JP2004287577A - 工程設計支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工工程の設計を容易にする。
【解決手段】製品設計者は、3次元CADシステム10を用いて製品のソリッドモデルを作成すると共に、そのモデル上の加工部位に対して加工精度情報を設定することで、製品モデル22を作成する。工程設計者は、注意すべき高精度の加工部位を抽出すべく、精度検索条件入力UI32に加工精度の検索条件を入力する。検索部34は、その製品モデル22の中から、その検索条件を満足する加工部位を検索する。工程制約条件入力UI36は、検索された各加工部位の加工精度情報を表示し、工程設計者はその表示を参照しつつそれら各加工部位に工程制約条件を設定する。そして、工程設計者は、工程情報入力UI38を用い、各加工部位の工程制約条件を参照しながら、その加工部位を加工する加工機や工具などの詳細な工程情報を設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】製品設計者は、3次元CADシステム10を用いて製品のソリッドモデルを作成すると共に、そのモデル上の加工部位に対して加工精度情報を設定することで、製品モデル22を作成する。工程設計者は、注意すべき高精度の加工部位を抽出すべく、精度検索条件入力UI32に加工精度の検索条件を入力する。検索部34は、その製品モデル22の中から、その検索条件を満足する加工部位を検索する。工程制約条件入力UI36は、検索された各加工部位の加工精度情報を表示し、工程設計者はその表示を参照しつつそれら各加工部位に工程制約条件を設定する。そして、工程設計者は、工程情報入力UI38を用い、各加工部位の工程制約条件を参照しながら、その加工部位を加工する加工機や工具などの詳細な工程情報を設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品加工工程の設計を支援するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械製品を初めとする各種製品の開発の際には、製品形状の設計(製品設計と呼ぶ)だけでなく、その製品の生産準備のための設計が必要になる。例えば自動車のエンジン設計では、生産準備のために、製品の粗形材を作るための金型等の型の設計(型設計と呼ぶ)や、切削その他の機械加工工程の設計(工程設計と呼ぶ)を行う。
【0003】
製品設計では製品の完成形状を設計する。近年では、3次元CADシステムを利用することで、所望の3次元製品形状を効率よく設計できるようになっている。また型設計では、その製品の素材となる粗形材を作り出すための金型の形状を設計する。型設計でも3次元CADの利用により設計作業の効率化が図られている。
【0004】
加工工程設計では、鋳造等で製造された粗形材から、設計された製品完成形状を得るための加工手順を設計する。製品を完成させるまでには一般に複数の部位に対して加工が行われるので、加工工程設計ではそれら各部位の加工に使用する加工機や加工工具、切削条件その他の加工条件を決めたり、それら各箇所の加工の順序を決めたりする必要がある。
【0005】
加工工程の設計では、各加工部位の加工内容や加工精度に見合った加工機や工具を選択する必要がある。ここで、加工精度の情報は、例えば寸法公差などの各種公差情報として予め3次元CADモデルに含まれている場合も多い。従来の加工工程設計では、3次元CADモデルから、形状や各種公差情報を含んだ紙図面を作成し、この紙図面を見ながら工程設計を進め、設計した工程の情報をその紙図面に書き込んでいくという流れで作業が進められている。
【0006】
これに対し特許文献1には、CADシステムが作成した形状データに対して加工のための属性を付加する属性付加システムと、その属性付加システムにより付加された加工属性を参照してNC(数値制御)データを作成するCAMシステムと、を含んだCAD/CAMシステムが開示されている。属性付加システムは、CADの形状データを用いて加工物の形状と各加工領域の寸法公差を表示すると共に、寸法公差に対応する加工工程を合わせて表示する。ユーザが、表示された加工工程の中から、加工領域に適応するものを選択して入力すると、属性付加システムはその加工工程を、対応する加工領域に対して付された属性マークに対応づけて記憶する。CAMシステムは、この属性マークに対応づけられた各加工領域の加工工程の情報に従って、その加工領域に対して適用する工具を決定し、この工具を用いた加工のためのNCデータを作成する。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−143090号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
紙図面を用いて工程設計を進める従来方式は、時間や労力を要するとともに、また図面の読み間違いなどによる設計ミスが発生する可能性が少なくないなどの問題がある。
【0009】
特許文献1のシステムでは、属性付加システム上で各加工領域に対応する加工工程を入力することができるため、紙図面を用いる上記従来技術の問題点については改善が期待できる。しかしながら、このシステムでは、各加工領域ごとにその寸法公差に対応する加工工程を選択肢として表示し、ユーザに選ばせるという構成であるため、加工領域の数が多くなるとそれに応じて作業の手間が増えるという問題がある。加工工程設計において、加工部位を加工する加工機を決める上で制約となるのは高精度が要求される部位であり、通常の精度の部位については一般にそのような制約が少ない。にもかかわらず、特許文献1のシステムは、高精度加工等の特別の配慮を要する加工領域も通常レベルの加工領域も同等に扱っており、全部の加工領域について加工工程を指定しなければならないという煩雑さがあった。このため、特許文献1のシステムは、加工部位が多い複雑な製品の加工工程設計には向かなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る工程設計支援装置は、各加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る読み取り手段と、ユーザから加工精度に関する検索条件の入力を受ける検索条件入力手段と、前記3次元形状モデルの各加工部位に対して登録された加工精度情報を調べ、前記検索条件を満足する加工部位を検索する検索手段と、前記検索手段で検索した加工部位をユーザに表示し、該加工部位を加工するための加工工程に関連する加工工程関連情報の入力をユーザから受け、入力された加工工程関連情報を該加工部位に対応づけて記憶する工程情報入力手段と、を備える。
【0011】
本発明の好適な態様では、前記工程情報入力手段は、前記検索手段で検索した加工部位に対応づけて、その加工部位が前記検索条件におけるどの種類の加工精度に関する条件に該当するかを表示する。
【0012】
別の好適な態様では、前記工程情報入力手段は、前記加工工程関連情報として、前記検索された加工部位を加工する加工工程が満たすべき条件を含む工程制約条件の入力を受ける。
【0013】
更に好適な態様では、前記工程情報入力手段は、前記検索手段で検索された各加工部位ごとに、工程制約条件の入力状況を一覧表示する入力状況表示手段を更に備える。
【0014】
別の好適な態様では、前記3次元形状モデルの各加工部位についての加工工程情報の指定をユーザから受ける手段であって、この指定のための支援として、ユーザが選択した加工部位に対応する前記工程制約条件を表示する手段を更に備える。
【0015】
別の好適な態様では、各加工部位の加工のためにユーザが指定した各加工工程情報が前記工程制約条件を満足するか否かを検査し、検査結果を出力する手段を更に備える。
【0016】
また本発明に係る装置は、加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る手段と、加工部位に対応する加工精度情報を読み取り、その加工精度情報が他の加工部位との関係における精度を規定するものである場合は、前記加工部位と前記他の加工部位が同一の加工機で加工されるべきであることを示す工程制約条件をそれら加工部位に対応づけて記憶する手段と、を備える。
【0017】
