JP2004310811A - 光ヘッド及び収差検出方法、並びに光記録媒体記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスク基板厚や光学系のずれにともなう球面収差を精度よく安定して検出する。
【解決手段】光ヘッド104の光学系10における復路光学系として、0次回折光及び±1次回折光を発生させる回折光学素子13と、集束レンズ17と、シリンドリカルレンズ18と、光検出器20とを設ける。光ディスク102の盤面にて反射され、回折された反射レーザ光を光検出素子21,22,23にて検出し、和信号を算出することにより、光ディスク102の盤面に形成された光ディスク表面保護層の厚み誤差を含む球面収差を検出する。
【選択図】 図2
【解決手段】光ヘッド104の光学系10における復路光学系として、0次回折光及び±1次回折光を発生させる回折光学素子13と、集束レンズ17と、シリンドリカルレンズ18と、光検出器20とを設ける。光ディスク102の盤面にて反射され、回折された反射レーザ光を光検出素子21,22,23にて検出し、和信号を算出することにより、光ディスク102の盤面に形成された光ディスク表面保護層の厚み誤差を含む球面収差を検出する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等の光学情報記録媒体に情報を記録する、及び/又は光学情報記録媒体に記録された情報を再生する光学情報記録再生装置に適用される光ヘッド及び光ヘッドにおける収差検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクの記録密度は、記録再生する光スポットの大きさλ/NA(λ:光波長、NA:対物レンズ開口数)によりほぼ制限される。したがって、記録媒体の大容量化のためには記録再生光の波長を短くするか、開口数を大きくすることが必要である。
【0003】
記録再生光の波長を短くする方法として、近年、波長405nmの青紫色半導体レーザの開発が進んでいる。また、対物レンズの開口数(NA)を大きくする技術として、2群2枚の対物レンズを用いて、NAを最大0.85まで高める手法がある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、NAが大きくなることにともない光学系のずれや、ディスク基板の厚さと傾きによる誤差などで発生する収差が増大する問題がある。
【0004】
これに対して、上記従来例では、ディスク傾きにより発生するコマ収差に関しては基板の厚さを0.1mmまで薄くすることで低減し、基板厚さ誤差により発生する球面収差は、光ディスク表面と記録面との焦点ずれ信号の差から基板厚さを検出し、この検出信号に基づいて2枚のレンズの間隔を変える等して補償している。
【0005】
また、光検出器にて検出される光スポットの中央部付近と外縁部付近とを分離して、非点収差方式による焦点ずれ信号の差によって球面収差を補償するための制御信号を検出し、これらの和信号を焦点ずれ信号とする技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−195299号公報
【特許文献2】
特開2000−57616号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1を例とする手法では、表面と記録膜面からの焦点ずれ信号から基板厚さを検出することで球面収差を検出しているが、この場合、球面収差を直接検出していないため、基板の屈折率ずれや、光検出器のずれ等の影響で検出された球面収差に誤差が生じやすく、球面収差を補償するための信号制御が困難な場合があるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2を例とする手法では、光検出器を複数分割(8分割)して光スポットを検出しているが、この場合、光検出器の各領域に入射する光スポットの面積が非常に小さくなるために、光検出器の位置ずれが生じた際に球面収差を補償するための信号にオフセットが生じやすいという問題があった。
【0009】
また、上述のように光記録媒体に書き込む情報信号の高密度化を実現するために、高NA化、記録膜の多層化等を行った場合、例えば、20μm〜30μmという層間距離分に相当する距離だけディスク基板の表面から記録層に至るまでのディスク基板の厚みが変化することになる。ディスク基板の厚みに変化が生ずると、球面収差の発生量が変化し、高密度化された光ディスクでは、情報信号の書込及び読出ができない場合もある。
【0010】
一般に、基板厚、対物レンズの開口数(NA)、波長及び球面収差の間には、以下の関係式が成り立つことが知られている。
【0011】
球面収差∝ΔD×{(n2−1)/n3}×(NA)4/λ
【0012】
ただし、上式において、Dは基板厚、ΔDは基板厚の差、nは基板の屈折率である。
【0013】
上式によれば、球面収差の発生量は、対物レンズの開口数の4乗に比例し、開口数を大きくするに連れて球面収差の発生量も大きくなる。そのため、情報信号の高密度化を図ろうとするほどディスク盤面の基板厚みの僅かな変動の検出・補償が必須となる。
【0014】
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、光学系のずれ、特にディスク基板厚さの微細変動にともなう球面収差誤差を精度よく検出する収差検出方法、及びこの方法によって収差検出を行う光ヘッド、並びに検出した収差を補正してオフセットの少ない焦点ずれ信号を検出し光記録媒体の記録再生を安定して行う光記録媒体記録再生装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光ヘッドは、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出する光源と、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となる回折光になる回折光学手段と、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光とを検出する複数の光検出手段と、複数の光検出手段にて検出された各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出手段とを備えることにより、この光ヘッドは、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出する。
【0016】
ここで、この光ヘッドは、光源からの光ビームを光記録媒体上に集光する対物レンズと、光記録媒体上で反射され再度対物レンズを通過した復路の光ビームを往路の光ビームと分離する光ビーム分岐手段とを備え、回折光学手段は、光ビーム分岐手段の後段に設けられ、複数の光検出手段にて復路の光ビームを回折して生じる0次回折光と±1次回折光とを検出し、誤差検出手段は、複数の光検出手段からの焦点誤差信号を比較して球面収差に含まれる光記録媒体盤面の厚み誤差を検出する。
【0017】
また、誤差検出手段は、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出する。
【0018】
複数の光検出手段は、光源の近傍に光源に対して対称に配置され、回折光学手段は、ホログラム光学素子であることが好ましい。
【0019】
上述した目的を達成するために、本発明に係る収差検出方法は、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対し光ビームを射出する工程と、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となる回折光を生成する回折工程と、回折工程にて得られた0次回折光と±1次回折光とを複数の光検出手段にて検出する光検出工程と、光検出工程にて検出された各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出工程とを有することにより、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出する。
【0020】
ここで、誤差検出工程では、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折工程にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段上の焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段上の焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出する。
【0021】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る光記録媒体記録再生装置は、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出する光源と、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となる回折光になる回折光学手段と、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光とを検出する複数の光検出手段と、複数の光検出手段にて検出された各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出手段と、誤差検出手段によって検出された光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する制御手段とを備えることにより、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出する。
