JP2004314853A - 車両用舵取装置のラックブッシュ - Google Patents

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達也 斉藤
Yoshimochi Tamaki
愛望 玉木
Kazumasa Hayashi
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Abstract

【課題】車両用舵取装置のラックブッシュにおいて、該ラックブッシュに設けられるスリットの配設状態を適切に選択してラック軸の円滑な摺動を可能とする。
【解決手段】適宜弾性を有する合成樹脂からなるラックブッシュ4は、筒状をなしており、その内周部41にはその表面が平坦である3つの***部41bが形成され、図示されないラック軸は該***部41bにより実質的に支持され前記内周部41内で摺動する。ラックブッシュ4には、その軸方向両端部にそれぞれ該ブッシュ4の内方へ向かって延伸する3本のスリット43,44が設けられており、これにより、ブッシュ4の図示されないラックハウジングへの嵌合装着時における異常なテーパ形状への変形が防止され、該ブッシュ4とラック軸との異常な摩擦の発生が抑えられ、ラック軸の摺動荷重の増大が抑制される。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用舵取装置のラックブッシュに関し、さらに詳しくは、該ブッシュの軸方向端部からその内方へ向かって延伸するスリットが設けられたラック軸を摺動可能に支持するラックブッシュの改良構造に関する。
【0002】
【従来の技術および解決しようとする課題】
ラックアンドピニオン式舵取装置におけるラック軸の摺動支持用ブッシュとして合成樹脂製のブッシュが知られている。
そして、このラックブッシュは、ラック軸を覆うハウジング内の両端部近傍の位置においてそれぞれ嵌合装着されていて、その内周部の複数の***部によりラック軸をその軸方向摺動自在に支持しており、このラックブッシュには、そのハウジング内への前記嵌合装着を容易にするため、また、樹脂製ブッシュの熱的影響、すなわち、熱膨張等による該ブッシュのヘタリ防止への配慮等から、該ブッシュ端部からその軸方向に沿って所定長さで延伸する複数本のスリットが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−177606号公報(第4頁−第5頁、第1図,第8図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載のラックブッシュ04a,04bは、図9に図示されるように、ラック軸01を車両の舵取りのためにハウジング05に対してその軸方向において摺動可能に支持する合成樹脂製のブッシュである。
ラックブッシュ04aは、ラック軸01の軸部を摺動可能に支持するブッシュであり、ラックブッシュ04bは、ラック軸のラック歯車部を摺動可能に支持するブッシュであり、両ブッシュはその支持部の相違からその形状を異にしている。
【0005】
そして、本発明の対象とするラックブッシュに相当する前者のラックブッシュ04aは、図10に図示されるように、ハウジング05内の端部近傍位置において該ハウジング05内にその外周部042が嵌合されることで装着され、ラック軸01の軸方向における該ラック軸01の軸部の摺動支持は、ラックブッシュ04aの内周部041に設けられた都合3箇所の等間隔に配設された***部041cによりなされている。
【0006】
ラックブッシュ04aは、上述のようにハウジング05内に嵌合装着されるものであり、そのために、該ブッシュ04aには、その一方端側から該ブッシュ04aの軸方向内方へ延伸する複数のスリット043、すなわち具体的には3本のスリット043が設けられており、これにより、前記ブッシュ04aの嵌合が容易になされ、また合成樹脂からなるブッシュ04aにおける熱的影響、すなわち、該ブッシュ04aの熱膨張等によるヘタリの防止が図られている。
【0007】
ところで、前記ラックブッシュ04aにおける3本のスリット043は、いずれも該ブッシュ04aの一方端側から、つまりブッシュ04a端部の片側のみから所定長さに亘り延伸するように設けられており、このため該ブッシュ04aはそのスリット043が設けられる側の剛性が低下し、ラックブッシュ04aの長手方向における剛性が不均一となる。したがって、該ブッシュ04aのハウジング05内への嵌合装着時に図8(b)に図示されるように、該ブッシュ04aはそのスリット043が設けられた側が異常に縮径0Aして、その外形が略テーパ状に変形することになる。
