JP2004279055A - 鋼管内面の浸炭深さ測定方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、鋼管の周方向に沿った浸炭深さの分布を迅速に且つ安定性良く測定することのできる方法を提供する。
【解決手段】断面略コの字状のコア111に励磁コイル112及び検出コイル113をそれぞれ券回して形成されたセンサ11を、コア111の両端部111a、111bが被測定鋼管Pの長手方向に沿うように配設する第1ステップと、励磁コイル112に所定周波数の電圧を印加する第2ステップと、励磁コイル112と検出コイル113との間に生じる電磁誘導によって、検出コイル113に誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出する第3ステップと、前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する第4ステップとを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】断面略コの字状のコア111に励磁コイル112及び検出コイル113をそれぞれ券回して形成されたセンサ11を、コア111の両端部111a、111bが被測定鋼管Pの長手方向に沿うように配設する第1ステップと、励磁コイル112に所定周波数の電圧を印加する第2ステップと、励磁コイル112と検出コイル113との間に生じる電磁誘導によって、検出コイル113に誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出する第3ステップと、前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する第4ステップとを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して非破壊的に測定する、鋼管内面の浸炭深さ測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油化学プラントのエチレン製造工程で用いられる、いわゆるクラッキングチューブは、長時間使用されることにより内面に浸炭層を生じることが知られている。この浸炭層の発生は、クラッキングチューブの寿命を大きく低減する要因となるため、定期的に浸炭層の深さ(浸炭深さ)を測定し、その進行状況を的確に把握することが必要である。
【0003】
従来、浸炭深さを測定する方法としては、例えば、被検材表面に対して両磁極を水平に配置した永久磁石と、両磁極を垂直に配置した永久磁石とを用い、前者の永久磁石で外表面の表層部及び内面の浸炭層の影響による磁性変化を測定する一方、後者の永久磁石で外表面の表層部の影響による磁性変化を測定し、両測定値の差から浸炭深さを測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、励磁コイルと検出コイルとの間に生じる電磁誘導現象を利用し、励磁コイルに印加する交流の励磁周波数を、磁束の浸透深さが被測定材の厚さ以上となるように選択し、検出コイルの誘起電圧の高調波の振幅若しくは位相値を用いて浸炭深さを測定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2539091号公報
【特許文献2】
特開2000−266727号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1に記載の方法では、2種類の励磁手段(永久磁石)が必要であると共に、直流励磁を用いるので、センサーを被検材に対して静止させないと計測できず、また、磁束の測定にホール素子を用いる場合には局部的な計測しかできないため、長い鋼管の全面について浸炭深さを測定するには、多大な時間を有するという問題がある。また、ホール素子は、温度依存性を有するため、供用期間中検査(ISI)のように、プラントの冷却時間を十分に確保できない場合には、大きな測定誤差を生じるという問題もある。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の方法は、励磁コイルと検出コイルとを一対として対向配置し、検出コイルの誘起電圧について、高調波、つまり歪成分を抽出し、その振幅等を計測する方法である。従って、励磁周波数と同じ周波数成分を抽出する一般的な磁気抵抗測定の場合と異なり、得られる信号は極めて小さく、外乱ノイズ等の影響を受け易いため、測定値の安定性に乏しいという問題がある。前記特許文献2に記載の方法について、本発明の発明者らが実施した実証試験では、測定値の変動がおよそ30%程度にまで及ぶ場合があった。
【0008】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、鋼管の周方向に沿った浸炭深さの分布を迅速に且つ安定性良く測定することのできる方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するべく、本発明は、請求項1に記載の如く、鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して測定する方法であって、断面略コの字状のコアに励磁コイル及び検出コイルをそれぞれ券回して形成されたセンサを、前記コアの両端部が被測定鋼管の長手方向に沿うように配設する第1ステップと、前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する第2ステップと、前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって、前記検出コイルに誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出する第3ステップと、前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する第4ステップとを含むことを特徴とする鋼管内面の浸炭深さ測定方法を提供するものである。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、励磁コイルに電圧を印加することにより、当該励磁コイルが巻回された断面略コの字状のコアの両端部がそれぞれ磁極となり、両磁極間に磁界が形成され、当該磁界中に被測定鋼管が配設されることになる。さらに、励磁コイルと検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって誘起された検出コイルの誘起電圧波形から、励磁周波数の高調波を抽出し、当該高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さが演算される。