JP2004311875A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、等価直列抵抗の低減と、漏れ電流の増大を防止した固体電解コンデンサの提供を目的とするものである。
【解決手段】弁金属箔1と、弁金属箔1の表面に形成された弁金属多孔質体2と、弁金属多孔質体2の表面に設けた誘電体被膜3と、誘電体被膜3を覆うように設けた固体電解質層5と、固体電解質層5を覆うようにカーボン層6と銀ペイント層7を設け、カーボン層6または/および銀ペイント層7を弾性体で構成したものである。
【選択図】 図1
【解決手段】弁金属箔1と、弁金属箔1の表面に形成された弁金属多孔質体2と、弁金属多孔質体2の表面に設けた誘電体被膜3と、誘電体被膜3を覆うように設けた固体電解質層5と、固体電解質層5を覆うようにカーボン層6と銀ペイント層7を設け、カーボン層6または/および銀ペイント層7を弾性体で構成したものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に利用される固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電源回路の2次側やパーソナルコンピュータのCPU周りなどに使用されるコンデンサは、低背化、小型大容量化が強く望まれている。さらに、高周波化に対応した等価直列抵抗(以下、ESR)の低いものが要求されている。
【0003】
ESRは各材料の固有抵抗と各材料間の界面抵抗からなり、低ESR化するためには、これらの抵抗を小さくする必要がある。
【0004】
低ESR化する方法として、図8に示すように、従来の固体電解コンデンサでは弁金属20上にその金属の誘電体被膜21を形成し、前記誘電体被膜上に固体電解質層22および集電体層23をこの順に順次形成してなり、前記固体電解質層表面に凹凸を設け、前記陰極導体層との密着力を強化したものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2765462号公報(第8頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では固体電解質層上に凹凸を設ける方法として、化学重合の溶液中に固体電解質の粉末を混合する方法を行っているが、化学反応が伴っているため、凹凸の大きさの制御が難しく、凹凸の大きさに差があると陰極導体層との密着力にばらつきが生じ、その結果としてESRがばらついてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の上記問題点を解決するためになされたものであり、弾性体からなる集電体層で固体電解質層を覆うように構成し、ESRが小さくかつ漏れ電流の小さな固体電解コンデンサの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体を覆うように設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、固体電解質層を覆うように集電体層を設け、この集電体層を弾性体で構成したものである。
【0009】
これにより、固体電解コンデンサの低ESR化を図るとともに、漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体を覆うように設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、固体電解質層を覆うように集電体層を設け、この集電体層を弾性体で構成したことで、外装時の樹脂の硬化収縮によって、集電体層が圧縮されて固体電解質層との接触面積が大きくなることで、低ESR化を図ることができるとともに、外装時の圧力を吸収するため、誘電体被膜への影響が小さくなり、漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0011】
また本発明は、集電体層はカーボン層と銀ペイント層からなり、前記カーボン層と銀ペイント層のいずれか一方または両方を弾性体で構成したことで、外装時に生じる応力を集電体層が緩和するため、誘電体被膜への影響が小さくなり、漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0012】
また本発明は、カーボン層は弾性を有する熱可塑性樹脂を含むようにしたことで、銀ペイント層や外装の硬化収縮によるカーボン層の圧縮により、固体電解質層との密着がよくなり、低ESR化することができる。
【0013】
また本発明は、銀ペイント層は弾性を有する熱可塑性樹脂を含むようにしたことで、外部端子を接合するときの機械的ストレスを緩和することができるとともに、コンデンサ素子の取り扱いを容易にすることができる。
【0014】
また本発明は、カーボン層はエラストマーを含むようにしたことで、カーボン層の乾燥時に硬化収縮がないため、固体電解質層へのストレスを与えることなくカーボン層を形成することができる。