【0008】
ラックブッシュのスリットによる前記異常な縮径の結果、該ブッシュの前記縮径部がラック軸に異常な状態で接触して、場合によってはラック軸に抱きつくような状態となり、ラック軸の舵取りのための摺動における摩擦力が大きくなり、その摺動荷重の増大を招くことになる。そして、ラック軸の摺動における前記摺動荷重の増大は、いうまでもなく舵取装置における舵取りの操舵性を悪化させ、また、ラックブッシュとラック軸の異常な接触による該ブッシュやラック軸の磨耗を早め、それらの耐久性が低下される原因となる。
【0009】
したがって、上述した状況の中で、スリットを備えた前記のような合成樹脂製ラックブッシュにおいて、そのハウジング内への嵌合装着時に上記のような異常な縮径によるテーパ状への変形を起すことがなく、舵取りのためのラック軸の円滑な摺動が確実になされる車両用舵取装置のラックブッシュ改良構造の提供が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明は、前記課題を解決するためのラックブッシュの好適な改良構造を提供するものであり、ラック軸を車両の舵取りのために摺動可能にハウジングに対して支持する車両用舵取装置のラックブッシュにおいて、前記ラックブッシュには、その軸方向両端部に、該両端部から該ブッシュの軸方向内方へ向かって所定の長さで延伸するスリットが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記ラックブッシュ両端部に設けられたスリットの本数は一本もしくは複数本であり、しかも互いに同じ本数であることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、前記ラックブッシュ両端部に設けられたスリットの幅は互いに異なるものであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1に記載の発明では、ラック軸を車両の舵取りのために摺動可能にハウジングに対して支持する車両用舵取装置のラックブッシュにおいて、前記ラックブッシュには、その軸方向両端部に、該両端部から該ブッシュの軸方向内方へ向かって所定の長さで延伸するスリットが設けられている。
【0014】
したがって、ラックブッシュは、その軸方向における剛性が均一化されるので、従来のラックブッシュの軸方向一方端からのみブッシュ内方へ向かってスリットが設けられるラックブッシュにおいて生じる、該ブッシュのハウジング内への嵌合装着時の異常な縮径によるテーパ状への変形現象が抑制され、ラックブッシュの形状の安定化が図られ、ラック軸の円滑な摺動が確保されその摺動荷重の減少がなされ、舵取装置における操舵性の向上が図られる。
【0015】
また、ラックブッシュのハウジング内への嵌合装着時の異常な縮径によるテーパ状への変形が抑制され、該ブッシュの形状の安定化が図られるので、ブッシュのラック軸への抱きつき現象の発生が解消され、ブッシュとラック軸との異常な摩擦の発生が抑えられ、ブッシュの磨耗や異常な変形による損傷が防止され、ラックブッシュさらにはラック軸の耐久性が大幅に向上される。
【0016】
請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載のラックブッシュにおいて、該ラックブッシュ両端部に設けられたスリットの本数は一本もしくは複数本であり、しかも互いに同じ本数であるから、ラックブッシュの軸方向における剛性バランスの調整が採りやすく、その長手方向における剛性の均一化が容易に図れる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、前記請求項1に記載のラックブッシュにおいて、該ラックブッシュ両端部に設けられたスリットの幅は互いに異なるものであるから、ラックブッシュの軸方向における剛性バランスとブッシュの変形具合の調整が可能であり、また、熱的影響による、とりわけ該ブッシュの熱膨張によるヘタリ現象の抑制効果が向上される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の舵取装置の主要構造部を示す図であり、該図には舵取装置の一方端部の構造のみが図示されている。しかしながら、他方端部における構造も実質的には異なるものではないので、舵取装置の端部構造については該図面に基づいて説明することにする。
そして、該図1にはラックハウジング5と、そのハウジング5の内部に支持されるラック軸1が図示されている。
【0019】
