JP2004268195A - レジノイド砥石及びその製造方法 - Google Patents

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丈彰 小野
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Abstract

【課題】高耐熱性を有するレジノイド砥石及びその製造方法を提供する。
【手段】本発明のレジノイド砥石は、砥粒と樹脂結合剤とを含んで構成されるレジノイド砥石であって、該砥粒が、アルコキシシラン縮合物が導入された樹脂結合剤を介して結合されていることを特徴とする。前記樹脂化合物は、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれる。更に、アルコキシシラン縮合物が導入されていない樹脂結合剤を含んでもよい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂結合剤を使用したレジノイド砥石及びその製造方法に関し、より詳しくは、アルコキシシラン導入樹脂結合剤を含み耐久性が付与されたレジノイド砥石及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レジノイド砥石は切れ味に優れ、高能率研削に適した砥石として知られており、種々の研削用途に好適に使用されている。そのようなレジノイド砥石の有機結合剤を構成する樹脂は、特開昭62−297072号公報に記載されているポリウレタン樹脂、特開昭54−45357号公報に記載されているフェノール樹脂、特開平10−202536号公報に記載されているエポキシ樹脂、特開昭57−149162に記載されているポリイミド樹脂などが一般的である(それぞれ特許文献1〜4参照)。
【0003】
他方、レジノイド砥石は、機械的強度、特に高温域における耐磨耗性が劣るという欠点が指摘されており、研削加工時の発熱により砥石の摩耗が著しいという問題を有することが知られている。
【0004】
その問題を解決するにあたり、レジノイド砥石の耐摩耗性は、その砥石結合剤となっている硬化樹脂の耐熱性に依存する点に鑑みると、上記樹脂の中でも比較的耐熱性に優れるポリイミド樹脂が有利であると考えられた。
【0005】
しかしながら、樹脂結合剤としてポリイミド樹脂を使用しても耐摩耗性の問題は十分に解消されないのが現状である。かくして、切れ味がよく高能率研削に優れ、且つ耐熱性にも優れたレジノイド砥石を提供することについての産業上の要求が依然として存在する。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−297072号
【特許文献2】
特開昭54−45357号
【特許文献3】
特開平10−202536号
【特許文献4】
特開昭57−149162号
【特許文献5】
特開2001−59011号(下記課題に記載される)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、研削加工時の高摩擦熱でレジノイド砥石が激しく摩耗する原因の一つは、結合剤と砥粒との接着性の著しい低下にあると考えた。結合剤と砥粒との接着性を改善するため、シランカップリング剤の使用について検討したが、研削加工時に200℃以上に達する高温ではシランカップリング剤の結合が劣化してしまうため十分な結合効果が得られなかった。
【0008】
そこで、本発明者は、耐熱性樹脂であるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂に着目した(特許文献5参照)。この樹脂は、有機質な樹脂化合物と無機質なシラン化合物とのハイブリッド化合物として知られている。
【0009】
ところが、この種の耐熱性樹脂は、プリント基板上における絶縁層形成等のコーティング技術の分野で実際に使用されているが、砥石製造の分野では使用されるどころか、着目されることさえなかった。その理由の一つに、砥石は厚みも幅も大きく一般に高圧力高加熱下での焼成等が要求される成形品であり、薄層形成技術等とは技術分野が全く異なる点が挙げられる。いずれにしても、前記耐熱性樹脂の砥石製造への適用するに際しては、製造諸条件等についての詳細な検討が必要とされた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題に鑑み、本発明者は、前記のような有機−無機ハイブリッド樹脂を結合剤として使用することによるレジノイド砥石製造に関し鋭意検討した結果、それが意外にも優れた砥粒への濡れ性及び接着性を発揮できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、砥粒と樹脂結合剤とを含んで構成されるレジノイド砥石であって、該砥粒が、アルコキシシラン縮合物が導入された樹脂結合剤を介して結合されていることを特徴とするレジノイド砥石を提供する。
