JP2004292426A - 抗菌剤と抗ガン剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い抗菌活性と抗ガン活性を有するフラーレン誘導体を有効成分とする新しい、抗菌剤と抗ガン剤とを提供する。
【解決手段】 フラーレンの炭素クラスター骨格を構成する隣接結合炭素原子の複数対に、次式
【化1】

(式中のAおよびBは隣接して結合する炭素原子を示し、R1およびR2は、同一または別異に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R3およびR4は、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xはアニオンを示す)
で表わされる有機結合構造を有しているフラーレン誘導体を有効成分として含有している抗菌剤または抗ガン剤とする。
【選択図】 なし


Description

この出願の発明は抗菌剤と抗ガン剤に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、フラーレン誘導体を有効成分として含有する新しい抗菌剤と抗ガン剤に関するものである。
C60に代表される炭素クラスターであるフラーレンは1985年にSmally, Kroto 等によって発見された新規な炭素同素体であり、1990年に大量合成法が確立されて以来、基礎・応用両面で飛躍的に研究は進展している。
当初、化学反応性は低いと考えられたフラーレン類であるが、電子欠損性オレフィンとして種々のアニオン性基質が容易に付加することが示された。その他、Diels-Alder 反応や1,3−双極子付加反応なども良好に進行し、フラーレンの6員環・6員環接合部位の二重結合への付加体を与える。
この様な化学的に活性な新規物質群が生体に与える影響に関しても興味がもたれており、たとえば、次式
のフラーレン誘導体の抗菌活性が報告されており(文献1)、また、次式
のフラーレン誘導体を抗ガン剤とすることが提案されている(文献2)。
しかしながら、前記の抗菌活性については実際的にその活性はあまり大きくなく、また、バンコマイシン等の抗菌剤耐性菌などへの効果も明らかでない。また、前記の抗ガン剤については、フラーレン類は光照射下において活性酸素を生成することから、前記の高分子が結合したフラーレン誘導体をがん細胞に集積し、そのがん組織に光りあるいは超音波を照射することにより活性酸素を局所的に発生させがん細胞を殺すとしているものであるが、このような光線化学療法はポルフィリン誘導体においてすでに医薬品となって用いられているが、適応は光を直接照射することのできる固形がん、すなわち皮膚がん、食道がん、胃がんなどに限られる。
このような状況において、より抗菌活性の高いフラーレン誘導体や光照射を必要とすることがなく広範囲な種類のガンに対して適用可能な抗ガン性フラーレン誘導体の探索が望まれているところであるが、実際には、このような抗菌剤、抗ガン剤をはじめとする生理活性剤としての応用のための検討はあまり進んでいない。このことの理由の一つとして溶解度の問題があった。
そこで、この出願の発明者は、次式(1)(2)
で表わされる二つのタイプのC60フラーレン誘導体を合成し、その生理活性を検討してきた。これらの誘導体は、水に混和する有機溶媒(DMSO等)に容易に溶解し、水溶液反応に用いることができるという特徴を有している。
人類は様々な細菌による感染症にさらされてきたが、抗菌剤の開発により寿命が延びるとともに死因もがんや血管系傷害に由来する疾病へと変化してきた。しかし、人類にとって有害な菌は現在用いられている抗菌剤に対する耐性を獲得し、院内感染など社会的問題となってきた。このような背景の中、従来の抗菌剤と異なる新たな構造と機構を持った新規抗菌剤は菌の薬剤耐性を克服できると考えられることから、その開発が待望されている。フラーレン誘導体は従来の有機化合物とは異なる骨格を有し、それに由来する特徴的な物性を持つため、薬剤耐性菌に対する新たな医薬品として期待される。
また、がんは現在の死因で大きな割合を占めるようになってきており、様々な抗がん剤が開発されてきた。しかし、現行の抗がん剤の問題点は副作用が強いことと、薬剤耐性のがん細胞の出現である。上記のような特徴のあるフラーレン誘導体について、より広範囲な種類のガンに対して副作用が低く、薬剤耐性になりにくい新しい抗がん剤の提供が期待されている。
特開平9−235235号公報 S. Bosi, et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, 1043-1045 (2000), N. Taso, et al., J, Antimicro. Chemo., 49, 641-649 (2002)
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの背景を踏まえて、高い抗菌活性と抗ガン活性を有するフラーレン誘導体を有効成分とする新しい、抗菌剤と抗ガン剤とを提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、フラーレンの炭素クラスター骨格を構成する隣接結合炭素原子の複数対に、次式
(式中のAおよびBは隣接して結合する炭素原子を示し、R1およびR2は、同一または別異に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R3およびR4は、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xはアニオンを示す)
