JP2004322029A - 塗装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワキ不具合や肌不良といった塗装不良を防止しつつ下塗り塗装と中塗り塗装とのウェットオンウェット塗装系が実現できる塗装方法を提供する。
【解決手段】少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、下塗り塗料を塗装し、ウェットオンウェットで中塗り塗料を塗装したのち、これらを同時に焼き付け硬化させ、上塗り塗料を塗装する塗装方法において、下塗り塗料と塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、少なくとも下塗り塗料の溶剤を蒸発させたのち、下塗り塗料および中塗り塗料の硬化を開始させる。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、下塗り塗料を塗装し、ウェットオンウェットで中塗り塗料を塗装したのち、これらを同時に焼き付け硬化させ、上塗り塗料を塗装する塗装方法において、下塗り塗料と塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、少なくとも下塗り塗料の溶剤を蒸発させたのち、下塗り塗料および中塗り塗料の硬化を開始させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、自動車ボディ等に適用して好ましい塗装方法に関し、特に下塗り塗料と中塗り塗料とをウェットオンウェットで塗装し、これを同時に焼き付ける2コート1ベーク系の塗装方法に関する。
【0002】
【背景技術】
自動車ボディの塗装系は、エポキシ系樹脂を主剤とする電着塗料などが適用される下塗り塗装と、ポリエステル系樹脂を主剤とする中塗り塗料と、同じくポリエステル系塗料を主剤とする上塗り塗料の3種の塗料を用い、下塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した下塗り塗膜の上に中塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した中塗り塗膜の上に上塗り塗装を施したのちこれを焼き付けることで完成する、いわゆる3コート3ベーク系の塗装方法が採用されている。
【0003】
ところが、こうした3コート3ベーク塗装系では、下塗り塗装工程、中塗り塗装工程及び上塗り塗装工程のそれぞれに乾燥炉が必要とされるので、乾燥炉を設置するための広い工程スペースが必要となり、また乾燥炉で消費されるエネルギが自動車の生産コストに反映する。
【0004】
そこで、これら3つの工程に設けられた乾燥炉を2つ以下に減じて上記問題を解決するために、下塗り塗装と中塗り塗装又は中塗り塗装と上塗り塗装をウェットオンウェットで塗装することが検討されている。
【0005】
しかしながら、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付ける塗装系では、以下の問題があった。
【0006】
すなわち、下塗り塗料の焼き付け温度は170℃×20分保持であるのに対し、中塗り塗料の焼き付け温度は140℃×20分保持であるため、これらを同時に焼き付けると、図5に示すように上層に塗装された中塗り塗膜が140℃近傍で先に硬化し始めたのちに下層に塗装された下塗り塗膜が170℃近傍で硬化し始める。
【0007】
ここで、下塗り塗膜の溶剤(一般な電着塗料は水)は中塗り塗膜が効果を開始する140℃以上でも蒸発する。このため、下層の下塗り塗膜の溶剤が、既に硬化が進行している中塗り塗膜を突き破って蒸発するワキ不具合や、中塗り塗膜が硬化したのちに下塗り塗膜が硬化して収縮することで中塗り塗膜が肌不良になるといった問題があった。
【0008】
【発明の開示】
本発明は、ワキ不具合や肌不良といった塗装不良を防止しつつ下塗り塗装と中塗り塗装とのウェットオンウェット塗装系が実現できる塗装方法ことを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、前記下塗り塗料を塗装し、ウェットオンウェットで前記中塗り塗料を塗装したのち、これらを同時に焼き付け硬化させ、前記上塗り塗料を塗装する塗装方法において、前記下塗り塗料と前記中塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、少なくとも前記下塗り塗料の溶剤を蒸発させたのち、前記下塗り塗料および前記中塗り塗料の硬化を開始させることを特徴とする塗装方法が提供される。
【0010】
