JP2004317680A - 反射体、それを用いた照明装置および表示装置 - Google Patents
反射体、それを用いた照明装置および表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】従来の高い反射率をさらに向上させ、しかも耐熱性、反射率に優れた反射体を提供し、且つ同反射体を用いた照明装置および表示装置を提供することにある。
【解決手段】融点またはガラス転移温度が高いポリオレフィン樹脂、無機充填剤、延伸助剤および蛍光増白剤とからなる樹脂シートを延伸して多孔質樹脂シートを得、支持体と貼合してランプリフレクター等の用途に応じて加工する。従来に比べ、反射率が向上しかつ紫外線が低減可能となった。
【選択図】 なし
【解決手段】融点またはガラス転移温度が高いポリオレフィン樹脂、無機充填剤、延伸助剤および蛍光増白剤とからなる樹脂シートを延伸して多孔質樹脂シートを得、支持体と貼合してランプリフレクター等の用途に応じて加工する。従来に比べ、反射率が向上しかつ紫外線が低減可能となった。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、反射体とそれを用いた表示装置および照明装置に関するものである。詳しくは高反射率で優れた白色性を有する反射フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、反射フィルムは、携帯電話、パソコン、液晶テレビ等の液晶表示装置の主要部品として数多く用いられている。液晶表示装置には、大面積化、薄型化、高画質化への要求があり、第一に大容量の光を液晶部分に供給することが必要とされる。光源から供給光量を多くするためには、反射効率が高く、高輝度が得られる反射フィルムもしくは反射フィルムと支持体との積層体(以下反射体と総称する)が要求されている。
【0003】
液晶表示装置のバックライトユニットには、光源を直接液晶部の下部に配置する直下型と、光源を透明な導光板の横に配置するエッジライト型がある。一般に大型液晶テレビなどの画面には前者の方式が採用され、一方、携帯電話やノートパソコンには後者の方式が採用される。反射体は、直下型ではランプ下の平面部分に、エッジライト型ではランプを覆うように導光板横、および導光板の光を反射するように導光板下に配置される。
【0004】
従来、この反射体の素材としては、アルミニウム等の金属板の表面に銀を主成分とする金属薄膜層を有する反射シートを貼り合わせた反射体、または、特開平2−13925号公報(特許文献1)に記載されるような白色顔料を塗工したアルミニウム等の金属板、特開昭59−8782号公報(特許文献2)に記載されるような白色ポリエチレンテレフタレートシート(以下、白色PETシートと略す)が反射部材として用いられている。また、PET以外にポリオレフィン系の反射体も報告されている(実開昭57−060119号公報(特許文献3))。しかし、近年、製品の高輝度化の要求がますます高まっており、より反射性能の高い反射体が求められていた。そこで、本発明者らは特開平6−298957号公報(特許文献4)、特開平7−287110号公報(特許文献5)に開示されるような優れた反射率をもった多孔性樹脂シートからなる反射体を創出した。該反射体は、特定量のポリオレフィン系樹脂と無機充填剤を含む多孔性シートであるために、シート表面及びその内部に反射層を多数含有しており優れた光線反射率を有する。
【0005】
しかしながら、近年の市場の更なる高輝度化への要求に対しては不十分であり、より反射効率の高い反射フィルムが求められている。また高輝度化を達成するには、高出力の光源を用いる必要があり、これに伴って発生する熱量も増大するため、反射体にも高い耐熱性が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平2−13925号公報
【特許文献2】特開昭59−8782号公報
【特許文献3】実開昭57−060119号公報
【特許文献4】特開平6−298957号公報
【特許文献5】特開平7−287110号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる理由から、本発明の目的は、高温における優れた安定性、且つ優れた曲げ加工性を併せ持つ状態を維持したままで、これまでの高い反射率をさらに向上させ、反射体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂に無機充填剤と蛍光増白剤を配合して得られた多孔性反射シートが上記課題を解決し得ると同時に、紫外領域の波長の反射率が下がることから、冷陰極管等の紫外線を発生する光源を使用した液晶表示装置の画面を通して眼が受ける紫外線量を抑え得る反射体であることを見出し、本発明に到った。すなわち、本発明は、
(1)融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)と
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化マグネシウム及び酸化亜鉛から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤(B)と
ポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)の合計100質量部に対して
延伸助剤(C)0.01〜10質量部と蛍光増白剤(D)0.002〜0.8質量部とからなる樹脂組成物から得られるシートを延伸して得られ、430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上であり且つ厚みが30〜300μmであることを特徴とする反射体。
(2)ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂である反射体。
(3)無機充填剤(B)が、硫酸バリウムである請求項1記載の反射体。
(4)上記の反射体と支持体とからなる反射体。
(5)上記の反射体を用いた照明装置。
(6)上記の反射体を用いた表示装置。
【0009】
本発明の反射体の特徴は、融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)と延伸助剤(C)と蛍光増白剤(D)からなる多孔性樹脂シートである点にある。本発明の反射体は、ポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)を主成分とする多孔性シートであるために、シート表面およびその内部に反射点を多数含有しており優れた光線反射率を有する。しかも融点の高いポリオレフィン樹脂(A)を用いているために、高温での熱安定性に優れている。さらには、蛍光増白剤(D)を用いているために430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上であると同時に紫外領域の波長の反射率が下がり、冷陰極管等の紫外線を発生する光源を使用した液晶表示装置の画面を通して放射される有害な紫外線量を抑えることができる反射体である。また、蛍光増白剤の種類を選択することによって、反射光線の可視光線波長特性を所望のパターンに近づける様に制御することも可能である。
【0010】
本発明の照明装置は、反射性、耐熱性に優れた反射体を用いているので、より薄型に出来、輝度にも優れている。
本発明の表示装置は、反射性、耐熱性に優れた反射体を用いているので、より薄型に出来、照度にも優れている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の反射体について詳細に説明する。
本発明において反射率という語は拡散反射率、全反射率、全反射率の意味を含むことがある。
【0012】