【0022】
ここで、この光記録媒体記録再生装置は、光源からの光ビームを上記光記録媒体上に集光する対物レンズと、光記録媒体上で反射され再度対物レンズを通過した復路の光ビームを往路の光ビームと分離する光ビーム分岐手段とを備え、回折光学手段は、光ビーム分岐手段の後段に設けられ、複数の光検出手段にて復路の光ビームを回折して生じる0次回折光と±1次回折光とを検出し、誤差検出手段は、複数の光検出手段からの焦点誤差信号を比較して球面収差に含まれる光記録媒体盤面の厚み誤差を検出し、制御手段は、誤差検出手段によって検出された光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する。
【0023】
誤差検出手段は、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出し、制御手段は、誤差検出手段によって検出された光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する。
【0024】
また、複数の光検出手段は、光源の近傍に光源に対して対称に配置され、回折光学手段は、ホログラム光学素子であることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出し、光記録媒体にて反射された反射ビームを、回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となるように回折光学手段によって回折し、得られた0次回折光と±1次回折光の回折光強度から光ディスク盤面の厚み誤差を含む球面収差を検出できるようにしたものである。また、この収差検出装置を光ディスク記録再生装置に適用した。
【0026】
ここで、光ヘッドでは、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出している。
【0027】
以下、本発明に係る光ヘッド及び光ディスク記録再生装置の具体例について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に述べる具体例は、本発明の好適な具体例であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、以下の説明では、本発明に限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0028】
まず、本発明に係る光ヘッドを適用した光ディスク記録再生装置101を図1に示す。光ディスク記録再生装置101は、光記録媒体である光ディスク102を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、本発明に係る光ヘッド104と、その駆動手段としての送りモータ105を備えている。ここで、スピンドルモータ103は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ107及びサーボ制御回路109により駆動制御され、所定の回転数で駆動される。
【0029】
光ディスク102は、光変調記録を用いた種々の方式の記録再生ディスク、いわゆる「光磁気記録」、「相変化記録」及び「色素記録」等を含む光ディスク、具体的には「CD−R/RW」、「DVD−RAM」、「DVD−R/RW」、「DVD+RW」等、または、各種光磁気記録媒体である。また、この光ディスク102として、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録層が分割された光ディスク、複数の記録層が透明基板を介して積層された光ディスクであっても使用できる。
【0030】
記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの差異は、光ディスクにおける記録方式そのものが異なることに起因するもののほか、光ディスクの回転速度(光ヘッド1に対する線速度)の違いによって生じるもの(いわゆる標準速度ディスクに対するn倍速ディスク)であってもよい。
【0031】
また、この光ディスク102としては、最適な記録及び/又は再生光パワ−が異なる記録媒体、または同一の少なくとも2以上の記録層を有する多層光ディスクを使用することができる。この場合、多層光ディスクの設計のしかたにより、各記録層についての最適な記録及び/又は再生光パワーに違いが生じる。
【0032】
なお、これら光ディスクの記録及び/又は再生光の波長としては、例えば、405nm、或いは400nm程度乃至780nm程度の何れかが考えられる。
【0033】
光ヘッド104は、光ディスク102の記録層に対して光束を照射し、この光束の記録層による反射光を検出する。また、光ヘッド104は、光ディスク102の記録層からの反射光に基づいて、後述する各種光束を検出し、各光束に対応する信号をプリアンプ部102に供給する。この光ヘッド104の光学系は、図2を用いて詳説する。
【0034】
プリアンプ部102の出力は、信号変換復調部及びECCプロック108に送られる。この信号変復調部及びECCブロック108は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ヘッド104は、信号変復調部及びECCブロック108の指令にしたがって回転する光ディスク102の記録層に対して光照射を行い、光ディスク102に対する信号の記録又は再生を行う。
【0035】
プリアンプ部120は、各光束に対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録又は再生の対象媒体とされる光記録媒体の種類に応じて、サーボ制御回路109、信号変復調部及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
【0036】
復調された記録信号は、光ディスク102が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェイス111を介して外部コンピュータ130等に送出される。外部コンピュータ130等は、光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができる。
【0037】
また、光ディスク102が、いわゆる「オーディオビジュアル」用ディスクであれば、D/A,A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオビジュアル処理部113に供給される。オーディオビジュアル処理部113に供給された信号は、オーディオビジュアル処理部113にてオーディオビデオ信号処理され、オーディオビジュアル信号入出力部114を介して外部の撮像映写機器に伝送される。
【0038】
光ヘッド104は、送りモータ105により光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動操作される。スピンドルモータ103の制御、送りモータ105の制御、及び光ヘッド104において光集光手段となる対物レンズを保持する2軸アクチュエータのフォーカシング方向の駆動とトラッキング方向の駆動制御は、それぞれサーボ制御回路109により行われる。
【0039】
サーボ制御回路109は、光ヘッド104内に配設された光結合効率可変素子を動作させ、光ヘッド104における光結合効率、すなわち半導体レーザ素子等のレーザ光源から出射する光束の総光量と光ディスク102上に集光する光量との比率が、記録モード時、再生モード時、或いは光ディスク102の種類に応じて変更されるように制御している。
【0040】
レーザ制御部121は、光ヘッド104のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ光源の出力パワーを記録モード時と再生モード時とで、あまた光ディスク102の種類に応じて異ならせる制御を行っている。
【0041】
また、レーザ制御部121では、光ディスク102が記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種類以上の光ディスクから選択的に使用されたものである場合(記録方式の異なるもの、分割された記録領域の何れかであるか、積層された記録層のうちいずれであるか、光束に対する相対線速度が異なるものなどの何れも含む)、ディスク種類判別センサ115が光ディスク102の種類を判別する。光ディスク102としては、上述したように光変調記録を用いた種々の方式の光ディスク、または各種光磁気記録媒体が挙げられ、このなかには、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーが異なる記録媒体も含まれている。ディスク種類判別センサ115は、光ディスク102の表面反射率や、その他の形状的及び外形的な違いなどを検出できる。
【0042】
システムコントローラ107は、ディスク種類判別センサ115より送られる検出結果に基づいて光ディスク102の種類を判別する。光記録媒体の種類を判別する手法としては、光記録媒体がカートリッジに収納されるタイプであれば、このカートリッジに検出穴を設けておく手法が挙げられる。
【0043】
