JP2004309586A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オートフォーカス制御の高速化を図ることが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】このデジタルカメラは、撮影光学系のフォーカス用の光学部材を駆動する駆動手段と、合焦評価領域における合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、光学部材のスキャン動作に伴って取得される評価値に基づいて撮影光学系のフォーカス制御を行う制御手段と、合焦評価領域における肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、を備える。制御手段は、複数の合焦評価領域のうち肌色エリアが存在するなどの所定の条件が満たされる場合には、当該所定の条件が満たされない場合に比べて、光学部材のスキャン範囲を制限して、スキャン動作を行う。
【選択図】 図12
【解決手段】このデジタルカメラは、撮影光学系のフォーカス用の光学部材を駆動する駆動手段と、合焦評価領域における合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、光学部材のスキャン動作に伴って取得される評価値に基づいて撮影光学系のフォーカス制御を行う制御手段と、合焦評価領域における肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、を備える。制御手段は、複数の合焦評価領域のうち肌色エリアが存在するなどの所定の条件が満たされる場合には、当該所定の条件が満たされない場合に比べて、光学部材のスキャン範囲を制限して、スキャン動作を行う。
【選択図】 図12
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラなどの撮像装置に関し、詳細にはそのオートフォーカス制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、デジタルカメラにおけるオートフォーカス制御では、被写体を撮影して得られる画像信号より、画像のコントラストを検出し、そのコントラスト値がピークを示すレンズ位置に撮影レンズを駆動することで、画像を合焦状態に導く方法が用いられている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
この方法は、主被写体の画像がぼけた状態であると画像のコントラストは低く、主被写体の画像が合焦状態に近づくにつれて次第にコントラストが上昇し、完全な合焦状態となったところでコントラストが最大になるという原理に基づくものである。そのため、このオートフォーカス制御においては、撮影レンズを所定ピッチで駆動しつつ各レンズ位置においてコントラストの検出を行い、コントラストがピークを示すレンズ位置を撮影レンズの合焦位置として特定し、その合焦位置に撮影レンズ(より厳密にはフォーカシングレンズ)を移動させるような制御形態が採用されている。このような制御形態は、フォーカシングレンズを移動させながら、コントラストなどのAF用の評価値が最適化(多くの場合、最大化)される位置を撮影レンズの合焦位置として特定することから、「コントラスト方式(ないし山登り方式)」と称せられているものである。
【0004】
また、人物を検出してオートフォーカスを行う技術として、特許文献1,2に記載の技術が存在する。特許文献1,2では、画像内の肌色領域を検出することによって人物を検出している。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−121332号公報
【特許文献2】
特開平11−146405号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来のオートフォーカス制御技術においては、たとえばフォーカシングレンズの位置が合焦位置から遠い場合には、そのスキャン範囲が広くなる。そして、その広いスキャン範囲にわたって所定のピッチで合焦状態を確認しながらフォーカシングレンズが駆動されるため、合焦までの時間が長くなってしまうという問題がある。また、このような問題は、人物の撮影時においても生じる。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、オートフォーカス制御の高速化を図ることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、被写体の光像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影光学系のフォーカス制御を行う撮像装置であって、前記画像内に設定された少なくとも1つの合焦評価領域における合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記撮影光学系のフォーカス用の光学部材を駆動する駆動手段と、前記光学部材のスキャン動作に伴って取得される前記評価値に基づいて、前記撮影光学系のフォーカス制御を行う制御手段と、前記少なくとも1つの合焦評価領域における肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記肌色情報に関する所定の条件が満たされる場合には、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記光学部材のスキャン範囲を制限することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る撮像装置において、前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記スキャン範囲を、撮影倍率換算値が1/200以上且つ1/8以下となる範囲の全部又は一部に制限することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る撮像装置において、前記少なくとも1つの合焦評価領域は、複数の合焦評価領域を含み、前記所定の条件は、前記複数の合焦評価領域のうち少なくとも1つの領域が肌色領域であると判定されるという条件であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る撮像装置において、前記制御手段は、前記所定条件が満たされる場合であっても、前記スキャン範囲の制限を伴ったスキャン動作では合焦位置が特定できないときには、前記スキャン範囲の制限を外してスキャン動作を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る撮像装置において、前記撮影レンズは、その焦点距離を変更することが可能なレンズであり、前記撮影装置は、前記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記焦点距離に応じて前記スキャン範囲の制限範囲を変更することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<A.第1実施形態>
<A1.構成>
<構成概要>
図1はこの発明にかかるオートフォーカス装置が適用されたデジタルカメラ1(撮像装置)の構成を示すブロック図である。
【0015】
デジタルカメラ1は、被写体を撮影するための撮影機能を実現する撮影機能部10と、撮影機能部10において撮影動作が行われて生成される画像信号を入力して、撮影レンズ11のフォーカス制御を行うオートフォーカス制御部20と、レンズ位置検出部30と、撮影機能部10及びオートフォーカス制御部20などを含むデジタルカメラ1の全体的な動作を制御する全体制御部50と、シャッタボタン等の操作ボタンを含む操作部60と、オートフォーカス制御部20からの制御信号に基づいて撮影レンズ11を駆動するレンズ駆動部70とを備えて構成される。
【0016】
撮影機能部10は、撮影レンズ11、撮影レンズ11を介して入射する被写体像を光電変換して画像データ(画素ごとの画素データの配列からなるデータ)を生成するCCD撮像素子13、CCD撮像素子13からの画像データを一時的に格納するための画像メモリ14、画像メモリ14から得られる画像データに対して色変換処理や画像圧縮処理等の所定の画像処理を行う画像処理部15、画像処理部15において画像表示用の画像処理が施された表示用画像を表示する液晶表示部16、及び、画像処理部15において画像記録用の画像処理が施された撮影画像を記録する記録メディア17、を備えて構成される。
【0017】
また、撮影レンズ11は、フォーカシングレンズ12とズームレンズ12zとを備える。両レンズ12,12zは、それぞれ独立して、レンズ駆動部70の駆動によって光軸方向に沿って移動可能である。フォーカシングレンズ12の光軸方向の移動によって被写体の合焦状態を調節することが可能であり、ズームレンズ12zの光軸方向の移動によって被写体の撮影倍率を調節することが可能である。また、フォーカシングレンズ12の位置およびズームレンズ12zの位置は、レンズ位置検出部30によって検出される。
【0018】
なお、図1では、簡単化のため、フォーカシングレンズ12は、1枚のレンズ要素で構成されるものとして示しているが、これに限定されず、複数のレンズ要素で構成されるものであってもよい。ズームレンズ12zについても同様である。また、複数のレンズ要素で構成される場合には、フォーカシングレンズ12の位置は、代表的あるいは仮想的な1枚のレンズ要素の位置として表すことができる。ズームレンズ12zの位置についても同様である。
【0019】
撮影機能部10は、全体制御部50の制御によって、本撮影前にライブビュー画像を液晶表示部16に表示させるためのライブビュー画像撮影動作と、シャッタボタンが全押しされたときに記録メディア17に記録するための画像撮影を行う本撮影動作とを行うように構成される。なお、ライブビュー画像撮影動作時には、本撮影動作時に比べて画像処理部15において比較的簡単な画像処理が施される。また、液晶表示部16がオフ状態であったとしても、少なくともオートフォーカス制御時にはCCD撮像素子13による撮影動作が行われる。
【0020】
また、オートフォーカス制御部20は、画像の合焦状態を評価するために予め設定された複数の合焦評価領域(以下、「AFエリア」とも称する)に基づいて画像メモリ14から合焦評価領域の画像成分を抽出する合焦評価領域抽出部21と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像のコントラスト値Cを求めるコントラスト演算部22と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像のエッジ成分に関する演算を行い、エッジ数ENとエッジ幅重心値EWを求めるエッジ演算部23と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像の肌色画素数を求める肌色画素数演算部24と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて対応被写体の撮影倍率βを求める撮影倍率演算部25と、コントラスト値C、エッジ数EN、エッジ幅重心値EW、肌色画素数SV、および撮影倍率βに基づいて画像の合焦状態を判定し、撮影レンズ11の合焦位置を特定するとともに、レンズ駆動部70に対してレンズ駆動のための制御信号を送出する合焦制御部29とを備えて構成される。なお、オートフォーカス制御部20における上記各部の機能は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現されるように構成してもよい。
【0021】
全体制御部50は、例えばシャッタボタンが半押し状態にされたときに合焦評価領域の画像成分が適切な合焦状態となるようにオートフォーカス制御部20を機能させ、全押し状態にされたときに撮影機能部10において本撮影動作を行うように制御する。また、全体制御部50は本撮影前にはライブビュー画像撮影動作として撮影機能部10において逐次画像撮影を行わせ、逐次更新される画像を液晶表示部16に表示させたり、オートフォーカス制御部20に与えるように制御する。
【0022】
レンズ駆動部70はオートフォーカス制御部20の合焦制御部29から与えられる制御信号に基づいてフォーカシングレンズ12を例えば遠側から近側に向けて移動させる。このときの駆動ピッチは合焦制御部29によって指定される。そしてオートフォーカス制御部20において合焦評価領域の画像成分が合焦状態となるレンズ位置(合焦位置)が特定され、レンズ駆動部70が合焦制御部29よりその合焦位置が指定された場合には、その指定されたレンズ位置にフォーカシングレンズ12を移動させて合焦評価領域の画像成分が合焦した状態の画像をCCD撮像素子13に結像させる。
【0023】
以上のような構成のデジタルカメラ1においてオートフォーカス制御を行う際には、フォーカシングレンズ12が駆動されるごとにオートフォーカス制御部20において合焦評価領域の画像成分から画像のコントラストを評価するだけでなく、その画像成分のエッジ成分からフォーカシングレンズ12が合焦位置の近傍にあるか否かを判断し、エッジ成分からフォーカシングレンズ12が合焦位置近傍にないと判断される場合には、コントラストがピークを示す場合であってもそのピーク位置を合焦位置に採用しないように構成される。また、複数の合焦評価領域の中から、撮影レンズのフォーカス制御の対象となるエリア(以下、「対象エリア(ないし対象領域)」とも称する)が選択され、この対象エリアの情報(コントラスト値など)に基づいてオートフォーカス制御が行われる。なお、対象領域は、「合焦動作に用いるべき合焦評価領域」とも表現することができる。
【0024】
<合焦評価領域>
図2(a)は複数の合焦評価領域の一例を示す図である。ここでは、合焦評価領域FRとして、7つの合焦評価領域FR1〜FR7が例示されている。画像G1は、CCD撮像素子13の撮影動作によって得られる画像である。
【0025】
この実施の形態では、図2(a)に示すように画像G1のほぼ中央部分に合焦評価領域FR1〜FR7が設定され、オートフォーカス制御部20においてはこの合焦評価領域FR1〜FR7に含まれる画像成分に基づいて、画像のコントラスト及びエッジ成分などが評価される。なお、図2(a)に示す合焦評価領域FR1〜FR7は一例であり、実際にデジタルカメラ1等に適用する際には他の合焦評価領域を設定してもよい。また、複数の合焦評価領域は、互いに重ね合わせられて設けられてもよい。たとえば、図2(b)に示すように、複数の合焦評価領域FR1〜FR11が、その一部が互いに重ね合わせられた状態で設けられてもよい。ただし、肌色領域演算の処理負荷の増大を抑制するため、合焦評価領域FRiの合計面積(合計画素数)は画像全体領域の面積(画素数)よりも小さいことが好ましい。
【0026】
合焦制御部29は、これらの複数の合焦評価領域FRi(i=1,...,K;ここではK=7)関する評価値(コントラスト値等)に基づいて撮影レンズのフォーカス制御を行う。
【0027】
オートフォーカス制御部20においては、まず、合焦評価領域抽出部21が画像メモリ14に格納された画像から複数の合焦評価領域FRiに対応する画像成分を抽出する。
【0028】
CCD撮像素子13は、いわゆるベイヤー配列の画素配列構造となっており、CCD撮像素子13で撮影動作が行われると、ベイヤー配列に従った全画面分のR(赤),G(緑),B(青)各色成分の画素データが画像メモリ14に格納される。
【0029】
このため、合焦評価領域抽出部21が合焦評価領域FRiの画像成分を抽出する際には、合焦評価領域FRiに対応する各色成分の画素データを抽出することになる。
【0030】
そして、合焦評価領域抽出部21によって抽出された画像成分は、コントラスト演算部22、エッジ演算部23、および肌色画素数演算部24に与えられる。コントラスト演算部22によりコントラスト値Cが算出され、エッジ演算部23によりエッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWが算出され、肌色画素数演算部24により肌色画素数SVが算出される。また、撮影倍率演算部25は、合焦状態と判定されるときのフォーカシングレンズの位置などに基づいて、各合焦評価領域FRiに関する対応被写体の撮影倍率βを算出する。
【0031】
つぎに、これらの各値C,EN,EW,SV,βおよび各値の算出動作等について説明する。
【0032】
<肌色画素数および肌色エリア>
まず、肌色画素数SVについて説明する。
【0033】
肌色画素数演算部24は、色成分(R,G,B)の画素データを次の数1に基づいて別の色空間表現(Y,U,V)に変換し、変換後のUV空間の所定範囲内にある画素を肌色画素として検出する。
【0034】
【数1】
【0035】
より具体的には、肌色画素数演算部24は、肌色画素に対応する(U,V)の組合せがUV空間における第2象限の所定範囲内に存在するという性質を利用して、肌色画素を検出する。詳細には、肌色画素数演算部24は、その(U,V)の組合せが領域RAおよび領域RB(図3参照)の少なくとも一方に存在する画素を、肌色画素として検出する。ここで、図3に示すように、領域RAは、TH14<U<TH12、且つ、TH16<V<TH18、を満たす矩形領域であり、領域RBは、TH13<U<TH11、且つ、TH15<V<TH17、を満たす矩形領域である。領域RAおよび領域RBの和領域(領域RAおよび領域RBの両方を包含する領域)は、UV平面における肌色領域を近似した領域に相当する。このような近似を用いることにより、合焦評価領域FRiの各画素が肌色画素であるか否かを的確かつ高速に検出することができる。
【0036】
そして、合焦制御部29は、各合焦評価領域FRi内の肌色画素数SVが所定の閾値TH20よりも大きい(SV>TH20)ときに、その合焦評価領域FRiが肌色成分を多く含む領域(以下、「肌色エリア(ないし肌色領域)」とも称する)であると判定する。言い換えれば、各合焦評価領域FRi内の全画素に対する肌色画素数の割合が所定の閾値よりも大きくなると、その合焦評価領域FRiは肌色エリアと判定される。このように、合焦制御部29は、SV>TH20という条件D1を満たす領域を肌色エリアとして判定する。
【0037】
また、合焦制御部29は、複数の合焦評価領域FRiの中に肌色エリアが存在するか否かに応じてフォーカス制御を変更する。この実施形態においては、この肌色エリアの有無に加えて、条件D2(後述)等をも考慮してフォーカス制御を行う。
【0038】
具体的には、合焦制御部29は、少なくとも1つの肌色エリアが存在する場合には、その少なくとも1つの肌色エリアのうち条件D2(後述)を満たすものが存在することを条件に、主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。これにより、肌色の被写体(主被写体)と肌色でない被写体(非主被写体)とが存在する場合において、肌色でない被写体(非主被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減して、肌色の人物をより的確に合焦状態にすることができる。また、肌色エリアが存在する場合であって条件D2が満たされない場合には、後述するように、スキャン範囲を制限した高速スキャンルーチンを実行する。これによりオートフォーカス制御の一層の高速化を図ることができる。
【0039】
一方、複数の合焦評価領域FRiのうち1つも肌色エリアが存在しない場合には、条件D2(後述)を満たす合焦評価領域FRiが存在するときにのみ主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。これにより、人物以外のみを被写体とする場合において、その被写体をより的確に合焦状態にすることができる。
【0040】
<コントラスト値>
次に、コントラスト値Cについて説明する。
【0041】
コントラスト演算部22は、図4に示すような構成となっている。すなわち、コントラスト演算部22は、注目画素と、その注目画素の近隣に位置し且つ注目画素と一定の位置関係を有する画素との差分絶対値を求める差分演算部221、及び、その差分演算結果を累積加算していく累積加算部222、を備えて構成される。差分演算部221は合焦評価領域FRiに含まれる全ての画素が注目画素として選択されるまで演算を行い、累積加算部222は合焦評価領域FRiに含まれる各画素が注目画素として選択されたときに求められる差分絶対値を順次累積加算していき、最終的に合焦評価領域FRiについてのコントラスト値Cを求める。
【0042】
なお、コントラスト演算部22においてコントラスト値Cを求める際には、画像メモリ14から得られるR,G,Bの各色成分の画素データに基づいて演算を行うようにしてもよいし、また、R,G,Bの各色成分の画素データから一旦輝度データを生成し、その輝度データに基づいて演算を行うようにしてもよい。
【0043】
図5は、フォーカシングレンズ12のレンズ位置を遠側から近側に移動させた場合に、各レンズ位置において撮影される画像からコントラスト演算部22がコントラスト値Cを求めた場合のコントラスト値Cの変化を示す図である。図5に示すように、コントラスト値Cは合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態となるときに最大値を示す。このため、図5に示すコントラスト曲線においては、レンズ位置PAが合焦位置となる。
【0044】
また、図5に示すように、レンズ位置PBにおいてコントラスト値Cの疑似ピークが発生している。この疑似ピークは、たとえば、手ぶれ等のために瞬間的に別の被写体が画像中に含まれるなどの原因によって生じるものである。一般に、コントラスト方式のオートフォーカス制御を行う場合においてコントラスト値Cが一定値C1よりも小さい場合にはローコントラストであると判断してそのようなピーク位置を合焦位置と特定することはないが、疑似ピークが一定値C1以上の値を示している場合には、そのような疑似ピークを誤って合焦位置と判断する可能性がある。
【0045】
このような疑似ピークに起因する悪影響は、次述するエッジ成分を考慮することによって低減することができる。この実施の形態では、上記のような疑似ピークを誤って合焦位置と判断することがないようにするために、エッジ演算部23においてエッジ成分に関する演算が行われる。
【0046】
<エッジ数、エッジ幅重心値>
次に、エッジ数EN、エッジ幅重心値EWについて説明する。
【0047】
図6はエッジ演算部23の構成を示すブロック図である。エッジ演算部23は合焦評価領域FRiの画像成分について水平方向に隣接画素間での差分値を求めることによってエッジ成分が存在するか否かを判定し、エッジ成分が存在する場合にはそのエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを求めるように構成される。このため、エッジ演算部23は、差分演算部231、エッジ幅検出部232、エッジ数カウント部233、ヒストグラム作成部234、及びエッジ幅重心値演算部235を備える。
【0048】
図7はエッジ演算部23における演算処理の概念を示す図である。なお、図7において画素X1〜X9は合焦評価領域FRiにおいて水平方向に連続して配置される画素を示している。
【0049】
差分演算部231は水平方向に隣接する画素の各色成分の画素データを入力すると、その画素に対応する輝度値を求め、その直前の画素の輝度値との差分値を求める。例えば、図7において差分演算部231が画素X2についての各色成分の画素データを入力すると、画素X2の輝度値を求め、画素X1の輝度値と画素X2の輝度値との差分値(X2−X1)を求める。
【0050】
