JP2004315650A - 金属微粒子コロイド含有インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
【課題】製版の必要がなく、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることができ、基材上に大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路や画像・印字などを容易に形成できるインクジェットインクの提供。
【解決手段】(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含む金属微粒子コロイド含有インクジェットインクにより課題を解決できる。
【選択図】 図1
【解決手段】(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含む金属微粒子コロイド含有インクジェットインクにより課題を解決できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属微粒子コロイド含有インクジェットインクに関するものであり、さらに詳しくは、インクジェットプリンタを用いて紙、プラスチックなどの基材面に導電回路や画像・印字などを形成できる金属微粒子コロイド含有インクジェットインクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSIなどの微細な導電回路を作成するには、導電層が積層されたシート基材の前記導電層上にレジスト剤を用いてレジスト層を形成し、導電回路パターンを有するホトマスクを用いて光照射し、例えば導電回路パターン状に形成されたレジスト層以外の導電層を除去して導電回路を形成し、必要に応じて不要のレジスト層を除去するホトリソグラフによる方法が行われているが、ホトマスクを用いて光照射するなど多数の工程を要するので煩雑であるという問題があった。
【0003】
一方、シート基材上にアルミニウム粉末、銀粉末などの導電性粉末を含む導電性ペーストを印刷して導電回路を作成する方法があるが(例えば、特許文献1参照)、印刷機を用いて印刷するため製版が必要であり、大量生産に適するが、オンデマンドで少量・多種類の注文に応じることが困難である上、導電性ペースト中の導電性粉末同士の接触により導電性が付与されるため接触不足により導電性が不十分となる場合があるという問題があった。
【0004】
一方、電子写真方式で用いられるトナーないし現像剤をレジスト剤として利用して導電回路を作成する導電回路の製法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この導電回路の製法は、一旦剥離シートにトナーないし現像剤を用いて電子写真方式により導電回路形成用パターンを形成し、この面と、導電層が積層されたシート基材の導電層が積層された面を接着剤を介して重ね合わせ、導電層面に前記導電回路形成用パターンを転移させる転移工程があるので、未だ煩雑であるという問題があった。
【0005】
一方、貴金属または銅のコロイド粒子および高分子量顔料分散剤を含む、プラスチックス材料の着色材として有用な、高濃度で彩度の高い貴金属または銅のコロイド溶液が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−197921号公報
【特許文献2】
特願2002−251308号
【特許文献3】
特開平11−80647号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の問題を解決し、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、基材上に大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に作成したり、あるいは基材上に画像・印字などを容易に形成できるインクジェットインクを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の溶媒組成物中に金属微粒子コロイドを含むインクジェットインクを用いることにより、その目的を達成し得ることを見い出して本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の請求項1は、(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むことを特徴とする金属微粒子コロイド含有インクジェットインクである。
【0010】
金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、例えば導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成したり、あるいは基材上にメタリック調の光沢を有する美しい画像・印字などを容易に形成できる。インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンなどを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができる。
【0011】
本発明の請求項2の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、請求項1記載のインクジェットインクにおいて、インクジェットインク全体100質量部中に、
(a)金属微粒子コロイド(固形分) 5〜25質量部
(b)炭素数6以下のケトン類 0.5〜2.5質量部
(c)多価アルコール 5〜25質量部
(d)水 残部
を含むことを特徴とする。
【0012】
各成分がこの範囲内であると、インクの表面張力、粘度が適当でインク適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりなどを起こすことなく表面強度や定着性に優れた導電性および光沢に優れた導電回路形成用パターンや画像・印字などを容易に、かつ確実に形成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の態様を詳細に説明する。
図1(a)、(b)は、金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いてシート基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、導電回路を製造する一実施例を示す平面説明図である。
【0014】