ラック軸1は、ハウジング5内において、該ハウジング5に対してその軸方向に沿って摺動可能な状態で支持されており、該摺動可能な支持は、ラックブッシュ4を介してなされる。ラック軸1には、図示されないラック歯車が形成されたラック軸部があり、該ラック軸部のラック歯車には図示されないコラムを介して操舵ハンドルに連動連結されるピニオン歯車が噛合している。
【0020】
そして、上述したように図1には、ラック軸1のその一方端部における構造のみが図示されるが、ラック軸1の両端部は、ボールソケット部2を介してタイロッド3に連結され、さらには図示されないナックル、操向車輪へと連結される。 したがって、前記図示されない操舵ハンドルの操作により、ピニオン歯車の回転を介してラック軸1がその軸方向に沿って動かされ、これにより、前記ボールソケット部2を介してタイロッド3、図示されないナックルが作動され、さらには転舵のための図示されない前記操向車輪が方向転換される。
【0021】
6は蛇腹状のラックブーツであり、その一端部6aがタイロッド3に外嵌固定され、他端部6bがハウジング5の外周部52に外嵌固定されることで、ラック軸1の軸端部とタイロッド3の連結周辺部を覆うようになされており、ラックブーツ6は、ラック軸1のその軸方向に沿う摺動に応じて伸縮可能であり、また、前記タイロッド3のボールソケット部2を介した回動屈折に応じて適宜屈曲変形可能な構造を備えており、ラック軸1やボールソケット部2等の防塵等の保護機能を備えるものであり、通常、ゴムや合成樹脂等の可撓性の部材により形成されるものである。
【0022】
ラック軸1は、上述のようにハウジング5に対して該ハウジング5の内部においてその軸方向に沿って摺動可能に支持されており、具体的には、ラック軸1がハウジング5に対して、その摺動ブッシュであるラックブッシュ4を介して該ハウジング5の内部のその長手方向両端部近傍の2箇所(図1にはその一方のみが図示されている。)において摺動可能に支持されることで、前記軸方向に沿う舵取りのための摺動がなされるようになされている。
【0023】
ラック軸1のラックブッシュ4による支持は、上述のようにハウジング5内の両端部近傍の該ハウジング5内に配設される前記ブッシュ4により、その軸方向において摺動可能になされており、該ラック軸1支持のためのラックブッシュ4の前記ハウジング5内への配設は、ラックブッシュ4の外周部42がハウジング5の内周部51に対して回動不能で、かつ該ハウジング5に対してその軸方向移動が阻止された状態において嵌合装着されることでなされている。
【0024】
そして、ラックブッシュ4は、その内周部41において上述のようにラック軸1をその軸方向に沿って摺動可能に支持し、このために、ラックブッシュ4はその形状が実質的に筒状をなしており、筒状として形成されるラックブッシュ4は、合成樹脂等からなり、所定の成形型を用いて樹脂成形されるものである。
【0025】
ところで、ラック軸1の前記ラックブッシュ4による摺動可能な支持は、既述のようにハウジング5の長手方向両端部近傍の2箇所においてなされるものであるが、該支持における一方の支持はラック軸1の軸部を支持し、他方の支持はラック軸1のラック歯車部を実質的に支持することから、ラックブッシュ4はその形状を互いに異にするものである。そして、本発明の実施形態は、その対象とするラックブッシュ4をその前者ラックブッシュ、すなわち、ラック軸1の軸部を支持するラックブッシュとするものである。
【0026】
以下、図2ないし図7に基づいて本発明の実施形態におけるラックブッシュ4の構造について説明する。
【0027】
ラックブッシュ4は、図2ないし図4に図示されるように、また上述したように全体として筒状をなしており、その外周部42には、該外周部42の外径を実質的に異なるものとする周方向に延在する外周段部42aが形成されており、該外周段部42aにより、筒状ブッシュ4のその外周部42が大径外周部42bと小径外周部42cとからなるものとされている。
【0028】
そして、筒状ブッシュ4外周部42の大径外周部42bと小径外周部42cの存在により、該筒状ブッシュ4の肉厚は該大径外周部42b側が厚く、小径外周部42b側が薄くなされている。しかしながら、該肉厚の差異は、大径外周部42b上に後述するスプライン部42eが形成され、また平坦面部42fが形成されることからすると実質的には僅かなものである。
【0029】
筒状ラックブッシュ4の外周部42の大径外周部42bは、小径外周部42cに比較してその幅は広く、この大径外周部42bの周面でかつ該ブッシュ4の一方の端部面に沿う位置には3箇所の突起部42dが形成されており、これら突起部42dは大径外周部42bの周面に互いに等間隔、すなわち、互いに120°の間隔をもって設けられ、この突出部42dは前記周面から所定の突出高さをもって突設されている(図2,3等参照)。