このときの差分演算は、例えば、注目画素の輝度値からその直前の画素の輝度値を減算するという演算が行われ、演算結果となる差分値の符号が正であれば右肩上がりのエッジ成分が検出され、負であれば右肩下がりのエッジ成分が検出されることになる。ただし、この実施の形態では最終的にエッジ数ENとエッジ幅重心値EWとを求めればよく、各エッジ成分が右肩上がりか右肩下がりかを厳密に区別する必要はない。
【0051】
そして差分演算部231は画素X3についての画素データを入力すると、その輝度値を求めて、画素X3の輝度値と画素X2の輝度値との差分値を求める。以後、差分演算部231は、水平方向に分布する画素X4,X5,X6,…の画素データを順次入力する都度、輝度値の算出演算を行うとともに、その画素の輝度値とその直前の画素の輝度値との差分演算処理を行う。
【0052】
差分演算部231で算出される差分値はエッジ幅検出部232に与えられる。エッジ幅検出部232には、第1の閾値TH1と第2の閾値TH2とが予め設定されている。第1の閾値TH1は隣接画素間での差分値がエッジ成分を構成するか否かを判断するための閾値であり、第2の閾値TH2はそのエッジ成分が十分な強度を有しているか否かを判断するための閾値である。
【0053】
エッジ幅検出部232は、差分演算部231から輝度値の差分値が得られると、その差分値と閾値TH1とを比較する。この結果、差分値が閾値TH1以上であれば、その画素はエッジ成分を構成するものとしてエッジ幅カウント値を1だけ増加させる。例えば、図7に示す画素X4と画素X3との差分値を入力した場合、その差分値は閾値TH1を超えているため、エッジ幅検出部232はエッジ幅カウント値を1だけ増加させる。以後同様の処理を繰り返し、画素X5と画素X4との差分値、画素X6と画素X5との差分値、及び、画素X7と画素X6との差分値のそれぞれは、閾値TH1を超えているため、エッジ幅検出部232はそれぞれの判定処理においてエッジ幅カウント値を1だけ増加させることになる。
【0054】
そして、画素X8と画素X7との差分値が得られると、その差分値は閾値TH1よりも小さいため、エッジ成分の終端部であることを認識し、それまでエッジ幅カウント値を増加させてきた、差分値の総和と第2の閾値TH2とを比較する。図7の場合は、画素X7と画素X3との輝度値の差分値が閾値TH2以上であるため、十分な強度を有するエッジ成分であることが検出される。そして、エッジ幅検出部232はそれまでカウントされたエッジ幅カウント値をそのエッジ成分のエッジ幅として特定する。このように隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さくなった場合であってエッジ幅カウント値が1以上である場合には、エッジ成分が検出されていることとなり、そのエッジ成分の強度が所定の強度(閾値TH2)以上であれば、そのエッジ成分を有効なエッジ成分として認識する。
【0055】
一方、隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さくなった場合であってエッジ幅カウント値が1以上である場合であっても、そのエッジ成分の強度が所定の強度(閾値TH2)未満であれば、そのエッジ成分は有効なエッジ成分ではないものと認定する。
【0056】
なお、隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さい場合であってもエッジ幅カウント値が0であれば、エッジ成分が有効であるか否かの判断は行う必要がなく、順次に入力する差分値が閾値TH1以上であるか否かの判定を進めていけばよい。
【0057】
図7の例の場合は、画素X4と画素X3との差分値が得られたときにはじめてエッジ幅カウント値が1となり、その後順次エッジ幅カウント値が増加していき、最終的に画素X8と画素X7との差分値が得られてエッジ成分の終端部が認識されたときにはエッジ幅カウント値は4となっている。そして、画素X3〜X7によって構成されるエッジ成分が閾値TH2を超えているため、該エッジ成分は有効なものとして認識されることになる。
【0058】
そして、エッジ幅検出部232において有効なエッジ成分が検出された場合には、その検出されたエッジ成分のエッジ幅カウント値がヒストグラム作成部234に与えられるとともに、エッジ数カウント部233にエッジ数のカウント指示が与えられる。
【0059】
エッジ幅検出部232はヒストグラム作成部234に対してエッジ幅カウント値を与えると、エッジ幅カウント値を0にリセットし、それ以後に入力する差分値に基づいてエッジ幅検出処理を繰り返すことで、合焦評価領域FRiの画像成分全体について有効なエッジ成分の検出を行う。
【0060】
エッジ数カウント部233は、予めエッジ数カウント値を0に初期化しており、エッジ幅検出部232からエッジ数のカウント指示が与えられる度に、エッジ数カウント値を1だけ増加させていく。これにより、合焦評価領域FRiの画像成分に含まれる有効なエッジ成分を計数していくことが可能になり、最終的にエッジ数ENが出力される。
【0061】
図8はフォーカシングレンズ12の各レンズ位置において得られる画像からエッジ数ENを求めた場合のレンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。図8に示すように、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態にあるときには鮮鋭な画像が得られるため、エッジ数は最大値を示す。このため、フォーカシングレンズ12のレンズ位置PAが合焦位置となる。また、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下し、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなる。このため、ノイズの影響がないものとすると、フォーカシングレンズ12がレンズ位置PC〜PDの範囲内の位置にあるときにはエッジ数ENは0以外の値を示すが、レンズ位置PC〜PDの範囲外の位置にあるときにはエッジ数ENは0となる。
【0062】
また、ノイズの影響をある程度考慮したとしても、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、エッジ数ENは閾値N1より大きな値をとり、合焦状態に近い状態にないときには、エッジ数ENは閾値N1以下の値をとることが多いと考えられる。
【0063】
したがって、エッジ数カウント部233においてカウントされるエッジ数ENの値を参照すれば、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときに、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるか否かを判断することが可能になる。
【0064】
また、ヒストグラム作成部234は、エッジ幅検出部232から得られるエッジ幅カウント値に基づいて、合焦評価領域FRiに含まれるエッジ成分のヒストグラムを作成する。
【0065】
図9はエッジ成分のヒストグラムを示す図である。なお、図9において分布曲線H1は合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときを示しており、また、分布曲線H2は合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にないときを示している。
【0066】
図9に示すように、ヒストグラム作成部234は、エッジ幅検出部232から得られるエッジ幅カウント値に基づいて、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときの画像成分からエッジ幅に関するヒストグラムを作成すると、エッジ幅の分布状態は画像成分の合焦状態に応じた分布を示す。つまり、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、画像の鮮鋭度が増すのでエッジ幅は全体的に小さくなり、エッジ幅の分布状態もエッジ幅の比較的小さい領域に分布することになる。これに対して、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下し、エッジ幅の分布状態はエッジ幅の比較的大きな領域に分布するように移行する。そして、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなるため、エッジ幅分布曲線は全く得られなくなる。
【0067】
ヒストグラム作成部234においてエッジ成分のヒストグラムが作成されると、エッジ幅重心値演算部235が機能し、そのヒストグラムからエッジ幅重心値EWが求められる。エッジ幅重心値演算部235は、エッジ成分のヒストグラム分布に基づいて加重平均演算を行うことにより、エッジ幅の平均値を求め、その結果得られる値をエッジ幅重心値EWとする。
【0068】
例えば、図9の分布曲線H2に示すヒストグラム分布の場合、エッジ幅重心値演算部235は加重平均演算を行うことによってエッジ幅重心値EW2を求める。また、図9の分布曲線H1に示すヒストグラム分布の場合、エッジ幅重心値演算部235は加重平均演算を行うことによってエッジ幅重心値EW1を求める。
【0069】
なお、エッジ幅重心値EW1は、画像成分が合焦状態に近づくにつれて次第に小さくなり、ある値に収束していくこととなる。
【0070】
図10は、フォーカシングレンズ12の各レンズ位置において得られる画像からエッジ幅重心値EWを求めた場合のレンズ位置とエッジ幅重心値との関係を示す図である。図10に示すように、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態にあるときには鮮鋭な画像が得られるため、エッジ幅重心値は極小値を示す。このため、フォーカシングレンズ12のレンズ位置PAが合焦位置となる。また、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下するのでエッジ幅重心値EWは増加し、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなる。つまり、エッジ幅重心値EWとレンズ位置との関係をみると、図10に示すようにエッジ幅重心値EWはM字型特性を示す。
【0071】
このため、ノイズの影響がないものとすると、フォーカシングレンズ12がレンズ位置PE〜PFの範囲内の位置にあるときにはエッジ幅重心値EWは0以外の値を示すが、レンズ位置PE〜PFの範囲外の位置にあるときにはエッジ幅重心値EWは0となる。なお、レンズ位置PEは図8に示したレンズ位置PCにほぼ一致し、レンズ位置PFは図8に示したレンズ位置PDにほぼ一致する。
【0072】
また、ノイズの影響をある程度考慮したとしても、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、エッジ幅重心値EWは閾値W1より大きくかつ閾値W2より小さな値をとり、合焦状態に近い状態にないときには、エッジ幅重心値EWは閾値W1以下又は閾値W2以上の値をとることが多いと考えられる。
【0073】
したがって、エッジ幅重心値演算部235において求められるエッジ幅重心値EWの値を参照すれば、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときに、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるか否かを判断することが可能になる。
【0074】
合焦制御部29は、エッジ演算部23から得られるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWに基づいて合焦評価領域FRiの合焦状態を評価する。
【0075】
合焦制御部29は撮影レンズ11に含まれるフォーカシングレンズ12を段階的に駆動させ、或るレンズ位置における画像内の或る合焦評価領域FRiから導かれるエッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示し、かつ、そのときのエッジ幅重心値EWが所定範囲(図10に示す閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値を示すという条件D2を満たす場合には、そのレンズ位置が合焦位置PAに近い位置にあると判断する。つまり、合焦制御部29は、エッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示し、かつ、そのときのエッジ幅重心値EWが所定範囲(図10に示す閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値を示すという条件が、レンズ位置が合焦位置の近傍にあると判定する条件(合焦位置近傍判定条件)であるとして、合焦位置近傍判定を行うのである。
【0076】
そして合焦位置近傍判定によってレンズ位置が合焦位置PAに近い位置にないと判断した場合には、コントラスト値Cが増加するようなレンズ駆動方向を特定してその方向にフォーカシングレンズ12を高速駆動する。この高速駆動によって、効率的に合焦位置近傍にフォーカシングレンズ12を移動させることができ、効率的にオートフォーカス制御を行って合焦評価領域FRiの画像成分を迅速に合焦状態に導くことが可能になる。
【0077】
上記のような構成により、合焦評価領域抽出部21はフォーカシングレンズ12が或るレンズ位置にあるときの画像信号から合焦評価領域の画像成分を抽出し、そしてコントラスト演算部22はその画像成分に基づいてコントラスト値Cを求めて、合焦制御部29に与えることができる。また、エッジ演算部23はその画像成分に基づいてエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを求め、合焦制御部29に与えることができる。そして合焦制御部29は、エッジ演算部23から得られるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWに基づいてフォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断し、合焦位置近傍に位置しないと判断される場合にはコントラスト値Cがピークを示していてもそのレンズ位置を合焦位置として採用しないように実現される。
【0078】
この結果、疑似ピークを示すレンズ位置が合焦位置として誤検知されることを良好に防止することが可能になる。これは、デフォーカス量が大きい場合にはエッジ成分が検出されない、という性質を利用するものである。より具体的には、デフォーカス量が大きい場合には、エッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWが、それぞれ、ゼロないし非常に小さな値となるため、合焦位置近傍に位置すると判断するための条件が満たされなくなるのである。
【0079】
<撮影倍率およびスキャン範囲>
つぎに、撮影倍率β、およびその撮影倍率βを用いたスキャン範囲の制限について説明する。
【0080】
撮影倍率βは、図11に示すように、レンズによってできる像の大きさy1と物体の大きさy2との比であり、被写体距離(被写体までの距離、あるいは撮影距離とも称する)Lとレンズの焦点距離fとを用いて次の数2で表される。
【0081】
【数2】
【0082】
ここで、レンズの焦点距離fは、撮影レンズ11に含まれるズームレンズの位置に応じて求められる。ただし、レンズ焦点距離fは、35mmフィルム換算値で表すものとする。
【0083】
なお、撮影倍率βを求める際には、まず焦点距離fを求めた上で次のようにしてさらに被写体距離Lを求め、その焦点距離fと被写体距離Lと数2に代入すればよい。被写体距離Lは、合焦状態(ないし合焦状態近傍)におけるフォーカシングレンズ12の光軸方向における位置(合焦位置)を求めるとともに、フォーカシングレンズ12の位置xと被写体距離Lとの1対1の対応関係(x=func(L))が規定されたテーブル等を用いることによって、求められる。また、合焦状態(ないし合焦状態近傍)であるか否かは、コントラスト値C、エッジ数EN、エッジ幅重心値EWを用いて判定すればよい。たとえば、コントラスト値Cの変化曲線のピークに対応するフォーカシングレンズ位置を合焦位置として用いることができる。あるいは、上記の条件D2を満たすAFエリアは合焦状態であるとみなして、そのときのフォーカシングレンズの位置を合焦位置として用いて同様に求めてもよい。
【0084】
ところで、人物撮影を行う際には、画面内における人物の大きさが適度のものとなるような撮影倍率が用いられることが多い。言い換えれば、人物撮影時の撮影倍率βは、所定の範囲(βmin≦β≦βmax)であることが多い。そのため、人物撮影の場合には、数2による撮影倍率換算値(後述)で表現される所定の範囲内にフォーカシングレンズ12が移動したときに、被写体である人物が合焦状態となることが多いことになる。
【0085】
そこで、この実施形態においては、このような特性を利用し、合焦制御部29は、人物撮影時には、オートフォーカス制御時のフォーカシングレンズ12の駆動範囲(より詳細にはスキャン範囲)を、駆動可能範囲の全域のうち一部の範囲に制限する。具体的には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲を、合焦状態の被写体(合焦被写体)の撮影倍率βが所定範囲内の値となる(βmin≦β≦βmax)ようなレンズ位置範囲(以下、「制限範囲」とも称する)RXに制限して、スキャン動作を行う。なお、人物撮影時であるか否かは、たとえば、上述したように、肌色エリアが存在するか否かによって判定することができる。
【0086】
より具体的には、肌色情報に関して所定の条件が満たされるとき(より詳細には、上記の条件D1が満たされるとき)には、フォーカス用の光学部材であるフォーカシングレンズ12のスキャン範囲は所定の範囲RXに制限される。これにより、全域を駆動する場合に比べて高速なフォーカス制御を行うことが可能である。また、肌色情報を考慮しているので、人物被写体撮影時において、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲を的確に制限することができる。さらに、所定の範囲RXとしては、被写体の撮影倍率βが所定の範囲(βmin≦β≦βmax)となるような範囲(すなわち、人物撮影時の撮影倍率に対応する範囲)が採用される。これによれば、人物被写体撮影時において、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲をさらに的確に制限することができる。
【0087】
ここで、値βmin,βmaxは、それぞれ、人物撮影で用いられることが多い撮影倍率βの下限値、上限値である。具体的には、値βminは、1/200とすることが好ましく、1/120とすることがさらに好ましい。また、値βmaxは、1/8とすることが好ましく、1/10とすることがさらに好ましい。
【0088】
なお、例えば焦点距離fが40mm(35mmフィルム換算値)の場合には、被写体距離Lが8000mm(8m)のときにβ=1/200となり、被写体距離Lが320mmのときにβ=1/8となり、被写体距離Lが4800mm(4.8m)のときにβ=1/120となり、被写体距離Lが400mmのときにβ=1/10となる。また、例えば焦点距離fが100mm(35mmフィルム換算値)の場合には、被写体距離Lが20000mm(20m)のときにβ=1/200となり、被写体距離Lが800mmのときにβ=1/8となり、被写体距離Lが12000mm(12m)のときにβ=1/120となり、被写体距離Lが1000mmのときにβ=1/10となる。
【0089】
また、詳細には、フォーカシングレンズ12の制限範囲RXの境界値は、次のようにして求められる。
【0090】
まず、撮影倍率βの各境界値(βminまたはβmax)と撮像時の焦点距離fとを数2(より詳細には、数2を被写体距離Lについて解いた式)に代入することによって撮像対象の被写体距離の境界値(LmaxまたはLmin)を求める。すなわち、数2の関係を用いて焦点距離と被写体距離とから撮影倍率を求めるのではなく、数2の関係を用いて撮影倍率(各境界値)と焦点距離とから被写体距離(各境界値)を求めるのである。
【0091】
次に、その被写体を合焦状態とするフォーカシングレンズ12の光軸方向における位置xと被写体距離Lとの1対1の対応関係(x=func(L))に基づいて、被写体距離の境界値(LmaxまたはLmin)に対応するフォーカシングレンズ12の制限範囲RXの境界値を算出する。
【0092】
これにより、フォーカシングレンズ12の制限範囲RXの2つの境界値を得ることができる。制限範囲RXは、これらの2つの境界値で挟まれる範囲として規定される。
【0093】
このように、レンズ位置xに関する制限範囲RXは、(位置xと被写体距離との間の対応関係、および数2などを介して)撮影倍率βの範囲で規定されることになる。すなわち、フォーカシングレンズ12の制限範囲RXは、撮影倍率βによる換算値(「撮影倍率換算値」)で規定されるとも表現される。
【0094】
<A2.動作>
<初期動作等>
次に、上記のような構成のデジタルカメラ1においてオートフォーカス制御を行う際の処理シーケンスについて、図12〜図17などを参照して説明する。図12〜図17はオートフォーカス制御の処理シーケンスを示すフローチャートである。図12,図13は、オートフォーカス制御の全体の流れを示すフローチャートであり、図14〜図17は、それぞれ、その一部の流れを示す図である。
【0095】
まず、シャッタボタンが半押し状態(状態S1とも称する)にされてオートフォーカス制御が開始されると、オートフォーカス制御部20は撮影レンズ11内のフォーカシングレンズ12をレンズ初期位置に移動させ、そのレンズ初期位置においてCCD撮像素子13から得られる画像からコントラスト値を求める。
【0096】
そして、レンズ微小駆動ルーチン(ステップS10)が実行される。具体的には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12をレンズ初期位置から近側に12Fδ分移動させる方向判定駆動を行う(図14、ステップS11)。ここで、Fは撮影レンズ11のFナンバであり、δはいわゆる許容錯乱円であり、デジタルカメラ1の場合はCCD撮像素子13の1〜2画素間のピッチに相当する。そしてオートフォーカス制御部20は、そのレンズ位置においてCCD撮像素子13から得られる画像からコントラスト値を求める。
【0097】
なお、ステップS11においてコントラスト値を求める際には、オートフォーカス制御部20においてコントラスト演算部22が機能することになる。また、方向判定駆動量は12Fδ分に限るものではない。
【0098】
次に、オートフォーカス制御部20において合焦制御部29が機能し、レンズ初期位置におけるコントラスト値と12Fδ駆動後のレンズ位置におけるコントラスト値とを比較してフォーカシングレンズ12のレンズ駆動方向を決定する(ステップS12)。すなわち、レンズ初期位置におけるコントラスト値と12Fδ駆動後のレンズ位置におけるコントラスト値とのうちのコントラスト値が大きくなる方向にフォーカシングレンズ12の合焦位置が存在するものと推定し、コントラスト値が大きくなる方向をレンズ駆動方向として決定する。
【0099】
続いて、オートフォーカス制御部20はレンズ駆動形態を決定する(ステップS13,S14,S21〜S23)。レンズ駆動形態には、フォーカシングレンズ12の合焦位置を検出するためにフォーカシングレンズ12を微小駆動させる駆動形態と、フォーカシングレンズ12を粗いピッチで高速駆動することによってフォーカシングレンズ12を合焦位置近傍に高速移動させる駆動形態とがある。
【0100】
