JP2004293182A - 高所構造物への作業装置昇降方法及び装置 - Google Patents
高所構造物への作業装置昇降方法及び装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】人が近付き難い高所構造物の点検等のメンテナンス作業が容易に実施できるようにする。
【解決手段】気球２に、高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置４を吊下げ装備し、着脱装置４に昇降装置５昇降用の吊上げ索６を掛けた案内具７を取付けると共に、着脱装置４の吊上げ位置を調節する位置決め索８を取付け、着脱装置４を位置決め索８で調節しつつ気球２により所定位置まで上昇させた後、着脱装置４を高所構造物に固定し、その後着脱装置４の案内具７に掛けた吊上げ索６により昇降装置５を昇降させてメンテナンス作業を行う。
【選択図】 図１
【解決手段】気球２に、高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置４を吊下げ装備し、着脱装置４に昇降装置５昇降用の吊上げ索６を掛けた案内具７を取付けると共に、着脱装置４の吊上げ位置を調節する位置決め索８を取付け、着脱装置４を位置決め索８で調節しつつ気球２により所定位置まで上昇させた後、着脱装置４を高所構造物に固定し、その後着脱装置４の案内具７に掛けた吊上げ索６により昇降装置５を昇降させてメンテナンス作業を行う。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人が近付き難い高所構造物の点検等のメンテナンス作業を容易に実施できるようにした高所構造物への作業装置昇降方法及び装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
風力発電装置の風車、吊り橋式橋梁の主索と橋桁を結ぶ多数の吊索、送電用の鉄塔等の高所構造物においては、それらの点検、修理等のメンテナンス作業は高所構造物に足場架設を組み立てて実施するかまたは高所作業車を使用するのが一般的である。また、ゴンドラを吊り下げることが可能な高所構造物においては吊り下げゴンドラを利用してメンテナンス作業を実施している。そして、高所でのメンテナンス作業は一般に各作業に適した自動装置・ロボット等を利用して行っている。
【０００３】
しかし、例えば図７に示すような風力発電装置ａの場合には、最大のものでは風車ｂの径が８０メートル、風車ｂ中心までのタワーｃの高さが１００メートルもあり、このような大型の風力発電装置ａの風車ｂを点検するために高所作業車を手配し人力により点検しようとするとコストが大幅に増大する問題がある。
【０００４】
また、風力発電装置ａでは、タワーｃ内部を作業員が昇降できるようになっていて、風車ｂが取り付けられた発電機室ｄの内部に作業員が入って発電機等のメンテナンス作業を行えるようになっている。また、この発電機室ｄは作業員が外部には出られるようになっている。しかし発電機室ｄは非常に高所にあり一般的に発電機室ｄの外部やタワーｃの上端や風車ｂにゴンドラを吊り下げるといった作業は極めて困難である。そのために吊り下げゴンドラを利用してメンテナンス作業を行うことはできない。
【０００５】
更に、人が接近できない場所でのメンテナンス作業を行うための装置としては、磁石や吸盤を用いて壁面等に沿って走行できるようにした自走式作業台車が種々提案されている。しかし、前記風力発電装置ａの風車ｂのブレードをメンテナンスしようとしても高所のブレードに自走式作業台車を設置する手段がなく、また、前記風車ｂのブレードは通常ＦＲＰ製であるために磁石による接着は不能であり、また吸盤を用いた場合にもブレードは曲面を有しているために接着は困難である。
【０００６】
一方、推進姿勢制御が可能な飛行船本体に、ビルの壁面の窓拭等の作業を行うための作業装置を装備させて、ビル壁面等の高所作業を無人で行うようにした作業用飛行船がある（例えば、特許文献１）。
【０００７】
【特許文献１】
特開平０５−２４５８４号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献１に示された作業用飛行船は、自身で浮游しながら推進姿勢制御を行って高所作業を行うものであるため、風が強い状況では位置制御が困難であり、そのために作業装置を作業し易い位置まで高所構造物に接近させた状態を保持することが難しく、或いは強風によって作業用飛行船及び作業装置がビル等の高所構造物に衝突することが考えられるといった問題がある。また風により作業用飛行船及び作業装置が安定せずに揺れ動くために、良好なメンテナンス作業が実施できないという問題がある。
【０００９】
更に、図７に示したような風力発電装置ａは一般に風が強い場所に設置されるので、前記したような風に対する対策を備えていない作業用飛行船では実際上風力発電装置ａのメンテナンス作業に適用することは不可能である。
【００１０】
本発明は、上述の実情に鑑みてなしたもので、人が近付き難い高所構造物の点検等のメンテナンス作業が容易に実施できる高所構造物への作業装置昇降方法及び装置を提供することを目的としたものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、気球に、高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置を吊下げ装備し、該着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、着脱装置を位置決め索で調節しつつ気球により所定位置まで上昇させた後、着脱装置を高所構造物に固定し、その後着脱装置の案内具に掛けた吊上げ索により昇降装置を昇降させることを特徴とする高所構造物への作業装置昇降方法、に係るものである。
【００１２】
