JP2004279445A - 印刷システム、属性情報生成装置、ラスタライズ処理装置、検版装置、印刷データの検版方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】検版対象となった画像データにおいて異なる特徴を有する画像領域ごとに、異なる条件で検版処理を行うことができる印刷システムを提供する。
【解決手段】RIP処理装置において、PDF形式で記述された入稿データにおいてレイアウトされている各オブジェクトの配置情報を取得し、初期属性情報を生成する。検版装置においては、初期属性情報を検版対象画像に応じて変換して属性情報を生成し、該属性情報を反映した検版パラメータを設定する。検版時は、対象画像データの中で検版処理したい領域を、画像要素の属性ごとに指定する。これにより、異なる属性の画像領域が混在していても、それぞれの画像領域毎に最適な検版処理を実行することができ、対象画像データDOの全体として、一度の検版処理で有意な検版結果を効率的に取得することができる。
【選択図】 図7
【解決手段】RIP処理装置において、PDF形式で記述された入稿データにおいてレイアウトされている各オブジェクトの配置情報を取得し、初期属性情報を生成する。検版装置においては、初期属性情報を検版対象画像に応じて変換して属性情報を生成し、該属性情報を反映した検版パラメータを設定する。検版時は、対象画像データの中で検版処理したい領域を、画像要素の属性ごとに指定する。これにより、異なる属性の画像領域が混在していても、それぞれの画像領域毎に最適な検版処理を実行することができ、対象画像データDOの全体として、一度の検版処理で有意な検版結果を効率的に取得することができる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷ワークフローのなかで行われる検版処理、特にデジタル検版に係る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
検版とは、一般に、印刷ワークフローにおいて、製版フィルムや刷版を作成する前に、その作成元である版下やフィルム等に誤りがないか調べる作業のこというが、最近では、DTP技術の進歩により、いずれもRIP処理(ラスタライズ処理)されている初校時の印刷データと再校時の印刷データとをディスプレイ画面上で画素単位で比較し、個々の画素の色濃度(階調値)の差分値などを検出することで、色校正をも合わせて行うデジタル検版を行う装置も公知である。RIP処理された印刷データから直接に製版を行うCTP(Computer To Plate)や、あるいは直接に印刷物を作成するデジタル印刷が一般的なワークフローとなった昨今では、デジタル検版処理の重要性がさらに増している。
【0003】
印刷データには、一般に、「文字領域」「絵柄領域」「チント/グラデーション領域」などが混在し、これらの領域は、画像特微量、具体的には、印刷データを構成する画像中に含まれる「エッジ成分」「各版の階調レベル」「明度」「色相」など、画像処理により抽出可能な量に現れる特徴が互いに異なる。また、これらの領域に対する人間の視覚的な特性、つまりは違いに対する検出力(鋭敏さ)にも違いがある。例えば、文字領域ではエッジの色味の相異はあまり問題とならず、これを許容しても問題は少ないのに対して、緩やかなグラデーションを有する絵柄領域ではわずかな色味の違いが目立つので、厳密な色濃度の同一性が要求される、などということが検版処理において頻出する。
【0004】
よって、検版処理をより実効的なものとするには、それぞれの領域が有する特徴に合致した処理条件で検版処理を行い、それぞれの領域に応じた基準でその結果を判定することがより好ましい。
【0005】
このように、文字領域や絵柄領域などが混在する印刷データについて、絵柄領域を特定して、検版を行うデジタル検版装置は、すでに公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−8868号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のデジタル検版装置は、絵柄領域か否かについて判定を行うことはできるが、文字領域やチント/グラデーション領域について特定する技術は開示されていない。また、領域ごとに異なる条件で検版処理を行う技術についても開示されていない。すなわち、特許文献1に記載のデジタル検版装置による検版処理では、画像特徴の大きく異なる「文字領域」、「絵柄領域」、「チント/グラデーション領域」などを同じ処理条件で処理しなければならず、有効な検版結果が得られないという問題があった。あるいは、同じ印刷データに対して、異なる処理条件で複数回の検版を行い、それらの結果を総合的に判断する作業が必要となり、効率的ではなかった。
【0008】
また、特許文献1に記載のデジタル検版装置が領域の判定の対象とするのは、ラスタライズ処理後のデータのみであり、刷版に形成された刷版画像や、出力された印刷物は対象となっていなかった。そのため、これらを対象とする検版に際しては、領域を特定することはできなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ワークフローの各段階で検版対象となった画像データを構成するそれぞれの構成要素の種別と、正確な配置位置とを取得することを目的とする。特に、これら構成要素の種別と正確な配置位置とに基づいて、異なる特徴を有する画像領域ごとに、異なる条件で検版処理を行うことができる印刷システムおよびその関連技術を提供することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、(a)レイアウトデータをラスタライズ処理して出力用画像データを生成するラスタライズ処理装置であって、(a−1)前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む第1の属性情報を生成する属性情報生成手段、を備えるラスタライズ処理装置と、(b)前記出力用画像データあるいは前記出力用画像データに基づく処理プロセス中で得られる画像データである検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データとを相互に比較して検版を行う検版装置であって、(b−1)前記第1の属性情報に基づいて、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての第2の属性情報を生成する属性情報処理手段、を備える検版装置と、を備え、前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の印刷システムであって、前記属性情報処理手段が、前記第1の属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記第2の属性情報を生成する座標変換手段、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の印刷システムであって、前記検版装置が、検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、前記検版パラメータ設定手段が、前記領域についての前記検版パラメータを、前記第2の属性情報に基づいて定めることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の印刷システムであって、前記検版装置が、前記検版パラメータをあらかじめ格納する検版パラメータデータベース、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む属性情報を生成する。
【0016】
また、請求項7の発明は、レイアウトデータをラスタライズ処理して出力用画像データを生成するラスタライズ処理装置であって、前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む属性情報を生成する属性情報生成手段、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8の発明は、印刷用画像データの処理プロセス中で得られる検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データとを相互に比較して検版を行う検版装置であって、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての属性情報を生成する属性情報処理手段、を備え、前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の検版装置であって、前記属性情報処理手段が、所定の初期属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記属性情報を生成する座標変換手段、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載の検版装置であって、検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11の発明は、請求項10に記載の検版装置であって、前記検版パラメータ設定手段が、前記領域についての前記検版パラメータを、前記属性情報に基づいて定める、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の検版装置であって、前記検版パラメータをあらかじめ格納する検版パラメータデータベース、をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項13の発明は、レイアウトデータをラスタライズ処理することにより得られる出力用画像データあるいは前記出力用画像データの処理プロセス中で得られる画像データである検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データと、を相互に比較して検版を行う印刷データの検版方法であって、前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む第1の属性情報を生成する属性情報生成工程と、前記第1の属性情報に基づいて、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての第2の属性情報を生成する属性情報処理工程と、を備え、前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14の発明は、請求項13に記載の検版方法であって、前記属性情報処理工程が、前記第1の属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記第2の属性情報を生成する座標変換工程、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、請求項15の発明は、請求項13または請求項14のいずれかに記載の検版方法であって、検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定工程、をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
また、請求項16の発明は、請求項15に記載の検版方法であって、前記検版パラメータ設定工程において、前記領域についての前記検版パラメータを、前記第2の属性情報に基づいて定めることを特徴とする。
【0026】
また、請求項17の発明は、請求項16に記載の検版方法であって、前記検版パラメータがあらかじめ所定の検版パラメータデータベースに格納されていることを特徴とする。
【0027】
また、請求項18の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項6に記載の属性情報生成装置として機能させることを特徴とする。
【0028】