また、他の例としては、光記録媒体最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録された目録情報(Table Of Contents;TOC)による情報に基づいて、「ディスク種別」若しくは「推奨記録パワー及び推奨再生パワー」を検出し、この光記録媒体の記録及び再生に適した記録及び再生光パワーを設定する手法が挙げられる。
【0044】
光結合効率制御手段となるサーボ制御回路109は、システムコントローラ107に制御されて、ディスク種類判別センサ115の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0045】
光ディスク102が最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録層が分割された光ディスクである場合、記録領域識別手段により記録及び/又は再生をしようとする記録領域を検出する。
【0046】
複数の記録領域が光ディスク102の中心からの距離に応じて同心円上に分割されている場合には、記録領域識別手段としてサーボ制御回路109を用いることができる。サーボ制御回路109は、例えば光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出する(ディスク103に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生を使用とする記録領域を判別できる。そして、サーボ制御回路109は、記録及び/再生を使用とする記録領域の判別結果に応じて光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0047】
また、光ディスク102が最適な記録及び/再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録層を有する多層光ディスクである場合、記録層識別手段により、記録及び/又は再生を使用とする記録層を判別する。記録層識別手段としては、サーボ制御回路109を用いることができる。サーボ制御回路109は、例えば光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出することによって、記録及び/又は再生をしようとする記録層を検出できる。サーボ制御回路109は、記録及び/又は再生を使用とする記録層の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0048】
なお、これら光ディスクの種類、記録領域、記録層についての情報は、各光ディスクに記録された、いわゆるTOCなどの目録情報を読み取ることによっても判別できる。
【0049】
続いて、図2に、本発明の具体例として示す光ディスク記録再生装置の光ヘッド104の光学系10を示す。
【0050】
この光学系10は、往路光学系として、光源となるレーザ光を発射する半導体レーザ素子11と、入射光を平行光束にするコリメータレンズ12と、偏光ビームスプリッタ14と、1/4波長板15と、対物レンズ16とを有し、光源から出射したレーザ光を光ディスク102の盤面に照射する。また、復路光学系として、0次回折光及び±1次回折光を発生させる回折光学素子13と、集束レンズ17と、シリンドリカルレンズ18と、光検出器20とを有し、光ディスク102の盤面にて反射した反射レーザ光を光検出器20にて検出する。
【0051】
本具体例にて使用する対物レンズ16の開口数は、0.85となっている。また、本具体例では、回折光学素子13としてホログラム光学素子を用いる。このホログラム光学素子は、光ディスク盤面上にて反射され偏光ビームスプリッタ14にて反射されたレーザ光を主光束(0次光)と副光束(±1次光)とに分岐させる。
【0052】
主光束は、後述する光検出器20の受光面の一の光検出素子上にスポットを形成する光束であり、一対の副光束は、互いに逆方向の極性を有する一定の収差を有し、受光面の一の光検出素子上に形成される主スポットに対して離間した位置にある他の光検出素子上にスポットを形成する光束である。一対の副光束が有する収差は、光ディスク102の盤面に形成された光ディスク表面保護層によって生じる球面収差になっており、互いに逆方向の極性を有し収差量が等しい。
【0053】
半導体レーザ素子11は、図示しない駆動回路により駆動されレーザ光を発射する。半導体レーザ素子11から発射されたレーザ光は、コリメータレンズ12によって平行光束となり、偏光ビームスプリッタ14を透過した後、1/4波長板15によって円偏光に変換され、対物レンズ16に到達する。対物レンズ16は、レーザ光束を光ディスク102の記録面に収束させる。
【0054】
光ディスク102の記録面で反射した光束は、対物レンズ16にて平行光束にされた後、再び1/4波長板15を透過する。この結果、反射レーザ光は、光源より射出されたときと90度偏光方向の異なる直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ14に入射する。偏光ビームスプリッタ14で反射したレーザ光束は、回折光学素子13に到達する。
【0055】
回折光学素子13は、反射レーザ光の0次回折光及び±1次回折光を発生させる。回折光学素子13で発生した0次回折光及び±1次回折光の3回折光は、集束レンズ17及びシリンドリカルレンズ18を透過後、光検出器20の受光面に到達する。
【0056】
次に、図3を用いて光検出器20の構成を説明する。光検出器20は、図3に示すように、光ディスクの半径方向に対応する分割線とトラックの接線方向に対応する分割線によって分割された4領域を有する3つの光検出素子21、12、13を備えている。
【0057】
光検出素子21へは、回折光学素子13を透過した0次回折光が入射し、光検出素子22へは回折光学素子13で回折した+1次回折光が入射し、光検出素子23へは回折光学素子13で回折した−1次回折光がそれぞれ入射する。
【0058】
光検出素子21の分割された各領域21a〜21dには差動増幅器24が、光検出素子22の分割された各領域22a〜22dには差動増幅器25が、光検出素子23の分割された各領域23a〜23dには差動増幅器26が接続されている。各々の領域では、非点収差法に基づき焦点誤差信号FE1〜FE3を生成する。ここで、差動増幅器24は第1の焦点誤差信号FE1を生成し、差動増幅器25は第2の焦点誤差信号FE2を生成し、差動増幅器26は第3の焦点誤差信号FE3を生成している。
【0059】
具体的に、差動増幅器24は、光検出素子21の領域21a〜21dの各出力レベルに応じて第1のエラー信号FE1を生成する。領域21a〜21dの各出力レベルを21aOUT、21bOUT、21cOUT、21dOUTとすると、第1のエラー信号FE1は、次式(1)のように表すことができる。
【0060】
FE1=(21aOUT+21cOUT)−(21bOUT+21dOUT)・・・(1)
【0061】
このFE1は、フォーカスエラー信号FEとして光ディスク記録再生装置100のフォーカスサーボ系に供給される。
【0062】
同じく、差動増幅器25は、光検出素子22の領域22a〜22dの各出力レベルに応じて第2のエラー信号FE2を生成する。領域22a〜22dの各出力レベルを22aOUT、22bOUT、22cOUT、22dOUTとすると、第2のエラー信号FE2は、次式(2)のように表すことができる。
【0063】
FE2=(22aOUT+22cOUT)−(22bOUT+22dOUT)・・・(2)
【0064】
差動増幅器26も同様に、光検出素子23の領域23a〜23dの各出力レベルに応じて第3のエラー信号FE3が生成される。23a〜23dの各出力レベルを23aOUT、23bOUT、23cOUT、23dOUTとすると、第3のエラー信号FE3は、次式(3)のように表すことができる。
【0065】
FE3=(23aOUT+23cOUT)−(23bOUT+23dOUT)・・・(3)
【0066】
したがって、式(2),(3)に示した2つのエラー信号FE2とFE3との和信号(FE2+FE3)を求めることにより、光ディスク盤面の表面保護層の厚みによる球面収差を差し引いて、さらに読取場所による表面保護層の厚み誤差を検出することができる。
【0067】
図4に光ディスクの断面を示す。ただし、図4では、レーザ光の照射面を紙面上側としている。光ディスク102は、表面保護層102a,102bによりディスク基板103が覆われてなる。本具体例として示す光学系10を用いて書込(読取)レーザ光を照射した場合、例えば、光ディスク102上での照射レーザ光の球面収差が小さく、光ディスク盤面上にて略合焦状態にあるときには、回折光学素子13によって与えられた収差の影響のみを受けるため、反射レーザ光は、光検出素子22,23上に互いにほぼ同等な形状の±1次回折光のスポットを生じる。
【0068】
一方、予め考慮された表面保護層による球面収差が光ディスク盤面上の微細凹凸変化によって変動した場合、すなわち図4に示すように光ディスク102の表面保護層の厚み誤差Δtによってプラスの収差が生じた場合、光検出素子22,23に形成されるスポットは、回折光学素子13によって与えられた極性の異なる同等の形状の球面収差に加え、光ディスク盤面上にて生じた光ディスクの表面保護層の厚み誤差Δtによる収差を含むことになる。このため、±1次回折光の光検出素子上のスポットは、互いに異なった形状になる。具体的には、光検出素子22側のスポットは大きくなり、光検出素子23側のスポットは小さくなる。
【0069】
したがって、2つのエラー信号、FE2とFE3との和信号(FE2+FE3)を算出すると、光ディスク盤面の表面保護層の厚み誤差を含む球面収差を検出できる。図4に示した厚み誤差がある場合では、この和信号FE2+FE3は、ゼロでなくなり、光ディスク盤面の表面保護層102aの厚み誤差による収差が検出できる。