【0030】
また、ラックブッシュ4の大径外周部42bの周面には、スプライン部42eと3箇所の平坦面部42fが形成されており、該スプライン部42eは、図5ないし図7を参照すれば明らかなように、実質的に前記平坦面部42fと前記突起部42dが形成された部分を除く前記大径外周部42bの全面に亘って形成され、該スプライン部42eはラックブッシュ4の軸方向に沿って延伸している。
【0031】
3箇所の平坦面部42fは、大径外周部42bの前記3つの突起部42dに対してそれぞれ60°位相がずれた位置で互いに等間隔で所定の幅をもって、ブッシュ4の軸方向に沿って延伸配設されており(図2,4,5等参照)、該平坦面部42fは、その側面視において、図4から理解できるように、該平坦面部42fの平坦面が描く線が実質的にブッシュ4の前記小径外周部42cの接線Lとなる位置まで平坦化された構造とされ、その平坦面部42fの前記所定幅の軸方向中心線上には、一条の突条42gが形成されている。
【0032】
そして、このラックブッシュ4のハウジング5内への嵌合装着は、ブッシュ4外周部42の特徴ある前記構造部に対応し、該構造部を相補的に受入れるハウジング5内周部51の構造により安定状態においてなされ(図1参照)、すなわち、ハウジング5内へのブッシュ4嵌合装着時の該ブッシュ外周部42の外周段部42aや突起部42d、スプライン部42eさらには平坦面部42fにおける前記ハウジング5内周部51の相補的構造部へのそれぞれの係合もしくは嵌入が相俟って、より安定した状態でかつその軸方向移動と回動が確実に阻止された状態においてなされる。
【0033】
筒状ラックブッシュ4の内周部41は、図2ないし図4に図示されるように、その軸方向中央部における周面41aがやや中高に形成され、この中高とされた周面41aには3箇所の***部41bが設けられ、該***部41bは前記周面41aに沿って等間隔、すなわち120°間隔で、丁度ブッシュ外周部42の前記平坦面部42fに対応する位置で、しかもブッシュ4の軸方向に沿って所定の長さに亘り所定幅で延在しその表面が平坦化された面41cとして形成され、そして、この3箇所の***部41bの平坦化された面41cにより実質的にラック軸1を筒状ラックブッシュ4の内周部41にその軸方向に沿って摺動可能に支持する。
【0034】
上述した内周部41と外周部42とをもつ前記構造の肉厚の筒状体からなるラックブッシュ4には、図2ないし図4等から明らかなように、さらにその特徴的な構造として、その軸方向両端部に、該両端部から該ブッシュ4の軸方向内方へ向かって所定の長さで延伸するスリット43,44が設けられており、そして、該ブッシュ4はこの構造において、従来から良く知られている上述の筒状ラックブッシュ04の軸方向一方端部のみにスリットが設けられた構造のラックブッシュ04に比較してきわめて特徴的なものである。
【0035】
筒状ラックブッシュ4のその軸方向両端部に、該両端部からその内方へ向かってそれぞれ設けられたスリット43,44は、本実施形態においてはそれぞれ3本ずつであり、ラックブッシュの前記両端である一方端および他方端に設けられたそれぞれの3本のスリット43,44は、ブッシュ4の周方向において互いに等間隔、すなわち、互いに120°の間隔をもって設けられたものである(図2,4参照)。
【0036】
そして、ラックブッシュ4のその一方端に設けられたスリット43と、他方端に設けられたスリット44は、互いにその位相がブッシュ4の周方向において60°ずれた位置関係に配設されており、つまり、結果として、ブッシュ4の周方向という視点で捉えれば、全てのスリット43,44は互いに等間隔、すなわち、60°間隔で配設形成されたものである(図2ないし図4参照)。
【0037】
また、図2ないし図4および図6等から明らかなように、筒状ラックブッシュ4の一方端に設けられたスリット43の幅と、他方端に設けられたスリット44の幅は互いに異なり、該一方端、すなわち、筒状ブッシュ4の肉厚の厚い側に設けられたスリット43の幅は、その他方端、すなわち、筒状ブッシュ4の肉厚の薄い側に設けられたスリット44の幅と比較して幅広とされている。
【0038】
筒状ブッシュ4の両端部に設けられた前記スリット43,44は、図3および図5,6の参照から明らかなように、その延伸長さも該一方端、すなわち、ブッシュ4の肉厚の厚い側に設けられたスリット43の長さが、他方端、すなわち、ブッシュ4の肉厚の薄い側に設けられたスリット44の長さと比較してやや長く形成されており、その延伸長さはブッシュ4の軸方向における長さの中央部をやや超える位置まで達し、また、他方端に備えられたスリット44のその延伸長さはブッシュ4の軸方向における長さの略中央部の位置まで達している。
