JP2004288296A - ハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット - Google Patents
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Abstract
【課題】製作が容易であり、かつ低アウトガス性、低硬度および高温におけるシール性などにすぐれたハードディスクドライブ用ガスケットを提供する。
【解決手段】金属製カバーに接着剤を介してパッキング材を一体化させたガスケットにおいて、パッキング材としてポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物 100重量部、ポリプロピレン系樹脂 10〜100重量部、可塑剤 20〜130重量部および架橋剤 0.1〜10重量部の混合物からの成形物が用いられたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
【解決手段】金属製カバーに接着剤を介してパッキング材を一体化させたガスケットにおいて、パッキング材としてポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物 100重量部、ポリプロピレン系樹脂 10〜100重量部、可塑剤 20〜130重量部および架橋剤 0.1〜10重量部の混合物からの成形物が用いられたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットに関する。更に詳しくは、製作が容易であり、しかもシール性などを向上させたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器製品の小型化、高性能化に伴い、構成部品を小さく、薄くすることが求められている。構成部品を小さくすると、製造工程上の組立作業性が悪くなるという観点から、種々の部品の一体化、複合化が求められている。また、同時にアウトガス性、シール性などの要求特性の性能向上も求められている。
【0003】
電子記憶装置のうち、特に水や埃の侵入を防ぎ、しかも低アウトガス性が要求されるハードディスクのドライブカバーとして装着されるガスケットとしては、ゴム単体や発泡ポリウレタンシートをステンレス鋼やアルミニウム等の金属カバーに挟む形で取り付けられるものであって、ステンレス鋼等の金属カバーとフッ素ゴムなどのゴム材料とを接着剤で接合し、一体化することで、組み付け作業を良好とすることが提案されている(特許第2,517,797号公報)。
【0004】
しかしながら、この方法では、あらかじめ別工程でガスケット形状のゴムを加硫成形しておき、後から金属カバーに接着剤で接合するというものであり、工程が長く煩雑であった。実際、ガスケットの加硫工程では数分間を要し、また加硫後のガスケットが細くちぎれ易いことや、ゴミなどが付着し易いため、組み付け前に何度も洗浄や選別が必要であり、より簡略化された方法が望まれていた。
【0005】
かかる問題点を解決すべく、ゴム材料に比べ加硫工程が不要で工程が簡略化でき、かつ材料のリサイクルが可能でコストダウンできるポリスチレン系ブロックコーポリマー製エラストマーからなるガスケット材料が提案されている(特許第2,961,068号公報)。
【0006】
この材料は、細く、柔らかく、しかも粘着しやすいといった性質を持つため、ガスケットを何らかの方法であらかじめ固定しておかないと、ハードディスクドライブ組み付け作業では非常に作業性が悪いものとなる。この対策として、枠体と称するものにポリスチレン系ブロックコーポリマー製エラストマーのガスケットをあらかじめ射出成形により作製し、あとからハードディスクドライブ等の箱体、蓋体の間に組付け一体化するため、結局枠体などといった他の部品を必要としている。
【0007】
特に、ハードディスクドライブカバーとして装着されるガスケットには、シール性およびクリーン性についての要求が厳しい。
【0008】
シール性についていえば、これを左右する材料特性として、硬度、圧縮永久歪および湿度透過性の3つが挙げられる。硬度(JIS デュロメータータイプA)は60以下が好ましく、これよりも硬いと一般に製品として組付けたとき、その反力で隙間があき、シールすることができなくなる。圧縮永久歪の劣る材料では、長時間組付けている間に緊迫力がなくなってシールできなくなり、これの値が100%以上では使用不能である。さらに、シール対象物は、ゴミ、埃などの他に水蒸気(湿気)もあるので、水透過性の低いことも必要とされる。また、ハードディスクドライブ内に水蒸気があると、錆の原因ともなる。
【0009】
