JP2004300334A - カーボンブラックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】殊更、親水性処理を施すことなく、水系溶媒への分散が可能なカーボンブラックの製造方法。
【解決手段】プラズマガスPGを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素MGを導入して、その炭化水素MGの分解反応によってカーボンブラックCBを製造する方法で、プラズマガスPGとして窒素を含むガスを使用する。
【選択図】 図1
【解決手段】プラズマガスPGを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素MGを導入して、その炭化水素MGの分解反応によってカーボンブラックCBを製造する方法で、プラズマガスPGとして窒素を含むガスを使用する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマガスを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素を導入して、その炭化水素の分解反応によってカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなカーボンブラックの製造方法においては、従来、プラズマガスとしてアルゴンまたは水素を使用していた(実際に実施されてはいるが、適当な特許文献などは見当たらない)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラズマガスとしてアルゴンまたは水素を使用して製造したカーボンブラックの粒子は、いわゆる疎水性を有する凝集体であり、したがって、そのままでは水系溶媒への分散が困難である。
そこで、例えば、カーボンブラックをインクジェット印刷用の水性インクの顔料として使用する場合、カーボンブラックに親水性を付加する必要があり、従来では、各種の分散剤を用いて水系溶媒へ分散させたり、あるいは、親水性モノマーを用いるグラフト重合法、親水性官能基を有する有機化合物をカーボンブラック表面に付加する方法、または、カーボンブラックの表面を直接酸化処理する方法などによってカーボンブラックに親水性を付加していた。
しかし、いずれの方法を採用する場合にも、親水性付加の処理工程が複雑で時間を要し、それが親水性を有するカーボンブラックのコスト高を招く一因となっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目し、鋭意研究と各種実験を重ねた結果に完成したもので、その目的は、殊更、親水性処理を施すことなく、水系溶媒への分散が可能なカーボンブラックの製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、プラズマガスを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素を導入して、その炭化水素の分解反応によってカーボンブラックを製造する方法であって、前記プラズマガスとして窒素を含むガスを使用するところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、熱プラズマを発生させるプラズマガスとして窒素を含むガスを使用することにより、原料である炭化水素の分解反応によりカーボンブラックを製造する際、カーボンブラックの表面に親水性を有する官能基が形成され、後述する実験結果から明らかなように、たとえ従来必要とされていた親水性処理を施さなくても、水系溶媒への分散が可能なカーボンブラックを製造することができるに至った。
したがって、例えば、カーボンブラックを水性インクの顔料として使用する場合であっても、カーボンブラックに親水性を付加するための親水性処理が不要になり、あるいは、たとえ必要であっても、従来に比べて非常に簡単な処理で済み、その結果、親水性を有するカーボンブラックを廉価に提供することができる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記プラズマガスが10体積%以上の窒素を含むところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、プラズマガスが10体積%以上の窒素を含むので、後述する実験結果から明らかなように、親水性に富んだカーボンブラックを製造することができ、その後における親水性処理を不要にして、親水性に優れたカーボンブラックを一層廉価に提供することができる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用するところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用するので、原料の炭化水素として液化天然ガスそのものを使用する場合に比較して、処理工程の削減による製造の容易化とコストダウンを図ることができる。
すなわち、液化天然ガス中には、主成分であるメタン以外に硫黄分や重質分などの不純物を含んでいるため、液化天然ガスそのものを原料として使用する場合には、それら不純物を除去する前処理工程が必要となる。