【0012】
本発明の砥石は、更に、アルコキシシラン縮合物が導入されていない樹脂結合剤を含むこともできる。
本発明の砥石に好ましい前記アルコキシシラン導入樹脂結合剤としては、樹脂化合物と、一般式R Si(OR4−a(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアリル基を示し、Rは炭素数3以下のアルキル基を示し、aは0〜1である)で表されるアルコキシシラン縮合物との反応により得られたものを使用できる。
【0013】
更に好ましくは、前記アルコキシシラン縮合物は、一般式:
【0014】
【化2】
Figure 2004268195
【0015】
(式中、Meはメチル基を示し、nは1〜7である)
で表されるものを使用できる。
本発明の砥石に好ましい前記樹脂化合物は、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれる。
【0016】
また本発明の砥石に好ましい前記砥粒は、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒、アルミナ系砥粒、炭化ケイ素系砥粒、ジルコニア系砥粒、ケイ素系砥粒及び酸化セリウム系からなる群から選ばれる。特に、前記砥粒が金属被覆されていることが好ましい。また前記砥粒は、金属被覆されたダイヤモンド砥粒又はCBN砥粒であることが特に好ましい。
【0017】
本発明の他の側面において、レジノイド砥石の製造方法が提供される。
本発明の製造方法は、砥粒と樹脂結合剤とを含んで構成されるレジノイド砥石の製造方法であって、
(a)砥粒;アルコキシシラン縮合物が導入された樹脂結合剤;ゾルゲル硬化触媒;及び必要であれば、水、アルコキシシラン縮合物が導入されていない樹脂結合剤及び/又はその他の添加剤を混ぜ合わせる工程;
(b)該混合物を、前記樹脂結合剤のアルコキシシラン縮合物がゾルゲル硬化反応を引き起こすように処理する工程;及び
(c)次いで、前記ゾルゲル硬化物を材料として用いて砥石形状を成形し、該成形物を、前記樹脂結合剤の樹脂化合物間の樹脂硬化反応を引き起こすように処理する工程;
を含む。
【0018】
本法の前記工程(a)において、前記工程(b)のゾルゲル硬化反応条件下では硬化反応を引き起こさない樹脂結合剤を使用することが好ましい。
例えば、本法の前記工程(a)において、軟化点が少なくとも120℃である樹脂結合剤を使用し、前記工程(b)のゾルゲル硬化反応は、前記混合物の120℃未満の温度下での加熱であり、前記工程(c)の樹脂結合剤硬化反応は、前記ゾルゲル硬化物の120℃を超える温度での焼結であることが好ましい。
【0019】
また本法の別のやり方では、前記工程(a)において、軟化点が120℃未満である樹脂化合物を使用し、前記工程(c)の樹脂硬化反応は、前記工程(b)のゾルゲル硬化反応後に硬化剤を添加することにより行われるとしてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(1)本発明のレジノイド砥石
本発明のレジノイド砥石は、砥粒と、アルコキシシラン縮合物が導入された樹脂結合剤(以下「アルコキシシラン導入樹脂結合剤」等とも記述する)とを含んで構成される。なお、樹脂結合剤は、硬化性樹脂化合物を成分とする砥石結合剤のことである。
【0021】
結合剤
本発明に使用できる結合剤を構成する樹脂化合物には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂又はそれらに類した樹脂が含まれ、それら樹脂化合物は、下記に例示されるような加水分解性アルコキシシラン縮合物が付加されることによりアルコキシシラン導入樹脂結合剤となる。
【0022】
上記樹脂化合物の選択にあたっては、アルコキシシラン導入部でのゾルゲル硬化反応条件下ではその樹脂硬化反応を起こさないか又は起こさないように使用できるという条件が与えられる。具体的には、硬化剤(軟化点に達した樹脂化合物の硬化反応を促進させる物質)の添加時期、及びそれらのアルコキシシラン縮合物のゾルゲル硬化温度との関係を考慮する必要がある。
【0023】
第1に、硬化剤がゾルゲル硬化処理前に添加される製造条件が選択される場合、樹脂化合物の軟化点は、前記ゾルゲル硬化温度よりも高いことが好ましい。より詳しくは、アルコキシシラン縮合物のゾルゲル硬化が進行するのに十分な加熱温度は典型的には60℃前後から100℃未満であるので、この場合、軟化点が120℃以上である樹脂化合物が好ましい。
【0024】
第2に、硬化剤がゾルゲル硬化処理後に添加される製造条件によれば、本発明に使用可能な樹脂化合物には、ゾルゲル硬化温度よりも低い軟化点(典型的には、120℃未満)を有する樹脂も含まれる。
【0025】