【0039】
そして、肉厚が異なる筒状ブッシュ4の両端部に設けられたスリット43,44における上述の構造の差異、すなわち、スリットの幅、スリットの延伸長さの差異は、筒状であるラックブッシュ4の軸方向における剛性のバランス、強いては剛性の均一化を図り、また後述するブッシュ4のハウジング5内への嵌合装着時の変形調整機能を該ブッシュ4に付与させるものである。
【0040】
筒状ブッシュ4の両端部に設けられたスリット43,44は、いずれも筒状ラックブッシュ4に対してその縮径を可能とする機能を付与させるものであり、ハウジング5内へのブッシュ4の嵌合装着に際して、そのスリット43,44の幅により許容される範囲において、ブッシュ4のその弾性に抗した縮径が可能とされるものであり、これによりブッシュ4の前記ハウジング5内への嵌合装着が容易になされる。
【0041】
また、筒状ブッシュ4のスリット43,44により可能とされる弾性に抗した縮径によるハウジング5内への該ブッシュ4の嵌合装着は、ブッシュ4のハウジング5内における該ハウジング内周部51への弾接を強固になす機能を付与させるものであり、また、前記スリット43,44は、合成樹脂からなる筒状ラックブッシュ4の熱的影響、すなわち、ブッシュ4の熱膨張によるヘタリを防ぐ機能も付与させるものである。
【0042】
そして、本実施形態における前記特徴的な構造のラックブッシュ4は、図10に図示される上述の従来構造の筒状ラックブッシュ04a、すなわち、該ラックブッシュ04aの一方端のみにスリット043が設けられたラックブッシュ04aとの比較において、以下のようなきわめて顕著な機能上の特徴を備えるものである。
【0043】
すなわち、図8(a),(b)を参照することにより明らかなように、また、既に説明したように、従来の一方端のみにスリットが設けられた筒状ラックブッシュ04a(図10参照)においては、該スリット043の切込みのために該ブッシュ04aの前記スリット043が設けられた側の剛性が低下し、ブッシュ04aの軸方向における剛性の均一性が保てないことになる。
【0044】
したがって、筒状ラックブッシュ04aは、図8(b)に図示されるようにそのハウジング05内への嵌合装着時に、そのスリット043が設けられた側が縮径0Aし、該ブッシュ04aの外形はテーパ状に変形し、該テーパ状の縮径部0Aは図示されるようにラック軸01に対して異常な状態において接触することになり、その摩擦力が増大し、場合によっては、ラック軸01に抱きつくようにまとわりついて、ラック軸01の摺動における摺動荷重が増大されるものである。
【0045】
これに対して、本実施形態においては、図8(a)に図示されるように、筒状ラックブッシュ4の両端にスリットが設けられており、これにより該ブッシュ4の軸方向における剛性の均一化が図られるので、上述のような片側だけが大きく縮径することによる行過ぎたテーパ状の変形が抑えられ、該ブッシュ4のテーパ状縮径部のラック軸1への異常な接触が回避されるので、ラック軸1の摺動における上述の摺動荷重の増大は略完全に解消され、ラック軸1のバランスのとれた円滑な摺動が達成されるものである。
【0046】
図1ないし図7に記載された本発明の実施形態は前記のように構成されているから、筒状ラックブッシュ4両端部に設けられたスリット43,44により、ラックブッシュ4の軸方向における剛性の均一化が図られ、ラックブッシュ4の前記ハウジング5内への嵌合装着時のそのスリット43,44によるテーパ状への変形が抑制され、該ブッシュ4の安定した形状が保持される。
【0047】
したがって、筒状ラックブッシュ4のテーパ状への変形によるその縮径部のラック軸1への異常な接触による摩擦力の増大が抑えられるので、ラック軸1の移動における該ブッシュ4による摺動荷重の減少が図られ、バランスのよい円滑なラック軸1の摺動が確保されるので、結果として車両の操舵性の向上を図ることができる。
【0048】
また、ハウジング5内への筒状ラックブッシュ4の嵌合装着時における前記テーパ状への変形に基づく、その縮径部によるラック軸1との異常な接触による強い摩擦力の発生が解消され、これにより、ラックブッシュ4の異常な磨耗や損傷が防止され、さらには、ラック軸1の磨耗も殆どなくすことができるので、ラックブッシュ4やラック軸1のその耐久性が向上される。
【0049】