しかし、液化天然ガスから発生するボイルオフガスには、そのような不純物がほとんど含まれていないので、ボイルオフガスに関しては不純物除去のための前処理工程が不要となる。つまり、原料の一部にボイルオフガスを使用する場合には、少なくともボイルオフガスについて前処理工程が不要となり、原料の全てにボイルオフガスを使用する場合には、前処理工程が完全に不要となる。
【0011】
その上、ボイルオフガスは、液化天然ガスを貯蔵するタンク内において自然に発生するものであるから、貯蔵タンクからのボイルオフガスを使用すれば、きわめて合理的に親水性を有するカーボンブラックを製造することができる。
すなわち、貯蔵タンクからのボイルオフガスについては、従来、圧縮して都市ガスの原料として使用していたのであるが、そのボイルオフガスを原料としてカーボンブラックを製造すれば、従来のようにわざわざ圧縮する必要もなく、貯蔵タンクから自然に発生するボイルオフガスをそのまま使用して、親水性を有するカーボンブラックを合理的に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明によるカーボンブラックの製造方法につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
カーボンブラックの製造にはプラズマ反応装置が使用され、プラズマ反応装置は、図1に示すように、トーチ電極部A、チャンバー部B、カーボントレイ支持部Cなどを備え、トーチ電極部Aには、ひとつの陽極用トーチ電極1と2つの陰極用トーチ電極2a,2bの合計3つのトーチ電極が設けられている。
2つの陰極用トーチ電極2a,2bのうち、上方に位置するトーチ電極2aは、熱プラズマを発生させるためのもので、下方に位置するトーチ電極2bは、熱プラズマフレームの長さを調節するためのものである。
チャンバー部Bは、カーボントレイ支持部Cを収納するチャンバー本体3を備え、チャンバー本体3には、吸引排気用の吸引管4や覗き窓5などが設けられ、カーボン支持部Cは、生成されたカーボンブラックCBを受け止めるカーボントレイ6を備えていて、そのカーボントレイ6が冷却配管7内を通流する冷媒により冷却されるように構成されている。
【0013】
このような構成のプラズマ反応装置では、プラズマガスPGが、陽極用トーチ電極1と上方の陰極用トーチ電極2aとの間に導入され、かつ、原料である炭化水素としてのメタンガスMGが、上方の陰極用トーチ電極2aと下方の陰極用トーチ電極2bとの間に導入される。
メタンガスMGとしては、都市ガスの原料である液化天然ガスを貯蔵するタンクからのボイルオフガスを使用することができ、熱プラズマのエネルギーによってカーボンと水素に分解され、かつ、分解されたカーボンからカーボンブラックCBが生成されてカーボントレイ6上などに堆積し、一部のカーボンブラックCBとプラズマガスPGおよび水素は、吸引管4から装置外へ排気される。
そして、本発明では、プラズマガスPG中に窒素を混合することを特徴とし、好ましくは、10体積%以上の窒素を混合することを特徴とするもので、その方法によって親水性を有するカーボンブラックCBを製造することができるに至ったのである。
【0014】
本発明方法による効果を確認するため、上述したプラズマ反応装置を使用して実際にカーボンブラックを製造して、「親水性」などについての実験を試みたので、つぎに、その一部について説明する。
なお、図2に示す図表は、以下に述べる[実施例1]〜[実施例3]に記載の本発明方法により製造したカーボンブラックと、比較のために[比較例]に記載の方法により製造したカーボンブラックとの実験結果をまとめたものである。
【0015】
[実施例1]
プラズマガスPGとして、アルゴン(Ar)5.3L/minと窒素(N2)0.3L/minの混合ガス(窒素約5.4体積%)を使用し、圧力175Torr(約23331.4Pa)、トーチ電力1.0kWにてプラズマの発生を確認して、その後、原料のメタン(CH4)を0.2L/min導入したところ、冷却されたトレイ上と反応器内壁にカーボンブラックの堆積が認められた。
そのカーボンブラックを採取して粒度分布を測定したところ、平均粒径が0.33μmであり、超音波を使用して水への分散を試みたところ、水中に分散する粒子と水面に浮く粒子とに分かれる結果となった。
結論として、この実施例1によるカーボンブラックの場合、「やや親水性」を呈することが判明した。
【0016】
[実施例2]
プラズマガスPGとして、アルゴン3.1L/minと窒素0.9L/minの混合ガス(窒素約22.5体積%)を使用し、圧力100Torr(約13332.2Pa)、トーチ電力1.0kWにてプラズマを発生させて、原料であるメタンを0.4L/min導入した。
実施例1と同様に、トレイ上と反応器内壁に堆積したカーボンブラックを採取して粒度分布の測定と水への分散性評価を行ったところ、平均粒径が0.3〜0.4μmで、ほとんどの粒子が超音波により水中に分散して保持される結果となった。
したがって、この実施例2によるカーボンブラックの場合、「親水性」を呈することが判明した。
【0017】
[実施例3]
プラズマガスPGとして、アルゴンを使用せずに窒素だけ(窒素約100体積%)を使用し、0.9L/minの窒素を使用して、圧力175Torr(約23331.4Pa)、トーチ電力1.3kWにてプラズマを発生させて、原料であるメタンを0.8L/min導入した。
実施例1および2と同様に、採取したカーボンブラックについて粒度分布の測定と水への分散性評価を行ったところ、平均粒径が0.4μmで、実施例2と同様、ほとんどの粒子が超音波により水中に分散して保持される結果となった。
