JP2004275839A - 多孔質材料、その製造方法及びその用途 - Google Patents
多孔質材料、その製造方法及びその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004275839A JP2004275839A JP2003068507A JP2003068507A JP2004275839A JP 2004275839 A JP2004275839 A JP 2004275839A JP 2003068507 A JP2003068507 A JP 2003068507A JP 2003068507 A JP2003068507 A JP 2003068507A JP 2004275839 A JP2004275839 A JP 2004275839A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- porous material
- porous
- metal
- iron
- silica
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質材料及びその製造方法に関し、さらには、それを利用した重金属オキシアニオン用吸着材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミノ官能基の多孔質材への担持方法としては、アミノプロピルトリエトキシシラン等アミノシラン系シランカップリング剤により行う方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、アミノ官能基を含有する多孔質材料の吸着用材料への応用例としては、例えば、シリカあるいはアルミナ担体にジエタノールアミンを担持させた有機硫黄化合物吸着材料(特許文献2参照)、シリカゲルにアミノプロピルトリエトキシシランを反応させアミノ基を導入、これにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二無水物と反応、加水分解させて得られる重金属カチオンの捕捉剤(特許文献1参照)等が示されている。
【0004】
さらに、セレンのような重金属オキシアニオンを吸着する多孔質材料としては、多孔質担体にアントラヒドロキノン系化合物を担持したものが示されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−212470号公報
【特許文献2】
特開平11−28354号公報
【特許文献3】
特開平10−286580号公報
【0006】
【発明が解決しようとする問題】
本発明は、上記のような状況に鑑み、吸着材料、特に重金属オキシアニオン吸着用材料として有用な多孔質材料を提供することを目的として行ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記したような課題に対し鋭意検討を行った結果、新規多孔質材料を見い出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、一般式(1)で示される化合物を担持してなる多孔質材料である。
【0008】
【化2】
(式中、l、mは1〜6の整数、nは0〜5の整数である。)
以下本発明を詳細に説明する。本発明の多孔質材料は一般式(1)で示される化合物を多孔質材に担持したものである。
【0009】
多孔質材としては、一般的な多孔質材であるシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ゼオライトが挙げられるが、多孔質材表面にOH基等の官能基を有しているものが好ましく、中でも、シリカ、シリカ−ゼオライトが特に好適である。
【0010】
多孔質材への一般式(1)で示される化合物の担持方法としては、特に制約はないが、多孔質材にハロゲン化アルキルシランを担持させた後、ポリエチレンポリアミンを反応させてなることにより行われる。また、多孔質材がシリカである場合、テトラアルコキシシランとハロゲン化アルキルシランを共縮合させ直接合成した後、ポリエチレンポリアミンを反応させてなることでも可能である。
【0011】
多孔質材に担持させるハロゲン化アルキルシランとしては、ハロゲン化アルキル基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖アルキル基の末端にハロゲン原子を有するものが挙げられる。具体的には、(クロロメチル)トリメトキシシラン、(クロロメチル)メチルジメトキシシラン、(クロロメチル)トリエトキシシラン、(2−クロロエチル)トリメトキシシラン、(2−クロロエチル)メチルジメトキシシラン、(2−クロロエチル)トリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、(3−クロロプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン、(ブロモメチル)トリメトキシシラン、(ブロモメチル)メチルジメトキシシラン、(ブロモメチル)トリエトキシシラン、(2−ブロモエチル)トリメトキシシラン、(2−ブロモエチル)メチルジメトキシシラン、(2−ブロモエチル)トリエトキシシラン、(3−ブロモプロピル)トリメトキシシラン、(3−ブロモプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−ブロモプロピル)トリエトキシシラン等が挙げられる。
【0012】
多孔質材へのハロゲン化アルキルシランの担持方法についても特に制限はなく、例えば、多孔質材とハロゲン化アルキルシランを無溶媒あるいはトルエンのような有機溶媒中で、1〜100時間、室温または加熱攪拌することにより担持可能である。担持させるハロゲン化アルキルシランの量は、多孔質材1gに対して0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜10molである。
【0013】
多孔質材にハロゲン化アルキルシランを担持させた後に用いられるポリエチレンポリアミンとしては、H2N(CH2CH2NH)nCH2CH2NH2(nは0〜5の整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的にはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンが挙げられる。