【0015】
また本発明は、銀ペイント層はエラストマーを含むようにしたことで、外装前のコンデンサ素子の特性検査における外的ストレスを緩和することができる。
【0016】
また本発明は、弁金属箔と弁金属多孔質体にタンタルまたは/およびニオブまたは/およびアルミニウムを用いたことで、大容量の固体電解コンデンサを構成することができる。
【0017】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の断面図、図2は図1のコンデンサ素子を外装樹脂で覆った本発明の実施例1における固体電解コンデンサの断面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、陽極体である弁金属箔1および弁金属多孔質体2と、誘電体被膜3と、陰極となる固体電解質層5および集電体層6、7とにより構成される。
【0020】
弁金属箔1は、板状のタンタル箔またはニオブ箔である。弁金属多孔質体2は、弁金属箔1の一部を除いて上面視が略長方形となるようにタンタルやニオブなどの弁金属粉末を含む塗料を塗布し、真空中で焼結して形成する。この塗布の方法はスクリーン印刷、ディスペンサー、ダイコート法などを用いることができる。
【0021】
次に誘電体被膜3は、りん酸溶液中で陽極酸化を行い弁金属多孔質体2の表面を覆うように形成する。
【0022】
4は弁金属多孔質体2で覆われていない弁金属箔1上の弁金属多孔質体2の端面に形成された絶縁分離層であり、エポキシあるいはシリコーンなどで陽極と陰極を分離し、短絡防止を図ったものである。この絶縁分離層4はスクリーン印刷、ディスペンサー法などにより形成できる。
【0023】
固体電解質層5は誘電体被膜3を覆うように設けられ、ポリピロールまたはポリチオフェンなどの導電性高分子層を化学重合法または電解重合法などにより形成することで得ることができる。これにより、インピーダンスの低い固体電解コンデンサを得ることができる。
【0024】
集電体層6、7は固体電解質層5を覆うように固体電解質層5上に導電ペーストであるカーボンと銀ペイントを塗布することによってカーボン層6および銀ペイント層7を順次積層して形成される。このカーボン層6および銀ペイント層7は熱可塑性樹脂あるいはエラストマーを含んで構成されている。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン(米国デュポン社の登録商標)樹脂などを用いることができる。またエラストマーとしてはゴム状弾性を有する天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。さらにこれらの混合物であっても良い。
【0025】
これらの弾性を有する材料の曲げ弾性率が1000MPa以下の範囲である熱可塑性樹脂あるいはエラストマーが好ましい。
【0026】
以上のようにして得られた図1に示すコンデンサ素子の弁金属箔1と外部端子(陽極)8を接合し、銀ペイント層7と外部端子(陰極)9を接合し、外部端子8、9の端部のみが露出し、コンデンサ素子を覆うように樹脂による外装10で被覆封止した後、エージングを施して、図2に示す固体電解コンデンサを得る。
【0027】
このエージングによって、誘電体被膜3の形成後のコンデンサ素子の製造過程において壊れた誘電体被膜3を修復し、漏れ電流を低減することができる。
【0028】
本実施例1において、外装10としてはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる。
【0029】
本実施例1において、集電体層6、7が熱可塑性樹脂あるいはエラストマーで構成されているため、外装10を形成する時の樹脂の硬化収縮によって集電体層6、7が圧縮されて固体電解質層5との接触面積が大きくなり、層と層との界面に生じる界面抵抗が小さくなることで、固体電解コンデンサのESRを低減することが可能となる。また、外装10の形成時に生じる応力を集電体層6、7が緩和するため、誘電体被膜3への影響が小さくなり、漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0030】
さらに本実施例1において、集電体層6、7が熱可塑性樹脂で構成されているため、外装10の形成前の製造過程において加わる衝撃や機械的ストレス、材料の熱膨張率の違いによって生じる応力を緩和し、亀裂が誘電体被膜3に生じるのを防ぐことにより、コンデンサの漏れ電流の増大を防止することが可能となる。
【0031】
なお、本実施例1においては、弁金属箔1および弁金属多孔質体2はタンタルとニオブを例に挙げたが、一般に固体電解コンデンサに用いられるアルミニウムやチタンなどの弁金属なら何でもよい。また、弁金属箔1と弁金属多孔質体2からなる陽極体として、アルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔の必要部分の表面側をエッチングして弁金属多孔質体2と弁金属箔1が一体となって構成されたものとしてもよい。