クリーン性についていえば、これに関連する要素としてアウトガス、含有成分および脱落しやすい充填材の3つが挙げられる。材料から発生するアウトガスがディスクに付着すると、クラッシュの原因となる。また、塩素、シリコーン、イオウ、硫酸、硝酸、アクリル酸エステル等(イオンとして存在する場合を含む)も、ハードディスクドライブ内を腐食させるおそれがある。さらに、充填材を多量に含有し、しかもそれがポリマーと親和性がない場合には、その粒子が脱落し、それがハードディスクドライブ内に入ってしまうとやはりクラッシュの原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製作が容易であり、かつ低アウトガス性、低硬度および高温におけるシール性などにすぐれたハードディスクドライブ用ガスケットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、金属製カバーに接着剤を介してパッキング材を一体化させたガスケットにおいて、パッキング材としてポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物 100重量部、ポリプロピレン系樹脂 10〜100重量部、可塑剤 20〜130重量部および架橋剤 0.1〜10重量部の混合物からの成形物が用いられたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットによって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレンのトリブロック共重合体〔SEPS〕、ポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレンのトリブロック共重合体〔SEEPS〕等が用いられる。SEPSは、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体を水素添加することよって得られ、またSEEPSは、ポリスチレン−(ブタジエン−イソプレン)ランダム共重合体−ポリスチレンブロック共重合体を水素添加することによって得られる。
【0013】
これらのポリスチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は50000以上であることが好ましい。この数平均分子量がこれ未満であると、可塑剤のブリードが増加し、圧縮永久歪も大きくなり、実際の使用耐えないという不都合が生じることがある。一方、この数平均分子量の上限については特に制限されるものではないが、通常は400000程度である。かかるポリスチレン系熱可塑性エラストマーの非晶質スチレンブロックの含有量は、10〜70重量%、好ましくは15〜60重量%の範囲のものが用いられる。また、非晶質スチレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは80℃以上であるものが用いられる。さらに、両末端の非晶質スチレンブロックを連結する部分の重合体としては、非晶質のものが好ましい。ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは主に単独で用いられるが、二種以上をブレンドして用いてもよい。実際には、これらの条件を満足させるクレラ製品セプトン2006〔SEPS〕、セプトン4055〔SEEPS〕等が用いられる。
【0014】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、単独でも用いられるが、部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを約80重量%以下、好ましくは約30〜70重量%ブレンドしたブレンド体としても用いられる。部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、オレフィン系ゴムとポリオレフィン系樹脂の混練時に有機過酸化物等を加え、ゴム相を部分架橋させて得られたものであり、これら両ポリマーをせん断力の下で部分架橋させる1段法あるいは前もってオレフィン系ゴムを部分架橋させた後、これをポリオレフィン系樹脂とブレンドする2段法によって得られたもののいずれをも使用することができる。実際には、市販品、例えば三井化学製品ミラストマー、AES製品サントプレーン等のシリーズのものをそのまま使用することができる。
【0015】
ポリプロピレン系樹脂と可塑剤は、成形して得られるパッキング材の成形性や硬度を考慮して用いられる。ポリプロピレン系樹脂は成形性を左右し、また可塑剤は硬度を調整させる。このような観点から、ポリプロピレン系樹脂および可塑剤の添加割合が選択される。
【0016】
ポリプロピレン系樹脂としては、MFR(JIS K7210準拠;230℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10分のプロピレンの単独重合体あるいはプロピレンと少量のα−オレフィン(例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど)との共重合体である結晶性重合体(結晶化度20〜70%)が用いられる。ポリプロピレン系樹脂は、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物100重量部当り10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部の割合で用いられる。配合量がこれより多くなると、硬度が高くなり、一方配合量がこれより少なくなると流動性が悪くなり、射出成形が困難になる。
【0017】
可塑剤としては、通常のゴムや熱可塑性エラストマーに使用されるものであれば特に制限されないが、例えばプロセスオイル、潤滑油、パラフィン系オイル等の石油系軟化剤、ひまし油、あまに油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバセート等のエステル系可塑剤などが用いられ、好ましくはパラフィン系オイルが用いられる。これらの可塑剤は、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物100重量部当り10〜130重量部、好ましくは50〜120重量部の割合で用いられる。配合量がこれより多くなるとアウトガスが多くなり、またこれより少ない配合量ではシール性が悪くなる。
