JP2004269935A - 耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を提供する。
【解決手段】Cr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.01〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔において、その表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を形成し、かつこのAl酸化物層とその下地との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上を偏析させる。
【選択図】 なし
【解決手段】Cr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.01〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔において、その表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を形成し、かつこのAl酸化物層とその下地との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上を偏析させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔及びその製造方法に関し、特に、高温酸化性雰囲気下で激しい振動、熱衝撃を受ける自動車排ガス浄化用の触媒担体及び触媒コンバータ等に用いて好適であり、さらには燃焼ガス排気系の機器や装置に用いて有用な合金箔を提供するものである。
【0002】
【従来技術】
自動車排ガス浄化装置用の触媒コンバータ担体を、従来のセラミックス製から、特許文献1に示されているような、金属製ハニカムに換えることにより、コンバータの小型化、エンジン性能の向上など、数々の利点がもたらされる。
【0003】
自動車排ガス浄化触媒装置にあっては、コンバータを燃焼領域に近い位置に設置し、高温の排ガスにより、エンジン始動初期のより早い時期に、触媒活性化温度に到達させ、触媒反応を起こさせるものが開発されつつある。この場合、コンバータは、高温環境にさらされるばかりでなく、エンジンからの激しい振動を受ける。このように、非常に厳しい条件下で使用されるコンバータ用材料として、従来用いられてきたセラミックスは、熱衝撃に弱く、十分使用に耐え得ないため、今日では、耐高温酸化特性に優れるFe−Cr−Al系合金等の金属材料が使用されている。
【0004】
ここで、Fe−Cr−Al系合金が耐高温酸化特性に優れるのは、酸化時にまずFeよりも酸化されやすいAlが優先酸化され、合金表面に保護性の高い(合金の酸化の進行を抑制する)Al2O3酸化被膜を形成するためであり、しかも合金中のAl消耗後は、Al2O3被膜と下地合金の界面でCrが優先酸化されて、Cr2O3酸化被膜を形成するためである。
【0005】
このようなFe−Cr−Al系合金に関する技術は、従来、数多くの提案が、なされている。例えば、特許文献2〜4に記載されている。
【0006】
しかし、近年、地球環境保護の立場から排ガス規制がさらに強化されつつあり、エンジン始動時から排ガスを極力浄化する必要性が高まっている。この規制に対応するために、ステンレス鋼箔を組み立てた金属担体の使用が増加しており、その厚みは、従来よりもさらに薄くなる傾向にある。これは、金属担体の壁厚を薄くすることによって、排気抵抗が小さくなったり、熱容量が小さくなり、エンジン始動から短時間で触媒が活性化するなどの利点があるためである。
【0007】
しかしながら、肉厚を薄くすると、耐高温酸化特性は従来の材料よりも高いものが要請されることになる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭56−96726 号公報
【特許文献2】
特開平7−233451号公報
【特許文献3】
特開平10−53842号公報
【特許文献4】
特開平10−273759 号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記要請に鑑みてなされたもので、特に触媒担体用材料として好適な、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
【0010】
【問題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、耐高温酸化特性について綿密な検討を行ったところ、成分としてLa、ZrおよびHfを複合添加すると共に、合金箔表層部のAl酸化物とその下地との界面を的確に制御することによって、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。
【0011】