【0070】
この方法では、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出しているため、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する手法に比べて、周囲の電気的なノイズに影響されず精度よく球面収差を検出できるという利点もある。
【0071】
さらに本具体例に示す光学系では、ホログラム光学素子で発生した±1次回折光の各々の焦点ずれ信号を検出すればよいため、例えば非点収差法によって焦点ずれを検出する場合は、4分割したタイプの光検出器20を用いればよく、従来のように光検出器を8分割する必要はない。そのため、光検出器を8分割した結果、各領域に入射する光スポットの面積が非常に小さくなり光検出器の位置ずれが生じた場合に信号にオフセットが生じやすいという問題も回避でき、精度よく球面収差を検出することができる。
【0072】
このように本具体例によれば、光ディスク盤面の表面保護層の特性が変化したことで反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出し、この検出信号に基づいてこれを適切に補償することで光ディスクに対して正確に情報を記録再生することができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した具体例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、レーザビームの照射位置における透明板の厚さに基づいて球面収差量に対応する球面収差信号を得る球面収差検出手段は、本具体例の構成に限定されない。本具体例では、各エラー信号の生成方法は非点収差法を用いているが、この方法に限定する必要はなく、例えば、スポット径を測定するスポットサイズ法、ナイフエッジ法を適用してエラー信号を生成してもよい。
【0074】
また、本具体例では、光ディスク102からの反射光が回折光学素子13を通過する構成としたが、この構成に代えて、コリメータレンズ12と偏光ビームスプリッタ14の間に回折光学素子13を設けることもできる。
【0075】
さらにまた、コリメータレンズ12と偏光ビームスプリッタ14の間に回折光学素子13を設ける構成とした場合は、回折光学素子13により生成される0次回折光から得られる信号に加えて±1次回折光から得られる信号も用いてトラッキングエラー信号を生成してもよい。また、回折光学素子13で発生させる球面収差は、2次元の収差だけでなく1次元の球面収差であってもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る光ヘッドによれば、回折光学手段によって、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを光記録媒体盤面における球面収差となるように回折し、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光の各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成することにより、光記録媒体盤面の保護層の特性が変化したことにより反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出できる。また、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する装置に比べて周囲の電気的なノイズに影響されず、精度よく球面収差を検出できる。
【0077】
また、本発明に係る収差検出方法によれば、回折工程によって、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを光記録媒体盤面における球面収差となるように回折し、回折工程にて得られた0次回折光と±1次回折光の各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成することにより、光記録媒体盤面の保護層の特性が変化したことにより反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出できる。また、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する装置に比べて周囲の電気的なノイズに影響されず、精度よく球面収差を検出できる。
【0078】
さらに、本発明に係る光記録媒体記録再生装置によれば、回折光学手段によって、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを光記録媒体盤面における球面収差となるように回折し、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光の各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成することにより、光記録媒体盤面の保護層の特性が変化したことにより反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出できる。また、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する装置に比べて周囲の電気的なノイズに影響されず、精度よく球面収差を検出できる。この検出信号に基づいてこれを適切に補償することで、光記録媒体に対して正確に情報を記録再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体例として示す光ディスク記録再生装置を説明する構成図である。
【図2】上記光ディスク記録再生装置の光ヘッドの光学系を説明する構成図である。
【図3】上記光学系の光検出器を説明する構成図である。
【図4】光ディスクの表面保護層の厚み誤差を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 収差検出装置、10 光ヘッド光学系、11 半導体レーザ素子、12 コリメータレンズ、13 回折光学素子、14 偏光ビームスプリッタ、15 1/4波長板、16 対物レンズ、17 集束レンズ、18 シリンドリカルレンズ、20 光検出器、21,22,23 光検出素子24,25,26 差動増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等の光学情報記録媒体に情報を記録する、及び/又は光学情報記録媒体に記録された情報を再生する光学情報記録再生装置に適用される光ヘッド及び光ヘッドにおける収差検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクの記録密度は、記録再生する光スポットの大きさλ/NA(λ:光波長、NA:対物レンズ開口数)によりほぼ制限される。したがって、記録媒体の大容量化のためには記録再生光の波長を短くするか、開口数を大きくすることが必要である。
【0003】
記録再生光の波長を短くする方法として、近年、波長405nmの青紫色半導体レーザの開発が進んでいる。また、対物レンズの開口数(NA)を大きくする技術として、2群2枚の対物レンズを用いて、NAを最大0.85まで高める手法がある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、NAが大きくなることにともない光学系のずれや、ディスク基板の厚さと傾きによる誤差などで発生する収差が増大する問題がある。
【0004】
これに対して、上記従来例では、ディスク傾きにより発生するコマ収差に関しては基板の厚さを0.1mmまで薄くすることで低減し、基板厚さ誤差により発生する球面収差は、光ディスク表面と記録面との焦点ずれ信号の差から基板厚さを検出し、この検出信号に基づいて2枚のレンズの間隔を変える等して補償している。
【0005】
また、光検出器にて検出される光スポットの中央部付近と外縁部付近とを分離して、非点収差方式による焦点ずれ信号の差によって球面収差を補償するための制御信号を検出し、これらの和信号を焦点ずれ信号とする技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−195299号公報
【特許文献2】
特開2000−57616号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1を例とする手法では、表面と記録膜面からの焦点ずれ信号から基板厚さを検出することで球面収差を検出しているが、この場合、球面収差を直接検出していないため、基板の屈折率ずれや、光検出器のずれ等の影響で検出された球面収差に誤差が生じやすく、球面収差を補償するための信号制御が困難な場合があるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2を例とする手法では、光検出器を複数分割(8分割)して光スポットを検出しているが、この場合、光検出器の各領域に入射する光スポットの面積が非常に小さくなるために、光検出器の位置ずれが生じた際に球面収差を補償するための信号にオフセットが生じやすいという問題があった。
【0009】
また、上述のように光記録媒体に書き込む情報信号の高密度化を実現するために、高NA化、記録膜の多層化等を行った場合、例えば、20μm〜30μmという層間距離分に相当する距離だけディスク基板の表面から記録層に至るまでのディスク基板の厚みが変化することになる。ディスク基板の厚みに変化が生ずると、球面収差の発生量が変化し、高密度化された光ディスクでは、情報信号の書込及び読出ができない場合もある。