本発明では、下塗り塗料と中塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、下塗り塗料と中塗り塗料の硬化反応を開始させる前に、少なくとも下塗り塗料の溶剤を先に蒸発させる。そして、これら下塗り塗料と中塗り塗料とを同時に焼き付け硬化させるので、焼き付け硬化時において、中塗り塗料が硬化を開始する際には下層に塗装された下塗り塗料の溶剤は既に蒸発している。したがって、下層の下塗り塗料の溶剤が未硬化状態である上層の中塗り塗膜を突き破るといったワキ不具合の発生を防止することができ、また中塗り塗膜の肌不良を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【0012】
本実施形態に係る塗装方法は、下塗り塗装、中塗り塗装及び上塗り塗装の3コート系の塗装系において、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付けたのち上塗り塗装を施す、いわゆる3コート2ベークの塗装系である。下塗り塗装と中塗り塗装に関していえば2コート1ベークの塗装系である。
【0013】
すなわち、洗浄・前処理された被塗物である自動車ボディを電着槽に浸漬させることで電着塗装を施し、これを焼き付け硬化させることなく中塗りブースに搬送し、未硬化の電着塗膜上に中塗り塗料を塗装したのち、中塗り乾燥炉にてこれら未硬化の電着塗膜及び中塗り塗膜を同時に焼き付ける。
【0014】
ここで、本実施形態で用いられる電着塗料と中塗り塗料は、それぞれの硬化開始温度が、電着塗料の溶剤である水の蒸発温度よりも高い温度、たとえば120℃〜180℃とされている。また、電着塗料の硬化開始温度T1が中塗り塗料の硬化開始温度T2よりも、たとえば5℃〜20℃だけ低くされている。従来の電着塗料の硬化条件は170℃×20分保持が一般的であり、また中塗り塗料の硬化条件は140℃×20分保持が一般的であるが、本実施形態では、たとえば電着塗料の硬化開始温度T1を120℃〜180℃とし、中塗り塗料の硬化温度T2をこれより5℃〜20℃高くする。それぞれの硬化温度保持時間については特に限定されないが、たとえば何れも20分以上である。
【0015】
電着塗料の硬化開始温度T1を既存の電着塗料の硬化開始温度に比べて低温化させる手法としては、たとえば、電着塗料が基体樹脂としてのエポキシ系樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が低下し、これにより電着塗料の反応開始温度を低温化させることができる。特に本例では、解離温度が電着塗料の溶剤、すなわち水の蒸発温度よりも高いブロック剤を採用する。
【0016】
また、中塗り塗料の硬化開始温度T2を既存の中塗り塗料の硬化開始温度に比べて高温化させる手法としては、たとえば、中塗り塗料が水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が上昇し、これにより中塗り塗料の反応温度を高温化させることができる。特に本例では、解離温度が電着塗料の溶剤、すなわち水の蒸発温度よりも高いブロック剤を採用する。
【0017】
なお、本実施形態では、電着塗料の硬化開始温度を140℃、中塗り塗料の硬化温度を145℃としたが、この具体的数値は特に限定されるものではなく、本発明の塗装方法では任意の数値にすることもできる。
【0018】
次に本実施形態の塗装方法を適用した塗装ラインの一例を説明する。図2は本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図、図3は本発明の実施形態に係る塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフ、図4は中塗り乾燥炉の設定温度を示す図である。
【0019】
ホワイトボディとして組み立てられた自動車ボディは、車体組立工程から塗装工場に搬入され、最初の前処理ブース1にて、ボディに付着した油や塵埃が除去されるとともに、ボディを構成する鋼板表面に防錆用化成被膜が形成される。
【0020】
前処理ブース1を通過することで清浄及び化成被膜が形成されたボディは、電着塗料が満たされた電着塗装槽2に搬送され、電着塗料に浸漬される。電着塗装槽2では電着塗料に高電圧が印加されることにより電着塗料が電気泳動し、これによりボディに電着塗膜が形成される。電着塗装槽2を出槽したボディは、電着水洗ブース3に搬入され、ここでボディに付着した余分な電着塗料が洗い流される。ここで、硬化開始温度が140℃、硬化条件を140℃×20分保持とした電着塗料を電着塗装槽2に満たしておく。
【0021】
従来の塗装方法では、電着水洗を終了したボディを電着乾燥炉に搬入し、電着塗膜を焼き付け硬化させるが、本実施形態では電着乾燥炉を設けずに、電着塗膜が未硬化の状態でボディを中塗りブース4へ搬入する。なお、既存の塗装ラインをそのまま使用する場合には、電着乾燥炉の運転を停止して未硬化の電着塗膜が形成されたボディをそのまま通過させる。
【0022】
中塗りブース4では、硬化開始温度を145℃、硬化条件を145℃×20分保持にした中塗り塗料をボディに塗装する。塗装方法は特に限定されず、ベル式塗装ガンやスプレー式塗装ガンなどを用いて塗装する。また、中塗り塗料の材質も特に限定されず、水系塗料及び有機溶剤系塗料の何れも使用することができるが、電着塗料が水系塗料である場合には中塗り塗料も水系塗料を用いることがより好ましい。
