JP2004300004A - 改質ガス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の複数の触媒を用いる改質法に対して、より低温条件でもガソリンや軽油などの炭化水素系燃料を1段で素早く且つ十分に改質でき、COの副生が殆どなく、窒素希釈を受けずコンパクトな改質ガス製造方法を提供すること。
【解決手段】炭化水素系燃料供給手段及び水供給手段が炭化水素系燃料及び水を高圧状態で改質反応器に供給し改質触媒の存在の下で反応させる際に、炭化水素系燃料の最高臨界圧以上35MPa以下、水の臨界温度以上600℃以下に制御して改質ガスを製造する。
炭化水素系燃料供給手段及び水供給手段が炭化水素系燃料及び水を高圧状態で改質反応器に供給し改質触媒の存在の下で反応させる際に、水の臨界温度以下の温度条件、当該温度における水の飽和水蒸気圧以下に制御して改質ガスを製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】炭化水素系燃料供給手段及び水供給手段が炭化水素系燃料及び水を高圧状態で改質反応器に供給し改質触媒の存在の下で反応させる際に、炭化水素系燃料の最高臨界圧以上35MPa以下、水の臨界温度以上600℃以下に制御して改質ガスを製造する。
炭化水素系燃料供給手段及び水供給手段が炭化水素系燃料及び水を高圧状態で改質反応器に供給し改質触媒の存在の下で反応させる際に、水の臨界温度以下の温度条件、当該温度における水の飽和水蒸気圧以下に制御して改質ガスを製造する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質ガス製造方法に係り、更に詳細には、該改質ガスをガソリンや軽油などの炭化水素系燃料から高効率且つ副生成物の発生を抑えて製造でき、更には小型燃料改質器を実現し得る改質ガス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、次世代の高効率エネルギー源として燃料電池が注目されている。特に、自動車のエネルギー源としては大きな期待が掛けられている。
燃料電池の燃料である水素の供給法としては、▲1▼水素をそのまま供給する方法、▲2▼メタンが主成分である都市ガスやプロパンが主成分であるLPGを改質・分解して得られた水素を用いる方法、▲3▼メタノール、エーテル、ガソリン、灯油などの液体燃料を改質・分解して得られた水素を用いる方法など種々の方法が提案されている。
【0003】
しかし、上記▲1▼の方法を適用するには、高圧ボンベなどの特殊な貯蔵装備が必要となり、安全性、ハンドリング及びインフラなど克服すべき課題が大きい。また、上記▲2▼の方法を適用する場合にも、取り扱いやインフラなどの問題点がある。更に、上記▲3▼の方法を適用するに場合には、メタノールをオンボードで改質して水素を得るには、エネルギー密度が低い、インフラ、毒性及び価格など数々の問題点がある。
【0004】
一方、従来から内燃機関用燃料として一般的に使われているガソリン又はガソリン類似の炭化水素留分は、エネルギー密度も比較的高く、インフラの問題もない。従って、民生用又は燃料電池車用途を想定すると、かかるガソリン又はガソリン類似の炭化水素留分を水素源として改質することが、エネルギー密度、搭載性、インフラストラクチャー及び安全性などの観点から好都合である。
【0005】
ここで、炭化水素系燃料を燃料電池用燃料へ改質する従来法を以下に示す。
まずニッケル系触媒を用いて、燃料を700℃〜800℃程度の高温で改質し、水素含有ガスを得る。この改質ガスは副生したCOを10%程度含有する。燃料電池では、COは電極触媒を被毒させ性能低下の原因となる。そこで、予めCOを取り除くため、引き続き次式1
CO+H2O→CO2+H2 …(1)
で表されるCO水性ガスシフト反応(CO変成反応)により、H2に変換する。
このCO変成反応は、典型的な熱力学平衡支配反応であり、高温ほど平衡が左に寄ることから、できるだけ低温で効率良く反応を進めることが望ましい。しかし、現状では低温で高活性な触媒がないため、高温型触媒を用いてできるだけCO濃度を下げておき、次いで、低温型触媒で1%程度にまでCO濃度を下げる。
更に、残留したCOをCO選択酸化触媒を用いることによって、40ppm、又はそれ以下まで除去し、燃料電池用水素燃料とする。
【0006】
従って、従来は、燃料改質触媒+高温型CO変成触媒+低温型CO変成触媒+CO選択酸化触媒の4段階の触媒システムを使用して、炭化水素系燃料を改質していた。更に、CO除去効率をより高める目的で、CO選択酸化触媒を2分割し、5段階の触媒システムを採用することもあった。
しかし、自動車用の燃料電池などで用いる改質触媒システムは小型・軽量であることが要求されるため、この4段階又は5段階の改質触媒システムの容量を大幅に縮小することが強く求められている。
【0007】
また、従来法で改質触媒を十分に機能させるためには、700℃〜800℃程度の高温条件を要し、CO変成触媒でも300〜450℃の温度を要する。
これに対し、例えば、固体高分子型燃料電池スタックの作動温度は80℃程度であるため、得られた水素含有改質ガスを燃料電池の発電に用いるには700℃あまりの冷却が必要である。このため、エネルギー効率を確保するために、熱回収用に多数の熱交換器を使用しなければならず、装置の小型化はより困難となる。
【0008】