請求項２に記載の発明は、前記着脱装置が、開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回して締付ることにより着脱装置を高所構造物に固定する固定装置とを有し、ガイド部材を開にした着脱装置を所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付けることにより着脱装置を高所構造物に固定することを特徴とする請求項１に記載の高所構造物への作業装置昇降方法、に係るものである。
【００１３】
請求項３に記載の発明は、気球と、該気球に吊下げられ高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置と、該着脱装置に取付けて昇降装置昇降用の吊上げ索を掛ける案内具と、前記気球に取付けて着脱装置の吊揚げ位置を調節するための位置決め索とを備えたことを特徴とする高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１４】
請求項４に記載の発明は、前記着脱装置は、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とからなることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１５】
請求項５に記載の発明は、前記固定装置の締付部は、締付索の一端を下方に引っ張ると締付索が高所構造物の外周を締付け状態に保持するラチェット爪を備えていることを特徴とする請求項４に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１６】
請求項６に記載の発明は、前記位置決め索は、少なくとも２本備えられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１７】
請求項７に記載の発明は、前記案内具は、前記締付索に取付けられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１８】
請求項８に記載の発明は、前記案内具は、吊下本体に取付けられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１９】
上記手段によれば、以下のように作用する。
【００２０】
気球に、開閉により高所構造物に対して仮止めと開放が可能なガイド部材と、ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定が可能な固定装置とを有する着脱装置を吊下げ装備し、着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、ガイド部材を開にした状態の着脱装置を位置決め索を介し気球により所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定することにより着脱装置を高所構造物に固定し、この固定した着脱装置に備えた案内具を用いて昇降装置を昇降させるようにしたので、高所構造物の所要の位置に着脱装置を容易且つ確実に上昇させ、更に着脱装置を高所構造物に遠隔で確実に固定することができ、この固定した着脱装置を起点として着脱装置を容易且つ確実に昇降させることができ、よって昇降装置を高所構造物の所定位置まで容易に上昇させて良好なメンテナンス作業を行うことができる。
【００２１】
また、前記着脱装置を、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とによって構成したので、ガイド部材による高所構造物に対する吊下本体の仮止めと、ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付部とを有する固定装置による締付けとによって、吊下本体を高所構造物に遠隔で確実に固定できる。
【００２２】
また、固定装置は、締付索の一端を下方に引っ張ることによって吊下本体を高所構造物に簡単に締付けて固定できる。
【００２３】
また、位置決め索を、少なくとも２本備えているので、気球に吊下げた着脱装置を位置決め索によって任意の位置に精度良く安定して上昇させることができる。
【００２４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００２５】
図１は本発明の高所構造物への作業装置昇降装置の形態の一例を示す概略側面図であり、作業装置昇降装置１は、気球２と、該気球２に吊ロープ３によって吊下げられた着脱装置４とを備えており、該着脱装置４には、点検等のメンテナンス作業を行うためのテレビカメラ等の機器が搭載された昇降装置５を昇降させるための吊上げ索６を掛ける案内具７（プーリ）が所要の場所に取付けられている。更に、前記着脱装置４には、気球２によって吊上げられる位置を地上から調節するための位置決め索８が取付けられている。前記気球２は、着脱装置４と昇降装置５とその他の索６，８等の付属具を吊上げて保持できる浮力に設計されている。前記案内具７に掛けて昇降装置５を昇降させる吊上げ索６は、昇降装置５の姿勢を保持して昇降できるように４本備えられており、一端が昇降装置５に取付けられた吊上げ索６の他端は、地上の所定の位置に配置した昇降用ウィンチ９に巻き込まれている。また、一端が着脱装置４に取付けられた位置決め索８の他端は、地上の所定の位置に配置した位置決め用ウィンチ１０に巻き込まれており、上記位置決め索８と位置決め用ウィンチ１０は少なくとも２つ以上設けて気球２に吊下げた着脱装置４の高さ位置と水平方向位置を安定できるようにしている。
【００２６】
図２〜図４は前記着脱装置４の詳細例を示したもので、図２は着脱装置４の平面図、図３は図２の着脱装置４を構成する吊下本体１１の切断正面図、図４は図２着脱装置４に備えた固定装置２０の締付索巻付台車２１Ａの斜視図である。
【００２７】