この発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)Cr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.010〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、その表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を有し、かつこのAl酸化物層とその下地合金との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析して成ることを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。
【0012】
(2)Cr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.010〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、その表面に、厚さが0.05μm 以上のAl被膜を有することを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。
【0013】
(3)上記(1)に記載の合金箔を製造するに際し、
所定厚みの合金箔に圧延後、酸素分圧 1.3×10−3Pa以上 1.3×103Pa 以下の雰囲気中にて、600 〜1250℃の温度で15秒以上保持することにより、箔の表面に厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を生成させることを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。
【0014】
(4)上記(2)に記載の合金箔を製造するに際し、
所定厚みの合金箔に圧延後、真空蒸着により、箔の表面に厚さが0.05μm 以上のAl被膜を形成することを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
まず、この発明において、素材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
【0016】
Cr:18〜28質量%
Crは、Alの耐高温酸化特性を向上させる役割をもつばかりではなく、Cr自体が耐高温酸化特性を向上させる元素である。ここで、Cr含有量が18質量%未満では、耐高温酸化特性が確保できないだけでなく、酸化進行時にAlが消費された場合、組織の一部に高温でオーステナイト組織が生成し、酸化時の形状変化が激しくなる不利が生じる。一方、Cr含有量が28質量%を超えると靭性が劣化し、冷間圧延が困難となる。そこで、Cr量は18〜28質量%の範囲に限定した。
【0017】
Al:1〜10質量%
Alは、この発明において、耐高温酸化特性および最終熱処理時の初期酸化被膜を確保するために、不可欠な元素である。すなわち、Fe−Cr−Al系合金を高温に保持した場合、AlはFe及びCrより優先酸化されて、合金表面に耐高温酸化特性の高いAl2O3 被膜を生成し、耐高温酸化特性を著しく改善する。しかしながら、含有量が1質量%未満では、純粋なAl2O3 被膜を生成し難く、十分な耐高温酸化特性を確保できないので、その下限値は1質量%とした。一方、耐高温酸化特性の観点からは、Al含有量を高めることが望ましいが、Al量が10質量%を超えると、熱間圧延が困難となるので、その上限値は10質量%とした。
【0018】
Zr:0.005 〜0.30質量%、Hf:0.01〜0.50質量%、La:0.010 〜0.30質量%
Zr、Hf及びLaは、この発明において非常に重要な元素である。 以下にその理由と、上記各元素の含有量の限定理由について述べる。
【0019】
一般に、Fe−Cr−Al系合金においての酸化は、次に示すような段階で進行する。まず、Al2O3 被膜が成長し、合金箔中のAlが全て酸化消耗して、合金箔中のAlが枯渇する(第1段階)。次に、Al2O3 被膜と下地合金との間にCr2O3 が成長する(第2段階)。最後に、Fe系酸化物の生成が始まり、酸化増量値が急激に増加する(第3段階)。
【0020】
従来、50μm より厚い合金箔では、実際の触媒担体使用環境下において、上記第1段階で酸化は終了するが、板厚を薄くすると合金箔中のAlの絶対量が減少するため、実際の使用環境下において、上記第2段階に進行することが多々あり、特に厚さ40μm 以下の合金箔では、これまであまり注目されなかった第2段階以降での耐高温酸化特性(酸化増量が小さいほど良好)が問題となっている。
【0021】
そこで、発明者らは、3種の元素、すなわちZr、HfおよびLaに注目し、耐高温酸化特性及び耐高温変形性について様々な実験を重ねた結果、これら3種の元素を複合添加するとともに、特定の雰囲気中で熱処理を施して、合金箔の表面に、保護性の高いAl酸化物層を生成させるとともに、このAl酸化物層とその下地合金との界面にZr、HfおよびLaのいずれか1種以上を偏析させることにより、耐高温酸化特性を著しく改善できることを見出した。
【0022】