また、ポリイミド樹脂に関しては、一般にアルコキシシランとの結合性・密着性に劣るため、例えば、アルコキシシランとポリイミドの安定なハイブリッド化合物を用いるか、又は極性複素環を有するようなポリイミドを用いるとよい。
【0026】
導入されるアルコキシシラン縮合物
本発明の砥石製造に適したアルコキシシラン縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロピキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類の加水分解性縮合物;メチルトリトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類の加水分解性縮合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン類の加水分解性縮合物;ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカブトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカブトプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等の官能基含有トリアルコキシシラン類の加水分解性縮合物;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類の加水分解性縮合物;又はそれらのあらゆる組み合わせの加水分解性縮合物を挙げることができる。
【0027】
次に本発明に好適な結合剤の一例を示す。本発明に好適に使用し得る加水分解性アルコキシシラン縮合物の一例は、下記一般式:
【0028】
【化3】
Figure 2004268195
【0029】
(式中、Meはメチル基を示し、nは1〜7である)で表されるテトラメトキシシラン縮合物である。その平均繰り返し単位数nは1〜7が好ましいので、このテトラメトキシシラン縮合物の数平均分子量は260〜1116程度が好ましいとされる。
【0030】
上記のように平均繰り返し単位数nが1〜7の範囲である加水分解性アルコキシシラン縮合物は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と好適に結合させることができる。
【0031】
例えば、本発明に好適なテトラメトキシシラン導入ビスフェノール型エポキシ樹脂は、加水分解性テトラメトキシシラン縮合物を、下記一般式:
【0032】
【化4】
Figure 2004268195
【0033】
で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂中の少なくとも1つの水酸基Xとの間で脱アルコール反応させて結合することにより、下記一般式:
【0034】
【化5】
Figure 2004268195
【0035】
で表される樹脂として得られる。
上記のように樹脂化合物へ導入されたアルコキシシラン縮合物は、樹脂化合物への結合に少なくとも一つのアルコキシ基を費やすが、他方で、当該縮合物は、多数の官能アルコキシ基を有しているため、それら官能アルコキシ基が砥粒表面と作用し、ゾルゲル硬化を引き起こすことができる。
【0036】
上記アルコキシシラン導入樹脂についての更に詳細な構成と製法は、特開2001−59011号公報、特開2001−261776号公報、特開2002−220431号公報、及び特開2002−293933号を参照されたい。それらアルコキシシラン導入樹脂は、例えば、特開2001−59011号公報において説明されているように、ガラス転移点が消失するか又は従来の樹脂化合物よりもガラス転移が高いので、耐熱性の高い無機質構造を形成できると理解される。
【0037】
砥粒
本発明の砥石に使用し得る砥粒は、一般的に使用されているダイヤモンド砥粒、CBN砥粒、アルミナ系砥粒、炭化ケイ素系砥粒、ジルコニア系砥粒、及びケイ素系砥粒及び酸化セリウム系からなる群から選択し得るが、前記アルコキシシランのアルコキシ基と脱アルコール反応によって好適に結合できる態様のものであれば、特に限定されない。
【0038】
特に硬質砥粒として近年注目されているダイヤモンド砥粒及び/又はCBN砥粒の使用は、それら砥粒自体の硬質性と、本発明で特徴づけられる結合剤の導入アルコキシシランによるゾルゲル硬化に起因する高耐熱性との相乗効果を享受することができ、より耐久性を向上させたレジノイド砥石が得られるので好ましい。
【0039】
また、砥粒の選択にあたり、金属で被覆された砥粒は加水分解性アルコキシシラン縮合物と好適に結合できるという利点を有するので、そのような金属被覆砥粒を使用することが好ましい。この場合、ダイヤモンド砥粒との関係では、濡れ性及び接着性が劣るダイヤモンド砥粒も金属で被覆して使用することによって導入アルコキシシランと好適に結合させることができるという利点も生ずる。
