JP2004317701A - 多層膜光フィルタ及び光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ほぼ0の温度係数を示す多層膜光フィルタ、およびそれを備えた光学部品を得ることができる技術の提供を目的とする。
の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、基板1と、該基板1の少なくとも一面上に設けられた屈折率の異なる複数の誘電体材料からなる薄膜3、4が繰り返し積層された多層膜5と、透過波長の温度依存性を調整する調整層2とを具備してなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の波長の光を透過あるいは反射させ、バンドパスフィルタ、利得平坦化フィルタ等として応用可能な多層膜光フィルタとそれを用いた光学部品であって、特に温度特性を極めて小さくすることが可能な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
多層膜光フィルタは、積層された膜のそれぞれの界面での光の干渉現象を利用して対象とする光の波長範囲において所望の透過特性あるいは反射特性を得ようとするものである。
図7は、一般的に知られている多層膜光フィルタの一例を示すもので、この例の多層膜光フィルタ100は、ガラス製の基板101上に、酸化タンタル(Ta)からなる高屈折率層102と、酸化珪素(SiO)からなる低屈折率層103とを数10層〜100層程度積層してなる多層膜105を備えたものである。
【0003】
この種の多層膜光フィルタ100において各層の膜厚は、透過あるいは反射の対象とする光の波長λに対して、光学厚さがλ/4となる厚さを中心に分布するように設計される。ここでの光学厚さとは、屈折率と物理的厚さ(実際の膜厚)の積で定義される値である。例えば、光通信用途の波長1.55μmの光を対象とする場合、実際の膜厚は、酸化タンタルの高屈折率層102において0.18μmの厚さの層を主体として0.05〜0.8μmの範囲に分布させ、酸化珪素の低屈折率層103において0.26μmの厚さの層を主体として0.09〜0.8μmの範囲に分布させるように設計するものが一般的である。
【0004】
ところで、この種の多層膜光フィルタ100にあっては、周囲温度の変動によって透過ピーク波長がシフトするという問題を有している。このため、このような問題を解消する目的で、波長シフトの温度係数値が基板100の線膨張係数値に対して単調に減少するという関係を知見し、線膨張率の値に鑑みて基板の構成材料を決定するとともに、多層膜の種類を選定して温度係数を調整することで対処しようとする技術が開示されている。(特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特開平7−198935号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
先の特許文献1に開示されている技術によれば、基板に使用するガラスの種類に応じてその線膨張係数と屈折率が微妙に異なるので、これらの差異を利用するとともに、多層膜の種類として、Ta/SiOの組み合わせの他に、Ti0/SiOの組み合わせ、Ta/SiO/Alの組み合わせ、Ti0/SiO/Alの組み合わせ等を適宜適用して試験し、波長シフトの温度係数制御を行うと記載されている。ところが、先の特許文献1においても、ほぼ0とみなし得る程度の温度係数のものを具体的に得られたとする記述は見られず、実際のところ現状では、どのような種類の基板を選択してもほぼ0と見なし得る程度の温度係数を得ることができないという課題があった。
【0007】
例えば、先の特許文献1には、Ti0/SiO/Alの組み合わせ、あるいはTi0/SiOの組み合わせとして得られる多層膜において、該特許文献1の図1に示されている温度係数シフト直線a〜dを参照し、基板として線膨張係数値が75〜150(/10)の範囲のものを選択し、その基板上にTi0/SiO/Al膜あるいはTi0/SiO膜を積層すれば良いと記載されてはいるが、実際に適用可能な基板でほぼ0とみなし得る温度係数を得ることができたとの記載はなされていない。これは、基板の線膨張係数の値は基板の構成材料の物質に応じた固有値であり、自由に制御できるものではないことに起因し、現在知られているいずれの材料からなる基板を用いても、実際のフィルタにおいて温度特性をほぼ0とみなし得る程度の小さい値に調整できるものではないという問題がある。