オートフォーカス制御部20のエッジ演算部23は、その時点で得られる画像に基づいて、各合焦評価領域FRiにおけるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを算出する(ステップS13)。また、肌色画素数演算部24は、その時点で得られる画像に基づいて、各合焦評価領域FRiにおける肌色画素数SVを算出する(ステップS14)。
【0101】
その後、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断する(ステップS21〜S23)。
【0102】
具体的には、まず、複数の合焦評価領域FRiの中で「肌色エリア」が存在するか否かが判定される(ステップS21)。より詳細には、上述したように、その肌色画素数SVが所定の閾値TH20よりも大きい(SV>TH20)という条件D1を満たす合焦評価領域FRiは、肌色エリアであると判定される。
【0103】
このような肌色エリアが少なくとも1つ存在するときにはステップS22に進み、肌色エリアが1つも存在しないときにはステップS23に進む。
【0104】
ステップS22においては、高速スキャンルーチン(ステップS30AまたはステップS30B)に移行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。
【0105】
具体的には、「肌色エリア(すなわち、条件D1を満たす合焦評価領域FRi)」のうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たすものが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体(より正確には被写体の画像)が合焦状態に近いと判定し、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。上述したように、条件D2は、エッジ数ENが所定値N1より大きな値であり、かつ、エッジ幅重心値EWが所定範囲(閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値であるという条件である。
【0106】
一方、肌色エリアは存在するにもかかわらず、いずれの肌色エリアも条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近くないものと判定し、ステップS24を経由して、高速スキャンルーチン(ステップS30AまたはステップS30B)へ進む。
【0107】
このように、肌色エリアが存在する場合において、近傍スキャンルーチンへ進むのは、条件D2を満たす肌色エリアが存在するときのみである。そして、肌色エリアが存在する場合には、「肌色エリア以外の合焦評価領域」(以下、非肌色エリアとも称する)のみが条件D2を満たすときであっても、近傍スキャンルーチンには進まず、高速スキャンルーチンに進む。すなわち、非肌色エリアの情報を基準にして近傍スキャンルーチンに進むことがないので、非肌色エリアの被写体(たとえば背景被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0108】
ここにおいて、ステップS24では、被写体画像が一旦ローコントラストであると判定されたか否かに応じて、2種類の高速スキャンルーチン(ステップS30AまたはステップS30B)のうちいずれのルーチンを実行するかが決定される。具体的には、シャッタボタンが半押し状態S1に押下された後に初めてステップS24での判定処理を行う場合には、ステップS30Bの制限付き高速スキャンルーチン(後述)を実行する。また、被写体画像が一旦ローコントラストであると判定され、後述するステップS70(図13)から再びステップS24に戻ってきた場合には、ステップS30Aの全域対象高速スキャンルーチン(後述)を実行する。
【0109】
また、ステップS23においては、高速スキャンルーチン(ステップS30A)に移行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかが決定される。ここで、ステップS23に進んでくるのは、肌色エリアが存在しないときである。
【0110】
このステップS23では、複数の合焦評価領域FRiのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たす合焦評価領域FRiが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定して、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、いずれの合焦評価領域FRiもこの条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体は合焦状態に近くないものと判定して、高速スキャンルーチン(ステップS30)へ進む。
【0111】
<高速スキャンルーチン>
つぎに、高速スキャンルーチン(ステップS30AおよびステップS30B)について説明する。高速スキャンルーチンには、フォーカシングレンズ12の駆動可能領域の全域を高速スキャンの対象とするルーチン(ステップS30A)と、高速スキャンにおけるスキャン範囲に制限を設けるルーチン(ステップS30B)とがある。以下では、前者を全域対象高速スキャンルーチン、後者を制限付き高速スキャンルーチンとも称するものとする。
【0112】
以下では、まず、前者の全域対象高速スキャンルーチンについて説明する。全域対象高速スキャンルーチンの詳細な処理手順は、図15のフローチャートに示されている。
【0113】
まず、合焦制御部29はレンズ駆動方向に対してフォーカシングレンズ12を高速駆動するための残り駆動量が十分にあるかどうかを判定し(ステップS31)、十分な残り駆動量が存在する場合にはステップS33に進み、十分な残り駆動量が存在しない場合にはステップS32に進んでレンズ駆動方向を反転させる。この実施の形態では、高速駆動を行う際の駆動量として駆動ピッチが20Fδに設定されるため、ステップS31における判断では、フォーカシングレンズ12の残り駆動量が20Fδ以上存在するか否かを確認する処理となる。そして20Fδ以上の残り駆動量が存在しない場合には、ステップS32においてレンズ駆動方向を反転させてステップS33に進む。
【0114】
そして、合焦制御部29は、決定されたレンズ駆動方向にフォーカシングレンズ12を駆動ピッチ=20Fδで高速駆動する(ステップS33)。これにより、合焦位置近傍にないフォーカシングレンズ12が微小ピッチ(例えば4Fδ)で駆動されて合焦位置を検出するまでに長時間を要することを回避することができ、オートフォーカス制御の効率化を図ることが可能になる。
【0115】
つぎに、複数の合焦評価領域(AFエリア)FRiのそれぞれについて、コントラスト値Cが算出される(ステップS34)。コントラスト値Cは、コントラスト演算部22によって、高速駆動後のレンズ位置において得られる画像に基づいて算出される。
【0116】
そして、このとき得られたコントラスト値が前回求められたコントラスト値よりも小さいか否かの判定を行う(ステップS35)。この判定によって、高速駆動によってフォーカシングレンズ12が合焦位置を超えたかどうかを判定すること、言い換えれば、コントラストの変化曲線におけるピークを超えたかどうかを判定することができる。
【0117】
このレンズ移動前後のコントラスト値の比較動作(ステップS35)は、複数の合焦評価領域FRiの全てについて行われる。
【0118】
そして、いずれの合焦評価領域FRiのコントラスト値も前回求められたコントラスト値よりも小さくならない場合には、コントラストの変化曲線におけるピークを越えていない、すなわちフォーカシングレンズ12が合焦位置を未だ超えていないと判断し、ステップS40を経由して再びステップS33に戻り、ステップS33,S34,S35の処理が繰り返される。
【0119】
一方、いずれかの合焦評価領域FRiのコントラスト値が前回求められたコントラスト値よりも小さくなった場合には、コントラストの変化曲線におけるピークを越えた、すなわちフォーカシングレンズ12が合焦位置を超えたと判断し、ステップS36に進む。
【0120】
ステップS36においては、複数の合焦評価領域(AFエリア)FRiのそれぞれについて、エッジ数EN、エッジ幅重心値EW、および肌色画素数SVが算出される(ステップS34)。エッジ数ENはエッジ数カウント部233により算出され、エッジ幅重心値EWはエッジ幅重心値演算部235により算出され、肌色画素数SVは肌色画素数演算部24により算出される。複数の合焦評価領域FRiにおける各値は、高速駆動後のレンズ位置において得られる画像に基づいて算出される。
【0121】
その後、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断する(ステップS37〜S39)。これらの動作は、ステップS21〜ステップS23と同様の動作である。
【0122】
具体的には、まず、複数の合焦評価領域FRiの中で「肌色エリア」が存在するか否かが判定される(ステップS37)。より詳細には、上述したように、条件D1(SV>TH20)を満たす合焦評価領域FRiは、肌色エリアであると判定される。
【0123】
このような肌色エリアが少なくとも1つ存在するときにはステップS38に進み、肌色エリアが1つも存在しないときにはステップS39に進む。
【0124】
ステップS38においては、この高速スキャンルーチン(ステップS30A)を続行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。具体的には、肌色エリアのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たすものが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定し、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、肌色エリアは存在するにもかかわらず、いずれの肌色エリアも条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近くないものと判定し、ステップS40に進み、高速スキャンルーチンを続行する。
【0125】
このように、肌色エリアが存在する場合において、近傍スキャンルーチンへ進むのは、肌色エリアのうち条件D2を満たすものが少なくとも1つ存在するときのみである。そして、肌色エリアが存在する場合には、「肌色エリア以外の合焦評価領域」(すなわち非肌色エリア)のみが条件D2を満たすときであっても、近傍スキャンルーチンには進まず、高速スキャンルーチンを続行する。すなわち、非肌色エリアの情報を基準にして近傍スキャンルーチンに進むことがないので、非肌色エリアの被写体(たとえば背景被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0126】
ステップS39においても、高速スキャンルーチン(ステップS30A)を続行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。ステップS39に進んでくるのは、肌色エリアが存在しないときである。ここでは、複数の合焦評価領域FRiのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たす合焦評価領域FRiが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定して、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、いずれの合焦評価領域FRiもこの条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体は合焦状態に近くないものと判定して、ステップS40に進み、高速スキャンルーチンを続行する。
【0127】
ステップS40において、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12の移動可能範囲内の全域についてフォーカシングレンズ12を高速駆動したか、すなわち全域スキャンを終了したかを判断する。
【0128】
そしてフォーカシングレンズ12を高速駆動するための可動範囲が未だ残されている場合には、ステップS33に戻って、フォーカシングレンズ12を駆動ピッチ=20Fδで高速駆動し、ステップS34以降の処理を再び行う。
【0129】
これに対し、現在のレンズ駆動方向に対して高速駆動するための可動領域が残されていない場合には、ステップS41に進む。ステップS41においては、合焦制御部29は、それまでに得られたコントラスト値のうちから最大値を決定し、その最大値を示すレンズ位置近傍へフォーカシングレンズ12を駆動させる。
【0130】
デジタルカメラ1で被写体を撮影する場合、被写体の種類によってはエッジ成分を良好に抽出することが出来ない場合もある。そのため、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWが合焦位置近傍判定条件(条件D2)を満たさない場合に、オートフォーカス制御が不可能であるとするよりも、コントラスト値に基づいてオートフォーカス制御を行う方が好ましいと考えられる。そのため、この実施の形態では、フォーカシングレンズ12を全域スキャンさせても合焦位置近傍判定条件D2を満足するような合焦位置近傍のレンズ位置を特定することができなかった場合に、ステップS41においてコントラスト値が最大値を示すレンズ位置近傍にフォーカシングレンズ12を駆動することで、エッジ成分を良好に抽出することができないような被写体を撮影する場合にも、合焦位置近傍にフォーカシングレンズ12を移動させてオートフォーカス制御を行うことができるように構成している。
【0131】
以上のような処理が終了すると、高速スキャンルーチンの処理は終了する。
【0132】
<制限付き高速スキャンルーチン>
次に、駆動範囲(スキャン範囲)制限付きの高速スキャンルーチンについて説明する。この制限付きの高速スキャンルーチンの詳細な処理手順は図16のフローチャートに示されている。図16のルーチンは図15のルーチンに類似しており、図16においては、図15の各ステップと同様の処理には、同じステップ番号を付して示している。以下では、両ルーチンの相違点を中心に説明する。
【0133】
ステップS31Bでの判定処理は、ステップS31(図15)と同様に、レンズ駆動方向に対してフォーカシングレンズ12を高速駆動するための残り駆動量が十分にあるかどうかを判定する処理である。ただし、残り駆動量を判定するにあたって、駆動可能領域の全域を判定対象とするのではなく、上記の制限範囲RXを判定対象とする点でステップS31と相違する。
【0134】
具体的には、ステップS31Bにおいては、制限範囲RXの境界位置までのレンズ駆動方向における残り駆動量が、20Fδ以上存在するか否かが確認される。そして20Fδ以上の残り駆動量が存在する場合にはそのままステップS42に進む。また、20Fδ以上の残り駆動量が存在しない場合にはステップS32に進み、レンズ駆動方向を反転させた後に、ステップS42に進む。
【0135】
次のステップS42では、ステップS33での駆動後の位置が上記の制限範囲RX内に存在することになるか否かを判定する。
【0136】
駆動後の位置が制限範囲RX内に存在しないと判定される場合には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12を、制限範囲RXの2つの境界位置のうち、現在位置から近い方の境界位置へと1つの駆動動作で高速に移動させる(ステップS43)。これにより、フォーカシングレンズ12が制限範囲RXの外の範囲をスキャンせずに済むため、スキャン範囲を有効に狭めることができる。したがって、オートフォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0137】
特に、図18に示すように、現在位置PPが制限範囲RXから遠く離れているときには、比較的長い距離をスキャン動作を伴うことなく制限範囲RX内にまで移動することができるので、一層の高速化を図ることができる。具体的には、高速駆動用の駆動ピッチ=20Fδよりもさらに大きな駆動量(たとえば、その駆動ピッチの数倍から数十倍程度)をスキャン動作を伴うことなく1つの駆動動作で瞬時に移動することができる。なお、図18においては、各高速スキャンルーチンにおける駆動の様子が矢印を用いて図案化して示されており、比較的短い矢印は高速駆動用の駆動ピッチ=20Fδごとの移動動作(駆動動作)を示している。そして、図18に示されるように、制限付き高速スキャンルーチンにおいては、全域対象高速スキャンルーチンにおける駆動動作時の駆動回数よりも少ない駆動回数で、合焦位置が存在すると推定される制限範囲RX内に到達できる。
【0138】
一方、駆動後の位置が制限範囲RX内に存在すると判定される場合には、フォーカシングレンズ12を高速駆動用の駆動ピッチ=20Fδで高速駆動する(ステップS33)。これにより、フォーカシングレンズ12は、ステップS32で決定されたレンズ駆動方向に、現在位置から所定の駆動ピッチ離れた位置に駆動される。
【0139】
以降においては、図15における動作と同様の動作が行われる。
【0140】
ただし、図16に示すように、ステップS40の代わりにステップS40Bの動作が行われる。ステップS40Bにおいては、(駆動可能領域の全域にわたるスキャン動作が完了したかではなく、)制限範囲RX内のスキャン動作が完了した否かが判定される。そして、制限範囲RX内のスキャン動作が完了していない場合(未スキャン領域が残っている場合)には、ステップS42に戻って同様の動作を繰り返す。一方、制限範囲RX内のスキャン動作が完了した場合には、ステップS41に進む。
【0141】
以上のようにして、制限付き高速スキャンルーチンが終了する。
【0142】
<近傍スキャンルーチン>
続いて図17のフローチャートを参照しながら、近傍スキャンルーチンについて説明する。図17は、近傍スキャンルーチンの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0143】
まず、合焦制御部29は所定の微小ピッチp(例えばp=4Fδ)でフォーカシングレンズ12をコントラスト値が大きくなる方向に駆動させる(ステップS51)。そしてコントラスト演算部22が、その移動後のレンズ位置においてCCD撮像素子13から得られる画像に基づいてコントラスト値を求める(ステップS52)。
【0144】
その後、ステップS51,S52の各処理が所定回数繰り返されると、この近傍スキャンルーチンを終了して、ステップS61に進む。
【0145】
<最終合焦処理等>
つぎに、最終的な合焦動作について説明する。
【0146】
ステップS61(図13)においては、合焦制御部29は、各合焦評価領域FRiのうち、その対応被写体がこの近傍スキャン中に合焦状態となる領域(以下、「合焦エリア(ないし合焦領域)」とも称する)が存在するか否かを判定する。具体的には、レンズ位置の変動に伴うコントラスト値の変化曲線において、そのコントラスト値のピークが検出されるエリアを、「合焦エリア」として検出する。より詳細には、近傍スキャンルーチンで取得されたコントラスト値の変化において、そのピークが検出された合焦評価領域を「合焦エリア」として判定する。また、合焦エリアにおけるコントラスト値のピークに対応するレンズ位置が、フォーカシングレンズ12の合焦位置として求められる。
【0147】
また、ここでは、微小ピッチでのレンズ駆動を所定回数行っても合焦位置を特定することができない場合には、被写体自体のコントラストが低いもの、すなわち、ローコントラスト(単に、ローコンとも称する)であると判定し(ステップS68)、特定のレンズ位置(ローコン位置とも称する)にフォーカシングレンズ12を駆動する(ステップS69)。なお、この特定のレンズ位置としては、例えばオートフォーカス制御を開始する前のレンズ位置や、無限遠方に被写体が存在するものと仮定して最も遠側のレンズ位置等とすることなどが考えられる。
【0148】
そのため、ステップS61において、合焦エリアが存在しないと判定されるときには、ローコントラストであると判定され(ステップS68)、特定の位置(ローコン位置)にフォーカシングレンズ12が駆動される(ステップS69)。また、その後、シャッタボタンが未だ半押し状態S1に維持されているか否かを判定する(ステップS70)。シャッタボタンの半押し状態S1が維持されているときには再びステップS10に戻り、シャッタボタンの半押し状態S1が解除されているときにはこのオートフォーカス制御のルーチンを終了する。
【0149】
一方、合焦エリアが存在すると判定されるときにはステップS62に進む。
【0150】
ステップS62以降の処理では、合焦制御部29は、複数のエリアの中から、最終的に撮影レンズのフォーカス制御の対象となるエリア(「対象エリア」ないし「最終合焦エリア」とも称する)を選択する。
【0151】
具体的には、ステップS62において、合焦エリアのうち、肌色エリア(条件D1を満たす合焦評価領域)が存在するか否かが判定される。肌色エリアが存在する場合には、その肌色エリアが対象エリアとして選択される(ステップS64,S65)。なお、合焦エリアであり且つ肌色エリアであるとも判定される合焦評価領域を「肌色合焦エリア(肌色合焦領域)」とも称するものとする。
【0152】
より詳細には、肌色合焦エリアがただ1つ存在する場合には、その肌色合焦エリアが対象エリアとして選択される(ステップS64)。また、複数の肌色合焦エリアが存在する場合には、それら複数の肌色合焦エリアのうち、その対応被写体の位置がデジタルカメラ側に最も近い合焦エリア(「最近合焦エリア(ないし最近合焦領域)」とも称する)が対象エリア(最終合焦エリア)として選択される(ステップS65)。
【0153】
また、「肌色合焦エリア」が存在しない場合には、1つまたは複数の合焦エリアのうち最近合焦エリアが対象エリアとして選択される。
【0154】
このように、近傍スキャンルーチンにおいては、対象エリアに関する情報(具体的にはコントラスト値)に基づいてフォーカス制御が行われる。
【0155】
以上で、この実施の形態におけるオートフォーカス制御が終了する。
【0156】
上記のオートフォーカス制御では、肌色画素数(肌色情報)に関して所定の条件D1が満たされるときには、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲が所定の範囲に制限されるので、全域をスキャンする場合に比べて高速なフォーカス制御を行うことが可能である。また、肌色情報を考慮しているので、特に人物被写体撮影時において、的確にフォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0157】
また、複数の合焦評価領域のうち少なくとも1つのエリアが肌色エリアであると判定されるときに、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲が所定の範囲に制限されるので、オートフォーカス制御に複数の合焦評価領域を用いる場合においても、オートフォーカス制御を高速に行うことができる。
【0158】
さらに、肌色エリアが存在する場合であっても、一旦、制限付き高速スキャンルーチン(ステップS30B)を行って合焦エリアが存在しないと判定(ステップS61)された後に再度オートフォーカス制御を行うときには、ステップS24からステップS30Aに進み全域対象高速スキャンルーチンが実行される。すなわち、肌色エリアが存在する場合であっても、スキャン範囲の制限を伴ったスキャン動作では合焦位置が特定できないときには、スキャン範囲の制限を外した状態で再度スキャン動作が行われる。これによれば、制限された範囲内の移動でフォーカシングレンズ12を合焦位置へ移動できない場合でも、その制限を外すことによって、フォーカシングレンズ12をより確実に合焦位置へと移動させることが可能になる。
