JP2004303563A - 圧着機構、及びそれを用いた二次電池の製造装置並びに製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二つ折りシート部材1の交差する二辺の縁を外側から押圧し、開口部を有する袋状の容器を形成する。シールブロック93,93は、交差する二辺の縁に対応したL字状の押圧端面93bを有し、シリンダ(押圧部)11により、重心位置を通ってシート部材1の被押圧面に垂直な線に沿いシールブロック93,93を押込むように構成されている。シリンダ(押圧部)11は、L字状の押圧端面93bを有するシールブロック93,93を均一に押込むので、瘤を形成することがない高品質な二次電池を効率良く製造することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばポリマーリチウム二次電池の製造に採用して好適な圧着機構、及びそれを用いた二次電池の製造装置並びに製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
二次電池は、電極部材を収納した例えばアルミニウム製の容器内に電解液が注入された後密閉され、充放電の繰り返し工程を経て製造される。
【0003】
図6は、従来のポリマーリチウム二次電池の製造工程図である。
【0004】
図6(a)は、引き出し供給される長いシート材1Aが、カッタ(切断刃)2により所定長さ寸法に切断されて、シート部材1が形成される様子を示したものである。シート材1A自体はアルミラミネートシートと称され、アルミニウム箔の中間層を間に、シーラントと称されポリプロピレンやポリエチレン等からなる上面の接着層と、ポリエステル等の絶縁体で形成された下面の被覆層との3層構造で構成され、成形、折り畳み、及び圧着等の諸工程を経て袋状の容器へと変化する。
【0005】
図6(a)に示したシート材1Aからの切り離し工程で形成されたシート部材1は、図6(b)に示すように、金型3のプレス操作により、内側となる上面の接着層側から絞り加工が施され、図6(c)に示したように、電極部材の形状に則した凹部1aが形成される。なお、その凹部1aは、シート部材1の長手方向に二つ折りに畳んだとき、凹部1aに嵌め込み収納された電極部材を包むことができる位置に設けられる。
【0006】
電極部材嵌め込み用の凹部1aが形成されたシート部材1は、吸引パッド4により吸着搬送され、図6(d)に示すように、折り畳み成形の作業台となるパレット5上に載置される。
【0007】
パレット5には、図示のように、載置されたシート部材1の長手方向の両縁に沿って複数個のチャック51が設けられ、搬送載置されたシート部材1の縁部が保持されるように構成されている。なお、チャック51は、下方の操作ロッド52が図示矢印(上)方向へ移動して押し上げたときに、開動作してシート部材1をパレット5上に受取り載置し、図6(e)に示したように、操作ロッド52が下方向へ退避移動して閉動作を行い、シート部材1の縁部をパレット5上に保持する。
【0008】
パレット5上のシート部材1は、これら複数個のチャック51の選択的な開閉操作を受けつつ、不図示の折り曲げ加工機により二つ折りに折り畳まれる。
【0009】
すなわち、シート部材1は、図6(f)に示すように、後工程で嵌め込まれる電極部材と同形状のダミーワーク6が、形成された凹部1aに嵌め込み収納され、不図示の折り曲げ加工機により二つに折り畳まれる。なお、ダミーワーク6の形状は、後で嵌め込まれる電極部材とほぼ同形状であるが、図示した例では、電極リードは省略されて設けられてはいない。
【0010】
ダミーワーク6を凹部1aに嵌め込み収納した状態で、二つに折りに畳まれたシート部材1は、図6(g)に示すように、折り畳み側の辺を除く、残り三方の辺の縁部がカッタ(切断刃)7a,7b,7cによりカット(切断)されて形状整形される。
【0011】
整形後のシート部材1は、一旦開かれて、図6(h)に示すように、中のダミーワーク6に代えて、電極部材8を、正負の各電極リード8a,8bを外側にはみ出させた状態で収納する。なお、電極部材8は、よく知られているように、電極リード8a,8bに接続された正極及び負極が、セパレータを介してコイル状に積層巻回され、全体が偏平な矩形状をなすように構成されている。
【0012】