着脱装置４は図２、図３に示す箱形の吊下本体１１を備えており、該吊下本体１１の上面板１１’の下面には、略半円形状を有する１対のガイド部材１２ａ，１２ｂの基端がピン１３により水平回動可能に取付けられている。前記ガイド部材１２ａ，１２ｂが固定されたピン１３は上面板１１’を貫通しておりその上端にはレバー１４ａ，１４ｂが一体に取付けられている。各レバー１４ａ，１４ｂの先端にはピン１５により水平回動が可能なナット１６が取付けられており、吊下本体１１上部に設けた駆動装置１７によって駆動される逆ねじ１８ａ，１８ｂが前記各ナット１６に螺合している。そして、駆動装置１７により逆ねじ１８ａ，１８ｂを駆動してレバー１４ａ，１４ｂを間隔が狭まるように作動させると、前記ガイド部材１２ａ，１２ｂは二点鎖線で示す如く開の状態となり、また、レバー１４ａ，１４ｂを間隔が広がるように作動させると、一方のガイド部材１２ｂの先端に備えた嵌合突部１９が他方のガイド部材１２ａの先端に嵌合することによって実線で示す如く閉の状態となって略円形の環状を形成するようになっている。
【００２８】
前記一方のガイド部材１２ｂには、固定装置２０を構成する巻付け部２１の一部である図４に示す如き締付索巻付台車２１Ａが設けられている。締付索巻付台車２１Ａは、走行台２２上に固定したブラケット２３に、前記ガイド部材１２ａ，１２ｂを挾持し駆動モータ２４によって駆動される走行ローラ２５ａ，２５ｂを備えており、駆動モータ２４を駆動することによって前記締付索巻付台車２１Ａをガイド部材１２ａ，１２ｂに沿って走行できるようになっている。
【００２９】
前記走行台２２の下部には前側（ガイド部材１２ｂの先端側）に向けて突出するロック孔２６を備えた目付きピグ２７が取付け部材２７’により固定されており、図３の吊下本体１１の一側に備えた案内ローラ２８から導かれて前記走行台２２の下面に設けた案内ローラ２９に掛けられた締付索３０の先端が、前記目付きピグ２７に固定されている。前記締付索３０は着脱装置４を高所構造物に締付けて固定するためのものであり、よって締付索３０には所要の強度を有し且つ高所構造物を損傷させない材料例えば合成樹脂製等のものを用いることが好ましい。
【００３０】
図３の吊下本体１１の前記案内ローラ２８を備えた側とは反対の他側には、巻付け部２１の一部であるロック装置２１Ｂを設けている。ロック装置２１Ｂは、吊下本体１１の前記他側に前記目付きピグ２７が嵌合できる開口３１を備えており、該開口３１には目付きピグ２７が嵌合したときに該目付きピグ２７のロック孔２６に対してロックピン３２を嵌脱できるようにしたシリンダ等のピン駆動装置３３を設けている。
【００３１】
一方、前記吊下本体１１の一側に設けた案内ローラ２８に掛けられて一端が前記目付きピグ２７に固定された締付索３０の他端は、下方（地上）に垂下されており、前記案内ローラ２８の下部には、固定装置２０を構成する締付部３４を設けている。締付部３４は案内ローラ２８から下方に垂下された締付索３０を下方に引っ張る際はそれを許容し、下方に引っ張り移動した状態から元に戻るのを防止するラチェット爪３５を備えている。また、ラチェット爪３５は開放シリンダ３６によって締付索３０の固定を開放できるようになっている。
【００３２】
また、図１の例では、昇降装置５の昇降を行う吊上げ索６を掛けるための案内具７（プーリ）は、前記締付索３０に取付るようにしている。
【００３３】
以下に、上記形態例の作用を説明する。
【００３４】
図１〜図４に示した形態の装置を用いて、図５に示す高所構造物の一例である風力発電装置ａの風車ｂのメンテナンス作業を行う場合について説明する。先ず、風力発電装置ａの風車ｂの１つのブレードｅが図５に示すように鉛直下方を向くようにして停止させた後、地上の風力発電装置ａに近い所定の位置に位置決め用ウィンチ１０を配置し、気球２に吊下げ装備され且つ前記ガイド部材１２ａ，１２ｂを図２に二点鎖線で示す開の状態にした着脱装置４を、位置決め用ウィンチ１０による位置決め索８の巻出しによって上昇させる。このとき、位置決め索８及び位置決め用ウィンチ１０を少なくとも２つ以上設けることにより、気球２に吊下げられた着脱装置４の高さ位置と水平方向位置を安定して位置決めすることができる。
【００３５】
着脱装置４が風車ｂの鉛直のブレードｅの円筒状に形成されているネック部ｅ’まで上昇したら、位置決め索８或いは位置決め用ウィンチ１０の位置を調整して、図２に二点鎖線で示すように開の状態のガイド部材１２ａ，１２ｂの間にネック部ｅ’を位置させる。
【００３６】
続いて、駆動装置１７を駆動することにより逆ねじ１８ａ，１８ｂを介しレバー１４ａ，１４ｂを間隔が広がるように作動させ、ガイド部材１２ａ，１２ｂを閉の状態とすることにより、実線で示す如く略円形の環状を形成してネック部ｅ’を取り囲むようにする。これにより着脱装置４はネック部ｅ’に仮止めされる。
【００３７】
次に、一方のガイド部材１２ｂに支持されている走行台２２に備えた駆動モータ２４を駆動して走行ローラ２５ａ，２５ｂにより締付索巻付台車２１Ａをガイド部材１２ｂ及びガイド部材１２ａに沿って走行させる。この締付索巻付台車２１Ａの走行により、走行台２２の前側に備えた目付きピグ２７に先端が固定された締付索３０が図３の案内ローラ２８から引出されて前記ブレードｅのネック部ｅ’に巻き回されるようになる。
【００３８】
そして前記締付索巻付台車２１Ａがガイド部材１２ａ，１２ｂに沿って略一周すると、図３に示すように締付索巻付台車２１Ａが着脱装置４の他側に接近して目付きピグ２７が着脱装置４に設けたロック装置２１Ｂの開口３１に嵌入される。目付きピグ２７が開口３１に嵌入された後、ピン駆動装置３３を伸長させてロックピン３２を目付きピグ２７のロック孔２６に嵌入させると、締付索３０の一端は着脱装置４の一側に確実に固定される。
【００３９】
続いて、前記案内ローラ２８から垂下された締付索３０の他端を下方（地上）から引っ張ると、ネック部ｅ’に巻き回された締付索３０が緊張し、この緊張状態が締付部３４におけるラチェット爪３５により保持されることにより、着脱装置４は締付索３０によって確実にネック部ｅ’に締付け固定される。このとき、締付索３０は所要の強度を有し且つ高所構造物を損傷させない合成樹脂製等にて作製されているので、高所構造物が損傷するような問題は防止される。