本発明の反射体は、少なくとも融点およびガラス転移温度のいずれかが140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)、無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)とからなる樹脂組成物を用いて成形されるシートを延伸し、それを支持体と積層することによって得られる。シートの成形法や延伸方法に特に制限はないが、好ましい製法として、上記ポリオレフィン樹脂(A)に無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)を添加、混合して樹脂組成物となし、得られた樹脂組成物から例えば溶融押出成形等により未延伸シートを成形し、ついで得られた未延伸シートを一軸または二軸延伸する方法を例示できる。
【0013】
本発明で使用するポリオレフィン樹脂(A)は、融点およびガラス転移温度のいずれかが140℃以上、好ましくは155℃以上である。当然のことながら、融点、ガラス転移温度の両方が140℃以上である物も好適である。具体例としてはポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体、テトラシクロドデセン誘導体のメタセシス重合体やその水素添加物等の環状オレフィン(共)重合体などを好ましい例として挙げることが出来る。特に好ましくはポリプロピレンであるが、これらの重合体は融点およびガラス転移温度のいずれかが上記の範囲であれば特に製法に制限はない。
【0014】
本発明のポリオレフィン樹脂(A)は、公知の方法によって製造される。具体例としては、重合触媒としてチーグラー・ナッタ触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒を用いた対応するオレフィンの(共)重合によって製造する方法が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲で他のオレフィンを共重合しても良い。さらに、ポリマー側鎖の立体規則性も上記の融点の範囲を満たしていれば特に限定はなく、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック等のいずれでも構わない。
【0015】
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)の融点は、ASTM規格D−1525に規定される方法により測定したものである。
【0016】
これらのポリオレフィンは単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良いが、好ましくは単独で用いる。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトインデックス(以下MIという)は一般に0.1〜5g/10分が好ましく、より好ましくは0.2〜3g/10分のものである。MIが5g/10分を越えるものはシートの溶融成形時の形態安定性や延伸時の延伸性が劣ることがある。MIが0.1g/10分未満のものでは、延伸性には優れるが流動性が悪いために生産性が低くなることがある。尚、本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)のMIは、ASTM規格D−1238に規定される方法もしくはそれに準じた方法により測定される。
【0017】
本発明に用いる無機充填剤(B)としては、無機充填剤から選ばれた少なくとも1種を使用することが出来る。得られる多孔性樹脂シートの反射率を勘案すれば、硫酸バリウム、酸化チタンもしくは炭酸カルシウムが好適に使用出来る。更に好ましくは粒径が小さく、粒径分布が優れている硫酸バリウムである。硫酸バリウムは、ポリオレフィン樹脂(A)の分散性、混合性がよい沈降性硫酸バリウムが好ましい。また、無機充填剤(B)の粒度は得られる多孔性樹脂シートの表面状態、反射率、生産性、機械強度に影響を及ぼすので、0.1〜7μm程度の平均粒子径を有するものが好ましい。更に好ましくは、0.3〜5μm程度の平均粒子径である。
【0018】
ポリオレフィン樹脂(A)及び無機充填剤(B)の添加比は、得られる多孔性シートの光線反射率に影響を及ぼす。無機充填剤(B)の添加量が少ないと得られる多孔性シートの開孔率が低くなり、逆に多いと開孔率が高くなる。開孔率が低い多孔性シートは、樹脂層と空気層との界面における光の反射量が減り、高い光線反射率を有する多孔性シートが得られないことがある。また、無機充填剤(B)の添加量が多いと多孔性シートの開孔率が高くなり光線反射率は増すが、シートの生産性、多孔性シートの強度が低下することがある。従って、本発明においては、ポリオレフィン樹脂(A)は好ましくは10〜40質量部、より好ましくは20〜35質量部、更に好ましくは20〜30質量部であり、無機充填剤(B)は好ましくは90〜60質量部、より好ましくは65〜80質量部、更に好ましくは80〜70質量部である。
【0019】
本発明に用いる延伸助剤(C)は、樹脂組成物の延伸性を高めるため、該多孔性樹脂シートの延伸切れをおこさず、生産性を高めることが出来る。また、延伸時の樹脂と無機充填剤との間にボイドを生じやすくさせ、開口率を高める働きも持つ。従って、得られる多孔性樹脂シートに高い反射率を与えるとともに、シート位置による反射率のばらつきを抑えることができる。その結果、本発明の反射体は、輝度むらがなく、均一な反射が得られる。これらの特性を発揮するものとして、脂肪酸とグリセリンとのエステルが挙げられる。脂肪酸としては、オクタデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカエン酸、オクタデカジエン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸等が好ましい。これら脂肪酸とグリセリンとのエステルにはモノエステル、ジエステル及びトリエステルがあるが、これらの単独物であっても、混合物であってもよい。より好ましくはトリエステルであって、中でも、オクタデカジエン酸トリグリセライドを主成分とする脱水ヒマシ油及びヒドロキシオクタデカン酸トリグリセライドを主成分とした硬化ヒマシ油が特にブリーディングしにくいため、好適に使用される。これらの延伸助剤(C)は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
【0020】
延伸助剤(C)の添加量は、ポリオレフィン樹脂(A)及び無機充填剤(B)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。添加量が0.01質量部よりも少ないと上記特性を十分発揮することが出来ず、多孔性樹脂シートの反射率のばらつきが大きくなり、生産性が低下することがある。添加量が10質量部を越えると、シート成形時に延伸助剤の一部が熱劣化を起こしたり、多孔性樹脂シートを得た後に経時的に表面に浮き出してくることがある。
【0021】
本発明に用いる蛍光増白剤(D)は、可視光領域に吸収を持たず、紫外線を吸収して紫色〜青色の強い蛍光を放射し、この領域の見かけの反射光を増加させる働きを持つ。従って、得られる多孔性樹脂シートは可視光の短波長領域に高い反射率を持つと同時に、紫外線を吸収し液晶表示装置の画面より放射される紫外線量が減少し、眼にやさしいを液晶表示装置を提供することができる。また、蛍光増白剤(D)の種類を選択することによって、反射光線の可視光線領域の反射光のスペクトルパターンを制御し、所望のパターンに近づけることも可能である。蛍光増白剤(D)には様々なものがあり、その構造によりスチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、イミダゾール系、ナフタルイミド系等に分類される。蛍光増白剤(D)は、特に限定されるものではなく、一般に市販されているものを単独で使用しても良いし、複数を混合して使用しても良いが、ポリオレフィン樹脂(A)に均一分散しやすく、着色が少なく、耐熱性に優れているものが好ましい。具体的には、4,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、
2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン、
1,2−ジ(5−メチル−2−ベンジアゾリル)エチレン、
1,2−ビス(5−メチル−2−ベンズオキサゾール)エチレン、2,2’−(4,4’−ジフェノールビニル)ジベンズオキサゾール、