電極部材8が嵌め込み収納されたシート部材1は、図6(i)並びに図6(j)に示すように、順次、各上下一対のヒータを内蔵したシールブロック91,91及び92,92により、電極リード8a,8bが取り出された側の辺の縁部、及びこの縁部と交差する一方の縁部でそれぞれ上下接着層は押圧加熱を受けて溶融接合し、開口部を残した袋状の容器が形成される。
【0013】
なお、図6(i)に示したシールブロック91,91の押圧加熱に際し、各電極リード8a,8bとシート部材1との間も密着性良く接着される必要があるので、押圧加熱に先立ち予め、電極リード8a,8bを間に挟むように上下に接着仲介役のリードフィルム1cが貼着されている。
【0014】
図7は、図6(i)に示した工程を説明する拡大正面図で、電極部材8を収納して二つ折りに折り畳まれたシート部材1は、搬送保持機構10により保持されつつ、ヒータを内蔵した上下一対のシールブロック91,91間に供給され位置決めされる。
【0015】
各シールブロック91,91は、それぞれシリンダ11,11の各作動ロッド11a,11aに連結されていて、互いに対向する図示矢印Z方向へ押出すので、シート部材1の一辺(電極リード8a,8bが取り出された側の辺)は、その縁に沿い押圧加熱を受けて封止される。なお、電極リード8a,8bに厚みがあるので、シート部材1を押圧するシールブロック91,91の押圧端面には、その電極リード8a,8bの厚さ形状に見合う凹部が形成されている。
【0016】
図8は、図6(j)に示した工程を説明する拡大正面図で、図7で示したシート部材1に対する圧着機構と同様に構成され、上下一対のシリンダ12,12の作動ロッド12a,12aにはヒータを内蔵した上下一対のシールブロック92,92が取付け固定され、シールブロック92,92は図示矢印Z方向へ押込み操作を受ける。そのシールブロック92,92の押込み操作により、電極リード8a,8bが取り出された側と交差した側の接着層も、熱圧着により溶融接合して封止される。
【0017】
(なお、図7では省略して示していないが)、図8に示すように、一対のシールブロック92,92に設けられたガイド片92a,92aがガイドレール13に案内されて上下動するように構成されているので、精度良く安定した熱圧着が行なわれる。
【0018】
上記のように、従来の二次電池の製造装置に採用される圧着機構は、電極部材8を収納して二つ折りにされたシート部材1が、順次、交差する二方向での押圧加熱を経て、開口部を有する袋状の容器を形成するように構成されている。(例えば、非特許文献1参照。)。
【0019】
このようにして圧着機構により電極部材8を中に収納して形成された容器は、真空チャンバ内に搬送され、電解液が注入された後に開口部が封止される。開口部が封止されて密閉された容器は、電極部材8に対する充放電の繰り返し工程を経て製品としてのポリマーリチウム二次電池が完成する。
【0020】
【非特許文献1】
「芝浦メカトロニクス技報」(通巻第32号)、芝浦メカトロニクス(株)2001年7月発行、p.20−24
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ポリマーリチウム二次電池の製造工程では、図7及び図8に示したように、二つ折りに折り畳まれたシート部材1の交差する二辺の各接着層は、シールブロック91,91、及び92,92により、順次、押圧加熱により封鎖されて容器が形成される。
【0022】
接着層が押圧加熱を受けたとき、溶融したポリプロピレンやポリエチレン等からなるいわゆるシーラントは押圧を受けて外側にはみ出して硬化する。シート部材1の交差する二辺は、順次熱圧着をうけるので、最初にシールブロック91,91による押圧加熱により外側に押出され、押圧の長手方向にひも状に形成されたシーラントの山は、さらに次のシールブロック92,92による押圧と重なる部分でも外側に押出される。その結果、重畳した領域では、外側に押出されるシーラントの量が局部的に多くなり、図9に示すように目立った瘤1d状となって突出し、硬化するので、美観が損なわれ商品価値を低下させる要因となった。
【0023】
そこで、本発明は、接着層を構成したシーラントが押圧加熱操作の際に、瘤の形成を回避した圧着機構、及びその圧着機構を用いて美観の良好な二次電池の製造装置並びに製造方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、二つ折りシート部材の交差する二辺の縁を外側から押圧し、開口部を有する袋状の容器を形成するように構成された圧着機構において、前記交差する二辺の縁に対応したL字状の押圧端面を有するシールブロックと、このシールブロックの重心位置を通りかつ前記シート部材の被押圧面に垂直な線に沿い、シート部材に向けてシールブロックを押込む押圧部とを具備することを特徴とする。