【0008】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、ほぼ0とみなし得る程度に小さな温度係数を示す多層膜光フィルタ、およびそれを備えた光学部品を得ることができる技術の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の目的を達成するために、基板と、該基板の少なくとも一面上に設けられた屈折率の異なる複数の誘電体材料からなる薄膜が繰り返し積層された多層膜と、透過波長の温度依存性を調整する調整層とを具備してなることを特徴とする。
調整層を設けることにより多層膜の透過波長の温度係数を調整することが可能となる。また、調整層の構成材料は適宜選択できるとともに、調整層自体の厚さを自由に設定できるので、多層膜に与える透過波長の温度依存性の影響度合いを調整することが可能となり、その調整によってほぼ0に近い温度係数の多層膜光フィルタの実現が可能となる。従って、周囲温度の変動によって透過ピーク波長がシフトするという問題をほとんど生じない、多層膜光フィルタを提供できる。
【0010】
本発明は、前記調整層が前記基板の直上に形成され、該調整層上に前記多層膜が積層されたことを特徴とする。
調整層の設置位置として、基板の直上を選択することができ、その上に多層膜を設置することで、多層膜に与える調整層の影響を調整することができ、多層膜の温度係数の依存性を調整できる。
本発明は、前記調整層が前記多層膜の中に含まれてなることを特徴とする。
線膨張率調整層の設置位置として、多層膜の中を選択することができ、多層膜の中に調整層を設置することで、多層膜に調整層の影響を調整することができ、多層膜の温度係数の依存性を調整できる。
【0011】
本発明は、前記調整層が5〜50μmの範囲の厚さに形成されたことを特徴とする。
調整層の厚さを薄くすれば、多層膜に与える温度係数依存性の影響を少なくすることができ、調整層の厚さを厚くすれば、多層膜に与える温度係数依存性の影響を多くすることができ、層厚の制御に応じて多層膜の温度係数依存性を微調整できる。調整層の厚さが5μm以下では温度係数依存性への影響力が小さくなり過ぎて実用的ではなくなり、調整層の厚さが50μmを超えて厚くなっても温度係数依存性への影響力には限界があり、無駄になるとともに、製膜に時間がかかり過ぎるようになり、効率が悪い。
本発明においては前記多層膜を構成する複数の薄膜の材料として、TiO、SiO、Ta、Al、ZrO、Si、ZnS、HfO、Ge、Nd、Nb、CeOの中から選択される2つ以上の組み合わせを選択することができる。
本発明の光学部品は、先のいずれかに記載の多層膜光フィルタを備えたことを特徴とする。
本発明に係る光学部品は、先に記載の多層膜光フィルタを具備するので、温度係数依存性が少なく、ほぼ0に近い優れた特性を示す。従って、周囲温度の変動によって透過ピーク波長がシフトするという問題をほとんど生じない、光学特性に優れた光学部品を提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る第1実施形態の多層膜光フィルタの断面図である。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などを適宜異ならせて表示してある。また、本発明が以下の実施形態に限定されるものではないのは勿論である。
【0013】
図1に示すように本発明に係る多層膜光フィルタAは、ガラス等からなる基板1と、該基板1の上面(一面)上に形成された調整層(温度特性調整層:線膨張係数調整層)2と、該調整層2上に積層された屈折率の異なる低屈折率層3と高屈折率層4が対になって合計、数10層〜100層程度積層されてなる多層膜5を主体として構成されている。このような、多層膜光フィルタAは、例えば、波長1.55μmの光を対象とした光通信用の利得平坦化フィルタ、バンドパスフィルタ等に適用されるものである。
【0014】
前記基板1は、ガラスからなり、例えば、石英ガラス、BK7(屈折率1.5)、WMS13(屈折率1.52、保谷ガラス商品名)、WMS15(屈折率1.52、保谷ガラス商品名)等のガラスを用いることができる。この基板1の厚さは自身の強度を保持できる程度の厚さである数mm程度、例えば6mmとすることが好ましい。
【0015】
前記調整層2は、後述する多層膜5を構成する低屈折率層3あるいは高屈折率層4のいずれかを構成する材料からなる薄膜、あるいは、他の後述する材料からなる薄膜からなり、多層膜5の透過波長の温度依存性を調整することができるものである。また、この調整層2は多層膜5全体の線膨張係数を調整して多層膜5の透過波長の温度依存性を調整するものである。