更に、自動車へ搭載する燃料電池を考慮した場合、吸熱反応である水蒸気改質反応のみでは十分な反応速度が得られないことから、これに発熱反応である部分酸化反応を併用させて熱バランスをとるオートサーマル反応方式を採用することが考えられる。この場合、酸素源として通常空気を用いるが、それにより水素収率が犠牲になる。更に、得られる改質ガスには窒素が多く含有され、水素ガスが窒素希釈を受けるため、燃料電池スタックでの出力低下を引き起こすことになる。
【0009】
以上の状況から、CO含有率の低い燃料電池用改質ガスを高効率で製造できるコンパクトな改質器が切望されており、近年では、各種の方法が提案されている。
例えば、非平衡低温プラズマを利用する方法が提案されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。
【0010】
【非特許文献1】
触媒学会 第89回触媒討論会 討論会予稿集、1P23、P22(2002年)
【0011】
【非特許文献2】
日本エネルギー学会創立80周年記念大会講演予稿集、2−26、P130(2002年)
【0012】
【非特許文献3】
石油学会 第31回石油・石油化学討論会講演予稿集、C28、P131(2002年)
【0013】
しかしながら、上記非平衡プラズマを用いる方法は、常温でも水素を生成でき、高応答性であるという特徴を有するが、燃料を供給するためのキャリアーガスが不可欠であり、そのために空気を用いると転換効率低下や、やはり窒素希釈が生じるという問題点ある。また、CO生成が比較的多いという問題点もある。
【0014】
また、超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−105466号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2002−105467号公報
【0017】
上記超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法は、水の臨界点である22.1MPa且つ374℃以上又はその近傍の亜臨界条件下で燃料の改質反応を行う方法である。言い換えれば、高圧を必要とし、高密度だが低粘度であるという超臨界流体の特徴を生かした方法である。但し、従来は、セルロース、リグニンなどのバイオマス資源をガス化するために検討されてきた方法であり、燃料電池用水素を製造するための燃料改質法としては用いられた例はない。
【0018】
また、特許文献1及び2は、燃料電池用の水素含有改質ガスの製造を目的としたものではなく、難処理性の固体又は液体の有機廃棄物を処理し、より有用な燃料ガスに変えることを目的に提案された方法であり、有機廃棄物原料としてメタノールをモデルとした燃料ガス(水素−メタン系)の生成に関する実施例が示されている。実験条件は超臨界水条件では行われていないが、提案された特定の触媒を用いることにより、300℃、5MPaという超臨界水条件に近似する条件でも67%もの高い水素収率が得られており、このときCOは1%と比較的低濃度であることから、比較的良好な改質結果を示しているといえる。
【0019】
しかしながら、用いている有機廃棄物原料のモデルが極めて改質容易なメタノールであること、メタンの生成もかなり多いことから、車両用の燃料改質システムとしての適用可能性は不明である。実際、メタノール改質反応の場合、従来の触媒法を用いれば、常圧下、300〜400℃程度の比較的温度の低い条件でも、残存CO濃度1%程度の水素含有改質ガスが生成できることは知られており、上記実施例にみられるメタノール改質反応からは、超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法の従来法(触媒改質法)に対する有意性は明確ではない。
【0020】
一方、本発明者らは、超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法は、反応速度を大幅に高めるのに有望であり、条件次第で600℃以下の比較的低温でもガソリンや軽油などの改質が比較的困難な液体燃料を改質してCO含有率の極めて低い改質ガスを効率良く製造できることを見出した。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の有する課題及び新たな知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の複数の触媒を用いる改質法に対して、より低温条件でもガソリンや軽油などの炭化水素系燃料を1段で素早く且つ十分に改質でき、COの副生が殆どなく、窒素希釈を受けずコンパクトな改質ガス製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の改質反応条件且つ改質触媒を用いて炭化水素系燃料及び水を反応させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の改質ガス製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
【0024】
本発明は、炭化水素系燃料供給手段、水供給手段及び改質反応器を用い、炭化水素系燃料及び水を、高圧状態で改質反応器に供給し、改質触媒の存在の下で反応させて改質ガスを製造する。
これより、超臨界流体の有する「液体のように高密度で、気体のように低粘度である」という特徴を利用し、燃料分子と水分子とを非常に良好な混合状態で反応させ得る。また、改質触媒の狭い細孔内にまで混合流体が浸透するため活性点の利用率が向上し効率良く改質反応を進め得る。更に、従来品と比較して低温で改質反応が進行され得るため、改質反応器などに各種耐熱対策を施す必要が省ける。
【0025】