したがって、この実施例3によるカーボンブラックの場合も、「親水性」を呈することが判明した。
【0018】
[比較例]
プラズマガスPGとして、窒素を使用せずにアルゴンだけを使用し、6.0L/minのアルゴンを使用して、圧力175Torr(約23331.4Pa)、トーチ電力1.0kWにてプラズマを発生させて、原料であるメタンを0.8L/min導入した。
実施例1〜3と同様に、トレイ上と反応器内壁にカーボンブラックの堆積が認められ、採取して粒度分布を測定したところ、平均粒径が0.37μm程度のカーボンブラックであった。さらに、超音波を使用して水への分散を試みたところ、すべての粒子が水面に浮遊する結果となった。
したがって、この比較例によるカーボンブラックの場合は、完全に「疎水性」を呈することが判明した。
【0019】
以上の結果から、プラズマガス中に窒素を混合することにより、カーボンブラックに親水性が付与されることが解る。窒素の混合割合については、他の実験結果から、プラズマガス中に10体積%以上含まれていると、特に優れた親水性を呈することが確認された。
【0020】
〔別実施形態〕
先の実施形態では、原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用した例を示したが、そのボイルオフガスを原料の全てとして使用することも、原料の一部として使用することもできる。
さらに、原料の炭化水素として、必ずしもボイルオフガスを使用する必要はなく、各種の炭化水素をカーボンブラック製造のための原料として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ反応装置の縦断面図
【図2】実施例と比較例の結果を示す図表
【符号の説明】
CB カーボンブラック
MG 原料の炭化水素
PG プラズマガス
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマガスを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素を導入して、その炭化水素の分解反応によってカーボンブラックを製造するカーボンブラックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなカーボンブラックの製造方法においては、従来、プラズマガスとしてアルゴンまたは水素を使用していた(実際に実施されてはいるが、適当な特許文献などは見当たらない)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラズマガスとしてアルゴンまたは水素を使用して製造したカーボンブラックの粒子は、いわゆる疎水性を有する凝集体であり、したがって、そのままでは水系溶媒への分散が困難である。
そこで、例えば、カーボンブラックをインクジェット印刷用の水性インクの顔料として使用する場合、カーボンブラックに親水性を付加する必要があり、従来では、各種の分散剤を用いて水系溶媒へ分散させたり、あるいは、親水性モノマーを用いるグラフト重合法、親水性官能基を有する有機化合物をカーボンブラック表面に付加する方法、または、カーボンブラックの表面を直接酸化処理する方法などによってカーボンブラックに親水性を付加していた。
しかし、いずれの方法を採用する場合にも、親水性付加の処理工程が複雑で時間を要し、それが親水性を有するカーボンブラックのコスト高を招く一因となっていた。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目し、鋭意研究と各種実験を重ねた結果に完成したもので、その目的は、殊更、親水性処理を施すことなく、水系溶媒への分散が可能なカーボンブラックの製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、プラズマガスを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素を導入して、その炭化水素の分解反応によってカーボンブラックを製造する方法であって、前記プラズマガスとして窒素を含むガスを使用するところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、熱プラズマを発生させるプラズマガスとして窒素を含むガスを使用することにより、原料である炭化水素の分解反応によりカーボンブラックを製造する際、カーボンブラックの表面に親水性を有する官能基が形成され、後述する実験結果から明らかなように、たとえ従来必要とされていた親水性処理を施さなくても、水系溶媒への分散が可能なカーボンブラックを製造することができるに至った。
