JP2004307900A - 金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属超微粒子を含む有機無機複合材料を簡易かつ再現性よく得ることのできる新たな製造方法、およびこの製造方法により得ることのできる有機無機複合材料を提供することにある。
【解決手段】上記の課題は、高分子または高分子を溶解させた溶媒の少なくとも一方が還元性を示す高分子を含む溶液中に、少なくとも一種の金属塩を溶解させることにより、100℃以下の低温で該高分子および/または該溶媒の還元性により前記金属塩を還元させる金属超微粒子を含む有機無機複合材料の製造方法により達成される。
【選択図】 なし
【解決手段】上記の課題は、高分子または高分子を溶解させた溶媒の少なくとも一方が還元性を示す高分子を含む溶液中に、少なくとも一種の金属塩を溶解させることにより、100℃以下の低温で該高分子および/または該溶媒の還元性により前記金属塩を還元させる金属超微粒子を含む有機無機複合材料の製造方法により達成される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子を含む溶液中で金属超微粒子を調製することによる金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体や金属は、粒子径がナノメートルサイズのいわゆる超微粒子とよばれるサイズまで小さくなると自由電子の数が激減し、量子サイズ効果と呼ばれるバルクの状態とは異なる性質が発現することが知られている。しかしながら、超微粒子は表面エネルギーが高く、粒子同士が不可逆的に凝集する傾向が高いという間題点があるだけでなく、サイズがナノメートルオーダーであるため、取り扱いが非常に困難である。したがって、超微粒子の凝集を抑制しつつ、より実用的な機能性材料として応用するためには、このような超微粒子を高分子や無機材料等と何らかの形で複合化して固定する方法が採られている。
【0003】
超微粒子の製造方法としては、気相法のガス中分散法、液相法の金属イオン還元法等が知られているが、液相中で調製する方法のほうが、超微粒子の表面修飾・凝集抑制、高分子等との複合化等が容易である。
従来、高分子を含む溶液中で金属超微粒子を製造する方法としては、高分子および金属塩を含む溶液中に還元剤を添加する方法や、各種エネルギー線の照射、または加熱操作により金属塩を分解して金属超微粒子を製造する方法等がある。
【0004】
低分子型還元剤を用いる方法としては、金属塩を含む溶液中に水素を注入する、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ヒドラジンなどを添加するなどの方法が知られている。
特許文献1には、ピロリドン基を有するポリマーおよび金属塩を含む溶液中に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等の還元剤を添加することにより、金属塩を安定化させた高分子複合体を調製する方法が記載されている。
【0005】
エネルギー線を照射する方法としては、金属塩を含む溶液に電子線、紫外線、可視光、マイクロ波、超音波等を照射する方法が知られている。
特許文献2には、還元性の有機溶媒に金属塩を溶解または分散させた後、マイクロ波を照射することによって、金属塩を還元させ、金属超微粒子を調製する方法が記載されている。
SDSまたはPEG水溶液中で超音波照射することにより、Au、Pd超微粒子を調製する例(非特許文献1参照)や、ポリエチレングリコールモノラウレート等の保護剤の存在下で、可視光または紫外光を照射することにより、Pt、Rhなどの超微粒子を調製する例(非特許文献2参照)も報告されている。
【0006】
加熱する方法としては、金属塩の分解温度まで溶媒を加熱する方法や、金属塩を含む溶液にエタノールなどのアルコールを添加して還流するアルコール還流法(非特許文献3および非特許文献4参照)等が知られている。
【0007】
特許文献3には、金属と親和性のあるポリマー鎖と金属と親和性の無いまたは低いポリマー鎖を有するブロックポリマーおよび金属塩を、それらが溶解可能な金属イオンを還元する能力のある高沸点の溶剤と低沸点の溶剤とからなる混合溶媒に溶解させた後、低温において低沸点の溶剤を除去してブロックポリマーのミクロ相分離構造を形成させた後、高温において高沸点の溶剤を除去しながら金属イオンを還元し、金属超微粒子を含む高分子複合体を得る方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−224006号公報
【特許文献2】
特開2000−256707公報
【特許文献3】
特開2000−72952公報
【非特許文献1】
大阪冶金会会誌、第40巻、39頁(2000年)
【非特許文献2】
高分子論文集、第52巻12号、809頁(1995年)
【非特許文献3】
触媒、第41巻7号、521頁(1999年)
【非特許文献3】
高分子、43巻12月号、(1994年)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