図1(a)に示したように、先ず上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙などのシート基材1を用意する。そして図1(b)に示したように、シート基材1の面の所定の箇所に金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用い、公知のインクジェットプリンタにより、導電回路形成用パターン3を形成する。2a、2bは導電回路形成用パターン3の両端部に設けたランド部である。導電回路形成用パターン3は例えば、加熱炉、熱風炉などを利用したり、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、各種レーザ、半導体レーザなどの光、熱を含む電磁波や電子線あるいはこれらの組み合わせを用いたりして加熱乾燥して導電回路とする。4は、導電回路を備えたシートを示す。
【0015】
この例では、導電回路形成用パターン3としてアンテナの例を示して説明したが、導電回路形成用パターン3はアンテナに限定されず、用途や目的に応じて設計されるどのような導電回路形成用パターンであってもよく、シート基材も紙などに限定されず、金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いると、絶縁性平面あるいは絶縁性曲面を有する基材としての無機物および/または有機物の面上に導電回路形成用パターンを容易に形成できる。
この例では、2次元的導電回路形成用パターンを示したが、重ね印刷、積層などにより3次元的導電回路を形成することもできる。
【0016】
ランド部2a、2b間に図示しないICチップを実装して、電磁波を媒体として情報を受信し、また送信できるようにした非接触型ICタグやRF−ID(Radio Frequency IDentification)などの非接触型データ受送信体として利用することも可能である。
【0017】
本発明において用いる金属微粒子コロイドとしては、公知の固体ゾルあるいはそれを溶媒に分散させたものを用いることができる。例えば前記特許文献3に記載されているヒドロゾルあるいはオルガノゾルからなるコロイド溶液を用いることができる。金属の種類は特に限定されないが、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、ニッケル、アルミニウムなどは好ましく使用できる。
【0018】
これらの金属微粒子コロイドは発色する。金属微粒子コロイドによる発色は電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収とよばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであると考えられている。この金属微粒子コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性に優れている。例えば、金微粒子コロイドは粒径に応じて青、青紫、赤紫、金色などを示す。金属微粒子コロイドの製造法としては、例えば金属化合物を溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、金属に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護されたコロイド粒子を形成し、その後前記溶媒を除去して固体ゾルとする方法を挙げることができる。
【0019】
金属微粒子コロイドの平均粒子径は通常およそ1〜1000nmであり本発明においてはいずれも使用できる。
しかし、平均粒子径が小さいものは導電性がよく好ましいが1nm未満のものは作成が難かしく、一方、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属微粒子コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して導電性に優れた導電回路パターンなどを基材面に形成できるので好ましく使用できる。
【0020】
本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、前記(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むが、各成分の配合は特に限定されない。しかし、インクジェットインク全体100質量部中に、
(a)金属微粒子コロイド(固形分) 5〜25質量部
(b)炭素数6以下のケトン類 0.5〜2.5質量部
(c)多価アルコール 5〜25質量部
(d)水 残部
を含む金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは本発明において好ましく使用できる。
【0021】
(a)金属微粒子コロイド(固形分:金属微粒子、保護コロイドなど)が5質量部未満では導電性や光沢が低下する恐れがあり、25質量部を超えると形成される導電回路などの表面強度が低下し、インク適性も低下する恐れがある。
本発明で用いる(b)炭素数6以下のケトン類は水や多価アルコールとの相溶性がよく、(b)炭素数6以下のケトン類の配合量が0.5〜2.5質量部の範囲内であると特に水とよりよく相溶する。
炭素数6を超えるケトン類の場合は、水との相溶が不十分で、金属微粒子コロイドの凝集が起こる恐れがある。また(b)炭素数6以下のケトン類および(c)多価アルコールの配合量が下限値未満であったり、あるいは、上限値を超えると、インクの表面張力や粘度の調整が困難となる上、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりが起こったり、形成される導電回路などの定着性が低下する恐れがある。
【0022】
本発明で用いる(b)炭素数6以下のケトン類としては、具体的には、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、およびこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。
【0023】
本発明で用いる(c)多価アルコールとしては、二価アルコール、三価アルコール、三価アルコール以上の多価アルコール、およびこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、これらの誘導体(モノエーテルなどを含む)などを挙げることができる。
【0024】
本発明で用いる(d)水は、特に限定されるものではないが、イオンを除去することが望ましい。イオンを除去した水を用いることにより金属微粒子コロイドが凝集しにくくなり、安定性、インク適性が向上し、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりが起こりにくくなる。