ここで、誘起電圧波形自体は、被測定鋼管が非磁性材料から構成される場合に、その外径や断面積の変化、或いは外表面の表層部に生じる酸化スケール等による電気抵抗の変動の影響を受け易い。これは、前記電気抵抗の変動が、励磁によって生じる渦電流の変化を引き起こし、これにより誘起電圧波形の振幅値や位相値に変化を生じさせるからである。これに対し、誘起電圧波形の高調波(歪成分)は、被測定鋼管が非磁性材料から構成される場合に、その外径や断面積の変化、或いは外表面の表層部に生じる酸化スケール等による電気抵抗の変動の影響を受け難い一方、被測定鋼管を構成する磁性体の影響を受け易く、その透磁率の大きさや含有量に依存して、振幅値や位相値が変動する特性を有する。従って、磁性体である浸炭層の浸炭深さは、高調波と相関関係を有することになり、当該相関関係と、前記抽出した高調波とによって、浸炭深さを演算することができる。このように、請求項1に係る発明によれば、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、被測定鋼管の周方向に沿って、センサの配設位置を順次変更して測定することにより、鋼管の周方向に沿った浸炭深さを迅速に測定することが可能である。
【0011】
また、請求項1に係る発明によれば、コアの両端部間の距離を調整する(異なる両端部間距離を有する複数のコアを用意するか、或いは、両端部間距離を変更可能なコアを用いる)ことにより、比較的容易に磁極間距離を調整することが可能である。ここで、本発明の発明者らは、当該磁極間距離に応じて、被測定鋼管への磁束の浸透深さが変化(磁極間距離が大きくなれば浸透深さも大きくなる)することを見出した。従って、被測定鋼管の内面に生じる浸炭層にまで磁束が十分に到達するように磁極間距離を調整すれば、検出コイルに誘起される誘起電圧、ひいては、その高調波の振幅が大きくなる結果、外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることが可能である。
【0012】
なお、高調波と浸炭深さとの相関関係は、予め浸炭深さの異なる複数の鋼管のそれぞれについて、誘起電圧波形から抽出した高調波の振幅等を検出し、各浸炭深さと、それに対応する高調波の振幅等との関係を曲線等を用いて近似することによって得ればよい。
【0013】
好ましくは、請求項2に記載の如く、前記高調波は、高調波の内で最も大きな振幅が得られる第3高調波とされる。
【0014】
また、請求項3に記載の如く、被測定鋼管がオーステナイト系ステンレス管である場合において、前記コアの両端部間の距離を、被測定鋼管の内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように調整するのが好ましい。
【0015】
前述のように、コアの両端部間の距離、すなわち、磁極間距離を大きくすることによって、被測定鋼管への磁束の浸透深さを大きくすることができ、これにより外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることが可能である。一方、磁極間距離を大きくし過ぎると、磁極間の磁気抵抗が大きくなり、測定に必要な磁界強度を得ることができなくなったり、センサが大型化し、ハンドリングが困難であると共に、原理上、被測定鋼管の内、磁極間に位置する部分の平均的な浸炭深さを測定することになるため、被測定鋼管の長手方向に沿って分解能の高い測定ができなくなるという問題も生じる。従って、磁極間距離を決定するための適切な指針を得ることが望まれる。
【0016】
請求項3に係る発明は、本発明者の発明者らが鋭意検討することにより見出したものであり、磁極間距離を決定するための適切な指針を与えるものである。すなわち、請求項3に係る発明によれば、被測定鋼管がオーステナイト系ステンレス管である場合において、被測定鋼管の内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように、コアの両端部間の距離を調整すればよく、必要以上に磁極間距離を大きくし過ぎることなく、被測定鋼管の内面に生じる浸炭層にまで磁束を十分に到達させることが可能である。
【0017】
なお、前記課題を解決するべく、本発明は、請求項4に記載の如く、鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して測定する装置であって、断面略コの字状のコアに励磁コイル及び検出コイルをそれぞれ券回して形成されたセンサと、前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する発振器と、前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって、前記検出コイルに誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出するフィルター手段と、前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する演算手段とを備えることを特徴とする鋼管内面の浸炭深さ測定装置としても提供され、コアの両端部が被測定鋼管の長手方向に沿うようにセンサを配設することにより、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、鋼管の周方向に沿った浸炭深さの分布を迅速に且つ安定性良く測定することが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る鋼管内面の浸炭深さ測定方法を実施するための装置構成例を概略的に示す図である。図1に示すように、浸炭深さ測定装置1は、断面略コの字状のコア111に励磁コイル112及び検出コイル113をそれぞれ巻回して形成されたセンサ11と、励磁コイル112に所定周波数の電圧を印加する発振器12と、励磁コイル112と検出コイル113との間に生じる電磁誘導によって、検出コイル112に誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波(第3高調波)を抽出するバンドパスフィルター13と、前記抽出された第3高調波の振幅値等を検出する波形解析を行うと共に、検出した第3高調波の振幅値等と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する演算手段14とを備えている。また、浸炭深さ測定装置1は、検出コイル113の誘起電圧を増幅してバンドパスフィルター13に出力するための受信アンプ15を備えている。以上の構成を有する浸炭深さ測定装置1で被測定鋼管Pの浸炭深さを測定するに際しては、図1に示すように、センサ11を構成するコア111の両端部111a、111bが被測定鋼管Pの長手方向に沿うように配設される。