【0010】
一般に、基板厚、対物レンズの開口数(NA)、波長及び球面収差の間には、以下の関係式が成り立つことが知られている。
【0011】
球面収差∝ΔD×{(n2−1)/n3}×(NA)4/λ
【0012】
ただし、上式において、Dは基板厚、ΔDは基板厚の差、nは基板の屈折率である。
【0013】
上式によれば、球面収差の発生量は、対物レンズの開口数の4乗に比例し、開口数を大きくするに連れて球面収差の発生量も大きくなる。そのため、情報信号の高密度化を図ろうとするほどディスク盤面の基板厚みの僅かな変動の検出・補償が必須となる。
【0014】
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、光学系のずれ、特にディスク基板厚さの微細変動にともなう球面収差誤差を精度よく検出する収差検出方法、及びこの方法によって収差検出を行う光ヘッド、並びに検出した収差を補正してオフセットの少ない焦点ずれ信号を検出し光記録媒体の記録再生を安定して行う光記録媒体記録再生装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光ヘッドは、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出する光源と、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となる回折光になる回折光学手段と、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光とを検出する複数の光検出手段と、複数の光検出手段にて検出された各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出手段とを備えることにより、この光ヘッドは、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出する。
【0016】
ここで、この光ヘッドは、光源からの光ビームを光記録媒体上に集光する対物レンズと、光記録媒体上で反射され再度対物レンズを通過した復路の光ビームを往路の光ビームと分離する光ビーム分岐手段とを備え、回折光学手段は、光ビーム分岐手段の後段に設けられ、複数の光検出手段にて復路の光ビームを回折して生じる0次回折光と±1次回折光とを検出し、誤差検出手段は、複数の光検出手段からの焦点誤差信号を比較して球面収差に含まれる光記録媒体盤面の厚み誤差を検出する。
【0017】
また、誤差検出手段は、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出する。
【0018】
複数の光検出手段は、光源の近傍に光源に対して対称に配置され、回折光学手段は、ホログラム光学素子であることが好ましい。
【0019】
上述した目的を達成するために、本発明に係る収差検出方法は、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対し光ビームを射出する工程と、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となる回折光を生成する回折工程と、回折工程にて得られた0次回折光と±1次回折光とを複数の光検出手段にて検出する光検出工程と、光検出工程にて検出された各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出工程とを有することにより、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出する。
【0020】
ここで、誤差検出工程では、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折工程にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段上の焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段上の焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出する。
【0021】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る光記録媒体記録再生装置は、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出する光源と、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となる回折光になる回折光学手段と、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光とを検出する複数の光検出手段と、複数の光検出手段にて検出された各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出手段と、誤差検出手段によって検出された光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する制御手段とを備えることにより、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出する。
【0022】
ここで、この光記録媒体記録再生装置は、光源からの光ビームを上記光記録媒体上に集光する対物レンズと、光記録媒体上で反射され再度対物レンズを通過した復路の光ビームを往路の光ビームと分離する光ビーム分岐手段とを備え、回折光学手段は、光ビーム分岐手段の後段に設けられ、複数の光検出手段にて復路の光ビームを回折して生じる0次回折光と±1次回折光とを検出し、誤差検出手段は、複数の光検出手段からの焦点誤差信号を比較して球面収差に含まれる光記録媒体盤面の厚み誤差を検出し、制御手段は、誤差検出手段によって検出された光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する。
【0023】
誤差検出手段は、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出し、制御手段は、誤差検出手段によって検出された光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する。
【0024】
また、複数の光検出手段は、光源の近傍に光源に対して対称に配置され、回折光学手段は、ホログラム光学素子であることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出し、光記録媒体にて反射された反射ビームを、回折して生じる±1次回折光が光記録媒体盤面における球面収差となるように回折光学手段によって回折し、得られた0次回折光と±1次回折光の回折光強度から光ディスク盤面の厚み誤差を含む球面収差を検出できるようにしたものである。また、この収差検出装置を光ディスク記録再生装置に適用した。
【0026】
ここで、光ヘッドでは、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームが回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出している。
【0027】
以下、本発明に係る光ヘッド及び光ディスク記録再生装置の具体例について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に述べる具体例は、本発明の好適な具体例であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、以下の説明では、本発明に限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0028】
まず、本発明に係る光ヘッドを適用した光ディスク記録再生装置101を図1に示す。光ディスク記録再生装置101は、光記録媒体である光ディスク102を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、本発明に係る光ヘッド104と、その駆動手段としての送りモータ105を備えている。ここで、スピンドルモータ103は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ107及びサーボ制御回路109により駆動制御され、所定の回転数で駆動される。
【0029】
光ディスク102は、光変調記録を用いた種々の方式の記録再生ディスク、いわゆる「光磁気記録」、「相変化記録」及び「色素記録」等を含む光ディスク、具体的には「CD−R/RW」、「DVD−RAM」、「DVD−R/RW」、「DVD+RW」等、または、各種光磁気記録媒体である。また、この光ディスク102として、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録層が分割された光ディスク、複数の記録層が透明基板を介して積層された光ディスクであっても使用できる。
【0030】
記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの差異は、光ディスクにおける記録方式そのものが異なることに起因するもののほか、光ディスクの回転速度(光ヘッド1に対する線速度)の違いによって生じるもの(いわゆる標準速度ディスクに対するn倍速ディスク)であってもよい。