【0159】
また、上記のオートフォーカス制御では、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを評価した上で対象エリアを選択して、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断しているので、コントラスト値Cが疑似ピークを示す場合であってもそのような疑似ピークが存在するレンズ位置付近は合焦位置近傍であると判断される可能性は低い。そのため、この実施の形態におけるオートフォーカス制御を適用することによって、疑似ピーク位置を合焦位置と誤認識することを防止することができ、疑似ピークによる影響を解消して被写体を適切に合焦状態とすることが可能になる。このように、このデジタルカメラ1によれば、疑似ピークによる影響を解消しつつ、主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能である。すなわち、より正確なAF制御を行うことが可能である。
【0160】
また、上記のオートフォーカス制御では、複数の合焦評価領域FRiのうち、所定の閾値TH20よりも大きな肌色画素数SVを有するという条件D1(SV>TH20)を満たす合焦評価領域(すなわち肌色エリア)が少なくとも1つ存在する場合において、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を全ての肌色エリアが満たさないときには、この条件D2を肌色エリアのいずれかが満たす場合に比べて撮影レンズが高速に駆動される。したがって、フォーカシングレンズ12を合焦位置近傍に迅速に移動させることができ、オートフォーカス制御の迅速化を達成することができる。また、肌色エリアが少なくとも1つ存在する場合において、条件D2を満たす非肌色エリアが仮に存在したとしても全ての肌色エリアが条件D2を満たさないときには、合焦制御部29は、そのような非肌色エリアを対象エリアとして選択せず且つ主被写体の画像が合焦状態に近くないと判定するので、人物以外の背景被写体のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0161】
<B.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。デジタルカメラの構成および動作等は第1実施形態と同様である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0162】
図19および図20は、第2実施形態の制御動作を示す図である。第2実施形態の動作は、第1実施形態の動作(図12,図13参照)と比較して、ステップS24の代わりにステップS25の判定動作を行う点で相違する。なお、図19および図20においては、図12および図13の動作と同様の動作については、同一のステップ番号を付して示している。
【0163】
この第2実施形態においては、撮影レンズ11の撮影時の焦点距離の大小をも考慮して、制限付き高速スキャンルーチンを行うか全域対象高速スキャンルーチンを行うかを決定する場合を例示する。
【0164】
そのため、レンズ位置検出部30は、撮影レンズ11のズームレンズ12zの焦点距離fを検出する。また、合焦制御部29は、検出されたこの焦点距離fに基づいて、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲を制限するか否かを決定する。
【0165】
具体的には、図19において、肌色エリアは存在するがその肌色エリアのうち条件D2を満たす肌色エリアは存在しないことがステップS22で判定された場合には、ステップS25に進む。そして、焦点距離fが所定値faよりも大きいと判定される場合には、制限付き高速スキャンルーチン(ステップS30B)が実行される。また、焦点距離fが所定値faよりも大きくないと判定される場合には、全域対象高速スキャンルーチン(ステップS30A)が実行される。
【0166】
なお、これに限定されず、ステップS25での判定処理を経ずに、肌色エリアは存在するがその肌色エリアのうち条件D2を満たす肌色エリアは存在しないことがステップS22で判定されたときには、制限付き高速スキャンルーチンを一律に実行するようにしてもよい。
【0167】
ただし、次のような観点から、この第2実施形態のようにステップS25での分岐処理を経ることが好ましい。
【0168】
一般に、焦点距離fが所定値faよりも大きいという条件を満たす場合には、ズームアップして被写体を撮影しようとしているときであるため、人物撮影である可能性が高くなる。特に、この条件に加えて、肌色エリアが存在する場合には、人物撮影である可能性がさらに高くなる。そのため、上記の第2実施形態のように、焦点距離fが所定値faよりも大きいという条件を満たさない場合には全域対象高速スキャンルーチンに移行し、この条件を満たす場合にのみ、制限付き高速スキャンルーチンに移行することによれば、人物撮影時であることをより的確に判定することができる。すなわち、制限付き高速スキャンルーチンにさらに的確に移行して合焦動作を行うことができることになる。
【0169】
また、図20に示すように、この第2実施形態においては、第1実施形態と比較して、ステップS71,S72,S73の処理が、ステップS61とステップS62との間に追加されている点で第1実施形態と相違している。
【0170】
これらのステップS71,S72,S73の処理は、合焦状態であるとして判定された肌色エリアのうち、撮影倍率が所定の範囲内の値でないと判定される場合には、その肌色エリアを対象エリア(最終合焦エリア)の候補から除外する処理である。
【0171】
具体的には、ステップS71において、各合焦エリアの撮影倍率βが所定の範囲(βmin≦β≦βmax)内の値か否かを判定する。各値βmin,βmaxとしては、上述のような値を用いればよい。ここでは、βmin=1/120、βmax=1/10を用いるものとする。
【0172】
そして、合焦エリアの撮影倍率がその所定の範囲内の値である場合には、その合焦エリアの対応被写体は人物であるとみなして、その合焦エリアを最終合焦エリアの候補から除外しない(ステップS72)。すなわち、そのエリアの肌色評価値(肌色情報)を有効なものとして取り扱う。
【0173】
一方、合焦エリアの撮影倍率がその所定の範囲の値でない場合には、その合焦エリアの対応被写体は人物ではないとみなして、その合焦エリアを最終合焦エリアの候補から除外する(ステップS72)。すなわち、そのエリアの肌色評価値(肌色情報)を無効なものとして取り扱う。
【0174】
これによれば、その肌色合焦エリアが人物被写体であるか否かを再確認することができる。したがって、人物被写体に対する合焦動作をより的確に行うことができる。
【0175】
<C.第3実施形態>
この第3実施形態においては、スキャン範囲を制限するに際して、スキャン範囲の制限範囲を焦点距離の大小に応じて変更する場合について例示する。
【0176】
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。デジタルカメラの構成および動作等は第1実施形態と同様である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0177】
図21は、第3実施形態のデジタルカメラの制御動作を示す図である。図21のフローチャートは、図12のフローチャートに対応する図であり、図12のフローチャートと比較して次述する点で相違している。また、図21に引き続いて、図13に示す処理が行われる。なお、図21においては、図12の動作と同様の動作については、同一のステップ番号を付して示している。
【0178】
具体的には、ステップS24での判定動作で、シャッタボタンの押下後において被写体画像が未だローコントラストであると判定されていない場合には、ステップS26に進む。
【0179】
そして、ステップS26においては、焦点距離fが所定値fbよりも大きい(f>fb)か否かを判定し、その判定結果に応じて、異なる制限範囲を有する制限付き高速スキャンルーチンを実行する。
【0180】
具体的には、焦点距離fが所定値fbよりも大きくない場合(f≦fb)にはステップS30Cに進み、焦点距離fが所定値fbよりも大きい場合(f>fb)にはステップS30Dに進む。言い換えれば、ワイド側(広角側)での撮影時においてはステップS30Cに進み、テレ側(望遠側)での撮影時においてはステップS30Dに進む。
【0181】
ステップS30C,S30Dの両高速スキャンルーチンにおいては、ステップS30Bの制限付き高速スキャンルーチン(図16)と同様の処理が行われる。また、ステップS30C,S30Dの両高速スキャンルーチンは、制限範囲RXの範囲が互いに異なる点以外は、同様のルーチンである。
【0182】
具体的には、ステップS30Cにおいては、撮影倍率換算値表現で比較的広い範囲(ここでは、撮影倍率換算値が1/120より大きく且つ1/10より小さいことを満たす範囲)にスキャン範囲を制限した制限付き高速スキャンルーチンが行われる。一方、ステップS30Dにおいては、撮影倍率換算値表現で比較的狭い範囲(ここでは、撮影倍率換算値が1/80より大きく且つ1/10より小さいことを満たす範囲)にスキャン範囲を制限した制限付き高速スキャンルーチンが行われる。
【0183】
すなわち、焦点距離fが所定値fbよりも大きい場合には、そうでない場合に比べて、スキャン範囲の1つの境界値に対応する撮影倍率換算値の下限値を1/120から1/80に引き上げてそのスキャン範囲を狭くした上で、高速スキャンルーチンを行うのである。なお、スキャン範囲の変更は、このような手法に限定されない。たとえば、レンズ位置としての制限範囲RXが結果として狭くなるのであれば、撮影倍率換算値の上限値および下限値の両方を変更するようにしてもよい。
【0184】
また、この後においては、ステップS50の処理、および図13に示す各処理が行われる。
【0185】
以上のような処理によれば、焦点距離fが所定値fbよりも大きいか否かを判定することによって、テレ側(望遠側)での撮影であるかワイド側(広角側)での撮影であるかが判定され、テレ側での撮影時にはそのスキャン範囲がさらに狭い範囲に制限される。したがって、フォーカス制御の一層の高速化を図ることが可能になる。すなわち、撮影状況を考慮した上で、フォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0186】
テレ側での撮影時には、ポートレート撮影などのように、人物を拡大して撮影する撮影状況であることが想定される。そのため、撮影倍率βは、比較的大きな値となることが多い。この第3実施形態においては、このような性質を利用して、スキャン範囲を撮影倍率換算値レベルでさらに狭く設定する。ここでは、スキャン範囲を制限するにあたって、スキャン範囲の1つの境界値に対応する撮影倍率換算値の下限値を1/120から1/80に引き上げることによって、下限値を引き上げない場合に比べて撮影倍率換算値レベルでスキャン範囲を狭くしている。これにより、レンズ位置レベルでのスキャン範囲もさらに狭い範囲に制限されることになる。
【0187】
これによれば、制限範囲RXを撮影倍率換算値表現における固定範囲に維持する場合(言い換えれば、撮影倍率換算値での境界値を変更しない場合)に比べて、テレ側での撮影時にはスキャン範囲をさらに狭く設定することが可能になるので、フォーカス制御の高速化を図ることが可能になる。
【0188】
また、レンズ位置レベルでのスキャン範囲は、撮影倍率換算値表現で同一の範囲であっても焦点距離が異なれば、異なる範囲となる。具体的には、その焦点距離の増大に伴って実際のレンズの駆動範囲は広く(大きく)なる。このような事情に対して、上記のように、焦点距離が大きいテレ側の撮影時においてさらにスキャン範囲を狭くすることによれば、焦点距離の増大に伴うレンズの駆動範囲の増大を抑制することが可能になる。したがって、フォーカス制御を高速化することができる。
【0189】
<D.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0190】
たとえば、判定処理における等号成立時には、いずれの分岐処理を行うようにしてもよい。具体的には、条件D1として、SV>TH20ではなく、SV≧TH20を採用するようにしてもよい。あるいは、条件D2として、EN≧N1、且つ、W1≦EW≦W2、などを採用するようにしてもよい。
【0191】
また、上記実施形態においては、合焦制御部29がエッジ成分の評価を行う際にエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWの双方を評価対象としている。具体的には、条件D2として、EN>N1、且つ、W1<EW<W2、を採用している。これは、一般に、画像のエッジ成分は画像の高周波成分であることからノイズの影響を受けやすいという性質を有しているためである。このように、上記実施形態では、エッジ成分に関する異なる指標値として、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWという2つの指標値を用いることにより、ノイズの影響を低減して、より信頼性の高い合焦位置近傍判定を行うように実現しているのである。
【0192】
ただし、これに限定されず、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWのうちの一方のみに基づいて合焦位置近傍判定を行うようにしてもよい。たとえば、エッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示すこと(EN>N1)のみを条件D2として採用してもよい。なお、エッジ幅重心値EWはエッジ数ENに比べて合焦位置近傍でノイズの影響を受けやすくなるので、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWのうちの一方を評価対象とする場合には、エッジ数ENを評価対象とすることが好ましい。
【0193】
また、上記実施形態においては、コントラスト値Cだけでなく、エッジ数およびエッジ幅等をも考慮して、複数の合焦評価領域FRiの中から対象エリアを選択する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、エッジ数およびエッジ幅等を考慮せずに、コントラスト値Cを考慮して対象エリアを選択するようにしてもよい。
【0194】
さらに、上記実施形態においては、高速スキャンルーチンと近傍スキャンルーチンとを組み合わせてオートフォーカス制御を行っているが、これに限定されない。ただし、上記実施形態のように両ルーチンを組み合わせることによれば、より高速なオートフォーカス制御を実現することが可能になる。
【0195】
また、上記実施形態においては、図15のステップS34,S35において、コントラスト値がピークを越えたか否かを判定しているが、このような判定処理の代わりに一定回数のピッチ駆動を行った後に、ピークを検出するようにしてもよい。
【0196】
また、上記実施形態においては、近傍スキャンルーチンにおいて、対象エリアのコントラスト値Cに基づいてフォーカス制御を行う場合について例示したが、これに限定されない。たとえば、対象エリアのコントラスト値Cを考慮せず、対象エリアのエッジ数EN(およびエッジ幅重心値EW)に基づいて、フォーカス制御を行うようにしてもよい。ただし、一般に、エッジ成分はノイズの影響を受けやすいのに対してコントラスト値はノイズの影響を受けにくいため、合焦位置近傍ではコントラスト値に基づいて合焦状態の評価を行うことが好ましい。合焦位置近傍に到達すれば擬合焦の発生可能性は少なくなるので、合焦位置近傍ではコントラスト値Cに基づいてフォーカス制御を行うことにより、さらに高精度に合焦位置を特定することが可能である。
【0197】
また、上述したオートフォーカス制御部20はオートフォーカス制御を行うためのオートフォーカス装置としても機能し、カメラ等の撮影装置に適用されれば、複数の合焦評価領域の中から適切に対象エリアを選択し、疑似ピークを合焦位置として誤認識することのない適切なオートフォーカス制御を行うことが可能になる。そのため、上述したオートフォーカス制御部20はデジタルカメラ1以外の装置に対しても適用することが可能である。
【0198】
さらに、上記実施形態においては、シャッタボタンが半押し状態とされたタイミングでオートフォーカス制御を行う場合を例示したが、オートフォーカス制御を行うタイミングはそれに限定されるものではない。たとえば、撮影時のライブビュー画像の表示時において常にオートフォーカス制御を行うようにしてもよい。
【0199】
また、上記実施形態においては、その焦点距離を変更可能な撮影レンズとして、ズーム式の撮影レンズ11(ズームレンズないしズーム式レンズ)を例示したがこれに限定されない。例えば、撮影レンズとして多焦点レンズを用いるようにしてもよい。
【0200】
さらに、上記実施形態においては、制限付き高速スキャンルーチン(ステップS30Bなど)でのスキャン範囲の制限範囲は、上限と下限との両方を制限するようにしていたが、これに限定されず、一方のみを制限するようにしてもよい。具体的には、撮影倍率換算値が所定値(たとえば、1/200)より小さくなる範囲を、スキャン範囲から除外するように制限してもよい。
【0201】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が含まれている。
【0202】
(1)請求項1に記載の撮像装置において、
前記所定の条件は、いずれかの合焦評価領域が肌色領域であるという条件であることを特徴とする撮像装置。
【0203】
(2)前記(1)に記載の撮像装置において、
前記肌色情報は、肌色画素数であり、
前記所定の条件は、いずれかの合焦評価領域の肌色画素数が所定の閾値よりも大きいという条件であることを特徴とする撮像装置。
【0204】
(3)請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定の条件が満たされるときには、前記光学部材の駆動可能範囲のうち、合焦被写体の撮影倍率が所定値より小さくなる範囲を、前記スキャン範囲から除外することを特徴とする撮像装置。これによれば、人物被写体撮影時において、フォーカス用の光学部材のスキャン範囲をさらに的確に制限することができる。
【0205】
(4)請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮影レンズは、その焦点距離を変更することが可能なレンズであり、
前記撮影装置は、前記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、検出された前記焦点距離に基づいて、前記光学部材の駆動範囲を制限するか否かを決定することを特徴とする撮像装置。これによれば、人物撮影時であるか否かをより的確に判定した上で、フォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0206】
(5)請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記スキャン範囲の境界値を規定する撮影倍率換算値を前記焦点距離に応じて変更することによって、前記スキャン範囲の制限範囲を変更することを特徴とする撮像装置。これによれば、撮影状況を考慮した上で、フォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0207】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし請求項5に記載の発明によれば、肌色情報に関して所定の条件が満たされる場合には、フォーカス用の光学部材のスキャン範囲が制限されるので、高速なフォーカス制御を行うことが可能である。また、肌色情報を考慮しているので、人物被写体撮影時において、光学部材のスキャン範囲を的確に制限することができる。
【0208】
特に、請求項2に記載の発明によれば、人物被写体撮影時において、フォーカス用の光学部材のスキャン範囲をさらに的確に制限することができる。
【0209】
また、請求項3に記載の発明によれば、複数の合焦評価領域を用いる場合においても、フォーカス制御を高速に行うことができる。
【0210】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、制限を伴ったスキャン動作で合焦位置が特定できないときでも、撮影レンズを合焦位置へとより確実に移動させることが可能になる。
【0211】
また、請求項5に記載の発明によれば、スキャン範囲の制限範囲が焦点距離に応じて変更されるので、効率的にフォーカス制御の高速化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】合焦評価領域の一例を示す図である。
【図3】UV平面における肌色画素の分布状態を示す図である。
【図4】コントラスト演算部の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】コントラスト値の変化の一例を示す図である。
【図6】エッジ演算部の詳細構成を示すブロック図である。
【図7】エッジ演算部における演算処理の概念を示す図である。
【図8】レンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。
【図9】エッジ幅のヒストグラムを示す図である。
【図10】レンズ位置とエッジ幅重心値との関係を示す図である。
【図11】撮影倍率を説明する図である。
【図12】オートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図13】オートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図14】レンズ微小駆動ルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図15】全域対象高速スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図16】制限付き高速スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図17】近傍スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図18】高速スキャンルーチンにおける駆動の様子を示す図である。
【図19】第2実施形態に係るオートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図20】第2実施形態に係るオートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図21】第3実施形態に係るオートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
10 撮影機能部
11 撮影レンズ
12 フォーカシングレンズ
12z ズームレンズ
20 オートフォーカス制御部
C コントラスト値
EN エッジ数
EW エッジ幅重心値
FRi 合焦評価領域
PP 現在位置
RX 制限範囲
SV 肌色画素数
f 焦点距離
x レンズ位置
β 撮影倍率