【0040】
アルコキシシラン導入樹脂結合剤の作用
本発明者等の検討によれば、本発明によるレジノイド砥石の内部に含有されている砥粒群は、結合剤に導入されたアルコキシシラン縮合物中のケイ素原子からのアルコキシ基群と反応して共有結合した形態を有すると考えられる。すなわち、樹脂化合物間の有機的な結合による樹脂硬化反応に加えて、それら樹脂化合物に導入された無機質アルコキシシラン縮合物が砥粒表面と無機的に結合することによってゾルゲル硬化もたらすと考えられる。
【0041】
理論に縛られる意図はないが、上記ゾルゲル硬化をもたらすアルコキシシラン縮合物はシリカからなる無機質高分子構造を有するので、そのような無機質高分子構造が砥粒表面を覆うようにして強固に結合し得るので、その結果として、レジノイド砥石に驚くほど高い耐熱性を付与できたと考えられる。
(2)本発明のレジノイド砥石の製造方法
本発明のレジノイド砥石の製造方法は、概して次の工程(a)〜(c)を含む。
【0042】
(a)砥粒、結合剤としてのアルコキシシラン導入樹脂、及びゾルゲル硬化触媒を混ぜ合わせる工程(このとき必要であれば、水、追加的結合剤としてのアルコキシシラン非導入樹脂、及び/又はその他の添加剤を加えてもよい);
(b)前記混合物に含まれるそれら樹脂化合物のアルコキシシラン導入部でのゾルゲル硬化を引き起こすためのゾルゲル硬化工程(例えば、約60℃で約6時間);および
(c)前記ゾルゲル硬化塊状物を粉砕処理し、その粉砕物を金型に移し、ホットプレス(例えば、約250℃で約8時間)等によって所望の砥石形状へ成形及び焼成し、これにより樹脂化合物間の架橋形成反応による硬化を引き起こすための樹脂硬化工程。
【0043】
原料の混合
前記(a)の混合工程における各成分の添加順序は特に限定されないが、ゾルゲル硬化触媒は砥粒を混合した後に少量添加することが好ましい。このようにすることで、樹脂成形時に発生するガスによる発泡を防ぐことができ、砥粒と結合剤との接着性を確保できる。
【0044】
好ましいゾルゲル硬化触媒は、オクチル酸スズ等である。
なお、前記(a)の混合工程において、アルコキシシラン非導入樹脂を追加的に使用する場合、そのようなアルコキシシラン非導入樹脂としては、アルコキシシラン導入樹脂と異なる種類の樹脂化合物を使用してもよい。また(a)の混合工程において、その他の有機質、金属質及び/又は無機質の添加物を加えてもよく、それらの種類及び添加量は、製造砥石に要求される研削条件等によって適宜選択すればよい。前記混合の方法は、乾式混合でもよいし、湿式混合でもよい。
【0045】
樹脂硬化反応の制御
本発明によるレジノイド砥石製造においては、ゾルゲル硬化工程(b)及び樹脂硬化工程(c)に関して、アルコキシシラン部分でのゾルゲル硬化反応は進行するが、樹脂硬化反応は実質的に進行しない条件を見出すことが、目的の砥石を製造するのに重要である。すなわち、ゾルゲル硬化工程時に樹脂硬化反応が起きないような樹脂化合物及び樹脂硬化条件を検討する必要がある。
【0046】
前記樹脂結合剤として熱硬化性樹脂を使用する場合、既述したように、アルコキシシラン縮合物のゾルゲル硬化温度よりも高い温度、好ましくは120℃以上の軟化点ないし硬化開始温度を有する熱硬化性樹脂及び硬化剤を選定するとが好ましい。例えば、テトラメトキシシラン導入ビスフェノール型エポキシ樹脂とフェノール樹脂とのブレンド使用の場合(実施例参照)、約60℃近辺に設定したゾルゲル硬化処理の温度に対して、それら樹脂の硬化温度は130℃付近に設定することができる。
【0047】
他方、前記樹脂結合剤として、硬化剤の投入により硬化が開始されるタイプの樹脂を使用する場合、ゾルゲル硬化を完了させた材料中に樹脂硬化剤を添加して硬化処理を開始してもよい。例えば、ウレタン樹脂に対してはポリイソシアネート、エポキシ樹脂に対してはポリアミドアミン、フェノール樹脂に対してはヘキサミン等の樹脂硬化剤を、それらのゾルゲル硬化処理後に添加するとよい。
【0048】
上記一連の工程により得られた砥石成形物に研磨等の仕上げ加工を行うことによって、所望のレジノイド砥石が得られる。なお、当該砥石の台金への固定は、台金を砥石材料と共に金型に入れて焼成固着によって行ってもよいし、焼成後の砥石を台金へ接着することによって行ってもよい。
【0049】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明するが、これらは本発明の実施可能性及び有用性を例証するものであり、本発明の構成を何ら限定する意図はない。
【0050】
【実施例】
本実施例では、アルコキシシラン導入樹脂を結合剤として使用してレジノイド砥石を製造し、従来の樹脂結合剤のみを使用した砥石との比較により研削性能を評価した。
【0051】
[実施例1]
原料の組成
Ni被覆ダイヤモンド砥粒(#170/200) 16.23g