【0025】
本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、この他に、pH調整剤、粘度調剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、金属封鎖剤、防菌防カビ剤、分散剤、従来の導電性ペーストで用いているアルミニウム微粉末、銀微粉末などの金属導電性微粉末などを本発明の主旨を逸脱せず、作用効果を損なわない範囲で含有させることができる。
【0026】
通常のインクジェットインクには、着色成分として、アントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが用いられている。
これらの着色成分を本発明で用いる金属微粒子コロイド含有インクジェットインクに添加することができる。
【0027】
本発明で用いる基材の素材としては、導電回路などを形成できる絶縁性平面および/または絶縁性曲面を有する無機物および/または有機物を挙げることができる。
これらの基材の中でも、シート基材(フィルム基材を含む)は本発明において好ましく使用できる。シート基材の素材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙(例えば、上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、パラフィン紙、その他の紙の他に、それにオーバーコート層(保護層)をもつ用紙など)あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリイミド系樹脂シート、エチレン・ビニルアルコール共重合体シート、ポリビニルアルコール系樹脂シート、ポリ塩化ビニル系樹脂シート、ポリ塩化ビニリデン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリカーボネート系樹脂シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂シート、ポリエーテルスルホン系樹脂シートなどのプラスチックシート、あるいはこれらにコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理などの表面処理を施したものなどを挙げることができる。
【0028】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(銀微粒子コロイドの調製)
硝酸酸性の100mM硝酸銀水溶液100mlに保護コロイド(商品名:ディスパービック180、ビックケミー社製)を5g溶解させ、保護コロイドが完全に溶解してから、トリエタノールアミンを5ml加え、鮮やかで濃厚な黄色の銀微粒子コロイド溶液を得た。得られた銀微粒子コロイド溶液を濃縮して固形分30質量%の銀微粒子コロイドを調製した。この銀微粒子コロイドは、長期貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
調製した銀微粒子コロイド(固形分;30質量%)50質量部、メチルエチルケトン1.5質量部、グリセリン16.5質量部、それに蒸留水32質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、下記の評価方法により印字評価(印字濃度、印字休止後の回復性、周波数応答性)を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
【0029】
(評価方法)
(1)印字濃度
市販の電子写真コピー用紙に2.5cm×2.0cmのベタ印刷を作成し、60分間乾燥させた後、その印刷部の光沢感を次の評価基準で評価した。
○:金属光沢がきれいにでていて、導電性において実用上適している。
△:ややカスレる部分があるが、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:むらがあり実用上使用できない。
【0030】
(2)印字休止後の回復性
印字休止後、プリンタを50℃の環境に5時間保持し、しかる後に、常温に戻す。その後再度印字を行いスタートアップの状態を文字の印字から判定する。
○:最初から鮮明に印刷可能であり、導電性において実用上適している。
△:始めのうちは一部カスレが見られるが、すぐに正常に戻り、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:1ページ程度はカスレが目立つが、2ページ目以降は正常に印字できる。
【0031】
(3)周波数応答性
2KHz、4KHz、6KHzでの各周波数での駆動周波数にてそれぞれプリンタで印字し、ベタパターンの状態から応答性を判定する。
○:6KHzまでの応答性を有する。
△:4KHzまでの応答性を有する。
×:2KHzまでの応答性を有する。
【0032】
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、市販の写真用光沢紙に幅1mm×長さ100mmのパターンを印刷したところ、両末端間の表面抵抗値は、350kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は12Ωであった。
【0033】
(実施例2)
実施例1で使用した銀微粒子コロイド50質量部、メチルプロピルケトン1.3質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル15.2質量部、それに蒸留水33.5質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
また、この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして導電性を評価した結果、両末端間の表面抵抗値は、400kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は17Ωであった。
【0034】
(実施例3)
実施例1で使用した銀微粒子コロイド50質量部、メチルイソブチルケトン1.2質量部、プロピレングリコールモノブチルエーテル16.8質量部、それに蒸留水32質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
また、この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして導電性を評価した結果、両末端間の表面抵抗値は、390kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は19Ωであった。