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラなどの撮像装置に関し、詳細にはそのオートフォーカス制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、デジタルカメラにおけるオートフォーカス制御では、被写体を撮影して得られる画像信号より、画像のコントラストを検出し、そのコントラスト値がピークを示すレンズ位置に撮影レンズを駆動することで、画像を合焦状態に導く方法が用いられている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
この方法は、主被写体の画像がぼけた状態であると画像のコントラストは低く、主被写体の画像が合焦状態に近づくにつれて次第にコントラストが上昇し、完全な合焦状態となったところでコントラストが最大になるという原理に基づくものである。そのため、このオートフォーカス制御においては、撮影レンズを所定ピッチで駆動しつつ各レンズ位置においてコントラストの検出を行い、コントラストがピークを示すレンズ位置を撮影レンズの合焦位置として特定し、その合焦位置に撮影レンズ(より厳密にはフォーカシングレンズ)を移動させるような制御形態が採用されている。このような制御形態は、フォーカシングレンズを移動させながら、コントラストなどのAF用の評価値が最適化(多くの場合、最大化)される位置を撮影レンズの合焦位置として特定することから、「コントラスト方式(ないし山登り方式)」と称せられているものである。
【0004】
また、人物を検出してオートフォーカスを行う技術として、特許文献1,2に記載の技術が存在する。特許文献1,2では、画像内の肌色領域を検出することによって人物を検出している。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−121332号公報
【特許文献2】
特開平11−146405号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来のオートフォーカス制御技術においては、たとえばフォーカシングレンズの位置が合焦位置から遠い場合には、そのスキャン範囲が広くなる。そして、その広いスキャン範囲にわたって所定のピッチで合焦状態を確認しながらフォーカシングレンズが駆動されるため、合焦までの時間が長くなってしまうという問題がある。また、このような問題は、人物の撮影時においても生じる。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、オートフォーカス制御の高速化を図ることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、被写体の光像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影光学系のフォーカス制御を行う撮像装置であって、前記画像内に設定された少なくとも1つの合焦評価領域における合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記撮影光学系のフォーカス用の光学部材を駆動する駆動手段と、前記光学部材のスキャン動作に伴って取得される前記評価値に基づいて、前記撮影光学系のフォーカス制御を行う制御手段と、前記少なくとも1つの合焦評価領域における肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記肌色情報に関する所定の条件が満たされる場合には、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記光学部材のスキャン範囲を制限することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る撮像装置において、前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記スキャン範囲を、撮影倍率換算値が1/200以上且つ1/8以下となる範囲の全部又は一部に制限することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る撮像装置において、前記少なくとも1つの合焦評価領域は、複数の合焦評価領域を含み、前記所定の条件は、前記複数の合焦評価領域のうち少なくとも1つの領域が肌色領域であると判定されるという条件であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る撮像装置において、前記制御手段は、前記所定条件が満たされる場合であっても、前記スキャン範囲の制限を伴ったスキャン動作では合焦位置が特定できないときには、前記スキャン範囲の制限を外してスキャン動作を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る撮像装置において、前記撮影レンズは、その焦点距離を変更することが可能なレンズであり、前記撮影装置は、前記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記焦点距離に応じて前記スキャン範囲の制限範囲を変更することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<A.第1実施形態>
<A1.構成>
<構成概要>
図1はこの発明にかかるオートフォーカス装置が適用されたデジタルカメラ1(撮像装置)の構成を示すブロック図である。
【0015】
デジタルカメラ1は、被写体を撮影するための撮影機能を実現する撮影機能部10と、撮影機能部10において撮影動作が行われて生成される画像信号を入力して、撮影レンズ11のフォーカス制御を行うオートフォーカス制御部20と、レンズ位置検出部30と、撮影機能部10及びオートフォーカス制御部20などを含むデジタルカメラ1の全体的な動作を制御する全体制御部50と、シャッタボタン等の操作ボタンを含む操作部60と、オートフォーカス制御部20からの制御信号に基づいて撮影レンズ11を駆動するレンズ駆動部70とを備えて構成される。
【0016】
撮影機能部10は、撮影レンズ11、撮影レンズ11を介して入射する被写体像を光電変換して画像データ(画素ごとの画素データの配列からなるデータ)を生成するCCD撮像素子13、CCD撮像素子13からの画像データを一時的に格納するための画像メモリ14、画像メモリ14から得られる画像データに対して色変換処理や画像圧縮処理等の所定の画像処理を行う画像処理部15、画像処理部15において画像表示用の画像処理が施された表示用画像を表示する液晶表示部16、及び、画像処理部15において画像記録用の画像処理が施された撮影画像を記録する記録メディア17、を備えて構成される。
【0017】
また、撮影レンズ11は、フォーカシングレンズ12とズームレンズ12zとを備える。両レンズ12,12zは、それぞれ独立して、レンズ駆動部70の駆動によって光軸方向に沿って移動可能である。フォーカシングレンズ12の光軸方向の移動によって被写体の合焦状態を調節することが可能であり、ズームレンズ12zの光軸方向の移動によって被写体の撮影倍率を調節することが可能である。また、フォーカシングレンズ12の位置およびズームレンズ12zの位置は、レンズ位置検出部30によって検出される。
【0018】
なお、図1では、簡単化のため、フォーカシングレンズ12は、1枚のレンズ要素で構成されるものとして示しているが、これに限定されず、複数のレンズ要素で構成されるものであってもよい。ズームレンズ12zについても同様である。また、複数のレンズ要素で構成される場合には、フォーカシングレンズ12の位置は、代表的あるいは仮想的な1枚のレンズ要素の位置として表すことができる。ズームレンズ12zの位置についても同様である。
【0019】
撮影機能部10は、全体制御部50の制御によって、本撮影前にライブビュー画像を液晶表示部16に表示させるためのライブビュー画像撮影動作と、シャッタボタンが全押しされたときに記録メディア17に記録するための画像撮影を行う本撮影動作とを行うように構成される。なお、ライブビュー画像撮影動作時には、本撮影動作時に比べて画像処理部15において比較的簡単な画像処理が施される。また、液晶表示部16がオフ状態であったとしても、少なくともオートフォーカス制御時にはCCD撮像素子13による撮影動作が行われる。
【0020】
また、オートフォーカス制御部20は、画像の合焦状態を評価するために予め設定された複数の合焦評価領域(以下、「AFエリア」とも称する)に基づいて画像メモリ14から合焦評価領域の画像成分を抽出する合焦評価領域抽出部21と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像のコントラスト値Cを求めるコントラスト演算部22と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像のエッジ成分に関する演算を行い、エッジ数ENとエッジ幅重心値EWを求めるエッジ演算部23と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像の肌色画素数を求める肌色画素数演算部24と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて対応被写体の撮影倍率βを求める撮影倍率演算部25と、コントラスト値C、エッジ数EN、エッジ幅重心値EW、肌色画素数SV、および撮影倍率βに基づいて画像の合焦状態を判定し、撮影レンズ11の合焦位置を特定するとともに、レンズ駆動部70に対してレンズ駆動のための制御信号を送出する合焦制御部29とを備えて構成される。なお、オートフォーカス制御部20における上記各部の機能は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現されるように構成してもよい。
【0021】
全体制御部50は、例えばシャッタボタンが半押し状態にされたときに合焦評価領域の画像成分が適切な合焦状態となるようにオートフォーカス制御部20を機能させ、全押し状態にされたときに撮影機能部10において本撮影動作を行うように制御する。また、全体制御部50は本撮影前にはライブビュー画像撮影動作として撮影機能部10において逐次画像撮影を行わせ、逐次更新される画像を液晶表示部16に表示させたり、オートフォーカス制御部20に与えるように制御する。
【0022】
レンズ駆動部70はオートフォーカス制御部20の合焦制御部29から与えられる制御信号に基づいてフォーカシングレンズ12を例えば遠側から近側に向けて移動させる。このときの駆動ピッチは合焦制御部29によって指定される。そしてオートフォーカス制御部20において合焦評価領域の画像成分が合焦状態となるレンズ位置(合焦位置)が特定され、レンズ駆動部70が合焦制御部29よりその合焦位置が指定された場合には、その指定されたレンズ位置にフォーカシングレンズ12を移動させて合焦評価領域の画像成分が合焦した状態の画像をCCD撮像素子13に結像させる。
【0023】
以上のような構成のデジタルカメラ1においてオートフォーカス制御を行う際には、フォーカシングレンズ12が駆動されるごとにオートフォーカス制御部20において合焦評価領域の画像成分から画像のコントラストを評価するだけでなく、その画像成分のエッジ成分からフォーカシングレンズ12が合焦位置の近傍にあるか否かを判断し、エッジ成分からフォーカシングレンズ12が合焦位置近傍にないと判断される場合には、コントラストがピークを示す場合であってもそのピーク位置を合焦位置に採用しないように構成される。また、複数の合焦評価領域の中から、撮影レンズのフォーカス制御の対象となるエリア(以下、「対象エリア(ないし対象領域)」とも称する)が選択され、この対象エリアの情報(コントラスト値など)に基づいてオートフォーカス制御が行われる。なお、対象領域は、「合焦動作に用いるべき合焦評価領域」とも表現することができる。
【0024】
<合焦評価領域>
図2(a)は複数の合焦評価領域の一例を示す図である。ここでは、合焦評価領域FRとして、7つの合焦評価領域FR1〜FR7が例示されている。画像G1は、CCD撮像素子13の撮影動作によって得られる画像である。
【0025】
この実施の形態では、図2(a)に示すように画像G1のほぼ中央部分に合焦評価領域FR1〜FR7が設定され、オートフォーカス制御部20においてはこの合焦評価領域FR1〜FR7に含まれる画像成分に基づいて、画像のコントラスト及びエッジ成分などが評価される。なお、図2(a)に示す合焦評価領域FR1〜FR7は一例であり、実際にデジタルカメラ1等に適用する際には他の合焦評価領域を設定してもよい。また、複数の合焦評価領域は、互いに重ね合わせられて設けられてもよい。たとえば、図2(b)に示すように、複数の合焦評価領域FR1〜FR11が、その一部が互いに重ね合わせられた状態で設けられてもよい。ただし、肌色領域演算の処理負荷の増大を抑制するため、合焦評価領域FRiの合計面積(合計画素数)は画像全体領域の面積(画素数)よりも小さいことが好ましい。
【0026】
合焦制御部29は、これらの複数の合焦評価領域FRi(i=1,...,K;ここではK=7)関する評価値(コントラスト値等)に基づいて撮影レンズのフォーカス制御を行う。
【0027】
オートフォーカス制御部20においては、まず、合焦評価領域抽出部21が画像メモリ14に格納された画像から複数の合焦評価領域FRiに対応する画像成分を抽出する。
【0028】
CCD撮像素子13は、いわゆるベイヤー配列の画素配列構造となっており、CCD撮像素子13で撮影動作が行われると、ベイヤー配列に従った全画面分のR(赤),G(緑),B(青)各色成分の画素データが画像メモリ14に格納される。
【0029】
このため、合焦評価領域抽出部21が合焦評価領域FRiの画像成分を抽出する際には、合焦評価領域FRiに対応する各色成分の画素データを抽出することになる。
【0030】
そして、合焦評価領域抽出部21によって抽出された画像成分は、コントラスト演算部22、エッジ演算部23、および肌色画素数演算部24に与えられる。コントラスト演算部22によりコントラスト値Cが算出され、エッジ演算部23によりエッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWが算出され、肌色画素数演算部24により肌色画素数SVが算出される。また、撮影倍率演算部25は、合焦状態と判定されるときのフォーカシングレンズの位置などに基づいて、各合焦評価領域FRiに関する対応被写体の撮影倍率βを算出する。
【0031】
つぎに、これらの各値C,EN,EW,SV,βおよび各値の算出動作等について説明する。
【0032】
<肌色画素数および肌色エリア>
まず、肌色画素数SVについて説明する。
【0033】
肌色画素数演算部24は、色成分(R,G,B)の画素データを次の数1に基づいて別の色空間表現(Y,U,V)に変換し、変換後のUV空間の所定範囲内にある画素を肌色画素として検出する。
【0034】
【数1】
【0035】
より具体的には、肌色画素数演算部24は、肌色画素に対応する(U,V)の組合せがUV空間における第2象限の所定範囲内に存在するという性質を利用して、肌色画素を検出する。詳細には、肌色画素数演算部24は、その(U,V)の組合せが領域RAおよび領域RB(図3参照)の少なくとも一方に存在する画素を、肌色画素として検出する。ここで、図3に示すように、領域RAは、TH14<U<TH12、且つ、TH16<V<TH18、を満たす矩形領域であり、領域RBは、TH13<U<TH11、且つ、TH15<V<TH17、を満たす矩形領域である。領域RAおよび領域RBの和領域(領域RAおよび領域RBの両方を包含する領域)は、UV平面における肌色領域を近似した領域に相当する。このような近似を用いることにより、合焦評価領域FRiの各画素が肌色画素であるか否かを的確かつ高速に検出することができる。
【0036】
そして、合焦制御部29は、各合焦評価領域FRi内の肌色画素数SVが所定の閾値TH20よりも大きい(SV>TH20)ときに、その合焦評価領域FRiが肌色成分を多く含む領域(以下、「肌色エリア(ないし肌色領域)」とも称する)であると判定する。言い換えれば、各合焦評価領域FRi内の全画素に対する肌色画素数の割合が所定の閾値よりも大きくなると、その合焦評価領域FRiは肌色エリアと判定される。このように、合焦制御部29は、SV>TH20という条件D1を満たす領域を肌色エリアとして判定する。
【0037】
また、合焦制御部29は、複数の合焦評価領域FRiの中に肌色エリアが存在するか否かに応じてフォーカス制御を変更する。この実施形態においては、この肌色エリアの有無に加えて、条件D2(後述)等をも考慮してフォーカス制御を行う。
【0038】
具体的には、合焦制御部29は、少なくとも1つの肌色エリアが存在する場合には、その少なくとも1つの肌色エリアのうち条件D2(後述)を満たすものが存在することを条件に、主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。これにより、肌色の被写体(主被写体)と肌色でない被写体(非主被写体)とが存在する場合において、肌色でない被写体(非主被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減して、肌色の人物をより的確に合焦状態にすることができる。また、肌色エリアが存在する場合であって条件D2が満たされない場合には、後述するように、スキャン範囲を制限した高速スキャンルーチンを実行する。これによりオートフォーカス制御の一層の高速化を図ることができる。
【0039】
一方、複数の合焦評価領域FRiのうち1つも肌色エリアが存在しない場合には、条件D2(後述)を満たす合焦評価領域FRiが存在するときにのみ主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。これにより、人物以外のみを被写体とする場合において、その被写体をより的確に合焦状態にすることができる。
【0040】
<コントラスト値>
次に、コントラスト値Cについて説明する。
【0041】
コントラスト演算部22は、図4に示すような構成となっている。すなわち、コントラスト演算部22は、注目画素と、その注目画素の近隣に位置し且つ注目画素と一定の位置関係を有する画素との差分絶対値を求める差分演算部221、及び、その差分演算結果を累積加算していく累積加算部222、を備えて構成される。差分演算部221は合焦評価領域FRiに含まれる全ての画素が注目画素として選択されるまで演算を行い、累積加算部222は合焦評価領域FRiに含まれる各画素が注目画素として選択されたときに求められる差分絶対値を順次累積加算していき、最終的に合焦評価領域FRiについてのコントラスト値Cを求める。
【0042】
なお、コントラスト演算部22においてコントラスト値Cを求める際には、画像メモリ14から得られるR,G,Bの各色成分の画素データに基づいて演算を行うようにしてもよいし、また、R,G,Bの各色成分の画素データから一旦輝度データを生成し、その輝度データに基づいて演算を行うようにしてもよい。
【0043】
図5は、フォーカシングレンズ12のレンズ位置を遠側から近側に移動させた場合に、各レンズ位置において撮影される画像からコントラスト演算部22がコントラスト値Cを求めた場合のコントラスト値Cの変化を示す図である。図5に示すように、コントラスト値Cは合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態となるときに最大値を示す。このため、図5に示すコントラスト曲線においては、レンズ位置PAが合焦位置となる。
【0044】
また、図5に示すように、レンズ位置PBにおいてコントラスト値Cの疑似ピークが発生している。この疑似ピークは、たとえば、手ぶれ等のために瞬間的に別の被写体が画像中に含まれるなどの原因によって生じるものである。一般に、コントラスト方式のオートフォーカス制御を行う場合においてコントラスト値Cが一定値C1よりも小さい場合にはローコントラストであると判断してそのようなピーク位置を合焦位置と特定することはないが、疑似ピークが一定値C1以上の値を示している場合には、そのような疑似ピークを誤って合焦位置と判断する可能性がある。
【0045】
このような疑似ピークに起因する悪影響は、次述するエッジ成分を考慮することによって低減することができる。この実施の形態では、上記のような疑似ピークを誤って合焦位置と判断することがないようにするために、エッジ演算部23においてエッジ成分に関する演算が行われる。
【0046】
<エッジ数、エッジ幅重心値>
次に、エッジ数EN、エッジ幅重心値EWについて説明する。
【0047】
図6はエッジ演算部23の構成を示すブロック図である。エッジ演算部23は合焦評価領域FRiの画像成分について水平方向に隣接画素間での差分値を求めることによってエッジ成分が存在するか否かを判定し、エッジ成分が存在する場合にはそのエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを求めるように構成される。このため、エッジ演算部23は、差分演算部231、エッジ幅検出部232、エッジ数カウント部233、ヒストグラム作成部234、及びエッジ幅重心値演算部235を備える。
【0048】
図7はエッジ演算部23における演算処理の概念を示す図である。なお、図7において画素X1〜X9は合焦評価領域FRiにおいて水平方向に連続して配置される画素を示している。
【0049】
差分演算部231は水平方向に隣接する画素の各色成分の画素データを入力すると、その画素に対応する輝度値を求め、その直前の画素の輝度値との差分値を求める。例えば、図7において差分演算部231が画素X2についての各色成分の画素データを入力すると、画素X2の輝度値を求め、画素X1の輝度値と画素X2の輝度値との差分値(X2−X1)を求める。
【0050】
このときの差分演算は、例えば、注目画素の輝度値からその直前の画素の輝度値を減算するという演算が行われ、演算結果となる差分値の符号が正であれば右肩上がりのエッジ成分が検出され、負であれば右肩下がりのエッジ成分が検出されることになる。ただし、この実施の形態では最終的にエッジ数ENとエッジ幅重心値EWとを求めればよく、各エッジ成分が右肩上がりか右肩下がりかを厳密に区別する必要はない。
【0051】
そして差分演算部231は画素X3についての画素データを入力すると、その輝度値を求めて、画素X3の輝度値と画素X2の輝度値との差分値を求める。以後、差分演算部231は、水平方向に分布する画素X4,X5,X6,…の画素データを順次入力する都度、輝度値の算出演算を行うとともに、その画素の輝度値とその直前の画素の輝度値との差分演算処理を行う。
【0052】
差分演算部231で算出される差分値はエッジ幅検出部232に与えられる。エッジ幅検出部232には、第1の閾値TH1と第2の閾値TH2とが予め設定されている。第1の閾値TH1は隣接画素間での差分値がエッジ成分を構成するか否かを判断するための閾値であり、第2の閾値TH2はそのエッジ成分が十分な強度を有しているか否かを判断するための閾値である。
【0053】
エッジ幅検出部232は、差分演算部231から輝度値の差分値が得られると、その差分値と閾値TH1とを比較する。この結果、差分値が閾値TH1以上であれば、その画素はエッジ成分を構成するものとしてエッジ幅カウント値を1だけ増加させる。例えば、図7に示す画素X4と画素X3との差分値を入力した場合、その差分値は閾値TH1を超えているため、エッジ幅検出部232はエッジ幅カウント値を1だけ増加させる。以後同様の処理を繰り返し、画素X5と画素X4との差分値、画素X6と画素X5との差分値、及び、画素X7と画素X6との差分値のそれぞれは、閾値TH1を超えているため、エッジ幅検出部232はそれぞれの判定処理においてエッジ幅カウント値を1だけ増加させることになる。
【0054】