また本発明は、コンピュータシステムを、加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る読み取り手段、ユーザから加工精度情報に関する検索条件の入力を受ける検索条件入力手段、前記3次元形状モデルの各加工部位に対して登録された加工精度情報を調べ、前記検索条件を満足する加工部位を検索する検索手段、前記検索手段で検索した加工部位をユーザに表示し、該加工部位を加工するための加工工程に関連する加工工程関連情報の入力をユーザから受け、入力された加工工程関連情報を該加工部位に対応づけて記憶する工程情報入力手段、として機能させるためのプログラムを提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る設計支援システムの構成を示す図である。このシステムは、製品形状の設計を支援する3次元CAD(Computer Aided Design)システム10と、機械加工工程の設計を支援する工程設計支援システム30とを備えている。3次元CADシステム10及び工程設計支援システム30は、典型的には、それぞれ汎用のコンピュータシステムに、以下に示す当該システム10又は30の機能を記述したプログラムを実行させることで実現することができる。
【0020】
3次元CADシステム10は、立体同士の集合演算により立体形状を表現するソリッドモデルを取り扱う機能を備えると共に、そのソリッドモデルを構成する形状要素(立体、面、辺、及び頂点など)に対して属性情報を関連づけて記憶する機能を備える。このうち、ソリッドモデルの作成・編集機能は、従来から公知のソリッドモデラの機能と同様でよい。
【0021】
また、例えばソリッドモデルの形状要素に対する属性情報として、3次元CADシステム10は、その面の加工精度の情報を関連づけることができる。このような加工精度の情報の設定のために、3次元CADシステム10には加工精度情報入力UI(ユーザインタフェース)12が設けられている。この加工精度情報入力UI12は、例えば、製品形状を示すソリッドモデルを表示し、そのモデル上での面その他の形状要素の選択(この選択は例えばマウス操作による)をユーザから受け付け、選択された形状要素に対する寸法公差その他の各種加工精度を入力するための入力画面を表示してユーザの入力を受け付ける。
【0022】
モデル記憶部20には、3次元CADシステム10により作成・編集される製品モデル22が記憶される。製品モデル22は、図2に示すように、製品形状を示すソリッドモデル100と、そのソリッドモデルの各形状要素に対して関連づけられた属性情報とを含んでいる。図2の例では、ソリッドモデル100において、機械加工により形成されるべき面102に対し、加工面属性情報150が参照により関連づけられている例を示している。以下では、機械加工により形成される面のことを加工面と呼ぶ。加工面属性情報150の一例を図3に示す。この例では、加工面属性情報150は、当該加工面のID152,寸法情報154,加工精度情報156,工程制約条件158,及び加工工程情報160を含んでいる。加工面ID152は、当該加工面を一意に識別するための識別情報であり、3次元CADシステム10により付与される。寸法情報154は、当該加工面の寸法であり、例えば穴の場合は内径などといったように、加工面の形状種別に応じた寸法の値を含んでいる。加工精度情報156は、当該加工面の精度を示す情報であり、寸法公差や面粗度(表面粗さ)、位置度や同軸度などの各種公差情報を含んでいる。加工工程情報160は、使用する加工機や工具、切削条件(工具の送り速度や工具送りサイクルのパターンなど)など、当該加工面に対する加工工程の内容を規定する情報である。工程制約条件158は、そのような詳細な加工工程情報160の制約となる条件である。最終的な加工工程情報160は、この工程制約条件を満足するように決定される。例えば、「中精度の仕上げ加工機を使う必要がある」などといった条件が工程制約条件であり、これに対して具体的に使用する加工機の名称や、その加工機で加工する際の具体的な切削条件の値の集まりが加工工程情報である。
【0023】
また、位置度や同軸度など、基準となる他の形状要素に対する相対的な値として指定される公差については、その公差を守るためには、その基準の形状要素と当該加工部位とを同一の加工機で加工することが望ましい。したがって、「基準となる部位X(Xは該部位の識別情報)と同一の加工機で加工すべきである」という条件も工程制約条件の一種である。このような他の形状要素に対する相対的な値として指定される公差についての工程制約条件については、後述する工程設計支援システム30が自動的に検知し、当該加工部位の属性情報として設定することも可能である。
【0024】
3次元CADシステム10では、このような加工面属性情報150のうち、寸法情報154と加工精度情報156が設定される。一方、工程制約情報158や加工工程情報160は、工程設計支援システム30を用いた工程設計の段階で入力される。図3に例示した加工面属性情報150は、3次元CADシステム10における形状設計が完了した時の状態を示している。
【0025】
工程設計支援システム30は、3次元CADシステム10により作成された製品モデル22の情報を用いて、ユーザによる製品の機械加工工程の設計を支援する。このシステム30は、加工工程設計の支援のための情報として、製品モデル22のソリッドモデルや、そのソリッドモデル上でユーザが選択した面その他の形状要素に対して対応づけられた加工精度情報等の属性情報を表示する機能を備える。
【0026】
加工工程の設計では、最終的には、加工により形成される各加工面に対し、その加工面ごと(加工面を形成するのに複数の加工段階(粗加工、中仕上、仕上げなど)が必要な場合はそれら各段階ごと)に、その段階に用いる加工機や工具、切削条件などの加工工程情報160を決定する。しかしながら、設計者が製品モデル22を見てすぐにこのような詳細な加工工程情報160を矛盾無く設定するのは一般に困難なので、本実施形態の工程設計支援システム30は、このような詳細な加工工程情報の決定のための支援機能を備える。このような支援機能として、本実施形態の工程設計支援システム30は、加工精度に基づく検索機能や、工程制約条件158の設定とこれに基づくガイド機能を提供する。
【0027】
ユーザは、加工精度に基づく検索機能を用いることで、工程設計上注意すべき、高精度の加工を要する加工部位を抽出できる。そして、ユーザは、検索機能により抽出された加工部位に対し、その加工精度に応じた更に工程制約条件を設定することができ、この工程制約条件を参照しながら、詳細な加工工程情報を設定することができる。
【0028】
上記加工精度に基づく検索機能は、工程設計支援システム30の精度検索条件入力UI32と検索部34により提供される。精度検索条件入力UI32は、加工精度についての検索条件の入力のためのユーザインタフェース処理を行う機構である。このUI32が提供する検索条件入力画面については後述する。検索部34は、製品モデル22の各加工部位の中から、UI32を介して入力された検索条件を満足する加工精度情報を持つものを検索する。
【0029】
工程制約条件入力UI36は、ユーザから工程制約条件158の入力を受けるためのユーザインタフェース手段である。検索部34により検索された加工部位の情報は、工程制約条件入力UI36に与えられる。工程制約条件入力UI36は、検索された各加工部位をソリッドモデル上で表示したり、それら加工部位に対して設定されている加工精度情報156や寸法情報154などの属性情報を表示し、ユーザはこの表示を参照しながら、それら各加工部位に対する工程制約条件をUI36に入力する。入力された工程制約条件は、製品モデル22内の当該加工部位の加工面属性情報150に登録される。
【0030】
工程情報入力UI38は、ユーザから各加工部位への加工工程情報160の入力を受けるためのユーザインタフェース手段である。工程情報入力UI38は、工程制約条件158や加工精度情報156などを表示し、ユーザはそれらの表示を参照しながら、各加工部位に対する加工工程情報をこのUI38に入力する。入力された加工工程情報は、製品モデル22内の当該加工部位の加工面属性情報150に登録される。
【0031】
図4は、このシステムにおける製品設計から加工工程設計までの作業の流れを示す図である。
【0032】
この流れでは、まず製品設計の担当者が、3次元CADシステム10を用いて、製品の3次元形状を示すソリッドモデルを作成し、そのソリッドモデル内で機械加工により形成される加工部位に対し、加工精度情報入力UI12を用いて寸法公差等の加工精度情報を設定する(S10)。このようにして作成された製品モデル22(すなわち加工精度情報が属性として付加されたソリッドモデル)が、工程設計支援システム30に渡される。
【0033】
工程設計支援システム30では、まずこの製品モデル22に対し、工程制約条件を設定する(S20)。
【0034】
より詳しくは、まず工程設計者が、精度検索条件入力UI32を用い、注目すべき高精度加工部位を選び出すための検索条件を入力する(S22)。