低分子型還元剤または水素分子を添加する方法では、還元剤によっては高分子も還元されることがあるため、用いる高分子が限定されるという問題点や還元剤の毒性・危険性等の問題がある。
電子線、紫外線、マイクロ波、超音波などのエネルギー線を用いる場合、エネルギー線を照射する工程が含まれるため、生産性が低い、高コストであるなどの問題や高分子によっては劣化するなどの問題がある。
加熱する方法を用いる場合、高分子によっては劣化するなどの問題がある。
【0010】
本発明の目的は、低分子型還元剤の添加、エネルギー線の照射または加熱操作をすることなく、より簡便な手法で金属超微粒子を含む有機無機複合材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、高分子(A)、該高分子を溶解する溶媒(B)および任意成分である他の成分(C)からなる溶液中において、高分子(A)または該高分子を溶解する溶媒(B)の少なくとも一方が還元性を有し、任意成分である他の成分(C)が還元性を有さない成分である溶液中に、少なくとも一種の金属塩を溶解させ、溶媒の沸点、溶媒中における該金属塩の分解温度または100℃のいずれか最も低い温度より低い温度で、外部より水素分子および低分子分解型還元剤の添加並びにエネルギー線および超音波の照射をすることなく高分子(A)および/または溶媒(B)の還元性により前記金属塩を還元して金属超微粒子を得ることを特徴とする金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法に関する本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の金属超微粒子を含む有機・無機複合材料の製造方法においては、高分子(A)と該高分子を溶解させる溶媒(B)とを含む溶液のうち高分子(A)および/または高分子を溶解させた溶媒(B)が還元性を有することが必要である。該高分子(A)または該高分子を溶解する溶媒(B)は単独の成分でも良いが、2種類以上の高分子または溶媒の混合物であっても良い。高分子(A)の配合量は、高分子(A)の溶媒(B)に対する溶解性を考慮して適宜決定され得るが、高分子(A)と溶媒(B)の合計量に対して30〜1.0質量%の範囲内であるのが溶液の取り扱い性などの点から好ましい。
【0013】
還元性を有する溶媒としては、ピリジンおよびピリジン誘導体、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、アセトン、アルコール類、N,N−ジメチルホルムアミドなどの有機アミド類、エチレンジアミンなどの有機アミン類が挙げられるが上記化合物に限定されるものではない。
【0014】
還元性を有する高分子としては、溶媒に溶解するものであることが必要であり、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンなどのビニル化合物およびその誘導体が挙げられるが、上記化合物に限定されるものではない。
【0015】
また、溶媒が還元性を有する場合、高分子は還元性を示さなくてもよく、この場合、溶媒に溶解するものであれば、いかなる高分子を用いてもよい。ただし、高分子が存在しないと前記のとおり、超微粒子は凝集しやすいため、超微粒子の安定化保護剤として高分子の添加は必要である。
逆に高分子が還元性を有する場合には、溶媒は還元性を示さなくてもよく、この場合、高分子を溶解可能なものであれば、いかなる溶媒を用いてもよい。
【0016】
また、任意に添加され得るその他成分(C)は、還元性を有さない成分であれば、特に限定はなく、例えば、他の高分子、溶媒、または金属塩の安定化保護剤として、アミノ基、ピリジル基、チオール基等を有する低分子化合物などが挙げられる。その他成分(C)の配合量は、その機能が損なわれない範囲において、高分子(A)と溶媒(B)とからなる溶液に溶解し得る量であればいくらでもよい。
【0017】
金属塩としては、上記溶媒に溶解するものであることが必要であるが、上記金属塩の種類は特に限定されるものではなく、得られる超微粒子を構成する金属の種類に応じていかなる種類の金属塩をも使用することができる。金属塩としては、例えば、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、アセチルアセトナト塩を挙げることができる。金属種としては還元性を示す高分子または溶媒によって、容易に還元される貴金属元素等であることが望ましく、例えば、Au、Ag、Pt、Pd、Rhなどの金属元素が挙げられる。
【0018】
金属塩が溶媒中に溶解するかどうかについては、本発明を実施するに当たって選択した金属塩及び溶媒の組み合わせ、および溶媒に対する金属塩の量によって決定される。溶媒に対して金属塩が溶解しにくい場合、金属塩をあらかじめ別の溶媒に溶解させた後、前記溶媒と混合することができる。例えば、金属塩をあらかじめ水に溶解させた後、アルコール類やアミド類などの別の溶媒と混合して用いてもよい。金属塩の配合量は上記のように溶解性を考慮して適宜決定され得るが、高分子(A)、溶媒(B)およびその他の成分(C)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲内であるのが好ましく、0.01〜1.0質量部の範囲内であるのがより好ましい。