また、請求項19の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項7に記載のラスタライズ処理装置として機能させることを特徴とする。
【0029】
また、請求項20の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項8ないし請求項12のいずれかに記載の検版装置として機能させることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る検版装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。印刷システム100は、検版装置1とレイアウト処理装置2と、製版装置3と出力装置4と、RIP処理装置50と、を主として備え、例えばLAN(Local Area Network)などのネットワークNを介して、これらの装置が互いに電気的に接続されているシステムであり、印刷データの作成から、製版、出力までの印刷の一連のワークフローを担うシステムである。
【0031】
検版装置1は、指示された校正の内容が校正データに正しく反映されているか、あるいは、校正データや刷版、さらには実際の印刷物などにおいて、元データとの間で予期せぬ相違点が生じていないか、などをチェックすることを目的として、検版の対象画像と、基準画像とを比較して、その差異の有無を抽出する装置である。
【0032】
レイアウト処理装置2は、印刷画像における文字組版や画像配置等のレイアウト処理を行う装置である。レイアウトデータは、例えばPDF(Portable Document Format)形式などのページ記述言語にて記述される。
【0033】
RIP処理装置50は、レイアウトデータ(入稿データ)をネットワークNを介して受け取り、これをRIP処理(ラスタライズ処理)して、多階調の画像データを生成する処理を担う。また、RIP処理装置50は、同一のレイアウトデータから、使用する目的に応じた種々の解像度の画像データを生成することが可能である。例えば、検版用には400dpi程度の粗い解像度の多階調の画像データを生成し、出力用には2400dpiの高解像度網点化画像データを生成する、などといった対応が可能である。
【0034】
製版装置3は、網点化画像データに基づいて、例えば、版材上にレーザ露光によって印刷画像を形成することで刷版を作成する装置、いわゆるCTP装置である。なお、網点化画像データに基づいていったんイメージセッタにより製版フィルムを作成した後、該製版フィルムを用いて刷版を作成する態様であってもよい。この場合、製版装置3にはイメージセッタを含むものとする。
【0035】
出力装置4は、製版装置3において作成された刷版を用いて、印刷用紙に印刷を行う装置である。あるいは、網点化画像データから直接に印刷用紙に出力を行う、デジタル出力を行う装置であってもよい。
【0036】
RIP処理装置50においては、レイアウトデータ(入稿データ)をネットワークNを介して受け取る代わりに、例えばMOドライブやCD−R/RWドライブなどからなるメディアリーダ/ライタ55を備えており、MO(光磁気ディスク)やCD−R/RWなどの種々の可搬性の記録媒体にいったん記録されたレイアウトデータを読み取ってこれをRIP処理する態様であってもよい。RIP処理後の画像データが、検版など、後段のワークフローに供される。なお、レイアウト処理装置2の機能が、RIP処理装置50に備わる態様であってもよい。あるいは、検版装置1がRIP処理装置50の機能を備え、検版装置1において該レイアウトデータのRIP処理を行った後、引き続いて検版処理を行う態様であってもよい。
【0037】
検版装置1においても、例えば、RIP処理装置50において作成されたRIP処理済の画像データ(出力用画像データ)をネットワークNを介して受け取り、これを検版処理する態様であってもよいし、あるいは、例えばMOドライブやCD−R/RWドライブなどからなるメディアリーダ/ライタ5を備えており、MO(光磁気ディスク)やCD−R/RWなどの種々の可搬性の記録媒体にいったん記録された画像データを読み取ってこれを検版処理する態様であってもよい。
【0038】
また、ネットワークNにイメージスキャナ6が接続されている場合、該イメージスキャナ6によって、刷版や製版フィルム、あるいは出力装置4において出力された印刷物をスキャンすることにより、直接に画像データを取得し、これを検版処理に供する態様であってもよい。
【0039】
検版装置1およびRIP処理装置50は、いずれもコンピュータによって実現されるものである。すなわち、検版装置1およびRIP処理装置50には、それぞれ、オペレータが各種の指示を入力するためのマウスやキーボードなどからなる操作部7あるいは57、ディスプレイ等の表示部8あるいは58、ハードディスクなどにより構成され、それぞれのコンピュータを検版装置1あるいはRIP処理装置50として機能させるためのプログラム9pあるいは59pなどを保存するための記憶部9あるいは59、メディアリーダ/ライタ5あるいは55を通じて種々の可搬性の記録媒体との間でデータのリード/ライトを行うためのR/W部10あるいは60、ネットワークN上の他の装置との間でデータの受け渡しを行うためのインターフェースとしての通信部11あるいは61、CPU12aあるいは62a、ROM12bあるいは62b、およびRAM12cあるいは62cから構成され、後述する各機能を実現する制御部12あるいは62が主として備わっている。
【0040】
なお、検版装置1およびRIP処理装置50においては、操作部7あるいは57を通じた操作内容や、種々の処理についての処理状況などを表示部8あるいは58にて表示させつつ処理を行うことができる、いわゆるGUI(Graphical User Interface)が、検版装置1においては制御部12、操作部7、表示部8の機能により、RIP処理装置50においては制御部62、操作部57、表示部58の機能により、それぞれ実現されている。制御部12あるいは62に実現される後述する各部における処理も、それぞれのGUIを用いて行われる。
【0041】
図2は、RIP処理装置50の制御部62において実現される機能を説明するための図である。RIP処理装置50は、画像取得部51と、RIP処理部52と、属性情報生成部53とを主として備える。
【0042】
画像取得部51は、RIP処理装置50のオペレータによる、操作部57および表示部58を介した指示に従って、RIP処理の対象となる例えばPDF形式の入稿データDDを取得する。また、好ましくは、画像取得部51において、レイアウトに用いられているフォントが出力に適したフォントであるか、画像の解像度が適切かなど、入稿データDDが出力に適したデータであるか否かをチェックするいわゆるプリフライトチェックも行われる。
【0043】
RIP処理部52は、入稿データDDに基づいて、所定のRIP処理条件にてRIP処理を行う。RIP処理により、所定の解像度を有する出力用画像データDPが生成される。なお、本実施の形態では、製版装置3における刷版生成用のデータ(例えば各色版用の分版出力データ)のみならず、検版処理用に別途RIP処理された画像データをも含めて、出力用画像データDPと称することとする。RIP処理については、公知の技術を適用可能である。
【0044】
属性情報生成部53は、入稿データDDの記述内容に基づいて、当該入稿データDDにて与えられる印刷物のレイアウトに用いられる文字、線画などのオブジェクトの配置位置および大きさについての情報(配置情報と称する)を抽出し、初期属性情報AI0を生成する。なお、本実施の形態において、属性とは、入稿データDDにおけるそれぞれのオブジェクトの種別、及び検版処理に供される画像データにおける文字、線画、絵柄などの画像要素の種別を意味するものとする。初期属性情報AI0の生成については、後述する。初期属性情報AI0は、出力用画像データDPが検版装置1における検版処理に供される際に、これに付随して検版装置1に受け渡される。あるいは、ネットワークN上に備わる図示しない所定のデータベースに記憶される態様でもよい。なお、属性情報生成部53の機能を、RIP処理装置50とは別体の属性情報生成装置により実現する態様でもよい。この場合、属性情報生成装置もRIP処理装置50と同様にコンピュータによって実現され、所定のプログラムが実行されることによって、上記と同様の作用を得ることができる。
【0045】
図3は、検版装置1の制御部12において実現される機能を説明するための図である。検版装置1の制御部12においては、記憶部9に記憶されている所定のプログラム9pが、CPU12a、ROM12b、およびRAM12cによって実行されることにより、画像取得部21と、属性情報処理部22と、画像比較部23と、結果判定部24と、検版パラメータ設定部25とが主として実現される。また、記憶部9には、比較パラメータP2、判定パラメータP3などを格納するパラメータデータベースDBPが実現される。
【0046】
画像取得部21は、検版装置のオペレータによる、操作部7および表示部8を介した指示に従って、検版の対象となる対象画像データDOと、検版の基準となる基準画像データDSとを取得する。どのような画像データが対象画像データDOおよび基準画像データDSとなるのかは、検版処理の目的によって異なる。例えば、RIP処理装置50におけるRIP処理結果をチェックすることを目的とする検版処理の場合、例えば初校として入稿された入稿データDDから得られる出力用画像データDPが基準画像データDSであり、初校の結果に基づいて修正等が施された再校時の入稿データDDから得られる出力用画像データDPが対象画像データDOとなる。あるいは、出力用画像データDPを用いて、図示しない校正用出力装置にて得られる校正刷り結果をイメージスキャナ6にて読み取って得られる画像データを対象画像データDOとし、当該出力用画像データDPを基準画像データDSとして検版処理する態様でもよい。また、刷版に形成された画像の検版を目的とする場合であれば、再校時の刷版からイメージスキャナ6により刷版画像を読み取ることにより得られる刷版画像データが対象画像データDOであり、基準画像データDSとしては、初校時の刷版画像データか、あるいは初校時の出力用画像データDPを用いることができる。同様に、出力された印刷物の検査を目的とする検版処理の場合も、校正後の印刷物をイメージスキャナ6により刷版画像を読み取ることにより、対象画像データDOが得られ、校正前の印刷物または刷版から得られる画像データ、あるいは出力用画像データDPが基準画像データDSとなる。
【0047】
いずれにせよ、対象画像データDOおよび基準画像データDSはそれぞれ、あらかじめRIP処理装置50からネットワークNを通じて取得され、記憶部9に記憶されているものが取得される態様でもよいし、記録媒体に記録されているものをメディアリーダ/ライタ5を通じて読み込む態様でもよい。
【0048】
属性情報処理部22は、ネットワークNを介して初期属性情報AI0を取得し、これに基づいて属性情報AIを生成する処理を担う。初期属性情報AI0としては、基準画像データDSについてRIP処理を行った際に得られたものを用いてもよいし、対象画像データDOについてRIP処理を行った際に得られたものを用いてもよい。初期属性情報AI0においては、入稿データDDの解像度およびレイアウトサイズに基づいてそれぞれのオブジェクトの配置情報が記述されているが、入稿データDDにおける解像度やレイアウトサイズと、検版の対象となる画像データである対象画像データDOにおける解像度やレイアウトサイズが異なることがある。つまりは、両者の座標系における単位量が異なることがある。その場合には、検版処理に際して初期属性情報AI0をそのまま用いることができない。本実施の形態では、属性情報処理部22が、初期属性情報AI0におけるオブジェクトの配置情報等についての座標値を対象画像データDOに応じてアフィン変換することなどにより属性情報AIを生成し、該属性情報AIを検版処理に用いる。すなわち、属性情報処理部22は、属性情報を得るための座標変換手段としても作用するものである。
【0049】