で表わされる有機結合構造を有しているフラーレン誘導体を有効成分として含有していることを特徴とする抗菌剤または抗ガン剤を提供する。
また、上記発明について、この出願の発明は、第2には、炭化水素基は直鎖状、分枝鎖状または環状の炭化水素基であることを特徴とする抗菌剤または抗ガン剤を、第3には、炭化水素基は、炭素数1以上16以下のアルキル基であることを特徴とする抗菌剤または抗ガン剤を、第4には、アニオンは無機酸イオンおよび有機酸イオンのうち少なくとも1種であることを特徴とする抗菌剤または抗ガン剤を、第5には、フラーレンはC60フラーレンおよび高次フラーレンのうちの少なくとも1種であることを特徴とする抗菌剤または抗ガン剤を提供する。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、高い抗菌活性と抗ガン活性を有するフラーレン誘導体を有効成分とする新しい抗菌剤と抗ガン剤とが提供される。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の抗菌剤および抗ガン剤の有効成分は、前記式であらわれる構造を有するフラーレン誘導体である。このフラーレン誘導体においては、前記の有機結合構造を隣接する結合炭素原子(A−B)の対についてこれを複数対有することを大きな特徴としている。つまり、2対、3対、4対等の複数対である。
この出願の発明のフラーレン誘導体を示す前記式における符号R1およびR2は、同一または別異に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R3及びR4は、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示すが、ここで炭化水素基としては鎖状または環状の各種のもので、飽和または不飽和の各種のものが考慮される。脂肪族、脂環式、芳香族の各種の炭化水素が考慮される。
なかでも、炭化水素基としては、直鎖または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基が例示される。この場合、炭素数については限定されることはないが、たとえば、炭素数1以上16以下程度のものが好適なものとして例示される。
以上の炭化水素基は適宜な置換基を有してもよく、たとえばアルコキシ基、エステル基、アミノ基、複素環基等の各種のものが考慮される。
また、前記式において符号Xとして示されるアニオンについては各種のものであってよく、薬理学的に許容されるアニオンとすることができる。たとえばハロゲンイオンや硫酸イオンのような無機酸イオンや、あるいは有機酸イオン、さらには錯イオン等であってよい。
この出願の発明のフラーレン誘導体において炭素クラスター骨格を構成するフラーレンについてもC60をはじめとし、C70、C82等の高次フラーレンであってもよい。
この出願の発明の抗菌剤または抗ガン剤においては、以上のようなフラーレン誘導体の1種または2種以上を有効成分として含有することができる。
この出願の発明の有効成分としてのフラーレン誘導体の合成について説明すると、前記式でR3=Hで、R4にアルキル置換基を持つようなフラーレン誘導体については、たとえばn対の場合について例示すると、次の反応式等に従って合成することができる。
(式中のRは前記R4に相当するものとしてアルキル置換基を示している)
すなわち、たとえば、トルエン中にC60、N−メチルグリシンおよび様々なアルデヒド(RCHO)を溶解しアルゴン気流下加熱して2-アルキル-N−メチルピロリジン誘導体を得る。必要とする誘導体のnの数に応じて反応時間、試薬量を調節する。生成物はシリカゲルカラムにて精製する。次にヨウ化メチル中室温、あるいは加熱することにより様々なアルキル置換基(R)を有する誘導体(2−アルキル−N,N−ジメチルピロリジニウム誘導体)を得ることができる。たとえば具体的には、次式にも示したように、R3=Hで、R4がH(誘導体2),C4H9(誘導体3)、C6H13(誘導体4)、C9H19(誘導体5)のフラーレン誘導体が合成されている。これらは、DMSOに5mM以上溶解することが確認されている。
また、前記式で窒素原子に結合するR1やR2にアルキル置換基を持つようなフラーレン誘導体について、これらアルキル置換基を導入することで合成する場合には、たとえば次の反応式等に従って合成することができる。
すなわち、たとえば、トルエン中にC60、N−デシルグリシンおよびホルムアルデヒドを溶解しアルゴン気流下加熱してN−デシルピロリジン誘導体を得る。必要とする誘導体のnの数に応じて反応時間、試薬量を調節する。生成物はシリカゲルカラムにて精製する。次にヨウ化メチル中室温、あるいは加熱することにより(N−デシル−N−メチルピロリジニウム誘導体)を得ることができる。
これによって、たとえば具体的には前記の誘導体6のフラーレン誘導体が合成される。
また、前記の誘導体8を合成する場合には、前記の「N−デシルグリシン」に代えて「N−ブチルグリシン」を用いることにより、さらに前記の誘導体9を合成する場合には、前記の「N−デシルグリシン」に代えて「N−ヘプチルグリシン」を用いることによりこれらのフラーレン誘導体の合成が可能となる。
この出願の発明の抗菌剤および抗ガン剤については、その形態は特に制限されず、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル剤などの固形製剤、外用のためのゼリ状剤や粘調剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、注射剤、輸液などの液剤であってもよい。