【0018】
また、架橋剤としては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーを部分架橋させる架橋剤として有機過酸化物が用いられ、例えばジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルクミルパーオキサイド等が用いられる。これらの架橋剤は、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物100重郎部当り0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部用いられ、架橋剤を用いない場合には、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーの部分架橋が行われず、後記シール性試験でのシール性に劣ったガスケットしか得られない。
【0019】
以上の各成分を必須成分とする混合物には、必要に応じて通常ゴムや熱可塑性エラストマーに配合されているりん片状を含む粉末状固体充填剤(例えば各種の金属粉、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等)、老化防止剤(例えばアミン類およびその誘導体、イミダゾール類、フェノール類およびその誘導体等)、ワックス類、安定剤、粘着付与剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤等が配合されて用いられる。
【0020】
また、磨耗性、成形性等の改良のため、少量の熱可塑性樹脂やゴムを添加することもできる。さらに、強度、剛性の向上のため短繊維等を添加することもできる。
【0021】
これらの混合物は、加熱混練機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高剪断型ミキサ等を用いて溶融混練りし、さらに必要に応じて架橋助剤等を添加したり、またはこれら必要な成分を同時に混合し、加熱溶融して混練りされるが、高分子有機材料と可塑剤とを混練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料をここで用いたものと同種もしくは種類の異なる一種以上の高分子有機材料にさらに混ぜ合わせて用いることもできる。
【0022】
このようにして得られたポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物、ポリプロピレン系樹脂、可塑剤および架橋剤よりなる熱可塑性エラストマーコンパウンドは、接着剤を塗布した金属製カバーを挿入した金型内に射出することにより、パッキング材として一体成形される。金属製カバーとしては、アルミニウム板、アルミニウム板にメッキ処理を施したもの、ステンレス鋼板、ステンレス製制振鋼板などが、また接着剤としては、ポリオレフィン系樹脂の側鎖に無水マレイン酸、アクリル酸などの極性基をグラフトさせて変性したものを芳香族や脂肪族の有機溶媒に溶解し液状化させたものや、ディスパージョン化させたもの、またはスチレン・ブタジエン共重合ゴムを芳香族や脂肪族の有機溶剤に溶解し液状化させたものなどが用いられる。なお、接着剤を用いない場合には、成形時に剥がれを生じ、一体成形ができない。接着剤の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、スクリーン印刷、刷毛塗り、スタンプ方式など必要に応じて最適な方法が選択される。
【0023】
成形されたパッキング材ゴム材料の硬度(JIS デュロメータ タイプA)は、ポリプロピレン系樹脂量と可塑剤量とを規定された範囲内でバランスをとることにより、30〜60、好ましくは40〜50で、100℃、72時間における圧縮永久歪(JIS K6262準拠)が50%以下となるように調整される。硬度がこれ以上になると、カバー一体型ガスケットを本体に組付けた時の反力が大きくなり、カバーの変形などが生じて完全に密閉できなくなり、ガスケットとしてのシール性が劣るものとなる。一方、硬度がこれ未満になると、ガスケットがちぎれやすかったり、粘着しやすいなど、取り扱いに注意しなければならなくなる。また、圧縮永久歪がこれより大きいと、高温時において長時間にわたるシール性が確保できなくなる。なお、成形されるパッキング材の形状は、それが一体化されるハードディスクドライブ用カバーの形状に対応して決められる。
【0024】
【発明の効果】
部分的に架橋されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とする本発明に係るハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットを用いることにより、低硬度および高温におけるシール性、低アウトガス性、低湿度透過性、接着性、成形性などにすぐれ、高い防塵性を有するハードディスクドライブ用ガスケット材を容易に作成することができる。このガスケット材は、硬度(JIS デュロメータータイプA)が30〜60、好ましくは40〜50であり、圧縮永久歪(JIS K6262準拠;100℃、72%)が50%以下とパッキング材として求められる特性を十分に備えている。