【0023】
未硬化の電着塗膜の上に中塗り塗料が塗布されたボディは中塗り乾燥炉5に搬入され、ここで電着塗膜及び中塗り塗膜が同時に焼き付け硬化される。
【0024】
ここで、本実施形態の中塗り乾燥炉5の設定温度は、図4に示すように入口側の第1ゾーンを電着塗料の硬化温度以上かつ中塗り塗料の硬化温度未満である、たとえば140℃に設定し、出口側の第2ゾーンを中塗り塗料の硬化温度以上である145℃に設定している。ただし、これら140℃及び145℃という数値は本発明を限定するものではない。
【0025】
図3は、このように設定された中塗り乾燥炉5におけるボディの昇温曲線と塗膜の粘度曲線を示すグラフであり、本実施形態では電着塗料および中塗り塗料の硬化開始温度が電着塗料の溶剤である水の蒸発温度100℃より高いので、下層に形成された電着塗膜および上層に形成された中塗り塗膜から溶剤が蒸発する温度では、電着塗膜および中塗り塗膜ともに硬化を開始しない。したがって、電着塗膜および中塗り塗膜に含まれた溶剤分は140℃に達するまで間に蒸発し、次に電着塗膜が硬化を開始する140℃においては当該電着塗膜に含まれる溶剤分が殆どなくなっている。これにより、上層の中塗り塗膜を突き破って電着塗膜の溶剤が蒸発する、いわゆるワキ不具合の発生が防止される。
【0026】
また本例では、電着塗料の硬化開始温度T1が中塗り塗料の硬化開始温度T2よりも低いので、同図上に示すようにボディ温度が140℃近傍に達したときに、電着塗膜のみが硬化反応を開始する。この状態では中塗り塗膜の硬化反応は未だ開始されていない。そして、同図下の粘度曲線に示すように、中塗り乾燥炉5の第1ゾーンでは、電着塗料および中塗り塗料それぞれのガラス転移点を超えたところで電着塗膜および中塗り塗膜ともに粘度が一旦低下し、ここで電着塗膜および中塗り塗膜ともに平滑になる。
【0027】
さらにボディ温度が中塗り乾燥炉5の第2ゾーンに入り、ボディ温度が145℃に達すると、中塗り塗膜の硬化が開始されて増粘し始めるが、下層にある電着塗膜の粘度は既に増加しているので、中塗り塗膜の平滑性はそのまま維持されることになる。そして、さらにボディ温度が上昇すると中塗り塗膜の粘度が上昇し始める。
【0028】
中塗り乾燥炉5を通過したボディには、硬化した電着塗膜及び中塗り塗膜が形成され、次にこれを上塗りブース6に搬入する。上塗りブース6では従来公知の方法により上塗り塗料が塗装され、次の上塗り乾燥炉7にて上塗り塗膜が焼き付け硬化される。
【0029】
以上のように、本実施形態の塗装方法によれば、従来必要とされた電着乾燥炉が不要となるので、塗装ラインの工程スペースが格段に縮小される。また、電着乾燥炉にて使用されていた熱エネルギーも不要となるので生産コストを低減させることができる。
【0030】
これに加えて、電着塗膜と中塗り塗膜とが硬化を開始する前に電着塗膜の溶剤分が蒸発し終えているので、ワキ不具合や肌不良といった塗装不具合を防止することができる。
【0031】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0032】
【実施例】
実施例1
自動車ドアパーツに脱脂、前処理およびリン酸亜鉛化成被膜処理を施し、これを水洗したのち、カチオン電着塗料(日本ペイント社製PTU−100)を250Vの電圧で3分間電着塗装した。これを水洗したのち室温で5分間セッティングした。電着膜厚は20μmであった。
【0033】
この電着塗膜の上に、中塗り塗料(日本ペイント社製OP−61)を乾燥膜厚で25〜30μmとなるように塗装し、130℃×20分保持の条件で電着塗膜および中塗り塗膜を同時に焼き付けた。
【0034】
本例で用いた電着塗料は硬化開始温度が120℃であり、中塗り塗料は硬化開始温度が125℃である。
【0035】
実施例2
中塗り塗料の硬化開始温度を140℃、同時焼き付け条件を145℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0036】
実施例3
電着塗料の硬化開始温度を140℃、中塗り塗料の硬化開始温度を145℃、同時焼き付け条件を150℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0037】
実施例4
電着塗料の硬化開始温度を140℃、中塗り塗料の硬化開始温度を160℃、同時焼き付け条件を165℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0038】
実施例5
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を165℃、同時焼き付け条件を170℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0039】
実施例6