【0025】
第2の発明は、二つ折りシート部材の交差する二辺の縁を両外側から押圧して、開口部を有する袋状の容器を形成可能に構成された圧着機構において、前記二つ折りシート部材を間に両外側に配置され、対向するL字状の押圧端面を有する一対のシールブロックと、この一対のシールブロックに対し、両外側から各シールブロックの重心位置を通り、かつ前記シート部材の被押圧面に垂直な線に沿い、シート部材に向けてシールブロックを押込む押圧部とを具備することを特徴とする。
【0026】
上記のように、第1及び第2の発明の圧着機構によれば、押圧部は、シールブロックが交差する二辺を同時に押圧するL字状の押圧端面を設けたので、従来のように、一度押圧面からはみ出したシーラントの山を、更に次の押圧加熱により外側に向けて押出してしまい、シーラントの瘤を形成してしまうような不具合発生を回避することができる。
【0027】
第3の発明は、順次送り込まれてくるシート部材を所定長さに切断するカッタと、前記所定長さのシート部材に、電極部材嵌め込み用の凹部を形成する成形部と、前記凹部の開口面を覆うように、前記所定長さに切断されたシート部材を二つに折り畳む折り畳み加工機と、この折り畳み加工機により二つに折り畳まれたシート部材の交差する二辺の縁を圧着し、残りの一辺に開口部を設けて袋状の容器を形成する圧着機構と、この圧着機構により形成された容器内に、前記開口部を介して電解液を注入する注入機構と、この注入機構による電解液注入後に、前記開口部を封止する封止機構とを有する二次電池の製造装置において、前記圧着機構は、前記交差する二辺の縁を同時に押圧するようにL字状の押圧端面を有するシールブロックと、このシールブロックの重心位置を通り、かつシート部材の被押圧面に垂直な線に沿い、前記シート部材に向けてシールブロックを押込む押圧部とを具備することを特徴とする。
【0028】
また第4の発明は、二次電池の製造方法において、シート部材を成形し、電極部材嵌め込み用の凹部を形成する成形工程と、この成形工程により形成された前記凹部に電極部材を嵌め込む工程と、この工程の後に、前記電極部材を挟むように前記シート部材を二つ折りに畳む折り畳み工程と、この折り畳み工程により二つ折りに畳まれたシート部材を、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の圧着機構により圧着して、開口部を有する袋状の容器を形成する工程と、この工程の後に、前記開口部から容器内に電解液を注入する工程と、この工程の後に前記開口部を封止する工程とからなることを特徴とする。
【0029】
このように、第3の発明の二次電池の製造装置、及び第4の発明の二次電池の製造方法によれば、上記第1及び第2の発明による圧着機構により、押圧端面がL字状のシールブロックが交差する二辺を同時に押圧するので、シーラントの瘤の形成は回避され、美観が良好で商品価値の高い二次電池を製造することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による圧着機構を用いた二次電池の製造装置及び製造方法の一実施の形態を図1ないし図5を参照して詳細に説明する。なお、図6ないし図9に示した従来の圧着機構を用いた二次電池の製造装置及び製造方法と同一構成には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の二次電池の製造方法の一実施の形態を示した主要工程図である。なお、図1に示した二次電池の製造方法でも、ポリマーリチウム二次電池を製造するものとして以下説明する。
【0032】
すなわち、本発明における一実施の形態の二次電池の製造方法は、まず図1(a)に示すように、3層構造からなるアルミラミネートのシート材1Aが、カッタ(切断刃)2により所定長さに切断されてシート部材1が形成される。
【0033】
形成されたシート部材1は、図1(b)に示す成形部における金型3によるプレス操作を受けて塑性変形し、接着層側に、電極部材の形状に対応した嵌め込み用の凹部1aが形成される。
【0034】
成形部において凹部1aが形成されたシート部材1は、図1(c)に示した吸引パット4により吸着されて、図1(d)に示したパレット5上に搬送され載置される。