【0020】
ここで、磁性体の磁気特性は、一般にB−H曲線として知られているように、非線形特性を示す。つまり、磁性体に付与される磁界強度が小さい場合には、磁性体に生じる磁束密度も小さい(透磁率が小さい)が、所定以上の磁界強度では、最大透磁率が得られ、さらに大きな磁界強度では、磁気飽和現象によって透磁率が小さくなるという特性を有する。従って、例えば、被測定鋼管Pが非磁性体のみからなる場合には、励磁コイル112に正弦波の電圧を印加することによってコア111の両端部111a、111bが磁極となり、両磁極111a、111b間に形成される磁束Φの変化によって検出コイル113に誘起される電圧も正弦波となるが、被測定鋼管Pが磁性体である浸炭層を有する場合には、前記非線形特性に起因して歪を生じ、三角波に近い誘起電圧波形が得られることになる。バンドパスフィルター13で抽出される第3高調波は、前記歪成分に相当するため、当該第3高調波の振幅値等を検出することにより、被測定鋼管Pにおける磁性体の含有量、ひいては、浸炭深さを測定することが可能である。
【0021】
換言すれば、検出コイル113に誘起される誘起電圧波形の第3高調波は、被測定鋼管Pが非磁性材料から構成される場合に、その外径や断面積の変化、或いは外表面の表層部に生じる酸化スケール等による電気抵抗の変動の影響を受け難い一方、被測定鋼管Pを構成する磁性体の影響を受け易く、その透磁率の大きさや含有量に依存して、振幅値や位相値が変動する特性を有する。従って、磁性体である浸炭層の浸炭深さは、第3高調波と相関関係を有することになり、当該相関関係と、前記抽出した第3高調波とによって、浸炭深さを演算することができる。このように、浸炭深さ測定装置1によれば、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、被測定鋼管Pの周方向に沿って、センサ11の配設位置を順次変更して測定することにより、鋼管Pの周方向に沿った浸炭深さを迅速に測定することが可能である。
【0022】
本実施形態に係るセンサ11は、前述のように、断面略コの字状のコア111に励磁コイル112及び検出コイル113をそれぞれ巻回して形成されているため、コア111の両端部111a、111b間の距離を調整することにより、比較的容易に磁極間距離を調整することが可能である。ここで、本発明の発明者らは、図2に示すように、磁極間距離に応じて、被測定鋼管Pへの磁束Φの浸透深さが変化(磁極間距離が大きくなれば浸透深さも大きくなる)することを見出した。すなわち、図2(a)に示すように、磁極間距離がL1の時に生じる磁束Φ1の浸透深さがd1であるとすれば、図2(b)に示すように、磁極間距離をL2(L2>L1)に大きくした時に生じる磁束Φ2の浸透深さd2(d2>d1)も大きくなることを見出した。従って、被測定鋼管Pの内面に生じる浸炭層にまで磁束が十分に到達するように磁極間距離を調整すれば、検出コイル113に誘起される誘起電圧、ひいては、その高調波の振幅が大きくなる結果、外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることが可能である。なお、コア111の両端部111a、111b間距離を調整する際には、異なる両端部間距離を有する複数のコアを用意し、これら複数のコアの中から安定した浸炭深さ測定値が得られるものを適宜選択すればよい他、例えば、磁極間距離が変化する方向(図2の紙面左右方向)に互いに摺動可能に嵌合された一対の部材でコアを構成し、当該1つのコアで両端部間距離を変更可能とすることも可能である。
【0023】
演算手段14は、前述したように、バンドパスフィルター13によって抽出された第3高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算するように構成されている。ここで、第3高調波と浸炭深さとの相関関係は、予め浸炭深さの異なる複数の鋼管のそれぞれについて、誘起電圧波形から抽出した第3高調波の振幅値等を検出し、各浸炭深さと、それに対応する第3高調波の振幅値等との関係を曲線等を用いて近似することによって得られる。演算手段14には、このようにして得られた相関関係(近似曲線等)が予め記憶保存されており、被測定対象鋼管Pから抽出された第3高調波と、前記記憶保存された相関関係とに基づき、前記抽出された第3高調波に対応する浸炭深さを演算するように構成されている。
【0024】
なお、本実施形態に係るセンサ11に近似する形態のセンサとして、例えば、特開平9−166582号公報に開示されているように、断面略コの字状のコアに励磁コイルを巻回して形成された励磁手段と、検出コイルとを備え、漏洩磁束探傷法に用いられるものが知られている。
【0025】
しかしながら、前記公報記載のセンサは、励磁手段によって磁化された被測定物から漏洩する磁束を検出コイルで検知して傷の有無を調べる漏洩磁束探傷法に用いられるものであることから、その原理上、被測定物全体が強磁性材料であることを要するものである。従って、励磁手段の磁極間に強磁性材料が配置されることになる結果、励磁手段と被測定物とによって形成される磁気回路の磁気抵抗は、磁極と被測定物とのギャップである空気層で決定されることになる。斯かる磁気抵抗は極めて小さいため、磁極間距離に対する技術的な配慮は不要である。これに対し、本実施形態に係るセンサ11は、被測定鋼管内面の一部に形成された磁性体(浸炭層)を検知するものであって、被測定対象を明らかに相違する。また、前記公報記載の検出コイルは、傷からの漏洩磁束を検知する必要があるため、被測定物の直近(励磁手段の磁極間)に配置される必要がある。これに対し、本実施形態に係る検出コイル113は、浸炭層の形成によって増加する磁束量の変化を検出するものであるため、被測定物の直近に配置されず、コアによって形成される磁気回路上に配置される(コアに巻回される)点で明らかに相違する。さらに、前記公報記載のセンサは、一般的に点状に分布する傷を検出対象としており、そのサイズが小さいため、被測定物の表面や表面近傍に存在する傷の他、厚みの小さい被測定物の内部傷しか検出できないものである。これに対し、本実施形態に係るセンサ11は、面状に広がる浸炭層を検出対象としており、そのサイズが大きいため、厚みの大きい被測定物であっても検出可能であり、浸炭層が鋼管内面に生じるものであるにも関わらず、鋼管外面から検出することができる点で相違する。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