【0025】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0026】
実施例1〜8
熱可塑性エラストマーとして、
ポリマーA:三井化学製品ミラストマー5030B
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、部分架橋物)
ポリマーB:AES製品サントプレン111−45
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、部分架橋物)
ポリマーC:クラレ製品セプトン2006
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、SEPS)
ポリマーD:クラレ製品セプトン4055
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、SEEPS)
の内の1種類または2種類のブレンド物100部(重量、以下同じ)、ポリプロピレン系樹脂(出光興産製品J700GP)25部、パラフィン系オイル可塑剤(同社製品ダイアナプロセスオイルPW380)80部および架橋剤(日本油脂製品パークミルD)2部を、二軸押出機(神戸製鋼製ハイパーKTX46)を用い、設定温度210〜180℃、回転速度150rpmの条件下で混合押出しを行い、得られた材料(混合物)を射出成形機(川口鉄工製KM−80)を用い、設定温度210〜180℃、射出速度0.5秒、射出圧力100MPa、サイクルタイム30秒でテストシート(150×150×2mm)を成形し、硬度、アウトガス性、湿度透過性の試験に用いた。
【0027】
硬度:JIS K6253準拠(テストシート3枚重ね合わせ)
アウトガス性試験:50×3×2mmの短冊状のテストシートを120℃、1時間熱抽出後、アウトガス量を測定し、50μg/g未満のアウトガス量を示したものを○、50μg/g以上のアウトガス量を示すものを×と評価(アウトガス量が50μg/g以上を示すものは高性能が要求されるサーバーなどのハードディスク用ガスケットとして好ましくない)
湿度透過性試験:円筒状のSUS容器(内径27mm、深さ50mm)に蒸留水10mlを入れ、直径30mm、厚み1mmに調整したテストシートを挟み、SUS製の中空の蓋(開口部の内径27mm)で固定して、70℃、100時間後のデータから水蒸気透過係数(g・mm/cm2・24H)を算出し、5×10−3(g・mm/cm2・24H)未満の値を示したものを○、5×10−3(g・mm/cm2・24H)以上の値を示したものを×と評価(水蒸気透過係数が5×10−3以上を示すものはハードディスク用ガスケットとして好ましくない)
【0028】
また、予めカバー形状に附型されたアルミニウム板(無電解ニッケルメッキ2〜5μm処理)に変性オレフィン樹脂系接着剤(三井化学製品ユニストールR120K)を塗布した部品を、金型にインサートしておき、同様に射出速度0.5秒、射出圧力100MPa、サイクルタイム30秒でカバーにガスケットを成形し、このカバー一体型ガスケットを用い、シール性試験、接着性試験、成形性評価を行った。
【0029】
シール性試験:カバーに一体成形されたガスケットを実機リーク試験機に装着した状態で、80℃、168時間の熱処理を行った後室温に戻し、試験機内部から5kPaの正圧を30秒間かけ続けて、15秒後にリークしなかったものを○、リークしたものを×と評価(ガスケット材料の圧縮永久歪特性が劣る場合やガスケット形状に欠陥がある場合はリークする)
接着性試験:カバーに一体化されたガスケット接着面に約1mmの貫通剥れを作り、その部位にSUS製ワイヤーを通し、垂直引張り荷重をかけ、剥れ長が約10mmに拡大するときの荷重を測定して、剥離荷重100kPa以上のものを○、これ未満のものを×と評価(剥離荷重が100kPa以上のものは実際の使用環境でも十分な接着力を有する)
成形性評価:製品の射出成形において、所定の製品形状に成形できないことで、変形、ヒケ、カケ、ウエルド、ショートショット、バリなどの発生や、カバーに一体成形できない現象が生じるといった不具合のみられなかったものを○、このような不具合のみられたものを×と評価
【0030】
得られた結果は、熱可塑性エラストマーの種類および使用量と共に、次の表1に示される。なお、実施例8では、実施例7において、接着剤として変性オレフィン樹脂系接着剤の代りにSBR系接着剤(ノガワケミカル製品ダイアボンドDA3188)が用いられた。
【0031】
比較例1〜6
実施例1〜7において、ポリプロピレン系樹脂量および可塑剤量を種々変更し、架橋剤は用いられなかった。得られた結果は、次の表2に示される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットに関する。更に詳しくは、製作が容易であり、しかもシール性などを向上させたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器製品の小型化、高性能化に伴い、構成部品を小さく、薄くすることが求められている。構成部品を小さくすると、製造工程上の組立作業性が悪くなるという観点から、種々の部品の一体化、複合化が求められている。また、同時にアウトガス性、シール性などの要求特性の性能向上も求められている。
【0003】