【0035】
図5は、この精度検索条件入力UI32が提供する精度検索条件入力画面200の一例を模式的に示した図である。この例に示すように、条件入力画面200には、面粗度や真円度、真直度などといった各種公差・精度の種類ごとに、検索値204の入力欄が設けられている。検索値204は、対応する公差の値の上限値であり、検索処理では当該公差の値としてこの検索値204以下の値を持つ(すなわち検索値204より精度要求が厳しい)加工部位を検索することになる。各種類の公差に対応して設けられるチェックボックス202は、検索における調査対象とする公差を指定するためのものである。ユーザは、マウス等のポインティングデバイスを操作して、今回の検索処理で調査したい公差を選択し、クリック操作などによりチェックボックス202にマークを付す。初期値206は、ユーザが明示的に指定しなかった場合の検索値204の値(いわゆるデフォルト値)である。ユーザが検索値204の欄に数値入力を行わずにチェックボックス202にチェックマークを付した場合は、この初期値206が検索値204の欄に入力される。なお、図5の例では、各公差の検索値204をそれぞれ1つの検索条件として取り扱い、それら各条件ごとに、これを満たす加工部位を検索する。もちろんこれは一例であり、各公差についての条件をAND条件やOR条件として組み合わせたものを1つの検索件として検索したり、それら各条件をもっと複雑な論理式で組み合わせたものを検索条件としたりすることも可能である。この場合、条件入力画面200には、各公差に対する検索値204と、それら各公差についての条件の組合せ方を指定する入力欄を設ければよい。
【0036】
なお、図5に示した各種公差はあくまで一例であり、この他の種類の公差を検索条件として指定可能とすることもできる。
【0037】
このようなUIを用いて精度検索条件が設定されると、検索部34が製品モデル22の各形状要素に設定された属性情報を調べ、この条件を満足する加工精度情報を持つ加工部位(例えば加工面)を検索する。ここでは一例として、各公差の条件ごとに、その条件を満足するものを個別に検索するとする。例えば、図6に示すように、ソリッドモデル100内の面102(「加工面001」)が、面粗度12.5Z、真円度0.01、位置度φ0.1等の加工精度情報を有しているとすると、図5に示される検索条件で検索した場合、検索結果250では、面粗度、真円度、位置度などの各条件に対して、「加工面001」がそれぞれ該当部位として検索されることになる。この検索結果250の情報は、この後の工程制約条件入力UI36や工程情報入力UI38による入力処理のために一時保管される。
【0038】
検索部34による検索結果が得られると、工程制約条件入力UI36が起動される。このUI36の提供する入力画面上には、その検索結果に基づき、工程制約条件入力支援のためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)が表示され、ユーザはこのGUIを用いて工程制約条件を入力する(S24)。
【0039】
工程制約条件入力UI36は、図7の(a),(b)に示すような2つの入力支援画面を表示することができる。
【0040】
(a)は、検索部34による検索結果を一覧表示した画面である。この画面には、各行が各加工部位に割り当てられ、各列が各公差に割り当てられた検索結果テーブル300が示される。このテーブル300では、各加工部位において、検索条件に該当した公差の欄には、その検索条件に該当する旨を示すマーク302が表示される。図7の例では、例えば「加工面001」という加工部位は、面粗度、真円度、及び位置度が検索条件に該当する(すなわち検索値より厳しい公差値を持つ)ことが分かる。
【0041】
(b)は、製品モデル22中のソリッドモデル350を表示した画面である。ユーザが、この画面に表示されたソリッドモデル350上の所望の形状要素をマウス操作等で選択すると、工程制約条件入力UI36は、その形状要素の加工精度情報156のうち検索条件に該当した公差を表示する要注意精度表示画面360を表示する。図7は、選択された面352(「加工面001」)に対応する画面360が表示されている様子を示している。この画面360には、当該選択された部位についての、検索条件に該当する各公差の値が表示されると共に、それら各公差についての工程制約条件が設定済みであるか否かを示すためのチェックボックス362が表示される。
【0042】
この要注意精度表示画面360をマウス操作等により選択することで、当該加工部位に対応する工程制約条件の入力画面(図示省略)が表示される。ユーザは、画面360に表示された各公差の値などを見て、これを満足するために必要な工程制約条件をその入力画面に入力する。そして、ユーザは、画面360に表示された各公差のうち、入力を済ませた工程制約条件に対応する公差(すなわち、工程制約条件により満足される公差)のチェックボックス362に対し、マウス操作等によりチェックマークを記入する。これにより、当該加工部位において検索条件に該当した公差のうち、どれに対応する工程制約条件が入力済みか否かを把握することが可能になる。すなわち、工程制約条件入力UI36が提供するユーザインタフェース画面では、図8の(a)に示すように、入力された工程制約条件370に対応する公差のチェックボックス362にチェックマークが付される。この例では、ユーザが入力した「中精度仕上げ加工機」及び「荒加工・中仕上げ要」という条件は、画面360に示される公差のうち、面粗度と真円度の値を満たすための条件なので、ユーザはそれら2つの公差についてチェックボックスにチェックマークを付している。
【0043】
また、このように画面360上でチェックボックス362にチェックマークが付されると、検索結果テーブル300においても、図8の(b)に示すように、ユーザがチェックマークを付した公差に対応する欄に、工程制約条件が設定済みであることを示す所定のマーク304が表示される。工程制約条件が設定されていない加工部位と公差の組合せの欄は、マーク302のままである。ユーザは、このテーブル300により、どの加工部位のどの公差に対して、それを実現するための工程制約条件が設定済みであるかを一覧することができる。ユーザは、要注意精度表示画面360や、テーブル300を見ながら、検索されたすべての加工部位における、検索条件に該当するすべての公差について、工程制約条件設定済みのマークが付されるまで、設定作業を繰り返す。これにより、注意すべき高精度加工部位のすべてに対してもれなく工程制約条件を設定することができる。
【0044】
以上では、入力した工程制約条件に対応して、ユーザ自身が画面360の公差のチェックボックス362をチェックする構成を示したが、これはあくまで一例である。この逆に、ユーザがこの画面360の各公差のチェックボックス362をマウス操作等により選択することで、選択された公差に対応する工程制約条件の入力画面(図示省略)が表示されるようにしてもよい。この場合、その入力画面に対して工程制約条件が入力されて初めて、テーブル300の該当欄が設定済みのマーク304に変わる。
【0045】
工程制約条件入力UI36により入力する工程制約条件は、その利用の仕方に応じて様々な入力の仕方が可能である。
【0046】
例えば、工程制約条件を、ユーザが詳細な加工工程情報を決める際の参考情報として提供するだけであれば、工程制約条件は、ユーザが自由にテキストで入力すればよい。
【0047】
一方、工程設計支援システム30が、工程制約条件を利用して支援処理を実行する場合は、該システム30の条件解釈規則に従った工程制約条件を入力する必要がある。この場合は、例えば、工程制約条件入力UI36が、選択可能な工程制約条件のリスト(これはシステム30に予め登録されている)を表示し、ユーザがその中から所望のものをマウス操作等で選択するようにするなどの仕組みとすればよい。この場合、登録されている工程制約条件をすべて表示する代わりに、例えば、ユーザが選択した加工部位の寸法情報154や加工精度情報156などの属性情報に基づき、その加工部位に対応する条件を絞り込んで表示するようにすることも好適である。例えば、工程制約条件入力UI36が、加工精度情報156に示される各公差の値を満足できる工程制約条件を選び出し、選択肢として表示するなどである。この場合、工程制約条件の選択肢は、各公差ごと提示することも好適である。
【0048】
以上の工程制約条件入力UI36により、ユーザは、検索部34で検索された各加工部位に対し、その加工部位の加工精度情報を画面360により確認しながら、工程制約条件を入力することができる。
【0049】