ここで、上記炭化水素系燃料供給手段及び水供給手段は、炭化水素系燃料及び水を上記改質反応器に供給する。例えば、上記炭化水素系燃料供給手段としては、燃料タンク及びこれと改質反応器を連通する流路上に設けた高圧ポンプが挙げられ、上記水供給手段としては、水タンク及びこれと改質反応器を連通する流路上に設けた高圧ポンプが挙げられる。
また、炭化水素系燃料及び水は加圧、加熱された状態で改質触媒と接触させる。例えば、図1に示すように、それぞれ独立に高圧ポンプで流路に送られ、混合した後、十分に加熱されて改質反応器に供給される。また、水及び燃料はそれぞれ独立に加圧、加熱された後混合され、改質反応器に供給してもよい。
【0026】
また、上記改質触媒は、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、ナトリウム(Na)、バリウム(Ba)又は鉄(Fe)、及びこれらの任意の組合せに係る元素を含有して成ることが好適である。これより、高温・高圧である超臨界水乃至亜臨界水の厳しい条件下でも、長時間の安定な改質反応が可能になる。また、高活性な改質触媒が得られ、反応温度が300〜500℃で且つ圧力が10〜20MPa程度のより低圧、低温条件でもCO含有率が少ない改質ガスを1段で高効率に製造可能である。
上記改質触媒の形態は、ペレット型、例えば、造粒法で得られた粒状、打錠成形された円筒形状、ラヒリングなどの塊粒状として容器に充填できるが、特に、自動車のような移動体に搭載することも考慮すると、ハニカム、フォーム及びプレートなどの形状を有するモノリス式として振動による磨耗を生じにくくすることが望ましい。
【0027】
本発明の改質ガス製造方法では、改質反応器としては、温度が最高600℃、且つ圧力が35MPa程度までの条件で運転できるものを使用することが良い。改質反応の条件は、用いる炭化水素系燃料の種類及び必要な水素ガスの量に応じて適宜選択できるが、本発明では、高い改質効率を実現し且つCO生成の少ない改質ガスを得る観点から、反応圧力及び温度を以下のように設定する。
【0028】
第1の設定条件としては、上記改質反応器内を、用いる炭化水素系燃料の最高臨界圧以上35MPa以下の圧力条件に制御し、且つ水の臨界温度以上600℃以下の温度条件に制御する。この方法は、ガソリン系燃料に有効であるが、軽油のような比較的重質の炭化水素を含有する燃料にも有効である。
この場合、水素収率を高め且つCOの生成を抑えるために、反応圧力は必要以上に高くし過ぎないことが重要である。特に、高い反応温度を必要としない改質され易い燃料系の場合などでは、反応圧力は、水の臨界圧力未満に制御することが好ましい。反応圧力が高過ぎると、メタン化反応が促進され、生成した水素の収率が大幅に低下することがある。逆に、反応圧力が足りないと反応が進行せず、そのために反応温度を高めるとCO生成が促進され易い。
【0029】
また、第2の設定条件としては、上記改質反応器内を、水の臨界温度以下の温度条件に制御し、且つ当該温度における水の飽和水蒸気圧以下に圧力条件を制御する。この方法は、比較的改質し易い軽質の炭化水素系燃料に有効である。
これより、メタン化反応を抑制して高い水素収率が達成される。但し、反応圧力が低過ぎると反応が進みにくいことがあり、また、高い改質率を実現する観点から、反応圧力を炭化水素系燃料の最高臨界圧以上に制御することが好ましい。
【0030】
なお、炭化水素系燃料を改質して水素ガスを製造する場合、COの生成を抑制する観点からは熱力学的にはできるだけ低温条件で反応させるのが有効である。一方、メタンの生成を抑制する観点からはできるだけ高温条件で反応させることが有効であり、また、高い改質反応率を実現するためにも高温条件が有効となる。
また、メタン化反応は低圧ほど抑制されるようであり、CO生成とメタン化反応との兼ね合いで、上述の設定条件が高い水素収率且つCOが少ない改質ガスを得るのに好適になっているものと思われる。
【0031】
また、上記改質ガス製造方法において、水/炭化水素系燃料比は重要である。水/(燃料中のカーボン)モル比で、1.0〜4.0になるように制御することが好適である。これより、高水準の改質効率及び水素収率を実現する改質ガスが得られる。水の量が少なく、上記より低モル比では、水素収率が不十分であり、逆に水の量が多すぎると予熱に要するエネルギーが莫大となり、システムのエネルギー効率が低下してしまう。
【0032】
更に、例えば、本発明の改質ガス製造方法を車両オンボード改質システムに適用する場合などは、車両の走行負荷に応じて又は用いる燃料種に応じて、改質条件をその場で最適化することが良い。
代表的には、生成した改質ガスに含有される少なくとも一種以上のガス成分の濃度(例えばCO濃度など)を検出し、その濃度に応じて上記改質反応器内の、圧力、温度、液空間速度又は水/燃料比、及びこれらの任意の組合せにかかるものを制御し、連続的に改質ガスを製造することが好適である。これより、燃料電池車などの発電に必要十分な質・量の改質ガスを常に供給することが可能になる。
【0033】
以上のように、本発明の改質ガス製造方法は、1段でCOが少ない改質ガスが得られるため、従来の多段触媒を用いる改質ガス製造方法に比べて、大幅な小型化・簡素化、信頼性の向上、設備コストの削減、触媒の貴金属量低減、作動温度の低温化などの効果が得られる。また、作動温度の低温化及び改質反応器(改質触媒)のサイズが小さく成り得るので、応答性に優れた超臨界改質反応器を設置でき、更には反応温度の昇温に要するエネルギー量が節約されエネルギー効率が高められる。また、車両キャビンを大きくでき、また、車両軽量化にも貢献するため、燃料消費率が極めて少ない経済的な自動車を提供することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(改質触媒の実施例1、実験No.1、8〜12対応)