【0032】
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。図1、図2と同一構成要件は同符号を付して説明を省略する。
【0033】
図3、図4において、固体電解コンデンサは、エラストマーを含むカーボン層6と、熱硬化性ペーストからなる銀ペイント層7とから構成される。
【0034】
このように、カーボン層6がエラストマーで構成されているため、銀ペイント層7や外装10の硬化収縮によってカーボン層6と固体電解質層5との接触面積が大きくなり、カーボン層6と固体電解質層5との界面に生じる界面抵抗が小さくなるため、固体電解コンデンサのESRを低減することが可能となる。また、固体電解質層5との密着がよくなり、容量を引き出し易くすることができる。
【0035】
さらに、カーボン層6がエラストマーで構成されているため、カーボン層6の乾燥時に硬化収縮がなく、固体電解質層5へのストレスを与えることなくカーボン層6を形成することができるため、コンデンサの漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施例2において、カーボン層6はエラストマーを含む例を挙げたが、ポリエチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂でもよく、エラストマーと同様の効果を得ることができる。
【0037】
(実施例3)
本発明の実施例3について説明する。図1、図2と同一構成要件は同符号を付して説明を省略する。
【0038】
図5、図6において、熱硬化性ペーストからなるカーボン層6と、エラストマーを含む銀ペイント層7とから構成される。
【0039】
このように、銀ペイント層7がエラストマーで構成されているため、外装10の形成時の硬化収縮によって銀ペイント層7が圧縮されてカーボン層6との接触面積が大きくなるため、カーボン層6と銀ペイント層7との界面に生じる界面抵抗が小さくなり、固体電解コンデンサのESRを低減することが可能となる。
【0040】
さらに、銀ペイント層7がエラストマーで構成されているため、外部端子を接合するときの機械的ストレスや、外装10の形成前のコンデンサ素子の特性検査等において加わる衝撃などの応力を緩和することができ、コンデンサ素子の取り扱いを容易にすることができる。また、亀裂が誘電体被膜3に生じるのを防ぐため、コンデンサの漏れ電流の増大を防止することが可能となる。
【0041】
なお、本実施例3において、銀ペイント層7はエラストマーを含む例を挙げたが、ポリエチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂でもよく、エラストマーと同様の効果を得ることができる。
【0042】
上記各実施例において、1個のコンデンサ素子を外装10してなる固体電解コンデンサについて説明したが、図7に示すようにコンデンサ素子を複数個積層し、このコンデンサ素子の積層体の弁金属箔1と外部端子(陽極)8を接合し、銀ペイント層7と外部端子(陰極)9を接合し、外部端子8、9の端部のみが露出しコンデンサ素子の積層体を覆うように樹脂による外装10で被覆封止した後、エージングを施すことにより得られる積層型固体電解コンデンサについても同様の効果が得られるのは当然である。
【0043】
このような積層コンデンサを構成する場合にも、カーボン層6と銀ペイント層7のいずれか一方または両方が弾性体などの柔軟性のある材料である熱可塑性樹脂あるいはエラストマーで構成されているため、コンデンサ素子を積層する際の機械的ストレスなどによって生じる漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明は、集電体層を密着性がよく、応力を緩和する弾性体で構成することにより、低ESRで漏れ電流の小さい固体電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の断面図
【図2】本発明の実施例1における固体電解コンデンサの断面図
【図3】本発明の実施例2におけるコンデンサ素子の断面図
【図4】本発明の実施例2における固体電解コンデンサの断面図
【図5】本発明の実施例3におけるコンデンサ素子の断面図
【図6】本発明の実施例3における固体電解コンデンサの断面図
【図7】本発明の他の実施例における積層型固体電解コンデンサの断面図
【図8】従来のコンデンサ素子の断面図
【符号の説明】
1 弁金属箔
2 弁金属多孔質体
3 誘電体被膜
4 絶縁分離層
5 固体電解質層
6 集電体層(カーボン層)
7 集電体層(銀ペイント層)
8 外部端子(陽極)
9 外部端子(陰極)
10 外装
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に利用される固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電源回路の2次側やパーソナルコンピュータのCPU周りなどに使用されるコンデンサは、低背化、小型大容量化が強く望まれている。さらに、高周波化に対応した等価直列抵抗(以下、ESR)の低いものが要求されている。