なお、この工程制約条件の入力をより容易にする仕組みとして、例えば図7(b)のソリッドモデル350の画面にて、ソリッドモデル350の形状要素のうち検索部34で検索された加工部位を、他の部位とは異なる表示形態で表示する仕組みを用いることができる。例えば表示色を変えるなどである。これにより、検索された加工部位をユーザに分かりやすく表示することができる。ユーザは、表示形態の違いにより検索された加工部位を容易に識別することができ、その部位をマウス操作等で選択して工程制約条件を入力することができる。
【0050】
また工程制約条件入力支援の別の仕組みとして、図7の(a)の検索結果テーブル300上でユーザが所望の加工部位の識別情報をマウス操作等で選択することで、工程制約条件の入力対象を選択こともできる。この場合、テーブル300上で選択された加工部位が、(b)の画面でも選択状態となり、これに対応する要注意精度表示画面360が表示される。例えば、テーブル300で「加工面001」を選択すると、ソリッドモデル350上の面352が選択状態となる。
【0051】
またこの仕組みの変形として、(a)のテーブル300にて、所望の公差をマウス操作等で選択することで、その公差に関する検索条件を満足する加工部位を一括して選択状態とすることもできる。例えば、「面粗度」を選択すると、「加工面001」、「加工面002」が一括選択され、それらが(b)の画面上でも選択状態となり、それら選択状態の各加工部位についてそれぞれ要注意精度表示画面360が表示される。ユーザは、それら選択状態の加工部位の画面360の名から、所望のものを順に選んで工程制約条件を入力していく。
【0052】
以上のようにして、検索結果の各加工部位に対し、ユーザが工程制約条件の設定を終えると、次に工程設計者は、工程情報入力UI38を用いて各加工部位の加工工程情報160を入力する(図4のS30)。工程情報入力UI38も、例えば、工程制約条件入力UI36と同様、図7(b)に似た、ソリッドモデル350を表示したUI画面を表示する。ユーザが、この画面上で加工部位に該当する形状要素を選択すると、その形状要素に対する加工工程情報160の入力画面が表示される。このとき、工程情報入力UI38は、加工工程情報160の入力支援のため、その加工部位の属性情報に含まれる工程制約条件158を表示する。ユーザは、これを見ながら、その工程制約条件158を満足するように加工工程情報160を入力する。また、このとき、当該加工部位の加工精度情報156を併せて表示するようにすることも好適である。
【0053】
この入力作業の際、ソリッドモデル350の表示上で、工程制約条件が設定された加工部位を他の部位とは異なる表示形態で表示することで、工程制約条件が設定されている(すなわち精度要件が厳しい)加工部位から先に加工工程の詳細を決定していくといった作業の流れが可能になり、妥当な工程設計を効率よく行うことができる。また、このとき工程制約条件が設定された加工部位のリストを表示し、このリスト上から加工工程情報の入力対象を指定できるようにすることでも、同様のことが可能になる。
【0054】
また、このような加工工程情報の入力作業の際、ユーザが加工部位に対して入力した加工工程情報が、その加工部位の工程制約条件を満足するかを工程設計支援システム30が検査し、その結果をユーザに通知する仕組みを採用することも好適である。例えば、検査の結果、入力が工程制約条件を満足しない場合、その旨のメッセージを画面表示するなどである。この仕組みのためには、例えば、加工精度情報内に記述される使用加工機や使用工具、切削条件値ごとに、それら個々の加工機等が満足する工程制約条件をテーブルに登録するなどすればよい。検査の際には、ユーザが入力した加工工程情報に対応する加工機等をこのテーブルから検索し、そこに示される工程制約条件と、当該加工部位に対して設定された工程制約条件とを比較すればよい。この仕組みによれば、工程制約を満足しない加工工程情報が設定されるのを防止することができる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、ソリッドモデルに付加された加工精度情報に対する検索を可能とすることで、注目すべき精度が指定された加工部位を検索し、そのような部位に重点を置いた工程設計を行うことが可能になる。
【0056】
また本実施形態では、各加工部位に対して詳細な加工工程情報を直接指定するのではなく、いったん工程制約条件を設定するステップを設け、この工程制約条件を満足するように詳細な加工工程情報が指定できるようにしたので、ユーザは工程の要件を段階的に詳細化でき、詳細な加工工程情報の設定がしやすくなる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明した。以上では、精度要件が厳しい加工部位を抽出するために、加工精度情報に対する検索条件として、公差の上限値をしたが、これは一例である。この代わりに、公差の下限や、公差の範囲(上限と下限)などを指定できるようにしてもよい。これによれば、例えばある加工機で加工できる加工部位をすべて抽出したい場合に、その加工機で加工できる公差の下限(すなわち、対応可能な最高の精度)を入力して検索するなどの処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る設計支援システムの構成を示す図である。
【図2】製品モデルを説明するための図である。
【図3】加工面属性情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】実施形態のシステムにおける製品設計から加工工程設計までの作業の流れを示す図である。
【図5】精度検索条件入力UIが提供する条件入力画面の一例を模式的に示す図である。
【図6】精度検索条件による検索処理の一例を説明するための図である。
【図7】工程制約条件入力UIが提供する入力支援画面の例を模式的に示す図である。
【図8】工程制約条件入力UIの入力支援画面において、工程制約条件を入力した結果を示す表示の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 3次元CADシステム、12 加工精度情報入力UI(ユーザインタフェース)、20 モデル記憶部、22 製品モデル、30 工程設計支援システム、32 精度検索条件入力UI、34 検索部、36 工程制約条件入力UI、38 工程情報入力UI。
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品加工工程の設計を支援するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械製品を初めとする各種製品の開発の際には、製品形状の設計(製品設計と呼ぶ)だけでなく、その製品の生産準備のための設計が必要になる。例えば自動車のエンジン設計では、生産準備のために、製品の粗形材を作るための金型等の型の設計(型設計と呼ぶ)や、切削その他の機械加工工程の設計(工程設計と呼ぶ)を行う。
【0003】
製品設計では製品の完成形状を設計する。近年では、3次元CADシステムを利用することで、所望の3次元製品形状を効率よく設計できるようになっている。また型設計では、その製品の素材となる粗形材を作り出すための金型の形状を設計する。型設計でも3次元CADの利用により設計作業の効率化が図られている。
【0004】
加工工程設計では、鋳造等で製造された粗形材から、設計された製品完成形状を得るための加工手順を設計する。製品を完成させるまでには一般に複数の部位に対して加工が行われるので、加工工程設計ではそれら各部位の加工に使用する加工機や加工工具、切削条件その他の加工条件を決めたり、それら各箇所の加工の順序を決めたりする必要がある。
【0005】
加工工程の設計では、各加工部位の加工内容や加工精度に見合った加工機や工具を選択する必要がある。ここで、加工精度の情報は、例えば寸法公差などの各種公差情報として予め3次元CADモデルに含まれている場合も多い。従来の加工工程設計では、3次元CADモデルから、形状や各種公差情報を含んだ紙図面を作成し、この紙図面を見ながら工程設計を進め、設計した工程の情報をその紙図面に書き込んでいくという流れで作業が進められている。
【0006】