電子記憶装置のうち、特に水や埃の侵入を防ぎ、しかも低アウトガス性が要求されるハードディスクのドライブカバーとして装着されるガスケットとしては、ゴム単体や発泡ポリウレタンシートをステンレス鋼やアルミニウム等の金属カバーに挟む形で取り付けられるものであって、ステンレス鋼等の金属カバーとフッ素ゴムなどのゴム材料とを接着剤で接合し、一体化することで、組み付け作業を良好とすることが提案されている(特許第2,517,797号公報)。
【0004】
しかしながら、この方法では、あらかじめ別工程でガスケット形状のゴムを加硫成形しておき、後から金属カバーに接着剤で接合するというものであり、工程が長く煩雑であった。実際、ガスケットの加硫工程では数分間を要し、また加硫後のガスケットが細くちぎれ易いことや、ゴミなどが付着し易いため、組み付け前に何度も洗浄や選別が必要であり、より簡略化された方法が望まれていた。
【0005】
かかる問題点を解決すべく、ゴム材料に比べ加硫工程が不要で工程が簡略化でき、かつ材料のリサイクルが可能でコストダウンできるポリスチレン系ブロックコーポリマー製エラストマーからなるガスケット材料が提案されている(特許第2,961,068号公報)。
【0006】
この材料は、細く、柔らかく、しかも粘着しやすいといった性質を持つため、ガスケットを何らかの方法であらかじめ固定しておかないと、ハードディスクドライブ組み付け作業では非常に作業性が悪いものとなる。この対策として、枠体と称するものにポリスチレン系ブロックコーポリマー製エラストマーのガスケットをあらかじめ射出成形により作製し、あとからハードディスクドライブ等の箱体、蓋体の間に組付け一体化するため、結局枠体などといった他の部品を必要としている。
【0007】
特に、ハードディスクドライブカバーとして装着されるガスケットには、シール性およびクリーン性についての要求が厳しい。
【0008】
シール性についていえば、これを左右する材料特性として、硬度、圧縮永久歪および湿度透過性の3つが挙げられる。硬度(JIS デュロメータータイプA)は60以下が好ましく、これよりも硬いと一般に製品として組付けたとき、その反力で隙間があき、シールすることができなくなる。圧縮永久歪の劣る材料では、長時間組付けている間に緊迫力がなくなってシールできなくなり、これの値が100%以上では使用不能である。さらに、シール対象物は、ゴミ、埃などの他に水蒸気(湿気)もあるので、水透過性の低いことも必要とされる。また、ハードディスクドライブ内に水蒸気があると、錆の原因ともなる。
【0009】
クリーン性についていえば、これに関連する要素としてアウトガス、含有成分および脱落しやすい充填材の3つが挙げられる。材料から発生するアウトガスがディスクに付着すると、クラッシュの原因となる。また、塩素、シリコーン、イオウ、硫酸、硝酸、アクリル酸エステル等(イオンとして存在する場合を含む)も、ハードディスクドライブ内を腐食させるおそれがある。さらに、充填材を多量に含有し、しかもそれがポリマーと親和性がない場合には、その粒子が脱落し、それがハードディスクドライブ内に入ってしまうとやはりクラッシュの原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製作が容易であり、かつ低アウトガス性、低硬度および高温におけるシール性などにすぐれたハードディスクドライブ用ガスケットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、金属製カバーに接着剤を介してパッキング材を一体化させたガスケットにおいて、パッキング材としてポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物 100重量部、ポリプロピレン系樹脂 10〜100重量部、可塑剤 20〜130重量部および架橋剤 0.1〜10重量部の混合物からの成形物が用いられたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットによって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレンのトリブロック共重合体〔SEPS〕、ポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレンのトリブロック共重合体〔SEEPS〕等が用いられる。SEPSは、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体を水素添加することよって得られ、またSEEPSは、ポリスチレン−(ブタジエン−イソプレン)ランダム共重合体−ポリスチレンブロック共重合体を水素添加することによって得られる。
【0013】
これらのポリスチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は50000以上であることが好ましい。この数平均分子量がこれ未満であると、可塑剤のブリードが増加し、圧縮永久歪も大きくなり、実際の使用耐えないという不都合が生じることがある。一方、この数平均分子量の上限については特に制限されるものではないが、通常は400000程度である。かかるポリスチレン系熱可塑性エラストマーの非晶質スチレンブロックの含有量は、10〜70重量%、好ましくは15〜60重量%の範囲のものが用いられる。また、非晶質スチレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは80℃以上であるものが用いられる。さらに、両末端の非晶質スチレンブロックを連結する部分の重合体としては、非晶質のものが好ましい。ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは主に単独で用いられるが、二種以上をブレンドして用いてもよい。実際には、これらの条件を満足させるクレラ製品セプトン2006〔SEPS〕、セプトン4055〔SEEPS〕等が用いられる。