【0014】
多孔質材とハロゲン化アルキルシランの担持後に行われるポリエチレンポリアミンとの反応は、例えば、無溶媒下、あるいは、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族系溶媒中、室温〜120℃、1〜100時間の条件で行われる。反応後、希塩酸水溶液で洗浄することにより未反応ポリアミンを除去する。反応させるポリエチレンポリアミンの量は、多孔質材1gに対して0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜10molである。
【0015】
このような方法で得られる多孔質材料は驚くべきことに一般式(1)のような構造を有し、従来のアミノプロピルトリエトキシシラン等アミノシラン系カップリング剤を用いて得られる構造(一般式(2))とは異なっている。
【0016】
【化3】
(式中、l、mは1〜6の整数、nは0〜5の整数である。)
【0017】
【化4】
(式中、mは1〜6の整数、nは0〜5の整数である。)
担持される一般式(1)で示される化合物の量は、多孔質材料1g当り0.01〜20mmol、好ましくは0.1〜10mmolである。
【0018】
本発明の多孔質材料の細孔径、比表面積については特に制限はないが、細孔径1〜50nm、表面積200〜2000m2/gの範囲にあるものが好適である。
【0019】
本発明の多孔質材料は吸着材料として用いることができる。吸着対象については特に限定はなく、例えば、大気中の酸類、あるいは排水中の硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フェノール等の酸類、鉛、カドミウム等重金属カチオン、ヒ素、クロム等の重金属オキシアニオン等が挙げられ、特に重金属オキシアニオン用吸着材料として好適である。
【0020】
重金属オキシアニオン用吸着材料として用いる場合は、さらに多孔質材料に鉄、ジルコニウム等の金属を配位させたものが好ましい。配位させる金属の量は、多孔質材料1g当り0.01〜20mmol、好ましくは0.1〜10mmolである。金属の配位方法としては、特に限定はないが、多孔質材料に金属のハロゲン化物あるいは水酸化物を水溶液中で反応させることによりなされる。金属としては、人体、環境に対し影響が小さいものが好適であり、鉄、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、セリウム等が好適なものとして挙げられる。金属のハロゲン化物あるいは水酸化物としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、水酸化鉄、塩化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化セリウム等が挙げられる。反応させる金属化合物の量は、多孔質材1gに対して0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜10molである。
【0021】
なお、吸着対象となる重金属オキシアニオンとしては、AsO4 3−、CrO4 2−、SeO4 2−、MoO4 2−等の人体、環境に対して有害とされる化合物が例示される。
【0022】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
実施例1 (本発明の多孔質材料の製造法)
250gの水に、テトラエトキシシラン30.0g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド2.4g、および、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.2gを溶解し、室温4時間攪拌した。白色の析出物をろ過し、120℃で乾燥し、さらに、得られた固体を630℃で4時間焼成して多孔質シリカを得た。
【0024】
次いで、トルエン溶媒(20ml)中、得られた多孔質シリカ4.5gと3−クロロプロピルトリメトキシシラン0.5gの混合物を窒素雰囲気下、還流状態で6時間担持させ、その後、ろ過、2−プロパノールで洗浄、乾燥した。さらに、クロロプロピルトリメトキシシランを担持させた多孔質シリカ1.0gに対し5mmol(0.30g)のエチレンジアミンを含浸させ、60℃で20時間反応させた。反応後、固体を0.01N HClで水洗し、さらにエタノールで洗浄、乾燥を行い、一般式(3)で示されるプロピルシラン−エチレンジアミン担持多孔質シリカを得た。得られた多孔質シリカはX線解析によりメソポーラス構造を有しており、表面積は窒素吸着によるBET法で562m2/g、細孔径は3.65nmであった。元素分析を行うと、C 6.72、H 2.71、N 1.77で、C/N比は4.43であった。さらに、13C−NMRのピークは8、25、44、59ppmに存在し、またC/N比より下記構造が主成分であると同定され、また得られた多孔質材料は1g当たり1.4ミリモルのエチレンジアミンを含んでいた。
【0025】
【化5】
実施例2 (鉄配位多孔質材料)
実施例1で得られた多孔質シリカ1.0gにFeCl3の10%水溶液10mlを添加し、室温で10時間攪拌を行った。その後、粉体をろ過、水洗を繰返し、さらにエタノールで洗浄、乾燥を行い鉄配位多孔質シリカを得た。得られた多孔質材料は1g当たり0.61ミリモルの鉄を含んでいた。
【0026】
実施例3 (重金属オキシアニオンの吸着性能評価)
K2HAsO4をHAsO4 2−濃度が50ppmとなるよう蒸留水に溶解した溶液10ml中に、実施例1で得られた多孔質シリカ50mgを投入、室温で10時間攪拌を行った。その後、粉体をろ過し、溶液中のHAsO4 2−イオンをICPで定量した。結果を表1に示す。
【0027】
実施例4
HAsO4 2−濃度を300ppmにした以外は実施例2と同様の方法で吸着実験を行った。結果を表1に示す。
【0028】
実施例5、6
K2HAsO4をK2CrO4に変え、CrO4 2−濃度が50ppmおよび300ppmとなるようにした以外は実施例2と同様の方法により行った。CrO4 2−の吸着結果を表1に示す。
【0029】
実施例7〜10
実施例2で得られた鉄配位多孔質シリカの吸着性能評価を実施例3〜6と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0030】