これに対し特許文献1には、CADシステムが作成した形状データに対して加工のための属性を付加する属性付加システムと、その属性付加システムにより付加された加工属性を参照してNC(数値制御)データを作成するCAMシステムと、を含んだCAD/CAMシステムが開示されている。属性付加システムは、CADの形状データを用いて加工物の形状と各加工領域の寸法公差を表示すると共に、寸法公差に対応する加工工程を合わせて表示する。ユーザが、表示された加工工程の中から、加工領域に適応するものを選択して入力すると、属性付加システムはその加工工程を、対応する加工領域に対して付された属性マークに対応づけて記憶する。CAMシステムは、この属性マークに対応づけられた各加工領域の加工工程の情報に従って、その加工領域に対して適用する工具を決定し、この工具を用いた加工のためのNCデータを作成する。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−143090号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
紙図面を用いて工程設計を進める従来方式は、時間や労力を要するとともに、また図面の読み間違いなどによる設計ミスが発生する可能性が少なくないなどの問題がある。
【0009】
特許文献1のシステムでは、属性付加システム上で各加工領域に対応する加工工程を入力することができるため、紙図面を用いる上記従来技術の問題点については改善が期待できる。しかしながら、このシステムでは、各加工領域ごとにその寸法公差に対応する加工工程を選択肢として表示し、ユーザに選ばせるという構成であるため、加工領域の数が多くなるとそれに応じて作業の手間が増えるという問題がある。加工工程設計において、加工部位を加工する加工機を決める上で制約となるのは高精度が要求される部位であり、通常の精度の部位については一般にそのような制約が少ない。にもかかわらず、特許文献1のシステムは、高精度加工等の特別の配慮を要する加工領域も通常レベルの加工領域も同等に扱っており、全部の加工領域について加工工程を指定しなければならないという煩雑さがあった。このため、特許文献1のシステムは、加工部位が多い複雑な製品の加工工程設計には向かなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る工程設計支援装置は、各加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る読み取り手段と、ユーザから加工精度に関する検索条件の入力を受ける検索条件入力手段と、前記3次元形状モデルの各加工部位に対して登録された加工精度情報を調べ、前記検索条件を満足する加工部位を検索する検索手段と、前記検索手段で検索した加工部位をユーザに表示し、該加工部位を加工するための加工工程に関連する加工工程関連情報の入力をユーザから受け、入力された加工工程関連情報を該加工部位に対応づけて記憶する工程情報入力手段と、を備える。
【0011】
本発明の好適な態様では、前記工程情報入力手段は、前記検索手段で検索した加工部位に対応づけて、その加工部位が前記検索条件におけるどの種類の加工精度に関する条件に該当するかを表示する。
【0012】
別の好適な態様では、前記工程情報入力手段は、前記加工工程関連情報として、前記検索された加工部位を加工する加工工程が満たすべき条件を含む工程制約条件の入力を受ける。
【0013】
更に好適な態様では、前記工程情報入力手段は、前記検索手段で検索された各加工部位ごとに、工程制約条件の入力状況を一覧表示する入力状況表示手段を更に備える。
【0014】
別の好適な態様では、前記3次元形状モデルの各加工部位についての加工工程情報の指定をユーザから受ける手段であって、この指定のための支援として、ユーザが選択した加工部位に対応する前記工程制約条件を表示する手段を更に備える。
【0015】
別の好適な態様では、各加工部位の加工のためにユーザが指定した各加工工程情報が前記工程制約条件を満足するか否かを検査し、検査結果を出力する手段を更に備える。
【0016】
また本発明に係る装置は、加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る手段と、加工部位に対応する加工精度情報を読み取り、その加工精度情報が他の加工部位との関係における精度を規定するものである場合は、前記加工部位と前記他の加工部位が同一の加工機で加工されるべきであることを示す工程制約条件をそれら加工部位に対応づけて記憶する手段と、を備える。
【0017】
また本発明は、コンピュータシステムを、加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る読み取り手段、ユーザから加工精度情報に関する検索条件の入力を受ける検索条件入力手段、前記3次元形状モデルの各加工部位に対して登録された加工精度情報を調べ、前記検索条件を満足する加工部位を検索する検索手段、前記検索手段で検索した加工部位をユーザに表示し、該加工部位を加工するための加工工程に関連する加工工程関連情報の入力をユーザから受け、入力された加工工程関連情報を該加工部位に対応づけて記憶する工程情報入力手段、として機能させるためのプログラムを提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る設計支援システムの構成を示す図である。このシステムは、製品形状の設計を支援する3次元CAD(Computer Aided Design)システム10と、機械加工工程の設計を支援する工程設計支援システム30とを備えている。3次元CADシステム10及び工程設計支援システム30は、典型的には、それぞれ汎用のコンピュータシステムに、以下に示す当該システム10又は30の機能を記述したプログラムを実行させることで実現することができる。
【0020】
3次元CADシステム10は、立体同士の集合演算により立体形状を表現するソリッドモデルを取り扱う機能を備えると共に、そのソリッドモデルを構成する形状要素(立体、面、辺、及び頂点など)に対して属性情報を関連づけて記憶する機能を備える。このうち、ソリッドモデルの作成・編集機能は、従来から公知のソリッドモデラの機能と同様でよい。
【0021】
また、例えばソリッドモデルの形状要素に対する属性情報として、3次元CADシステム10は、その面の加工精度の情報を関連づけることができる。このような加工精度の情報の設定のために、3次元CADシステム10には加工精度情報入力UI(ユーザインタフェース)12が設けられている。この加工精度情報入力UI12は、例えば、製品形状を示すソリッドモデルを表示し、そのモデル上での面その他の形状要素の選択(この選択は例えばマウス操作による)をユーザから受け付け、選択された形状要素に対する寸法公差その他の各種加工精度を入力するための入力画面を表示してユーザの入力を受け付ける。
【0022】
モデル記憶部20には、3次元CADシステム10により作成・編集される製品モデル22が記憶される。製品モデル22は、図2に示すように、製品形状を示すソリッドモデル100と、そのソリッドモデルの各形状要素に対して関連づけられた属性情報とを含んでいる。図2の例では、ソリッドモデル100において、機械加工により形成されるべき面102に対し、加工面属性情報150が参照により関連づけられている例を示している。以下では、機械加工により形成される面のことを加工面と呼ぶ。加工面属性情報150の一例を図3に示す。この例では、加工面属性情報150は、当該加工面のID152,寸法情報154,加工精度情報156,工程制約条件158,及び加工工程情報160を含んでいる。加工面ID152は、当該加工面を一意に識別するための識別情報であり、3次元CADシステム10により付与される。寸法情報154は、当該加工面の寸法であり、例えば穴の場合は内径などといったように、加工面の形状種別に応じた寸法の値を含んでいる。加工精度情報156は、当該加工面の精度を示す情報であり、寸法公差や面粗度(表面粗さ)、位置度や同軸度などの各種公差情報を含んでいる。加工工程情報160は、使用する加工機や工具、切削条件(工具の送り速度や工具送りサイクルのパターンなど)など、当該加工面に対する加工工程の内容を規定する情報である。工程制約条件158は、そのような詳細な加工工程情報160の制約となる条件である。最終的な加工工程情報160は、この工程制約条件を満足するように決定される。例えば、「中精度の仕上げ加工機を使う必要がある」などといった条件が工程制約条件であり、これに対して具体的に使用する加工機の名称や、その加工機で加工する際の具体的な切削条件の値の集まりが加工工程情報である。
【0023】
また、位置度や同軸度など、基準となる他の形状要素に対する相対的な値として指定される公差については、その公差を守るためには、その基準の形状要素と当該加工部位とを同一の加工機で加工することが望ましい。したがって、「基準となる部位X(Xは該部位の識別情報)と同一の加工機で加工すべきである」という条件も工程制約条件の一種である。このような他の形状要素に対する相対的な値として指定される公差についての工程制約条件については、後述する工程設計支援システム30が自動的に検知し、当該加工部位の属性情報として設定することも可能である。