すなわち、Zr−Hf−Laを複合添加し、さらに特定条件下での熱処理を行い、合金箔の表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を生成させ、かつこのAl酸化物層とその下地との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上を偏析させることによって、耐高温酸化特性が飛躍的に改善されることが判った。Al酸化物層と下地合金の間に偏析し高温酸化特性を向上させる。
【0023】
これらLa、ZrおよびHfの複合添加が耐高温酸化特性に及ぼす効果については、必ずしも明らかではないが、まずLaは、Al酸化物層とその下地との界面に偏析して、両者の密着性を向上させると考えられる。また、ZrおよびHfは、単独で含有させた場合は効果がないが、この両元素を共に含有させた場合には、高温でZr−Hfの複合化合物を生成し、それぞれ単独で含有する場合よりも、下地合金の表層部の酸素と結合し易くなるため、下地合金の表層部の酸素ポテンシャルを下げ、酸化初期のAl及びCr等の酸化物の結晶核の生成を妨げる効果があることから、Al酸化物層の成長が抑制されるものと考えられる。
【0024】
すなわち、Laは、Fe−Cr−Al系合金において、高温で生成するAl酸化物層の下地合金に対する密着性を向上させ、耐高温酸化特性及び酸化スケールの耐剥離性の向上に極めて顕著な効果を奏する。同時に、Laは、Alの酸化速度を抑制する効果も有するため、この発明の合金箔において必要不可欠な元素である。ここに、板厚が20〜100μm程度の合金箔において、La含有量が0.010質量%未満では、合金箔の表層部に生成するAl酸化物層の密着性を確保することができない。一方、その含有量が0.30質量%を超えると、靱性の劣化をまねくことになる。従って、La量は0.010〜0.30質量%の範囲に限定した。
なお、La量は、圧延の容易さをはじめとする製造のし易さ並びに耐高温酸化特性とのバランスを考えると、0.03〜0.10質量%の範囲とすることがより好ましい。
【0025】
また、Zr及びHfは、Laと複合で含有した場合に、特定条件で熱処理を行うことにより、Al酸化物層とその下地合金との界面に偏析する。その結果、外部からAl酸化物層を通って下地合金へ侵入する酸素の侵入を阻害し、酸化の進行を遅らせることが可能になる。また、同時に、Zr及びHfは、Al酸化物層の粒界に拡散して、外部からの酸素の侵入を抑制する効果もある。
【0026】
これらの効果は、Zrの含有量が0.005質量%以上、かつHfの含有量が0.01質量%以上で顕著となる。しかし、Zrは含有量が0.30質量%を超えるとAl酸化物層中にZr02として混入するようになり、これが酸素の侵入経路となるため、かえってAlの消耗を早める結果となる。加えて、Zrの含有量を多くし過ぎると、Feと金属間化合物を作り、合金箔の靭性を劣化させる。また、Hfは、含有量が0.50質量%を超えると、Al酸化物層にHf02として混入するようになり、これが酸素の侵入経路となるため、かえってAlの消耗を早める結果となる。
従って、Zr含有量は 0.005〜0.30質量%の範囲に、またHf含有量は0.01〜0.50質量%の範囲に限定した。
【0027】
なお、Zr含有量は熱間圧延ができる範囲とするため、0.01〜0.1 質量%とするのがより好ましく、またHf含有量は0.02〜0.1 質量%として、Zr及びHfの含有量をほぼ同じとすることがより好ましい。
【0028】
以上の成分組成を有する合金箔は、後述の熱処理を経ることによって、Al酸化物層が生成するが、このAl酸化物層は、厚さが0.02μm 以上、かつこのAl酸化物層とその下地との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析して成ることにより、耐高温酸化特性を向上させることができる。
【0029】
ここで、Al酸化物層の厚さの測定は、オージェ電子分光を用いた深さ分析もしくは、Fe−Cr−Al系合金箔の表面を含む断面を集束イオンビーム加工した試料の透過電子顕微鏡による観察によって行うことができる。また、Al酸化物層とその下地との界面における偏析は、集束イオンビーム加工により作製した試料に、電子線を3nmφ以下に集束させた、特性X線での分析を行うか、または電子エネルギー損失分光を行うことによって知ることができる。
【0030】
次に、上記のAl酸化物層を有するFe−Cr−Al系合金箔の製造方法について、詳しく説明する。
上記した所定厚みのAl酸化物層を得るには、合金箔に加工後、一定条件で熱処理を行う必要がある。なぜなら、Alより酸化されやすいZrおよびHfの両元素が合金中に存在し、高温でZrおよびHfの複合化合物が生成し、下地合金の表面に存在するFe、Crと酸素が結合したとしても、元々酸素ポテンシャルが高い雰囲気では、下地合金の表面の酸素ポテンシャルが十分に低下せず、Al酸化物層の生成が望めないためである。言い換えれば、AlはFe、Crに比較し酸化されやすいが、絶対量は、Fe、Crの方が多い。そのため酸素ポテンシャルの高い雰囲気では、Fe、Crが酸化され、Alの酸化被膜が形成されないのである。
【0031】