【００４０】
上記によれば、ガイド部材１２ａ，１２ｂにより着脱装置４をネック部ｅ’に仮止めする作業及びネック部ｅ’に締付索３０を巻き回してロックする作業を遠隔で行うことができ、更に垂下された締付索３０の他端を下方（地上）から引っ張るのみで、着脱装置４をネック部ｅ’に確実に締付け固定することができる。
【００４１】
その後、地上の昇降用ウィンチ９により吊上げ索６を巻き込むと、前記締付索３０に取付けた案内具７を介して昇降装置５を上昇させることができるので、昇降装置５に備えたテレビカメラ等の機器による点検等のメンテナンス作業を行う。このとき、昇降装置５は鉛直になっているブレードｅに沿って接近した状態で上昇するので確実な検出を行うことができる。
【００４２】
一方、上記１つのブレードｅの点検作業が終了すると、ピン駆動装置３３を縮小することによりロックピン３２を目付きピグ２７のロック孔２６から引き抜く。すると、ロック装置２１Ｂに対する目付きピグ２７のロックが解除されるので、続いて走行台２２の駆動モータ２４を前記とは逆方向に駆動することにより締付索巻付台車２１Ａを前記とは逆方向に走行させてガイド部材１２ｂの基端側まで移動させる。
【００４３】
次に、図２、図３の駆動装置１７を作動して逆ねじ１８ａ，１８ｂを介しレバー１４ａ，１４ｂの間隔を狭めることにより、ガイド部材１２ａ，１２ｂを二点鎖線で示すように開の状態とする。これにより、ブレードｅに対し着脱装置４は完全に解放されるので、地上の位置決め用ウィンチ１０による位置決め索８の巻き込みにより、前記着脱装置４及び気球２を地上に引き降ろす。
【００４４】
図６は、本発明の他の形態を示したものであり、図６の例では、案内具７を着脱装置４の吊下本体１１に取付けた場合を示している。
【００４５】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、風力発電装置以外の種々の高所構造物のメンテナンス作業にも適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論である。
【００４６】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏し得る。
【００４７】
気球に、開閉により高所構造物に対して仮止めと開放が可能なガイド部材と、ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定が可能な固定装置とを有する着脱装置を吊下げ装備し、着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、ガイド部材を開にした状態の着脱装置を位置決め索を介し気球により所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定することにより着脱装置を高所構造物に固定し、この固定した着脱装置に備えた案内具を用いて昇降装置を昇降させるようにしたので、高所構造物の所要の位置に着脱装置を容易且つ確実に上昇させ、更に着脱装置を高所構造物に遠隔で確実に固定することができ、この固定した着脱装置を起点として着脱装置を容易且つ確実に昇降させることができ、よって昇降装置を高所構造物の所定位置まで容易に上昇させて良好なメンテナンス作業を行うことができる。
【００４８】
また、前記着脱装置を、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とによって構成したので、ガイド部材による高所構造物に対する吊下本体の仮止めと、ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付部とを有する固定装置による締付けとによって、吊下本体を高所構造物に遠隔で確実に固定できる。
【００４９】
また、固定装置は、締付索の一端を下方に引っ張ることによって吊下本体を高所構造物に簡単に締付けて固定できる。
【００５０】
また、位置決め索を、少なくとも２本備えているので、気球に吊下げた着脱装置を位置決め索によって任意の位置に精度良く安定して上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の高所構造物への作業装置昇降装置の形態の一例を示す概略側面図である。
【図２】図１の着脱装置の平面図である。
【図３】図２の着脱装置を構成する吊下本体の切断正面図である。
【図４】図２の着脱装置に備えた固定装置の一部である締付索巻付台車の斜視図である。
【図５】本発明の高所構造物への作業装置昇降装置を用いて風力発電装置の風車のメンテナンス作業を行う場合の側面図である。
【図６】本発明の他の形態を示す側面図である。
【図７】風力発電装置の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
１ 作業装置昇降装置
２ 気球
４ 着脱装置
５ 昇降装置
６ 吊上げ索
７ 案内具
８ 位置決め索
１１ 吊下本体
１２ａ，１２ｂ ガイド部材
２０ 固定装置
２１ 巻付け部
３０ 締付索
３４ 締付部
ａ 風力発電装置（高所構造物）
【発明の属する技術分野】
本発明は、人が近付き難い高所構造物の点検等のメンテナンス作業を容易に実施できるようにした高所構造物への作業装置昇降方法及び装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
風力発電装置の風車、吊り橋式橋梁の主索と橋桁を結ぶ多数の吊索、送電用の鉄塔等の高所構造物においては、それらの点検、修理等のメンテナンス作業は高所構造物に足場架設を組み立てて実施するかまたは高所作業車を使用するのが一般的である。また、ゴンドラを吊り下げることが可能な高所構造物においては吊り下げゴンドラを利用してメンテナンス作業を実施している。そして、高所でのメンテナンス作業は一般に各作業に適した自動装置・ロボット等を利用して行っている。