【0019】
また、溶媒中に溶解させる金属塩の種類は、必ずしも一種類に限定されるものではない。超微粒子を構成する金属の種類に応じて複数の種類の金属塩を使用することができる。
【0020】
本発明における金属超微粒子を含む有機・無機複合材料の製造方法については、最終的に高分子、金属塩、溶媒からなる構成であれば、高分子および金属塩の溶解手順については特に限定されるものではない。例えば、溶媒に高分子を溶解させた後、金属塩を溶解させてもよく、逆に溶媒に金属塩を溶解させた後、高分子を溶解させてもよい。また、高分子を溶解させた溶液と金属塩を溶解させた溶液とを混合してもよい。
【0021】
本発明における金属超微粒子を含む有機無機複合材料の製造時の温度は、100℃以下で、溶媒の沸点以下、かつその溶媒中における金属塩の分解温度以下であればよく、できれば常温であることが簡便であり望ましい。
【0022】
本方法により得られた金属超微粒子を含有する有機無機複合材料は、非線形光学材料、光波長カットフィルター、超微粒子担持触媒、導電性ペースト・接着剤等の導電性材料、ハードコート性または高屈折率または抗菌・抗カビ性等を有する各種コーティング材料などに利用できる。
本発明における金属超微粒子の平均粒径は1.0〜1000nmの範囲内であるのが好ましいが、前記種々の用途毎に最適な粒径を選択し得るものである。該金属微粒子の粒径は、含有する高分子(A)、溶媒(B)、その他の成分(C)および金属塩の種類および配合量並びに金属微粒子の作製環境など種々の要因によって変化させることが可能である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0024】
<実施例1>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたもの5gを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、ジメチルスルホキシド5gに硝酸銀0.03gを溶解させ、前記ポリビニルアルコールを溶解させたジメチルスルホキシド溶液と常温で混合すると硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
また、ポリビニルアルコールを溶解させたジメチルスルホキシド溶液に、直接硝酸銀を溶解させた場合も同様に、銀超微粒子を調製することができた。
得られた銀超微粒子を含むポリビニルアルコール複合材料を真空乾燥させた後、透過型電子顕微鏡により観察したところ、図1に示すように20nm以下の銀超微粒子が生成していることを確認することができた。
【0025】
<実施例2>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたもの5gを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、水5gに硝酸銀0.03gを溶解させ、前記ポリビニルアルコールを溶解させたジメチルスルホキシド溶液と常温で混合すると硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
また、この場合、水とジメチルスルホキシドの作用によって、ポリビニルアルコールのゲル化が進行し、金属超微粒子含有ゲルを得ることができた。
【0026】
<実施例3>
水にポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール水溶液とN,N−ジメチルホルムアミドを1:1の質量比で混合した。次に前記混合溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
また、この場合、水とジメチルホルムアミドの作用によって、ポリビニルアルコールのゲル化が進行し、金属超微粒子含有ゲルを得ることができた。
【0027】
<実施例4>
水にポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール水溶液とエチレングリコールを1:1の質量比で混合した。次に前記混合溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
【0028】
<実施例5>
ジメチルスルホキシドにポリビニルピロリドン(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリビニルピロリドン水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルピロリドン溶液が得られた。
【0029】
<実施例6>
水にポリビニルピロリドン(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリビニルピロリドン水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、ゆっくりと硝酸銀の還元が進行し、1日後には透明な溶液が薄く茶色に着色しており、銀超微粒子を含むポリビニルピロリドン溶液が得られたことがわかった。
【0030】
<実施例7>