検版パラメータ設定部25は、属性情報AIに基づいて、および検版対象となる画像データの種類に基づいて、画像比較部23における処理に際し用いられる比較パラメータP2、結果判定部24における処理に際し用いられる判定パラメータP3(これらをまとめて検版パラメータと称する)を各オブジェクトごとに設定する処理を担う。その際には、例えば記憶部9に備わるパラメータデータベースDBPに記憶されている、属性情報AIと検版パラメータとの関連付けデータに基づき設定される。例えば、刷版画像が検版対象の場合、刷版画像そのものは単色データであって、イメージスキャナ6よる読み取りの際に網点の読み取り精度が十分得られないことがあるので、絵柄属性における階調マージン量(後述する)を他の場合より大きめとするように判定パラメータP3が設定される。また、印刷物が検版対象の場合、印刷における印刷用紙の送り速度のばらつきに起因して文字の位置ばらつきが生じることがあるので、文字属性におけるゆすらせ画素範囲(後述する)を他の場合より大きめとするように比較パラメータP2が設定される。なお、オペレータが操作部7および表示部8を介して、検版パラメータを設定または修正する態様でもよい。
【0050】
画像比較部23は、対象画像データDOと基準画像データDSとの対応する画素ごとに、その画素が属するオブジェクトの属性情報AIに応じて与えられている比較パラメータP2に従って、階調値の差を算出する処理を行い、比較結果データDCを生成する。比較パラメータP2の設定内容次第では、あらかじめゆすらせ処理を行ったうえで比較演算を行い、演算条件の異なる複数の比較結果データDCを同時に生成することもできる。なお、ゆすらせ処理とは、対象画像データにおける線画や絵柄画像の配置位置が、基準画像データにおける配置位置からずれている、いわゆる画素ズレを起こしている場合でも、どちらかの画像データの配置位置を仮想的にずらして(平行移動させて)、両画像データの比較を行なうことで、画素ズレをキャンセルして、本来の差分値等を検出する方法である。この場合、ゆすらせ処理のゆすらせ画素範囲の設定などが比較パラメータP2として与えられる。また、画像比較部23においては、操作部7および表示部8を介したオペレータの指示に応じて、特定の属性情報AIを有する領域のみについて選択的に比較演算処理を行うこともできる。
【0051】
結果判定部24は、判定パラメータP3として設定された判定基準に従って、比較結果データDCとして得られた差分値が、検版処理の目的からみて有意なものかどうか、などの判定を行い、その結果、最終的な検版結果データDIを生成する。例えば、有意差ある差分値の下限値である階調マージン量や、0でない差分値がごく小さな画素範囲にのみ孤立して存在する場合に、これを不要な孤立点であるとして除去する際の基準となる孤立点除去量などが、判定パラメータP3として設定される。本実施の形態においては、判定パラメータP3はオブジェクトごとに設定されているので、各オブジェクトの特徴に適した基準で、結果の判定が行われることになる。
【0052】
<属性分析処理>
本実施の形態においては、RIP処理装置50において入稿データDDに基づき行われる属性分析の結果に基づいて、検版装置1における検版処理が行われる。そこで、検版処理の説明に先立ち、属性分析について説明する。
【0053】
図4は、本実施の形態に係るRIP処理装置50における属性分析に係る処理の流れを示す図である。まず、RIP処理装置50のオペレータが、操作部57を通じてRIP処理に供する入稿データDDが指定(ステップS1)される。入稿データDDはあらかじめ記憶部59に格納されていてもよいし、メディアリーダ/ライタ55において所定の記録媒体から読み取り可能とされていてもよい。
【0054】
入稿データDDが読み取られると、RIP処理部52の作用によりRIP処理がなされるとともに、属性情報生成部53の作用によって、入稿データDDのレイアウトを構成する各オブジェクトについて属性分析が行われる(ステップS2)。
【0055】
図5は入稿データDDの例示としての入稿データDD1を示す図である。入稿データDD1においては、文字オブジェクトOBJ1およびOBJ2、線画オブジェクトOBJ3、グラデーションオブジェクトOBJ4(ただし図示の都合上斜線にて表示)、絵柄オブジェクトOBJ5がレイアウトされている。また、文字オブジェクトOBJ2の部分以外は、地色がチントとなっており、これも1つのチントオブジェクトOBJ6と見なすことができる。換言すれば、文字オブジェクトOBJ1、線画オブジェクトOBJ3、グラデーションオブジェクトOBJ4、および絵柄オブジェクトOBJ5は、チントオブジェクトOBJ6上に重ねて配置されているといえる。属性情報生成部53は、これらのオブジェクトについて、例えば、左下端を原点位置とした配置情報を取得する。
【0056】
図6は、入稿データDDが例えばPDF形式で記述されているデータである場合の、そのデータ内容の一部を例示的に示す図である。PDF形式の場合、オブジェクトそのものの内容は、当該オブジェクトの種類に応じて、テキスト形式あるいはバイナリ形式のいずれかで記述されているが、オブジェクトのレイアウト情報など、データ構造を示す情報は所定の文法に則ってテキスト形式で記述されているので、属性情報生成部53は、その記述内容に応じて、入稿データDDに含まれるオブジェクトを識別し、それぞれのオブジェクトについての配置情報を取得することができる。例えば、図6(a)は、「ABCDE」なる文字列すなわち文字オブジェクトが、別途規定された所定のフォントで、(72、360)なる座標位置を始点として36ポイントにて配置されることを示している。図6(b)は、(216、288)なる座標位置を始点として、12/72=1/6ポイントを1単位として、下底が15ポイント、上底が12−3=9ポイント、高さが11ポイントの塗りつぶされた台形、つまりは絵柄オブジェクトが配置されることを示している。図6(c)は、ベジェ曲線によって、(360、360)なる座標位置を始点として、長さ30単位の長軸を水平方向に、長さ20単位の短軸を垂直方向に有する楕円、つまりは線画オブジェクトが配置されることを示している。その他、種々のオブジェクトについても、同様に、文法に則った記述により配置されることになるので、属性情報生成部53は、こうした記述内容に基づいて、各オブジェクトの配置情報を取得する。
【0057】
その結果、属性情報生成部53において、取得された各オブジェクトの配置情報と、取得元となった入稿データDDを識別する識別情報と、あるいはさらにその入稿データDDが何版目のデータであるかを示す版数を管理する版数情報をも含む初期属性情報AI0が所定のフォーマットにて生成される(ステップS3)。例えば、あるオブジェクトの識別番号をa、当該オブジェクトの属性に対応する属性フラグFA(後述する)をb、入稿データの版数をc、当該オブジェクトの配置情報を座標(x,y)の関数P(x、y)とすると、各オブジェクトについて、(a,b,c,P(x、y))などといったフォーマットで初期属性情報AI0は記述される。
【0058】
初期属性情報AI0は、RIP処理により得られた出力用画像データDPに付随して、検版装置1あるいは所定のデータベースに受け渡されることになる。
【0059】
<検版処理>
図7は、本実施の形態に係る検版装置1における処理の流れを示す図である。本実施の形態においては、検版装置1における検版の対象となるデータは、様々であるが、用いるデータは異なっても、検版処理そのものの内容については、同じであるので、以下、主として、初校の入稿データDDから得られる出力用画像データDPを基準画像データDSとして、再校の入稿データDDから得られる出力用画像データDPを対象画像データDOとして検版処理を行う場合を例に説明する。
【0060】
まず、検版装置のオペレータが、操作部7を通じて検版処理に供する対象画像データDOおよび基準画像データDSの指定(ステップS11)を行うと、画像取得部21の作用に基づいて、これらの画像データのRAM12cへの読み込み(ステップS12)が行われる。なお、対象画像データDOあるいは基準画像データDSが網点化画像データの場合は、読み込みに際して、これを多値階調の画像データに変換するデスクリーニング処理が行われる。デスクリーニング処理については、公知の技術が適用可能である。
【0061】
次に、属性情報処理部22の作用により、所定の初期属性情報AI0が取得され(ステップS13)、座標値のアフィン変換などによって、検版処理にて利用可能な属性情報AIへと変換される(ステップS14)。この変換によって得られた属性情報AIは、検版の対象となる対象画像データDOあるいは基準画像データDSにおいて配置されている文字、線画、絵柄などの画像要素の配置情報に相当することになる。すなわち、本実施の形態の場合、それぞれの画像要素は、入稿データDDにおいて配置された各オブジェクトに由来するものであり、入稿データDDの記述内容から各オブジェクトの正確な配置情報は取得できるので、該入稿データDDから得られる初期属性情報AI0さらには属性情報AIが、そのまま画像要素の正確な配置情報として利用できるという利点がある。
【0062】
なお、変換の対象とする初期属性情報AI0には、検版の目的・対象に鑑みて適したもの用いるのが好ましい。例えば、RIP処理により得られる出力用画像データDPが検版の対象画像データDOとなる場合には、出力用画像データDPに付随して受け渡される初期属性情報AI0を用いることができるが、例えば、再校時の検版であって、オブジェクトの配置について修正・変更がない場合などであれば、初校時に取得された後、検版装置1ないしは図示しないデータベースに記憶されている初期属性情報AI0を用いる態様でもよい。刷版画像や印刷物が検版対象となる場合であっても、少なくとも1度はRIP処理が行われていることから、いずれかの時点で取得された初期属性情報AI0を用いることができる。
【0063】
対象画像データDOおよび基準画像データDSが取得され、対応する属性情報AIが生成されると、検版パラメータ設定部25の作用により、対象画像データDOあるいは基準画像データDSを構成する各オブジェクトについて、当該属性情報AIの内容に基づいてその属性および画像データの種別に応じた検版パラメータ、すなわち比較パラメータP2および判定パラメータP3が設定される(ステップS15)。その際には、パラメータデータベースDBPの内容が参照される。
【0064】
図8は、「文字」属性、「線画」属性、「絵柄」属性、「グラデーション」属性、および「チント」属性のそれぞれについての、判定パラメータP3のうちの階調マージン量と孤立点除去量の設定例としてのパラメータテーブルTBLを示す図である。それぞれの属性に対応して、属性フラグFAが与えられている。パラメータデータベースDBPには、これらに加え、比較パラメータP2としてのゆすらせ画素範囲(図示せず)などをはじめとする種々の設定内容が、検版パラメータとして所定のフォーマットにて格納されている。検版パラメータとしては、パラメータデータベースDBPに格納されているデータ内容がそのまま用いられてもよいし、前述したように、対象画像の種別に応じて、適宜これに修正を加える態様であってもよい。
【0065】
例えば、図5に示す入稿データDD1に基づいて得られるRIP処理後の出力用画像データDPが検版処理の場合であれば、計5つの属性に分類される6つのオブジェクトがレイアウトされているので、それぞれについて検版パラメータが定められることになる。この場合、例えば、文字オブジェクトOBJ1と文字オブジェクトOBJ2とは同じ属性のオブジェクトであるが、前者はチント領域に配置されているのに対して、後者はそうでないことから、両者の検版パラメータの設定を適宜に異なる値とすることにより、この相異をより反映した検版パラメータの設定を行うことも可能である。
【0066】
なお、「文字」属性、「絵柄」属性など、オブジェクトの属性の名称は便宜的に与えられているものであって必須のものではなく、RIP処理装置50や検版装置1においては、実際には、それぞれの属性は属性フラグFAによって一意に識別されるものである。
【0067】