【０００３】
しかし、例えば図７に示すような風力発電装置ａの場合には、最大のものでは風車ｂの径が８０メートル、風車ｂ中心までのタワーｃの高さが１００メートルもあり、このような大型の風力発電装置ａの風車ｂを点検するために高所作業車を手配し人力により点検しようとするとコストが大幅に増大する問題がある。
【０００４】
また、風力発電装置ａでは、タワーｃ内部を作業員が昇降できるようになっていて、風車ｂが取り付けられた発電機室ｄの内部に作業員が入って発電機等のメンテナンス作業を行えるようになっている。また、この発電機室ｄは作業員が外部には出られるようになっている。しかし発電機室ｄは非常に高所にあり一般的に発電機室ｄの外部やタワーｃの上端や風車ｂにゴンドラを吊り下げるといった作業は極めて困難である。そのために吊り下げゴンドラを利用してメンテナンス作業を行うことはできない。
【０００５】
更に、人が接近できない場所でのメンテナンス作業を行うための装置としては、磁石や吸盤を用いて壁面等に沿って走行できるようにした自走式作業台車が種々提案されている。しかし、前記風力発電装置ａの風車ｂのブレードをメンテナンスしようとしても高所のブレードに自走式作業台車を設置する手段がなく、また、前記風車ｂのブレードは通常ＦＲＰ製であるために磁石による接着は不能であり、また吸盤を用いた場合にもブレードは曲面を有しているために接着は困難である。
【０００６】
一方、推進姿勢制御が可能な飛行船本体に、ビルの壁面の窓拭等の作業を行うための作業装置を装備させて、ビル壁面等の高所作業を無人で行うようにした作業用飛行船がある（例えば、特許文献１）。
【０００７】
【特許文献１】
特開平０５−２４５８４号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献１に示された作業用飛行船は、自身で浮游しながら推進姿勢制御を行って高所作業を行うものであるため、風が強い状況では位置制御が困難であり、そのために作業装置を作業し易い位置まで高所構造物に接近させた状態を保持することが難しく、或いは強風によって作業用飛行船及び作業装置がビル等の高所構造物に衝突することが考えられるといった問題がある。また風により作業用飛行船及び作業装置が安定せずに揺れ動くために、良好なメンテナンス作業が実施できないという問題がある。
【０００９】
更に、図７に示したような風力発電装置ａは一般に風が強い場所に設置されるので、前記したような風に対する対策を備えていない作業用飛行船では実際上風力発電装置ａのメンテナンス作業に適用することは不可能である。
【００１０】
本発明は、上述の実情に鑑みてなしたもので、人が近付き難い高所構造物の点検等のメンテナンス作業が容易に実施できる高所構造物への作業装置昇降方法及び装置を提供することを目的としたものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、気球に、高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置を吊下げ装備し、該着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、着脱装置を位置決め索で調節しつつ気球により所定位置まで上昇させた後、着脱装置を高所構造物に固定し、その後着脱装置の案内具に掛けた吊上げ索により昇降装置を昇降させることを特徴とする高所構造物への作業装置昇降方法、に係るものである。
【００１２】
請求項２に記載の発明は、前記着脱装置が、開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回して締付ることにより着脱装置を高所構造物に固定する固定装置とを有し、ガイド部材を開にした着脱装置を所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付けることにより着脱装置を高所構造物に固定することを特徴とする請求項１に記載の高所構造物への作業装置昇降方法、に係るものである。
【００１３】
請求項３に記載の発明は、気球と、該気球に吊下げられ高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置と、該着脱装置に取付けて昇降装置昇降用の吊上げ索を掛ける案内具と、前記気球に取付けて着脱装置の吊揚げ位置を調節するための位置決め索とを備えたことを特徴とする高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１４】
請求項４に記載の発明は、前記着脱装置は、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とからなることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１５】
請求項５に記載の発明は、前記固定装置の締付部は、締付索の一端を下方に引っ張ると締付索が高所構造物の外周を締付け状態に保持するラチェット爪を備えていることを特徴とする請求項４に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１６】
請求項６に記載の発明は、前記位置決め索は、少なくとも２本備えられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１７】
請求項７に記載の発明は、前記案内具は、前記締付索に取付けられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１８】
請求項８に記載の発明は、前記案内具は、吊下本体に取付けられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置、に係るものである。