そして、画素X8と画素X7との差分値が得られると、その差分値は閾値TH1よりも小さいため、エッジ成分の終端部であることを認識し、それまでエッジ幅カウント値を増加させてきた、差分値の総和と第2の閾値TH2とを比較する。図7の場合は、画素X7と画素X3との輝度値の差分値が閾値TH2以上であるため、十分な強度を有するエッジ成分であることが検出される。そして、エッジ幅検出部232はそれまでカウントされたエッジ幅カウント値をそのエッジ成分のエッジ幅として特定する。このように隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さくなった場合であってエッジ幅カウント値が1以上である場合には、エッジ成分が検出されていることとなり、そのエッジ成分の強度が所定の強度(閾値TH2)以上であれば、そのエッジ成分を有効なエッジ成分として認識する。
【0055】
一方、隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さくなった場合であってエッジ幅カウント値が1以上である場合であっても、そのエッジ成分の強度が所定の強度(閾値TH2)未満であれば、そのエッジ成分は有効なエッジ成分ではないものと認定する。
【0056】
なお、隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さい場合であってもエッジ幅カウント値が0であれば、エッジ成分が有効であるか否かの判断は行う必要がなく、順次に入力する差分値が閾値TH1以上であるか否かの判定を進めていけばよい。
【0057】
図7の例の場合は、画素X4と画素X3との差分値が得られたときにはじめてエッジ幅カウント値が1となり、その後順次エッジ幅カウント値が増加していき、最終的に画素X8と画素X7との差分値が得られてエッジ成分の終端部が認識されたときにはエッジ幅カウント値は4となっている。そして、画素X3〜X7によって構成されるエッジ成分が閾値TH2を超えているため、該エッジ成分は有効なものとして認識されることになる。
【0058】
そして、エッジ幅検出部232において有効なエッジ成分が検出された場合には、その検出されたエッジ成分のエッジ幅カウント値がヒストグラム作成部234に与えられるとともに、エッジ数カウント部233にエッジ数のカウント指示が与えられる。
【0059】
エッジ幅検出部232はヒストグラム作成部234に対してエッジ幅カウント値を与えると、エッジ幅カウント値を0にリセットし、それ以後に入力する差分値に基づいてエッジ幅検出処理を繰り返すことで、合焦評価領域FRiの画像成分全体について有効なエッジ成分の検出を行う。
【0060】
エッジ数カウント部233は、予めエッジ数カウント値を0に初期化しており、エッジ幅検出部232からエッジ数のカウント指示が与えられる度に、エッジ数カウント値を1だけ増加させていく。これにより、合焦評価領域FRiの画像成分に含まれる有効なエッジ成分を計数していくことが可能になり、最終的にエッジ数ENが出力される。
【0061】
図8はフォーカシングレンズ12の各レンズ位置において得られる画像からエッジ数ENを求めた場合のレンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。図8に示すように、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態にあるときには鮮鋭な画像が得られるため、エッジ数は最大値を示す。このため、フォーカシングレンズ12のレンズ位置PAが合焦位置となる。また、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下し、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなる。このため、ノイズの影響がないものとすると、フォーカシングレンズ12がレンズ位置PC〜PDの範囲内の位置にあるときにはエッジ数ENは0以外の値を示すが、レンズ位置PC〜PDの範囲外の位置にあるときにはエッジ数ENは0となる。
【0062】
また、ノイズの影響をある程度考慮したとしても、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、エッジ数ENは閾値N1より大きな値をとり、合焦状態に近い状態にないときには、エッジ数ENは閾値N1以下の値をとることが多いと考えられる。
【0063】
したがって、エッジ数カウント部233においてカウントされるエッジ数ENの値を参照すれば、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときに、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるか否かを判断することが可能になる。
【0064】
また、ヒストグラム作成部234は、エッジ幅検出部232から得られるエッジ幅カウント値に基づいて、合焦評価領域FRiに含まれるエッジ成分のヒストグラムを作成する。
【0065】
図9はエッジ成分のヒストグラムを示す図である。なお、図9において分布曲線H1は合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときを示しており、また、分布曲線H2は合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にないときを示している。
【0066】
図9に示すように、ヒストグラム作成部234は、エッジ幅検出部232から得られるエッジ幅カウント値に基づいて、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときの画像成分からエッジ幅に関するヒストグラムを作成すると、エッジ幅の分布状態は画像成分の合焦状態に応じた分布を示す。つまり、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、画像の鮮鋭度が増すのでエッジ幅は全体的に小さくなり、エッジ幅の分布状態もエッジ幅の比較的小さい領域に分布することになる。これに対して、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下し、エッジ幅の分布状態はエッジ幅の比較的大きな領域に分布するように移行する。そして、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなるため、エッジ幅分布曲線は全く得られなくなる。
【0067】
ヒストグラム作成部234においてエッジ成分のヒストグラムが作成されると、エッジ幅重心値演算部235が機能し、そのヒストグラムからエッジ幅重心値EWが求められる。エッジ幅重心値演算部235は、エッジ成分のヒストグラム分布に基づいて加重平均演算を行うことにより、エッジ幅の平均値を求め、その結果得られる値をエッジ幅重心値EWとする。
【0068】
例えば、図9の分布曲線H2に示すヒストグラム分布の場合、エッジ幅重心値演算部235は加重平均演算を行うことによってエッジ幅重心値EW2を求める。また、図9の分布曲線H1に示すヒストグラム分布の場合、エッジ幅重心値演算部235は加重平均演算を行うことによってエッジ幅重心値EW1を求める。
【0069】
なお、エッジ幅重心値EW1は、画像成分が合焦状態に近づくにつれて次第に小さくなり、ある値に収束していくこととなる。
【0070】
図10は、フォーカシングレンズ12の各レンズ位置において得られる画像からエッジ幅重心値EWを求めた場合のレンズ位置とエッジ幅重心値との関係を示す図である。図10に示すように、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態にあるときには鮮鋭な画像が得られるため、エッジ幅重心値は極小値を示す。このため、フォーカシングレンズ12のレンズ位置PAが合焦位置となる。また、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下するのでエッジ幅重心値EWは増加し、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなる。つまり、エッジ幅重心値EWとレンズ位置との関係をみると、図10に示すようにエッジ幅重心値EWはM字型特性を示す。
【0071】
このため、ノイズの影響がないものとすると、フォーカシングレンズ12がレンズ位置PE〜PFの範囲内の位置にあるときにはエッジ幅重心値EWは0以外の値を示すが、レンズ位置PE〜PFの範囲外の位置にあるときにはエッジ幅重心値EWは0となる。なお、レンズ位置PEは図8に示したレンズ位置PCにほぼ一致し、レンズ位置PFは図8に示したレンズ位置PDにほぼ一致する。
【0072】
また、ノイズの影響をある程度考慮したとしても、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、エッジ幅重心値EWは閾値W1より大きくかつ閾値W2より小さな値をとり、合焦状態に近い状態にないときには、エッジ幅重心値EWは閾値W1以下又は閾値W2以上の値をとることが多いと考えられる。
【0073】
したがって、エッジ幅重心値演算部235において求められるエッジ幅重心値EWの値を参照すれば、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときに、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるか否かを判断することが可能になる。
【0074】
合焦制御部29は、エッジ演算部23から得られるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWに基づいて合焦評価領域FRiの合焦状態を評価する。
【0075】
合焦制御部29は撮影レンズ11に含まれるフォーカシングレンズ12を段階的に駆動させ、或るレンズ位置における画像内の或る合焦評価領域FRiから導かれるエッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示し、かつ、そのときのエッジ幅重心値EWが所定範囲(図10に示す閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値を示すという条件D2を満たす場合には、そのレンズ位置が合焦位置PAに近い位置にあると判断する。つまり、合焦制御部29は、エッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示し、かつ、そのときのエッジ幅重心値EWが所定範囲(図10に示す閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値を示すという条件が、レンズ位置が合焦位置の近傍にあると判定する条件(合焦位置近傍判定条件)であるとして、合焦位置近傍判定を行うのである。
【0076】
そして合焦位置近傍判定によってレンズ位置が合焦位置PAに近い位置にないと判断した場合には、コントラスト値Cが増加するようなレンズ駆動方向を特定してその方向にフォーカシングレンズ12を高速駆動する。この高速駆動によって、効率的に合焦位置近傍にフォーカシングレンズ12を移動させることができ、効率的にオートフォーカス制御を行って合焦評価領域FRiの画像成分を迅速に合焦状態に導くことが可能になる。
【0077】
上記のような構成により、合焦評価領域抽出部21はフォーカシングレンズ12が或るレンズ位置にあるときの画像信号から合焦評価領域の画像成分を抽出し、そしてコントラスト演算部22はその画像成分に基づいてコントラスト値Cを求めて、合焦制御部29に与えることができる。また、エッジ演算部23はその画像成分に基づいてエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを求め、合焦制御部29に与えることができる。そして合焦制御部29は、エッジ演算部23から得られるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWに基づいてフォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断し、合焦位置近傍に位置しないと判断される場合にはコントラスト値Cがピークを示していてもそのレンズ位置を合焦位置として採用しないように実現される。
【0078】
この結果、疑似ピークを示すレンズ位置が合焦位置として誤検知されることを良好に防止することが可能になる。これは、デフォーカス量が大きい場合にはエッジ成分が検出されない、という性質を利用するものである。より具体的には、デフォーカス量が大きい場合には、エッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWが、それぞれ、ゼロないし非常に小さな値となるため、合焦位置近傍に位置すると判断するための条件が満たされなくなるのである。
【0079】
<撮影倍率およびスキャン範囲>
つぎに、撮影倍率β、およびその撮影倍率βを用いたスキャン範囲の制限について説明する。
【0080】
撮影倍率βは、図11に示すように、レンズによってできる像の大きさy1と物体の大きさy2との比であり、被写体距離(被写体までの距離、あるいは撮影距離とも称する)Lとレンズの焦点距離fとを用いて次の数2で表される。
【0081】
【数2】
【0082】
ここで、レンズの焦点距離fは、撮影レンズ11に含まれるズームレンズの位置に応じて求められる。ただし、レンズ焦点距離fは、35mmフィルム換算値で表すものとする。
【0083】
なお、撮影倍率βを求める際には、まず焦点距離fを求めた上で次のようにしてさらに被写体距離Lを求め、その焦点距離fと被写体距離Lと数2に代入すればよい。被写体距離Lは、合焦状態(ないし合焦状態近傍)におけるフォーカシングレンズ12の光軸方向における位置(合焦位置)を求めるとともに、フォーカシングレンズ12の位置xと被写体距離Lとの1対1の対応関係(x=func(L))が規定されたテーブル等を用いることによって、求められる。また、合焦状態(ないし合焦状態近傍)であるか否かは、コントラスト値C、エッジ数EN、エッジ幅重心値EWを用いて判定すればよい。たとえば、コントラスト値Cの変化曲線のピークに対応するフォーカシングレンズ位置を合焦位置として用いることができる。あるいは、上記の条件D2を満たすAFエリアは合焦状態であるとみなして、そのときのフォーカシングレンズの位置を合焦位置として用いて同様に求めてもよい。
【0084】
ところで、人物撮影を行う際には、画面内における人物の大きさが適度のものとなるような撮影倍率が用いられることが多い。言い換えれば、人物撮影時の撮影倍率βは、所定の範囲(βmin≦β≦βmax)であることが多い。そのため、人物撮影の場合には、数2による撮影倍率換算値(後述)で表現される所定の範囲内にフォーカシングレンズ12が移動したときに、被写体である人物が合焦状態となることが多いことになる。
【0085】
そこで、この実施形態においては、このような特性を利用し、合焦制御部29は、人物撮影時には、オートフォーカス制御時のフォーカシングレンズ12の駆動範囲(より詳細にはスキャン範囲)を、駆動可能範囲の全域のうち一部の範囲に制限する。具体的には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲を、合焦状態の被写体(合焦被写体)の撮影倍率βが所定範囲内の値となる(βmin≦β≦βmax)ようなレンズ位置範囲(以下、「制限範囲」とも称する)RXに制限して、スキャン動作を行う。なお、人物撮影時であるか否かは、たとえば、上述したように、肌色エリアが存在するか否かによって判定することができる。
【0086】
より具体的には、肌色情報に関して所定の条件が満たされるとき(より詳細には、上記の条件D1が満たされるとき)には、フォーカス用の光学部材であるフォーカシングレンズ12のスキャン範囲は所定の範囲RXに制限される。これにより、全域を駆動する場合に比べて高速なフォーカス制御を行うことが可能である。また、肌色情報を考慮しているので、人物被写体撮影時において、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲を的確に制限することができる。さらに、所定の範囲RXとしては、被写体の撮影倍率βが所定の範囲(βmin≦β≦βmax)となるような範囲(すなわち、人物撮影時の撮影倍率に対応する範囲)が採用される。これによれば、人物被写体撮影時において、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲をさらに的確に制限することができる。
【0087】
ここで、値βmin,βmaxは、それぞれ、人物撮影で用いられることが多い撮影倍率βの下限値、上限値である。具体的には、値βminは、1/200とすることが好ましく、1/120とすることがさらに好ましい。また、値βmaxは、1/8とすることが好ましく、1/10とすることがさらに好ましい。
【0088】
なお、例えば焦点距離fが40mm(35mmフィルム換算値)の場合には、被写体距離Lが8000mm(8m)のときにβ=1/200となり、被写体距離Lが320mmのときにβ=1/8となり、被写体距離Lが4800mm(4.8m)のときにβ=1/120となり、被写体距離Lが400mmのときにβ=1/10となる。また、例えば焦点距離fが100mm(35mmフィルム換算値)の場合には、被写体距離Lが20000mm(20m)のときにβ=1/200となり、被写体距離Lが800mmのときにβ=1/8となり、被写体距離Lが12000mm(12m)のときにβ=1/120となり、被写体距離Lが1000mmのときにβ=1/10となる。
【0089】
また、詳細には、フォーカシングレンズ12の制限範囲RXの境界値は、次のようにして求められる。
【0090】
まず、撮影倍率βの各境界値(βminまたはβmax)と撮像時の焦点距離fとを数2(より詳細には、数2を被写体距離Lについて解いた式)に代入することによって撮像対象の被写体距離の境界値(LmaxまたはLmin)を求める。すなわち、数2の関係を用いて焦点距離と被写体距離とから撮影倍率を求めるのではなく、数2の関係を用いて撮影倍率(各境界値)と焦点距離とから被写体距離(各境界値)を求めるのである。
【0091】
次に、その被写体を合焦状態とするフォーカシングレンズ12の光軸方向における位置xと被写体距離Lとの1対1の対応関係(x=func(L))に基づいて、被写体距離の境界値(LmaxまたはLmin)に対応するフォーカシングレンズ12の制限範囲RXの境界値を算出する。
【0092】
これにより、フォーカシングレンズ12の制限範囲RXの2つの境界値を得ることができる。制限範囲RXは、これらの2つの境界値で挟まれる範囲として規定される。
【0093】
このように、レンズ位置xに関する制限範囲RXは、(位置xと被写体距離との間の対応関係、および数2などを介して)撮影倍率βの範囲で規定されることになる。すなわち、フォーカシングレンズ12の制限範囲RXは、撮影倍率βによる換算値(「撮影倍率換算値」)で規定されるとも表現される。
【0094】
<A2.動作>
<初期動作等>
次に、上記のような構成のデジタルカメラ1においてオートフォーカス制御を行う際の処理シーケンスについて、図12〜図17などを参照して説明する。図12〜図17はオートフォーカス制御の処理シーケンスを示すフローチャートである。図12,図13は、オートフォーカス制御の全体の流れを示すフローチャートであり、図14〜図17は、それぞれ、その一部の流れを示す図である。
【0095】
まず、シャッタボタンが半押し状態(状態S1とも称する)にされてオートフォーカス制御が開始されると、オートフォーカス制御部20は撮影レンズ11内のフォーカシングレンズ12をレンズ初期位置に移動させ、そのレンズ初期位置においてCCD撮像素子13から得られる画像からコントラスト値を求める。
【0096】
そして、レンズ微小駆動ルーチン(ステップS10)が実行される。具体的には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12をレンズ初期位置から近側に12Fδ分移動させる方向判定駆動を行う(図14、ステップS11)。ここで、Fは撮影レンズ11のFナンバであり、δはいわゆる許容錯乱円であり、デジタルカメラ1の場合はCCD撮像素子13の1〜2画素間のピッチに相当する。そしてオートフォーカス制御部20は、そのレンズ位置においてCCD撮像素子13から得られる画像からコントラスト値を求める。
【0097】
なお、ステップS11においてコントラスト値を求める際には、オートフォーカス制御部20においてコントラスト演算部22が機能することになる。また、方向判定駆動量は12Fδ分に限るものではない。
【0098】
次に、オートフォーカス制御部20において合焦制御部29が機能し、レンズ初期位置におけるコントラスト値と12Fδ駆動後のレンズ位置におけるコントラスト値とを比較してフォーカシングレンズ12のレンズ駆動方向を決定する(ステップS12)。すなわち、レンズ初期位置におけるコントラスト値と12Fδ駆動後のレンズ位置におけるコントラスト値とのうちのコントラスト値が大きくなる方向にフォーカシングレンズ12の合焦位置が存在するものと推定し、コントラスト値が大きくなる方向をレンズ駆動方向として決定する。
【0099】
続いて、オートフォーカス制御部20はレンズ駆動形態を決定する(ステップS13,S14,S21〜S23)。レンズ駆動形態には、フォーカシングレンズ12の合焦位置を検出するためにフォーカシングレンズ12を微小駆動させる駆動形態と、フォーカシングレンズ12を粗いピッチで高速駆動することによってフォーカシングレンズ12を合焦位置近傍に高速移動させる駆動形態とがある。
【0100】
オートフォーカス制御部20のエッジ演算部23は、その時点で得られる画像に基づいて、各合焦評価領域FRiにおけるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを算出する(ステップS13)。また、肌色画素数演算部24は、その時点で得られる画像に基づいて、各合焦評価領域FRiにおける肌色画素数SVを算出する(ステップS14)。
【0101】
その後、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断する(ステップS21〜S23)。
【0102】
具体的には、まず、複数の合焦評価領域FRiの中で「肌色エリア」が存在するか否かが判定される(ステップS21)。より詳細には、上述したように、その肌色画素数SVが所定の閾値TH20よりも大きい(SV>TH20)という条件D1を満たす合焦評価領域FRiは、肌色エリアであると判定される。
【0103】
このような肌色エリアが少なくとも1つ存在するときにはステップS22に進み、肌色エリアが1つも存在しないときにはステップS23に進む。
【0104】
ステップS22においては、高速スキャンルーチン(ステップS30AまたはステップS30B)に移行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。
【0105】
具体的には、「肌色エリア(すなわち、条件D1を満たす合焦評価領域FRi)」のうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たすものが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体(より正確には被写体の画像)が合焦状態に近いと判定し、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。上述したように、条件D2は、エッジ数ENが所定値N1より大きな値であり、かつ、エッジ幅重心値EWが所定範囲(閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値であるという条件である。
【0106】