前記調整層2を構成する材料として例えば、多層膜5を構成する材料として使用可能な誘電体薄膜、例えば、TiO、SiO、Ta、Al、ZrO、Si、ZnS、HfO、Ge、Nd、Nb、CeOのいずれかを例示することができる。
また、調整層2として、多層膜5を構成する材料ではない、第3の材料、例えば、LiNbO、PbMoOからなるものを用いても良い。
【0016】
前記調整層2は、例えば、厚さ5μm以上、50μm以下、より好ましくは10μm以上、50μm以下の範囲に形成された誘電体材料の薄膜からなる。この調整層2の厚さを薄くすれば、多層膜5に与える温度係数依存性の影響が少なくなり、調整層2の厚さを厚くすれば、多層膜5に与える温度係数依存性の影響を多くすることができ、膜厚の制御に応じて多層膜の温度係数依存性を微調整することができる。線膨張率調整層の厚さが5μm以下では温度係数依存性への影響力が小さくなり過ぎて実用的ではなくなり、線膨張率調整層の厚さが50μmを超えて厚くなっても温度係数依存性への影響力には限界があり、膜厚が無駄に増加して成膜に無駄に時間がかかるようになる傾向がある。
【0017】
前記低屈折率層3あるいは高屈折率層4を構成する材料として、例えば、TiO(屈折率2.25)、SiO(屈折率1.46)、Ta(屈折率2.05)、Al(屈折率1.65)、ZrO(屈折率2.03)、Si(屈折率3.5)、ZnS(屈折率2.25)、HfO(屈折率1.95)、Ge(屈折率4.85)、Nd、Nb、CeO、CeF(屈折率1.63)のいずれかを例示することができ、これらを2つあるいは3つ以上、屈折率差をつけて組み合わせることで多層膜5が構成される。
【0018】
これらの低屈折率層3あるいは高屈折率層4の膜厚は、透過あるいは反射の対象とする光の波長λに対して、光学厚さがλ/4となる厚さを中心に分布するように設計される。ここでの光学厚さとは、屈折率と物理的厚さ(実際の膜厚)の積で定義される値である。
例えば、光通信用途の波長1.55μmの光を対象とする場合、実際的な膜厚は、Taからなる高屈折率層4において0.18μmの厚さの層を主体として0.05〜0.8μmの範囲に分布させ、SiOからなる低屈折率層3において0.26μmの厚さの層を主体として0.09〜0.8μmの範囲に分布させるように設定する。
【0019】
また、低屈折率層3と高屈折率層4の組み合わせとして構成する多層膜5として例えば、TiO/SiO薄膜を繰り返し積層したもの、Ta/SiO薄膜を繰り返し積層したもの、Ta/SiO/Al薄膜を繰り返し積層したもの、TiO/SiO/Al薄膜を繰り返し積層したものなどを例示することができる。
【0020】
前記の調整層2、低屈折率層3、高屈折率層4は、例えば、イオンビームスパッタ法などの成膜法により形成することができる。
Ta/SiO薄膜の積層構造を例にとってその製造方法の一例について説明すると、成膜装置の真空チャンバの内部にタンタル(Ta)のターゲットとケイ素(Si)のターゲットを設置し、反応ガスとして真空チャンバの内部に微量の酸素を供給し、それぞれの酸化物の薄膜を基板上に順次堆積させる方法を採用することができる。
成膜装置には、膜厚の測定手段を設置しておき、成膜中の膜厚を監視するようにする。前記ターゲットのいずれかを選択して成膜を行い、所定の膜厚になった時点で他方のターゲットに切り替えて成膜する処理を順次繰り返し行い、規定の厚さの低屈折率層3と高屈折率層4を交互に成膜すれば良い。
【0021】
図2(A)、(B)は、上記の方法における、途中の工程での膜構成を示す断面図である。図2(A)は第1段階の工程であり、基板1上への調整層2の成膜が終了した段階を示している。図2(B)は第2段階の工程を示し、屈折率の異なる2層(低屈折率層3と高屈折率層4)を1層ずつ積層した状態を示す。この段階から低屈折率層3と高屈折率層4を必要層数分だけ順次繰り返し積層してゆくことで図1に示す構造の多層膜光フィルタAを得ることができる。
【0022】
次に、先の調整層2の厚さならびに材料選定規準について説明する。
前記構造の多層膜光フィルタAにおいては、
適用波長λc、多層膜光フィルタの線膨張係数β、屈折率温度係数δ、ポアソン比(平均値)s、充填率(密度平均値)P、多層膜自体の透過率(25℃規準)N、基板の線膨張率βs、多層膜の線膨張率βfとすると、TSCWで示される中心波長温度安定性に関して基板及び環境温度25℃において以下の(1)式が成立する。
Figure 2004317701