【００１９】
上記手段によれば、以下のように作用する。
【００２０】
気球に、開閉により高所構造物に対して仮止めと開放が可能なガイド部材と、ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定が可能な固定装置とを有する着脱装置を吊下げ装備し、着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、ガイド部材を開にした状態の着脱装置を位置決め索を介し気球により所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定することにより着脱装置を高所構造物に固定し、この固定した着脱装置に備えた案内具を用いて昇降装置を昇降させるようにしたので、高所構造物の所要の位置に着脱装置を容易且つ確実に上昇させ、更に着脱装置を高所構造物に遠隔で確実に固定することができ、この固定した着脱装置を起点として着脱装置を容易且つ確実に昇降させることができ、よって昇降装置を高所構造物の所定位置まで容易に上昇させて良好なメンテナンス作業を行うことができる。
【００２１】
また、前記着脱装置を、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とによって構成したので、ガイド部材による高所構造物に対する吊下本体の仮止めと、ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付部とを有する固定装置による締付けとによって、吊下本体を高所構造物に遠隔で確実に固定できる。
【００２２】
また、固定装置は、締付索の一端を下方に引っ張ることによって吊下本体を高所構造物に簡単に締付けて固定できる。
【００２３】
また、位置決め索を、少なくとも２本備えているので、気球に吊下げた着脱装置を位置決め索によって任意の位置に精度良く安定して上昇させることができる。
【００２４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００２５】
図１は本発明の高所構造物への作業装置昇降装置の形態の一例を示す概略側面図であり、作業装置昇降装置１は、気球２と、該気球２に吊ロープ３によって吊下げられた着脱装置４とを備えており、該着脱装置４には、点検等のメンテナンス作業を行うためのテレビカメラ等の機器が搭載された昇降装置５を昇降させるための吊上げ索６を掛ける案内具７（プーリ）が所要の場所に取付けられている。更に、前記着脱装置４には、気球２によって吊上げられる位置を地上から調節するための位置決め索８が取付けられている。前記気球２は、着脱装置４と昇降装置５とその他の索６，８等の付属具を吊上げて保持できる浮力に設計されている。前記案内具７に掛けて昇降装置５を昇降させる吊上げ索６は、昇降装置５の姿勢を保持して昇降できるように４本備えられており、一端が昇降装置５に取付けられた吊上げ索６の他端は、地上の所定の位置に配置した昇降用ウィンチ９に巻き込まれている。また、一端が着脱装置４に取付けられた位置決め索８の他端は、地上の所定の位置に配置した位置決め用ウィンチ１０に巻き込まれており、上記位置決め索８と位置決め用ウィンチ１０は少なくとも２つ以上設けて気球２に吊下げた着脱装置４の高さ位置と水平方向位置を安定できるようにしている。
【００２６】
図２〜図４は前記着脱装置４の詳細例を示したもので、図２は着脱装置４の平面図、図３は図２の着脱装置４を構成する吊下本体１１の切断正面図、図４は図２着脱装置４に備えた固定装置２０の締付索巻付台車２１Ａの斜視図である。
【００２７】
着脱装置４は図２、図３に示す箱形の吊下本体１１を備えており、該吊下本体１１の上面板１１’の下面には、略半円形状を有する１対のガイド部材１２ａ，１２ｂの基端がピン１３により水平回動可能に取付けられている。前記ガイド部材１２ａ，１２ｂが固定されたピン１３は上面板１１’を貫通しておりその上端にはレバー１４ａ，１４ｂが一体に取付けられている。各レバー１４ａ，１４ｂの先端にはピン１５により水平回動が可能なナット１６が取付けられており、吊下本体１１上部に設けた駆動装置１７によって駆動される逆ねじ１８ａ，１８ｂが前記各ナット１６に螺合している。そして、駆動装置１７により逆ねじ１８ａ，１８ｂを駆動してレバー１４ａ，１４ｂを間隔が狭まるように作動させると、前記ガイド部材１２ａ，１２ｂは二点鎖線で示す如く開の状態となり、また、レバー１４ａ，１４ｂを間隔が広がるように作動させると、一方のガイド部材１２ｂの先端に備えた嵌合突部１９が他方のガイド部材１２ａの先端に嵌合することによって実線で示す如く閉の状態となって略円形の環状を形成するようになっている。
【００２８】
前記一方のガイド部材１２ｂには、固定装置２０を構成する巻付け部２１の一部である図４に示す如き締付索巻付台車２１Ａが設けられている。締付索巻付台車２１Ａは、走行台２２上に固定したブラケット２３に、前記ガイド部材１２ａ，１２ｂを挾持し駆動モータ２４によって駆動される走行ローラ２５ａ，２５ｂを備えており、駆動モータ２４を駆動することによって前記締付索巻付台車２１Ａをガイド部材１２ａ，１２ｂに沿って走行できるようになっている。
【００２９】
前記走行台２２の下部には前側（ガイド部材１２ｂの先端側）に向けて突出するロック孔２６を備えた目付きピグ２７が取付け部材２７’により固定されており、図３の吊下本体１１の一側に備えた案内ローラ２８から導かれて前記走行台２２の下面に設けた案内ローラ２９に掛けられた締付索３０の先端が、前記目付きピグ２７に固定されている。前記締付索３０は着脱装置４を高所構造物に締付けて固定するためのものであり、よって締付索３０には所要の強度を有し且つ高所構造物を損傷させない材料例えば合成樹脂製等のものを用いることが好ましい。
【００３０】