【0027】
図1に示す浸炭深さ測定装置1によって、本発明に係る浸炭深さ測定方法の効果確認試験を実施した。
【0028】
(1)まず、センサ11を構成するコア111の両端部間の距離(磁極間距離)Lを種々変更(L=16mm、32mm、50mm)し、各磁極間距離Lに応じて被測定鋼管Pへの磁束Φの浸透深さがどのように変化するかを評価した。但し、被測定鋼管P内の磁束Φの浸透深さは実際には測定できないため、試験に際しては被測定鋼管Pを配置せず、コア111の磁極間距離に応じて空気中の磁界強度の分布がどのように変化するかを測定することにより、浸透深さ評価の代替とした。
【0029】
図3に評価結果を示す。ここで、図3の横軸にはコア端部からの深さ(図1のコア端部111a、111bから紙面下方に向けた距離)を、縦軸には磁界強度(両端部111a、111bの中間位置における磁界強度であり、深さ0mmにおける磁界強度を100%として割合表示)をプロットした。図3に示すように、コア端部からの深さが大きくなるに伴って磁界強度は低下するが、磁極間距離を大きくすることにより、その低下率は緩やかになることが分かった。これは、センサ11の下方に被測定鋼管Pを配置した場合に、磁極間距離Lを大きくすることによって、被測定鋼管Pへの磁束Φの浸透深さも大きくなることを示唆するものである。
【0030】
(2)次に、被測定鋼管Pとして、外径56.6mm、肉厚6mm、ヒレ高さ6mmの25質量%Cr、38%質量Niを含有するオーステイナイト系ステンレス管であって、炭素量の分布量が1%を越える浸炭深さがそれぞれ0mm、2.3mm、5.9mm及び6mmである4種の内面ヒレ付き管を用い、前記と同様に3種の磁極間距離を有する各センサ11を用いて、浸炭深さと第3高調波の振幅値との関係を調査した。なお、発振器12による励磁周波数は250Hzとし、バンドパスフィルター13によって750Hzの第3高調波を抽出した。
【0031】
図4に評価結果を示す。ここで、図4の横軸には浸炭深さを、縦軸には第3高調波の振幅値をプロットした。図4に示すように、磁極間距離Lを大きくすることによって、第3高調波の振幅値も大きくなることが分かった。また、磁極間距離Lを大きくする方が、浸炭深さと第3高調波の振幅値とのリニアリティも良好になることが分かった。これらは、前述のように、磁極間距離Lを大きくすることによって、被測定鋼管Pの内面に生じる浸炭層に磁束Φが十分到達することに因るものと考えられる。従って、外乱ノイズ等の影響を受け難く、安定した浸炭深さ測定値を得るには、磁極間距離Lを大きくするのが好ましいといえる。
【0032】
図5は、前述した3種の磁極間距離を有する各センサ11の内、2種(L=16mm、L=50mm)を用いた場合について、浸炭深さ測定値の安定性を評価した結果を示す。ここで、図5の縦軸には、同一条件で測定を繰り返した場合における、第3高調波の振幅値の変動率をプロットした。図5に示すように、L=16mm、50mmのいずれの場合も、測定値変動がおよそ30%程度にまで及ぶ場合があった従来と比べ、変動率が低減し、特に、L=50mmの場合には、大幅に低減することが分かった。
【0033】
ここで、磁極間距離L=50mmの場合には、図3に示すように、コア端部からの深さが12mm(本実施例に係る被測定鋼管Pにおける内面ヒレの山部に相当)における磁界強度は、深さが0mm(本実施例に係る被測定鋼管Pの外面に相当)における磁界強度の60%以上となる。従って、被測定鋼管Pがオーステナイト系ステンレス管である場合において、磁極間距離Lを、被測定鋼管Pの内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように調整すれば、必要以上に磁極間距離Lを大きくし過ぎることなく、被測定鋼管Pの内面に生じる浸炭層にまで磁束を十分に到達させることが可能である点で好ましい。
【0034】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る鋼管の浸炭深さ測定方法によれば、励磁コイルと検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって誘起された検出コイルの誘起電圧波形から、励磁周波数の高調波を抽出し、当該高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算するため、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、被測定鋼管の周方向に沿って、センサの配設位置を順次変更して測定することにより、鋼管の周方向に沿った浸炭深さを迅速に測定することが可能である。また、コアの両端部間の距離(磁極間距離)を調整することにより、被測定鋼管への磁束の浸透深さを比較的容易に変化させることができるため、被測定鋼管の内面に生じる浸炭層にまで磁束が十分に到達するように磁極間距離を調整すれば、検出コイルに誘起される誘起電圧、ひいては、その高調波の振幅が大きくなる結果、外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る鋼管内面の浸炭深さ測定方法を実施するための装置構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示すセンサの磁極間距離と、被測定鋼管への磁束の浸透深さとの関係を説明する説明図である。
【図3】図3は、本発明の実施例に係る各種磁極間距離を有するセンサについて、コア端部からの深さと、磁界強度との関係をプロットしたグラフである。
【図4】図4は、本発明の実施例に係る各種磁極間距離を有するセンサについて、浸炭深さと第3高調波との関係をプロットしたグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例に係る各種磁極間距離を有するセンサについて、浸炭深さ測定値の安定性を評価した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…浸炭深さ測定装置 11…センサ 111…コア
112…励磁コイル 113…検出コイル 12…発振器
13…バンドパスフィルター 14…演算手段 P…被測定鋼管