【0014】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、単独でも用いられるが、部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを約80重量%以下、好ましくは約30〜70重量%ブレンドしたブレンド体としても用いられる。部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、オレフィン系ゴムとポリオレフィン系樹脂の混練時に有機過酸化物等を加え、ゴム相を部分架橋させて得られたものであり、これら両ポリマーをせん断力の下で部分架橋させる1段法あるいは前もってオレフィン系ゴムを部分架橋させた後、これをポリオレフィン系樹脂とブレンドする2段法によって得られたもののいずれをも使用することができる。実際には、市販品、例えば三井化学製品ミラストマー、AES製品サントプレーン等のシリーズのものをそのまま使用することができる。
【0015】
ポリプロピレン系樹脂と可塑剤は、成形して得られるパッキング材の成形性や硬度を考慮して用いられる。ポリプロピレン系樹脂は成形性を左右し、また可塑剤は硬度を調整させる。このような観点から、ポリプロピレン系樹脂および可塑剤の添加割合が選択される。
【0016】
ポリプロピレン系樹脂としては、MFR(JIS K7210準拠;230℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10分のプロピレンの単独重合体あるいはプロピレンと少量のα−オレフィン(例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど)との共重合体である結晶性重合体(結晶化度20〜70%)が用いられる。ポリプロピレン系樹脂は、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物100重量部当り10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部の割合で用いられる。配合量がこれより多くなると、硬度が高くなり、一方配合量がこれより少なくなると流動性が悪くなり、射出成形が困難になる。
【0017】
可塑剤としては、通常のゴムや熱可塑性エラストマーに使用されるものであれば特に制限されないが、例えばプロセスオイル、潤滑油、パラフィン系オイル等の石油系軟化剤、ひまし油、あまに油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバセート等のエステル系可塑剤などが用いられ、好ましくはパラフィン系オイルが用いられる。これらの可塑剤は、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物100重量部当り10〜130重量部、好ましくは50〜120重量部の割合で用いられる。配合量がこれより多くなるとアウトガスが多くなり、またこれより少ない配合量ではシール性が悪くなる。
【0018】
また、架橋剤としては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーを部分架橋させる架橋剤として有機過酸化物が用いられ、例えばジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルクミルパーオキサイド等が用いられる。これらの架橋剤は、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物100重郎部当り0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部用いられ、架橋剤を用いない場合には、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーの部分架橋が行われず、後記シール性試験でのシール性に劣ったガスケットしか得られない。
【0019】
以上の各成分を必須成分とする混合物には、必要に応じて通常ゴムや熱可塑性エラストマーに配合されているりん片状を含む粉末状固体充填剤(例えば各種の金属粉、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等)、老化防止剤(例えばアミン類およびその誘導体、イミダゾール類、フェノール類およびその誘導体等)、ワックス類、安定剤、粘着付与剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤等が配合されて用いられる。
【0020】
また、磨耗性、成形性等の改良のため、少量の熱可塑性樹脂やゴムを添加することもできる。さらに、強度、剛性の向上のため短繊維等を添加することもできる。
【0021】