筒状ラックブッシュ4には、その両端部にスリット43,44が設けられているから、ラックブッシュ4の熱的影響、すなわち、ラックブッシュ4の熱膨張等によるヘタリ現象の発生が効果的に抑制され、ラックブッシュ4の異常な変形が防止されるので、ラック軸1の摺動による該ブッシュ4の偏磨耗や損傷が殆ど解消される。
【0050】
ラックブッシュ4の両端部に設けられたスリットの本数が互いに同数とされているから、該ブッシュ4の軸方向における剛性のバランス、均一化のための調整が採りやすく、また、ブッシュ4両端部に設けられたスリットの幅と長さが互いに異なることから、ブッシュ4の軸方向における剛性バランスの調整と、ブッシュ4の変形具合の調整が採りやすく、さらにはブッシュ4の熱的影響、とりわけ、ブッシュ4の熱膨張によるヘタリ現象の発生が抑制される。
【0051】
本実施形態に換えて種々の実施形態が考えられる。
【0052】
本実施形態においては、ラックブッシュ4の両端部に設けられたスリット43,44は、それぞれ3本づつとされたが、勿論これに限定されるものではなく、その本数は適宜選択設定できるものであり、また、ラックブッシュ4の両端部に設けられたスリット43,44の本数も本実施例においては同数とされているがこれに限られるものではなく、適宜異なる本数の選択が可能である。
【0053】
本実施形態においては、ラックブッシュ4の両端部に設けられたスリット43,44の幅や長さの関係についても一部構造の特定をなしているが、スリット43,44の幅や長さについては必ずしも前記関係に拘束されるものではなく、該スリット43,44の幅や長さも適宜、スリットの本数やブッシュの材質、肉厚等が考慮されて選択的に設定されるものである。
【0054】
本実施形態においては、ラックブッシュ4の材質として、合成樹脂が採用されたが、必ずしも合成樹脂に限られるものではなく、ゴム等の材質であっても適宜弾性を有し、耐熱性と耐磨耗性を備えるものであれば十分に適材として選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の操舵装置における主要構造部を示す断面図である。
【図2】本発明のラックブッシュの構造を示す図であり、図3におけるB矢視図である。
【図3】本発明のラックブッシュの構造を示す図であり、図2におけるA−A断面図である。
【図4】本発明のラックブッシュの構造を示す図であり、図3におけるC矢視図である。
【図5】本発明のラックブッシュの構造を示す図であり、図2におけるD矢視図である。
【図6】本発明のラックブッシュの構造を示す図であり、図4におけるE矢視図である。
【図7】本発明のラックブッシュの構造を示す図であり、図4におけるF矢視図である。
【図8】本発明のラックブッシュと、従来のラックブッシュの機能を比較した説明図であり、(a)は本発明のラックブッシュにおける作動説明図であり、(b)は従来のラックブッシュにおける作動説明図である。
【図9】従来の発明における操舵装置の主要構造部を示す断面図である。
【図10】従来のラックブッシュを示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・ラック軸、2・・・ボールソケット部、3・・・タイロッド、4・・・ラックブッシュ、41・・・ブッシュ内周部、41a・・・周面、41b・・・***部、41c・・・平坦化された面、42・・・ブッシュ外周部、42a・・・外周段部、42b・・・大径外周部、42c・・・小径外周部、42d・・・突起部、42e・・・スプライン部、42f・・・平坦面部、42g・・・突条、43・・・スリット、44・・・スリット、5・・・ハウジング、51・・・ハウジング内周部、52・・・ハウジング外周部、6・・・蛇腹状ラックブーツ、6a・・・一端部、6b・・・他端部。

Claims (3)

  1. ラック軸を車両の舵取りのために摺動可能にハウジングに支持する車両用舵取装置のラックブッシュにおいて、
    前記ラックブッシュには、その軸方向両端部に、該両端部から該ブッシュの軸方向内方へ向かって所定の長さで延伸するスリットが設けられていることを特徴とする車両用舵取装置のラックブッシュ。
  2. 前記ラックブッシュ両端部に設けられたスリットの本数は一本もしくは複数本であり、しかも互いに同じ本数であることを特徴とする請求項1記載の車両用舵取装置のラックブッシュ。
  3. 前記ラックブッシュ両端部に設けられたスリットの幅は互いに異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用舵取装置のラックブッシュ。
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