【0035】
(実施例4)
実施例1で使用した銀微粒子コロイド50質量部、メチルエチルケトン1.6質量部、エチレングリコールモノエチルエーテル15.4質量部、それに蒸留水33質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
また、この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして導電性を評価した結果、両末端間の表面抵抗値は、440kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は21Ωであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の請求項1の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むことを特徴とするであり、このインクを用いて例えば導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成したり、あるいは基材上にメタリック調の光沢を有する美しい画像・印字などを容易に形成できるという顕著な効果を奏する。
インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンなどを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができるので、電磁波を媒体として情報を受信し、また送信できるようにした非接触型ICタグやRF−IDなどの非接触型データ受送信体(カード、ラベル、フォームなど)として利用することも可能であるという顕著な効果を奏する。
【0037】
本発明の請求項2の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、請求項1記載のインクジェットインクにおいて、インクジェットインク全体100質量部中に、(a)金属微粒子コロイド(固形分)5〜25質量部、(b)炭素数6以下のケトン類0.5〜2.5質量部、(c)多価アルコール5〜25質量部、(d)水残部を含むことを特徴とするものであり、各成分がこの範囲内であると、インクの表面張力、粘度が適当でインク適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりなどを起こすことなく表面強度や定着性に優れた導電性および光沢に優れた導電回路形成用パターンや画像・印字などを容易に、かつ確実に形成できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクによる印刷部が形成されてなるシートの一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シート基材
2a、2b ランド部
3 導電回路形成用パターン
4 導電回路を備えたシート
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属微粒子コロイド含有インクジェットインクに関するものであり、さらに詳しくは、インクジェットプリンタを用いて紙、プラスチックなどの基材面に導電回路や画像・印字などを形成できる金属微粒子コロイド含有インクジェットインクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSIなどの微細な導電回路を作成するには、導電層が積層されたシート基材の前記導電層上にレジスト剤を用いてレジスト層を形成し、導電回路パターンを有するホトマスクを用いて光照射し、例えば導電回路パターン状に形成されたレジスト層以外の導電層を除去して導電回路を形成し、必要に応じて不要のレジスト層を除去するホトリソグラフによる方法が行われているが、ホトマスクを用いて光照射するなど多数の工程を要するので煩雑であるという問題があった。
【0003】
一方、シート基材上にアルミニウム粉末、銀粉末などの導電性粉末を含む導電性ペーストを印刷して導電回路を作成する方法があるが(例えば、特許文献1参照)、印刷機を用いて印刷するため製版が必要であり、大量生産に適するが、オンデマンドで少量・多種類の注文に応じることが困難である上、導電性ペースト中の導電性粉末同士の接触により導電性が付与されるため接触不足により導電性が不十分となる場合があるという問題があった。
【0004】
一方、電子写真方式で用いられるトナーないし現像剤をレジスト剤として利用して導電回路を作成する導電回路の製法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この導電回路の製法は、一旦剥離シートにトナーないし現像剤を用いて電子写真方式により導電回路形成用パターンを形成し、この面と、導電層が積層されたシート基材の導電層が積層された面を接着剤を介して重ね合わせ、導電層面に前記導電回路形成用パターンを転移させる転移工程があるので、未だ煩雑であるという問題があった。
【0005】
一方、貴金属または銅のコロイド粒子および高分子量顔料分散剤を含む、プラスチックス材料の着色材として有用な、高濃度で彩度の高い貴金属または銅のコロイド溶液が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−197921号公報
【特許文献2】
特願2002−251308号
【特許文献3】
特開平11−80647号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の問題を解決し、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、基材上に大きさや形状などを自由に変えた導電性に優れた導電回路を容易に作成したり、あるいは基材上に画像・印字などを容易に形成できるインクジェットインクを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の溶媒組成物中に金属微粒子コロイドを含むインクジェットインクを用いることにより、その目的を達成し得ることを見い出して本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の請求項1は、(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むことを特徴とする金属微粒子コロイド含有インクジェットインクである。
【0010】