図３の吊下本体１１の前記案内ローラ２８を備えた側とは反対の他側には、巻付け部２１の一部であるロック装置２１Ｂを設けている。ロック装置２１Ｂは、吊下本体１１の前記他側に前記目付きピグ２７が嵌合できる開口３１を備えており、該開口３１には目付きピグ２７が嵌合したときに該目付きピグ２７のロック孔２６に対してロックピン３２を嵌脱できるようにしたシリンダ等のピン駆動装置３３を設けている。
【００３１】
一方、前記吊下本体１１の一側に設けた案内ローラ２８に掛けられて一端が前記目付きピグ２７に固定された締付索３０の他端は、下方（地上）に垂下されており、前記案内ローラ２８の下部には、固定装置２０を構成する締付部３４を設けている。締付部３４は案内ローラ２８から下方に垂下された締付索３０を下方に引っ張る際はそれを許容し、下方に引っ張り移動した状態から元に戻るのを防止するラチェット爪３５を備えている。また、ラチェット爪３５は開放シリンダ３６によって締付索３０の固定を開放できるようになっている。
【００３２】
また、図１の例では、昇降装置５の昇降を行う吊上げ索６を掛けるための案内具７（プーリ）は、前記締付索３０に取付るようにしている。
【００３３】
以下に、上記形態例の作用を説明する。
【００３４】
図１〜図４に示した形態の装置を用いて、図５に示す高所構造物の一例である風力発電装置ａの風車ｂのメンテナンス作業を行う場合について説明する。先ず、風力発電装置ａの風車ｂの１つのブレードｅが図５に示すように鉛直下方を向くようにして停止させた後、地上の風力発電装置ａに近い所定の位置に位置決め用ウィンチ１０を配置し、気球２に吊下げ装備され且つ前記ガイド部材１２ａ，１２ｂを図２に二点鎖線で示す開の状態にした着脱装置４を、位置決め用ウィンチ１０による位置決め索８の巻出しによって上昇させる。このとき、位置決め索８及び位置決め用ウィンチ１０を少なくとも２つ以上設けることにより、気球２に吊下げられた着脱装置４の高さ位置と水平方向位置を安定して位置決めすることができる。
【００３５】
着脱装置４が風車ｂの鉛直のブレードｅの円筒状に形成されているネック部ｅ’まで上昇したら、位置決め索８或いは位置決め用ウィンチ１０の位置を調整して、図２に二点鎖線で示すように開の状態のガイド部材１２ａ，１２ｂの間にネック部ｅ’を位置させる。
【００３６】
続いて、駆動装置１７を駆動することにより逆ねじ１８ａ，１８ｂを介しレバー１４ａ，１４ｂを間隔が広がるように作動させ、ガイド部材１２ａ，１２ｂを閉の状態とすることにより、実線で示す如く略円形の環状を形成してネック部ｅ’を取り囲むようにする。これにより着脱装置４はネック部ｅ’に仮止めされる。
【００３７】
次に、一方のガイド部材１２ｂに支持されている走行台２２に備えた駆動モータ２４を駆動して走行ローラ２５ａ，２５ｂにより締付索巻付台車２１Ａをガイド部材１２ｂ及びガイド部材１２ａに沿って走行させる。この締付索巻付台車２１Ａの走行により、走行台２２の前側に備えた目付きピグ２７に先端が固定された締付索３０が図３の案内ローラ２８から引出されて前記ブレードｅのネック部ｅ’に巻き回されるようになる。
【００３８】
そして前記締付索巻付台車２１Ａがガイド部材１２ａ，１２ｂに沿って略一周すると、図３に示すように締付索巻付台車２１Ａが着脱装置４の他側に接近して目付きピグ２７が着脱装置４に設けたロック装置２１Ｂの開口３１に嵌入される。目付きピグ２７が開口３１に嵌入された後、ピン駆動装置３３を伸長させてロックピン３２を目付きピグ２７のロック孔２６に嵌入させると、締付索３０の一端は着脱装置４の一側に確実に固定される。
【００３９】
続いて、前記案内ローラ２８から垂下された締付索３０の他端を下方（地上）から引っ張ると、ネック部ｅ’に巻き回された締付索３０が緊張し、この緊張状態が締付部３４におけるラチェット爪３５により保持されることにより、着脱装置４は締付索３０によって確実にネック部ｅ’に締付け固定される。このとき、締付索３０は所要の強度を有し且つ高所構造物を損傷させない合成樹脂製等にて作製されているので、高所構造物が損傷するような問題は防止される。
【００４０】
上記によれば、ガイド部材１２ａ，１２ｂにより着脱装置４をネック部ｅ’に仮止めする作業及びネック部ｅ’に締付索３０を巻き回してロックする作業を遠隔で行うことができ、更に垂下された締付索３０の他端を下方（地上）から引っ張るのみで、着脱装置４をネック部ｅ’に確実に締付け固定することができる。
【００４１】
その後、地上の昇降用ウィンチ９により吊上げ索６を巻き込むと、前記締付索３０に取付けた案内具７を介して昇降装置５を上昇させることができるので、昇降装置５に備えたテレビカメラ等の機器による点検等のメンテナンス作業を行う。このとき、昇降装置５は鉛直になっているブレードｅに沿って接近した状態で上昇するので確実な検出を行うことができる。
【００４２】
一方、上記１つのブレードｅの点検作業が終了すると、ピン駆動装置３３を縮小することによりロックピン３２を目付きピグ２７のロック孔２６から引き抜く。すると、ロック装置２１Ｂに対する目付きピグ２７のロックが解除されるので、続いて走行台２２の駆動モータ２４を前記とは逆方向に駆動することにより締付索巻付台車２１Ａを前記とは逆方向に走行させてガイド部材１２ｂの基端側まで移動させる。
【００４３】
次に、図２、図３の駆動装置１７を作動して逆ねじ１８ａ，１８ｂを介しレバー１４ａ，１４ｂの間隔を狭めることにより、ガイド部材１２ａ，１２ｂを二点鎖線で示すように開の状態とする。これにより、ブレードｅに対し着脱装置４は完全に解放されるので、地上の位置決め用ウィンチ１０による位置決め索８の巻き込みにより、前記着脱装置４及び気球２を地上に引き降ろす。
【００４４】
図６は、本発明の他の形態を示したものであり、図６の例では、案内具７を着脱装置４の吊下本体１１に取付けた場合を示している。
【００４５】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、風力発電装置以外の種々の高所構造物のメンテナンス作業にも適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論である。