【0035】
パレット5上のシート部材1は、図1(e)に示すように、チャック51の閉動作により保持され、続いて図1(f)に示すように、ダミーワーク6の凹部1aへの嵌め込み収納を経て、不図示の折り曲げ加工機による接着層を内側にした折り畳み加工が施される。
【0036】
ダミーワーク6を収納し、二つ折りに折り畳まれたシート部材1は、図1(g)に示すように、折り畳み側の縁を除く他の三方の縁をカッタ7a,7b,7cでカットされて整形される。
【0037】
整形後に、シート部材1の凹部1aには、図1(h)に示すように、ダミーワーク6に代えて、各電極リード8a,8bを接着仲介役のリードフィルム1cで挟んだ電極部材8が凹部1aに嵌め込み収納される。
【0038】
電極部材8を嵌め込み収納した二つ折りのシート部材1は、図1(i)に示すように、ヒータを内蔵した上下一対のシールブロック93,93間に供給され配置される。
【0039】
上下一対のシールブロック93,93は、図示左方の開口部が形成される縁を除き、他の交差する二辺の縁部を同時に熱圧着できるように、対向するL字状の押圧端面93b,93bを有する。
【0040】
図2は、図1(i)の工程で使用される圧着機構の具体的構成を示した拡大正面図で、電極部材8を収納して二つ折りに折り畳まれたシート部材1は、搬送保持機構10により保持されつつ、上下一対のシールブロック93,93間に位置決め配置された状態を示している。
【0041】
L字状の押圧端面93b,93bを有する各シールブロック93,93は、それぞれ押圧部を構成するシリンダ11,11の各作動ロッド11a,11aに連結されていて、図示矢印Z方向へ押出されるので、シート部材1の開口部を除いて交差し、L字状を形成した残りの二辺の縁は、同時に押圧加熱されて封止される。
【0042】
なお、電極リード8a,8bには厚みがあるので、電極リード8a,8bを押圧する位置のシールブロック93,93の押圧端面93b,93bには、従来と同様に、熱圧着時に電極リード8a,8bを挟んだときの厚さ形状に見合う凹部が形成されている。また、一対のシールブロック93,93にはガイド片93a,93aが取付けられ、ガイドレール14に案内されて上下動するので、精度良く安定した熱圧着が行なわれる。
【0043】
図3(a)は、図2のA−A線から矢印方向を見た断面図、図3(b)は図2のB−B線から矢印方向を見た断面図である。また図3(c)は、図2において、一対のシールブロック93,93がシート部材1を熱圧着している状態を示す要部正面図である。
【0044】
すなわち、図3(b)に示すように、シート部材1は、上下一対のシールブロック93,93により、開口部側の縁を除くL字状の残りの二辺の縁(辺)部が一度に同時に熱圧着されるので、従来のように、シート部材1で接着層を形成したシーラントが2度にわたって押圧面からの押出されて、瘤状に突出することは回避され、図4に示したように、突出部のない美観の良好な容器が形成される。
【0045】
また、この実施の形態では、シリンダ11,11の作動ロッド11a,11aがそれぞれ対応する各シールブロック93,93を連結して構成されているが、その連結された各シールブロック93,93がシリンダ11,11により押出される力は、図2に矢印Zで示すように、シート部材1の押圧面に直交する方向に、しかも図3(a)に示すように、シールブロック93,93の重心位置Pを通るように構成されている。
【0046】
すなわち、この実施の形態の圧着機構は、シールブロック93,93は重心位置Pを通るように押込まれるので、L字状の押圧端面93b,93bではシート部材1に均一な押圧力が加わり、接着層全体に溶融接合のばらつきが生じない良好な圧着が行なわれる。
【0047】
すなわち、もしもシリンダ11,11によるシールブロック93,93への押込み方向が重心位置Pから大きく外れると、L字状の押圧端面93b,93b全体に加わる加重の均一性は損なわれ偏加重となる。従って、偏加重によりより過大な加重が加わった部分では、多くの溶融シーラントが押圧面から多く追い出されてしまい弱い接着力しか得られなくなる。また必要な加重が加わらない部分も、シーラントの溶融接合が十分行なわれない可能性が生じ、同様に、適切な封止がなされない恐れがある。
【0048】
その点、この実施の形態では、シリンダ11,11のシールブロック93,93の重心位置Pを通りかつシート部材1の押圧面に直交する線に沿うように押圧力を作用させるので、均一で良好な融合接合が行なわれ、高品質な容器を製造することができる。