ジメチルスルホキシドにポリアクリル酸(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリアクリル酸水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルピロリドン溶液が得られた。
【0031】
<実施例8>
ジメチルスルホキシドにポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させ、1日静置したところ、硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン溶液が得られた。
【0032】
<実施例9>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ5質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール溶液10gに酢酸銀0.03gを加え、しばらく静置すると硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
【0033】
<実施例10>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ5質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール溶液5gにヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物0.03gを溶解させ、1日静置するとヘキサクロロ白金酸の還元が進行し、白金超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
【0034】
<比較例1>
ジメチルスルホキシド10gに硝酸銀0.03gを溶解させた後、室温で静置すると沈殿物が得られた。これは、生成した超微粒子の安定化保護剤として働く高分子が存在しなかったために、超微粒子の凝集が進行し、沈殿物が得られたと考えられる。したがって、超微粒子を得るためには、安定化保護剤として働く高分子の添加が必要である。
【0035】
<比較例2>
水にポリアクリル酸(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリアクリル酸水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させ、1日静置したが、溶液は透明なままであった。これは、溶媒および高分子の両方に還元性がないため、硝酸銀の還元が進行しなかったものと思われる。
【0036】
<比較例3>
水にポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたもの5gを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、水5gに硝酸銀0.03gを溶解させ、前記ポリビニルアルコール水溶液と常温で混合した後、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬製)0.03gを加えたところ、硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール水溶液が得られたが、水溶液がしばらく発泡し続けた。
また、同様の条件でポリビニルアルコールと硝酸銀を溶解させた水溶液から、キャストフィルムを調製し、水100dm3に水素化ホウ素ナトリウム0.3gを溶解させた水溶液に、前記フィルムを浸漬したところ、硝酸銀の還元の進行と同時に、フィルムの収縮が発生した。
前記結果は、ポリビニルアルコールフィルムが低分子分解型還元剤により変質したためである。つまり、低分子分解型還元剤によって変質しやすい高分子を用いる場合、本発明の方法によれば、低分子分解型還元剤を用いることなく金属超微粒子を含有する有機無機複合材料を製造することが可能であることから、本発明が有用であることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、各種還元剤の添加や各種エネルギー線の照射、加熱操作などの外部からのエネルギーを付与することなく金属超微粒子を含む有機・無機複合材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリビニルアルコール中に分散した銀超微粒子の透過型電子顕微鏡写真
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子を含む溶液中で金属超微粒子を調製することによる金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体や金属は、粒子径がナノメートルサイズのいわゆる超微粒子とよばれるサイズまで小さくなると自由電子の数が激減し、量子サイズ効果と呼ばれるバルクの状態とは異なる性質が発現することが知られている。しかしながら、超微粒子は表面エネルギーが高く、粒子同士が不可逆的に凝集する傾向が高いという間題点があるだけでなく、サイズがナノメートルオーダーであるため、取り扱いが非常に困難である。したがって、超微粒子の凝集を抑制しつつ、より実用的な機能性材料として応用するためには、このような超微粒子を高分子や無機材料等と何らかの形で複合化して固定する方法が採られている。