したがって、例えば、カーボンブラックを水性インクの顔料として使用する場合であっても、カーボンブラックに親水性を付加するための親水性処理が不要になり、あるいは、たとえ必要であっても、従来に比べて非常に簡単な処理で済み、その結果、親水性を有するカーボンブラックを廉価に提供することができる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記プラズマガスが10体積%以上の窒素を含むところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、プラズマガスが10体積%以上の窒素を含むので、後述する実験結果から明らかなように、親水性に富んだカーボンブラックを製造することができ、その後における親水性処理を不要にして、親水性に優れたカーボンブラックを一層廉価に提供することができる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用するところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用するので、原料の炭化水素として液化天然ガスそのものを使用する場合に比較して、処理工程の削減による製造の容易化とコストダウンを図ることができる。
すなわち、液化天然ガス中には、主成分であるメタン以外に硫黄分や重質分などの不純物を含んでいるため、液化天然ガスそのものを原料として使用する場合には、それら不純物を除去する前処理工程が必要となる。
しかし、液化天然ガスから発生するボイルオフガスには、そのような不純物がほとんど含まれていないので、ボイルオフガスに関しては不純物除去のための前処理工程が不要となる。つまり、原料の一部にボイルオフガスを使用する場合には、少なくともボイルオフガスについて前処理工程が不要となり、原料の全てにボイルオフガスを使用する場合には、前処理工程が完全に不要となる。
【0011】
その上、ボイルオフガスは、液化天然ガスを貯蔵するタンク内において自然に発生するものであるから、貯蔵タンクからのボイルオフガスを使用すれば、きわめて合理的に親水性を有するカーボンブラックを製造することができる。
すなわち、貯蔵タンクからのボイルオフガスについては、従来、圧縮して都市ガスの原料として使用していたのであるが、そのボイルオフガスを原料としてカーボンブラックを製造すれば、従来のようにわざわざ圧縮する必要もなく、貯蔵タンクから自然に発生するボイルオフガスをそのまま使用して、親水性を有するカーボンブラックを合理的に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明によるカーボンブラックの製造方法につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
カーボンブラックの製造にはプラズマ反応装置が使用され、プラズマ反応装置は、図1に示すように、トーチ電極部A、チャンバー部B、カーボントレイ支持部Cなどを備え、トーチ電極部Aには、ひとつの陽極用トーチ電極1と2つの陰極用トーチ電極2a,2bの合計3つのトーチ電極が設けられている。
2つの陰極用トーチ電極2a,2bのうち、上方に位置するトーチ電極2aは、熱プラズマを発生させるためのもので、下方に位置するトーチ電極2bは、熱プラズマフレームの長さを調節するためのものである。
チャンバー部Bは、カーボントレイ支持部Cを収納するチャンバー本体3を備え、チャンバー本体3には、吸引排気用の吸引管4や覗き窓5などが設けられ、カーボン支持部Cは、生成されたカーボンブラックCBを受け止めるカーボントレイ6を備えていて、そのカーボントレイ6が冷却配管7内を通流する冷媒により冷却されるように構成されている。
【0013】
このような構成のプラズマ反応装置では、プラズマガスPGが、陽極用トーチ電極1と上方の陰極用トーチ電極2aとの間に導入され、かつ、原料である炭化水素としてのメタンガスMGが、上方の陰極用トーチ電極2aと下方の陰極用トーチ電極2bとの間に導入される。
メタンガスMGとしては、都市ガスの原料である液化天然ガスを貯蔵するタンクからのボイルオフガスを使用することができ、熱プラズマのエネルギーによってカーボンと水素に分解され、かつ、分解されたカーボンからカーボンブラックCBが生成されてカーボントレイ6上などに堆積し、一部のカーボンブラックCBとプラズマガスPGおよび水素は、吸引管4から装置外へ排気される。
そして、本発明では、プラズマガスPG中に窒素を混合することを特徴とし、好ましくは、10体積%以上の窒素を混合することを特徴とするもので、その方法によって親水性を有するカーボンブラックCBを製造することができるに至ったのである。
【0014】
本発明方法による効果を確認するため、上述したプラズマ反応装置を使用して実際にカーボンブラックを製造して、「親水性」などについての実験を試みたので、つぎに、その一部について説明する。
なお、図2に示す図表は、以下に述べる[実施例1]〜[実施例3]に記載の本発明方法により製造したカーボンブラックと、比較のために[比較例]に記載の方法により製造したカーボンブラックとの実験結果をまとめたものである。
【0015】
[実施例1]
プラズマガスPGとして、アルゴン(Ar)5.3L/minと窒素(N2)0.3L/minの混合ガス(窒素約5.4体積%)を使用し、圧力175Torr(約23331.4Pa)、トーチ電力1.0kWにてプラズマの発生を確認して、その後、原料のメタン(CH4)を0.2L/min導入したところ、冷却されたトレイ上と反応器内壁にカーボンブラックの堆積が認められた。
そのカーボンブラックを採取して粒度分布を測定したところ、平均粒径が0.33μmであり、超音波を使用して水への分散を試みたところ、水中に分散する粒子と水面に浮く粒子とに分かれる結果となった。
結論として、この実施例1によるカーボンブラックの場合、「やや親水性」を呈することが判明した。
【0016】
[実施例2]