一方、肌色エリアは存在するにもかかわらず、いずれの肌色エリアも条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近くないものと判定し、ステップS24を経由して、高速スキャンルーチン(ステップS30AまたはステップS30B)へ進む。
【0107】
このように、肌色エリアが存在する場合において、近傍スキャンルーチンへ進むのは、条件D2を満たす肌色エリアが存在するときのみである。そして、肌色エリアが存在する場合には、「肌色エリア以外の合焦評価領域」(以下、非肌色エリアとも称する)のみが条件D2を満たすときであっても、近傍スキャンルーチンには進まず、高速スキャンルーチンに進む。すなわち、非肌色エリアの情報を基準にして近傍スキャンルーチンに進むことがないので、非肌色エリアの被写体(たとえば背景被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0108】
ここにおいて、ステップS24では、被写体画像が一旦ローコントラストであると判定されたか否かに応じて、2種類の高速スキャンルーチン(ステップS30AまたはステップS30B)のうちいずれのルーチンを実行するかが決定される。具体的には、シャッタボタンが半押し状態S1に押下された後に初めてステップS24での判定処理を行う場合には、ステップS30Bの制限付き高速スキャンルーチン(後述)を実行する。また、被写体画像が一旦ローコントラストであると判定され、後述するステップS70(図13)から再びステップS24に戻ってきた場合には、ステップS30Aの全域対象高速スキャンルーチン(後述)を実行する。
【0109】
また、ステップS23においては、高速スキャンルーチン(ステップS30A)に移行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかが決定される。ここで、ステップS23に進んでくるのは、肌色エリアが存在しないときである。
【0110】
このステップS23では、複数の合焦評価領域FRiのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たす合焦評価領域FRiが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定して、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、いずれの合焦評価領域FRiもこの条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体は合焦状態に近くないものと判定して、高速スキャンルーチン(ステップS30)へ進む。
【0111】
<高速スキャンルーチン>
つぎに、高速スキャンルーチン(ステップS30AおよびステップS30B)について説明する。高速スキャンルーチンには、フォーカシングレンズ12の駆動可能領域の全域を高速スキャンの対象とするルーチン(ステップS30A)と、高速スキャンにおけるスキャン範囲に制限を設けるルーチン(ステップS30B)とがある。以下では、前者を全域対象高速スキャンルーチン、後者を制限付き高速スキャンルーチンとも称するものとする。
【0112】
以下では、まず、前者の全域対象高速スキャンルーチンについて説明する。全域対象高速スキャンルーチンの詳細な処理手順は、図15のフローチャートに示されている。
【0113】
まず、合焦制御部29はレンズ駆動方向に対してフォーカシングレンズ12を高速駆動するための残り駆動量が十分にあるかどうかを判定し(ステップS31)、十分な残り駆動量が存在する場合にはステップS33に進み、十分な残り駆動量が存在しない場合にはステップS32に進んでレンズ駆動方向を反転させる。この実施の形態では、高速駆動を行う際の駆動量として駆動ピッチが20Fδに設定されるため、ステップS31における判断では、フォーカシングレンズ12の残り駆動量が20Fδ以上存在するか否かを確認する処理となる。そして20Fδ以上の残り駆動量が存在しない場合には、ステップS32においてレンズ駆動方向を反転させてステップS33に進む。
【0114】
そして、合焦制御部29は、決定されたレンズ駆動方向にフォーカシングレンズ12を駆動ピッチ=20Fδで高速駆動する(ステップS33)。これにより、合焦位置近傍にないフォーカシングレンズ12が微小ピッチ(例えば4Fδ)で駆動されて合焦位置を検出するまでに長時間を要することを回避することができ、オートフォーカス制御の効率化を図ることが可能になる。
【0115】
つぎに、複数の合焦評価領域(AFエリア)FRiのそれぞれについて、コントラスト値Cが算出される(ステップS34)。コントラスト値Cは、コントラスト演算部22によって、高速駆動後のレンズ位置において得られる画像に基づいて算出される。
【0116】
そして、このとき得られたコントラスト値が前回求められたコントラスト値よりも小さいか否かの判定を行う(ステップS35)。この判定によって、高速駆動によってフォーカシングレンズ12が合焦位置を超えたかどうかを判定すること、言い換えれば、コントラストの変化曲線におけるピークを超えたかどうかを判定することができる。
【0117】
このレンズ移動前後のコントラスト値の比較動作(ステップS35)は、複数の合焦評価領域FRiの全てについて行われる。
【0118】
そして、いずれの合焦評価領域FRiのコントラスト値も前回求められたコントラスト値よりも小さくならない場合には、コントラストの変化曲線におけるピークを越えていない、すなわちフォーカシングレンズ12が合焦位置を未だ超えていないと判断し、ステップS40を経由して再びステップS33に戻り、ステップS33,S34,S35の処理が繰り返される。
【0119】
一方、いずれかの合焦評価領域FRiのコントラスト値が前回求められたコントラスト値よりも小さくなった場合には、コントラストの変化曲線におけるピークを越えた、すなわちフォーカシングレンズ12が合焦位置を超えたと判断し、ステップS36に進む。
【0120】
ステップS36においては、複数の合焦評価領域(AFエリア)FRiのそれぞれについて、エッジ数EN、エッジ幅重心値EW、および肌色画素数SVが算出される(ステップS34)。エッジ数ENはエッジ数カウント部233により算出され、エッジ幅重心値EWはエッジ幅重心値演算部235により算出され、肌色画素数SVは肌色画素数演算部24により算出される。複数の合焦評価領域FRiにおける各値は、高速駆動後のレンズ位置において得られる画像に基づいて算出される。
【0121】
その後、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断する(ステップS37〜S39)。これらの動作は、ステップS21〜ステップS23と同様の動作である。
【0122】
具体的には、まず、複数の合焦評価領域FRiの中で「肌色エリア」が存在するか否かが判定される(ステップS37)。より詳細には、上述したように、条件D1(SV>TH20)を満たす合焦評価領域FRiは、肌色エリアであると判定される。
【0123】
このような肌色エリアが少なくとも1つ存在するときにはステップS38に進み、肌色エリアが1つも存在しないときにはステップS39に進む。
【0124】
ステップS38においては、この高速スキャンルーチン(ステップS30A)を続行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。具体的には、肌色エリアのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たすものが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定し、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、肌色エリアは存在するにもかかわらず、いずれの肌色エリアも条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近くないものと判定し、ステップS40に進み、高速スキャンルーチンを続行する。
【0125】
このように、肌色エリアが存在する場合において、近傍スキャンルーチンへ進むのは、肌色エリアのうち条件D2を満たすものが少なくとも1つ存在するときのみである。そして、肌色エリアが存在する場合には、「肌色エリア以外の合焦評価領域」(すなわち非肌色エリア)のみが条件D2を満たすときであっても、近傍スキャンルーチンには進まず、高速スキャンルーチンを続行する。すなわち、非肌色エリアの情報を基準にして近傍スキャンルーチンに進むことがないので、非肌色エリアの被写体(たとえば背景被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0126】
ステップS39においても、高速スキャンルーチン(ステップS30A)を続行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。ステップS39に進んでくるのは、肌色エリアが存在しないときである。ここでは、複数の合焦評価領域FRiのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たす合焦評価領域FRiが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定して、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、いずれの合焦評価領域FRiもこの条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体は合焦状態に近くないものと判定して、ステップS40に進み、高速スキャンルーチンを続行する。
【0127】
ステップS40において、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12の移動可能範囲内の全域についてフォーカシングレンズ12を高速駆動したか、すなわち全域スキャンを終了したかを判断する。
【0128】
そしてフォーカシングレンズ12を高速駆動するための可動範囲が未だ残されている場合には、ステップS33に戻って、フォーカシングレンズ12を駆動ピッチ=20Fδで高速駆動し、ステップS34以降の処理を再び行う。
【0129】
これに対し、現在のレンズ駆動方向に対して高速駆動するための可動領域が残されていない場合には、ステップS41に進む。ステップS41においては、合焦制御部29は、それまでに得られたコントラスト値のうちから最大値を決定し、その最大値を示すレンズ位置近傍へフォーカシングレンズ12を駆動させる。
【0130】
デジタルカメラ1で被写体を撮影する場合、被写体の種類によってはエッジ成分を良好に抽出することが出来ない場合もある。そのため、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWが合焦位置近傍判定条件(条件D2)を満たさない場合に、オートフォーカス制御が不可能であるとするよりも、コントラスト値に基づいてオートフォーカス制御を行う方が好ましいと考えられる。そのため、この実施の形態では、フォーカシングレンズ12を全域スキャンさせても合焦位置近傍判定条件D2を満足するような合焦位置近傍のレンズ位置を特定することができなかった場合に、ステップS41においてコントラスト値が最大値を示すレンズ位置近傍にフォーカシングレンズ12を駆動することで、エッジ成分を良好に抽出することができないような被写体を撮影する場合にも、合焦位置近傍にフォーカシングレンズ12を移動させてオートフォーカス制御を行うことができるように構成している。
【0131】
以上のような処理が終了すると、高速スキャンルーチンの処理は終了する。
【0132】
<制限付き高速スキャンルーチン>
次に、駆動範囲(スキャン範囲)制限付きの高速スキャンルーチンについて説明する。この制限付きの高速スキャンルーチンの詳細な処理手順は図16のフローチャートに示されている。図16のルーチンは図15のルーチンに類似しており、図16においては、図15の各ステップと同様の処理には、同じステップ番号を付して示している。以下では、両ルーチンの相違点を中心に説明する。
【0133】
ステップS31Bでの判定処理は、ステップS31(図15)と同様に、レンズ駆動方向に対してフォーカシングレンズ12を高速駆動するための残り駆動量が十分にあるかどうかを判定する処理である。ただし、残り駆動量を判定するにあたって、駆動可能領域の全域を判定対象とするのではなく、上記の制限範囲RXを判定対象とする点でステップS31と相違する。
【0134】
具体的には、ステップS31Bにおいては、制限範囲RXの境界位置までのレンズ駆動方向における残り駆動量が、20Fδ以上存在するか否かが確認される。そして20Fδ以上の残り駆動量が存在する場合にはそのままステップS42に進む。また、20Fδ以上の残り駆動量が存在しない場合にはステップS32に進み、レンズ駆動方向を反転させた後に、ステップS42に進む。
【0135】
次のステップS42では、ステップS33での駆動後の位置が上記の制限範囲RX内に存在することになるか否かを判定する。
【0136】
駆動後の位置が制限範囲RX内に存在しないと判定される場合には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12を、制限範囲RXの2つの境界位置のうち、現在位置から近い方の境界位置へと1つの駆動動作で高速に移動させる(ステップS43)。これにより、フォーカシングレンズ12が制限範囲RXの外の範囲をスキャンせずに済むため、スキャン範囲を有効に狭めることができる。したがって、オートフォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0137】
特に、図18に示すように、現在位置PPが制限範囲RXから遠く離れているときには、比較的長い距離をスキャン動作を伴うことなく制限範囲RX内にまで移動することができるので、一層の高速化を図ることができる。具体的には、高速駆動用の駆動ピッチ=20Fδよりもさらに大きな駆動量(たとえば、その駆動ピッチの数倍から数十倍程度)をスキャン動作を伴うことなく1つの駆動動作で瞬時に移動することができる。なお、図18においては、各高速スキャンルーチンにおける駆動の様子が矢印を用いて図案化して示されており、比較的短い矢印は高速駆動用の駆動ピッチ=20Fδごとの移動動作(駆動動作)を示している。そして、図18に示されるように、制限付き高速スキャンルーチンにおいては、全域対象高速スキャンルーチンにおける駆動動作時の駆動回数よりも少ない駆動回数で、合焦位置が存在すると推定される制限範囲RX内に到達できる。
【0138】
一方、駆動後の位置が制限範囲RX内に存在すると判定される場合には、フォーカシングレンズ12を高速駆動用の駆動ピッチ=20Fδで高速駆動する(ステップS33)。これにより、フォーカシングレンズ12は、ステップS32で決定されたレンズ駆動方向に、現在位置から所定の駆動ピッチ離れた位置に駆動される。
【0139】
以降においては、図15における動作と同様の動作が行われる。
【0140】
ただし、図16に示すように、ステップS40の代わりにステップS40Bの動作が行われる。ステップS40Bにおいては、(駆動可能領域の全域にわたるスキャン動作が完了したかではなく、)制限範囲RX内のスキャン動作が完了した否かが判定される。そして、制限範囲RX内のスキャン動作が完了していない場合(未スキャン領域が残っている場合)には、ステップS42に戻って同様の動作を繰り返す。一方、制限範囲RX内のスキャン動作が完了した場合には、ステップS41に進む。
【0141】
以上のようにして、制限付き高速スキャンルーチンが終了する。
【0142】
<近傍スキャンルーチン>
続いて図17のフローチャートを参照しながら、近傍スキャンルーチンについて説明する。図17は、近傍スキャンルーチンの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0143】
まず、合焦制御部29は所定の微小ピッチp(例えばp=4Fδ)でフォーカシングレンズ12をコントラスト値が大きくなる方向に駆動させる(ステップS51)。そしてコントラスト演算部22が、その移動後のレンズ位置においてCCD撮像素子13から得られる画像に基づいてコントラスト値を求める(ステップS52)。
【0144】
その後、ステップS51,S52の各処理が所定回数繰り返されると、この近傍スキャンルーチンを終了して、ステップS61に進む。
【0145】
<最終合焦処理等>
つぎに、最終的な合焦動作について説明する。
【0146】
ステップS61(図13)においては、合焦制御部29は、各合焦評価領域FRiのうち、その対応被写体がこの近傍スキャン中に合焦状態となる領域(以下、「合焦エリア(ないし合焦領域)」とも称する)が存在するか否かを判定する。具体的には、レンズ位置の変動に伴うコントラスト値の変化曲線において、そのコントラスト値のピークが検出されるエリアを、「合焦エリア」として検出する。より詳細には、近傍スキャンルーチンで取得されたコントラスト値の変化において、そのピークが検出された合焦評価領域を「合焦エリア」として判定する。また、合焦エリアにおけるコントラスト値のピークに対応するレンズ位置が、フォーカシングレンズ12の合焦位置として求められる。
【0147】
また、ここでは、微小ピッチでのレンズ駆動を所定回数行っても合焦位置を特定することができない場合には、被写体自体のコントラストが低いもの、すなわち、ローコントラスト(単に、ローコンとも称する)であると判定し(ステップS68)、特定のレンズ位置(ローコン位置とも称する)にフォーカシングレンズ12を駆動する(ステップS69)。なお、この特定のレンズ位置としては、例えばオートフォーカス制御を開始する前のレンズ位置や、無限遠方に被写体が存在するものと仮定して最も遠側のレンズ位置等とすることなどが考えられる。
【0148】
そのため、ステップS61において、合焦エリアが存在しないと判定されるときには、ローコントラストであると判定され(ステップS68)、特定の位置(ローコン位置)にフォーカシングレンズ12が駆動される(ステップS69)。また、その後、シャッタボタンが未だ半押し状態S1に維持されているか否かを判定する(ステップS70)。シャッタボタンの半押し状態S1が維持されているときには再びステップS10に戻り、シャッタボタンの半押し状態S1が解除されているときにはこのオートフォーカス制御のルーチンを終了する。
【0149】
一方、合焦エリアが存在すると判定されるときにはステップS62に進む。
【0150】
ステップS62以降の処理では、合焦制御部29は、複数のエリアの中から、最終的に撮影レンズのフォーカス制御の対象となるエリア(「対象エリア」ないし「最終合焦エリア」とも称する)を選択する。
【0151】
具体的には、ステップS62において、合焦エリアのうち、肌色エリア(条件D1を満たす合焦評価領域)が存在するか否かが判定される。肌色エリアが存在する場合には、その肌色エリアが対象エリアとして選択される(ステップS64,S65)。なお、合焦エリアであり且つ肌色エリアであるとも判定される合焦評価領域を「肌色合焦エリア(肌色合焦領域)」とも称するものとする。
【0152】
より詳細には、肌色合焦エリアがただ1つ存在する場合には、その肌色合焦エリアが対象エリアとして選択される(ステップS64)。また、複数の肌色合焦エリアが存在する場合には、それら複数の肌色合焦エリアのうち、その対応被写体の位置がデジタルカメラ側に最も近い合焦エリア(「最近合焦エリア(ないし最近合焦領域)」とも称する)が対象エリア(最終合焦エリア)として選択される(ステップS65)。
【0153】
また、「肌色合焦エリア」が存在しない場合には、1つまたは複数の合焦エリアのうち最近合焦エリアが対象エリアとして選択される。
【0154】
このように、近傍スキャンルーチンにおいては、対象エリアに関する情報(具体的にはコントラスト値)に基づいてフォーカス制御が行われる。
【0155】
以上で、この実施の形態におけるオートフォーカス制御が終了する。
【0156】
上記のオートフォーカス制御では、肌色画素数(肌色情報)に関して所定の条件D1が満たされるときには、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲が所定の範囲に制限されるので、全域をスキャンする場合に比べて高速なフォーカス制御を行うことが可能である。また、肌色情報を考慮しているので、特に人物被写体撮影時において、的確にフォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0157】
また、複数の合焦評価領域のうち少なくとも1つのエリアが肌色エリアであると判定されるときに、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲が所定の範囲に制限されるので、オートフォーカス制御に複数の合焦評価領域を用いる場合においても、オートフォーカス制御を高速に行うことができる。
【0158】
さらに、肌色エリアが存在する場合であっても、一旦、制限付き高速スキャンルーチン(ステップS30B)を行って合焦エリアが存在しないと判定(ステップS61)された後に再度オートフォーカス制御を行うときには、ステップS24からステップS30Aに進み全域対象高速スキャンルーチンが実行される。すなわち、肌色エリアが存在する場合であっても、スキャン範囲の制限を伴ったスキャン動作では合焦位置が特定できないときには、スキャン範囲の制限を外した状態で再度スキャン動作が行われる。これによれば、制限された範囲内の移動でフォーカシングレンズ12を合焦位置へ移動できない場合でも、その制限を外すことによって、フォーカシングレンズ12をより確実に合焦位置へと移動させることが可能になる。
【0159】
また、上記のオートフォーカス制御では、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを評価した上で対象エリアを選択して、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断しているので、コントラスト値Cが疑似ピークを示す場合であってもそのような疑似ピークが存在するレンズ位置付近は合焦位置近傍であると判断される可能性は低い。そのため、この実施の形態におけるオートフォーカス制御を適用することによって、疑似ピーク位置を合焦位置と誤認識することを防止することができ、疑似ピークによる影響を解消して被写体を適切に合焦状態とすることが可能になる。このように、このデジタルカメラ1によれば、疑似ピークによる影響を解消しつつ、主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能である。すなわち、より正確なAF制御を行うことが可能である。
【0160】
また、上記のオートフォーカス制御では、複数の合焦評価領域FRiのうち、所定の閾値TH20よりも大きな肌色画素数SVを有するという条件D1(SV>TH20)を満たす合焦評価領域(すなわち肌色エリア)が少なくとも1つ存在する場合において、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を全ての肌色エリアが満たさないときには、この条件D2を肌色エリアのいずれかが満たす場合に比べて撮影レンズが高速に駆動される。したがって、フォーカシングレンズ12を合焦位置近傍に迅速に移動させることができ、オートフォーカス制御の迅速化を達成することができる。また、肌色エリアが少なくとも1つ存在する場合において、条件D2を満たす非肌色エリアが仮に存在したとしても全ての肌色エリアが条件D2を満たさないときには、合焦制御部29は、そのような非肌色エリアを対象エリアとして選択せず且つ主被写体の画像が合焦状態に近くないと判定するので、人物以外の背景被写体のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0161】