【００４６】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏し得る。
【００４７】
気球に、開閉により高所構造物に対して仮止めと開放が可能なガイド部材と、ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定が可能な固定装置とを有する着脱装置を吊下げ装備し、着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、ガイド部材を開にした状態の着脱装置を位置決め索を介し気球により所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付け固定することにより着脱装置を高所構造物に固定し、この固定した着脱装置に備えた案内具を用いて昇降装置を昇降させるようにしたので、高所構造物の所要の位置に着脱装置を容易且つ確実に上昇させ、更に着脱装置を高所構造物に遠隔で確実に固定することができ、この固定した着脱装置を起点として着脱装置を容易且つ確実に昇降させることができ、よって昇降装置を高所構造物の所定位置まで容易に上昇させて良好なメンテナンス作業を行うことができる。
【００４８】
また、前記着脱装置を、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とによって構成したので、ガイド部材による高所構造物に対する吊下本体の仮止めと、ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付部とを有する固定装置による締付けとによって、吊下本体を高所構造物に遠隔で確実に固定できる。
【００４９】
また、固定装置は、締付索の一端を下方に引っ張ることによって吊下本体を高所構造物に簡単に締付けて固定できる。
【００５０】
また、位置決め索を、少なくとも２本備えているので、気球に吊下げた着脱装置を位置決め索によって任意の位置に精度良く安定して上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の高所構造物への作業装置昇降装置の形態の一例を示す概略側面図である。
【図２】図１の着脱装置の平面図である。
【図３】図２の着脱装置を構成する吊下本体の切断正面図である。
【図４】図２の着脱装置に備えた固定装置の一部である締付索巻付台車の斜視図である。
【図５】本発明の高所構造物への作業装置昇降装置を用いて風力発電装置の風車のメンテナンス作業を行う場合の側面図である。
【図６】本発明の他の形態を示す側面図である。
【図７】風力発電装置の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
１ 作業装置昇降装置
２ 気球
４ 着脱装置
５ 昇降装置
６ 吊上げ索
７ 案内具
８ 位置決め索
１１ 吊下本体
１２ａ，１２ｂ ガイド部材
２０ 固定装置
２１ 巻付け部
３０ 締付索
３４ 締付部
ａ 風力発電装置（高所構造物）
Claims (8)
- 気球に、高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置を吊下げ装備し、該着脱装置に昇降装置昇降用の吊上げ索を掛けた案内具を取付けると共に、着脱装置の吊上げ位置を調節する位置決め索を取付け、着脱装置を位置決め索で調節しつつ気球により所定位置まで上昇させた後、着脱装置を高所構造物に固定し、その後着脱装置の案内具に掛けた吊上げ索により昇降装置を昇降させることを特徴とする高所構造物への作業装置昇降方法。
- 前記着脱装置が、開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回して締付ることにより着脱装置を高所構造物に固定する固定装置とを有し、ガイド部材を開にした着脱装置を所定位置まで上昇させた後、ガイド部材を閉にして着脱装置を高所構造物に仮止めし、続いて固定装置により前記ガイド部材に沿い高所構造物の外周に締付索を巻き回して締付けることにより着脱装置を高所構造物に固定することを特徴とする請求項１に記載の高所構造物への作業装置昇降方法。
- 気球と、該気球に吊下げられ高所構造物に対して着脱が可能な着脱装置と、該着脱装置に取付けて昇降装置昇降用の吊上げ索を掛ける案内具と、前記気球に取付けて着脱装置の吊揚げ位置を調節するための位置決め索とを備えたことを特徴とする高所構造物への作業装置昇降装置。
- 前記着脱装置は、気球に吊下げた吊下本体と、該吊下本体に備えて開閉により高所構造物の外周を包囲する仮止め状態と開放状態とに切替えが可能なガイド部材と、該ガイド部材に沿って高所構造部の外周に締付索を巻き回す巻付け部と締付け索により高所構造物を締付ける締付部とを有して前記吊下本体を高所構造物に締付け固定する固定装置とからなることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置。
- 前記固定装置の締付部は、締付索の一端を下方に引っ張ると締付索が高所構造物の外周を締付け状態に保持するラチェット爪を備えていることを特徴とする請求項４に記載の高所構造物への作業装置昇降装置。
- 前記位置決め索は、少なくとも２本備えられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置。
- 前記案内具は、前記締付索に取付けられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置。
- 前記案内具は、吊下本体に取付けられていることを特徴とする請求項３に記載の高所構造物への作業装置昇降装置。
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