【0024】
3次元CADシステム10では、このような加工面属性情報150のうち、寸法情報154と加工精度情報156が設定される。一方、工程制約情報158や加工工程情報160は、工程設計支援システム30を用いた工程設計の段階で入力される。図3に例示した加工面属性情報150は、3次元CADシステム10における形状設計が完了した時の状態を示している。
【0025】
工程設計支援システム30は、3次元CADシステム10により作成された製品モデル22の情報を用いて、ユーザによる製品の機械加工工程の設計を支援する。このシステム30は、加工工程設計の支援のための情報として、製品モデル22のソリッドモデルや、そのソリッドモデル上でユーザが選択した面その他の形状要素に対して対応づけられた加工精度情報等の属性情報を表示する機能を備える。
【0026】
加工工程の設計では、最終的には、加工により形成される各加工面に対し、その加工面ごと(加工面を形成するのに複数の加工段階(粗加工、中仕上、仕上げなど)が必要な場合はそれら各段階ごと)に、その段階に用いる加工機や工具、切削条件などの加工工程情報160を決定する。しかしながら、設計者が製品モデル22を見てすぐにこのような詳細な加工工程情報160を矛盾無く設定するのは一般に困難なので、本実施形態の工程設計支援システム30は、このような詳細な加工工程情報の決定のための支援機能を備える。このような支援機能として、本実施形態の工程設計支援システム30は、加工精度に基づく検索機能や、工程制約条件158の設定とこれに基づくガイド機能を提供する。
【0027】
ユーザは、加工精度に基づく検索機能を用いることで、工程設計上注意すべき、高精度の加工を要する加工部位を抽出できる。そして、ユーザは、検索機能により抽出された加工部位に対し、その加工精度に応じた更に工程制約条件を設定することができ、この工程制約条件を参照しながら、詳細な加工工程情報を設定することができる。
【0028】
上記加工精度に基づく検索機能は、工程設計支援システム30の精度検索条件入力UI32と検索部34により提供される。精度検索条件入力UI32は、加工精度についての検索条件の入力のためのユーザインタフェース処理を行う機構である。このUI32が提供する検索条件入力画面については後述する。検索部34は、製品モデル22の各加工部位の中から、UI32を介して入力された検索条件を満足する加工精度情報を持つものを検索する。
【0029】
工程制約条件入力UI36は、ユーザから工程制約条件158の入力を受けるためのユーザインタフェース手段である。検索部34により検索された加工部位の情報は、工程制約条件入力UI36に与えられる。工程制約条件入力UI36は、検索された各加工部位をソリッドモデル上で表示したり、それら加工部位に対して設定されている加工精度情報156や寸法情報154などの属性情報を表示し、ユーザはこの表示を参照しながら、それら各加工部位に対する工程制約条件をUI36に入力する。入力された工程制約条件は、製品モデル22内の当該加工部位の加工面属性情報150に登録される。
【0030】
工程情報入力UI38は、ユーザから各加工部位への加工工程情報160の入力を受けるためのユーザインタフェース手段である。工程情報入力UI38は、工程制約条件158や加工精度情報156などを表示し、ユーザはそれらの表示を参照しながら、各加工部位に対する加工工程情報をこのUI38に入力する。入力された加工工程情報は、製品モデル22内の当該加工部位の加工面属性情報150に登録される。
【0031】
図4は、このシステムにおける製品設計から加工工程設計までの作業の流れを示す図である。
【0032】
この流れでは、まず製品設計の担当者が、3次元CADシステム10を用いて、製品の3次元形状を示すソリッドモデルを作成し、そのソリッドモデル内で機械加工により形成される加工部位に対し、加工精度情報入力UI12を用いて寸法公差等の加工精度情報を設定する(S10)。このようにして作成された製品モデル22(すなわち加工精度情報が属性として付加されたソリッドモデル)が、工程設計支援システム30に渡される。
【0033】
工程設計支援システム30では、まずこの製品モデル22に対し、工程制約条件を設定する(S20)。
【0034】
より詳しくは、まず工程設計者が、精度検索条件入力UI32を用い、注目すべき高精度加工部位を選び出すための検索条件を入力する(S22)。
【0035】
図5は、この精度検索条件入力UI32が提供する精度検索条件入力画面200の一例を模式的に示した図である。この例に示すように、条件入力画面200には、面粗度や真円度、真直度などといった各種公差・精度の種類ごとに、検索値204の入力欄が設けられている。検索値204は、対応する公差の値の上限値であり、検索処理では当該公差の値としてこの検索値204以下の値を持つ(すなわち検索値204より精度要求が厳しい)加工部位を検索することになる。各種類の公差に対応して設けられるチェックボックス202は、検索における調査対象とする公差を指定するためのものである。ユーザは、マウス等のポインティングデバイスを操作して、今回の検索処理で調査したい公差を選択し、クリック操作などによりチェックボックス202にマークを付す。初期値206は、ユーザが明示的に指定しなかった場合の検索値204の値(いわゆるデフォルト値)である。ユーザが検索値204の欄に数値入力を行わずにチェックボックス202にチェックマークを付した場合は、この初期値206が検索値204の欄に入力される。なお、図5の例では、各公差の検索値204をそれぞれ1つの検索条件として取り扱い、それら各条件ごとに、これを満たす加工部位を検索する。もちろんこれは一例であり、各公差についての条件をAND条件やOR条件として組み合わせたものを1つの検索件として検索したり、それら各条件をもっと複雑な論理式で組み合わせたものを検索条件としたりすることも可能である。この場合、条件入力画面200には、各公差に対する検索値204と、それら各公差についての条件の組合せ方を指定する入力欄を設ければよい。
【0036】
なお、図5に示した各種公差はあくまで一例であり、この他の種類の公差を検索条件として指定可能とすることもできる。
【0037】
このようなUIを用いて精度検索条件が設定されると、検索部34が製品モデル22の各形状要素に設定された属性情報を調べ、この条件を満足する加工精度情報を持つ加工部位(例えば加工面)を検索する。ここでは一例として、各公差の条件ごとに、その条件を満足するものを個別に検索するとする。例えば、図6に示すように、ソリッドモデル100内の面102(「加工面001」)が、面粗度12.5Z、真円度0.01、位置度φ0.1等の加工精度情報を有しているとすると、図5に示される検索条件で検索した場合、検索結果250では、面粗度、真円度、位置度などの各条件に対して、「加工面001」がそれぞれ該当部位として検索されることになる。この検索結果250の情報は、この後の工程制約条件入力UI36や工程情報入力UI38による入力処理のために一時保管される。
【0038】
検索部34による検索結果が得られると、工程制約条件入力UI36が起動される。このUI36の提供する入力画面上には、その検索結果に基づき、工程制約条件入力支援のためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)が表示され、ユーザはこのGUIを用いて工程制約条件を入力する(S24)。
【0039】
工程制約条件入力UI36は、図7の(a),(b)に示すような2つの入力支援画面を表示することができる。
【0040】
(a)は、検索部34による検索結果を一覧表示した画面である。この画面には、各行が各加工部位に割り当てられ、各列が各公差に割り当てられた検索結果テーブル300が示される。このテーブル300では、各加工部位において、検索条件に該当した公差の欄には、その検索条件に該当する旨を示すマーク302が表示される。図7の例では、例えば「加工面001」という加工部位は、面粗度、真円度、及び位置度が検索条件に該当する(すなわち検索値より厳しい公差値を持つ)ことが分かる。
【0041】
(b)は、製品モデル22中のソリッドモデル350を表示した画面である。ユーザが、この画面に表示されたソリッドモデル350上の所望の形状要素をマウス操作等で選択すると、工程制約条件入力UI36は、その形状要素の加工精度情報156のうち検索条件に該当した公差を表示する要注意精度表示画面360を表示する。図7は、選択された面352(「加工面001」)に対応する画面360が表示されている様子を示している。この画面360には、当該選択された部位についての、検索条件に該当する各公差の値が表示されると共に、それら各公差についての工程制約条件が設定済みであるか否かを示すためのチェックボックス362が表示される。