検版パラメータの設定がなされると、次に、オペレータにより、対象画像データDOにおいて検版処理の対象とする領域が、属性情報AIに基づいて設定される(ステップS16)。これにより、検版処理を行いたい領域を、画像要素単位で選択的に指定して、検版処理を行うことができる。複数の領域を選択することも可能である。例えば、図5に示す入稿データDD1に基づいて得られるRIP処理後の出力用画像データDPが検版処理の場合であって、初校から変更を加えた「文字」属性を有するオブジェクトに対応する領域についてのみ検版処理を行いたい場合であれば、文字オブジェクトOBJ1およびOBJ2の配置位置に相当する領域だけが、検版処理の対象となる。
【0068】
検版処理の対象とする領域が指定されると、画像比較部23の作用により、対象画像データDOと基準画像データDSとの間で、検版処理の対象となった領域内の画素について順次、当該画素が属するオブジェクトに応じて設定されている比較パラメータP2に従った比較処理が行われる(ステップS17)。すなわち、1つ1つのオブジェクトに対応する領域単位で比較パラメータP2を切り替えつつ、比較処理が行われることになる。比較処理には、公知の技術を適用可能である。
【0069】
例えば、比較処理としてゆすらせ処理を行う場合、画素(i,j)における基準画像データの階調値をGs(i,j)、対象画像データの階調値をGo(i,j)とすると、ずらす画素値m、nが、比較パラメータP2として設定される。対象画像データDOをi方向にm画素、j方向にn画素(m、nは整数)ゆすらせて(画素位置をずらして)比較処理を行う場合、階調値の差分値ΔG(i,j)は、
ΔG(i,j)=Go(i−m、j−n)−Gs(i,j) (式1)
として求められる。
【0070】
比較パラメータP2として、それぞれのオブジェクトに対応する領域ごとに複数のm、nの設定を変えつつ式1の演算を繰り返すことにより、その結果として、複数の比較結果データDCを得ることができる。
【0071】
比較結果データDCが得られると、結果判定部24の作用により、それぞれのオブジェクトに相当する領域について、当該オブジェクトの属性に応じて定められている判定パラメータP3に従って、該比較結果データに有意な差分が生じているか否かを判定する差分画像判定処理が行われる(ステップS18)。
【0072】
判定処理の結果、有意な差分だけが抽出されると、属性情報AIに基づいて、生じた差分がどの属性に由来する領域で発生しているのかが分類されたうえで(ステップS19)、検版結果データDIが出力される(ステップS20)。検版結果データDIは、記憶部9に記憶されるとともに、表示部8に表示される。
【0073】
以上、説明したように、本実施の形態では、例えばPDF形式などで記述された入稿データDDにおいてレイアウトされている各オブジェクトの配置情報から定まる領域ごとに、当該オブジェクトの属性と配置情報とを反映した検版パラメータが設定されるので、対象画像データDOの中に、属性の異なる画像領域が混在していても、それぞれの画像領域毎に最適な検版処理を実行することができ、対象画像データDOの全体として、一度の検版処理で有意な検版結果を効率的に取得することができる。
【0074】
具体的には、半画素ズレに起因してエッジ境界部分に発生するものの、人間の視覚特性上は検出不要な階調値の差分を無視することや、緩やかなグラデーション領域について、階調差の有無を厳しく判定することが、容易に行えるようになる。
【0075】
また、特定の属性に対応する画像要素が占める領域のみについて検版処理を行うことができるので、迅速な検版処理が可能となる。さらには、検版処理の結果生じた差分が、どの属性に由来する領域で生じたものかが分類されるので、検版結果の分析が容易となり、当該結果に対する対応策を早急にとることができ、作業効率が向上する。
【0076】
あるいは、ある入稿データから得られる出力用画像データ、該出力用画像データに基づいて生成された刷版の刷版画像、さらには該刷版を用いて出力された印刷物のそれぞれについて、当該入稿データに基づいて得られる一の属性情報を用いて検版処理を行うことも可能となるので、検版結果がNGである場合に、その原因がどの工程で生じているのかを、ワークフローのなかで系統的に調査・判断することが容易となる。
【0077】
<変形例>
上述の実施の形態では、レイアウトされたオブジェクトに相当する領域ごとに検版処理が可能な態様が示されているが、領域の設定の仕方は、これに限定されない。
【0078】
例えば、入稿データDDについて、まず、出力用画像データとは別途に、RIP処理部52においてRIP処理することにより、72dpi程度の粗い画素(ブロック領域と称する)からなる画像データ(粗RIP処理データ)を生成する。そして、属性情報生成部53において、得られた粗RIP処理データの内容からそれぞれのブロック領域についての属性を分析することにより、初期属性情報AI0を生成する態様でもよい。図9は、このようにして初期属性情報AI0を生成する場合の一例を示す図である。図9においては、図5に示した入稿データDD1について上記の処理を行った場合が想定されている。個々の矩形領域が、ブロック領域の1単位に相当する。属性情報生成部53においては、個々のブロック領域が主としてどの属性を有する領域であるかを判定することにより、ブロック領域単位の初期属性情報AI0が生成される。例えば、ブロック領域BLK1はグラデーション領域、ブロック領域BLK2は絵柄領域と判定される。あるブロック領域BLK(p,q)の属性に対応する属性フラグFAをb、入稿データの版数をcとすると、各オブジェクトについて、(p,q,b,c)などといったフォーマットで初期属性情報AI0は記述される。
【0079】
検版装置1においては、検版対象としたい属性が指定されて、該当する属性を有するブロック領域のみについて、選択的に処理が行われることとなる。このように処理を行っても、検版結果データDIを同じように得ることができる。
【0080】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1ないし請求項7、および、請求項13ないし請求項19の発明によれば、印刷ワークフローの前段のラスタライズ処理の段階で、印刷画像の構成要素の種別と、その正確な配置位置とを知ることができるので、ワークフローの後段における処理に際し、これらの情報を適宜に利用することができる。
【0081】
また、請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項12、請求項13ないし請求項17、および、請求項20の発明によれば、同じ属性を有する画像要素からなる領域のみについて検版を行うことができるので、検版処理の効率化を図ることができるとともに、検版処理により生じた差分が由来する領域の分類と、該分類に基づく検版結果の分析が容易となり、作業効率が向上する。
【0082】
また、請求項2、請求項9、および、請求項14の発明によれば、レイアウト時に得られる属性情報が、検版対象データに適合するように変換されるので、レイアウトデータとは異なる解像度やサイズを有する画像データに対しても、属性情報を利用した検版処理を行うことができる。
【0083】
また、請求項3ないし請求項5、請求項10ないし請求項12、請求項15ないし請求項17の発明によれば、それぞれの領域に適した検版パラメータを用いて、特定の領域のみについて検版を行うことができるので、検版処理の実効性をより高めることができる。
【0084】
また、請求項4、請求項5、請求項11、請求項12、請求項16、および、請求項17の発明によれば、異なる属性を有するそれぞれの領域ごとに、該領域に適した検版パラメータを用いて検版を行うことができる。
【0085】
また、請求項5、請求項12、および、請求項17の発明によれば、異なる属性を有するそれぞれの領域に適した検版パラメータを容易に選択、設定できるので、検版処理が効率化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】検版装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。
【図2】RIP処理装置50の制御部62において実現される機能を説明するための図である。
【図3】検版装置1の制御部12において実現される機能を説明するための図である。
【図4】RIP処理装置50における属性分析に係る処理の流れを示す図である。
【図5】入稿データDDの例示としての入稿データDD1を示す図である。
【図6】入稿データDDが例えばPDF形式で記述されているデータである場合の、そのデータ内容の一部を例示的に示す図である。
【図7】検版装置1における処理の流れを示す図である。
【図8】判定パラメータP3のうちの階調マージン量と孤立点除去量の設定例としてのパラメータテーブルTBLを示す図である。
【図9】変形例において初期属性情報AI0を生成する場合を示す図である。
【符号の説明】
1 検版装置
50 RIP処理装置
100 印刷システム
BLK ブロック領域
DD1 入稿データ
FA 属性フラグ
N ネットワーク
OBJ1、OBJ2 文字オブジェクト
OBJ3 線画オブジェクト
OBJ4 グラデーションオブジェクト
OBJ5 絵柄オブジェクト
OBJ6 チントオブジェクト
TBL パラメータテーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷ワークフローのなかで行われる検版処理、特にデジタル検版に係る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
検版とは、一般に、印刷ワークフローにおいて、製版フィルムや刷版を作成する前に、その作成元である版下やフィルム等に誤りがないか調べる作業のこというが、最近では、DTP技術の進歩により、いずれもRIP処理(ラスタライズ処理)されている初校時の印刷データと再校時の印刷データとをディスプレイ画面上で画素単位で比較し、個々の画素の色濃度(階調値)の差分値などを検出することで、色校正をも合わせて行うデジタル検版を行う装置も公知である。RIP処理された印刷データから直接に製版を行うCTP(Computer To Plate)や、あるいは直接に印刷物を作成するデジタル印刷が一般的なワークフローとなった昨今では、デジタル検版処理の重要性がさらに増している。
【0003】
印刷データには、一般に、「文字領域」「絵柄領域」「チント/グラデーション領域」などが混在し、これらの領域は、画像特微量、具体的には、印刷データを構成する画像中に含まれる「エッジ成分」「各版の階調レベル」「明度」「色相」など、画像処理により抽出可能な量に現れる特徴が互いに異なる。また、これらの領域に対する人間の視覚的な特性、つまりは違いに対する検出力(鋭敏さ)にも違いがある。例えば、文字領域ではエッジの色味の相異はあまり問題とならず、これを許容しても問題は少ないのに対して、緩やかなグラデーションを有する絵柄領域ではわずかな色味の違いが目立つので、厳密な色濃度の同一性が要求される、などということが検版処理において頻出する。
【0004】
よって、検版処理をより実効的なものとするには、それぞれの領域が有する特徴に合致した処理条件で検版処理を行い、それぞれの領域に応じた基準でその結果を判定することがより好ましい。
【0005】
このように、文字領域や絵柄領域などが混在する印刷データについて、絵柄領域を特定して、検版を行うデジタル検版装置は、すでに公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−8868号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のデジタル検版装置は、絵柄領域か否かについて判定を行うことはできるが、文字領域やチント/グラデーション領域について特定する技術は開示されていない。また、領域ごとに異なる条件で検版処理を行う技術についても開示されていない。すなわち、特許文献1に記載のデジタル検版装置による検版処理では、画像特徴の大きく異なる「文字領域」、「絵柄領域」、「チント/グラデーション領域」などを同じ処理条件で処理しなければならず、有効な検版結果が得られないという問題があった。あるいは、同じ印刷データに対して、異なる処理条件で複数回の検版を行い、それらの結果を総合的に判断する作業が必要となり、効率的ではなかった。