そこで、発明者らは、合金箔に施す熱処理条件について、綿密に検討した結果、酸素分圧1.3×10−3〜1.3×103Paの雰囲気中にて 600〜1250℃の温度範囲で15秒以上保持することにより、厚さが0.02μm以上のAl酸化物層が生成することを見出した。また、このとき、Al酸化物層とその下地との界面に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析していれば、酸素の合金箔内方への侵入が十分に抑制されることも併せて見出した。
【0032】
従って、この発明の合金箔を製造するには、この発明に従う組成の合金を箔に加工した後の熱処理において、酸素分圧1.3×10−3Pa以上1.3×103Pa以下の雰囲気中にて、600〜1250℃の温度範囲で15秒以上保持することが、肝要である。
【0033】
この保護性の高いAl酸化物層は、上述したように、0.02μm以上の厚みで生成させると耐高温酸化特性の向上に効果を発揮するが、一方で熱処理の保持時間が長くなるのを避けるため、この厚みは1.0μm以下とすることが望ましい。
【0034】
さらに、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔として、上記した成分組成、つまりCr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.010〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔において、その表面に、厚さが0.05μm以上のAl蒸着膜(被膜)を形成することも有効である。
そして、このAl蒸着膜にて優れた耐高温酸化特性を付与するためには、箔表面を均一にAl結晶粒で被覆することが肝要である。そのためには、蒸着時の真空度を3×10−3Pa以下に保持することが肝要である。
【0035】
ここでAl蒸着膜は、その厚みが0.05μm以上であることが有利である。Al蒸着膜は金属状態であるため、安定なAl酸化物になる前に融点(660℃)以上となると、箔全面の被覆が難しくなる。そのため蒸着時に0.05μm以上の厚みにて箔全面を被覆する必要がある。
【0036】
なお、かくして形成されるAl蒸着膜では、その蒸着直後は下地との界面に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析することはないが、その後、合金箔が高温酸化雰囲気(例えば、大気中、650℃)に置かれることにより、5分以内の短時間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析する。
【0037】
【実施例】
実施例1
表1に各供試材の成分組成を示す。これらの素材は、真空溶解によって溶製し、1200℃に加熱後、1200〜900℃の温度域で熱間圧延を施して板厚3mm の熱延板とした後、950℃で焼鈍し、次いで冷間圧延と焼鈍を繰り返して、板厚0.1mmの冷延板とした。そして、この冷延板に最終圧延を施してから、表2に示す種々の条件で熱処理を施し、板厚30〜50μmの合金箔とした。
かくして得られた試料について、Al酸化物層の厚みおよび耐高温酸化特性に関して調査した結果を、表1に併記する。表1に示したとおり、この発明を満足する合金箔(表中の発明例)はいずれも、極めて良好な耐高温酸化特性が得られている。
【0038】
なお、Al酸化物層の厚みは、オージェ電子分光法の深さ分析によって測定した。その測定の一例を、熱処理前後について、図1に示す。
また、耐高温酸化特性は、1150℃の大気中で250 時間の酸化試験により評価した。すなわち、酸化試験片を空冷して放置後、常温で質量変化が 5.0g/m2未満のものを◎、8.0g/m2 未満のものを○、10.0g/m2未満のものを△、それ以上のものは×で、それぞれ評価した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
実施例2
実施例1と同様の条件にて最終圧延を終了して得た箔に、真空度:1×10−4Pa以下の雰囲気で蒸着を行って、厚さが0.05μmのAl蒸着膜を形成した試料について、実施例1と同様に耐高温酸化特性を調査したところ、実施例1の場合と同程度の特性が得られていることが判った。
【0042】
【発明の効果】
この発明によれば、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を安定して得ることができる。この発明の合金箔は、特に、自動車等の触媒コンバータ用材料等の、耐熱用材料として好適であり、とりわけ板厚 0.1mm以下の箔とした場合において優れた性能を呈する。
【図面の簡単な説明】
【図1】オージェ電子分光法によるAl酸化物層の厚みの測定例を示す図である。
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔及びその製造方法に関し、特に、高温酸化性雰囲気下で激しい振動、熱衝撃を受ける自動車排ガス浄化用の触媒担体及び触媒コンバータ等に用いて好適であり、さらには燃焼ガス排気系の機器や装置に用いて有用な合金箔を提供するものである。
【0002】
【従来技術】
自動車排ガス浄化装置用の触媒コンバータ担体を、従来のセラミックス製から、特許文献1に示されているような、金属製ハニカムに換えることにより、コンバータの小型化、エンジン性能の向上など、数々の利点がもたらされる。