【0049】
加えて、この実施の形態では、図2及び図3(b)並びに図3(c)に示したように、シールブロック93,93のL字状の押圧端面93b,93bの両端部及び中間のコーナー部に隣接して、押圧端面93b,93bからは先端面がわずか突出するようにストッパ部材93cを設けて構成されている。
【0050】
このストッパ部材93cの存在により、シールブロック93,93の熱圧着時における押圧端面93b,93b間の間隔は一定となるように制限されるので、L字状の押圧端面93b,93bがシート部材1の接着面に対し、平行面を形成しつつ押圧する重心位置Pを通るシリンダ11,11の押圧操作をより確かなものとなると同時に、接着層に対する押圧力に偏りが生じないように作用するので、高品質な容器を効率良く製造することができる。
【0051】
また、図2に示すように、この実施の形態では、一対のシールブロック93,93に設けられたガイド片93a,93aがガイドレール14に案内されて上下動するので、安定した熱圧着が行なわれる。
【0052】
図5は、図1ないし図3に示したこの実施の形態の圧着機構による容器の形成を経て、ポリマーリチウム二次電池が製造される工程図を示したものである。
【0053】
すなわち、図5(a)に示すように、正,負の各電極リード8a,8bを有して矩形状をなして偏平な電極部材8は、図5(b)に示した二つ折りに折り曲げ加工されたシート部材1と組み合わされ、その組み合わされたシート部材1は、図5(c)に示したように電極部材8を中に収納し、前述の圧着機構により袋状の容器に形成される。
【0054】
圧着機構により形成される袋状の容器は、ベースがアルミニウム製ということもあり、上部の開口部1eは狭まった状態となる。
【0055】
そこで二次電池を製造するために、真空チャンバ内において、予め計量された一定量の電解液を容器内に注入するとき、例えば図5(d)に示すように、開口部1eの両外側にバキュームチャック15,15を吸着し、図示矢印15a,15a方向に引張ることで開口部1eを広げ、図5(e)に示すように、注入機構を構成する供給パイプ16のノズル16aを容器内に向けて挿入して電解液の注入が行なわれる。
【0056】
電解液が注入された後の容器の開口部1eは、図5(f)に示したように封止機構を構成するヒートブロック17,17による熱圧着により封止される。
【0057】
容器内で電解液の注入を受けた電極部材8は、充放電の繰返し工程を経て、商品とし完成されたポリマーリチウム二次電池が製造される。
【0058】
なお、上記説明の実施の形態において、圧着機構のシールブロック93は、上下に一対対向するように配置され、相対的に対応した押圧移動によりシート部材1を押圧する旨説明したが、要するに中間に位置決め配置されたシート部材1が適切に押圧されれば良いので、シート部材1をいずれか一方の位置固定したシールブロック93側に寄せて配置するようにし、他方のシールブロック93のみを押圧移動させるように構成しても良い。
【0059】
また、シート部材1を押圧する圧着機構は、上下いずれか一方のシールブロック93を他方のシールブロック93を受ける平坦な受け台に置き換えるように構成しても良い。
【0060】
さらにまた、上記実施の形態では、シールブロック93はヒータを内蔵し、熱圧着するように説明したが、接着層を形成した接着剤の種類によっては、加熱することなく単に押圧するのみで接着するように構成しても良い。
【0061】
いずれにしても、この実施の形態による圧着機構によれば、一度の押圧操作により高精度で均一な圧着が可能であり、この圧着機構を採用した容器の形成により、高品質なポリマーリチウム二次電池あるいはリチウムイオン二次電池等の二次電池を効率良く製造することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明による圧着機構によれば、美観が優れかつ電解液等の液漏れをも回避した良好な容器を形成できるので、この圧着機構を用いた二次電池の製造により、高品質な二次電池を効率良く製造することができ実用に際し得られる効果大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧着機構の一実施の形態を示したもので、二次電池に採用可能な容器の製造工程図である。
【図2】図1(i)に示した工程での圧着機構の構成を示した正面図である。