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を180℃、同時焼き付け条件を185℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0040】
実施例7
電着塗料の硬化開始温度を175℃、中塗り塗料の硬化開始温度を180℃、同時焼き付け条件を185℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0041】
比較例1
電着塗料の硬化開始温度を110℃、中塗り塗料の硬化開始温度を135℃、同時焼き付け条件を140℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0042】
比較例2
電着塗料の硬化開始温度を120℃、中塗り塗料の硬化開始温度を110℃、同時焼き付け条件を125℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0043】
比較例3
電着塗料の硬化開始温度を120℃、中塗り塗料の硬化開始温度を145℃、同時焼き付け条件を150℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0044】
比較例4
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を160℃、同時焼き付け条件を165℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0045】
比較例5
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を150℃、同時焼き付け条件を165℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0046】
比較例6
電着塗料の硬化開始温度を180℃、中塗り塗料の硬化開始温度を180℃、同時焼き付け条件を185℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0047】
比較例7
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を190℃、同時焼き付け条件を195℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0048】
評価方法
上記実施例1〜7および比較例1〜7のテストピースの塗膜外観(塗り肌)を目視評価し、非常に良好なものを○、やや良好なものを△、不良のものを×とした。
【0049】
また、タレの発生が全く観察されなかったものを○、タレの発生がやや観察されたものを△、タレ不良のものを×とした。
【0050】
さらに、テストピースの塗膜にカッターで2mmの升目を100個作り、その表面にセロファンテープを密着させ、強く引き剥がした後の状態を評価した。そして、剥がれなかった升目の数を数えた。以上の結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
考 察
実施例1〜7のテストピースは全て良好な塗装品質を示したが、比較例2および5のように電着塗料の硬化開始温度が中塗り塗料の硬化開始温度より高いと塗装肌に欠陥が生じた。また、比較例1,3および7のように電着塗料の硬化開始温度と中塗り塗料の硬化開始温度との差が20℃を超えると密着性に問題があり、さらに、比較例7のように、中塗り塗料の硬化開始温度が電着塗料の硬化開始温度より30℃も高いと密着性不良に加えてタレ不良も発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態に係る塗装方法の中塗り乾燥炉における設定温度を示す図である。
【図5】従来の塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…前処理ブース
2…電着塗装槽
3…電着水洗ブース
4…中塗り塗装ブース
5…中塗り乾燥炉
6…上塗り塗装ブース
7…上塗り乾燥炉
【技術分野】
本発明は、自動車ボディ等に適用して好ましい塗装方法に関し、特に下塗り塗料と中塗り塗料とをウェットオンウェットで塗装し、これを同時に焼き付ける2コート1ベーク系の塗装方法に関する。
【0002】
【背景技術】
自動車ボディの塗装系は、エポキシ系樹脂を主剤とする電着塗料などが適用される下塗り塗装と、ポリエステル系樹脂を主剤とする中塗り塗料と、同じくポリエステル系塗料を主剤とする上塗り塗料の3種の塗料を用い、下塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した下塗り塗膜の上に中塗り塗装を施したのちこれを焼き付け、硬化した中塗り塗膜の上に上塗り塗装を施したのちこれを焼き付けることで完成する、いわゆる3コート3ベーク系の塗装方法が採用されている。
【0003】