炭化珪素#800 6.11g
アルコキシシラン導入樹脂(結合剤1)1.79g
オクチル酸スズ(ゾルゲル硬化触媒) 0.14g
アルコキシシラン非導入樹脂(結合剤2)5.21g
水 0.78g
上記原料組成中のアルコキシシラン導入樹脂としては、下記一般式:
【0052】
【化6】
Figure 2004268195
【0053】
で表される、テトラメトキシシラン縮合物が導入されたハイブリッド樹脂(荒川化学工業(株)製 E201)を使用した。また、アルコキシシラン非導入樹脂としては、市販のノボラック型アルキル変性フェノール樹脂(荒川化学工業(株)製 572S)を使用した。
製造手順
1)砥粒、炭化珪素#800、結合剤1、及びオクチル酸スズをそれぞれ計量し、上記所定量で均一に混和させた。
2)結合剤2を計量して、前記混合物に上記所定量で投入し、さらに均一に混合した。
3)水を計量し上記所定量で前記混合物に加えて均一に混合した。この混合物を60℃×6時間加熱し、ゾルゲル硬化処理を行った。この加熱によって原料混合物は塊状化した。
4)塊状化した前記混合物を、その後の成形・焼成工程に適する粒度まで粉砕した。
5)粉砕して得られた前記材料を金型に移し、ホットプレスにより250℃×8時間で焼成することにより樹脂結合剤の硬化処理を行った。
6)焼結して得られた砥石成形物に仕上げ加工を施した。こうして、スチール製台金上に研削層厚み3mmで、外周202mm、厚み4mm、穴径50.8mmのホイール寸法を持つ1A1型砥石が作製された。
【0054】
[比較例1]
原料の組成
Ni被覆ダイヤモンド砥粒(#170/200) 16.23g
炭化珪素#800 8.55g
ノボラック型ストレートフェノール樹脂 6.14g
製造手順
砥粒、炭化珪素#800、及びノボラック型ストレートフェノール樹脂を混ぜ合わせて得た混合物を金型に移しホットプレスを用いて、175℃×8時間で焼結させた。焼結して得られた砥石成形物に仕上げ加工を施し、実施例1と同じ形態の砥石を作製した。
【0055】
[比較例2]
原料の組成
Ni被覆ダイヤモンド砥粒(#170/200) 16.23g
炭化珪素#800 8.55g
ノボラック型アルキル変性フェノール樹脂5.60g
(荒川化学工業(株)製 572S)
製造手順
ホットプレスの条件を200℃×6時間としたほかは、上記比較例1と同様にして行った。
[比較例3]
Ni被覆ダイヤモンド砥粒(#170/200) 16.23g
炭化珪素#800 10.28g
市販ポリイミド樹脂 5.75g
製造手順
ホットプレスの条件を250℃×8時間としたほかは、上記比較例1と同様にして行った。
〔研削テスト〕
上記実施例及び比較例1〜3に記載されるようにして製造された砥石について、下記の研削テストを行った。
研削テスト条件(表1参照)
【0056】
【表1】
Figure 2004268195
【0057】
研削テストにおける評価項目
各テスト砥石について、研削比(GR)、研削動力(Ft)、仕上げ面粗さ(Rzμm)を算出して評価した。各測定方法は、次のとおりである。
【0058】
研削比:被削材除去体積/砥石消耗体積として求める。
研削動力:砥石軸モーターの消費電力をWとし、612×W/周速(60/100)として求める。なお、周速としては、前記砥石周速度を使用する。
【0059】
仕上げ面粗さRz:テスト砥石の仕上げ面における面粗度を十点平均粗さRzとして測定する。なお、十点平均粗さRzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率方向に測定し、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高Ypの絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高Yvの絶対値の平均値との和として求められる。本試験では、Rzが0.50μmを越え10.0μm以下で、基準長さ0.8mm及び評価長さ4mmの区分に従った。
研削テスト結果
異なる切り込み量(20μm/pass、及び40μm/pass)におけるそれぞれのテスト結果を表2及び表3に示す。
【0060】
【表2】
Figure 2004268195
【0061】
【表3】
Figure 2004268195
【0062】
上記テスト結果において、研削比に関し、実施例1は切り込み量20μm、40μmのいずれの場合にも、全比較例と比較して非常に優れた数値を示した。特に、従来において耐熱性に優れるとされてきた比較例3のポリイミド樹脂をもはるかに凌ぐ結果となった。
【0063】
また、切り込み量別では、高い方の切り込み量40μmにおいて2倍近い差が生じた。この要因は、実施例ではアルコキシシラン縮合物のアルコキシ基がNi被覆ダイヤモンド砥粒と十分に化学結合を形成し、そのような無機質高分子体に起因して硬化樹脂の耐熱性が向上した点にあると考えられる。