硝酸アルミニウム9水和物Al(NO3)3・9H2O、硝酸ニッケル6水和物Ni(NO3)2・6H2O及び硝酸セリウム6水和物Ce(NO3)3・6H2Oの混合水溶液に、アンモニア添加し、沈殿を生成させ、濾過により余分な水分を取り除いてゲルを得た。得られたゲルを60℃にて吸引濾過により乾燥した後、120℃で乾燥してNiO−CeO2−Al2O3のゲルを得た。このゲルを500℃で4時間焼成して、12%NiO−8%CeO2−Al2O3を得た。
この焼成体を硝酸ロジウムの希釈水溶液に含浸した後、ロータリーエバポレーターにより、撹拌しながら、水分を蒸発させ、更に、500℃で1時間焼成することにより、Rhが0.5%担持された触媒;0.5%Rh−12%NiO−8%CeO2−Al2O3を調製した。
このRh−NiO−CeO2−Al2O3触媒粉末に水を加え、更に硝酸酸性アルミナゾルを1%添加し、ボールポットミルを用いて粉砕し、触媒スラリーを得た。
触媒支持体として、見かけ厚さ3mmで1インチ当たりの平均孔数が60ppi(気孔率95%)のコージェライト製セラミックフォームを用意した。
上記触媒スラリーを適当に水で希釈し、上記セラミックフォームへのコーティングを行った。その後、120℃での乾燥、400℃での焼成工程を経て、薄板状モノリス型セラミックフォーム改質触媒を得た。
【0036】
(改質触媒実施例2〜7、実験No.2〜7対応)
硝酸ロジウムに代えて、テトラアンミン白金、硝酸ルテニウム、また、硝酸ロジウムに加えて、酢酸コバルト、水酸化ナトリウム、酢酸バリウム及び硝酸鉄の希釈水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、それぞれ各例のセラミックフォーム改質触媒を得た。
【0037】
(実施例8、9、実験No.8、9対応)
硝酸アルミニウム9水和物Al(NO3)3・9H2O、硝酸ニッケル6水和物Ni(NO3)2・6H2O及び硝酸セリウム6水和物Ce(NO3)3・6H2Oの混合水溶液において、硝酸セリウム6水和物を、シュウ酸チタニル水溶液、及び硝酸ジルコニア水溶液に置き換えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、それぞれRh−NiO−TiO2−Al2O3触媒粉末、及びRh−NiO−ZrO2−Al2O3触媒粉末を得て、更に実施例8、9になるセラミックフォーム触媒を得た。
【0038】
<改質反応試験例>
上記改質触媒実施例で得られた改質触媒を、図1に示す固定床流通型改質反応装置に設置し、炭化水素系燃料のモデル燃料として、イソオクタン(2、2、4−トリメチルペンタン C8H18)、又はデカン(C10H22)を用いて、反応温度、反応圧力、水/C−HCモル比を変えて改質試験を行った。(実験No.1〜12対応)液空間速度(LHSV)は10h−1とした。
実験No.13では、改質触媒の代わりに、何もコーティングしていないコージェライト製セラミックフォームを改質反応器に設置した以外は、実験No.1と同様の条件で改質反応試験を行った。
改質反応器出口から得られる改質ガスを冷却して水を分離した後、調圧弁を通して大気圧に戻し、その一部をガスクロマトグラフに導入して分析し、水素、CO、CO2及びメタンの濃度を決定した。
表1に、各実験で得られた改質ガスの組成を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すように、各実験例で得られたガス組成より、温度、圧力、水/燃料比、触媒の存在が、得られた改質ガスの水素、CO、CH4濃度に重要な因子であることが分かる。
また、実験例1〜9から、本発明の改質触媒成分はいずれも有効であることが分かる。また、圧力条件により得られる改質ガスの水素濃度が変化し、2MPa程度の低圧条件では反応促進効果は見られず、殆どの炭化水素類の臨界圧を超える16MPaでは反応促進効果が認められる。
更に、水の臨界温度以下の条件では、水の飽和蒸気圧曲線未満の圧力条件で水素がリッチになり、それ以上の圧力では、メタン化反応の影響が強くなる傾向にある。
反応温度の影響としては、高温になるほど反応し易くなり、且つメタン化反応は抑制される。本実験条件ではいずれもCOの生成が少なかった。
本実験例で、改質触媒を用いないと水素濃度葉低く、改質触媒の効果は極めて大きいことが分かる。
【0041】
以上、本発明を好適実施例、比較例及び実験例により、詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、所定の改質反応条件且つ改質触媒を用いて炭化水素系燃料及び水を反応させることとしたため、従来の複数の触媒を用いる改質法に対して、より低温条件でもガソリンや軽油などの炭化水素系燃料を1段で素早く且つ十分に改質でき、COの副生が殆どなく、窒素希釈を受けないコンパクトな改質ガス製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改質反応試験装置の一例を示す概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質ガス製造方法に係り、更に詳細には、該改質ガスをガソリンや軽油などの炭化水素系燃料から高効率且つ副生成物の発生を抑えて製造でき、更には小型燃料改質器を実現し得る改質ガス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、次世代の高効率エネルギー源として燃料電池が注目されている。特に、自動車のエネルギー源としては大きな期待が掛けられている。