ところが、こうした3コート3ベーク塗装系では、下塗り塗装工程、中塗り塗装工程及び上塗り塗装工程のそれぞれに乾燥炉が必要とされるので、乾燥炉を設置するための広い工程スペースが必要となり、また乾燥炉で消費されるエネルギが自動車の生産コストに反映する。
【0004】
そこで、これら3つの工程に設けられた乾燥炉を2つ以下に減じて上記問題を解決するために、下塗り塗装と中塗り塗装又は中塗り塗装と上塗り塗装をウェットオンウェットで塗装することが検討されている。
【0005】
しかしながら、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付ける塗装系では、以下の問題があった。
【0006】
すなわち、下塗り塗料の焼き付け温度は170℃×20分保持であるのに対し、中塗り塗料の焼き付け温度は140℃×20分保持であるため、これらを同時に焼き付けると、図5に示すように上層に塗装された中塗り塗膜が140℃近傍で先に硬化し始めたのちに下層に塗装された下塗り塗膜が170℃近傍で硬化し始める。
【0007】
ここで、下塗り塗膜の溶剤(一般な電着塗料は水)は中塗り塗膜が効果を開始する140℃以上でも蒸発する。このため、下層の下塗り塗膜の溶剤が、既に硬化が進行している中塗り塗膜を突き破って蒸発するワキ不具合や、中塗り塗膜が硬化したのちに下塗り塗膜が硬化して収縮することで中塗り塗膜が肌不良になるといった問題があった。
【0008】
【発明の開示】
本発明は、ワキ不具合や肌不良といった塗装不良を防止しつつ下塗り塗装と中塗り塗装とのウェットオンウェット塗装系が実現できる塗装方法ことを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、前記下塗り塗料を塗装し、ウェットオンウェットで前記中塗り塗料を塗装したのち、これらを同時に焼き付け硬化させ、前記上塗り塗料を塗装する塗装方法において、前記下塗り塗料と前記中塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、少なくとも前記下塗り塗料の溶剤を蒸発させたのち、前記下塗り塗料および前記中塗り塗料の硬化を開始させることを特徴とする塗装方法が提供される。
【0010】
本発明では、下塗り塗料と中塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、下塗り塗料と中塗り塗料の硬化反応を開始させる前に、少なくとも下塗り塗料の溶剤を先に蒸発させる。そして、これら下塗り塗料と中塗り塗料とを同時に焼き付け硬化させるので、焼き付け硬化時において、中塗り塗料が硬化を開始する際には下層に塗装された下塗り塗料の溶剤は既に蒸発している。したがって、下層の下塗り塗料の溶剤が未硬化状態である上層の中塗り塗膜を突き破るといったワキ不具合の発生を防止することができ、また中塗り塗膜の肌不良を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【0012】
本実施形態に係る塗装方法は、下塗り塗装、中塗り塗装及び上塗り塗装の3コート系の塗装系において、下塗り塗装と中塗り塗装とをウェットオンウェットで塗装し、これらを同時に焼き付けたのち上塗り塗装を施す、いわゆる3コート2ベークの塗装系である。下塗り塗装と中塗り塗装に関していえば2コート1ベークの塗装系である。
【0013】
すなわち、洗浄・前処理された被塗物である自動車ボディを電着槽に浸漬させることで電着塗装を施し、これを焼き付け硬化させることなく中塗りブースに搬送し、未硬化の電着塗膜上に中塗り塗料を塗装したのち、中塗り乾燥炉にてこれら未硬化の電着塗膜及び中塗り塗膜を同時に焼き付ける。
【0014】
ここで、本実施形態で用いられる電着塗料と中塗り塗料は、それぞれの硬化開始温度が、電着塗料の溶剤である水の蒸発温度よりも高い温度、たとえば120℃〜180℃とされている。また、電着塗料の硬化開始温度T1が中塗り塗料の硬化開始温度T2よりも、たとえば5℃〜20℃だけ低くされている。従来の電着塗料の硬化条件は170℃×20分保持が一般的であり、また中塗り塗料の硬化条件は140℃×20分保持が一般的であるが、本実施形態では、たとえば電着塗料の硬化開始温度T1を120℃〜180℃とし、中塗り塗料の硬化温度T2をこれより5℃〜20℃高くする。それぞれの硬化温度保持時間については特に限定されないが、たとえば何れも20分以上である。
【0015】
電着塗料の硬化開始温度T1を既存の電着塗料の硬化開始温度に比べて低温化させる手法としては、たとえば、電着塗料が基体樹脂としてのエポキシ系樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。短いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が低下し、これにより電着塗料の反応開始温度を低温化させることができる。特に本例では、解離温度が電着塗料の溶剤、すなわち水の蒸発温度よりも高いブロック剤を採用する。