1,1’−ビフェニル−4,4’−ビス−ベンズオキサゾール、2,5−ビス(ベンズオキサゾール−2−)チオフェン、
4−4’−ビス(5−メチル−2−ベンズオキサゾール)エチレン、
1,4−ビス(ベンズオキサゾリル−2−イル)エチレン、
1,4−ビス(ベンズオキサゾリル−2−イル)ナフタレン、
4−4’−ビス[(4−アミノ−6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]スチルベン−ジサルフォネート、
2,2’−(1,4−ナフタレンジイル)ビス−ベンズオキサゾール
などが挙げられる。また、具体的な商品名としては、Mikephor(三池染料(株))、UVITEX OB ONE(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)、BLANKOPHOR(バイエル社)、LEUCOPHOR(クライアント社)、OB−1(イーストマン社)、TBO(住友精化(株))、ケイコール(日本曹達(株))、カヤホール(日本化薬(株))、WHITEX(住友化学(株))などを挙げることができる。
【0022】
蛍光増白剤(D)の添加量は、ポリオレフィン樹脂(A)及び無機充填剤(B)の合計100質量部に対して、0.002〜0.8質量部、さらに好ましくは0.01〜0.25質量部である。添加量が0.002質量部よりも少ないと上記特性を十分発揮することが出来ず、添加量が0.8質量部を越えると、分散不良を生じたり、蛍光増白剤自体の着色により、多孔性樹脂シートの反射率低下を招き好ましくない。
【0023】
本発明の反射体に用いられる樹脂組成物には、本発明の目的を妨げない範囲内で、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、白色顔料等の他の添加剤を添加しても良い。
【0024】
ポリオレフィン樹脂(A)、無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)と必要に応じて他の添加剤とを混合し、樹脂組成物を製造する方法には特に制限はない。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等を用いて室温またはその近傍の温度において混合する方法が挙げられる。また、混合した後、ストランドダイが装着された一軸または二軸スクリュー型押出機を用いて、用いるポリオレフィン樹脂(A)の融点以上の温度、好ましくは融点より20℃以上高い温度、ポリオレフィン樹脂(A)の熱分解温度未満の温度範囲において混練、溶融押出して、溶融ストランドとし、冷却した後、切断してペレット状に成形する方法も挙げられる。ポリオレフィン樹脂(A)に無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)を均一に分散、混合するためにはペレット状に成形する方法が好ましい。
【0025】
上記のようにして得られたポリオレフィン樹脂組成物からシートを成形する方法にも特に制限はない。例えば、Tダイが装着された一軸または二軸スクリュー型押出機を用いる押出成形法、円形ダイが装着された押出機を用いるインフレーション成形法、カレンダー成形法等の公知の方法が挙げられる。シートの成形温度は、用いるポリオレフィン樹脂(A)により異なるが、通常、融点もしくはガラス転移温度以上の温度、好ましくは、融点より20℃以上高い温度、熱分解温度未満の温度範囲である。
【0026】
得られた未延伸樹脂シートは、ロール法、テンター法等の公知の方法で少なくとも一軸方向に延伸される。延伸は一段で行ってもよいし、多段階に分けて行っても良い。また、二軸方向に延伸しても良い。さらに、延伸後必要に応じて、得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。
【0027】
延伸中のシートの切断を防止し、且つ均一な延伸を行い、好ましい開孔率を有する多孔性シートを得るためには、延伸温度は、ビカット軟化点(JIS規格−K−6760に規定される方法で測定した値)未満であることが好ましい。また、延伸倍率は、前記の無機充填剤(B)の添加量と同様に、得られる延伸シートの反射率および反射率のばらつきに影響を及ぼす。延伸倍率が低すぎると得られる延伸シートの反射率が低下し、所々に反射率の低い未延伸部分が残存するため、反射率のばらつきが大きくなる。逆に延伸倍率が高すぎると十分に全体が均一に延伸されるが、樹脂と無機充填剤との界面で生じた孔が光の透過するレベルまで大きくなるため、反射率が低下し好ましくない。また、延伸倍率が高い場合、シートの延伸限界に達し、延伸中にシートが切断することがあるので好ましくない。かかる観点から、一軸延伸の場合には3〜8倍、二軸延伸の場合には一軸方向に2〜7倍、その方向と直角方向に1.1〜3倍程度であることが好ましい。
【0028】
多孔性樹脂シートの厚みが薄いと光の透過率が高くなり反射率が低下する傾向にある。また、厚いと反射率は向上するが、シートの生産性が低下する。従って、反射体として用いる本発明の多孔性樹脂シートの厚みは、反射率と生産性を勘案すれば、下限は30μm、好ましくは50μmであり、上限は300μm、好ましくは270μmである。
【0029】
本発明の反射体は単独で用いることもできるが、主に剛性を高める目的で上記多孔性樹脂シートを黄銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属やプラスチック等の板やシート状の支持体と積層させる事もできる。
【0030】
多孔性樹脂シートと支持体とを積層する方法としては、支持体がプラスチックの場合熱融着する方法の他、好ましい方法として接着剤や粘着剤を用いて貼合する方法がある。一般にポリオレフィンは接着性に劣るとされているが、本発明では多孔質性樹脂シートを用いているために、接着剤や粘着剤が孔の一部に進入し、アンカー効果を発現するため、接着性に優れている。
【0031】
上記の粘着剤は、具体的に例示するとゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニル系粘着剤等である。本発明の反射体は高温で使用する可能性があるため、常温〜120℃でも安定な粘着剤が好ましい。中でもアクリル系粘着剤は、安価であるために広く用いられる。どの粘着剤を使用した場合でもその厚みは、0.5μm〜50μmが好ましい。
【0032】
上記の接着剤は、熱または触媒の助けにより接着される接着剤であり、具体的には、シリコン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤など一般的な接着剤を用いることができるが、本発明の反射体は高温で使用する可能性があるため、常温〜120℃でも安定な接着剤が好ましい。これらの中で、エポキシ系接着剤は強度、耐熱性に優れているため、これもまた好適に利用できる。シアノアクリレート系接着剤は、即効性と強度に優れているため、効率的な反射体作製に利用できる。ポリエステル系接着剤は、強度、加工性に優れているため、反射体作製に特に好適である。これらの接着剤は、接着方法によって熱硬化型、ホットメルト型、2液混合型に大別されるが、好ましくは連続生産が可能な熱硬化型あるいはホットメルト型が使用される。どの接着剤を使用した場合でもその厚みは、0.5μm〜50μmが好ましい。
【0033】
金属製の支持体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鋼亜鉛合金、鋼等が使用されるが、これらの金属にはそれぞれ長所があり、次のように使い分けることができる。アルミニウムは軽量かつ加工性に優れ、また、熱伝導率が高くそれにかかる熱を効果的に大気中に逃がすことができるため、ランプ発光によって反射体が加熱され易い液晶ディスプレイ用バックライトに好適に利用できる。アルミ合金は軽量かつ機械的強度が強い。ステンレス鋼は機械的強度が強く、耐蝕性に優れている。鋼亜鉛合金すなわち黄銅または真鍮は、機械的強度が強い。鋼は安価なため、コストを抑える必要がある時に好ましく用いられる。また形状記憶合金を用いれば加工性に優れる等の利点がある。