この(1)式において適用波長λcは適用しようとする波長に応じて一定値になり、多層膜光フィルタの線膨張係数βとポアソン比sは多層膜の種類を決めると一定値になり、充填率Pも成膜材料や成膜時の条件等を決めると一定値になり、多層膜自体の透過率Nと基板の線膨張率βsも多層膜の種類と基板材料を決めると一定値になるので、変動要因として、多層膜の線膨張率βを制御すれば、中心波長温度依存性を調整できることが分かる。従って本発明では多層膜の線膨張率βを制御する目的で調整層2を設けている。
【0023】
ところで、先の実施形態においては基板1上に直接調整層2を1つ設けた例について説明したが、線膨張率調整層2は多層膜5の間、即ち、低屈折率層と高屈折率層の間に1つあるいは複数層設けても良く、多層膜5の最上層に調整層2を設けても良いのは勿論である。
図3は多層膜5の間に1つの調整層2を多層膜5とは別途にこれらの間ん介在させるように設けた例の構造、図4は多層膜5の間の部分と最上層に個別に調整層2を設けた例の構造をそれぞれ示す。
これらの図3、図4に示すごとく調整層2を基板上1のいずれの位置に設けても多層膜5の線膨張係数を調整することができ、もって、多層膜5の温度係数の依存性を調整することができる。
【0024】
図5は本発明に係る多層膜光フィルタを適用した光学部品(光フィルタモジュール)の一例として、ケーシング29の一方(図5において右側)の開口部29Aに光ファイバ32の端部を接続し、他方(図5において左側)の開口部29Bに先の光ファイバ32に対向する他の光ファイバ33の端部を接続し、ケーシング29の内部において、光ファイバ32、33の端部間に位置するようにレンズ部材31、34と、これらのレンズ部材31、34間に挟まれた位置に先に説明した構成の多層膜光フィルタAを設けて光フィルタモジュールBを構成した例である。
図5に示す構造において、先の実施形態の多層膜光フィルタAを適用することで、周囲温度の変動によって透過ピーク波長がシフトするという問題をほとんど生じない、光学特性に優れた光フィルタモジュール(光学部品)Bを提供できる。
【0025】
図6に上記した(1)式に基づき、波長λcを1550nm、ガラス基板(保谷ガラス製;WMS13)を用いた場合の多層膜フィルタにおける中心波長温度安定性(TSCW:フィルター中心波長の温度変化率)と全体に対するTaの体積比の関係を示す。
図6では、Ta膜が約70%のフィルタではTSCW:フィルター中心波長の温度変化率が約−0.6(pm/K)となることが示されている。
【0026】
【実施例】
「実施例1」
厚さ6mmのガラス基板(保谷ガラス製;WMS13)を用いてこのガラス基板をイオンビームスパッタ装置の真空チャンバの内部に設置するとともに、真空チャンバの内部にTaターゲットとSiターゲットを配置し、真空チャンバの内部を酸素ガス分圧6.7×10−6Pa、圧力2.4×10−6Paの減圧雰囲気として各々イオンビームスパッタを行ってTa膜またはSiO膜を積層した。
まず、ガラス基板上に形成する多層膜として、V(Ta)/V{Ta+V(SiO)}を合計層数33層(総厚31.9μm)積層した多層膜は、V(Ta)/V{Ta+V(SiO)}=(全体に対するTa膜の体積比)は43.8%になるので、図6に示す関係から+0.7(pm/K)となる。この多層膜は実測値においても+0.8(pm/K)となった。
この積層膜に対し、Ta膜のλ/4光学薄膜×22=4.15μmのTa膜を先の層数33の多層膜の上層、中層、下層に挿入した層数36層の多層膜を製造したところ、TSCW:フィルター中心波長の温度変化率は+0.4(pm/K)となり、ほぼ0と見なし得る程度に小さくなった。
これは、図6の関係から、全体に対するTa膜の体積比が0.51となり、この数値を図6から読み込むと、ほぼ+0.4(pm/K)となる関係と合致した。
【0027】
「実施例2」
実施例1と同様の基板と成膜条件を採用し、ガラス基板上に形成する多層膜として、V(Ta)/V{Ta+V(SiO)}を合計層数47層(総厚54.9μm)積層した多層膜は、V(Ta)/V{Ta+V(SiO)}=(全体に対するTa膜の体積比)は75%になるので、図6に示す関係から−1.0(pm/K)となる。この多層膜は実測値においても−1.0(pm/K)となった。
この積層膜に対し、SiO膜のλ/4光学薄膜×16=4.2μmのSiO膜を先の層数33の多層膜の上層、中層、下層に挿入した層数50層の多層膜を製造したところ、TSCW:フィルター中心波長の温度変化率は−0.5(pm/K)となり、ほぼ0と見なし得る程度に小さくなった。