【0016】
また、中塗り塗料の硬化開始温度T2を既存の中塗り塗料の硬化開始温度に比べて高温化させる手法としては、たとえば、中塗り塗料が水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含む材質である場合には、ブロックポリイソシアネートをブロックするアルコール系ブロック剤に、既存のアルコール系ブロック剤より長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を採用する。長いアルキル基のアルコール系ブロック剤を用いることでブロック剤の解離温度が上昇し、これにより中塗り塗料の反応温度を高温化させることができる。特に本例では、解離温度が電着塗料の溶剤、すなわち水の蒸発温度よりも高いブロック剤を採用する。
【0017】
なお、本実施形態では、電着塗料の硬化開始温度を140℃、中塗り塗料の硬化温度を145℃としたが、この具体的数値は特に限定されるものではなく、本発明の塗装方法では任意の数値にすることもできる。
【0018】
次に本実施形態の塗装方法を適用した塗装ラインの一例を説明する。図2は本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図、図3は本発明の実施形態に係る塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフ、図4は中塗り乾燥炉の設定温度を示す図である。
【0019】
ホワイトボディとして組み立てられた自動車ボディは、車体組立工程から塗装工場に搬入され、最初の前処理ブース1にて、ボディに付着した油や塵埃が除去されるとともに、ボディを構成する鋼板表面に防錆用化成被膜が形成される。
【0020】
前処理ブース1を通過することで清浄及び化成被膜が形成されたボディは、電着塗料が満たされた電着塗装槽2に搬送され、電着塗料に浸漬される。電着塗装槽2では電着塗料に高電圧が印加されることにより電着塗料が電気泳動し、これによりボディに電着塗膜が形成される。電着塗装槽2を出槽したボディは、電着水洗ブース3に搬入され、ここでボディに付着した余分な電着塗料が洗い流される。ここで、硬化開始温度が140℃、硬化条件を140℃×20分保持とした電着塗料を電着塗装槽2に満たしておく。
【0021】
従来の塗装方法では、電着水洗を終了したボディを電着乾燥炉に搬入し、電着塗膜を焼き付け硬化させるが、本実施形態では電着乾燥炉を設けずに、電着塗膜が未硬化の状態でボディを中塗りブース4へ搬入する。なお、既存の塗装ラインをそのまま使用する場合には、電着乾燥炉の運転を停止して未硬化の電着塗膜が形成されたボディをそのまま通過させる。
【0022】
中塗りブース4では、硬化開始温度を145℃、硬化条件を145℃×20分保持にした中塗り塗料をボディに塗装する。塗装方法は特に限定されず、ベル式塗装ガンやスプレー式塗装ガンなどを用いて塗装する。また、中塗り塗料の材質も特に限定されず、水系塗料及び有機溶剤系塗料の何れも使用することができるが、電着塗料が水系塗料である場合には中塗り塗料も水系塗料を用いることがより好ましい。
【0023】
未硬化の電着塗膜の上に中塗り塗料が塗布されたボディは中塗り乾燥炉5に搬入され、ここで電着塗膜及び中塗り塗膜が同時に焼き付け硬化される。
【0024】
ここで、本実施形態の中塗り乾燥炉5の設定温度は、図4に示すように入口側の第1ゾーンを電着塗料の硬化温度以上かつ中塗り塗料の硬化温度未満である、たとえば140℃に設定し、出口側の第2ゾーンを中塗り塗料の硬化温度以上である145℃に設定している。ただし、これら140℃及び145℃という数値は本発明を限定するものではない。
【0025】
図3は、このように設定された中塗り乾燥炉5におけるボディの昇温曲線と塗膜の粘度曲線を示すグラフであり、本実施形態では電着塗料および中塗り塗料の硬化開始温度が電着塗料の溶剤である水の蒸発温度100℃より高いので、下層に形成された電着塗膜および上層に形成された中塗り塗膜から溶剤が蒸発する温度では、電着塗膜および中塗り塗膜ともに硬化を開始しない。したがって、電着塗膜および中塗り塗膜に含まれた溶剤分は140℃に達するまで間に蒸発し、次に電着塗膜が硬化を開始する140℃においては当該電着塗膜に含まれる溶剤分が殆どなくなっている。これにより、上層の中塗り塗膜を突き破って電着塗膜の溶剤が蒸発する、いわゆるワキ不具合の発生が防止される。
【0026】
また本例では、電着塗料の硬化開始温度T1が中塗り塗料の硬化開始温度T2よりも低いので、同図上に示すようにボディ温度が140℃近傍に達したときに、電着塗膜のみが硬化反応を開始する。この状態では中塗り塗膜の硬化反応は未だ開始されていない。そして、同図下の粘度曲線に示すように、中塗り乾燥炉5の第1ゾーンでは、電着塗料および中塗り塗料それぞれのガラス転移点を超えたところで電着塗膜および中塗り塗膜ともに粘度が一旦低下し、ここで電着塗膜および中塗り塗膜ともに平滑になる。
【0027】