【0034】
また、支持体としてプラスチックも用いることができる。プラスチック製の支持体としては、上記のポリオレフィン樹脂(A)と同様、融点およびガラス転移温度のいずれかが140℃以上であることが好ましい。具体的には、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアレリート、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどのホモポリマーまたは、コポリマー等から上記の条件を満たすものが挙げられる。特に好ましくは、2軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラートフィルムであり、該高分子フィルムが最外層である場合には外観上白色もしくは黒色のものが好まれる。これらの材料は一般的に金属板に比べて軽量化が図れる特徴がある。支持体としての厚みは、5μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上100μm以下である。また、後述する折り曲げ加工が困難な場合は、環状オレフィンポリマー等の形状記憶樹脂を用いて解決することもできる。
【0035】
本発明の反射体の多孔性樹脂シート層側から測定される全反射率は、430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上である。本発明の反射体は例えば、直下型バックライト装置のランプ直下の平面部反射体やエッジライト型バックライト装置の導光板下反射体として用いることが出来る他、後述の照明装置や表示装置に好適に用いられる。
【0036】
本発明の照明装置は、少なくとも光源と上記反射体(以下、ランプリフレクターと言うことがある)とからなり、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、テレビジョン等の液晶表示装置のバックライトユニット、ストロボ照明器、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ、ファクシミリ、電子黒板等に好適に用いられる。
【0037】
上記のランプリフレクターは上記の反射体および支持体を積層してなる積層体を所定の形状に打ち抜き加工し、光源を覆う形状に曲げや絞り加工によって成形される。例えばサイドライト型バックライトに用いる場合、反射体側を内側にしてU字型形状に曲げ加工して冷陰極管を覆うような形状に作製される事が好ましい。また、上記打ち抜き加工を行う場合、事前に好適なサイズに枚葉化しても良い。また必要に応じて穴あけ加工等の工程を加えても良い。
【0038】
曲げ加工後の形状は使用方法によって異なるが、U字型、コの字型などが好ましい。その際の曲率半径は、用いる光源の形状によって決定されるが、5mm以下、好ましくは4mm以下である。
具体的な加工法としてはプレスを用いたV字曲げ、U字曲げや、ダンゼントベンダーを用いた折り畳み曲げ等が挙げられる。
【0039】
本発明の反射体は成形性に優れており、上記の様な加工を行っても反射層に皺や浮き上がりが発生しない。このことにより本発明の上記照明装置を液晶表示装置のバックライトユニットに組み込むと、高輝度で輝線の発生しない美しい映像を実現できる。
【0040】
本発明の反射体は、上記のランプリフレクターの他、前述したように導光板下反射体としても使用出来る。また、ランプリフレクターと導光板下反射体が一体成形された形状で、上記の照明装置に用いることもできる。
【0041】
本発明の反射体は、反射率が高く、耐熱性に優れるので上記反射体やそれを組み込んだ照明装置を用いた液晶表示装置、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ等の表示装置は、明るく鮮明な美しい画像が得られる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
密度0.90g/cm3 、MIが1.5g/10minのポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:FO−200H)28質量部に、平均粒子径0.94nmの沈降性硫酸バリウム(バライト工業(株)製、商品名:HD)72質量部、硬化ヒマシ油(伊藤精油(株)製、商品名:硬化ヒマシ油)3質量部、ステアリン酸カルシウム1質量部(日東化成(株)製、商品名:Ca−St)、蛍光増白剤(三池染料(株)製、商品名:Mikephor YO conc powder)を0.2質量部をタンブラーミキサーを用いて混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をベント型二軸押出機によりペレット状に加工した。このペレットをTダイが装着された押出機を用いて、210℃において溶融押出して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを135℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で7.0倍の延伸倍率で一軸延伸し、厚み178μmを有する多孔性樹脂シートを得た。この多孔性樹脂シートの融点は159℃であった。
この反射体の全反射率を、ミノルタ分光測色計(型式CM−3700d)にて測定した。結果を表1に示した。
実施例2
Tダイより押出される樹脂量を減じ、また余熱ロールの温度を130℃、延伸倍率を6.8倍とした以外は、実施例1と同様にして、厚み102μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
実施例3
蛍光増白剤を0.4質量部となるように添加した以外は、実施例2と同様にして、厚み176μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
比較例1
蛍光増白剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、厚み181μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
比較例2
蛍光増白剤を0.001質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み181μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。。
比較例3
蛍光増白剤を1.0質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み180μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散していたが、この多孔性樹脂シートは蛍光増白剤自体の持つ特有な黄色味を帯びた色を呈していた。この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
上記の様に、蛍光増白剤をある範囲の量含有した本発明の反射体は、白色という色調を保持したまま反射率を高めることが出来、更に紫外線の反射を低減することが出来る。
【0045】
【発明の効果】
本発明の反射体は、シート表面及びその内部に均一な反射層を多数含有しており、高い反射率を有する。しかも、高温での熱安定性に優れる反射体である。本発明の反射体を、例えば液晶表示装置のバックライトユニットを形成する反射体として用いると、従来のバックライトユニットに比べて、光源との間隔を狭く出来る、即ち薄型化する事が出来る。しかも、画面より放射される紫外線量を抑制した眼にやさしい液晶表示装置とすることが出来る。また、ランプリフレクタ−として用いた場合でも、輝度の向上が図られ、しかも、耐熱性が要求される用途においても、高い輝度を維持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射体の一例を示す断面図
【符号の説明】
10 多孔性樹脂シート
20 接着剤層
30 支持体
【産業上の利用分野】