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して非破壊的に測定する、鋼管内面の浸炭深さ測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油化学プラントのエチレン製造工程で用いられる、いわゆるクラッキングチューブは、長時間使用されることにより内面に浸炭層を生じることが知られている。この浸炭層の発生は、クラッキングチューブの寿命を大きく低減する要因となるため、定期的に浸炭層の深さ(浸炭深さ)を測定し、その進行状況を的確に把握することが必要である。
【0003】
従来、浸炭深さを測定する方法としては、例えば、被検材表面に対して両磁極を水平に配置した永久磁石と、両磁極を垂直に配置した永久磁石とを用い、前者の永久磁石で外表面の表層部及び内面の浸炭層の影響による磁性変化を測定する一方、後者の永久磁石で外表面の表層部の影響による磁性変化を測定し、両測定値の差から浸炭深さを測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、励磁コイルと検出コイルとの間に生じる電磁誘導現象を利用し、励磁コイルに印加する交流の励磁周波数を、磁束の浸透深さが被測定材の厚さ以上となるように選択し、検出コイルの誘起電圧の高調波の振幅若しくは位相値を用いて浸炭深さを測定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2539091号公報
【特許文献2】
特開2000−266727号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1に記載の方法では、2種類の励磁手段(永久磁石)が必要であると共に、直流励磁を用いるので、センサーを被検材に対して静止させないと計測できず、また、磁束の測定にホール素子を用いる場合には局部的な計測しかできないため、長い鋼管の全面について浸炭深さを測定するには、多大な時間を有するという問題がある。また、ホール素子は、温度依存性を有するため、供用期間中検査(ISI)のように、プラントの冷却時間を十分に確保できない場合には、大きな測定誤差を生じるという問題もある。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の方法は、励磁コイルと検出コイルとを一対として対向配置し、検出コイルの誘起電圧について、高調波、つまり歪成分を抽出し、その振幅等を計測する方法である。従って、励磁周波数と同じ周波数成分を抽出する一般的な磁気抵抗測定の場合と異なり、得られる信号は極めて小さく、外乱ノイズ等の影響を受け易いため、測定値の安定性に乏しいという問題がある。前記特許文献2に記載の方法について、本発明の発明者らが実施した実証試験では、測定値の変動がおよそ30%程度にまで及ぶ場合があった。
【0008】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、鋼管の周方向に沿った浸炭深さの分布を迅速に且つ安定性良く測定することのできる方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するべく、本発明は、請求項1に記載の如く、鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して測定する方法であって、断面略コの字状のコアに励磁コイル及び検出コイルをそれぞれ券回して形成されたセンサを、前記コアの両端部が被測定鋼管の長手方向に沿うように配設する第1ステップと、前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する第2ステップと、前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって、前記検出コイルに誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出する第3ステップと、前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する第4ステップとを含むことを特徴とする鋼管内面の浸炭深さ測定方法を提供するものである。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、励磁コイルに電圧を印加することにより、当該励磁コイルが巻回された断面略コの字状のコアの両端部がそれぞれ磁極となり、両磁極間に磁界が形成され、当該磁界中に被測定鋼管が配設されることになる。さらに、励磁コイルと検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって誘起された検出コイルの誘起電圧波形から、励磁周波数の高調波を抽出し、当該高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さが演算される。ここで、誘起電圧波形自体は、被測定鋼管が非磁性材料から構成される場合に、その外径や断面積の変化、或いは外表面の表層部に生じる酸化スケール等による電気抵抗の変動の影響を受け易い。これは、前記電気抵抗の変動が、励磁によって生じる渦電流の変化を引き起こし、これにより誘起電圧波形の振幅値や位相値に変化を生じさせるからである。これに対し、誘起電圧波形の高調波(歪成分)は、被測定鋼管が非磁性材料から構成される場合に、その外径や断面積の変化、或いは外表面の表層部に生じる酸化スケール等による電気抵抗の変動の影響を受け難い一方、被測定鋼管を構成する磁性体の影響を受け易く、その透磁率の大きさや含有量に依存して、振幅値や位相値が変動する特性を有する。従って、磁性体である浸炭層の浸炭深さは、高調波と相関関係を有することになり、当該相関関係と、前記抽出した高調波とによって、浸炭深さを演算することができる。このように、請求項1に係る発明によれば、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、被測定鋼管の周方向に沿って、センサの配設位置を順次変更して測定することにより、鋼管の周方向に沿った浸炭深さを迅速に測定することが可能である。
【0011】
また、請求項1に係る発明によれば、コアの両端部間の距離を調整する(異なる両端部間距離を有する複数のコアを用意するか、或いは、両端部間距離を変更可能なコアを用いる)ことにより、比較的容易に磁極間距離を調整することが可能である。ここで、本発明の発明者らは、当該磁極間距離に応じて、被測定鋼管への磁束の浸透深さが変化(磁極間距離が大きくなれば浸透深さも大きくなる)することを見出した。従って、被測定鋼管の内面に生じる浸炭層にまで磁束が十分に到達するように磁極間距離を調整すれば、検出コイルに誘起される誘起電圧、ひいては、その高調波の振幅が大きくなる結果、外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることが可能である。