<B.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。デジタルカメラの構成および動作等は第1実施形態と同様である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0162】
図19および図20は、第2実施形態の制御動作を示す図である。第2実施形態の動作は、第1実施形態の動作(図12,図13参照)と比較して、ステップS24の代わりにステップS25の判定動作を行う点で相違する。なお、図19および図20においては、図12および図13の動作と同様の動作については、同一のステップ番号を付して示している。
【0163】
この第2実施形態においては、撮影レンズ11の撮影時の焦点距離の大小をも考慮して、制限付き高速スキャンルーチンを行うか全域対象高速スキャンルーチンを行うかを決定する場合を例示する。
【0164】
そのため、レンズ位置検出部30は、撮影レンズ11のズームレンズ12zの焦点距離fを検出する。また、合焦制御部29は、検出されたこの焦点距離fに基づいて、フォーカシングレンズ12のスキャン範囲を制限するか否かを決定する。
【0165】
具体的には、図19において、肌色エリアは存在するがその肌色エリアのうち条件D2を満たす肌色エリアは存在しないことがステップS22で判定された場合には、ステップS25に進む。そして、焦点距離fが所定値faよりも大きいと判定される場合には、制限付き高速スキャンルーチン(ステップS30B)が実行される。また、焦点距離fが所定値faよりも大きくないと判定される場合には、全域対象高速スキャンルーチン(ステップS30A)が実行される。
【0166】
なお、これに限定されず、ステップS25での判定処理を経ずに、肌色エリアは存在するがその肌色エリアのうち条件D2を満たす肌色エリアは存在しないことがステップS22で判定されたときには、制限付き高速スキャンルーチンを一律に実行するようにしてもよい。
【0167】
ただし、次のような観点から、この第2実施形態のようにステップS25での分岐処理を経ることが好ましい。
【0168】
一般に、焦点距離fが所定値faよりも大きいという条件を満たす場合には、ズームアップして被写体を撮影しようとしているときであるため、人物撮影である可能性が高くなる。特に、この条件に加えて、肌色エリアが存在する場合には、人物撮影である可能性がさらに高くなる。そのため、上記の第2実施形態のように、焦点距離fが所定値faよりも大きいという条件を満たさない場合には全域対象高速スキャンルーチンに移行し、この条件を満たす場合にのみ、制限付き高速スキャンルーチンに移行することによれば、人物撮影時であることをより的確に判定することができる。すなわち、制限付き高速スキャンルーチンにさらに的確に移行して合焦動作を行うことができることになる。
【0169】
また、図20に示すように、この第2実施形態においては、第1実施形態と比較して、ステップS71,S72,S73の処理が、ステップS61とステップS62との間に追加されている点で第1実施形態と相違している。
【0170】
これらのステップS71,S72,S73の処理は、合焦状態であるとして判定された肌色エリアのうち、撮影倍率が所定の範囲内の値でないと判定される場合には、その肌色エリアを対象エリア(最終合焦エリア)の候補から除外する処理である。
【0171】
具体的には、ステップS71において、各合焦エリアの撮影倍率βが所定の範囲(βmin≦β≦βmax)内の値か否かを判定する。各値βmin,βmaxとしては、上述のような値を用いればよい。ここでは、βmin=1/120、βmax=1/10を用いるものとする。
【0172】
そして、合焦エリアの撮影倍率がその所定の範囲内の値である場合には、その合焦エリアの対応被写体は人物であるとみなして、その合焦エリアを最終合焦エリアの候補から除外しない(ステップS72)。すなわち、そのエリアの肌色評価値(肌色情報)を有効なものとして取り扱う。
【0173】
一方、合焦エリアの撮影倍率がその所定の範囲の値でない場合には、その合焦エリアの対応被写体は人物ではないとみなして、その合焦エリアを最終合焦エリアの候補から除外する(ステップS72)。すなわち、そのエリアの肌色評価値(肌色情報)を無効なものとして取り扱う。
【0174】
これによれば、その肌色合焦エリアが人物被写体であるか否かを再確認することができる。したがって、人物被写体に対する合焦動作をより的確に行うことができる。
【0175】
<C.第3実施形態>
この第3実施形態においては、スキャン範囲を制限するに際して、スキャン範囲の制限範囲を焦点距離の大小に応じて変更する場合について例示する。
【0176】
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。デジタルカメラの構成および動作等は第1実施形態と同様である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0177】
図21は、第3実施形態のデジタルカメラの制御動作を示す図である。図21のフローチャートは、図12のフローチャートに対応する図であり、図12のフローチャートと比較して次述する点で相違している。また、図21に引き続いて、図13に示す処理が行われる。なお、図21においては、図12の動作と同様の動作については、同一のステップ番号を付して示している。
【0178】
具体的には、ステップS24での判定動作で、シャッタボタンの押下後において被写体画像が未だローコントラストであると判定されていない場合には、ステップS26に進む。
【0179】
そして、ステップS26においては、焦点距離fが所定値fbよりも大きい(f>fb)か否かを判定し、その判定結果に応じて、異なる制限範囲を有する制限付き高速スキャンルーチンを実行する。
【0180】
具体的には、焦点距離fが所定値fbよりも大きくない場合(f≦fb)にはステップS30Cに進み、焦点距離fが所定値fbよりも大きい場合(f>fb)にはステップS30Dに進む。言い換えれば、ワイド側(広角側)での撮影時においてはステップS30Cに進み、テレ側(望遠側)での撮影時においてはステップS30Dに進む。
【0181】
ステップS30C,S30Dの両高速スキャンルーチンにおいては、ステップS30Bの制限付き高速スキャンルーチン(図16)と同様の処理が行われる。また、ステップS30C,S30Dの両高速スキャンルーチンは、制限範囲RXの範囲が互いに異なる点以外は、同様のルーチンである。
【0182】
具体的には、ステップS30Cにおいては、撮影倍率換算値表現で比較的広い範囲(ここでは、撮影倍率換算値が1/120より大きく且つ1/10より小さいことを満たす範囲)にスキャン範囲を制限した制限付き高速スキャンルーチンが行われる。一方、ステップS30Dにおいては、撮影倍率換算値表現で比較的狭い範囲(ここでは、撮影倍率換算値が1/80より大きく且つ1/10より小さいことを満たす範囲)にスキャン範囲を制限した制限付き高速スキャンルーチンが行われる。
【0183】
すなわち、焦点距離fが所定値fbよりも大きい場合には、そうでない場合に比べて、スキャン範囲の1つの境界値に対応する撮影倍率換算値の下限値を1/120から1/80に引き上げてそのスキャン範囲を狭くした上で、高速スキャンルーチンを行うのである。なお、スキャン範囲の変更は、このような手法に限定されない。たとえば、レンズ位置としての制限範囲RXが結果として狭くなるのであれば、撮影倍率換算値の上限値および下限値の両方を変更するようにしてもよい。
【0184】
また、この後においては、ステップS50の処理、および図13に示す各処理が行われる。
【0185】
以上のような処理によれば、焦点距離fが所定値fbよりも大きいか否かを判定することによって、テレ側(望遠側)での撮影であるかワイド側(広角側)での撮影であるかが判定され、テレ側での撮影時にはそのスキャン範囲がさらに狭い範囲に制限される。したがって、フォーカス制御の一層の高速化を図ることが可能になる。すなわち、撮影状況を考慮した上で、フォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0186】
テレ側での撮影時には、ポートレート撮影などのように、人物を拡大して撮影する撮影状況であることが想定される。そのため、撮影倍率βは、比較的大きな値となることが多い。この第3実施形態においては、このような性質を利用して、スキャン範囲を撮影倍率換算値レベルでさらに狭く設定する。ここでは、スキャン範囲を制限するにあたって、スキャン範囲の1つの境界値に対応する撮影倍率換算値の下限値を1/120から1/80に引き上げることによって、下限値を引き上げない場合に比べて撮影倍率換算値レベルでスキャン範囲を狭くしている。これにより、レンズ位置レベルでのスキャン範囲もさらに狭い範囲に制限されることになる。
【0187】
これによれば、制限範囲RXを撮影倍率換算値表現における固定範囲に維持する場合(言い換えれば、撮影倍率換算値での境界値を変更しない場合)に比べて、テレ側での撮影時にはスキャン範囲をさらに狭く設定することが可能になるので、フォーカス制御の高速化を図ることが可能になる。
【0188】
また、レンズ位置レベルでのスキャン範囲は、撮影倍率換算値表現で同一の範囲であっても焦点距離が異なれば、異なる範囲となる。具体的には、その焦点距離の増大に伴って実際のレンズの駆動範囲は広く(大きく)なる。このような事情に対して、上記のように、焦点距離が大きいテレ側の撮影時においてさらにスキャン範囲を狭くすることによれば、焦点距離の増大に伴うレンズの駆動範囲の増大を抑制することが可能になる。したがって、フォーカス制御を高速化することができる。
【0189】
<D.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0190】
たとえば、判定処理における等号成立時には、いずれの分岐処理を行うようにしてもよい。具体的には、条件D1として、SV>TH20ではなく、SV≧TH20を採用するようにしてもよい。あるいは、条件D2として、EN≧N1、且つ、W1≦EW≦W2、などを採用するようにしてもよい。
【0191】
また、上記実施形態においては、合焦制御部29がエッジ成分の評価を行う際にエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWの双方を評価対象としている。具体的には、条件D2として、EN>N1、且つ、W1<EW<W2、を採用している。これは、一般に、画像のエッジ成分は画像の高周波成分であることからノイズの影響を受けやすいという性質を有しているためである。このように、上記実施形態では、エッジ成分に関する異なる指標値として、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWという2つの指標値を用いることにより、ノイズの影響を低減して、より信頼性の高い合焦位置近傍判定を行うように実現しているのである。
【0192】
ただし、これに限定されず、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWのうちの一方のみに基づいて合焦位置近傍判定を行うようにしてもよい。たとえば、エッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示すこと(EN>N1)のみを条件D2として採用してもよい。なお、エッジ幅重心値EWはエッジ数ENに比べて合焦位置近傍でノイズの影響を受けやすくなるので、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWのうちの一方を評価対象とする場合には、エッジ数ENを評価対象とすることが好ましい。
【0193】
また、上記実施形態においては、コントラスト値Cだけでなく、エッジ数およびエッジ幅等をも考慮して、複数の合焦評価領域FRiの中から対象エリアを選択する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、エッジ数およびエッジ幅等を考慮せずに、コントラスト値Cを考慮して対象エリアを選択するようにしてもよい。
【0194】
さらに、上記実施形態においては、高速スキャンルーチンと近傍スキャンルーチンとを組み合わせてオートフォーカス制御を行っているが、これに限定されない。ただし、上記実施形態のように両ルーチンを組み合わせることによれば、より高速なオートフォーカス制御を実現することが可能になる。
【0195】
また、上記実施形態においては、図15のステップS34,S35において、コントラスト値がピークを越えたか否かを判定しているが、このような判定処理の代わりに一定回数のピッチ駆動を行った後に、ピークを検出するようにしてもよい。
【0196】
また、上記実施形態においては、近傍スキャンルーチンにおいて、対象エリアのコントラスト値Cに基づいてフォーカス制御を行う場合について例示したが、これに限定されない。たとえば、対象エリアのコントラスト値Cを考慮せず、対象エリアのエッジ数EN(およびエッジ幅重心値EW)に基づいて、フォーカス制御を行うようにしてもよい。ただし、一般に、エッジ成分はノイズの影響を受けやすいのに対してコントラスト値はノイズの影響を受けにくいため、合焦位置近傍ではコントラスト値に基づいて合焦状態の評価を行うことが好ましい。合焦位置近傍に到達すれば擬合焦の発生可能性は少なくなるので、合焦位置近傍ではコントラスト値Cに基づいてフォーカス制御を行うことにより、さらに高精度に合焦位置を特定することが可能である。
【0197】
また、上述したオートフォーカス制御部20はオートフォーカス制御を行うためのオートフォーカス装置としても機能し、カメラ等の撮影装置に適用されれば、複数の合焦評価領域の中から適切に対象エリアを選択し、疑似ピークを合焦位置として誤認識することのない適切なオートフォーカス制御を行うことが可能になる。そのため、上述したオートフォーカス制御部20はデジタルカメラ1以外の装置に対しても適用することが可能である。
【0198】
さらに、上記実施形態においては、シャッタボタンが半押し状態とされたタイミングでオートフォーカス制御を行う場合を例示したが、オートフォーカス制御を行うタイミングはそれに限定されるものではない。たとえば、撮影時のライブビュー画像の表示時において常にオートフォーカス制御を行うようにしてもよい。
【0199】
また、上記実施形態においては、その焦点距離を変更可能な撮影レンズとして、ズーム式の撮影レンズ11(ズームレンズないしズーム式レンズ)を例示したがこれに限定されない。例えば、撮影レンズとして多焦点レンズを用いるようにしてもよい。
【0200】
さらに、上記実施形態においては、制限付き高速スキャンルーチン(ステップS30Bなど)でのスキャン範囲の制限範囲は、上限と下限との両方を制限するようにしていたが、これに限定されず、一方のみを制限するようにしてもよい。具体的には、撮影倍率換算値が所定値(たとえば、1/200)より小さくなる範囲を、スキャン範囲から除外するように制限してもよい。
【0201】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が含まれている。
【0202】
(1)請求項1に記載の撮像装置において、
前記所定の条件は、いずれかの合焦評価領域が肌色領域であるという条件であることを特徴とする撮像装置。
【0203】
(2)前記(1)に記載の撮像装置において、
前記肌色情報は、肌色画素数であり、
前記所定の条件は、いずれかの合焦評価領域の肌色画素数が所定の閾値よりも大きいという条件であることを特徴とする撮像装置。
【0204】
(3)請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定の条件が満たされるときには、前記光学部材の駆動可能範囲のうち、合焦被写体の撮影倍率が所定値より小さくなる範囲を、前記スキャン範囲から除外することを特徴とする撮像装置。これによれば、人物被写体撮影時において、フォーカス用の光学部材のスキャン範囲をさらに的確に制限することができる。
【0205】
(4)請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮影レンズは、その焦点距離を変更することが可能なレンズであり、
前記撮影装置は、前記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、検出された前記焦点距離に基づいて、前記光学部材の駆動範囲を制限するか否かを決定することを特徴とする撮像装置。これによれば、人物撮影時であるか否かをより的確に判定した上で、フォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0206】
(5)請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記スキャン範囲の境界値を規定する撮影倍率換算値を前記焦点距離に応じて変更することによって、前記スキャン範囲の制限範囲を変更することを特徴とする撮像装置。これによれば、撮影状況を考慮した上で、フォーカス制御の高速化を図ることができる。
【0207】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし請求項5に記載の発明によれば、肌色情報に関して所定の条件が満たされる場合には、フォーカス用の光学部材のスキャン範囲が制限されるので、高速なフォーカス制御を行うことが可能である。また、肌色情報を考慮しているので、人物被写体撮影時において、光学部材のスキャン範囲を的確に制限することができる。
【0208】
特に、請求項2に記載の発明によれば、人物被写体撮影時において、フォーカス用の光学部材のスキャン範囲をさらに的確に制限することができる。
【0209】
また、請求項3に記載の発明によれば、複数の合焦評価領域を用いる場合においても、フォーカス制御を高速に行うことができる。
【0210】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、制限を伴ったスキャン動作で合焦位置が特定できないときでも、撮影レンズを合焦位置へとより確実に移動させることが可能になる。
【0211】
また、請求項5に記載の発明によれば、スキャン範囲の制限範囲が焦点距離に応じて変更されるので、効率的にフォーカス制御の高速化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】合焦評価領域の一例を示す図である。
【図3】UV平面における肌色画素の分布状態を示す図である。
【図4】コントラスト演算部の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】コントラスト値の変化の一例を示す図である。
【図6】エッジ演算部の詳細構成を示すブロック図である。
【図7】エッジ演算部における演算処理の概念を示す図である。
【図8】レンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。
【図9】エッジ幅のヒストグラムを示す図である。
【図10】レンズ位置とエッジ幅重心値との関係を示す図である。
【図11】撮影倍率を説明する図である。
【図12】オートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図13】オートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図14】レンズ微小駆動ルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図15】全域対象高速スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図16】制限付き高速スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図17】近傍スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図18】高速スキャンルーチンにおける駆動の様子を示す図である。
【図19】第2実施形態に係るオートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図20】第2実施形態に係るオートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【図21】第3実施形態に係るオートフォーカス制御動作の全体の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
10 撮影機能部
11 撮影レンズ
12 フォーカシングレンズ
12z ズームレンズ
20 オートフォーカス制御部
C コントラスト値
EN エッジ数
EW エッジ幅重心値
FRi 合焦評価領域
PP 現在位置
RX 制限範囲
SV 肌色画素数
f 焦点距離
x レンズ位置
β 撮影倍率
Claims (5)
- 被写体の光像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影光学系のフォーカス制御を行う撮像装置であって、
前記画像内に設定された少なくとも1つの合焦評価領域における合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
前記撮影光学系のフォーカス用の光学部材を駆動する駆動手段と、
前記光学部材のスキャン動作に伴って取得される前記評価値に基づいて、前記撮影光学系のフォーカス制御を行う制御手段と、
前記少なくとも1つの合焦評価領域における肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記肌色情報に関する所定の条件が満たされる場合には、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記光学部材のスキャン範囲を制限することを特徴とする撮像装置。 - 請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記スキャン範囲を、撮影倍率換算値が1/200以上且つ1/8以下となる範囲の全部又は一部に制限することを特徴とする撮像装置。 - 請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記少なくとも1つの合焦評価領域は、複数の合焦評価領域を含み、
前記所定の条件は、前記複数の合焦評価領域のうち少なくとも1つの領域が肌色領域であると判定されるという条件であることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定条件が満たされる場合であっても、前記スキャン範囲の制限を伴ったスキャン動作では合焦位置が特定できないときには、前記スキャン範囲の制限を外してスキャン動作を行うことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の撮像装置において、
前記撮影レンズは、その焦点距離を変更することが可能なレンズであり、
前記撮影装置は、前記撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記所定の条件が満たされる場合には、前記焦点距離に応じて前記スキャン範囲の制限範囲を変更することを特徴とする撮像装置。
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