【0031】
また、この光ディスク102としては、最適な記録及び/又は再生光パワ−が異なる記録媒体、または同一の少なくとも2以上の記録層を有する多層光ディスクを使用することができる。この場合、多層光ディスクの設計のしかたにより、各記録層についての最適な記録及び/又は再生光パワーに違いが生じる。
【0032】
なお、これら光ディスクの記録及び/又は再生光の波長としては、例えば、405nm、或いは400nm程度乃至780nm程度の何れかが考えられる。
【0033】
光ヘッド104は、光ディスク102の記録層に対して光束を照射し、この光束の記録層による反射光を検出する。また、光ヘッド104は、光ディスク102の記録層からの反射光に基づいて、後述する各種光束を検出し、各光束に対応する信号をプリアンプ部102に供給する。この光ヘッド104の光学系は、図2を用いて詳説する。
【0034】
プリアンプ部102の出力は、信号変換復調部及びECCプロック108に送られる。この信号変復調部及びECCブロック108は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ヘッド104は、信号変復調部及びECCブロック108の指令にしたがって回転する光ディスク102の記録層に対して光照射を行い、光ディスク102に対する信号の記録又は再生を行う。
【0035】
プリアンプ部120は、各光束に対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録又は再生の対象媒体とされる光記録媒体の種類に応じて、サーボ制御回路109、信号変復調部及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
【0036】
復調された記録信号は、光ディスク102が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェイス111を介して外部コンピュータ130等に送出される。外部コンピュータ130等は、光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができる。
【0037】
また、光ディスク102が、いわゆる「オーディオビジュアル」用ディスクであれば、D/A,A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオビジュアル処理部113に供給される。オーディオビジュアル処理部113に供給された信号は、オーディオビジュアル処理部113にてオーディオビデオ信号処理され、オーディオビジュアル信号入出力部114を介して外部の撮像映写機器に伝送される。
【0038】
光ヘッド104は、送りモータ105により光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動操作される。スピンドルモータ103の制御、送りモータ105の制御、及び光ヘッド104において光集光手段となる対物レンズを保持する2軸アクチュエータのフォーカシング方向の駆動とトラッキング方向の駆動制御は、それぞれサーボ制御回路109により行われる。
【0039】
サーボ制御回路109は、光ヘッド104内に配設された光結合効率可変素子を動作させ、光ヘッド104における光結合効率、すなわち半導体レーザ素子等のレーザ光源から出射する光束の総光量と光ディスク102上に集光する光量との比率が、記録モード時、再生モード時、或いは光ディスク102の種類に応じて変更されるように制御している。
【0040】
レーザ制御部121は、光ヘッド104のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ光源の出力パワーを記録モード時と再生モード時とで、あまた光ディスク102の種類に応じて異ならせる制御を行っている。
【0041】
また、レーザ制御部121では、光ディスク102が記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種類以上の光ディスクから選択的に使用されたものである場合(記録方式の異なるもの、分割された記録領域の何れかであるか、積層された記録層のうちいずれであるか、光束に対する相対線速度が異なるものなどの何れも含む)、ディスク種類判別センサ115が光ディスク102の種類を判別する。光ディスク102としては、上述したように光変調記録を用いた種々の方式の光ディスク、または各種光磁気記録媒体が挙げられ、このなかには、記録層上における最適な記録及び/又は再生光パワーが異なる記録媒体も含まれている。ディスク種類判別センサ115は、光ディスク102の表面反射率や、その他の形状的及び外形的な違いなどを検出できる。
【0042】
システムコントローラ107は、ディスク種類判別センサ115より送られる検出結果に基づいて光ディスク102の種類を判別する。光記録媒体の種類を判別する手法としては、光記録媒体がカートリッジに収納されるタイプであれば、このカートリッジに検出穴を設けておく手法が挙げられる。
【0043】
また、他の例としては、光記録媒体最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録された目録情報(Table Of Contents;TOC)による情報に基づいて、「ディスク種別」若しくは「推奨記録パワー及び推奨再生パワー」を検出し、この光記録媒体の記録及び再生に適した記録及び再生光パワーを設定する手法が挙げられる。
【0044】
光結合効率制御手段となるサーボ制御回路109は、システムコントローラ107に制御されて、ディスク種類判別センサ115の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0045】
光ディスク102が最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録層が分割された光ディスクである場合、記録領域識別手段により記録及び/又は再生をしようとする記録領域を検出する。
【0046】
複数の記録領域が光ディスク102の中心からの距離に応じて同心円上に分割されている場合には、記録領域識別手段としてサーボ制御回路109を用いることができる。サーボ制御回路109は、例えば光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出する(ディスク103に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生を使用とする記録領域を判別できる。そして、サーボ制御回路109は、記録及び/再生を使用とする記録領域の判別結果に応じて光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0047】
また、光ディスク102が最適な記録及び/再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録層を有する多層光ディスクである場合、記録層識別手段により、記録及び/又は再生を使用とする記録層を判別する。記録層識別手段としては、サーボ制御回路109を用いることができる。サーボ制御回路109は、例えば光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出することによって、記録及び/又は再生をしようとする記録層を検出できる。サーボ制御回路109は、記録及び/又は再生を使用とする記録層の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
【0048】
なお、これら光ディスクの種類、記録領域、記録層についての情報は、各光ディスクに記録された、いわゆるTOCなどの目録情報を読み取ることによっても判別できる。
【0049】
続いて、図2に、本発明の具体例として示す光ディスク記録再生装置の光ヘッド104の光学系10を示す。
【0050】
この光学系10は、往路光学系として、光源となるレーザ光を発射する半導体レーザ素子11と、入射光を平行光束にするコリメータレンズ12と、偏光ビームスプリッタ14と、1/4波長板15と、対物レンズ16とを有し、光源から出射したレーザ光を光ディスク102の盤面に照射する。また、復路光学系として、0次回折光及び±1次回折光を発生させる回折光学素子13と、集束レンズ17と、シリンドリカルレンズ18と、光検出器20とを有し、光ディスク102の盤面にて反射した反射レーザ光を光検出器20にて検出する。
【0051】
本具体例にて使用する対物レンズ16の開口数は、0.85となっている。また、本具体例では、回折光学素子13としてホログラム光学素子を用いる。このホログラム光学素子は、光ディスク盤面上にて反射され偏光ビームスプリッタ14にて反射されたレーザ光を主光束(0次光)と副光束(±1次光)とに分岐させる。
【0052】
主光束は、後述する光検出器20の受光面の一の光検出素子上にスポットを形成する光束であり、一対の副光束は、互いに逆方向の極性を有する一定の収差を有し、受光面の一の光検出素子上に形成される主スポットに対して離間した位置にある他の光検出素子上にスポットを形成する光束である。一対の副光束が有する収差は、光ディスク102の盤面に形成された光ディスク表面保護層によって生じる球面収差になっており、互いに逆方向の極性を有し収差量が等しい。
【0053】
半導体レーザ素子11は、図示しない駆動回路により駆動されレーザ光を発射する。半導体レーザ素子11から発射されたレーザ光は、コリメータレンズ12によって平行光束となり、偏光ビームスプリッタ14を透過した後、1/4波長板15によって円偏光に変換され、対物レンズ16に到達する。対物レンズ16は、レーザ光束を光ディスク102の記録面に収束させる。