【0003】
ESRは各材料の固有抵抗と各材料間の界面抵抗からなり、低ESR化するためには、これらの抵抗を小さくする必要がある。
【0004】
低ESR化する方法として、図8に示すように、従来の固体電解コンデンサでは弁金属20上にその金属の誘電体被膜21を形成し、前記誘電体被膜上に固体電解質層22および集電体層23をこの順に順次形成してなり、前記固体電解質層表面に凹凸を設け、前記陰極導体層との密着力を強化したものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2765462号公報(第8頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では固体電解質層上に凹凸を設ける方法として、化学重合の溶液中に固体電解質の粉末を混合する方法を行っているが、化学反応が伴っているため、凹凸の大きさの制御が難しく、凹凸の大きさに差があると陰極導体層との密着力にばらつきが生じ、その結果としてESRがばらついてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の上記問題点を解決するためになされたものであり、弾性体からなる集電体層で固体電解質層を覆うように構成し、ESRが小さくかつ漏れ電流の小さな固体電解コンデンサの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体を覆うように設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、固体電解質層を覆うように集電体層を設け、この集電体層を弾性体で構成したものである。
【0009】
これにより、固体電解コンデンサの低ESR化を図るとともに、漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体を覆うように設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、固体電解質層を覆うように集電体層を設け、この集電体層を弾性体で構成したことで、外装時の樹脂の硬化収縮によって、集電体層が圧縮されて固体電解質層との接触面積が大きくなることで、低ESR化を図ることができるとともに、外装時の圧力を吸収するため、誘電体被膜への影響が小さくなり、漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0011】
また本発明は、集電体層はカーボン層と銀ペイント層からなり、前記カーボン層と銀ペイント層のいずれか一方または両方を弾性体で構成したことで、外装時に生じる応力を集電体層が緩和するため、誘電体被膜への影響が小さくなり、漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0012】
また本発明は、カーボン層は弾性を有する熱可塑性樹脂を含むようにしたことで、銀ペイント層や外装の硬化収縮によるカーボン層の圧縮により、固体電解質層との密着がよくなり、低ESR化することができる。
【0013】
また本発明は、銀ペイント層は弾性を有する熱可塑性樹脂を含むようにしたことで、外部端子を接合するときの機械的ストレスを緩和することができるとともに、コンデンサ素子の取り扱いを容易にすることができる。
【0014】
また本発明は、カーボン層はエラストマーを含むようにしたことで、カーボン層の乾燥時に硬化収縮がないため、固体電解質層へのストレスを与えることなくカーボン層を形成することができる。
【0015】
また本発明は、銀ペイント層はエラストマーを含むようにしたことで、外装前のコンデンサ素子の特性検査における外的ストレスを緩和することができる。
【0016】
また本発明は、弁金属箔と弁金属多孔質体にタンタルまたは/およびニオブまたは/およびアルミニウムを用いたことで、大容量の固体電解コンデンサを構成することができる。
【0017】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の断面図、図2は図1のコンデンサ素子を外装樹脂で覆った本発明の実施例1における固体電解コンデンサの断面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、陽極体である弁金属箔1および弁金属多孔質体2と、誘電体被膜3と、陰極となる固体電解質層5および集電体層6、7とにより構成される。
【0020】
弁金属箔1は、板状のタンタル箔またはニオブ箔である。弁金属多孔質体2は、弁金属箔1の一部を除いて上面視が略長方形となるようにタンタルやニオブなどの弁金属粉末を含む塗料を塗布し、真空中で焼結して形成する。この塗布の方法はスクリーン印刷、ディスペンサー、ダイコート法などを用いることができる。
【0021】