比較例1 (アミノシランを用いた多孔質材料の合成法)
250gの水に、テトラエトキシシラン30.0g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド2.4g、および、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.2gを溶解し、室温で4時間攪拌した。白色の析出物をろ過し、120℃で乾燥し、さらに、得られた固体を630℃で4時間焼成して多孔質シリカを得た。
【0031】
次いで、トルエン溶媒(20ml)中、得られた多孔質シリカ4.5gと1−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gの混合物を窒素雰囲気下、還流状態で6時間反応させ、その後、ろ過、2−プロパノールで洗浄、乾燥して、アミノシラン修飾多孔質シリカを得た。
【0032】
得られたアミノシラン修飾多孔質シリカはX線解析によりメソポーラス構造を有しており、表面積は窒素吸着によるBET法で586m2/g、細孔径は2.6nmであった。また、13C−NMRのピークは8、28、44、54ppmに存在し、またC/N比2.76であることから下記一般式(4)が主成分であると同定される。
【0033】
【化6】
【表1】
【本発明の効果】
本発明の多孔質材料は吸着材料、特に重金属オキシアニオン用吸着材料として好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質材料及びその製造方法に関し、さらには、それを利用した重金属オキシアニオン用吸着材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミノ官能基の多孔質材への担持方法としては、アミノプロピルトリエトキシシラン等アミノシラン系シランカップリング剤により行う方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、アミノ官能基を含有する多孔質材料の吸着用材料への応用例としては、例えば、シリカあるいはアルミナ担体にジエタノールアミンを担持させた有機硫黄化合物吸着材料(特許文献2参照)、シリカゲルにアミノプロピルトリエトキシシランを反応させアミノ基を導入、これにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二無水物と反応、加水分解させて得られる重金属カチオンの捕捉剤(特許文献1参照)等が示されている。
【0004】
さらに、セレンのような重金属オキシアニオンを吸着する多孔質材料としては、多孔質担体にアントラヒドロキノン系化合物を担持したものが示されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−212470号公報
【特許文献2】
特開平11−28354号公報
【特許文献3】
特開平10−286580号公報
【0006】
【発明が解決しようとする問題】
本発明は、上記のような状況に鑑み、吸着材料、特に重金属オキシアニオン吸着用材料として有用な多孔質材料を提供することを目的として行ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記したような課題に対し鋭意検討を行った結果、新規多孔質材料を見い出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、一般式(1)で示される化合物を担持してなる多孔質材料である。
【0008】
【化2】
(式中、l、mは1〜6の整数、nは0〜5の整数である。)
以下本発明を詳細に説明する。本発明の多孔質材料は一般式(1)で示される化合物を多孔質材に担持したものである。
【0009】
多孔質材としては、一般的な多孔質材であるシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ゼオライトが挙げられるが、多孔質材表面にOH基等の官能基を有しているものが好ましく、中でも、シリカ、シリカ−ゼオライトが特に好適である。
【0010】
多孔質材への一般式(1)で示される化合物の担持方法としては、特に制約はないが、多孔質材にハロゲン化アルキルシランを担持させた後、ポリエチレンポリアミンを反応させてなることにより行われる。また、多孔質材がシリカである場合、テトラアルコキシシランとハロゲン化アルキルシランを共縮合させ直接合成した後、ポリエチレンポリアミンを反応させてなることでも可能である。
【0011】
多孔質材に担持させるハロゲン化アルキルシランとしては、ハロゲン化アルキル基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖アルキル基の末端にハロゲン原子を有するものが挙げられる。具体的には、(クロロメチル)トリメトキシシラン、(クロロメチル)メチルジメトキシシラン、(クロロメチル)トリエトキシシラン、(2−クロロエチル)トリメトキシシラン、(2−クロロエチル)メチルジメトキシシラン、(2−クロロエチル)トリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、(3−クロロプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン、(ブロモメチル)トリメトキシシラン、(ブロモメチル)メチルジメトキシシラン、(ブロモメチル)トリエトキシシラン、(2−ブロモエチル)トリメトキシシラン、(2−ブロモエチル)メチルジメトキシシラン、(2−ブロモエチル)トリエトキシシラン、(3−ブロモプロピル)トリメトキシシラン、(3−ブロモプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−ブロモプロピル)トリエトキシシラン等が挙げられる。
【0012】
多孔質材へのハロゲン化アルキルシランの担持方法についても特に制限はなく、例えば、多孔質材とハロゲン化アルキルシランを無溶媒あるいはトルエンのような有機溶媒中で、1〜100時間、室温または加熱攪拌することにより担持可能である。担持させるハロゲン化アルキルシランの量は、多孔質材1gに対して0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜10molである。
【0013】