燃料電池の燃料である水素の供給法としては、▲1▼水素をそのまま供給する方法、▲2▼メタンが主成分である都市ガスやプロパンが主成分であるLPGを改質・分解して得られた水素を用いる方法、▲3▼メタノール、エーテル、ガソリン、灯油などの液体燃料を改質・分解して得られた水素を用いる方法など種々の方法が提案されている。
【0003】
しかし、上記▲1▼の方法を適用するには、高圧ボンベなどの特殊な貯蔵装備が必要となり、安全性、ハンドリング及びインフラなど克服すべき課題が大きい。また、上記▲2▼の方法を適用する場合にも、取り扱いやインフラなどの問題点がある。更に、上記▲3▼の方法を適用するに場合には、メタノールをオンボードで改質して水素を得るには、エネルギー密度が低い、インフラ、毒性及び価格など数々の問題点がある。
【0004】
一方、従来から内燃機関用燃料として一般的に使われているガソリン又はガソリン類似の炭化水素留分は、エネルギー密度も比較的高く、インフラの問題もない。従って、民生用又は燃料電池車用途を想定すると、かかるガソリン又はガソリン類似の炭化水素留分を水素源として改質することが、エネルギー密度、搭載性、インフラストラクチャー及び安全性などの観点から好都合である。
【0005】
ここで、炭化水素系燃料を燃料電池用燃料へ改質する従来法を以下に示す。
まずニッケル系触媒を用いて、燃料を700℃〜800℃程度の高温で改質し、水素含有ガスを得る。この改質ガスは副生したCOを10%程度含有する。燃料電池では、COは電極触媒を被毒させ性能低下の原因となる。そこで、予めCOを取り除くため、引き続き次式1
CO+H2O→CO2+H2 …(1)
で表されるCO水性ガスシフト反応(CO変成反応)により、H2に変換する。
このCO変成反応は、典型的な熱力学平衡支配反応であり、高温ほど平衡が左に寄ることから、できるだけ低温で効率良く反応を進めることが望ましい。しかし、現状では低温で高活性な触媒がないため、高温型触媒を用いてできるだけCO濃度を下げておき、次いで、低温型触媒で1%程度にまでCO濃度を下げる。
更に、残留したCOをCO選択酸化触媒を用いることによって、40ppm、又はそれ以下まで除去し、燃料電池用水素燃料とする。
【0006】
従って、従来は、燃料改質触媒+高温型CO変成触媒+低温型CO変成触媒+CO選択酸化触媒の4段階の触媒システムを使用して、炭化水素系燃料を改質していた。更に、CO除去効率をより高める目的で、CO選択酸化触媒を2分割し、5段階の触媒システムを採用することもあった。
しかし、自動車用の燃料電池などで用いる改質触媒システムは小型・軽量であることが要求されるため、この4段階又は5段階の改質触媒システムの容量を大幅に縮小することが強く求められている。
【0007】
また、従来法で改質触媒を十分に機能させるためには、700℃〜800℃程度の高温条件を要し、CO変成触媒でも300〜450℃の温度を要する。
これに対し、例えば、固体高分子型燃料電池スタックの作動温度は80℃程度であるため、得られた水素含有改質ガスを燃料電池の発電に用いるには700℃あまりの冷却が必要である。このため、エネルギー効率を確保するために、熱回収用に多数の熱交換器を使用しなければならず、装置の小型化はより困難となる。
【0008】
更に、自動車へ搭載する燃料電池を考慮した場合、吸熱反応である水蒸気改質反応のみでは十分な反応速度が得られないことから、これに発熱反応である部分酸化反応を併用させて熱バランスをとるオートサーマル反応方式を採用することが考えられる。この場合、酸素源として通常空気を用いるが、それにより水素収率が犠牲になる。更に、得られる改質ガスには窒素が多く含有され、水素ガスが窒素希釈を受けるため、燃料電池スタックでの出力低下を引き起こすことになる。
【0009】
以上の状況から、CO含有率の低い燃料電池用改質ガスを高効率で製造できるコンパクトな改質器が切望されており、近年では、各種の方法が提案されている。
例えば、非平衡低温プラズマを利用する方法が提案されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。
【0010】
【非特許文献1】
触媒学会 第89回触媒討論会 討論会予稿集、1P23、P22(2002年)
【0011】
【非特許文献2】
日本エネルギー学会創立80周年記念大会講演予稿集、2−26、P130(2002年)
【0012】
【非特許文献3】
石油学会 第31回石油・石油化学討論会講演予稿集、C28、P131(2002年)
【0013】
しかしながら、上記非平衡プラズマを用いる方法は、常温でも水素を生成でき、高応答性であるという特徴を有するが、燃料を供給するためのキャリアーガスが不可欠であり、そのために空気を用いると転換効率低下や、やはり窒素希釈が生じるという問題点ある。また、CO生成が比較的多いという問題点もある。
【0014】
また、超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−105466号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2002−105467号公報
【0017】
上記超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法は、水の臨界点である22.1MPa且つ374℃以上又はその近傍の亜臨界条件下で燃料の改質反応を行う方法である。言い換えれば、高圧を必要とし、高密度だが低粘度であるという超臨界流体の特徴を生かした方法である。但し、従来は、セルロース、リグニンなどのバイオマス資源をガス化するために検討されてきた方法であり、燃料電池用水素を製造するための燃料改質法としては用いられた例はない。