【0003】
超微粒子の製造方法としては、気相法のガス中分散法、液相法の金属イオン還元法等が知られているが、液相中で調製する方法のほうが、超微粒子の表面修飾・凝集抑制、高分子等との複合化等が容易である。
従来、高分子を含む溶液中で金属超微粒子を製造する方法としては、高分子および金属塩を含む溶液中に還元剤を添加する方法や、各種エネルギー線の照射、または加熱操作により金属塩を分解して金属超微粒子を製造する方法等がある。
【0004】
低分子型還元剤を用いる方法としては、金属塩を含む溶液中に水素を注入する、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ヒドラジンなどを添加するなどの方法が知られている。
特許文献1には、ピロリドン基を有するポリマーおよび金属塩を含む溶液中に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等の還元剤を添加することにより、金属塩を安定化させた高分子複合体を調製する方法が記載されている。
【0005】
エネルギー線を照射する方法としては、金属塩を含む溶液に電子線、紫外線、可視光、マイクロ波、超音波等を照射する方法が知られている。
特許文献2には、還元性の有機溶媒に金属塩を溶解または分散させた後、マイクロ波を照射することによって、金属塩を還元させ、金属超微粒子を調製する方法が記載されている。
SDSまたはPEG水溶液中で超音波照射することにより、Au、Pd超微粒子を調製する例(非特許文献1参照)や、ポリエチレングリコールモノラウレート等の保護剤の存在下で、可視光または紫外光を照射することにより、Pt、Rhなどの超微粒子を調製する例(非特許文献2参照)も報告されている。
【0006】
加熱する方法としては、金属塩の分解温度まで溶媒を加熱する方法や、金属塩を含む溶液にエタノールなどのアルコールを添加して還流するアルコール還流法(非特許文献3および非特許文献4参照)等が知られている。
【0007】
特許文献3には、金属と親和性のあるポリマー鎖と金属と親和性の無いまたは低いポリマー鎖を有するブロックポリマーおよび金属塩を、それらが溶解可能な金属イオンを還元する能力のある高沸点の溶剤と低沸点の溶剤とからなる混合溶媒に溶解させた後、低温において低沸点の溶剤を除去してブロックポリマーのミクロ相分離構造を形成させた後、高温において高沸点の溶剤を除去しながら金属イオンを還元し、金属超微粒子を含む高分子複合体を得る方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−224006号公報
【特許文献2】
特開2000−256707公報
【特許文献3】
特開2000−72952公報
【非特許文献1】
大阪冶金会会誌、第40巻、39頁(2000年)
【非特許文献2】
高分子論文集、第52巻12号、809頁(1995年)
【非特許文献3】
触媒、第41巻7号、521頁(1999年)
【非特許文献3】
高分子、43巻12月号、(1994年)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
低分子型還元剤または水素分子を添加する方法では、還元剤によっては高分子も還元されることがあるため、用いる高分子が限定されるという問題点や還元剤の毒性・危険性等の問題がある。
電子線、紫外線、マイクロ波、超音波などのエネルギー線を用いる場合、エネルギー線を照射する工程が含まれるため、生産性が低い、高コストであるなどの問題や高分子によっては劣化するなどの問題がある。
加熱する方法を用いる場合、高分子によっては劣化するなどの問題がある。
【0010】
本発明の目的は、低分子型還元剤の添加、エネルギー線の照射または加熱操作をすることなく、より簡便な手法で金属超微粒子を含む有機無機複合材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、高分子(A)、該高分子を溶解する溶媒(B)および任意成分である他の成分(C)からなる溶液中において、高分子(A)または該高分子を溶解する溶媒(B)の少なくとも一方が還元性を有し、任意成分である他の成分(C)が還元性を有さない成分である溶液中に、少なくとも一種の金属塩を溶解させ、溶媒の沸点、溶媒中における該金属塩の分解温度または100℃のいずれか最も低い温度より低い温度で、外部より水素分子および低分子分解型還元剤の添加並びにエネルギー線および超音波の照射をすることなく高分子(A)および/または溶媒(B)の還元性により前記金属塩を還元して金属超微粒子を得ることを特徴とする金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法に関する本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の金属超微粒子を含む有機・無機複合材料の製造方法においては、高分子(A)と該高分子を溶解させる溶媒(B)とを含む溶液のうち高分子(A)および/または高分子を溶解させた溶媒(B)が還元性を有することが必要である。該高分子(A)または該高分子を溶解する溶媒(B)は単独の成分でも良いが、2種類以上の高分子または溶媒の混合物であっても良い。高分子(A)の配合量は、高分子(A)の溶媒(B)に対する溶解性を考慮して適宜決定され得るが、高分子(A)と溶媒(B)の合計量に対して30〜1.0質量%の範囲内であるのが溶液の取り扱い性などの点から好ましい。