多孔質材にハロゲン化アルキルシランを担持させた後に用いられるポリエチレンポリアミンとしては、H2N(CH2CH2NH)nCH2CH2NH2(nは0〜5の整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的にはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンが挙げられる。
【0014】
多孔質材とハロゲン化アルキルシランの担持後に行われるポリエチレンポリアミンとの反応は、例えば、無溶媒下、あるいは、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族系溶媒中、室温〜120℃、1〜100時間の条件で行われる。反応後、希塩酸水溶液で洗浄することにより未反応ポリアミンを除去する。反応させるポリエチレンポリアミンの量は、多孔質材1gに対して0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜10molである。
【0015】
このような方法で得られる多孔質材料は驚くべきことに一般式(1)のような構造を有し、従来のアミノプロピルトリエトキシシラン等アミノシラン系カップリング剤を用いて得られる構造(一般式(2))とは異なっている。
【0016】
【化3】
(式中、l、mは1〜6の整数、nは0〜5の整数である。)
【0017】
【化4】
(式中、mは1〜6の整数、nは0〜5の整数である。)
担持される一般式(1)で示される化合物の量は、多孔質材料1g当り0.01〜20mmol、好ましくは0.1〜10mmolである。
【0018】
本発明の多孔質材料の細孔径、比表面積については特に制限はないが、細孔径1〜50nm、表面積200〜2000m2/gの範囲にあるものが好適である。
【0019】
本発明の多孔質材料は吸着材料として用いることができる。吸着対象については特に限定はなく、例えば、大気中の酸類、あるいは排水中の硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フェノール等の酸類、鉛、カドミウム等重金属カチオン、ヒ素、クロム等の重金属オキシアニオン等が挙げられ、特に重金属オキシアニオン用吸着材料として好適である。
【0020】
重金属オキシアニオン用吸着材料として用いる場合は、さらに多孔質材料に鉄、ジルコニウム等の金属を配位させたものが好ましい。配位させる金属の量は、多孔質材料1g当り0.01〜20mmol、好ましくは0.1〜10mmolである。金属の配位方法としては、特に限定はないが、多孔質材料に金属のハロゲン化物あるいは水酸化物を水溶液中で反応させることによりなされる。金属としては、人体、環境に対し影響が小さいものが好適であり、鉄、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、セリウム等が好適なものとして挙げられる。金属のハロゲン化物あるいは水酸化物としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、水酸化鉄、塩化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化セリウム等が挙げられる。反応させる金属化合物の量は、多孔質材1gに対して0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜10molである。
【0021】
なお、吸着対象となる重金属オキシアニオンとしては、AsO4 3−、CrO4 2−、SeO4 2−、MoO4 2−等の人体、環境に対して有害とされる化合物が例示される。
【0022】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
実施例1 (本発明の多孔質材料の製造法)
250gの水に、テトラエトキシシラン30.0g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド2.4g、および、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.2gを溶解し、室温4時間攪拌した。白色の析出物をろ過し、120℃で乾燥し、さらに、得られた固体を630℃で4時間焼成して多孔質シリカを得た。
【0024】
次いで、トルエン溶媒(20ml)中、得られた多孔質シリカ4.5gと3−クロロプロピルトリメトキシシラン0.5gの混合物を窒素雰囲気下、還流状態で6時間担持させ、その後、ろ過、2−プロパノールで洗浄、乾燥した。さらに、クロロプロピルトリメトキシシランを担持させた多孔質シリカ1.0gに対し5mmol(0.30g)のエチレンジアミンを含浸させ、60℃で20時間反応させた。反応後、固体を0.01N HClで水洗し、さらにエタノールで洗浄、乾燥を行い、一般式(3)で示されるプロピルシラン−エチレンジアミン担持多孔質シリカを得た。得られた多孔質シリカはX線解析によりメソポーラス構造を有しており、表面積は窒素吸着によるBET法で562m2/g、細孔径は3.65nmであった。元素分析を行うと、C 6.72、H 2.71、N 1.77で、C/N比は4.43であった。さらに、13C−NMRのピークは8、25、44、59ppmに存在し、またC/N比より下記構造が主成分であると同定され、また得られた多孔質材料は1g当たり1.4ミリモルのエチレンジアミンを含んでいた。
【0025】
【化5】
実施例2 (鉄配位多孔質材料)
実施例1で得られた多孔質シリカ1.0gにFeCl3の10%水溶液10mlを添加し、室温で10時間攪拌を行った。その後、粉体をろ過、水洗を繰返し、さらにエタノールで洗浄、乾燥を行い鉄配位多孔質シリカを得た。得られた多孔質材料は1g当たり0.61ミリモルの鉄を含んでいた。
【0026】
実施例3 (重金属オキシアニオンの吸着性能評価)
K2HAsO4をHAsO4 2−濃度が50ppmとなるよう蒸留水に溶解した溶液10ml中に、実施例1で得られた多孔質シリカ50mgを投入、室温で10時間攪拌を行った。その後、粉体をろ過し、溶液中のHAsO4 2−イオンをICPで定量した。結果を表1に示す。
【0027】
実施例4
HAsO4 2−濃度を300ppmにした以外は実施例2と同様の方法で吸着実験を行った。結果を表1に示す。
【0028】
実施例5、6