金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いることにより、例えば導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成したり、あるいは基材上にメタリック調の光沢を有する美しい画像・印字などを容易に形成できる。インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンなどを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができる。
【0011】
本発明の請求項2の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、請求項1記載のインクジェットインクにおいて、インクジェットインク全体100質量部中に、
(a)金属微粒子コロイド(固形分) 5〜25質量部
(b)炭素数6以下のケトン類 0.5〜2.5質量部
(c)多価アルコール 5〜25質量部
(d)水 残部
を含むことを特徴とする。
【0012】
各成分がこの範囲内であると、インクの表面張力、粘度が適当でインク適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりなどを起こすことなく表面強度や定着性に優れた導電性および光沢に優れた導電回路形成用パターンや画像・印字などを容易に、かつ確実に形成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の態様を詳細に説明する。
図1(a)、(b)は、金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いてシート基材面の所定部に導電回路形成用パターンを形成し、導電回路を製造する一実施例を示す平面説明図である。
【0014】
図1(a)に示したように、先ず上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙などのシート基材1を用意する。そして図1(b)に示したように、シート基材1の面の所定の箇所に金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用い、公知のインクジェットプリンタにより、導電回路形成用パターン3を形成する。2a、2bは導電回路形成用パターン3の両端部に設けたランド部である。導電回路形成用パターン3は例えば、加熱炉、熱風炉などを利用したり、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、各種レーザ、半導体レーザなどの光、熱を含む電磁波や電子線あるいはこれらの組み合わせを用いたりして加熱乾燥して導電回路とする。4は、導電回路を備えたシートを示す。
【0015】
この例では、導電回路形成用パターン3としてアンテナの例を示して説明したが、導電回路形成用パターン3はアンテナに限定されず、用途や目的に応じて設計されるどのような導電回路形成用パターンであってもよく、シート基材も紙などに限定されず、金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いると、絶縁性平面あるいは絶縁性曲面を有する基材としての無機物および/または有機物の面上に導電回路形成用パターンを容易に形成できる。
この例では、2次元的導電回路形成用パターンを示したが、重ね印刷、積層などにより3次元的導電回路を形成することもできる。
【0016】
ランド部2a、2b間に図示しないICチップを実装して、電磁波を媒体として情報を受信し、また送信できるようにした非接触型ICタグやRF−ID(Radio Frequency IDentification)などの非接触型データ受送信体として利用することも可能である。
【0017】
本発明において用いる金属微粒子コロイドとしては、公知の固体ゾルあるいはそれを溶媒に分散させたものを用いることができる。例えば前記特許文献3に記載されているヒドロゾルあるいはオルガノゾルからなるコロイド溶液を用いることができる。金属の種類は特に限定されないが、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、ニッケル、アルミニウムなどは好ましく使用できる。
【0018】
これらの金属微粒子コロイドは発色する。金属微粒子コロイドによる発色は電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収とよばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであると考えられている。この金属微粒子コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性に優れている。例えば、金微粒子コロイドは粒径に応じて青、青紫、赤紫、金色などを示す。金属微粒子コロイドの製造法としては、例えば金属化合物を溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、金属に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護されたコロイド粒子を形成し、その後前記溶媒を除去して固体ゾルとする方法を挙げることができる。
【0019】
金属微粒子コロイドの平均粒子径は通常およそ1〜1000nmであり本発明においてはいずれも使用できる。
しかし、平均粒子径が小さいものは導電性がよく好ましいが1nm未満のものは作成が難かしく、一方、平均粒子径が50nmを超えるとインクジェットプリンタのノズルが詰まる恐れがあり、金属微粒子コロイドの平均粒子径が1〜50nmであるとインクジェットプリンタのノズルが詰まることなく、連続して安定して導電性に優れた導電回路パターンなどを基材面に形成できるので好ましく使用できる。
【0020】
本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、前記(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むが、各成分の配合は特に限定されない。しかし、インクジェットインク全体100質量部中に、
(a)金属微粒子コロイド(固形分) 5〜25質量部
(b)炭素数6以下のケトン類 0.5〜2.5質量部
(c)多価アルコール 5〜25質量部
(d)水 残部
を含む金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは本発明において好ましく使用できる。
【0021】