【0042】
この要注意精度表示画面360をマウス操作等により選択することで、当該加工部位に対応する工程制約条件の入力画面(図示省略)が表示される。ユーザは、画面360に表示された各公差の値などを見て、これを満足するために必要な工程制約条件をその入力画面に入力する。そして、ユーザは、画面360に表示された各公差のうち、入力を済ませた工程制約条件に対応する公差(すなわち、工程制約条件により満足される公差)のチェックボックス362に対し、マウス操作等によりチェックマークを記入する。これにより、当該加工部位において検索条件に該当した公差のうち、どれに対応する工程制約条件が入力済みか否かを把握することが可能になる。すなわち、工程制約条件入力UI36が提供するユーザインタフェース画面では、図8の(a)に示すように、入力された工程制約条件370に対応する公差のチェックボックス362にチェックマークが付される。この例では、ユーザが入力した「中精度仕上げ加工機」及び「荒加工・中仕上げ要」という条件は、画面360に示される公差のうち、面粗度と真円度の値を満たすための条件なので、ユーザはそれら2つの公差についてチェックボックスにチェックマークを付している。
【0043】
また、このように画面360上でチェックボックス362にチェックマークが付されると、検索結果テーブル300においても、図8の(b)に示すように、ユーザがチェックマークを付した公差に対応する欄に、工程制約条件が設定済みであることを示す所定のマーク304が表示される。工程制約条件が設定されていない加工部位と公差の組合せの欄は、マーク302のままである。ユーザは、このテーブル300により、どの加工部位のどの公差に対して、それを実現するための工程制約条件が設定済みであるかを一覧することができる。ユーザは、要注意精度表示画面360や、テーブル300を見ながら、検索されたすべての加工部位における、検索条件に該当するすべての公差について、工程制約条件設定済みのマークが付されるまで、設定作業を繰り返す。これにより、注意すべき高精度加工部位のすべてに対してもれなく工程制約条件を設定することができる。
【0044】
以上では、入力した工程制約条件に対応して、ユーザ自身が画面360の公差のチェックボックス362をチェックする構成を示したが、これはあくまで一例である。この逆に、ユーザがこの画面360の各公差のチェックボックス362をマウス操作等により選択することで、選択された公差に対応する工程制約条件の入力画面(図示省略)が表示されるようにしてもよい。この場合、その入力画面に対して工程制約条件が入力されて初めて、テーブル300の該当欄が設定済みのマーク304に変わる。
【0045】
工程制約条件入力UI36により入力する工程制約条件は、その利用の仕方に応じて様々な入力の仕方が可能である。
【0046】
例えば、工程制約条件を、ユーザが詳細な加工工程情報を決める際の参考情報として提供するだけであれば、工程制約条件は、ユーザが自由にテキストで入力すればよい。
【0047】
一方、工程設計支援システム30が、工程制約条件を利用して支援処理を実行する場合は、該システム30の条件解釈規則に従った工程制約条件を入力する必要がある。この場合は、例えば、工程制約条件入力UI36が、選択可能な工程制約条件のリスト(これはシステム30に予め登録されている)を表示し、ユーザがその中から所望のものをマウス操作等で選択するようにするなどの仕組みとすればよい。この場合、登録されている工程制約条件をすべて表示する代わりに、例えば、ユーザが選択した加工部位の寸法情報154や加工精度情報156などの属性情報に基づき、その加工部位に対応する条件を絞り込んで表示するようにすることも好適である。例えば、工程制約条件入力UI36が、加工精度情報156に示される各公差の値を満足できる工程制約条件を選び出し、選択肢として表示するなどである。この場合、工程制約条件の選択肢は、各公差ごと提示することも好適である。
【0048】
以上の工程制約条件入力UI36により、ユーザは、検索部34で検索された各加工部位に対し、その加工部位の加工精度情報を画面360により確認しながら、工程制約条件を入力することができる。
【0049】
なお、この工程制約条件の入力をより容易にする仕組みとして、例えば図7(b)のソリッドモデル350の画面にて、ソリッドモデル350の形状要素のうち検索部34で検索された加工部位を、他の部位とは異なる表示形態で表示する仕組みを用いることができる。例えば表示色を変えるなどである。これにより、検索された加工部位をユーザに分かりやすく表示することができる。ユーザは、表示形態の違いにより検索された加工部位を容易に識別することができ、その部位をマウス操作等で選択して工程制約条件を入力することができる。
【0050】
また工程制約条件入力支援の別の仕組みとして、図7の(a)の検索結果テーブル300上でユーザが所望の加工部位の識別情報をマウス操作等で選択することで、工程制約条件の入力対象を選択こともできる。この場合、テーブル300上で選択された加工部位が、(b)の画面でも選択状態となり、これに対応する要注意精度表示画面360が表示される。例えば、テーブル300で「加工面001」を選択すると、ソリッドモデル350上の面352が選択状態となる。
【0051】
またこの仕組みの変形として、(a)のテーブル300にて、所望の公差をマウス操作等で選択することで、その公差に関する検索条件を満足する加工部位を一括して選択状態とすることもできる。例えば、「面粗度」を選択すると、「加工面001」、「加工面002」が一括選択され、それらが(b)の画面上でも選択状態となり、それら選択状態の各加工部位についてそれぞれ要注意精度表示画面360が表示される。ユーザは、それら選択状態の加工部位の画面360の名から、所望のものを順に選んで工程制約条件を入力していく。
【0052】
以上のようにして、検索結果の各加工部位に対し、ユーザが工程制約条件の設定を終えると、次に工程設計者は、工程情報入力UI38を用いて各加工部位の加工工程情報160を入力する(図4のS30)。工程情報入力UI38も、例えば、工程制約条件入力UI36と同様、図7(b)に似た、ソリッドモデル350を表示したUI画面を表示する。ユーザが、この画面上で加工部位に該当する形状要素を選択すると、その形状要素に対する加工工程情報160の入力画面が表示される。このとき、工程情報入力UI38は、加工工程情報160の入力支援のため、その加工部位の属性情報に含まれる工程制約条件158を表示する。ユーザは、これを見ながら、その工程制約条件158を満足するように加工工程情報160を入力する。また、このとき、当該加工部位の加工精度情報156を併せて表示するようにすることも好適である。
【0053】
この入力作業の際、ソリッドモデル350の表示上で、工程制約条件が設定された加工部位を他の部位とは異なる表示形態で表示することで、工程制約条件が設定されている(すなわち精度要件が厳しい)加工部位から先に加工工程の詳細を決定していくといった作業の流れが可能になり、妥当な工程設計を効率よく行うことができる。また、このとき工程制約条件が設定された加工部位のリストを表示し、このリスト上から加工工程情報の入力対象を指定できるようにすることでも、同様のことが可能になる。
【0054】
また、このような加工工程情報の入力作業の際、ユーザが加工部位に対して入力した加工工程情報が、その加工部位の工程制約条件を満足するかを工程設計支援システム30が検査し、その結果をユーザに通知する仕組みを採用することも好適である。例えば、検査の結果、入力が工程制約条件を満足しない場合、その旨のメッセージを画面表示するなどである。この仕組みのためには、例えば、加工精度情報内に記述される使用加工機や使用工具、切削条件値ごとに、それら個々の加工機等が満足する工程制約条件をテーブルに登録するなどすればよい。検査の際には、ユーザが入力した加工工程情報に対応する加工機等をこのテーブルから検索し、そこに示される工程制約条件と、当該加工部位に対して設定された工程制約条件とを比較すればよい。この仕組みによれば、工程制約を満足しない加工工程情報が設定されるのを防止することができる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、ソリッドモデルに付加された加工精度情報に対する検索を可能とすることで、注目すべき精度が指定された加工部位を検索し、そのような部位に重点を置いた工程設計を行うことが可能になる。