【0018】
また、特許文献1及び2は、燃料電池用の水素含有改質ガスの製造を目的としたものではなく、難処理性の固体又は液体の有機廃棄物を処理し、より有用な燃料ガスに変えることを目的に提案された方法であり、有機廃棄物原料としてメタノールをモデルとした燃料ガス(水素−メタン系)の生成に関する実施例が示されている。実験条件は超臨界水条件では行われていないが、提案された特定の触媒を用いることにより、300℃、5MPaという超臨界水条件に近似する条件でも67%もの高い水素収率が得られており、このときCOは1%と比較的低濃度であることから、比較的良好な改質結果を示しているといえる。
【0019】
しかしながら、用いている有機廃棄物原料のモデルが極めて改質容易なメタノールであること、メタンの生成もかなり多いことから、車両用の燃料改質システムとしての適用可能性は不明である。実際、メタノール改質反応の場合、従来の触媒法を用いれば、常圧下、300〜400℃程度の比較的温度の低い条件でも、残存CO濃度1%程度の水素含有改質ガスが生成できることは知られており、上記実施例にみられるメタノール改質反応からは、超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法の従来法(触媒改質法)に対する有意性は明確ではない。
【0020】
一方、本発明者らは、超臨界水又は亜臨界水中での水熱反応を利用する方法は、反応速度を大幅に高めるのに有望であり、条件次第で600℃以下の比較的低温でもガソリンや軽油などの改質が比較的困難な液体燃料を改質してCO含有率の極めて低い改質ガスを効率良く製造できることを見出した。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の有する課題及び新たな知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の複数の触媒を用いる改質法に対して、より低温条件でもガソリンや軽油などの炭化水素系燃料を1段で素早く且つ十分に改質でき、COの副生が殆どなく、窒素希釈を受けずコンパクトな改質ガス製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の改質反応条件且つ改質触媒を用いて炭化水素系燃料及び水を反応させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の改質ガス製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
【0024】
本発明は、炭化水素系燃料供給手段、水供給手段及び改質反応器を用い、炭化水素系燃料及び水を、高圧状態で改質反応器に供給し、改質触媒の存在の下で反応させて改質ガスを製造する。
これより、超臨界流体の有する「液体のように高密度で、気体のように低粘度である」という特徴を利用し、燃料分子と水分子とを非常に良好な混合状態で反応させ得る。また、改質触媒の狭い細孔内にまで混合流体が浸透するため活性点の利用率が向上し効率良く改質反応を進め得る。更に、従来品と比較して低温で改質反応が進行され得るため、改質反応器などに各種耐熱対策を施す必要が省ける。
【0025】
ここで、上記炭化水素系燃料供給手段及び水供給手段は、炭化水素系燃料及び水を上記改質反応器に供給する。例えば、上記炭化水素系燃料供給手段としては、燃料タンク及びこれと改質反応器を連通する流路上に設けた高圧ポンプが挙げられ、上記水供給手段としては、水タンク及びこれと改質反応器を連通する流路上に設けた高圧ポンプが挙げられる。
また、炭化水素系燃料及び水は加圧、加熱された状態で改質触媒と接触させる。例えば、図1に示すように、それぞれ独立に高圧ポンプで流路に送られ、混合した後、十分に加熱されて改質反応器に供給される。また、水及び燃料はそれぞれ独立に加圧、加熱された後混合され、改質反応器に供給してもよい。
【0026】
また、上記改質触媒は、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、ナトリウム(Na)、バリウム(Ba)又は鉄(Fe)、及びこれらの任意の組合せに係る元素を含有して成ることが好適である。これより、高温・高圧である超臨界水乃至亜臨界水の厳しい条件下でも、長時間の安定な改質反応が可能になる。また、高活性な改質触媒が得られ、反応温度が300〜500℃で且つ圧力が10〜20MPa程度のより低圧、低温条件でもCO含有率が少ない改質ガスを1段で高効率に製造可能である。
上記改質触媒の形態は、ペレット型、例えば、造粒法で得られた粒状、打錠成形された円筒形状、ラヒリングなどの塊粒状として容器に充填できるが、特に、自動車のような移動体に搭載することも考慮すると、ハニカム、フォーム及びプレートなどの形状を有するモノリス式として振動による磨耗を生じにくくすることが望ましい。
【0027】
本発明の改質ガス製造方法では、改質反応器としては、温度が最高600℃、且つ圧力が35MPa程度までの条件で運転できるものを使用することが良い。改質反応の条件は、用いる炭化水素系燃料の種類及び必要な水素ガスの量に応じて適宜選択できるが、本発明では、高い改質効率を実現し且つCO生成の少ない改質ガスを得る観点から、反応圧力及び温度を以下のように設定する。
【0028】