K2HAsO4をK2CrO4に変え、CrO4 2−濃度が50ppmおよび300ppmとなるようにした以外は実施例2と同様の方法により行った。CrO4 2−の吸着結果を表1に示す。
【0029】
実施例7〜10
実施例2で得られた鉄配位多孔質シリカの吸着性能評価を実施例3〜6と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0030】
比較例1 (アミノシランを用いた多孔質材料の合成法)
250gの水に、テトラエトキシシラン30.0g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド2.4g、および、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.2gを溶解し、室温で4時間攪拌した。白色の析出物をろ過し、120℃で乾燥し、さらに、得られた固体を630℃で4時間焼成して多孔質シリカを得た。
【0031】
次いで、トルエン溶媒(20ml)中、得られた多孔質シリカ4.5gと1−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5gの混合物を窒素雰囲気下、還流状態で6時間反応させ、その後、ろ過、2−プロパノールで洗浄、乾燥して、アミノシラン修飾多孔質シリカを得た。
【0032】
得られたアミノシラン修飾多孔質シリカはX線解析によりメソポーラス構造を有しており、表面積は窒素吸着によるBET法で586m2/g、細孔径は2.6nmであった。また、13C−NMRのピークは8、28、44、54ppmに存在し、またC/N比2.76であることから下記一般式(4)が主成分であると同定される。
【0033】
【化6】
【表1】
【本発明の効果】
本発明の多孔質材料は吸着材料、特に重金属オキシアニオン用吸着材料として好適に用いることができる。
Claims (7)
- 多孔質材にハロゲン化アルキルシランを担持させた後、ポリエチレンポリアミンを反応させてなることを特徴とする請求項1記載多孔質材料の製造方法。
- 請求項1記載の多孔質材料に金属を配位させてなる多孔質材料。
- 金属が鉄、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム及びセリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種以上である請求項3記載の多孔質材料。
- 請求項1記載の多孔質材料に、金属のハロゲン化物あるいは水酸化物を反応させてなることを特徴とする請求項3又は請求項4記載多孔質材料の製造方法。
- 金属が鉄、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム及びセリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種以上である請求項5記載の多孔質材料の製造方法。
- 請求項1又は請求項3乃至4記載の多孔質材料からなる重金属オキシアニオン用吸着材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068507A JP2004275839A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 多孔質材料、その製造方法及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068507A JP2004275839A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 多孔質材料、その製造方法及びその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004275839A true JP2004275839A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33285819
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003068507A Pending JP2004275839A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 多孔質材料、その製造方法及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004275839A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007000752A (ja) * | 2005-06-23 | 2007-01-11 | Gp One Corp | 高速ヒ素吸着材料及びその作製方法 |
JP2008116265A (ja) * | 2006-11-01 | 2008-05-22 | Bando Chem Ind Ltd | 担体、担体の製造方法、およびその利用 |
JP2009056457A (ja) * | 2007-08-03 | 2009-03-19 | Toshiba Corp | リン化合物吸着材、リン化合物吸着システムおよびリン化合物吸着材の使用方法 |
US7819108B2 (en) | 2007-02-13 | 2010-10-26 | Continental Automotive Gmbh | Delivery unit |
US7901582B2 (en) * | 2008-03-19 | 2011-03-08 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Phosphorus recovery method and phosphorus recovery system |
US8258076B2 (en) | 2007-08-03 | 2012-09-04 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Phosphorus compound adsorbent, phosphorus compound adsorption system, and method of using phosphorus compound adsorbent |
WO2013054697A1 (ja) * | 2011-10-12 | 2013-04-18 | ソニー株式会社 | 吸着剤及びその製造方法、並びに、水浄化用吸着剤、マスク及び吸着シート |