(a)金属微粒子コロイド(固形分:金属微粒子、保護コロイドなど)が5質量部未満では導電性や光沢が低下する恐れがあり、25質量部を超えると形成される導電回路などの表面強度が低下し、インク適性も低下する恐れがある。
本発明で用いる(b)炭素数6以下のケトン類は水や多価アルコールとの相溶性がよく、(b)炭素数6以下のケトン類の配合量が0.5〜2.5質量部の範囲内であると特に水とよりよく相溶する。
炭素数6を超えるケトン類の場合は、水との相溶が不十分で、金属微粒子コロイドの凝集が起こる恐れがある。また(b)炭素数6以下のケトン類および(c)多価アルコールの配合量が下限値未満であったり、あるいは、上限値を超えると、インクの表面張力や粘度の調整が困難となる上、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりが起こったり、形成される導電回路などの定着性が低下する恐れがある。
【0022】
本発明で用いる(b)炭素数6以下のケトン類としては、具体的には、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、およびこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。
【0023】
本発明で用いる(c)多価アルコールとしては、二価アルコール、三価アルコール、三価アルコール以上の多価アルコール、およびこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、これらの誘導体(モノエーテルなどを含む)などを挙げることができる。
【0024】
本発明で用いる(d)水は、特に限定されるものではないが、イオンを除去することが望ましい。イオンを除去した水を用いることにより金属微粒子コロイドが凝集しにくくなり、安定性、インク適性が向上し、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりが起こりにくくなる。
【0025】
本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、この他に、pH調整剤、粘度調剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、金属封鎖剤、防菌防カビ剤、分散剤、従来の導電性ペーストで用いているアルミニウム微粉末、銀微粉末などの金属導電性微粉末などを本発明の主旨を逸脱せず、作用効果を損なわない範囲で含有させることができる。
【0026】
通常のインクジェットインクには、着色成分として、アントラキノン系、ベンゾキノン系、ナフトキシキノン系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、キノリン系、インジゴイド系、アジン系、オキサジン系、チアジン系およびメチン系染料からなる群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性インクが用いられている。
これらの着色成分を本発明で用いる金属微粒子コロイド含有インクジェットインクに添加することができる。
【0027】
本発明で用いる基材の素材としては、導電回路などを形成できる絶縁性平面および/または絶縁性曲面を有する無機物および/または有機物を挙げることができる。
これらの基材の中でも、シート基材(フィルム基材を含む)は本発明において好ましく使用できる。シート基材の素材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙(例えば、上質紙、中質紙、合成紙、各種再生紙、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、パラフィン紙、その他の紙の他に、それにオーバーコート層(保護層)をもつ用紙など)あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリイミド系樹脂シート、エチレン・ビニルアルコール共重合体シート、ポリビニルアルコール系樹脂シート、ポリ塩化ビニル系樹脂シート、ポリ塩化ビニリデン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリカーボネート系樹脂シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂シート、ポリエーテルスルホン系樹脂シートなどのプラスチックシート、あるいはこれらにコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理などの表面処理を施したものなどを挙げることができる。
【0028】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(銀微粒子コロイドの調製)
硝酸酸性の100mM硝酸銀水溶液100mlに保護コロイド(商品名:ディスパービック180、ビックケミー社製)を5g溶解させ、保護コロイドが完全に溶解してから、トリエタノールアミンを5ml加え、鮮やかで濃厚な黄色の銀微粒子コロイド溶液を得た。得られた銀微粒子コロイド溶液を濃縮して固形分30質量%の銀微粒子コロイドを調製した。この銀微粒子コロイドは、長期貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
調製した銀微粒子コロイド(固形分;30質量%)50質量部、メチルエチルケトン1.5質量部、グリセリン16.5質量部、それに蒸留水32質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、下記の評価方法により印字評価(印字濃度、印字休止後の回復性、周波数応答性)を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
【0029】
(評価方法)
(1)印字濃度
市販の電子写真コピー用紙に2.5cm×2.0cmのベタ印刷を作成し、60分間乾燥させた後、その印刷部の光沢感を次の評価基準で評価した。
○:金属光沢がきれいにでていて、導電性において実用上適している。
△:ややカスレる部分があるが、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:むらがあり実用上使用できない。
【0030】
(2)印字休止後の回復性
印字休止後、プリンタを50℃の環境に5時間保持し、しかる後に、常温に戻す。その後再度印字を行いスタートアップの状態を文字の印字から判定する。
○:最初から鮮明に印刷可能であり、導電性において実用上適している。