【0012】
なお、高調波と浸炭深さとの相関関係は、予め浸炭深さの異なる複数の鋼管のそれぞれについて、誘起電圧波形から抽出した高調波の振幅等を検出し、各浸炭深さと、それに対応する高調波の振幅等との関係を曲線等を用いて近似することによって得ればよい。
【0013】
好ましくは、請求項2に記載の如く、前記高調波は、高調波の内で最も大きな振幅が得られる第3高調波とされる。
【0014】
また、請求項3に記載の如く、被測定鋼管がオーステナイト系ステンレス管である場合において、前記コアの両端部間の距離を、被測定鋼管の内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように調整するのが好ましい。
【0015】
前述のように、コアの両端部間の距離、すなわち、磁極間距離を大きくすることによって、被測定鋼管への磁束の浸透深さを大きくすることができ、これにより外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることが可能である。一方、磁極間距離を大きくし過ぎると、磁極間の磁気抵抗が大きくなり、測定に必要な磁界強度を得ることができなくなったり、センサが大型化し、ハンドリングが困難であると共に、原理上、被測定鋼管の内、磁極間に位置する部分の平均的な浸炭深さを測定することになるため、被測定鋼管の長手方向に沿って分解能の高い測定ができなくなるという問題も生じる。従って、磁極間距離を決定するための適切な指針を得ることが望まれる。
【0016】
請求項3に係る発明は、本発明者の発明者らが鋭意検討することにより見出したものであり、磁極間距離を決定するための適切な指針を与えるものである。すなわち、請求項3に係る発明によれば、被測定鋼管がオーステナイト系ステンレス管である場合において、被測定鋼管の内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように、コアの両端部間の距離を調整すればよく、必要以上に磁極間距離を大きくし過ぎることなく、被測定鋼管の内面に生じる浸炭層にまで磁束を十分に到達させることが可能である。
【0017】
なお、前記課題を解決するべく、本発明は、請求項4に記載の如く、鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して測定する装置であって、断面略コの字状のコアに励磁コイル及び検出コイルをそれぞれ券回して形成されたセンサと、前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する発振器と、前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって、前記検出コイルに誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出するフィルター手段と、前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する演算手段とを備えることを特徴とする鋼管内面の浸炭深さ測定装置としても提供され、コアの両端部が被測定鋼管の長手方向に沿うようにセンサを配設することにより、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、鋼管の周方向に沿った浸炭深さの分布を迅速に且つ安定性良く測定することが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る鋼管内面の浸炭深さ測定方法を実施するための装置構成例を概略的に示す図である。図1に示すように、浸炭深さ測定装置1は、断面略コの字状のコア111に励磁コイル112及び検出コイル113をそれぞれ巻回して形成されたセンサ11と、励磁コイル112に所定周波数の電圧を印加する発振器12と、励磁コイル112と検出コイル113との間に生じる電磁誘導によって、検出コイル112に誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波(第3高調波)を抽出するバンドパスフィルター13と、前記抽出された第3高調波の振幅値等を検出する波形解析を行うと共に、検出した第3高調波の振幅値等と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する演算手段14とを備えている。また、浸炭深さ測定装置1は、検出コイル113の誘起電圧を増幅してバンドパスフィルター13に出力するための受信アンプ15を備えている。以上の構成を有する浸炭深さ測定装置1で被測定鋼管Pの浸炭深さを測定するに際しては、図1に示すように、センサ11を構成するコア111の両端部111a、111bが被測定鋼管Pの長手方向に沿うように配設される。
【0020】
ここで、磁性体の磁気特性は、一般にB−H曲線として知られているように、非線形特性を示す。つまり、磁性体に付与される磁界強度が小さい場合には、磁性体に生じる磁束密度も小さい(透磁率が小さい)が、所定以上の磁界強度では、最大透磁率が得られ、さらに大きな磁界強度では、磁気飽和現象によって透磁率が小さくなるという特性を有する。従って、例えば、被測定鋼管Pが非磁性体のみからなる場合には、励磁コイル112に正弦波の電圧を印加することによってコア111の両端部111a、111bが磁極となり、両磁極111a、111b間に形成される磁束Φの変化によって検出コイル113に誘起される電圧も正弦波となるが、被測定鋼管Pが磁性体である浸炭層を有する場合には、前記非線形特性に起因して歪を生じ、三角波に近い誘起電圧波形が得られることになる。バンドパスフィルター13で抽出される第3高調波は、前記歪成分に相当するため、当該第3高調波の振幅値等を検出することにより、被測定鋼管Pにおける磁性体の含有量、ひいては、浸炭深さを測定することが可能である。
【0021】
換言すれば、検出コイル113に誘起される誘起電圧波形の第3高調波は、被測定鋼管Pが非磁性材料から構成される場合に、その外径や断面積の変化、或いは外表面の表層部に生じる酸化スケール等による電気抵抗の変動の影響を受け難い一方、被測定鋼管Pを構成する磁性体の影響を受け易く、その透磁率の大きさや含有量に依存して、振幅値や位相値が変動する特性を有する。従って、磁性体である浸炭層の浸炭深さは、第3高調波と相関関係を有することになり、当該相関関係と、前記抽出した第3高調波とによって、浸炭深さを演算することができる。このように、浸炭深さ測定装置1によれば、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、被測定鋼管Pの周方向に沿って、センサ11の配設位置を順次変更して測定することにより、鋼管Pの周方向に沿った浸炭深さを迅速に測定することが可能である。