【0003】
自動車排ガス浄化触媒装置にあっては、コンバータを燃焼領域に近い位置に設置し、高温の排ガスにより、エンジン始動初期のより早い時期に、触媒活性化温度に到達させ、触媒反応を起こさせるものが開発されつつある。この場合、コンバータは、高温環境にさらされるばかりでなく、エンジンからの激しい振動を受ける。このように、非常に厳しい条件下で使用されるコンバータ用材料として、従来用いられてきたセラミックスは、熱衝撃に弱く、十分使用に耐え得ないため、今日では、耐高温酸化特性に優れるFe−Cr−Al系合金等の金属材料が使用されている。
【0004】
ここで、Fe−Cr−Al系合金が耐高温酸化特性に優れるのは、酸化時にまずFeよりも酸化されやすいAlが優先酸化され、合金表面に保護性の高い(合金の酸化の進行を抑制する)Al2O3酸化被膜を形成するためであり、しかも合金中のAl消耗後は、Al2O3被膜と下地合金の界面でCrが優先酸化されて、Cr2O3酸化被膜を形成するためである。
【0005】
このようなFe−Cr−Al系合金に関する技術は、従来、数多くの提案が、なされている。例えば、特許文献2〜4に記載されている。
【0006】
しかし、近年、地球環境保護の立場から排ガス規制がさらに強化されつつあり、エンジン始動時から排ガスを極力浄化する必要性が高まっている。この規制に対応するために、ステンレス鋼箔を組み立てた金属担体の使用が増加しており、その厚みは、従来よりもさらに薄くなる傾向にある。これは、金属担体の壁厚を薄くすることによって、排気抵抗が小さくなったり、熱容量が小さくなり、エンジン始動から短時間で触媒が活性化するなどの利点があるためである。
【0007】
しかしながら、肉厚を薄くすると、耐高温酸化特性は従来の材料よりも高いものが要請されることになる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭56−96726 号公報
【特許文献2】
特開平7−233451号公報
【特許文献3】
特開平10−53842号公報
【特許文献4】
特開平10−273759 号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記要請に鑑みてなされたもので、特に触媒担体用材料として好適な、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
【0010】
【問題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、耐高温酸化特性について綿密な検討を行ったところ、成分としてLa、ZrおよびHfを複合添加すると共に、合金箔表層部のAl酸化物とその下地との界面を的確に制御することによって、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。
【0011】
この発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)Cr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.010〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、その表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を有し、かつこのAl酸化物層とその下地合金との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析して成ることを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。
【0012】
(2)Cr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.010〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、その表面に、厚さが0.05μm 以上のAl被膜を有することを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。
【0013】
(3)上記(1)に記載の合金箔を製造するに際し、
所定厚みの合金箔に圧延後、酸素分圧 1.3×10−3Pa以上 1.3×103Pa 以下の雰囲気中にて、600 〜1250℃の温度で15秒以上保持することにより、箔の表面に厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を生成させることを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。
【0014】
(4)上記(2)に記載の合金箔を製造するに際し、
所定厚みの合金箔に圧延後、真空蒸着により、箔の表面に厚さが0.05μm 以上のAl被膜を形成することを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