△:始めのうちは一部カスレが見られるが、すぐに正常に戻り、導電性において実用上の大きな問題はない。
×:1ページ程度はカスレが目立つが、2ページ目以降は正常に印字できる。
【0031】
(3)周波数応答性
2KHz、4KHz、6KHzでの各周波数での駆動周波数にてそれぞれプリンタで印字し、ベタパターンの状態から応答性を判定する。
○:6KHzまでの応答性を有する。
△:4KHzまでの応答性を有する。
×:2KHzまでの応答性を有する。
【0032】
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを、キャノン製インクカートリッジ 型番:BCI21(バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタ 型番:BJC−430C用)に充填し、市販の写真用光沢紙に幅1mm×長さ100mmのパターンを印刷したところ、両末端間の表面抵抗値は、350kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は12Ωであった。
【0033】
(実施例2)
実施例1で使用した銀微粒子コロイド50質量部、メチルプロピルケトン1.3質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル15.2質量部、それに蒸留水33.5質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
また、この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして導電性を評価した結果、両末端間の表面抵抗値は、400kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は17Ωであった。
【0034】
(実施例3)
実施例1で使用した銀微粒子コロイド50質量部、メチルイソブチルケトン1.2質量部、プロピレングリコールモノブチルエーテル16.8質量部、それに蒸留水32質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
また、この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして導電性を評価した結果、両末端間の表面抵抗値は、390kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は19Ωであった。
【0035】
(実施例4)
実施例1で使用した銀微粒子コロイド50質量部、メチルエチルケトン1.6質量部、エチレングリコールモノエチルエーテル15.4質量部、それに蒸留水33質量部を混合撹拌して、本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを得た。
この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして印字評価を行った結果、印字濃度○、印字休止後の回復性○、周波数応答性○であった。
また、この金属微粒子コロイド含有インクジェットインクを用いて実施例1と同様にして導電性を評価した結果、両末端間の表面抵抗値は、440kΩであった。そして印刷物を100℃のオーブン内にて30秒間放置した後の両末端間の表面抵抗値は21Ωであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の請求項1の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、(a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むことを特徴とするであり、このインクを用いて例えば導電回路形成用パターンを電子信号画像信号にて形成し、形成した電子信号画像信号に基づいてインクジェットプリンタにより、シート基材などの基材面の所定部に導電回路形成用パターンを容易にシャープに形成したり、あるいは基材上にメタリック調の光沢を有する美しい画像・印字などを容易に形成できるという顕著な効果を奏する。
インクジェットプリンタを用いるので、製版の必要がなく、大量生産に応じることもできる上、オンデマンドで少量・多種類の注文にも応じることもでき、しかも、大きさや形状などを自由に変えた導電回路形成用パターンなどを容易に形成でき、ICチップを実装したりすることにより導電性に優れた導電回路とすることができるので、電磁波を媒体として情報を受信し、また送信できるようにした非接触型ICタグやRF−IDなどの非接触型データ受送信体(カード、ラベル、フォームなど)として利用することも可能であるという顕著な効果を奏する。
【0037】
本発明の請求項2の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクは、請求項1記載のインクジェットインクにおいて、インクジェットインク全体100質量部中に、(a)金属微粒子コロイド(固形分)5〜25質量部、(b)炭素数6以下のケトン類0.5〜2.5質量部、(c)多価アルコール5〜25質量部、(d)水残部を含むことを特徴とするものであり、各成分がこの範囲内であると、インクの表面張力、粘度が適当でインク適性に優れ、インクジェットプリンタのノズルの目詰まりなどを起こすことなく表面強度や定着性に優れた導電性および光沢に優れた導電回路形成用パターンや画像・印字などを容易に、かつ確実に形成できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属微粒子コロイド含有インクジェットインクによる印刷部が形成されてなるシートの一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シート基材
2a、2b ランド部
3 導電回路形成用パターン
4 導電回路を備えたシート
Claims (2)
- (a)金属微粒子コロイド、(b)炭素数6以下のケトン類、(c)多価アルコール、および(d)水を含むことを特徴とする金属微粒子コロイド含有インクジェットインク。
- インクジェットインク全体100質量部中に、
(a)金属微粒子コロイド(固形分) 5〜25質量部
(b)炭素数6以下のケトン類 0.5〜2.5質量部
(c)多価アルコール 5〜25質量部
(d)水 残部
を含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェットインク。
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