【0008】
また、特許文献1に記載のデジタル検版装置が領域の判定の対象とするのは、ラスタライズ処理後のデータのみであり、刷版に形成された刷版画像や、出力された印刷物は対象となっていなかった。そのため、これらを対象とする検版に際しては、領域を特定することはできなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ワークフローの各段階で検版対象となった画像データを構成するそれぞれの構成要素の種別と、正確な配置位置とを取得することを目的とする。特に、これら構成要素の種別と正確な配置位置とに基づいて、異なる特徴を有する画像領域ごとに、異なる条件で検版処理を行うことができる印刷システムおよびその関連技術を提供することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、(a)レイアウトデータをラスタライズ処理して出力用画像データを生成するラスタライズ処理装置であって、(a−1)前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む第1の属性情報を生成する属性情報生成手段、を備えるラスタライズ処理装置と、(b)前記出力用画像データあるいは前記出力用画像データに基づく処理プロセス中で得られる画像データである検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データとを相互に比較して検版を行う検版装置であって、(b−1)前記第1の属性情報に基づいて、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての第2の属性情報を生成する属性情報処理手段、を備える検版装置と、を備え、前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の印刷システムであって、前記属性情報処理手段が、前記第1の属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記第2の属性情報を生成する座標変換手段、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の印刷システムであって、前記検版装置が、検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、前記検版パラメータ設定手段が、前記領域についての前記検版パラメータを、前記第2の属性情報に基づいて定めることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の印刷システムであって、前記検版装置が、前記検版パラメータをあらかじめ格納する検版パラメータデータベース、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む属性情報を生成する。
【0016】
また、請求項7の発明は、レイアウトデータをラスタライズ処理して出力用画像データを生成するラスタライズ処理装置であって、前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む属性情報を生成する属性情報生成手段、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8の発明は、印刷用画像データの処理プロセス中で得られる検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データとを相互に比較して検版を行う検版装置であって、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての属性情報を生成する属性情報処理手段、を備え、前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の検版装置であって、前記属性情報処理手段が、所定の初期属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記属性情報を生成する座標変換手段、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9に記載の検版装置であって、検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11の発明は、請求項10に記載の検版装置であって、前記検版パラメータ設定手段が、前記領域についての前記検版パラメータを、前記属性情報に基づいて定める、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載の検版装置であって、前記検版パラメータをあらかじめ格納する検版パラメータデータベース、をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項13の発明は、レイアウトデータをラスタライズ処理することにより得られる出力用画像データあるいは前記出力用画像データの処理プロセス中で得られる画像データである検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データと、を相互に比較して検版を行う印刷データの検版方法であって、前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む第1の属性情報を生成する属性情報生成工程と、前記第1の属性情報に基づいて、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての第2の属性情報を生成する属性情報処理工程と、を備え、前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14の発明は、請求項13に記載の検版方法であって、前記属性情報処理工程が、前記第1の属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記第2の属性情報を生成する座標変換工程、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、請求項15の発明は、請求項13または請求項14のいずれかに記載の検版方法であって、検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定工程、をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
また、請求項16の発明は、請求項15に記載の検版方法であって、前記検版パラメータ設定工程において、前記領域についての前記検版パラメータを、前記第2の属性情報に基づいて定めることを特徴とする。
【0026】
また、請求項17の発明は、請求項16に記載の検版方法であって、前記検版パラメータがあらかじめ所定の検版パラメータデータベースに格納されていることを特徴とする。
【0027】
また、請求項18の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項6に記載の属性情報生成装置として機能させることを特徴とする。
【0028】
また、請求項19の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項7に記載のラスタライズ処理装置として機能させることを特徴とする。
【0029】
また、請求項20の発明は、コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項8ないし請求項12のいずれかに記載の検版装置として機能させることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
<システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る検版装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。印刷システム100は、検版装置1とレイアウト処理装置2と、製版装置3と出力装置4と、RIP処理装置50と、を主として備え、例えばLAN(Local Area Network)などのネットワークNを介して、これらの装置が互いに電気的に接続されているシステムであり、印刷データの作成から、製版、出力までの印刷の一連のワークフローを担うシステムである。
【0031】
検版装置1は、指示された校正の内容が校正データに正しく反映されているか、あるいは、校正データや刷版、さらには実際の印刷物などにおいて、元データとの間で予期せぬ相違点が生じていないか、などをチェックすることを目的として、検版の対象画像と、基準画像とを比較して、その差異の有無を抽出する装置である。
【0032】
レイアウト処理装置2は、印刷画像における文字組版や画像配置等のレイアウト処理を行う装置である。レイアウトデータは、例えばPDF(Portable Document Format)形式などのページ記述言語にて記述される。
【0033】
RIP処理装置50は、レイアウトデータ(入稿データ)をネットワークNを介して受け取り、これをRIP処理(ラスタライズ処理)して、多階調の画像データを生成する処理を担う。また、RIP処理装置50は、同一のレイアウトデータから、使用する目的に応じた種々の解像度の画像データを生成することが可能である。例えば、検版用には400dpi程度の粗い解像度の多階調の画像データを生成し、出力用には2400dpiの高解像度網点化画像データを生成する、などといった対応が可能である。
【0034】
製版装置3は、網点化画像データに基づいて、例えば、版材上にレーザ露光によって印刷画像を形成することで刷版を作成する装置、いわゆるCTP装置である。なお、網点化画像データに基づいていったんイメージセッタにより製版フィルムを作成した後、該製版フィルムを用いて刷版を作成する態様であってもよい。この場合、製版装置3にはイメージセッタを含むものとする。
【0035】
出力装置4は、製版装置3において作成された刷版を用いて、印刷用紙に印刷を行う装置である。あるいは、網点化画像データから直接に印刷用紙に出力を行う、デジタル出力を行う装置であってもよい。
【0036】
RIP処理装置50においては、レイアウトデータ(入稿データ)をネットワークNを介して受け取る代わりに、例えばMOドライブやCD−R/RWドライブなどからなるメディアリーダ/ライタ55を備えており、MO(光磁気ディスク)やCD−R/RWなどの種々の可搬性の記録媒体にいったん記録されたレイアウトデータを読み取ってこれをRIP処理する態様であってもよい。RIP処理後の画像データが、検版など、後段のワークフローに供される。なお、レイアウト処理装置2の機能が、RIP処理装置50に備わる態様であってもよい。あるいは、検版装置1がRIP処理装置50の機能を備え、検版装置1において該レイアウトデータのRIP処理を行った後、引き続いて検版処理を行う態様であってもよい。
【0037】
検版装置1においても、例えば、RIP処理装置50において作成されたRIP処理済の画像データ(出力用画像データ)をネットワークNを介して受け取り、これを検版処理する態様であってもよいし、あるいは、例えばMOドライブやCD−R/RWドライブなどからなるメディアリーダ/ライタ5を備えており、MO(光磁気ディスク)やCD−R/RWなどの種々の可搬性の記録媒体にいったん記録された画像データを読み取ってこれを検版処理する態様であってもよい。
【0038】
また、ネットワークNにイメージスキャナ6が接続されている場合、該イメージスキャナ6によって、刷版や製版フィルム、あるいは出力装置4において出力された印刷物をスキャンすることにより、直接に画像データを取得し、これを検版処理に供する態様であってもよい。