第1の設定条件としては、上記改質反応器内を、用いる炭化水素系燃料の最高臨界圧以上35MPa以下の圧力条件に制御し、且つ水の臨界温度以上600℃以下の温度条件に制御する。この方法は、ガソリン系燃料に有効であるが、軽油のような比較的重質の炭化水素を含有する燃料にも有効である。
この場合、水素収率を高め且つCOの生成を抑えるために、反応圧力は必要以上に高くし過ぎないことが重要である。特に、高い反応温度を必要としない改質され易い燃料系の場合などでは、反応圧力は、水の臨界圧力未満に制御することが好ましい。反応圧力が高過ぎると、メタン化反応が促進され、生成した水素の収率が大幅に低下することがある。逆に、反応圧力が足りないと反応が進行せず、そのために反応温度を高めるとCO生成が促進され易い。
【0029】
また、第2の設定条件としては、上記改質反応器内を、水の臨界温度以下の温度条件に制御し、且つ当該温度における水の飽和水蒸気圧以下に圧力条件を制御する。この方法は、比較的改質し易い軽質の炭化水素系燃料に有効である。
これより、メタン化反応を抑制して高い水素収率が達成される。但し、反応圧力が低過ぎると反応が進みにくいことがあり、また、高い改質率を実現する観点から、反応圧力を炭化水素系燃料の最高臨界圧以上に制御することが好ましい。
【0030】
なお、炭化水素系燃料を改質して水素ガスを製造する場合、COの生成を抑制する観点からは熱力学的にはできるだけ低温条件で反応させるのが有効である。一方、メタンの生成を抑制する観点からはできるだけ高温条件で反応させることが有効であり、また、高い改質反応率を実現するためにも高温条件が有効となる。
また、メタン化反応は低圧ほど抑制されるようであり、CO生成とメタン化反応との兼ね合いで、上述の設定条件が高い水素収率且つCOが少ない改質ガスを得るのに好適になっているものと思われる。
【0031】
また、上記改質ガス製造方法において、水/炭化水素系燃料比は重要である。水/(燃料中のカーボン)モル比で、1.0〜4.0になるように制御することが好適である。これより、高水準の改質効率及び水素収率を実現する改質ガスが得られる。水の量が少なく、上記より低モル比では、水素収率が不十分であり、逆に水の量が多すぎると予熱に要するエネルギーが莫大となり、システムのエネルギー効率が低下してしまう。
【0032】
更に、例えば、本発明の改質ガス製造方法を車両オンボード改質システムに適用する場合などは、車両の走行負荷に応じて又は用いる燃料種に応じて、改質条件をその場で最適化することが良い。
代表的には、生成した改質ガスに含有される少なくとも一種以上のガス成分の濃度(例えばCO濃度など)を検出し、その濃度に応じて上記改質反応器内の、圧力、温度、液空間速度又は水/燃料比、及びこれらの任意の組合せにかかるものを制御し、連続的に改質ガスを製造することが好適である。これより、燃料電池車などの発電に必要十分な質・量の改質ガスを常に供給することが可能になる。
【0033】
以上のように、本発明の改質ガス製造方法は、1段でCOが少ない改質ガスが得られるため、従来の多段触媒を用いる改質ガス製造方法に比べて、大幅な小型化・簡素化、信頼性の向上、設備コストの削減、触媒の貴金属量低減、作動温度の低温化などの効果が得られる。また、作動温度の低温化及び改質反応器(改質触媒)のサイズが小さく成り得るので、応答性に優れた超臨界改質反応器を設置でき、更には反応温度の昇温に要するエネルギー量が節約されエネルギー効率が高められる。また、車両キャビンを大きくでき、また、車両軽量化にも貢献するため、燃料消費率が極めて少ない経済的な自動車を提供することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(改質触媒の実施例1、実験No.1、8〜12対応)
硝酸アルミニウム9水和物Al(NO3)3・9H2O、硝酸ニッケル6水和物Ni(NO3)2・6H2O及び硝酸セリウム6水和物Ce(NO3)3・6H2Oの混合水溶液に、アンモニア添加し、沈殿を生成させ、濾過により余分な水分を取り除いてゲルを得た。得られたゲルを60℃にて吸引濾過により乾燥した後、120℃で乾燥してNiO−CeO2−Al2O3のゲルを得た。このゲルを500℃で4時間焼成して、12%NiO−8%CeO2−Al2O3を得た。
この焼成体を硝酸ロジウムの希釈水溶液に含浸した後、ロータリーエバポレーターにより、撹拌しながら、水分を蒸発させ、更に、500℃で1時間焼成することにより、Rhが0.5%担持された触媒;0.5%Rh−12%NiO−8%CeO2−Al2O3を調製した。
このRh−NiO−CeO2−Al2O3触媒粉末に水を加え、更に硝酸酸性アルミナゾルを1%添加し、ボールポットミルを用いて粉砕し、触媒スラリーを得た。
触媒支持体として、見かけ厚さ3mmで1インチ当たりの平均孔数が60ppi(気孔率95%)のコージェライト製セラミックフォームを用意した。
上記触媒スラリーを適当に水で希釈し、上記セラミックフォームへのコーティングを行った。その後、120℃での乾燥、400℃での焼成工程を経て、薄板状モノリス型セラミックフォーム改質触媒を得た。
【0036】
(改質触媒実施例2〜7、実験No.2〜7対応)
硝酸ロジウムに代えて、テトラアンミン白金、硝酸ルテニウム、また、硝酸ロジウムに加えて、酢酸コバルト、水酸化ナトリウム、酢酸バリウム及び硝酸鉄の希釈水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、それぞれ各例のセラミックフォーム改質触媒を得た。
【0037】
(実施例8、9、実験No.8、9対応)