まず、この発明において、素材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
【0016】
Cr:18〜28質量%
Crは、Alの耐高温酸化特性を向上させる役割をもつばかりではなく、Cr自体が耐高温酸化特性を向上させる元素である。ここで、Cr含有量が18質量%未満では、耐高温酸化特性が確保できないだけでなく、酸化進行時にAlが消費された場合、組織の一部に高温でオーステナイト組織が生成し、酸化時の形状変化が激しくなる不利が生じる。一方、Cr含有量が28質量%を超えると靭性が劣化し、冷間圧延が困難となる。そこで、Cr量は18〜28質量%の範囲に限定した。
【0017】
Al:1〜10質量%
Alは、この発明において、耐高温酸化特性および最終熱処理時の初期酸化被膜を確保するために、不可欠な元素である。すなわち、Fe−Cr−Al系合金を高温に保持した場合、AlはFe及びCrより優先酸化されて、合金表面に耐高温酸化特性の高いAl2O3 被膜を生成し、耐高温酸化特性を著しく改善する。しかしながら、含有量が1質量%未満では、純粋なAl2O3 被膜を生成し難く、十分な耐高温酸化特性を確保できないので、その下限値は1質量%とした。一方、耐高温酸化特性の観点からは、Al含有量を高めることが望ましいが、Al量が10質量%を超えると、熱間圧延が困難となるので、その上限値は10質量%とした。
【0018】
Zr:0.005 〜0.30質量%、Hf:0.01〜0.50質量%、La:0.010 〜0.30質量%
Zr、Hf及びLaは、この発明において非常に重要な元素である。 以下にその理由と、上記各元素の含有量の限定理由について述べる。
【0019】
一般に、Fe−Cr−Al系合金においての酸化は、次に示すような段階で進行する。まず、Al2O3 被膜が成長し、合金箔中のAlが全て酸化消耗して、合金箔中のAlが枯渇する(第1段階)。次に、Al2O3 被膜と下地合金との間にCr2O3 が成長する(第2段階)。最後に、Fe系酸化物の生成が始まり、酸化増量値が急激に増加する(第3段階)。
【0020】
従来、50μm より厚い合金箔では、実際の触媒担体使用環境下において、上記第1段階で酸化は終了するが、板厚を薄くすると合金箔中のAlの絶対量が減少するため、実際の使用環境下において、上記第2段階に進行することが多々あり、特に厚さ40μm 以下の合金箔では、これまであまり注目されなかった第2段階以降での耐高温酸化特性(酸化増量が小さいほど良好)が問題となっている。
【0021】
そこで、発明者らは、3種の元素、すなわちZr、HfおよびLaに注目し、耐高温酸化特性及び耐高温変形性について様々な実験を重ねた結果、これら3種の元素を複合添加するとともに、特定の雰囲気中で熱処理を施して、合金箔の表面に、保護性の高いAl酸化物層を生成させるとともに、このAl酸化物層とその下地合金との界面にZr、HfおよびLaのいずれか1種以上を偏析させることにより、耐高温酸化特性を著しく改善できることを見出した。
【0022】
すなわち、Zr−Hf−Laを複合添加し、さらに特定条件下での熱処理を行い、合金箔の表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を生成させ、かつこのAl酸化物層とその下地との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上を偏析させることによって、耐高温酸化特性が飛躍的に改善されることが判った。Al酸化物層と下地合金の間に偏析し高温酸化特性を向上させる。
【0023】
これらLa、ZrおよびHfの複合添加が耐高温酸化特性に及ぼす効果については、必ずしも明らかではないが、まずLaは、Al酸化物層とその下地との界面に偏析して、両者の密着性を向上させると考えられる。また、ZrおよびHfは、単独で含有させた場合は効果がないが、この両元素を共に含有させた場合には、高温でZr−Hfの複合化合物を生成し、それぞれ単独で含有する場合よりも、下地合金の表層部の酸素と結合し易くなるため、下地合金の表層部の酸素ポテンシャルを下げ、酸化初期のAl及びCr等の酸化物の結晶核の生成を妨げる効果があることから、Al酸化物層の成長が抑制されるものと考えられる。
【0024】
すなわち、Laは、Fe−Cr−Al系合金において、高温で生成するAl酸化物層の下地合金に対する密着性を向上させ、耐高温酸化特性及び酸化スケールの耐剥離性の向上に極めて顕著な効果を奏する。同時に、Laは、Alの酸化速度を抑制する効果も有するため、この発明の合金箔において必要不可欠な元素である。ここに、板厚が20〜100μm程度の合金箔において、La含有量が0.010質量%未満では、合金箔の表層部に生成するAl酸化物層の密着性を確保することができない。一方、その含有量が0.30質量%を超えると、靱性の劣化をまねくことになる。従って、La量は0.010〜0.30質量%の範囲に限定した。
なお、La量は、圧延の容易さをはじめとする製造のし易さ並びに耐高温酸化特性とのバランスを考えると、0.03〜0.10質量%の範囲とすることがより好ましい。
【0025】
