濃硝酸で分解した後、高周波プラズマ発光分析を用いて測定した。
4)b値:日本電色(株)製カラーメーターSQ−300Hを用いて反射光より試料のb値を測定した。
5)ヘイズ:日本電色(株)製、ヘイズメーターNDH20Dを使用し、ASTMD1003に準ずる方法にて、図1に示すようなを段付角板状の成形物の5mm厚のヘイズを測定した。
【0032】
【実施例1】市町村によって分別収集・回収されたPETボトルベール(ベール寸法:900mm×1000mm×550mmの120kgベール)を解梱包した後に第1次粉砕機に投入し、粉砕機のスクリーン径を75mmに設定して1次粉砕を行い、次いで該粉砕物を第2次粉砕機に投入して粉砕機のスクリーン径を10mmに設定して2次粉砕を行った。
その後該粉砕物を風力選別機にかけ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンを主成分とするボトルに付属したラベルを除去した後、デカンターによって遠心分離を行い、ボトルの内容物を水洗・除去しつつポリプロプレン、ポリエチレンを主成分とするキャップ及び風力選別で除去されなかったラベルを除去し、回収フレークとした。
該回収フレークを図1に示したものと同様の実験装置にて加水分解反応を行った。ポリエチレンテレフタレートフレーク2000重量部を受入槽1から連続的にポリエチレンテレフタレート溶解タンク2に供給した。ポリエチレンテレフタレート溶解タンクは260℃に保持され、ポリエチレンテレフタレートを溶解させた。一方水タンク4から6000重量部の水を連続的に供給し、圧力25MPa、温度380℃に昇圧、昇温して反応器入り口で溶融ポリエチレンテレフタレートと混合した後、反応器3へ供給した。反応器3内は温度350℃、圧力25MPaに保ち、滞留時間18分とし、連続的に塔頂から反応生成物を抜き出し、冷却し、減圧した。なお、反応器出口には7μmのフィルターを設置した。得られた生成物を濾過により固液分離した。
得られた固形分はテレフタル酸純度99%、アンチモン濃度10ppmであった。この粗テレフタル酸を酢酸を洗浄槽に入れ、10倍量の90%酢酸水溶液を加えた。常温にて30分間攪拌し、濾過により固液分離した後、乾燥機で付着した酢酸を蒸発させることで、残留金属が除去された洗浄テレフタル酸を得た。テレフタル酸中のアンチモン濃度は2.0ppmであった。
次いで該洗浄テレフタル酸30gを500mlオートクレーブに仕込み、水240gを添加した。水素で圧力3.0MPaGに加圧して、温度265℃まで昇温しテレフタル酸が完全に溶解させた。ここであらかじめオートクレーブ上部につるしておいたPd/C 0.3gを溶解したテレフタル酸水溶液に浸漬させた。さらに280℃まで昇温し、1.5時間水添反応をさせた。その後200℃まで放冷し、その後70℃まで風を送り強制的に冷却した。液温50℃で濾過により固液分離し、精製テレフタル酸を得た。得られた精製テレフタル酸純度は99.00%、アンチモン濃度は0.5ppm以下であった。その他の金属を合計した全金属も0.5ppm以下であった。
【0033】
【実施例2】実施例1と同様の方法で加水分解した粗テレフタル酸を10倍量の酢酸と混合し、100℃にて30分攪拌する以外は実施例1と同様にして洗浄テレフタル酸を得た。テレフタル酸中のアンチモン濃度は0.1ppm以下であった。その後実施例1と同様の方法で水添反応を行った。得られた精製テレフタル酸の純度は99.93%、アンチモン濃度は0.1ppm以下であった。その他の金属を合計した全金属も0.5ppm以下であった。
【0034】
【実施例3】実施例2の如くして得られた精製テレフタル酸とエチレングリコールを用いて、ポリエステルを重合した。該テレフタル酸13000重量部及びエチレングリコール5340重量部を100℃、常圧下でエステル化反応層に供給した。次いで260℃に昇温し、圧力0.1MPaG、窒素雰囲気にて340分間反応させた。反応により精製した水は、常時系外に留去した。
次いで常圧に戻したエステル化反応槽に触媒として二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液47.9重量部(テレフタル酸に対し0.036モル%)と、安定剤としてメチルアシッドホスフェート2.2重量部(テレフタル酸に対し0.023モル%)を加えた後、エステル化槽内の全量をあらかじめ260℃とした重縮合反応槽に移した。60分かけて260℃から285℃まで昇温するとともに、常圧から2torrまで減圧した。
さらに重縮合反応槽での反応を53分間行った後、反応物を重縮合反応槽外にストランド状に抜き出し、水中に浸漬して冷却し、ストランドカッターにて粒状に裁断しポリエチレンテレフタレートを得た。このポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.542dl/gであり、ゲルマニウム含有量は65ppmであった。得られたポリマーの色相b値は−0.1であった。
さらに、液相重合によって得られたポリエチレンテレフタレートを固相重合塔に移し、窒素雰囲気下、170℃で2時間結晶化させた後、220℃で10時間固相重合を行い、粒状ポリエチレンテレフタレートを得た。該ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.761dl/g、色相b値0.0のポリエチレンテレフタレートであった。該ポリエチレンテレフタレートを乾燥機にて170℃、5時間乾燥させた後に、射出成形機[名機製作(株)製M−70A]で成形した段付角板状の成形物の5mm厚のヘイズは7%であった。
【0035】
【参考例1】市販の高純度テレフタル酸[三井化学(株)製]とエチレングリコールを用いて実施例3と同様に重縮合反応を行った。固有粘度(IV)が0.54dl/gに達するまでに要した滞留時間は52分であった。得られたポリマーの色相b値は−0.1であった。