【0054】
光ディスク102の記録面で反射した光束は、対物レンズ16にて平行光束にされた後、再び1/4波長板15を透過する。この結果、反射レーザ光は、光源より射出されたときと90度偏光方向の異なる直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ14に入射する。偏光ビームスプリッタ14で反射したレーザ光束は、回折光学素子13に到達する。
【0055】
回折光学素子13は、反射レーザ光の0次回折光及び±1次回折光を発生させる。回折光学素子13で発生した0次回折光及び±1次回折光の3回折光は、集束レンズ17及びシリンドリカルレンズ18を透過後、光検出器20の受光面に到達する。
【0056】
次に、図3を用いて光検出器20の構成を説明する。光検出器20は、図3に示すように、光ディスクの半径方向に対応する分割線とトラックの接線方向に対応する分割線によって分割された4領域を有する3つの光検出素子21、12、13を備えている。
【0057】
光検出素子21へは、回折光学素子13を透過した0次回折光が入射し、光検出素子22へは回折光学素子13で回折した+1次回折光が入射し、光検出素子23へは回折光学素子13で回折した−1次回折光がそれぞれ入射する。
【0058】
光検出素子21の分割された各領域21a〜21dには差動増幅器24が、光検出素子22の分割された各領域22a〜22dには差動増幅器25が、光検出素子23の分割された各領域23a〜23dには差動増幅器26が接続されている。各々の領域では、非点収差法に基づき焦点誤差信号FE1〜FE3を生成する。ここで、差動増幅器24は第1の焦点誤差信号FE1を生成し、差動増幅器25は第2の焦点誤差信号FE2を生成し、差動増幅器26は第3の焦点誤差信号FE3を生成している。
【0059】
具体的に、差動増幅器24は、光検出素子21の領域21a〜21dの各出力レベルに応じて第1のエラー信号FE1を生成する。領域21a〜21dの各出力レベルを21aOUT、21bOUT、21cOUT、21dOUTとすると、第1のエラー信号FE1は、次式(1)のように表すことができる。
【0060】
FE1=(21aOUT+21cOUT)−(21bOUT+21dOUT)・・・(1)
【0061】
このFE1は、フォーカスエラー信号FEとして光ディスク記録再生装置100のフォーカスサーボ系に供給される。
【0062】
同じく、差動増幅器25は、光検出素子22の領域22a〜22dの各出力レベルに応じて第2のエラー信号FE2を生成する。領域22a〜22dの各出力レベルを22aOUT、22bOUT、22cOUT、22dOUTとすると、第2のエラー信号FE2は、次式(2)のように表すことができる。
【0063】
FE2=(22aOUT+22cOUT)−(22bOUT+22dOUT)・・・(2)
【0064】
差動増幅器26も同様に、光検出素子23の領域23a〜23dの各出力レベルに応じて第3のエラー信号FE3が生成される。23a〜23dの各出力レベルを23aOUT、23bOUT、23cOUT、23dOUTとすると、第3のエラー信号FE3は、次式(3)のように表すことができる。
【0065】
FE3=(23aOUT+23cOUT)−(23bOUT+23dOUT)・・・(3)
【0066】
したがって、式(2),(3)に示した2つのエラー信号FE2とFE3との和信号(FE2+FE3)を求めることにより、光ディスク盤面の表面保護層の厚みによる球面収差を差し引いて、さらに読取場所による表面保護層の厚み誤差を検出することができる。
【0067】
図4に光ディスクの断面を示す。ただし、図4では、レーザ光の照射面を紙面上側としている。光ディスク102は、表面保護層102a,102bによりディスク基板103が覆われてなる。本具体例として示す光学系10を用いて書込(読取)レーザ光を照射した場合、例えば、光ディスク102上での照射レーザ光の球面収差が小さく、光ディスク盤面上にて略合焦状態にあるときには、回折光学素子13によって与えられた収差の影響のみを受けるため、反射レーザ光は、光検出素子22,23上に互いにほぼ同等な形状の±1次回折光のスポットを生じる。
【0068】
一方、予め考慮された表面保護層による球面収差が光ディスク盤面上の微細凹凸変化によって変動した場合、すなわち図4に示すように光ディスク102の表面保護層の厚み誤差Δtによってプラスの収差が生じた場合、光検出素子22,23に形成されるスポットは、回折光学素子13によって与えられた極性の異なる同等の形状の球面収差に加え、光ディスク盤面上にて生じた光ディスクの表面保護層の厚み誤差Δtによる収差を含むことになる。このため、±1次回折光の光検出素子上のスポットは、互いに異なった形状になる。具体的には、光検出素子22側のスポットは大きくなり、光検出素子23側のスポットは小さくなる。
【0069】
したがって、2つのエラー信号、FE2とFE3との和信号(FE2+FE3)を算出すると、光ディスク盤面の表面保護層の厚み誤差を含む球面収差を検出できる。図4に示した厚み誤差がある場合では、この和信号FE2+FE3は、ゼロでなくなり、光ディスク盤面の表面保護層102aの厚み誤差による収差が検出できる。
【0070】
この方法では、集光光学系に発生する球面収差を幾何光学的に検出しているため、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する手法に比べて、周囲の電気的なノイズに影響されず精度よく球面収差を検出できるという利点もある。
【0071】
さらに本具体例に示す光学系では、ホログラム光学素子で発生した±1次回折光の各々の焦点ずれ信号を検出すればよいため、例えば非点収差法によって焦点ずれを検出する場合は、4分割したタイプの光検出器20を用いればよく、従来のように光検出器を8分割する必要はない。そのため、光検出器を8分割した結果、各領域に入射する光スポットの面積が非常に小さくなり光検出器の位置ずれが生じた場合に信号にオフセットが生じやすいという問題も回避でき、精度よく球面収差を検出することができる。
【0072】
このように本具体例によれば、光ディスク盤面の表面保護層の特性が変化したことで反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出し、この検出信号に基づいてこれを適切に補償することで光ディスクに対して正確に情報を記録再生することができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した具体例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、レーザビームの照射位置における透明板の厚さに基づいて球面収差量に対応する球面収差信号を得る球面収差検出手段は、本具体例の構成に限定されない。本具体例では、各エラー信号の生成方法は非点収差法を用いているが、この方法に限定する必要はなく、例えば、スポット径を測定するスポットサイズ法、ナイフエッジ法を適用してエラー信号を生成してもよい。
【0074】
また、本具体例では、光ディスク102からの反射光が回折光学素子13を通過する構成としたが、この構成に代えて、コリメータレンズ12と偏光ビームスプリッタ14の間に回折光学素子13を設けることもできる。
【0075】
さらにまた、コリメータレンズ12と偏光ビームスプリッタ14の間に回折光学素子13を設ける構成とした場合は、回折光学素子13により生成される0次回折光から得られる信号に加えて±1次回折光から得られる信号も用いてトラッキングエラー信号を生成してもよい。また、回折光学素子13で発生させる球面収差は、2次元の収差だけでなく1次元の球面収差であってもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る光ヘッドによれば、回折光学手段によって、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを光記録媒体盤面における球面収差となるように回折し、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光の各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成することにより、光記録媒体盤面の保護層の特性が変化したことにより反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出できる。また、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する装置に比べて周囲の電気的なノイズに影響されず、精度よく球面収差を検出できる。
【0077】
また、本発明に係る収差検出方法によれば、回折工程によって、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを光記録媒体盤面における球面収差となるように回折し、回折工程にて得られた0次回折光と±1次回折光の各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成することにより、光記録媒体盤面の保護層の特性が変化したことにより反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出できる。また、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する装置に比べて周囲の電気的なノイズに影響されず、精度よく球面収差を検出できる。