これらの混合物は、加熱混練機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高剪断型ミキサ等を用いて溶融混練りし、さらに必要に応じて架橋助剤等を添加したり、またはこれら必要な成分を同時に混合し、加熱溶融して混練りされるが、高分子有機材料と可塑剤とを混練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料をここで用いたものと同種もしくは種類の異なる一種以上の高分子有機材料にさらに混ぜ合わせて用いることもできる。
【0022】
このようにして得られたポリスチレン系熱可塑性エラストマーまたはそれと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物、ポリプロピレン系樹脂、可塑剤および架橋剤よりなる熱可塑性エラストマーコンパウンドは、接着剤を塗布した金属製カバーを挿入した金型内に射出することにより、パッキング材として一体成形される。金属製カバーとしては、アルミニウム板、アルミニウム板にメッキ処理を施したもの、ステンレス鋼板、ステンレス製制振鋼板などが、また接着剤としては、ポリオレフィン系樹脂の側鎖に無水マレイン酸、アクリル酸などの極性基をグラフトさせて変性したものを芳香族や脂肪族の有機溶媒に溶解し液状化させたものや、ディスパージョン化させたもの、またはスチレン・ブタジエン共重合ゴムを芳香族や脂肪族の有機溶剤に溶解し液状化させたものなどが用いられる。なお、接着剤を用いない場合には、成形時に剥がれを生じ、一体成形ができない。接着剤の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、スクリーン印刷、刷毛塗り、スタンプ方式など必要に応じて最適な方法が選択される。
【0023】
成形されたパッキング材ゴム材料の硬度(JIS デュロメータ タイプA)は、ポリプロピレン系樹脂量と可塑剤量とを規定された範囲内でバランスをとることにより、30〜60、好ましくは40〜50で、100℃、72時間における圧縮永久歪(JIS K6262準拠)が50%以下となるように調整される。硬度がこれ以上になると、カバー一体型ガスケットを本体に組付けた時の反力が大きくなり、カバーの変形などが生じて完全に密閉できなくなり、ガスケットとしてのシール性が劣るものとなる。一方、硬度がこれ未満になると、ガスケットがちぎれやすかったり、粘着しやすいなど、取り扱いに注意しなければならなくなる。また、圧縮永久歪がこれより大きいと、高温時において長時間にわたるシール性が確保できなくなる。なお、成形されるパッキング材の形状は、それが一体化されるハードディスクドライブ用カバーの形状に対応して決められる。
【0024】
【発明の効果】
部分的に架橋されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とする本発明に係るハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケットを用いることにより、低硬度および高温におけるシール性、低アウトガス性、低湿度透過性、接着性、成形性などにすぐれ、高い防塵性を有するハードディスクドライブ用ガスケット材を容易に作成することができる。このガスケット材は、硬度(JIS デュロメータータイプA)が30〜60、好ましくは40〜50であり、圧縮永久歪(JIS K6262準拠;100℃、72%)が50%以下とパッキング材として求められる特性を十分に備えている。
【0025】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0026】
実施例1〜8
熱可塑性エラストマーとして、
ポリマーA:三井化学製品ミラストマー5030B
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、部分架橋物)
ポリマーB:AES製品サントプレン111−45
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、部分架橋物)
ポリマーC:クラレ製品セプトン2006
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、SEPS)
ポリマーD:クラレ製品セプトン4055
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、SEEPS)
の内の1種類または2種類のブレンド物100部(重量、以下同じ)、ポリプロピレン系樹脂(出光興産製品J700GP)25部、パラフィン系オイル可塑剤(同社製品ダイアナプロセスオイルPW380)80部および架橋剤(日本油脂製品パークミルD)2部を、二軸押出機(神戸製鋼製ハイパーKTX46)を用い、設定温度210〜180℃、回転速度150rpmの条件下で混合押出しを行い、得られた材料(混合物)を射出成形機(川口鉄工製KM−80)を用い、設定温度210〜180℃、射出速度0.5秒、射出圧力100MPa、サイクルタイム30秒でテストシート(150×150×2mm)を成形し、硬度、アウトガス性、湿度透過性の試験に用いた。
【0027】
硬度:JIS K6253準拠(テストシート3枚重ね合わせ)
アウトガス性試験:50×3×2mmの短冊状のテストシートを120℃、1時間熱抽出後、アウトガス量を測定し、50μg/g未満のアウトガス量を示したものを○、50μg/g以上のアウトガス量を示すものを×と評価(アウトガス量が50μg/g以上を示すものは高性能が要求されるサーバーなどのハードディスク用ガスケットとして好ましくない)