さらにボディ温度が中塗り乾燥炉5の第2ゾーンに入り、ボディ温度が145℃に達すると、中塗り塗膜の硬化が開始されて増粘し始めるが、下層にある電着塗膜の粘度は既に増加しているので、中塗り塗膜の平滑性はそのまま維持されることになる。そして、さらにボディ温度が上昇すると中塗り塗膜の粘度が上昇し始める。
【0028】
中塗り乾燥炉5を通過したボディには、硬化した電着塗膜及び中塗り塗膜が形成され、次にこれを上塗りブース6に搬入する。上塗りブース6では従来公知の方法により上塗り塗料が塗装され、次の上塗り乾燥炉7にて上塗り塗膜が焼き付け硬化される。
【0029】
以上のように、本実施形態の塗装方法によれば、従来必要とされた電着乾燥炉が不要となるので、塗装ラインの工程スペースが格段に縮小される。また、電着乾燥炉にて使用されていた熱エネルギーも不要となるので生産コストを低減させることができる。
【0030】
これに加えて、電着塗膜と中塗り塗膜とが硬化を開始する前に電着塗膜の溶剤分が蒸発し終えているので、ワキ不具合や肌不良といった塗装不具合を防止することができる。
【0031】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0032】
【実施例】
実施例1
自動車ドアパーツに脱脂、前処理およびリン酸亜鉛化成被膜処理を施し、これを水洗したのち、カチオン電着塗料(日本ペイント社製PTU−100)を250Vの電圧で3分間電着塗装した。これを水洗したのち室温で5分間セッティングした。電着膜厚は20μmであった。
【0033】
この電着塗膜の上に、中塗り塗料(日本ペイント社製OP−61)を乾燥膜厚で25〜30μmとなるように塗装し、130℃×20分保持の条件で電着塗膜および中塗り塗膜を同時に焼き付けた。
【0034】
本例で用いた電着塗料は硬化開始温度が120℃であり、中塗り塗料は硬化開始温度が125℃である。
【0035】
実施例2
中塗り塗料の硬化開始温度を140℃、同時焼き付け条件を145℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0036】
実施例3
電着塗料の硬化開始温度を140℃、中塗り塗料の硬化開始温度を145℃、同時焼き付け条件を150℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0037】
実施例4
電着塗料の硬化開始温度を140℃、中塗り塗料の硬化開始温度を160℃、同時焼き付け条件を165℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0038】
実施例5
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を165℃、同時焼き付け条件を170℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0039】
実施例6
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を180℃、同時焼き付け条件を185℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0040】
実施例7
電着塗料の硬化開始温度を175℃、中塗り塗料の硬化開始温度を180℃、同時焼き付け条件を185℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0041】
比較例1
電着塗料の硬化開始温度を110℃、中塗り塗料の硬化開始温度を135℃、同時焼き付け条件を140℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0042】
比較例2
電着塗料の硬化開始温度を120℃、中塗り塗料の硬化開始温度を110℃、同時焼き付け条件を125℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0043】
比較例3
電着塗料の硬化開始温度を120℃、中塗り塗料の硬化開始温度を145℃、同時焼き付け条件を150℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0044】
比較例4
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を160℃、同時焼き付け条件を165℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0045】
比較例5
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を150℃、同時焼き付け条件を165℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0046】
比較例6