【0078】
さらに、本発明に係る光記録媒体記録再生装置によれば、回折光学手段によって、光源が射出した光ビーム又は光源によって射出された後光記録媒体にて反射された反射ビームを光記録媒体盤面における球面収差となるように回折し、回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光の各回折光強度から光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成することにより、光記録媒体盤面の保護層の特性が変化したことにより反射光に発生する球面収差が変化しても、この球面収差の変化量及び極性を正確且つ即時に検出できる。また、従来のように集光光学系に発生する球面収差を電気的に検出する装置に比べて周囲の電気的なノイズに影響されず、精度よく球面収差を検出できる。この検出信号に基づいてこれを適切に補償することで、光記録媒体に対して正確に情報を記録再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体例として示す光ディスク記録再生装置を説明する構成図である。
【図2】上記光ディスク記録再生装置の光ヘッドの光学系を説明する構成図である。
【図3】上記光学系の光検出器を説明する構成図である。
【図4】光ディスクの表面保護層の厚み誤差を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 収差検出装置、10 光ヘッド光学系、11 半導体レーザ素子、12 コリメータレンズ、13 回折光学素子、14 偏光ビームスプリッタ、15 1/4波長板、16 対物レンズ、17 集束レンズ、18 シリンドリカルレンズ、20 光検出器、21,22,23 光検出素子24,25,26 差動増幅器
Claims (12)
- 少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出する光源と、
上記光源が射出した光ビーム又は上記光源によって射出された後上記光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が上記光記録媒体盤面における球面収差となる回折光になる回折光学手段と、
上記回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光とを検出する複数の光検出手段と、
上記複数の光検出手段にて検出された各回折光強度から上記光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出手段と
を備える光ヘッド。 - 上記光源からの光ビームを上記光記録媒体上に集光する対物レンズと、
上記光記録媒体上で反射され再度上記対物レンズを通過した復路の光ビームを往路の光ビームと分離する光ビーム分岐手段とを備え、
上記回折光学手段は、上記光ビーム分岐手段の後段に設けられ、上記複数の光検出手段にて上記復路の光ビームを回折して生じる0次回折光と±1次回折光とを検出し、
上記誤差検出手段は、上記複数の光検出手段からの焦点誤差信号を比較して上記球面収差に含まれる上記光記録媒体盤面の厚み誤差を検出することを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。 - 上記誤差検出手段は、上記光源が射出した光ビーム又は上記光源によって射出された後上記光記録媒体にて反射された反射ビームが上記回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の上記光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の上記光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、上記光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出することを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
- 上記複数の光検出手段は、上記光源の近傍に上記光源に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
- 上記回折光学手段は、ホログラム光学素子であることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
- 少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対し光ビームを射出する工程と、
上記光源が射出した光ビーム又は上記光源によって射出された後上記光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が上記光記録媒体盤面における球面収差となる回折光を生成する回折工程と、
上記回折工程にて得られた0次回折光と±1次回折光とを複数の光検出手段にて検出する光検出工程と、
上記光検出工程にて検出された各回折光強度から上記光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出工程と
を有する収差検出方法。 - 上記誤差検出工程では、上記光源が射出した光ビーム又は上記光源によって射出された後上記光記録媒体にて反射された反射ビームが上記回折工程にて回折されて生じる+1次回折光の上記光検出工程にて検出される光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の上記光検出工程にて検出される光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、上記光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出することを特徴とする請求項6記載の収差検出方法。
- 少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に対して光ビームを射出する光源と、
上記光源が射出した光ビーム又は上記光源によって射出された後上記光記録媒体にて反射された反射ビームを回折して生じる±1次回折光が上記光記録媒体盤面における球面収差となる回折光になる回折光学手段と、
上記回折光学手段にて得られた0次回折光と±1次回折光とを検出する複数の光検出手段と、
上記複数の光検出手段にて検出された各回折光強度から上記光記録媒体の盤面の厚み誤差を生成する誤差検出手段と、
上記誤差検出手段によって検出された上記光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御する制御手段と
を備える光記録媒体記録再生装置。 - 上記光源からの光ビームを上記光記録媒体上に集光する対物レンズと、
上記光記録媒体上で反射され再度上記対物レンズを通過した復路の光ビームを往路の光ビームと分離する光ビーム分岐手段とを備え、
上記回折光学手段は、上記光ビーム分岐手段の後段に設けられ、上記複数の光検出手段にて上記復路の光ビームを回折して生じる0次回折光と±1次回折光とを検出し、
上記誤差検出手段は、上記複数の光検出手段からの焦点誤差信号を比較して上記球面収差に含まれる上記光記録媒体盤面の厚み誤差を検出し、
上記制御手段は、上記誤差検出手段によって検出された上記光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御することを特徴とする請求項8記載の光記録媒体記録再生装置。 - 上記誤差検出手段は、上記光源が射出した光ビーム又は上記光源によって射出された後上記光記録媒体にて反射された反射ビームが上記回折光学手段にて回折されて生じる+1次回折光の上記光検出手段における焦点ずれ信号と、−1次回折光の上記光検出手段における焦点ずれ信号とを比較して、上記光記録媒体上に集光された光ビームの球面収差量を検出し、
上記制御手段は、上記誤差検出手段によって検出された上記光記録媒体の厚み誤差に基づいて記録再生動作を制御することを特徴とする請求項8記載の光記録媒体記録再生装置。 - 上記複数の光検出手段は、上記光源の近傍に上記光源に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項8記載の光記録媒体記録再生装置。
- 上記回折光学手段は、ホログラム光学素子であることを特徴とする請求項8記載の光記録媒体記録再生装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN100426394C (zh) * | 2005-03-18 | 2008-10-15 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 用于光盘记录/再现装置的光学*** |
KR101867316B1 (ko) * | 2016-07-28 | 2018-07-19 | 한국기계연구원 | 초점위치 오차 검출 장치 및 방법 |
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2003
- 2003-04-02 JP JP2003099327A patent/JP2004310811A/ja not_active Abandoned
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