【0022】
本実施形態に係るセンサ11は、前述のように、断面略コの字状のコア111に励磁コイル112及び検出コイル113をそれぞれ巻回して形成されているため、コア111の両端部111a、111b間の距離を調整することにより、比較的容易に磁極間距離を調整することが可能である。ここで、本発明の発明者らは、図2に示すように、磁極間距離に応じて、被測定鋼管Pへの磁束Φの浸透深さが変化(磁極間距離が大きくなれば浸透深さも大きくなる)することを見出した。すなわち、図2(a)に示すように、磁極間距離がL1の時に生じる磁束Φ1の浸透深さがd1であるとすれば、図2(b)に示すように、磁極間距離をL2(L2>L1)に大きくした時に生じる磁束Φ2の浸透深さd2(d2>d1)も大きくなることを見出した。従って、被測定鋼管Pの内面に生じる浸炭層にまで磁束が十分に到達するように磁極間距離を調整すれば、検出コイル113に誘起される誘起電圧、ひいては、その高調波の振幅が大きくなる結果、外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることが可能である。なお、コア111の両端部111a、111b間距離を調整する際には、異なる両端部間距離を有する複数のコアを用意し、これら複数のコアの中から安定した浸炭深さ測定値が得られるものを適宜選択すればよい他、例えば、磁極間距離が変化する方向(図2の紙面左右方向)に互いに摺動可能に嵌合された一対の部材でコアを構成し、当該1つのコアで両端部間距離を変更可能とすることも可能である。
【0023】
演算手段14は、前述したように、バンドパスフィルター13によって抽出された第3高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算するように構成されている。ここで、第3高調波と浸炭深さとの相関関係は、予め浸炭深さの異なる複数の鋼管のそれぞれについて、誘起電圧波形から抽出した第3高調波の振幅値等を検出し、各浸炭深さと、それに対応する第3高調波の振幅値等との関係を曲線等を用いて近似することによって得られる。演算手段14には、このようにして得られた相関関係(近似曲線等)が予め記憶保存されており、被測定対象鋼管Pから抽出された第3高調波と、前記記憶保存された相関関係とに基づき、前記抽出された第3高調波に対応する浸炭深さを演算するように構成されている。
【0024】
なお、本実施形態に係るセンサ11に近似する形態のセンサとして、例えば、特開平9−166582号公報に開示されているように、断面略コの字状のコアに励磁コイルを巻回して形成された励磁手段と、検出コイルとを備え、漏洩磁束探傷法に用いられるものが知られている。
【0025】
しかしながら、前記公報記載のセンサは、励磁手段によって磁化された被測定物から漏洩する磁束を検出コイルで検知して傷の有無を調べる漏洩磁束探傷法に用いられるものであることから、その原理上、被測定物全体が強磁性材料であることを要するものである。従って、励磁手段の磁極間に強磁性材料が配置されることになる結果、励磁手段と被測定物とによって形成される磁気回路の磁気抵抗は、磁極と被測定物とのギャップである空気層で決定されることになる。斯かる磁気抵抗は極めて小さいため、磁極間距離に対する技術的な配慮は不要である。これに対し、本実施形態に係るセンサ11は、被測定鋼管内面の一部に形成された磁性体(浸炭層)を検知するものであって、被測定対象を明らかに相違する。また、前記公報記載の検出コイルは、傷からの漏洩磁束を検知する必要があるため、被測定物の直近(励磁手段の磁極間)に配置される必要がある。これに対し、本実施形態に係る検出コイル113は、浸炭層の形成によって増加する磁束量の変化を検出するものであるため、被測定物の直近に配置されず、コアによって形成される磁気回路上に配置される(コアに巻回される)点で明らかに相違する。さらに、前記公報記載のセンサは、一般的に点状に分布する傷を検出対象としており、そのサイズが小さいため、被測定物の表面や表面近傍に存在する傷の他、厚みの小さい被測定物の内部傷しか検出できないものである。これに対し、本実施形態に係るセンサ11は、面状に広がる浸炭層を検出対象としており、そのサイズが大きいため、厚みの大きい被測定物であっても検出可能であり、浸炭層が鋼管内面に生じるものであるにも関わらず、鋼管外面から検出することができる点で相違する。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
【0027】
図1に示す浸炭深さ測定装置1によって、本発明に係る浸炭深さ測定方法の効果確認試験を実施した。
【0028】
(1)まず、センサ11を構成するコア111の両端部間の距離(磁極間距離)Lを種々変更(L=16mm、32mm、50mm)し、各磁極間距離Lに応じて被測定鋼管Pへの磁束Φの浸透深さがどのように変化するかを評価した。但し、被測定鋼管P内の磁束Φの浸透深さは実際には測定できないため、試験に際しては被測定鋼管Pを配置せず、コア111の磁極間距離に応じて空気中の磁界強度の分布がどのように変化するかを測定することにより、浸透深さ評価の代替とした。
【0029】
図3に評価結果を示す。ここで、図3の横軸にはコア端部からの深さ(図1のコア端部111a、111bから紙面下方に向けた距離)を、縦軸には磁界強度(両端部111a、111bの中間位置における磁界強度であり、深さ0mmにおける磁界強度を100%として割合表示)をプロットした。図3に示すように、コア端部からの深さが大きくなるに伴って磁界強度は低下するが、磁極間距離を大きくすることにより、その低下率は緩やかになることが分かった。これは、センサ11の下方に被測定鋼管Pを配置した場合に、磁極間距離Lを大きくすることによって、被測定鋼管Pへの磁束Φの浸透深さも大きくなることを示唆するものである。
【0030】
(2)次に、被測定鋼管Pとして、外径56.6mm、肉厚6mm、ヒレ高さ6mmの25質量%Cr、38%質量Niを含有するオーステイナイト系ステンレス管であって、炭素量の分布量が1%を越える浸炭深さがそれぞれ0mm、2.3mm、5.9mm及び6mmである4種の内面ヒレ付き管を用い、前記と同様に3種の磁極間距離を有する各センサ11を用いて、浸炭深さと第3高調波の振幅値との関係を調査した。なお、発振器12による励磁周波数は250Hzとし、バンドパスフィルター13によって750Hzの第3高調波を抽出した。