本発明は、反射体とそれを用いた表示装置および照明装置に関するものである。詳しくは高反射率で優れた白色性を有する反射フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、反射フィルムは、携帯電話、パソコン、液晶テレビ等の液晶表示装置の主要部品として数多く用いられている。液晶表示装置には、大面積化、薄型化、高画質化への要求があり、第一に大容量の光を液晶部分に供給することが必要とされる。光源から供給光量を多くするためには、反射効率が高く、高輝度が得られる反射フィルムもしくは反射フィルムと支持体との積層体(以下反射体と総称する)が要求されている。
【0003】
液晶表示装置のバックライトユニットには、光源を直接液晶部の下部に配置する直下型と、光源を透明な導光板の横に配置するエッジライト型がある。一般に大型液晶テレビなどの画面には前者の方式が採用され、一方、携帯電話やノートパソコンには後者の方式が採用される。反射体は、直下型ではランプ下の平面部分に、エッジライト型ではランプを覆うように導光板横、および導光板の光を反射するように導光板下に配置される。
【0004】
従来、この反射体の素材としては、アルミニウム等の金属板の表面に銀を主成分とする金属薄膜層を有する反射シートを貼り合わせた反射体、または、特開平2−13925号公報(特許文献1)に記載されるような白色顔料を塗工したアルミニウム等の金属板、特開昭59−8782号公報(特許文献2)に記載されるような白色ポリエチレンテレフタレートシート(以下、白色PETシートと略す)が反射部材として用いられている。また、PET以外にポリオレフィン系の反射体も報告されている(実開昭57−060119号公報(特許文献3))。しかし、近年、製品の高輝度化の要求がますます高まっており、より反射性能の高い反射体が求められていた。そこで、本発明者らは特開平6−298957号公報(特許文献4)、特開平7−287110号公報(特許文献5)に開示されるような優れた反射率をもった多孔性樹脂シートからなる反射体を創出した。該反射体は、特定量のポリオレフィン系樹脂と無機充填剤を含む多孔性シートであるために、シート表面及びその内部に反射層を多数含有しており優れた光線反射率を有する。
【0005】
しかしながら、近年の市場の更なる高輝度化への要求に対しては不十分であり、より反射効率の高い反射フィルムが求められている。また高輝度化を達成するには、高出力の光源を用いる必要があり、これに伴って発生する熱量も増大するため、反射体にも高い耐熱性が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平2−13925号公報
【特許文献2】特開昭59−8782号公報
【特許文献3】実開昭57−060119号公報
【特許文献4】特開平6−298957号公報
【特許文献5】特開平7−287110号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる理由から、本発明の目的は、高温における優れた安定性、且つ優れた曲げ加工性を併せ持つ状態を維持したままで、これまでの高い反射率をさらに向上させ、反射体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂に無機充填剤と蛍光増白剤を配合して得られた多孔性反射シートが上記課題を解決し得ると同時に、紫外領域の波長の反射率が下がることから、冷陰極管等の紫外線を発生する光源を使用した液晶表示装置の画面を通して眼が受ける紫外線量を抑え得る反射体であることを見出し、本発明に到った。すなわち、本発明は、
(1)融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)と
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化マグネシウム及び酸化亜鉛から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤(B)と
ポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)の合計100質量部に対して
延伸助剤(C)0.01〜10質量部と蛍光増白剤(D)0.002〜0.8質量部とからなる樹脂組成物から得られるシートを延伸して得られ、430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上であり且つ厚みが30〜300μmであることを特徴とする反射体。
(2)ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂である反射体。
(3)無機充填剤(B)が、硫酸バリウムである請求項1記載の反射体。
(4)上記の反射体と支持体とからなる反射体。
(5)上記の反射体を用いた照明装置。
(6)上記の反射体を用いた表示装置。
【0009】
本発明の反射体の特徴は、融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)と延伸助剤(C)と蛍光増白剤(D)からなる多孔性樹脂シートである点にある。本発明の反射体は、ポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)を主成分とする多孔性シートであるために、シート表面およびその内部に反射点を多数含有しており優れた光線反射率を有する。しかも融点の高いポリオレフィン樹脂(A)を用いているために、高温での熱安定性に優れている。さらには、蛍光増白剤(D)を用いているために430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上であると同時に紫外領域の波長の反射率が下がり、冷陰極管等の紫外線を発生する光源を使用した液晶表示装置の画面を通して放射される有害な紫外線量を抑えることができる反射体である。また、蛍光増白剤の種類を選択することによって、反射光線の可視光線波長特性を所望のパターンに近づける様に制御することも可能である。
【0010】
本発明の照明装置は、反射性、耐熱性に優れた反射体を用いているので、より薄型に出来、輝度にも優れている。
本発明の表示装置は、反射性、耐熱性に優れた反射体を用いているので、より薄型に出来、照度にも優れている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の反射体について詳細に説明する。
本発明において反射率という語は拡散反射率、全反射率、全反射率の意味を含むことがある。
【0012】
本発明の反射体は、少なくとも融点およびガラス転移温度のいずれかが140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)、無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)とからなる樹脂組成物を用いて成形されるシートを延伸し、それを支持体と積層することによって得られる。シートの成形法や延伸方法に特に制限はないが、好ましい製法として、上記ポリオレフィン樹脂(A)に無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)を添加、混合して樹脂組成物となし、得られた樹脂組成物から例えば溶融押出成形等により未延伸シートを成形し、ついで得られた未延伸シートを一軸または二軸延伸する方法を例示できる。
【0013】
本発明で使用するポリオレフィン樹脂(A)は、融点およびガラス転移温度のいずれかが140℃以上、好ましくは155℃以上である。当然のことながら、融点、ガラス転移温度の両方が140℃以上である物も好適である。具体例としてはポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体、テトラシクロドデセン誘導体のメタセシス重合体やその水素添加物等の環状オレフィン(共)重合体などを好ましい例として挙げることが出来る。特に好ましくはポリプロピレンであるが、これらの重合体は融点およびガラス転移温度のいずれかが上記の範囲であれば特に製法に制限はない。
【0014】