【図3】図3(a)は図2のA−A線矢視断面図、図3(b)は図2のB−B線矢視断面図、図3(c)は図2のシート部材を圧着した状態を示す要部正面図である。
【図4】図1に示した製造工程で製造された容器の一部切り欠け斜視図である。
【図5】本発明による二次電池の製造方法の一実施の形態を示した製造工程図である。
【図6】従来の圧着機構による容器の製造工程図である。
【図7】図6(i)に示した工程における圧着機構の構成を示した正面図である。
【図8】図6(j)に示した工程における圧着機構の構成を示した正面図である。
【図9】図6に示した工程で製造された容器の一部切り欠け斜視図である。
【符号の説明】
1 シート部材(容器)
1a 凹部
1d 瘤
1e 開口部
3 金型(成形部)
4 吸引パッド
6 ダミーワーク
7a,7b,7c カッタ(切断刃)
8 電極部材
8a,8b 電極リード
91,92,93 シールブロック
93a ガイド片
93b 押圧端面
93c ストッパ部材
10 搬送保持機構
11,12 シリンダ(押圧部)
13,14 ガイドレール
16 供給パイプ(注入機構)
17 ヒートブロック(封止機構)
P 重心位置
Claims (6)
- 二つ折りシート部材の交差する二辺の縁を外側から押圧し、開口部を有する袋状の容器を形成するように構成された圧着機構において、
前記交差する二辺の縁に対応したL字状の押圧端面を有するシールブロックと、
このシールブロックの重心位置を通りかつ前記シート部材の被押圧面に垂直な線に沿い、シート部材に向けてシールブロックを押込む押圧部と
を具備することを特徴とする圧着機構。 - 二つ折りシート部材の交差する二辺の縁を両外側から押圧して、開口部を有する袋状の容器を形成可能に構成された圧着機構において、
前記二つ折りシート部材を間に両外側に配置され、対向するL字状の押圧端面を有する一対のシールブロックと、
この一対のシールブロックに対し、両外側から各シールブロックの重心位置を通り、かつ前記シート部材の被押圧面に垂直な線に沿い、シート部材に向けてシールブロックを押込む押圧部と
を具備することを特徴とする圧着機構。 - 前記シールブロックは、前記L字状の押圧端面の両端部及び中間のコーナー部の3箇所に、前記シート部材に対する押圧間隔を制限するストッパ部材を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧着機構。
- 順次送り込まれてくるシート部材を所定長さに切断するカッタと、前記所定長さのシート部材に、電極部材嵌め込み用の凹部を形成する成形部と、前記凹部の開口面を覆うように、前記所定長さに切断されたシート部材を二つに折り畳む折り畳み加工機と、この折り畳み加工機により二つに折り畳まれたシート部材の交差する二辺の縁を圧着し、残りの一辺に開口部を設けて袋状の容器を形成する圧着機構と、この圧着機構により形成された容器内に、前記開口部を介して電解液を注入する注入機構と、この注入機構による電解液注入後に、前記開口部を封止する封止機構とを有する二次電池の製造装置において、
前記圧着機構は、前記交差する二辺の縁を同時に押圧するようにL字状の押圧端面を有するシールブロックと、このシールブロックの重心位置を通り、かつシート部材の被押圧面に垂直な線に沿い、前記シート部材に向けてシールブロックを押込む押圧部とを具備することを特徴とする二次電池の製造装置。 - 前記シールブロックは、二つ折りシート部材の前記交差する二辺の縁を両外側から押圧するように、前記二つ折りにされたシート部材を間に対をなして対向配置されたことを特徴とする請求項4に記載の二次電池の製造装置。
- シート部材を成形し、電極部材嵌め込み用の凹部を形成する成形工程と、
この成形工程により形成された前記凹部に電極部材を嵌め込む工程と、
この工程の後に、前記電極部材を挟むように前記シート部材を二つ折りに畳む折り畳み工程と、
この折り畳み工程により二つ折りに畳まれたシート部材を、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の圧着機構により圧着して、開口部を有する袋状の容器を形成する工程と、
この工程の後に、前記開口部から容器内に電解液を注入する工程と、
この工程の後に前記開口部を封止する工程と
からなることを特徴とする二次電池の製造方法。
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