【0039】
検版装置1およびRIP処理装置50は、いずれもコンピュータによって実現されるものである。すなわち、検版装置1およびRIP処理装置50には、それぞれ、オペレータが各種の指示を入力するためのマウスやキーボードなどからなる操作部7あるいは57、ディスプレイ等の表示部8あるいは58、ハードディスクなどにより構成され、それぞれのコンピュータを検版装置1あるいはRIP処理装置50として機能させるためのプログラム9pあるいは59pなどを保存するための記憶部9あるいは59、メディアリーダ/ライタ5あるいは55を通じて種々の可搬性の記録媒体との間でデータのリード/ライトを行うためのR/W部10あるいは60、ネットワークN上の他の装置との間でデータの受け渡しを行うためのインターフェースとしての通信部11あるいは61、CPU12aあるいは62a、ROM12bあるいは62b、およびRAM12cあるいは62cから構成され、後述する各機能を実現する制御部12あるいは62が主として備わっている。
【0040】
なお、検版装置1およびRIP処理装置50においては、操作部7あるいは57を通じた操作内容や、種々の処理についての処理状況などを表示部8あるいは58にて表示させつつ処理を行うことができる、いわゆるGUI(Graphical User Interface)が、検版装置1においては制御部12、操作部7、表示部8の機能により、RIP処理装置50においては制御部62、操作部57、表示部58の機能により、それぞれ実現されている。制御部12あるいは62に実現される後述する各部における処理も、それぞれのGUIを用いて行われる。
【0041】
図2は、RIP処理装置50の制御部62において実現される機能を説明するための図である。RIP処理装置50は、画像取得部51と、RIP処理部52と、属性情報生成部53とを主として備える。
【0042】
画像取得部51は、RIP処理装置50のオペレータによる、操作部57および表示部58を介した指示に従って、RIP処理の対象となる例えばPDF形式の入稿データDDを取得する。また、好ましくは、画像取得部51において、レイアウトに用いられているフォントが出力に適したフォントであるか、画像の解像度が適切かなど、入稿データDDが出力に適したデータであるか否かをチェックするいわゆるプリフライトチェックも行われる。
【0043】
RIP処理部52は、入稿データDDに基づいて、所定のRIP処理条件にてRIP処理を行う。RIP処理により、所定の解像度を有する出力用画像データDPが生成される。なお、本実施の形態では、製版装置3における刷版生成用のデータ(例えば各色版用の分版出力データ)のみならず、検版処理用に別途RIP処理された画像データをも含めて、出力用画像データDPと称することとする。RIP処理については、公知の技術を適用可能である。
【0044】
属性情報生成部53は、入稿データDDの記述内容に基づいて、当該入稿データDDにて与えられる印刷物のレイアウトに用いられる文字、線画などのオブジェクトの配置位置および大きさについての情報(配置情報と称する)を抽出し、初期属性情報AI0を生成する。なお、本実施の形態において、属性とは、入稿データDDにおけるそれぞれのオブジェクトの種別、及び検版処理に供される画像データにおける文字、線画、絵柄などの画像要素の種別を意味するものとする。初期属性情報AI0の生成については、後述する。初期属性情報AI0は、出力用画像データDPが検版装置1における検版処理に供される際に、これに付随して検版装置1に受け渡される。あるいは、ネットワークN上に備わる図示しない所定のデータベースに記憶される態様でもよい。なお、属性情報生成部53の機能を、RIP処理装置50とは別体の属性情報生成装置により実現する態様でもよい。この場合、属性情報生成装置もRIP処理装置50と同様にコンピュータによって実現され、所定のプログラムが実行されることによって、上記と同様の作用を得ることができる。
【0045】
図3は、検版装置1の制御部12において実現される機能を説明するための図である。検版装置1の制御部12においては、記憶部9に記憶されている所定のプログラム9pが、CPU12a、ROM12b、およびRAM12cによって実行されることにより、画像取得部21と、属性情報処理部22と、画像比較部23と、結果判定部24と、検版パラメータ設定部25とが主として実現される。また、記憶部9には、比較パラメータP2、判定パラメータP3などを格納するパラメータデータベースDBPが実現される。
【0046】
画像取得部21は、検版装置のオペレータによる、操作部7および表示部8を介した指示に従って、検版の対象となる対象画像データDOと、検版の基準となる基準画像データDSとを取得する。どのような画像データが対象画像データDOおよび基準画像データDSとなるのかは、検版処理の目的によって異なる。例えば、RIP処理装置50におけるRIP処理結果をチェックすることを目的とする検版処理の場合、例えば初校として入稿された入稿データDDから得られる出力用画像データDPが基準画像データDSであり、初校の結果に基づいて修正等が施された再校時の入稿データDDから得られる出力用画像データDPが対象画像データDOとなる。あるいは、出力用画像データDPを用いて、図示しない校正用出力装置にて得られる校正刷り結果をイメージスキャナ6にて読み取って得られる画像データを対象画像データDOとし、当該出力用画像データDPを基準画像データDSとして検版処理する態様でもよい。また、刷版に形成された画像の検版を目的とする場合であれば、再校時の刷版からイメージスキャナ6により刷版画像を読み取ることにより得られる刷版画像データが対象画像データDOであり、基準画像データDSとしては、初校時の刷版画像データか、あるいは初校時の出力用画像データDPを用いることができる。同様に、出力された印刷物の検査を目的とする検版処理の場合も、校正後の印刷物をイメージスキャナ6により刷版画像を読み取ることにより、対象画像データDOが得られ、校正前の印刷物または刷版から得られる画像データ、あるいは出力用画像データDPが基準画像データDSとなる。
【0047】
いずれにせよ、対象画像データDOおよび基準画像データDSはそれぞれ、あらかじめRIP処理装置50からネットワークNを通じて取得され、記憶部9に記憶されているものが取得される態様でもよいし、記録媒体に記録されているものをメディアリーダ/ライタ5を通じて読み込む態様でもよい。
【0048】
属性情報処理部22は、ネットワークNを介して初期属性情報AI0を取得し、これに基づいて属性情報AIを生成する処理を担う。初期属性情報AI0としては、基準画像データDSについてRIP処理を行った際に得られたものを用いてもよいし、対象画像データDOについてRIP処理を行った際に得られたものを用いてもよい。初期属性情報AI0においては、入稿データDDの解像度およびレイアウトサイズに基づいてそれぞれのオブジェクトの配置情報が記述されているが、入稿データDDにおける解像度やレイアウトサイズと、検版の対象となる画像データである対象画像データDOにおける解像度やレイアウトサイズが異なることがある。つまりは、両者の座標系における単位量が異なることがある。その場合には、検版処理に際して初期属性情報AI0をそのまま用いることができない。本実施の形態では、属性情報処理部22が、初期属性情報AI0におけるオブジェクトの配置情報等についての座標値を対象画像データDOに応じてアフィン変換することなどにより属性情報AIを生成し、該属性情報AIを検版処理に用いる。すなわち、属性情報処理部22は、属性情報を得るための座標変換手段としても作用するものである。
【0049】
検版パラメータ設定部25は、属性情報AIに基づいて、および検版対象となる画像データの種類に基づいて、画像比較部23における処理に際し用いられる比較パラメータP2、結果判定部24における処理に際し用いられる判定パラメータP3(これらをまとめて検版パラメータと称する)を各オブジェクトごとに設定する処理を担う。その際には、例えば記憶部9に備わるパラメータデータベースDBPに記憶されている、属性情報AIと検版パラメータとの関連付けデータに基づき設定される。例えば、刷版画像が検版対象の場合、刷版画像そのものは単色データであって、イメージスキャナ6よる読み取りの際に網点の読み取り精度が十分得られないことがあるので、絵柄属性における階調マージン量(後述する)を他の場合より大きめとするように判定パラメータP3が設定される。また、印刷物が検版対象の場合、印刷における印刷用紙の送り速度のばらつきに起因して文字の位置ばらつきが生じることがあるので、文字属性におけるゆすらせ画素範囲(後述する)を他の場合より大きめとするように比較パラメータP2が設定される。なお、オペレータが操作部7および表示部8を介して、検版パラメータを設定または修正する態様でもよい。
【0050】
画像比較部23は、対象画像データDOと基準画像データDSとの対応する画素ごとに、その画素が属するオブジェクトの属性情報AIに応じて与えられている比較パラメータP2に従って、階調値の差を算出する処理を行い、比較結果データDCを生成する。比較パラメータP2の設定内容次第では、あらかじめゆすらせ処理を行ったうえで比較演算を行い、演算条件の異なる複数の比較結果データDCを同時に生成することもできる。なお、ゆすらせ処理とは、対象画像データにおける線画や絵柄画像の配置位置が、基準画像データにおける配置位置からずれている、いわゆる画素ズレを起こしている場合でも、どちらかの画像データの配置位置を仮想的にずらして(平行移動させて)、両画像データの比較を行なうことで、画素ズレをキャンセルして、本来の差分値等を検出する方法である。この場合、ゆすらせ処理のゆすらせ画素範囲の設定などが比較パラメータP2として与えられる。また、画像比較部23においては、操作部7および表示部8を介したオペレータの指示に応じて、特定の属性情報AIを有する領域のみについて選択的に比較演算処理を行うこともできる。
【0051】
結果判定部24は、判定パラメータP3として設定された判定基準に従って、比較結果データDCとして得られた差分値が、検版処理の目的からみて有意なものかどうか、などの判定を行い、その結果、最終的な検版結果データDIを生成する。例えば、有意差ある差分値の下限値である階調マージン量や、0でない差分値がごく小さな画素範囲にのみ孤立して存在する場合に、これを不要な孤立点であるとして除去する際の基準となる孤立点除去量などが、判定パラメータP3として設定される。本実施の形態においては、判定パラメータP3はオブジェクトごとに設定されているので、各オブジェクトの特徴に適した基準で、結果の判定が行われることになる。
【0052】
<属性分析処理>
本実施の形態においては、RIP処理装置50において入稿データDDに基づき行われる属性分析の結果に基づいて、検版装置1における検版処理が行われる。そこで、検版処理の説明に先立ち、属性分析について説明する。
【0053】
図4は、本実施の形態に係るRIP処理装置50における属性分析に係る処理の流れを示す図である。まず、RIP処理装置50のオペレータが、操作部57を通じてRIP処理に供する入稿データDDが指定(ステップS1)される。入稿データDDはあらかじめ記憶部59に格納されていてもよいし、メディアリーダ/ライタ55において所定の記録媒体から読み取り可能とされていてもよい。
【0054】
入稿データDDが読み取られると、RIP処理部52の作用によりRIP処理がなされるとともに、属性情報生成部53の作用によって、入稿データDDのレイアウトを構成する各オブジェクトについて属性分析が行われる(ステップS2)。
【0055】
図5は入稿データDDの例示としての入稿データDD1を示す図である。入稿データDD1においては、文字オブジェクトOBJ1およびOBJ2、線画オブジェクトOBJ3、グラデーションオブジェクトOBJ4(ただし図示の都合上斜線にて表示)、絵柄オブジェクトOBJ5がレイアウトされている。また、文字オブジェクトOBJ2の部分以外は、地色がチントとなっており、これも1つのチントオブジェクトOBJ6と見なすことができる。換言すれば、文字オブジェクトOBJ1、線画オブジェクトOBJ3、グラデーションオブジェクトOBJ4、および絵柄オブジェクトOBJ5は、チントオブジェクトOBJ6上に重ねて配置されているといえる。属性情報生成部53は、これらのオブジェクトについて、例えば、左下端を原点位置とした配置情報を取得する。