湿度透過性試験:円筒状のSUS容器(内径27mm、深さ50mm)に蒸留水10mlを入れ、直径30mm、厚み1mmに調整したテストシートを挟み、SUS製の中空の蓋(開口部の内径27mm)で固定して、70℃、100時間後のデータから水蒸気透過係数(g・mm/cm2・24H)を算出し、5×10−3(g・mm/cm2・24H)未満の値を示したものを○、5×10−3(g・mm/cm2・24H)以上の値を示したものを×と評価(水蒸気透過係数が5×10−3以上を示すものはハードディスク用ガスケットとして好ましくない)
【0028】
また、予めカバー形状に附型されたアルミニウム板(無電解ニッケルメッキ2〜5μm処理)に変性オレフィン樹脂系接着剤(三井化学製品ユニストールR120K)を塗布した部品を、金型にインサートしておき、同様に射出速度0.5秒、射出圧力100MPa、サイクルタイム30秒でカバーにガスケットを成形し、このカバー一体型ガスケットを用い、シール性試験、接着性試験、成形性評価を行った。
【0029】
シール性試験:カバーに一体成形されたガスケットを実機リーク試験機に装着した状態で、80℃、168時間の熱処理を行った後室温に戻し、試験機内部から5kPaの正圧を30秒間かけ続けて、15秒後にリークしなかったものを○、リークしたものを×と評価(ガスケット材料の圧縮永久歪特性が劣る場合やガスケット形状に欠陥がある場合はリークする)
接着性試験:カバーに一体化されたガスケット接着面に約1mmの貫通剥れを作り、その部位にSUS製ワイヤーを通し、垂直引張り荷重をかけ、剥れ長が約10mmに拡大するときの荷重を測定して、剥離荷重100kPa以上のものを○、これ未満のものを×と評価(剥離荷重が100kPa以上のものは実際の使用環境でも十分な接着力を有する)
成形性評価:製品の射出成形において、所定の製品形状に成形できないことで、変形、ヒケ、カケ、ウエルド、ショートショット、バリなどの発生や、カバーに一体成形できない現象が生じるといった不具合のみられなかったものを○、このような不具合のみられたものを×と評価
【0030】
得られた結果は、熱可塑性エラストマーの種類および使用量と共に、次の表1に示される。なお、実施例8では、実施例7において、接着剤として変性オレフィン樹脂系接着剤の代りにSBR系接着剤(ノガワケミカル製品ダイアボンドDA3188)が用いられた。
【0031】
比較例1〜6
実施例1〜7において、ポリプロピレン系樹脂量および可塑剤量を種々変更し、架橋剤は用いられなかった。得られた結果は、次の表2に示される。
Claims (8)
- 金属製カバーに接着剤を介してパッキング材を一体化させたガスケットにおいて、パッキング材としてポリスチレン系熱可塑性エラストマー 100重量部、ポリプロピレン系樹脂 10〜100重量部、可塑剤 20〜130重量部および架橋剤 0.1〜10重量部の混合物からの成形物が用いられたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- 金属製カバーに接着剤を介してパッキング材を一体化させたガスケットにおいて、パッキング材としてポリスチレン系熱可塑性エラストマーと部分的に動的架橋されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとのブレンド物 100重量部、ポリプロピレン系樹脂 10〜150重量部、可塑剤 20〜130重量部および架橋剤 0.1〜10重量部の混合物からの成形物が用いられたハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- ポリスチレン系熱可塑性エラストマー20重量%以上と部分架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー80重量%以下のブレンド物が用いられた請求項2記載のハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- ポリスチレン系熱可塑性エラストマーがポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレンブロック共重合体である請求項1または2記載のハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- ポリスチレン系熱可塑性エラストマーがポリスチレン−ポリ(エチレン/エチレン−プロピレン)−ポリスチレンブロック共重合体である請求項1または2記載のハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- 可塑剤がパラフィン系オイルである請求項1または2記載のハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- 接着剤が変性オレフィン樹脂系またはSBR系の接着剤である請求項1または2記載のハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
- 硬度(JIS デュロメータータイプA)が30〜60であり、圧縮永久歪(JIS K6262準拠;100℃、72時間)が50%以下のパッキング材を形成させた請求項1または2記載のハードディスクドライブ用カバー一体型ガスケット。
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