また、Zr及びHfは、Laと複合で含有した場合に、特定条件で熱処理を行うことにより、Al酸化物層とその下地合金との界面に偏析する。その結果、外部からAl酸化物層を通って下地合金へ侵入する酸素の侵入を阻害し、酸化の進行を遅らせることが可能になる。また、同時に、Zr及びHfは、Al酸化物層の粒界に拡散して、外部からの酸素の侵入を抑制する効果もある。
【0026】
これらの効果は、Zrの含有量が0.005質量%以上、かつHfの含有量が0.01質量%以上で顕著となる。しかし、Zrは含有量が0.30質量%を超えるとAl酸化物層中にZr02として混入するようになり、これが酸素の侵入経路となるため、かえってAlの消耗を早める結果となる。加えて、Zrの含有量を多くし過ぎると、Feと金属間化合物を作り、合金箔の靭性を劣化させる。また、Hfは、含有量が0.50質量%を超えると、Al酸化物層にHf02として混入するようになり、これが酸素の侵入経路となるため、かえってAlの消耗を早める結果となる。
従って、Zr含有量は 0.005〜0.30質量%の範囲に、またHf含有量は0.01〜0.50質量%の範囲に限定した。
【0027】
なお、Zr含有量は熱間圧延ができる範囲とするため、0.01〜0.1 質量%とするのがより好ましく、またHf含有量は0.02〜0.1 質量%として、Zr及びHfの含有量をほぼ同じとすることがより好ましい。
【0028】
以上の成分組成を有する合金箔は、後述の熱処理を経ることによって、Al酸化物層が生成するが、このAl酸化物層は、厚さが0.02μm 以上、かつこのAl酸化物層とその下地との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析して成ることにより、耐高温酸化特性を向上させることができる。
【0029】
ここで、Al酸化物層の厚さの測定は、オージェ電子分光を用いた深さ分析もしくは、Fe−Cr−Al系合金箔の表面を含む断面を集束イオンビーム加工した試料の透過電子顕微鏡による観察によって行うことができる。また、Al酸化物層とその下地との界面における偏析は、集束イオンビーム加工により作製した試料に、電子線を3nmφ以下に集束させた、特性X線での分析を行うか、または電子エネルギー損失分光を行うことによって知ることができる。
【0030】
次に、上記のAl酸化物層を有するFe−Cr−Al系合金箔の製造方法について、詳しく説明する。
上記した所定厚みのAl酸化物層を得るには、合金箔に加工後、一定条件で熱処理を行う必要がある。なぜなら、Alより酸化されやすいZrおよびHfの両元素が合金中に存在し、高温でZrおよびHfの複合化合物が生成し、下地合金の表面に存在するFe、Crと酸素が結合したとしても、元々酸素ポテンシャルが高い雰囲気では、下地合金の表面の酸素ポテンシャルが十分に低下せず、Al酸化物層の生成が望めないためである。言い換えれば、AlはFe、Crに比較し酸化されやすいが、絶対量は、Fe、Crの方が多い。そのため酸素ポテンシャルの高い雰囲気では、Fe、Crが酸化され、Alの酸化被膜が形成されないのである。
【0031】
そこで、発明者らは、合金箔に施す熱処理条件について、綿密に検討した結果、酸素分圧1.3×10−3〜1.3×103Paの雰囲気中にて 600〜1250℃の温度範囲で15秒以上保持することにより、厚さが0.02μm以上のAl酸化物層が生成することを見出した。また、このとき、Al酸化物層とその下地との界面に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析していれば、酸素の合金箔内方への侵入が十分に抑制されることも併せて見出した。
【0032】
従って、この発明の合金箔を製造するには、この発明に従う組成の合金を箔に加工した後の熱処理において、酸素分圧1.3×10−3Pa以上1.3×103Pa以下の雰囲気中にて、600〜1250℃の温度範囲で15秒以上保持することが、肝要である。
【0033】
この保護性の高いAl酸化物層は、上述したように、0.02μm以上の厚みで生成させると耐高温酸化特性の向上に効果を発揮するが、一方で熱処理の保持時間が長くなるのを避けるため、この厚みは1.0μm以下とすることが望ましい。
【0034】
さらに、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔として、上記した成分組成、つまりCr:18〜28質量%、Al:1〜10質量%、La:0.010〜0.30質量%、Zr:0.005 〜0.30質量%およびHf:0.01〜0.50質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔において、その表面に、厚さが0.05μm以上のAl蒸着膜(被膜)を形成することも有効である。
そして、このAl蒸着膜にて優れた耐高温酸化特性を付与するためには、箔表面を均一にAl結晶粒で被覆することが肝要である。そのためには、蒸着時の真空度を3×10−3Pa以下に保持することが肝要である。
【0035】
ここでAl蒸着膜は、その厚みが0.05μm以上であることが有利である。Al蒸着膜は金属状態であるため、安定なAl酸化物になる前に融点(660℃)以上となると、箔全面の被覆が難しくなる。そのため蒸着時に0.05μm以上の厚みにて箔全面を被覆する必要がある。