次いで得られたポリエチレンテレフタレートを170℃で予備結晶化し、215℃にて固相重合を実施し、固有粘度(IV)が0.762dl/g、色相b値0.0のポリエチレンテレフタレートを得た。
得られたポリエチレンテレフタレート実施例3と同様に段付角板状の成形物成形した。5mm厚のヘイズは7%であった。
【0036】
【参考例2】酢酸洗浄によりパラキシレンの酸化反応中にポリエステルのエステル化及び又は重合触媒由来金属が混入した場合の影響を評価するため、アンチモン存在下でパラキシレン酸化反応を実施した。
酢酸 2895重量部、水 90重量部、酢酸コバルト4水和物 6.71重量部、酢酸マンガン4水和物 3.30重量部、48%臭化水素 5.46重量部、パラキシレン600重量部、の混合溶液に、ポリエステルの重合金属である三酸化アンチモン0.065重量部を加えた原料溶液を調製し、あらかじめ340重量部のアンチモンが含まれない原料溶液がある酸化反応器へ450重量部/時間で連続的に供給した。反応器は温度 190℃、圧力 1.25MPaGに保たれ、空気をベントの酸素濃度が3.5%になるよう調整して供給した。反応器内の滞留時間は60分となるように抜き出し速度、液レベルを調整した。反応開始後6時間経過後サンプリングノズルより反応物スラリーを抜き出し、固液分離、酢酸洗浄、固液分離をし、乾燥機にて乾燥した。得られた粗テレフタル酸の物性を表1に示す。比較として三酸化アンチモンを添加しない以外は同様に反応を行った。得られた粗テレフタル酸の物性を表1に比較して示す。アンチモンの有無にかかわらず、パラキシレンの反応及び粗テレフタル酸の物性はほぼ同一であった。
【0037】
【表1】
Figure 2004323411
【0038】
【比較例1】
実施例1の如くして加水分解した粗テレフタル酸を酢酸洗浄及び水添反応を実施せずにそのまま乾燥した。得られたテレフタル酸とエチレングリコールを用いて実施例3と同様に重縮合反応を実施した。固有粘度(IV)が0.543に達するまでに要した滞留時間は55分であった。得られたポリマーの色相b値は3.5であった。
次いで得られたポリエチレンテレフタレートを170℃で予備結晶化し、215℃にて固相重合を実施し、固有粘度(IV)が0.761dl/gの樹脂を得た。そのときの色相b値は2.8であった。
得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を実施例3と同様に乾燥し、段付角板状の成形物を作成した。この5mm厚のヘイズは15%であった。色相が悪化し、ボトルの透明性の尺度となるヘイズが上昇したため、高品質のPETボトルを作成することは不可能であった。
【0039】
【発明の効果】本発明方法によれば、廃ポリエチレンテレフタレートの加水分解生成物を酢酸水溶液を用いて洗浄することで、廃ポリエチレンテレフタレート中に含有する、ポリエチレンテレフタレート製造時の触媒由来金属を完全に除去し、高純度の原料モノマーが回収出来る。したがって、廃ポリエステルから回収される原料モノマーがそのままポリエステルの重合に使用できるので、良好な色調をもつポリエステル繊維、並びに良好な色相及び透明性を有するフィルム、プラスチックス等を製造できるようになる。この結果、廃ポリエステルの良好なリサイクルが可能となり、省資源化が達成でき環境保全に貢献できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加水分解方法を実施するための設備の一例の概略説明図である。
【図2】図2は段付角板状成形物の斜視図である。A部の厚みは約6.5mmであり、B部の厚みは約5mmであり、C部の厚みは約4mmである。このB部を用いて成形物のヘイズを測定した。

Claims (6)

  1. テレフタル酸および/またはイソフタル酸を含むポリエステルモノマー組成物を、酢酸水溶液で洗浄し残留金属を除去する精製方法であって、水溶液の酢酸濃度60乃至100重量%、酢酸水溶液中のテレフタル酸および/又はイソフタル酸濃度1乃至40重量%、処理温度60乃至140℃、であることを特徴とする精製方法。
  2. 精製後の残存金属量が0.5ppm以下である事を特徴とする、請求項1に記載のモノマー組成物の精製方法。
  3. 前記モノマー組成物が、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンイソフタレートを、温度:200〜400℃、圧力:10〜30MPaの範囲で水と接触させて得られるアルキレングリコールとテレフタル酸および/またはイソフタル酸からなる組成物であり、これを請求項1または2に記載の方法で精製することを特徴とするモノマー組成物の製造方法。
  4. 前記加水分解工程に供給する水の温度T、溶融ポリエステルの温度T、反応器内の温度Tが、式(1)の関係にあることを特徴とする請求項2に記載のモノマー組成物の製造方法。
    >T かつ T≧T …(1)
  5. ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンイソフタレートを主成分とする製品ないし廃棄物を回収しリサイクルする方法であって、回収したポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンイソフタレートより、請求項3または4に記載の方法によりモノマー組成物を得て、該モノマー組成物を原料に用いてポリアルキレンテレフタレートないしポリアルキレンイソフタレートを製造することを特徴とするリサイクル方法。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の方法で得られたモノマー組成物。
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