【0064】
研削動力も実施例の砥石が最も高い数値を示した。研削動力は、前記研削比の増加に伴って高くなる傾向にあることに照らし、砥粒を保持する力が向上したためと考えられる。
【0065】
仕上げ面粗さは、実施例1の砥石が最も小さい数値を示し、良好な結果であった。これは、砥粒と結合剤であるハイブリッド樹脂との間の強固な結合によって砥粒のグリップ力が強まり、その結果、砥粒の脱落が減少し、砥粒先端の微小破砕が進んだためと考えられる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレジノイド砥石は、結合剤である樹脂化合物に導入されたアルコキシシラン縮合物による無機質で強固な結合を形成し得るので、従来のレジノイド砥石、特にポリイミド樹脂を使用した従来のレジノイド砥石をも凌ぐ耐熱性を持ち、従来にない優れた耐久性を発揮するレジノイド砥石である。

Claims (12)

  1. 砥粒と樹脂結合剤とを含んで構成されるレジノイド砥石であって、前記砥粒は、アルコキシシラン縮合物が導入された樹脂結合剤を介して結合されていることを特徴とするレジノイド砥石。
  2. 更に、アルコキシシラン縮合物が導入されていない樹脂結合剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載のレジノイド砥石。
  3. 前記アルコキシシラン導入樹脂結合剤は、
    樹脂化合物と、
    一般式R Si(OR4−a(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を示し、Rは炭素数3以下のアルキル基を示し、aは0〜1である)で表されるアルコキシシラン縮合物と
    の反応により得られたものであることを特徴とする、請求項1又は2記載のレジノイド砥石。
  4. 前記アルコキシシラン縮合物が、一般式:
    Figure 2004268195
    (式中、Meはメチル基を示し、nは1〜7である)
    で表されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレジノイド砥石。
  5. 前記樹脂化合物が、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレジノイド砥石。
  6. 前記砥粒が、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒、アルミナ系砥粒、炭化ケイ素系砥粒、ジルコニア系砥粒、ケイ素系砥粒及び酸化セリウム系からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレジノイド砥石。
  7. 前記砥粒が金属被覆されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレジノイド砥石。
  8. 前記砥粒が金属被覆されたダイヤモンド砥粒又はCBN砥粒であることを特徴とする、請求項7に記載のレジノイド砥石。
  9. 砥粒と樹脂結合剤とを含んで構成されるレジノイド砥石の製造方法であって、
    (a)砥粒;アルコキシシラン縮合物が導入された樹脂結合剤;ゾルゲル硬化触媒;及び必要であれば、水、アルコキシシラン縮合物が導入されていない樹脂結合剤及び/又はその他の添加剤を混ぜ合わせる工程;
    (b)該混合物を、前記樹脂結合剤のアルコキシシラン縮合物がゾルゲル硬化反応を引き起こすように処理する工程;及び
    (c)次いで、前記ゾルゲル硬化物を材料として用いて砥石形状を成形し、該成形物を、前記樹脂結合剤の樹脂化合物間の樹脂硬化反応を引き起こすように処理する工程;
    を含む製造方法。
  10. 前記工程(a)において、前記工程(b)のゾルゲル硬化反応条件下では硬化反応を引き起こさない樹脂結合剤を使用することを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記工程(a)において、軟化点が少なくとも120℃である樹脂結合剤を使用し、前記工程(b)のゾルゲル硬化反応は、前記混合物の120℃未満の温度下での加熱であり、前記工程(c)の樹脂結合剤硬化反応は、前記ゾルゲル硬化物の120℃を超える温度での焼結であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の製造方法。
  12. 前記工程(a)において、軟化点が120℃未満である樹脂化合物を使用し、前記工程(c)の樹脂硬化反応は、前記工程(b)のゾルゲル硬化反応後に硬化剤を添加することにより行われることを特徴とする、請求項9又は10に記載の製造方法。
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