本発明のポリオレフィン樹脂(A)は、公知の方法によって製造される。具体例としては、重合触媒としてチーグラー・ナッタ触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒を用いた対応するオレフィンの(共)重合によって製造する方法が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲で他のオレフィンを共重合しても良い。さらに、ポリマー側鎖の立体規則性も上記の融点の範囲を満たしていれば特に限定はなく、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック等のいずれでも構わない。
【0015】
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)の融点は、ASTM規格D−1525に規定される方法により測定したものである。
【0016】
これらのポリオレフィンは単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良いが、好ましくは単独で用いる。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトインデックス(以下MIという)は一般に0.1〜5g/10分が好ましく、より好ましくは0.2〜3g/10分のものである。MIが5g/10分を越えるものはシートの溶融成形時の形態安定性や延伸時の延伸性が劣ることがある。MIが0.1g/10分未満のものでは、延伸性には優れるが流動性が悪いために生産性が低くなることがある。尚、本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)のMIは、ASTM規格D−1238に規定される方法もしくはそれに準じた方法により測定される。
【0017】
本発明に用いる無機充填剤(B)としては、無機充填剤から選ばれた少なくとも1種を使用することが出来る。得られる多孔性樹脂シートの反射率を勘案すれば、硫酸バリウム、酸化チタンもしくは炭酸カルシウムが好適に使用出来る。更に好ましくは粒径が小さく、粒径分布が優れている硫酸バリウムである。硫酸バリウムは、ポリオレフィン樹脂(A)の分散性、混合性がよい沈降性硫酸バリウムが好ましい。また、無機充填剤(B)の粒度は得られる多孔性樹脂シートの表面状態、反射率、生産性、機械強度に影響を及ぼすので、0.1〜7μm程度の平均粒子径を有するものが好ましい。更に好ましくは、0.3〜5μm程度の平均粒子径である。
【0018】
ポリオレフィン樹脂(A)及び無機充填剤(B)の添加比は、得られる多孔性シートの光線反射率に影響を及ぼす。無機充填剤(B)の添加量が少ないと得られる多孔性シートの開孔率が低くなり、逆に多いと開孔率が高くなる。開孔率が低い多孔性シートは、樹脂層と空気層との界面における光の反射量が減り、高い光線反射率を有する多孔性シートが得られないことがある。また、無機充填剤(B)の添加量が多いと多孔性シートの開孔率が高くなり光線反射率は増すが、シートの生産性、多孔性シートの強度が低下することがある。従って、本発明においては、ポリオレフィン樹脂(A)は好ましくは10〜40質量部、より好ましくは20〜35質量部、更に好ましくは20〜30質量部であり、無機充填剤(B)は好ましくは90〜60質量部、より好ましくは65〜80質量部、更に好ましくは80〜70質量部である。
【0019】
本発明に用いる延伸助剤(C)は、樹脂組成物の延伸性を高めるため、該多孔性樹脂シートの延伸切れをおこさず、生産性を高めることが出来る。また、延伸時の樹脂と無機充填剤との間にボイドを生じやすくさせ、開口率を高める働きも持つ。従って、得られる多孔性樹脂シートに高い反射率を与えるとともに、シート位置による反射率のばらつきを抑えることができる。その結果、本発明の反射体は、輝度むらがなく、均一な反射が得られる。これらの特性を発揮するものとして、脂肪酸とグリセリンとのエステルが挙げられる。脂肪酸としては、オクタデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカエン酸、オクタデカジエン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸等が好ましい。これら脂肪酸とグリセリンとのエステルにはモノエステル、ジエステル及びトリエステルがあるが、これらの単独物であっても、混合物であってもよい。より好ましくはトリエステルであって、中でも、オクタデカジエン酸トリグリセライドを主成分とする脱水ヒマシ油及びヒドロキシオクタデカン酸トリグリセライドを主成分とした硬化ヒマシ油が特にブリーディングしにくいため、好適に使用される。これらの延伸助剤(C)は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
【0020】
延伸助剤(C)の添加量は、ポリオレフィン樹脂(A)及び無機充填剤(B)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。添加量が0.01質量部よりも少ないと上記特性を十分発揮することが出来ず、多孔性樹脂シートの反射率のばらつきが大きくなり、生産性が低下することがある。添加量が10質量部を越えると、シート成形時に延伸助剤の一部が熱劣化を起こしたり、多孔性樹脂シートを得た後に経時的に表面に浮き出してくることがある。
【0021】
本発明に用いる蛍光増白剤(D)は、可視光領域に吸収を持たず、紫外線を吸収して紫色〜青色の強い蛍光を放射し、この領域の見かけの反射光を増加させる働きを持つ。従って、得られる多孔性樹脂シートは可視光の短波長領域に高い反射率を持つと同時に、紫外線を吸収し液晶表示装置の画面より放射される紫外線量が減少し、眼にやさしいを液晶表示装置を提供することができる。また、蛍光増白剤(D)の種類を選択することによって、反射光線の可視光線領域の反射光のスペクトルパターンを制御し、所望のパターンに近づけることも可能である。蛍光増白剤(D)には様々なものがあり、その構造によりスチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、イミダゾール系、ナフタルイミド系等に分類される。蛍光増白剤(D)は、特に限定されるものではなく、一般に市販されているものを単独で使用しても良いし、複数を混合して使用しても良いが、ポリオレフィン樹脂(A)に均一分散しやすく、着色が少なく、耐熱性に優れているものが好ましい。具体的には、4,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン、
2,5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン、
1,2−ジ(5−メチル−2−ベンジアゾリル)エチレン、
1,2−ビス(5−メチル−2−ベンズオキサゾール)エチレン、2,2’−(4,4’−ジフェノールビニル)ジベンズオキサゾール、
1,1’−ビフェニル−4,4’−ビス−ベンズオキサゾール、2,5−ビス(ベンズオキサゾール−2−)チオフェン、
4−4’−ビス(5−メチル−2−ベンズオキサゾール)エチレン、
1,4−ビス(ベンズオキサゾリル−2−イル)エチレン、
1,4−ビス(ベンズオキサゾリル−2−イル)ナフタレン、
4−4’−ビス[(4−アミノ−6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]スチルベン−ジサルフォネート、
2,2’−(1,4−ナフタレンジイル)ビス−ベンズオキサゾール
などが挙げられる。また、具体的な商品名としては、Mikephor(三池染料(株))、UVITEX OB ONE(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)、BLANKOPHOR(バイエル社)、LEUCOPHOR(クライアント社)、OB−1(イーストマン社)、TBO(住友精化(株))、ケイコール(日本曹達(株))、カヤホール(日本化薬(株))、WHITEX(住友化学(株))などを挙げることができる。
【0022】