【0036】
なお、かくして形成されるAl蒸着膜では、その蒸着直後は下地との界面に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析することはないが、その後、合金箔が高温酸化雰囲気(例えば、大気中、650℃)に置かれることにより、5分以内の短時間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析する。
【0037】
【実施例】
実施例1
表1に各供試材の成分組成を示す。これらの素材は、真空溶解によって溶製し、1200℃に加熱後、1200〜900℃の温度域で熱間圧延を施して板厚3mm の熱延板とした後、950℃で焼鈍し、次いで冷間圧延と焼鈍を繰り返して、板厚0.1mmの冷延板とした。そして、この冷延板に最終圧延を施してから、表2に示す種々の条件で熱処理を施し、板厚30〜50μmの合金箔とした。
かくして得られた試料について、Al酸化物層の厚みおよび耐高温酸化特性に関して調査した結果を、表1に併記する。表1に示したとおり、この発明を満足する合金箔(表中の発明例)はいずれも、極めて良好な耐高温酸化特性が得られている。
【0038】
なお、Al酸化物層の厚みは、オージェ電子分光法の深さ分析によって測定した。その測定の一例を、熱処理前後について、図1に示す。
また、耐高温酸化特性は、1150℃の大気中で250 時間の酸化試験により評価した。すなわち、酸化試験片を空冷して放置後、常温で質量変化が 5.0g/m2未満のものを◎、8.0g/m2 未満のものを○、10.0g/m2未満のものを△、それ以上のものは×で、それぞれ評価した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
実施例2
実施例1と同様の条件にて最終圧延を終了して得た箔に、真空度:1×10−4Pa以下の雰囲気で蒸着を行って、厚さが0.05μmのAl蒸着膜を形成した試料について、実施例1と同様に耐高温酸化特性を調査したところ、実施例1の場合と同程度の特性が得られていることが判った。
【0042】
【発明の効果】
この発明によれば、耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を安定して得ることができる。この発明の合金箔は、特に、自動車等の触媒コンバータ用材料等の、耐熱用材料として好適であり、とりわけ板厚 0.1mm以下の箔とした場合において優れた性能を呈する。
【図面の簡単な説明】
【図1】オージェ電子分光法によるAl酸化物層の厚みの測定例を示す図である。
Claims (4)
- Cr:18〜28質量%、
Al:1〜10質量%、
La:0.010〜0.30質量%、
Zr:0.005 〜0.30質量%および
Hf:0.01〜0.50質量%
を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、その表面に、厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を有し、かつこのAl酸化物層とその下地合金との間に、La、ZrおよびHfのいずれか1種または2種以上が偏析して成ることを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。 - Cr:18〜28質量%、
Al:1〜10質量%、
La:0.010〜0.30質量%
Zr:0.005 〜0.30質量%および
Hf:0.01〜0.50質量%
を含み、残部はFe及び不可避的不純物の組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、その表面に、厚さが0.05μm 以上のAl被膜を有することを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。 - 請求項1に記載の合金箔を製造するに際し、
所定厚みの合金箔に圧延後、酸素分圧 1.3×10−3Pa以上 1.3×103Pa 以下の雰囲気中にて、600 〜1250℃の温度で15秒以上保持することにより、箔の表面に厚さが0.02μm 以上のAl酸化物層を生成させることを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。 - 請求項2に記載の合金箔を製造するに際し、
所定厚みの合金箔に圧延後、真空蒸着により、箔の表面に厚さが0.05μm 以上のAl被膜を形成することを特徴とする耐高温酸化特性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。
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JP2010522954A (ja) * | 2007-03-26 | 2010-07-08 | シンベット・コーポレイション | 薄膜リチウム電池用基板 |
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