硝酸アルミニウム9水和物Al(NO3)3・9H2O、硝酸ニッケル6水和物Ni(NO3)2・6H2O及び硝酸セリウム6水和物Ce(NO3)3・6H2Oの混合水溶液において、硝酸セリウム6水和物を、シュウ酸チタニル水溶液、及び硝酸ジルコニア水溶液に置き換えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、それぞれRh−NiO−TiO2−Al2O3触媒粉末、及びRh−NiO−ZrO2−Al2O3触媒粉末を得て、更に実施例8、9になるセラミックフォーム触媒を得た。
【0038】
<改質反応試験例>
上記改質触媒実施例で得られた改質触媒を、図1に示す固定床流通型改質反応装置に設置し、炭化水素系燃料のモデル燃料として、イソオクタン(2、2、4−トリメチルペンタン C8H18)、又はデカン(C10H22)を用いて、反応温度、反応圧力、水/C−HCモル比を変えて改質試験を行った。(実験No.1〜12対応)液空間速度(LHSV)は10h−1とした。
実験No.13では、改質触媒の代わりに、何もコーティングしていないコージェライト製セラミックフォームを改質反応器に設置した以外は、実験No.1と同様の条件で改質反応試験を行った。
改質反応器出口から得られる改質ガスを冷却して水を分離した後、調圧弁を通して大気圧に戻し、その一部をガスクロマトグラフに導入して分析し、水素、CO、CO2及びメタンの濃度を決定した。
表1に、各実験で得られた改質ガスの組成を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示すように、各実験例で得られたガス組成より、温度、圧力、水/燃料比、触媒の存在が、得られた改質ガスの水素、CO、CH4濃度に重要な因子であることが分かる。
また、実験例1〜9から、本発明の改質触媒成分はいずれも有効であることが分かる。また、圧力条件により得られる改質ガスの水素濃度が変化し、2MPa程度の低圧条件では反応促進効果は見られず、殆どの炭化水素類の臨界圧を超える16MPaでは反応促進効果が認められる。
更に、水の臨界温度以下の条件では、水の飽和蒸気圧曲線未満の圧力条件で水素がリッチになり、それ以上の圧力では、メタン化反応の影響が強くなる傾向にある。
反応温度の影響としては、高温になるほど反応し易くなり、且つメタン化反応は抑制される。本実験条件ではいずれもCOの生成が少なかった。
本実験例で、改質触媒を用いないと水素濃度葉低く、改質触媒の効果は極めて大きいことが分かる。
【0041】
以上、本発明を好適実施例、比較例及び実験例により、詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、所定の改質反応条件且つ改質触媒を用いて炭化水素系燃料及び水を反応させることとしたため、従来の複数の触媒を用いる改質法に対して、より低温条件でもガソリンや軽油などの炭化水素系燃料を1段で素早く且つ十分に改質でき、COの副生が殆どなく、窒素希釈を受けないコンパクトな改質ガス製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改質反応試験装置の一例を示す概略図である。
Claims (7)
- 炭化水素系燃料供給手段、水供給手段及び改質反応器を用い、炭化水素系燃料及び水を、高圧状態で改質反応器に供給し、改質触媒の存在の下で反応させて改質ガスを製造する方法であって、
上記改質反応器内を、炭化水素系燃料の最高臨界圧以上35MPa以下の圧力条件に制御し、且つ水の臨界温度以上600℃以下の温度条件に制御することを特徴とする改質ガス製造方法。 - 上記改質反応器内を、炭化水素系燃料の最高臨界圧以上且つ水の臨界圧力未満に制御することを特徴とする請求項1に記載の改質ガス製造方法。
- 炭化水素系燃料供給手段、水供給手段及び改質反応器を用い、炭化水素系燃料及び水を、高圧状態で改質反応器に供給し、改質触媒の存在の下で反応させて改質ガスを製造する方法であって、
上記改質反応器内を、水の臨界温度以下の温度条件に制御し、且つ当該温度における水の飽和水蒸気圧以下に圧力条件を制御することを特徴とする改質ガス製造方法。 - 上記改質反応器内を、炭化水素系燃料の最高臨界圧以上の圧力条件に制御し、且つ反応温度における水の飽和水蒸気圧以下に制御することを特徴とする請求項3に記載の改質ガス製造方法。
- 上記改質触媒が、アルミニウム、ロジウム、白金、ニッケル、ルテニウム、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、ナトリウム、バリウム及び鉄から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属を含んで成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の改質ガス製造方法。
- 上記改質反応器に供給する炭化水素系燃料及び水の水/炭化水素系燃料比を、水/(燃料中のカーボン)モル比で1.0〜4.0とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の改質ガス製造方法。
- 上記改質反応器で生成された改質ガス中の少なくとも1種のガス成分の濃度を検出し、その濃度に応じて上記改質反応器内の、圧力、温度、液空間速度及び水/燃料比から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを制御し、連続的に改質ガスを製造することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の改質ガス製造方法。
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