蛍光増白剤(D)の添加量は、ポリオレフィン樹脂(A)及び無機充填剤(B)の合計100質量部に対して、0.002〜0.8質量部、さらに好ましくは0.01〜0.25質量部である。添加量が0.002質量部よりも少ないと上記特性を十分発揮することが出来ず、添加量が0.8質量部を越えると、分散不良を生じたり、蛍光増白剤自体の着色により、多孔性樹脂シートの反射率低下を招き好ましくない。
【0023】
本発明の反射体に用いられる樹脂組成物には、本発明の目的を妨げない範囲内で、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、白色顔料等の他の添加剤を添加しても良い。
【0024】
ポリオレフィン樹脂(A)、無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)と必要に応じて他の添加剤とを混合し、樹脂組成物を製造する方法には特に制限はない。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等を用いて室温またはその近傍の温度において混合する方法が挙げられる。また、混合した後、ストランドダイが装着された一軸または二軸スクリュー型押出機を用いて、用いるポリオレフィン樹脂(A)の融点以上の温度、好ましくは融点より20℃以上高い温度、ポリオレフィン樹脂(A)の熱分解温度未満の温度範囲において混練、溶融押出して、溶融ストランドとし、冷却した後、切断してペレット状に成形する方法も挙げられる。ポリオレフィン樹脂(A)に無機充填剤(B)、延伸助剤(C)および蛍光増白剤(D)を均一に分散、混合するためにはペレット状に成形する方法が好ましい。
【0025】
上記のようにして得られたポリオレフィン樹脂組成物からシートを成形する方法にも特に制限はない。例えば、Tダイが装着された一軸または二軸スクリュー型押出機を用いる押出成形法、円形ダイが装着された押出機を用いるインフレーション成形法、カレンダー成形法等の公知の方法が挙げられる。シートの成形温度は、用いるポリオレフィン樹脂(A)により異なるが、通常、融点もしくはガラス転移温度以上の温度、好ましくは、融点より20℃以上高い温度、熱分解温度未満の温度範囲である。
【0026】
得られた未延伸樹脂シートは、ロール法、テンター法等の公知の方法で少なくとも一軸方向に延伸される。延伸は一段で行ってもよいし、多段階に分けて行っても良い。また、二軸方向に延伸しても良い。さらに、延伸後必要に応じて、得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。
【0027】
延伸中のシートの切断を防止し、且つ均一な延伸を行い、好ましい開孔率を有する多孔性シートを得るためには、延伸温度は、ビカット軟化点(JIS規格−K−6760に規定される方法で測定した値)未満であることが好ましい。また、延伸倍率は、前記の無機充填剤(B)の添加量と同様に、得られる延伸シートの反射率および反射率のばらつきに影響を及ぼす。延伸倍率が低すぎると得られる延伸シートの反射率が低下し、所々に反射率の低い未延伸部分が残存するため、反射率のばらつきが大きくなる。逆に延伸倍率が高すぎると十分に全体が均一に延伸されるが、樹脂と無機充填剤との界面で生じた孔が光の透過するレベルまで大きくなるため、反射率が低下し好ましくない。また、延伸倍率が高い場合、シートの延伸限界に達し、延伸中にシートが切断することがあるので好ましくない。かかる観点から、一軸延伸の場合には3〜8倍、二軸延伸の場合には一軸方向に2〜7倍、その方向と直角方向に1.1〜3倍程度であることが好ましい。
【0028】
多孔性樹脂シートの厚みが薄いと光の透過率が高くなり反射率が低下する傾向にある。また、厚いと反射率は向上するが、シートの生産性が低下する。従って、反射体として用いる本発明の多孔性樹脂シートの厚みは、反射率と生産性を勘案すれば、下限は30μm、好ましくは50μmであり、上限は300μm、好ましくは270μmである。
【0029】
本発明の反射体は単独で用いることもできるが、主に剛性を高める目的で上記多孔性樹脂シートを黄銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属やプラスチック等の板やシート状の支持体と積層させる事もできる。
【0030】
多孔性樹脂シートと支持体とを積層する方法としては、支持体がプラスチックの場合熱融着する方法の他、好ましい方法として接着剤や粘着剤を用いて貼合する方法がある。一般にポリオレフィンは接着性に劣るとされているが、本発明では多孔質性樹脂シートを用いているために、接着剤や粘着剤が孔の一部に進入し、アンカー効果を発現するため、接着性に優れている。
【0031】
上記の粘着剤は、具体的に例示するとゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニル系粘着剤等である。本発明の反射体は高温で使用する可能性があるため、常温〜120℃でも安定な粘着剤が好ましい。中でもアクリル系粘着剤は、安価であるために広く用いられる。どの粘着剤を使用した場合でもその厚みは、0.5μm〜50μmが好ましい。
【0032】
上記の接着剤は、熱または触媒の助けにより接着される接着剤であり、具体的には、シリコン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤など一般的な接着剤を用いることができるが、本発明の反射体は高温で使用する可能性があるため、常温〜120℃でも安定な接着剤が好ましい。これらの中で、エポキシ系接着剤は強度、耐熱性に優れているため、これもまた好適に利用できる。シアノアクリレート系接着剤は、即効性と強度に優れているため、効率的な反射体作製に利用できる。ポリエステル系接着剤は、強度、加工性に優れているため、反射体作製に特に好適である。これらの接着剤は、接着方法によって熱硬化型、ホットメルト型、2液混合型に大別されるが、好ましくは連続生産が可能な熱硬化型あるいはホットメルト型が使用される。どの接着剤を使用した場合でもその厚みは、0.5μm〜50μmが好ましい。
【0033】
金属製の支持体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鋼亜鉛合金、鋼等が使用されるが、これらの金属にはそれぞれ長所があり、次のように使い分けることができる。アルミニウムは軽量かつ加工性に優れ、また、熱伝導率が高くそれにかかる熱を効果的に大気中に逃がすことができるため、ランプ発光によって反射体が加熱され易い液晶ディスプレイ用バックライトに好適に利用できる。アルミ合金は軽量かつ機械的強度が強い。ステンレス鋼は機械的強度が強く、耐蝕性に優れている。鋼亜鉛合金すなわち黄銅または真鍮は、機械的強度が強い。鋼は安価なため、コストを抑える必要がある時に好ましく用いられる。また形状記憶合金を用いれば加工性に優れる等の利点がある。
【0034】
また、支持体としてプラスチックも用いることができる。プラスチック製の支持体としては、上記のポリオレフィン樹脂(A)と同様、融点およびガラス転移温度のいずれかが140℃以上であることが好ましい。具体的には、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアレリート、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどのホモポリマーまたは、コポリマー等から上記の条件を満たすものが挙げられる。特に好ましくは、2軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラートフィルムであり、該高分子フィルムが最外層である場合には外観上白色もしくは黒色のものが好まれる。これらの材料は一般的に金属板に比べて軽量化が図れる特徴がある。支持体としての厚みは、5μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上100μm以下である。また、後述する折り曲げ加工が困難な場合は、環状オレフィンポリマー等の形状記憶樹脂を用いて解決することもできる。
【0035】