【0013】
還元性を有する溶媒としては、ピリジンおよびピリジン誘導体、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、アセトン、アルコール類、N,N−ジメチルホルムアミドなどの有機アミド類、エチレンジアミンなどの有機アミン類が挙げられるが上記化合物に限定されるものではない。
【0014】
還元性を有する高分子としては、溶媒に溶解するものであることが必要であり、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンなどのビニル化合物およびその誘導体が挙げられるが、上記化合物に限定されるものではない。
【0015】
また、溶媒が還元性を有する場合、高分子は還元性を示さなくてもよく、この場合、溶媒に溶解するものであれば、いかなる高分子を用いてもよい。ただし、高分子が存在しないと前記のとおり、超微粒子は凝集しやすいため、超微粒子の安定化保護剤として高分子の添加は必要である。
逆に高分子が還元性を有する場合には、溶媒は還元性を示さなくてもよく、この場合、高分子を溶解可能なものであれば、いかなる溶媒を用いてもよい。
【0016】
また、任意に添加され得るその他成分(C)は、還元性を有さない成分であれば、特に限定はなく、例えば、他の高分子、溶媒、または金属塩の安定化保護剤として、アミノ基、ピリジル基、チオール基等を有する低分子化合物などが挙げられる。その他成分(C)の配合量は、その機能が損なわれない範囲において、高分子(A)と溶媒(B)とからなる溶液に溶解し得る量であればいくらでもよい。
【0017】
金属塩としては、上記溶媒に溶解するものであることが必要であるが、上記金属塩の種類は特に限定されるものではなく、得られる超微粒子を構成する金属の種類に応じていかなる種類の金属塩をも使用することができる。金属塩としては、例えば、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、アセチルアセトナト塩を挙げることができる。金属種としては還元性を示す高分子または溶媒によって、容易に還元される貴金属元素等であることが望ましく、例えば、Au、Ag、Pt、Pd、Rhなどの金属元素が挙げられる。
【0018】
金属塩が溶媒中に溶解するかどうかについては、本発明を実施するに当たって選択した金属塩及び溶媒の組み合わせ、および溶媒に対する金属塩の量によって決定される。溶媒に対して金属塩が溶解しにくい場合、金属塩をあらかじめ別の溶媒に溶解させた後、前記溶媒と混合することができる。例えば、金属塩をあらかじめ水に溶解させた後、アルコール類やアミド類などの別の溶媒と混合して用いてもよい。金属塩の配合量は上記のように溶解性を考慮して適宜決定され得るが、高分子(A)、溶媒(B)およびその他の成分(C)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲内であるのが好ましく、0.01〜1.0質量部の範囲内であるのがより好ましい。
【0019】
また、溶媒中に溶解させる金属塩の種類は、必ずしも一種類に限定されるものではない。超微粒子を構成する金属の種類に応じて複数の種類の金属塩を使用することができる。
【0020】
本発明における金属超微粒子を含む有機・無機複合材料の製造方法については、最終的に高分子、金属塩、溶媒からなる構成であれば、高分子および金属塩の溶解手順については特に限定されるものではない。例えば、溶媒に高分子を溶解させた後、金属塩を溶解させてもよく、逆に溶媒に金属塩を溶解させた後、高分子を溶解させてもよい。また、高分子を溶解させた溶液と金属塩を溶解させた溶液とを混合してもよい。
【0021】
本発明における金属超微粒子を含む有機無機複合材料の製造時の温度は、100℃以下で、溶媒の沸点以下、かつその溶媒中における金属塩の分解温度以下であればよく、できれば常温であることが簡便であり望ましい。
【0022】
本方法により得られた金属超微粒子を含有する有機無機複合材料は、非線形光学材料、光波長カットフィルター、超微粒子担持触媒、導電性ペースト・接着剤等の導電性材料、ハードコート性または高屈折率または抗菌・抗カビ性等を有する各種コーティング材料などに利用できる。
本発明における金属超微粒子の平均粒径は1.0〜1000nmの範囲内であるのが好ましいが、前記種々の用途毎に最適な粒径を選択し得るものである。該金属微粒子の粒径は、含有する高分子(A)、溶媒(B)、その他の成分(C)および金属塩の種類および配合量並びに金属微粒子の作製環境など種々の要因によって変化させることが可能である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0024】