次に誘電体被膜3は、りん酸溶液中で陽極酸化を行い弁金属多孔質体2の表面を覆うように形成する。
【0022】
4は弁金属多孔質体2で覆われていない弁金属箔1上の弁金属多孔質体2の端面に形成された絶縁分離層であり、エポキシあるいはシリコーンなどで陽極と陰極を分離し、短絡防止を図ったものである。この絶縁分離層4はスクリーン印刷、ディスペンサー法などにより形成できる。
【0023】
固体電解質層5は誘電体被膜3を覆うように設けられ、ポリピロールまたはポリチオフェンなどの導電性高分子層を化学重合法または電解重合法などにより形成することで得ることができる。これにより、インピーダンスの低い固体電解コンデンサを得ることができる。
【0024】
集電体層6、7は固体電解質層5を覆うように固体電解質層5上に導電ペーストであるカーボンと銀ペイントを塗布することによってカーボン層6および銀ペイント層7を順次積層して形成される。このカーボン層6および銀ペイント層7は熱可塑性樹脂あるいはエラストマーを含んで構成されている。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン(米国デュポン社の登録商標)樹脂などを用いることができる。またエラストマーとしてはゴム状弾性を有する天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。さらにこれらの混合物であっても良い。
【0025】
これらの弾性を有する材料の曲げ弾性率が1000MPa以下の範囲である熱可塑性樹脂あるいはエラストマーが好ましい。
【0026】
以上のようにして得られた図1に示すコンデンサ素子の弁金属箔1と外部端子(陽極)8を接合し、銀ペイント層7と外部端子(陰極)9を接合し、外部端子8、9の端部のみが露出し、コンデンサ素子を覆うように樹脂による外装10で被覆封止した後、エージングを施して、図2に示す固体電解コンデンサを得る。
【0027】
このエージングによって、誘電体被膜3の形成後のコンデンサ素子の製造過程において壊れた誘電体被膜3を修復し、漏れ電流を低減することができる。
【0028】
本実施例1において、外装10としてはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる。
【0029】
本実施例1において、集電体層6、7が熱可塑性樹脂あるいはエラストマーで構成されているため、外装10を形成する時の樹脂の硬化収縮によって集電体層6、7が圧縮されて固体電解質層5との接触面積が大きくなり、層と層との界面に生じる界面抵抗が小さくなることで、固体電解コンデンサのESRを低減することが可能となる。また、外装10の形成時に生じる応力を集電体層6、7が緩和するため、誘電体被膜3への影響が小さくなり、漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0030】
さらに本実施例1において、集電体層6、7が熱可塑性樹脂で構成されているため、外装10の形成前の製造過程において加わる衝撃や機械的ストレス、材料の熱膨張率の違いによって生じる応力を緩和し、亀裂が誘電体被膜3に生じるのを防ぐことにより、コンデンサの漏れ電流の増大を防止することが可能となる。
【0031】
なお、本実施例1においては、弁金属箔1および弁金属多孔質体2はタンタルとニオブを例に挙げたが、一般に固体電解コンデンサに用いられるアルミニウムやチタンなどの弁金属なら何でもよい。また、弁金属箔1と弁金属多孔質体2からなる陽極体として、アルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔の必要部分の表面側をエッチングして弁金属多孔質体2と弁金属箔1が一体となって構成されたものとしてもよい。
【0032】
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。図1、図2と同一構成要件は同符号を付して説明を省略する。
【0033】
図3、図4において、固体電解コンデンサは、エラストマーを含むカーボン層6と、熱硬化性ペーストからなる銀ペイント層7とから構成される。
【0034】
このように、カーボン層6がエラストマーで構成されているため、銀ペイント層7や外装10の硬化収縮によってカーボン層6と固体電解質層5との接触面積が大きくなり、カーボン層6と固体電解質層5との界面に生じる界面抵抗が小さくなるため、固体電解コンデンサのESRを低減することが可能となる。また、固体電解質層5との密着がよくなり、容量を引き出し易くすることができる。
【0035】
さらに、カーボン層6がエラストマーで構成されているため、カーボン層6の乾燥時に硬化収縮がなく、固体電解質層5へのストレスを与えることなくカーボン層6を形成することができるため、コンデンサの漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0036】