本発明の反射体の多孔性樹脂シート層側から測定される全反射率は、430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上である。本発明の反射体は例えば、直下型バックライト装置のランプ直下の平面部反射体やエッジライト型バックライト装置の導光板下反射体として用いることが出来る他、後述の照明装置や表示装置に好適に用いられる。
【0036】
本発明の照明装置は、少なくとも光源と上記反射体(以下、ランプリフレクターと言うことがある)とからなり、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、テレビジョン等の液晶表示装置のバックライトユニット、ストロボ照明器、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ、ファクシミリ、電子黒板等に好適に用いられる。
【0037】
上記のランプリフレクターは上記の反射体および支持体を積層してなる積層体を所定の形状に打ち抜き加工し、光源を覆う形状に曲げや絞り加工によって成形される。例えばサイドライト型バックライトに用いる場合、反射体側を内側にしてU字型形状に曲げ加工して冷陰極管を覆うような形状に作製される事が好ましい。また、上記打ち抜き加工を行う場合、事前に好適なサイズに枚葉化しても良い。また必要に応じて穴あけ加工等の工程を加えても良い。
【0038】
曲げ加工後の形状は使用方法によって異なるが、U字型、コの字型などが好ましい。その際の曲率半径は、用いる光源の形状によって決定されるが、5mm以下、好ましくは4mm以下である。
具体的な加工法としてはプレスを用いたV字曲げ、U字曲げや、ダンゼントベンダーを用いた折り畳み曲げ等が挙げられる。
【0039】
本発明の反射体は成形性に優れており、上記の様な加工を行っても反射層に皺や浮き上がりが発生しない。このことにより本発明の上記照明装置を液晶表示装置のバックライトユニットに組み込むと、高輝度で輝線の発生しない美しい映像を実現できる。
【0040】
本発明の反射体は、上記のランプリフレクターの他、前述したように導光板下反射体としても使用出来る。また、ランプリフレクターと導光板下反射体が一体成形された形状で、上記の照明装置に用いることもできる。
【0041】
本発明の反射体は、反射率が高く、耐熱性に優れるので上記反射体やそれを組み込んだ照明装置を用いた液晶表示装置、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ等の表示装置は、明るく鮮明な美しい画像が得られる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
密度0.90g/cm3 、MIが1.5g/10minのポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン(株)製、商品名:FO−200H)28質量部に、平均粒子径0.94nmの沈降性硫酸バリウム(バライト工業(株)製、商品名:HD)72質量部、硬化ヒマシ油(伊藤精油(株)製、商品名:硬化ヒマシ油)3質量部、ステアリン酸カルシウム1質量部(日東化成(株)製、商品名:Ca−St)、蛍光増白剤(三池染料(株)製、商品名:Mikephor YO conc powder)を0.2質量部をタンブラーミキサーを用いて混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をベント型二軸押出機によりペレット状に加工した。このペレットをTダイが装着された押出機を用いて、210℃において溶融押出して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを135℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で7.0倍の延伸倍率で一軸延伸し、厚み178μmを有する多孔性樹脂シートを得た。この多孔性樹脂シートの融点は159℃であった。
この反射体の全反射率を、ミノルタ分光測色計(型式CM−3700d)にて測定した。結果を表1に示した。
実施例2
Tダイより押出される樹脂量を減じ、また余熱ロールの温度を130℃、延伸倍率を6.8倍とした以外は、実施例1と同様にして、厚み102μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
実施例3
蛍光増白剤を0.4質量部となるように添加した以外は、実施例2と同様にして、厚み176μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
比較例1
蛍光増白剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、厚み181μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
比較例2
蛍光増白剤を0.001質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み181μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散しており、蛍光増白剤自体の特有な着色も見られなかった。
この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。。
比較例3
蛍光増白剤を1.0質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、厚み180μmを有する多孔性樹脂シートを得た。蛍光増白剤はこの多孔性樹脂シートに均一分散していたが、この多孔性樹脂シートは蛍光増白剤自体の持つ特有な黄色味を帯びた色を呈していた。この反射体の全反射率の測定結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
上記の様に、蛍光増白剤をある範囲の量含有した本発明の反射体は、白色という色調を保持したまま反射率を高めることが出来、更に紫外線の反射を低減することが出来る。
【0045】
【発明の効果】
本発明の反射体は、シート表面及びその内部に均一な反射層を多数含有しており、高い反射率を有する。しかも、高温での熱安定性に優れる反射体である。本発明の反射体を、例えば液晶表示装置のバックライトユニットを形成する反射体として用いると、従来のバックライトユニットに比べて、光源との間隔を狭く出来る、即ち薄型化する事が出来る。しかも、画面より放射される紫外線量を抑制した眼にやさしい液晶表示装置とすることが出来る。また、ランプリフレクタ−として用いた場合でも、輝度の向上が図られ、しかも、耐熱性が要求される用途においても、高い輝度を維持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射体の一例を示す断面図
【符号の説明】
10 多孔性樹脂シート
20 接着剤層
30 支持体
Claims (6)
- 融点もしくはガラス転移温度が140℃以上のポリオレフィン樹脂(A)と
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化マグネシウム及び酸化亜鉛から選ばれた少なくとも1種の無機充填剤(B)ポリオレフィン樹脂(A)と無機充填剤(B)の合計100質量部に対して
延伸助剤(C)0.01〜10質量部と
蛍光増白剤(D)0.002〜0.8質量部
とからなる樹脂組成物から得られるシートを延伸して得られ、
430〜600nmの範囲の任意波長における反射率が96%以上であり且つ厚みが30〜300μmであることを特徴とする反射体。 - ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂である請求項1記載の反射体。
- 無機充填剤(B)が、硫酸バリウムである請求項1記載の反射体。
- 請求項1〜3のいずれかの反射体と支持体とからなる反射体。
- 請求項1〜4のいずれかの反射体を用いた照明装置。
- 請求項1〜4のいずれかの反射体を用いた表示装置。
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