これは、図6の関係から、全体に対するTa膜の体積比が0.68となり、この数値を図6から読み込むと、ほぼ−0.5(pm/K)となる関係と合致した。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、基板と、屈折率の異なる複数の薄膜が繰り返し積層された多層膜と、透過波長の温度依存性を調整する調整層とを具備してなるので、多層膜の透過波長の温度係数を調整することが可能となる。
また、調整層の構成材料は適宜選択できるとともに、調整層自体の厚さを自由に設定できるので、多層膜に与える透過波長の温度依存性の影響度合いを調整することが可能となり、その調整によってほぼ0に近い温度係数の多層膜光フィルタの実現が可能となる。従って、周囲温度の変動によって透過ピーク波長がシフトするという問題をほとんど生じない、多層膜光フィルタを提供できる。
【0029】
本発明の調整層が前記基板の直上に形成され、該調整層上に前記多層膜が積層されたものでも良く、調整層が多層膜の中に含まれてなるものでも良い。
調整層の設置位置として、基板の直上又は多層膜の中を選択することができ、その上に多層膜を設置することで、多層膜に与える調整層の影響を調整することができ、多層膜の温度係数の依存性を調整できる。
【0030】
前記調整層が5〜50μmの範囲の厚さに形成されることが好ましく、この範囲で調整層の厚さを薄くすれば、多層膜に与える温度係数依存性の影響を少なくすることができ、調整層の厚さを厚くすれば、多層膜に与える温度係数依存性の影響を多くすることができ、層厚の制御に応じて多層膜の温度係数依存性を微調整できる。
本発明の光学部品は、先のいずれかに記載の多層膜光フィルタを備えたので、温度係数依存性が少なく、ほぼ0に近い優れた特性を示す。従って、周囲温度の変動によって透過ピーク波長がシフトするという問題をほとんど生じない、光学特性に優れた光学部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る第1実施形態の多層膜光フィルタの断面図である。
【図2】図2(A)は基板上に線膨張率調整層を設けた状態を示す断面図、図2(B)は線膨張率調整層上に低屈折率層と高屈折率層を設けた状態を示す断面図である。
【図3】図3は本発明に係る第3実施形態の多層膜光フィルタの断面図である。
【図4】図4は本発明に係る第4実施形態の多層膜光フィルタの断面図である。
【図5】図5は本発明に係る多層膜光フィルタを用いた光フィルタモジュールの一構成例を示す断面図である。
【図6】図6は実施例の多層膜光フィルタの測定結果を示す図である。
【図7】図7は従来の多層膜光フィルタの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
A…多層膜光フィルタ、1…基板、2…調整層、3…低屈折率層、
4…高屈折率層、5、6、7…多層膜、B…光学部品。

Claims (8)

  1. 基板と、該基板の少なくとも一面上に設けられた屈折率の異なる複数の誘電体材料からなる薄膜が繰り返し積層された多層膜と、透過波長の温度依存性を調整する調整層とを具備してなることを特徴とする多層膜光フィルタ。
  2. 前記調整層が、前記基板の直上に形成され、該調整層上に前記多層膜が積層されたことを特徴とする請求項1に記載の多層膜光フィルタ。
  3. 前記調整層が、前記多層膜を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜のうち、少なくとも一方の構成材料からなることを特徴とする請求項1に記載の多層膜光フィルタ。
  4. 前記調整層が、前記多層膜中に複数介在されてなることを特徴とする請求項1に記載の多層膜光フィルタ。
  5. 前記調整層が、前記多層膜を構成するいずれの材料とも異なる種類の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の多層膜光フィルタ。
  6. 前記調整層が、5〜50μmの範囲の厚さに形成されたことを特徴とする請求項1に記載の多層膜光フィルタ。
  7. 前記多層膜を構成する複数の薄膜の材料が、TiO、SiO、Ta、Al、ZrO、Si、ZnS、HfO、Ge、Nd、Nb、CeOの中から選択される2つ以上の組み合わせとされたことを特徴とする請求項1記載の多層膜光フィルタ。
  8. 請求項1及至8のいずれかに記載の多層膜光フィルタを備えたことを特徴とする光学部品。
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