【0031】
図4に評価結果を示す。ここで、図4の横軸には浸炭深さを、縦軸には第3高調波の振幅値をプロットした。図4に示すように、磁極間距離Lを大きくすることによって、第3高調波の振幅値も大きくなることが分かった。また、磁極間距離Lを大きくする方が、浸炭深さと第3高調波の振幅値とのリニアリティも良好になることが分かった。これらは、前述のように、磁極間距離Lを大きくすることによって、被測定鋼管Pの内面に生じる浸炭層に磁束Φが十分到達することに因るものと考えられる。従って、外乱ノイズ等の影響を受け難く、安定した浸炭深さ測定値を得るには、磁極間距離Lを大きくするのが好ましいといえる。
【0032】
図5は、前述した3種の磁極間距離を有する各センサ11の内、2種(L=16mm、L=50mm)を用いた場合について、浸炭深さ測定値の安定性を評価した結果を示す。ここで、図5の縦軸には、同一条件で測定を繰り返した場合における、第3高調波の振幅値の変動率をプロットした。図5に示すように、L=16mm、50mmのいずれの場合も、測定値変動がおよそ30%程度にまで及ぶ場合があった従来と比べ、変動率が低減し、特に、L=50mmの場合には、大幅に低減することが分かった。
【0033】
ここで、磁極間距離L=50mmの場合には、図3に示すように、コア端部からの深さが12mm(本実施例に係る被測定鋼管Pにおける内面ヒレの山部に相当)における磁界強度は、深さが0mm(本実施例に係る被測定鋼管Pの外面に相当)における磁界強度の60%以上となる。従って、被測定鋼管Pがオーステナイト系ステンレス管である場合において、磁極間距離Lを、被測定鋼管Pの内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように調整すれば、必要以上に磁極間距離Lを大きくし過ぎることなく、被測定鋼管Pの内面に生じる浸炭層にまで磁束を十分に到達させることが可能である点で好ましい。
【0034】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る鋼管の浸炭深さ測定方法によれば、励磁コイルと検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって誘起された検出コイルの誘起電圧波形から、励磁周波数の高調波を抽出し、当該高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算するため、鋼管外表面の表層部の影響を軽減し得ると共に、被測定鋼管の周方向に沿って、センサの配設位置を順次変更して測定することにより、鋼管の周方向に沿った浸炭深さを迅速に測定することが可能である。また、コアの両端部間の距離(磁極間距離)を調整することにより、被測定鋼管への磁束の浸透深さを比較的容易に変化させることができるため、被測定鋼管の内面に生じる浸炭層にまで磁束が十分に到達するように磁極間距離を調整すれば、検出コイルに誘起される誘起電圧、ひいては、その高調波の振幅が大きくなる結果、外乱ノイズ等の影響を受け難く安定した浸炭深さ測定値を得ることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る鋼管内面の浸炭深さ測定方法を実施するための装置構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示すセンサの磁極間距離と、被測定鋼管への磁束の浸透深さとの関係を説明する説明図である。
【図3】図3は、本発明の実施例に係る各種磁極間距離を有するセンサについて、コア端部からの深さと、磁界強度との関係をプロットしたグラフである。
【図4】図4は、本発明の実施例に係る各種磁極間距離を有するセンサについて、浸炭深さと第3高調波との関係をプロットしたグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例に係る各種磁極間距離を有するセンサについて、浸炭深さ測定値の安定性を評価した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…浸炭深さ測定装置 11…センサ 111…コア
112…励磁コイル 113…検出コイル 12…発振器
13…バンドパスフィルター 14…演算手段 P…被測定鋼管
Claims (4)
- 鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して測定する方法であって、
断面略コの字状のコアに励磁コイル及び検出コイルをそれぞれ券回して形成されたセンサを、前記コアの両端部が被測定鋼管の長手方向に沿うように配設する第1ステップと、
前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する第2ステップと、
前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって、前記検出コイルに誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出する第3ステップと、
前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する第4ステップとを含むことを特徴とする鋼管内面の浸炭深さ測定方法。 - 前記高調波は、第3高調波とされることを特徴とする請求項1に記載の鋼管内面の浸炭深さ測定方法。
- 被測定鋼管がオーステナイト系ステンレス管である場合において、前記コアの両端部間の距離を、被測定鋼管の内面における磁界強度が外面における磁界強度の少なくとも60%以上となるように調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管内面の浸炭深さ測定方法。
- 鋼管内面に生じる浸炭の深さを、当該浸炭に伴う磁性変化を利用して測定する装置であって、
断面略コの字状のコアに励磁コイル及び検出コイルをそれぞれ券回して形成されたセンサと、
前記励磁コイルに所定周波数の電圧を印加する発振器と、
前記励磁コイルと前記検出コイルとの間に生じる電磁誘導によって、前記検出コイルに誘起された誘起電圧波形から、前記所定周波数の高調波を抽出するフィルター手段と、
前記抽出された高調波と浸炭深さとの相関関係に基づき、浸炭深さを演算する演算手段とを備えることを特徴とする鋼管内面の浸炭深さ測定装置。
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