【0056】
図6は、入稿データDDが例えばPDF形式で記述されているデータである場合の、そのデータ内容の一部を例示的に示す図である。PDF形式の場合、オブジェクトそのものの内容は、当該オブジェクトの種類に応じて、テキスト形式あるいはバイナリ形式のいずれかで記述されているが、オブジェクトのレイアウト情報など、データ構造を示す情報は所定の文法に則ってテキスト形式で記述されているので、属性情報生成部53は、その記述内容に応じて、入稿データDDに含まれるオブジェクトを識別し、それぞれのオブジェクトについての配置情報を取得することができる。例えば、図6(a)は、「ABCDE」なる文字列すなわち文字オブジェクトが、別途規定された所定のフォントで、(72、360)なる座標位置を始点として36ポイントにて配置されることを示している。図6(b)は、(216、288)なる座標位置を始点として、12/72=1/6ポイントを1単位として、下底が15ポイント、上底が12−3=9ポイント、高さが11ポイントの塗りつぶされた台形、つまりは絵柄オブジェクトが配置されることを示している。図6(c)は、ベジェ曲線によって、(360、360)なる座標位置を始点として、長さ30単位の長軸を水平方向に、長さ20単位の短軸を垂直方向に有する楕円、つまりは線画オブジェクトが配置されることを示している。その他、種々のオブジェクトについても、同様に、文法に則った記述により配置されることになるので、属性情報生成部53は、こうした記述内容に基づいて、各オブジェクトの配置情報を取得する。
【0057】
その結果、属性情報生成部53において、取得された各オブジェクトの配置情報と、取得元となった入稿データDDを識別する識別情報と、あるいはさらにその入稿データDDが何版目のデータであるかを示す版数を管理する版数情報をも含む初期属性情報AI0が所定のフォーマットにて生成される(ステップS3)。例えば、あるオブジェクトの識別番号をa、当該オブジェクトの属性に対応する属性フラグFA(後述する)をb、入稿データの版数をc、当該オブジェクトの配置情報を座標(x,y)の関数P(x、y)とすると、各オブジェクトについて、(a,b,c,P(x、y))などといったフォーマットで初期属性情報AI0は記述される。
【0058】
初期属性情報AI0は、RIP処理により得られた出力用画像データDPに付随して、検版装置1あるいは所定のデータベースに受け渡されることになる。
【0059】
<検版処理>
図7は、本実施の形態に係る検版装置1における処理の流れを示す図である。本実施の形態においては、検版装置1における検版の対象となるデータは、様々であるが、用いるデータは異なっても、検版処理そのものの内容については、同じであるので、以下、主として、初校の入稿データDDから得られる出力用画像データDPを基準画像データDSとして、再校の入稿データDDから得られる出力用画像データDPを対象画像データDOとして検版処理を行う場合を例に説明する。
【0060】
まず、検版装置のオペレータが、操作部7を通じて検版処理に供する対象画像データDOおよび基準画像データDSの指定(ステップS11)を行うと、画像取得部21の作用に基づいて、これらの画像データのRAM12cへの読み込み(ステップS12)が行われる。なお、対象画像データDOあるいは基準画像データDSが網点化画像データの場合は、読み込みに際して、これを多値階調の画像データに変換するデスクリーニング処理が行われる。デスクリーニング処理については、公知の技術が適用可能である。
【0061】
次に、属性情報処理部22の作用により、所定の初期属性情報AI0が取得され(ステップS13)、座標値のアフィン変換などによって、検版処理にて利用可能な属性情報AIへと変換される(ステップS14)。この変換によって得られた属性情報AIは、検版の対象となる対象画像データDOあるいは基準画像データDSにおいて配置されている文字、線画、絵柄などの画像要素の配置情報に相当することになる。すなわち、本実施の形態の場合、それぞれの画像要素は、入稿データDDにおいて配置された各オブジェクトに由来するものであり、入稿データDDの記述内容から各オブジェクトの正確な配置情報は取得できるので、該入稿データDDから得られる初期属性情報AI0さらには属性情報AIが、そのまま画像要素の正確な配置情報として利用できるという利点がある。
【0062】
なお、変換の対象とする初期属性情報AI0には、検版の目的・対象に鑑みて適したもの用いるのが好ましい。例えば、RIP処理により得られる出力用画像データDPが検版の対象画像データDOとなる場合には、出力用画像データDPに付随して受け渡される初期属性情報AI0を用いることができるが、例えば、再校時の検版であって、オブジェクトの配置について修正・変更がない場合などであれば、初校時に取得された後、検版装置1ないしは図示しないデータベースに記憶されている初期属性情報AI0を用いる態様でもよい。刷版画像や印刷物が検版対象となる場合であっても、少なくとも1度はRIP処理が行われていることから、いずれかの時点で取得された初期属性情報AI0を用いることができる。
【0063】
対象画像データDOおよび基準画像データDSが取得され、対応する属性情報AIが生成されると、検版パラメータ設定部25の作用により、対象画像データDOあるいは基準画像データDSを構成する各オブジェクトについて、当該属性情報AIの内容に基づいてその属性および画像データの種別に応じた検版パラメータ、すなわち比較パラメータP2および判定パラメータP3が設定される(ステップS15)。その際には、パラメータデータベースDBPの内容が参照される。
【0064】
図8は、「文字」属性、「線画」属性、「絵柄」属性、「グラデーション」属性、および「チント」属性のそれぞれについての、判定パラメータP3のうちの階調マージン量と孤立点除去量の設定例としてのパラメータテーブルTBLを示す図である。それぞれの属性に対応して、属性フラグFAが与えられている。パラメータデータベースDBPには、これらに加え、比較パラメータP2としてのゆすらせ画素範囲(図示せず)などをはじめとする種々の設定内容が、検版パラメータとして所定のフォーマットにて格納されている。検版パラメータとしては、パラメータデータベースDBPに格納されているデータ内容がそのまま用いられてもよいし、前述したように、対象画像の種別に応じて、適宜これに修正を加える態様であってもよい。
【0065】
例えば、図5に示す入稿データDD1に基づいて得られるRIP処理後の出力用画像データDPが検版処理の場合であれば、計5つの属性に分類される6つのオブジェクトがレイアウトされているので、それぞれについて検版パラメータが定められることになる。この場合、例えば、文字オブジェクトOBJ1と文字オブジェクトOBJ2とは同じ属性のオブジェクトであるが、前者はチント領域に配置されているのに対して、後者はそうでないことから、両者の検版パラメータの設定を適宜に異なる値とすることにより、この相異をより反映した検版パラメータの設定を行うことも可能である。
【0066】
なお、「文字」属性、「絵柄」属性など、オブジェクトの属性の名称は便宜的に与えられているものであって必須のものではなく、RIP処理装置50や検版装置1においては、実際には、それぞれの属性は属性フラグFAによって一意に識別されるものである。
【0067】
検版パラメータの設定がなされると、次に、オペレータにより、対象画像データDOにおいて検版処理の対象とする領域が、属性情報AIに基づいて設定される(ステップS16)。これにより、検版処理を行いたい領域を、画像要素単位で選択的に指定して、検版処理を行うことができる。複数の領域を選択することも可能である。例えば、図5に示す入稿データDD1に基づいて得られるRIP処理後の出力用画像データDPが検版処理の場合であって、初校から変更を加えた「文字」属性を有するオブジェクトに対応する領域についてのみ検版処理を行いたい場合であれば、文字オブジェクトOBJ1およびOBJ2の配置位置に相当する領域だけが、検版処理の対象となる。
【0068】
検版処理の対象とする領域が指定されると、画像比較部23の作用により、対象画像データDOと基準画像データDSとの間で、検版処理の対象となった領域内の画素について順次、当該画素が属するオブジェクトに応じて設定されている比較パラメータP2に従った比較処理が行われる(ステップS17)。すなわち、1つ1つのオブジェクトに対応する領域単位で比較パラメータP2を切り替えつつ、比較処理が行われることになる。比較処理には、公知の技術を適用可能である。
【0069】
例えば、比較処理としてゆすらせ処理を行う場合、画素(i,j)における基準画像データの階調値をGs(i,j)、対象画像データの階調値をGo(i,j)とすると、ずらす画素値m、nが、比較パラメータP2として設定される。対象画像データDOをi方向にm画素、j方向にn画素(m、nは整数)ゆすらせて(画素位置をずらして)比較処理を行う場合、階調値の差分値ΔG(i,j)は、
ΔG(i,j)=Go(i−m、j−n)−Gs(i,j) (式1)
として求められる。
【0070】
比較パラメータP2として、それぞれのオブジェクトに対応する領域ごとに複数のm、nの設定を変えつつ式1の演算を繰り返すことにより、その結果として、複数の比較結果データDCを得ることができる。
【0071】
比較結果データDCが得られると、結果判定部24の作用により、それぞれのオブジェクトに相当する領域について、当該オブジェクトの属性に応じて定められている判定パラメータP3に従って、該比較結果データに有意な差分が生じているか否かを判定する差分画像判定処理が行われる(ステップS18)。
【0072】
判定処理の結果、有意な差分だけが抽出されると、属性情報AIに基づいて、生じた差分がどの属性に由来する領域で発生しているのかが分類されたうえで(ステップS19)、検版結果データDIが出力される(ステップS20)。検版結果データDIは、記憶部9に記憶されるとともに、表示部8に表示される。
【0073】
以上、説明したように、本実施の形態では、例えばPDF形式などで記述された入稿データDDにおいてレイアウトされている各オブジェクトの配置情報から定まる領域ごとに、当該オブジェクトの属性と配置情報とを反映した検版パラメータが設定されるので、対象画像データDOの中に、属性の異なる画像領域が混在していても、それぞれの画像領域毎に最適な検版処理を実行することができ、対象画像データDOの全体として、一度の検版処理で有意な検版結果を効率的に取得することができる。
【0074】
具体的には、半画素ズレに起因してエッジ境界部分に発生するものの、人間の視覚特性上は検出不要な階調値の差分を無視することや、緩やかなグラデーション領域について、階調差の有無を厳しく判定することが、容易に行えるようになる。
【0075】
また、特定の属性に対応する画像要素が占める領域のみについて検版処理を行うことができるので、迅速な検版処理が可能となる。さらには、検版処理の結果生じた差分が、どの属性に由来する領域で生じたものかが分類されるので、検版結果の分析が容易となり、当該結果に対する対応策を早急にとることができ、作業効率が向上する。
【0076】
あるいは、ある入稿データから得られる出力用画像データ、該出力用画像データに基づいて生成された刷版の刷版画像、さらには該刷版を用いて出力された印刷物のそれぞれについて、当該入稿データに基づいて得られる一の属性情報を用いて検版処理を行うことも可能となるので、検版結果がNGである場合に、その原因がどの工程で生じているのかを、ワークフローのなかで系統的に調査・判断することが容易となる。
【0077】
<変形例>
上述の実施の形態では、レイアウトされたオブジェクトに相当する領域ごとに検版処理が可能な態様が示されているが、領域の設定の仕方は、これに限定されない。