JP2013078724A (ja) * | 2011-10-04 | 2013-05-02 | Kochi Prefecture | 酸素酸イオン収着材、該収着材の製造方法および該収着材を使用した処理原液の酸素酸イオン収着処理方法 |
JP2013103215A (ja) * | 2011-11-16 | 2013-05-30 | Toshiba Corp | 油分吸着剤、油田随伴水処理システムおよび油分除去処理方法 |
CN104226254A (zh) * | 2013-06-20 | 2014-12-24 | 株式会社东芝 | 吸附剂、吸附剂的制造方法、水处理***及水处理罐 |
US9233863B2 (en) | 2011-04-13 | 2016-01-12 | Molycorp Minerals, Llc | Rare earth removal of hydrated and hydroxyl species |
US9975787B2 (en) | 2014-03-07 | 2018-05-22 | Secure Natural Resources Llc | Removal of arsenic from aqueous streams with cerium (IV) oxide compositions |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068507A patent/JP2004275839A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007000752A (ja) * | 2005-06-23 | 2007-01-11 | Gp One Corp | 高速ヒ素吸着材料及びその作製方法 |
JP2008116265A (ja) * | 2006-11-01 | 2008-05-22 | Bando Chem Ind Ltd | 担体、担体の製造方法、およびその利用 |
US7819108B2 (en) | 2007-02-13 | 2010-10-26 | Continental Automotive Gmbh | Delivery unit |
JP2009056457A (ja) * | 2007-08-03 | 2009-03-19 | Toshiba Corp | リン化合物吸着材、リン化合物吸着システムおよびリン化合物吸着材の使用方法 |
US8258076B2 (en) | 2007-08-03 | 2012-09-04 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Phosphorus compound adsorbent, phosphorus compound adsorption system, and method of using phosphorus compound adsorbent |
US7901582B2 (en) * | 2008-03-19 | 2011-03-08 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Phosphorus recovery method and phosphorus recovery system |
US9233863B2 (en) | 2011-04-13 | 2016-01-12 | Molycorp Minerals, Llc | Rare earth removal of hydrated and hydroxyl species |
JP2013078724A (ja) * | 2011-10-04 | 2013-05-02 | Kochi Prefecture | 酸素酸イオン収着材、該収着材の製造方法および該収着材を使用した処理原液の酸素酸イオン収着処理方法 |
WO2013054697A1 (ja) * | 2011-10-12 | 2013-04-18 | ソニー株式会社 | 吸着剤及びその製造方法、並びに、水浄化用吸着剤、マスク及び吸着シート |
JP2013103215A (ja) * | 2011-11-16 | 2013-05-30 | Toshiba Corp | 油分吸着剤、油田随伴水処理システムおよび油分除去処理方法 |
CN104226254A (zh) * | 2013-06-20 | 2014-12-24 | 株式会社东芝 | 吸附剂、吸附剂的制造方法、水处理***及水处理罐 |
US9975787B2 (en) | 2014-03-07 | 2018-05-22 | Secure Natural Resources Llc | Removal of arsenic from aqueous streams with cerium (IV) oxide compositions |
US10577259B2 (en) | 2014-03-07 | 2020-03-03 | Secure Natural Resources Llc | Removal of arsenic from aqueous streams with cerium (IV) oxide compositions |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Pérez-Quintanilla et al. | Preparation, characterization, and Zn2+ adsorption behavior of chemically modified MCM-41 with 5-mercapto-1-methyltetrazole | |
Jal et al. | Chemical modification of silica surface by immobilization of functional groups for extractive concentration of metal ions | |
Dinker et al. | Recent advances in silica-based materials for the removal of hexavalent chromium: a review | |