<実施例1>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたもの5gを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、ジメチルスルホキシド5gに硝酸銀0.03gを溶解させ、前記ポリビニルアルコールを溶解させたジメチルスルホキシド溶液と常温で混合すると硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
また、ポリビニルアルコールを溶解させたジメチルスルホキシド溶液に、直接硝酸銀を溶解させた場合も同様に、銀超微粒子を調製することができた。
得られた銀超微粒子を含むポリビニルアルコール複合材料を真空乾燥させた後、透過型電子顕微鏡により観察したところ、図1に示すように20nm以下の銀超微粒子が生成していることを確認することができた。
【0025】
<実施例2>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたもの5gを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、水5gに硝酸銀0.03gを溶解させ、前記ポリビニルアルコールを溶解させたジメチルスルホキシド溶液と常温で混合すると硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
また、この場合、水とジメチルスルホキシドの作用によって、ポリビニルアルコールのゲル化が進行し、金属超微粒子含有ゲルを得ることができた。
【0026】
<実施例3>
水にポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール水溶液とN,N−ジメチルホルムアミドを1:1の質量比で混合した。次に前記混合溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
また、この場合、水とジメチルホルムアミドの作用によって、ポリビニルアルコールのゲル化が進行し、金属超微粒子含有ゲルを得ることができた。
【0027】
<実施例4>
水にポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール水溶液とエチレングリコールを1:1の質量比で混合した。次に前記混合溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
【0028】
<実施例5>
ジメチルスルホキシドにポリビニルピロリドン(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリビニルピロリドン水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルピロリドン溶液が得られた。
【0029】
<実施例6>
水にポリビニルピロリドン(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリビニルピロリドン水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、ゆっくりと硝酸銀の還元が進行し、1日後には透明な溶液が薄く茶色に着色しており、銀超微粒子を含むポリビニルピロリドン溶液が得られたことがわかった。
【0030】
<実施例7>
ジメチルスルホキシドにポリアクリル酸(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリアクリル酸水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させたところ、すぐに硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルピロリドン溶液が得られた。
【0031】
<実施例8>
ジメチルスルホキシドにポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させ、1日静置したところ、硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリ(オキシエチレン)ジプロピルアミン溶液が得られた。
【0032】
<実施例9>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ5質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール溶液10gに酢酸銀0.03gを加え、しばらく静置すると硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
【0033】
<実施例10>
ジメチルスルホキシドにポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ5質量%としたものを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、前記ポリビニルアルコール溶液5gにヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物0.03gを溶解させ、1日静置するとヘキサクロロ白金酸の還元が進行し、白金超微粒子を含むポリビニルアルコール溶液が得られた。