【0078】
例えば、入稿データDDについて、まず、出力用画像データとは別途に、RIP処理部52においてRIP処理することにより、72dpi程度の粗い画素(ブロック領域と称する)からなる画像データ(粗RIP処理データ)を生成する。そして、属性情報生成部53において、得られた粗RIP処理データの内容からそれぞれのブロック領域についての属性を分析することにより、初期属性情報AI0を生成する態様でもよい。図9は、このようにして初期属性情報AI0を生成する場合の一例を示す図である。図9においては、図5に示した入稿データDD1について上記の処理を行った場合が想定されている。個々の矩形領域が、ブロック領域の1単位に相当する。属性情報生成部53においては、個々のブロック領域が主としてどの属性を有する領域であるかを判定することにより、ブロック領域単位の初期属性情報AI0が生成される。例えば、ブロック領域BLK1はグラデーション領域、ブロック領域BLK2は絵柄領域と判定される。あるブロック領域BLK(p,q)の属性に対応する属性フラグFAをb、入稿データの版数をcとすると、各オブジェクトについて、(p,q,b,c)などといったフォーマットで初期属性情報AI0は記述される。
【0079】
検版装置1においては、検版対象としたい属性が指定されて、該当する属性を有するブロック領域のみについて、選択的に処理が行われることとなる。このように処理を行っても、検版結果データDIを同じように得ることができる。
【0080】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1ないし請求項7、および、請求項13ないし請求項19の発明によれば、印刷ワークフローの前段のラスタライズ処理の段階で、印刷画像の構成要素の種別と、その正確な配置位置とを知ることができるので、ワークフローの後段における処理に際し、これらの情報を適宜に利用することができる。
【0081】
また、請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項12、請求項13ないし請求項17、および、請求項20の発明によれば、同じ属性を有する画像要素からなる領域のみについて検版を行うことができるので、検版処理の効率化を図ることができるとともに、検版処理により生じた差分が由来する領域の分類と、該分類に基づく検版結果の分析が容易となり、作業効率が向上する。
【0082】
また、請求項2、請求項9、および、請求項14の発明によれば、レイアウト時に得られる属性情報が、検版対象データに適合するように変換されるので、レイアウトデータとは異なる解像度やサイズを有する画像データに対しても、属性情報を利用した検版処理を行うことができる。
【0083】
また、請求項3ないし請求項5、請求項10ないし請求項12、請求項15ないし請求項17の発明によれば、それぞれの領域に適した検版パラメータを用いて、特定の領域のみについて検版を行うことができるので、検版処理の実効性をより高めることができる。
【0084】
また、請求項4、請求項5、請求項11、請求項12、請求項16、および、請求項17の発明によれば、異なる属性を有するそれぞれの領域ごとに、該領域に適した検版パラメータを用いて検版を行うことができる。
【0085】
また、請求項5、請求項12、および、請求項17の発明によれば、異なる属性を有するそれぞれの領域に適した検版パラメータを容易に選択、設定できるので、検版処理が効率化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】検版装置1を含む印刷システム100の構成を例示的に示す模式図である。
【図2】RIP処理装置50の制御部62において実現される機能を説明するための図である。
【図3】検版装置1の制御部12において実現される機能を説明するための図である。
【図4】RIP処理装置50における属性分析に係る処理の流れを示す図である。
【図5】入稿データDDの例示としての入稿データDD1を示す図である。
【図6】入稿データDDが例えばPDF形式で記述されているデータである場合の、そのデータ内容の一部を例示的に示す図である。
【図7】検版装置1における処理の流れを示す図である。
【図8】判定パラメータP3のうちの階調マージン量と孤立点除去量の設定例としてのパラメータテーブルTBLを示す図である。
【図9】変形例において初期属性情報AI0を生成する場合を示す図である。
【符号の説明】
1 検版装置
50 RIP処理装置
100 印刷システム
BLK ブロック領域
DD1 入稿データ
FA 属性フラグ
N ネットワーク
OBJ1、OBJ2 文字オブジェクト
OBJ3 線画オブジェクト
OBJ4 グラデーションオブジェクト
OBJ5 絵柄オブジェクト
OBJ6 チントオブジェクト
TBL パラメータテーブル
Claims (20)
- (a)レイアウトデータをラスタライズ処理して出力用画像データを生成するラスタライズ処理装置であって、
(a−1)前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む第1の属性情報を生成する属性情報生成手段、
を備えるラスタライズ処理装置と、
(b)前記出力用画像データあるいは前記出力用画像データに基づく処理プロセス中で得られる画像データである検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データとを相互に比較して検版を行う検版装置であって、
(b−1)前記第1の属性情報に基づいて、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての第2の属性情報を生成する属性情報処理手段、
を備える検版装置と、
を備え、
前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする印刷システム。 - 請求項1に記載の印刷システムであって、
前記属性情報処理手段が、
前記第1の属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記第2の属性情報を生成する座標変換手段、
を備えることを特徴とする印刷システム。 - 請求項1または請求項2に記載の印刷システムであって、
前記検版装置が、
検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定手段、
をさらに備えることを特徴とする印刷システム。 - 請求項3に記載の印刷システムであって、
前記検版パラメータ設定手段が、前記領域についての前記検版パラメータを、前記第2の属性情報に基づいて定めることを特徴とする印刷システム。 - 請求項4に記載の印刷システムであって、
前記検版装置が、
前記検版パラメータをあらかじめ格納する検版パラメータデータベース、
をさらに備えることを特徴とする印刷システム。 - レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む属性情報を生成する属性情報生成装置。
- レイアウトデータをラスタライズ処理して出力用画像データを生成するラスタライズ処理装置であって、
前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む属性情報を生成する属性情報生成手段、
を備えることを特徴とするラスタライズ処理装置。 - 印刷用画像データの処理プロセス中で得られる検版対象データと、前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データとを相互に比較して検版を行う検版装置であって、
前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての属性情報を生成する属性情報処理手段、
を備え、
前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする検版装置。 - 請求項8に記載の検版装置であって、
前記属性情報処理手段が、
所定の初期属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記属性情報を生成する座標変換手段、
を備えることを特徴とする検版装置。 - 請求項8または請求項9に記載の検版装置であって、
検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定手段、
をさらに備えることを特徴とする検版装置。 - 請求項10に記載の検版装置であって、
前記検版パラメータ設定手段が、前記領域についての前記検版パラメータを、前記属性情報に基づいて定める、
ことを特徴とする検版装置。 - 請求項11に記載の検版装置であって、
前記検版パラメータをあらかじめ格納する検版パラメータデータベース、
をさらに備えることを特徴とする検版装置。 - レイアウトデータをラスタライズ処理することにより得られる出力用画像データあるいは前記出力用画像データの処理プロセス中で得られる画像データである検版対象データと、
前記検版対象データの比較対象となる画像状態を表現した基準データと、
を相互に比較して検版を行う印刷データの検版方法であって、
前記レイアウトデータを構成するオブジェクトの属性と配置情報とを含む第1の属性情報を生成する属性情報生成工程と、
前記第1の属性情報に基づいて、前記検版対象データあるいは前記基準データを構成する画像要素の属性と配置情報についての第2の属性情報を生成する属性情報処理工程と、
を備え、
前記検版対象データあるいは前記基準データにおいて前記画像要素の属性が同じである領域ごとに選択的に検版を行えることを特徴とする検版方法。 - 請求項13に記載の検版方法であって、
前記属性情報処理工程が、
前記第1の属性情報が有する座標値を前記検版対象データに適した座標値に変換することにより前記第2の属性情報を生成する座標変換工程、
を含むことを特徴とする検版方法。 - 請求項13または請求項14のいずれかに記載の検版方法であって、
検版処理を行う際に用いられる所定の検版パラメータを、前記領域ごとに設定可能な検版パラメータ設定工程、
をさらに備えることを特徴とする検版方法。 - 請求項15に記載の検版方法であって、
前記検版パラメータ設定工程において、前記領域についての前記検版パラメータを、前記第2の属性情報に基づいて定めることを特徴とする検版方法。 - 請求項16に記載の検版方法であって、
前記検版パラメータがあらかじめ所定の検版パラメータデータベースに格納されていることを特徴とする検版方法。 - コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項6に記載の属性情報生成装置として機能させることを特徴とするプログラム。
- コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項7に記載のラスタライズ処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
- コンピュータで実行されることにより、前記コンピュータを請求項8ないし請求項12のいずれかに記載の検版装置として機能させることを特徴とするプログラム。
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JP2011137971A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Fujifilm Corp | 検版システム、検版方法及びプログラム |
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2003
- 2003-03-12 JP JP2003066795A patent/JP2004279445A/ja not_active Abandoned
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