製剤の調製には、製剤の種類に応じて慣用の担体成分が使用できる。例えば、固形製剤の調製には、慣用の成分、例えば、デンプン、乳糖、ショ糖、マンニトール、コーンスターチなどの糖類、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、軽質無水ケイ酸などの賦形剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカなどの滑沢剤;デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤、崩壊助剤、保湿剤、界面活性剤などが使用できる。
液剤の調製には、慣用の成分、例えば、注射用水、水、エタノール、エチレングリコールなどの溶剤やエタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの溶解補助剤、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などの懸濁化剤、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどの等張化剤、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝剤、ベンジルアルコールなどの無痛化剤、ブドウ糖、アミノ酸などが使用できる。前記固形製剤や液剤には、必要に応じて、保存剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤、増粘剤、可塑剤、吸着剤、香料、着色剤、矯味矯臭剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用できる。本発明の抗菌剤は、製剤の形態に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造できる。なお、製剤の製造に関しては、日本薬局方製剤総則の各項を参照できる。
また、この出願の発明の抗菌剤および抗ガン剤は、前記のフラーレン誘導体を有効成分として含んでいるのであれば、他の薬用活性成分を含有していてもよい。
たとえば経口剤として処方する場合には、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化マグネシウム・炭酸マグネシウム共沈生成物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートなどの制酸剤、ゲンチアナ、センブリ、ホミカ、リュウタン、トウヒ、ウイキョウ、塩化カルニチン、グルタミン酸塩酸塩、塩酸ベタイン、塩化ベタネコールなどの健胃剤、パンクレアチン、ペプシン、塩酸リモナーゼ、コール酸、胆汁末、デヒドロコール酸などの消化剤、赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコなどの整腸剤、ロペラミド、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、塩化ベルベリンなどの止瀉剤、塩酸ジサイクロミン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルスコポラミン、塩酸パパベリン、ヨウ化イソプロパミド、ベラドンナエキス、ロートエキスなどの鎮痛鎮痙剤、スクラルファート、スルピリド、ゲファルナート、テプレノンなどの粘膜修復剤などが含まれる。これらの活性成分は一種又は二種以上使用できる。
また、この出願の発明の抗菌剤には、必要に応じて、ビスマス製剤、メトロニダゾール、チニダゾール、さらにはクラリスロマイシンをはじめ様々な抗生物質を併用してもよく、また、この出願の発明の抗ガン剤には、ホルモン療法剤や化学療法剤、たとえばアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗ガン性抗生物質をはじめ、免疫療法剤等を含有していてもよい。
この出願の発明の抗菌剤については、その投与量については特に限定的ではないが、目安としては、成人1日当り、0.01〜500mg程度の範囲を考慮することができ、また、抗ガン剤としては、経口投与する場合には、1日当り体重1kgあたり、0.005〜50mgの範囲で、分割投与することが考慮される。
そして、この出願の発明のフラーレン誘導体についてはその毒性は低く、薬剤として有用である。
もちろん、この出願の発明においては、ヒトへの適用が考慮されているが、非ヒト動物であってもよいことは言うまでもない。
実施例としての合成例を示すと以下のとおりである。
<合成例>
1:C60−bis(N−methyl−2−hexylpyyrolidine)の合成
C60200mg(0.28mmol)を脱水したトルエン600mlに溶解させ、N−メチルグリシン50mg(0.56mmol、2当量)、ヘプタナール95mg(0.83mmol、3当量)を加え、アルゴン気流下、135度で3時間加熱還流した。反応液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下にて留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒は順次トルエン:ヘキサン=5:1,トルエン100%、トルエン:酢酸エチル=20:5)により精製し、C60−bis(N−methyl−2−hexylpyyrolidine)の位置異性体混合物を25mg(0.025mmol)得た(収率9%)。