電着塗料の硬化開始温度を180℃、中塗り塗料の硬化開始温度を180℃、同時焼き付け条件を185℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0047】
比較例7
電着塗料の硬化開始温度を160℃、中塗り塗料の硬化開始温度を190℃、同時焼き付け条件を195℃×20分保持とした以外は実施例1と同じ条件でテストピースを作製した。
【0048】
評価方法
上記実施例1〜7および比較例1〜7のテストピースの塗膜外観(塗り肌)を目視評価し、非常に良好なものを○、やや良好なものを△、不良のものを×とした。
【0049】
また、タレの発生が全く観察されなかったものを○、タレの発生がやや観察されたものを△、タレ不良のものを×とした。
【0050】
さらに、テストピースの塗膜にカッターで2mmの升目を100個作り、その表面にセロファンテープを密着させ、強く引き剥がした後の状態を評価した。そして、剥がれなかった升目の数を数えた。以上の結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
考 察
実施例1〜7のテストピースは全て良好な塗装品質を示したが、比較例2および5のように電着塗料の硬化開始温度が中塗り塗料の硬化開始温度より高いと塗装肌に欠陥が生じた。また、比較例1,3および7のように電着塗料の硬化開始温度と中塗り塗料の硬化開始温度との差が20℃を超えると密着性に問題があり、さらに、比較例7のように、中塗り塗料の硬化開始温度が電着塗料の硬化開始温度より30℃も高いと密着性不良に加えてタレ不良も発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る塗装方法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態に係る塗装方法を適用した塗装ラインを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態に係る塗装方法の中塗り乾燥炉における設定温度を示す図である。
【図5】従来の塗装方法の中塗り乾燥炉における時間と温度との関係及び時間と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…前処理ブース
2…電着塗装槽
3…電着水洗ブース
4…中塗り塗装ブース
5…中塗り乾燥炉
6…上塗り塗装ブース
7…上塗り乾燥炉
Claims (7)
- 少なくとも下塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料の3つの塗料を塗装する塗装方法であって、前記下塗り塗料を塗装し、ウェットオンウェットで前記中塗り塗料を塗装したのち、これらを同時に焼き付け硬化させ、前記上塗り塗料を塗装する塗装方法において、
前記下塗り塗料と前記中塗り塗料とを同時に焼き付ける際に、少なくとも前記下塗り塗料の溶剤を蒸発させたのち、前記下塗り塗料および前記中塗り塗料の硬化を開始させることを特徴とする塗装方法。 - 少なくとも前記下塗り塗料の溶剤を蒸発させたのち、前記下塗り塗料の硬化を開始させ、次いで前記中塗り塗料の硬化を開始させることを特徴とする請求項1記載の塗装方法。
- 前記下塗り塗料及び前記中塗り塗料の硬化開始温度は、120℃〜180℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装方法。
- 前記下塗り塗料の硬化開始温度は、前記中塗り塗料の硬化開始温度より5℃〜20℃低いことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の塗装方法。
- 前記下塗り塗料及び中塗り塗料は、基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含み、前記ブロックポリイソシアネートは、下塗り塗料の溶剤及び中塗り塗料の溶剤の蒸発温度を超える温度で解離するブロック剤でブロックされた請求項1〜4の何れかに記載の塗装方法。
- 前記下塗り塗料は、基体樹脂としてのエポキシ系樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含み、前記ブロックポリイソシアネートは、120℃〜180℃で解離するブロック剤でブロックされた請求項3又は4記載の塗装方法。
- 前記中塗り塗料は、水酸基とカルボキシル基とを有する基体樹脂と、架橋剤としてのブロックポリイソシアネートとを含み、前記ブロックポリイソシアネートは120℃〜180℃で解離するブロック剤でブロックされた請求項3又は4記載の塗装方法。
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- 2003-04-28 JP JP2003123779A patent/JP2004322029A/ja active Pending
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