【0034】
<比較例1>
ジメチルスルホキシド10gに硝酸銀0.03gを溶解させた後、室温で静置すると沈殿物が得られた。これは、生成した超微粒子の安定化保護剤として働く高分子が存在しなかったために、超微粒子の凝集が進行し、沈殿物が得られたと考えられる。したがって、超微粒子を得るためには、安定化保護剤として働く高分子の添加が必要である。
【0035】
<比較例2>
水にポリアクリル酸(和光純薬製)を溶解させ5質量%とした。次に、前記ポリアクリル酸水溶液10gに硝酸銀0.03gを加え、撹拌することで前記溶液に溶解させ、1日静置したが、溶液は透明なままであった。これは、溶媒および高分子の両方に還元性がないため、硝酸銀の還元が進行しなかったものと思われる。
【0036】
<比較例3>
水にポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール PVA−117)を加熱溶解させ10質量%としたもの5gを静置し、常温まで自然冷却させた。次に、水5gに硝酸銀0.03gを溶解させ、前記ポリビニルアルコール水溶液と常温で混合した後、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬製)0.03gを加えたところ、硝酸銀の還元が進行し、銀超微粒子を含むポリビニルアルコール水溶液が得られたが、水溶液がしばらく発泡し続けた。
また、同様の条件でポリビニルアルコールと硝酸銀を溶解させた水溶液から、キャストフィルムを調製し、水100dm3に水素化ホウ素ナトリウム0.3gを溶解させた水溶液に、前記フィルムを浸漬したところ、硝酸銀の還元の進行と同時に、フィルムの収縮が発生した。
前記結果は、ポリビニルアルコールフィルムが低分子分解型還元剤により変質したためである。つまり、低分子分解型還元剤によって変質しやすい高分子を用いる場合、本発明の方法によれば、低分子分解型還元剤を用いることなく金属超微粒子を含有する有機無機複合材料を製造することが可能であることから、本発明が有用であることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、各種還元剤の添加や各種エネルギー線の照射、加熱操作などの外部からのエネルギーを付与することなく金属超微粒子を含む有機・無機複合材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリビニルアルコール中に分散した銀超微粒子の透過型電子顕微鏡写真
Claims (6)
- 高分子(A)と該高分子を溶解する溶媒(B)とからなる溶液中において、高分子(A)および/または該高分子を溶解する溶媒(B)が還元性を有する成分である溶液中に、少なくとも一種の金属塩を溶解させ、溶媒の沸点、溶媒中における該金属塩の分解温度または100℃のいずれか最も低い温度より低い温度で、外部より水素分子および低分子分解型還元剤の添加並びにエネルギー線および超音波の照射をすることなく高分子(A)および/または溶媒(B)の還元性により前記金属塩を還元して金属超微粒子を得ることを特徴とする金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法。
- 高分子(A)、該高分子を溶解する溶媒(B)および他の成分(C)からなる溶液中において、高分子(A)および/または該高分子を溶解する溶媒(B)が還元性を有し、他の成分(C)が還元性を有さない成分である溶液中に、少なくとも一種の金属塩を溶解させ、溶媒の沸点、溶媒中における該金属塩の分解温度または100℃のいずれか最も低い温度より低い温度で、外部より水素分子および低分子分解型還元剤の添加並びにエネルギー線および超音波の照射をすることなく高分子(A)および/または溶媒(B)の還元性により前記金属塩を還元して金属超微粒子を得ることを特徴とする金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法。
- 還元性を有する溶媒が、ピリジンまたはピリジン誘導体、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、アセトン、アルコール類、有機アミド類および有機アミン類から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法。
- 還元性を有する高分子が、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールおよびポリビニルピロリドンから選ばれる少なくとも1種の高分子ビニル化合物またはその誘導体である請求項1または2に記載の金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法。
- 超微粒子の平均粒径が1.0〜1000nmである請求項1〜4に記載の金属超微粒子を含有する有機・無機複合材料の製造方法。
- 超微粒子がAu、Ag、Pt、Pd、Rhの少なくとも1種類の金属元素から構成される請求項1〜5に記載の金属超微粒子を含有する有機無機複合材料の製造方法。
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