2:C60−bis(N,N−dimethyl−2−hexylpyyrolidinium iodido)の合成
C60−bis(N−methyl−2−hexylpyyrolidine)65mg(0.065mmol)をヨウ化メチル5ml中室温で24時間攪拌して反応させた。析出した固体をトルエン、酢酸エチルで順次洗浄し、C60−bis(N,N−dimethyl−2−hexylpyyrolidinium iodido)55mg(0.043mmol)を得た。収率65%。
たとえば以上のようなこの出願の発明の有効成分としてのフラーレン誘導体を含有する抗菌剤について、このフラーレン誘導体の抗菌活性については、まず、表1により説明することができる。
なお、前記の誘導体2に関しては主要な位置異性体を分離精製したが、他は混合物で生理活性を検討した。
この表1は、各種グラム陽性菌の増殖を抑制する各フラーレン誘導体の最小濃度(MIC)をバンコマイシン(VCM)と比較して示したものである(低濃度(数値の小さいもの)なものほど活性が高い)。各フラーレン誘導体はDMSOに溶解して菌の培養液に加えた。バンコマイシンは現在問題となっている薬剤耐性菌(メシチリン耐性菌、MRSA)に用いられている抗菌剤である。フラーレン誘導体2の位置異性体、2t-2, 2t-3, 2t-4、および3, 4, 7, 8に有効な抗菌活性が見られたが、3, 4, 8はフラーレン誘導体2の位置異性体並びにフラーレン誘導体7より活性が多少低かった。フラーレン誘導体2の位置異性体、2t-2, 2t-3, 2t-4では菌により多少効果に差が見られるが有意差はなく、ほぼバンコマイシンに相当する抗菌活性があり、MRSAにも有効であった。そして、特に、フラーレン誘導体には極めて高い抗菌活性が見られることが注目される。さらに特筆すべきはバンコマイシン耐性菌(VRE)にもこれらフラーレン誘導体が有効な抗菌活性を示す点である。また、フラーレン誘導体2の位置異性体間で差がないことは、他の誘導体において位置異性体を分離する必要がないことを示している。現在、バンコマイシンに耐性な菌も出現し始めており、フラーレン誘導体2やフラーレン誘導体7等にはそれらに対する効果が期待される。
一方、この出願の発明においては、前記のフラーレン誘導体が広範囲の種類のガン細胞、たとえば乳ガン、脳腫瘍、大腸ガン、肺ガン、胃ガン、卵巣ガン、腎ガン、前立腺ガン等のガン細胞に対して抗ガン活性を有していることも強調される。
この抗ガン活性については、発明者は、フラーレン誘導体のがん細胞増殖に与える効果をヒト培養がん細胞パネル実験で見いだした。この実験では37種のヒト培養がん細胞の増殖を50%に抑制する化合物の濃度(GI50)を測定し、その平均値(MID−GI50)を求めるとともにMID−GI50と各がん細胞でのGI50値との差をパターン分析する。一般にMID−GI50はその化合物の抗がん剤としての強さを示している。また、現在用いられている抗がん剤と上記のパターン分析の結果が類似している場合、既存の抗がん薬と作用機構が似ている可能性が指摘できる。逆に既存の制がん剤とパターンが異なるときには新規の機構に基づく抗がん剤となる可能性がある。
パネルスクリーニングではMID−GI50が−5以下が有望であり、相関係数rの最も大きな数値rmaxが0.5以下では新規な作用機構であり、0.5<rmax<0.75では新規な作用機構の可能性が高いと評価される。この出願の発明のフラーレン誘導体2の位置異性体、ならびに3、4、5はMID−GI50が−5以下で有効であり、作用機構も新規な可能性があった。また、6、7は若干作用が弱いが作用機構が全く新しいと考えられる。以上、いずれの誘導体にも有望な制がん剤の可能性がある。
評価結果は次の表2に示した。

Claims (5)

  1. フラーレンの炭素クラスター骨格を構成する隣接結合炭素原子の複数対に、次式
    (式中のAおよびBは隣接して結合する炭素原子を示し、R1およびR2は、同一または別異に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R3およびR4は、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xはアニオンを示す)
    で表わされる有機結合構造を有しているフラーレン誘導体を有効成分として含有していることを特徴とする抗菌剤または抗ガン剤。
  2. 炭化水素基は直鎖状、分枝鎖状または環状の炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2の抗菌剤または抗ガン剤。
  3. 炭化水素基は、炭素数1以上16以下のアルキル基であることを特徴とする請求項2の抗菌剤または抗ガン剤。
  4. アニオンは無機酸イオンおよび有機酸イオンのうちの少くとも1種であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの抗菌剤または抗ガン剤。
  5. フラーレンはC60および高次フラーレンのうちの少くとも1種であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの抗菌剤または抗ガン剤。
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