Kostenko et al. | Bentonites with grafted aminogroups: Synthesis, protolytic properties and assessing Cu (II), Cd (II) and Pb (II) adsorption capacity | |
JP5319192B2 (ja) | リン化合物吸着材、リン化合物吸着システムおよびリン化合物吸着材の使用方法 | |
JP2004275839A (ja) | 多孔質材料、その製造方法及びその用途 | |
Guimarães et al. | Smectite organofunctionalized with thiol groups for adsorption of heavy metal ions | |
Pérez-Quintanilla et al. | Adsorption of cadmium (II) from aqueous media onto a mesoporous silica chemically modified with 2-mercaptopyrimidine | |
Yoshitake et al. | Adsorption of chromate and arsenate by amino-functionalized MCM-41 and SBA-1 | |
Yoshitake et al. | Adsorption behavior of arsenate at transition metal cations captured by amino-functionalized mesoporous silicas | |
Biernat et al. | Complexing and chelating agents immobilized on silica gel and related materials and their application for sorption of inorganic species | |
US6251280B1 (en) | Imprint-coating synthesis of selective functionalized ordered mesoporous sorbents for separation and sensors | |
Li et al. | Different N-containing functional groups modified mesoporous adsorbents for Cr (VI) sequestration: Synthesis, characterization and comparison | |
Yang et al. | Acid catalyzed synthesis of ordered bifunctionalized mesoporous organosilicas with large pore | |
EP1871524A1 (en) | Sol gel functionalized silicate catalyst and scavenger | |
Yan et al. | Mesoporous silicas functionalized with a high density of carboxylate groups as efficient absorbents for the removal of basic dyestuffs | |
US8258076B2 (en) | Phosphorus compound adsorbent, phosphorus compound adsorption system, and method of using phosphorus compound adsorbent | |
US5668079A (en) | Chemically active ceramic compositions with an hydroxyquinoline moiety | |
JP5519545B2 (ja) | 化学気相堆積用前駆体としての低不純物有機ケイ素生成物 | |
El Kurdi et al. | Chitosan oligosaccharide/silica nanoparticles hybrid porous gel for mercury adsorption and detection | |
Dey et al. | Mesoporous silica functionalized with diethylenetriamine moieties for metal removal and thermodynamics of cation–basic center interactions | |
Wu et al. | Synthesis and characterization of cubic thiol-functionalized periodic mesoporous organosilicas as effective mercury ion adsorbents | |
Mutneja et al. | Exploring superiority of silatranyl moiety as anchoring unit over its trialkoxysilyl analogue for covalent grafting via fabrication of functionalized mesoporous silica possessing azomethinic pincers for dye adsorption | |
US7534352B2 (en) | Reversed endcapping and bonding of chromatographic stationary phases using hydrosilanes | |
KR101909431B1 (ko) | 온도감응성 고분자가 코팅된 메조포러스 실리카를 이용한 오염원의 선택적 흡착 방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060125 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20071127 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080325 |