プラズマガスPGとして、アルゴン3.1L/minと窒素0.9L/minの混合ガス(窒素約22.5体積%)を使用し、圧力100Torr(約13332.2Pa)、トーチ電力1.0kWにてプラズマを発生させて、原料であるメタンを0.4L/min導入した。
実施例1と同様に、トレイ上と反応器内壁に堆積したカーボンブラックを採取して粒度分布の測定と水への分散性評価を行ったところ、平均粒径が0.3〜0.4μmで、ほとんどの粒子が超音波により水中に分散して保持される結果となった。
したがって、この実施例2によるカーボンブラックの場合、「親水性」を呈することが判明した。
【0017】
[実施例3]
プラズマガスPGとして、アルゴンを使用せずに窒素だけ(窒素約100体積%)を使用し、0.9L/minの窒素を使用して、圧力175Torr(約23331.4Pa)、トーチ電力1.3kWにてプラズマを発生させて、原料であるメタンを0.8L/min導入した。
実施例1および2と同様に、採取したカーボンブラックについて粒度分布の測定と水への分散性評価を行ったところ、平均粒径が0.4μmで、実施例2と同様、ほとんどの粒子が超音波により水中に分散して保持される結果となった。
したがって、この実施例3によるカーボンブラックの場合も、「親水性」を呈することが判明した。
【0018】
[比較例]
プラズマガスPGとして、窒素を使用せずにアルゴンだけを使用し、6.0L/minのアルゴンを使用して、圧力175Torr(約23331.4Pa)、トーチ電力1.0kWにてプラズマを発生させて、原料であるメタンを0.8L/min導入した。
実施例1〜3と同様に、トレイ上と反応器内壁にカーボンブラックの堆積が認められ、採取して粒度分布を測定したところ、平均粒径が0.37μm程度のカーボンブラックであった。さらに、超音波を使用して水への分散を試みたところ、すべての粒子が水面に浮遊する結果となった。
したがって、この比較例によるカーボンブラックの場合は、完全に「疎水性」を呈することが判明した。
【0019】
以上の結果から、プラズマガス中に窒素を混合することにより、カーボンブラックに親水性が付与されることが解る。窒素の混合割合については、他の実験結果から、プラズマガス中に10体積%以上含まれていると、特に優れた親水性を呈することが確認された。
【0020】
〔別実施形態〕
先の実施形態では、原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用した例を示したが、そのボイルオフガスを原料の全てとして使用することも、原料の一部として使用することもできる。
さらに、原料の炭化水素として、必ずしもボイルオフガスを使用する必要はなく、各種の炭化水素をカーボンブラック製造のための原料として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ反応装置の縦断面図
【図2】実施例と比較例の結果を示す図表
【符号の説明】
CB カーボンブラック
MG 原料の炭化水素
PG プラズマガス
Claims (3)
- プラズマガスを使用して発生させた熱プラズマ中に原料の炭化水素を導入して、その炭化水素の分解反応によってカーボンブラックを製造する方法であって、
前記プラズマガスとして窒素を含むガスを使用するカーボンブラックの製造方法。 - 前記プラズマガスが10体積%以上の窒素を含む請求項1に記載のカーボンブラックの製造方法。
- 前記原料の炭化水素として液化天然ガスから発生するボイルオフガスを使用する請求項1または2に記載のカーボンブラックの製造方法。
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Cited By (16)
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US10808097B2 (en) | 2015-09-14 | 2020-10-20 | Monolith Materials, Inc. | Carbon black from natural gas |
JP2021105177A (ja) * | 2015-02-03 | 2021-07-26 | モノリス マテリアルズ インコーポレイテッド | カーボンブラック生成システム |
US11149148B2 (en) | 2016-04-29 | 2021-10-19 | Monolith Materials, Inc. | Secondary heat addition to particle production process and apparatus |
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US11665808B2 (en) | 2015-07-29 | 2023-05-30 | Monolith Materials, Inc. | DC plasma torch electrical power design method and apparatus |
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003096833A patent/JP2004300334A/ja active Pending
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