なお、本実施例2において、カーボン層6はエラストマーを含む例を挙げたが、ポリエチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂でもよく、エラストマーと同様の効果を得ることができる。
【0037】
(実施例3)
本発明の実施例3について説明する。図1、図2と同一構成要件は同符号を付して説明を省略する。
【0038】
図5、図6において、熱硬化性ペーストからなるカーボン層6と、エラストマーを含む銀ペイント層7とから構成される。
【0039】
このように、銀ペイント層7がエラストマーで構成されているため、外装10の形成時の硬化収縮によって銀ペイント層7が圧縮されてカーボン層6との接触面積が大きくなるため、カーボン層6と銀ペイント層7との界面に生じる界面抵抗が小さくなり、固体電解コンデンサのESRを低減することが可能となる。
【0040】
さらに、銀ペイント層7がエラストマーで構成されているため、外部端子を接合するときの機械的ストレスや、外装10の形成前のコンデンサ素子の特性検査等において加わる衝撃などの応力を緩和することができ、コンデンサ素子の取り扱いを容易にすることができる。また、亀裂が誘電体被膜3に生じるのを防ぐため、コンデンサの漏れ電流の増大を防止することが可能となる。
【0041】
なお、本実施例3において、銀ペイント層7はエラストマーを含む例を挙げたが、ポリエチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂でもよく、エラストマーと同様の効果を得ることができる。
【0042】
上記各実施例において、1個のコンデンサ素子を外装10してなる固体電解コンデンサについて説明したが、図7に示すようにコンデンサ素子を複数個積層し、このコンデンサ素子の積層体の弁金属箔1と外部端子(陽極)8を接合し、銀ペイント層7と外部端子(陰極)9を接合し、外部端子8、9の端部のみが露出しコンデンサ素子の積層体を覆うように樹脂による外装10で被覆封止した後、エージングを施すことにより得られる積層型固体電解コンデンサについても同様の効果が得られるのは当然である。
【0043】
このような積層コンデンサを構成する場合にも、カーボン層6と銀ペイント層7のいずれか一方または両方が弾性体などの柔軟性のある材料である熱可塑性樹脂あるいはエラストマーで構成されているため、コンデンサ素子を積層する際の機械的ストレスなどによって生じる漏れ電流の増大を防ぐことができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明は、集電体層を密着性がよく、応力を緩和する弾性体で構成することにより、低ESRで漏れ電流の小さい固体電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の断面図
【図2】本発明の実施例1における固体電解コンデンサの断面図
【図3】本発明の実施例2におけるコンデンサ素子の断面図
【図4】本発明の実施例2における固体電解コンデンサの断面図
【図5】本発明の実施例3におけるコンデンサ素子の断面図
【図6】本発明の実施例3における固体電解コンデンサの断面図
【図7】本発明の他の実施例における積層型固体電解コンデンサの断面図
【図8】従来のコンデンサ素子の断面図
【符号の説明】
1 弁金属箔
2 弁金属多孔質体
3 誘電体被膜
4 絶縁分離層
5 固体電解質層
6 集電体層(カーボン層)
7 集電体層(銀ペイント層)
8 外部端子(陽極)
9 外部端子(陰極)
10 外装
Claims (7)
- 弁金属箔と、前記弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、前記弁金属多孔質体の表面に設けた誘電体被膜と、前記誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、前記固体電解質層を覆うように集電体層を設け、前記集電体層を弾性体で構成した固体電解コンデンサ。
- 集電体層はカーボン層と銀ペイント層からなり、前記カーボン層と銀ペイント層のいずれか一方または両方を弾性体で構成した請求項1記載の固体電解コンデンサ。
- カーボン層は弾性を有する熱可塑性樹脂を含む請求項2記載の固体電解コンデンサ。
- 銀ペイント層は弾性を有する熱可塑性樹脂を含む請求項2記載の固体電解コンデンサ。
- カーボン層はエラストマーを含む請求項2記載の固体電解コンデンサ。
- 銀ペイント層はエラストマーを含む請求項2記載の固体電解コンデンサ。
- 弁金属箔と弁金属多孔質体にタンタルまたは/およびニオブまたは/およびアルミニウムを用いた請求項1記載の固体電解コンデンサ。
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2003
- 2003-04-10 JP JP2003106402A patent/JP2004311875A/ja active Pending
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