【0056】
また本実施形態では、各加工部位に対して詳細な加工工程情報を直接指定するのではなく、いったん工程制約条件を設定するステップを設け、この工程制約条件を満足するように詳細な加工工程情報が指定できるようにしたので、ユーザは工程の要件を段階的に詳細化でき、詳細な加工工程情報の設定がしやすくなる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明した。以上では、精度要件が厳しい加工部位を抽出するために、加工精度情報に対する検索条件として、公差の上限値をしたが、これは一例である。この代わりに、公差の下限や、公差の範囲(上限と下限)などを指定できるようにしてもよい。これによれば、例えばある加工機で加工できる加工部位をすべて抽出したい場合に、その加工機で加工できる公差の下限(すなわち、対応可能な最高の精度)を入力して検索するなどの処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る設計支援システムの構成を示す図である。
【図2】製品モデルを説明するための図である。
【図3】加工面属性情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】実施形態のシステムにおける製品設計から加工工程設計までの作業の流れを示す図である。
【図5】精度検索条件入力UIが提供する条件入力画面の一例を模式的に示す図である。
【図6】精度検索条件による検索処理の一例を説明するための図である。
【図7】工程制約条件入力UIが提供する入力支援画面の例を模式的に示す図である。
【図8】工程制約条件入力UIの入力支援画面において、工程制約条件を入力した結果を示す表示の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 3次元CADシステム、12 加工精度情報入力UI(ユーザインタフェース)、20 モデル記憶部、22 製品モデル、30 工程設計支援システム、32 精度検索条件入力UI、34 検索部、36 工程制約条件入力UI、38 工程情報入力UI。
Claims (8)
- 各加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る読み取り手段と、
ユーザから加工精度に関する検索条件の入力を受ける検索条件入力手段と、
前記3次元形状モデルの各加工部位に対して登録された加工精度情報を調べ、前記検索条件を満足する加工部位を検索する検索手段と、
前記検索手段で検索した加工部位をユーザに表示し、該加工部位を加工するための加工工程に関連する加工工程関連情報の入力をユーザから受け、入力された加工工程関連情報を該加工部位に対応づけて記憶する工程情報入力手段と、
を備える工程設計支援装置。 - 前記工程情報入力手段は、前記検索手段で検索した加工部位に対応づけて、その加工部位が前記検索条件におけるどの種類の加工精度に関する条件に該当するかを表示することを特徴とする請求項1記載の工程設計支援装置。
- 前記工程情報入力手段は、前記加工工程関連情報として、前記検索された加工部位を加工する加工工程が満たすべき条件を含む工程制約条件の入力を受けることを特徴とする請求項1記載の工程設計支援装置。
- 前記工程情報入力手段は、前記検索手段で検索された各加工部位ごとに、工程制約条件の入力状況を一覧表示する入力状況表示手段を更に備える請求項3記載の工程設計支援装置。
- 前記3次元形状モデルの各加工部位についての加工工程情報の指定をユーザから受ける手段であって、この指定のための支援として、ユーザが選択した加工部位に対応する前記工程制約条件を表示する手段を更に備える請求項3記載の工程設計支援装置。
- 各加工部位の加工のためにユーザが指定した各加工工程情報が前記工程制約条件を満足するか否かを検査し、検査結果を出力する手段を更に備える請求項3記載の工程設計支援装置。
- 加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る手段と、
加工部位に対応する加工精度情報を読み取り、その加工精度情報が他の加工部位との関係における精度を規定するものである場合は、前記加工部位と前記他の加工部位が同一の加工機で加工されるべきであることを示す工程制約条件をそれら加工部位に対応づけて記憶する手段と、
を備える工程設計支援装置。 - コンピュータシステムを、
加工部位に対応する加工精度情報が登録された3次元形状モデルを読み取る読み取り手段、
ユーザから加工精度情報に関する検索条件の入力を受ける検索条件入力手段、
前記3次元形状モデルの各加工部位に対して登録された加工精度情報を調べ、前記検索条件を満足する加工部位を検索する検索手段、
前記検索手段で検索した加工部位をユーザに表示し、該加工部位を加工するための加工工程に関連する加工工程関連情報の入力をユーザから受け、入力された加工工程関連情報を該加工部位に対応づけて記憶する工程情報入力手段、
として機能させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003076057A JP2004287577A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 工程設計支援装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003076057A JP2004287577A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 工程設計支援装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004287577A true JP2004287577A (ja) | 2004-10-14 |
Family
ID=33291205
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003076057A Withdrawn JP2004287577A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 工程設計支援装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004287577A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7203561B2 (en) | 2004-11-11 | 2007-04-10 | Omron Corporation | Information processing device, operation state management device, information processing method, program, and computer-readable storage medium storing program |
JP2012181751A (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-20 | Toyota Motor Corp | 設計支援装置および設計支援方法 |
CN113168655A (zh) * | 2018-11-28 | 2021-07-23 | 昭和电工株式会社 | 技术预测装置、方法、以及程序 |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003076057A patent/JP2004287577A/ja not_active Withdrawn
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US7203561B2 (en) | 2004-11-11 | 2007-04-10 | Omron Corporation | Information processing device, operation state management device, information processing method, program, and computer-readable storage medium storing program |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051021 |
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